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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H02N
管理番号 1337269
審判番号 訂正2017-390147  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2017-12-14 
確定日 2018-02-08 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4907738号に関する訂正審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 特許第4907738号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由
第1 手続の経緯

本件特許第4907738号は,平成23年6月14日を出願日とする出願であって,平成24年1月20日に設定登録され,平成29年12月14日に本件訂正審判の請求がなされたものである。

第2 請求の趣旨

本件訂正審判の請求の趣旨は,特許第4907738号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める,との審決を求めるものである。

第3 本件訂正の内容

本件訂正の内容は,次のとおりである(下線は,本件訂正により記載を変更した箇所を示す。)。

1 訂正事項1

特許請求の範囲の請求項2及び3の「印可」という記載を「印加」と訂正する。

2 訂正事項2

明細書の段落0014,0018,0022,0031,0033,0035,0037,0038,0039,0040及び0042に記載の「印可」という記載を「印加」と訂正する。

第4 当審の判断

以下,上記訂正事項1及び2について検討する。

1 本件訂正の目的について

訂正事項1及び2は,本件特許明細書及び特許請求の範囲における「印可」という記載を「印加」と訂正するものである。本件特許明細書及び特許請求の範囲の記載から,「印可」という記載は誤記であって,正しくは「印加」と記載すべきであったことは明らかである。
したがって,訂正事項1及び2は,特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項である誤記の訂正を目的とするものである。

2 本件訂正が新規事項を追加する訂正であるか否かについて

訂正事項1及び2は,本件特許明細書及び特許請求の範囲の誤記を訂正するものであって,実質的に新たな事項を追加するものではなく,願書に最初に添付した添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって,訂正事項1及び2は,特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

3 本件訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものであるか否かについて

訂正事項1及び2は,本件特許明細書及び特許請求の範囲の誤記を訂正するものであるから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
したがって,訂正事項1及び2は,特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

4 独立特許要件について

本件訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができないとすべき理由を発見しない。
したがって,訂正事項1及び2は,特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

