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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C10M
審判 全部申し立て 2項進歩性  C10M
管理番号 1337048
異議申立番号 異議2016-701035  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-11-07 
確定日 2018-01-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5914953号発明「金属加工油剤組成物、及びそれを用いた加工方法、加工部品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5914953号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?8〕について訂正することを認める。 特許第5914953号の請求項1?8に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5914953号の請求項1?8に係る特許についての出願は、平成24年7月5日に特許出願され、平成28年4月15日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、平成28年11月7日に特許異議申立人出口歓一(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。
その後の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
平成29年1月17日付け 取消理由通知(1回目)
同年2月13日 訂正請求書・意見書
同年2月23日付け 通知書
同年3月21日 意見書
同年5月17日付け 取消理由通知(2回目)
同年7月20日 訂正請求書・意見書
同年10月27日付け 手続補正指令書(方式)
同年12月1日 手続補正書(方式)
なお、同年7月20日付け訂正の請求に対して、期間を指定して意見書を提出する機会を設けたが、申立人から何ら応答がなかった。


第2 訂正の適否についての判断
平成29年2月13日の訂正請求は、同年7月20日に訂正請求がなされたため、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
よって、以下に、同年7月20日の訂正請求(同年12月1日付け手続補正書(方式)・以下、「本件訂正請求」という。)が認められるかについて検討する。

1.訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下の訂正事項1?4のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の「直鎖脂肪酸」の後ろに、「と、鉱油、エステル油、ポリグリコール油及びアルキルベンゼンからなる群から選ばれる基油と、ひまし脂肪酸重縮合物と」なる記載を追加する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1の「5?35質量%であ」の後ろに、「り、成分(C)の割合が、組成物の全質量を基準として5?30質量%であり、基油の割合が、組成物の全質量を基準として10?50質量%であり、ひまし脂肪酸重縮合物の割合が、組成物の全質量を基準として3?25質量%であ」なる記載を追加する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1の「(A-1)アミノブタノール、アミノペンタノール、」を、「(A-1)アミノペンタノール、」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項2の「(A-1)が、アミノブタノール、アミノヘキサノール、」を、「(A-1)が、アミノヘキサノール、」に訂正する。

2.訂正の目的、新規事項、特許請求の範囲の拡張・変更、一群の請求項について
上記訂正事項1は、請求項1に記載された金属加工油剤組成物における成分(A)、成分(B)、成分(C)の特定に加え、「鉱油、エステル油、ポリグリコール油及びアルキルベンゼンからなる群から選ばれる基油」と「ひまし脂肪酸重縮合物」とをさらに含むことを特定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、当該金属加工油剤組成物に、上記2成分を含むことは、本件特許明細書【0016】及び【0017】に記載されており、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
上記訂正事項2は、請求項1に記載された当該金属加工油剤組成物の全質量を基準とした成分(C)、上記基油及び上記ひまし脂肪酸重縮合物の割合を特定したものであることから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、これら3成分の割合は、本件特許明細書【0014】、【0016】及び【0017】に記載されていることから、上記訂正事項2は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
上記訂正事項3は、請求項1の成分(A)の(A-1)で択一的に記載されていた5種の化合物の選択肢の中から「アミノブタノール」を削除し、選択肢を4種の化合物に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、この訂正は、択一的要素の一つを削除するものであるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
上記訂正事項4は、請求項2の成分(A-1)で択一的に記載されていた4種の化合物の選択肢の中から「アミノブタノール」を削除し、選択肢を3種の化合物に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、この訂正は、択一的要素の一つを削除するものであるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
そして、これらの訂正事項1?4に係る訂正は、一群の請求項に対して請求されたものである。

3.小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するから、訂正後の請求項〔1?8〕について訂正を認める。


第3 本件特許に係る発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1?8に係る発明(以下、請求項に係る各発明を項番に従って「本件発明1」などといい、併せて単に「本件発明」ということもある。)は、その特許請求の範囲の請求項1?8に記載された、次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
(A)少なくとも1種の1級、2級または3級のアルカノールアミンと、
(B)少なくとも1種の炭素数8?40の分岐飽和脂肪酸と、
(C)少なくとも1種の炭素数8?30の飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸と、
鉱油、エステル油、ポリグリコール油及びアルキルベンゼンからなる群から選ばれる基油と、
ひまし脂肪酸重縮合物とを含み、
成分(A)のアルカノールアミンが、(A-1)アミノペンタノール、アミノヘキサノール、アミノオクタノール及びアミノドデカノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有し、かつ、(A-1)の割合が、組成物に含まれるアミンの全質量を基準にして5?35質量%であり、
成分(C)の割合が、組成物の全質量を基準として5?30質量%であり、基油の割合が、組成物の全質量を基準として10?50質量%であり、
ひまし脂肪酸重縮合物の割合が、組成物の全質量を基準として3?25質量%であることを特徴とする金属加工油剤組成物。
【請求項2】
成分(A-1)が、アミノヘキサノール、アミノオクタノール及びアミノドデカノールからなる群から選ばれる1種又は2種である請求項1に記載の金属加工油剤組成物。
【請求項3】
成分(B)が、イソノナン酸、ネオノナン酸、イソデカン酸、ネオデカン酸、イソトリデカン酸、ネオトリデカン酸及びイソステアリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の金属加工油剤組成物。
【請求項4】
成分(C)が、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オクタデセン酸、リノール酸、リノレン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、リシノレイン酸及びエルカ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1?3のいずれか1項記載の金属加工油剤組成物。
【請求項5】
請求項1?4のいずれか1項記載の金属加工油剤組成物を水で0.5質量%以上の濃度に希釈した金属加工油剤。
【請求項6】
請求項1?4のいずれか1項記載の金属加工油剤組成物を水で希釈した金属加工油剤。
【請求項7】
請求項1?4のいずれか1項記載の金属加工油剤組成物あるいは請求項5又は6記載の金属加工油剤を使用することを含む、金属加工方法。
【請求項8】
請求項1?4のいずれか1項記載の金属加工油剤組成物あるいは請求項5又は6記載の金属加工油剤を使用して、金属材料を加工する工程を含む、金属材料加工品の製造方法。」


第4 取消理由(2回目)の概要
本件特許の平成29年2月13日付けの訂正請求によって訂正された請求項1?8に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された甲第4号証及び引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
甲第4号証:特開2011-190330号公報
引用文献1:特表2010-515731号公報


