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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02B
管理番号 1337984
審判番号 不服2016-18203  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-05 
確定日 2018-03-07 
事件の表示 特願2012-158434「ロッドレンズアレイの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月 3日出願公開、特開2014- 21230〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年7月17日の出願であって、平成28年3月8日付けで拒絶理由が通知され、同年4月14日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされ、同年9月5日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し同年12月5日付けで拒絶査定不服審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。
その後、当審において、平成29年9月28日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)を通知し、その応答期間中の同年11月30日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされた。


第2 本件発明
本願の請求項1?5に係る発明は、平成29年11月30日付けの手続補正の特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるところ、請求項1における「押圧する圧力が0.1MPa/cm2?0.5MPa/cm2である」との記載は、圧力の単位であることを鑑みれば「押圧する圧力が0.1MPa/cm^(2)?0.5MPa/cm^(2)である」の誤記であることが明らかである。したがって、本願の請求項1に係る発明は、当該誤記を訂正した、以下のとおりのものと認められる。
「 【請求項1】
第1の基板と第2の基板との間に3段以上のプラスチックロッドレンズ列が積層配置された多段構造ロッドレンズアレイを製造するロッドレンズアレイ製造方法であって、
50℃?100℃に加温された第1の基板材の一方の上面に前記ロッドレンズの直径の13%以上の厚さで、溶融粘度が1000mPa・sないし6000mPa・sである接着剤を塗布する第1のステップと、
プラスチックロッドレンズを並列配置した第1ロッドレンズ列を配列面の表面に仮留めする第2のステップと、
前記配列面に仮留めされた第1ロッドレンズ列を、50℃?100℃に加温された前記第1の基板材に塗布された接着剤に相対的に押圧し前記基板側に転写する第3のステップと、
によりロッドレンズ1段配列体を形成し、
50℃?100℃に加温された前記ロッドレンズ1段配列体の第1ロッドレンズ列の上面に前記ロッドレンズの直径の11%以上の厚さで溶融粘度が1000mPa・sないし6000mPa・sである接着剤を塗布する第4のステップと、
プラスチックロッドレンズを並列配置した第2ロッドレンズ列を配列面の表面に仮留めする第5のステップと、
前記配列面に仮留めされた第2ロッドレンズ列を、50℃?100℃に加温された前記ロッドレンズ1段配列体の前記第1ロッドレンズ列の上面に塗布された接着剤に相対的に押圧し前記第1ロッドレンズ列上に転写する第6のステップと、
によりロッドレンズ2段配列体を形成し、
3段目以降は、前記第4ステップ?第6ステップを繰り返して、ロッドレンズ多段配列体を形成した後、50℃?100℃に加温された第2の基板材の一方の上面に前記ロッドレンズの直径の11%以上の厚さで溶融粘度が1000mPa・sないし6000mPa・sである接着剤を塗布する第7のステップと、
前記ロッドレンズ多段配列体の最上段のロッドレンズ列を、前記第2の基板材の一方の上面に塗布された接着剤に相対的に押圧する第8のステップと、を備え、
前記第1のステップ、前記第4のステップ及び前記第7のステップで塗布された接着剤が50℃?100℃に加温された状態にあって、その溶融粘度が、1000mPa・sないし6000mPa・sであり、前記第3のステップ、第6のステップ及び前記第8のステップにおける押圧する圧力が0.1MPa/cm^(2)?0.5MPa/cm^(2)である、
ことを特徴とするロッドレンズアレイ製造方法。」(以下、「本件発明」という。)


第3 当審拒絶理由の概要
当審において、平成29年9月28日付けで通知した拒絶理由の概要は、以下のとおりのものである。

理由1.(進歩性)本件出願の請求項1?5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

<引用文献等一覧>
1.特開平9-90105号公報
2.特開2008-65318号公報
3.特開2006-39499号公報
4.特開2010-15144号公報
5.特開平5-303007号公報


第4 引用刊行物の記載及び引用発明
(1)引用文献1
ア 当審拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開平9-90105号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は合議体が付与した。また、丸囲みの数字を“○1”のように表記した。以下同様。)

(ア) 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多数本の屈折率分布型ロッドを所定間隔で精密配列し、不透光性樹脂による完全埋設状態で固定するロッドアレイの製造方法に関するものである。この技術は、例えばファクシミリ等の光学系で使用する光集束性マイクロレンズアレイの製造に適用できる。」

(イ) 「【0016】第2の方法は、
“○1”まず、屈折率分布型ロッドが収まる浅溝を多数均一間隔で平行に形成した型部材に、多数本の屈折率分布型ロッドを供給して、前記浅溝に屈折率分布型ロッドを収めて配列するロッド配列工程、
“○2”次に、配列されたロッド群の上方に不透光性の樹脂層とフレーム板を配置し、該樹脂層を粘稠状態にして加圧することで各ロッドを半埋設状態にし、前記型部材から引き離す半埋設工程、
“○3”更に、ロッド配列工程で型部材上に配列された別のロッド群の上方に不透光性の樹脂層を配置し、その上に前記半埋設状態にあるロッド配列体をロッドの側が下向きとなるように載置し、該樹脂層を粘稠状態にして加圧することで上段ロッドを完全埋設状態にすると共に下段ロッドを半埋設状態にし、前記型部材から引き離す中間部埋設工程、
“○4”最後に、中間部埋設工程を経たロッド配列体の半埋設状態にあるロッドの側に不透光性の樹脂層とフレーム板を配置し、該樹脂層を粘稠状態にして加圧することで残りの各ロッドを完全埋設状態にする完全埋設工程、を経ることで製造する。
【0017】この第2の方法では、完全埋設工程の前に、ロッド配列工程で型部材上に配列された別のロッド群の上方に不透光性の樹脂層を配置し、その上に中間部埋設工程を経たロッド配列体をロッドの側が下向きとなるように載置し、該樹脂層を粘稠状態にして加圧することで下から2段目のロッドを完全埋設状態にすると共に最下段ロッドを半埋設状態にし、前記型部材から引き離す別の中間部埋設工程を具備し、その中間部埋設工程を1回あるいは複数回繰り返し、最後に完全埋設工程を経ることで3段以上の多段配列構造のロッドアレイを製造することが可能となる。

(中略)

【0020】上記第2及び第4の方法は、3段以上の配列に利用できることから、積み重ね操作を多数回繰り返すことで多段配列のロッドマトリックスが得られる。このような完全埋設固定状態にあるロッドマトリックスを、ロッドに直交する方向に所定の長さ(レンズ長)で切断することによって、2次元に配列した光集束性マイクロレンズプレートが得られる。
【0021】上記第2の方法を利用したものは、
“○1”屈折率分布型ロッドが収まる浅溝を多数均一間隔で平行に形成した型部材に、多数本の屈折率分布型ロッドを供給して、前記浅溝に屈折率分布型ロッドを収めて配列するロッド配列工程、
“○2”配列されたロッド群の上方に不透光性の樹脂層とフレーム板を配置し、該樹脂層を粘稠状態にして加圧することで各ロッドを半埋設状態にし、前記型部材から引き離す半埋設工程、
“○3”ロッド配列工程で型部材上に配列された別のロッド群の上方に不透光性の樹脂層を配置し、その上に前記半埋設状態にあるロッド配列体をロッドの側が下向きとなるように載置し、該樹脂層を粘稠状態にして加圧することで上段ロッドを完全埋設状態にすると共に下段ロッドを半埋設状態にし、前記型部材から引き離しロッド配列体とする第1の中間部埋設工程、
“○4”ロッド配列工程で型部材上に配列された更に別のロッド群の上方に不透光性の樹脂層を配置し、その上にロッド配列体をロッドの側が下向きとなるように載置し、該樹脂層を粘稠状態にして加圧することで下から2段目のロッドを完全埋設状態にすると共に最下段ロッドを半埋設状態にし、前記型部材から引き離してロッド配列体とする第2の中間部埋設工程、
“○5”この第2の中間部埋設工程を多数回繰り返し多段ロッド配列体を得る工程、
“○6”多段ロッド配列体の半埋設状態にあるロッドの側に不透光性の樹脂層とフレーム板を配置し、該樹脂層を粘稠状態にして加圧することで残りの各ロッドを完全埋設状態にする完全埋設工程、を経て多段配列構造のロッドマトリックスを製造する方法である。」

