• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1337798
審判番号 不服2017-6199  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-28 
確定日 2018-03-26 
事件の表示 特願2015- 51669「イメージセンサーとその形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月12日出願公開、特開2016- 76682、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月16日(パリ条約に基づく優先権主張 外国庁受理2014年10月6日、米国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成27年 3月16日 出願審査請求
平成28年 5月16日 拒絶理由通知
平成28年 8月22日 意見書・手続補正書
平成29年 1月30日 拒絶査定
平成29年 4月28日 審判請求・手続補正書
平成29年11月 2日 拒絶理由通知(当審)
平成29年12月22日 意見書・手続補正書

第2 本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、平成29年12月22日付け手続補正書による補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載される事項により特定される、次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素と赤外線(IR)画素と、
それぞれ、前記R、G、および、B画素中に設置されるR、G、および、Bフィルターと、
上面が前記R、G、および、Bフィルターの上面より高く、前記IR画素に設置されるIRパスフィルターと、
前記R、G、および、Bフィルターの上に設置され、少なくとも特定波長を有するIR光を遮蔽するIRフィルターと、
前記IRフィルターと前記IRパスフィルター上に設置されるマイクロレンズ構造を含み、
前記IRパスフィルターの上面は、前記IRフィルターの上面より低く、
前記IRパスフィルター上に設置されるマイクロレンズ構造の底面は、前記IRフィルターの上面より低いこと特徴とするイメージセンサー。
【請求項2】
さらに、特定バンドの波長を有するIR光を物体に照射するように設置される光源ユニットを含み、前記IRフィルターにより遮蔽される前記IR光の前記特定波長は、前記光源ユニットの前記IR光の前記特定バンドの前記波長と一致し、前記IRフィルターと前記R、G、および、Bフィルターが結合したものは、可視帯の波長を有するR、G、および、B光を通過させ、前記特定バンドの前記波長を有する前記光源ユニットの前記IR光を遮蔽することを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサー。
【請求項3】
前記IRフィルターは、前記特定波長を有するIR光を遮蔽する選択的IRフィルター、または、IRバンド全体の波長を有するIR光を遮蔽するIRカットオフフィルターを含むことを特徴とする請求項1と2のいずれかに記載のイメージセンサー。
【請求項4】
画素アレイ領域と前記画素アレイ領域を囲む周辺領域を有し、前記R、G、および、Bフィルター、前記IRフィルターと前記IRパスフィルターが前記画素アレイ領域中に設置され、前記IRパスフィルターがさらに、遮光素子として、前記周辺領域中に設置されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のイメージセンサー。
【請求項5】
前記マイクロレンズ構造上に設置されるダブルバンドパスフィルターを更に備え、
前記ダブルバンドパスフィルターは、可視帯の第一波長を有する光線、および、特定IRバンドの第二波長を有する光線を通過させ、前記特定IRバンドの前記第二波長は、前記光源ユニットの前記IR光の前記特定波長と一致することを特徴とする請求項2に記載のイメージセンサー。
【請求項6】
複数のフォトダイオードを含み、前記各フォトダイオードが、赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素と赤外線(IR)画素の一つの画素中に設置される半導体基板を供給する、工程と、
前記R、G、および、B画素に、それぞれ、R、G、および、Bフィルターを、前記R、G、および、Bフィルターで開口を有するように形成する工程と、
前記R、G、および、Bフィルター上、および、前記開口の中と上部に、IRフィルター材料層を形成する工程と、
前記IRフィルター材料層のうち、前記IR画素に位置する部分を除去して、IRフィルターを形成し、前記IRフィルターは、少なくとも特定波長を有するIR光を遮蔽し、前記IRフィルターが、前記IR画素で、開口を有する工程と、
前記IR画素で、前記IRフィルターの前記開口中に、IRパスフィルターを形成し、前記IRパスフィルターの上面は、前記IRフィルターの上面より低く、キャビティが前記IRパスフィルター上に形成される工程と、
前記IRフィルターと前記IRパスフィルター上にマイクロレンズ構造を形成し、前記マイクロレンズ構造が、前記IRパスフィルター上に形成される前記キャビティ中に充填される工程と、
を含むことを特徴とするイメージセンサーの形成方法。」

第3 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

1 理由1(新規性)
この出願の請求項1及び3に係る発明は、下記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。

2 理由2(進歩性)
この出願の請求項1ないし3及び5ないし10に係る発明は、下記引用文献1ないし5に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2007-189376号公報
2.特開2008-008700号公報
3.特開平05-080213号公報
4.特開平06-342146号公報
5.特開2013-115625号公報

第4 当審拒絶理由の概要
平成29年11月2日付けで当審より通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は、次のとおりである。

1 理由1(明確性)
(1)本願発明1ないし5について
a 請求項1の「前記R、G、および、Bフィルターと前記IRフィルターは開口を有し」との記載が、「イメージセンサー」のどのような構造又は特性を表しているのかが不明である。
b 請求項1の「前記IRパスフィルターは、前記R、G、および、Bフィルターと前記IRフィルターの前記開口中に充填され」との記載が、「イメージセンサー」のどのような構造又は特性を表しているのかが不明である。
c 請求項1の「前記マイクロレンズ構造が、前記IRパスフィルター上に形成される前記キャビティ中に充填される」との記載が、「イメージセンサー」のどのような構造又は特性を表しているのかが不明である。
d 請求項1に「前記IRパスフィルターの上面は、前記IRフィルターの前記上面より低く」と記載されているが、当該記載以前に、「IRフィルター」の上面については記載されていないから、「前記IRフィルターの前記上面」が何を指し示すのかが不明である。
e 請求項1を引用する請求項2ないし5についても、上記aないしdと同様の点が指摘される。
f よって、本願発明1ないし5は明確でない。

(2)本願発明2ないし5について
a 請求項2の「前記IRフィルターに結合される前記R、G、および、Bフィルターは、可視帯の波長を有するR、G、および、B光を通過させ、前記特定バンドの前記波長を有する前記光源ユニットの前記IR光を遮蔽する」との記載の意味が不明確である。
b 請求項2を引用する請求項3ないし5についても、上記aと同様の点が指摘される。
c よって、本願発明2ないし5は明確でない。

(3)本願発明5について
a 請求項5には、「マイクロレンズ構造」について二回記載されているが、「マイクロレンズ構造」を二重に設けることを意味するのか、それとも、単一の構成について繰り返し記載しているだけであるのかが不明である。
b 請求項5に「前記光源ユニット」と記載されているが、当該記載に対応する「光源ユニット」との語は、選択的に引用される請求項2にしか存在せず、請求項5が請求項2を引用しない場合に、「前記光源ユニット」が指し示すものが不明である。
c よって、本願発明5は明確でない。

(4)本願発明6について
a 請求項6の「前記IR画素に位置する前記IRフィルター材料層の一部を除去して、IRフィルターを形成し、」との記載の意味が不明確である。
b よって、本願発明6は明確でない。

2 理由2(サポート要件)
(1)本願発明2ないし5について
a 請求項2には、「前記IRフィルターに結合される前記R、G、および、Bフィルターは、可視帯の波長を有するR、G、および、B光を通過させ、前記特定バンドの前記波長を有する前記光源ユニットの前記IR光を遮蔽する」と記載されているが、「R、G、および、Bフィルター」が、単体で、「可視帯の波長を有するR、G、および、B光を通過させ、前記特定バンドの前記波長を有する前記光源ユニットの前記IR光を遮蔽する」ことは、発明の詳細な説明に記載されていない。
b 請求項2を引用する請求項3ないし5についても、上記aと同様の点が指摘される。
c よって、本願発明2ないし5は発明の詳細な説明に記載されたものでない。

(2)本願発明5について
a 請求項5には、「マイクロレンズ構造」について二回記載されているが、「マイクロレンズ構造」を二重に設けることは、発明の詳細な説明に記載されていない。
b よって、本願発明5は発明の詳細な説明に記載されたものでない。

(3)本願発明6について
a 請求項6には、「前記IR画素に位置する前記IRフィルター材料層の一部を除去して、IRフィルターを形成し、」と記載されているが、「『IR画素に位置するIRフィルター材料層』のうち、一部を除去する」ことは、発明の詳細な説明に記載されていない。
b よって、本願発明6は発明の詳細な説明に記載されたものでない。

3 理由3(進歩性)
この出願の請求項1ないし6に係る発明は、下記引用文献1ないし4に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2008-8700号公報
2.特開平5-251674号公報
3.特開2014-22675号公報
4.特開2011-199798号公報

