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審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1337358 |
審判番号 | 不服2017-8053 |
総通号数 | 220 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-06-05 |
確定日 | 2018-02-08 |
事件の表示 | 特願2015-131028「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 9月24日出願公開、特開2015-165971〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年10月30日に出願した特願2012-239104号の一部を平成27年6月30日に新たな特許出願(特願2015-131028号)としたものであって、平成28年7月13日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年9月26日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年2月28日付け(発送日:平成29年3月7日)で拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年6月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、平成29年9月5日に上申書が提出されたものである。 第2 平成29年6月5日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成29年6月5日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の概要 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1?2の記載を含む補正であり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成28年9月26日付けの手続補正書における、 「【請求項1】 可変表示を行い、当該可変表示の表示結果として特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機であって、 遊技媒体が所定領域を通過したことにもとづいて、普通識別情報の可変表示を行い、当該普通識別情報の可変表示の表示結果として所定表示結果が導出表示されたときに、可変入賞装置を遊技媒体が入賞しやすい入賞可能状態に制御する可変入賞装置制御手段と、 可変表示が行われているときに、当該可変表示の表示結果が前記特定表示結果になることを示唆する示唆演出を実行する示唆演出実行手段と、 前記可変入賞装置が前記入賞可能状態に制御されるか否かを報知するための所定演出を実行する所定演出実行手段と、 前記示唆演出が実行される可変表示中に前記所定演出の実行を制限する所定演出制限手段とを備え、 前記可変入賞装置制御手段は、前記所定演出の実行後に発射された遊技媒体が前記可変入賞装置へ入賞可能となるように当該可変入賞装置を制御し、 前記所定演出実行手段は、前記所定表示結果の抽選または前記特定表示結果の抽選を契機として前記所定演出を実行する、遊技機。」 から、平成29年6月5日付けの手続補正書における、 「【請求項1】 可変表示を行い、当該可変表示の表示結果として特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機であって、 遊技媒体が所定領域を通過したことにもとづいて、普通識別情報の可変表示を行い、当該普通識別情報の可変表示の表示結果として所定表示結果が導出表示されたときに、可変入賞装置を遊技媒体が入賞しやすい入賞可能状態に制御する可変入賞装置制御手段と、 可変表示が行われているときに、当該可変表示の表示結果が前記特定表示結果になることを示唆する示唆演出を実行する示唆演出実行手段と、 前記可変入賞装置が前記入賞可能状態に制御されるか否かを報知するための所定演出を実行する所定演出実行手段と、 前記示唆演出が実行される可変表示中に前記所定演出の実行を制限する所定演出制限手段とを備え、 前記可変入賞装置制御手段は、前記所定演出の実行後に発射された遊技媒体が前記可変入賞装置へ入賞可能となるように当該可変入賞装置を制御し、 前記所定演出実行手段は、前記所定表示結果の抽選および前記特定表示結果の抽選を契機として前記所定演出を実行する、遊技機。」 に補正された(下線部は補正箇所を示す。)。 2 補正の適否 本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記所定演出実行手段は、前記所定表示結果の抽選または前記特定表示結果の抽選を契機として前記所定演出を実行する」に関して、所定演出を実行する契機を、「前記所定表示結果の抽選または前記特定表示結果の抽選」から「前記所定表示結果の抽選および前記特定表示結果の抽選」に限定したものである。 また、補正後の請求項1には、「所定演出」に関して、「前記所定演出実行手段は、前記所定表示結果の抽選および前記特定表示結果の抽選を契機として前記所定演出を実行する」と特定されているのに加え、「前記可変入賞装置が前記入賞可能状態に制御されるか否かを報知するための所定演出を実行する所定演出実行手段」、「前記示唆演出が実行される可変表示中に前記所定演出の実行を制限する所定演出制限手段」、「前記可変入賞装置制御手段は、前記所定演出の実行後に発射された遊技媒体が前記可変入賞装置へ入賞可能となるように当該可変入賞装置を制御し」と特定されているから、補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)の「所定演出」は、「前記所定表示結果の抽選および前記特定表示結果の抽選を契機として」「前記所定演出実行手段」が「実行する」ものであること(下記の条件ア)に加えて、以下イ、ウの条件を満たす演出であるといえる。 ア 「前記所定演出」は「前記所定表示結果の抽選および前記特定表示結果の抽選を契機として」「前記所定演出実行手段」が「実行する」。 イ 「所定演出」は「前記可変入賞装置が前記入賞可能状態に制御されるか否かを報知するため」に「所定演出実行手段」が「実行する」。 ウ 「前記所定演出」は「前記示唆演出が実行される可変表示中に」「所定演出制限手段」が「実行を制限する」と共に、「実行後に発射された遊技媒体が前記可変入賞装置へ入賞可能となるように」「前記可変入賞装置制御手段」が「当該可変入賞装置を制御」する。 上記ア?ウを満たす「所定演出」が願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、図面(以下、「当初明細書等」という。)に開示されているかについて検討する。 当初明細書等には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。 (あ) 「【0324】 特定演出決定用乱数SR6は、特定演出を実行するか否か決定するための乱数である。 図43は、図36に示されたメイン処理における演出制御プロセス処理(ステップS705)を示すフローチャートである。演出制御プロセス処理では、演出制御用CPU101は、まず、第1所定演出処理(ステップS810A)、第2所定演出処理(ステップS810B)、および開放報知演出処理(ステップS810C)を実行する。」 (い) 「【0338】 また、この実施の形態では、後述するように、普通図柄の変動表示の開始を契機として所定演出の有無や種類が決定されて所定演出が実行される場合と、特別図柄や飾り図柄の変動表示の開始を契機として所定演出の有無や種類が決定されて所定演出が実行される場合とがある。