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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A23L
管理番号 1337391
審判番号 無効2016-800012  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2016-01-29 
確定日 2017-07-24 
事件の表示 上記当事者間の特許第5731982号発明「微細藻類バイオマスの食物組成物」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第5731982号は、2009年10月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年10月14日、米国、2009年3月3日、米国、2009年4月27日、米国、2009年9月25日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成27年4月17日に設定登録がなされたものである。
また、本件無効審判請求後の手続の経緯は、以下のとおりである。

平成28年 1月29日 無効審判請求
平成28年 6月17日 答弁書提出
平成28年11月 7日 口頭審理陳述要領書提出(請求人)
平成28年11月29日 口頭審理陳述要領書提出(被請求人)
平成28年12月13日 口頭審理陳述要領書(2)提出(請求人)
平成28年12月13日 口頭審理
平成29年 1月24日 上申書提出(被請求人)
平成29年 2月 7日 上申書提出(請求人)

2.本件特許発明
本件特許第5731982号の請求項1ないし19に係る発明(以下「本件特許発明1」ないし「本件特許発明19」ともいう。)は、特許明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
少なくとも0.1%w/wの微細藻類バイオマスおよび1つ以上の他の成分を含む食品組成物であって、
前記微細藻類バイオマスは、(i)従属栄養条件下で培養されたクロレラ・プロトセコイデスの微細藻類細胞を含み、(ii)緑色色素沈着が低減され、そして、(iii)5重量%未満または1重量%未満のドコサヘキサエン酸(DHA)(C22:6)を含むか、あるいは、ドコサヘキサエン酸(DHA)(C22:6)を実質上含まない、食品組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の食品組成物であって、ここで、前記微細藻類バイオマスは、さらに、以下の特徴:
a.藻類油が少なくとも10乾燥重量%であること;
b.前記藻類油の少なくとも50重量%が単不飽和油であること;
c.総カロテノイドが0?115mcg/gであること;
d.炭水化物が20乾燥重量%?40乾燥重量で%であること;および
e.少なくとも0.5%w/wが藻類リン脂質であること
のうちの1つ以上を含む、食品組成物。
【請求項3】
前記微細藻類バイオマスの大部分は無処置の細胞である、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項4】
前記微細藻類バイオマスの大部分は溶解細胞である、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項5】
前記微細藻類バイオマスはホモジネートである、請求項4に記載の食品組成物。
【請求項6】
前記微細藻類バイオマスは粉末である、請求項4に記載の食品組成物。
【請求項7】
前記微細藻類バイオマスは粉末状であり、前記微細藻類バイオマスは少なくとも40乾燥重量%の藻類油を含む、請求項4に記載の食品組成物。
【請求項8】
サラダドレッシング、卵製品、焼き菓子、パン、バー、スナックチップス、パスタ、ソース、スープ、飲料、冷菓、バター、またはスプレッドである、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項9】
前記粉末の平均粒径は0.2×10^(-6)メートル?10×10^(-6)メートルである、請求項6に記載の食品組成物。
【請求項10】
請求項1?9のいずれか一項に記載の食品組成物の製造方法であって、
従属栄養条件下で培養された微細藻類バイオマスであって、緑色色素沈着が低減され、かつ、5重量%未満または1重量%未満のドコサヘキサエン酸(DHA)(C22:6)を含むか、あるいは、ドコサヘキサエン酸(DHA)(C22:6)を実質上含まない、微細藻類バイオマスと、
少なくとも1つの他の成分
とを組み合わせることを含む、方法。
【請求項11】
a.従来の食品中の非藻類油、非藻類脂肪、または卵の量を判定するステップと、
b.前記非藻類油、非藻類脂肪、または卵の全てまたは一部を指定の量の微細藻類バイオマスと差し替えるか、または前記非藻類油、非藻類脂肪、または卵を指定の量の微細藻類バイオマスで補うステップと、
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
非藻類油、非藻類脂肪、または卵が前記食品組成物に添加されない、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記微細藻類バイオマスの量は、前記従来の食品中の前記非藻類油、非藻類脂肪、または卵の質量または容積の0.25倍から4倍である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記微細藻類バイオマスは、大部分が溶解され、粉末状またはホモジネートの形態である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも0.1%w/wの微細藻類バイオマスおよび1つ以上の他の成分を含む食品組成物であって、前記微細藻類バイオマスは、色彩突然変異体であり、かつ、5重量%未満または1重量%未満のドコサヘキサエン酸(DHA)(C22:6)を含むか、あるいは、ドコサヘキサエン酸(DHA)(C22:6)を実質上含まない、食品組成物であって、ここで、前記色彩突然変異体が、クロレラ・プロトセコイデス33-55株、または、クロレラ・プロトセコイデス25-32株である、食品組成物。
【請求項16】
前記微細藻類バイオマスはGMP条件下で培養される、請求項15に記載の食品組成物。
【請求項17】
前記微細藻類バイオマスはGMP条件下で培養される、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
微細藻類粉末であって、
前記微細藻類粉末は、(i)従属栄養条件下で培養されたクロレラ・プロトセコイデスの微細藻類細胞を含み、(ii)緑色色素沈着が低減され、そして、(iii)5重量%未満または1重量%未満のドコサヘキサエン酸(DHA)(C22:6)を含むか、あるいは、ドコサヘキサエン酸(DHA)(C22:6)を実質上含まず、
ここで、前記微細藻類粉末は低温殺菌されている、微細藻類粉末。
【請求項19】
さらに、防腐剤を含む、請求項18に記載の微細藻類粉末。」

3.請求人の主張及び証拠方法
請求人は、「特許第5731982号発明の特許請求の範囲の請求項1乃至19に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、」との審決を求め、無効理由の概要は以下のとおりであると主張している。

本件の請求項1乃至19に係る各特許発明は、甲第1号証乃至甲第11号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

