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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02B
管理番号 1337989
審判番号 不服2015-23006  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-28 
確定日 2018-03-07 
事件の表示 特願2013- 90130「低分子量有機成分を含む重合性組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月 9日出願公開、特開2013-178551〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 事案の概要
1 手続の経緯
特願2013-90130号(以下「本件出願」という。)は、2006年3月10日に国際特許出願された特願2008-501051号(優先権主張 2005年3月11日 (US)米国)の明細書及び図面に記載された発明の一部を平成25年4月23日に新たな特許出願としたものであって、その手続の概要は、以下のとおりである。

平成25年 5月10日提出:手続補正書
平成26年 3月 6日付け:拒絶理由通知書
平成26年 6月11日提出:意見書
平成26年 6月11日提出:手続補正書
平成26年12月 4日付け:拒絶理由通知書
平成27年 3月 9日提出:意見書
平成27年 3月 9日提出:手続補正書
平成27年 8月21日付け:補正却下の決定
平成27年 8月21日付け:拒絶査定
平成27年12月28日請求:審判請求
平成28年 2月12日提出:手続補正書(方式)
平成28年11月29日付け:拒絶理由通知書
平成29年 6月 5日提出:意見書
平成29年 6月 5日提出:手続補正書

第2 本願発明
本件出願の特許請求の範囲の請求項1?7に係る発明は、平成29年6月5日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「1つ以上のエチレン性不飽和モノマーを含む有機成分であって、450g/モルより大きい数平均分子量を有するエチレン性不飽和オリゴマー若しくはモノマーの含有量が9重量%以下(0重量%である場合を含む)である、有機成分と、
少なくとも10重量%の、5?50nmの粒度を有するジルコニアナノ粒子と、を含む実質的に溶剤を含有しない重合性組成物の反応生成物を含む輝度向上重合構造体を含む、輝度向上フィルム。」

第3 当審の拒絶理由
平成28年11月29日付け拒絶理由通知書において、当審が通知した理由1の拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)は、概略、以下のとおりである。

「本件出願の請求項1?7に係る発明は、その優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内または外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用例1:特開平8-113616号公報
引用例2:米国特許出願公開第2004/0233526号明細書
引用例3:特表2003-521556号公報
引用例4:特開平8-217991号公報
引用例5:特表2003-512287号公報
引用例6:特表2004-516367号公報

1 引用例1を主引用例とした場合
・請求項1?3,5?7
・引用例1?5

2 引用例6を主引用例とした場合
・請求項1?7
・引用例6,1?5

3 引用例1又は引用例4を主引用例とした場合
・請求項1?4,6,7
・引用例1,5及び2?4 あるいは 引用例4,5及び1?3 」

第4 当合議体の判断
1 引用例の記載及び引用発明
(1) 引用例1の記載
当審拒絶理由において引用された引用例1には、以下の記載がある。(下線は、後述する引用発明の認定に特に関係する箇所を示す。)
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は活性エネルギ-線硬化性組成物および液晶表示装置等に用いられるプリズムシ-ト、プロジェクションテレビ等のスクリーン等に用いられるレンチキュラーレンズシ-トやフレネルレンズシ-ト、あるいは立体写真等に用いられるレンチキュラーレンズシート等のレンズシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置等に使用されるバックライトユニットに用いられるプリズムシート、プロジェクションテレビやマイクロフィルムリーダー等の投射スクリーンとして用いられるフレネルレンズシートやレンチキュラーレンズシート、立体写真等に用いられるレンチキュラーレンズシート等のレンズシートとして、活性エネルギー線硬化性組成物を用いてレンズ部を形成したものが使用されてきている。このようなレンズシートは、例えば、透明基材とその上に形成された活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物からなるレンズ部とから構成されている。このレンズ部を形成するために使用される活性エネルギー線硬化性組成物としては、透明基材との密着性、レンズ型との剥離性、レンズシートとしての光学特性等の種々の特性が要求される。
【0003】例えば、ノート型パソコン等のカラー液晶表示装置や、液晶TVやビデオ一体型液晶TV等のカラー液晶パネル等に使用されるバックライトにおいては、バックライトの輝度を低下させることなく、その消費電力を低く抑えることが重要であり、バックライトの光学的な効率の改善が望まれている。そこで、図1(イ) に示すごとく、片面にプリズム列2を形成したプリズムシートを同図(ロ) に示すバックライト3の発光面4の上に載置した同図(ハ) に示すごとき輝度向上を図ったバックライトが提案されている。
【0004】ここに用いられるプリズムシートとしては、熱可塑性樹脂製の透明シートの片面にプリズム列をプレス加工によって賦形したものや、透明シートの片面に紫外線硬化型組成物製のプリズム列を形成したものが一般的に用いられており、前者の素材としてはポリメチルメタクリレート(屈折率:1.49)やポリカーボネート(屈折率:1.59)などが、後者で用いられる紫外線硬化型組成物としては、(メタ)アクリレート系組成物(硬化樹脂の屈折率:1.49?1.55)が使われている。」

イ 「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、熱可塑性樹脂製の透明シートを用い、プレス賦形法にてプリズムシートを作る方法では、素材の屈折率と透明性とのバランスをとり、輝度向上効果の良好なプリズムシートとすることが困難であり、また、後者の紫外線硬化型(メタ)アクリレート系組成物を用いてプリズムシートを作る方法では、プリズムシートの輝度向上を図りうるほど、その屈折率を十分に高めることが困難である。さらに、屈折率の高い材料を使って作ったプリズムシートは、バックライトの正面輝度の増加に大きく寄与する反面、その光線透過率が低くなりやすいという問題点を有していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課題を解決するために、活性エネルギー線硬化性組成物について鋭意検討した結果、特定構造の(メタ)アクリレート組成物を用いることにより、光線透過率の低下を招くことなく、高い屈折率を有する硬化物を得ることができ、輝度の増加効果の高いレンズシートを生産性よく製造できることを見いだし、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、(A) 下記[化2]で示される化合物15?80重量%、
【化2】

(式中、R1は水素またはメチル基、XとYは同種または異種のメチル基、塩素、臭素またはヨウ素よりなり基を、t,uは0?2の整数を示す。)

(B) 分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する少なくとも1種の他の化合物20?85重量%、(C) (A) 成分および(B) 成分の合計量 100重量部に対して0.01?5重量部の活性エネルギー線感応性ラジカル重合開始剤、とからなることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物、および、透明基材の少なくとも一方の面に活性エネルギー線硬化性組成物により、屈折率1.56以上のレンズ部が形成されたことを特徴とするレンズシートにある。」

