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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A23F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A23F
管理番号 1337322
審判番号 不服2016-13315  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-06 
確定日 2018-02-09 
事件の表示 特願2012- 29093「ケルセチン配糖体配合容器詰め飲料」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 9月27日出願公開、特開2012-183063〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年2月14日(優先権主張平成23年2月14日)の出願であって、平成27年11月19日付けの拒絶理由通知に対して、平成28年1月21日付けで意見書及び手続補正書の提出がなされ、平成28年6月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成28年9月6日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成28年9月6日の手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、補正前の請求項1に、
「【請求項1】
pHが5.6?6.4であり、カテキンを100?1000ppm、アスコルビン酸を100?400ppm含む、ケルセチン配糖体と茶葉抽出液を配合した容器詰め飲料。」
とあるのを、
「【請求項1】
pHが5.6?6.0である、ケルセチン配糖体と茶葉抽出液を配合した容器詰め飲料であって、
カテキンを100?1000ppm、アスコルビン酸を100?400ppm含み、ケルセチン配合量がケルセチン換算で100?500ppmである、上記飲料。」
とする補正を含むものである(当審注:下線は補正箇所を示す。)

2 補正の目的
上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明の発明特定事項である「pHが5.6?6.4」について、「pHが5.6?6.0」とさらに限定するとともに、補正前の「容器詰め飲料」の「ケルセチン配合量」について、特定されていなかったものを「ケルセチン配合量がケルセチン換算で100?500ppmである」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3 独立特許要件
3-1 本願補正発明
本願補正発明は、本件補正後の明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、平成28年9月6日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(上記「第2 1 補正の内容」の補正後の請求項1参照。)により特定されたとおりのものと認める。

3-2 引用例の記載事項
(1) 原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願日(優先日)前に頒布された刊行物である特許第4340323号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。下線は当審において付与した。

(1a)「【請求項1】
ルチン濃度が70?1100 ppmの範囲であり、且つ、(A)ルチンと(B)ケルセチンの重量比率[(A)/(B)]が3.7?58.0であることを特徴とする、容器詰高濃度ルチン含有飲料。
【請求項2】
前記飲料が、ソバ抽出液、茶抽出液又は柑橘類果汁を含む、請求項1に記載の飲料。」

(1b)「【技術分野】
【0001】
本発明は、ルチンを高濃度で含む容器詰飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
ルチン(ルトサイド、ケルセチン-3-ルチノシドとも称する)はケルセチンにルチノースが結合した配糖体である。その生理活性には、毛細血管収縮作用、毛細血管の強化作用を含み、脳出血などの予防に効果があると言われている。また、ルチンには抗酸化能があるため、活性酸素を除去し血液を浄化する作用を有する。さらに、ヒスタミンの遊離を抑える抗アレルギー作用があるといわれている。
【0003】
ルチンは天然に広く分布しており、マメ科のエンジュの花蕾、タデ科のソバ等に多く含まれている。従来、ルチンを含む食品としてはソバ茶があり、健康性と嗜好性から幅広く飲用されている(例えば、特許文献1)。このようなルチンの有益な生理効果を発現させるためには、一日当り100mgを摂取することが必要であり(非特許文献1を参照)、ルチンを高濃度配合する技術の開発が望まれていた。
【0004】
一方、従来の市販のソバ茶に含まれるルチンは6 mg/100 g(60 ppm)程度であった。また、高濃度ルチンを配合した飲料は一般的にエグ味が醸し出される。過度のエグ味は一般的嗜好には好まれず、飲料として適さない。」

(1c)「【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明者らが鋭意研究した結果、飲料中に含まれる原料由来のケルセチンが沈殿の発生に関係していることが見出された。ケルセチンはソバに含まれており、ルチン濃度を高めるためにソバ抽出液の濃度を上昇させた結果、ルチンとともにケルセチンの濃度も上昇し、これによって沈殿が発生したものと考えられた。しかしながら、本発明者らは、高濃度の抽出液であっても、飲料中のルチンとケルセチンとの比率をある範囲に調整することにより、沈殿の発生が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。」