以下、この実施の形態では、普通図柄の変動表示の開始を契機として決定処理が行われて実行される所定演出を「第1所定演出」といい、特別図柄や飾り図柄の変動表示の開始を契機として決定処理が行われて実行される所定演出を「第2所定演出」といって区別する場合がある。」 (う) 「【0351】 報知用演出は演出エリア9Fにおいて図柄が変動するような演出である(図47(D)参照)。その後、演出エリア9Fにおいて、リーチになることを示唆する画像(大当りの期待度が高いことを報知するための画像)9iが停止表示される(図47(E)参照)。なお、図47に示す例では、リーチになることを示唆する画像9iとして「激熱」の文字列を含む画像が示されているが、この実施の形態では、リーチになることを示唆する画像として、「激熱」の文字列を含む画像と「チャンス」の文字列を含む画像との2つがある。そして、この実施の形態では、スーパーリーチとなる場合には、ノーマルリーチとなる場合と比較して、「チャンス」の文字列を含む画像よりも「激熱」の文字列を含む画像が停止表示される割合が高い。」 (え) 「【0382】 図54?図57は、第1所定演出処理(ステップS810A)を示すフローチャートである。第1所定演出処理では、普通図柄の変動表示が開始されたことを契機として所定の条件が成立すると所定演出が開始される。 ・・・ 【0404】 ステップS759では、演出制御用CPU101は、例えば、図58に示す第1所定演出決定テーブルを用いて、第1所定演出の有無および種類(いずれの報知結果とするか)を決定する。 【0405】 図58に示す第1所定演出決定テーブルには、普通図柄の表示結果をはずれ図柄にする場合(普通図柄変動開始指定(はずれ)コマンド受信フラグがセットされている場合に相当)と普通図柄の表示結果を当り図柄にする場合(普通図柄変動開始指定(当り)コマンド受信フラグがセットされている場合に相当)との各々に応じて、所定演出を実行しないことに対応する判定値と、所定演出(×)を実行することに対応する判定値と、所定演出(○)を実行することに対応する判定値と、所定演出(×)の後に所定演出(○)を実行することに対応する判定値とが設定されている。なお、所定演出(×)とは、リーチ演出が実行されず可変入賞球装置15も遊技球が進入(通過)しやすい状態に制御されないこと(はずれの報知結果)を報知する所定演出であり、所定演出(○)とは、可変入賞球装置15が遊技球が進入(通過)しやすい状態に制御されることを報知する所定演出である。なお、第1所定演出決定テーブルには、少なくとも所定演出を実行することに対応する判定値が設定されていればよい。また、図58には、判定値そのものではなく、判定値数が示されている。」 (お) 「【0421】 図59は、第2所定演出処理(ステップS810B)を示すフローチャートである。第2所定演出処理では、演出制御用CPU101は、まず、新たな変動カテゴリコマンドを受信したか否かを確認する(ステップS5201)。新たな変動カテゴリコマンドを受信した場合には、演出制御用CPU101は、第1所定演出実行中フラグがセットされているか否かを確認する(ステップS5202)。第1所定演出実行中フラグがセットされていなければ、演出制御用CPU101は、第2所定演出実行中フラグがセットされているか否かを確認する(ステップS5203)。第2所定演出実行中フラグがセットされていなければ、演出制御用CPU101は、第2所定演出の実行が決定されていることを示す第2所定演出決定フラグがセットされているか否かを確認する(ステップS5204)。 ・・・ 【0429】 また、演出制御用CPU101は、ステップS5210の処理で選択した第2所定演出決定テーブルを用いて、第2所定演出の有無および種類の決定を行う(ステップS5211)。 【0430】 図60は、第2所定演出決定テーブルを示す説明図である。図60に示すように、この実施の形態では、第2所定演出決定テーブルにおいて、入賞時判定結果および合算保留記憶数に対応付けて、所定演出を実行しないことに対応する判定値と、所定演出(×)を実行することに対応する判定値と、所定演出(チャンス)を実行することに対応する判定値と、所定演出(激熱)を実行することに対応する判定値とが設定されている。」 段落【0338】には、「普通図柄の変動表示の開始を契機として所定演出の有無や種類が決定されて所定演出が実行される場合と、特別図柄や飾り図柄の変動表示の開始を契機として所定演出の有無や種類が決定されて所定演出が実行される場合とがある。」及び「普通図柄の変動表示の開始を契機として決定処理が行われて実行される所定演出を「第1所定演出」といい、特別図柄や飾り図柄の変動表示の開始を契機として決定処理が行われて実行される所定演出を「第2所定演出」といって区別する」と記載されており、上記記載において「普通図柄の変動表示の開始を契機として所定演出の有無や種類が決定されて所定演出が実行」すること、及び、「特別図柄や飾り図柄の変動表示の開始を契機として所定演出の有無や種類が決定されて所定演出が実行」することは、それぞれ、本願補正発明において「前記所定表示結果の抽選」「を契機として」演出を「実行する」こと、及び、「前記特定表示結果の抽選を契機として」演出を「実行する」ことに対応するといえる。 よって、当初明細書等に記載された「第1所定演出」及び「第2所定演出」は、それぞれ、上記アの条件のうち、「前記所定演出」は「前記所定表示結果の抽選」「を契機として」「前記所定演出実行手段」が「実行する」との部分、及び、「前記所定演出」は「前記特定表示結果の抽選を契機として」「前記所定演出実行手段」が「実行する」との部分を充足するといえる。したがって、「第1所定演出」及び「第2所定演出」が共に条件イ、ウを満たし、「所定演出」といえるのであれば、上記条件アを満たすといえる。 次に、上記「第2所定演出」が、上記イ、ウの条件を満たし、本願補正発明の「所定演出」に対応するものであるか検討する。 上記(お)より、「第2所定演出処理」(段落【0421】)において、「第2所定演出決定テーブルを用いて、第2所定演出の有無および種類の決定を行う」(段落【0429】)際には、「所定演出を実行しない」、「所定演出(×)を実行する」、「所定演出(チャンス)を実行する」、「所定演出(激熱)を実行する」(段落【0430】)のいずれかが選択されることとなる。 ここで、段落【0405】には、「所定演出(○)とは、可変入賞球装置15が遊技球が進入(通過)しやすい状態に制御されることを報知する所定演出である。」と記載されているが、上記「第2所定演出処理」においては、「所定演出を実行しない」、「所定演出(×)を実行する」、「所定演出(チャンス)を実行する」、「所定演出(激熱)を実行する」のいずれかが選択されるから、「第2所定演出」において「可変入賞球装置15が遊技球が進入(通過)しやすい状態に制御されることを報知する所定演出」である「所定演出(○)」が選択されることはない。 また、段落【0351】には、「リーチになることを示唆する画像として、「激熱」の文字列を含む画像と「チャンス」の文字列を含む画像との2つがある。」、段落【0405】には、「所定演出(×)とは、リーチ演出が実行されず可変入賞球装置15も遊技球が進入(通過)しやすい状態に制御されないこと(はずれの報知結果)を報知する所定演出であり」と記載されているから、「第2所定演出処理」において、「所定演出(×)を実行する」、「所定演出(チャンス)を実行する」、「所定演出(激熱)を実行する」のいずれが選択された場合も、「第2所定演出」において「前記可変入賞装置が前記入賞可能状態に制御されるか否かを報知する」こととはならない。