第5 取消理由(2回目)に対する当審の判断
1.引用刊行物及び引用発明
(1)甲第4号証(以下、「甲4」という。)には、「水系組成物」(発明の名称)について、以下の記載がある。
(1-1)「【請求項1】
(a)カルボン酸と(b)アルカノールアミンを配合してなる水系組成物であって、前記 (a)のカルボン酸が、直鎖脂肪族モノカルボン酸、分岐脂肪族モノカルボン酸、及びジカルボン酸を含み、前記(b)のアルカノールアミンが、一級アルカノールアミン及び三級アルカノールアミンを含むことを特徴とする水系組成物。
【請求項2】
(a)成分の直鎖脂肪族モノカルボン酸及び分岐脂肪族モノカルボン酸が、互いに独立に、炭素数8?10の脂肪族カルボン酸であり、ジカルボン酸が炭素数9?12の脂肪族ジカルボン酸である請求項1に記載の水系組成物。
【請求項3】
(a)成分の直鎖脂肪族モノカルボン酸及び分岐脂肪族モノカルボン酸が、互いに独立に、炭素数8?9の脂肪族カルボン酸であり、ジカルボン酸が炭素数12の脂肪族ジカルボン酸である請求項1又は2に記載の水系組成物。
【請求項4】
(b)成分の一級アルカノールアミンが、モノイソプロパノールアミン、もしくは2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールであり、三級アルカノールアミンがトリエタノールアミンもしくはシクロヘキシルジエタノールアミンである請求項1?3のいずれかに記載の水系組成物、」
(1-2)「【0004】
本発明は、スカム特性が良好であり、かつ、防錆性及び耐腐敗性に優れる、長寿命の水溶性金属加工油剤などとして好適な水系組成物を提供することを目的とするものである。」
(1-3)「【0009】
本発明は、(a)カルボン酸と(b)アルカノールアミンを配合してなる水系組成物である。
なお、本発明における「水系組成物」は、水を含有する組成物を意味し、いわゆる水溶性金属加工油剤と称される外観が白濁、半透明及び透明のものを含む概念である。
また、水系組成物は、通常原液の組成物を製造して保存・運搬し、使用する際に、原液、もしくはその原液を水で希釈した希釈液を用いる。
以下、(a)成分のカルボン酸と(b)成分のアルカノールアミンについて説明する。
〔(a)成分〕
前記 (a)のカルボン酸としては、(a-1)直鎖脂肪族モノカルボン酸、(a-2)分岐脂肪族モノカルボン酸、及び(a-3)ジカルボン酸を含むことを要する。つまり、少なくとも2種類のモノカルボン酸と、少なくとも1種類のジカルボン酸を配合する。
前記モノカルボン酸である、(a-1)直鎖脂肪族モノカルボン酸及び(a-2)分岐脂肪族モノカルボン酸は、互いに独立に、炭素数8?10のカルボン酸が好ましい。直鎖脂肪族モノカルボン酸及び分岐脂肪族モノカルボン酸の炭素数が8以上であれば、水系組成物の防錆性の向上が認められ、同時に、スカム特性を向上することができる。一方、これらのモノカルボン酸の炭素数が10以下であれば、水系組成物に対する溶解性が良好であり、容易に透明型水系組成物を得ることができる。
したがって、これら直鎖脂肪族モノカルボン酸及び分岐脂肪族モノカルボン酸の炭素数は、いずれも8?9であることがより好ましい。
前記、直鎖脂肪族モノカルボン酸の好ましい具体例としては、例えば、n-オクタン酸やn-ノナン酸が挙げられる。また分岐脂肪族モノカルボン酸の好ましい具体例としては、例えば、イソオクタン酸、2-エチルヘキサン酸、イソノナン酸などが挙げられる。
【0010】
前記(a-3)のジカルボン酸としては、炭素数9?12のジカルボン酸が好ましい。ジカルボン酸の炭素数が9以上であれば、水系組成物の防錆性が良好であり、一方、ジカルボン酸の炭素数12が以下であれば、それを上記脂肪族モノカルボン酸と組合せて用いることにより、溶解性が良好であり、容易に透明型水系組成物を得ることができる。
前記炭素数9?12のジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸を用いることができるが、入手が容易である点で、脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。脂肪族ジカルボンは、飽和、不飽和を問わず、また直鎖、分岐のいずれであってもよい。
上記ジカルボン酸は、炭素数10?12の脂肪族ジカルボン酸がより好ましく、中でも炭素数が12の脂肪族ジカルボン酸、特にドデカン二酸が好ましい。
【0011】
上記(a)成分のカルボン酸の(a-1)直鎖脂肪族モノカルボン酸、(a-2)分岐脂肪族モノカルボン酸、及び(a-3)ジカルボン酸の配合比(質量比)については、(a-1):(a-2):(a-3)が1:0.1?2:0.1?4であることが好ましく、1:0.5?1.5:0.5?2.5であることがより好ましい。上記の配合比であれば、スカム特性、防錆性が良好である。」
(1-4)「【0012】
〔(b)成分〕
前記(b)成分のアルカノールアミンとして、(b-1)一級アルカノールアミン及び(b-2)三級アルカノールアミンを含むアルカノールアミンを用いる。一級アルカノールアミンは耐腐敗性を向上する効果が高く、三級アルカノールアミンは防錆性を向上し持続させる効果が高い。
【0013】
本発明においては、(b-1)一級アルカノールアミン及び(b-2)三級アルカノールアミンを含むアルカノールアミンを用いるが、その配合比(質量)は、(b-1):(b-2)が1:0.1?1:3であることが好ましい。このような配合比率であれば、防錆性、耐腐敗性が良好である。」
(1-5)「【0022】
本発明における水系組成物(原液)における各成分の配合割合は、水系組成物の原液全量を基準として、(a)成分0.01?5質量%、(b)成分0.1?35質量%、(c)成分10?50質量%、及び(d)成分10?89.89質量%であることが好ましい。
(a)成分と(b)成分の配合量が上記の範囲であれば、良好な防錆性やスカム特性を有する。また、(c)成分の配合割合が10質量%以上であれば、良好な冷却性や加工性が認められ、50質量%以下であれば、原液粘度が高くなり、原液安定性が良好である。また、(d)成分の水の配合量が10質量%以上であれば原液安定性が良好であり、89.89質量%以下であれば良好な防錆性や耐腐敗性を有する。
【0023】
また、本発明の水系組成物は、前記のとおり、保存や運搬等の便宜を図るために調製されたいわゆる原液である。従って加工油剤等として使用する場合には、本発明の水系組成物(原液)を水で希釈して調製した水系組成物(希釈液)が用いられる。この場合の希釈割合は、通常、いずれも容量/容量(v/v)で、水系組成物原液のおよそ2?100倍、好ましくは、およそ3?50倍希釈液が用いられる。すなわち原液のおよそ1?50%希釈液、好ましくは、およそ2?30%希釈液が用いられる。」
(1-6)「【0029】
【表1】

