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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1337710
審判番号 不服2016-10633  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-13 
確定日 2018-02-20 
事件の表示 特願2013-528311「画像コンテンツベースの検索及びランキングによるビデオ圧縮における参照ブロックへのリンクの符号化」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 3月15日国際公開、WO2012/033968、平成25年10月28日国内公表、特表2013-539935〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1 経緯
本件出願は、2011年9月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年9月10日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。

平成26年10月15日:手続補正
平成27年10月14日:拒絶理由の通知
平成28年 1月20日:手続補正
平成28年 3月11日:拒絶査定
平成28年 3月15日:拒絶査定の謄本の送達
平成28年 7月13日:拒絶査定不服審判の請求
平成28年 7月13日:手続補正

2 査定の概要
原査定の理由は、概略、次のとおりである。

[査定の理由]
この出願の請求項1?15に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献1:米国特許出願公開第2009/0180538号明細書

第2 補正却下の決定
平成28年7月13日付けの手続補正について次のとおり決定する。

[補正却下の決定の結論]
平成28年7月13日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成28年7月13日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正である。
(下線は補正箇所を示す。)

補正前の請求項1?15
「 【請求項1】
符号化されるべき現在のブロックに関する複数の候補参照ブロックの各々の位置を示す参照データを、前記現在のブロックのコンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいてそれぞれのランク番号に変換し、及び、前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために参照ブロックとして実際に使用される特定の1つに対応するランク番号を決定するためのランク変換部であって、前記コンテキスト特徴はブロックを囲む画素を含む、前記ランク変換部と、
前記決定されたランク番号をエントロピー符号化するエントロピーエンコーダと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記参照データは、動きベクトル、空間変位ベクトル及び視差値の少なくとも1つを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために前記参照ブロックとして実際に使用される前記特定の1つが、前記現在のブロックと最も近いマッチングを示す前記候補参照ブロックに対応する前記ランク番号の1つに基づいて識別される、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴は、前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴と最適なマッチングをもたらす参照ブロックを検索可能なコンテキスト特徴の集合を形成する、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴は、前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために前記参照ブロックとして実際に使用される前記特定の1つを検索するために、前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴とマッチングされる、請求項1記載の装置。
【請求項6】
符号化されるべき現在のブロックに関する複数の候補参照ブロックの各々の位置を示す参照データを、前記現在のブロックのコンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいてそれぞれのランク番号に変換するステップであって、前記コンテキスト特徴はブロックを囲む画素を含む、前記変換するステップと、
前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために参照ブロックとして実際に使用される特定の1つに対応するランク番号を決定するステップと、
前記決定されたランク番号をエントロピー符号化するステップと、
を含む、方法。
【請求項7】
前記参照データは、動きベクトル、空間変位ベクトル及び視差値の少なくとも1つを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために前記参照ブロックとして実際に使用される前記特定の1つが、前記現在のブロックと最も近いマッチングを示す前記候補参照ブロックに対応する前記ランク番号の1つに基づいて識別される、請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴は、前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴と最適なマッチングをもたらす参照ブロックを検索可能なコンテキスト特徴の集合を形成する、請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴は、前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために前記参照ブロックとして実際に使用される前記特定の1つを検索するために、前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴とマッチングされる、請求項6記載の方法。
【請求項11】
符号化されるべき現在のブロックに関する複数の候補参照ブロックの各々の位置を示す参照データを、前記現在のブロックのコンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいてそれぞれのランク番号に変換する手段であって、前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために参照ブロックとして実際に使用される特定の1つに対応するランク番号を決定し、前記コンテキスト特徴はブロックを囲む画素を含む、前記変換する手段と、
前記決定されたランク番号をエントロピー符号化する手段と、
を備える、装置。
【請求項12】
前記参照データは、動きベクトル、空間変位ベクトル及び視差値の少なくとも1つを含む、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために前記参照ブロックとして実際に使用される前記特定の1つが、前記現在のブロックと最も近いマッチングを示す前記候補参照ブロックに対応する前記ランク番号の1つに基づいて識別される、請求項11記載の装置。
【請求項14】
前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴は、前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴と最適なマッチングをもたらす参照ブロックを検索可能なコンテキスト特徴の集合を形成する、請求項11記載の装置。
【請求項15】
前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴は、前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために前記参照ブロックとして実際に使用される前記特定の1つを検索するために、前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴とマッチングされる、請求項11記載の装置。」

