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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F24F
管理番号 1337621
審判番号 不服2016-12663  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-23 
確定日 2018-02-22 
事件の表示 特願2012-244396号「熱交換換気装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月19日出願公開、特開2014- 92333号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年11月6日の出願であって、平成28年6月16日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年8月23日に拒絶査定不服審判の請求がされた。
その後、当審において平成29年6月2日付けで拒絶理由が通知され、これに対して同年8月1日に意見書及び手続補正書が提出された。

第2 本願発明
1 手続補正の内容
本願請求項1ないし5に係る発明は、平成29年8月1日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものであるところ、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、
「室外側吸込口及び室内側吸込口が形成された吸込口側側面と、前記吸込口側側面と対向し、室外側吹出口及び室内側吹出口が形成された吹出口側側面と、室内側側面と、前記室内側側面と対向する室外側側面と、を有する箱体のケーシングと、
前記室外側吸込口を入口端とし、前記ケーシング内を経て前記室内側吹出口を出口端とし、室外の空気を室内へ給気する給気路と、
前記室内側吸込口を入口端とし、前記ケーシング内を経て前記室外側吹出口を出口端とし、室内の空気を室外へ排気する排気路と、
前記ケーシング内に配置され、前記給気路を通過する給気流を形成し、給気送風機モータを有する、給気送風機ユニットと、
前記ケーシング内に配置され、前記排気路を通過する排気流を形成し、排気送風機モータを有する、排気送風機ユニットと、
前記ケーシング内に配置され、前記給気路の一部を形成する熱交換器内部給気路、及び前記排気路の一部を形成し、該熱交換器内部給気路と交差する熱交換器内部排気路を有し、該熱交換器内部給気路を通過する給気流と該熱交換器内部排気路を通過する排気流との間で熱交換を行う熱交換器と、を備えた熱交換換気装置であって、
前記ケーシング内に配置され、前記吸込口側側面と前記熱交換器との間に設けられている部品とを備え、
前記熱交換器の形状は、前記室内側側面又は前記室外側側面から正面視した状態において長方形であり、
前記熱交換器は、前記室内側側面から前記室外側側面にかけて設けられ、
前記熱交換器の給気流入面は、前記吸込口側側面及び前記吹出口側側面と平行であり、
前記熱交換器の給気流出面は、前記吸込口側側面及び前記吹出口側側面と平行であり、
前記熱交換器の排気流入面は、前記ケーシングの上面及び前記ケーシングの下面と平行であり、
前記熱交換器の排気流出面は、前記ケーシングの上面及び前記ケーシングの下面と平行であり、
前記部品は、前記室内側吸込口の下縁部から、前記下縁部の上側に位置している前記排気流入面の前端へ延びる板状部材であり、
前記給気路を流れる空気は、前記給気流入面及び前記給気流出面を通った後に前記吹出口側側面へ向かって流れ、
前記排気路を流れる空気は、前記熱交換器の排気流入面及び前記熱交換器の前記排気流出面を通った後に前記ケーシングの下面に向かって流れ、
前記給気流入面の面積及び前記給気流出面の面積は等しく、前記排気流入面の面積及び前記排気流出面の面積は等しく、前記給気流入面の面積は前記排気流入面の面積よりも小さい
ことを特徴とする熱交換換気装置。」(アンダーラインは、補正箇所を示す。)にあるものと認められる。
なお、特許請求の範囲の請求項1に、「前記給気流入面の面積は前記排気流入面の面積よりも大きい」との記載があるが、本件補正前の請求項1中の「前記ケーシングの上面から下面に向かって流れる空気が通る前記熱交換器の前記ケーシングの上面及び下面と平行な面の面積は、前記熱交換器の前記吸込口側側面及び前記吹出口側側面と平行な面の面積よりも大きい」との記載、明細書の【0009】及び【0029】の記載並びに図1及び図2の記載からみて、「前記給気流入面の面積は前記排気流入面の面積よりも大きい」は、「前記給気流入面の面積は前記排気流入面の面積よりも小さい」の誤記と認め、上記のとおり本願発明を認定した。
そして、この点については、請求人も上記のとおりの誤記であることを認めている(平成29年10月13日の応対記録参照。)。