ウ 「【0008】以下、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物、およびレンズシートに関して、より詳細に説明する。
【0009】本発明において、活性エネルギー線硬化性組成物に使用される(A) 成分である[化2]で示される化合物は、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物の透明性を低下させることなく、屈折率を向上させる成分である。
【0010】(A) 成分の具体例としては、ビス(4-メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビス(4-アクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビス(4-メタクリロイルチオ-3,5-ジクロロフェニル)スルフィド、ビス(4-アクリロイルチオ-3,5-ジクロロフェニル)スルフィド、ビス(4-メタクリロイルチオ-3,5-ジブロモフェニル)スルフィド、ビス(4-アクリロイルチオ-3,5-ジブロモフェニル)スルフィド、ビス(4-メタクリロイルチオ-3,5-ジメチルフェニル)スルフィド、ビス(4-アクリロイルチオ-3,5-ジメチルフェニル)スルフィド等を代表例として挙げられ、これらを単独または2種以上を組合せて使用することができる。
【0011】上記した化合物の中でも、ビス(4-メタクリロイルチオフェニル)スルフィドが最も好ましい。
【0012】(A) 成分の使用割合は、 (A)および(B) 成分中15?80重量%、好ましくは20?80重量%、より好ましくは30?70重量%の範囲である。(A) 成分の含量が15重量%未満では、レンズシートのレンズ部の屈折率が低いため、高輝度効果を発揮しうるレンズシートとすることが難しく、一方、(A) 成分含量が80重量%を越えると、レンズ部の機械的強度が低下するばかりでなく、活性エネルギー線硬化性組成物の貯蔵中に該組成物から固体である(A) 成分の析出が起こり、その組成変化を起しやすいので好ましくない。
【0013】また、(B) 成分である、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する他の化合物は、固体である(A) 成分を溶解する能力を有しており、本発明の組成物よりレンズシートを作る際のレンズ部の製造作業性を向上する成分である。本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を用いてレンズシートを賦形する際には、レンズ型のレンズ形状の転写性に優れていることが必要であり、(B) 成分は室温で液体で、かつ、粘度が低いほど好ましい。また、(B) 成分は、(A) 成分の溶解力が高いものほど好ましい。(A) 成分の含有量に応じて(B) 成分の種類、および量を選定し、かつ、当該活性エネルギー線硬化性組成物のレンズ型内への注入作業性、基材シートへの接着性、および得られるレンズシートのレンズ部の屈折率を考慮して(B) 成分の種類およびその使用を決定するのがよい。
【0014】本発明の組成物において、(A) 成分の使用割合が多い場合は、(B) 成分の分子として分子構造中に芳香族構造を有する化合物を用いることにより、その貯蔵時の(A) 成分の沈降が起こりにくいものとすることができる。また、上記した本発明の組成物のレンズ型内への注入作業性を向上する目的で、低粘度のエステルモノマーを併用して、活性エネルギー線硬化性組成物の粘度を調整するのが好ましい。
【0015】(B) 成分としては、脂肪族、脂環族または芳香族モノまたはポリアルコールのモノまたはポリ(メタ)アクリレートや、脂肪族、脂環族または芳香族のウレタンポリ(メタ)アクリレート、エポキシポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0016】これらの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、・・・(中略)・・・フェノキシエチル(メタ)アクリレート、・・・(中略)・・・2,4,6-トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能性エステル(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、・・・(中略)・・・ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)スルフォン等の2官能性エステル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、・・・(中略)・・・等の多官能性エステル(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とを反応させたエポキシジ(メタ)アクリレート、・・・(中略)・・・等が挙げられる。
【0017】これらの単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0018】(B) 成分の使用割合は、 (A)成分および(B) 成分中に20?85重量%、好ましくは20?80重量%、さらに好ましくは30?70重量%の範囲である。(B) 成分の含量が20重量%未満では、レンズシートのレンズ部の機械的強度が低下するばかりでなく、この液体組成物の貯蔵時に固体である(A) 成分の析出が起こり、好ましくなく、一方、(B) 成分含量が85重量%を越えると、レンズ部の屈折率が低いため高輝度効果を発揮しうるレンズシートとすることが難しいため好ましくない。
【0019】本発明の活性エネルギー線硬化性組成物においては、上記のような(A) 成分と(B) 成分とを併用することによって、透明性を低下させることなく、屈折率1.56以上という高い屈折率を有する硬化物を得ることができ、プリズムシート、フレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシートのレンズ部を構成する素材として適したものである。
【0020】さらに、(C) 成分である、活性エネルギー線感応性ラジカル重合開始剤としては、紫外線や可視光線に代表される活性エネルギー線に感応してラジカルを発生するものが好ましく、公知のものを用いればよく、とくに限定されない。
【0021】(C) 成分の具体例としては、ベンゾイン、・・・(中略)・・・2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン・・・(中略)・・・等のカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド・・・(中略)・・・などのイオウ化合物・・・(中略)・・・等のアシルフォスフィンオキサイド、・・・(中略)・・・等の可視光線感応性のラジカル重合開始剤を挙げることができる。
【0022】これら(C) 成分は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0023】これら(C) 成分の中でも、メチルフェニルグリオキシレート、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ビドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドがより好ましい。
【0024】(C) 成分の使用割合は、(A) 成分および(B) 成分の合計量 100重量部に対して0.01?5重量部、より好ましくは、0.02?3重量部の範囲である。(C) 成分の使用量が0.01重量部未満の硬化性組成物では、その硬化性が不十分となり、5重量部を越える該組成物では、該組成物より形成したレンズシートのレンズ部が黄変するため好ましくない。」

エ 「【0028】本発明に係るレンズシートは、図2のように透明基材シート8と本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させたポリマーからなるプリズム列等のレンズ部9からなる。この透明基材シート8の材質は紫外線を通過する柔軟なガラス板でもよいが、一般的にはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリエステル樹脂等の厚さ数百μm程度の透明合成樹脂製シートを用いるのが、その取扱い性を高める上で好ましい。とくに、比較的屈折率が低く、かつ、表面反射率の低いポリメチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレートとポリフッ化ビニリデン系樹脂との混合物、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂からなるシートが好ましく、具体的には、屈折率がレンズ部の屈折率よりも低いものが好ましい。この場合、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて作ったレンズ部9と透明基材シート8との間に密着性を向上させるアンカーコート処理層10を配することにより、より強固にレンズ部9と基材シート8とが密着したレンズシートが得られる。
【0029】本発明のレンズシートを製造する際には、図3に示すように、プリズム列等のレンズ形状を形成した金属、ガラスあるいは樹脂製のレンズ型11に活性エネルギー線硬化性組成物12を注入延展し、その上面に透明基材シート8を重ね合わせ、該シート8を通して活性エネルギー線発光光源から活性エネルギー線を照射し硬化させる。その後、図4に示すように製造したレンズシートをレンズ型11から剥離することにより、本発明のレンズシートを得ることができる。
【0030】活性エネルギー線発光光源としては、化学反応用ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、可視光ハロゲンランプ、太陽光等が使用できる。照射エネルギーとしては、 200?600nm の波長の積算エネルギーが 0.1?50J/cm^(2) となるように照射する。また、活性エネルギー線の照射雰囲気下は、空気中でもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガス中でもよい。
【0031】使用するレンズ型11は、図5に示すごときものであり、例えば、プリズムシートを製造する場合には、円内に示したような頂角αのプリズム形状を備えたプリズム型11を使用する。レンズ型素材としては、アルミニウム、黄銅、鋼等の金属製の型やシリコン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂、フッ素樹脂あるいはポリメチルペンテン樹脂等の合成樹脂から作った型、およびまたは、上記材料にメッキを施したものや、各種金属粉を混合したものから製作した型を用いることができるが、耐熱性や強度の面から金属製の型を使用することが望ましい。
【0032】上記のようにして得られたレンズシートは、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物からなるレンズ部の屈折率が1.56以上の高い屈折率を有することが必要であり、好ましくは1.58以上、さらに好ましくは1.60以上である。これは、レンズ部、すなわち活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物の屈折率が1.56未満であると、例えばバックライトユニットのプリズムシートとして使用した場合に、十分な正面輝度の向上が図れない傾向にあるためである。また、本発明のレンズシートとして、バックライトユニットのプリズムシートに使用する場合には、プリズム列の頂角αは80°? 150°の範囲のものがバックライトの輝度向上効果の点から好ましく、さらに好ましくは85°? 130°の範囲である。」

オ 「【0033】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例中、および表1に記載する単量体の略号は以下の通りである。
【0034】MPSMA : ビス(メタクリロイルチオフェニル)スルフィド(商品名:MPSMA 、住友精化製)
BP-1 : 2,2-ビス(メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン(商品名:NKエステル BPE-100N 、新中村化学社製)
POA : フェノキシエチルアクリレート(商品名:ビスコート#192 、大阪有機化学工業社製)
HMPO : 2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(商品名:ダロキュア1173、チバガイギー社製)
PEDA : ポリエチレングリコールジアクリレート(商品名:NKエステル A-400、新中村化学社製)
PET : ポリエステルフィルム(ICI社製、MX-705、厚み 188μm)
PMMA : ポリメチルメタクリレート樹脂板(三菱レイヨン社製、アクリライトI、厚み 0.8mm)
PC : ポリカーボネート樹脂板(三菱瓦斯化学社製、厚み 0.5mm)
【0035】
【実施例1】
(活性エネルギー線硬化性組成物の調整)MPSMA 50g 、BP-1 30g、POA 20g 、HMPO 2g を混合し、50℃に加温して攪拌し、本発明の透明で均一な溶液を得た。
【0036】(プリズムシートの作成)この混合液を図5に示したごときプリズム列、ピッチ50μm、頂角αが95°の三角錐プリズム列を有する黄銅製の概略A4サイズのプリズム型11の上に注入した後、図3に示すごとく、概略同サイズのポリエステルフィルム8を混合液注入面上に重ね合わせ、その後、該ポリエステルフィルムの上部 300mmのところに設置した、 6.4KW(80W/cm)の高圧水銀ランプにより、6秒間、 1.2J/cm^(2) の紫外線エネルギーを照射して混合液塗布層を硬化させた後、図4に示すごとく剥離して本発明のプリズムシートを得た。
【0037】(活性エネルギー線硬化性組成物、およびプリズムシートの評価)このようにして得られたプリズムシートを次のような方法で評価した結果を表1に示した。
【0038】(1) 組成物の透明性
上記のごとくして調整した組成物の透明性を次の規準で目視判定した。
○:透明である。
×:濁りがあり、白濁している。
【0039】(2) 組成物の金型への注入作業性
組成物の金型への注入作業性、および基材シートのラミネート性を次の規準で判定した。
○:作業し易い。
×:泡等を巻き込み作業し難い。
【0040】(3) プリズムの屈折率の測定
上記のごとくして得たプリズムシートのプリズム部の屈折率測定のため、上記組成物を、径65mm、厚み3mmの2枚のガラス円板の間にガスケットを挿入し、1mmの隙間を設け、外周を粘着テープで巻き固定した金型に注入し、該ガラス金型の片面から上記と同様にして高圧水銀ランプにより、50秒間、10J/cm^(2) の紫外線エネルギーを照射して硬化させた後、ガラス金型から硬化した樹脂板を脱型してその屈折率をアッベ屈折率計で20℃にてナトリウムD線光源による屈折率を測定した。
【0041】(4) 輝度向上率の測定
上記のごとくして作成した図1(イ) に示すごとき構造のプリズムシート1を、図1(ロ) に示すスタンレー社製の冷陰極管5と三菱レイヨン社製アクリル製導光体7と東レ社製拡散フィルム4からなるバックライトユニット3にセットし、該バックライトユニットの直上1mのところから、トプコン社製BM7型輝度計で輝度を測定した。表1には、バックライト面にプリズムシートを置かない場合の輝度を1.00とした時の輝度比を示した。
【0042】(5) 密着性
プリズムシートのプリズム列面側にカミソリで基材フィルムに達する傷を 1.5mmの間隔で縦、横それぞれ11本入れ、 100個のます目を作り、セロハン粘着テープ(幅25mm、ニチバン製)をプリズム面に密着させて急激に剥がした後、剥がれなかったプリズム列面のます目を数えた。
【0043】
【実施例2?7、比較例1?2】表1に示した組成物、および基材シート用いた他は、実施例1と同様にしてプリズムシートを作成し、実施例1と同様にして評価した結果を表1に併記した。
【0044】
【比較例3】図5に示したプリズム金型11のプリズム形状刻印部に、該刻印部面積より少し小さいサイズの厚さ 0.8mmのPMMAフィルムを重ね合わせた後、この上面に厚さ3mmの磨きステンレス板を重ね合わせた後、前述積層物を金型とともに 180℃に加熱しつつ、50tの荷重を均等にかけ、3時間放置後、冷却するのを待って剥離してPMMA製のプリズムシートを作成した。このプリズムシートを実施例1と同様にして輝度を測定した。なお、上記PMMAフィルムの屈折率は、n=1.492 であった。
【0045】表1に示した実施例1?7、および比較例1?3の輝度比は、プリズムシートを用いない場合のバックライトの輝度を1.00として表している。本発明の実施例で得たプリズムシートを用いたバックライトの輝度はいずれの比較例よりも優れた輝度向上効果を示していることが分かる。
【0046】なお、表1に示した輝度比は、使用するバックライトが異なればその絶対値は変化するものであるが、本発明者等が検討した範囲内ではバックライトの種類を変えることによって上記比較例と実施例の大小関係が逆転することはなかった。
【表1】