を、次のとおり補正後の請求項1?15に補正するものである。

「 【請求項1】
符号化されるべき現在のブロックに関する複数の候補参照ブロックの各々の位置を示す参照データを、前記現在のブロックのコンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいてそれぞれのランク番号に変換し、及び、前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために参照ブロックとして実際に使用される特定の1つに対応するランク番号を決定するためのランク変換部であって、前記コンテキスト特徴はブロックを囲む画素を含む、前記ランク変換部と、
前記決定されたランク番号をエントロピー符号化するエントロピーエンコーダと、
を備え、前記参照データは、前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいて前記複数の候補参照ブロックをソートすることにより取得されたランクリスト内の候補参照ブロックの位置にしたがってランク番号に変換される、装置。
【請求項2】
前記参照データは、動きベクトル、空間変位ベクトル及び視差値の少なくとも1つを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために前記参照ブロックとして実際に使用される前記特定の1つが、前記現在のブロックと最も近いマッチングを示す前記候補参照ブロックに対応する前記ランク番号の1つに基づいて識別される、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴は、前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴と最適なマッチングをもたらす参照ブロックを検索可能なコンテキスト特徴の集合を形成する、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴は、前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために前記参照ブロックとして実際に使用される前記特定の1つを検索するために、前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴とマッチングされる、請求項1記載の装置。
【請求項6】
符号化されるべき現在のブロックに関する複数の候補参照ブロックの各々の位置を示す参照データを、前記現在のブロックのコンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいてそれぞれのランク番号に変換するステップであって、前記コンテキスト特徴はブロックを囲む画素を含む、前記変換するステップと、
前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために参照ブロックとして実際に使用される特定の1つに対応するランク番号を決定するステップと、
前記決定されたランク番号をエントロピー符号化するステップと、
を含み、前記参照データは、前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいて前記複数の候補参照ブロックをソートすることにより取得されたランクリスト内の候補参照ブロックの位置にしたがってランク番号に変換される、方法。
【請求項7】
前記参照データは、動きベクトル、空間変位ベクトル及び視差値の少なくとも1つを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために前記参照ブロックとして実際に使用される前記特定の1つが、前記現在のブロックと最も近いマッチングを示す前記候補参照ブロックに対応する前記ランク番号の1つに基づいて識別される、請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴は、前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴と最適なマッチングをもたらす参照ブロックを検索可能なコンテキスト特徴の集合を形成する、請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴は、前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために前記参照ブロックとして実際に使用される前記特定の1つを検索するために、前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴とマッチングされる、請求項6記載の方法。
【請求項11】
符号化されるべき現在のブロックに関する複数の候補参照ブロックの各々の位置を示す参照データを、前記現在のブロックのコンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいてそれぞれのランク番号に変換する手段であって、前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために参照ブロックとして実際に使用される特定の1つに対応するランク番号を決定し、前記コンテキスト特徴はブロックを囲む画素を含む、前記変換する手段と、
前記決定されたランク番号をエントロピー符号化する手段と、
を備え、前記参照データは、前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいて前記複数の候補参照ブロックをソートすることにより取得されたランクリスト内の候補参照ブロックの位置にしたがってランク番号に変換される、装置。
【請求項12】
前記参照データは、動きベクトル、空間変位ベクトル及び視差値の少なくとも1つを含む、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために前記参照ブロックとして実際に使用される前記特定の1つが、前記現在のブロックと最も近いマッチングを示す前記候補参照ブロックに対応する前記ランク番号の1つに基づいて識別される、請求項11記載の装置。
【請求項14】
前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴は、前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴と最適なマッチングをもたらす参照ブロックを検索可能なコンテキスト特徴の集合を形成する、請求項11記載の装置。
【請求項15】
前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴は、前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために前記参照ブロックとして実際に使用される前記特定の1つを検索するために、前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴とマッチングされる、請求項11記載の装置。」

2 補正の適合性
(1)新規事項、発明の特別な技術的特徴の変更、補正の目的
本件補正のうち、請求項1、6、11についての補正は、補正前の請求項1、6、11における「参照データ」を、さらに、「前記参照データは、前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいて前記複数の候補参照ブロックをソートすることにより取得されたランクリスト内の候補参照ブロックの位置にしたがってランク番号に変換される」と限定するものである。
当該補正事項は、願書に最初添付した明細書の段落【0041】、【0051】、【0056】に記載されており、請求項1、6、11についての補正は、願書に最初添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、新たな技術事項を導入するものでなく、特許請求の範囲を減縮を目的とするものである。

(2)独立特許要件
上記のとおり本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的としているので、本件補正後における発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かを、以下に検討する。