(1d)「【0014】
『ケルセチン』は、ケッパー、リンゴ、お茶(チャノキ)、タマネギ、ブドウ、ブロッコリー、モロヘイヤ、ラズベリー、コケモモ、クランベリー、オプンティア、その他、葉菜類、柑橘類、蜂蜜等に多く含まれ、ソバにも含まれている。本発明の飲料に含まれるケルセチンは、原料由来のものである。」

(1e)「【0015】
本発明の飲料において、高濃度のルチンを含有するとは、その飲料本来のルチン濃度より高濃度のルチンを含有することを意味する。具体的には、例えばソバ茶では70 ppm以上のルチンを含むことを意図するが、これに限定されない。」

(1f)「【0019】
本発明において「飲料」とは、原料となる植物を抽出して得た抽出液又は搾汁して得た搾汁液を、加工して調製した飲料用の生産物を意味する。
【0020】
本発明で用いられる原料は、天然にルチンを含有する植物であることが好ましく、特に、ソバの実や全草、又は、茶樹(Camellia sinensis var. sinensisやCamellia sinensis var. assamica、またはこれらの雑種)の葉や茎から製造された茶葉(例えば、煎茶、玉露、かぶせ茶、番茶、釜炒り緑茶等の不発酵茶、ジャスミン茶等の不発酵茶に花の香りを移した花茶、白茶等の弱発酵茶、烏龍茶等の半発酵茶、紅茶等の発酵茶等)、又は、柑橘類などの、ルチン含有量が多い植物であることが好ましく、特にダッタンそばが好ましいが、これらに限定されない。
【0021】
さらにまた、蜂蜜、アズキ、トマト、イチジク、サクランボ、アンズ、アスパラガス、ジャガイモなにもルチンが含まれており、これらを原料に用いることもできる。
【0022】
さらにこの他、玄米、大麦、小麦、ハト麦、とうもろこし、アマランサス、キヌア、ナンバンキビ、モズク、甘草、ハス、シソ、マツ、オオバコ、ローズマリー、桑、ギムネマ、ケツメイシ、大豆、昆布、霊芝、熊笹、柿、ゴマ、紅花、アシタバ、陳皮、グァバ、アロエ、ギムネマ、杜仲、ドクダミ、チコリー、月見草、ビワ等の各種植物の葉、茎、根等を併用してもよい。」

(1g)「【実施例】
【0035】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
ソバ茶を用い、ルチン濃度とルチン/ケルセチン重量比を変動させ、沈殿の発生の有無を観察した。
【0036】
試験1?16のそれぞれについて、殻を取り除いたダッタンそばの実をその10倍程度の95?98℃の熱水に90分間浸漬し、抽出液を得た。抽出液を25℃以下に冷却した。冷却した抽出液を、9200rpmで6L/分、遠心分離機(ウェストファリア セパレーター株式会社 SA1)により濾過した。その後、住友スリーエム株式会社キュノポリプロクリーン1μカートリッジフィルターにより濾過を行った。各試験例において用いたダッタンそばの実の量は表1に示したとおりである。
【0037】
試験3を除く各試験例について、抽出液に水溶性ルチン(東洋精糖製αGルチンPS-D)を添加した。各試験例における水溶性ルチンの添加量は表1に示したとおりである。αGルチンPS-Dは、50倍程度の水に溶解して添加した。続いて、各試験例にビタミンCを300 ppm添加し、殺菌後のpHが5.7、6.0、又は6.3になるように重炭酸ナトリウムで調整し、定量して調合液を作成した。
【0038】
この調合液を135℃、60秒間加熱して殺菌した。次いで、25℃に冷却し、PETボトルに無菌充填した。得られた充填後の飲料のルチン濃度及びケルセチン濃度を測定した。測定は以下の条件で行った。」