【0047】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、透明性を低下させることなく、高い屈折率を有する硬化物を得ることができるものであり、透明基材の表面にレンズ部を形成したレンズシートのレンズ部の素材として使用することにより、レンズシートの正面輝度を著しく向上させることができるとともに、取扱い性や生産性の良好なレンズシートを提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリズムシートとバックライトとを用い、本発明の輝度向上バックライトを得る概略示す説明図。
【図2】本発明のプリズムシートの部分断面図。
【図3】本発明のプリズムシートの作成方法を説明する概略図。
【図4】本発明のプリズムシートを金型から取り出す状態を示す概略図。
【図5】プリズムシート作成用プリズム型の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
1 ………… プリズムシート
2 ………… プリズム列
3 ………… バックライト
4 ………… 拡散フィルム
5 ………… 冷陰極管
6 ………… 反射フィルム
7 ………… 導光体
8 ………… 基材シート
9 ………… プリズム列
10 ………… アンカーコート層
11 ………… プリズムシート作成用金型
12 ………… 活性エネルギー線硬化性組成物」

カ 「【図1】



キ 「【図2】



ク 「【図3】



ケ 「【図4】



コ 「【図5】



(2) 引用発明
ア 前記(1)オで摘記した引用例1の段落【0043】の記載からみて、引用例1に実施例2として記載されたプリズムシートは、段落【0046】の【表1】に示した組成物及び基材シートを用いることを除き、実施例1(段落【0035】及び【0036】)と同様といえる。また、【表1】の記載からみて、実施例2のプリズムシートは、プリズム列の材料がMPSMA(70g)、BP-1(10g)、POA(20g)及びHMPO(2g)であり、基材シートはPETである。なお。段落【0036】の「三角錐プリズム列」は、前後の記載及び【図5】から看取される形状からみて、「三角プリズム」の意味と解するのが相当である。

イ そうしてみると、引用例1には、実施例2に係るプリズムシートとして、次の発明が記載されている(以下、「引用発明」という。)。

「MPSMA70g、BP-110g、POA20g、HMPO2gを混合し、加温して攪拌し、透明で均一な溶液である、活性エネルギー線硬化性組成物を調整し、この混合液を、ピッチ50μm、頂角αが95°の三角プリズム列を有する黄銅製の概略A4サイズのプリズム型の上に注入した後、概略同サイズのPETフィルムを混合液注入面上に重ね合わせ、その後、該PETフィルムの上部に設置した高圧水銀ランプにより紫外線エネルギーを照射して混合液塗布層を硬化させた後、プリズム型から剥離して作成された、プリズムシートであって、
MPSMAはビス(メタクリロイルチオフェニル)スルフィド(商品名:MPSMA、住友精化製)、
BP-1は2,2-ビス(メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン(商品名:NKエステル BPE-100N、新中村化学社製)、
POAはフェノキシエチルアクリレート(商品名:ビスコート#192 、大阪有機化学工業社製)、
HMPOは2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(商品名:ダロキュア1173、チバガイギー社製)である、
プリズムシート。」

(3) 引用例2の記載
当審拒絶理由において引用された引用例2には、以下の記載がある。(下線は、当合議体が付したものである。以下、同じ。)
ア 「[0002] Optical materials and optical products are useful to control the flow and intensity of light. Examples of useful optical products include optical lenses such as Fresnel lenses, optical light fibers, light tubes, optical films including totally internal reflecting films, retroreflective sheeting, and microreplicated products such as brightness enhancing films (BEF) and security products. Brightness enhancement films are very useful in many of today's electronic products to increase the brightness of backlit flat panel displays such as liquid crystal displays (LCDs), electroluminescent panels, laptop computer displays, word processors, desktop monitors, televisions, video cameras, and automotive and avionic displays, among others.
[0003] With respect specifically to brightness enhancement films, the index of refraction of the material composing the surface features is related to the brightness gain produced by the brightness enhancement film. Gain is a measure of the improvement in brightness of a display due to the brightness enhancement film and is a property of the optical material, and also of the geometry of the brightness enhancement film. A high gain is desired for a brightness enhancement film because improved gain provides an effective increase in the brightness of a backlit display.
[0004] Improved brightness means that the electronic product can operate more efficiently by using less power to light the display. Reduced power consumption translates into reduced heat generation and therefore means increased component life. Thus, because of these advantages, there exists a continuing need to find optical products exhibiting improved index of refraction values in the optical features.
[0005] Optical products can be prepared from high index of refraction materials, including monomers such as high index of refraction (meth)acrylate monomers, halogenated monomers, and other such high index of refraction monomers as are known in the art. 」
(当合議体注:[0003]の最終文の「backlit」は「backlight」の誤記である。)
(日本語訳)
「[0002] 光学材料及び光学製品は光の流れと強度を制御するのに有用である。有用な光学製品の例としては、フレネルレンズなどの光学レンズ、光ファイバー、光チューブ、内部全反射フィルムを含めた光学フィルム、再帰反射シート、並びに輝度増強フィルム(BEF)及びセキュリティー製品などの微小複製製品がある。中でも、輝度増強フィルムは、液晶ディスプレー(LCD)、エレクトロルミネセントパネル、ラップトップコンピューターディスプレー、ワードプロセッサー、デスクトップモニター、テレビジョン、ビデオカメラ、及び自動車及び飛行機のディスプレーなどのバックライトフラットパネルディスプレーの輝度を高めるために、今日の電子製品の多くで非常に有用である。
[0003] 特に輝度増強フィルムについて言うと、表面の特徴を構成している物質の屈折率が輝度増強フィルムによって得られる輝度利得と関係している。利得とは、輝度増強フィルムによるディスプレーの輝度の向上の尺度であり、輝度増強フィルムの光学材料、及び幾何形状の特性である。向上した利得は、バックライトディスプレーの輝度の効果的な増加を提供するから、輝度増強フィルムとしては、高い利得が望まれる。
[0004] 向上した輝度は、ディスプレーを照らすために少ない電力を用いることによって、電子製品をより効率的に動作させることができることを意味する。電力消費の減少は熱の発生の減少となり、したがってコンポーネントの寿命の増加を意味する。このような利点のために、光学的な特性として向上した屈折率を示す光学生産物を発見するニーズが常にある。
[0005] 光学生産物は、例えば高屈折率(メタ)アクリレートモノマー、ハロゲン化モノマー、及び当該技術分野で公知の他の高屈折率モノマーなどのモノマーを含む高屈折率物質から調製することができる。」