【0030】
「注」
注1:ポリオキシアルキレン誘導体、Mw=20,000、脂肪族ヒドロキシ化合物に由来する残基がグリセリン骨格、ポリオキシアルキレン基がエチレンオキシド75wt%とプロピレンオキシド25wt%とからなる共重合体(アデカ社製、商品名「カーポールGH-10」)
注2:防腐剤(トリアジン系及びピリチオン系)と水」

(2)引用文献1には、「アミノアルコール及び水性系のための殺生物剤組成物」(発明の名称)について、以下の記載がある。
(2-1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺生剤と;
式(I)の第一級アミノアルコール化合物:・・・(略)・・・と、を含む殺生物組成物。
・・・(略)・・・
【請求項11】
前記アミノアルコール化合物が、2-アミノ-3-ヘキサノール、2-アミノ-2-メチル-3-ヘキサノール、3-アミノ-4-オクタノール、2-アミノ-2-メチル-3-ヘプタノール、2-アミノ-4-エチル-3-オクタノール、2-アミノ-3-ヘプタノール、2-アミノ-1-フェニルブタノール、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1から10に記載の組成物。」
(2-2)「【0002】
本発明は、水性系、例えば金属加工流体などで用いる殺生物組成物、使用法、及び新規なアミノアルコール化合物に関する。」
(2-3)「【0006】
微生物増殖を促進せず、長期間にわたって性能を維持する、アミノアルコール成分に対する産業上の必要性が存在する。それら自体は殺生物性ではないが、水性MWFで使用される広い範囲の殺生物剤の性能を強化するアミノアルコールに対する必要性も存在する。第二級アミンが常用されているが、世界の特定の地域では第二級アミンの使用に関して法令による制限があるために、上記の目的を果たす第一級アミンが望ましいであろう。」
(2-4)「【0030】
本発明の殺生物組成物を含有する金属加工流体及び濃縮物は、炭化水素油を含んでよく、炭化水素油は合成又は非合成であってもよい。慣用される合成及び非合成油の例としては、例えば、鉱油、植物油、動物由来の油、及び合成ポリマー/共重合体が挙げられる。かかる油の具体例としては、限定されるものではないが、厳密に水素処理されたナフテン油及びパラフィン油、ダイズ油及びポリグリコールブロック共重合体が挙げられる。
【0031】
金属加工流体(合成であろうと非合成であろうと)に含むことのできる当技術分野で周知の任意のその他の添加剤としては、例えば、着色剤;粘度調整剤;乳化剤(一般に、合成MWFにはそれらは非エマルジョン系であるので必要とされない);バッファー;可溶化剤;抗酸化剤;消泡剤;界面活性剤及び霧化防止剤及び極圧添加剤が挙げられる。金属加工流体は、通常、腐蝕を阻害するための薬剤、例えば、有機酸のアルカリ及びアミノアルコール塩(本発明の組成物に加えて)、スルホン酸塩、アミン、アミド、及び有機ホウ酸塩化合物などを含む。
【0032】
より具体的な例として、可溶性油及び半合成として一般に公知のエマルジョン形成金属加工流体濃縮物は、次の種類の成分を典型的に含む:低粘度炭化水素油及び合成滑沢剤、例えばポリアルキレングリコールなど;乳化剤、例えば低分子量石油スルホン酸ナトリウム、アルカノールアミド、アミン-脂肪酸塩、及び非イオン性界面活性剤、例えばノニルフェノールエトキシレートなど;腐蝕抑制剤、例えば、中?高分子量石油スルホン酸ナトリウム、アルカノールアミド、ならびに様々な有機及び無機酸(ノナン酸、ネオデカン酸、セバシン酸、オレイン酸、トール油、ホウ酸及びその他の多数の酸を含む)のアミノアルコール塩など;カップリング剤(グリコールエーテル及び高級アルコール及びグリコールを含む)。各々のクラスの例としては、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ヘキサノール及びヘキシレングリコール;ならびに潤滑剤及び極圧剤(脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化脂肪酸及び硫化脂肪酸を含む)が挙げられる。
【0033】
さらなる例として、合成又は溶液合成流体として一般に公知の非エマルジョン形成金属加工流体濃縮物は、一般に次のものを含む:潤滑剤及び極圧剤、例えば、逆溶解性エステル、リン酸エステル、塩素化脂肪酸及びポリアルキレングリコールなど;有機及び無機酸(ペラルゴン酸、ネオデカン酸、アゼライン酸、ドデカン酸、ドデカン二酸、ホウ酸、乳酸及びその他の多数の酸を含む)のアミン塩。これらの物質は腐蝕抑制剤である。」

(3)引用発明の認定
甲4に記載された技術は、上記(1-2)の記載より、水溶性金属加工油剤などとして好適な水系組成物を提供するものである。
当該水系組成物は、上記(1-1)の記載より(a)直鎖脂肪族モノカルボン酸、分岐脂肪族モノカルボン酸、及び脂肪族ジカルボン酸を含むカルボン酸、並びに、(b)一級アルカノールアミン及び三級アルカノールアミンを含むアルカノールアミン、を含むことが記載されている。
そして、当該(a)のカルボン酸は、上記(1-1)、(1-3)の記載より、(a-1)直鎖脂肪族モノカルボン酸及び(a-2)分岐脂肪族モノカルボン酸のそれぞれの炭素数が8?10であり、(a-3)ジカルボン酸の炭素数が9?12であること、当該(b)の一級アルカノールアミンは、上記(1-1)の記載より、モノイソプロパノールアミン又は2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールであることが、それぞれ記載されている。
そうすると、甲4の請求項2を引用する請求項4には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されているものと認められる。
「(a)(a-1)炭素数8?10の直鎖脂肪族モノカルボン酸、(a-2)炭素数8?10の分岐脂肪族モノカルボン酸、及び(a-3)炭素数9?12の脂肪族ジカルボン酸を含むカルボン酸と、
(b)一級アルカノールアミン及び三級アルカノールアミンを含むアルカノールアミン、を含み、
当該一級アルカノールアミンは、モノイソプロパノールアミン又は2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールである、水系組成物。」

