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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 C08L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 C08L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C08L
管理番号 1337920
審判番号 不服2016-8312  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-06 
確定日 2018-04-02 
事件の表示 特願2011-224739「活性化レゾール硬化ゴム組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 4月26日出願公開、特開2012- 82422、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2011年10月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年10月13日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成27年5月20日付けで拒絶理由が通知され、同年8月19日に手続補正書及び意見書が提出され、平成28年1月28日付けで拒絶査定がされたところ、これに対して、同年6月6日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、同年8月1日付けで前置報告書が作成され、平成29年6月6日付けで当審から拒絶理由が通知され、同年9月8日に手続補正書及び意見書が提出され、同年11月14日付けで当審から拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年12月5日に手続補正書及び意見書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、平成29年12月5日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される以下のものである。

「 【請求項1】
二重結合含有ゴムを含むエラストマー性ポリマー、
フェノールホルムアルデヒド樹脂架橋剤、ならびに
金属ハロゲン化物、ハロゲン化有機化合物、および重金属酸化物から選択される活性化剤パッケージ、
を含み、
活性化ゼオライトを含むことを特徴とする、加硫可能なゴム組成物。
【請求項2】
ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル系ポリマー、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリエステル、塩素化ポリエチレン、ウレタンポリマー、スチレンポリマー、シリコーンポリマー、およびエポキシ樹脂からなる群から選択される、前記エラストマー性ポリマー以外の少なくとも1つのポリマーを含む、請求項1に記載の加硫可能なゴム組成物。
【請求項3】
加硫された物品を製造するための方法であって、請求項1または2に記載の加硫可能なゴム組成物を調製する工程、前記加硫可能なゴム組成物を成形する工程、および前記成形されたゴム組成物を加硫する工程を含む、方法。」

第3
1 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(米国特許3036986号明細書)には、次の事項が記載されている。
なお、記載について括弧書きで合議体訳を付した。

(1)「


(表2について、以下の材料を含む典型的なタイヤの加硫バッグ組成物が示されている。
Phr.^(1)
ブチル(約2モル%のイソプレンを含有)100
ハイアブレーションファーネスカーボンブラック(HAF)60
プロセスオイル(”Vistanex”)10
ステアリン酸1
ジメチロールフェノール樹脂(”Amberol ST-137”)12
^(1)ゴム100部に対する部
これらに対して、ネオプレンW、塩化錫とトリフルオロ酢酸のような様々な促進剤が加えられる。)
(第4欄第60行?72行)

(2)「


(・・・ブチルタイヤ加硫バッグ組成物において、HClを一定濃度(0.6phr.)とした際に、モレキュラーシーブ上のHClの担持重量パーセントは、プロセスの安全性と加硫速度に関与することが、表4に見られる。・・・)
(第6欄第12行?第16行)

(3)「


(ネオプレンWは、”ネオプレンズ”N.L.カットン,イーアイ デュポン ド ヌムール,ウィルミントン,デラウェア,1952 p1及び41に見られるように、クロロプレン、2-クロロブタジエン-1,3をベースとする硫黄非変性の合成エラストマーであり、ブチルゴムの樹脂架橋に対する穏やかな促進剤である。・・・)
(第6欄第46行?第52行)

(4)「


(表4
典型的なブチルタイヤ加硫バッグの樹脂加硫での、HCl担持モレキュラーシーブの性能に関する、モレキュラーシーブ上のHCl担持重量パーセントの影響
・・・
レシピ(phr.)1
組成物:
ベース組成物 183
ネオプレンW 5.0
酸化亜鉛 5.0
HCl担持モレキュラーシーブ5% 12.0
・・・
)
(第8欄 表4)

(5)「


(1.フェノール樹脂架橋剤を含むゴム組成物のための加硫促進剤であって、HCl、HBr、HIとハロゲン置換有機酸からなる群から選ばれるハロゲンを含有する酸であり、該酸が結晶性ゼオライトモレキュラーシーブの細孔内に吸着している。)
(特許請求の範囲 請求項1)

2 引用発明
引用文献1には、上記記載事項、特に表4のレシピ1から、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「ブチル(約2モル%のイソプレンを含有)100部、ハイアブレーションファーネスカーボンブラック(HAF)60部、プロセスオイル(”Vistanex”)10部、ステアリン酸1部、ジメチロールフェノール樹脂(”Amberol ST-137”)12部からなるベース組成物 183部
ネオプレンW 5.0部
酸化亜鉛 5.0部
5%のHCl担持モレキュラーシーブ 12.0部
からなる組成物。」