イ 「[0008] An alternative method of increasing the refractive indexes of polymers is combining nanoparticles with polymers. The refractive indexes of polymer/nanoparticle blends are, in part, dependent upon the refractive indices of the nanoparticles added to the polymer matrix. The theoretical refractive index of a polymer/nanoparticle blend is the volume weighted average of the refractive indexes of the nanoparticles and the polymer matrix. Consequently, it is desirable to make blends using metal oxide particles having high refractive indexes. However, metal oxide particles that are formed in water are difficult to transfer into organic liquids without particle agglomeration and concomitant transfer of water.
(日本語訳)
「[0008] ポリマーの屈折率を高める別の方法は、ナノ粒子とポリマーを組み合わせることである。ポリマー/ナノ粒子ブレンドの屈折率は、ある程度、ポリマーマトリックスに添加されるナノ粒子の屈折率に依存する。ポリマー/ナノ粒子ブレンドの理論的な屈折率は、ナノ粒子とポリマーマトリックスの屈折率の体積荷重平均である。したがって、高い屈折率を有する金属酸化物粒子を用いてブレンドを作ることが望まれる。しかし、水中で形成される金属酸化物粒子は、粒子の凝集と付随する水の移動を伴わないで有機液体に移すことが難しい。」

ウ 「[0015] The nanoparticles can change the index of refraction of the polymer blend so that the optical element has more utility. The nanoparticles/thermoplastic polymer blends also have increased mechanical features, such as increased modulus, scratch resistance, and hardness. The nanoparticles also affect the melting and glass transition temperatures, which can increase the polymer melt processing conditions. Recent work has found that nanoparticles doped into a matrix where there is not a good interface between particles & matrix can give varying properties i.e. differing mechanical properties, decrease in Tg etc. The nanoparticles also increase the printability of the optical element. Adding strength and stiffness to the light management film is important for transport through a printing system and handling. In small addition quantities, the addition of nanoparticles to thermoplastic resins does not affect the transmission or light shaping characteristics significantly because the particles are below the wavelength of light and therefore do not scatter light. These and other advantages will be apparent from the detailed description below.
[0016] The term "surface feature" means any structure that directs light as it passes through or reflects off of it. For example, a prism structure that collimates light or a diffuser that directs light out in a random direction comprises light shaping elements. The light directing or deflection can be at the micro or macro level. "Roughness average" or Ra means the average peak to valley measurement of the light shaping elements. "particle size dimension less than 100 nanometers" means any particle that has at least one dimension less than 100 nanometers. Particles that fit this description are called "nanoparticles". This means that carbon nanotubes that have a diameter of 1-10 nm but a length of 100 nanometers to 50 micrometers would be considered "nanoparticles" because they have at least one dimension less than 100 nanometers.

(日本語訳)
「[0015] ナノ粒子は、光学エレメントの有用性を高めるようにポリマーブレンドの屈折率を変化させることができる。ナノ粒子/熱可塑性プラスチックブレンドはまた、高い弾性率、引っかき抵抗性及び硬度など機械的特性を増大させる。ナノ粒子はまた、融点やガラス転移点を変化させて、ポリマー溶融加工条件を増やすことができる。最近の研究によれば、粒子とマトリックスの間にはっきりした界面がない場合、マトリックスにドープされたナノ粒子が、例えば、機械的特性を変える、Tgの低下等の変化する特性を与えることが見出された。ナノ粒子はまた、光学エレメントへの印刷性を高める。光制御フィルムに強度と剛性を加えることは、印刷システムを通過する輸送や取扱いのために重要である。添加量が小さな場合、熱可塑性樹脂へのナノ粒子の添加は、粒子が光の波長よりも小さく、そのため光を散乱させないので、透過特性や光整形特性に著しく影響を及ぼさない。これらの利点及びその他の利点は以下の詳細な説明から明らかになるであろう。」
[0016] “表面構造”という用語は、光がそこを通過又はそこから反射する際に光を指向する構造を意味する。例えば、光をコリメートするプリズム構造やランダムな方向に光を指向するディフューザーは光整形エレメントを構成する。光を指向する又は偏向することはミクロなレベルでもマクロなレベルでもあり得る。“平均粗さ”又はRaは、光整形エレメントの頂から谷までの測定値の平均を意味する。“100nm未満の粒子サイズ寸法”とは、少なくとも一つの寸法が100nm未満である全ての粒子を意味する。この記述に合致する粒子を“ナノ粒子”と称する。このことは、直径が1?10nmであるが長さが100nm?50μmのナノチューブは、少なくとも一つの寸法が100nm未満であるから“ナノ粒子”と見なすことを意味する。」

エ 「[0022] The minute particles are preferably less than 55 nanometers in particle size dimension. These particles when they are below 50 nanometers in particle size dimension do not scatter light significantly and therefore do not effect the scattering characteristics of the optical element significantly. More preferably, the minute particles have a particle size dimension of less than 15 nanometers because the particles then are sufficiently below the wavelength of visible light so that they do not cause scattering of light and can therefore be used to change the index of refraction of materials without impacting their scattering, light transmission, and light reflection characteristics significantly. This size range facilitates dispersion of the particles into the polymer matrix. Furthermore, because the particles are very small, if the particles aggregate to form clusters of 2 or 3 particles (that in turn act as one particle), the particle size dimension of the aggregated particle is still small enough not to significantly effect the transmission properties of the optical element. To utilize the small primary particle size efficiently for transparency requirements, it is necessary to have a high quality of dispersion where quality of dispersion means the degree to which agglomeration (aggregation) of primary particles exists. A high quality of dispersion will have small numbers of aggregates as well as small aggregates of primary particles, thereby making a smaller impact on transmission properties while giving the desired refractive index feature. 」
(日本語訳)
「[0022] 微細粒子は、好ましくは粒子サイズ寸法が55nmより小さい。これらの粒子は、粒子サイズ寸法が50nmより小さい場合、光を著しく散乱せず、したがって、光学エレメントの散乱特性に著しく影響を及ぼさない。さらに好ましくは、微細粒子の粒子サイズ寸法は15nmよりも小さい、というのは、粒子は可視光の波長よりも十分に小さいため、光の散乱は起こらず、したがって、その散乱、光透過、光反射特性に著しく影響を与えることなく、材料の屈折率を変化させるために用いることができるからである。このサイズ範囲はポリマーマトリックスへの粒子の分散を容易にする。さらに、粒子は非常に小さいので、もし粒子が凝集して2個又は3個のクラスター(それが1つの粒子として振る舞う)を形成しても、凝集した粒子の粒子サイズ寸法は依然として十分小さく、光学エレメントの透過特性に著しく影響しない。一次粒子のサイズの小ささを必要な透明性のために有効に利用するためには、分散が高品質であることが必要であり、分散の質とは一次粒子の凝集(集合)が存在する度合いを意味する。高品質な分散は、凝集体の数が少なく、かつ一次粒子の凝集体が小さいので、所望の屈折率特性を与えると同時に透過特性への影響がより小さい。」

オ 「[0055] The minute particles preferably comprise inorganic oxides, and more preferably metal oxides. Inorganic oxide particles of the present invention are desirably substantially spherical in shape, relatively uniform in size (have a substantially monodisperse size distribution) or a polymodal distribution obtained by blending two or more substantially monodisperse distributions. It is further preferred that the inorganic oxide particles be and remain substantially non-aggregated (substantially discrete), as aggregation can result in large particles that scatter light, reducing optical clarity.
[0056] A wide range of colloidal inorganic oxide particles can be used in the optical element of the present invention. Representative examples include silica, titania, alumina, zirconia, vanadia, chromia, iron oxide, magnesium oxide, antimony oxide, zinc oxide, tin oxide, titanates (Calcium or Barium) and mixtures thereof The inorganic oxide particles can comprise essentially a single oxide such as silica, a combination of oxides, such as silica and aluminum oxide, or a core of an oxide of one type (or a core of a material other than a metal oxide) on which is deposited an oxide of another type.
[0057] Metal oxides are preferred because of the availability of commercially available nanoparticle sized metal oxides and their typically high refractive indexes. In addition, a number of the metal oxides are white powders that can allow for improved transparency in the visible range at higher wt % loadings. 」
(当合議体注:[0056]の「・・・mixtures thereof The inorganic・・・」は、「・・・mixtures thereof. The inorganic・・・」の誤記である。)
(日本語訳)
「[0055] 微小粒子は、好ましくは無機酸化物を、さらに好ましくは金属酸化物を含む。本発明の無機酸化物粒子は、実質的に球形であり、比較的サイズが一様である(実質的に単分散サイズ分布を有する)又は実質的に単分散分布の2つ以上をブレンドして得られる多モード分布を有することが望ましい。さらに、無機酸化物粒子は実質的に非凝集(実質的に離散的)であり続けることが好ましい、というのは、凝集は光を散乱し光学的明瞭性を低下させる大きな粒子を生ずるからである。
[0056] 広範囲のコロイド状無機酸化物粒子を本発明の光学エレメントに用いることができる。代表的な例としては、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、バナジア、クロミア、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸塩(カルシウム又はバリウム)及びそれらの混合物があげられる。無機酸化物粒子は、シリカなど本質的に単一の酸化物から成るものであっても、又はシリカと酸化アルミニウムなど酸化物の組み合わせであっても、一つのタイプの酸化物のコア(あるいは金属酸化物以下の材料のコア)に別のタイプの酸化物がデポジットしたものであってもよい。
[0057] ナノ粒子サイズの金属酸化物が商業的に入手でき、かつ金属酸化物の屈折率が一般的に高いので、金属酸化物が好ましい。さらに、いくつかの金属酸化物は白い粉末であり、重量%での含有量が高くなっても可視範囲で高い透明性が得られる。」