第5 引用文献の記載事項及び引用発明
1 引用文献1の記載事項並びに引用発明1-1及び1-2
(1)引用文献1の記載事項
原査定及び当審拒絶理由において引用された特開2008-8700号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(当審注.下線は当審において付した。以下において同じ。)
ア「【0001】
本発明は、所定の距離位置に存在する被写体像(距離画像)を取得する距離画像センサに関し、特に、距離画像の取得とともに、通常の画像(可視光画像)を取得する距離画像センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮影対象空間に赤外のパルス光を照射し、所定時間経過後に被写体から反射されてくるパルス光を撮像することにより、所定の距離位置(光路差)に存在する被写体の画像(距離画像)を取得する光路差検出方式の距離画像センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の距離画像センサでは、赤外光を受光するために固体撮像装置が用いられ、また、所定距離に位置する被写体から反射されたパルス光のみを受光するために、電気光学シャッタやイメージインテンシファイヤ等の高速シャッタ装置が設けられている。
【0003】
また、距離画像センサにおいて、距離画像と同時に通常の可視光画像を取得することは、画像中からの特定の被写体の切り出し(背景分離)や、3次元画像の作成などを行ううえで有用である。しかしながら、上記の距離画像センサに用いられる固体撮像装置は、赤外光受光用の撮像装置であるため、距離画像と可視光画像とを同時に取得するには、可視光受光用の固体撮像装置が別途必要であるとともに、入射光を各固体撮像装置へ導くためのプリズムなども必要となる。
【0004】
そこで、本出願人は、上記の距離画像センサの構成を簡素化し、サイズやコスト面の向上を図ることを目的とした固体撮像装置を提案している(特許文献2参照)。この固体撮像装置は、単板式でありながら可視光および赤外光を同時に受光することができるとともに、赤外光および可視光の受光期間をそれぞれ独立して制御することができる。この固体撮像装置を用いることにより、上記のプリズムやシャッタ装置を排除し、距離画像センサの構成を簡素化することができる。
【特許文献1】米国特許第6057909号明細書
【特許文献2】特願2006-172649号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の距離画像センサは、人の目視あるいは通常の撮像へ影響を与えないように、可視光とは波長の異なる赤外光を用いて距離画像の取得を行っているが、実際に距離画像センサに入射される赤外光には、赤外発光部から発せられたパルス光の被写体からの反射成分だけでなく、太陽光や白熱灯等の外光中に存在する赤外光成分も含まれるため、距離撮像に影響が生じる。このため、状況によっては距離画像のSN比が著しく低下して、距離情報を正確に取得することができないといった問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、外光中の赤外成分による距離画像の劣化を防止することができる、可視光画像同時取得型の距離画像センサを提供することを目的とする。」
イ「【0013】
図1において、本発明に係わる距離画像センサ2は、各部を統括的に制御する制御部3と、撮影対象空間に向けて赤外(IR)光を発するIR発光部4と、撮影対象空間からの可視光およびIR光を集光するレンズ5と、レンズ5によって集光された光を光電変換して画素信号を出力する固体撮像装置6と、固体撮像装置6を駆動するための各種の駆動パルスを発生するタイミングジェネレータ(TG)7と、固体撮像装置6から出力された画素信号をデジタル化するA/D変換器8と、デジタル化された画素信号の記録先を1フレーム走査期間ごとに切り替える記録先切替部9と、1フレーム分の画素信号が記録先切替部9を介して交互に書き込まれる第1および第2フレームメモリ10a,10bと、第1および第2フレームメモリ10a,10bに書き込まれた画素信号を信号処理して可視光画像と距離画像とを生成する信号処理部11と、信号処理部11によって生成された可視光画像と距離画像とを記録する画像メモリ12とから構成されている。」
ウ「【0019】
図2は、固体撮像装置6の構成を示す。固体撮像装置6は、インターライン転送方式のCCDイメージセンサであり、青色(B)光を受光してB信号電荷を蓄積するB受光部20aと、緑色(G)光を受光してG信号電荷を蓄積するG受光部20bと、赤色(R)光を受光してR信号電荷を蓄積するR受光部20cと、赤外(IR)光を受光してIR信号電荷を蓄積するIR受光部20dと、受光部20a?20dから信号電荷を読み出す読み出しゲート(RG)21a?21dと、信号電荷を垂直転送する垂直CCD22と、信号電荷を水平転送する水平CCD23と、信号電荷を電圧信号に変換して出力する出力アンプ24と、IR受光部20dに接続された掃き捨てゲート(EG)25と、IR受光部20dの信号電荷が掃き捨てられるドレイン領域26とから構成されている。EG25とドレイン領域26とによって横型オーバーフロードレイン(LOD)が構成されている。また、受光部20a?20d下には、後述するpウェル層31の薄部31a?31dとn型半導体基板30とによって縦型オーバーフロードレイン(VOD)が構成されている。なお、受光部20a?20cは請求項中の第1受光部、受光部20dは請求項中の第2受光部に対応する。」
エ「【0025】
図4は、図2のI-I線に沿う、B受光部20aを含む画素の断面を示す。n型半導体基板(n型シリコン基板)30の表層には、pウェル層31が形成されており、pウェル層31の深部には、n型半導体層からなるB信号電荷蓄積部32が形成されている。B信号電荷蓄積部32は、遮光膜33の開口33a下に層状に広がっており、水平方向の一端は、pウェル層31の表面に達している。
【0026】
B信号電荷蓄積部32とその下のpウェル層31との界面に形成されるpn接合部32aが、B光を光電変換してB信号電荷を生成するフォトダイオードとなっている。このpn接合部32aは、波長が短く、pウェル層31の表面からの侵入距離が短いB光に対して高い感度を有するように、比較的浅い位置に形成されている。pウェル層31は、B信号電荷蓄積部32下において薄く形成されており、この薄部31aが、VODの電位障壁として機能する。n型半導体基板30に、基板電圧としてVODパルスが印加されると、薄部31aの電位障壁が低下し、B信号電荷蓄積部32内の信号電荷がn型半導体基板30へ掃き出される。
(中略)
【0031】
分光層40は、画素ごとに区分けされた複数種類の光学フィルタによって構成されており、本画素の平坦化層39上には、可視光からB光(波長:約400nm?500nm)のみを透過させるBフィルタ40aと、IR光(波長:約800nm?1500nm)を遮断するIRカットフィルタ40bとが順に積層されている。さらに、分光層40の上には、開口33a内へ光を集光するためのマイクロレンズ41が形成されている。」
オ「【0032】
図5は、図2のII-II線に沿う、G受光部20bを含む画素の断面を示す。本画素は、信号電荷蓄積部と光学フィルタの構成以外は、図4と同一であるため、異なる部分のみについて説明を行う。
【0033】
本画素において、開口33a下のpウェル層31中には、G信号電荷蓄積部42が形成されている。G信号電荷蓄積部42とその下のpウェル層31との界面に形成されるpn接合部42aが、G光を光電変換してG信号電荷を生成するフォトダイオードとなっている。このpn接合部42aは、B光より波長が長く、pウェル層31内へより深く侵入するG光に対して高い感度を有するように、上記のpn接合部32aより深い位置に形成されている。pウェル層31は、G信号電荷蓄積部42下において薄く形成されており、この薄部31bが、VODの電位障壁として機能する。n型半導体基板30にVODパルスが印加されると、薄部31bの電位障壁が低下し、G信号電荷蓄積部42内の信号電荷がn型半導体基板30へ掃き出される。
(中略)
【0035】
そして、本画素の平坦化層39上には、可視光からG光(波長:約500nm?600nm)のみを透過させるGフィルタ40cと、前述のIRカットフィルタ40bとが順に積層されており、IRカットフィルタ40bの上には、マイクロレンズ41が積層されている。」
カ「【0036】
図6は、図2のIII-III線に沿う、R受光部20cを含む画素の断面を示す。本画素は、信号電荷蓄積部と光学フィルタの構成以外は、図4,5と同一であるため、異なる部分のみについて説明を行う。
【0037】
本画素において、開口33a下のpウェル層31中には、R信号電荷蓄積部43が形成されている。R信号電荷蓄積部43とその下のpウェル層31との界面に形成されるpn接合部43aが、R光を光電変換してR信号電荷を生成するフォトダイオードとなっている。このpn接合部43aは、G光より波長が長く、pウェル層31内へより深く侵入するR光に対して高い感度を有するように、上記のpn接合部42aより深い位置に形成されている。pウェル層31は、R信号電荷蓄積部43下において薄く形成されており、この薄部31cが、VODの電位障壁として機能する。n型半導体基板30にVODパルスが印加されると、薄部31cの電位障壁が低下し、R信号電荷蓄積部43内の信号電荷がn型半導体基板30へ掃き出される。
(中略)
【0039】
そして、本画素の平坦化層39上には、可視光からR光(波長:約600nm?700nm)のみを透過させるRフィルタ40dと、前述のIRカットフィルタ40bとが順に積層されており、IRカットフィルタ40bの上には、マイクロレンズ41が積層されている。」
キ「【0040】
図7は、図2のIV-IV線に沿う、IR受光部20dを含む画素の断面を示す。本画素は、信号電荷蓄積部と光学フィルタの構成、およびEG25が設けられていること以外は、図4?図6と同一であるため、異なる部分のみについて説明を行う。
【0041】
本画素において、開口33a下のpウェル層31中には、IR信号電荷蓄積部44が形成されている。IR信号電荷蓄積部44とその下のpウェル層31との界面に形成されるpn接合部44aが、IR光を光電変換してIR信号電荷を生成するフォトダイオードとなっている。このpn接合部43aは、R光より波長が長く、pウェル層31内へより深く侵入するIR光に対して高い感度を有するように、上記のpn接合部43aより深い位置に形成されている。pウェル層31は、IR信号電荷蓄積部44下において薄く形成されており、この薄部31dが、VODの電位障壁として機能する。n型半導体基板30にVODパルスが印加されると、薄部31dの電位障壁が低下し、IR信号電荷蓄積部44内の信号電荷がn型半導体基板30へ掃き出される。
(中略)
【0043】
そして、本画素の平坦化層39上には、IR光(波長:約800nm?1500nm)を透過させ、可視光をカットする赤外光透過・可視光カットフィルタ40eと、透明膜40fとが順に積層されており、透明膜40fの上には、マイクロレンズ41が積層されている。なお、透明膜40fは、マイクロレンズ41下を平坦化するために設けたものであるが、透明膜40fを設けず、分光層40を構成する各光学フィルタの厚さを調節することによって、マイクロレンズ41下の平坦化を行ってもよい。また、マイクロレンズ41の下に、分光層40の上面全体を覆う平坦化層を別途設けてもよい。」

(2)引用発明1-1(物の発明)
上記(1)より、引用文献1には、下記の発明(以下、「引用発明1-1」という。)が記載されていると認められる。
「R受光部20cを含む画素、G受光部20bを含む画素、B受光部20aを含む画素とIR受光部20dを含む画素と、
それぞれ、前記R受光部20cを含む画素、前記G受光部20bを含む画素、及び前記B受光部20aを含む画素中に設置されるRフィルタ40d、Gフィルタ40c、及び、Bフィルタ40aと、
前記IR受光部20dを含む画素に設置される赤外光透過・可視光カットフィルタ40eと、
前記赤外光透過・可視光カットフィルタ40e上に設置された透明膜40fと、
前記Rフィルタ40d、Gフィルタ40c、及び、Bフィルタ40aの上に設置され、IR光(波長:約800nm?1500nm)を遮断するIRカットフィルタ40bと、
前記IRカットフィルタ40bと前記透明膜40f上に設置されるマイクロレンズ41を含むことを特徴とする距離画像センサ。」

(3)引用発明1-2(物を生産する方法の発明)
引用文献1には、「距離画像センサ」を生産する方法について明記されていないが、当該技術分野における技術常識を参酌すれば、上記(1)の引用文献1の記載事項より、下記の発明(以下、「引用発明1-2」という。)を導出することができる。
「複数のフォトダイオードを含み、前記各フォトダイオードが、R受光部20cを含む画素、G受光部20bを含む画素、B受光部20aを含む画素とIR受光部20dを含む画素の一つの画素中に設置されるn型半導体基板30を供給する、工程と、
前記R受光部20cを含む画素、前記G受光部20bを含む画素、及び、前記B受光部20aを含む画素に、それぞれ、Rフィルタ40d、Gフィルタ40c、及び、Bフィルタ40aを形成する工程と、
前記IR受光部20dを含む画素に、赤外光透過・可視光カットフィルタ40eを形成する工程と、
前記Rフィルタ40d、前記Gフィルタ40c、及び、前記Bフィルタ40a上に、IR光(波長:約800nm?1500nm)を遮断するIRカットフィルタ40bを形成する工程と、
前記赤外光透過・可視光カットフィルタ40e上に、透明膜40fを形成する工程と、
前記IRカットフィルタ40b、及び、前記透明膜40f上に、マイクロレンズ41を形成する工程と、
を含むことを特徴とする距離画像センサの形成方法。」

2 引用文献2の記載事項
当審拒絶理由において引用された特開平5-251674号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0015】その後は、図4に示すように、従来と同様の方法によりカラーフィルタ層10a,10b,10c及びその上に保護膜11を形成し、保護膜11表面にはオンチップレンズ11aを加工する。」