また、いずれが選択された場合も「可変入賞球装置15が遊技球が進入(通過)しやすい状態に制御されることを報知する」ものではないから、「第2所定演出」の「実行後に発射された遊技媒体が前記可変入賞装置へ入賞可能となるように」制御されないことは明らかである。 よって、上記の記載における「第2所定演出」は、条件イ、ウを満たしていない。(なお、「第1所定演出」及び「第2所定演出」において「所定演出(×)」が選択された場合を「所定演出」と解釈しようとしても、「所定演出(×)」が選択された場合は「実行後に発射された遊技媒体が前記可変入賞装置へ入賞可能となるように」「前記可変入賞装置制御手段」が「当該可変入賞装置を制御」する」こととはならないから、条件ウを満たさない。) したがって、「第2所定演出」は、条件イ、ウを満たしておらず、本願補正発明における「所定演出」に対応するものではないから、「第2所定演出」に関する上記の記載より、当初明細書等に「前記所定演出実行手段は、前記所定表示結果の抽選および前記特定表示結果の抽選を契機として前記所定演出を実行する」との事項が記載されているということはできない。 また、補正後の請求項1に係る発明における「前記所定演出実行手段は、前記所定表示結果の抽選および前記特定表示結果の抽選を契機として前記所定演出を実行する」との事項は、当初明細書等の上記以外の記載にも開示されていないし、当初明細書等のすべての記載を総合しても、導くことはできない。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項に記載する要件を満たしていないので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条1項の規定により却下すべきものである。 3 独立特許要件(特許法第36条第6項第1号)について 上記の通り、本件補正は、特許法第17条の2第3項に記載する要件を満たしていないが、仮に本件補正が特許法第17条の2第3項に記載する要件を満たしているとしても、本願の発明の詳細な説明には、「特別図柄や飾り図柄の変動表示の開始を契機として決定処理が行われて実行される所定演出」である「第2所定演出」を実行する点は開示されているものの、「第2所定演出」は、上記2で示した通り「前記可変入賞装置が前記入賞可能状態に制御されるか否かを報知するための所定演出」ではないから、「前記可変入賞装置が前記入賞可能状態に制御されるか否かを報知するための所定演出」とはいえず、また、他に「前記可変入賞装置が前記入賞可能状態に制御されるか否かを報知するための所定演出」を「前記所定演出実行手段は、前記所定表示結果の抽選および前記特定表示結果の抽選を契機として」「実行する」点は記載されていないから、本願の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。 よって、本願の請求項1に係る発明は、特許法第36条第6項第1号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 4 請求人の主張について 請求人は、平成29年9月5日に提出された上申書の【上申の内容】、「3-2.」において、「本願発明は、構成Gにも示すように、所定演出実行手段が所定演出を2つの契機(表示結果の抽選契機,特定表示結果の抽選契機)に対応して行うものです。 そして、構成Dは、「前記可変入賞装置が前記入賞可能状態に制御されるか否かを報知するための所定演出を実行する所定演出実行手段」と記載しているように、「所定演出実行手段」が、「前記可変入賞装置が前記入賞可能状態に制御されるか否かを報知するための所定演出」(本願明細書中の「第1所定演出」に相当)を実行することを限定しているに過ぎず、「所定演出」が「前記可変入賞装置が前記入賞可能状態に制御されるか否かを報知するための」演出であることを限定している訳ではありません。つまり、本願発明では、「所定演出」から本願明細書中の「第2所定演出」に相当する演出を除外する意図はありません。 よって、本願請求項1の記載は、発明の詳細な説明に記載されている普通図柄の変動表示の開始を契機として決定処理が行われて実行される「第1所定演出」と、特別図柄や飾り図柄の変動表示の開始を契機として決定処理が行われて実行される「第2所定演出」を含んでいます。」との主張をしている。 しかしながら、上記2で検討した通り、条件イ、ウを満たさない「第2所定演出」を本願補正発明の「所定演出」に対応するものと解釈することはできないから、請求人の上記主張は採用できない。 5 補正却下の決定についてのむすび 上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項に記載する要件を満たしていないので、同法159条第1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 また、仮に本件補正が特許法第17条の2第3項に記載する要件を満たしているとしても、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年9月26日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである(A?Gは、分説するために当審にて付した。)。 「【請求項1】 A 可変表示を行い、当該可変表示の表示結果として特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機であって、 B 遊技媒体が所定領域を通過したことにもとづいて、普通識別情報の可変表示を行い、当該普通識別情報の可変表示の表示結果として所定表示結果が導出表示されたときに、可変入賞装置を遊技媒体が入賞しやすい入賞可能状態に制御する可変入賞装置制御手段と、 C 可変表示が行われているときに、当該可変表示の表示結果が前記特定表示結果になることを示唆する示唆演出を実行する示唆演出実行手段と、 D 前記可変入賞装置が前記入賞可能状態に制御されるか否かを報知するための所定演出を実行する所定演出実行手段と、 E 前記示唆演出が実行される可変表示中に前記所定演出の実行を制限する所定演出制限手段とを備え、 F 前記可変入賞装置制御手段は、前記所定演出の実行後に発射された遊技媒体が前記可変入賞装置へ入賞可能となるように当該可変入賞装置を制御し、 G 前記所定演出実行手段は、前記所定表示結果の抽選または前記特定表示結果の抽選を契機として前記所定演出を実行する、遊技機。」 2 刊行物 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の遡及出願日前に頒布された刊行物である特開2012-10802号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。 (1-a) 「【0018】 遊技機1は、外枠100に保持される遊技盤2を有している。この遊技盤2には、遊技球が転動、流下する遊技領域6が設けられており、ガラス枠110によって遊技領域6の前面が覆われるようにしている。 ガラス枠110には操作ハンドル3が回動可能に設けられている。遊技者が操作ハンドル3に触れると、操作ハンドル3内にあるタッチセンサ3bが、操作ハンドル3に遊技者が触れたことを検知し、発射制御基板106にタッチ信号を送信する。発射制御基板106は、タッチセンサ3bからタッチ信号を受信すると、発射用ソレノイド4aの通電を許可する。そして、操作ハンドル3の回転角度を変化させると、操作ハンドル3に直結しているギアが回転し、ギアに連結した発射ボリューム3aのつまみが回転する。この発射ボリューム3aの検出角度に応じた電圧が、遊技球発射機構に設けられた発射用ソレノイド4aに印加される。そして、発射用ソレノイド4aに電圧が印加されると、発射用ソレノイド4aが印加電圧に応じて作動するとともに、操作ハンドル3の回動角度に応じた強さで遊技球が発射される。」 (1-b) 「【0021】 また、遊技領域6の幅方向略中央には、上記一般入賞口7と同様に、遊技球が入球可能な第1始動口9と、この第1始動口9の下方に位置する第2始動口10が設けられている。第2始動口10は、遊技機1の正面に向かって出没可能な可動片10bを有しており、この可動片10bが没入状態に維持される第1の態様と、可動片10bが突出状態となる第2の態様とに可動制御される。なお、第2始動口10が上記第1の態様に制御されているときには、当該第2始動口10を遊技球がそのまま落下するため、第2始動口10に遊技球が入球することはない。一方で、第2始動口10が上記第2の態様に制御されているときには、上記可動片10bが受け皿として機能し、第2始動口10への遊技球の入球が容易となる。つまり、第2始動口10は、第1の態様にあるときには遊技球の入球機会がなく、第2の態様にあるときには遊技球が入球可能となる。なお、ここでは、第2始動口10が第1の態様に制御されているときには、当該第2始動口10に遊技球が入球することがないようにしている。しかしながら、第2の態様に制御されているときよりも第1の態様に制御されているときの方が遊技球の入球機会が少なければ、第1の態様に制御されているときに第2始動口10に遊技球が入球しても構わない。つまり、第1の態様には、第2始動口10への遊技球の入球が不可能または困難な状態が含まれる。 【0022】 なお、上記第1始動口9および第2始動口10には、遊技球の入球を検出する第1始動口検出スイッチ9aおよび第2始動口検出スイッチ10aがそれぞれ設けられており、これら検出スイッチが遊技球の入球を検出すると、後述する大当たり遊技を実行する権利獲得の抽選(以下、「大当たりの抽選」という)が行われる。また、検出スイッチ9a、10aが遊技球の入球を検出した場合にも、所定の賞球(例えば3個の遊技球)が払い出される。」 (1-c) 「【0028】 上記液晶表示装置13は、遊技が行われていない待機中に画像を表示したり、遊技の進行に応じた画像を表示したりする。なかでも、第1始動口9または第2始動口10に遊技球が入球したときには、抽選結果を遊技者に報知する演出図柄30が変動表示される。演出図柄30というのは、例えば3つの数字をそれぞれスクロール表示するとともに、所定時間経過後に当該スクロールを停止させて、特定の図柄(数字)を配列表示するものである。これにより、図柄のスクロール中には、あたかも現在抽選が行われているような印象を遊技者に与えるとともに、スクロールの停止時に表示される図柄によって、抽選結果が遊技者に報知される。この演出図柄30の変動表示中に、さまざまな画像やキャラクター等を表示することによって、大当たりに当選するかもしれないという高い期待感を遊技者に与えるようにしている。」 (1-d) 「【0035】 また、普通図柄表示装置21は、普通図柄ゲート8を遊技球が通過したことを契機として行われる普通図柄の抽選結果を報知するためのものである。詳しくは後述するが、この普通図柄の抽選によって所定の当たりに当選すると普通図柄表示装置21が点灯し、その後、上記第2始動口10が所定時間、第2の態様に制御される。なお、この普通図柄についても、普通図柄ゲート8を遊技球が通過して即座に抽選結果が報知されるわけではなく、所定時間が経過するまで、普通図柄表示装置21を点滅させる等、普通図柄が変動表示するようにしている。」 (1-e) 「【0040】 主制御基板101は遊技の基本動作を制御する。この主制御基板101は、メインCPU101a、メインROM101b、メインRAM101cを備えている。メインCPU101aは、各検出スイッチやタイマからの入力信号に基づいて、メインROM101bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の基板にコマンドを送信したりする。メインRAM101cは、メインCPU101aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。」 (1-f) 「【0046】 演出制御基板102は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。この演出制御基板102は、サブCPU102a、サブROM102b、サブRAM102cを備えており、主制御基板101に対して、当該主制御基板101から演出制御基板102への一方向に通信可能に接続されている。サブCPU102aは、主制御基板101から送信されたコマンド、または、上記演出ボタン検出スイッチ17a、タイマからの入力信号に基づいて、サブROM102bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、当該処理に基づいて、対応するデータをランプ制御基板104または画像制御基板105に送信する。サブRAM102cは、サブCPU102aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。」 (1-g) 「【0078】 なお、本実施形態でいう「リーチ」とは、特別遊技に移行することを報知する演出図柄30の組合せの一部が停止表示された後に、残りの一部の演出図柄30が変動表示を継続するものをいう。例えば、大当たり遊技に移行することを報知する演出図柄30の組合せとして「777」の3桁の演出図柄30の組み合わせが設定されている場合に、2つの演出図柄30が「7」で停止表示され、残りの演出図柄30が変動表示を行っている状態をいう。」 (1-h) 「【0250】 (ステップS410-6)(ステップS410-7) 次に、メインCPU101aは、普通図柄保留記憶領域に記憶された当たり判定用乱数値の判定を行う。なお、複数の当たり判定用乱数値が記憶されている場合には、当該当たり判定用乱数値が記憶された順に読み出されるようにしている。 具体的には、図4(c)に示す当たり判定テーブルを参照し、処理領域にシフトされた当たり判定用乱数値を上記のテーブルに照らし合わせて当たりか否かの判定を行う。例えば、上記テーブルによれば、非時短遊技状態であれば「0」?「19」の当たり乱数のうち「0」の1個の当たり判定用乱数値が当たりと判定され、時短遊技状態であれば「0」?「19」の当たり乱数のうち「0」?「18」の19個の当たり判定用乱数値が当たりと判定され、その他の乱数はハズレと判定される。 その結果、当たりと判定された場合には、ステップS410-8に処理を移し、当たりと判定されなかった場合にはステップS410-12に処理を移す。 【0251】 (ステップS410-8)?(ステップS410-11) 上記ステップS410-7において、当たりと判定された場合には、メインCPU101aは、図柄判定処理を行う(ステップS410-8)。ここでは、図6(a)に示す普通図柄決定テーブルを参照して、処理領域にシフトされた図柄判定用乱数値を判定して、長開放図柄または短開放図柄のいずれかを決定する。具体的には、処理領域にシフトされた図柄判定用乱数値が「0」または「1」の場合には長開放図柄と判定し、「2」?「10」の場合には短開放図柄と判定する。 そして、ステップS410-8における図柄判定処理の結果が、長開放図柄と判定された場合には長開放図柄をセットし(ステップS410-10)、短開放図柄と判定された場合には短開放図柄をセットする(ステップS410-11)。 【0252】 (ステップS410-12) また、上記ステップS410-7において、当たりと判定されなかった場合には、メインCPU101aは、ハズレ図柄をセットする。 【0253】 (ステップS410-13) 次に、メインCPU101aは、普図変動パターン指定コマンドを演出用伝送データ格納領域にセットする。なお、普図変動パターン指定コマンドというのは、決定された普通図柄が長開放図柄、短開放図柄およびハズレ図柄のいずれであるのかを示すものであり、当該コマンドが演出制御基板102に送信されると、演出制御基板102において普通図柄の抽選に係る演出(普通図柄の変動演出)が実行される。 ・・・ 【0256】 (ステップS410-17) 次に、メインCPU101aは、普通図柄表示装置21において普通図柄の変動表示を開始する。普通図柄の変動表示というのは、普通図柄表示装置21においてLEDを所定の間隔で点滅させ、あたかも現在抽選中であるかのような印象を遊技者に与えるものである。この普通図柄の変動表示は、上記ステップS410-15またはステップS410-16において設定された時間だけ継続して行われることとなる。本処理を終了すると、普通図柄変動処理が終了する。」 (1-i) 「【0273】 (ステップS420-11) ステップS420-11において、メインCPU101aは、始動口開閉ソレノイド10cを通電するためのテーブルをセットする。具体的には、ステップS420-5の処理が行われた場合には、図14(a)に示す長開放TBL1をセットし、ステップS420-7の処理が行われた場合には、図14(c)に示す短開放TBL1をセットする。また、ステップS420-9の処理が行われた場合には、図14(b)に示す長開放TBL2をセットし、ステップS420-10の処理が行われた場合には、図14(d)に示す短開放TBL2をセットする。そして、セットしたテーブルに基づいて始動口開閉ソレノイド10cに通電を開始する。これにより、第2始動口10が開放して第2の態様に制御されることとなる。」 (1-j) 「【0303】 (ステップS1660) ステップS1660において、サブCPU102aは、受信バッファに格納されているコマンドが、普図変動パターン指定コマンドであるか否かを確認する。なお、普図変動パターン指定コマンドは、主制御基板101のステップS410-13においてセットされる。 サブCPU102aは、受信バッファに格納されているコマンドが普図変動パターン指定コマンドであれば、ステップS1661に処理を移し、普図変動パターン指定コマンドでなければステップS1670に処理を移す。 【0304】 (ステップS1661) ステップS1661において、サブCPU102aは、受信した普図変動パターン指定コマンドに基づいて、複数の普図変動演出パターンの中から1つの普図変動演出パターンを決定する普図変動演出パターン決定処理を行う。この普図変動演出パターン決定処理については、図38を用いて後述する。」 (1-k) 「【0323】 図42は、主制御基板101のステップS312において、リーチAに係る変動パターンが決定された場合の変動演出の一例を示している。 主制御基板101から演出制御基板102にリーチAに係る変動パターン指定コマンドが送信されると、図42(a)に示すように、各図柄構成群が変動表示(スクロール表示)を開始するとともに、所定時間経過後に図42(b)に示すように、中表示領域を除く左表示領域および右表示領域において同一の図柄が停止表示され、いわゆるリーチ状態となる。 このように、リーチ状態となった場合には、図42(c)に示すように、襖が閉じる背景画像が表示されるとともに、さらに所定時間経過後に、図42(d)に示すように、所定のストーリー画像が再生表示される。なお、図42(d)に示すように、ストーリー画像が表示されると、画像が見にくくなるのを防止しながらも変動中であることを識別できるように、第1表示領域13aの左上の領域に図柄構成群を小さく変動表示させるようにしている。 ・・・ 【0326】 次に、普通図柄の変動演出の具体例について図44?図48を用いて説明する。 通常、第2表示領域13bには、図44(a)に示すように家紋を模した画像が表示されている。そして、主制御基板101から演出制御基板102に普図変動パターン指定コマンドが送信されると、図44(b)に示すように、液晶表示装置13の第1表示領域13aにキャラクターが登場するとともに、図44(c)に示すように、普通図柄の変動演出の内容が説明される。 その後、図45(a)に示すように、液晶表示装置13の第2表示領域13bにおいて、ルーレットがスクロール表示されるとともに、所定時間経過後に図45(b)または図45(c)に示すように、所定の図柄が停止表示されて、普通図柄の抽選結果が報知される。 なお、本実施形態においては、こうした普通図柄の変動演出が非時短遊技状態においてのみ実行され、時短遊技状態において普通図柄の変動演出が実行されることはない。そして、非時短遊技状態における普通図柄の変動時間は10秒と一様に決定されるため、図44(a)に示す普通図柄の変動演出の開始から、図45(b)または図45(c)に示す図柄の確定までに10秒を要することとなる。 【0327】 本実施形態においては、図46に示すように、普図演出図柄40は、4種類の図柄がリール上に記されており、普通図柄の変動表示が開始すると普図演出図柄40がスクロール表示を開始し、所定時間経過すると4種類の図柄40a?40dのいずれかが第2表示領域13bに停止表示することとなる。 図柄40aは、「団子」を模した図柄によって構成されており、第2始動口10が4.2秒開放することが対応付けられている。つまり、遊技状態が非時短遊技状態である場合に、主制御基板101において長開放図柄が決定されると、普図演出図柄40の変動表示が開始してから所定時間経過後に、第2表示領域13bに図柄40aが停止表示することとなる。 ・・・ 【0331】 以上のように、図柄40a,40bには決定された普通図柄が対応付けられているのに対して、図柄40c,40dには特別図柄(特別図柄の変動パターン)が対応付けられている。このように、第2表示領域13bにおいては、長開放図柄が決定されたか否かを報知しながら、場合によっては、特別図柄の変動パターンに対する示唆が織り交ぜられて実行されることとなる。 なお、第2表示領域13bに図柄40aが停止表示した場合には、図47(a)?(c)に示すように、第2表示領域13bにおいて、第2始動口10が開放していることを報知する演出が実行される。この演出は、長開放開始コマンドの受信により、上記ステップS1671の長開放中演出処理によって実行される。そして、この間に第2始動口10に遊技球が入球すると、当該第2始動口10への遊技球の入球数が、第1表示領域13aの右側に縦方向に表示される団子の数によって表示され、また、獲得された第2保留(U2)の数が、第2表示領域13aの下方右側に団子の数によって表示される。 ・・・ 【0334】 図49の(3)は、演出制御基板102において、制限フラグがオンまたはオフされるタイミングを示している。この制限フラグというのは、第2表示領域13bにおいて普図変動演出の開始を制限したり許可したりするためのものであり、制限フラグがオンした状態では普通図柄の変動演出の開始が制限され、制限フラグがオフした状態で普通図柄の変動演出が開始可能となる。このリーチAに係る変動演出においては、特別図柄の変動演出がいわゆるリーチ状態となり、背景画像において襖が閉じられてから当該特別図柄の変動演出が終了するまでの間、制限フラグがオンされることとなる。したがって、第1表示領域13aにおいてリーチAに係る変動演出が実行された場合、背景画像において襖が閉じられた後は第2表示領域13bにおける変動演出が開始されることはない。」 (1-l) 「【0362】 (ステップS1661-4) 上記ステップS1661-3において、受信した普図変動パターン指定コマンドが、長開放図柄に係るコマンドであると判定した場合には、サブCPU102aは、図44および図45(c)に示す普図変動演出を実行するための長開放演出パターンコマンドを送信バッファにセットする。この長開放演出パターンコマンドを画像制御基板105が受信すると、画像制御基板105の画像CPUによって、図44および図45(c)に示す変動演出が実行される。」 上記(1-a)?(1-l)の記載事項から、以下(1-m)?