また、請求人は、証拠方法として、以下の甲第1号証ないし甲第33号証を提出している。
[証拠方法]
甲第1号証:特開2003-23966号公報
甲第2号証:WU Qing-Yu et al,"New Discoveries in Study on Hydrocarbons From Thermal Degradation of Heterotrophically Yellowing Algae" ,SCIENCE IN CHINA(Series B),March 1994,Vol.37,No.3,p.326-335
甲第3号証:G.M.CLORE et al,"A COMPUTER ANALYSIS OF CYANIDE STIMULATED OXYGEN UPTAKE IN CHLORELLA PROTOTHECOIDES",FEBS LETTERS,July 1977,Volume79,number2,p.353-356
甲第4号証:田先威和夫ら、「哺乳子ヤギによる黄色クロレラの消化率」、日本畜産学会報/日本畜産学会編、第48巻第11号、p.661-663
甲第5号証:David Biello, "Biofuel of the Future:Oil from Algae",SCIENTIFIC AMERICAN,Sep 1,2008
甲第6号証:特開平9-252707号公報
甲第7号証:"Full Report(All Nutrients)01001,Butter,salted",USDA National Nutrient Database for Standard Reference Release 28
甲第8号証:Xiaoling Miao et al,"Biodiesel production from heterotrophic microalgal oil",Bioresource Technology 97,(2006)841-846
甲第9号証:特開2006-14700号公報
甲第10号証:Environmental Stresses In Nonmammallan Organisms,p.29
甲第11号証:Han Xu et al,"High quality biodiesel production from a microalga Chlorella protothecoides by heterotrophic growth in fermenters",Journal of Biotechnology 126(2006)499-507
甲第12号証:GRAS Notice(GRN)No.469
甲第13号証:"ALGOMED HOME PAGE"
甲第14号証:"solazyme Market and Products"
甲第15号証:特公昭45-17146号公報
甲第16号証:中国特許出願公開第1837352号明細書
甲第17号証:今井一郎ら編、「貝毒研究の最先端:現状と展望」、日本水産学会監修 水産学シリーズ153、恒星社厚生閣、2007年3月20日、p.9-18、43-48、65
甲第18号証:「アオコの毒素」、愛知県衛生研究所
甲第19号証:Yuan-Kun Lee,"Commercial production of microalgae in the Asia-Pacific rim",Journal of Applied Phycology,9:403-411,1997
甲第20号証:Robert A.kay,"Microalgae as Food and Supplement",Critical Reviews in Food Science and Nutrition,30(6):555-573(1991)
甲第21号証:RFI's Chlorella vulgaris GRAS Self affirmation,June,2011,p.1-42
甲第22号証:「健康食品」の安全性・有効性情報,国立健康・栄養研究所
甲第23号証:PRESS RELEASE,ROQUETTE
甲第24号証:「油脂類の脂肪酸成分表」
甲第24-1号証:文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会編、日本食品標準成分表2015年版(七訂)脂肪酸成分表
甲第25号証:「脂質の「味」?」、百珈苑
甲第26号証:薄木理一郎ら、「脂質は食品のおいしさやこくに影響するか?-その実証的試み-」、尚絅学院大学紀要第53集、2006-05、p.85-90
甲第27号証:特開2000-175680号公報
甲第28号証:特開2002-223787号公報
甲第29号証:特開2016-198117号公報
甲第30号証:「クロレラ[Chlorella]」、日本光合成学会
甲第31号証:「保存株情報 NIES-2163」、国立研究開発法人国立環境研究所 微生物系統保存施設
甲第32号証:「保存株情報 NIES-2176」、国立研究開発法人国立環境研究所 微生物系統保存施設
甲第33号証:平嶋竜太、“進歩性要件評価のフレームワークと「技術的課題」の意義”、パテント2010、Vol.63、No.5(別冊 No.3)、p.34-49

なお、当事者間に甲第1号証ないし甲第33号証の成立に争いはない。

4.被請求人の主張の概要
一方、被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、」との審決を求め、上記請求人の主張は、いずれも失当であり、各本件特許発明の特許を無効にする理由はない旨の主張をしている。

また、被請求人は、証拠方法として、以下の乙第1号証ないし乙第19号証を提出している。
[証拠方法]
乙第1号証:Hiroshi Takeda,"Chemical Composition of Cell Walls as a Taxonomical Marker",J.Plant Res.,106:195-200,1993
乙第2号証:Hiroshi Takeda,"SUGAR COMPOSITION OF THE CELL WALL AND THE TAXONOMY OF CHLORELLA(CHLOROPHYCEAE)",J.Phycol.,27, 224-232(1991)
乙第3号証:HIROSHI TAKEDA,"TAXONOMICAL ASSIGNMENT OF CHLOROCOCAL ALGAE FROM THEIR CELL WALL COMPOSITION",Phytochemistry,Vol.34,No.4,pp.1053-1055,1993
乙第4号証:仏国特許出願公開第2924126号明細書
乙第5号証:米国特許出願公開第2007/0099280号明細書
乙第6号証:Day et al.,"Safety evaluation of a high-lipid algal biomass from Chlorella protothecoides",Regulatory Toxicology and Pharmacology 55(2009)166-180
乙第7号証:Jeffrey A.Running et al.,"Heterotrophic production of ascorbic acid by microalgae",Journal of Applied Phycology 6:99-104,1994
乙第8号証:Michael A.Borowitzka,"Microalgae as sources of pharmaceuticals and other biologically active compounds",Journal of Applied Phycology 7:3-15,1995
乙第9号証:David Kyle,"PRODUCTION AND USE OF LIPIDS FROM MICROALGAE",Lipid Technology,May-June 1992,p.59-64
乙第10号証:Feng Chen,"High cell density culture of microalgae in heterotrophic growth",TIBTECH NOVEMBER 1996(VOL.14),p.421-426
乙第11号証:"The Great Algae Robbery",BiofuelsDigest
乙第12号証:"SOLAZYME,INC.'S ANSWER TO PLAINTIFF ROQUETTE FRERES,S.A.'S COMPLAINT,PETITION TO CONFIRM ARBITRATION AWARD,AND COUNTERCLAIMS",IN THE UNITED STATES DISTRICT COURT FOR THE DISTRICT OF DELAWARE
乙第13号証:"Roquette's Microalgae High Lipid Algal Flour Wins Most Innovative Food Ingredie at the 2013 Fi Europe Excellence Awards",PR Newswire Association LLC,Nov 25,2013
乙第14号証:Jorg Ullmann,"The difference between chlorella vulgaris and chlorella pyrenoidosa",ALGOMED Publications,(Diplom-Biologe);2006
乙第15号証:"History",Roquette Klotze GmbH & Co.KG
乙第16号証:Volker A.R.Huss et al., "BIOCHEMICAL TAXONOMY AND MOLECULAR PHYLOGENY OF THE GENUS CHLORELLA SENSU LATO(CHLOROPHYTA)",J.Phycol,35,587-598(1999)
乙第17号証:John Kirk et al.,"Mastitis Contorol Program for Prototheca Mastitis in Dairy Cows"
乙第18号証:"JOINT VENTURE AND OPERATING AGREEMENT OF SOLAZYME ROQUETTE NUTRITIONALS, LLC",November 3,2010
乙第19号証:"SOLAZYME,INC., Claimant/Respondent, vs. ROQUETTE FRERES,S.A., Claimant/Respondent"ARBITRATION AWARD,February 19,2015

5.甲各号証の記載事項
甲第1、2、11、15、16、24-1?26号証には、以下の各事項が記載されている。

[甲第1号証]
(甲1a)「【請求項1】クロレラ属に属し、αセルロースを殆ど含まずアルカリで容易に溶解し、また機械的にも極めて破壊し易い細胞壁を有し、且つ暗培養下で、明培養された独立栄養のクロレラ属が細胞内につくるCGFとほぼ同量同質のCGFを細胞内につくる藻類を、緑茶に配合してなる緑茶組成物。
【請求項2】請求項1記載の緑茶組成物において、藻類がクロレラ・ブルガリスE-25であることを特徴とする緑茶組成物。
【請求項3】請求項1又は2記載の緑茶組成物において、緑茶組成物を茶葉、水性液又は粉末の形態で得ることを特徴とする緑茶組成物。
【請求項4】クロレラ属に属し、αセルロースを殆ど含まずアルカリで容易に溶解し、また機械的にも極めて破壊し易い細胞壁を有し、且つ暗培養下で、明培養された従来のクロレラ属が細胞内につくるCGFとほぼ同量同質のCGFを細胞内につくる藻類を、緑茶に配合してなる緑茶組成物の製造方法において、
加熱前処理済みの藻類を粉末又は水性液の形態で準備し、緑茶を茶葉、粉末若しくは浸出エキス又はこれらの水性液の形態で準備し、前記藻類と前記緑茶を混合することを特徴とする緑茶組成物の製造方法。」