2.対比・判断
(1)本件発明1と甲4発明との対比
甲4発明の「一級アルカノールアミン及び三級アルカノールアミン」は、本件発明1の「(A)少なくとも1種の1級、2級または3級のアルカノールアミン」に相当し、甲4発明の「一級アルカノールアミン」「を含む」構成は、本件発明1の「1級アルカノールアミンを含有する」構成に相当する。
甲4発明の「(a-2)炭素数8?10の分岐脂肪族モノカルボン酸」は、上記(1-3)及び(1-6)の【表1】の記載より、分岐脂肪族モノカルボン酸として、具体的に2-エチルヘキサン酸及びiso-ノナン酸といった炭素数8及び9の分岐飽和脂肪酸が用いられていることから、本件発明1の「(B)少なくとも1種の炭素数8?40の分岐飽和脂肪酸」に相当する。
甲4発明の「(a-1)炭素数8?10の直鎖脂肪族モノカルボン酸」及び「(a-3)炭素数9?12のジカルボン酸」は、上記(1-3)及び(1-6)の【表1】の記載より、直鎖脂肪族モノカルボン酸として、具体的にn-オクタン酸及びn-ノナン酸といった炭素数8及び9の直鎖飽和脂肪酸が、また、ジカルボン酸として、具体的にドデカン二酸といった炭素数12の直鎖飽和脂肪酸が、それぞれ用いられていることから、本件発明1の「(C)少なくとも1種の炭素数8?30の飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸」に相当する。
甲4発明の「水系組成物」は、上記(1-3)の【0009】の記載より「本発明における「水系組成物」は、水を含有する組成物を意味し、いわゆる水溶性金属加工油剤と称される外観が白濁、半透明及び透明のものを含む概念である。また、水系組成物は、通常原液の組成物を製造して保存・運搬し、使用する際に、原液、もしくはその原液を水で希釈した希釈液を用いる。」こと、及び、上記(1-5)の記載より、「本発明の水系組成物は、前記のとおり、保存や運搬等の便宜を図るために調製されたいわゆる原液である。」こと、また、「加工油剤等として使用する場合には、本発明の水系組成物(原液)を水で希釈して調製した水系組成物(希釈液)が用いられる。」と記載されていることから、甲4発明の「水系組成物」には、いわゆる原液とその希釈液も含まれるものと認められる。一方、本件発明1の「金属加工油剤組成物」は水で希釈して金属加工油剤とすることが本件の「特許請求の範囲」等に記載されていることから、本件発明1の「金属加工油剤組成物」は希釈前の原液であり、「金属加工油剤」が希釈液の関係にあると認められる。そうすると、甲4発明の「水系組成物」は、本件発明1の「金属加工油剤組成物」に相当するものも含むものである。
以上のことから、本件発明1と甲4発明とは、
「(A)少なくとも1種の1級、2級または3級のアルカノールアミンと、
(B)少なくとも1種の炭素数8?40の分岐飽和脂肪酸と、
(C)少なくとも1種の炭素数8?30の飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸を含み、
成分(A)のアルカノールアミンが、(A-1)1級アルカノールアミンを含有する、金属加工油剤組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。

【相違点1】
金属加工油剤組成物において、本件発明1は、さらに「鉱油、エステル油、ポリグリコール油及びアルキルベンゼンからなる群から選ばれる基油」と「ひまし脂肪酸重縮合物」とを含むのに対し、甲4発明は当該特定がない点。

【相違点2】
(A-1)1級アルカノールアミンについて、本件発明1は、「アミノペンタノール、アミノヘキサノール、アミノオクタノール及びアミノドデカノールからなる群から選ばれる少なくとも1種」を含有するのに対し、甲4発明は、モノイソプロパノールアミン又は2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールを含有する点。

【相違点3】
(A-1)割合について、本件発明1は、「組成物に含まれるアミンの全質量を基準にして5?35質量%」であるのに対し、甲4発明は当該特定がない点。

【相違点4】
本件発明1は、「成分(C)の割合が、組成物の全質量を基準として5?30質量%である」のに対し、甲4発明は当該特定がない点。

【相違点5】
本件発明1は、「基油の割合が、組成物の全質量を基準として10?50質量%」であり、「ひまし脂肪酸重縮合物の割合が、組成物の全質量を基準として3?25質量」であるのに対し、甲4発明は当該特定がない点。

(2)判断
事案に鑑み、上記相違点4について検討する。
上記2.(1)で記載したように、甲4発明の「(a-1)炭素数8?10の直鎖脂肪族モノカルボン酸」及び「(a-3)炭素数9?12のジカルボン酸」は、本件発明1の「(C)少なくとも1種の炭素数8?30の飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸」に相当するものである。
そして、甲4の上記(1-3)の【0011】には、「(a-1)直鎖脂肪族モノカルボン酸、(a-2)分岐脂肪族モノカルボン酸、及び(a-3)ジカルボン酸の配合比(質量比)については、(a-1):(a-2):(a-3)が1:0.1?2:0.1?4であることが好ましく、1:0.5?1.5:0.5?2.5であることがより好ましい。上記の配合比であれば、スカム特性、防錆性が良好である。」こと、また、甲4の上記(1-5)の【0022】には、(a-1)?(a-3)の合計量である(a)成分の割合について、「水系組成物の原液全量を基準として、(a)成分0.01?5質量%」であること、「(a)成分と(b)成分の配合量が上記の範囲であれば、良好な防錆性やスカム特性を有する。」ことが、それぞれ記載されている。
そうすると、甲4の記載に接した当業者は、「(a-1)直鎖脂肪族モノカルボン酸」?「(a-3)ジカルボン酸」を含む(a)成分は、5質量%を越えると、良好な「防錆性やスカム特性」を有しなくなると理解し、少なくとも(a)成分の割合が5質量%を越える量を採用しないと考えるのが合理的である。まして、(a)成分のうち、本件発明1の成分(C)に該当する(a-1)及び(a-3)のみを選択し、その配合量を5質量%以上にすることは、当業者といえども想到しえないものである。
そして、この点は、種々の1級アミノアルコール化合物(すなわち、1級アルカノールアミン)が水性金属加工流体に使用される殺生物剤の性能を強化する作用を有するという周知技術を示す引用文献1にも、記載あるいは示唆もされていないことから、相違点4は、実質的な相違点となるものであり、当業者が容易に想到し得るものでもない。
したがって、本件発明1は、他の相違点1?3及び5を検討するまでもなく、甲4及び周知技術である引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

(3)本件発明2?8について
本件発明2?4は、本件発明1を直接あるいは間接的に引用し、本件発明2は成分(A-1)を、本件発明3は成分(B)を、本件発明4は成分(C)を、それぞれ限定しているものであるから、本件発明1と同様に甲4及び引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。
また、本件発明5?6は、本件発明1?4の金属加工油剤組成物をさらに、水で希釈した金属加工油剤に係る発明であることから、本件発明1と同様に甲4及び引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。
本件発明7は、本件発明1?4の金属加工油剤組成物あるいは本件発明5?6の金属加工油剤を使用する金属加工方法であり、本件発明8は、本件発明1?4の金属加工油剤組成物あるいは本件発明5?6の金属加工油剤を使用して、金属材料を加工する工程を含む、金属材料加工品の製造方法であるから、本件発明1と同様に甲4及び引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。


