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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E04G
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  E04G
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E04G
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  E04G
管理番号 1337074
異議申立番号 異議2017-701051  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-11-09 
確定日 2018-02-06 
異議申立件数
事件の表示 特許第6126402号発明「コンクリート養生シート」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6126402号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6126402号の請求項1?3に係る特許についての出願は、平成25年2月12日の出願であって、平成29年4月14日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人狩野芳正(以下「申立人」という。)より請求項1?3に対して特許異議の申立てがされたものである。

第2 特許異議の申立てについて
1 請求項1?3に係る発明
請求項1?3に係る発明(以下、「本件発明1」等、あるいはまとめて「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?3に記載された、以下のとおりのものである。

本件発明1
「【請求項1】
保水層と、
熱を反射する遮熱層とを有し、該保水層と遮熱層とが一体化され、
上記遮熱層には、凹部が形成されていることを特徴とするコンクリート養生シート。」

本件発明2
「【請求項2】
保水層と、
熱を反射する遮熱層とを有し、該保水層と遮熱層とが一体化され、
上記遮熱層には、凸部が形成されていることを特徴とするコンクリート養生シート。」

本件発明3
「【請求項3】
請求項1または2に記載のコンクリート養生シートにおいて、
上記保水層と上記遮熱層との間に、断熱層が設けられ、
上記保水層、上記断熱層及び上記遮熱層が積層一体化されていることを特徴とするコンクリート養生シート。」

2 特許異議申立て理由の概要
請求項1?3に係る特許に対しての特許異議申立て理由の要旨は、次のとおりである。
(1)本件特許の請求項1?3に係る発明は、本件特許の出願前日本国内において頒布された甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(2)本件特許の請求項1?3に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(3)本件の請求項1?3に係る特許は、発明の詳細な説明の記載がその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、その特許は取り消すべきものである。
(4)本件の請求項1?3に係る特許は、特許請求の範囲の記載が発明の詳細な説明に記載したものでないため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、その特許は取り消すべきものである。
(5)本件の請求項1?3に係る特許は、特許請求の範囲の請求項1?3の記載が明確でないため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、その特許は取り消すべきものである。

3 甲各号証の記載
甲第1号証:川西貴士他3名、「高断熱性湿潤養生シート工法「アクアサーモ○R(決定注;原文は○の中にR)」」、大林組技術研究所報No.76、2012
甲第2号証:特開平6-285832号公報

(1)甲第1号証について
ア 甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)「マスコンクリートの施工においては、保温性と保湿性の両方の性能が求められ、今までは、養生対策を別々に施していたため効率が悪かった。」(1頁右欄4行?6行)
(イ)「そこで、保温性と保湿性の両方の性能を合理的に得る養生方法として、保温性を高めるために、輻射熱を反射するアルミ箔シートと空気層を挟むことのできる梱包用の気泡緩衝材を使用し、保湿性に優れる不織布と一体化させた養生シート・・・を考案した。・・・概要をFig.1に示す。」(1頁右欄7行?12行)
(ウ)Fig.1の右写真から、アルミ箔シートが波打っていることが看て取れる。

イ 甲第1号証に記載された発明の認定
甲第1号証には、上記アを踏まえると、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「保湿性に優れる不織布と、
輯射熱を反射するアルミ箔シートを有し、
不織布とアルミ箔シートとの間に、気泡緩衝材が設けられ、
不織布、気泡緩衝材及びアルミ箔シートが一体化されており、
アルミ箔シートが波打っている、コンクリート養生シート」