第3 引用文献
1 当審において通知した平成29年6月2日付け拒絶理由の概要は、「本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。」であるところ、該拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である、特開2012-145321号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付与。)。
1)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、換気装置を設置する天井裏などの設置空間が狭い場合、特許文献1のような換気装置ではケースの厚み方向の寸法が大きくなりやすいため、設置できないことがある。このような場合には、換気装置の性能を維持しつつ、ケースの厚さ方向の寸法を小さくする必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、性能を維持しつつ、ケースの厚さ方向の寸法を小さくすることができる換気装置を提供することにある。」

2)「【0009】
この構成では、前記第1素子(41)は、縦流路(F3)が開口する一対の対向面(41C,41D)が前記一方の主板(22)に平行となる姿勢で配置されており、前記第2素子(42)は、縦流路(F4)が開口する一対の対向面(42C,42D)が前記一方の主板(22)に平行となる姿勢で配置されている。したがって、直方体形状の全熱交換素子が、特許文献1のように対向する角同士を結ぶ方向が一方の主板に平行となる姿勢で配置されている場合に比べて、全熱交換素子の大きさが同じであっても、ケースの厚さ方向の寸法を小さくすることができる。
【0010】
ところで、前記第1素子(41)及び前記第2素子(42)は、複数の貫通孔からなる横流路(F1,F2)と複数の貫通孔からなる縦流路(F3,F4)とが直交している直交流式の全熱交換素子であるので、複数の貫通孔における熱交換の度合いは一定ではなく、貫通孔間で大きな偏りを有している。

3)「【0021】
ケース21は、略直方体形状を有している。ケース21は、対向配置された一対の主板22,23(底板22及び天板23)と、これらの主板22,23の端部同士をつなぐ4つの側板24,25,26,27とを含む。側板24と側板25とは方向D1に対向している。底板22と天板23とは方向D2(ケース21の厚さ方向)に対向している。側板26と側板27とは方向D1及び方向D2に直交する方向(第1素子41及び第2素子42の長手方向)に対向している。ケース21は、方向D2の寸法が方向D1の寸法及び前記直交方向の寸法よりも小さい偏平な形状を有している。第1素子41、第2素子42及びファン92,93は、ケース21内に配置されている。スイッチボックス91は、ケース21の側板27の外面に取り付けられており、ファン92,93の制御などを行う図略の制御部を有している。
【0022】
ケース21は、外気吸込口61、排気吸込口63、室内給気口62及び排気吹出口64を有している。外気吸込口61及び排気吸込口63は、側板24に設けられており、室内給気口62及び排気吹出口64は、側板25に設けられている。側板24,25の長手方向は、第1素子41及び第2素子42の長手方向と一致している。側板24において、外気吸込口61は、側板24の長手方向の一方(方向D3)に偏った位置にあり、排気吸込口63は、側板24の長手方向の他方(方向D4)に偏った位置にある。側板25において、室内給気口62は、方向D4に偏った位置にあり、排気吹出口64は、方向D3に偏った位置にある。各吸込口61,63及び各吹出口62,64には、ダクト接続用継手94が取り付けられている。
【0023】
第1素子41及び第2素子42は、外気吸込口61から室内給気口62に至る給気パスP1を流れる室外の空気と、排気吸込口63から排気吹出口64に至る排気パスP2を流れる室内の空気との間で熱及び水分の少なくとも一方を授受(交換)させる(図5参照)。
【0024】
図4に示すように、第1素子41及び第2素子42は、直方体形状を有している。第1素子41及び第2素子42は、波板状フィン71と仕切板72とが交互に積層されてなる。第1素子41及び第2素子42は、前記積層方向に長い形状を有しており、この長手方向が方向D3,D4に略平行な方向に延びる姿勢でケース21内に配置されている。第1素子41は、第2素子42よりも側板24側に位置している。第1素子41は、側板24に沿うように側板24に近接して配置されている。
【0025】
積層方向に隣り合う仕切り板72,72間には、波板状フィン71により空気の流路が形成されている。前記積層方向に隣り合う波板状フィン71,71は、互いの流路の方向が直交するように配置されている。具体的には、第1素子41は、方向D1に延びる複数の貫通孔からなる横流路F1と、方向D2に延びる複数の貫通孔からなる縦流路F3とを有している。第2素子42は、方向D1に延びる複数の貫通孔からなる横流路F2と、方向D2に延びる複数の貫通孔からなる縦流路F4とを有している。
【0026】
図2(B)及び図4に示すように、第1素子41は、横流路F1が開口する一対の対向面41A,41Bのうち、横流路F1の入口側の面41Aが側板24側に位置し、第2素子42は、横流路F2が開口する一対の対向面42A,42Bのうち、横流路F2の入口側の面42Aが側板24側に位置している。また、第1素子41は、縦流路F3が開口する一対の対向面41C,41Dのうち、縦流路F3の入口側の面41Cが天板23側に位置し、第2の素子42は、縦流路F4が開口する一対の対向面42C,42Dのうち、縦流路F4の入口側の面42Dが底板22側に位置している。横流路F1,F2の各対向面は、側板24に略平行である。縦流路F3,F4の各対向面は、天板23及び底板22に略平行である。第1素子41の横流路F1の入口側の面41Aにはフィルタ81が取り付けられており、第2素子の縦流路F4の入口側の面42Dにはフィルタ82が取り付けられている。」