第5 むすび

以上のとおりであるから,本件訂正は,特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし,また,同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
注入機器及び超音波モータの制御方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液を注入するための注入機器であって、超音波モータを備え、当該超音波モータのステータとロータの固着を解除できる注入機器、及び超音波モータの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、造影剤等の薬液を注入する医療用注入機器として、非磁性体で構成された超音波モータを備えた注入機器が知られていた(特許文献1)。この注入機器は、磁力線による障害が生じないので、MRI等の磁気を利用する機器と併用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-84296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような注入機器においては、超音波モータのステータとロータとが常に圧接された状態となっている。そのため、超音波モータの停止時にステータとロータとが固着してしまう場合があった。特に、多湿の環境においては、通常の環境よりも固着が発生しやすい。そして、ステータとロータとが固着してしまうと、超音波モータを駆動できなくなってしまう。その結果、薬液を注入することができなくなってしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る注入機器は、薬液を注入するための注入機器であって、超音波モータを有する超音波モータ部と、前記超音波モータが正転するときに薬液を送り出すように、前記超音波モータ部によって駆動される駆動機構と、前記超音波モータ部の前記超音波モータを制御する制御装置とを備え、前記超音波モータは、ステータ及びロータを有し、前記制御装置は、前記ステータと前記ロータの固着を解除するために、前記超音波モータが予め設定された時間内に正転と逆転を交互に複数回繰り返すように制御すると共に、当該正転と逆転との間に前記超音波モータが所定の時間にわたって停止するように制御し、且つ前記複数回繰り返される正転と逆転において、正転と逆転を含む先行する動作を行った後であり且つ前記先行する動作に続いて正転と逆転を含む後続する動作を行う前に、所定の停止時間を設けるように前記超音波モータを制御することを特徴とする。
【0006】
これにより、超音波モータのステータとロータの固着を効率的に解除することができる。そのため、超音波モータの駆動を保つことができるので、薬液を安定して注入することができる。さらに、注入機器の制御装置が自動で固着を解除することにより、制御装置が固着を判断する工程を省くことができ、使用者が固着を解除する手間を省くこともできる。
【0007】
また、本発明に係る超音波モータの制御方法は、薬液を注入するための注入機器に使用される駆動機構を駆動する超音波モータ部に設けられると共に、ステータ及びロータを有する超音波モータの制御方法であって、前記ステータと前記ロータの固着を解除するために、前記超音波モータが予め設定された時間内に正転と逆転を交互に複数回繰り返し、正転と逆転との間に、前記超音波モータが所定の時間にわたって停止し、前記複数回繰り返される正転と逆転において、正転及び逆転を含む先行する動作を行った後であって且つ前記先の動作に続いて正転と逆転を含む後続する動作を行う前に、所定の停止時間を設けるように、前記超音波モータを制御することを特徴とする。
【0008】
これにより、超音波モータのステータとロータの固着を効率的に解除することができるため、超音波モータの駆動を保つことができる。さらに、自動で固着を解除するように制御することにより、固着を判断する工程を省くことができ、使用者が固着を解除する手間を省くこともできる。
【0009】
本発明のさらなる特徴は、添付図面を参照して例示的に示した以下の実施例の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】注入機器のブロック図である。
【図2】注入ヘッドの概略斜視図である。
【図3】超音波モータ部の概略展開図である。
【図4】超音波モータ部の概略断面図である。
【図5】第1実施形態に係る制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】第2実施形態及び第3実施形態に係る注入機器のブロック図である。
【図7】第2実施形態に係る制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図8】第3実施形態に係る制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図9】第4実施形態に係る注入機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための例示的な実施例を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施例で説明する寸法、材料、形状、構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に説明される実施例で具体的に記載された形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0012】
図1は本実施例の注入機器1のブロック図であり、図2は本実施例の注入ヘッド2の概略斜視図である。なお、注入ヘッド2は、不図示のスタンドに取り付けること、又は不図示の天井懸垂装置に取り付けることができる。また、図2においては、説明の便宜のため、フレーム21の一部を取り除いた状態の注入ヘッド2を図示している。
【0013】