(甲1b)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、味がまろやかで、飲料として適した浸出液を得ることができる緑茶組成物及びその製造方法に関するものである。」

(甲1c)「【0002】
【従来の技術】茶葉の浸出液は、古来より嗜好飲料として、また、カテキン、カフェイン、ビタミン、テアニンを始めとする多数の優れた機能成分を含んでいることから健康飲料として高い評価を得てきた。ところで、緑茶には、大別すると、玉露、てん茶(抹茶)、煎茶、番茶、ほうじ茶、玄米茶等の蒸し製の茶と、かまいり製の茶とがある。その中で、高価な玉露や上級煎茶がまろやかな風味を有しているのに対して、安価な下級煎茶(例えば、3、4番茶)や番茶となると幾分苦味・渋味があった。そのため、多くの購買者は、風味の点からは玉露や上級煎茶を好んでいるが、価格の点から下級煎茶や番茶を購入しているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】それ故、本発明は、安価な下級煎茶等を茶原料とするにもかかわらず、苦味・渋味が少なく、玉露や上級煎茶等のようにまろやかでうま味のある安価な緑茶組成物を提供することを目的とする。」

(甲1d)「【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説明する。まず、緑茶組成物の茶原料である緑茶と藻類について説明する。「緑茶」とは、茶芽に対して製造の最初の段階で蒸気で蒸したり、火熱で熱する等の作業を行うことにより酵素の活性を停止させて(即ち、醗酵させずに)つくったものを意味する。従って、玉露、てん茶(抹茶)、煎茶、番茶、ほうじ茶、玄米茶等の蒸し製の茶と、かまいり製の茶が含まれる。なお、ほうじ茶や玄米茶等は煎茶等を更に焙煎や強火加熱しているので、最終的には薄茶色となるがこれらも本発明では緑茶に含まれる。
【0010】茶原料として煎茶の下級茶や番茶、ほうじ茶等を使用した場合に風味の改善効果が顕著であり、また安価であることから、これらの使用が推奨される。また、本発明で使用する藻類は後述するように鮮緑色をしていることから、外観が緑色の茶、例えば煎茶や番茶を茶原料とすれば、藻類の緑色の着色効果を利用することができる。」

(甲1e)「【0011】本発明で使用するクロレラ族に属する藻類は、αセルロースを殆ど含まずアルカリで容易に溶解し、また機械的にも極めて破壊し易い細胞壁を有し、且つ暗培養下で、明培養された独立栄養のクロレラ属が細胞内につくるCGFとほぼ同量同質のCGFを細胞内につくる変異株である。
【0012】上記のクロレラ属に属する藻類は、単細胞分離によって特異な変異株を分離したもので次のような種々の特性を有する。
(1)何回も単細胞分離を繰り返すことによって得られた純系の株であって、オープンな野外池で培養されたクロレラと異なり、系統株の性質が安定し、実験結果の再現性が極めて高い。
(2)細胞壁のαセルロースが欠損しており、物理的には破砕が極めて容易で、消化率も従来の独立栄養クロレラよりも高く、実際に実験したところ、ラットの直接法による真の消化率は独立栄養クロレラの59.7%に対し、81.6%であった。
(3)暗培養のクロレラはCGF含有量が低いのが通例であるにもかかわらず本株のCGF含有量が高い。従属栄養性クロレラであって、暗黒下のタンク培養に適し、発育速度も早く(培養時間30℃で41?72時間)、藻体も鮮やかな緑色を呈する。
(4)風味が玉露や高級煎茶と酷似している。」

(甲1f)「【0013】上記の藻類の代表的なものは、「クロレラ・ブルガリスE-25株」である。このクロレラ・ブルガリスE-25株は、特公昭58-29074において開示されている。明暗培養にかかわらず、細胞の大きさは2.8?3.9×3.2?4.2μで、平均の縦横の比は1.00?1.08の球形で、細胞壁は平滑である。単一細胞で生活し、細胞内にカップ状葉緑体を1個、ビレノイド1個を有する。2個、4個又は6個(通常4個)の嬢細胞(autospore)を形成し、無性的に繁殖する。生理的性質としては、ヒドロゲナーゼを持たず、窒素欠乏状態ではクロロフィル及びカロチノイドを生成しないため退色する。ルテニウム赤で染色すると赤色に染まる。生育条件は、温度が25?40℃、pHが5?9である。酢酸やグルコースを利用する暗培養(有機培養)では炭素源として酢酸やD-グルコースを利用するが、エチル・アルコールは利用しない。また、窒素源としては尿素、酢酸アンモニウム等有機窒素源の他、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム等の無機窒素源を利用することができる。
【0014】クロレラ・ブルガリスE-25は、以下の成分を有する。
【表1】

従って、クロレラ・ブルガリスE-25は栄養学的見地からも好ましいものである。」

(甲1g)「【0015】藻類は、タンク培養(暗培養)し、菌体を遠沈集菌後2?3回水洗、遠沈を繰り返した後、光アレルギーに対処するために110℃程度で3?10分程加熱前処理を施した後に凍結乾燥または噴霧乾燥することにより製造できる。クロレラのエキスは、例えば、乾燥した藻類を水に懸濁し、100℃で1時間程度煮沸した後に遠沈させ、上澄みを水で10?20倍に希釈することで製造できる。なお、クロレラ・ブルガリスE-25は出願人から入手可能である。」