4)「【0029】
図2(A)?(C)、図3、図4及び図5に示すように、ケース21内には、第1案内板51、第2案内板52、仕切部材45?48及び仕切部材53?59が設けられている。これらの案内板51,52、仕切部材45?48及び仕切部材53?59は、ケース21の内壁面とともに給気パスP1の流路及び排気パスP2の流路を形成している。なお、図5では、ファン92,93の図示を省略している。
【0030】
給気パスP1では、室外の空気OA(外気吸込OA)は、外気吸込口61、第1素子41の横流路F1、第1ミキシング流路M1、第2素子42の横流路F2、ファン93、室内給気口62の順にケース21内を流れ、室内給気口62から室内に室内給気SAとして給気される。
【0031】
排気パスP2では、室内の空気(排気吸込RA)は、排気吸込口63、第2素子42の縦流路F4、第2ミキシング流路M2、第1素子41の縦流路F3、ファン92、排気吹出口64の順にケース21内を流れ、排気吹出口64から室外に排気吹出EAとして排気される。具体的には、排気パスP2は、排気吸込口63からケース21内に吸い込まれた空気が、第1素子41を通過しない後述する迂回路B(図3参照)を経由して第1素子41よりも側板25側に流れて第2素子42を先に通過した後、第2ミキシング流路M2を側板24側に流れ、さらに第1素子41を通過して排気吹出口64に至る旋回した経路(図2(B)及び図5参照)を有している。」

5)「【0038】
図2(A)に示すように、仕切部材56は、給気パスP1において外気吸込口61から吸い込まれた外気吸込OAと、排気パスP2において排気吸込口63から吸い込まれた排気吸込RAとが混ざらないように、第1素子41の横流路F1の入口側の面41Aと側板24との間に設けられている。仕切部材56の一端は、第1素子41の方向D4の端部近傍に固定され、仕切部材56の他端は、側板24に近接又は当接した位置にある。また、仕切部材57は、第1素子41の方向D3の端部と側板24との間に設けられている。仕切部材56と仕切部材57は、一体の板状部材であり、外気吸込口61の領域に外気吸込OAが通る開口が設けられている。」

6)「【0051】
図3に示すように、第1案内板51は、第1素子41の縦流路F3に排気パスP2を流れる空気が流入するのを抑制するとともに当該空気を第2素子42の縦流路F4に案内する迂回路Bの一部を形成している。この迂回路Bは、第1案内板51の外面(底板22側の面)と底板22の内面との間の領域と、第1素子41の方向D4の端面と側板27の内面との間の領域とを含む。第1案内板51の傾斜角度を調整することにより、迂回路Bの断面積(空気の流れ方向に垂直な断面の面積)を調整できる。
【0052】
また、第1案内板51は、第1素子41の縦流路F3を流れる排気パスP2の空気を第1素子41の長手方向の方向D3の領域に多く配分する役割を担う。すなわち、第1素子41の方向D4の領域は、第1案内板51との距離が小さいので、縦流路F3から流出する空気が流れる際の抵抗も大きくなる。したがって、第1素子41の縦流路F3を流れる排気パスP2の空気は、第1素子41の長手方向の方向D4の領域よりも方向D3の領域に多く配分される。第1案内板51の傾斜角度を調整することにより、前記配分を調整できる。
【0053】
第2案内板52は、第1素子41の縦流路F3を通過した排気パスP2を流れる空気が第2素子42の縦流路F4に再流入するのを抑制するとともに当該空気を室内給気口62側に案内する案内路Gを形成している。第2案内板52の傾斜角度を調整することにより、案内路Gの断面積(空気の流れ方向に垂直な断面の面積)を調整できる。」

