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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61K
審判 全部申し立て 特126 条1 項  A61K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61K
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
管理番号 1338117
異議申立番号 異議2016-700915  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-23 
確定日 2018-02-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5893896号発明「凹凸補正化粧料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 1 特許第5893896号の明細書及び特許請求の範囲を,平成29年12月15日付け訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項[1?9]について,訂正することを認める。 2 特許第5893896号の請求項1,5,6及び9に係る特許を維持する。 3 特許第5893896号の請求項2?4,7及び8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 主な手続の経緯等
特許第5893896号(請求項の数は9。以下「本件特許」という。)は,平成23年11月10日にされた特許出願に係るものであって,平成28年3月4日にその特許権が設定登録されたものである。
その後,平成28年9月23日に特許異議申立人長谷川隆治(以下,単に「異議申立人」という。)より本件特許の請求項1?9に係る発明についての特許に対して特許異議の申立てがされ,同年11月30日付けで取消理由が通知され,平成29年2月2日に特許権者より意見書が提出されるとともに訂正請求書が提出されることで明細書及び特許請求の範囲の訂正が請求がされ(決定注:この訂正の請求は,特許法120条の5第7項の規定により,取り下げられたものとみなされる。),同年3月30日に異議申立人より意見書が提出され,同年5月15日付けで取消理由が通知され,同年7月14日に特許権者より意見書が提出されるとともに訂正請求書が提出されることで明細書及び特許請求の範囲の訂正が請求がされ(決定注:同様に,取り下げられたものとみなされる。),同年9月6日に異議申立人より意見書が提出され,同年10月12日付けで取消理由(以下,「決定の予告」という。)が通知され,同年12月15日に特許権者より意見書が提出されるとともに訂正請求書が提出されることで明細書及び特許請求の範囲の訂正(以下,「本件訂正」という。)が請求がされた。

第2 本件訂正の可否
1 特許権者の請求の趣旨
結論第1項に同旨。

2 訂正の内容
訂正請求書並びにそれに添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲によれば,特許権者の求める訂正は,実質,以下のとおりである。(決定注:各訂正事項は,訂正請求書によらず,本決定において整理したものである。)
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲を,請求項2?4,7及び8を削除することを含め,以下のとおり訂正する。
・ 本件訂正前
「【請求項1】
次の成分(a)?(c);
(a)ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物
(b)皮膜形成性シリコーン樹脂
(c)屈折率1.4?1.8の粉体
を配合することを特徴とする凹凸補正化粧料。
【請求項2】
更に,成分(d)として,フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンを配合することを特徴とする請求項1に記載の凹凸補正化粧料。
【請求項3】
更に,成分(e)として,揮発性油剤を配合することを特徴とする請求項1又は2に記載の凹凸補正化粧料。
【請求項4】
前記成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂が,トリメチルシロキシケイ酸,アクリル-シリコーン系グラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載の凹凸補正化粧料。
【請求項5】
前記成分(d)フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンがジフェニルジメチコン,ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン,トリメチルペンタフェニルトリシロキサン,フェニルトリメチコン,フェニルメチコンから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1?4のいずれかに記載の凹凸補正化粧料。
【請求項6】
前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体の平均粒径が1?50μmであることを特徴とする請求項1?5のいずれかに記載の凹凸補正化粧料。
【請求項7】
前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体が,ポリアミド,ポリメチルシルセスキオキサン,シリコーンエラストマー,架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体,ポリスチレン,ポリウレタン,ポリエチレン,結晶セルロース,ポリメタクリル酸エステル,ポリアクリル酸エステルから選ばれる1種または2種以上であるであることを特徴とする請求項1?6のいずれかに記載の凹凸補正化粧料。
【請求項8】
更に,成分(f)として,ペースト油を配合することを特徴とする請求項1?7のいずれかに記載の凹凸補正化粧料。
【請求項9】
前記凹凸補正化粧料の剤型が,油性型,油中水型であることを特徴とする請求項1?8に記載の凹凸補正化粧料。」
・ 本件訂正後
「【請求項1】
次の成分(a)?(c);
(a)ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物
(b)皮膜形成性シリコーン樹脂
(c)屈折率1.4?1.8の粉体
を配合し,
前記成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂が,トリメチルシロキシケイ酸,アクリル-シリコーン系グラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上であり,
前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体が,シリコーンエラストマー,架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体,ポリスチレン,ポリウレタン,ポリエチレンから選ばれる1種または2種以上であり,
更に,成分(d)として,フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンを配合し,
更に,成分(e)として,揮発性油剤を配合し,
更に,成分(f)として,モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル,ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油を配合し,
前記成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂の配合量が,0.5?5質量%であり,
前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体の配合量が,3?20質量%であり,
前記成分(f)モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル,ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油の配合量が,0.5?5質量%であることを特徴とする凹凸補正化粧料。
【請求項2】
【請求項3】
【請求項4】
【請求項5】
前記成分(d)フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンがジフェニルジメチコン,ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン,トリメチルペンタフェニルトリシロキサン,フェニルトリメチコン,フェニルメチコンから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の凹凸補正化粧料。
【請求項6】
前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体の平均粒径が1?50μmであることを特徴とする請求項1又は5に記載の凹凸補正化粧料。
【請求項7】
【請求項8】
【請求項9】
前記凹凸補正化粧料の剤型が,油性型,油中水型であることを特徴とする請求項1,5及び6のいずれかに記載の凹凸補正化粧料。」
(2) 訂正事項2
明細書の段落【0001】を,以下のとおり訂正する。
・ 本件訂正前
「本発明は,フェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物,皮膜形成性シリコーン樹脂,屈折率1.4?1.8の粉体を配合する凹凸補正化粧料に関し,更に詳細には本願の化粧料は,凹凸補正効果およびその持続性に優れ,化粧料の肌への収まりが良く化粧膜が柔らかい化粧料に関する。」
・ 本件訂正後
「本発明は,ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物,皮膜形成性シリコーン樹脂,屈折率1.4?1.8の粉体を配合し,前記皮膜形成性シリコーン樹脂が,トリメチルシロキシケイ酸,アクリル-シリコーン系グラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上であり,前記屈折率1.4?1.8の粉体が,シリコーンエラストマー,架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体,ポリスチレン,ポリウレタン,ポリエチレンから選ばれる1種または2種以上であり,更に,フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンを配合し,更に,揮発性油剤を配合し,更に,モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル,ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油を配合し,前記皮膜形成性シリコーン樹脂の配合量が,0.5?5質量%であり,前記屈折率1.4?1.8の粉体の配合量が,3?20質量%であり,前記モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル,ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油の配合量が,0.5?5質量%である凹凸補正化粧料に関し,更に詳細には本願の化粧料は,凹凸補正効果およびその持続性に優れ,化粧料の肌への収まりが良く化粧膜が柔らかい化粧料に関する。」
(3) 訂正事項3
明細書の段落【0007】を,以下のとおり訂正する。
・ 本件訂正前
「すなわち,本発明は,
次の成分(a)?(c);
(a)ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物
(b)皮膜形成性シリコーン樹脂
(c)屈折率1.4?1.8の粉体
を配合することを特徴とする凹凸補正化粧料を提供するものである。」
・ 本件訂正後
「すなわち,本発明は,
次の成分(a)?(c);
(a)ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物
(b)皮膜形成性シリコーン樹脂
(c)屈折率1.4?1.8の粉体
を配合し,前記成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂が,トリメチルシロキシケイ酸,アクリル-シリコーン系グラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上であり,前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体が,シリコーンエラストマー,架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体,ポリスチレン,ポリウレタン,ポリエチレンから選ばれる1種または2種以上であり,更に,成分(d)として,フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンを配合し,更に,成分(e)として,揮発性油剤を配合し,更に,成分(f)として,モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル,ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油を配合し,前記成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂の配合量が,0.5?5質量%であり,前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体の配合量が,3?20質量%であり,前記成分(f)モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル,ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油の配合量が,0.5?5質量%であることを特徴とする凹凸補正化粧料を提供するものである。」
(4) 訂正事項4
明細書の段落【0008】を,以下のとおり訂正する。
・ 本件訂正前
「本発明のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物,皮膜形成性シリコーン樹脂,屈折率1.4?1.8の粉体を配合する凹凸補正化粧料に関し,更に詳細には本願の化粧料は,凹凸補正効果およびその持続性に優れ,化粧料の肌への収まりが良く化粧膜が柔らかい化粧料に関する。」
・ 本件訂正後
「本発明のゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物,皮膜形成性シリコーン樹脂,屈折率1.4?1.8の粉体を配合し,前記皮膜形成性シリコーン樹脂が,トリメチルシロキシケイ酸,アクリル-シリコーン系グラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上であり,前記屈折率1.4?1.8の粉体が,シリコーンエラストマー,架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体,ポリスチレン,ポリウレタン,ポリエチレンから選ばれる1種または2種以上であり,更に,フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンを配合し,更に,揮発性油剤を配合し,更に,モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル,ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油を配合し,前記皮膜形成性シリコーン樹脂の配合量が,0.5?5質量%であり,前記屈折率1.4?1.8の粉体の配合量が,3?20質量%であり,前記モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル,ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油の配合量が,0.5?5質量%である凹凸補正化粧料に関し,更に詳細には本願の化粧料は,凹凸補正効果およびその持続性に優れ,化粧料の肌への収まりが良く化粧膜が柔らかい化粧料に関する。」
(5) 訂正事項5
明細書の段落【0033】を,以下のとおり訂正する。
・ 本件訂正前
「本発明の凹凸補正化粧料は,上記成分(a)?(c)に加え,成分(f)のペースト油を用いることにより,肌への密着性をあげ化粧料の肌への収まりを向上することができる。
成分(f)のペースト油としては,常温でペースト状を呈する油剤であり,ペースト状とは,30℃の粘度が5000?100000mPa・sのものを示す。本発明において,前記粘度は,試料を30℃で一日放置後,単一円筒型回転粘度計ビスメトロン型式VS-A1(芝浦システム社製)を用いて測定した。
例えば,炭化水素,動物油,植物油,鉱物油,高級脂肪酸エステル,架橋型シリコーン油,フッ素系油等が使用できる。具体的には,ワセリン,パーム油の硬化油,ヤシ油の硬化油,モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ラノリン,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,コレステロール脂肪酸エステル,フィトステロール脂肪酸エステル,ジペンタエリトリット脂肪酸エステル,架橋型メチルポリシロキサン,架橋型メチルフェニルポリシロキサン,高重合メチルポリシロキサン等が挙げられ,これらを一種又は二種以上用いることができる。市販品としては,ワセリンペンレコスノー(ペンレコ社製),ポリブテン35R,ポリブテン100R,ポリブテン300R(何れも,出光石油化学社製),サラコスHS,コスモール168シリーズ,ノムコートLAH(何れも,日清製油社製)等が挙げられる。」
・ 本件訂正後
「本発明の凹凸補正化粧料は,上記成分(a)?(c)に加え,成分(f)のペースト油を用いることにより,肌への密着性をあげ化粧料の肌への収まりを向上することができる。
成分(f)のペースト油としては,常温でペースト状を呈する油剤であり,ペースト状とは,30℃の粘度が5000?100000mPa・sのものを示す。本発明において,前記粘度は,試料を30℃で一日放置後,単一円筒型回転粘度計ビスメトロン型式VS-A1(芝浦システム社製)を用いて測定した。
例えば,炭化水素,動物油,植物油,鉱物油,高級脂肪酸エステル,フッ素系油等が使用できる。具体的には,ワセリン,パーム油の硬化油,ヤシ油の硬化油,モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ラノリン,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,コレステロール脂肪酸エステル,フィトステロール脂肪酸エステル,ジペンタエリトリット脂肪酸エステル,高重合メチルポリシロキサン等が挙げられ,これらを一種又は二種以上用いることができる。市販品としては,ワセリンペンレコスノー(ペンレコ社製),ポリブテン35R,ポリブテン100R,ポリブテン300R(何れも,出光石油化学社製),サラコスHS,コスモール168シリーズ,ノムコートLAH(何れも,日清製油社製)等が挙げられる。」
(6) 訂正事項6
明細書の段落【0057】及び【0059】にある「実施例9」との記載を「参考例9」に,同段落【0060】及び【0062】にある「実施例10」との記載を「参考例10」に,同段落【0066】及び【0068】にある「実施例12」との記載を「参考例12」に,同段落【0069】及び【0071】にある「実施例13」との記載を「参考例13」に,並びに,同段落【0072】及び【0074】にある「実施例14」との記載を「参考例14」にそれぞれ訂正する。