(3)補正発明
補正後の請求項1?15に係る発明のうち請求項6に係る発明は、次のとおりのものである。この発明を以下「補正発明」という。

(補正発明)
「(A)符号化されるべき現在のブロックに関する複数の候補参照ブロックの各々の位置を示す参照データを、前記現在のブロックのコンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいてそれぞれのランク番号に変換するステップであって、前記コンテキスト特徴はブロックを囲む画素を含む、前記変換するステップと、
(B)前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために参照ブロックとして実際に使用される特定の1つに対応するランク番号を決定するステップと、
(C)前記決定されたランク番号をエントロピー符号化するステップと、
を含み、
(D)前記参照データは、前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいて前記複数の候補参照ブロックをソートすることにより取得されたランクリスト内の候補参照ブロックの位置にしたがってランク番号に変換される、
(E)方法。」

((A)?(E)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。)

(4)引用文献1の記載及び引用文献1に記載された発明
ア 引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、「TEMPLATE MATCHING SCHEME USING MULTIPLE PREDICTORS AS CANDIDATES FOR INTRA-PREDICTION」[訳:イントラ予測の候補として複数の予測子を用いたテンプレートマッチング方式]に関し、次に掲げる事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

(ア)「[0069] The template can be defined in any desired shape insofar as it comprises previously resolved pixels in the region. In view of a presumed top-to-bottom and left-to-right scanning order, a preferred template shape comprises adjacent pixels above and to the left of the current block. By way of example, and not limitation, on a 2×2 block the template may comprise two top pixels, two left pixels and a corner pixel. The template size can be kept at a predetermined size or adjusted according to the invention in response to the block size.」
[訳:領域に予め分解されたピクセルを含むものであれば、テンプレートを任意の形状に規定することができる。推定される上から下及び左から右への走査順序を考慮して、好適なテンプレート形状は、現在のブロックの上と左に隣接する画素から構成されている。実施例として、限定するものではないが、2×2ブロックにおいて、テンプレートは2上ピクセル、2左ピクセル、角ピクセルを含むことができる。テンプレートサイズが所定のサイズに維持又はブロックサイズに応じて、本発明にしたがって調節されることができる。]

(イ)「[0071] The following describes an example implementation of the intra-prediction process according to the invention. As a first step, a search is performed in the pixel neighborhood wherein the template associated with the current pixel block is compared to templates associated with candidate predictor blocks. A pre-determined preferred range for the search may be configured in relation to the block size that is shared between the encoder and decoder. Typically areas closer to the current block are preferred, as such smaller neighborhoods are preferable, but this may need to be increased depending on the frame resolution for larger size images. In response to detecting a sufficient level of matching between the current template and a template associated with the blocks of the search region, a template candidate is saved. The sufficient level of matching is determined in response to checking the error between the candidate template and the template for the current block, such as in terms of least residual energy (MSE, SAD or SSD, and so forth) for the comparison. During the matching process only the best candidate matches are retained. The number of allowable candidate matches is preferably predetermined for a given video configuration, although it may be less preferably established in response to characteristics of the video utilized, or the specific conditions detected within that segment of video. To simplify description, the following example recites the number of allowable candidates as four. It should be noted that the higher the number of allowable candidates, the higher the number of bits necessary for encoding the selection, which is discussed later, while the lower the number of candidates the less optimum will be the resultant prediction. Preferred values for the number of allowable candidates range from two to thirty-two, with a most preferred range of four to eight.」
[訳:以下は、本発明に係るイントラ予測処理の実施例を説明する。第1ステップとして、現在の画素ブロックに関連付けられたテンプレートが候補予測ブロックに関連付けられたテンプレートと比較される検索は、ピクセル近傍で行われる。検索のための予め決定された好ましい範囲は、エンコーダとデコーダとの間で共有されるブロックサイズに関連して構成することができる。典型的に現在のブロックに近い領域であることが好ましく、このような小さい区域が好適であるが、これは、より大きなサイズの画像用のフレーム分解能に応じて増加させる必要がある。現在のテンプレートと前記検索領域のブロックに関連付けられたテンプレートとのマッチングの十分なレベルの検出に応答して、テンプレート候補が保存される。比較のための最小の残差エネルギー(MSE、SADやSSDなど)に関してのように、マッチングの十分なレベルは、現在のブロックの候補テンプレートとテンプレートとの間の誤差をチェックすることに応答して決定される。照合プロセスの間に最良の候補マッチのみが保持される。許容候補の一致数は、好ましくは、与えられたビデオ構成より予め決められている。好ましくは、利用されたビデオの特性、又はビデオのセグメント内で検出された特定状況に応じて設定されるものではない。説明を簡単にするために、以下の実施例は、許容される候補の数を4として詳しく述べる。後述するように、許容候補の数が多いほど、選択を符号化するために必要なビット数は多くなる。一方、候補の数が少ないほど、得られた予測の最適化は悪くなる。許容候補の数の好適な値は、2から32の範囲であり、4から8が最も好ましい範囲である。]