7)上記記載事項「図3に示すように、第1案内板51は、第1素子41の縦流路F3に排気パスP2を流れる空気が流入するのを抑制するとともに当該空気を第2素子42の縦流路F4に案内する迂回路Bの一部を形成している。この迂回路Bは、第1案内板51の外面(底板22側の面)と底板22の内面との間の領域と、第1素子41の方向D4の端面と側板27の内面との間の領域とを含む。」との記載(上記6))及び「第2案内板52は、第1素子41の縦流路F3を通過した排気パスP2を流れる空気が第2素子42の縦流路F4に再流入するのを抑制するとともに当該空気を室内給気口62側に案内する案内路Gを形成している。」との記載(上記6))並びに図3の記載から、「第1案内板51は、第1案内板51の外面と底板22の内面との間の領域を含むように迂回路Bを構成し、第2案内板52は、第2案内板52の外面と底板22の内面との領域を含むように案内路Gが構成される」ことが看取できる。

「【図3】



「【図4】




「【図5】


2 引用発明
上記記載事項から、引用文献1には、以下の発明が記載されている。
「ケース21は、4つの側板24、25、26及び27並びに底板22及び天板23を備えて略直方体形状を有しており、外気吸込口61及び排気吸込口63は、側板24に設けられており、室内給気口62及び排気吹出口64は、側板25に設けられおり、ケース内に第1案内板51、第2案内板52、第1素子41、第2素子42、ファン92、93が配置され、第1案内板51は、第1素子41の縦流路F3に排気パスP2を流れる空気が流入するのを抑制するとともに当該空気を第2素子42の縦流路F4に案内する迂回路Bの一部を形成し、第2案内板52は、第1素子41の縦流路F3を通過した排気パスP2を流れる空気が第2素子42の縦流路F4に再流入するのを抑制するとともに当該空気を室内給気口62側に案内する案内路Gを形成し、第1素子41及び第2素子42は直方体形状を有しており、第1素子41は、横流路F1が開口する一対の対向面41A,41Bのうち、横流路F1の入口側の面41Aが側板24側に位置し、第2素子42は、横流路F2が開口する一対の対向面42A,42Bのうち、横流路F2の入口側の面42Aが側板24側に位置しており、第1素子41は、縦流路F3が開口する一対の対向面41C,41Dのうち、縦流路F3の入口側の面41Cが天板23側に位置し、第2の素子42は、縦流路F4が開口する一対の対向面42C,42Dのうち、縦流路F4の入口側の面42Dが底板22側に位置しており、横流路F1,F2の各対向面は、側板24に略平行であり、縦流路F3,F4の各対向面は、天板23及び底板22に略平行であり、外気吸込口61から室内給気口62に至る給気パスP1を流れる室外の空気と、排気吸込口63から排気吹出口64に至る排気パスP2を流れる室内の空気との間で熱交換させるために、第1素子41は、方向D1に延びる複数の貫通孔からなる横流路F1と、方向D2に延びる複数の貫通孔からなる縦流路F3とを有し、第2素子42は、方向D1に延びる複数の貫通孔からなる横流路F2と、方向D2に延びる複数の貫通孔からなる縦流路F4とを有し、横流路(F1、F2)と縦流路(F3、F4)とが直交し、第1案内板51は、第1案内板51の外面と底板22の内面との間の領域を含むように迂回路Bを構成し、第2案内板52は、第2案内板52の外面と底板22の内面との領域を含むように案内路Gが構成される直交流式の全熱交換素子を有する換気装置であって、
給気パスP1では、室外の空気OAは、第1素子41の横流路F1、第2素子42の横流路F2を流れ、室内給気口62から室内に室内給気SAとして給気され、排気パスP2では、室内の空気は、迂回路B、第2素子42の縦流路F4、第1素子41の縦流路F3、案内路Gを流れ、排気吹出口64から室外に排気吹出EAとして排気され、仕切部材56が給気パスP1において外気吸込口61から吸い込まれた外気吸込OAと、排気パスP2において排気吸込口63から吸い込まれた排気吸込RAとが混ざらないように、第1素子41の横流路F1の入口側の面41Aと側板24との間に設けられた換気装置。」(以下、「引用発明」という。)