図1に示すように、薬液を注入するための注入機器1は、超音波モータ31を有する超音波モータ部3と、超音波モータ31が正転するときに薬液を送り出すように、超音波モータ部3によって駆動される駆動機構4と、超音波モータ部3の超音波モータ31を制御する制御装置5とを備える。そして、駆動機構4及び超音波モータ部3は、注入機器1の注入ヘッド2のフレーム21内に格納されている。このフレーム21は、2つのシリンダ91を保持するために2つのシリンジホルダー92を有する。さらに、注入機器1は、薬液の注入状況等が表示されるディスプレイ53を含むコンソール6を有している。このコンソール6は光ケーブルを介して制御装置5に接続されており、制御装置5は注入ヘッド2に接続されている。このように、コンソール6と制御装置5とを光ケーブルを介して接続することにより、ノイズによる悪影響を軽減することができる。また、制御装置5及びコンソール6は検査室内又は検査室外の外部電源に接続されており、制御装置5はパワーサプライとしても機能している。
【0014】
制御装置5は超音波モータ部3を制御するCPU51と、超音波モータ部3に電圧を印加するための駆動回路52と、超音波モータ31の回転時間又は薬液の注入時間等を計測するタイマー54とを有する。CPU51は駆動信号を超音波モータ部3に送信するために駆動回路52に電気的に接続され、駆動回路52は超音波モータ部3に電気的に接続されている。超音波モータ部3にはエンコーダ39が接続されており、超音波モータ31の回転数及び回転の有無等の情報を制御装置5に送信している。また、フレーム21内においてシリンジホルダー92が位置する側を前側とした場合に、超音波モータ部3は後側部分に配置されている。
【0015】
駆動機構4は、シリンジホルダー92と超音波モータ部3との間に配置されている。そして、この駆動機構4は、超音波モータ部3のシャフト35に接続された伝達機構41と、伝達機構41に接続されたボールネジ軸411と、ボールネジ軸411に取り付けられたボールネジナット412と、ボールネジナット412に接続されたアクチュエータ413とを備える。ボールネジナット412は、ボールネジ軸411の中間部分に螺合されている。そして、伝達機構41は、超音波モータ部3からの回転をボールネジ軸411に伝達する。また、伝達機構41は、シャフト35に接続されたピニオンギアと、ボールネジ軸411に接続されたスクリューギアとを有している。そのため、超音波モータ部3のシャフト35の回転は、ピニオンギア及びスクリューギアを介してボールネジ軸411に伝達される。これにより、ボールネジ軸411は、伝達された回転に従って回転する。そして、ボールネジナット412は、ボールネジ軸411の回転に伴い前進方向(前側方向)又は後進方向(後側方向)に摺動する。その結果、ボールネジナット412の摺動に伴い、アクチュエータ413が前進又は後進する。すなわち、シャフト35が正転するとアクチュエータ413が前進し、シャフト35が逆転するとアクチュエータ413が後進する。
【0016】
薬液を注入する際には、薬液が充填されたシリンダ91がシリンジホルダー92に搭載される。このシリンダ91には、シリンダ91内において摺動可能であるピストン93が取り付けられている。そして、シリンダ91は、ピストン93のロッドがアクチュエータ413の先端に当接するように搭載される。これにより、シリンダ91が搭載された状態でボールネジナット412が前進方向に摺動すると、アクチュエータ413がピストン93を前進方向に押すことになる。そして、ピストン93が前進するとシリンダ91内の薬液が押し出され、シリンダ91の先端に接続されるカテーテル等を介して患者の体内に注入される。また、ボールネジナット412が後進方向に摺動すると、アクチュエータ413がピストン93を後進方向に引くことになる。
【0017】
薬液を注入する場合、使用者はシリンダ91をシリンジホルダー92に搭載し、注入機器1の電源をオンする。その後、使用者は、ディスプレイ53がタッチパネルである場合にはタッチパネルに表示された注入ボタンを押す。また、注入ヘッド2に操作部が設けられている場合には、使用者は操作部の注入ボタンを押すこともできる。注入ボタンが押されると、制御装置5は超音波モータ部3に駆動信号として正転信号を送る。この正転信号に応じて超音波モータ部3内の超音波モータ31が駆動し、シャフト35が正転する。シャフト35が正転すると、エンコーダ39は回転を検出して制御装置5にパルス信号を送る。注入が終了しシリンダ91を外す場合、ピストン93を後進させるために、制御装置5は超音波モータ部3に駆動信号として逆転信号を送る。この逆転信号に応じて超音波モータ部3内の超音波モータ31が駆動し、シャフト35が逆転する。なお、超音波モータ部に送信される駆動信号は交流信号であり、位相が異なる2種類の信号のうち一方が他方に対して遅れている場合を正転信号としたときに、他方が一方に対して遅れている場合が逆転信号となる。
【0018】
制御装置5は予め注入プロトコルを記憶しており、薬液の注入は注入プロトコルに従って自動的に行われる。また、制御装置5に注入プロトコルが記憶された記憶媒体を挿入して、記憶媒体から読み込んだ注入プロトコルに従って薬液の注入行うこともできる。注入プロトコルに従った通常制御時には、予め設定された範囲内の通常電圧が駆動回路52から超音波モータ部3に印加される。この注入プロトコルには、例えば、注入時間、注入速度、注入量及び注入圧力リミット値が設定されている。そして、注入プロトコルの内容はディスプレイ53に表示されるので、使用者は注入プロトコルの内容を確認することができる。また、制御装置5は、タイマー54を利用して注入時間を制御している。さらに、制御装置5は注入状況を監視し、注入圧力の低下等の異常を検知した場合には薬液の注入を自動で停止する。この注入圧力は、アクチュエータ413の先端に設けられたロードセルで検出することができる。
【0019】