(甲1h)「【0020】
【実施例】以下の実施例で使用したクロレラ・ブルガリスE-25は、タンク培養(暗培養)し、菌体を遠沈集菌後2?3回水洗、遠沈を繰り返した後に光アレルギーに対処するために110℃程度で3分程加熱前処理を施した後、噴霧乾燥することにより製造した。また、煎茶等の緑茶は、全て市販のものである。
【0021】実施例1
煎茶の4番茶(茶葉) 100g
クロレラ・ブルガリスE-25 2g
水 10g
上記を一緒にしたものをフードプロセッサーにて1分間撹拌し、60℃の通風乾燥機にて50分間乾燥した。得られた混合物2gを熱湯(70℃)150gにて浸出して得られた液体飲料(緑茶組成物)を試飲してみたところ、苦味・渋味が少なく、玉露や高級煎茶に似たまろやかな風味であった。
【0022】実施例2
抹茶(粉末) 92g
クロレラ・ブルガリスE-25 8g
上記を一緒にしたものをフードプロセッサーにて1分間撹拌した。得られた混合物1gを少量の熱湯(60℃)を加え、茶筅にて撹拌した。得られた液体飲料(緑茶組成物)を試飲してみたところ、苦味・渋味が少なく、玉露や高級煎茶に似たまろやかな風味であった。
【0023】実施例3
煎茶の4番茶(茶葉) 50g
クロレラ・ブルガリスE-25 1g
熱湯(70℃) 3500g
上記を一緒にしたものをろ別し、得られた液体飲料(緑茶組成物)を加熱殺菌(100℃)し、常温まで冷ました後ペットボトルに充填した。液体飲料(緑茶組成物)をその直後に試飲してみたところ、苦味・渋味が少なく、玉露や高級煎茶に似たまろやかな風味であった。また、外観は鮮緑色であった。
【0024】実施例4
煎茶の代りに他の茶葉を使用した場合も、実施例3と同様にして液体飲料(緑茶組成物)を製造し、同様に調べてみたところ、苦味・渋味が少なかった。
【0025】実施例5
実施例3、4の茶葉の代りに、それぞれの茶葉の浸出液を噴霧乾燥して得た粉末を使用し、それに、クロレラ・ブルガリスE-25(1g)と熱湯(60℃)を加えて十分に混合した。得られた液体飲料(緑茶茶組成物)をその直後に試飲してみたところ、苦味・渋味が少なく、玉露や高級煎茶に似たまろやかな風味であった。また、外観は鮮緑色であった。」

(甲1i)「【0026】比較例1
上記の実施例1?5の液体飲料(緑茶組成物)と比較するため、クロレラ・ブルガリスE-25を含まず、緑茶成分のみなからなる緑茶飲料を、同様の方法で製造し、風味や色、更に経時安定性を調べたところ、いずれの結果も実施例1?6の液体飲料(緑茶組成物)に比べて劣っていた。
【0027】比較例2
上記の実施例1?5の液体飲料(緑茶組成物)と比較するため、クロレラ・ブルガリスE-25の代りに従来の太陽光下で培養されたクロレラを含む緑茶飲料を、同様の方法で製造し、風味を調べたところ、青味が強く、飲料にはとても向かないことが分かった。
【0028】比較例3
上記の実施例1?5の液体飲料(緑茶組成物)と比較するため、クロレラ・ブルガリスE-25の代りに藻類のスピルリナを含む緑茶飲料を、同様の方法で製造し、風味を調べたところ、青味が強く、飲料にはとても向かないことが分かった。」

(甲1j)「【0029】
【発明の効果】本発明の緑茶組成物は、茶原料として下級煎茶等の安価な緑茶を使用しても、結果的に得られる液体飲料は、玉露や高級煎茶に似た、苦味・渋味が少なくまろやかな風味を有する。」

以上の記載より、甲第1号証には、以下の各発明(以下、それぞれ「甲1-1発明」及び「甲1-2発明」ともいう。)が記載されている。

<甲1-1発明>
「クロレラ属に属する藻類を緑茶に配合してなる緑茶組成物であって、
前記藻類は、緑茶と藻類の合計量に対して最大10%程度まで配合され、
前記藻類は、αセルロースを殆ど含まずアルカリで容易に溶解し、また機械的にも極めて破壊し易い細胞壁を有し、且つ暗培養したクロレラ・ブルガリスE-25であり、
前記藻類は、鮮緑色をした
緑茶組成物。」

<甲1-2発明>
「クロレラ属に属する藻類の粉末であって、
前記藻類は、αセルロースを殆ど含まずアルカリで容易に溶解し、また機械的にも極めて破壊し易い細胞壁を有し、且つ暗培養したクロレラ・ブルガリスE-25であり、
前記藻類は、鮮緑色をし、
前記藻類は、加熱前処理済みである
藻類の粉末。」

[甲第2号証](括弧内は日本語訳。以下同様。)
(甲2a)「New Discoveries in Study on Hydrocarbons From Thermal Degradation of Heterotrophically Yellowing Algae」(第326頁表題)(従属栄養黄変藻類の熱分解由来の炭化水素の研究における新たな発見)

(甲2b)「

」(第326頁「Abstract」)(要約 緑色独立栄養藻類クロレラ・プロトセコイデスには炭化水素が極微量含まれている。この藻類の従属栄養培養の結果により、細胞が黄変、クロロフィルが消失し、タンパク質の減少と脂質が顕著に増加する。200℃以下での細胞の熱分解からの炭化水素の直接低下量は非常に低い。これらの炭化水素はC_(23)-C_(25)で最大となる高分子量ノルマルアルカンの優位性によって特徴づけられる。これらの従属栄養細胞が300℃で熱せられ分解されると、脂肪族炭化水素は、同じ温度で緑色独立栄養性の32倍と大幅に増加する。一方、C_(17)による低分子量のピーク時におけるノルマルアルカンは、高分子量のノルマルアルカンに代わり優位となる。炭化水素を生産するマイクロプランクトン藻類の潜在的能力は、人々の認識以上のものであると考えられる。)

(甲2c)「

」(第326?327頁「1 Introduction」)(1 はじめに
藻類生成した炭化水素の特性に関する研究のほとんどは、原油、根源岩といくつかの微細藻類の化石のサンプルに焦点を当てている。藻類の熱模擬実験は、多くの場合材料として緑色独立栄養細胞を直接使用している。微細藻類の多くの種が、有機炭素栄養が豊富な環境内で独立栄養性成長から従属栄養性成長へと変換し、その結果、藻類の黄変やクロロフィルが消滅することが判明してきた。従属栄養性黄変細胞の熱変化によるガス生成率の増加も報告されているが、熱変化による従属栄養性黄変とその細胞内での生物化学的変化の液体炭化水素への影響は不明である。本研究の目的は熱変化の対象となっている従属栄養性黄変細胞の過程をシミュレートし、藻類生成炭化水素の可能性とパターンに関する細胞内での化学的変化の影響を調査することである。)

(甲2d)「

・・・

」(第328?329頁「3.1 Fatty Acids and Amino Acids in Two Kinds of Cells」)(3 結論
3.1 2種類の細胞中の脂肪酸とアミノ酸
従属栄養性黄変藻類と独立栄養性藻類の天然脂質と脂肪酸の判定から、前者の天然脂質の含有量の方が、後者の天然脂質含有量よりも非常に高いことを示した(表1)。それらの組成物と脂肪酸の相対的内容量もまた非常に相違している。特に、従属栄養性黄変細胞は、全脂肪酸の69.36%を占める大量のオレイン酸を含んでいる。
・・・

)