第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
引用発明の「ブチル(約2モル%のイソプレンを含有)」は、ブチルゴムであって、本願明細書の段落【0011】?【0012】に二重結合含有ゴムを含むエラストマー性ポリマーとして例示されているから、本願発明1の「二重結合含有ゴムを含むエラストマー性ポリマー」に相当する。
引用発明の「ジメチロールフェノール樹脂(”Amberol ST-137”)」は、上記摘示第3 1(5)より架橋剤として用いられており、フェノール樹脂はフェノールとホルムアルデヒドとを反応させて得られるものであって、フェノール樹脂とフェノールホルムアルデヒド樹脂とは同義であるから、本願発明1の「フェノールホルムアルデヒド樹脂架橋剤」に相当する。
引用発明の「酸化亜鉛」は、重金属である亜鉛の酸化物、すなわち、重金属酸化物であるから、本願発明1の「金属ハロゲン化物、ハロゲン化有機化合物、および重金属酸化物から選択される活性化剤パッケージ」に相当する。
引用発明の「5%のHCl担持モレキュラーシーブ」は、上記摘示第3 1(5)より結晶性ゼオライトモレキュラーシーブがHClを担持したものであって、本願発明1の「活性化ゼオライト」と「ゼオライト」である限りにおいて一致する。
引用発明の「組成物」は、その組成より架橋(加硫)可能であることは明らかであるから、本願発明1の「加硫可能なゴム組成物」に相当する。

そうすると、本願発明1と引用発明とは、

[一致点]
「二重結合含有ゴムを含むエラストマー性ポリマー、
フェノールホルムアルデヒド樹脂架橋剤、ならびに
金属ハロゲン化物、ハロゲン化有機化合物、および重金属酸化物から選択される活性化剤パッケージ、
を含み、
ゼオライトを含む、加硫可能なゴム組成物。」

である点で一致し、

次の点で相違する。

[相違点]
本願発明1は、「活性化ゼオライト」を含むと特定するのに対して、引用発明は「5%のHCl担持モレキュラーシーブ」である点

(2)相違点についての判断
本願発明1の「活性化ゼオライト」とは、本願明細書の段落【0049】に記載の「『活性化ゼオライト』という用語は、そのゼオライトが、予め吸着されている分子がその細孔に実質的に存在しないということを特徴としている」ものであって、段落【0052】に記載されるようなものを含まないものであると認められる。
なお、これに関し、請求人も平成27年8月19日付けの意見書において、「これに対し、本願発明の加硫可能なゴム組成物は、『活性化ゼオライト』を含むことを特徴の1つとしています。『活性化ゼオライト』とは、当初明細書の段落[0049]でも記載しているとおり、『そのゼオライトが、予め吸着されている分子がその細孔に実質的に存在しないということを特徴と』するものです。活性化ゼオライトは高温及び/又は低圧処理にかけて、それらの成分を実質的に分解するか及び/又はその細孔から除去することによって得られる(当初明細書の段落[0050])ものであり、引用文献1に記載されたゼオライトとは大きく相違するものです。」と述べている。
この点、引用発明のゼオライトはHClを担持するから、本願発明1の活性化ゼオライトに相当せず、相違点1は実質的な相違点である。
そして、引用文献1には、上記摘示第3 1(5)より、ゼオライトモレキュラーシーブにHCl等の酸を担持させることが必須であることが記載されているから、引用発明において、5%のHCl担持モレキュラーシーブを、予め吸着されている分子であるHClが実質的に存在しないモレキュラーシーブに替えることには阻害要因がある。
したがって、本願発明1は引用文献1に記載された発明ではないし、また、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2及び3について
本願発明2及び3も、本願発明1の「活性化ゼオライトを含むこと」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用文献1に記載された発明ではなく、また、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1及び3について、上記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないというもの、及び、上記引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものを含むものである。
しかしながら、平成29年12月5日付け手続補正書により、請求項1及び3は、それぞれ「活性化ゼオライトを含む」という事項を有するものとなっている。
よって、上記のとおり、本願発明1及び3は、上記引用文献1に記載された発明ではなく、また、上記引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
特許法第36条第6項第2号について
当審では、請求項1の「活性化ゼオライトを含み、前記活性化ゼオライトの、水以外の他の化合物による担持量は、活性化ゼオライトに比較して、5重量%未満であり、前記活性化ゼオライトの湿分による失活は、周囲条件下における最大湿分失活の75%未満のレベルであること」という記載の意味が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年12月5日付けの補正において、「活性化ゼオライトを含むこと」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし3は、引用文献1に記載された発明ではなく、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-03-16 
出願番号 特願2011-224739(P2011-224739)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (C08L)
P 1 8・ 113- WY (C08L)
P 1 8・ 121- WY (C08L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 前田 孝泰久保 道弘今井 督  
特許庁審判長 小野寺 務
特許庁審判官 上坊寺 宏枝
小柳 健悟
発明の名称 活性化レゾール硬化ゴム組成物  
代理人 村山 靖彦  
代理人 阿部 達彦  
代理人 実広 信哉  
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