なお、図1においては制御装置5とコンソール6とが独立していたが、制御装置5とコンソール6とは一体化することもできる。また、制御装置5は注入ヘッド2のフレーム21の外に配置されていたが、フレーム21内に配置することもできる。さらに、制御装置5及びコンソール6は、注入ヘッド2と一体化することもできる。また、制御装置5及びコンソール6は、無線通信又は赤外線通信を用いて通信することができる。
【0020】
図3は本実施例の超音波モータ部3の概略展開図であり、図4は超音波モータ部3の中央断面図である。
【0021】
図3に示すように、本実施例の超音波モータ部3は、略左右対称となるように配置された同じ構造の超音波モータ31を複数有する。すなわち、超音波モータ部3は、第1の超音波モータ311と、第1の超音波モータ311と同軸である第2の超音波モータ312とを有する。また、超音波モータ部3は、第1の超音波モータ311及び第2の超音波モータ312を貫通するシャフト35と、一対のベース341が固定されるケース34とを有する。一対のベース341はそれぞれ板状の形状を有し、ケース34に対してネジによって固定されている。第1の超音波モータ311及び第2の超音波モータ312は、このケース34内の略円柱状のスペースに格納される。また、第1の超音波モータ311及び第2の超音波モータ312は、それぞれ円盤状のステータ32及びロータ33を有する。そして、第1の超音波モータ311及び第2の超音波モータ312は、一対のベース341に挟まれた状態でケース34内に格納されている。一対のベース341には、外部と接続するためのコネクタが搭載された端子支持板344が、ネジによって取り付けられている。
【0022】
ステータ32は、ベース341側からロータ33側に向かって、ピエゾ素子等の圧電素子322と、弾性体323と、摺動材324とを有する。圧電素子322及び摺動材324は弾性体323に接着されている。また、ステータ32にはフレキシブル基板36が接着されており、両者は電気的に接続されている。このフレキシブル基板36を介して、圧電素子322に高周波電圧が印加されると、圧電素子322の伸縮によって弾性体323にたわみ振動が生じ、円周方向に進行波が発生する。ロータ33は、摺動材324を介して弾性体323と接触しているので、進行波が発生すると進行波とは反対の方向に回転する。この回転に伴い、シャフト35がロータ33と同じ方向に回転する。なお、本実施例では、薬液を押し出す場合のロータ33の回転を正転といい、正転方向と逆方向のロータ33の回転を逆転という。例えば、アクチュエータ413を前進させる場合におけるロータ33の回転が正転である。そして、アクチュエータ413を後進させる場合におけるロータ33の回転が逆転である。また、圧電素子322には、注入プロトコルに従った通常制御時に予め定められた範囲の通常電圧が印加されている。
【0023】
図4に示すように、ステータ32はネジ321によってベース341に固定されており、ロータ33はネジによってシャフト35のつば351に固定されている。ベース341にはシャフト35が貫通する穴が形成されており、この穴にはブッシュ343が圧入により取り付けられている。ブッシュ343はシャフト35の軸受けとして機能し、シャフト35の両端はそれぞれブッシュ343を貫通している。また、第1の超音波モータ311及び第2の超音波モータ312のロータ33は、円盤状の形状を有する皿バネ部332を有する。この皿バネ部分332は、ロータ33をステータ32に対して付勢するためのスプリングとして機能する。また、ロータ33は、ステータ32の摺動体324に接触する基体部分333を有する。そして、この基体部分333とロータ33の中心との間に、皿バネ部332が設けられている。そして、皿バネ部332が基体部分333をステータ32に対して付勢することにより、ロータ33がステータ32に密着する。これにより、ロータ33とステータ32とを密着させるために別途のスプリングを設ける必要がないので、超音波モータ部3のサイズを小さくすることができる。
【0024】
また、図3から明らかなように、第1の超音波モータ311のロータ33は、第2の超音波モータ312のロータ33に対向するように配置される。すなわち、第1の超音波モータ311及び第2の超音波モータ312は、シャフト35のつば351を挟んで略左右対称に配置される。そして、第1の超音波モータ311及び第2の超音波モータ312とシャフト35のつば351との間には、スペーサ37として、例えば円盤状のワッシャーが配置される。これにより、スペーサ37の厚み又はスペーサ37の数を増減させることにより、ステータ32に対するロータ33の加圧力を容易に増減させることができる。具体的には、スペーサ37の数を増やすことによりロータ33の加圧力を高めることができる。また、ロータ33とステータ32とが十分に密着していれば、スペーサ37を配置しなくともよい。
【0025】
このように、第1の超音波モータ311及び第2の超音波モータ312のロータ33同士が対向している。そのため、本実施例では、第1の超音波モータ311のロータ33と第2の超音波モータ312のロータ33とが同じ方向を向く場合と比較して、超音波モータ部3のサイズを小さくできる。すなわち、ロータ33とステータ32とが対向するように配置すると、二つの超音波モータ31のそれぞれのロータ33に対応して二つのつば351を設ける必要がある。さらに、ケース34内にステータ32を固定するための追加のベースを設ける必要がある。その結果、超音波モータ部3のサイズが大きくなってしまう。これに対して、本実施例によれば、一つのつば351の両側に第1の超音波モータ311と第2の超音波モータ312のロータ33を配置することができる。また、ステータ32を固定するためのベース341をケース34内に設ける必要がない。そのため、超音波モータ部3のサイズを小さくできる。
【0026】