第4 対比
引用発明の「全熱交換素子」を有する「換気装置」は、本願発明の「熱交換換気装置」に相当する。
引用発明の「外気吸込口61」は、本願発明の「室外側吸込口」又は「室外側吸込口」の「入口端」に相当する。
引用発明の「排気吸込口63」は、本願発明の「室内側吸込口」又は「室内側吸込口」の「入口端」に相当する。
引用発明の「排気吹出口64」は、本願発明の「室外側吹出口」又は「室外側吹出口」の「出口端」に相当する。
引用発明の「室内給気口62」は、本願発明の「室内側吹出口」又は「室内側吹出口」の「出口端」に相当する。
引用発明の「ケース」は、本願発明の「箱体のケーシング」に相当する。 引用発明の「側板24」、「側板25」、「側板26」、「側板27」、「天板22」及び「底板22」は、それぞれ本願発明の「吸込口側側面」、「吹出側側面」、「室外側側面」、「室内側側面」、「ケーシングの上面」及び「ケーシングの下面」に相当する。
引用発明の「給気パスP1」及び「排気パスP2」は、それぞれ本願発明の「給気路」及び「排気路」に相当する。
引用発明の「ファン93」及び「ファン92」は、それぞれ本願発明の「給気送風機ユニット」及び「排気送風機ユニット」に相当する。
引用発明の「第1素子41」及び「第2素子42」は、「複数の貫通孔からなる横流路(F1、F2)と複数の貫通孔からなる縦流路(F3、F4)とが直交している直交流式の全熱交換素子」であるから、本願発明の「ケーシング内に配置され、前記給気路の一部を形成する熱交換器内部給気路、及び前記排気路の一部を形成し、該熱交換器内部給気路と交差する熱交換器内部排気路を有し、該熱交換器内部給気路を通過する給気流と該熱交換器内部排気路を通過する排気流との間で熱交換を行う熱交換器」に相当する。
引用発明の「横流路F1」及び「横流路F2」は、「給気パスP1では、室外の空気OAは、第1素子41の横流路F1、第2素子42の横流路F2を流れ、室内給気口62から室内に室内給気SAとして給気される」こと、「第1素子41は、横流路F1が開口する一対の対向面41A,41Bから」構成されていること及び「第2素子42は、横流路F2が開口する一対の対向面42A,42Bから」構成されていることから、本願発明の「給気路を流れる空気は、給気流入面及び給気流出面を通った後に吹吹出口側側面へ向かって流れ」る流路に相当する。
引用発明の「縦流路F3」及び「縦流路F4」は、「排気パスP2では、室内の空気は、迂回路B、第2素子42の縦流路F4、第1素子41の縦流路F3、案内路Gを流れ、排気吹出口64から室外に排気吹出EAとして排気される」こと、「第1素子41は、縦流路F3が開口する一対の対向面41C,41D」から構成されていること及び「第2の素子42は、縦流路F4が開口する一対の対向面42C,42D」で構成されていることから、本願発明の「熱交換器の排気流入面及び熱交換器の排気流出面を通った後にケーシング」「に向かって流れ」る流路に相当する。
引用発明の「第1素子41」及び「第2素子42」は、直方体形状を有しており、直方体は、全ての面が長方形で構成される六面体であり、仮に「第1素子41」及び「第2素子42」が正六面体であったとしても、正方形も長方形の一種であるから、本願発明の「熱交換器」であって「形状は、前記室内側側面又は前記室外側側面から正面視した状態において長方形で」あることに相当する。
引用発明の「面41A」及び「面42A」は、面41Aが横風路F1の入口側の面であること及び面42Aが横流路F2の入口側の面であることから(図4参照)、それぞれ本願発明の「給気流入面」に相当し、引用発明の「面41B」及び「面42B」は、それぞれ「面41A」及び「面42A」の対向する面であり(図4参照)、横風路の出口側の面となるから、本願発明の「給気流出面」に相当する。
引用発明の「面41C」及び「面42D」は、面41Cが縦通路F3の入口側であること及び面42Dが縦通路F4の入口側であることから(図4参照)、本願発明の「排気流入面」に相当し、引用文献1の「面41D」及び「面42C」は、それぞれ「面41C」及び「面42D」の対向する面であり(図4参照)、縦風路の出口側の面となるから、本願発明の「排気流出面」に相当する。
引用発明の「第1素子41は、横流路F1が開口する一対の対向面41A,41Bのうち、横流路F1の入口側の面41Aが側板24側に位置し、第2素子42は、横流路F2が開口する一対の対向面42A,42Bのうち、横流路F2の入口側の面42Aが側板24側に位置して」いること、「横流路F1,F2の各対向面は、側板24に略平行で」あること並びに、第1素子41、第2素子42は直方体であること及び「ケース21は、4つの側板24、25、26、27を備え略直方体形状を有して」いることから、第1素子41の面41Aは、側板24及び側板25と平行であり、第2素子42の面42Aは側板24及び側板25と平行であるといえ、同様に、第1素子41の面41Bは、側板24及び側板25と平行であり、第2素子42の面42Bは側板24及び側板25と平行であるといえる(図4及び図5参照。)。そうすると、引用発明の「第1素子」及び「第2素子」は、本願発明の熱交換器が備える「前記熱交換器の給気流入面は、前記吸込口側側面及び前記吹出口側側面と平行であり、前記熱交換器の給気流出面は、前記吸込口側側面及び前記吹出口側側面と平行であ」る態様を備えているといえる。
引用発明の「第1素子41は、縦流路F3が開口する一対の対向面41C,41Dのうち、縦流路F3の入口側の面41Cが天板23側に位置し、第2の素子42は、縦流路F4が開口する一対の対向面42C,42Dのうち、縦流路F4の入口側の面42Dが底板22側に位置しており、」「縦流路F3,F4の各対向面は、天板23及び底板22に略平行であ」ることから、第1素子41の面41Cは、天板22及び底板22と平行であり、第2素子42の面42Dは天板22及び底板22と平行であるといえ、同様に、第1素子41の面41Dは、天板22及び底板22と平行であり、第2素子42の面42Cは天板22及び底板22と平行であるといえる(図4及び図5参照。)。そうすると、引用発明の「第1素子」及び「第2素子」は、本願発明の熱交換器が備える「前記熱交換器の排気流入面は、前記ケーシングの上面及び前記ケーシングの下面と平行であり、前記熱交換器の排気流出面は、前記ケーシングの上面及び前記ケーシングの下面と平行であ」る態様を備えているといえる。
引用発明の「第1素子41」は、直方体形状を有しているから、第1素子41の面41Aと面41Bの面積は等しく、面41Cと面41Dの面積は等しいことは明らかであり、同じく、引用発明の「第2素子42」は、直方体形状を有しているから、第2素子42の面42Aと面42Bの面積は等しく、面42Cと面42Dの面積は等しいことは明らかである。
引用発明の「給気パスP1において外気吸込口61から吸い込まれた外気吸込OAと、排気パスP2において排気吸込口63から吸い込まれた排気吸込RAとが混ざらないように、第1素子41の横流路F1の入口側の面41Aと側板24との間に設け」られた「仕切部材56」は、本願発明の「ケーシング内に配置され、前記吸込口側側面と前記熱交換器との間に設けられている部品」に相当する。