(2)甲第2号証について
ア 甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】 断熱部材及びこの断熱部材の周囲を被包する防水性シート部材を有する断熱用マットと、この断熱用マットの片面に設けられた湿潤用マットと、を含むことを特徴とするコンクリート養生用マット。
【請求項2】 請求項1において、前記断熱部材は繊維状あるいは小ブロック状の断熱材の集合体からなるコンクリート養生用マット。
【請求項3】 請求項1又は請求項2において、前記湿潤用マットは、保水部材と、該保水部材の周囲を被包する透水性シート部材とからなるコンクリート養生用マット。」
(イ)「【0014】断熱用マット100は、長尺のマット状をなす断熱部材10と、この断熱部材10の外周を被包する袋状の防水性シート部材20とから構成されている。また、湿潤用マット110は、保水部材60と透水性シート部材70とから構成されている。
【0015】前記断熱部材10を構成する材料としては、グラスウール、ポリウレタン,ポリスチレン,ポリプロピレン,ポリ塩化ビニル等の合成樹脂の発泡体(フォーム)を破砕した小ブロック体等を好適に用いることができる。この断熱部材10の厚さは、断熱部材10の断熱性によって異なるが、例えば断熱部材としてグラスウールを用いた場合には、20?100mm程度が好ましい。
【0016】前記防水性シート部材20を構成する材料としては、ポリエチレン,ポリ塩化ビニル,ナイロン,ポリプロピレン等の合成樹脂を用いることができる。この防水性シート部材20は、その機械的強度を大きくするためにシート内部に織布等の補強部材を有していてもよい。さらに、防水性シート部材20の表面には断熱効果をより高めるために、アルミニウム等の金属を蒸着させておいてもよい。」
(ウ)「【0019】断熱用マット100の大きさは特に限定されないが、作業性,搬出・輸送性、保管性等を考慮すると好ましくは2m×30m、より好ましくは1m×20m程度である。一方、湿潤用マット110は、断熱用マット100と同等の大きさにしてあり、断熱用マット100と湿潤用マット110とは、図示しない接着剤、両面テープ又はマジックテープ(商標)等により接合してある。この断熱用マット100と湿潤用マット110との接合は、工場において行い、運搬し易いように、完成したコンクリート養生用マット1を巻き取って、コンクリート打設現場に運び、現場では、コンクリート養生用マット1を打設コンクリートの表面に拡げて敷く作業を行う。」
(エ)「【0022】このクリップ取付部44は、他の部分より薄肉な帯状部分によって構成され、このようなクリップ取付部44は、例えば所定間隔で縫製部30を幅方向に形成することによって構成される。また、断熱用マット100の両端には、防水性シート部材20の端部を接着して構成されるマット取付部40が設けられている。このマット取付部40には、適宜数の取付孔42が設けられている。この取付孔42を介して紐様部材あるいはフック等によって断熱用マット100を型枠その他の固定部材に固定することができる。」
(オ)図3から、断熱用マット100は凹部(薄肉な部分)又は凸部を有することが看て取れる。

イ 甲第2号証に記載された発明の認定
甲第2号証には、上記アを踏まえると、申立人が主張するとおり、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。

「保水部材と、該保水部材の周囲を被包する透水性シート部材とからなる湿潤用マットと、
断熱部材及びこの断熱部材の周囲を被包する防水性シート部材を有する断熱用マットにおいて、
表面に金属が蒸着された防水性シート部材と、を有し、
前記湿潤用マットと前記断熱用マットとが一体化され、
前記断熱用マットには、凹部又は凸部が形成されている、コンクリート養生用マット。」

4 特許法第29条第1項第3号(新規性欠如違反)、第29条第2項(進歩性欠如違反)について
(1)本件発明1について
ア 本件発明1と甲1発明の対比
本件発明1と甲1発明は、以下の相違点1で相違する。

<相違点1>
「遮熱層」について、本件発明1は「凹部が形成されている」のに対し、甲1発明は「波打っている」点。

イ 判断
相違点1について検討するに、遮熱層そのものに凹部を設けることが、甲第1号証には記載されておらず、さらに甲第1号証の記載から自明な事項、あるいは記載されているに等しい事項ともいえないので、本件発明1と甲1発明は同一ではない。
また、遮熱層そのものに凹部を設けることは周知慣用技術あるいは技術常識ということもできないから、甲1発明からアルミ箔シート(本件発明1の「遮熱層」に相当)そのものに凹部を設けることは、当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。
そして、甲第2号証には「断熱用マットには、凹部が形成されている」ことが開示されているものの、甲2発明の「金属が蒸着された防水性シート部材」(本件発明1の「遮熱層」に相当)そのものに凹部を設けることは記載されていないから、甲第2号証には相違点1に関する構成は開示されておらず、甲2発明を甲1発明に適用したとしても、本件発明1とすることはできない。
申立人は、甲第1号証のFig.1の右写真から「アルミ箔シートには気泡緩衝材に基づく凹部が形成されている」と認定しているが、当該写真からはアルミ箔シートそのものに凹部が形成されているとまでは看て取れないし、仮に気泡緩衝材に凹部が形成されていると看取できたとしても、気泡緩衝材は本件発明の断熱層に相当する部材であり遮熱層とはいえない。また、本件発明1において、本件請求項1における「遮熱層には、凹部が形成されている」との表現、及び本件明細書の「【0045】 凹部3aの形成方法としては、この実施形態では遮熱層3の表面を窪ませて遮熱層3に薄肉部分を形成し、この薄肉部分で凹部3aを構成している。従って、遮熱層3の裏面(保水層2側の面)は平坦である。」の記載、並びに図面における凹部の断面図を参酌すると、本件発明1の凹部は遮熱層そのものに形成されると解することが自然である。
よって、本件発明1は甲1発明ではなく、また、甲1発明において相違点1に係る本件発明1の構成にすることは、当業者が容易に想到し得ることではない。