(1-r)の事項が導かれる。 (1-m)段落【0022】には、「大当たり遊技を実行する権利獲得の抽選(以下、「大当たりの抽選」という)が行われる。」と記載されており、段落【0028】には、「抽選結果を遊技者に報知する演出図柄30が変動表示される。」及び「停止時に表示される図柄によって、抽選結果が遊技者に報知される。」と記載されているから、刊行物1には、大当たり遊技を実行する権利獲得の抽選を行い、演出図柄30を変動表示し、停止時に表示される図柄によって、抽選結果を遊技者に報知する点が記載されているといえる。 (1-n)段落【0035】には、「普通図柄ゲート8を遊技球が通過したことを契機として行われる普通図柄の抽選結果を報知する」、「普通図柄の抽選によって所定の当たりに当選すると普通図柄表示装置21が点灯し、その後、上記第2始動口10が所定時間、第2の態様に制御される。」及び「所定時間が経過するまで、普通図柄表示装置21を点滅させる等、普通図柄が変動表示する」と記載されているから、刊行物1には、普通図柄ゲート8を遊技球が通過したことを契機として普通図柄の抽選を行い、普通図柄表示装置21で普通図柄を変動表示し、普通図柄の抽選によって所定の当たりに当選すると普通図柄表示装置21を点灯し、第2始動口10を第2の態様に制御する点が記載されているといえる。 また、「第2の態様」について、段落【0021】には、「第2の態様にあるときには遊技球が入球可能となる。」と記載されており、段落【0273】には、「第2始動口10が開放して第2の態様に制御される」と記載されているから、第2の態様に制御する際には、第2始動口10を開放し、遊技球が入球可能となるといえる。 さらに、段落【0040】より「主制御基板101は、メインCPU101a」「を備えて」おり、段落【0256】より「メインCPU101aは、普通図柄表示装置21において普通図柄の変動表示を開始」し、また、段落【0273】より、「メインCPU101aは、始動口開閉ソレノイド10cを通電するためのテーブルをセット」し、「セットしたテーブルに基づいて始動口開閉ソレノイド10cに通電を開始」し、「これにより、第2始動口10が開放して第2の態様に制御されることとなる。」から、上記の普通図柄ゲート8を遊技球が通過したことを契機として普通図柄の抽選を行い、普通図柄表示装置21で普通図柄を変動表示し、普通図柄の抽選によって所定の当たりに当選すると普通図柄表示装置21を点灯し、第2始動口10を開放し、遊技球が入球可能となる第2の態様に制御することを主制御基板101が行うといえる。 したがって、刊行物1には、普通図柄ゲート8を遊技球が通過したことを契機として普通図柄の抽選を行い、普通図柄表示装置21で普通図柄を変動表示し、普通図柄の抽選によって所定の当たりに当選すると普通図柄表示装置21を点灯し、第2始動口10を開放し、遊技球が入球可能となる第2の態様に制御する主制御基板101が記載されているといえる。 (1-o)段落【0323】には、「リーチAに係る変動パターンが決定された場合の変動演出」について、「各図柄構成群が変動表示(スクロール表示)を開始するとともに、所定時間経過後に図42(b)に示すように、中表示領域を除く左表示領域および右表示領域において同一の図柄が停止表示され、いわゆるリーチ状態となる。」、「リーチ状態となった場合には、図42(c)に示すように、襖が閉じる背景画像が表示される」、「さらに所定時間経過後に、図42(d)に示すように、所定のストーリー画像が再生表示される。」と記載されている。また、上記記載の「リーチ状態」に関して、段落【0078】には、「本実施形態でいう「リーチ」とは、特別遊技に移行することを報知する演出図柄30の組合せの一部が停止表示された後に、残りの一部の演出図柄30が変動表示を継続するものをいう」と記載されているから、刊行物1には、演出図柄30の変動表示を開始し、特別遊技に移行することを報知する演出図柄30の組合せの一部が停止表示されたリーチ状態とし、襖が閉じる背景画像を表示し、所定のストーリー画像を再生表示するリーチAに係る変動演出が記載されているといえる。 また、段落【0323】より、リーチAに係る変動演出は、「主制御基板101から演出制御基板102にリーチAに係る変動パターン指定コマンドが送信されると」実行されるから、演出制御基板102がリーチAに係る変動演出を実行することは明らかである。 したがって、刊行物1には、演出図柄30の変動表示を開始し、特別遊技に移行することを報知する演出図柄30の組合せの一部が停止表示されたリーチ状態とし、襖が閉じる背景画像を表示し、所定のストーリー画像を再生表示するリーチAに係る変動演出を実行する演出制御基板102が記載されているといえる。 (1-p)段落【0326】には、「普通図柄の変動演出」に関して、「液晶表示装置13の第2表示領域13bにおいて、ルーレットがスクロール表示されるとともに、所定時間経過後に図45(b)または図45(c)に示すように、所定の図柄が停止表示されて、普通図柄の抽選結果が報知される。」と記載されているから、刊行物1には、液晶表示装置13の第2表示領域13bにおいて、ルーレットをスクロール表示し、所定時間経過後に所定の図柄を停止表示して普通図柄の抽選結果を報知する、普通図柄の変動演出が記載されているといえる。 また、段落【0326】より、「普通図柄の変動演出」は、「主制御基板101から演出制御基板102に普図変動パターン指定コマンドが送信されると、」実行されるものであるから、演出制御基板102は、普図変動パターン指定コマンドが送信されると、普通図柄の変動演出を実行するといえる。 したがって、刊行物1には、普図変動パターン指定コマンドが送信されると、液晶表示装置13の第2表示領域13bにおいて、ルーレットをスクロール表示し、所定時間経過後に所定の図柄を停止表示して普通図柄の抽選結果を報知する、普通図柄の変動演出を実行する演出制御基板102が記載されているといえる。 (1-q)段落【0334】には、「演出制御基板102において、制限フラグがオンまたはオフされる」、「制限フラグがオンした状態では普通図柄の変動演出の開始が制限され」及び「このリーチAに係る変動演出においては、特別図柄の変動演出がいわゆるリーチ状態となり、背景画像において襖が閉じられてから当該特別図柄の変動演出が終了するまでの間、制限フラグがオンされることとなる。」と記載されている。 したがって、刊行物1には、リーチAに係る変動演出において、特別図柄の変動演出がリーチ状態となり、背景画像において襖が閉じられてから当該特別図柄の変動演出が終了するまでの間、制限フラグをオンし、普通図柄の変動演出の開始を制限する演出制御基板102が記載されているといえる。 (1-r)段落【0046】には、「演出制御基板102は、サブCPU102a」「を備えており、」と記載されており、また、段落【0303】には、「サブCPU102aは、受信バッファに格納されているコマンドが、普図変動パターン指定コマンドであるか否かを確認する。」及び「サブCPU102aは、受信バッファに格納されているコマンドが普図変動パターン指定コマンドであれば、ステップS1661に処理を移し、」、段落【0304】には、「サブCPU102aは、受信した普図変動パターン指定コマンドに基づいて、複数の普図変動演出パターンの中から1つの普図変動演出パターンを決定する普図変動演出パターン決定処理を行う。」、段落【0362】には、「サブCPU102aは、図44および図45(c)に示す普図変動演出を実行するための長開放演出パターンコマンドを送信バッファにセットする。この長開放演出パターンコマンドを画像制御基板105が受信すると、画像制御基板105の画像CPUによって、図44および図45(c)に示す変動演出が実行される。」