また、本実施例の超音波モータ部3によれば、二つの超音波モータ31を有することにより、一つのみの超音波モータ31を有する場合と比較してトルクを大きくすることができる。そのため、薬液を高圧又は高速で注入することができる。さらに、第1の超音波モータ311及び第2の超音波モータ312のロータ33が、一つのシャフト35に対して固定されている。そのため、一方の超音波モータ31が固着してしまった場合でも、他方の超音波モータ31によってシャフト35を回転させることができる。その結果、他方の超音波モータ31の回転力が、シャフト35を介して一方の超音波モータ31に伝達される。これにより、一方の超音波モータ31の固着を解除することができる。
【0027】
なお、本実施例においては、注入ヘッド2及び制御装置5が、検査室内に配置できるように非磁性体材料を用いて構成されている。具体的には、ステンレス、アルミニウム、プラスチック、真鍮、銅、セラッミックス等を用いて構成されている。さらに、操作室に配置されるコンソール6も、非磁性体材料を用いて構成すれば検査室内に配置できる。また、超音波モータ部3も非磁性体材料を用いて構成されている。具体的には、弾性体323の材料はリン青銅であり、シャフト35、ネジ321及びスペーサ37の材料は真鍮であり、ケース34、ベース341及びロータ33の材料はアルミニウムであり、ブッシュ343の材料はフッ素樹脂である。これにより、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の、磁気を利用する機器の近傍で注入機器1を使用することができる。ただし、MRI装置から十分に離して設置する場合、又は磁気シールド処理を施した場合は、磁性体材料を用いて注入ヘッド2又は制御装置5を構成することもできる。また、注入機器1は、CT(Computed Tomography)スキャナ、PET(Positron Emission Tomography)装置、CTアンギオ装置、MRアンギオ装置、血管撮影装置等の機器と共に使用することもできる。この場合は、注入ヘッド2又は制御装置5を、磁性体材料を用いて構成することができる。
【0028】
また、上述した実施例は一例であり、例えば注入機器1は、ロッドを有さないピストン93に使用することもできる。さらに、注入機器1は、一つののみ又は三つ以上のシリンダ91が搭載可能な構成とすることもできる。この場合、搭載可能なシリンダ91の数に対応した数の超音波モータ部3及び駆動機構4が、注入機器1に設けられる。また、伝達機構41はピニオンギア及びスクリューギアを有する構成には限られず、必要に応じて様々な構成を採用することができる。例えば、伝達機構41は、プーリー及びベルト、ラック及びピニオンギア、又は互いに組み合わされた複数のギアを有する構成とすることができる。さらに、超音波モータ部3のシャフト35は、駆動機構4に直接接続することもできる。また、超音波モータ部3は、一つのみ又は三つ以上の超音波モータ31を有する構成とすることもできる。
【0029】
[第1実施形態]
図5は第1実施形態に係る超音波モータ31の制御方法を説明するフローチャートである。上述したように、制御装置5は、駆動機構4を駆動する超音波モータ部3に設けられた超音波モータ31であって、ステータ32及びロータ33を有する超音波モータ31を制御する。そして、当該超音波モータ31のステータ32とロータ33の固着を解除するために、第1実施形態においては、超音波モータ31が正転と逆転を交互に繰り返すように制御される。つまり、制御装置5は、超音波モータ31、すなわち第1の超音波モータ311及び第2の超音波モータ312が正転と逆転を繰り返すように制御する。以下、フローチャートに従い第1実施形態の制御方法を説明する。
【0030】
注入機器1に電源がオンされると、制御装置5は超音波モータ部3に正転信号を送り、超音波モータ31を正転させるように制御する(S11)。この時、制御装置5は、固着が発生しているか否かの判断を行わない。その後、制御装置5は超音波モータ部3に逆転信号を送り、超音波モータ31を逆転させるように制御する(S12)。この正転又は逆転の時間は例えば10?50msecであり、正転と逆転との間には例えば10?50msec程度の停止時間が設けられる。そして、正転の時間、逆転の時間及び停止時間は、いずれも同じ長さに設定することができる。そのため、正転と逆転は、数十msec毎に繰り返されることになる。また、正転及び逆転を行った後には、次の正転及び逆転を行う前に例えば0.5秒?1秒程度の所定の停止時間を設けることができる。すなわち、超音波モータ31が正転した後に停止し、その後に逆転した後に再び停止するという動作を一動作とした場合に、次の動作(正転)を開始するまでの間に所定の停止時間を設けることができる。
【0031】
正転時及び逆転時には、予め定められた通常制御時と同じ高さの通常電圧が超音波モータ31に印加される。そして、正転及び逆転を複数回繰り返した後、シャフト35が回転すると、エンコーダ39は制御装置5にパルス信号を送信する。制御装置5がパルス信号を受信した場合(S13でYES)、固着が解除された又は固着が発生していないので、制御装置5は固着解除制御を終了する。その後、制御装置5は、使用者の操作に応じて注入プロトコルに従った通常制御を開始することになる。一方、固着が発生しており且つ固着解除制御によっても固着が解除されない場合は、シャフト35が回転しない。そのため、エンコーダ39は制御装置5にパルス信号を送信しない(S13でNO)。この場合、制御装置5は固着解除制御の開始から所定時間が経過したか否かを判断する(S14)。そして、制御装置5は、所定時間が経過していないと判断した場合(S14でNO)、固着が発生し且つ固着が解除されていないのでS11に戻り固着解除制御を継続する。この結果、制御装置5は、予め設定された時間内に、超音波モータ31が正転と逆転を複数回繰り返すように制御することになる。ここで、所定時間は予め設定されており、例えば5秒?60秒の範囲である。一方、制御装置5は、所定時間が経過していると判断した場合(S14でYES)、ディスプレイ53にエラーメッセージを表示し(S15)、固着解除制御を終了する。この場合、制御装置5は、使用者が固着を解除した後に通常制御を開始することになる。