「[0072] FIG. 2 illustrates an example embodiment 10 showing a pixel region 12 in which the template matching search, for template 20 with associated block 18, has determined and stored information about four of the best candidate matches, specifically template 24 (4th match) associated with block 22, template 28 (1st match) associated with block 26, template 32 (2nd match) associated with block 30, and template 36 (3rd match) associated with block 34. In a preferred implementation, these matches are sorted in a specific order, such as according to an increasing order of residual energy, which means that the first template in the list provides the best match followed in succession by the other template candidates in the list. It should be noted that matching of each respective template does not assure that the associated block will be fully matched with that of the current block. However, since some spatial correlation between the template and its associated block exists there is a high probability of similarity, and ergo a high probability of a small residual. The process up to this point is duplicated in both the encoder and decoder, wherein the decoder can use the same information and determine the same ordered list of candidates as did the encoder.」
[訳:図2は、画素領域12を示す実施例10を図示している。画素領域12において、ブロック18に関連するテンプレート20のためのテンプレートマッチング探索は、4つの最良の候補の情報を決定し、記憶する。具体的には、ブロック22に関連付けられたテンプレート24(第4一致)、ブロック26に関連付けられたテンプレート28(第1一致)、ブロック30に関連付けられたテンプレート32(第2一致)、およびブロック34に関連付けられたテンプレート36(第3一致)である。好ましい実施態様では、これらの一致を、残差エネルギーの小さい順に応じるような特定の順序でソートする。この順序は、リストの最初のテンプレートが、最良一致し、リスト中の他のテンプレート候補が連続であることを意味する。各テンプレートのマッチングは、関連するブロックが、現在のブロックと完全に一致することを保証するものではない。しかしながら、テンプレートとそれに関連するブロックとの間に何らかの空間的相関が存在するので、類似度の高い確率があり、それゆえ、小さな残差の可能性が高い。ここまでの処理は、エンコーダとデコーダの両方において重複している。ここで、デコーダは、エンコーダがするように、同じ情報を使用し、候補の順序付きリストを決定することができる。]

「[0073] The following describes processing within the encoder, which departs from that of decoder, toward determining which of the blocks, associated with the ordered list of candidate template matches, is really the best fit with the current block being predicted, therein optimizing prediction.」
[訳:デコーダの処理をはなれ、エンコーダ内の処理、候補テンプレートマッチの順序付けられたリストに関連付けられたブロックのうちのどれが現在のブロック予測を実際に最良適合、予測を最適化する決定について、次に記載されている。]

「[0074] FIG. 3 illustrates an embodiment 10 showing the same candidate matches from FIG. 2. In this step depicted in FIG. 3 calculation of residual energy values is performed for the actual current block 18 shown in FIG. 2. After obtaining one or more candidate matches, the second step of the method utilizes the actual pixel values in the current block which are only available to the encoder as they require access to the uncompressed block information. The actual pixel values are used to determine an error value, such as a residual energy value between the current block and the block associated with each candidate template within the list of best matches, which is shown in the figure by the dashed lines. It should be appreciated that one needs to find error to obtain the actual values back at the decoder. As a result of this process, residual energy values e1, e2, e3 and e4 are obtained by using MSE, SAD or any other suitable error criterion.」
[訳:図3は、図2からの同じ候補マッチを示す実施形態10を示している。図3に描かれたこのステップにおいて、残差エネルギー値の算出は、図2に示す実際の現在のブロック18毎に行われる。1つ以上の候補マッチングを得た後、この方法の第2ステップは、現在のブロックの実際の画素値を利用している。圧縮されていないブロック情報にアクセスを要求するとき、実際の画素値はエンコーダで利用可能である。実際の画素値は、破線により示されている、現在のブロックとベストマッチリストの各候補テンプレートに関連したブロックとの間の残差エネルギー値のような、誤差値を決定するために使用される。デコーダでの実際の値を得るために誤差を見つける必要があることを理解されたい。この処理の結果、残差エネルギー値e1、e2、e3及びe4は、MSE、SADまたは任意の他の適切なエラー基準を使用することによって得られる。]