第6 取消理由(1回目)及び特許異議申立書に記載の取消理由について
取消理由(1回目)及び特許異議申立書に記載の取消理由は、それぞれ、申立人が訂正前の本件発明1?8に対して提出した下記甲第1号証?甲第4号証について、甲第1号証又は甲第4号証に基づく特許法第29条第1項第3号あるいは同法第29条第2項、及び、甲第1号証?甲第3号証又は甲第4号証に記載された発明に基づく、特許法第29条第2項についての取消理由があるというものである。
甲第1号証:特開2002-285186号公報
甲第2号証:特開2010-254813号公報
甲第3号証:特開2010-209246号公報
甲第4号証:特開2011-190330号公報
(甲第1号証?甲第4号証は、以下、それぞれ「甲1」?「甲4」という。)

1.甲1?甲4の記載
(1)甲1には、「水溶性金属加工油剤組成物」(発明の名称)について、以下の記載がある。
(1-1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】(1)トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、及びメチルジエタノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種類の化合物1?15質量%と、(2)モノイソプロパノールアミン、2-アミノ2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ2-メチルエタノール、及び2-(2-アミノエトキシ)エタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種類の化合物1?20質量%と、(3)シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、1,3ビスアミノメチルシクロヘキサン、及びメタキシレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種類の化合物2?10質量%を含有する水溶性金属加工油剤組成物。」
(1-2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、切削加工、研削加工、塑性加工等の金属加工に広く適用できる水溶性金属加工油剤組成物に関し、特に、耐腐敗性能に優れた水溶性金属加工油剤組成物及びそれを用いた水溶性金属加工油剤に関するものである。」
(1-3)「【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討の結果、これら防腐剤、アミンの代替として、特定のアミンを特定の比率で油剤に含有させることにより、従来の防腐剤や、アミンに匹敵ないしこれを上回る耐腐敗性能を付与することができることを見出し本発明を完成するに至った。」
(1-4)「【0011】また、本発明の水溶性金属加工油剤組成物は、水溶性アミンおよび/またはアルカリ金属水酸化物(苛性カリ、苛性ソーダ等)を含有する。水溶性アミンの具体例としては、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2-アミノ2-メチル-1-プロパノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、ジエチルモノイソプロパノールアミン、N,N-ジブチルアミノエタノール、N,N-ジ-n-ブチルアミノイソプロパノール、N,N-ジ-n-プロピルアミノイソプロパノール、N,N-ジターシャリーブチルジエタノールアミン、N,N-エチレンジアミン(ジイソプロパノール)、N,N-エチレンジアミン(ジエタノール)、モノ-n-ブチルジエタノールアミン、モノエチルジイソプロパノールアミン等が挙げられる。さらに、トリイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミンの1種または2種と、モノイソプロパノールアミン、2-アミノ2-メチル-1-プロパノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノールの1種または2種の組み合わせと、苛性カリの組み合わせ等が挙げられる。本発明の組成物中、水溶性アミンおよび/またはアルカリ金属水酸化物の含有量は通常5?30質量%が好ましい。
【0012】さらに、本発明の水溶性金属加工油剤組成物は、直鎖および/または分岐の飽和脂肪酸および/または二塩基酸を含有する。具体例としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、ノナデカン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、エライジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ヒドロキシラウリル酸、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシパルミチン酸、ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシアラキン酸、ヒドロキシベヘン酸、リシノレイン酸、ヒドロキシオクタデセン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ドデシルコハク酸、ラウリルコハク酸、ステアリルコハク酸、イソステアリルコハク酸、ダイマー酸等が挙げられ、その他、動物、魚、植物、穀物などの天然油脂から得られる脂肪酸でもよい。本発明の組成物中、直鎖および/または分岐の飽和脂肪酸および/または二塩基酸の含有量は通常5?40質量%が好ましい。
【0013】また、本発明の水溶性金属加工油剤組成物は、必要に応じて、基油を含有することができる。例えば、鉱油、ポリオールエステル、油脂、ポリグリコール、ポリα-オレフィン、α-オレフィン、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、アルキルベンゼン、ポリエーテルなどが挙げられる。好ましくは、ポリオールエステル、油脂、ポリグリコール、アルキルベンゼンである。これらは、単品でも複数種の混合物としても良い。本発明の組成物中、基油の含有量は通常5?60質量%が好ましい。」
(1-5)「【0016】
・・・・・・
本発明の水溶性金属加工油剤組成物は、水で5?200倍程度に希釈して使用するのが一般的である。
【0017】以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。下記表1に記載の配合組成で各金属加工油剤組成物を調製した。表中の配合量は質量%である。
【0018】
【表1】