3 本件訂正の可否についての判断
(1) 訂正事項1について
ア 請求項1についての訂正
この訂正は,請求項1に係る発明である「凹凸補正化粧料」を構成する成分について,訂正前に「成分(a)?(c)…を配合する」としていたものを「成分(a)?(c)…を配合し,前記成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂が,トリメチルシロキシケイ酸,アクリル-シリコーン系グラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上であり,前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体が,シリコーンエラストマー,架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体,ポリスチレン,ポリウレタン,ポリエチレンから選ばれる1種または2種以上であり,更に,成分(d)として,フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンを配合し,更に,成分(e)として,揮発性油剤を配合し,更に,成分(f)として,モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル,ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油を配合し,前記成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂の配合量が,0.5?5質量%であり,前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体の配合量が,3?20質量%であり,前記成分(f)モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル,ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油の配合量が,0.5?5質量%である」とすることで,成分(b)や(c)について限定したり,凹凸補正化粧料を構成する成分を付加したりするものであり,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。しかも,上述の限定事項,付加事項などについては,願書に添付した特許請求の範囲の請求項2?4,7及び8,明細書の【0025】,【0028】,【0033】や実施例1?8及び11に記載がある。
よって,請求項1についての訂正は,特許法(以下,単に「法」という場合がある。)120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり,願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであるから,同条9項で準用する法126条5項で規定する要件を満たすといえる。また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないから,同126条6項で規定する要件を満たすと判断される。
イ 請求項2?4,7及び8についての訂正
請求項の記載を削除する訂正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。そして,このような訂正が,設定登録時の願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり,また実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないのは明らかである。
よって,請求項2?4,7及び8についての訂正は,法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり,また,同条9項で準用する法126条5項及び6項で規定する要件を満たすと判断される。
ウ 請求項5,6及び9についての訂正
この訂正は,請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項5,6及び9について,実質的に請求項1についての訂正と同様に訂正するとともに,請求項2?4,7及び8を削除するのにともないその引用関係を整理するものである。そして,請求項の記載の引用関係を整理する訂正は,明瞭でない記載の釈明を目的とするものと解される。
よって,請求項5,6及び9についての訂正は,法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり,また,同条9項で準用する法126条5項及び6項で規定する要件を満たすと判断される。
(2) 訂正事項2?6について
この訂正は,明細書の【0001】,【0007】,【0008】,【0033】,【0057】,【0059】,【0060】,【0062】,【0066】,【0068】,【0069】,【0071】,【0072】及び【0074】の記載について,特許請求の範囲の記載との整合を図るためのものであり,明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえる。しかも,この訂正は,願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり,また実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものとならないのは明らかである。
よって,訂正事項2?6は,法120条の5第2項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものであり,また,同条9項で準用する法126条5項及び6項で規定する要件を満たす。
(3) 小括
以上のとおりであるから,本件訂正は,法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり,同条9項で準用する法126条5?6項で規定する要件を満たす。
よって,結論の第1項のとおり,本件訂正を認める。

第3 本件発明
上記第2で検討のとおり本件訂正は認められるので,本件特許の請求項1,5,6及び9に係る発明は,訂正特許請求の範囲の請求項1,5,6及び9に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下,請求項の番号に応じて各発明を「本件発明1」などといい,これらを併せて「本件発明」という場合がある。なお,請求項5,6及び9の記載は,これを省略する。)。
「【請求項1】
次の成分(a)?(c);
(a)ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物
(b)皮膜形成性シリコーン樹脂
(c)屈折率1.4?1.8の粉体
を配合し,
前記成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂が,トリメチルシロキシケイ酸,アクリル-シリコーン系グラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上であり,
前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体が,シリコーンエラストマー,架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体,ポリスチレン,ポリウレタン,ポリエチレンから選ばれる1種または2種以上であり,
更に,成分(d)として,フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンを配合し,
更に,成分(e)として,揮発性油剤を配合し,
更に,成分(f)として,モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル,ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油を配合し,
前記成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂の配合量が,0.5?5質量%であり,
前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体の配合量が,3?20質量%であり,
前記成分(f)モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル,ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油の配合量が,0.5?5質量%であることを特徴とする凹凸補正化粧料。」

第4 決定の予告に係る取消理由の概要
要するに,請求項1及び3?9に係る発明(決定注:本件訂正後の特許請求の範囲の記載に照らすと,本件発明1,5,6及び9。)は,本件特許の出願前に頒布された下記の刊行物に記載された発明をそれぞれ主引用発明としたとき,これら発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから,その発明に係る特許は取り消すべき,というものである。
・ 特開2001-302456号公報(異議申立書の証拠方法である甲3。以下,単に「甲3」という。)
・ 特開2002-154918号公報(異議申立書の証拠方法である甲4。以下,単に「甲4」という。)

第5 決定の予告に係る取消理由についての当合議体の判断
以下述べるように,決定の予告に係る取消理由はいずれも理由がないと判断する。
1 証拠に記載された発明などについて
(1) 甲3に記載された発明
ア 甲3の記載
甲3には,次の記載がある。(下線は本決定で付記。以下同じ。)
・「【特許請求の範囲】
【請求項1】架橋型オルガノポリシロキサンと,有機シリコーン樹脂と,揮発性シリコーンと,非揮発性液状油と,粒子径0.001?0.05μmの不定形微粒子無水珪酸と,粒子径0.1?30μmの球状粉体とを含有し,固形ワックス無含有であることを特徴とする化粧料。
【請求項2】架橋型オルガノポリシロキサンを0.01?20重量%,有機シリコーン樹脂を1?30重量%,揮発性シリコーンを10?60重量%,非揮発性液状油を1?30重量%,粒子径0.001?0.05μmの不定形微粒子無水珪酸を0.01?10重量%,粒子径0.1?30μmの球状粉体を0.1?30重量%それぞれ含有することを特徴とする請求項1に記載の化粧料。…」
・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,化粧料に関し,具体的には,口紅,アイシャドウ,アイライナー,頬紅,及びファンデーション等の油性の化粧料に関する。特に本発明は,唇,目元,及び頬等の皮膚に塗布したときにさっぱりとした良好な使用感が得られ,なおかつ,塗布後の唇や皮膚の乾燥,つっぱり感,粉っぽい感触といった不快感がなく,さらに,化粧効果の持続性,特に転写防止効果に優れ,保存安定性に優れる化粧料に関する。」
・「【0006】本発明の目的は,前記課題を解決することにある。すなわち本発明は,唇等の皮膚に塗布したときにさっぱりとした良好な使用感が得られ,塗布後の唇等の皮膚の乾燥,皮膜のつっぱり感,粉っぽい仕上がりといった不快感がなく,さらに,化粧効果の持続性,特に転写防止効果に優れ,保存安定性に優れる化粧料を得ることを目的とする。」
・「【0021】本発明において使用される有機シリコーン樹脂の含有量は1?30重量%が好ましく,5?25%の範囲が特に好ましい。本発明においては,有機シリコーン樹脂を含有することにより,本発明の目的を達成することができるが,前記含有量の場合,良好な化粧持続効果,特に良好な転写防止効果が得られる。」
・「【0042】本発明の化粧料の形態は,ゲル状であれば特に制限がなく,広く各種化粧品基剤として利用できる。例えば,口紅,リップクリーム,ファンデーション,頬紅,アイシャドウ,及びアイライナー等に特に適しているが,これに限定されるものではない。
【0043】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し,本発明をさらに詳細に説明するが,本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお,配合量等は,特に指定がない限り,重量%で示す。製法は,以下に示す。
【0044】(実施例1?6の製法)架橋型オルガノポリシロキサン,有機シリコーン樹脂,揮発性シリコーン油,及び非揮発性液状油を均一に混合した後に,粉体成分をロールミルで分散させ,容器に充填して化粧料(フェイスカラー)を得た。成分として用いられた原料の種類及び含有量を表1に示す。」
・「【0051】
【表1】