(ウ) 「【0027】本発明では、使用する不透光性の樹脂シートの厚みが重要であり、屈折率分布型ロッドの直径と配列ピッチに対して各ロッドを半埋設状態にできる程度の適当な厚みとしておく必要がある。具体的には、例えば次のような計算式により樹脂シート厚を求めることができる。図2に示すように、屈折率分布型ロッド22の半径をr、配列ピッチをp、変形前の樹脂シートの最小厚さをtとし、点々を施した部分の樹脂量が元の(変形前の)樹脂シートの樹脂量に一致するとして式を立てると、次のようになる。
t・(p/2)=r・(p/2)-πr^(2) /4
【0028】ここで屈折率分布型ロッドの直径を0.6mmφ(従って、半径r=0.3mm)とし、互いに密着している(従って、配列ピッチp=2r=0.6mm)ものとすると、上記式から計算した樹脂シートの最小厚みtは約0.065mmとなる。これが必要最小限の樹脂シートの厚みである。実際には、ロッド同士の間及びロッドとフレーム板との間にも僅かではあるが樹脂が残るため、前記実施例に示すように樹脂シート厚がト約80μmのものを使用すると好都合である。」
(合議体注:図2は以下の図である。)


(エ) 「【0035】図4は、本発明に係るロッドアレイの製造方法の他の実施例を示す工程説明図であり、屈折率分布型ロッドを2段配列する場合の第2の例である。半埋設工程までは上記第1番目の実施例と同様であってよい。
【0036】図4のAに示すように、溝付き平板20に多数本の屈折率分布型ロッド22を供給して、各浅溝に屈折率分布型ロッドを収めて配列する。そして作業台26の上に断熱シート28を介して溝付き平板20を載置し、配列されたロッド群の上方に、不透光性の樹脂シート30とフレーム板32を配置し、樹脂シート30を加熱粘稠状態にしウエイト34を載せて加圧することで各ロッドを半埋設状態にし、樹脂を仮硬化させ仮固定する。その後、溝付き平板20から引き離してBに示すような半埋設状態にあるロッド配列体36を作製する。仮硬化状態となった樹脂を符号31で示す。
【0037】次にCに示すように、上記と同様のロッド配列工程で、溝付き平板20上に多数本の屈折率分布型ロッド22を配列し、そのロッド群の上方に不透光性の樹脂シート50を配置し、その上に前記半埋設状態にあるロッド配列体36をロッドの側が下向きとなり且つ半ピッチずらせて載置する。そして樹脂シート50を加熱粘稠状態にして加圧することで、上段ロッドを完全埋設状態にすると共に下段ロッドを半埋設状態にし、樹脂を仮硬化させ仮固定する。その後、溝付き平板20から引き離すと、Dに示すような中間部埋設状態となった2段ロッド配列体56が得られる。
【0038】Eに示すように、中間部埋設状態にある2段ロッド配列体56に対して、そのロッドの側に別の不透光性の樹脂シート30とフレーム板32を配置し、該樹脂シート30を加熱粘稠状態にしてウエイト34で加圧する。これによって樹脂は流動してロッドの隙間に入り込み、残りの各ロッドも完全埋設状態となる。このようにして図3のEに示したのと同様の2段配列構造のロッドアレイが製造できる。
【0039】この方法は、上段ロッドの配列と下段ロッドの配列とに同一の溝付き平板を使用して組み立てると、上段ロッドと下段ロッドの配列ピッチの累積誤差が生じず、極めて良好な配列状態が得られる。溝付き平板の製作においては、個々の溝のピッチは高精度で規定できても、平板の一端を基準とした時の溝の絶対位置は、多数本の溝が形成されるほど誤差の累積によってかなりのずれが生じる。この第2の方法は、半埋設状態のロッド配列体を引き離したものを、同じ溝付き平板を用いて配列したロッド群の上にそのまま同じ向きで重ねていく関係となるために、配列ピッチの累積誤差が生じないのである。
【0040】更に、この図4に示す方法は、3段以上の多段配列構造にも適用できる。図4のDに示すような中間埋設状態になった2段ロッド配列体56を、図4のCの半埋設状態にあるロッド配列体36の代わりに置く。つまり溝付き平板上にロッドを配列し、その上に、樹脂シートを配置し、中間埋設状態になった2段のロッド配列体をロッドの側が下向きとなり且つ半ピッチずらせた状態で載置する。そして樹脂シートを加熱粘稠状態にして加圧することで、下から2段目のロッドを完全埋設状態にする(最上段のロッドは既に完全埋設状態となっている)と共に下段ロッドを半埋設状態にし、樹脂を仮硬化させることで仮固定できる。このようにして中間部埋設状態となった3段ロッド配列体が得られる。この工程を繰り返せば、更に多段に構成できる。最後に上記実施例と同様に完全埋設工程を経ることで、所定段数のロッドアレイが製造できる。」
(合議体注:図4は以下の図である。)


(オ) 「【0045】図6のAに示すように、溝付き平板を一対用意する。一方の溝付き平板20は上記各実施例で用いていたのと同様のものでよい。他方の溝付き平板21は、多数の吸引用貫通孔64をほぼ均一に分散穿設した構造とする。これら一対の溝付き平板20,21のそれぞれに、多数本の屈折率分布型ロッド22を供給して、各浅溝に屈折率分布型ロッドを収めて配列する。一方の溝付き平板20は、作業台26の上に断熱シート28を介して載置する。他方の溝付き平板21の上に配列されたロッド群の上方に、不透光性の樹脂シート50配置し、前記吸引用貫通孔62を経て真空吸引することでロッド群及び樹脂シート50を溝付き平板21に吸着保持させる。そしてBに示すように、ロッド群及び樹脂シート50を吸着保持している溝付き平板21を反転して、溝付き平板20上のロッド群の上に半ピッチずらせて載置する。その後、樹脂シート50を加熱粘稠状態にして加圧することで、上段及び下段の各ロッドを半埋設状態にし、樹脂を仮硬化させ仮固定する。その後、両溝付き平板20,21から引き離すと、Cに示すような中間部埋設状態となった2段ロッド配列体60が得られる。符号31は仮硬化した樹脂を示す。」
(合議体注:図6は以下の図である。)


(カ) 「【0048】更に前記第2の方法及び第4の方法は、3段以上のロッドアレイを製造できることから、その中間部埋設工程を更に多数回繰り返せば、多段配列構成のロッドマトリックスが得られる。このロッドマトリックスでも、ロッド同士及びロッドとフレーム板との間隙が本硬化した黒色樹脂で完全に充填された構造となる。従って、その完全埋設固定状態にあるロッドマトリックスを、ロッドに直交する方向に所定の長さ(レンズ長)で切断することによって、2次元に配列した光集束性マイクロレンズプレートが得られる。
【0049】以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明はかかる構成のみに限定されるものではない。上記の実施例では樹脂層として樹脂シートを用いている。樹脂シートは取り扱い易く厚み制御も容易で好ましいが、樹脂シートに代えてフレーム材に高粘度の樹脂を所定の厚みに一様に塗布したものを用いてもよい。2段配列構造の場合の中間に介在させる樹脂も、シートではなく、塗布などで施工してもよい。なお本発明で使用する樹脂としては、上記実施例で使用した樹脂の他、熱可塑性樹脂のみでも実施可能であるが、硬化性樹脂の方が好適である。」