(2)甲2には、「金属加工油剤組成物、金属加工方法及び金属加工品」(発明の名称)について、以下の記載がある。
(2-1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
基油、及び界面活性剤を含み、基油がパームオレイン油を含有する金属加工用油剤において、
パームオレイン油の沃素価が56?72及び上昇融点が24℃以下であること、
界面活性剤が、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であること、
アニオン界面活性剤が、脂肪族カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、及び燐酸エステル塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であること、
両性界面活性剤が、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、及びスルホベタインからなる群から選ばれる少なくとも1種であること、
ノニオン界面活性剤が、HLB値6?18のポリオキシエチレンアルキルエーテル、及び炭素数6?24の脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種であること、を特徴とする金属加工用油剤。
【請求項2】
界面活性剤が脂肪族カルボン酸アミン塩である請求項1記載の金属加工用油剤。
【請求項3】
脂肪族カルボン酸アミン塩の脂肪族カルボン酸が炭素数8?18の分岐脂肪酸から選ばれる少なくとも1種である請求項2記載の金属加工用油剤。
【請求項4】
脂肪族カルボン酸アミン塩のアミンが炭素数3?12の分岐アルカノールアミンから選ばれる少なくとも1種である請求項2又は3記載の金属加工用油剤。」
(2-2)「【0001】
本発明は、切削加工、研削加工、転造加工、プレス加工、塑性加工等の金属加工に広く適用できる金属加工用油剤に関する。さらに詳細には、水で希釈して使用する水溶性金属加工用油剤に関し、特に切削性に優れた水溶性金属加工用油剤、その金属加工用油剤を用いた金属加工方法及びその金属加工方法により製造される金属加工品に関するものである。」
(2-3)「【0007】
・・・・・・・
特に、界面活性剤として分岐脂肪酸と分岐アミンからなるアニオン界面活性剤を使用することにより、従来の金属加工用油剤と比較し、切削性のみならず、消泡性も向上させることができ、泡立ちによる油剤の漏えいを防ぐことができる。従って、作業者の安全性も向上し、作業環境の改善もできる。」
(2-4)「【0011】
アニオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪酸誘導体(脂肪酸石けん、ナフテン酸石けん、脂肪酸アミン塩、脂肪酸アミド等)、カルボン酸金属塩、カルボン酸アミン塩、硫酸エステル系化合物(アルコール硫酸エステル塩、オレフィン硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸多価アルコール硫酸エステル塩等)、スルホン酸系化合物(アルカンスルホン酸塩、石油スルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、リン酸エステル系化合物(アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルリン酸エステル塩等)が挙げられる。
特にカルボン酸アミン塩が好ましく、カルボン酸が炭素数6?22のモノカルボン酸及びジカルボン酸の群から選ばれる少なくとも1種類と炭素数2?12のアルカノールアミン類及び炭素数5?18の脂環式アミン類の群から選ばれる少なくとも1種類からなるカルボン酸アミン塩が好ましい。
脂肪族カルボン酸塩の脂肪族カルボン酸としては、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ネオデカン酸、ヒマシ油脂肪酸、ドデカン二酸などのモノ・ジカルボン酸、ヤシ油脂肪酸などの炭素数6?24の脂肪族カルボン酸が挙げられる。また、脂肪族カルボン酸重縮合物としては酸価30?100のリシノレイン酸重縮合物が好ましい。脂肪族カルボン酸塩としては、ナトリウム、カリウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アンモニアとの塩などが挙げられる。」
(2-5)「【0025】
【表4】



(3)甲3には、「金属加工油剤」(発明の名称)について、以下の記載がある。
(3-1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分を配合してなることを特徴とする水溶性金属加工油剤。
(A)炭素数8以上18以下のカルボン酸
(B)トリアルカノールアミン
(C)質量平均分子量が200以上である水溶性ポリマー
(D)水
【請求項2】
請求項1に記載の水溶性金属加工油剤において、
前記各成分の配合量が該水溶性金属加工油剤全量基準で下記の通りであることを特徴とする水溶性金属加工油剤。
(A)成分:20質量%以上、40質量%以下
(B)成分:20質量%以上、40質量%以下
(C)成分:1質量%以上、15質量%以下
(D)成分:10質量%以上、80質量%以下」
(3-2)「【0001】
本発明は、金属材料を成形加工する際に使用される金属加工油剤に関する。」
(3-3)「【0007】
本発明の水溶性金属加工油剤は、水で希釈して用いることにより、各種の金属材料に対して優れた潤滑性および加工性能を発揮する。」
(3-4)「【0009】
(A)成分は、炭素数8以上18以下、好ましくは炭素数10以上16以下のカルボン酸である。炭素数が7以下であると、摩擦低減効果が低下してしまい好ましくない。一方、炭素数を19以上としても、摩擦低減効果の向上は期待できず経済上も好ましくない。
カルボン酸としては、モノカルボン酸でもポリカルボン酸(二塩基酸等)でもよい。また、カルボン酸としては芳香族カルボン酸と脂肪酸があるが、水溶性および潤滑性の観点より脂肪酸(脂肪族カルボン酸)が好適である。カルボン酸としては、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよい。
具体的には、飽和脂肪酸として、カプリル酸(オクタン酸)、ペラルゴン酸(ノナン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)、ミリスチン酸 (テトラデカン酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)などが挙げられる。また、これらの脂肪酸は、直鎖構造に限らずイソオクタン酸やネオデカン酸のようにすべての分岐型異性体を含む。不飽和脂肪酸としては、オクテン酸、デセン酸、ドコセン酸、オレイン酸などが挙げられる。直鎖構造に限らずすべての分岐型異性体を含むことは飽和脂肪酸と同様である。
【0010】
油剤を水で希釈して使用する際の消泡性および硬水安定性の観点からは、炭素原子数8?12のラウリン酸、カプロン酸、ノナン酸、イソノナン酸、デカン酸、ネオデカン酸(オクタン酸、ノナン酸およびデカン酸の混合物)が、ジカルボン酸としては炭素原子数9?12のノナン二酸、ウンデカン二酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。」
(3-5)「【0031】
【表1】



(4)甲4には、上記第5 1.(1-1)?(1-6)に摘示したとおりの記載がある。

2.甲1又は甲4に基づく、特許法第29条第1項第3号あるいは同法第29条第2項について
(1)甲1について
引用発明の認定
甲1に記載された技術は、上記1.(1-2)の記載より、水溶性金属加工油剤組成物及びそれを用いた水溶性金属加工油剤に関するものである。
甲1の金属加工油剤組成物に関する「実施例7」には、上記1.(1-2)、(1-3)及び(1-5)の【表1】の記載より、次の発明(以下「甲1A発明」という。)が記載されているものと認められる。
「メチルジエタノールアミン3質量%、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール4質量%、ジシクロヘキシルアミン6質量%、オレイン酸6質量%、ネオデカン酸2質量%、ドデカン二酸2質量%、ラウリルアミンEO付加物3質量%、鉱油54質量%、リシノレイン酸重縮合物10質量%、及び水10質量%からなる水溶性金属加工油剤組成物。」

イ 本件発明1と甲1A発明の対比・判断
甲1A発明の「メチルジエタノールアミン」及び「2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール」は、本件発明1の「(A)少なくとも1種の1級、2級または3級のアルカノールアミン」に相当する。
甲1A発明の「ネオデカン酸」は、炭素数10の分岐飽和脂肪酸であるから、本件発明1の「(B)少なくとも1種の炭素数8?40の分岐飽和脂肪酸」に相当する。
甲1A発明の「オレイン酸」は、炭素数18の不飽和直鎖脂肪酸であり、「ドデカン二酸」は、炭素数12の飽和直鎖脂肪酸であり、それぞれ6質量%と2質量%の合計8質量%であることから、本件発明1の「(C)少なくとも1種の炭素数8?30の飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸」及び、「成分(C)の割合が、組成物の全質量を基準として5?30質量%であり」に相当する。
甲1A発明の「鉱油」は、本件発明1の「鉱油、エステル油、ポリグリコール油及びアルキルベンゼンからなる群から選ばれる基油」に相当する。
甲1A発明の「水溶性金属加工油剤組成物」は、本件発明1の「金属加工油剤組成物」に相当する。