[甲第11号証]
(甲11a)「

」(第499頁「Abstract」)(要約
本研究の目的は、エステル交換の技術によって、微細藻類Chlorella protothecoidesから高品質バイオディーゼルを生産することであった。C. protothecoidesの従属栄養増殖による代謝調節の技術を利用した。微細藻類C. protothecoidesには55.2%の粗脂質含有物が含まれた。バイオマスを増加させ、藻類の費用を削減するために、発酵槽中での従属栄養培地における有機炭素源として、グルコースの代わりにコーンパウダー加水分解物を使用した。結果は、従属栄養条件下で細胞密度が著しく増加し、最高細胞濃度は15.5gL^(-1)に達することを示した。n-ヘキサンを使用することによって、従属栄養細胞から多量の微細藻類油が効率的に抽出され、その後、酸性エステル交換によってバイオディーゼルに変換された。このバイオディーゼルは、41MJkg^(-1)の高い発熱量、0.864kgL^(-1)の密度、および5.2×10^(-4)Pas(40℃において)の粘度を特徴とした。この方法は、微細藻類からの液体燃料の工業的生産の大きな可能性を有する。)

(甲11b)「

」(第499?500頁「1 Introduction」)(1.序論
バイオディーゼル燃料は、生分解性、再生可能および非毒性燃料として、近年相当な注目を集めている。またこれは、大気へ正味の二酸化炭素または硫黄を寄与せず、従来のディーゼル燃料よりも気体状汚染物質の排出が少ない(Langら、2001;Antolin ら、2002;Vicenteら、2004)。バイオディーゼル燃料は、脂肪酸の単純なアルキルエステルからなるが、現在、研究テーマおよびデモンストレーション用燃料から市販品へと移行している。2001年における米国の年間生産量は5700?7600万リットルと推定され、欧州での生産はその10倍以上と推定される(Jhon Van Gerpen、2005)。しかしながら、バイオ燃料生産の経済的な面が、その開発および大規模利用を制限している。バイオディーゼルは、従来のディーゼル燃料の0.35米ドルL^(-1)と比較して、通常、0.5米ドルL^(-1)以上の費用がかかる(Zhangら、2003)。
Chlorella protothecoidesは、異なる培養条件下で、光独立栄養的または従属栄養的に増殖可能な微細藻類である。炭素供給源としてアセトン、グルコースまたは他の有機化合物が供給されるC. protothecoidesの従属栄養増殖では、高いバイオマスおよび細胞中の高い脂質含有量が結果として生じる(Endoら、1977; Wuら、1994)。培地への有機炭素供給源(グルコール)の添加、および培地における無機窒素供給源の減少により、C. protothecoidesは、55.2%までの粗脂質含有量物を伴って培養され、これは、光独立栄養C. protothecoidesにおけるものの約4倍であった(MiaoおよびWu, 2004a)。したがって、C.protothecoidesは、水産養殖用飼料、人間用栄養補助食品および医薬品などの多くの製品の重要な供給源になる(Kyle、1992;Runningら、1994;Borowitzka、1995;Chen、1996)のみではなく、燃料生産のための非常に良好な候補としても提案されている(Wuら、1992;Wenら、2002;MiaoおよびWu、2004a)。
バイオマスを増加させ、藻類の費用を減少させるために、C.protothecoidesの従属栄養増殖における基質としてコーンパウダー加水分解物(CPH)を使用した。5L撹絆タンク発酵槽でCHPを供給し、Chlorella protothecoidesを従属栄養的に培養したところ、細胞密度(15.5gL^(-1))および生産性の有意な改善が見られた。酸性エステル交換によって、従属栄養的微細藻類油から高品質バイオディーゼルが得られた。これは、41MJkg^(-1)の高い発熱量、0.864kgL^(-1)の密度、および5.2×10^(-4)Pas(40℃において)の粘度を特徴とした。)

[甲第15号証]
(甲15a)「本発明は、食糧、飼糧、薬用、葉緑素、乳酸菌増殖促進因子及び生理的活性因子等の資源として、重要視されているクロレラ、セネデスムス等単細胞緑藻類(以下クロレラ等という)の従属栄養的培養に関するもので、種株の選択分離とこれをもとにする工業的大量培養についての一貫した方法である。」(第1頁左欄18?24行)

(甲15b)「本発明者等は多年このクロレラ等の従属栄養的培養法の研究を行つて来たが、クロレラ等の培養に光に依存しないでよく増殖するクロレラ等の株の選択、及びその培養条件を見出しうれば工業的にタンク培養という手段によつて大量生産しうるであろうという知見をえた。かくすれば、資源的に極めて豊富な糖等の炭水化物をエネルギー源として利用し、栄養的に価値高く且つ資源的には乏しい蛋白質、ビタミン等を極めて能率的に且安価に生産しうるものである。」(第1頁左欄37行?同右欄8行)

[甲第16号証](「?」は文字を非表示)
(甲16a)「小球藻含?富的蛋白?、多糖、脂?、叶?素、?生素、微量元素和一些生物活性代??物,广泛?用于保健食品、?料、食品添加?、精?化工品和医?制?原料。」(明細書第1頁7?9行)(クロレラは、豊富なタンパク質、多糖類、脂質、葉緑素、ビタミン、微量元素、いくつかの生物活性代謝産物を含んでおり、保健食品、飼料、食品添加剤、精密化学品、及び医薬製剤原料に幅広く応用されている。)

(甲16b)「迄今?止,已?道的??小球藻的大?模培??大部分以葡萄糖??源,但是葡萄糖的利用率都?低,培?末期剩糖?多,需要重新收集使用或者被浪?。根据??小球藻的不同?,其耐受的最高葡萄糖?度不尽相同。?于原始小球藻Chlorella protothecoides,Shi等(1999)的研究??最?合生?叶黄素的葡萄糖?度?40g/l,但是?世名等(2000)??最有利于小球藻生?的葡萄糖?度是10g/l,?海等(2005)的???是葡萄糖?度高于13.8g/l就?小球藻生??生不良影?。」(明細書第1頁15?21行)(これまでのところ、すでに報道されている従属栄養クロレラの大規模培養の大部分はブドウ糖を炭素源としているが、ブドウ糖の利用率はいずれも低く、培養末期の残糖が多く、改めて集めて使用しなければならないか、もしくは浪費される。従属栄養クロレラの異なる種に応じて、それらが耐え得る最高ブドウ糖濃度が同じとは限らない。クロレラ・プロトセコイデス(Chlorella protothecoides)については、Shiら(1999)の研究が、ルテインを生産するのに最も適したブドウ糖濃度は40g/lであるとの見解を示しているが、劉世名ら(2000)は、クロレラの成長に最も有利なブドウ糖濃度は10g/lと考えており、?海ら(2005)の結論は、ブドウ糖濃度が13.8g/lよりも高ければクロレラの成長に悪影響をもたらすというものである。)

[甲第24-1号証](関連する箇所のみ)
(甲24-1a)「



[甲第25号証]
(甲25a)「脂質の「味」?
一般に脂質、あるいは油脂分は、特定の「味覚」をもたらすものとしては認識されていません。ただし中華料理などでは、油が「料理にコクを与えるもの」として用いられることがありますし、生クリームやバターなどの乳脂肪分にもコクの要素を見いだすことが可能です。コーヒーについても油脂分がコクの元になるものであるとともに、香り成分を溶かし込んで口腔内にとどめる役割を果たしており、風味全体に影響するものだと考えられています。」