・「【0052】・架橋型オルガノポリシロキサンA:架橋型メチルポリシロキサンとデカメチルシクロペンタシロキサンとの混合物,商品名 KSG15,信越化学工業(株)製
・架橋型オルガノポリシロキサンB:架橋型メチルポリシロキサンとメチルポリシロキサンとの混合物,商品名 KSG16,信越化学工業(株)製
・架橋型オルガノポリシロキサンC:架橋型メチルフェニルポリシロキサンとメチルフェニルポリシロキサンとの混合物,商品名 KSG18,信越化学工業(株)製
・揮発性シリコーン油A:デカメチルシクロペンタシロキサン
・非揮発性液状油A:メチルフェニルポリシロキサン
・非揮発性液状油B:スクワラン
・有機シリコーン樹脂A:トリメチルシロキシケイ酸とデカメチルシクロペンタシロキサンとの混合物,商品名 KF7312J,信越化学工業(株)製
・有機シリコーン樹脂B:トリメチルシロキシケイ酸とオクタメチルシクロテトラシロキサンとの混合物,商品名 KF7312F,信越化学工業(株)製
・不定形微粒子無水珪酸A:疎水性不定形微粒子無水珪酸,粒径0.007?0.030μm,商品名 アエロジルR972,日本アエロジル(株)製
・不定形微粒子無水珪酸B:不定形微粒子無水珪酸,粒径0.005?0.015μm,商品名 アエロジル300,日本アエロジル(株)製
・球状粉体A:疎水性球状無水珪酸,粒径1?16μm,商品名 SI-SB-700,三好化成(株)製
・球状粉体B:ポリメチルシルセスキオキサン粉末,粒径3?6μm,商品名トスパール145,東芝シリコーン(株)製)
・球状粉体:,ポリメタクリル酸メチル,粒径5?10μm,商品名 マツモトマイクロスフェアM-100,松本油脂(株)製」
イ 甲3発明
上記アでの摘記,特に実施例4の記載から,甲3には次のとおりの発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認める。
「次の成分を配合する化粧料(フェイスカラー)。
・ 架橋型オルガノポリシロキサンC(架橋型メチルフェニルポリシロキサンとメチルフェニルポリシロキサンとの混合物,商品名:KSG18,信越化学工業(株)製) 20重量%
・ 揮発性シリコーン油A(デカメチルシクロペンタシロキサン) 10重量%
・ 非揮発性液状油B(スクワラン) 11重量%
・ 有機シリコーン樹脂B(トリメチルシロキシケイ酸とオクタメチルシクロテトラシロキサンとの混合物,商品名:KF7312F,信越化学工業(株)製) 30重量%
・ 不定形微粒子無水珪酸A(疎水性不定形微粒子無水珪酸,粒径0.007?0.030μm,商品名:アエロジルR972,日本アエロジル(株)製) 1重量%
・ 球状粉体A(疎水性球状無水珪酸,粒径1?16μm,商品名:SI-SB-700,三好化成(株)製) 10重量%
・ マイカ 9重量%
・ 赤色226号 1重量%
・ 黄色4号アルミニウムレーキ 2重量%
・ 酸化チタン 4重量%
・ ベンガラ 2重量%」
(2) 甲4に記載された発明
ア 甲4の記載
甲4には,次の記載がある。
・「【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくともシリコーン油を含む油性成分と,架橋型オルガノポリシロキサンと,不定形無水珪酸とを含有することを特徴とする油性化粧料。…
【請求項5】 架橋型オルガノポリシロキサンが,架橋型アルキルアリールポリシロキサン及び架橋型アルキルポリシロキサンからなる群から選ばれた一種または二種以上を含有してなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の油性化粧料。
【請求項6】 さらに,平均粒子径0.1?30μmの球状粉体の一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の油性化粧料。
【請求項7】 さらに,有機シリコーン樹脂の一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の油性化粧料。」
・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,油性化粧料に関し,具体的には,口紅,アイシャドウ,アイライナー,頬紅,ファンデーション等の油性化粧料に関する。特に本発明は,唇,目元,頬等の皮膚に塗布したときにさっぱりとした良好な使用感が得られ,なおかつ,塗布後の唇や皮膚の乾燥,つっぱり感,粉っぽい感触といった不快感がなく,さらに,化粧効果の持続性,特に転写防止効果に優れ,保存安定性に優れる化粧料に関する。」
・「【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑み,架橋型オルガノポリシロキサンを配合した従来の油性化粧料が有する欠点を改良することを第一の目的とし,さらに従来にない優れた油性化粧料を提供することを第二の目的とする。したがって,本発明の目的は,唇等の皮膚に塗布したときにべたつきや油っぽさのないさっぱりとした良好な使用感が得られ,塗布した唇等の皮膚の乾燥,粉っぽい仕上がりといった不快感がなく,保存安定性に優れる化粧料を提供すること,さらに,皮膜のつっぱり感,つやがない等の欠点のない,化粧もちに,特に転写防止効果に優れた油性化粧料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果,特定の油性成分とともに,架橋型オルガノポリシロキサンと不定形無水珪酸とを配合することにより上記課題が解決されることを見出し,本発明を完成するに至った。」
・「【0035】本発明の油形化粧料には,上記必須成分とともにさらに有機シリコーン樹脂を配合することが好適である。有機シリコーン樹脂を併用すると,前記本発明の効果に加え,さらに,皮膜のつっぱり感,つやがない等の欠点のない,化粧もちに,特に転写防止効果に優れた油性化粧料が得られる。」
・「【0039】有機シリコーン樹脂を配合する場合の含有量は,油性化粧料全量中1?30重量%が好ましく,5?25重量%の範囲が特に好ましい。前記含有量の場合,良好な化粧持続効果,特に良好な転写防止効果が得られる。」
・「【0043】本発明の化粧料の形態は,広く各種化粧品基剤として利用できる。例えば,フェースカラー,口紅,リップクリーム,ファンデーション,頬紅,アイカラー,アイシャドウ,アイライナー等に特に適しているが,これに限定されるものではない。」
・「【0050】…なお、架橋型オルガノポリシロキサンAは「KSG15」、不定形微粒子無水珪酸Aは「アエロジルR972」(疎水性不定形微粒子無水珪酸、平均粒径0.007?0.030μm)である。」
・「【0056】…なお,架橋型オルガノポリシロキサンBは「KSG16」,架橋型オルガノポリシロキサンCは「KSG18」,不定形微粒子無水珪酸Bは「アエロジル300」(不定形微粒子無水珪酸、平均粒径0.005?0.015μm)…
【0061】(実施例11?17)表1と同様に,粉体成分以外の成分を均一に混合した後に,粉体成分をロールミルで分散させ,容器に充填して化粧料(フェースカラー)を得た。成分として用いられた原料の種類と含有量を表5に示す。なお,架橋型オルガノポリシロキサンAは表1と同様,架橋型オルガノポリシロキサンB及びCは表3と同様,不定形微粒子無水珪酸Aは表1と同様,不定形微粒子無水珪酸Bは表3と同様,球状粉体Cは,ポリメタクリル酸メチル,平均粒径5?10μm,商品名マツモトマイクロスフェアM-100(松本油脂株式会社製),有機シリコーン樹脂Aは「KF-7312J」,有機シリコーン樹脂Bは「KF-7312F」,有機シリコーン樹脂Cは「KF-7312K」である。」
・「【0062】
【表5】


イ 甲4発明
上記アでの摘記,特に実施例16の記載から,甲4には次のとおりの発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認める。
「次の成分を配合する化粧料(フェイスカラー)。
・ 架橋型オルガノポリシロキサンC(KSG18) 20重量%
・ デカメチルシクロペンタシロキサン 10重量%
・ ジメチルポリシロキサン 18重量%
・ ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 18重量%
・ 不定形微粒子無水珪酸A(アエロジルR972,疎水性不定形微粒子無水珪酸,平均粒径0.007?0.030μm) 1重量%
・ 不定形微粒子無水珪酸B(アエロジル300,粒径0.005?0.015μm) 1重量%
・ 球状粉体C(ポリメタクリル酸メチル,平均粒径5?10μm,商品名:マツモトマイクロスフェアM-100(松本油脂株式会社製)) 8重量%
・ 有機シリコーン樹脂C(KF-7312K) 10重量%
・ マイカ 6重量%
・ 赤色226号 1重量%
・ 黄色4号アルミニウムレーキ 1重量%
・ 酸化チタン 6重量%」