(キ) 「【0051】
【発明の効果】本発明は上記のように、屈折率分布型ロッドを溝付き型部材の浅溝に1本ずつ収めることで配列され、粘稠状態にある樹脂を押し付けて前記配列状態を維持するため、作業者の熟練度に依らずに高精度で配列でき、且つ屈折率分布型ロッドの反りを自然に矯正できるため、最終製品におけるロッドレンズの平行性が良好となる。また、粘稠状態にある樹脂の流動により、屈折率分布型ロッドの隙間に不透光性の樹脂が入り込むため、ロッド同士の隙間やロッドとフレーム板との隙間を不透光性樹脂によって完全に且つ迅速・容易に充填することができる。これによってロッドに垂直な方向に所定の長さに切断して得られる光集束性ロッドレンズアレイは、非常に鮮明な像を結び、光学性能も良好となる。
【0052】更に本発明では、ロッドの配列は型部材に形成した溝ピッチのみで正確に定まるため、浅溝形成ピッチの異なる型部材を用意するだけで、任意のピッチで精密な配列が可能となる。また本発明では従来の技術のようにロッド配列後に真空吸引により樹脂を充填する作業が不要となるため、製造時間を短縮化でき、作業性も良好となり、細径のロッドでも歩留りよくロッドアレイを製造できる。」

イ 上記記載から、引用文献には次の技術事項が示されている。
(ア)引用文献1の上記アの記載事項(カ)の「樹脂シートに代えてフレーム材に高粘度の樹脂を所定の厚みに一様に塗布したものを用いてもよい。2段配列構造の場合の中間に介在させる樹脂も、シートではなく、塗布などで施工してもよい。」との記載から、樹脂シートを配置する工程の代わりに高粘度の樹脂を所定の厚みに一様に塗布する工程を用い、樹脂シートを加熱粘稠状態にする工程の代わりに塗布した樹脂を加熱粘稠状態にする工程を用いた製造方法の発明を把握することができる。

(イ)引用文献1の上記アの記載事項(エ)の「更に、この図4に示す方法は、3段以上の多段配列構造にも適用できる。図4のDに示すような中間埋設状態になった2段ロッド配列体56を、図4のCの半埋設状態にあるロッド配列体36の代わりに置く。つまり溝付き平板上にロッドを配列し、その上に、樹脂シートを配置し、中間埋設状態になった2段のロッド配列体をロッドの側が下向きとなり且つ半ピッチずらせた状態で載置する。そして樹脂シートを加熱粘稠状態にして加圧することで、下から2段目のロッドを完全埋設状態にする(最上段のロッドは既に完全埋設状態となっている)と共に下段ロッドを半埋設状態にし、樹脂を仮硬化させることで仮固定できる。このようにして中間部埋設状態となった3段ロッド配列体が得られる。この工程を繰り返せば、更に多段に構成できる。最後に上記実施例と同様に完全埋設工程を経ることで、所定段数のロッドアレイが製造できる。」との記載によれば、「溝付き平板上にロッドを配列し、その上に、樹脂シートを配置し、中間埋設状態になったロッド配列体をロッドの側が下向きとなり且つ半ピッチずらせた状態で載置し、そして樹脂シートを加熱粘稠状態にして加圧することで、下から2段目のロッドを完全埋設状態にすると共に下段ロッドを半埋設状態にし、樹脂を仮硬化させることで仮固定する工程」を繰り返して、3段以上の多段配列構造のロッド配列体を得る工程が開示されているといえる。

ウ そうすると、上記アの特に記載事項(イ)、(エ)及び(カ)及びイの技術事項(ア)及び(イ)に基づけば、引用文献1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「溝付き平板20に多数本の屈折率分布型ロッド22を供給して、各浅溝に屈折率分布型ロッドを収めて配列するロッド配列工程、
配列されたロッド群の上方に、不透光性の高粘度の樹脂を所定の厚みに一様に塗布しフレーム板32を配置し、塗布した樹脂を加熱粘稠状態にしウエイト34を載せて加圧することで各ロッドを半埋設状態にし、樹脂を仮硬化させ仮固定し、その後、溝付き平板20から引き離して半埋設状態にあるロッド配列体36を作製する半埋設工程、
溝付き平板20上に多数本の屈折率分布型ロッド22を配列し、そのロッド群の上方に不透光性の高粘度の樹脂を所定の厚みに一様に塗布し、その上に前記半埋設状態にあるロッド配列体36をロッドの側が下向きとなり且つ半ピッチずらせて載置し、塗布した樹脂を加熱粘稠状態にして加圧することで、上段ロッドを完全埋設状態にすると共に下段ロッドを半埋設状態にし、樹脂を仮硬化させ仮固定し、その後、溝付き平板20から引き離して、中間部埋設状態となった2段ロッド配列体56を得る中間部埋設工程、
更に、溝付き平板上にロッドを配列し、その上に、高粘度の樹脂を所定の厚みに一様に塗布し、中間埋設状態になったロッド配列体をロッドの側が下向きとなり且つ半ピッチずらせた状態で載置し、そして塗布した樹脂を加熱粘稠状態にして加圧することで、下から2段目のロッドを完全埋設状態にすると共に下段ロッドを半埋設状態にし、樹脂を仮硬化させることで仮固定する工程を繰り返して、3段以上の多段配列構造のロッド配列体を得る工程、
中間部埋設状態にある3段以上の多段配列構造のロッド配列体56に対して、そのロッドの側に別の不透光性の高粘度の樹脂を所定の厚みに一様に塗布しフレーム板32を配置し、該塗布した樹脂を加熱粘稠状態にしてウエイト34で加圧し、樹脂を流動させてロッドの隙間に入り込ませ、残りの各ロッドも完全埋設状態とする完全埋設工程により、
3段以上の多段配列構造のロッドアレイが製造できる方法であって、ロッド同士及びロッドとフレーム板との間隙が本硬化した黒色樹脂で完全に充填された構造となり、ロッドマトリックスを、ロッドに直交する方向に所定の長さ(レンズ長)で切断することによって、2次元に配列した光集束性マイクロレンズプレートが得られる製造方法。」(以下、「引用発明」という。)

(2)引用文献2
当審拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2008-65318号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の記載事項がある。

ア 技術分野として
「【0001】
本発明は、光伝送体アレイの製造方法に関し、詳細には、2枚の基板間に円柱状のロッドレンズが並列配置されている光伝送体アレイの製造方法に関する。」

イ 発明を実施するための最良の形態として
「【0038】
尚、接着剤の粘度が高く、接着剤投入ポット12内を加圧するだけでは十分に接着剤を接着剤吐出用ディスペンサガン14に送出することができないことがあるので、接着剤投入ポット12、接着剤吐出用ディスペンサガン14、接着剤吐出ノズル16およびノズル取付用プレート18は、適宜、80?120℃に加熱できる構成とされているのがよい。接着剤の粘度は加熱した状態で2500?5000[cP]となるのが好ましく、3000?4000[cP]がより好ましい。」