ウ 小括
したがって、本件発明1は甲1発明ではなく、また、本件発明1は甲1発明、及び甲第2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)本件発明2について
ア 本件発明2と甲1発明の対比
本件発明2と甲1発明は、以下の相違点2で相違する。

<相違点2>
「遮熱層」について、本件発明2は「凸部が形成されている」のに対し、甲1発明は「波打っている」点。

イ 判断
相違点2について検討するに、遮熱層そのものに凸部を設けることが、甲第1号証には記載されておらず、甲第1号証の記載から自明な事項、あるいは記載されているに等しい事項ともいえないので、本件発明2と甲1発明は同一ではない。
また、遮熱層そのものに凸部を設けることは周知慣用技術あるいは技術常識ということもできないから、甲1発明からアルミ箔シート(本件発明2の「遮熱層」に相当)そのものに凸部を設けることは、当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。
そして、甲第2号証には「断熱用マットには、凸部が形成されている」ことが開示されているものの、甲2発明の「金属が蒸着された防水性シート部材」(本件発明2の「遮熱層」に相当)そのものに凸部を設けることは記載されていないから、甲第2号証には相違点2に関する構成は開示されておらず、甲2発明を甲1発明に適用したとしても、本件発明2とすることはできない。
申立人は、甲第1号証のFig.1の右写真から「アルミ箔シートには気泡緩衝材に基づく凸部が形成されている」と認定しているが、当該写真からはアルミ箔シートそのものに凸部が形成されているとまでは看て取れないし、仮に気泡緩衝材に凸部が形成されていると看取できたとしても、気泡緩衝材は本件発明の断熱層に相当する部材であり遮熱層とはいえない。また、本件発明2において、本件請求項2における「遮熱層には、凸部が形成されている」との表現、及び本件明細書の「【0045】 凹部3aの形成方法としては、この実施形態では遮熱層3の表面を窪ませて遮熱層3に薄肉部分を形成し、この薄肉部分で凹部3aを構成している。従って、遮熱層3の裏面(保水層2側の面)は平坦である。【0046】遮熱層3の表面において、凹部3a以外の部分には凸部3bが形成される。従って、凸部3bは、凹部3aの周囲全体に形成されることになる。」の記載、並びに図面における凸部の断面図を参酌すると、本件発明2の凸部は遮熱層そのものに形成されると解することが自然である。
よって、本件発明2は甲1発明ではなく、また、甲1発明において相違点2に係る本件発明2の構成にすることは、当業者が容易に想到し得ることではない。

ウ 小括
したがって、本件発明2は甲1発明ではなく、また、本件発明2は甲1発明、及び甲第2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本件発明3について
本件発明3は、本件発明1又は2に従属し、本件発明1又は2の発明特定事項をすべて含むものであるから、本件発明1又は2と同様の理由(上記(1)イ、又は(2)イ参照)により、甲1発明ではなく、また、甲1発明、及び甲第2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)まとめ
したがって、本件発明1?3は、甲1発明ではなく、また、甲1発明、及び甲第2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、その特許は特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

5 特許法第36条第4項第1号(実施可能要件違反)、第6項第1号(サポート要件違反)、第6項第2項(明確性要件違反)について
(1)第36条第4項第1号(実施可能要件違反)について
本件発明の保水層、遮熱層、凹部、凸部、断熱層等は、例えば保水層であれば水分を保持する層であるなど、特別な意味や構成を有するものではなく、当業者が技術常識に沿って理解できる範疇のものであり、そのような通常の理解の範疇を逸脱しない実施態様が本件明細書にはそれぞれ開示されているわけであるから、当業者が技術常識を考慮してその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているというべきである。
申立人は、本件請求項1?3に関して、「保水層」、「遮熱層」、「凹部」の形成方法、「断熱層」等について、いかなる構造、材料、方法、位置関係及び接続関係からなる構成であっても、本件特許の要件を満たすこととなるから、「請求項に上位概念の発明が記載されており、発明の詳細な説明にその上位概念に含まれる『一部の下位概念』についての実施の形態のみが実施可能に記載されている場合」に該当し、「当業者が出願時の技術常識を考慮しても実施できる程度に明確かつ十分に説明されているとはいえない具体的理由がある。」場合に該当すると主張している(申立書17頁5行?20頁22行)が、上記したとおりであり、本件発明に本件明細書の実施例以外のものが含まれ得るからといって当業者が技術常識を考慮してその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないとはいえない。
したがって、本件の請求項1?3に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないとはいえない。