[甲第26号証]
(甲26a)「緒 言
脂質が食品のおいしさに大きな関わりをもっていることは経験的に知られているが、食品中の脂質が味覚にどのように影響しているかについてはまだ不明な点が多い。
脂ののったまぐろのトロや霜降りの牛肉がなぜおいしいか、どういう物質が関与しているのかはまだ明らかになっていない。
よく精製された食用油脂は無味無臭であるが、酸化すると酸化臭とともに味が変わってくることに関して著者の一人は長年取り組んできたが、今回、脂質(油脂)が食品のおいしさやこくにどのように関与しているかについて二つの面から検討した。すなわち、一つは市販スープに油脂を添加するあるいは脱脂するとおいしさやこくがどのように変わるか、また添加する油脂が異なるとその効果に違いがあるのかについて検討した。もう一つは、霜降り牛肉の旨味成分に関する検討である。
近年、カロリーを抑える観点から低脂肪食品が多く見られるが、脂肪含量が減るとおいしさやこくが低下することが知られている中で、本研究の意義は大きい。」

(甲26b)「3.スープの脱脂による官能評価の変化
市販スープを脱脂すると官能評価がどのように変わるか試験した。脱脂しないスープを処方どおりに調製したところ非常に味が濃かったので、官能検査にあたっては、脱脂スープに対する対照試料として、通常処方したものを1.4 倍に希釈したものも用意した。その結果を表-5、表-6に示した。スープC、Dともに、脱脂により旨味、こくの大幅な減少が見られ、さらにまろやかさ、好ましさ、おいしさに関しても減少が見られた。脱脂によるロスが10%近くあるものの、これらの結果は、スープ中の脂肪がおいしさとこくの強さ(感じ方)に関与していることを示している。」

6.乙各号証の記載事項
乙第1?3号証には、以下の各事項が記載されている。

[乙第1号証]
(乙1a)「

」(第198頁左欄26行?同右欄11行)(細胞壁溶解活性はまた、種特異的でもある。ArakiおよびTakeda(1992)は、Chlorellaにおいて2つのタイプの溶解酵素が存在することを示した。第一の群の酵素は、アルカリで最適pHを有し、第二の群の酵素は、酸性の最適pHを有する。両方の群の酵素はまた、それらの局在性も異なる。アルカリ性の最適pHの溶解酵素は、サイトゾルおよび細胞壁の両方で見出され、酸性の最適pHの溶解酵素は、サイトゾルでは見出されなかったが、細胞壁での局在化に加えて培養培地で見出された。溶解酵素がアルカリ性の最適pHであるクロレラは、グルコサミンの硬い壁を有し、溶解酵素が酸性の最適pHであるクロレラは、グルコース及びマンノースの硬い壁を有する。あるクロレラから抽出した細胞壁溶解酵素を、種々のクロレラの細胞壁に作用させた。ある溶解酵素は、当然のように自身の細胞壁を分解する。その酵素はまた、いくつかの他の株の細胞壁も分解したが、密接に関連する株のみに限られていた(ArakiおよびTakeda 1992)。細胞壁溶解酵素は種特異性を有することが示された。)

[乙第2号証]
(乙2a)「

」(第224頁左欄「Abstract」)(Gottingenの藻類コレクション(C. fusca var. vacuolata、C. kessleri、C. luteoviridis、C. minutissima、C. protothecoides、C. saccharophila、C. sorokiniana、C. vulgaris、及びC. zofingiensis)の全種をカバーする40種のクロレラ株の細胞壁を比較した。9つの種は、硬い壁における主要な糖に従って2つの群に分けられた。第一の群は、グルコース-マンノースの硬い壁を有し、この群には、C. fusca var. vacuo1ata、C. luteoviridis、C. minutissima、C. protothecoides、C. saccharophila、及びC. zofingiensisが含まれた。グルコサミンの硬い壁を有する第二の群には、C. kessleri、C. sorokiniana、及びC. vulgarisが含まれた。9つの種のクロレラ株を、細胞壁の構成糖、ルテニウム赤染色性、及び異方性によってさらに分類した。)

[乙第3号証]
(乙3a)「

」(第1053頁左欄「Introduction」)(クロレラ種の細胞壁は、とりわけ多様である[1?3]。細胞壁組成を比較した後、Takeda[4]は、クロレラの分類分けを提示した。この属は、硬い壁の糖構成(グルコース-マンノース型及びグルコサミン型)によって、2つの大きな群に分けられ得る。前者は、C. fusca var. vacuolata、C. luteoviridis、C. minutissima、C. protothecoides、C. saccharophila、及びC. zofingiensisを含み、後者は、C. kessleri、C. sorokiniana、及びC. vulgarisである[4]。すべての種で、それらのルテニウム赤染色性、異方性及びマトリックス多糖類の糖組成が異なっていた。
本研究では、8つのクロレラ株、並びにScenedesmus及びViridiellaの各々の1つの株の細胞壁を、種に割り当てた。)

7.当審の判断
7-1.本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1-1発明とを対比すると、
甲1-1発明の「緑茶組成物」は、本件特許発明1の「食品組成物」に相当し、
甲1-1発明の「暗培養」することは、本件特許発明1でいう「従属栄養条件下で培養」することを意味し、
甲1-1発明における藻類の緑茶と藻類の合計量に対する配合の最大値「10%程度」は、本件特許発明1における微細藻類バイオマスの「少なくとも0.1%w/w」の範囲内であり、
そして、甲1-1発明の「クロレラ・ブルガリスE-25」と、本件特許発明1の「クロレラ・プロトセコイデス」とは、「クロレラ」である限りにおいて一致する。
よって、両者は、
「少なくとも0.1%w/wの微細藻類バイオマスおよび1つ以上の他の成分を含む食品組成物であって、
前記微細藻類バイオマスは、従属栄養条件下で培養されたクロレラの微細藻類細胞を含む、食品組成物。」である点で一致し、以下の各点で相違する。

相違点1-1:クロレラが、本件特許発明1では、クロレラ・プロトセコイデスであるのに対し、甲1-1発明では、αセルロースを殆ど含まずアルカリで容易に溶解し、また機械的にも極めて破壊し易い細胞壁を有したクロレラ・ブルガリスE-25である点。

相違点1-2:本件特許発明1では、微細藻類バイオマスは緑色色素沈着が低減されているのに対し、甲1-1発明では、藻類は鮮緑色をしている点。

相違点1-3:本件特許発明1では、微細藻類バイオマスは5重量%未満または1重量%未満のドコサヘキサエン酸(DHA)(C22:6)を含むか、あるいは、ドコサヘキサエン酸(DHA)(C22:6)を実質上含まないとされているのに対し、甲1-1発明では、そのような特定がない点。