「[0075] The third step, involves choosing the block that provided the least predictive error for the current block from among the available candidates. In the current example, four residual energy value candidates are available given as e1, e2, e3 and e4. According to this step, if value e3 provided the least error between block 34 in relation to the actual current block 18 than found in any of the other candidates, then the associated template 36 (3rd match) is chosen according to the invention as the best template match (i.e., optimized toward generating the smallest residual). This template selection from within the candidates, which will be known to the decoder, must then be communicated to the decoder. It should be appreciated that the decoder clearly has no means for determining the “actual” least predictive error in relation to the current block, as it obviously does not have access to the uncompressed video and thus the actual current block. In view of this lack of decoder ability, other previous approaches have consigned the decoder to operate on its own, so to speak, to either select the single best template match or make a prediction based on an average across multiple candidate predictions, neither of these approached requiring any additional information to be received from the encoder. In contrast to this, the decoder in the present invention relies on information received from the encoder to select the best prediction block from among these candidates, wherein it is assured to have the benefit of a best match of the actual block, and not simply of a template which has a high probability of correlating with the actual block.」
[訳:第3ステップは、利用可能な候補の中から現在のブロックと最も小さい予測誤差を供給するブロックを選択することを含む。この例では、e1、e2、e3、e4として与えられる4残差エネルギー値候補が利用可能である。本ステップによれば、他の候補のいずれかに見られるよりも実際の現ブロック18に関連してブロック34との間に最も小さい誤差を与えられた値e3ならば、本発明によると、関連するテンプレート36(第3一致)が最良のテンプレートマッチング(最小残差を生成に向けて最適化された)として、選択される。デコーダが知ることになる、候補の中からのこのテンプレート選択は、デコーダに伝達されなければならない。デコーダは現在のブロックについての「実際の」最小の予測誤差を決定するための手段を有していないと理解されるべきである。なぜならば、明らかに、非圧縮ビデオにアクセスし、実際の現在のブロックを有していないからである。デコーダ能力の欠如を考慮して、別の従来のアプローチは、デコーダがそれ自身の上の処理、いわば、単一の最良のテンプレートマッチの選択、複数の候補予測の平均に基づく予測のためにデコーダに託すものである。これらのいずれも、エンコーダから受信する任意の追加の情報の要求のアプローチではない。これに対し、本発明では、デコーダは、これらの候補の中から最適な予測ブロックを選択するための符号器から受信された情報は、実際のブロックの最良のマッチングの利益が保証され、実際のブロックと相関の高い確率を有するテンプレートの最良マッチングに単純に依存していない。]

「[0076] According to a preferred decoder embodiment, the presence or absence of a selector value is recognized by the programming, wherein the decoder can revert to utilizing a single match or other less preferred encoding formats in response to the compressed data being received. In this way a decoder can be configured as being backward compatible from the present encoding method back to previous forms of encoding, and it can therefore decode a wider range of compressed video.」
[訳:好適なデコーダの実施形態によれば、セレクタ値の有無は、プログラミングによって認識され、ここで、デコーダは、受信される圧縮されたデータに応答して単一マッチまたは他の好ましくない符号化フォーマットを利用することに戻ることができる。この場合、デコーダは、本符号化方式から互換性の前の符号化に戻すように構成することができ、したがって、より広い範囲の圧縮されたビデオデータを復号することができる。]

「[0077] In one implementation of the present embodiment, a predetermined number of best candidate matches is retained, the example of four has been chosen herein, wherein the decoder can independently find the same four best candidates on its side of the codec and orders (sorts) these candidates accordingly. After sorting, the decoder makes a selection from the list in response to the selector provided from the encoder which points to the template having the least predictive error based on the actual current block. The information from the encoder can be communicated in a number of alternative ways.」
[訳:本実施形態の1つの実装形態では、予め決定された最良の候補のマッチの数、例えばここでは4が選択された、が保持される。ここで、デコーダは独立してコーデックの側で同じ4つの最良の候補を見つけることができ、これによりこれらの候補を順序付ける(ソートする)。並べ替えの後、デコーダは、実際の現在のブロックに基づく最小予測誤差を有するテンプレートを指している、エンコーダから供給されるセレクタに応答して、リストから選択する。エンコーダからの情報は、多数の異なる方法で通信することができる。]