2 本件発明1について
(1) 甲3発明との対比,判断
ア 一致点,相違点
本件発明1と甲3発明を対比すると,甲3発明の「架橋型オルガノポリシロキサンC」は架橋型メチルフェニルポリシロキサンとメチルフェニルポリシロキサンとの混合物であるとされる商品名:KSG18(信越化学工業(株)製)であるところ,本件発明1の「(a)ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」について,本件明細書の【0013】は,その具体的な市販品として「KSG-18(15%ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン溶液)(信越化学工業社製)」を挙げる。さすれば,甲3発明の「架橋型オルガノポリシロキサンC」を構成する成分である「架橋型メチルフェニルポリシロキサン」は,本件発明1の「(a)ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」に相当する。
また,甲3発明の「有機シリコーン樹脂B」はトリメチルシロキシケイ酸とオクタメチルシクロテトラシロキサンとの混合物であり,商品名:KF7312F(信越化学工業(株)製)であるところ,本件発明1の「(b)皮膜形成性シリコーン樹脂」について,本件明細書には「オルガノポリシロキサン骨格をもち,皮膜を形成するものであれば特に限定されない…。具体的には,例えば,トリメチルシロキシケイ酸…が挙げられ…。」(【0015】)との記載があり,その具体的な説明として,「トリメチルシロキシケイ酸としては,シロキサン構造を主骨格とした架橋構造を持つ化合物で,[(CH_(3))_(3)SiO_(1/2)]x[SiO_(2)]yで表されるもの(Xは1?3,Yは0.5?8)等であり,シリコーン油で溶解した溶液も使用することができる。市販品としては…KF-7312T(60%メチルトリメチコン溶液),KF-7312J(50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液),KF-7312K(60%ジメチコン溶液)…(何れも信越化学工業社製)…を使用することができる。」(【0016】)との記載もある。さすれば,甲3発明の「有機シリコーン樹脂B」は,本件発明1の「トリメチルシロキシケイ酸,アクリル-シリコーン系グラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上」であるとされる「(b)皮膜形成性シリコーン樹脂」に相当する。
また,甲3発明の「球状粉体A」は,疎水性球状無水珪酸からなる粒径1?16μmの粒子であり,商品名:SI-SB-700(三好化成(株)製)であるところ,本件発明1の「(c)屈折率1.4?1.8の粉体」について,本件明細書にはその具体例として「無水ケイ酸」からなる粒径1?50μmの粒子を挙げていることなどからすると(【0026】),甲3発明の「球状粉体A」は,本件発明1の「(c)屈折率1.4?1.8の粉体」に相当する。
また,甲3発明の「揮発性シリコーン油A(デカメチルシクロペンタシロキサン)」は,本件発明1の成分(e)である「揮発性油剤」に相当する。
さらに,上記「架橋型オルガノポリシロキサンC」を構成する成分である「メチルフェニルポリシロキサン」は,本件発明1の成分(d)である「フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサン」に相当するといえる。
そうすると,両発明の一致点,相違点はそれぞれ次のとおりと認めることができる。
・ 一致点
次の成分(a)?(c);
(a)ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物
(b)皮膜形成性シリコーン樹脂
(c)屈折率1.4?1.8の粉体
を配合し,前記成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂がトリメチルシロキシケイ酸,アクリル-シリコーン系グラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上であり,更に,成分(d)として,フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンを配合し,更に,成分(e)として,揮発性油剤を配合し,前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体の配合量が3?20質量%である化粧料。
・ 相違点1
ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物(架橋型メチルフェニルポリシロキサン),皮膜形成性シリコーン樹脂(有機シリコーン樹脂B),屈折率1.4?1.8の粉体(球状粉体A),フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサン(メチルフェニルポリシロキサン)及び揮発性油剤(揮発性シリコーン油A(デカメチルシクロペンタシロキサン))を配合する化粧料について,本件発明1は「凹凸補正化粧料」と特定するのに対し,甲3発明は「化粧料(フェイスカラー)」と特定する点。
・ 相違点2
成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂(有機シリコーン樹脂B)の配合量について,本件発明1は「0.5?5質量%」と特定するのに対し,甲3発明は「30重量%」と特定する点。
・ 相違点3
成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体について,本件発明1は「シリコーンエラストマー,架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体,ポリスチレン,ポリウレタン,ポリエチレンから選ばれる1種または2種以上」であると特定するのに対し,甲3発明はそのような特定を有しない点。
・ 相違点4
本件発明1は,成分(a)?(c)のほかに,更に,「成分(f)として,モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル,ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油を配合」し,その配合量が「0.5?5質量%」であると特定するのに対し,甲3発明はそのような特定を有しない点。
イ 相違点についての検討
(ア) 相違点3について
甲3発明の「球状粉体A」は,上述のとおり,疎水性球状無水珪酸からなる粒径1?16μmの粒子であり,商品名:SI-SB-700(三好化成(株)製)である。そして,この球状粉体(球状粉体A)に代えて,例示などがあれば格別ではあるものの,甲3における球状粉体についての例示(【0037】)の中に記載も示唆もないような「シリコーンエラストマー,架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体,ポリスチレン,ポリウレタン,ポリエチレンから選ばれる1種または2種以上」の粉体を採用することの動機をみいだすことができず,よって相違点3に係る構成は当業者であっても想到容易であるということはできない。
(イ) 相違点4について
甲3の【0040】には,「本発明の化粧料には,前記必須成分の他に,使用目的により,化粧料に通常に使用される半固形状の炭化水素類,エステル類,動植物油脂,高級脂肪酸類,…を,本発明の目的を阻害しない範囲で,種類及び含有量を適切な範囲で選定して配合することができる。」との記載はあるものの,技術思想というより単なる一実施形態(甲3の実施例4)にすぎない甲3発明において,そこにさらに「モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル,ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上」との限定が付された特定のペースト油を,特定の配合量(0.5?5質量%)で配合しようとする動機が見あたらない。よって相違点4に係る構成は,当業者であっても想到容易であるとはいえない。
(ウ) 小括
以上のとおりであるから,上記相違点1?2について検討するまでもなく,本件発明1は,甲3に記載された発明(甲3発明)を主たる引用発明としたとき,甲3発明から想到容易であるということはできない。
(2) 甲4発明との対比,判断
ア 一致点,相違点
本件発明1と甲4発明を対比すると,甲4発明の「架橋型オルガノポリシロキサンC」を構成する成分である「架橋型メチルフェニルポリシロキサン」は本件発明1の「(a)ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」に,「有機シリコーン樹脂C」は「(b)皮膜形成性シリコーン樹脂」に,「球状粉体C」は「(c)屈折率1.4?1.8の粉体」に,上記「架橋型オルガノポリシロキサンC」を構成する成分であると解される「メチルフェニルポリシロキサン」は成分(d)としての「フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサン」にそれぞれ相当するといえる。
また,本件明細書が,本件発明1の「揮発性油剤」の例としてデカメチルシクロペンタシロキサンを挙げていることを踏まえると(【0031】),「デカメチルシクロペンタシロキサン」を含有する甲4発明は,本件発明1で特定するところの「更に,成分(e)として,揮発性油剤を配合」するとの条件を満たす。
そうすると,両発明の一致点は,上記(1)アで認定するところと同じである。また相違点は,上記相違点1,3及び4と同旨の相違点のほか,以下の相違点2’を認めることができる。
・ 相違点2’
成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂(有機シリコーン樹脂C)の配合量について,本件発明1は「0.5?5質量%」と特定するのに対し,甲4発明は「10重量%」と特定する点。
イ 相違点についての検討
上記(1)イで検討したところと同様の理由により,相違点3及び4に係る構成は容易に推考できるものではなく,よって,上記相違点1及び2’について検討するまでもなく,本件発明1は,甲4に記載された発明(甲4発明)を主たる引用発明としたとき,甲4発明から想到容易であるということはできない。
(3) 小括
以上のとおり,本件発明1は,本件特許の出願前に頒布された刊行物(甲3,甲4)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

3 本件発明5,6及び9について
本件訂正後の請求項5,6及び9の記載は請求項1を直接又は間接的に引用するものであるから,これら請求項に係る本件発明5,6及び9についても,本件発明1と同様に,甲3発明あるいは甲4発明から想到容易であるとはいえない。

4 まとめ
以上のとおり,請求項1,5,6及び9に係る発明は本件特許の出願前に頒布された刊行物(甲3,甲4)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから,その発明に係る特許は取り消すべき,との決定の予告に係る取消理由には,理由がない。

第6 異議申立人の主張に係る申立理由の概要
異議申立人の主張は,概略,次のとおりである。
(1) 請求項1,3,4,6及び7に係る発明は,法29条1項3号に該当し特許を受けることができない発明である。すなわち,これら発明は,甲3あるいは甲4に記載された発明である(以下「申立理由1」という。)。
(2) 請求項1?9に係る発明は,法29条2項の規定により特許を受けることができない発明である。すなわち,これら発明は,甲1に記載された発明を主たる引用発明としたとき,この主たる引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである(以下「申立理由2」という。)。
(3) 本件特許に係る特許請求の範囲の請求項1?9の記載は,法36条6項1号に規定する要件に適合しない(以下「申立理由3」という。なお,当該要件を「サポート要件」という場合がある。)。
(4) 本件特許に係る特許請求の範囲の請求項1?9の記載は,法36条6項2号に規定する要件に適合しない(以下「申立理由4」という。なお,当該要件を「明確性要件」という場合がある。)。
(5) 請求項1及び3?9に係る発明は,甲3発明あるいは甲4発明を主たる引用発明,甲8に記載された発明を従たる引用発明としたとき,これら引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,法29条2項の規定により特許を受けることができない発明である(平成29年9月6日付け意見書において追加された申立理由。以下「申立理由5」という。)。
(6) そして,上記申立理由1?5にはいずれも理由があるから,本件の請求項1?9に係る発明についての特許は,法113条2号及び4号に該当し,取り消されるべきものである。
(7) また,証拠方法として書証を申出,以下の文書(甲1?8)を提出する。
・甲1: 特開2005-41795号公報
・甲2: 信越シリコーン社ホームページ(https://www.silicone.jp/products/personalcare/products/silicone_gels.shtml)
・甲3: 特開2001-302456号公報
・甲4: 特開2002-154918号公報
・甲5: 信越シリコーン社ホームページ(https://www.silicone.jp/products/personalcare/products/silicone_powders.shtml)
・甲6: AICA株式会社ホームページ(http://www.aica.co.jp/products/functional-materials/organic-particles/ganz-paru/technology.html)
・甲7: 信越シリコーン社「化粧品用シリコーン」カタログ(https://www.silicone.jp/catalog/pdf/pc_j.pdf)
・甲8: 特開平11-60440号公報