と記載されているから、刊行物1には、演出制御基板102は、受信バッファに格納されているコマンドが普図変動パターン指定コマンドであれば、複数の普図変動演出パターンの中から1つの普図変動演出パターンを決定する普図変動演出パターン決定処理を行い、普通図柄の変動演出を実行する点が記載されているといえる。 また、段落【0250】には、「普通図柄保留記憶領域に記憶された当たり判定用乱数値の判定を行う。」、段落【0251】には、「上記ステップS410-7において、当たりと判定された場合には、メインCPU101aは、図柄判定処理を行う」、「図柄判定処理の結果が、長開放図柄と判定された場合には長開放図柄をセットし(ステップS410-10)、短開放図柄と判定された場合には短開放図柄をセットする」、段落【0253】には、「普図変動パターン指定コマンドというのは、決定された普通図柄が長開放図柄、短開放図柄およびハズレ図柄のいずれであるのかを示すものであり、当該コマンドが演出制御基板102に送信されると、演出制御基板102において普通図柄の抽選に係る演出(普通図柄の変動演出)が実行される。」と記載されており、さらに、当該段落【0250】、【0251】の記載における「当たり判定用乱数値の判定」及び「図柄判定処理」が、段落【0035】の「普通図柄の抽選」を意味することは明らかであるから、「普図変動パターン指定コマンド」は、普通図柄の抽選により決定された普通図柄を示すものであり、演出制御基板102に送信されるものといえる。 したがって、刊行物1には、演出制御基板102は、普通図柄の抽選により決定された普通図柄を示す普図変動パターン指定コマンドが送信されると、複数の普図変動演出パターンの中から1つの普図変動演出パターンを決定する普図変動演出パターン決定処理を行い、普通図柄の変動演出を実行する点が記載されているといえる。 上記(1-a)?(1-l)の記載事項及び(1-m)?(1-r)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。(a?gは、本願発明のA?Gに対応させて付した。) 「a 大当たり遊技を実行する権利獲得の抽選を行い、演出図柄30を変動表示し、停止時に表示される図柄によって、抽選結果を遊技者に報知する遊技機1であって、(認定事項(1-m)、段落【0018】) b 普通図柄ゲート8を遊技球が通過したことを契機として普通図柄の抽選を行い、普通図柄表示装置21で普通図柄を変動表示し、普通図柄の抽選によって所定の当たりに当選すると普通図柄表示装置21を点灯し、第2始動口10を開放し、遊技球が入球可能となる第2の態様に制御する主制御基板101と、(認定事項(1-n)) c 演出図柄30の変動表示を開始し、特別遊技に移行することを報知する演出図柄30の組合せの一部が停止表示されたリーチ状態とし、襖が閉じる背景画像を表示し、所定のストーリー画像を再生表示するリーチAに係る変動演出を実行する演出制御基板102と、(認定事項(1-o)) d 普図変動パターン指定コマンドが送信されると、液晶表示装置13の第2表示領域13bにおいて、ルーレットをスクロール表示し、所定時間経過後に所定の図柄を停止表示して普通図柄の抽選結果を報知する、普通図柄の変動演出を実行する演出制御基板102と、(認定事項(1-p)) e リーチAに係る変動演出において、特別図柄の変動演出がリーチ状態となり、背景画像において襖が閉じられてから当該特別図柄の変動演出が終了するまでの間、制限フラグをオンし、普通図柄の変動演出の開始を制限する演出制御基板102とを備え、(認定事項(1-q)) f 第2表示領域13bに図柄40aが停止表示した場合には、第2始動口10が開放していることを報知する演出が実行され、(段落【0331】) g 演出制御基板102は、普通図柄の抽選により決定された普通図柄を示す普図変動パターン指定コマンドが送信されると、複数の普図変動演出パターンの中から1つの普図変動演出パターンを決定する普図変動演出パターン決定処理を行い、普通図柄の変動演出を実行する、遊技機1。(認定事項(1-r)、段落【0018】)」 3 対比・判断 本願発明と刊行物1発明とを対比する(下記の(a)?(g)は、刊行物1発明の構成a?gに対応している。)。 (a)刊行物1発明の「大当たり遊技を実行する」こと、「演出図柄30を変動表示」すること、「停止時に表示される図柄」及び「遊技機1」は、それぞれ、本願発明の「遊技者にとって有利な特定状態に制御」すること、「可変表示を行」うこと、「当該可変表示の表示結果」及び「遊技機」に相当する。 また、刊行物1発明において、「抽選結果」が「大当たり遊技を実行する」ものである場合において、「停止時に表示される図柄」は本願発明の「特定表示結果」に相当し、また、「停止時に表示される図柄」が導出表示されたときに、「大当たり遊技を実行する」ように制御可能であることは、明らかである。 したがって、刊行物1発明の「大当たり遊技を実行する権利獲得の抽選を行い、演出図柄30を変動表示し、停止時に表示される図柄によって、抽選結果を遊技者に報知する遊技機1」は、本願発明の「可変表示を行い、当該可変表示の表示結果として特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機」に相当する。 (b)刊行物1発明の「普通図柄ゲート8」、「遊技球」、「普通図柄」、「変動表示」、「第2始動口10」及び「遊技球が入球可能となる第2の態様」は、それぞれ、本願発明の「所定領域」、「遊技媒体」、「普通識別情報」、「可変表示」、「可変入賞装置」及び「遊技媒体が入賞しやすい入賞可能状態」に相当する。 また、刊行物1発明において、「普通図柄の抽選によって所定の当たりに当選すると普通図柄表示装置21を点灯」することは、本願発明の「当該普通識別情報の可変表示の表示結果として所定表示結果が導出表示」されることに相当する。 したがって、刊行物1発明の「普通図柄ゲート8を遊技球が通過したことを契機として普通図柄の抽選を行い、普通図柄表示装置21で普通図柄を変動表示し、普通図柄の抽選によって所定の当たりに当選すると普通図柄表示装置21を点灯し、第2始動口10を開放し、遊技球が入球可能となる第2の態様に制御する主制御基板101」は、本願発明における「遊技媒体が所定領域を通過したことにもとづいて、普通識別情報の可変表示を行い、当該普通識別情報の可変表示の表示結果として所定表示結果が導出表示されたときに、可変入賞装置を遊技媒体が入賞しやすい入賞可能状態に制御する可変入賞装置制御手段」に相当する。 (c)刊行物1発明において、「特別遊技に移行することを報知する演出図柄30の組合せ」は、本願発明の、「抽選結果」が「大当たり遊技を実行する」ものである場合に「停止時に表示される図柄」(構成a)であることは明らかであるから、本願発明の「前記特定表示結果」に相当する。また、刊行物1発明において、「演出図柄30の変動表示」の結果が「特別遊技に移行することを報知する演出図柄30の組合せ」となる場合、「特別遊技に移行することを報知する演出図柄30の組合せの一部が停止表示されたリーチ状態」を必ず経由することは当業者にとって自明であるから、「特別遊技に移行することを報知する演出図柄30の組合せの一部が停止表示されたリーチ状態」となる演出は、「特別遊技に移行することを報知する演出図柄30の組合せ」となることを示唆する演出であるといえる。さらに、「リーチAに係る変動演出」における「特別遊技に移行することを報知する演出図柄30の組合せの一部が停止表示されたリーチ状態とし、襖が閉じる背景画像を表示し、所定のストーリー画像を再生表示する」演出は、「演出図柄30の変動表示を開始」した後の演出であるから、「可変表示が行われているときに」行われる演出であるといえる。よって、刊行物1発明の「リーチAに係る変動演出」における、「特別遊技に移行することを報知する演出図柄30の組合せの一部が停止表示されたリーチ状態とし、襖が閉じる背景画像を表示し、所定のストーリー画像を再生表示する」演出は、本願発明の「可変表示が行われているときに、当該可変表示の表示結果が前記特定表示結果になることを示唆する示唆演出」に相当する。 