【0032】
第1施形態によれば、所定の時間内に正転と逆転を繰り返し行うことにより、超音波モータ31のステータ32及びロータ33に正転方向及び逆転方向からの力を繰り返し加えることができる。これにより、ステータ32及びロータ33の固着を効果的に解除できる。また、制御装置5は、固着が発生しているか否かの判断を行う前に又は当該判断を行わずに、超音波モータ31の固着解除制御を行う。このように、制御装置5が自動で固着解除制御を行うため、固着の発生後に使用者が固着を解除する必要がない。さらに、自動で固着が解除された場合は、制御装置5が固着を判断する工程を省略することができる。
【0033】
[第2実施形態]
図6は第2実施形態に係る注入機器1のブロック図であり、図7は第2実施形態に係る超音波モータ31の制御方法を説明するフローチャートである。第1実施形態とは異なり、第2実施形態の制御装置5は、予め設定された通常電圧よりも高い電圧が超音波モータ31に印加された状態で、超音波モータ31が正転と逆転を繰り返すように制御する。そのため、第2実施形態の注入機器1は、昇圧回路55をさらに備えている。なお、第1実施形態と同じ構成については、同じ参照符号を付すものとし、その説明は省略する。
【0034】
図6に示すように第2実施形態の注入機器1の制御装置5には、超音波モータ部3に電気的に接続された昇圧回路55が設けられている。そして、制御装置5は、駆動回路52による駆動と、昇圧回路55による駆動とを切り替えることができる。ここで、回路の切り替えは、予め制御装置5に記憶されたプログラムに従って行われる。または、使用者の操作に従って回路を切り替えられる構成としてもよい。以下、図7のフローチャートに従い第2実施形態の制御方法を説明する。
【0035】
注入機器1に電源がオンされると、制御装置5は駆動回路52による駆動から昇圧回路55による駆動へと切り替え、超音波モータ31に印加する電圧を昇圧する(S21)。そして、超音波モータ部3に正転信号を送り、超音波モータ31を正転させるように制御する(S22)。その後、制御装置5は超音波モータ部3に逆転信号を送り、超音波モータ31を逆転させるように制御する(S23)。正転及び逆転を複数回繰り返した後、シャフト35が回転すると、エンコーダ39は制御装置5にパルス信号を送信する。制御装置5がパルス信号を受信した場合(S24でYES)、固着が解除された又は固着が発生していないので、固着解除制御を終了する。その後、制御装置5は、駆動回路52による駆動へと切り替え(降圧し)、使用者の操作に応じて通常制御を開始することになる。
【0036】
固着が発生しており且つ固着解除制御によっても固着が解除されない場合は、シャフト35が回転しない。そのため、エンコーダ39は制御装置5にパルス信号を送信しない(S24でNO)。この場合、制御装置5は固着解除制御の開始から所定時間が経過したか否かを判断する(S25)。そして、制御装置5は、所定時間が経過していないと判断した場合(S25でNO)、固着が発生し且つ固着が解除されていないのでS22に戻り固着解除制御を継続する。一方、制御装置5は、所定時間が経過していると判断した場合(S25でYES)、ディスプレイ53にエラーメッセージを表示し(S26)、固着解除制御を終了する。この場合、制御装置5は、使用者が固着を解除した後に通常制御を開始することになる。
【0037】
第2施形態においても、所定の時間内に正転と逆転を繰り返し行うことにより、超音波モータ31のステータ32及びロータ33に正転方向及び逆転方向からの力を繰り返し加えることができる。これにより、ステータ32及びロータ33の固着を効果的に解除することができる。また、自動で固着が解除された場合は、固着の発生後に使用者が固着を解除する必要がなく、制御装置5が固着を判断する工程も省略できる。その上、高電圧を印加することにより超音波モータ31の駆動トルクを大きくすることができる。これにより、ステータ32及びロータ33に第1実施形態よりも強い力を加えることができるので、固着をより効果的に解除できる。
【0038】
[第3実施形態]
図8は第3実施形態に係る超音波モータ31の制御方法を説明するフローチャートである。第2実施形態とは異なり、第3実施形態の制御装置5は、予め設定された通常電圧が印加された状態で超音波モータ31が正転と逆転を繰り返した後に、通常電圧よりも高い電圧が超音波モータ31に印加された状態で、超音波モータ31が正転と逆転を繰り返すように制御する。そのため、第3実施形態の注入機器1は、第2実施形態と同様に昇圧回路55を備えている。以下、フローチャートに従い第3実施形態の制御方法を説明する。
【0039】
注入機器1に電源がオンされると、制御装置5は超音波モータ部3に正転信号を送り、超音波モータ31を正転させるように制御する(S31)。その後、制御装置5は超音波モータ部3に逆転信号を送り、超音波モータ31を逆転させるように制御する(S32)。この最初の正転及び逆転時には、通常制御時と同じ予め設定された高さの通常電圧が超音波モータ31に印加される。正転及び逆転を複数回繰り返した後、シャフト35が回転すると、エンコーダ39は制御装置5にパルス信号を送信する。制御装置5がパルス信号を受信した場合(S33でYES)、固着が解除された又は固着が発生していないので、固着解除制御を終了する。その後、制御装置5は、使用者の操作に応じて注入プロトコルに従った通常制御を開始することになる。
【0040】
固着が発生しており且つ固着解除制御によっても固着が解除されない場合は、シャフト35が回転しない。そのため、エンコーダ39は制御装置5にパルス信号を送信しない(S33でNO)。この場合、制御装置5は固着解除制御の開始から所定時間が経過したか否かを判断する(S34)。そして、制御装置5は、所定時間が経過していないと判断した場合(S34でNO)、固着が発生し且つ固着が解除されていないのでS31へ戻り固着解除制御を継続する。一方、制御装置5は、所定時間が経過していると判断した場合(S34でYES)、駆動回路52による駆動から昇圧回路55による駆動へと切り替え、二回目の正転及び逆転を昇圧した状態で行うために、超音波モータ31に印加される電圧を昇圧する(S35)。ここで、所定時間は予め設定されており、例えば5秒?60秒の範囲である。そして、制御装置5は、超音波モータ部3に正転信号を送り、超音波モータ31を正転させるように制御する(S36)。その後、制御装置5は超音波モータ部3に逆転信号を送り、超音波モータ31を逆転させるように制御する(S37)。