(1h)「【0045】
各試験例のルチン濃度及びケルセチン濃度を表1に示した。なお、表1に示したルチン濃度は、水溶性ルチン添加後の濃度である。即ち、原料由来のルチンと添加した水溶性ルチンを含めた濃度である。
充填後の飲料を静置し、沈殿の発生の有無を観察した。また、飲料の香味を調べた。その結果を表1に示す。
【表1】



上記記載事項(1a)?(1h)を総合し、試験例8及び9に着目すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「pHが5.7?6.0である、ルチン濃度が160 ppmであり、且つ、ケルセチン濃度が17ppmであり、ビタミンCを300ppm添加した、PETボトル入ソバ茶。」

(2) 原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願日(優先日)前に頒布された刊行物である「菅野尚子外3名、’PETボトル入緑茶飲料の有効成分及び品質保持に関する調査研究’,静岡県環境衛生科学研究所報告,日本,2002年,No.44,p.57-61」(以下「引用例2」という。)には、
次の事項が記載されている。

(2a)「PETボトルや缶入りの緑茶飲料は,その手軽さから,これまであまりお茶を飲んでいなかった若い人たちにも好まれており,さらには消費者の健康志向や,一昨年来の新商品の発売により,景気低迷の中,売上げを大きく伸ばしている.ところで,これら緑茶飲料にはカテキン類等の有効成分が,茶葉を煎じて飲む緑茶と比較し,どの程度含まれているのか消費者にとって気になるところであり,また,価格や廃棄物の問題等も考え合わせると,状況に合わせた利用の仕方が必要であると思われる.」(57ページ左欄4?13行)

(2b)「



(2c)「



(2d)「



(3) 原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願日(優先日)前に頒布された刊行物である「米谷力外1名、’ペットボトル入り煎茶飲料の貯蔵による成分変化について’、奈良農技セ研報,2003年,第34号,p.66?67」(以下「引用例3」という。)には、次の事項が記載されている。

(3a)「近年、緑茶成分の機能性が確認されるとともに、簡便性から緑茶缶詰やペットボトル入り飲料としての消費が増加している。・・・
緑茶の主要カテキン類である・・・第3表に示した。」(66ページ左欄1行?右欄11行)」

(3b)「



(3c)「



(3d)「



3-3 対比・判断
本願補正発明と引用発明とを対比すると、各文言の意味、機能又は作用からみて、引用発明の「PETボトル入ソバ茶」、「ビタミンC」及び「ルチン」は、それぞれ本願補正発明の「容器詰め飲料」、「アスコルビン酸」及び「ケルセチン配糖体」に相当する。
引用発明の「pHが5.7?6.0である」ことは、本願補正発明の「pHが5.6?6.0である」ことに相当する。
引用発明の「ルチン濃度が160 ppmであ」ることについて、本願明細書の換算式(【0026】の「ケルセチン配糖体量÷464)×302」参照。)に倣って、ケルセチン配合量をケルセチン換算で求めると、(160ppm÷464)×302=104ppmとなる。そうすると、引用発明の「ルチン濃度が160 ppmであ」ることは、本願補正発明の「ケルセチン配合量がケルセチン換算で100?500ppmである」ことに相当する。
引用発明の「ビタミンCを300ppm添加した」ことは、本願補正発明の「アスコルビン酸を100?400ppm含」むことに相当する。

したがって、本願補正発明は、引用発明と以下の一致点で一致し、相違点で相違する。
(一致点)
「pHが5.6?6.0である、ケルセチン配糖体を配合した容器詰め飲料であって、
アスコルビン酸を100?400ppm含み、ケルセチン配合量がケルセチン換算で100?500ppmである、上記飲料。」

(相違点)
容器詰め飲料について、本願補正発明は、「茶葉抽出液を配合した」ものであって、「カテキンを100?1000ppm」含んでいるのに対して、引用発明は、そのような特定はなされていない点。