第7 申立理由についての当合議体の判断
当合議体は,以下述べるように,申立理由1?5にはいずれも理由はないと判断する。
1 申立理由1について
(1) 本件発明1と甲3発明とを対比すると,両者は,上記第5_2(1)アで認定するところの相違点1?4の点で相違するものと認められる。そして,これら相違点のうち,少なくとも相違点2?4は実質的な相違点であるといえる。そうすると,本件発明1は甲3発明と同一であるとはいえず,よって,甲3に記載された発明ではない。
甲4との関係についても,同様に,本件発明1は甲4発明と同一であるとはいえず,よって,甲4に記載された発明ではない。
(2) 請求項6の記載は請求項1を直接又は間接的に引用するものであるところ,請求項1に係る本件発明1が甲3あるいは甲4に記載された発明であるといえないのは上述のとおりであるから,請求項6に係る本件発明6についても同様に,甲3あるいは甲4に記載された発明とはいえない。
(3) よって,請求項1,3,4,6及び7に係る発明(決定注:本件訂正後の特許請求の範囲の記載に照らすと,本件発明1及び6。)は,甲3あるいは甲4に記載された発明であるから法29条1項3号に該当し特許を受けることができないとの異議申立人の主張に係る申立理由1は,理由がない。

2 申立理由2について
(1) 甲1に記載された発明
ア 甲1の記載
甲1には,次の記載がある。
・「【請求項1】
シリコーン油及びシリコーンゲル化剤を基材とし,且つ
(A)架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体からなるシリコーン粉末と,
(B)架橋型ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粉末と,
を含有することを特徴とする油性化粧料。」
・「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,油性化粧料,特に小皺や毛穴を,自然に素肌感を損なわずに目立たなくする補正効果に優れ,使用感や効果の持続性も良好な凹凸補正用油性化粧料に関する。」
・「【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の化粧料は,シリコーンゲル基材を連続相とし,これに粉体が分散した油性化粧料である。
本発明で用いるシリコーン粉末(A)は,架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体[INCI名:Vinyl Dimethicone/Methicone Silsesquioxane Crosspolymer,表示名:(ジメチコン/ビニルジメチコン/メチコン)クロスポリマー]からなり,形状としては,球状のものが効果や使用感の点で好適である。市販品では,例えば,信越化学工業(株)製のKSP-100,KSP-101,KSP-102,KSP-105等が好適に用いられる。平均粒子径としては,1?50μm,特に好ましくは1?5μmである。
上記シリコーン粉末(A)は,シリコーンゴム表面に3次元網目状のシリコーン樹脂を結合させて被覆した複合粉末であり,シリコーン油中で膨潤せず,シリコーン油をゲル化させるものではない。この点で,後述するシリコーンゲル化剤とは異なる。
【0009】
本発明で用いる架橋型PMMA粉末(B)は,通常化粧料に用いられているものであれば特に制限されないが,形状としては球状粉末が好ましく,またポーラスなものを用いれば,軽い感触でありまた伸びも良好である。
平均粒子径は,1?50μmのものを使用することができるが,特に好ましくは1?10μmである。市販品としては,例えばガンツパールGMP-820が好適に用いられる。
これら粉体(A),(B)はいずれも,伸びやさらさら感を与える粉体として化粧料に使用されているものであるが,本発明においては,この両者をシリコーンゲル基材中で併用することで,シワ・毛穴等を目立たなくする補正効果に優れ,しかも仕上がりの自然さ,素肌感,透明感も高い化粧料とすることができる。」
・「【0013】
本発明の基材であるシリコーンゲルは,シリコーン油とシリコーンゲル化剤とを含む。シリコーン油としては,常温で液体の,直鎖,分岐,あるいは環状構造を有するオルガノポリシロキサンであり,通常化粧料に配合可能なものであれば特に制限されない。例えば,ジメチルポリシロキサン,メチルフェニルポリシロキサンなどの鎖状ポリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状ポリシロキサンの他,アミノ変性ポリシロキサン,ポリエーテル変性ポリシロキサン,アルキル変性ポリシロキサン,フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサンなどが挙げられる。本発明においては,これらシリコーンの2種以上を用いてもよい。このうち,粘度が50cs以下の低粘度シリコーン油が好ましく,中でもオクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン,ジメチルポリシロキサン(6?10cs)等の揮発性シリコーンは,特にのびがよく,べたつきがないので好適である。…
【0014】
シリコーンゲル化剤としては,シリコーン油をゲル化するものであれば何れも使用可能であるが,本発明においては,架橋型メチルポリシロキサン[INCI名:Dimethicone/Vinyl Dimethicone Crosspolymer,表示名:(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー],あるいは架橋型メチルフェニルポリシロキサン[INCI名:Dimethicone/Phenyl Vinyl Dimethicone Crosspolymer,表示名:(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマー]などの架橋型オルガノポリシロキサンが特に好適である。これらの架橋型ポリシロキサンは,オルガノポリシロキサンの架橋重合体で,一部あるいは全部に三次元構造を有するものである。架橋型ポリシロキサンは,シリコーン油中で膨潤してゲル化する能力が高く,また,使用感の点でも優れる。
【0015】
これらの架橋型ポリシロキサンを,50cs以下の低粘度シリコーン油と混合し,ペースト状としたものが市販されており,簡便に使用できる。市販品としては,例えば,信越化学工業(株)のKSG-15(架橋型メチルポリシロキサン4?10%とデカメチルシクロペンタシロキサン90?96%の混合物),KSG-16(架橋型メチルポリシロキサン20?30%とメチルポリシロキサン70?80%の混合物),KSG-18(架橋型メチルフェニルポリシロキサン10?20%とメチルフェニルポリシロキサン80?90%の混合物)などが挙げられる。…」
・「【0017】
また,本発明においては,粉体成分を肌上に固定し,化粧塗膜の耐水性や耐油性を高めて効果を持続させるために,油性皮膜形成剤を配合することが好適である。このような皮膜形成剤としては,他の成分との相溶性や,補正効果や仕上がりへの影響,持続性付与効果等の点で,有機シリコーン樹脂,特にトリメチルシロキシケイ酸が好適である。トリメチルシロキシケイ酸を配合することにより,本発明の効果を損なわずに,肌への密着性,補正効果や仕上がり感の持続性を向上させることができる。
【0018】
本発明の化粧料は,シリコーンゲルを基材とする油性化粧料であるが,シリコーン油以外の油分を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合してもよい。このような油分としては,例えば,液体油脂,固体油脂,ロウ,炭化水素,高級脂肪酸,高級アルコール,エステル油,フッ素系油分などが挙げられる。…」
・「【0020】
【実施例】
以下,具体例を挙げて本発明をより詳細に説明するが,本発明は,これらに限定されるものではない。なお,配合量については,特に指定のない限り,質量%で示す。…」
・「【0033】
処方例1 ゲル状化粧料
(1)シリコーンゲル化剤(KSG-16) 42%
(2)メチルポリシロキサン(6cs) 15
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 15
(4)シリコーン粉末(A)(KSP-105) 9
(5)PMMA粉末(B)(ガンツパールGMP-820) 10
(6)トリメチルシロキシケイ酸 3
(7)イソノナン酸イソノニル 2
(8)ベヘニル変性アクリレートシリコーン 2
(9)疎水性シリカ粉末 1
(10)微粒子酸化チタン(20?30nm) 1
【0034】
(製法)
成分(1)?(6)を減圧下,良く混合分散し,これに成分(7)及び(8)を添加して,さらに混合分散した。得られた分散液を攪拌しながら,成分(9)?(10)を添加し,十分に混合後,容器に充填して,油性ゲル状化粧料を得た。」
イ 甲1発明
上記アでの摘記,特に処方例1に係る記載から,甲1には次のとおりの発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。
「次の成分を配合する凹凸補正用のゲル状化粧料。
・ シリコーンゲル化剤(KSG-16) 42質量%
・ メチルポリシロキサン(6cs) 15
・ デカメチルシクロペンタシロキサン 15
・ シリコーン粉末(A)(KSP-105) 9
・ PMMA粉末(B)(ガンツパールGMP-820) 10
・ トリメチルシロキシケイ酸 3
・ イソノナン酸イソノニル 2
・ ベヘニル変性アクリレートシリコーン 2
・ 疎水性シリカ粉末 1
・ 微粒子酸化チタン(20?30nm) 1 」
(2) 本件発明1について
ア 甲1発明との対比,判断
(ア) 一致点,相違点
本件発明1と甲1発明を対比すると,甲1発明の「トリメチルシロキシケイ酸」は本件発明1の「(b)皮膜形成性シリコーン樹脂」に,「シリコーン粉末(A)(KSP-105)」及び「PMMA粉末(B)(ガンツパールGMP-820)」はいずれも「(c)屈折率1.4?1.8の粉体」に,「デカメチルシクロペンタシロキサン」は成分(e)としての「揮発性油剤」にそれぞれ相当する(甲1発明の「シリコーン粉末(A)(KSP-105)」については,甲1の【0008】からみて,本件発明1の「成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体が,シリコーンエラストマー,架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体,ポリスチレン,ポリウレタン,ポリエチレンから選ばれる1種または2種以上であ」るとの条件を満たすものでもある。)。
また,甲1発明の「シリコーンゲル化剤(KSG-16)」は,部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物である点で,本件発明1の「(a)ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」に対応するものである。
そうすると,両発明の一致点,相違点はそれぞれ次のとおりと認めることができる。
・ 一致点
次の成分(a)?(c);
(a)ゲル状の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物
(b)皮膜形成性シリコーン樹脂
(c)屈折率1.4?1.8の粉体
を配合し,
前記成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂が,トリメチルシロキシケイ酸,アクリル-シリコーン系グラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上であり,
前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体が,シリコーンエラストマー,架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体,ポリスチレン,ポリウレタン,ポリエチレンから選ばれる1種または2種以上であり,
更に,成分(e)として,揮発性油剤を配合し,
前記成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂の配合量が,0.5?5質量%であり,
前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体の配合量が,3?20質量%である凹凸補正化粧料。
・ 相違点a
部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物(シリコーンゲル化剤(KSG-16))について,本件発明1は「フェニル基含有」の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物であるのに対し,甲1発明は「フェニル基含有」でない点。
・ 相違点b
本件発明1は,成分(a)?(c)のほかに,更に,「成分(d)として,フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンを配合」すると特定するのに対し,甲1発明はそのような特定を有しない点。
・ 相違点c
本件発明1は,成分(a)?(c)のほかに,更に,「成分(f)として,モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル,ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油を配合」し,その配合量が「0.5?5質量%」であると特定するのに対し,甲1発明はそのような特定を有しない点。
(イ) 相違点についての検討
a 相違点aについて
異議申立人は,甲1の【0015】の記載を根拠に,甲1発明のフェニル基を含有しない部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物である「シリコーンゲル化剤(KSG-16)」に代えて,フェニル基を含有する部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物である「KSG-18」を採用することは想到容易であると主張するので,当該主張の当否について,以下検討する。
本件明細書の【0006】の記載,並びに,部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物としてフェニル基を含有しないものを使用した場合の比較例1と,フェニル基を含有するものを使用した場合の実施例1?8との対比から,フェニル基を含有するもののほうが,フェニル基を含有しないものに比し,本件発明1の解決課題,特に化粧膜の柔らかさを実現する点で有利な効果を奏することが理解できるところ,このような効果が当業者の予測の範囲内であるということはできない(決定注:相違点aについて検討するにあたり,甲1発明は,本件明細書における比較例1に対応するものといえる。)。さすれば,甲1の【0015】にはシリコーンゲル化剤の例としてKSG-16とKSG-18が併記されてはいるものの,だからといって,甲1発明の「KSG-16」を「KSG-18」に代えることが想到容易とまではいえない。
b 相違点cについて
上記相違点4について検討したことと同旨である。甲1発明において,さらに「モノステアリン酸硬化ヒマシ油,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル,ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上」との限定の付された特定のペースト油を,特定の配合量(0.5?5質量%)で配合しようとする動機は見あたらない。
(ウ) 小括
以上のとおりであるから,上記相違点bについて検討するまでもなく,本件発明1は,甲1に記載された発明(甲1発明)を主たる引用発明としたとき,甲1発明から想到容易であるということはできない。
(3) 本件発明5,6及び9について
本件訂正後の請求項5,6及び9の記載は請求項1を直接又は間接的に引用するものであるから,これら請求項に係る本件発明5,6及び9についても,本件発明1と同様に,甲1発明から想到容易であるということはできない。
(4) まとめ
以上のとおりであるから,申立理由2には理由がない。