3 引用文献3の記載事項
当審拒絶理由において引用された特開2014-22675号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
ア「【要約】
【課題】受光部及び回路部に対する遮光性を向上することで、受光部及び回路部に配置されているトランジスターの光リーク電流の増加を抑制し、センシング精度を向上させる。
【解決手段】本発明のセンシング装置は、光電変換素子を含む受光部及び受光部を駆動する回路部を有するセンサー基板と、受光部と回路部とに平面的に重なって形成され光電変換素子に対応した開口部を有する遮光膜と、受光部と回路部とに平面的に重なって形成された特定波長カットフィルターと、を備えている。遮光膜及び特定波長カットフィルターによって、トランジスターのリーク電流の増加となる不要な光を抑制することができる。さらに、遮光膜に遮光性が低下した領域が発生しても、特定波長カットフィルターによって遮光性は確保されているので、センシング精度の低下となるトランジスターのリーク電流の増加は抑制される。」
イ「【請求項1】
光電変換素子を含む受光部、及び前記受光部を駆動する回路部を有するセンサー基板と、
前記受光部と前記回路部とに平面的に重なって形成され、前記光電変換素子に対応した開口部を有する遮光膜と、
前記受光部と前記回路部とに平面的に重なって形成された特定波長カットフィルターと、
を備えていることを特徴とするセンシング装置。」

4 引用文献4の記載事項
当審拒絶理由において引用された特開2011-199798号公報(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0164】
[第5例]
図11は、光源(の特定波長光)と、光学フィルタ部と、撮像デバイス構造の組合せの第5例を示す図である。
【0165】
第5例は、可視光の通常画像を取得可能な第2例や第4例に対する変形例であり、可視光帯を色分別して受光するように変形することでカラー画像撮像に対応するものである。このため、可視光画素と対応する部分には可視光領域の色分離に対応する波長を透過するカラーフィルタを設け、特定波長成分用の赤外画素と対応する部分には可視光を吸収または反射しかつ赤外光領域の少なくとも特定波長成分を透過するカラーフィルタを設ける。
【0166】
たとえば、図11(1)は、図7(1)や図10(1)と対応し、撮像光学系の光路中に特殊な光学バンドパスフィルタ508を設ける際に、固体撮像素子314とは別の光学素子として光学バンドパスフィルタ508を設ける場合を示す。一方、図11(2)は、図7(2)や図10(2)(詳しくは図10(6))と対応し、撮像光学系の光路中に特殊な光学バンドパスフィルタ508を設ける際に、光学バンドパスフィルタ508を固体撮像素子314上に一体で設ける構成を示す。図示しないが、図7(3)および図7(4)と対応するように、マイクロレンズ318と光学バンドパスフィルタ508の配置順を逆にすることで保護層319を使用しない(あるいは極めて薄いものにする)構造にすることも考えられる。
【0167】
このような第5例の基本的な構成は、第2例や第4例と同様であるが、可視光帯を色分別して受光するように可視光画素と対応する部分には色分離用のカラーフィルタ(色フィルタ群312)を有する色フィルタ部520が設けられている。第2例や第4例と同様に、受光側の撮像光学系では、可視光を透過し、かつ、赤外光領域については光源から発せられた特定波長帯域の光だけを透過しその他の赤外光をカットする光学バンドパスフィルタ504や光学バンドパスフィルタ508を設ける。
【0168】
カラー画像を撮影する可視光画素にはカラー画像を取得するためにたとえば、青、緑、赤の各色の画素を有する構成にする場合は、それぞれの波長成分以外を吸収または反射するカラーフィルタを設けた画素と、被写体に照射する特定波長光を検知し距離情報を得るための赤外画素を設ける。赤外画素には、可視光成分の波長を吸収または反射により除去するとともに赤外光領域に関しては少なくとも特定波長に対して透過性を持つ赤外光フィルタIRを設ける。
【0169】
色フィルタ部520は色フィルタ部510と対応するもので、特に、図8(2)に示した第2例に対する第2変形例における可視光カットフィルタ512Bと対応する。構成としては、可視光カットフィルタ512Bの全域通過の白色フィルタWを、青(B)、緑(G)、赤(R)のそれぞれに対応する色フィルタを配置した色分離フィルタR/G/Bに置き換えたものが色フィルタ部520である。色フィルタ部520は、赤外画素と対応する部分では可視光を吸収しかつ赤外光を通過する赤外光フィルタIRを使用する。
【0170】
以下では、第4例に対する変形例で説明する。太陽光の地上到達波長特性に注目し、太陽光量の非常に少ないたとえば760nm、940nm、1130nm、1400nm近傍の特定波長帯域を利用する。そして、実現するカメラシステムでは、撮影被写体に対して照射する光源(発光部322)として750nm以上の赤外帯域で4つの特定波長帯域の内1つ以上の波長成分を含む光を発する光源を発光部322に用いる。
【0171】
固体撮像素子314やカメラシステムとしてこのような構成とすることで、青、緑、赤の波長成分は撮像光学系中の光学バンドパスフィルタ508で透過されるので、カラー画像は従来と同様に固体撮像素子314上のカラーフィルタにてそれぞれの成分として受光され光電変換される。一方、可視光成分の波長を吸収または反射により除去する赤外光フィルタIRを設けた赤外画素では青、緑、赤の波長成分は光電変換されることはない。
【0172】
発光部322から特定波長光を発しての測距情報の取得では、被写体に照射された太陽光による赤外波長帯域の特定波長光成分を除く大部分の光は撮像光学系中の光学バンドパスフィルタ504や光学バンドパスフィルタ508を通過することができないので光電変換されない。一方、被写体に照射する特定波長光は、撮像光学系中の光学バンドパスフィルタ504や光学バンドパスフィルタ508を透過し、可視光成分の波長を吸収または反射により除去する赤外光フィルタIRを設けた赤外画素に受光され光電変換される。
【0173】
被写体に照射した光源の特定波長光はカラー画像用の色分離フィルタR/G/Bの分光特性によっては可視光画素に集光され光電変換される可能性があり、カラー画像の色成分に対するノイズとなり得る。しかしながら、それぞれのカラー画素には本来の可視光成分(青、緑、赤の各別の光)が非常に大量に光電変換されることから、色成分に対するノイズは非常に限定的で影響は殆どない。仮に、暗い場所の場合は、色分離フィルタR/G/Bへの照射光が入り光電変換される影響があるが、たとえば、R-IR・α、G-IR・β、B-IR・γという差分演算をすることで特定波長光の影響を抑制できる。
【0174】
光学フィルタ部500および色フィルタ部520を第5例のような構成とすることで、単一の固体撮像素子314にてカラー画像と赤外情報を同時に取得することができる。つまり、色フィルタ部520により可視光画素(特に色画素)と赤外画素が区別されるので、カラー画像と被写体に照射する光源による特定波長光に基づく測定画像を同時に取得することが可能であり、被写体に照射した特定波長光の信号を用いて昼間の屋外でも測距が可能となる。
【0175】
屋外では地上に到達する太陽光は主に大気中の水分にて760nm近傍、940nm近傍、1130nm近傍、1400nm近傍の光が吸収される。このような特定波長の光を被写体を照射し、その反射光を透過する光学バンドパスフィルタ506を設けることにより直接的な外乱によるS/N比(Signal-Noise ratio:信号雑音比)を大幅に改善できる。固体撮像素子314あるいは撮像システムをこのような構成とすることで、屋外における外乱ノイズの極めて少ない信号を得ることが可能となる。また、特定波長光以外の不要な入射太陽光成分が減少することで飽和の問題も解消される。これにより、室内はもちろん太陽光下でも精度の高い距離計測や物体検出が可能になる。」

5 引用文献5の記載事項並びに引用発明2-1及び2-2
(1)引用文献5の記載事項
原査定において引用された特開2007-189376号公報(以下、「引用文献5」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
ア「【0001】
本発明は、固体撮像装置及びカメラモジュールに関し、より特定的には、デジタルカメラや携帯電話に用いられる固体撮像装置及びカメラモジュールに関する。
(中略)
【0023】
本発明によれば、固体撮像装置内に赤外カットフィルタが形成されるため、固体撮像装置と赤外カットフィルタとをそれぞれ別個に備えるカメラモジュールと比べて、厚みの薄いカメラモジュールを構成することが可能となる。」
イ「【0025】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の概略構成を示す断面図である。
【0026】
固体撮像装置1は、表面に複数の画素が形成された半導体基板2と、遮光層5と、赤外カットフィルタ層6と、カラーフィルタ層7と、複数のマイクロレンズ8とを備える。
【0027】
半導体基板2に形成された画素の各々は、例えばフォトダイオードのように、入射光を光電変換する受光素子3と、受光素子3から出力される信号を読み出すための読み出し回路4とを含む。画素の各々は、半導体基板2上において行列状に整列するように形成されている。
【0028】
遮光層5は、入射光の一部を遮蔽するために、すなわち、入射光が受光素子3の受光面以外の部分に入射することを避けるために設けられている。
【0029】
赤外カットフィルタ層6は、全ての受光素子3の受光面を覆うように、遮光層5の表面に形成されている。尚、赤外カットフィルタ層6の構成の詳細については後述する。
【0030】
カラーフィルタ層7は、有機材料よりなり、赤外カットフィルタ層6の表面を覆うように、赤外カットフィルタ層6上に形成されている。カラーフィルタ層7は、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3原色の光を取り出すために、分光特性の異なる3種類のカラーフィルタを含む。尚、3種類のカラーフィルタの各々は、平面視において、予め定められたパターンに従って、画素を1つずつ覆うように配列されている。
【0031】
マイクロレンズ8の各々は、受光素子3の各々と対応するように、カラーフィルタ層7の表面に形成されている。マイクロレンズの各々は、入射光を効率よく受光素子3の受光面へと集光するために設けられている。
(中略)
【0040】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の概略構成を示す断面図である。第2の実施形態に係る固体撮像装置11の基本的な構造は、第1の実施形態に係るものと同様であるので、以下においては、相違点を中心に説明する。
【0041】
固体撮像装置11は、赤外カットフィルタ層6及びカラーフィルタ層7が半導体基板2の表面に対して部分的に形成されている点と、有機層12を有している点とにおいて、第1の実施形態に係るものとは異なっている。
【0042】
より詳細には、赤外カットフィルタ層6及びカラーフィルタ層7は、平面視において、所定の繰り返しパターンに従って、複数の受光素子3のうち一部のみを規則的に覆うように、遮光層5上に形成されている。尚、赤外カットフィルタ層6及びカラーフィルタ層7の繰り返しパターンの詳細については後述する。
【0043】
有機層12は、光学的に透明な有機材料によって、遮光層5の表面のうち、赤外カットフィルタ層6及びカラーフィルタ層7が形成されていない部分を埋め込むように形成されている。有機層12は、マイクロレンズ8の形成を容易にするために設けられている。
【0044】
そして、マイクロレンズ8の各々は、受光素子3の各々と対応するように、カラーフィルタ層7及び有機層12の表面に形成されている。
【0045】
図4は、図3に示される固体撮像装置の製造方法を説明するための概略図である。
【0046】
本実施形態に係る固体撮像装置11は、半導体製造プロセスに従って製造される。より具体的には、まず、図4に示されるように、遮光層5の表面に、赤外カットフィルタ層6及びカラーフィルタ層7を、所定のパターンに従って受光素子3の一部を規則的に覆うように形成する。次に、光学的に透明な材料を、赤外カットフィルタ層6及びカラーフィルタ層7の隙間17に埋め込むことによって、有機層12を形成する。その後、カラーフィルタ層7及び有機層12の表面に複数のマイクロレンズ8を形成すると、図3に示される固体撮像装置11が形成される。
【0047】
ここで、本実施形態に係る固体撮像装置11の利点について説明する。
【0048】
再度図3を参照して、赤外カットフィルタ層6及びカラーフィルタ層7によって覆われる画素は、カラーフィルタ層7の特性に応じて可視光(例えば、RGB)を検出することができる。一方、赤外カットフィルタ層6及びカラーフィルタ層7によって覆われていない画素は、赤外線を検出することが可能である。
【0049】
赤外カットフィルタ層6は、半導体製造プロセスに従って形成されるため、赤外カットフィルタ層6の平面パターンを微細化することができる。よって、図3に示されるように、複数の画素の一部を選択的に覆うように赤外カットフィルタ層6を形成すれば、可視光を検出する画素と、赤外線を検出する画素とを併せ持つ固体撮像装置11を構成することが可能となる。」
ウ「【0056】
ここで、図7?図10を参照しながら、カラーフィルタ層及び赤外カットフィルタ層の配列パターンについて説明する。尚、図7?図10に示される矩形の各々は、画素の各々に対応する領域を表す。また、図7?図10に示される「R」、「G」、「B」の表記の各々は、赤、緑、青の光を検出する画素の各々を表し、「IR」の表記は、赤外線を検出する画素を表す。以下においては、説明を簡略化するために、赤、緑、青の光を検出する画素の各々を、R画素、G画素、B画素といい、赤外線を検出する画素をIR画素という。
(中略)
【0060】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置におけるフィルタ配列の一例を示す図である。」