そこで、上記相違点について検討する。

(相違点の判断)
引用発明は、茶の原料としてルチンを含有するソバの実を用い、「ルチン濃度が160 ppmであ」る「ソバ茶」とするものである(上記(1f)、(1g))。
しかしながら、引用例1には、飲料は 「原料となる植物を抽出して得た抽出液」(上記(1f))であればよく、飲料に用いる原料としてソバの実以外に、「天然にルチンを含有する植物であることが好ましく、・・・茶樹(Camellia sinensis var. sinensisやCamellia sinensis var. assamica、またはこれらの雑種)の葉や茎から製造された茶葉(例えば、煎茶、玉露、かぶせ茶、番茶、釜炒り緑茶等の不発酵茶、ジャスミン茶等の不発酵茶に花の香りを移した花茶、白茶等の弱発酵茶、烏龍茶等の半発酵茶、紅茶等の発酵茶等)、又は、柑橘類などの、ルチン含有量が多い植物であることが好ましく、・・・」(上記(1f))と記載されるように、「茶葉」を用いることも想定されているので、「茶葉抽出液」を用いることが示唆されている。
そうすると、「ルチン濃度が160 ppmであ」る引用発明において、「ソバ茶」であるものを、茶葉抽出液を用いた「茶葉抽出液を配合した」飲料とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
また、「茶葉抽出液」が「カテキン」を含むことは、出願日(優先日)前における周知の事項であり(上記(2b)、(2c)、(3a)、(3c))、カテキンの含有量についても、市販のPETボトル入緑茶飲料のカテキン含有量が、例えば平均で209?220μg/ml(209?220ppm)程度であること(上記(2b)の合計値参照。)や26.2mg/100ml(262ppm)であること(上記(3c)の合計値参照。)を勘案すると、上記相違点に係る本願補正発明の程度とすることも、当業者が適宜なし得た事項である。
そして、本願補正発明は、上記相違点に係る構成を採用することにより、格別な効果を奏しているとは、本願明細書の記載からは認めることはできない。