そこで、上記各相違点について検討する。
先ず、相違点1-2及び相違点1-3について検討すると、
相違点1-2に関し、低減された色素沈着について、本件特許明細書の段落【0005】に「屋外の池または光バイオリアクタにおいて、光合成で成長した藻類で作られる藻類粉末は、市販されているが、深緑色(クロロフィルによる)で、強烈な、不快な味を有する。」と記載され、同段落【0087】に「クロレラ等の微細藻類は、光合成または従属栄養のいずれかで成長することができる可能性がある。炭素源が固定炭素源であり、光の非存在下である従属栄養条件下で成長した場合、通常緑色の微細藻類は、黄色い色を有し、緑色色素沈着を欠くか、緑色色素沈着が有意に低減される。低減された(または緑色色素沈着を欠く)緑色色素沈着の微細藻類は、食物成分として有利であり得る。低減された(または緑色色素沈着を欠く)緑色色素沈着の微細藻類の1つの利点は、微細藻類が、低減されクロロフィル風味を有するということである。」と記載されているように、クロレラ等の微細藻類は、光の非存在下である従属栄養条件下で成長した場合には、通常緑色の微細藻類は、緑色色素沈着を欠くか、緑色色素沈着が有意に低減され、また、クロロフィルによる不快味も低減する。
そうすると、甲1-1発明の「暗培養したクロレラ・ブルガリスE-25」については、鮮緑色をしているとされているものの、明培養したクロレラ・ブルガリスE-25と比較して、少なくとも緑色色素沈着が低減されている蓋然性は高いものと認められる。
また、相違点1-3に関し、甲第1号証には、甲1-1発明の「暗培養したクロレラ・ブルガリスE-25」のドコサヘキサエン酸(DHA)の含有量についての直接的な記載はない。
しかし、DHAは、青魚に比較的多く含まれている脂肪酸ではあるが、他の食品にはそれほど含まれているものではない。
そして、他のクロレラではあるが従属栄養培養(暗培養)されたクロレラ・プロトセコイデスについてはDHAを含有していないこと(記載事項(甲2d))及び、甲第1号証には「暗培養したクロレラ・ブルガリスE-25」の成分として、脂質全体でも13.5?21.0%(記載事項(甲1f))程度の量からみて、「暗培養したクロレラ・ブルガリスE-25」はDHAを5%以上含んでいるとは認められない。
よって、上記相違点1-2及び相違点1-3は、それぞれ実質的な相違点とはいえない。

しかし、相違点1-1について検討すると、
甲1-1発明は、安価な下級煎茶等を茶原料とするにもかかわらず、苦味・渋味が少なく、玉露や上級煎茶等のようにまろやかでうま味のある安価な緑茶組成物を提供することを課題とし、「暗培養したクロレラ・ブルガリスE-25」を緑茶組成物に配合することにより当該課題を解決したものである。
さらに、甲1-1発明の「暗培養したクロレラ・ブルガリスE-25」は緑茶組成物に配合することにより、
ア αセルロースを殆ど含まずアルカリで容易に溶解し、また機械的にも極めて破壊し易い細胞壁を有することから、消化率も従来の独立栄養クロレラよりも高く(記載事項(甲1a)、(甲1e))、
イ 暗培養下で、明培養された独立栄養のクロレラ属が細胞内につくるCGF(Chlorella growth factor;クロレラに含有される生理活性物質)とほぼ同量同質のCGFを細胞内につくるので、栄養学的見地からも好ましく(記載事項(甲1a)、(甲1e)、(甲1f))、
ウ 鮮やかな緑色を呈するので、煎茶や番茶を茶原料とすれば、藻類の緑色の着色効果を利用することができる(記載事項(甲1e)、(甲1d))、
という有利な効果も奏するものである。

これに対し、甲第2号証には、「従属栄養性黄変藻類クロレラ・プロトセコイデス」についての記載はあるが、甲第2号証は、従属栄養黄変藻類の熱分解由来の炭化水素の研究に係るもので、上記「従属栄養性黄変藻類クロレラ・プロトセコイデス」を、緑茶組成物に用いることはもとより、食品組成物に用いることの記載または示唆はない。
また、上記「従属栄養性黄変藻類クロレラ・プロトセコイデス」について、甲第2号証には、細胞が黄変、クロロフィルが消失し、タンパク質の減少と脂質が顕著に増加するとされているが(記載事項(甲2a)、(甲2b))、緑茶組成物に配合した場合に、甲1-1発明の「暗培養したクロレラ・ブルガリスE-25」と同様に、上記課題を解決できること、すなわち安価な下級煎茶等を茶原料とするにもかかわらず、苦味・渋味が少なく、玉露や上級煎茶等のようにまろやかでうま味を与えることについては、請求人から提出されたいずれの証拠にも記載または示唆はなく、また、技術常識もない。
さらに、「クロレラ・プロトセコイデス」は、細胞壁は固い壁であることが知られており(記載事項(乙1a)、(乙2a)、(乙3a))、暗培養下で、明培養された独立栄養のクロレラ属が細胞内につくるCGFとほぼ同量同質のCGFを細胞内につくるかは不明であり、そして、鮮やかな緑色を呈すものでもないことより、甲1-1発明の上記有利な効果ア?ウも期待することができない。
よって、甲1-1発明において、クロレラ・ブルガリスE-25に代えてクロレラ・プロトセコイデスを用いることに動機付けはなく、上記相違点1-1の本件特許発明1のようになすことは、当業者が容易になし得たこととはいえない。

したがって、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2?11号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

7-2.本件特許発明2ないし9について
本件特許発明2ないし9と甲1-1発明とを対比すると、両者は、少なくとも上記「7-1.本件特許発明1について」で挙げた相違点1-1において相違し、当該相違点は、上記したように容易になし得たこととはいえないから、本件特許発明2ないし9は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2?11号証に記載された発明または周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

7-3.本件特許発明10ないし14、17について
本件特許発明10ないし14、17は、「食品組成物」に係る本件特許発明1を直接的または間接的に引用する製造方法の発明であるが、本件特許発明1と甲1-1発明とを対比すると、上記「7-1.本件特許発明1について」で挙げた相違点1-1において相違し、当該相違点は、上記したように容易になし得たこととはいえないから、その製造方法に係る本件特許発明10ないし14、17についても、甲第1号証に記載された発明及び甲第2?11号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

7-4.本件特許発明15について
本件特許発明15と甲1-1発明とを対比すると、
「少なくとも0.1%w/wの微細藻類バイオマスおよび1つ以上の他の成分を含む食品組成物であって、前記微細藻類バイオマスは、クロレラである、食品組成物。」である点で一致し、以下の各点で相違する。

相違点15-1:クロレラが、本件特許発明15では、色彩突然変異体であるクロレラ・プロトセコイデス33-55株、または、クロレラ・プロトセコイデス25-32株であるのに対し、甲1-1発明では、αセルロースを殆ど含まずアルカリで容易に溶解し、また機械的にも極めて破壊し易い細胞壁を有したクロレラ・ブルガリスE-25である点。