(2)引用発明2-1(物の発明)
上記(1)より、引用文献5には、下記の発明(以下、「引用発明2-1」という。)が記載されていると認められる。
「R画素、G画素、B画素とIR画素と、
赤(R)、緑(G)及び青(B)の3原色の光を取り出すために前記R、G、及び、B画素中に設置された分光特性の異なる3種類のカラーフィルタを含むカラーフィルタ層7と、
前記IR画素に設置される有機層12と、
前記カラーフィルタ層7の下に設置された赤外カットフィルタ層6と、
前記カラーフィルタ層7と前記有機層12上に設置されるマイクロレンズ8を含むことを特徴とする固体撮像装置。」

(3)引用発明2-2(物を生産する方法の発明)
上記(1)より、引用文献5には、下記の発明(以下、「引用発明2-2」という。)が記載されていると認められる。
「フォトダイオード等の受光素子3を複数含み、各受光素子3が、R画素、G画素、B画素とIR画素の1つの画素中に設置される半導体基板2を供給する工程と、
前記R、G、および、B画素に、赤外カットフィルタ層6及び分光特性の異なる3種類のカラーフィルタを含むカラーフィルタ層7を形成する工程と、
光学的に透明な材料を、赤外カットフィルタ層6及びカラーフィルタ層7の隙間17に埋め込むことによって、有機層12を形成する工程と、
カラーフィルタ層7及び有機層12の表面に複数のマイクロレンズ8を形成する工程と、
を含むことを特徴とする固体撮像装置の形成方法。」

6 引用文献6の記載事項
原査定において引用された特開平05-080213号公報(以下、「引用文献6」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0031】実施例2
本実施例は、図4に示す工程により、顔料を分散させた感光性ポリアミドを主体とした着色樹脂層の下地層として無色透明な感光性ポリアミド樹脂を用いて、カラーフィルターを作成した例を示す。
【0032】300×320mmのガラス基板1上に、無色透明な感光性ポリアミド樹脂(PA-1000C、宇部興産社製品)をスピンコートし、ホットプレートにより100℃,5分間ベークして1000Åの膜厚の透明感光性樹脂層2の下地層を設けた(図4(a)参照)。その後、感光性赤色樹脂材料(PA-1012R、宇部興産社製品)を下地層の上にスピンコートにより1.5μmの膜厚に設け、ホットプレートにより、80℃、10分間ベークし赤色樹脂層(R層)3を設けた(図4(b)参照)。次に、フォトマクス4を介して所望の部分を適切な光量でUV硬化し、現像液に不溶なものとした(図4(c)参照)。その後、専用現像液により着色樹脂層と下地層の未露光部分を同時に溶解除去した(図4(d)参照)。この現像により顔料を含まない下地層も溶解除去されるのでガラス面上に顔料の残渣が生じることはない。そして、ホットプレートにより200℃、10分間ポストベークして赤色フィルターを得た(図4(d)参照)。
【0033】同様にして、緑色樹脂層(G層)5、青色樹脂層(B層)6を設け、緑,青フィルターを形成した(図4(e)参照)。次に、白色層として無色透明な感光性ポリアミド樹脂(PA-1000C、宇部興産社製品)をスピンコートし、ホットプレートにより、80℃、10分間ベークして1.6μmの膜厚を形成した。次に、所望の部分をフォトマスクを介して適切な露光量でUV硬化(図4(f)参照)した後、専用現像液で未露光部分を溶解除去し、ホットプレートにより200℃,10分間ポストベークを行い、白色樹脂層(W層)2aを設けた。これにより、赤,緑,青,白の4色カラーフィルターが得られた(図4(g)参照)。
【0034】最後に、保護層(PA-1000C、宇部興産社製品)7をスピンコートにより2.0μmの膜厚に設け、ホットプレートにより、80℃,10分間ベークした。その後にUVにより適切な露光量で全面露光した後、ホットプレートにより、250℃,10分間ポストベークした(図4(h)参照)。
【0035】このようにして形成したカラーフィルターは、下地層を設けているので未露光部分の溶解除去の際に、ガラス基板上に着色材料の残渣が生じず、色特製,耐熱性,後工程の着色樹脂層、保護層の密着性に優れ、大面積全域に渡って欠陥のない良好なカラーフィルターとなった。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、着色樹脂層の下に下地層として顔料を含まない透明感光性樹脂層を設け、下地層と着色樹脂層の2層からなる同じパターンを形成するが、その下地層のパターニング時に、着色樹脂層の残渣を除去でき、後工程の各色の着色樹脂層の基板への密着性が良好なカラーフィルターを得ることができる。
【0037】また、カラーフィルター上に保護層を形成する際に、保護層の密着性も良好となる効果が得られる。」

7 引用文献7の記載事項
原査定において引用された特開平06-342146号公報(以下、「引用文献7」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0057】実施例3
本実施例では、R.G.Bの各色のフィルターの配列を夫々の原色が正三角形の頂点に位置するように配列(所謂デルタ配列)し、素子分離領域を視線検出のための照明光の透過領域として利用する画像表示手段について説明する。
【0058】図13は、本実施例の画像表示装置のカラーフィルター層部分を示したものであり、図13(a)はその模式的断面図、図13(b)はその模式的平面図である。図からわかる通り、カラー表示を行うR,G,B画素を分離する領域は赤外光透過フィルター801で覆われている。一方、画素配列は上記したようにデルタ配列方式を採用した。この配列は、図13(b)の模式的平面図に示される通り、一行毎に画素を横方向に0.5画素ずらし、いずれの画素も最近接画素と同じ色のフィルターを有さない構成をとることにより、斜め方向の特定の色の線を見えにくくしている。このデルタ配列により、画像の鮮明度を高めることができる。
【0059】図14は、図13(b)で示したうちの4画素分を駆動するスイッチング素子層206の等価回路を示したものである。図14に示されている様に、全ての画素は画像情報を表示する有効画素として用いることができる。一般には、図8で示した通り、画素と画素を分離するためのブラックマトリックス302を必要とするが、本実施例では、このブラックマトリックスを省き、素子分離領域の赤外光透過フィルターを通して故意に光を透過させている。この赤外光透過フィルターにより、人間の目にはあたかも遮光領域が存在するかの様に見える訳である。この構成により、ブラックマトリックスを不要とするとももに、画像情報を1bitたりとも損うことなく、視線検知光を得ることができる。その結果、新たな照明光源を設けることなく安価で高精細の表示装置に視線検知機能の構成要素を付加することができる。」