カ 「[0061] The optimal loadings of the nanoparticles into the polymer matrix will depend on the polymer-nanoparticle system chosen. Dependent on the nanoparticle chosen with its respective refractive index and the polymer matrix with its refractive index, in order to achieve a refractive index difference acceptable for the desired effect, the loadings may need to go as high as 75 wt %. Preferably, less than 50 wt % loadings are desirable due to ease of processing and resultant optical and mechanical properties of the polymer-nanoparticle composite being more favorable. 」
(日本語訳)
「[0061] ポリマーマトリックスへのナノ粒子の最適な充填量は、選ばれるポリマー/ナノ粒子システムに依存する。選ばれたナノ粒子とその屈折率及びポリマーとその屈折率に依存するが、所望の効果をあげるために容認できる屈折率の差を実現するためには、充填量が75重量%という高い値になる必要があることもある。加工の容易さと、より好ましいとされるポリマー/ナノ粒子複合体の得られる光学特性及び機械特性のために、50重量%未満の充填量が望ましい。」

(4) 引用例3の記載
当審拒絶理由において引用された引用例3には、以下の記載がある。
ア 「【0008】
発明の大要
一言で言えば、本発明はセラマー組成物、セラマー溶液、ハードコート組成物、およびこのハードコート組成物を含有する光学的機能を持つ複合構造体を提供する。セラマー組成物は無機酸化物粒子、硬化性バインダー前駆体を始めとする成分を含有するが、ここでこのバインダー前駆体には重合性臭素化化合物が含まれる。この重合性臭素化化合物は比較的屈折率の高い、例えば少なくとも約1.5の臭素化モノマー、および/または少なくとも一つの芳香族臭素化(メタ)アクリレート化合物を含有することができる。このセラマー組成物は硬化あるいは重合して、その中に無機酸化物粒子を分散させたあるいは無機酸化物粒子の周りを取り巻いている臭素化重合体マトリックスを含有するハードコート組成物を形成することができる。このセラマーおよびハードコート組成物は所望の物理的(例えば機械的)および光学的諸性質(例えば硬度、耐擦傷性、耐摩耗性、および屈折率)を持つことができる。望ましい屈折率とは充分に高い(例えば最大化した)もの、あるいは多層複合体の隣接層と整合する、例えばセラマー組成物が塗布される基材と整合するよう適宜選択されるものである。」

イ 「【0056】
無機酸化物粒子
セラマー組成物には、セラマー組成物の屈折率、ならびにこのセラマー組成物から調製されるハードコートの屈折率と物理的機械的諸性質を変える(例えば増加させるあるいは制御する)のに有用であるコロイド状無機酸化物粒子が含有される。無機酸化物粒子は結晶構造を持ち、好ましくは比較的高い屈折率を持つ。無機酸化物粒子をセラマー組成物にある特定の体積比で添加すると、セラマー組成物ならびにそのハードコート組成物の屈折率を制御可能に増加することができる。無機酸化物粒子の具体例としては、これらに限定するわけではないが、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア、および酸化アンチモン粒子があげられる。この無機酸化物粒子は通常粒径が小さいが、機能的には、良好で有用な硬度と同時に、所望の透過度、透明度、あるいは不透明度、屈折率などの有用な光学的諸性質を持つハードコートを提供するに充分な大きさを持つことが好ましい。粒子は通常ある範囲の留度分布(当合議体注:「留度分布」は、「粒度分布」の誤記である。)を含むが、好ましい粒子は平均で約5ナノメートル(nm)から約1000nmの粒径を、好ましくは約10nmから約50nm、最も好ましくは約10から30nmの粒径を持つ。無機酸化物粒子の平均粒子径は例えば透過電子顕微鏡などの既知の方法で測定できる。無機酸化物粒子はもっとも好ましくは実質的に凝集していない形でポリマーマトリックス中に分散可能であるが、好ましくは非極性あるいは極性溶媒と有機モノマー中、例えばセラマー組成物中で簡単に分散することができ、立体化学的に安定化され得る。」

(5) 引用例4の記載
当審拒絶理由において引用された引用例4には、以下の記載がある。
「【0017】第2の構成成分である金属酸化物は、1.6を超える屈折率を有し、放射線硬化性材料からのフィルム等の硬化物の屈折率を高めることを第1の目的として含有される。また、かかる金属酸化物は、上記硬化物の耐熱性、表面硬度(耐スクラッチ性)を高める効果も同時に備えている。かかる金属酸化物として好適には、五酸化アンチモンがある。五酸化アンチモンは、高屈折率(約1.67)を有するとともに、表面硬度、分散性、透明性、そして難燃性が高いからである。また、五酸化アンチモンと、二酸化珪素(シリカ)、酸化錫、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ベリリウム等の他の金属酸化物の1種もしくは2種類以上を併用することもできる。例えば、高い表面硬度を得るためには、五酸化アンチモンに二酸化珪素を添加することが好適であり、五酸化アンチモン100重量部に対して5?100重量部の量で添加することが好適である。二酸化珪素の添加量は、それが5重量部未満では硬度向上の効果に乏しく、また、100重量部超では屈折率が低下する恐れがある。また、上記五酸化アンチモンは、液相法で合成されたものが好適である。かかる液相法で合成された五酸化アンチモンは、放射線硬化可能なモノマー中における安定な分散が容易であるからである。
【0018】二酸化珪素に代えて、他の金属酸化物を五酸化アンチモンに併用することも推奨される。例えば、酸化ジルコニウムは硬度及び屈折率の向上に、酸化錫は屈折率の向上に、酸化ニオブは屈折率の向上に、酸化アルミニウムは硬度及び屈折率の向上に、酸化チタンは硬度及び屈折率の向上に、酸化ベリリウムは硬度の向上に、それぞれ寄与することができる。
【0019】金属酸化物は、本発明の放射線硬化性材料において、いろいろな形態で、好ましくは粒子状又はゾル状で、使用することができる。粒子状の金属酸化物は、有機溶媒を使用する必要がないという点で、環境保全等のメリットがある。かかる粒子状金属酸化物の粒径は、電子顕微鏡で常法に従って測定して、好ましくは1?300nmである。1nm未満の粒径では、粒子の生成及び取扱いが困難であり、また、300nm超の粒径では、粒子の分散性や透明性が低下するおそれがある。」

(5) 引用例5の記載
当審拒絶理由において引用された引用例5には、以下の記載がある。
ア 「 【0002】
有機マトリックス材料(例えば重合体)内へのジルコニアゾルの取込みは、高いX線不透明度及び高い屈折率をもつ光学的に透明又は半透明の材料を提供することができる。有機マトリックス材料のX線不透明及び/又は屈折率を増大できる程度は、該有機マトリックス材料内へのゾルの充填限界及びジルコニア粒子のX線散乱能力又は屈折率の関数である。
【0003】
ジルコニアゾルの特徴(例えばジルコニア粒子の結晶度、結晶格子製造、粒子及び一次粒子会合度と)は、有機重合体中のジルコニアゾルの光透過性、X線不透明度、屈折率及び充填限界を支配する。縮合結晶質ジルコニアは、大きなX線散乱能力をもつ高屈折率材料であるが、一方非晶質含水ジルコニウム塩はより低い屈折率及びより低いX線散乱能力をもつ。ジルコニアゾルの光透過性は、ゾル中のジルコニア粒子のサイズの一関数である。一次粒子粒度が増大しかつ/又は粒子間の会合度が増大するにつれて、光透過性は減少する。有機マトリックス材料内へのジルコニアゾルの充填限界は、粒子会合と粒子縦横比の両方の関数である。ジルコニアゾル中の粒子会合が増大するにつれて、ジルコニアゾルの充填限界は減少する。同様にして、ゾル中のジルコニア粒子の縦横比が増大するにつれて、有機マトリックス材料内へのジルコニア粒子の充填限界は減少する。従って、有機マトリックス材料中に粒子を高い充填量で取込むことが望まれる場合には、低い縦横比をもつジルコニア粒子が好ましい。この点において、立方及び/又は正方晶系結晶相をもつジルコニア粒子が、単斜晶系結晶相をもつものよりも好まれる。」