「[0078] One mechanism for signaling the selection is the choice of a simple bit flag mechanism, such as one in which a two-bit flag allows communicating which of the four possible candidates are to be selected. The size of the flag is determined in response to the number of candidates, such as a two-bit flag for a choice between four candidates, a three-bit flag for a choice between eight candidates, and so forth. The decoder can use this selector mechanism, for example, to select template 36 (3rd match) for completing the intra-predictions of the current block.」
[訳:選択を知らせるための1つの機構は、2ビットのフラグを4個の可能な候補のいずれを選択するかが通信できるようにするような、単純なビットフラグ機構の選択である。フラグの大きさは、候補の数に応じて決定される。4つの候補の選択に対する2ビットフラッグ、8候補間の選択のための3ビットのフラグなどである。デコーダはこのセレクタ機構を使用することができる。例えば、現在のブロックのイントラ予測処理を完了するためのテンプレート36(第3一致)を選択することができる。]

(ウ)「[0080] FIG. 4 illustrates an example embodiment of video encoding using a template matching process. In referring to the flow diagrams the term “step” will be used in referring to each flowchart “block” of the figure, so as to minimize confusion with the description of pixel blocks upon which video operations are performed. It should be appreciated that variations in the specific steps or sequences can be implemented by one of ordinary skill in the art without departing from the teachings of the present invention.」
[訳:図4は、テンプレートマッチング処理を用いて動画像符号化の実施例を示す。のフローチャートを参照して、「ステップ」を図示の各フローチャート「ブロック」を参照する際に使用される、ビデオ動作が実行された画素ブロックの説明との混乱を最小にするようになっている。特定のステップまたはシーケンスのバリエーションは、本発明の教示から逸脱することなく当業者によって実施することができることを理解されたい。]

「[0081] Represented by step 50, the current block of the video signal is processed and in step 52 a template is formed (technically the pixels of the template already exist, but are selected for use as a template in any desired manner) for use in searching the neighborhood of blocks. As shown in step 54 a select number (N) of spatially best matches for the template of the current block are identified within the pixel neighborhood. In step 56 these candidates are sorted in response to minimum residual energy, or a similar error metric. In step 58 pixel values from the actual current block (uncompressed video signal) are used to determine actual predictive error with respect to the blocks associated with each of these best candidate template matches. The template with the least actual predictive error in response to the above calculation is selected in step 60, and in step 62 a selector is encoded to be communicated to the decoder, indicating which template is to be selected in predicting the current block.」
[訳:ステップ50によって表された現在の映像信号ブロックを処理し、ステップ52でテンプレートがブロックの近傍を探索用に構成される(技術的にテンプレートの画素は、既に存在するが、任意の所望の方法でテンプレートとして使用するために選択される)。ステップ54に示すように、ピクセル近傍における現在のブロックのテンプレートに対する空間的最良一致のセレクトナンバー(N)は、識別される。ステップ56においてこれらの候補は、最小の残差エネルギー、または同様の誤差メトリックに応じてソートされる。ステップ58において実際の現在のブロック(圧縮されていないビデオ信号)からのピクセル値は、これらの最良の候補テンプレート一致のそれぞれに関連付けられたブロックに対する実際の予測誤差を決定するために使用される。以上の計算に応答して実際の予測誤差を有するテンプレートがステップ60で選択され、ステップ62で、どのテンプレートが現在のブロックを予測する際に選択すべきかを指示するセレクタは、デコーダに伝達されるためにエンコードされる。]

(エ)












イ 引用文献1に記載された発明
上記ア(イ)、図2、3には、イントラ予測処理の実施例が記載され、上記ア(ウ)、図4には、テンプレートマッチング処理を用いた動画像符号化の実施例が記載され、上記ア(ア)には、テンプレートについて記載されている。
上記記載の動作を方法の発明として認定する。

(ア)段落0071、0072、図2によると、現在のブロック18に関連するテンプレート20とマッチングを行い、残差エネルギーが小さいテンプレート候補を許容候補の数検出し、残差エネルギーの小さい順にソートし、リストを作成する(段落0081のステップ56参照)。図2によると、第1の一致(テンプレート28)、第2の一致(テンプレート32)、第3の一致(テンプレート36)、 第4の一致(テンプレート24)である。
段落0069によると、テンプレートは、現在のブロックの上と左に隣接する画素から構成される。
この動作をステップとして記載すると、次のとおりである。
「現在のブロックに関連するテンプレートとマッチングを行い、残差エネルギーが小さいテンプレート候補を許容候補の数検出し、残差エネルギーの小さい順にソートし、リストを作成するステップ、ここで、テンプレートは、現在のブロックの上と左に隣接する画素から構成される」