3 申立理由4について
事案に鑑み,申立理由3に先だって,申立理由4について検討する。
(1) 異議申立人は,請求項1の「ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」の意味が不明である,すなわち,「フェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」はゲル化剤ではあるが単なる樹脂粉末であって,単体ではゲル状とはなり得ないため,請求項1の記載はいわゆる明確性要件を満足しない旨主張する。
(2) そこで上記主張の当否について検討するに,「フェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」は,異議申立人が主張するように単体では樹脂粉末である一方,本件明細書(特に【0013】)にも記載されているように,炭化水素油やエステル油などのベースオイルが配合されることでゲル状を呈することが技術常識である。
であれば,請求項1の「ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」とは,単体としてのフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を意味するものではなく,何らかのベースオイルが配合されたことでゲル状を呈するフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を意味するものと当業者は理解するといえる。
(3) よって,請求項1の「ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」の意味が不明であるということはできず,異議申立人の上記主張は採用できない。また,このことは,他の請求項(請求項5,6及び9)についても同様である。
申立理由4には理由がない。

4 申立理由3について
(1) 異議申立人は,本件明細書の【0013】の記載によれば,請求項1の「ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」の「ゲル」とは,フェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物に炭化水素油やエステル油を配合したものであるとされるところ,請求項1には「ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」と記載されているのみで,炭化水素油やエステル油の配合について記載されていないから,本件発明はいわゆるサポート要件を満足しない旨主張する。
(2) そこで,上記主張の当否について検討するに,上記3で検討のとおり,請求項1の「ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」とは,炭化水素油やエステル油などの何らかのベースオイルが配合されたことでゲル状を呈するフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を意味するものと当業者は理解するといえる。
そうすると,請求項1の「ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」について,炭化水素油やエステル油の配合についての記載がないからといって,請求項1の記載がサポート要件を満足しないということにはならない。
(3) よって,異議申立人の上記主張は採用できない。また,このことは他の請求項(請求項5,6及び9)についても同様である。
取消理由3には理由がない。

5 申立理由5について
(1) 申立理由5は,特許異議申立書について,証拠(甲8)を追加しつつ,特許異議の申立ての理由を補正するものであり,実質的にみて,その要旨を変更するものである(法115条2項)。
(2) また,上記第5において検討のとおり,本件発明1,5,6及び9は,本件特許の出願前に頒布された刊行物(甲3,甲4)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものとはいえないところ,このような判断は,上記相違点3及び4に係る構成が想到容易とはいえないことに基づくものである。そして,申立理由5はこれら相違点とは何ら関係がなく,上記判断を左右するものではない。
そうすると,仮に,申立理由5を検討したとしても,申立理由5に理由がないこととなるのは,上記第5において検討のとおりである。