ウ 発明を実施するための最良の形態として
「【0052】
配列プレート34に並列配置したロッドレンズ6を、第1接着剤30が塗布された第1基板2に配列状態を維持したまま付着させる方法として、以下の2つが挙げられる。1つは、第1基板2を、第1接着剤30が塗布されている面が下方に向くように配置し、ロッドレンズ6を収容したレンズ整列溝32が上方に向くように配置された配列プレート34を下方から第1基板2に押しつけて、ロッドレンズ6を配列プレート34から第1基板2に付着させる方法であり、もう一つは、第1基板2を、第1接着剤30が塗布されている面が上方に向くように配置し、ロッドレンズ6を収容したレンズ整列溝32が下方に向くように配置された配列プレート34を上方から第1基板2に押しつけて、ロッドレンズ6を配列プレート34から第1基板2に付着させる方法であり、いずれでもよい。後者の方法では、配列プレート34のレンズ整列溝32にロッドレンズ6を保持する機構を設け、レンズ配列溝32が下方を向いた場合でも、レンズ整列溝32からロッドレンズ6が落下しないようにされている。」

エ 実施例として
「【0062】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(実施例)
基板材として、長さ250mm、幅170mm、厚さ0.42mmの黒色ベークライト板を、接着剤の材料として湿気硬化型接着剤(積水化学社製、エスダイン(商品名))を使用した。接着剤を、接着剤塗布装置10の接着剤投入ポット12へ投入し、ポット内にエアーを封入し約100℃、0.3MPaに加圧保持し、接着剤投入ポット12に連通した接着剤吐出ノズル16より吐出圧0.3MPaでシムの形状を1回塗布につき5本塗布する構造とし、幅4mm、接着剤間の隙間1.5mm、長さ242mm、厚さ(Z11)48?51μmの帯状の第1接着剤を5.5mmピッチで6回、計30本ロッドレンズを固定する第1基板2の表面に直接塗布した。
【0063】
接着剤吐出ノズル16は、図3に示した口金部材26、28間に厚さ200μmのシム20を配置し、口金部材28の先端を口金部材26の先端よりも70μm突出させた構造(h1=70μm)とし、図4に示したように基板2(4)に口金部材28の先端が当接するように設置した。シム20の幅d1は200μmであり、塗布装置の基板への第1接着剤塗布速度は100mm/secとした。
実施例の第1接着剤の塗布ムラ(バラツキ)は±2μm以内であり、接着剤が高精度に塗布できていた。」
(合議体注:本実施形態の接着剤塗布装置の構成を概略的に示す側面図として、以下の図2が記載されている。)


オ 実施例として
「【0064】
次に、ロッドレンズ6を配列プレート(溝付平板)に吸引を行いながら多数本平行に配列し仮留めした。本実施例では、ロッドレンズ材として、円形断面の中心から外周部に向かって屈折率が連続的に低下する屈折率分布を有し、直径0.35mm、長さ166mm、中心屈折率1.497、屈折率分布定数0.865mm^(-1)のプラスチック製ロッドレンズを使用した。」

カ 実施例として
「【0065】
第1接着剤を塗布した第1基板2を溝付平板に多数本平行に配列したロッドレンズ6の下方へ配置し、プレスを行ってロッドレンズ6を第1基板2へ移し取った。移し取った後の第1接着剤の厚み(Z12)は180?235μmであった。プレスは、温度は75℃にて1分間、続いて20℃にて1分間、行った。プレス面には、ロッドレンズを多数配列するための溝付平板の破損防止と、全面均一プレスするため、弾力性のある材質で構成されている。」

(3)引用文献3
当審拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2006-39499号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに以下の記載事項がある。

ア 技術分野として
「【0001】
本発明は、光伝送体アレイの製造方法に関し、より詳細には、2枚の基板間に円柱状のロッドレンズが並列配置されている光伝送体アレイの製造方法に関する。」

イ 課題を解決するための手段として
「【0009】
本発明によれば、2枚の基板間に円柱状のロッドレンズが並列配置されている光伝送体アレイ製造方法であって、プレス上盤の表面に複数のロッドレンズを並列配置して仮留めする工程と、一方の面に接着剤が所定の間隔をあけて塗布された基板を、該接着剤が塗布された面が上方に向くようにして、前記プレス上盤の下方に配置する工程と、前記基板を前記プレス上盤に仮留めされたロッドレンズに押圧して前記基板を前記ロッドレンズに接着させる工程と、を備えていることを特徴とする光伝送体アレイ製造方法が提供される。
【0010】
このような構成によれば、上方の面に接着剤が所定の間隔をあけて塗布された基板を下方から、ロッドレンズに押圧する構成であるので、基板に凹部がある場合であっても、エアー溜まりが形成されにくく、また、接着剤の硬化応力によるソリが低減でき歩留まりが向上する。また、接着剤が基板の上面に塗布されているため、接着剤のたれ落ちが起こりにくく、低粘度の接着剤を使用することができる。
【0011】
本発明の他の好ましい態様によれば、ロッドレンズの仮留めが、プレス上盤の表面に形成された複数の配列溝と、細孔からの吸引によって行われる。」

ウ 発明を実施するための最良の形態として
「【0018】
基板2、4としては、カーボンブラック、染料等の遮光剤を含有させた、ベークライト(フェノール樹脂)、ABS樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の板が用いられる。
ロッドレンズ6は円柱形状を有し、並列状態で配置されている。ロッドレンズ6は、その円形断面の中心から外周部に向かって屈折率が連続的に低下する屈折率分布(GI)型のプラスチック製またはガラス製のロッドレンズである。
【0019】
ロッドレンズを構成するプラスチック材料としては、ガラス転移温度Tgが60℃以上のものが好ましい。ガラス転移温度が低すぎると、ロッドレンズアレイ1の耐熱性が不十分となるおそれがあり、又、内部に充填する接着剤8の選択が難しくなる。」

エ 発明を実施するための最良の形態として
「【0028】
プレス上盤10は、長手方向軸線Xを中心に沿って延びるシャフト28を中心に回転可能に構成されている。シャフト28内には、プレス上盤10の基板材取付け面12、14に形成された真空吸引孔20とロッドレンズ材配列面16、18に形成された真空吸引溝26のそれぞれを、外部の真空吸引装置に独立して連通させる4本の管路30が形成され、4本の管路30毎に独立して真空吸引装置からの吸引を行うことができるように構成されている。したがって、基板材またはロッドレンズ材のプレス上盤10への吸引により固定(吸着)および吸引停止による取り外し(吸着停止)を、基板材取付け面12、14およびロッドレンズ材配列面16、18毎に独立して行うことができる。
【0029】
プレス上盤10の下方には、所定間隔をおいて、プレス下盤32が配置されている。プレス下盤32は、基板材を載置可能な寸法の上面を有する金属製の板状部材である。プレス下盤32の上面34には、複数の真空吸引孔36が形成され、図示しない真空ポンプ等の真空吸引装置によって、基板材をプレス下盤32上に吸着できるように構成されている。また、プレス下盤32は、昇降機構によって、プレス上盤10に向かって昇降可能とされ、上面34に吸着した基板材を、プレス上盤10のロッドレンズアレイ配列面16に吸着されているロッドレンズ材に向けて押圧(プレス)することができるように構成されている。
さらに、プレス下盤32はジャケット構造を有し、上面34に吸着している基板材を所定温度まで加熱または冷却できるように構成されている。」