(イ)段落0074、0075、図3によると、現在のブロックと各テンプレート28、32、36、24に対応したブロックとの間の残差エネルギーを使用し、最も小さい残差エネルギーのブロックに関連するテンプレートを選択する(段落0081のステップ58、60参照)。この例においては、テンプレート36(第3の一致)である。
段落0075によると、このテンプレートの選択をデコーダに伝達しなければならない。

段落0077によると、デコーダは、実際の現在のブロックに基づく、最小予測誤差を有するテンプレートを指している、エンコーダから供給されるセレクタに応答して、リストから選択する。
この記載によれば、エンコーダから供給されるセレクタは、最小予測誤差を有するテンプレートを指しており、リストから選択されるのであるから、順番を示すものである。
エンコーダの動作としては、最も小さい残差エネルギーのブロックに関連するテンプレートを選択し、このテンプレートを指すセレクタを決定しているといえる。

上記のテンプレートを選択し、セレクタを決定する動作をステップとして記載すると、次のとおりである。
「現在のブロックと上記各テンプレートに対応したブロックとの間の残差エネルギーを使用し、最も小さい残差エネルギーのブロックに関連するテンプレートを選択し、このテンプレートを指すセレクタを決定するステップ、ここで、セレクタは、リストの順番を示すものである」

(ウ)段落0077によると、セレクタはエンコーダから供給されるものであり、段落0081のステップ62によると、セレクタは符号化される。
この動作は、セレクタを符号化するステップといえる。

(エ)以上まとめると、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。以下この発明を「引用発明」という。

(引用発明)
「(a)現在のブロックに関連するテンプレートとマッチングを行い、残差エネルギーが小さいテンプレート候補を許容候補の数検出し、残差エネルギーの小さい順にソートし、リストを作成するステップと、ここで、テンプレートは、現在のブロックの上と左に隣接する画素から構成され、
(b)現在のブロックと上記各テンプレートに対応したブロックとの間の残差エネルギーを使用し、最も小さい残差エネルギーのブロックに関連するテンプレートを選択し、このテンプレートを指すセレクタを決定するステップと、ここで、セレクタは、リストの順番を示すものであり、
(c)前記セレクタを符号化するステップと、
(d)を含む方法。」

((a)?(d)は、引用発明の構成を区別するために付与した。以下各構成を「構成a」等という。)

(5)対比
ア 補正発明と引用発明との対比
補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)構成要件A、Dと構成aとを対比する。
(ア-1)コンテキスト特徴
構成aの「テンプレート」は、「現在のブロックの上と左に隣接する画素から構成され」るから、「ブロックを囲む画素を含む」といえ、構成要件Aの「コンテキスト特徴」に相当する。
(ア-2)参照データ、ランク番号
構成要件Aの「参照データ」は、「符号化されるべき現在のブロックに関する複数の候補参照ブロックの各々の位置を示す」ものであって、構成要件Dのように、「前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいて前記複数の候補参照ブロックをソートすることにより取得されたランクリスト内の候補参照ブロックの位置にしたがってランク番号に変換される」ものである。そして、構成要件Aの「変換するステップ」は、参照データを、前記現在のブロックのコンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいてそれぞれのランク番号に変換するステップである。
一方、構成aは、「現在のブロックに関連するテンプレートとマッチングを行い、残差エネルギーが小さいテンプレート候補を許容候補の数検出し、残差エネルギーの小さい順にソートし、リストを作成するステップ」であり、上記(ア-1)のとおり、「テンプレート」は、構成要件Aの「コンテキスト特徴」に相当するから、構成aは、「前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいて前記複数の候補参照ブロックをソートすることにより取得されたランクリスト」を作成しているといえ、さらに、ランクリストというリストを作成していることは、順番にランク付けをしているといえることから、構成aは、「ランクリスト内の候補参照ブロックの位置にしたがってランク番号」をつけているといえる。
引用発明は、現在のブロックと最も小さい残差エネルギーのブロックを決定するために、「現在のブロックに関連するテンプレートとマッチングを行い、残差エネルギーが小さいテンプレート候補を許容候補の数検出し、残差エネルギーの小さい順にソートし、リストを作成」し(構成a)、「現在のブロックと上記各テンプレートに対応したブロックとの間の残差エネルギーを使用し、最も小さい残差エネルギーのブロックに関連するテンプレートを選択し、このテンプレートを指すセレクタ(リストの順番を示すもの)を決定する」(構成b)ものであって、上記の「ランクリスト内の候補参照ブロックの位置にしたがってランク番号」をつけることは、ブロックの位置を示す参照データの代わりにブロックを決定するランク番号を用いてブロックを示すことになるから、引用発明において、「符号化されるべき現在のブロックに関する複数の候補参照ブロックの各々の位置を示す参照データ」は「ランク番号」に変換されるといえる。
したがって、構成aは、「符号化されるべき現在のブロックに関する複数の候補参照ブロックの各々の位置を示す参照データを、前記現在のブロックのコンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいてそれぞれのランク番号に変換するステップであって、前記コンテキスト特徴はブロックを囲む画素を含む、前記変換するステップ」、「前記参照データは、前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいて前記複数の候補参照ブロックをソートすることにより取得されたランクリスト内の候補参照ブロックの位置にしたがってランク番号に変換される」として、構成要件A、Dと一致する。