第8 むすび
したがって,決定の予告に係る取消理由並びに異議申立人の主張する申立理由1?5によっては,請求項1,5,6及び9に係る特許を取り消すことはできない。また,他に当該特許が法113条各号のいずれかに該当すると認めうる理由もない。
請求項2?4,7及び8に係る特許については,上述のとおり,これら請求項を削除する訂正を含む本件訂正が認容されるため,特許異議申立ての対象となる特許が存在しない。
よって,結論の第2項及び第3項のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
凹凸補正化粧料
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物、皮膜形成性シリコーン樹脂、屈折率1.4?1.8の粉体を配合し、前記皮膜形成性シリコーン樹脂が、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル-シリコーン系グラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上であり、前記屈折率1.4?1.8の粉体が、シリコーンエラストマー、架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレンから選ばれる1種または2種以上であり、更に、フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンを配合し、更に、揮発性油剤を配合し、更に、モノステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油を配合し、前記皮膜形成性シリコーン樹脂の配合量が、0.5?5質量%であり、前記屈折率1.4?1.8の粉体の配合量が、3?20質量%であり、前記モノステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油の配合量が、0.5?5質量%である凹凸補正化粧料に関し、更に詳細には本願の化粧料は、凹凸補正効果およびその持続性に優れ、化粧料の肌への収まりが良く化粧膜が柔らかい化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、肌を美しく見せるために、化粧料で肌表面を平滑にしたり、肌色を均一に整えたりしてきた。肌の表面は毛穴や皮溝により凹凸があり、化粧膜が時間とともに肌の凹部に集まり、化粧料が局在化することにより、毛穴やしわが目立ち、それにより肌色が不均一になり肌を美しく見せる効果が得られなくなることがあった。そこで、凹凸補正効果を目的とした化粧料の開発がなされてきた。
凹凸補正する方法として、低屈折率の粉体を用い光の拡散により毛穴や皮溝をぼかし目だなくする方法や、毛穴や皮溝に粉体を埋めて物理的に肌表面を平滑にする方法があった。
これらの方法は、塗布直後には効果を発揮するものの、表情の変化や、皮脂等により化粧膜が崩れてしまうことがあった。
そこで、特定の大きさのオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体と、揮発性シリコーンと、皮膜を形成するシリコーン樹脂を用いることや、特定の大きさの球状粒子と油剤を用いることにより、更に長時間毛穴等を目立たなくする方法が検討されてきた。(例えば、特許文献1、2参照)
【0003】
【特許文献1】特開平09-175940
【特許文献2】特開2005-281295
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、皮膜を形成するシリコーン樹脂は、化粧膜をしっかり形成するものの、硬い膜になり、皮膚の動きに追随できず、期待するほどの効果が得られない場合があった。また、球状粒子に加え、さらに効果を得るために部分架橋型のオルガノポリシロキサン重合物を用いた場合、化粧料の肌への密着が悪くズルズルして肌になじまず、化粧料の肌への収まりが悪く、化粧膜が均一にできないために凹凸補正効果を十分に発揮することができない場合があった。
【0005】
そこで、凹凸補正効果およびその持続性に優れ、化粧料の肌への収まりが良く、柔らかい化粧膜が得られる化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った結果、低屈折率の粉体と部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を組合せることにより、凹凸補正効果を更に向上し、更に皮膜形成性シリコーン樹脂を配合することにより、化粧膜をしっかり形成させ、持続性を向上されることを考えた。これにより、化粧料がズルズルして肌になじまない点が減少し、化粧料の肌への収まりがある程度改善されたが、化粧膜の柔らかさを実現することはできなかった。そこで、フェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を用いたところ、化粧料の付着性が更に高まり、化粧料の肌への収まりが良くなること、化粧膜自体が柔らかくなり、低屈折率の粉体が均一に塗布され凹凸補正効果も向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
次の成分(a)?(c);
(a)ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物
(b)皮膜形成性シリコーン樹脂
(c)屈折率1.4?1.8の粉体
を配合し、前記成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂が、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル-シリコーン系グラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上であり、前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体が、シリコーンエラストマー、架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレンから選ばれる1種または2種以上であり、更に、成分(d)として、フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンを配合し、更に、成分(e)として、揮発性油剤を配合し、更に、成分(f)として、モノステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油を配合し、前記成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂の配合量が、0.5?5質量%であり、前記成分(c)、屈折率1.4?1.8の粉体の配合量が、3?20質量%であり、前記成分(f)モノステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油の配合量が、0.5?5質量%であることを特徴とする凹凸補正化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物、皮膜形成性シリコーン樹脂、屈折率1.4?1.8の粉体を配合し、前記皮膜形成性シリコーン樹脂が、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル-シリコーン系グラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上であり、前記屈折率1.4?1.8の粉体が、シリコーンエラストマー、架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレンから選ばれる1種または2種以上であり、更に、フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンを配合し、更に、揮発性油剤を配合し、更に、モノステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油を配合し、前記皮膜形成性シリコーン樹脂の配合量が、0.5?5質量%であり、前記屈折率1.4?1.8の粉体の配合量が、3?20質量%であり、前記モノステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油の配合量が、0.5?5質量%である凹凸補正化粧料に関し、更に詳細には本願の化粧料は、凹凸補正効果およびその持続性に優れ、化粧料の肌への収まりが良く化粧膜が柔らかい化粧料に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の詳細について以下に説明する。
本発明の凹凸補正化粧料とは、メーキャップ化粧料の前後に、肌上の小シワや毛穴等の好ましくない微小な凹凸を目立たなくする特殊用途の化粧料や、好ましくない微小な凹凸を目立たなくする機能を付加した化粧料をいう。
【0010】
本発明に用いられる成分(a)フェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、部分的に架橋結合を有する三次元構造を呈するシリコーン系エラストマーにフェニル基を有する化合物であれば特に制限されない。
【0011】
成分(a)フェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、例えば、SiO_(2)単位、HSiO_(1.5)単位、RSiO_(1.5)単位、RHSiO単位、R_(2)SiO単位、R_(3)SiO_(0.5)単位及びR_(2)HSiO_(0.5)単位(ここで、Rは脂肪族不飽和基を除く置換もしくは非置換の炭素数1?30の一価炭化水素基である。一価炭化水素基は、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ビニル基等の脂肪族不飽和基、メチル基、エチル基、プロピル基等の水素原子をフェニル基、トリル基等のアリール基で置換されたアラルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フルオロ基を含有するハロゲン化炭化水素基、エチレンオキサイド基を含有する炭化水素基等である。)からなる群から選択された少なくとも1種の構造単位で構成され、ケイ素原子に結合した水素原子を平均で1.5個以上分子中に含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、SiO_(2)単位、(CH_(2)=CH)SiO_(1.5)単位、RSiO_(1.5)単位、R(CH_(2)=CH)SiO単位、R_(2)SiO単位、R_(3)SiO_(0.5)単位、R_(2)(CH_(2)=CH)SiO_(0.5)単位、(ここでRは脂肪族不飽和基を除く置換もしくは非置換の炭素数1?30の一価炭化水素基である。一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ビニル差等の脂肪族不飽和基、メチル基、エチル基、プロピル基等の水素原子をフェニル基、トリル基等のアリール基で置換されたアラルキル基、シクロヘキシル基や、フルオロ基を含有するハロゲン化炭化水素基、エチレンオキサイド基を含有する炭化水素基等が挙げられる。)からなる群から選択された構造単位で構成されると共に、分子中にケイ素原子に結合したビニル基を平均で1.5個以上含有するビニル基含有オルガノポリシロキサン及び/又はC_(m)H_(2m-1)(CH_(2))_(x)C_(m)H_(2m-1)で表される不飽和炭化水素(但し、mは2?6、xは1以上の整数である。)との付加重合によって得ることができる。
【0012】
但し、前記構造単位であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンとビニル基含有オルガノポリシロキサンのRは、脂肪酸不飽和基を除く置換もしくは非置換の炭素数1?30の一価炭化水素基を表すが、そのRの一部はフェニル基である。
【0013】
このようなフェニル基を含有する部分架橋型オルガノシロキサン重合物としては、例えば成分表示名称で(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーが挙げられる。市販品としては、フェニル基を含有する部分架橋型オルガノシロキサン重合物に炭化水素油又はエステル油を配合したシリコーンゲルを挙げることができ、市販品として、例えば、KSG-18(15%ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン溶液)(信越化学工業社製)を具体的に挙げることができる。
【0014】
本発明で用いられる成分(a)の配合量は特に限定されないが、化粧料中0.05?10質量%(以下、単に「%」で示す。)が好ましく、更に好ましくは0.1?6%である。この範囲であれば、凹凸補正効果およびその持続性に優れ、化粧料の肌への収まりの良さ、化粧膜の柔らかさに優れた凹凸補正化粧料を得ることができる。
【0015】
本発明の凹凸補正化粧料に用いられる成分(b)の皮膜形成性シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサン骨格をもち、皮膜を形成するものであれば特に限定されないが、本発明において皮膜形成とは、シリコーン樹脂が可溶な溶媒に40%溶解した溶液を、ガラス板に400μm厚のアプリケーターで塗布し、室温24時間乾燥後に皮膜が形成されていることをいい、特に化粧持続性の向上のために用いられる成分である。具体的には、例えば、トリメチルシロキシケイ酸、ポリメチルシルセスキオキサン、アクリル-シリコーン系グラフト共重合体が挙げられ、これらの一種又は二種以上用いることができる。
【0016】
トリメチルシロキシケイ酸としては、シロキサン構造を主骨格とした架橋構造を持つ化合物で、[(CH_(3))_(3)SiO_(1/2)]x[SiO_(2)]yで表されるもの(Xは1?3、Yは0.5?8)等であり、シリコーン油で溶解した溶液も使用することができる。市販品としては、シリコン
X-21-5250(50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、KF-7312T(60%メチルトリメチコン溶液)、KF-7312J(50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、KF-7312K(60%ジメチコン溶液)、KF-9021(50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)(何れも信越化学工業社製)、SR1000(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャッパン社製)等を使用することができる。
【0017】
またポリメチルシルセスキオキサンは、R^(1)SiO_(1.5)単位とR^(2)_(3)SiO_(0.5)単位(式中、R^(1)、R^(2)は置換又は非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂であり、市販品としては、SILFORM
FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等が挙げられる。
【0018】
アクリル-シリコーン系グラフト共重合体とは、分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物(I)とアクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマー(II)とのラジカル重合体で、特開平2-25411号公報、特開平2-132141号公報等に記載されているものが例示される。また、更に(III)アクリル酸及び/又はメタクリル酸を更にモノマーとして重合することもできる。
【0019】
分子鎖の片末端にラジカル重合性を有するオルガノポリシロキサン化合物(I)は、例えば、下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。
【0020】
【化1】