イ 「 【0024】
詳細な説明
本発明のジルコニアゾル及びジルコニア粒子は、いくつかの有利な特徴を有している。例えば、ジルコニア粒子は小さい平均一次粒子粒度をもち、きわめて高度に結晶質である。ジルコニア粒子の結晶質部分のうち、優位な結晶格子構造は立方晶系及び正方晶系であり、残りは単斜晶系である。立方及び正方晶系結晶格子構造は、電子顕微鏡で見たとき立方体様の形状をもつ低アスペクト比(縦横比)の一次粒子の形成を促進する。ゾル中、一次粒子は、実質的に無会合(すなわち凝結及び凝集を受けていない)形で存在する。粒子の粒度、結晶の性質及び会合からの自由度により、本発明のゾルが例えば単量体、オリゴマー及び/又は重合体といったような有機マトリックス材料中に取り込まれた時点で高屈折率、高X線不透明度をもつ透明な複合材料の製造が可能となる。
【0025】
一次粒子粒度:
本発明のジルコニアゾルは、約20nm以下の平均一次粒子粒度をもち、より好ましくは約7?20nmの範囲の平均一次粒子粒度をもつ複数の単結晶ジルコニア粒子を含む。本書で使用される「一次粒子粒度」という語は、無会合の単結晶ジルコニア粒子のサイズを意味する。一次粒子粒度は、テスト手順3で記述する通り、X線回折により決定される。」

ウ 「 【0066】
本発明のゾルは、上述のさまざまな技術により、例えば単量体、オリゴマー及び重合体といった有機マトリックス材料と組合わせることができる。結果として得られた複合材料は、重合体マトリックスの加工性及び可とう性ならびに高弾性率、硬度と組合わされた光学的明澄度、高屈折率及び高放射線不透過性を有することができる。本発明の取込まれたジルコニアゾルとして適切な材料には、例えば、米国特許出願第09/428,937号、及び同第09/429,185号に記述された通りの歯科用材料が含まれる。一般に、複合材料の屈折率は、有機マトリックス内のジルコニア粒子の体積分画と正比例して増加する。高い屈折率を得るためには、高屈折率をもつ有機マトリックス材料が一般に好ましい。本発明のジルコニアゾルからのジルコニア粒子は、有機マトリックスの屈折率をさらに増大させるために使用できる。有機マトリックス材料と組合わされた時点で、結果として得られた複合材料は、約1.6以上、より好ましくは約1.66以上、そして最も好ましくは約1.75以上の屈折率を達成できる。
【0067】
重合可能な単量体の代表例としては、アクリルレート、メタクリレート、スチレン、エポキシなどが含まれる。同様に、アクリレート化又はメタクリレート化ポリエステル、ポリウレタン又はアクリル樹脂も同様に使用することができる。結果として得られる複合材料は、造形されコーティングされ、次に例えば遊離ラジカル光重合メカニズムにより重合され得る。光重合は、商標名「IRGACURE184」(Ciba Specialty Chemicals, Tarrytown, NY)の下で市販されているもののような光重合開始剤を用いることにより開始され得る。本発明のゾルは同様に、例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート及びポリイミドといったようなその他のタイプの重合体と組合わせることもできる。熱可塑性重合体とゾルを組合わせるための適切な技術としては、例えば押出し加工、ミリング又はブラベンダ混合が含まれる。表面改質剤は、所望の加工温度で安定するように選択されるべきである。」

エ 「 【0110】
例5
ポリエーテル酸ジルコニウム塩を以下の通りに調製した:
Nyacol ZrO_(2)(Ac)(96g)及びMEEAA(17.2g、5mmole/gのZrO_(2))を1リットルのビーカーに装填し、反応混合物を30分間室温(約22℃)で撹拌した。水及び余剰の酢酸を除去し、約18時間約80℃に維持された循環空気オーブン内に置いた蒸発皿の中で反応混合物を蒸発させることによって、乾燥固体としてポリエーテル酸ジルコニウム塩を単離した。脱イオン水の中にポリエーテル酸ジルコニウム塩を溶解させて、透明なポリエーテル酸ジルコニウム塩溶液(合計重量1500g)を生成し、溶液を2リットルの無撹拌のステンレス鋼製Parr反応装置に注ぎ込み、窒素で約2.75バール(40psi)までオートクレーブを加圧した。オートクレーブをその後約50分で100℃まで加熱し、約45分間にわたり150℃まで、そして最終的に175℃(12バール)まで加熱しその温度に約22時間維持した。オートクレーブを2?3時間にわたり冷却し減圧した。本発明のジルコニアゾルは、いかなる堆積物も無く、乳光青色をもつ透明な液体として得られた。
【0111】
ゾルを、約10重量%のZrO_(2)の安定した透明青色ゾルとなるまで回転蒸発を介して濃縮させた。実質的に例1で記述された通りに3リットルの水中での多数の透析ランを介して遊離酸を除去した。最初の3回の透析は、1?2時間の長さであり、4回目の透析は一晩中行なわれた。透析された標本を一晩80℃で乾燥させ、14.6重量%の固体を得た。結果として得た粉末の熱重量分析は、それが87.2重量%のZrO_(2)であることを示した。単純計算により、出発ゾルが12.71重量%のZrO_(2)であったことがわかる。透析されたゾルの一部分(5.04g)を25mlの丸底フラスコに装填し、メトキシ-2-プロパノール(7.0g,Aldrich Chemical Co., より入手可)、オレイン酸(0.022g,Aldrich Chemical Co.),アクリル酸(0.027g,Aldrich Chemical Co.から入手可)、MEEAA(Aldrich Chemical Co.から入手可)及びフェノキシエチルアクリレート(0.46g,Aldrich Chemical Co.から入手可)をこの順序でこのフラスコに装填した。回転蒸発とそれに続くトラップ間精製を介して反応混合物から水とアルコールを除去し、1.5915の屈折率をもつフェノキシエチルアクリレート中の透明青色オルガノゾルを生成した(フェノキシエチルアクリレートの屈折率は1.518である)。ゾルに対しIrgacure184光重合開始剤(約1重量%,Ciba Specialty Chemicals, Tarrytown, NY)を添加した。混合物の薄いコーティング(0.1?0.2g)を2つのPETライナー間に流し込み、10分間低圧Hgランプを用いて硬化させた。結果として得られた硬化済みフィルムは、見かけが乳白色であった。残りのゾルに対し付加的なアクリル酸(0.018g)を添加し、結果として得られた混合物を2つのPETライナ間に流し込み、10分間低圧Hgランプを用いて硬化させた。結果として得た硬化されたフィルムは、透明、可とう性かつ自立構造のものであった。フィルムの屈折率は、テスト手順6を用いて1.616であるものと測定された。
【0112】
透析されたゾルの第2の部分(5.0g)を25mlの丸底フラスコに装填し、メトキシ-2-プロパノール(7.19g),オレイン酸(0.022g)、アクリル酸(0.065g),MEEAA10.022g)及びフェノキシエチルアクリレート(0.525g)をこの順序でフラスコ装填した。回転蒸発とそれに続くトラップ間精製を介して反応混合物から水とアルコールを除去し、1.581の屈折率をもつフェノキシエチルアクリレート中の透明青色オルガノゾルを生成した(フェノキシエチルアクリレートの屈折率は1.518である)。ゾルに対しIrgacure184(?1重量%)を添加した。結果として得た混合物を180μmのスペーサで分離された2つのPETライナー間に流し込み、10分間、低圧Hgランプを用いて硬化させた。結果として得た硬化されたフィルムは、透明、可とう性かつ自立構造のものであった。フィルムの屈折率は、テスト手順6を用いて1.6155であると測定された。180μmのフィルムの600nmでの透過性百分率は84.2%であった(テスト手順2)。ジルコニアゾルが混合物に添加されなかったという点を除き、上述のとおりに対照を調製した。対照の600nmでの透過性百分率は82.19%であった。フィルムのZrO_(2)含有率は42.85重量%であることが見極められた(テスト手順1)。
【0113】
透析されたゾルの第3の部分(15.0g)を100mlの丸底フラスコに装填し、メトキシ-2-プロパノール(21g),オレイン酸(0.066g)、アクリル酸(0.144g),MEEAA(0.065g)及びフェノキシエチルアクリレート(0.885g)をこの順序でフラスコに装填した。回転蒸発とそれに続くトラップ間精製を介して水とアルコールを除去し、1.609の屈折率をもつフェノキシエチルアクリレート中の透明青色オルガノゾルを生成した。ゾルに対しIrgacure184(?1重量%)を添加した。結果として得た混合物を180μmのスペーサで分離された2つのPETライナー間に流し込み、10分間、低圧Hgランプを用いて硬化させた。結果として得た硬化されたフィルムは、透明、可とう性かつ自立構造のものであった。フィルムの屈折率は、テスト手順6を用いて1.6345であると見極められた。180μmのフィルムの600nmでの透過性百分率は83%であった(テスト手順2)。ジルコニアゾルが混合物に添加されなかったという点を除き、上述のとおりに対照を調製した。対照の600nmでの透過性百分率は82.1%であった。フィルムのZrO_(2)含有率は53.9重量%であることが見極められた(テスト手順1)。」