(イ)構成要件Bと構成bとを対比する。
上記(ア)のとおりであるから、「最も小さい残差エネルギーのブロックに関連するテンプレートを選択し、このテンプレートを指すセレクタを決定する」することは、「前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために参照ブロックとして実際に使用される特定の1つに対応するランク番号を決定する」ことといえる。
したがって、構成要件Bと構成bとは、「前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために参照ブロックとして実際に使用される特定の1つに対応するランク番号を決定するステップ」として一致する。

(ウ)構成要件Cと構成cとを対比する。
構成cの「前記セレクタ」は、構成要件Cの「前記決定されたランク番号」に相当する。
したがって、構成要件Cと構成cとは、「前記決定されたランク番号を符号化するステップ」として共通する。
しかしながら「符号化」が、補正発明においては「エントロピー符号化」であるのに対し、引用発明においては「エントロピー符号化」であると特定されていない点で相違する。

(エ)構成要件Dと構成dとを対比すると、「方法」として,一致する。

イ 一致点、相違点
以上より、一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
符号化されるべき現在のブロックに関する複数の候補参照ブロックの各々の位置を示す参照データを、前記現在のブロックのコンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいてそれぞれのランク番号に変換するステップであって、前記コンテキスト特徴はブロックを囲む画素を含む、前記変換するステップと、
前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために参照ブロックとして実際に使用される特定の1つに対応するランク番号を決定するステップと、
前記決定されたランク番号を符号化するステップと、
を含み、
前記参照データは、前記現在のブロックの前記コンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいて前記複数の候補参照ブロックをソートすることにより取得されたランクリスト内の候補参照ブロックの位置にしたがってランク番号に変換される、
方法。

(相違点)
「符号化するステップ」における「符号化」が、補正発明においては、「エントロピー符号化」であるのに対し、引用発明においては、「エントロピー符号化」と特定されていない点

(6)相違点の判断
符号化において、「エントロピー符号化」は、H.264/AVCにおいて用いられているようによく知られているものであって、「前記現在のブロックを符号化するために参照ブロックとして実際に使用される特定の1つに対応するランク番号」に相当する、 引用発明における「セレクタ」をエントロピー符号化することは、当業者が容易に想到し得ることである。

そして、補正発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

したがって、補正発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

補正発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反している。

3 まとめ
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成28年7月13日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?15に係る発明は、平成28年1月20日付け手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?15に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項6に係る発明は、次のとおりのものである(この発明を以下「本願発明」という。)。

(本願発明)
「符号化されるべき現在のブロックに関する複数の候補参照ブロックの各々の位置を示す参照データを、前記現在のブロックのコンテキスト特徴と前記複数の候補参照ブロックの各々の前記コンテキスト特徴との距離に基づいてそれぞれのランク番号に変換するステップであって、前記コンテキスト特徴はブロックを囲む画素を含む、前記変換するステップと、
前記複数の候補参照ブロックのうちの、前記現在のブロックを符号化するために参照ブロックとして実際に使用される特定の1つに対応するランク番号を決定するステップと、
前記決定されたランク番号をエントロピー符号化するステップと、
を含む、方法。」

2 判断
補正発明は、本願発明をさらに限定したものと認められ、補正発明が引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであることは、上記第2のとおりであるから、同じ理由で、本願発明は引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明できたものと認められる。

3 むすび
以上のとおり、本願の請求項6に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、請求項1?5、7?15に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-09-26 
結審通知日 2017-09-27 
審決日 2017-10-11 
出願番号 特願2013-528311(P2013-528311)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 後藤 嘉宏坂東 大五郎牛丸 太希  
特許庁審判長 篠原 功一
特許庁審判官 小池 正彦
鳥居 稔
発明の名称 画像コンテンツベースの検索及びランキングによるビデオ圧縮における参照ブロックへのリンクの符号化  
代理人 阿部 豊隆  
代理人 内藤 和彦  
代理人 江口 昭彦  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 大貫 敏史  
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