以上のことから、本件発明1と甲1A発明とは、
「(A)少なくとも1種の1級、2級または3級のアルカノールアミンと、
(B)少なくとも1種の炭素数8?40の分岐飽和脂肪酸と、
(C)少なくとも1種の炭素数8?30の飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸、
鉱油、エステル油、ポリグリコール油及びアルキルベンゼンからなる群から選ばれる基油とを含み、
成分(C)の割合が、組成物の全質量を基準として5?30質量%である、金属加工油剤組成物。」で一致し、以下の点で相違する

【相違点6】
金属加工油剤組成物において、本件発明1は、さらに「ひまし脂肪酸重縮合物」を含むのに対し、甲1A発明は当該特定がない点。

【相違点7】
成分(A)のアルカノールアミンのうち(A-1)について、本件発明1は、「アミノペンタノール、アミノヘキサノール、アミノオクタノール及びアミノドデカノールからなる群から選ばれる少なくとも1種」を含有するのに対し、甲1A発明は2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールを含有している点。

【相違点8】
本件発明1は、「(A-1)の割合が、組成物に含まれるアミンの全質量を基準にして5?35質量%である」のに対し、甲1A発明は当該特定がない点。

【相違点9】
本件発明1は、「基油の割合が、組成物の全質量を基準として10?50質量%」であり、「ひまし脂肪酸重縮合物の割合が、組成物の全質量を基準として3?25質量」であるのに対し、甲1A発明は当該特定がない点。

新規性について
事案に鑑み、上記相違点7について検討する。
甲1A発明の2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールは、アミノブタノールに含まれるアルカノールアミンであったが、本件訂正請求が上記第2において認められたことにより、本件発明1の成分(A)の(A-1)から、アミノブタノールが削除され、その選択肢にアミノブタノールが含まれないものとなった。
そうすると、本件発明1は、甲1A発明と相違点7の点で実質的に相違するから、他の相違点6、8及び9を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明とはいえない。

進歩性についての判断
上記相違点7について、さらに検討する。
甲1A発明には、本件発明1の成分(A)の(A-1)で特定している「アミノペンタノール、アミノヘキサノール、アミノオクタノール及びアミノドデカノールからなる群から選ばれる少なくとも1種」についての記載はなく、甲1にも、何ら記載も示唆もされておらず、成分(A)の(A-1)を選択し、添加することは当業者といえども、容易に想到し得ないことである。
したがって、本件発明1は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとは認められない。

オ 本件発明2?8について
本件発明2?8は、本件発明1を直接あるいは間接的に引用しており、さらに、限定されたものであることから、本件発明1と同様に、甲1に記載された発明とはいえず、また、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものともいえない。

(2)甲4について
ア 本件発明1と甲4との対比・判断について
甲4における引用発明である甲4発明は、上記第5 1.(3)の認定のとおりであり、本件発明1と甲4発明とを対比すると、上記第5 2.(1)で指摘したとおり【相違点1】?【相違点5】の点で相違することから、本件発明1は、甲4に記載された発明とはいえない。
また、上記第5 2.(2)で検討したとおり、上記相違点4は、実質的な相違点であり、この相違点は、当業者といえども、容易に想到し得ないものであるから、本件発明1は、甲4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

イ 本件発明2?8について
本件発明2?8は、本件発明1を直接あるいは間接的に引用しており、さらに、限定されたものであることから、本件発明1と同様に、甲4に記載された発明とはいえず、また、甲4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものともいえない。

3.甲1?甲3又は甲4に記載された発明に基づく、特許法第29条第2項について
(1)甲1?甲3に記載された発明に基づく進歩性
引用発明の認定
甲1に記載された技術は、上記1.(1-2)の記載より、水溶性金属加工油剤組成物に関するものである。
当該水溶性金属加工油剤組成物は、上記1.(1-1)の記載より、「(1)トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、及びメチルジエタノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種類の化合物1?15質量%と、(2)モノイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ2-メチルエタノール、及び2-(2-アミノエトキシ)エタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種類の化合物1?20質量%と、(3)シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、1,3ビスアミノメチルシクロヘキサン、及びメタキシレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種類の化合物2?10質量%とを含有する」ことが記載されている。
また、当該水溶性金属加工油剤組成物は、上記1.(1-4)及び(1-5)の記載より、「直鎖及び/又は分岐の飽和脂肪酸及び/又は二塩基酸」、「鉱油、ポリオールエステル、油脂、ポリグリコール、ポリα-オレフィン、α-オレフィン、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、アルキルベンゼン、ポリエーテルなど基油を5?60質量%」含有することが記載されている。
以上のことから、甲1には、次の発明(以下「甲1B発明」という。)が記載されているものと認められる。
「(1)トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、及びメチルジエタノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種類の化合物1?15質量%と、
(2)モノイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ2-メチルエタノール、及び2-(2-アミノエトキシ)エタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種類の化合物1?20質量%と、
(3)シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、1,3ビスアミノメチルシクロヘキサン、及びメタキシレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種類の化合物2?10質量%と、
直鎖及び/又は分岐の飽和脂肪酸及び/又は二塩基酸と、
鉱油、ポリオールエステル、油脂、ポリグリコール、ポリα-オレフィン、α-オレフィン、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、アルキルベンゼン、ポリエーテルなど基油を5?60質量%と、
を含む、水溶性金属加工油剤組成物。」

イ 本件発明1と甲1B発明との対比・判断
甲1B発明の「(1)」、「(2)」及び「(3)」の化合物は、本件発明1の「(A)少なくとも1種の1級、2級または3級のアルカノールアミン」に相当する。
甲1B発明の「直鎖及び/又は分岐の飽和脂肪酸及び/又は二塩基酸」を含む点は、本件発明1の「(B)少なくとも1種の炭素数8?40の分岐飽和脂肪酸と、(C)少なくとも1種の炭素数8?30の飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸を含」むことと、「脂肪酸」を含む点で共通している。
甲1B発明の「鉱油、ポリオールエステル、油脂、ポリグリコール、ポリα-オレフィン、α-オレフィン、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、アルキルベンゼン、ポリエーテルなど基油を5?60質量%」は、本件発明1の「鉱油、エステル油、ポリグリコール油及びアルキルベンゼンからなる群から選ばれる基油」及び「基油の割合が、組成物の全質量を基準として10?50質量%であり、」に相当する。
甲1B発明の「水溶性金属加工油剤組成物」は、本件発明1の「金属加工油剤組成物」に相当する。