8 引用文献8の記載事項
原査定において引用された特開2013-115625号公報(以下、「引用文献8」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0013】
図1は、本発明に係る画像処理システム110を備える車載機器制御システムの概略構成を示す模式図である。本車載機器制御システムは、自動車などの車両100に搭載された撮像ユニット101で撮像した、車両100の進行方向前方領域の撮像画像データを利用して、ヘッドランプ104の配光制御、フロントガラス(透明部材)105に付着した異物を除去するためのワイパー107の駆動制御、その他の車載機器の制御を行うものである。
【0014】
図1に示した車載機器制御システムは、撮像ユニット101と、画像解析ユニット(画像解析手段)102と、ヘッドランプ制御ユニット103と、ワイパー制御ユニット106と、車両走行制御ユニット108と、を主に備える。
【0015】
本実施形態の画像処理システム110は、撮像ユニット101及び画像解析ユニット102を含む。画像解析ユニット102は、撮像ユニット101を制御する機能を有するとともに、撮像ユニット101から送信されてくる撮像画像データを解析する機能を有する。
【0016】
画像解析ユニット102は、撮像ユニット101から送信されてくる撮像画像データを解析し、フロントガラス105に付着する雨滴などの異物を検出したり、撮像画像データに車両100の前方に存在する他車両の位置、方角、距離を算出したり、撮像範囲内に存在する路面上の白線(区画線)等の検出対象物を検出したりする。なお、以降では、車両100の前方の他車両の位置、方角、距離、並びに、路面上の白線(区画線)等の情報を車両周辺情報とも呼ぶ。他車両の検出では、他車両のテールランプを識別することで車両100と同じ進行方向へ進行する先行車両を検出し、他車両のヘッドランプを識別することで車両100とは反対方向へ進行する対向車両を検出する。
【0017】
画像解析ユニット102の算出結果は、ヘッドランプ制御ユニット103に送られる。ヘッドランプ制御ユニット103は、例えば、画像解析ユニット102が算出した距離データから、車両100の車載機器であるヘッドランプ104を制御する制御信号を生成する。具体的には、例えば、先行車両や対向車両の運転者の目に車両100のヘッドランプの強い光が入射するのを避けて他車両の運転者の幻惑防止を行いつつ、車両100の運転者の視界確保を実現できるように、ヘッドランプ104のハイビーム及びロービームの切り換えを制御したり、ヘッドランプ104の部分的な遮光制御を行ったりする。
【0018】
画像解析ユニット102の算出結果は、ワイパー制御ユニット106にも送られる。ワイパー制御ユニット106は、ワイパー107を制御して、車両100のフロントガラス105に付着した雨滴などの付着物を除去する。ワイパー制御ユニット106は、画像解析ユニット102が検出した異物検出結果を受けて、ワイパー107を制御する制御信号を生成する。ワイパー制御ユニット106により生成された制御信号がワイパー107に送られると、車両100の運転者の視界を確保するべく、ワイパー107を稼動させる。
【0019】
また、画像解析ユニット102の算出結果は、車両走行制御ユニット108にも送られる。車両走行制御ユニット108は、画像解析ユニット102が検出した白線検出結果に基づいて、白線によって区画されている車線領域から車両100が外れている場合等に、車両100の運転者へ警告を報知したり、自車両のハンドルやブレーキを制御するなどの走行支援制御を行ったりする。
【0020】
図2は、本実施形態に係る画像処理システム110が備える撮像ユニット101の概略構成を示す模式図である。図2に示すように、撮像ユニット101は、車両100内に固定されるカバー210と、撮像装置201(撮像手段)と、車両100のフロントガラス105の内壁面(一方の面)105a側からフロントガラス105に向けて光を照射する光源202と、を有する。撮像装置201及び光源202はカバー210の内部に収容される。なお、図2は、カバー210内に1つの光源202が収容された例を図示しているが、光源の個数は1つに限定されるものではなく、複数個であってもよい。
【0021】
図3は、撮像ユニット101が有する撮像装置201の概略構成を示す模式図である。撮像装置201は、主に、フロントガラス105の外壁面(他方の面)105bに付着した異物(以下、異物が雨滴である場合を例に挙げて説明する。)203によって反射された光源202(図2参照)からの光、及び、車両100の外部から(外壁面105b側から)フロントガラス105を透過した光を集光する撮像レンズ204と、撮像レンズ204によって集光された光を撮像する撮像素子206と、撮像レンズ204と撮像素子206との間に配置され、有効撮像領域の所定領域において所定の波長範囲の光のみ透過させる光学フィルタ205と、撮像素子206が搭載されるセンサ基板207と、センサ基板207から出力されるアナログ電気信号(撮像素子206上の各受光素子が受光した受光量)をデジタル電気信号に変換した撮像画像データを生成して出力する信号処理部208と、から構成されている。
【0022】
なお、撮像レンズ204、光学フィルタ205、撮像素子206、センサ基板207は、フロントガラス105側からこの順に配置される。また、信号処理部208は、画像解析ユニット102と電気的に接続されている。なお、図3は、撮像素子206と信号処理部208とが独立に設けられた例を示しているが、撮像装置201の構成はこれに限定されない。例えば、撮像素子206としてその各画素にA/D変換部を備えたものを用いる場合には、そのA/D変換部が信号処理部208となる。即ち、この場合には、信号処理部208は撮像素子206に内蔵されることとなる。
【0023】
また、撮像素子206は、不図示のレジスタ(センサレジスタ)を備えている。後述する画素データの読み出し規則の制御は、画像解析ユニット102がセンサレジスタのパラメータ値を変更することによって実現される。
【0024】
光源202は、撮像レンズ204の画角範囲と光源202の照射領域とがフロントガラス105の内壁面105aで重なるように配置される。なお、光源202としてはアイセーフ帯の波長及び光量の光源を使用する。撮像レンズ204は、例えば、複数のレンズから構成されており、焦点位置は、無限遠、又は、無限遠とフロントガラス105の外壁面105bとの間に設定されている。
【0025】
光源202は、フロントガラス105の外壁面105bに付着した雨滴を検出するためのものである。フロントガラス105の外壁面105bに雨滴203が付着している場合、光源202が発した光は、雨滴203と空気の界面で反射し、その反射光は撮像装置201に入射する。一方、フロントガラス105の外壁面105bに雨滴203が付着していない場合、光源202から照射された光は、その一部がフロントガラス105を透過して外部に漏れ、残りの光がフロントガラス105の内壁面105a、あるいは、外壁面105bと外気との界面で反射し、その反射光が撮像装置201へ入射する。
【0026】
光源202としては、発光ダイオード(LED)や半導体レーザ(LD)などを用いることができる。また、光源202の発光波長は、例えば可視光領域や赤外光領域の波長であるとよい。ただし、光源202の光で対向車両の運転者や歩行者等を眩惑するのを回避する場合には、可視光よりも波長が長く、撮像素子206の受光感度がおよぶ範囲の波長、例えば750nm以上1000nm以下の赤外光領域の波長を選択するのが好ましい。以降では、光源202が赤外光領域の波長の光を照射する場合を例に挙げて説明する。
【0027】
なお、光源202は、連続発光(CW発光)を行うものであってもよいし、特定のタイミングでパルス発光するものであってもよい。特に、パルス発光を行う構成は、発光のタイミングと画像撮影のタイミングの同期させることにより、外乱光による影響をより小さくできるため好ましい。
【0028】
被写体(検出対象物)を含む撮像範囲からの光は、撮像レンズ204を通り、光学フィルタ205を透過して、撮像素子206でその光強度に応じた電気信号に変換される。ここで、被写体(検出対象物)とは、車両100の前方の風景や、フロントガラス105の外壁面105bに付着した雨滴などの異物である。信号処理部208では、撮像素子206から出力される電気信号(アナログ信号)が入力されると、その電気信号から、撮像画像データとして、撮像素子206上における各画素の明るさ(輝度情報)を含むデジタル信号を、画像の水平・垂直同期信号とともに後段のユニットへ出力する。
【0029】
既に述べたように、本実施形態では、撮像レンズ204の焦点位置は、無限遠、又は、無限遠とフロントガラス105の外壁面105bとの間に設定されている。これにより、フロントガラス105上に付着した雨滴203の検出を行う場合だけでなく、先行車両や対向車両の検出や白線の検出を行う場合にも、撮像装置201の撮像画像データから適切な情報を取得することができる。
【0030】
例えば、フロントガラス105上に付着した雨滴203の検出を行う場合、撮像画像データ上の雨滴画像の形状は円形状であることが多いので、撮像画像データ上の雨滴候補画像が円形状であるかどうかを判断してその雨滴候補画像が雨滴画像であると識別する形状認識処理を行う。このような形状認識処理を行う場合、フロントガラス105の外壁面105b上の雨滴203に撮像レンズ204の焦点が合っているよりも、上述したように無限遠、又は、無限遠とフロントガラス105との間に焦点が合っている方が、多少のピンボケが発生することにより雨滴の形状認識率(円形状)が高くなり、雨滴検出性能が高くなる。
【0031】
図4は、雨滴検出用の撮像画像データである赤外光画像データを示す説明図である。図4(a)はフロントガラス105の外壁面105b上の雨滴203に撮像レンズ204の焦点が合っている場合、図4(b)は無限遠に焦点が合っている場合における赤外光画像データをそれぞれ示している。
【0032】
フロントガラス105の外壁面105b上の雨滴203に撮像レンズ204の焦点が合っている場合、図4(a)に示すように、雨滴に映り込んだ背景画像203aまでが撮像される。このような背景画像203aは雨滴203の誤検出の原因となる。また、図4(a)に示すように雨滴の一部203bだけ弓状等に輝度が大きくなる場合があり、その大輝度部分の形状、即ち雨滴画像の形状は太陽光の方向や街灯の位置などによって変化する。このような種々変化する雨滴画像の形状を形状認識処理で対応するためには処理負荷が大きくなり、また認識精度の低下を招く。
【0033】
これに対し、無限遠に焦点が合っている場合には、図4(b)に示すように、多少のピンボケが発生する。そのため、背景画像203aの映り込みが撮像画像データに反映されず、雨滴203の誤検出が軽減される。また、多少のピンボケが発生することで、太陽光の方向や街灯の位置などによって雨滴画像の形状が変化する度合いが小さくなり、雨滴画像の形状は常に略円形状となる。よって、雨滴203の形状認識処理の負荷が小さく、また認識精度も高くなる。
【0034】
ただし、無限遠に焦点が合っている場合、遠方を走行する先行車両のテールランプを識別する際に、撮像素子206上のテールランプの光を受光する受光素子が1個程度になることがある。この場合、テールランプの光がテールランプ色(赤色)を受光する赤色用受光素子に受光されない恐れがあり、その際にはテールランプを認識できず、先行車両の検出ができない。このような不具合を回避しようとする場合には、撮像レンズ204の焦点を無限遠よりも手前に合わせることが好ましい。これにより、遠方を走行する先行車両のテールランプがピンボケするので、テールランプの光を受光する受光素子の数を増やすことができ、テールランプの認識精度が上がり先行車両の検出精度が向上する。
【0035】
ここで、フロントガラス105で反射した光源202からの赤外波長光を撮像装置201で撮像する際、撮像装置201の撮像素子206では、光源202からの赤外波長光のほか、例えば太陽光などの赤外波長光を含む大光量の外乱光も受光される。よって、光源202からの赤外波長光をこのような大光量の外乱光と区別するためには、光源202の発光量を外乱光よりも十分に大きくする必要があるが、このような大発光量の光源202を用いることは困難である場合が多い。
【0036】
そこで、本実施形態においては、例えば、光源202の発光波長よりも短い波長の光をカットするようなカットフィルタか、もしくは、透過率のピークが光源202の発光波長とほぼ一致したバンドパスフィルタを介して、光源202からの光を撮像素子206で受光するように構成する。これにより、光源202の発光波長以外の光を除去して受光できるので、撮像素子206で受光される光源202からの光量は、外乱光に対して相対的に大きくなる。その結果、大発光量の光源を用いなくても、光源からの光を外乱交と区別することが可能となる。
【0037】
ただし、本実施形態においては、撮像画像データから、フロントガラス105上の雨滴203などの異物を検出するだけでなく、先行車両や対向車両の検出や白線の検出も行う。そのため、撮像画像全体について光源202が照射する赤外波長光以外の波長帯を除去してしまうと、先行車両や対向車両の検出や白線の検出に必要な波長帯の光を撮像素子206で受光できず、これらの検出に支障をきたす。そこで、本実施形態では、撮像画像データの画像領域を、フロントガラス105上の雨滴203を検出するための雨滴検出画像領域(第1の画像領域)と、先行車両や対向車両の検出や白線の検出を行うための車両周辺情報検出画像領域(第2の画像領域)と、に分割し、雨滴検出画像領域に対応する部分についてのみ光源202が照射する赤外波長光以外の波長帯を除去する構成としている。
【0038】
図5は、光学フィルタ205、撮像素子206、及び、センサ基板207の光透過方向に沿った断面模式図である。
【0039】
光学フィルタ205は、図5に示したように、使用帯域(本実施形態では可視光領域と赤外光領域)の光に対して透明な基板220と、基板220上の撮像レンズ204側の有効撮像領域の全面に形成され、波長λ1?λ2、λ3?λ4(λ1<λ2<λ3<λ4)の範囲の波長成分の光のみ透過させる分光フィルタ層(第1の分光フィルタ層)221と、基板220の撮像素子206側の面に形成される偏光フィルタ層223と、偏光フィルタ層223上に充填される充填材224と、基板220上の撮像素子206側の有効撮像領域の一部に、上記偏光フィルタ層223及び充填材224を介して形成され、波長λ3?λ4の範囲の波長成分の光のみ透過させる分光フィルタ層(第2の分光フィルタ層)222と、を有し、分光フィルタ層222の撮像素子206側の面が撮像素子206に密着接合されてなる。
【0040】
即ち、光学フィルタ205は、分光フィルタ層221と分光フィルタ層222とが光透過方向に重ね合わせられた構造となっている。
【0041】
図6は、分光フィルタ層221及び分光フィルタ層222を有する光学フィルタ205の有効撮像領域の領域分割を説明するための正面模式図である。図6に示すように、有効撮像領域は、上記の車両周辺情報検出画像領域に対応する可視光透過領域211と、上記の雨滴検出画像領域に対応する赤外光透過領域212とに、領域分割されている。
【0042】
例えば、可視光透過領域211は有効撮像領域の中央部1/2の領域であり、一方、赤外光透過領域212は有効撮像領域の上部及び下部の領域であるとよい。あるいは、赤外光透過領域212は、有効撮像領域の上部、下部、または側部に設けられてもよいが、図6に示したように有効撮像領域の上部及び下部に設けられることが特に好ましい。以下、その理由について説明する。図7は、撮像画像データを例示する図である。
【0043】
対向車両のヘッドランプ(不図示)及び先行車両のテールランプ並びに白線の画像は、主に撮像画像の中央部に存在することが多く、撮像画像の下部には自車両前方の直近路面の画像が存在するのが通常である。よって、対向車両のヘッドランプ(不図示)及び先行車両のテールランプ並びに白線の識別に必要な情報は撮像画像の中央部に集中しており、その識別において撮像画像の下部の情報はあまり重要ではない。一方、撮像画像の上部には空が写るのが通常であるから、撮像画像の上部の情報もあまり重要ではない。
【0044】
よって、単一の撮像画像データから、対向車両や先行車両あるいは白線の検出と雨滴203の検出とを両立して行う場合には、図7に示すように、撮像画像の中央部を車両周辺情報検出画像領域213とし、撮像画像の上部及び下部をそれぞれ雨滴検出画像領域214とすることが好適である。即ち、図6に示したように、有効撮像領域の上部及び下部を雨滴検出用の赤外光透過領域212とし、残りの有効撮像領域の中央部を車両周辺情報検出用の可視光透過領域211とし、これに対応して分光フィルタ層222を領域分割するのが好適である。
【0045】
なお、有効撮像領域のうち、充填材224上の分光フィルタ層222が形成されていない領域に、光源202が照射する赤外波長光をカットするフィルタが形成されていてもよい。
【0046】
撮像素子206は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などを用いたイメージセンサであり、その受光素子にはフォトダイオード206Aを用いている。フォトダイオード206Aは、画素ごとに2次元的にアレイ配置されており、フォトダイオード206Aの集光効率を上げるために、各フォトダイオード206Aの入射側には、フォトダイオード206Aの各画素に対応してマイクロレンズ206Bが設けられている。この撮像素子206がワイヤボンディングなどの手法によりPWB(Printed Wiring Board)に接合されてセンサ基板207が形成されている。
【0047】
図8は、分光フィルタ層221及び分光フィルタ層222の分光特性を示すグラフである。分光フィルタ層221は、図8(a)に示すように波長範囲400nm?670nm(ここでは、λ1=400nm、λ2=670nm)のいわゆる可視光領域の光と、波長範囲940nm?970nm(ここでは、λ3=940nm、λ4=970nm)の赤外光領域の光を透過させる。可視光領域の光は車両周辺情報検出用に用いられ、赤外光領域の光は雨滴検出用に用いられる。
【0048】
ただし、本実施形態の撮像素子206を構成する各フォトダイオード206Aは、赤外波長帯の光に対しても感度を有するので、赤外波長帯を含んだ光を撮像素子206で受光すると、得られる撮像画像は全体的に赤みを帯びたものとなってしまう。その結果、テールランプに対応する赤色の画像部分を識別することが困難となる場合がある。そこで、本実施形態では、分光フィルタ層221が、波長範囲670nm?940nmの赤外光を透過させないようになっている(透過率5%以下が望ましい)。これにより、テールランプの識別に用いる撮像画像データ部分から赤外波長帯が除外されるので、テールランプの識別精度が向上する。
【0049】
また、分光フィルタ層222は、図8(b)に示すように波長範囲940nm?970nmの赤外光領域を透過帯としている。従って、光学フィルタ205は、分光フィルタ層222と上述の分光フィルタ層221との組合せにより、波長範囲940nm(=λ3)?970nm(=λ4)の範囲の光のみを透過させることとなる。なお、この波長範囲λ3?λ4における透過率のピークと光源202の発光波長が略同等であること(あるいは、発光波長が波長範囲λ3?λ4に含まれること)が望ましい。
【0050】
なお、分光フィルタ層221は、図8(a)に示す分光特性に代えて、図9(a)に示す分光特性を有するものであってもよい。また、分光フィルタ層222は、図8(b)に示す分光特性(透過率のピークが光源202の発光波長と略一致したバンドパスフィルタを含む特性)に代えて、図9(b)に示す分光特性を有するものであってもよい。つまり、分光フィルタ層222の分光特性は、光源202の発光波長よりも短波長側の光をカットする特性であってもよい。
【0051】
ところで、撮像装置201の撮像方向を下方へ傾けていくと、撮像範囲内の下部に自車両のボンネットが入り込んでくる場合がある。この場合、自車両のボンネットで反射した太陽光や先行車両のテールランプなどが外乱光となり、これが撮像画像データに含まれることで対向車両のヘッドランプ及び先行車両のテールランプ並びに白線の誤識別の原因となる。このような場合でも、本実施形態では、有効撮像領域全体に波長範囲670nm?940nmの光を遮断する分光フィルタ層221が形成されているので、ボンネットで反射した太陽光や先行車両のテールランプなどの外乱光が除去される。よって、対向車両のヘッドランプ及び先行車両のテールランプ並びに白線の識別精度が向上する。」