オ 発明を実施するための最良の形態として
「【0037】
次に、プレス下盤32および吸着されている基板材42をリニアガイド38に沿って矢印B方向に移動させ、プレス上盤10の真下からずれた位置に配置し、プレス下盤32の上面34に吸着されている基板材42の上面に接着剤46を塗布し、その後、プレス下盤32および吸着されている基板材42をリニアガイド38に沿って矢印C方向に移動させ、プレス上盤10の真下の位置に戻す。
【0038】
本実施形態では、接着剤46として、ウレタン系湿気硬化型ホットメルト接着剤(商品名 エスダイン9607K セキスイ製)を使用した。また、本実施形態では、接着剤46は、5.5mmの塗布ピッチ、4.5mmの塗布幅、厚さ49μmで、1mmの間隔をあけ、帯状に、30条(図示は4条)塗布される。塗布方法は、特に限定されるものではないが、接着剤を塗布厚さ精度49μm±1.5μmで塗布できる方法が特に好ましい。また、帯状の塗布される接着剤46の間隔は、1mmに限定されるものではなく、0.5mmから2mmの範囲とされるのが好ましい。0.5mm以上とすることで接着剤の「逃げ代」を十分に確保でき、2mm以下とすることで、切断する位置が多少ずれたとしても、アレイ表面への未充填部分の露出を抑制できる。塗布される接着剤の厚みは、エアー溜り及び配列斑を抑制する点でロッドレンズの半径の1/10?1/2が好ましく、1/5?1/2がより好ましい。
一方、プレス上盤10の上方に向いている基板材取付け面14には、切断後に第2の基板となる基板材48が吸着される(図6)。
【0039】
次に、プレス上盤10を矢印A方向に更に90度回転させて、基板材48が吸着されている基板材取付け面14が側方に、ロッドレンズ材44が吸着されているロッドレンズ材配列面18が下方を向くように配置する。次いで、接着剤46が塗布されている基板材42を吸着しているプレス下盤32を上昇させ、プレス下盤32上の基板材42の接着剤46が塗布されている上面を、ロッドレンズ材配列面18に吸着されているロッドレンズ材44に押圧し密着させ(図7)、ロッドレンズ材44に基板材42を接着する。
この時、プレス下盤32を50℃?100℃に加温しておき、基板材42に塗布された接着剤46を適正な粘度にして、ロッドレンズ材44と基板材42間の隙間を無くし、完全に密着させる。続いて、プレス下盤32の温度を約20℃まで下げ、接着剤46を冷却する。
【0040】
プレス下盤32をプレス上盤10に押し付けるプレス圧力は、0.1MPa/cm^(2)?0.5MPa/cm^(2)の範囲が好ましい。更に好ましくは、0.25MPa/cm^(2)?0.4MPa/cm^(2)の範囲がよい。」
(合議体注:図6は以下の図である。)


カ 発明を実施するための最良の形態として
「【0049】
次に、プレス下盤32および吸着されている基板材58をリニアガイド38に沿って矢印B方向に移動させてプレス上盤10の真下からずれた位置に配置し、基板材58の上面に接着剤60を塗布し、次いで、プレス下盤32および吸着されている基板材58をリニアガイド38に沿って矢印C方向に移動させてプレス上盤10の真下の位置に戻す。なお、接着剤60として、上述した接着剤46と同じものを使用し、厚さを45μmとした以外は基板材42に塗布したのと同様に基板材58に塗布する。
【0050】
次いで、図10に示すように、上方に向けられたプレス上盤10の基板材取付け面14に、一次工程で製作され接着剤硬化が完了したロッドレンズアレイ部品56を、基板材42が下方に向けられた状態で吸着させる。次いで、図11に示すようにプレス上盤10を180度回転させ、ロッドレンズアレイ部品56のロッドレンズ材44が下方を向くように配置し、さらに、プレス上盤10の真下に配置されているプレス下盤32を上昇させ、プレス下盤32に吸着されている基板材58をロッドレンズ材44に密着させ、基板材58を接着剤60によってロッドレンズ材44に接着する。
【0051】
このとき、基板材58に塗布された接着剤60およびプレス下盤32の温度を50℃?100℃に加温し、接着剤を適正な粘度にしておく。このときのプレス圧力は0.1MPa/cm^(2)?0.5MPa/cm^(2)の範囲が好ましい。更に好ましくは、0.25MPa/cm^(2)?0.4MPa/cm^(2)の範囲がよい。この結果、ロッドレンズ材44と基板材58との隙間が無くなり、これらが完全に密着させられる。その後、プレス下盤32の温度を20℃まで下げ、接着剤60を冷却する。」

(4)引用文献4
当審拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2010-15144号公報(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに以下の記載事項がある。

ア 技術分野として
「【0001】
本発明は、2段構造ロッドレンズアレイの製造方法に関し、詳細には、2枚の基板間に並列配置された多数の円柱状ロッドレンズが2段に重なった状態で配列されている2段配列構造のロッドレンズアレイの製造方法に関する。」

イ 発明を実施するための形態として
「【0033】
ロッドレンズ6は、その径方向の中心から外方に向かって屈折率が連続的に低下する屈折率分布を有するプラスチック製のロッドレンズが切断されたものである。」

ウ 発明を実施するための形態として
「【0057】
次いで、貼合せ板下盤26を、リニアガイド36に沿って、貼合せ板上盤12の真下の下方位置から貼合せ板上盤12の真下からずれた位置まで矢印X1方向に移動させる。この移動方向は、ロッドレンズ配列体中でロッドレンズが延びる方向(ロッドレンズの軸線方向)と平行な方向である。
貼合せ板上盤12の真下からずれた位置で、貼合せ板下盤26上に配置されたロッドレンズ配列体(B)のロッドレンズ面に接着剤42を、ロッドレンズを横切る方向に延びる帯状に塗布する。
【0058】
また、本実施形態では、接着剤42は、5.5mmの塗布ピッチ、4mmの塗布幅で、ロッドレンズ間を充填しロッドレンズ頂点から10μm以下の厚さで、1.5mmの間隔をあけ、帯状に、30条(図示は4条)塗布した。この時、塗布した接着剤の適正な粘稠状態を保つため貼合せ板下盤26は接着剤軟化温度より2℃?50℃高い温度に加温しておくのが好ましい。また、帯状の塗布される接着剤42の間隔は、1.5mmに限定されるものではなく、0.5mmから2mmの範囲とされるのが好ましい。」

エ 発明を実施するための形態として
「【0074】
本実施形態では、プレス工程として、接着剤を溶融状態のままプレスし、2段配列構造のロッドレンズアレイ原板前躯体のロッドレンズ同士を完全に密着させる温プレス工程、完全に密着された2段配列構造のロッドレンズアレイ原板を取り出す前に接着剤を軟化温度以下に冷却する冷プレス工程の2工程を用いた。
【0075】
温プレス工程は、いずれもが加温機能を備えたプレス上盤およびプレス下盤の2枚のプレス盤を用いる。プレス上盤は、昇降機能を備え、プレス下盤の表面には、貼合せ板下盤のシリコンゴムスポンジと同一仕様のシリコンゴムスポンジが設置してある。
【0076】
冷プレス工程は、いずれもが冷却機能を備えたプレス上盤およびプレス下盤の2枚のプレス盤を用いる。プレス上盤は昇降機能を備え、プレス下盤の表面には、温プレス用のプレス下盤のシリコンゴムスポンジと同一仕様のシリコンゴムスポンジが設置してある。
【0077】
以下に本実施形態のプレス工程について具体的に説明する。貼合せ工程から取り出した2段配列構造のロッドレンズアレイ原板を温プレス下盤表面のシリコンゴムスポンジ上に載せた。
次いで、温プレス上盤を下降させ押圧する(温プレスを行う)。
【0078】
このとき、温プレス上盤及び温プレス下盤の温度を50℃?100℃に加温し、接着剤を適正な粘度にしておく。このときのプレス圧力は0.1MPa/cm2?0.8MPa/cm2の範囲が好ましい。更に好ましくは、0.2MPa/cm2?0.5MPa/cm2の範囲がよい。この結果、接着剤は適正な粘度を保持しており、押圧により2段配列構造のロッドレンズアレイ原板前躯体はロッドレンズ間の接着剤を押し広げつつ、更に接近し隙間が無くなり、これらが完全に密着させられる。
【0079】
その後、温プレス上盤を上昇させ、隙間なくレンズ間が完全に密着した2段配列構造のロッドレンズアレイ原板を、冷プレス工程に移送する。
【0080】
次に、隙間なくレンズ間が完全に密着した2段配列構造のロッドレンズアレイ原板を冷プレス下盤表面のシリコンゴムスポンジ上に載せる。
次いで、冷プレス上盤を下降させ押圧する(冷プレスを行う)。
【0081】
このとき、冷プレス上盤及び冷プレス下盤の温度は10℃?40℃に設定されている。プレス圧力は0.1MPa/cm2?0.8MPa/cm2の範囲が好ましい。更に好ましくは、0.2MPa/cm2?0.5MPa/cm2の範囲がよい。この結果、接着剤は軟化温度以下になり固化し、レンズ間が密着した状態を完全に保持した2段配列構造のロッドレンズアレイ原板が製造される。」