(2)第36条第6項第1号(サポート要件違反)について
本件発明の解決しようとする課題は、申立人が申立書で主張するように「コンクリート表面において、保水効果の持続性を確保しながら、遮熱性も持たせることによって夏季の炎天下等の強い日射環境でも適切な温度範囲に保つこと」(申立書21頁25行?29行)であり、そのような課題を解決するために本件発明では、「保水層」、「遮熱層」、「凹部」、「凸部」を設けており、本件明細書の「【発明の効果】【0023】第1の発明によれば、保水層と熱を反射する遮熱層とを有しているので、湿潤効果の持続性を確保しながら、遮熱性も持たせることができ、よって、コンクリートの打ち込み後、一定期間、温度及び湿度を適切な範囲に保つことができる。【0024】また、遮熱層に凹部を形成したので、凹部に水を溜めることによって遮熱層が遮熱、断熱、放熱の3つの効果を奏することになる。これにより、コンクリート養生面の温度上昇を効果的に抑えることができる。また、太陽光を反射させる際に周囲の作業者が感じる眩しさを低減することもできる。【0025】第2の発明によれば、遮熱層に凸部を形成したので、太陽光を反射させる際に周囲の作業者が感じる眩しさを低減することができる。【0026】第3の発明によれば、保水層と遮熱層との間に断熱層を設けたので、コンクリートの温度を適切な範囲に保つことができる。」の記載等を参酌すれば、本件発明の各構成と上記課題との関係は明らかであり、また、各構成の実施例については、上記(1)でも説示したように本件明細書にそれぞれ開示されているから、本件発明は発明の詳細な説明に記載したものであることは明らかである。
申立人は、本件請求項1?3の記載は、「請求項に係る発明が、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えていると判断される場合」に相当し、発明の詳細な説明に発明として記載したものと実質的に対応しているとはいえないと主張している(申立書21頁24行?23頁下から6行)が、上記したように本件発明の各構成と本件の課題との関係は明らかであり、当業者であれば課題が解決できることを認識できるように記載されているといえる。
したがって、本件の請求項1?3に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないとはいえない。

(3)第36条第6項第2項(明確性要件違反)について
本件請求項1?3には、「保水層」、「遮熱層」、「凹部」、「凸部」の関連構成等については明示的に記載されており、格別不明確な点は見受けられない。
申立人は、本件請求項1?3の記載について、「保水層と遮熱層とが一体化される」ことが含まれており、当該記載からは、保水層と遮熱層とがどのような位置関係でどのような方法を用いて一体化されるのかが明らかでなく、したがってこの発明構成要件の意味内容を理解することができない。また、「遮熱層には凹部(凸部)が形成されている」ことを発明構成要件としているが、凹部(凸部)が遮熱層のどこに形成されているのかが明らかでなく、上述した保水層と遮熟層との位置関係が不明であることが、凹部の形成される位置の理解をさらに困難にしている、と主張している(申立書24頁9行?25頁25行)が、保水層と遮熱層の位置関係や凹部(凸部)の形成位置については、技術常識や必要に応じて実施例等を参酌すれば、通常の意味で解釈することができ、発明が明確でないというものではない。
したがって、本件の請求項1?3に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとはいえない。

第3 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由、証拠によっては、本件請求項1?3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-01-26 
出願番号 特願2013-24908(P2013-24908)
審決分類 P 1 651・ 113- Y (E04G)
P 1 651・ 536- Y (E04G)
P 1 651・ 121- Y (E04G)
P 1 651・ 537- Y (E04G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 西村 隆  
特許庁審判長 小野 忠悦
特許庁審判官 井上 博之
住田 秀弘
登録日 2017-04-14 
登録番号 特許第6126402号(P6126402)
権利者 株式会社IHIインフラシステム 早川ゴム株式会社
発明の名称 コンクリート養生シート  
代理人 特許業務法人前田特許事務所  
代理人 特許業務法人前田特許事務所  

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