第6 対比・判断
(1)本願発明1について
ア 引用発明1-1との対比・判断
(ア)対比
a 引用発明1-1の「R受光部20cを含む画素」、「G受光部20bを含む画素」、「B受光部20aを含む画素」及び「IR受光部20dを含む画素」は、それぞれ、本願発明1の「赤色(R)画素」、「緑色(G)画素」、「青色(B)画素」及び「赤外線(IR)画素」に相当するといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明1-1は、「赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素と赤外線(IR)画素」を含む点において共通するといえる。
b 引用発明1-1の「Rフィルタ40d」、「Gフィルタ40c」及び「Bフィルタ40a」は、それぞれ、本願発明1の「Rフィルター」、「Gフィルター」及び「Bフィルター」に相当するといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明1-1は、「それぞれ、前記R、G、および、B画素中に設置されるR、G、および、Bフィルター」を含む点において共通するといえる。
c 引用発明1-1の「赤外光透過・可視光カットフィルタ40」は、後述する相違点1を除き、本願発明1の「IRパスフィルター」に相当するといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明1-1は、「前記IR画素に設置されるIRパスフィルター」を含む点において共通し、後述する相違点1において相違するといえる。
d 引用発明1-1の「IRカットフィルタ40b」は、「IR光(波長:約800nm?1500nm)を遮断する」ものであるから、「少なくとも特定波長を有するIR光を遮蔽する」ものであるといえる。
そうすると、引用発明1-1の「IRカットフィルタ40b」は、本願発明1の「IRフィルター」に相当するといえ、本願発明1と引用発明1-1は、「前記R、G、および、Bフィルターの上に設置され、少なくとも特定波長を有するIR光を遮蔽するIRフィルター」を含む点において共通するといえる。
e 引用発明1-1の「マイクロレンズ41」は、後述する相違点2を除き、本願発明1の「マイクロレンズ構造」に相当するといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明1-1は、「前記IRフィルター上に設置されるマイクロレンズ構造」を含む点において共通し、後述する相違点2において相違するといえる。
f 引用文献1の【図4】ないし【図7】の記載より、引用発明1-1の「赤外光透過・可視光カットフィルタ40」の上面は、「IRカットフィルタ40b」の上面よりも低いといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明1-1は、「前記IRパスフィルターの上面は、前記IRフィルターの上面より低く」との点において共通するといえる。
g 引用発明1-1は「距離画像センサ」であり、画像センサの機能を備えたものであるから、「イメージセンサー」であるといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明1-1は、「イメージセンサー」である点において共通するといえる。
h 以上より、本願発明1と引用発明1-1は、下記(a)において一致し、下記(b)において相違すると認める。
(a)一致点
「赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素と赤外線(IR)画素と、
それぞれ、前記R、G、および、B画素中に設置されるR、G、および、Bフィルターと、
前記IR画素に設置されるIRパスフィルターと、
前記R、G、および、Bフィルターの上に設置され、少なくとも特定波長を有するIR光を遮蔽するIRフィルターと、
前記IRフィルター上に設置されるマイクロレンズ構造を含み、
前記IRパスフィルターの上面は、前記IRフィルターの上面より低いことを特徴とするイメージセンサー。」
(b)相違点
・相違点1
本願発明1の「IRパスフィルター」は「上面が前記R、G、および、Bフィルターの上面より高」いのに対し、引用発明1-1は当該構成を特定しない点。
・相違点2
本願発明1の「マイクロレンズ構造」は「IRパスフィルター上」にも設置され、「IRパスフィルター上に設置されるマイクロレンズ構造の底面は、前記IRフィルターの上面より低い」のに対し、引用発明1-1は当該構成を特定しない点。
(イ)判断
相違点1及び2についてまとめて検討する。
引用文献1ないし8には、相違点1及び2の構成を兼ね備えたものについては、記載も示唆もされていないから、本願発明1は、引用発明1-1及び引用文献1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 引用発明2-1との対比・判断
(ア)対比
a 引用発明2-1の「R画素」、「G画素」、「B画素」及び「IR画素」は、それぞれ、本願発明1の「赤色(R)画素」、「緑色(G)画素」、「青色(B)画素」及び「赤外線(IR)画素」に相当するといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明2-1は、「赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素と赤外線(IR)画素」を含む点において共通するといえる。
b 引用文献5の段落【0030】の記載より、引用発明2-1の「3種類のカラーフィルタ」は画素毎に配置されているといえ、該「3種類のカラーフィルタ」のうち、R画素に配置されたもの、G画素に配置されたもの、及びB画素に配置されたものは、それぞれ、本願発明1の「Rフィルター」、「Gフィルター」及び「Bフィルター」に相当するといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明2-1は、「それぞれ、前記R、G、および、B画素中に設置されるR、G、および、Bフィルター」を含む点において共通するといえる。
c 引用文献5の段落【0043】及び【0048】の記載より、引用発明2-1の「有機層12」は、赤外光を透過する(パスする)ものであるといえるから、引用発明2-1の「有機層12」と、本願発明1の「IRパスフィルター」は、「IRパス部材」である点において共通するといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明2-1は、「前記IR画素に設置されるIRパス部材」を含む点において共通し、後述する相違点3及び4において相違するといえる。
d 引用発明2-1の「赤外カットフィルタ層6」が「少なくとも特定波長を有するIR光を遮蔽する」ものであることは明らかであるから、引用発明2-1の「赤外カットフィルタ層6」は、後述する相違点5を除き、本願発明1の「IRフィルター」に相当するといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明2-1は、「少なくとも特定波長を有するIR光を遮蔽するIRフィルター」を含む点において共通し、後述する相違点5において相違するといえる。
e 引用発明2-1の「マイクロレンズ8」は「マイクロレンズ構造」であるといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明2-1は、「前記IRパス部材上に設置されるマイクロレンズ構造」を含む点において共通し、後述する相違点6において相違するといえる。
f 引用発明2-1は「固体撮像装置」であり、「イメージセンサー」であるといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明2-1は、「イメージセンサー」である点において共通するといえる。
g 以上より、本願発明1と引用発明2-1は、下記(a)において一致し、下記(b)において相違すると認める。
(a)一致点
「赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素と赤外線(IR)画素と、
それぞれ、前記R、G、および、B画素中に設置されるR、G、および、Bフィルターと、
前記IR画素に設置されるIRパス部材と、
少なくとも特定波長を有するIR光を遮蔽するIRフィルターと、
前記IRパス部材上に設置されるマイクロレンズ構造を含むことを特徴とするイメージセンサー。」
(b)相違点
・相違点3
本願発明1の「IRパス部材」が「IRパスフィルター」であるのに対し、引用発明2-1は、「IRパス部材」(有機層12)がフィルターであるとは特定しない点。
・相違点4
本願発明1の「IRパス部材」(IRパスフィルター)の上面は、「R、G、および、Bフィルターの上面より高」く、「IRフィルターの上面より低」いのに対し、引用発明2-1はそうではない点。
・相違点5
本願発明1の「IRフィルター」は「前記R、G、および、Bフィルターの上に設置され」るのに対し、引用発明2-1はそうではない点。
・相違点6
引用発明1の「マイクロレンズ構造」は「IRフィルター」上にも設置され、「IRパス部材(IRパスフィルター)上に設置されるマイクロレンズ構造の底面は、前記IRフィルターの上面より低」いのに対し、引用発明2-1はそうではない点。
(イ)判断
相違点3ないし6についてまとめて検討する。
本願発明1と引用発明2-1は、相違点3ないし6において相違するから、本願発明1と引用発明2-1が同一であるとはいえない。
また、引用文献1ないし8には、相違点3ないし6の構成を兼ね備えたものについては、記載も示唆もされていないから、本願発明1は、引用発明2-1及び引用文献1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本願発明2ないし5について
本願発明2ないし5は、本願発明1の発明特定事項を全て備え、さらに他の発明特定事項を付加したものである。
そうすると、本願発明1が引用発明1-1及び引用文献1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本願発明2ないし5は引用発明1-1及び引用文献1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本願発明1が引用発明2-1と同一であるとはいえない以上、本願発明2ないし5は引用発明2-1と同一であるとはいえない。
さらに、本願発明1が引用発明2-1及び引用文献1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本願発明2ないし5は引用発明2-1及び引用文献1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)本願発明6について
ア 引用発明1-2との対比・判断
(ア)対比
a 引用発明1-2の「R受光部20cを含む画素」、「G受光部20bを含む画素」、「B受光部20aを含む画素」、「IR受光部20dを含む画素」及び「n型半導体基板30」は、それぞれ、本願発明6の「赤色(R)画素」、「緑色(G)画素」、「青色(B)画素」、「赤外線(IR)画素」及び「半導体基板」に相当するといえる。
そうすると、本願発明6と引用発明1-2は、「複数のフォトダイオードを含み、前記各フォトダイオードが、赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素と赤外線(IR)画素の一つの画素中に設置される半導体基板を供給する、工程」を含む点において共通するといえる。
b 引用発明1-2の「Rフィルタ40d」、「Gフィルタ40c」及び「Bフィルタ40a」は、それぞれ、本願発明6の「Rフィルター」、「Gフィルター」及び「Bフィルター」に相当するといえる。
そうすると、本願発明6と引用発明1-2は、「前記R、G、および、B画素に、それぞれ、R、G、および、Bフィルターを形成する工程」を含む点において共通し、後述する相違点7において相違するといえる。
c 引用発明1-2の「IRカットフィルタ40b」は、「IR光(波長:約800nm?1500nm)を遮断する」ものであるから、「少なくとも特定波長を有するIR光を遮蔽する」ものであるといえる。
したがって、引用発明1-2の「IRカットフィルタ40b」は、本願発明6の「IRフィルター」に相当するといえる。