なお、請求人は、「引例1に記載の引用発明において、ケルセチン配合量がケルセチン換算で100?500ppmであるのは試験11?14の4つのみです。しかし、試験11?14に係る飲料はいずれもpHが6.3であり、pHが本願発明(5.6?6.0)よりも中性側に調整されております。つまり、引例1には、飲料のpHを『5.6?6.0』に調整し、しかも、ケルセチン配合量をケルセチン換算で『100?500ppm』とすることは一切記載されておりません。」(審判請求書「(2-2)本願発明の進歩性について」の項)と主張している。
そこで、この点について検討する。
本願明細書には、ケルセチン配合量のケルセチン換算について、以下の記載がなされている。
「【0026】
・・・本発明で飲料中のケルセチンの配合量をいうときは、特に記載した場合を除き、ケルセチン配糖体の配合量を合計したものをQG1として換算し、QG1が加水分解されて生じるケルセチンの量を指す。QG1が加水分解されて生じるケルセチン量は、ケルセチンの分子量302、QG1の分子量464を用いて、(ケルセチン配糖体量÷464)×302で求めることができる。」
また、ケルセチン配糖体量については、以下の記載がなされている。
「【0027】
・・・ケルセチン配糖体は、小腸でケルセチンに加水分解されることから、QG1からQG7は生理活性的に同等であると考られ、またケルセチンの3位配糖体は糖鎖の長さに関らず、すべて350nmに極大吸収を持ち、その吸光度はアグリコン部分であるケルセチンに依拠する。したがって、分子量は異なるが、モル吸光度ではQG1?QG7は等しくなると考えられ、QG1換算で関与成分を定量する。具体的には、分析試料を、標準物質と同1条件でHPLCに供し、得られたチャートにおいて、標準物質の溶出保持時間と一致するピークを特定する。そして、QG1のピークより前に検出されるケルセチン配糖体QG2?QG7のピークを特定し(もしあれば)、各々のピーク面積の総計から、標準物質を用いて作成した検量線を用いて、分析試料中のケルセチン配糖体含量を算出する。」
「【0042】
・・・
なお、本実施例においては、ケルセチン配糖体量の測定は、下記の方法で行った。
【0043】
1. 分析方法(機器および試薬、操作方法)
1-1.試薬
・アセトニトリル:高速液体クロマトグラフ用 純度99.8%(ナカライテスク株式会社製)
・水:高速液体クロマトグラフ用 不純物0.001%以下(ナカライテスク株式会社製)
・トリフルオロ酢酸:純度99%(ナカライテスク株式会社製)
・イソクエルシトリン(Quercetin 3-O- glucoside: 以下QG1とする): SSX1327S、純度93.8% (フナコシ株式会社製)
・エタノール:高速液体クロマトグラフ用 純度99.8%(ナカライテスク株式会社製)
・ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide: 以下DMSOとする):純度99.0%(ナカライテスク株式会社製)。」
「【0046】
1-4.検量線の作成
標準物質であるQuercetin 3-O- glucoside (フナコシ株式会社製:SSX 1327S、純度93.8%)を1.0 mg正確に秤量し、5 mlメスフラスコ中で0.5 mlのジメチルスルホキシド(DMSO:ナカライテスク株式会社製 純度99.0%)に溶解し、20%エタノール(ナカライテスク株式会社製 純度99.8% 高速液体クロマトグラフ用特製試薬)/水により5 mlにフィルアップする。この200 μg/mlの溶液を20%エタノール/水で順次希釈し、10、25、50、100 μg/mlの溶液を作成する。各濃度の溶液を10 μl、 HPLCに供する。このときに検出されるピークの溶出保持時間は約14.5分である。このときの紫外部吸光度350 nmにおける面積と濃度により検量線を作成する。
【0047】
原点を通る近似直線を計算し、これを用いてQG1からQG7までの濃度を算出し、合算した値に標準物質の純度(93.8%)をかけることで、ケルセチン配糖体量を算出する。」
以上の記載事項によれば、ケルセチン換算によるケルセチン配合量は、QG1からQG7のケルセチン配糖体を合計したケルセチン配糖体量を、(ケルセチン配糖体量÷464)×302として求めるものと認められる。
そうすると、引用例1の試験例8及び9について、本願明細書【0026】のケルセチンの配合量を(ケルセチン配糖体量÷464)×302に倣って、計算すると、上記「3-3 対比・判断」で述べたとおり、少なくとも(160ppm÷464)×302=104ppmとなるので、上記請求人の主張は採用できない。
さらに、請求人は、「特にソバ茶や麦茶などは、カフェインを含まない飲料として消費者に知られており、一般に人気がある飲料であります。したがいまして、引例1のソバ茶をベースとして、飲料業界の技術者が、補正後の本願発明(茶葉抽出液が配合され、カテキン類を100?1000ppm含む飲料)を開発することは通常考えられません。」(審判請求書「(2-2)本願発明の進歩性について」の項)と主張している。
しかしながら、この点については、(相違点の判断)において、既に述べたとおりであり、引用例1には、「飲料」が「茶葉抽出液」を含むものも想定されている。
したがって、上記請求人の主張は採用することができない。

よって、本願補正発明は、引用発明及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3-4 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成28年1月21日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(上記「第2 1 補正の内容」の補正前の請求項1参照。)により特定されるとおりのものと認める。

2 引用例
原査定の拒絶理由に引用された引用例、その記載事項及び引用発明は、前記「第2 3 3-2 引用例の記載事項」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明から、「pHが5.6?6.0」とされていたものを「pHが5.6?6.4」とし、「ケルセチン配合量がケルセチン換算で100?500ppmである」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含むものに相当する本願補正発明が、前記「第2 3 3-3 対比・判断」に記載したとおり、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-12-13 
結審通知日 2017-12-14 
審決日 2017-12-26 
出願番号 特願2012-29093(P2012-29093)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A23F)
P 1 8・ 575- Z (A23F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 木原 啓一郎上條 肇植原 克典  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 窪田 治彦
山崎 勝司
発明の名称 ケルセチン配糖体配合容器詰め飲料  
代理人 中村 充利  
代理人 中西 基晴  
代理人 小野 新次郎  
代理人 山本 修  
代理人 宮前 徹  
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