相違点15-3:本件特許発明15では、微細藻類バイオマスは5重量%未満または1重量%未満のドコサヘキサエン酸(DHA)(C22:6)を含むか、あるいは、ドコサヘキサエン酸(DHA)(C22:6)を実質上含まないとされているのに対し、甲1-1発明では、そのような特定がない点。

そこで、上記各相違点について検討すると、
先ず、相違点15-3について検討すると、上記「7-1.本件特許発明1について」において相違点1-3について検討したのと同様に、実質的な相違点とはいえない。
しかし、相違点15-1について検討すると、
上記「7-1.本件特許発明1について」において相違点1-1について検討したのと同様に、甲1-1発明において、クロレラ・ブルガリスE-25に換えてクロレラ・プロトセコイデスを用いることは当業者が容易になし得たこととはいえず、さらに、色彩突然変異体であるクロレラ・プロトセコイデス33-55株、または、クロレラ・プロトセコイデス25-32株を食品組成物に用いることについては、請求人が提示したいずれの証拠にも記載あるいは示唆はない。
よって、甲1-1発明において、上記相違点15-1の本件特許発明15のようになすことは、当業者が容易になし得たこととはいえない。

したがって、本件特許発明15は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2?11号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

7-5.本件特許発明16について
本件特許発明16と甲1-1発明とを対比すると、両者は、少なくとも上記「7-4.本件特許発明15について」で挙げた相違点15-1において相違し、当該相違点は、上記したように容易になし得たこととはいえないから、本件特許発明16は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2?11号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

7-6.本件特許発明18について
本件特許発明18と甲1-2発明とを対比すると、
「微細藻類粉末であって、
前記微細藻類粉末は、従属栄養条件下で培養されたクロレラの微細藻類細胞を含む、微細藻類粉末。」である点で一致し、以下の各点で相違する。

相違点18-1:クロレラが、本件特許発明18では、クロレラ・プロトセコイデスであるのに対し、甲1-2発明では、αセルロースを殆ど含まずアルカリで容易に溶解し、また機械的にも極めて破壊し易い細胞壁を有したクロレラ・ブルガリスE-25である点。

相違点18-2:本件特許発明18では、微細藻類粉末は緑色色素沈着が低減されているのに対し、甲1-2発明では、藻類は鮮緑色をしている点。

相違点18-3:本件特許発明18では、微細藻類粉末は5重量%未満または1重量%未満のドコサヘキサエン酸(DHA)(C22:6)を含むか、あるいは、ドコサヘキサエン酸(DHA)(C22:6)を実質上含まないとされているのに対し、甲1-2発明では、そのような特定はない点。

相違点18-4:本件特許発明18では、微細藻類粉末は低温殺菌されているのに対し、甲1-2発明では、藻類は加熱前処理済みとされている点。

そこで、上記各相違点について検討すると、
先ず、相違点18-4について検討すると、食品分野において加熱処理により殺菌することはごく普通に行われていることであり、また、その際に食品の風味等を損なわないように低温(100℃未満)で行うことも周知の技術であるので、甲1-2発明において藻類を低温殺菌することは、当業者が容易になし得たことといえる。
また、相違点18-2及び相違点18-3については、上記「7-1.本件特許発明1について」において相違点1-2及び相違点1-3についてで述べたのと同様に、それぞれ実質的な相違点とはいえない。
しかし、相違点18-1については、上記「7-1.本件特許発明1について」において相違点1-1についてで述べたのと同様に、当業者が容易になし得たこととはいえない。

したがって、本件特許発明18は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2?11号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

7-7.本件特許発明19について
本件特許発明19と甲1-2発明とを対比すると、両者は、少なくとも上記「7-6.本件特許発明18について」で挙げた相違点18-1において相違し、当該相違点は、上記したように容易になし得たこととはいえないから、本件特許発明19は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2?11号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

7-8.請求人の主張について
請求人は、甲第2号証の従属栄養条件下で培養されたクロレラ・プロトセコイデスの脂質は、ラードやヘットを構成している代表的な脂質であり(甲第24-1号証)、食品にコクを与えたり、まろやかな風味を与え(甲第25号証)、また、おいしさとこくの強さ(感じ方)に関与していること(甲第26号証)は技術常識であり、甲第1号証の玉露などのまろやかな風味と作用効果においても共通し、甲1-1発明の「クロレラ・ブルガリスE-25」をより脂質含有量の高い甲第2号証の「クロレラ・プロトセコイデス」に置換する動機付けはある旨の主張をしている(口頭審理陳述要領書第4頁、口頭審理陳述要領書(2)第5?7頁、上申書第5頁)。
しかし、クロレラ・プロトセコイデスの脂質は、ラードやヘットを構成している代表的な脂質であるとしても、甲第25号証に例示されたものは「中華料理」、「生クリーム」、「バター」及び「コーヒー」であり、甲第26号証に例示されたものは「まぐろのトロ」、「霜降りの牛肉」及び「市販スープ」であり、これらの例示されたものと甲第1号証に記載された緑茶組成物とは、風味において大きく異なるものであることより、甲第25号証及び甲第26号は、脂質がこれらの例示された食品においしさやこくなどを与えることを示しているとしても、緑茶組成物に玉露や上級煎茶等のようにまろやかでうま味を与えることまで示しているものではなく、また、そのような技術常識もない。

また、請求人は、当該技術分野において、従属栄養条件下で培養されたクロレラ属の微細藻類を食品として用いるか、若しくは燃料として用いるかは2つの主要な用途であると考えているので(甲第11号証等)、食品用途の当業者と燃料用途の当業者とは同一であり、相互に転用すること及び、従属栄養条件下で培養されたクロレラ属を食品に適用することは技術常識であり(甲第15号証、甲第16号証)、甲第2号証の「クロレラ・プロトセコイデス」を甲1-1発明に適用することは、最適材料の選択にすぎず、設計事項である旨の主張をしている(口頭審理陳述要領書第6?9頁、口頭審理陳述要領書(2)第16?18頁)。
しかし、従属栄養条件下で培養されたクロレラ属の微細藻類が含有する脂質を食品に適用することを当業者が容易に想到し得たとしても、上記したように甲1-1発明の「クロレラ・ブルガリスE-25」に代えて甲第2号証の「クロレラ・プロトセコイデス」を用いることには、動機付けはなく、当業者が容易になし得たこととはいえない。

よって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。

8.むすび
したがって、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件特許発明1ないし本件特許発明19の特許を無効にすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担するものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-02-28 
結審通知日 2017-03-02 
審決日 2017-03-14 
出願番号 特願2011-532219(P2011-532219)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (A23L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉田 知美  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 鳥居 稔
窪田 治彦
登録日 2015-04-17 
登録番号 特許第5731982号(P5731982)
発明の名称 微細藻類バイオマスの食物組成物  
代理人 大渕 美千栄  
代理人 難波 早登至  
代理人 石川 大輔  
代理人 長谷部 真久  
代理人 山本 健策  
復代理人 松本 充史  
復代理人 ▲高▼橋 淳  
代理人 布施 行夫  
復代理人 福永 聡  
代理人 山本 秀策  
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