2 したがって、本願発明は引用発明とは、
「室外側吸込口及び室内側吸込口が形成された吸込口側側面と、前記吸込口側側面と対向し、室外側吹出口及び室内側吹出口が形成された吹出口側側面と、室内側側面と、前記室内側側面と対向する室外側側面と、を有する箱体のケーシングと、
前記室外側吸込口を入口端とし、前記ケーシング内を経て前記室内側吹出口を出口端とし、室外の空気を室内へ給気する給気路と、
前記室内側吸込口を入口端とし、前記ケーシング内を経て前記室外側吹出口を出口端とし、室内の空気を室外へ排気する排気路と、
前記ケーシング内に配置され、前記給気路を通過する給気流を形成し、給気送風機モータを有する、給気送風機ユニットと、
前記ケーシング内に配置され、前記排気路を通過する排気流を形成し、排気送風機モータを有する、排気送風機ユニットと、
前記ケーシング内に配置され、前記給気路の一部を形成する熱交換器内部給気路、及び前記排気路の一部を形成し、該熱交換器内部給気路と交差する熱交換器内部排気路を有し、該熱交換器内部給気路を通過する給気流と該熱交換器内部排気路を通過する排気流との間で熱交換を行う熱交換器と、を備えた熱交換換気装置であって、
前記ケーシング内に配置され、前記吸込口側側面と前記熱交換器との間に設けられている部品とを備え、
前記熱交換器の形状は、前記室内側側面又は前記室外側側面から正面視した状態において長方形であり、
前記熱交換器の給気流入面は、前記吸込口側側面及び前記吹出口側側面と平行であり、
前記熱交換器の給気流出面は、前記吸込口側側面及び前記吹出口側側面と平行であり、
前記熱交換器の排気流入面は、前記ケーシングの上面及び前記ケーシングの下面と平行であり、
前記熱交換器の排気流出面は、前記ケーシングの上面及び前記ケーシングの下面と平行であり、
前記給気路を流れる空気は、前記給気流入面及び前記給気流出面を通った後に前記吹出口側側面へ向かって流れ、
前記排気路を流れる空気は、前記熱交換器の排気流入面及び前記熱交換器の前記排気流出面を通った後に前記ケーシングに向かって流れ、
前記給気流入面の面積及び前記給気流出面の面積は等しい
熱交換換気装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
本願発明は、「給気流入面の面積」は「排気流入面の面積」よりも小さいものであるのに対して、引用発明は、「第1素子41」及び「第2素子42」の面積についてそのような特定がされていない点。
<相違点2>
本願発明は、排気路を流れる空気が「熱交換器の排気流入面及び熱交換器の排気流出面を通った後にケーシングの下面に向かって流れ」るようになっており、そのため「部品」が排気路を流れる空気を熱交換器の上面にある排気流入面に誘導するように、「前記室内側吸込口の下縁部から、前記下縁部の上側に位置している前記排気流入面の前端へ延びる板状部材」としているのに対して、引用発明の「第1素子41」は、「縦流路F3が開口する一対の対向面41C,41Dのうち、縦流路F3の入口側の面41Cが天板23側に位置し」ているものの、「第2の素子42」は、「縦流路F4が開口する一対の対向面42C,42Dのうち、縦流路F4の入口側の面42Dが底板22側に位置して」おり、「仕切部材56が給気パスP1において外気吸込口61から吸い込まれた外気吸込OAと、排気パスP2において排気吸込口63から吸い込まれた排気吸込RAとが混ざらないように」配置されているものの、第2素子42の「面42D」は排気吸込口63の下縁部より上側に配置されておらず、「仕切部材56」が本願発明の「部品」のような配置となっていない点。
<相違点3>
本願発明は、「熱交換器は、前記室内側側面から前記室外側側面にかけて設けられ」ているのに対して、引用発明は、第1素子41及び第2素子42は第3側板から第4側板にかけて設けられていない点。