【0041】
二回目の正転及び逆転を複数回繰り返した後、シャフト35が回転すると、エンコーダ39は制御装置5にパルス信号を送信する。制御装置5がパルス信号を受信した場合(S38でYES)、固着が解除されたので、固着解除制御を終了する。その後、制御装置5は、駆動回路52による駆動へと切り替え(降圧し)、使用者の操作に応じて通常制御を開始することになる。一方、固着が解除されない場合はシャフト35が回転しないため、エンコーダ39は制御装置5にパルス信号を送信しない(S38でNO)。この場合、制御装置5は固着解除制御の開始から所定時間が経過したか否かを判断する(S39)。そして、制御装置5は、所定時間が経過していないと判断した場合(S39でNO)、固着が解除されていないのでS36に戻り固着解除制御を継続する。ここでの所定時間も予め設定されており、例えば5秒?60秒の範囲である。一方、制御装置5は、所定時間が経過していると判断した場合(S39でYES)、ディスプレイ53にエラーメッセージを表示し(S40)、固着解除制御を終了する。この場合、制御装置5は、使用者が固着を解除した後に通常制御を開始することになる。
【0042】
第3施形態においても、所定の時間内に正転と逆転を繰り返し行うことにより、超音波モータ31のステータ32及びロータ33に正転方向及び逆転方向からの力を繰り返し加えることができる。これにより、ステータ32及びロータ33の固着を効果的に解除することができる。また、自動で固着が解除された場合は、固着の発生後に使用者が固着を解除する必要がなく、制御装置5が固着を判断する工程も省略できる。その上、固着が解除できない場合には、高電圧を印加した状態で二回目の正転及び逆転を繰り返す。これにより、ステータ32及びロータ33に第1実施形態よりも強い力を加えることができるので、固着をより効果的に解除できる。
【0043】
なお、第2実施形態及び第3実施形態においては、昇圧回路55が制御装置5に設けられていた。しかし、昇圧回路55は、コンソール6に設けることもできる。また、昇圧回路55は、注入ヘッド2に設けることもできる。
【0044】
[第4実施形態]
図9は第4実施形態の注入機器1のブロック図である。第4実施形態の注入機器1も、超音波モータ31を有する超音波モータ部3と、超音波モータ部3によって駆動される駆動機構4と、超音波モータ部3を制御する制御装置5とを備える。第4実施形態の駆動機構4は、上記各実施形態とは異なり、蠕動フィンガ機構415を備え、蠕動フィンガ機構415が超音波モータ31のシャフト35に接続された伝達機構42に接続されている。なお、上記各実施形態と同じ構成については、同じ参照符号を付すものとし、その説明は省略する。
【0045】
第4実施形態においては、制御装置5がフレーム21内に配置されている。また、制御装置5は駆動回路52を有し、駆動信号を送信するために超音波モータ部3と電気的に接続されている。そして、フレーム21がチューブホルダー96を有し、チューブホルダー96は薬液が流れるチューブ95を保持している。さらに、駆動機構4が、超音波モータ部3からの回転を伝達する伝達機構42と、伝達機構42に接続された蠕動フィンガ機構415とを有する。この伝達機構42は、プーリー及びベルトを有している。そのため、超音波モータ部3のシャフト35の回転は、プーリー及びベルトを介して蠕動フィンガ機構415に伝達される。そして、シャフト35が正転すると、伝達された回転に従って蠕動フィンガ機構415が正転する。ここでチューブ95は、高弾性の塩化ビニールなどの可撓性材料から構成されているため、押圧されても復元する性質を有する。そのため、蠕動フィンガ機構415が正転するとチューブ95が順次押圧され、チューブ95内の薬液が押し出される。そして、チューブ95の先端に接続されるカテーテル等を介して患者の体内に注入される。なお、第4実施形態においても、薬液を押し出す場合の超音波モータ31のロータ33の回転を正転といい、正転方向と逆方向のロータ33の回転を逆転という。
【0046】
第4施形態においても、上記各実施形態の固着解除制御を行うことができる。そのため、所定の時間内に正転と逆転を繰り返し行うことにより、超音波モータ31のステータ32及びロータ33に正転方向及び逆転方向からの力を繰り返し加えることができる。これにより、ステータ32及びロータ33の固着を効果的に解除できる。また、制御装置5が自動で固着解除制御を行うため、固着の発生後に使用者が固着を解除する必要がない。さらに、自動で固着が解除された場合は、制御装置5が固着を判断する工程を省略することができる。
【0047】
以上、実施例を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、各実施形態及び変形例は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0048】
例えば、上記各実施形態の固着解除制御では、正転後に逆転を行っているが、逆転後に正転を行ってもよい。この場合であっても、超音波モータ31のステータ32及びロータ33に正転方向及び逆転方向からの力を繰り返し加えることができる。これにより、ステータ32及びロータ33の固着を効果的に解除することができる。また、注入機器1に電源が投入されたタイミング以外のタイミングで固着解除制御を行うこともできる。例えば、超音波モータ部3に駆動信号を送信するタイミングで固着解除制御を行うこともできる。この場合、超音波モータ31の駆動(正転又は逆転)を開始する前に固着解除制御が行われる。さらに、使用者による操作に応じて固着解除制御を行うこともできる。この場合、注入ヘッド2の操作部に固着解除ボタンを設ける構成、又はタッチパネルに固着解除ボタンを表示させる構成を採用できる。また、アクチュエータ413を後進させるとき、すなわち超音波モータ部3に逆転信号を送るタイミングで固着解除制御を行うこともできる。