したがって、刊行物1発明の「演出図柄30の変動表示を開始し、特別遊技に移行することを報知する演出図柄30の組合せの一部が停止表示されたリーチ状態とし、襖が閉じる背景画像を表示し、所定のストーリー画像を再生表示するリーチAに係る変動演出を実行する演出制御基板102」は、本願発明の「可変表示が行われているときに、当該可変表示の表示結果が前記特定表示結果になることを示唆する示唆演出を実行する示唆演出実行手段」に相当する。 (d)刊行物1発明は、「普通図柄の抽選によって所定の当たりに当選すると普通図柄表示装置21を点灯し、第2始動口10を開放し、遊技球が入球可能となる第2の態様に制御する」(構成b)ものであるから、刊行物1発明において「普通図柄の抽選結果を報知する」ことは、本願発明において「可変入賞装置が前記入賞可能状態に制御されるか否かを報知する」ことに相当する。よって、刊行物1発明の「液晶表示装置13の第2表示領域13bにおいて、ルーレットをスクロール表示し、所定時間経過後に所定の図柄を停止表示して普通図柄の抽選結果を報知する、普通図柄の変動演出」は、本願発明の「前記可変入賞装置が前記入賞可能状態に制御されるか否かを報知するための所定演出」に相当する。 したがって、刊行物1発明における「普図変動パターン指定コマンドが送信されると、液晶表示装置13の第2表示領域13bにおいて、ルーレットをスクロール表示し、所定時間経過後に所定の図柄を停止表示して普通図柄の抽選結果を報知する、普通図柄の変動演出を実行する演出制御基板102」は、本願発明における「前記可変入賞装置が前記入賞可能状態に制御されるか否かを報知するための所定演出を実行する所定演出実行手段」に相当する。 (e)刊行物1発明の「リーチAに係る変動演出において、特別図柄の変動演出がリーチ状態となり、背景画像において襖が閉じられてから当該特別図柄の変動演出が終了するまでの間」及び「制限フラグをオンし、普通図柄の変動演出の開始を制限する」ことは、本願発明の「前記示唆演出が実行される可変表示中」及び「前記所定演出の実行を制限する」ことに相当する。 したがって、刊行物1発明における「リーチAに係る変動演出において、特別図柄の変動演出がリーチ状態となり、背景画像において襖が閉じられてから当該特別図柄の変動演出が終了するまでの間、制限フラグをオンし、普通図柄の変動演出の開始を制限する演出制御基板102」は、本願発明における「前記示唆演出が実行される可変表示中に前記所定演出の実行を制限する所定演出制限手段」に相当する。 (f)刊行物1発明において、「第2表示領域13bに図柄40aが停止表示した」後は、本願発明の「前記所定演出の実行後」に相当する。また、刊行物1発明において、「第2始動口10が開放していることを報知する演出が実行」されているときには、「第2始動口10が開放」されて「遊技球が入球可能」(構成b)となっており、「第2表示領域13bに図柄40aが停止表示した」後に発射された遊技球が第2始動口10へ入賞可能となっていることは、当業者にとって自明である。 したがって、刊行物1発明において「第2表示領域13bに図柄40aが停止表示した場合には、第2始動口10が開放していることを報知する演出が実行」されることは、本願発明において「前記可変入賞装置制御手段は、前記所定演出の実行後に発射された遊技媒体が前記可変入賞装置へ入賞可能となるように当該可変入賞装置を制御」することに相当する。 (g)刊行物1発明は、「普通図柄の抽選により決定された普通図柄を示す普図変動パターン指定コマンドが送信されると、複数の普図変動演出パターンの中から1つの普図変動演出パターンを決定する普図変動演出パターン決定処理を行い、普通図柄の変動演出を実行する」から、「普通図柄の抽選」(所定表示結果の抽選)を契機として、「普通図柄の変動演出を実行する」(所定演出を実行する)といえる。 また、本願の請求項1には、「前記所定演出実行手段は、前記所定表示結果の抽選または前記特定表示結果の抽選を契機として前記所定演出を実行する」と記載されており、「または」との記載により「前記所定表示結果の抽選」と「前記特定表示結果の抽選」とが択一的な記載となっているから、本願発明の構成Gは、「前記所定演出実行手段」が「前記所定表示結果の抽選」または「前記特定表示結果の抽選」のいずれかを「契機として前記所定演出を実行する」ことを特定するものといえる。 したがって、刊行物1発明における「演出制御基板102は、普通図柄の抽選により決定された普通図柄を示す普図変動パターン指定コマンドが送信されると、複数の普図変動演出パターンの中から1つの普図変動演出パターンを決定する普図変動演出パターン決定処理を行い、普通図柄の変動演出を実行する」ことは、本願発明における「前記所定演出実行手段は、前記所定表示結果の抽選または前記特定表示結果の抽選を契機として前記所定演出を実行する」ことに相当する。 以上、(a)?(g)の対比より、本願発明と刊行物1発明とは、 「A 可変表示を行い、当該可変表示の表示結果として特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機であって、 B 遊技媒体が所定領域を通過したことにもとづいて、普通識別情報の可変表示を行い、当該普通識別情報の可変表示の表示結果として所定表示結果が導出表示されたときに、可変入賞装置を遊技媒体が入賞しやすい入賞可能状態に制御する可変入賞装置制御手段と、 C 可変表示が行われているときに、当該可変表示の表示結果が前記特定表示結果になることを示唆する示唆演出を実行する示唆演出実行手段と、 D 前記可変入賞装置が前記入賞可能状態に制御されるか否かを報知するための所定演出を実行する所定演出実行手段と、 E 前記示唆演出が実行される可変表示中に前記所定演出の実行を制限する所定演出制限手段とを備え、 F 前記可変入賞装置制御手段は、前記所定演出の実行後に発射された遊技媒体が前記可変入賞装置へ入賞可能となるように当該可変入賞装置を制御し、 G 前記所定演出実行手段は、前記所定表示結果の抽選または前記特定表示結果の抽選を契機として前記所定演出を実行する、遊技機。」 である点で一致し、相違点はない。 したがって、本願発明は刊行物1発明と同一であり、刊行物1に記載された発明といえる。 また、仮に相違点があったとしても、本願発明は刊行物1発明から当業者が容易に想到することができたものであるといえる。 4 むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物1発明と同一の発明であるか、又は、当業者が刊行物1発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号又は第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-11-30 |
結審通知日 | 2017-12-05 |
審決日 | 2017-12-18 |
出願番号 | 特願2015-131028(P2015-131028) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) P 1 8・ 113- Z (A63F) P 1 8・ 561- Z (A63F) P 1 8・ 121- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 遠藤 孝徳、手塚 毅、古屋野 浩志 |
特許庁審判長 |
瀬津 太朗 |
特許庁審判官 |
萩田 裕介 蔵野 いづみ |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 特許業務法人深見特許事務所 |