第5 判断
上記相違点について検討する。
<相違点1>について
引用発明は、直方体形状の全熱交換素子が、対向する角同士を結ぶ方向が一方の主板に平行となる姿勢で配置されている場合に比べて、全熱交換素子の大きさが同じであっても、ケースの厚さ方向の寸法を小さくするものである(段落0009)。
また、一般に、熱交換器の分野において、熱交換素子の熱交換性能の向上を図ることは、周知の課題であることから、当業者であれば、引用発明の熱交換素子について、その目的の範囲内において熱交換の能力の向上を図ろうとすることは、通常の創作能力の発揮にすぎない。
そして、熱交換素子の能力の向上を図るきわめて一般的な手段は、その熱交換面積を増大させることであるところ、引用発明の直方体形状の熱交換素子の熱交換面積の増大させるにあたり、ケースの厚さ方向の寸法を大きくすることは、引用発明の目的に反することとなるから、ケースの幅方向に長くした直方体形状にして熱交換面積を増大させるようにすることは、当業者であれば、当然に考慮する設計的事項である。
また、正面視で二辺の長さが異なる長方形である熱交換素子の形状自体は、例えば実願昭55-122833号(実開昭57-46734号)のマイクロフイルムの第3図、特開昭60-69443号のFIG.3にみられるように周知の形状であり、引用発明において当該形状となすこと、すなわち、横風路F1、F2に対向する面の面積を縦風路F3、F4に対向する面の面積よりも小さくすることに格段の困難性はない。
そうすると、上記相違点1に係る本願発明の構成は、熱交換器の分野における周知の課題を踏まえると、引用発明に基いて当業者が容易になし得るものである。