【0049】
また、上記各実施形態の固着解除制御では、所定時間が経過したか否かによってエラーメッセージを表示するか否かを判断している。しかし、超音波モータ31の正転と逆転の回数が所定回数に到達したか否かによってエラーメッセージを表示するか否かを判断することもできる。さらに、本発明の注入機器1は、外部電源に接続される構成には限られず、無線電源を利用する構成、又はバッテリー等の内部電源を備える構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1:注入機器、3:超音波モータ部、4:駆動機構、5:制御装置、31:超音波モータ、32:ステータ、33:ロータ、35:シャフト、41:伝達機構、42:伝達機構、411:ボールネジ軸、412:ボールネジナット、413:アクチュエータ、415:蠕動フィンガ機構
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を注入するための注入機器であって、
超音波モータを有する超音波モータ部と、
前記超音波モータが正転するときに薬液を送り出すように、前記超音波モータ部によって駆動される駆動機構と、
前記超音波モータ部の前記超音波モータを制御する制御装置とを備え、
前記超音波モータは、ステータ及びロータを有し、
前記制御装置は、前記ステータと前記ロータの固着を解除するために、前記超音波モータが予め設定された時間内に正転と逆転を交互に複数回繰り返すように制御すると共に、当該正転と逆転との間に前記超音波モータが所定の時間にわたって停止するように制御し、且つ前記複数回繰り返される正転と逆転において、正転と逆転を含む先行する動作を行った後であり且つ前記先行する動作に続いて正転と逆転を含む後続する動作を行う前に、所定の停止時間を設けるように前記超音波モータを制御することを特徴とする注入機器。
【請求項2】
前記制御装置は、予め設定された通常電圧よりも高い電圧が前記超音波モータに印加された状態で、前記超音波モータが正転と逆転を繰り返すように制御することを特徴とする請求項1に記載の注入機器。
【請求項3】
前記制御装置は、予め設定された通常電圧が印加された状態で前記超音波モータが正転と逆転を繰り返した後に、前記通常電圧よりも高い電圧が前記超音波モータに印加された状態で、前記超音波モータが正転と逆転を繰り返すように制御することを特徴とする請求項1に記載の注入機器。
【請求項4】
前記制御装置は、前記注入機器の電源投入後に、前記超音波モータが正転と逆転を繰り返すように制御することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の注入機器。
【請求項5】
前記超音波モータ部は、前記超音波モータを複数有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の注入機器。
【請求項6】
前記駆動機構は、前記超音波モータ部のシャフトに接続された伝達機構と、前記伝達機構に接続されたボールネジ軸と、前記ボールネジ軸に取り付けられたボールネジナットと、前記ボールネジナットに接続されたアクチュエータとを有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の注入機器。
【請求項7】
前記駆動機構は、前記超音波モータのシャフトに接続された伝達機構と、前記伝達機構に接続された蠕動フィンガ機構とを有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の注入機器。
【請求項8】
薬液を注入するための注入機器に使用される駆動機構を駆動する超音波モータ部に設けられると共に、ステータ及びロータを有する超音波モータの制御方法であって、
前記ステータと前記ロータの固着を解除するために、前記超音波モータが予め設定された時間内に正転と逆転を交互に複数回繰り返し、
正転と逆転との間に、前記超音波モータが所定の時間にわたって停止し、
前記複数回繰り返される正転と逆転において、正転及び逆転を含む先行する動作を行った後であって且つ前記先の動作に続いて正転と逆転を含む後続する動作を行う前に、所定の停止時間を設けるように、前記超音波モータを制御することを特徴とする超音波モータの制御方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2018-01-17 
結審通知日 2018-01-19 
審決日 2018-01-31 
出願番号 特願2011-132031(P2011-132031)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (H02N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 服部 俊樹  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 永田 和彦
中川 真一
登録日 2012-01-20 
登録番号 特許第4907738号(P4907738)
発明の名称 注入機器及び超音波モータの制御方法  
代理人 岡部 讓  
代理人 越智 隆夫  
代理人 高橋 誠一郎  
代理人 松井 孝夫  
代理人 岡部 讓  
代理人 内田 浩輔  
代理人 内田 浩輔  
代理人 内田 浩輔  
代理人 越智 隆夫  
代理人 高橋 誠一郎  
代理人 越智 隆夫  
代理人 岡部 讓  
代理人 松井 孝夫  
代理人 高橋 誠一郎  
代理人 松井 孝夫  

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