そうすると、本願発明6と引用発明1-2は、「IRフィルターを形成し、前記IRフィルターは、少なくとも特定波長を有するIR光を遮蔽する工程」を含む点において共通し、後述する相違点8において相違するといえる。
d 引用発明1-2の「赤外光透過・可視光カットフィルタ40」は、本願発明6の「IRパスフィルター」に相当するといえる。
そうすると、本願発明6と引用発明1-2は、「前記IR画素で、IRパスフィルターを形成する工程」を含む点において共通し、後述する相違点9において相違するといえる。
e 引用発明1-2の「マイクロレンズ41」は、本願発明6の「マイクロレンズ構造」に相当するといえる。
そうすると、本願発明6と引用発明1-2は、「IRフィルター上にマイクロレンズ構造を形成する工程」を含む点において共通し、後述する相違点10において相違するといえる。
f 引用発明1-2の「距離画像センサ」は、画像センサの機能を備えたものであるから、「イメージセンサー」であるといえる。
そうすると、本願発明6と引用発明1-2は、「イメージセンサーの形成方法」である点において共通するといえる。
g 以上より、本願発明6と引用発明1-2は、下記(a)において一致し、下記(b)において相違すると認める。
(a)一致点
「複数のフォトダイオードを含み、前記各フォトダイオードが、赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素と赤外線(IR)画素の一つの画素中に設置される半導体基板を供給する、工程と、
前記R、G、および、B画素に、それぞれ、R、G、および、Bフィルターを形成する工程と、
IRフィルターを形成し、前記IRフィルターは、少なくとも特定波長を有するIR光を遮蔽する工程と、
前記IR画素で、IRパスフィルターを形成する工程と、
前記IRフィルター上にマイクロレンズ構造を形成する工程と、
を含むことを特徴とするイメージセンサーの形成方法。」
(b)相違点
・相違点7
本願発明6は、「R、G、および、Bフィルターで開口を有するよう」に「R、G、および、Bフィルターを形成する」のに対し、引用発明1-2は当該構成を特定しない点。
・相違点8
本願発明6は、「前記R、G、および、Bフィルター上、および、前記開口の中と上部に、IRフィルター材料層を形成する工程」を含み、「前記IRフィルター材料層のうち、前記IR画素に位置する部分を除去」することにより「IRフィルターを形成」し、また、「前記IRフィルターが、前記IR画素で、開口を有する」のに対し、引用発明1-2はこれらの構成を特定しない点。
・相違点9
本願発明6は、「前記IRフィルターの前記開口中に、IRパスフィルターを形成」し、また、「前記IRパスフィルターの上面は、前記IRフィルターの上面より低く、キャビティが前記IRパスフィルター上に形成される」のに対し、引用発明1-2はこれらの構成を特定しない点。
・相違点10
本願発明6は、「前記IRパスフィルター上」にも「マイクロレンズ構造を形成」し、また、「前記マイクロレンズ構造が、前記IRパスフィルター上に形成される前記キャビティ中に充填される」のに対し、引用発明1-2はこれらの構成を特定しない点。
(イ)判断
引用文献1ないし8には、相違点7ないし10に係る構成を兼ね備えたものについては、記載も示唆もされていないから、本願発明6は、引用発明1-2及び引用文献1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 引用発明2-2との対比・判断
(ア)対比
a 引用発明2-2の「フォトダイオード等の受光素子3」、「R画素」、「G画素」、「B画素」、「IR画素」及び「半導体基板2」は、それぞれ、本願発明6の「フォトダイオード」、「赤色(R)画素」、「緑色(G)画素」、「青色(B)画素」、「赤外線(IR)画素」及び「半導体基板」に相当するといえる。
そうすると、本願発明6と引用発明2-2は、「複数のフォトダイオードを含み、前記各フォトダイオードが、赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素と赤外線(IR)画素の一つの画素中に設置される半導体基板を供給する、工程」を含む点において共通するといえる。
b 引用発明2-2の「前記R、G、および、B画素に、・・・分光特性の異なる3種類のカラーフィルタを含むカラーフィルタ層7を形成する工程」において、R画素、G画素及びB画素に設けられるカラーフィルタは、それぞれ、本願発明6の「Rフィルター」、「Gフィルター」及び「Bフィルター」に相当するといえる。
また、引用文献5の【図4】の記載より、引用発明2-2の「前記R、G、および、B画素に、・・・分光特性の異なる3種類のカラーフィルタを含むカラーフィルタ層7を形成する工程」においては、R画素、G画素及びB画素に設けられるカラーフィルタで開口を有するように、各カラーフィルタを形成しているといえる。
そうすると、本願発明6と引用発明2-2は、「前記R、G、および、B画素に、それぞれ、R、G、および、Bフィルターを、前記R、G、および、Bフィルターで開口を有するように形成する工程」を含む点において共通するといえる。
c 引用発明2-2の「赤外カットフィルタ層6」が「少なくとも特定波長を有するIR光を遮蔽する」ものであることは明らかであるから、引用発明2-2の「赤外カットフィルタ層6」は、本願発明6の「IRフィルター」に相当するといえる。
また、引用文献5の【図4】の記載より、引用発明2-2の「前記R、G、および、B画素に、赤外カットフィルタ層6・・・を形成する工程」においては、赤外カットフィルタ層6がIR画素で開口を有するように、赤外カットフィルタ層6を形成しているといえる。
そうすると、本願発明6と引用発明2-2は、「IRフィルターを形成し、前記IRフィルターは、少なくとも特定波長を有するIR光を遮蔽し、前記IRフィルターが、前記IR画素で、開口を有する工程」を含む点において共通し、後述する相違点11において相違するといえる。
d 引用文献5の段落【0043】及び【0048】の記載より、引用発明2-2の「有機層12」は、赤外光を透過する(パスする)ものであるといえるから、引用発明2-2の「有機層12」と、本願発明6の「IRパスフィルター」は、「IRパス部材」である点において共通するといえる。
また、引用文献5の【図3】及び【図4】の記載より、引用発明2-2の「光学的に透明な材料を、赤外カットフィルタ層6及びカラーフィルタ層7の隙間17に埋め込むことによって、有機層12を形成する工程」においては、「IR画素」において、「赤外カットフィルタ層6」の開口中に「有機層12」を形成しているといえる。
そうすると、本願発明6と引用発明2-2は、「前記IR画素で、前記IRフィルターの前記開口中に、IRパス部材を形成する工程」を含む点において共通し、後述する相違点12において相違するといえる。
e 引用発明2-2の「マイクロレンズ8」は「マイクロレンズ構造」であるといえる。
そうすると、本願発明6と引用発明2-2は、「IRパス部材上にマイクロレンズ構造を形成する工程」を含む点において共通し、後述する相違点13において相違するといえる。
f 引用発明2-2の「固体撮像装置」は「イメージセンサー」であるといえる。
そうすると、本願発明6と引用発明2-2は、「イメージセンサーの形成方法」である点において共通するといえる。
g 以上より、本願発明6と引用発明2-2は、下記(a)において一致し、下記(b)において相違すると認める。
(a)一致点
「複数のフォトダイオードを含み、前記各フォトダイオードが、赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素と赤外線(IR)画素の一つの画素中に設置される半導体基板を供給する、工程と、
前記R、G、および、B画素に、それぞれ、R、G、および、Bフィルターを、前記R、G、および、Bフィルターで開口を有するように形成する工程と、
IRフィルターを形成し、前記IRフィルターは、少なくとも特定波長を有するIR光を遮蔽し、前記IRフィルターが、前記IR画素で、開口を有する工程と、
前記IR画素で、前記IRフィルターの前記開口中に、IRパス部材を形成する工程と、
前記IRパス部材上にマイクロレンズ構造を形成する工程と、
を含むことを特徴とするイメージセンサーの形成方法。」
(b)相違点
・相違点11
本願発明6は、「前記R、G、および、Bフィルター上、および、前記開口の中と上部に、IRフィルター材料層を形成する工程」を含み、「前記IRフィルター材料層のうち、前記IR画素に位置する部分を除去」することによりIRフィルターを形成しているのに対し、引用発明2-2は当該構成を特定しない点。
・相違点12
本願発明6は、「IRパス部材」が「IRパスフィルター」であり、「前記IRパスフィルターの上面は、前記IRフィルターの上面より低く、キャビティが前記IRパスフィルター上に形成される」のに対し、引用発明2-2はこれらの構成を特定しない点。
・相違点13
本願発明6は「IRフィルター」上にもマイクロレンズ構造を形成し、「前記マイクロレンズ構造が、前記IRパスフィルター上に形成される前記キャビティ中に充填される」のに対し、引用発明2-2はこれらの構成を特定しない点。
(イ)判断
相違点11ないし13について検討する。
本願発明6と引用発明2-2は、相違点11ないし13において相違するから、本願発明6と引用発明2-2が同一であるとはいえない。
また、引用文献1ないし8には、相違点11ないし13の構成を兼ね備えたものについては、記載も示唆もされていないから、本願発明6は、引用発明2-2及び引用文献1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)対比・判断のまとめ
以上のとおり、本願発明1ないし6は、引用発明2-1又は2-2と同一であるとはいえない。
また、本願発明1ないし6は、引用発明1-1、1-2、2-1又は2-2と、引用文献1ないし8に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定についての判断
上記のとおり、本願発明1ないし6は、引用発明2-1又は2-2と同一であるとはいえないから、原査定の理由1によっては、本願を拒絶することはできない。
また、上記のとおり、本願発明1ないし6は、引用発明1-1、1-2、2-1又は2-2と引用文献1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、原査定の理由2によっては、本願を拒絶することはできない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第8 当審拒絶理由についての判断
1 理由1(明確性)について
(1)本願発明1ないし5について
ア 当審拒絶理由の1(1)aにおいて、請求項1の「前記R、G、および、Bフィルターと前記IRフィルターは開口を有し」との記載が、「イメージセンサー」のどのような構造又は特性を表しているのかが不明である旨が指摘された。
これに対し、平成29年12月22日付け手続補正により、請求項1の上記記載が削除されたため、当該拒絶の理由は解消した。
イ 当審拒絶理由の1(1)bにおいて、請求項1の「前記IRパスフィルターは、前記R、G、および、Bフィルターと前記IRフィルターの前記開口中に充填され」との記載が、「イメージセンサー」のどのような構造又は特性を表しているのかが不明である旨が指摘された。
これに対し、平成29年12月22日付け手続補正により、請求項1の上記記載が削除されたため、当該拒絶の理由は解消した。
ウ 当審拒絶理由の1(1)cにおいて、請求項1の「前記マイクロレンズ構造が、前記IRパスフィルター上に形成される前記キャビティ中に充填される」との記載が、「イメージセンサー」のどのような構造又は特性を表しているのかが不明である旨が指摘された。
これに対し、平成29年12月22日付け手続補正により、請求項1の上記記載が削除されたため、当該拒絶の理由は解消した。
エ 当審拒絶理由の1(1)dにおいて、請求項1に「前記IRパスフィルターの上面は、前記IRフィルターの前記上面より低く」と記載されているが、当該記載以前に、「IRフィルター」の上面については記載されていないから、「前記IRフィルターの前記上面」が何を指し示すのかが不明である旨が指摘された。
これに対し、平成29年12月22日付け手続補正により、請求項1の「前記IRパスフィルターの上面は、前記IRフィルターの前記上面より低く」との記載が「前記IRパスフィルターの上面は、前記IRフィルターの上面より低く」と補正され、記載の意味が明確となったから、当該拒絶の理由は解消した。