以上のことから、本件発明1と甲1B発明とは、
「(A)少なくとも1種の1級、2級または3級のアルカノールアミンと、
脂肪酸、
鉱油、ポリオールエステル、ポリグリコール、アルキルベンゼンなど基油を含み、
基油の割合が、組成物の全質量を基準として10?50質量%である、金属加工油剤組成物。」である点で一致し、次の点で相違する。

【相違点10】
脂肪酸について、本件発明1は、「(B)少なくとも1種の炭素数8?40の分岐飽和脂肪酸と、(C)少なくとも1種の炭素数8?30の飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸」を含むのに対し、甲1B発明は当該特定がない点。

【相違点11】
本件発明1は、「ひまし脂肪酸重縮合物」を含むのに対し、甲1B発明は当該特定がない点。

【相違点12】
成分(A)のアルカノールアミンのうち(A-1)について、本件発明1は、「アミノペンタノール、アミノヘキサノール、アミノオクタノール及びアミノドデカノールからなる群から選ばれる少なくとも1種」を含有し、「(A-1)の割合が、組成物に含まれるアミンの全質量を基準にして5?35質量%である」のに対し、甲1B発明は、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールを含有するが、その割合について当該特定がない点。

【相違点13】
本件発明1は、「成分(C)の割合が、組成物の全質量を基準として5?30質量%である」のに対し、甲1B発明は当該特定がない点。

【相違点14】
本件発明1は、「ひまし脂肪酸重縮合物の割合が、組成物の全質量を基準として3?25質量である」のに対し、甲1B発明は当該特定のない点。

ウ 相違点についての判断
事案に鑑み、相違点12について、検討する。
甲1B発明の「2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール」は、アミノブタノールに含まれるアルカノールアミンであったが、本件訂正請求が上記第2において認められたことにより、本件発明1の成分(A)の(A-1)からは、アミノブタノールが削除され、その選択肢にアミノブタノールが含まれないものとなった。
そして、本件発明1の(A-1)で特定している「アミノペンタノール、アミノヘキサノール、アミノオクタノール及びアミノドデカノールからなる群から選ばれる少なくとも1種」について、甲1には、これらの成分を選択することについて、記載も示唆もされておらず、まして、成分(A-1)の割合についても、何ら記載及び示唆もされていない。
また、甲2及び甲3には、上記第6 1.(2)?(3)のとおりの記載があり、それぞれは、分岐脂肪酸と分岐アミンの併用による金属加工油剤組成物の消泡性が向上すること(甲2)、脂肪酸の添加による摩擦低減効果すなわち潤滑性を発揮すること(甲3)等の効果が周知技術の適用による効果であることを示す記載があるにとどまる。
そして、甲1?甲3には、上記相違点12を示唆する具体的な記載がないことから、これらを組み合わせたとしても、本件発明1に想到することは当業者といえども、困難であるといわざるを得ない。
したがって、本件発明1は、相違点10、11及び13について検討するまでもなく、甲1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。

エ 本件発明2?8について
本件発明2?8は、本件発明1を直接あるいは間接的に引用しており、さらに、限定されたものであることから、本件発明1と同様に、甲1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものともいえない。

(2)甲4に記載された発明に基づく進歩性
ア 甲4に記載された発明に基づく進歩性は、上記第5 2.(2)ですでに検討したとおりであり、本件発明1は、甲4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

イ 本件発明2?8
本件発明2?8は、本件発明1を直接あるいは間接的に引用しており、さらに、限定されたものであることから、本件発明1と同様に、甲4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。


第7 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由、ならびに、取消理由通知に記載した取消理由(1回目及び2回目)によっては、本件請求項1?8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1種の1級、2級または3級のアルカノールアミンと、
(B)少なくとも1種の炭素数8?40の分岐飽和脂肪酸と、
(C)少なくとも1種の炭素数8?30の飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸と、
鉱油、エステル油、ポリグリコール油及びアルキルベンゼンからなる群から選ばれる基油と、
ひまし脂肪酸重縮合物とを含み、
成分(A)のアルカノールアミンが、(A-1)アミノペンタノール、アミノヘキサノール、アミノオクタノール及びアミノドデカノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有し、かつ、(A-1)の割合が、組成物に含まれるアミンの全質量を基準にして5?35質量%であり、
成分(C)の割合が、組成物の全質量を基準として5?30質量%であり、
基油の割合が、組成物の全質量を基準として10?50質量%であり、
ひまし脂肪酸重縮合物の割合が、組成物の全質量を基準として3?25質量%であることを特徴とする金属加工油剤組成物。
【請求項2】
成分(A-1)が、アミノヘキサノール、アミノオクタノール及びアミノドデカノールからなる群から選ばれる1種又は2種である請求項1に記載の金属加工油剤組成物。
【請求項3】
成分(B)が、イソノナン酸、ネオノナン酸、イソデカン酸、ネオデカン酸、イソトリデカン酸、ネオトリデカン酸及びイソステアリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の金属加工油剤組成物。
【請求項4】
成分(C)が、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オクタデセン酸、リノール酸、リノレン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、リシノレイン酸及びエルカ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1?3のいずれか1項記載の金属加工油剤組成物。
【請求項5】
請求項1?4のいずれか1項記載の金属加工油剤組成物を水で0.5質量%以上の濃度に希釈した金属加工油剤。
【請求項6】
請求項1?4のいずれか1項記載の金属加工油剤組成物を水で希釈した金属加工油剤。
【請求項7】
請求項1?4のいずれか1項記載の金属加工油剤組成物あるいは請求項5又は6記載の金属加工油剤を使用することを含む、金属加工方法。
【請求項8】
請求項1?4のいずれか1項記載の金属加工油剤組成物あるいは請求項5又は6記載の金属加工油剤を使用して、金属材料を加工する工程を含む、金属材料加工品の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-12-26 
出願番号 特願2012-151286(P2012-151286)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (C10M)
P 1 651・ 121- YAA (C10M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中野 孝一  
特許庁審判長 川端 修
特許庁審判官 原 賢一
佐々木 秀次
登録日 2016-04-15 
登録番号 特許第5914953号(P5914953)
権利者 協同油脂株式会社
発明の名称 金属加工油剤組成物、及びそれを用いた加工方法、加工部品  
代理人 箱田 篤  
代理人 山崎 一夫  
代理人 弟子丸 健  
代理人 弟子丸 健  
代理人 西島 孝喜  
代理人 市川 さつき  
代理人 浅井 賢治  
代理人 服部 博信  
代理人 西島 孝喜  
代理人 浅井 賢治  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 箱田 篤  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 服部 博信  
代理人 山崎 一夫  
代理人 松田 七重  
代理人 松田 七重  
代理人 市川 さつき  
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