(5)引用文献5
当審拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開平5-303007号公報(以下、「引用文献5」という。には、図面とともに以下の記載事項がある。

ア 産業上の利用分野として
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は短時間に多量のロッドレンズアレイを熟練を要さずに製造することができるロッドレンズアレイ製造装置に関する。」

イ 実施例として
「【0024】しかる後、図7に示される移動装置用切替レバー18を切替えることによってリフトシリンダーのような移動装置7を上方に移動させる。これにより押し上げプレート6を前述の180°反転して停止しているロッドレンズアレイ用基板積載用プレート11表面迄移動させ、ロッドレンズ仮配列板12上のロッドレンズを前記ロッドレンズアレイ用基板8のU字溝に転着させ予め塗布されている接着剤で固定させる。この後切替レバー18を元の位置に切替えることによって押し上げプレート6を元の位置へ戻す。」


第5 対比
本件発明と引用発明とを対比する。

1 引用発明の「2次元に配列した光集束性マイクロレンズプレート」は、「3段以上の多段配列構造のロッドアレイ」からなり、ロッドアレイは一対のフレーム板32の間に配置され、「ロッド同士及びロッドとフレーム板との間隙が本硬化した黒色樹脂で完全に充填された構造」となるものである。ここで、引用発明における一対の「フレーム板」は、その機能から、本件発明の「第1の基板」及び「第2の基板」に相当する。したがって、引用発明の「2次元に配列した光集束性マイクロレンズプレートが得られる製造方法」と本件発明の「第1の基板と第2の基板との間に3段以上のプラスチックロッドレンズ列が積層配置された多段構造ロッドレンズアレイを製造するロッドレンズアレイ製造方法」とは、「第1の基板と第2の基板との間に3段以上の」「ロッドレンズ列が積層配置された多段構造ロッドレンズアレイを製造するロッドレンズアレイ製造方法」である点で共通する。

2 引用発明の「高粘度の樹脂」は、「固定」するという機能からみて、本件発明の「接着剤」に該当する。そうすると、引用発明の半埋設工程中の「配列されたロッド群の上方に、不透光性の高粘度の樹脂を所定の厚みに一様に塗布しフレーム板32を配置」する工程と、本件発明の「50℃?100℃に加温された第1の基板材の一方の上面に前記ロッドレンズの直径の13%以上の厚さで、溶融粘度が1000mPa・sないし6000mPa・sである接着剤を塗布する第1のステップ」とは、「第1の基板材の一方の面に接するように接着剤を塗布する第1のステップ」である点で共通する。

3 引用発明の「溝付き平板20に多数本の屈折率分布型ロッド22を供給して、各浅溝に屈折率分布型ロッドを収めて配列するロッド配列工程」と本件発明の「プラスチックロッドレンズを並列配置した第1ロッドレンズ列を配列面の表面に仮留めする第2のステップ」とは、「ロッドレンズを並列配置した第1ロッドレンズ列を配列面の表面に配置する第2のステップ」である点で共通する。

4 引用発明の半埋設工程中の「塗布した樹脂を加熱粘稠状態にしウエイト34を載せて加圧することで各ロッドを半埋設状態にし、樹脂を仮硬化させ仮固定し、その後、溝付き平板20から引き離」す工程と、本件発明の「前記配列面に仮留めされた第1ロッドレンズ列を、50℃?100℃に加温された前記第1の基板材に塗布された接着剤に相対的に押圧し前記基板側に転写する第3のステップ」とは、「前記配列面に配置された第1ロッドレンズ列を、接着剤に相対的に押圧し前記基板側に転写する第3のステップ」である点で共通する。

5 引用発明は、上記2?4を考慮すれば、「ロッド配列工程」及び「半埋設工程」により「ロッド配列体36を作製」しているといえる。そうすると、引用発明は、本件発明の「第1のステップと」、「第2のステップと」、「第3のステップと、によりロッドレンズ1段配列体を形成」するとの構成を備える。

6 引用発明の中間部埋設工程中の「ロッド群の上方に不透光性の高粘度の樹脂を所定の厚みに一様に塗布し、その上に前記半埋設状態にあるロッド配列体36をロッドの側が下向きとなり且つ半ピッチずらせて載置」する工程と、本件発明の「50℃?100℃に加温された前記ロッドレンズ1段配列体の第1ロッドレンズ列の上面に前記ロッドレンズの直径の11%以上の厚さで溶融粘度が1000mPa・sないし6000mPa・sである接着剤を塗布する第4のステップ」とは、「前記ロッドレンズ1段配列体の第1ロッドレンズ列の面に接するように接着剤を塗布する第4のステップ」である点で共通する。

7 引用発明の中間部埋設工程中の「溝付き平板20上に多数本の屈折率分布型ロッド22を配列」する工程と本件発明の「プラスチックロッドレンズを並列配置した第2ロッドレンズ列を配列面の表面に仮留めする第5のステップ」とは、「ロッドレンズを並列配置した第2ロッドレンズ列を配列面の表面に配置する第5のステップ」である点で共通する。

8 引用発明の中間部埋設工程中の「塗布した樹脂を加熱粘稠状態にして加圧することで、上段ロッドを完全埋設状態にすると共に下段ロッドを半埋設状態にし、樹脂を仮硬化させ仮固定し、その後、溝付き平板20から引き離」す工程と、本件発明の「前記配列面に仮留めされた第2ロッドレンズ列を、50℃?100℃に加温された前記ロッドレンズ1段配列体の前記第1ロッドレンズ列の上面に塗布された接着剤に相対的に押圧し前記第1ロッドレンズ列上に転写する第6のステップ」とは、「前記配列面に配置された第2ロッドレンズ列を、前記ロッドレンズ1段配列体の前記第1ロッドレンズ列の面に接するように塗布された接着剤に相対的に押圧し前記第1ロッドレンズ列上に転写する第6のステップ」である点で共通する。

9 引用発明は、上記6?8を考慮すれば、中間部埋設工程により「中間部埋設状態となった2段ロッド配列体56」を得ているといえる。そうすると、引用発明は、本件発明の「第4のステップと」、「第5のステップと」、「第6のステップと、によりロッドレンズ2段配列体を形成」するとの構成を備える。

10 引用発明の「溝付き平板上にロッドを配列し、その上に、高粘度の樹脂を所定の厚みに一様に塗布し、中間埋設状態になったロッド配列体をロッドの側が下向きとなり且つ半ピッチずらせた状態で載置し、そして塗布した樹脂を加熱粘稠状態にして加圧することで、下から2段目のロッドを完全埋設状態にすると共に下段ロッドを半埋設状態にし、樹脂を仮硬化させることで仮固定する工程を繰り返して、3段以上の多段配列構造のロッド配列体を得る工程」は、本件発明の「3段目以降は、前記第4ステップ?第6ステップを繰り返して、ロッドレンズ多段配列体を形成した」ことに相当する。