2 対比及び判断
(1) 対比
本願発明と、引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
ア 有機成分及び重合性組成物
(ア) 引用発明の「MPSMA」、「BP-1」及び「POA」を化合物名で表すと、それぞれ「ビス(メタクリロイルチオフェニル)スルフィド(」、「2,2-ビス(メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン」及び「フェノキシエチルアクリレート」である。また、技術常識によると、これらは有機化合物であり、本願発明でいう「エチレン性不飽和モノマー」に該当する。同様に、「HMPO」は、「2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン」であり、光重合開始剤として含まれた有機化合物である。したがって、引用発明の「活性エネルギー線硬化性組成物」は、有機化合物のみを成分とし、無機ナノ粒子及び溶剤を含有しない。
ここで、本件出願の段落【0016】には、「重合性組成物が無機ナノ粒子を含有しない実施形態については、有機成分と重合性組成物とは同じものである。」という定義が記載されている。
以上勘案すると、引用発明の「活性エネルギー線硬化性組成物」は、本願発明でいう「1つ以上のエチレン性不飽和モノマーを含む有機成分」である。また、引用発明の「活性エネルギー線硬化性組成物」と本願発明の「重合性組成物」とは、「実質的に溶剤を含有しない」点で共通する。

(イ) 引用発明の「MPSMA」、「BP-1」及び「POA」の分子量(g/モル)は、それぞれ「387」、「478」及び「192」である(「分子量」は、小数点1桁の数値を四捨五入したものである。)。
「MPSMA」、「BP-1」及び「POA」の分子量は、数平均分子量ということもできる。
引用発明において、「活性エネルギー線硬化性組成物」中の分子量「478」の「BP-1」の含有量は約9.8重量%である(含有量(重量%)は、10(g)/(70+10+20+2)(g)=0.09803・・・から求めることができる。)。


イ 反応生成物及び輝度向上重合構造体
引用発明のプリズムシートは、「活性エネルギー線硬化性組成物」を「ピッチ50μm、頂角αが95°の三角プリズム列を有する黄銅製の概略A4サイズのプリズム型の上に注入した後、概略同サイズのPETフィルムを混合液注入面上に重ね合わせ、その後、該PETフィルムの上部に設置した高圧水銀ランプにより紫外線エネルギーを照射して混合液塗布層を硬化させた後、プリズム型から剥離して作成された」ものである。そして、この製造工程からみて、引用発明の「プリズムシート」は、PETフィルム上に、活性エネルギー線硬化性組成物の光重合反応による硬化物からなる三角プリズム列構造を具備するものといえる。また、引用発明の「プリズムシート」が、バックライトの発光面の上に載置されたとき、三角プリズムによる光の集光作用による輝度向上効果を発揮することは、技術的にみて明らかである(引用例1の【0003】の記載からも確認できる事項である。)。
以上勘案すると、引用発明の「プリズムシート」は、本願発明の「輝度向上フィルム」に相当し、また、「重合性組成物の反応生成物を含む輝度向上重合構造体を含む」ものといえる。

(2)一致点及び相違点
ア 一致点
前記(1)の対比結果を踏まえると、本願発明と引用発明は、次の構成で一致する。
「1つ以上のエチレン性不飽和モノマーを含む有機成分を含む実質的に溶剤を含有しない重合性組成物の反応生成物を含む輝度向上重合構造体を含む、輝度向上フィルム。」

イ 相違点
前記(1)の対比結果を踏まえると、本願発明と引用発明は、以下の点で相違する。
(相違点1)
重合性組成物に関し、
本願発明では、少なくとも10重量%の、5?50nmの粒度を有するジルコニアナノ粒子を含んでいるのに対して、
引用発明では、ジルコニアナノ粒子を含んでいない点。
(相違点2)
有機成分に関し、
本願発明では、450g/モルより大きい数平均分子量を有するエチレン性不飽和オリゴマー若しくはモノマーの含有量が9重量%以下(0重量%である場合を含む)であるのに対して、
引用発明では、450g/モルより大きい数平均分子量を有する「BP-1」(エチレン性不飽和モノマー)の含有量が約9.8重量%である点。

(3) 判断
上記相違点1及び相違点2について検討する。
ア 引用発明は、「プリズムシート」に関する発明であるところ、輝度向上効果の良好なプリズムシートを得るために屈折率を高くすることや、引っかき抵抗性、硬度などの機械的特性を向上させることは、当業者における通常の課題といえる。

イ 例えば、引用例2には、「特に輝度増強フィルムについて言うと、表面の特徴を構成している物質の屈折率が輝度増強フィルムによって得られる輝度利得と関係している」こと([0003])、「ポリマー/ナノ粒子ブレンドの理論的な屈折率は、ナノ粒子とポリマーマトリックスの屈折率の体積荷重平均である。したがって、高い屈折率を有する金属酸化物粒子を用いてブレンドを作ることが望まれる」こと([0008])、「ナノ粒子は、光学エレメントの有用性を高めるようにポリマーブレンドの屈折率を変化させることができる。ナノ粒子/熱可塑性プラスチックブレンドはまた、高い弾性率、引っかき抵抗性及び硬度など機械的特性を増大させる」こと([0015])、「粒子サイズ寸法が50nmより小さい場合、光を著しく散乱せず、したがって、光学エレメントの散乱特性に著しく影響を及ぼさない」こと([0022])、「ナノ粒子サイズの金属酸化物が商業的に入手でき、かつ金属酸化物の屈折率が一般的に高いので、金属酸化物が好ましい。さらに、いくつかの金属酸化物は白い粉末であり、重量%での含有量が高くなっても可視範囲で高い透明性が得られる」こと([0057])及び「選ばれたナノ粒子とその屈折率及びポリマーとその屈折率に依存するが、所望の効果をあげるために容認できる屈折率の差を実現するためには、充填量が75重量%という高い値になる必要があることもある。加工の容易さと、より好ましいとされるポリマー/ナノ粒子複合体の得られる光学特性及び機械特性のために、50重量%未満の充填量が望ましい」こと([0061])が記載されている。
また、引用例3の【0056】には、「セラマー組成物には、セラマー組成物の屈折率、ならびにこのセラマー組成物から調製されるハードコートの屈折率と物理的機械的諸性質を変える(例えば増加させるあるいは制御する)のに有用であるコロイド状無機酸化物粒子が含有される」こと、「無機酸化物粒子をセラマー組成物にある特定の体積比で添加すると、セラマー組成物ならびにそのハードコート組成物の屈折率を制御可能に増加することができる」こと、「無機酸化物粒子の具体例としては、これらに限定するわけではないが、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア、および酸化アンチモン粒子があげられる」こと、及び「好ましい粒子は平均で約5ナノメートル(nm)から約1000nmの粒径を、好ましくは約10nmから約50nm、最も好ましくは約10から30nmの粒径を持つ」ことが記載されている。また、引用例4には、「金属酸化物は、1.6を超える屈折率を有し、放射線硬化性材料からのフィルム等の硬化物の屈折率を高めることを第1の目的として含有される。また、かかる金属酸化物は、上記硬化物の耐熱性、表面硬度(耐スクラッチ性)を高める効果も同時に備えている」こと(【0017】)、「酸化ジルコニウムは硬度及び屈折率の向上に、酸化錫は屈折率の向上に、酸化ニオブは屈折率の向上に、酸化アルミニウムは硬度及び屈折率の向上に、酸化チタンは硬度及び屈折率の向上に、酸化ベリリウムは硬度の向上に、それぞれ寄与することができる」こと(【0018】)及び「粒子状金属酸化物の粒径は、電子顕微鏡で常法に従って測定して、好ましくは1?300nmである」こと(【0019】)が記載されている。さらに、引用例5には、「有機マトリックス材料(例えば重合体)内へのジルコニアゾルの取込みは、高いX線不透明度及び高い屈折率をもつ光学的に透明又は半透明の材料を提供することができる」(【0002】)こと、「ジルコニア粒子は小さい平均一次粒子粒度をもち、きわめて高度に結晶質である」こと(【0024】)、「粒子の粒度、結晶の性質及び会合からの自由度により、本発明のゾルが例えば単量体、オリゴマー及び/又は重合体といったような有機マトリックス材料中に取り込まれた時点で高屈折率、高X線不透明度をもつ透明な複合材料の製造が可能となる」こと(【0024】)、「本発明のジルコニアゾルは、約20nm以下の平均一次粒子粒度をもち、より好ましくは約7?20nmの範囲の平均一次粒子粒度をもつ複数の単結晶ジルコニア粒子を含む」こと(【0025】)が記載されている。