<相違点2>について
引用発明の第1素子41、第2素子42のような、2つの流体が上下と横方向で直交して熱交換を行う熱交換器において、上下方向に流れる流体について上から下に流すか、または、下から上に流すかの方向によって格別な効果を奏するものではないから、流体の上下方向の流し方は、当業者が適宜なし得る設計事項の範囲内であるといえる。
そして、引用発明において、排気パスP2は、第2素子42を下から上に通過するように縦通路(F4)が構成されているが、排気パスP2を第2素子42を上から下へ通過するように構成することに格別な困難性はなく、排気パスP2が第1素子41を上から下に通過するように縦通路(F3)が構成されていることからも、排気パスP2を縦通路(F4)を上から下へ通過するように構成することを阻害する要因はない。そして、引用発明において、排気パスP2の第2素子42おける縦通路(F4)を上から下へ通過するように設計変更した際に、仕切部材56により排気パスP2を構成するには、当該仕切部材56は排気吸込口63の下縁部から縦流路F4の入口側の面42Dへ延びる板状部材とするのが流路構成上、当業者が容易になし得る設計的事項である。
よって、相違点2に係る本願発明の構成は、当業者が容易になし得る程度の設計的事項である。

<相違点3>について
上記<相違点1>について述べたとおり、熱交換器の分野において、熱交換素子の熱交換性能の向上を図ることは、周知の課題である。そして熱交換素子の能力の向上を図るきわめて一般的な手段は、その熱交換面積を増大させることであり、より熱交換面積を増大させるために、ケースの厚さ方向でない方向として熱交換器の長手方向に長くした直方体とすることも、当業者であれば容易になし得ることである。
また、引用文献1には、「第1素子41は、側板24に沿うように側板24に近接して配置されている。」(段落【0024】)とあるように、熱交換素子を側板に近接するように配置し、熱交換素子をケース内で寸法を大きくとり得ることが示唆されている。
そして、引用発明の排気パスP2の一部を形成する迂回路B及び案内路Gは、それぞれ第1案内板51の外面と底板22の内面との間の領域、及び第2案内板52の外面と底板22の内面との領域を含むように構成されるものであり、熱交換素子の下方にも流路を確保しているものであるところ、第1素子41及び第2素子42を長手方向に長くして、側板26から側板27にかけて設けたとしても排気パスP2を遮断する様なことにはならないから、引用発明において、熱交換素子を側板26及び側板27にかけて長くすることの阻害要因はない。
そうすると、引用発明において、第1素子41及び第2素子42を側板26から側板27にかけて設けること、すなわち、引用発明において上記相違点3に係る本願発明の構成を採用することは、熱交換器の分野における周知の課題を踏まえると、当業者が容易になし得るものである。

そして、上記相違点1ないし3をあわせてみても、本願発明が奏する効果は、当業者が引用発明から予測し得るものであり、格別なものとは認められない。

したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-12-14 
結審通知日 2017-12-19 
審決日 2018-01-09 
出願番号 特願2012-244396(P2012-244396)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F24F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 横溝 顕範  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 山崎 勝司
莊司 英史
発明の名称 熱交換換気装置  
代理人 特許業務法人きさ特許商標事務所  
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