11 引用発明の完全埋設工程中の「中間部埋設状態にある3段以上の多段配列構造のロッド配列体56に対して、そのロッドの側に別の不透光性の高粘度の樹脂を所定の厚みに一様に塗布しフレーム板32を配置」する工程と、本件発明の「50℃?100℃に加温された第2の基板材の一方の上面に前記ロッドレンズの直径の11%以上の厚さで溶融粘度が1000mPa・sないし6000mPa・sである接着剤を塗布する第7のステップ」とは、「第2の基板材の一方の面に接するように接着剤を塗布する第7のステップ」である点で共通する。

12 引用発明の完全埋設工程中の「該塗布した樹脂を加熱粘稠状態にしてウエイト34で加圧し、樹脂を流動させてロッドの隙間に入り込ませ、残りの各ロッドも完全埋設状態とする」工程と、本件発明の「前記ロッドレンズ多段配列体の最上段のロッドレンズ列を、前記第2の基板材の一方の上面に塗布された接着剤に相対的に押圧する第8のステップ」とは、「前記ロッドレンズ多段配列体の最上段のロッドレンズ列を、前記第2の基板材の一方の面に接するように塗布された接着剤に相対的に押圧する第8のステップ」である点で共通する。

13 以上より、本件発明と引用発明とは、
「第1の基板と第2の基板との間に3段以上のロッドレンズ列が積層配置された多段構造ロッドレンズアレイを製造するロッドレンズアレイ製造方法であって、
第1の基板材の一方の面に接するように接着剤を塗布する第1のステップと、
ロッドレンズを並列配置した第1ロッドレンズ列を配列面の表面に配置する第2のステップと、
前記配列面に配置された第1ロッドレンズ列を、接着剤に相対的に押圧し前記基板側に転写する第3のステップと、
によりロッドレンズ1段配列体を形成し、
前記ロッドレンズ1段配列体の第1ロッドレンズ列の面に接するように接着剤を塗布する第4のステップと、
ロッドレンズを並列配置した第2ロッドレンズ列を配列面の表面に配置する第5のステップと、
前記配列面に配置された第2ロッドレンズ列を、前記ロッドレンズ1段配列体の前記第1ロッドレンズ列の面に接するように塗布された接着剤に相対的に押圧し前記第1ロッドレンズ列上に転写する第6のステップと、
によりロッドレンズ2段配列体を形成し、
3段目以降は、前記第4ステップ?第6ステップを繰り返して、ロッドレンズ多段配列体を形成した後、第2の基板材の一方の面に接するように接着剤を塗布する第7のステップと、
前記ロッドレンズ多段配列体の最上段のロッドレンズ列を、前記第2の基板材の一方の面に接するように塗布された接着剤に相対的に押圧する第8のステップと、を備えるロッドレンズアレイ製造方法。」である点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]本件発明のロッドレンズがプラスチックであるのに対し、引用発明の屈折率分布型ロッドが材質を特定していない点。
[相違点2]本件発明は、接着剤を、第1のステップではロッドレンズの直径の13%以上の厚さで塗布し、第4のステップではロッドレンズの直径の11%以上の厚さで塗布するのに対し、引用発明は、一様に塗布する高粘度の樹脂の厚さを特定していない点。
[相違点3]本件発明は、第2のステップ及び第5のステップにおいて、第1ロッドレンズ列及び第2ロッドレンズ列が、それぞれ配列面に「仮留め」され、第1のステップ、第4のステップ及び第7のステップにおいて、接着剤の塗布を、第1の基板材、第1ロッドレンズ列、第2の基板材の「上」面に行うのに対し、引用発明は、第2のステップ及び第5のステップにおいて、第1ロッドレンズ列及び第2ロッドレンズ列が、それぞれ配列面に「仮留め」されているとはいえず、高粘度の樹脂の塗布を、フレーム板又はロッド配列体の上面に行うとしていない点。
[相違点4]本件発明では、接着剤を塗布する際の第1の基板材、ロッドレンズ1段配列体又は第2の基板材を50℃?100℃に加温し、接着剤が50℃?100℃に加温された状態にあって、その溶融粘度が、1000mPa・sないし6000mPa・sであり、前記第3のステップ、第6のステップ及び前記第8のステップにおける押圧する圧力が0.1MPa/cm^(2)?0.5MPa/cm^(2)としているのに対し、引用発明では、高粘度の樹脂を塗布を塗布する際のフレーム板又はロッド配列体を加温しているか不明であり、樹脂の加温される温度と加熱粘稠状態における溶融粘度を特定しておらず、加圧する圧力も特定していない点。


第6 判断
1 [相違点1]について
ロッドレンズアレイを形成するロッドレンズとして、プラスチックからなるロッドレンズは周知技術である。例えば、引用文献2の記載事項オには、ロッドレンズ材として、プラスチック製ロッドレンズを使用したことが記載されており、引用文献3の記載事項ウにも、プラスチック製のロッドレンズが記載されており、さらに、引用文献4の記載事項イにも、プラスチック製のロッドレンズを用いることが記載されている。
屈折率分布型ロッドの材質としてどのようなものを採用するかは、周知の材質から当業者が適宜選択しうることであるから、引用発明において、屈折率分布型ロッドの材質をプラスチックとすることは、当業者が適宜なし得ることである。

2 [相違点2]について
引用文献1の記載事項(ウ)には、「使用する不透光性の樹脂シートの厚みが重要であり、屈折率分布型ロッドの直径と配列ピッチに対して各ロッドを半埋設状態にできる程度の適当な厚みとしておく必要がある。」と記載されている。そして、屈折率分布型ロッドの直径を0.6mmφとした場合に樹脂の厚さを約80μmのものを使用すると好都合であることも記載されている。80μmの樹脂の厚さは、屈折率分布型ロッドの直径0.6mmに対して13.3%になることから、引用文献1には、塗布する樹脂の厚さを屈折率分布型ロッドの直径の13%以上若しくは11%以上とすることが示唆されているといえる。
したがって、引用発明において、示唆に従い、接着剤を塗布する厚さを、ロッドレンズの直径の13%以上若しくは11%以上とすることは、当業者が適宜なし得ることである。

3 [相違点3]について
配列面上に配列されたロッドレンズ列と接着対象の部材とを、接着剤として機能する樹脂を用いて接着固定する際に、前記配列面としてロッドレンズ列を吸着保持する機能を有するものを用い、接着対象の部材の上面に接着剤を塗布し、配列面に仮留めされたロッドレンズ列を前記接着剤として機能する樹脂上に押圧することにより行うことは周知技術である。例えば、引用文献1の記載事項(オ)には、吸引用貫通孔62を経て真空吸引することでロッド群及び樹脂シート50を溝付き平板21に吸着保持させること、一対の溝付き平板20,21のそれぞれに、多数本の屈折率分布型ロッド22を供給して、各浅溝に屈折率分布型ロッドを収めて配列しておき、溝付き平板21の上に配列されたロッド群の上方に、不透光性の樹脂シート50配置し、前記吸引用貫通孔62を経て真空吸引することでロッド群及び樹脂シート50を溝付き平板21に吸着保持させ、ロッド群及び樹脂シート50を吸着保持している溝付き平板21を反転して、溝付き平板20上のロッド群の上に半ピッチずらせて載置することが記載されている。また、引用文献2の記載事項ウには、並列配置したロッドレンズを接着剤が塗布された基板に配列状態を維持したまま付着させる方法として、第1基板2を、第1接着剤30が塗布されている面が上方に向くように配置し、ロッドレンズ6を収容したレンズ整列溝32が下方に向くように配置された配列プレート34を上方から第1基板2に押しつけて、ロッドレンズ6を配列プレート34から第1基板2に付着させる方法が挙げられている。さらに、引用文献3の記載事項イに記載されているように、ロッドレンズを並列配置したプレス上盤に対し、接着剤が塗布された接着対象の部材を接着剤が塗布された面が上方を向くようにして、プレス上盤の下方に配置し、プレス上盤に仮留めされたロッドレンズに押圧して接着させること、このように構成することで、接着剤のたれ落ちが起こりにくいなどの効果があること、ロッドレンズの仮留めが、プレス上盤の表面に形成された複数の配列溝と、細孔からの吸引によって行われることも知られている。また、引用文献5の記載事項イにも、ロッドレンズ仮配列板12上のロッドレンズを前記ロッドレンズアレイ用基板8のU字溝に転着させ予め塗布されている接着剤で固定させることが記載されている。このように、溝付き平板に配列されたロッドを他の部材と接着する場合においても、相手方の部材に接着剤を配置する様々な手法が知られている。
したがって、引用発明において、浅溝に屈折率分布型ロッドを収めて配列する際に、真空吸引を用いることで仮留めを行うこと、引用発明における樹脂の塗布を、接着剤のたれ落ちなどを考慮して、フレーム板の上面又はロット群が接着される対象物であるロッド配列体のロッド上面に対して塗布されるように各部材を配置することは、当業者が容易に想到しうることである。