ウ そうしてみると、引用発明の「プリズムシート」において、少なくとも、輝度向上効果の良好なプリズムシートを得るために屈折率をより高くすることを目的とし、また、金属酸化物粒子としての引っかき抵抗性及び透明性の確保等も勘案して、引用発明の「活性エネルギー線硬化性組成物」中にジルコニアナノ粒子を加えることは、上記引用例2?5に記載された技術を心得た当業者における通常の創意工夫の範囲内の材料選択にすぎないといえる。
(当合議体注:なお、引用例2等において言及されている二酸化珪素は、ジルコニアに比して屈折率が不十分である。また、引用例4において言及されている五酸化アンチモンは、レアメタルを原料とする。)

エ そこで、引用発明の「活性エネルギー線硬化性組成物」中にジルコニアナノ粒子を加えるに際し、当業者がどのような材料設計をするか確認すると、以下のとおりとなる。
すなわち、引用発明の「活性エネルギー線硬化性組成物」中に加えるジルコニアナノ粒子の粒径は、小さい方が透明度を保つことができる。そして、引用例2の[0022]に記載された示唆に従うならば、粒径は50nm以下ということになる。ただし、容易に入手できる粒径には下限があり、引用例3の【0056】の記載等を参考にすると、5nmを上回る粒径ものを選択するのが自然と考えられる。
また、引用発明の「活性エネルギー線硬化性組成物」中に加えるジルコニアナノ粒子の分量は、多い方が高い屈折率が得られると考えられる。ただし、引用例2の[0061]の記載を考慮すると50重量%未満ということになるが、多い方が好ましいという前提の上での50重量%未満であるから、少なくとも10重量%は超えると考えられる。
ところで、引用発明の「活性エネルギー線硬化性組成物」中に加えるジルコニアナノ粒子の分量を10重量%以上とした場合、引用発明の「活性エネルギー線硬化性組成物」の重量に対する引用発明の「BP-1」の分量、すなわち「450g/モルより大きい数平均分子量を有するエチレン性不飽和・・・モノマーの含有量」が約8.8重量%まで低下する。
(当合議体注:引用発明の「活性エネルギー線硬化性組成物」の総量は102gであるから、約11.3g以上のジルコニアナノ粒子を加えれば、その分量は10重量%以上となる。また、この場合の「BP-1」(10g)の分量は、約8.8重量%以下となり、本願発明の「9重量%以下」の要件を満たすこととなる。)

なお、本願発明の「9重量%以下」という数値限定には、臨界的意義が存在しない。
すなわち、本件出願の明細書の【0025】には、「有機成分は、450g/モルより大きい数平均分子量を有するエチレン性不飽和モノマーおよび/またはオリゴマーを15重量%未満、14重量%未満、13重量%未満、12重量%未満および典型的に約10重量%まで(例えば約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%または9重量%)含む」と記載されている。

オ 加えて、引用発明の「活性エネルギー線硬化性組成物」中にジルコニアナノ粒子を加えた場合は粘度が上昇するところ、引用例1の【0013】には、「本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を用いてレンズシートを賦形する際には、レンズ型のレンズ形状の転写性に優れていることが必要であり、(B) 成分は室温で液体で、かつ、粘度が低いほど好ましい。」と記載されている。したがって、引用発明の「活性エネルギー線硬化性組成物」中にジルコニアナノ粒子を加えた際に、低粘度を維持するため「BP-1」の分量を減らす及び/又は「POA」の分量を増やすことにより、相違点2に係る本願発明の構成に至ることは、引用例1の記載が示唆する範囲内の事項である。
(当合議体注:(B) 成分に該当する引用発明の材料は、「BP-1」及び「POA」であるところ、その25℃における粘度は、それぞれ「1000mPa・s」及び「3?13mPa・s」である。)

カ 以上ア?オのとおりであるから、引用発明の「プリズムシート」において、少なくとも、輝度向上効果の良好なプリズムシートを得るために屈折率を高くすることを目的として、引用発明の「活性エネルギー線硬化性組成物」中にジルコニアナノ粒子を加えた結果、相違点1及び相違点2に係る本願発明の構成とすることは、「透明性を低下させることなく、高い屈折率を有する硬化物を得ることができるものであり、透明基材の表面にレンズ部を形成したレンズシートのレンズ部の素材として使用することにより、レンズシートの正面輝度を著しく向上させることができるとともに、取扱い性や生産性の良好なレンズシートを提供できる」(段落【0047】)という、引用発明の効果の延長線上において当業者が容易に発明できた事項にすぎない。

(4) 本願発明の効果について
本件出願の明細書には、本願発明の効果あるいは発明が解決しようとする課題に関する記載がない。ただし、明細書の段落【0002】?【0005】には、以下のとおり記載されている。
「【0002】
輝度向上フィルムは、生じた輝度ゲイン(すなわち「ゲイン」)に関連のある輝度向上フィルムの屈折率を含めた特定の光学特性および物理特性を望ましく示す。
・・・(中略)・・・
【0004】
輝度向上フィルムの製造のために適切である様々な重合性組成物が既知であるが、代替組成物において工業的利点が見出される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここに、有機成分と任意に無機成分とを含む実質的に溶剤を含有しない重合性組成物の反応生成物を含む輝度向上重合構造体を含む、輝度向上フィルムが記載される。」

しかしながら、屈折率を向上させるための手段として、無機成分は例示するまでもなく周知のものであり、また、輝度向上フィルムに限っても、引用例2に記載された事項にすぎない(前記1(3)オの[0056]参照。)。

(5) 請求人の意見について
請求人は、意見書において、「引用発明1に引用例2?5に記載された構成を適用して、相違点2(少なくとも10重量%の、5?50nmの粒度を有するジルコニアナノ粒子を含む)にかかる構成を想到し、同構成について「重合性組成物の粘度が過度に高くなる」との課題を認識して、「450g/モルより大きい数平均分子量を有するエチレン性不飽和オリゴマー若しくはモノマーの含有量」を9重量%以下(0重量%である場合を含む)に低減すること(相違点1)を想到容易であったとすることは、いわゆる「容易の容易」に当たるから、かかる周知技術の適用をもって相違点1にかかる本願発明の構成の容易想到性を認めることはできない(参考:知的財産高等裁判所 平成27年(行ケ)第10149号 審決取消請求事件 平成28年8月10日判決)。」と主張する。
しかしながら、上記(3)のとおりであり、請求人の主張を採用することはできない。

請求人は、「引用例5に「例5」として記載されている混合物は、それ自体、本願発明にかかる輝度向上フィルムの材料として用いるには不適切である。本願明細書の段落0027に記載されている通り、本願発明において・・・(中略)・・・有機成分の全てのモノマーが一官能性であってもよい。この点、本願発明の実施例6では、・・・(中略)・・・表面改質ナノ粒子には十分な重合性(メタ)アクリレート基が含まれる。一方、引用例5の「例5」では・・・(中略)・・・2つ以上の(メタ)アクリレート基を含む成分も含まないから、本願発明のフィルム材料として好適ではない。よって、引用例5に「例5」として記載されている混合物を用いて本願発明にかかる輝度向上フィルムに想到することには、阻害要因がある。」と主張する。
しかし、請求人の主張は、特許請求の範囲の記載に基づかない主張である。また、本件出願の明細書の【0042】には、「ジルコニアナノ粒子は、・・・(中略)・・・商品名「ブーラー・ジルコニア・Z-WO・ゾル(Buhler zirconia Z-WO sol)」として市販されている。また、2004年12月30日に出願された米国特許出願第11/027426号明細書および米国特許第6,376,590号明細書に記載されているようなジルコニアナノ粒子を調製することができる。」と記載されている。ここで、米国特許第6,376,590号明細書は、引用例5に対応する米国特許である。請求人の主張は、発明の詳細な説明の記載にも基づかないものである。

(6) 小括
よって、本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、引用発明及び引用例2乃至5に記載された技術に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。

第5 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-09-28 
結審通知日 2017-10-03 
審決日 2017-10-20 
出願番号 特願2013-90130(P2013-90130)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小西 隆  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 中田 誠
河原 正
発明の名称 低分子量有機成分を含む重合性組成物  
代理人 佃 誠玄  
代理人 野村 和歌子  
代理人 赤澤 太朗  
代理人 吉野 亮平  

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