(2)本願発明2ないし5について
当審拒絶理由の1(2)aにおいて、請求項2の「前記IRフィルターに結合される前記R、G、および、Bフィルターは、可視帯の波長を有するR、G、および、B光を通過させ、前記特定バンドの前記波長を有する前記光源ユニットの前記IR光を遮蔽する」との記載の意味が不明確である旨が指摘された。
これに対し、平成29年12月22日付け手続補正により、請求項2の「前記IRフィルターに結合される前記R、G、および、Bフィルターは、可視帯の波長を有するR、G、および、B光を通過させ、前記特定バンドの前記波長を有する前記光源ユニットの前記IR光を遮蔽する」との記載が「前記IRフィルターと前記R、G、および、Bフィルターが結合したものは、可視帯の波長を有するR、G、および、B光を通過させ、前記特定バンドの前記波長を有する前記光源ユニットの前記IR光を遮蔽する」と補正され、記載の意味が明確となったから、当該拒絶の理由は解消した。

(3)本願発明5について
a 当審拒絶理由の1(3)aにおいて、請求項5には、「マイクロレンズ構造」について二回記載されているが、「マイクロレンズ構造」を二重に設けることを意味するのか、それとも、単一の構成について繰り返し記載しているだけであるのかが不明である旨が指摘された。
これに対し、平成29年12月22日付け手続補正により、請求項5の「前記R、G、および、Bフィルター、前記IRフィルターと前記IRパスフィルター上に設置されるマイクロレンズ構造と、」との記載が削除され、記載の意味が明確となったから、当該拒絶の理由は解消した。
b 当審拒絶理由の1(3)bにおいて、請求項5に「前記光源ユニット」と記載されているが、当該記載に対応する「光源ユニット」との語は、選択的に引用される請求項2にしか存在せず、請求項5が請求項2を引用しない場合に、「前記光源ユニット」が指し示すものが不明である旨が指摘された。
これに対し、平成29年12月22日付け手続補正により、請求項5が請求項2のみを引用することとなったから、当該拒絶の理由は解消した。

(4)本願発明6について
当審拒絶理由の1(4)aにおいて、請求項6の「前記IR画素に位置する前記IRフィルター材料層の一部を除去して、IRフィルターを形成し、」との記載の意味が不明確である旨が指摘された。
これに対し、平成29年12月22日付け手続補正により、請求項6の「前記IR画素に位置する前記IRフィルター材料層の一部を除去して、IRフィルターを形成し、」との記載が「前記IRフィルター材料層のうち、前記IR画素に位置する部分を除去して、IRフィルターを形成し、」と補正され、記載の意味が明確となったから、当該拒絶の理由は解消した。

2 理由2(サポート要件)について
(1)本願発明2ないし5について
当審拒絶理由の2(1)aにおいて、請求項2には、「前記IRフィルターに結合される前記R、G、および、Bフィルターは、可視帯の波長を有するR、G、および、B光を通過させ、前記特定バンドの前記波長を有する前記光源ユニットの前記IR光を遮蔽する」と記載されているが、「R、G、および、Bフィルター」が、単体で、「可視帯の波長を有するR、G、および、B光を通過させ、前記特定バンドの前記波長を有する前記光源ユニットの前記IR光を遮蔽する」ことは、発明の詳細な説明に記載されていない旨が指摘された。
これに対し、平成29年12月22日付け手続補正により、請求項2の「前記IRフィルターに結合される前記R、G、および、Bフィルターは、可視帯の波長を有するR、G、および、B光を通過させ、前記特定バンドの前記波長を有する前記光源ユニットの前記IR光を遮蔽する」との記載が「前記IRフィルターと前記R、G、および、Bフィルターが結合したものは、可視帯の波長を有するR、G、および、B光を通過させ、前記特定バンドの前記波長を有する前記光源ユニットの前記IR光を遮蔽する」と補正され、発明の詳細な説明に記載されたものとなったから、当該拒絶の理由は解消した。

(2)本願発明5について
当審拒絶理由の2(2)aにおいて、請求項5には、「マイクロレンズ構造」について二回記載されているが、「マイクロレンズ構造」を二重に設けることは、発明の詳細な説明に記載されていない旨が指摘された。
これに対し、平成29年12月22日付け手続補正により、請求項5の「前記R、G、および、Bフィルター、前記IRフィルターと前記IRパスフィルター上に設置されるマイクロレンズ構造と、」との記載が削除され、発明の詳細な説明に記載されたものとなったから、当該拒絶の理由は解消した。

(3)本願発明6について
当審拒絶理由の2(3)aにおいて、請求項6には、「前記IR画素に位置する前記IRフィルター材料層の一部を除去して、IRフィルターを形成し、」と記載されているが、「『IR画素に位置するIRフィルター材料層』のうち、一部を除去する」ことは、発明の詳細な説明に記載されていない旨が指摘された。
これに対し、平成29年12月22日付け手続補正により、請求項6の「前記IR画素に位置する前記IRフィルター材料層の一部を除去して、IRフィルターを形成し、」との記載が「前記IRフィルター材料層のうち、前記IR画素に位置する部分を除去して、IRフィルターを形成し、」と補正され、発明の詳細な説明に記載されたものとなったから、当該拒絶の理由は解消した。

3 理由3(進歩性)について
上記第6(4)のとおり、本願発明1ないし6は、引用発明1-1又は1-2と引用文献1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、当審拒絶理由の理由3によって本願を拒絶することはできない。

第9 結言
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-03-09 
出願番号 特願2015-51669(P2015-51669)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (H01L)
P 1 8・ 121- WY (H01L)
P 1 8・ 537- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田邊 顕人今井 聖和  
特許庁審判長 飯田 清司
特許庁審判官 須藤 竜也
小田 浩
発明の名称 イメージセンサーとその形成方法  
代理人 磯野 富彦  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