4 [相違点4]について
接着時に加温する接着剤を部材上に塗布する場合、塗布に必要な粘稠状態を保持するために塗布する部材を加温しておくことは、当業者ならば当然考慮することである。例えば、引用文献4の記載事項ウには、接着剤42を塗布した時、塗布した接着剤の適正な粘稠状態を保つため貼合せ板下盤26を接着剤軟化温度より2℃?50℃高い温度に加温しておくことが記載されている。また、引用文献2の記載事項エに接着剤を約100℃に加熱保持し、第1基板2の表面に直接塗布したこと、記載事項カにプレスを温度75℃にて行ったことが記載されており、塗布からプレスまで加温していたといえる。さらに、引用文献3にも、記載事項エに、プレス下盤32がジャケット構造を有し、上面34に吸着している基板材を所定温度まで加熱または冷却できるように構成されていることが記載されていると共に、記載事項オに、「プレス下盤32の上面34に吸着されている基板材42の上面に接着剤46を塗布」すること、「この時、プレス下盤32を50℃?100℃に加温しておき、基板材42に塗布された接着剤46を適正な粘度にして、ロッドレンズ材44と基板材42間の隙間を無くし、完全に密着させる。」と、本件明細書と同様の記載がなされている。
そして、加熱粘稠状態における加温温度および溶融粘度、加圧圧力をどの程度とするかは、接着剤として使用する高粘度の樹脂に応じて、ロッド及びフレーム板又はロッド配列体が必要とする埋設状態となるように当業者が適宜最適化し得ることである。そして、例えば、引用文献3の記載事項カには、基板材58を接着剤60によってロッドレンズ材44に接着する際に、接着剤60およびプレス下盤32の温度を50℃?100℃に加温し、接着剤を適正な粘度にしておくこと、このときのプレス圧力は0.1MPa/cm^(2)?0.5MPa/cm^(2)の範囲が好ましいことが記載されている。また、引用文献4の記載事項エにも、接着剤を溶融状態のままプレスし、2段配列構造のロッドレンズアレイ原板前躯体のロッドレンズ同士を完全に密着させる温プレス工程として、温度を50℃?100℃に加温し、接着剤を適正な粘度にしておくこと、このときのプレス圧力は0.1MPa/cm^(2)?0.8MPa/cm^(2)の範囲が好ましいこと、この結果、接着剤は適正な粘度を保持しており、押圧により2段配列構造のロッドレンズアレイ原板前躯体はロッドレンズ間の接着剤を押し広げつつ、更に接近し隙間が無くなり、これらが完全に密着させられることが記載されている。さらに、引用文献2の記載事項イには、接着剤の粘度は加熱した状態で2500?5000[cP]となるのが好ましいことが記載されており、パスカル秒に変換すると、2500mPa・s?5000Pa・sである。以上のとおり、ロッド等を接着するに際し、50℃から100℃に加温すること、溶融粘度を2500mPa・s?5000Pa・sとすること、加圧圧力を0.1MPa/cm^(2)?0.5MPa/cm^(2)の範囲とすることは、従来より知られていることである。
したがって、引用発明において、樹脂が50℃?100℃に加温されてその溶融粘度が、1000mPa・sないし6000mPa・sとなるようにし、押圧する圧力が0.1MPa/cm^(2)?0.5MPa/cm^(2)であるとすることは、当業者が適宜設定しうることである。

5 効果について
本件発明の効果は、本件明細書の段落【0019】の記載に基づけば「多段配列構造のロッドレンズアレイを効率良く生産することができる、ロッドレンズアレイの製造方法が提供される。」というものである。一方、引用発明も、3段以上の多段配列構造のロッドアレイが製造できる方法を提供するものであって、記載事項(キ)によれば、「製造時間を短縮化でき、作業性も良好となり、細径のロッドでも歩留りよくロッドアレイを製造できる。」というものであるから、本件発明と同様に多段配列構造のロッドアレイレンズを効率良く生産することができるという効果を奏するものといえる。
また、各相違点に係る効果も、引用文献2?5に記載された事項から当業者にとって自明なものである。
したがって、本件発明の効果は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2?5に記載された事項から当業者が認識できる程度のものであり、格別なものということはできない。


第7 請求人の主張について

1 請求人は審判請求書の請求の理由において、接着剤を温度「50℃?100℃」かつ溶融粘度「1000mPa・sないし6000mPa・s」とし、「0.1MPa/cm^(2)?0.5MPa/cm^(2)」の相対圧力で、プラスチック製のロッドレンズ列に押圧することは、開示も示唆もされていないと主張している。しかしながら、ロッドレンズ列をプラスチック製のものとすることは、既に第6の1において検討したとおり、当業者が適宜なし得ることである。そして、接着剤を温度「50℃?100℃」かつ溶融粘度「1000mPa・sないし6000mPa・s」とすること、押圧時の圧力を「0.1MPa/cm^(2)?0.5MPa/cm^(2)」の相対圧力とすることも、既に第6の4において検討したとおり、当業者が適宜最適化し得ることである。

2 請求人は、平成29年11月30日付けの意見書において、「引用文献1の発明は、少なくとも、補正後の本願請求項1の構成要件・・・『前記第1のステップ、前記第4のステップ及び前記第7のステップで塗布された接着剤が50℃?100℃に加温された状態にあって、その溶融粘度が、1000mPa・sないし6000mPa・sであり、前記第3のステップ、第6のステップ及び前記第8のステップにおける押圧する圧力が0.1MPa/cm2?0.5MPa/cm2である』等を備えていない。」及び「引用文献1の発明は、『50℃?100℃に加温された』基板材を配置すること、ロッドレンズ列あるいは基板材の上面に接着剤を塗布することを、開示も示唆もしていない。」と主張している。しかしながら、接着剤の加温温度、溶融粘度及び押圧する圧力については上記第7の1に記載したとおりであり、第1のステップ、第4のステップ及び第7のステップで塗布された接着剤が50℃?100℃に加温された状態である点についても、既に前記第6の4において検討したとおり、接着時に加温する接着剤を部材上に塗布する場合、塗布に必要な粘稠状態を保持するために塗布する部材を加温しておくことは、当業者ならば当然考慮することである。


第8 むすび
以上のとおり、本件発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2?5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-12-28 
結審通知日 2018-01-09 
審決日 2018-01-22 
出願番号 特願2012-158434(P2012-158434)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉川 陽吾渡▲辺▼ 純也  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 宮澤 浩
清水 康司
発明の名称 ロッドレンズアレイの製造方法  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 松下 満  
代理人 弟子丸 健  
代理人 西島 孝喜  
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