【0021】
R^(1):メチル基又は水素原子
R^(2):場合によりエーテル結合1個又は2個で遮断されている、直鎖状又は分岐状の炭素鎖を有する炭素原子1?10個の2価の飽和炭化水素基
R^(3):同一または異なってもよく、メチル基、ブチル基、?OSi(CH_(3))_(3)から選ばれる基
l:1?300
【0022】
アクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマー(b)は、ラジカル重合性不飽和結合を分子中に1個有する化合物を意味し、使用されるアクリレート及び/又はメタクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、フルオロ炭素鎖1?10のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等を例示することができる。
【0023】
分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するジメチルポリシロキサン化合物(I)とアクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするラジカル共重合性モノマー(II)との共重合は、重合比率((I)/(II)):1/19?2/1の範囲内で、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等の通常のラジカル重合開始剤の存在下で行われ、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、バルク重合法のいずれの方法の適用も可能である。
【0024】
このようなアクリル-シリコーン系グラフト共重合体は、成分表示名称で、例えば、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマーが挙げられる。市販品としては、例えば、KP-541(60%イソプロパノール溶液)、KP-545(30%シクロペンタシロキサン溶液)、KP-549(40%メチルトリメチコン溶液)、KP-550(40%イソドデカン溶液)等が挙げられる。
また、分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物(I)とアクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするラジカル共重合性モノマー(II)と(III)アクリル酸及び/又はメタクリル酸との共重合体は、成分表示名称で、成分表示名称で、例えば、(アクリレーツ/メタクリル酸トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル)コポリマー等をあげることができる。
【0025】
本発明において、成分(b)は一種または二種以上を併用して使用することができ、その配合量の特に限定されないが、化粧料中0.1?10%が好ましく、より好ましくは、0.5?5%である。この範囲であれば、膜感が強くならず、肌への負担感もなく、凹凸補正効果およびその持続性に優れ、化粧料の肌への収まりの良さ、化粧膜の柔らかさに優れた凹凸補正化粧料を得ることができる。
【0026】
本発明に用いられる成分(c)の粉体は、屈折率が1.4?1.8の範囲にある粉体であり、本発明の凹凸補正化粧料において、毛穴や皮溝をぼかすことにより、肌の凹凸を目立たなくするものである。尚、屈折率は、液浸法で測定した値をいう。具体的には、ポリアミド、ポリメチルシルセスキオキサン、シリコーンエラストマー、架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、結晶セルロース、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、無水ケイ酸、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
また、成分(c)の粒径は、特に限定されないが、肌の凹凸を目立たなくする観点より、1?50μmが好ましい。尚、本発明において、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により得られた値とする。本発明の凹凸補正化粧料において、成分(c)の代わりに、屈折率が1.4未満の粉体を用いると、化粧膜の透明性が高くなり、小シワや毛穴をぼかす効果が得にくいため好ましくなく、屈折率が1.8を超える粉体を用いると、化粧膜が不透明になり、不自な然仕上がりになるため好ましくない。
【0027】
市販品としては、架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体としては、「KSP-102(信越化学工業社製)」、「ガンツパールGM-2800(ガンツ化成社製)」、ポリスチレンとしてはガンツパールGS-0605(ガンツ化成社製)、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルとしてはマツモトマイクロスフェアー
M-305、M-306、同M-503、同M-600、同M-311(以上、松本油脂工業社製)、ポリアミドとしてはガンツパールGPA-550(ガンツ化成社製)、オルガソール2002D、2002EXD(以上、アトフィナ・ジャパン社製)、東レ
ナイロン粉末SP-500(東レ社製)などなどが挙げられる。これらの粉体はフッ素化合物、シリコーン系油剤、金属石ケン、ロウ、界面活性剤、油脂、炭化水素等を用いて公知の方法により表面処理を施したものであっても良い。
【0028】
本発明の凹凸補正化粧料における成分(c)の配合量は、特に限定されないが、1?40%が好ましく、3?20%が更に好ましい。成分(c)の配合量が、この範囲であると肌の凹凸を目立たなくする効果や経時での持続性に優れた凹凸補正化粧料を得ることができる。
【0029】
本発明の凹凸補正化粧料は、上記成分(a)?(c)に加え、成分(d)フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンを配合することにより、特に化粧料の肌への収まりが向上する。
成分(d)フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンは、成分(a)とは異なり、架橋構造をもたず、フェニル基を含有するものであれば、いずれのものも使用することができるが、具体的には、成分表示名称で、例えば、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、フェニルトリメチコン、フェニルメチコン等を挙げることができ、その一種又は二種以上を用いることができる。
【0030】
本発明の凹凸補正化粧料における成分(d)の配合量は、特に限定されないが、0.05?20%が好ましく、0.1?10%が更に好ましい。成分(d)の含有量が、この範囲であると肌の凹凸を目立たなくする効果や化粧料の肌への収まりに優れた凹凸補正化粧料を得ることができる。
【0031】
本発明の凹凸補正化粧料は、上記成分(a)?(c)に加え、成分(e)の揮発性油剤を用いることにより、成分(b)の分散性や凹凸補正効果の持続をより向上することができる。成分(e)の揮発性油剤としては、1気圧、25℃において揮発性であり、具体的には、常圧における沸点が260℃以下のもので、軽質流動イソパラフィン、炭化水素、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルシクロペンタシロキサン、メチルトリメチコン、エチルトリシロキサン等の低分子鎖状ポリシロキサン、低重合度ジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の低分子環状のシリコーン油等を挙げることができる。
市販品として、軽質流動イソパラフィンとしてはアイソパーH(エッソ化学社製)、イソドデカン(バイエル社製)、イソヘキサデカン(ユニケマ社製)、IPソルベント1620MU、IPソルベント2028MU、IPソルベント2835(以上、出光興産社製)、デカメチルシクロペンタシロキサンとしてはTFS405(東芝シリコーン社製)、SH245、DC345(東レ・ダウコーニング社製)、KF-995(信越化学工業社製)、メチルトリメチコンとしては、シリコーン
TMF-1.5(信越化学工業社製)、メチルポリシロキサンとしてはKF-96L-2CS(信越化学工業社製)、デカメチルテトラシロキサンとしてはKF-96L-1.5CS(信越化学工業社製)、エチルトリシロキサンとしてはSILSOFT ETS(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などが挙げられる。
【0032】
成分(e)の揮発性油剤の配合量は特に限定されないが、0.5?40%が好ましく、更に好ましくは1?30%である。この範囲であれば、成分(b)の分散性を向上することができ凹凸補正効果の持続に優れた凹凸補正化粧料を得ることができる。
【0033】
本発明の凹凸補正化粧料は、上記成分(a)?(c)に加え、成分(f)のペースト油を用いることにより、肌への密着性をあげ化粧料の肌への収まりを向上することができる。
成分(f)のペースト油としては、常温でペースト状を呈する油剤であり、ペースト状とは、30℃の粘度が5000?100000mPa・sのものを示す。本発明において、前記粘度は、試料を30℃で一日放置後、単一円筒型回転粘度計ビスメトロン型式VS-A1(芝浦システム社製)を用いて測定した。
例えば、炭化水素、動物油、植物油、鉱物油、高級脂肪酸エステル、フッ素系油等が使用できる。具体的には、ワセリン、パーム油の硬化油、ヤシ油の硬化油、モノステアリン酸硬化ヒマシ油、ラノリン、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、高重合メチルポリシロキサン等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。市販品としては、ワセリンペンレコスノー(ペンレコ社製)、ポリブテン35R、ポリブテン100R、ポリブテン300R(何れも、出光石油化学社製)、サラコスHS、コスモール168シリーズ、ノムコートLAH(何れも、日清製油社製)等が挙げられる。
【0034】
成分(f)のペースト油の配合量は特に限定されないが、0.05?20%が好ましく、更に好ましくは0.1?15%である。この範囲であれば、肌への付着を向上させ化粧料の肌への収まりの良さに優れた凹凸補正化粧料を得ることができる。
【0035】
本発明の凹凸補正化粧料には、必要に応じて、通常の化粧料に配合可能な成分を適宜、配合することができる。
例えば、成分(a)、(b)、(d)、(e)(f)以外の油剤、界面活性剤、アルコール類、水、成分(c)以外の粉体、紫外線吸収剤、ゲル化剤及び増粘剤、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、美容成分(美白剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤、ビタミン類、アミノ酸類等)等を配合することができる。
【0036】
油剤としては、固形油、液状油等が挙げられ、天然動植物油及び半合成油、炭化水素油、エステル油、グリセライド油、シリコーン油、高級アルコール、高級脂肪酸、有機溶剤等が例示される。
固形油としてはカルナウバロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、セラックロウ、硬化油等の天然ロウ類、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の鉱物系ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エチレン・プロピレンコポリマー等の合成ワックス、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、コレステロール、フィトステロールなどの高級アルコール、ステアリン酸、ベヘン酸などの高級脂肪酸等を例示することができる。
液状油で、天然動植物油及び半合成油としては、具体的にアボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カヤ油、肝油、キョウニン油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サザンカ油、サフラワー油、シナギリ油、シナモン油、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、綿実油、ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、落花生油、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。
炭化水素油としては、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、プリスタン等が挙げられる。
エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2-エチルヘキサン酸セチル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。
グリセライド油としては、アセトグリセライド、トリイソオクタン酸グリセライド、トリイソステアリン酸グリセライド、トリイソステアリン酸ジグリセライド、テトライソステアリン酸ジグリセライド、トリイソパルミチン酸グリセライド、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセライド、モノステアリン酸グリセライド、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリミリスチン酸グリセライド等が挙げられる。
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
高級アルコールとしてはオレイルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等が挙げられる。
高級脂肪酸としてはオレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。
【0037】
界面活性剤としては、通常化粧料に使用されるものであれば特に制限はなく、何れのものも使用することができる。界面活性剤はアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が例示されるが、これらを必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アニオン性界面活性剤として、具体的にはステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合等のカルボン酸塩、アルキルスルホン酸、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩とそのホルマリン縮合物のスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステル硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩、N-アシルアミノ酸系活性剤等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、長鎖アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルエーテルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩や芳香族4級アンモニウム塩をはじめ、アルキルピリジニウム塩等のピリジニウム塩、アルキルジヒドロキシエチルイミダゾリン塩等のイミダゾリン塩、N-アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステル塩、そしてアルキルアミン塩、ポリアミン、アミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としてはソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキシプロピレンオレイルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサンアルカノールアミド、糖エーテル、糖アミド等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等のカルボベタイン型両性界面活性剤、アルキルスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤、N-脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩、N-脂肪酸アシル-N-カルボキシメトキシエチル-N-カルボキシメチルエチレンジアミン二塩等のアミドアミン型(イミダゾリン型)両性界面活性剤、N-[3-アルキルオキシ-2-ヒドロキシプロピル]アルギニン塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0038】
有機紫外線吸収剤としては、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン等のサリチル酸系;パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル等のPABA系;4-(2-β-グルコピラノシロキシ)プロポキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-硫酸、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2、2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-N-オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル(別名;パラメトキシケイ皮酸オクチル)、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、2,5-ジイソプロピルケイ皮酸メチル、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、p-メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩等のケイ皮酸系;2-フェニル-ベンズイミダゾール-5-硫酸、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン等のベンゾイルメタン系;2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパン-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(別名;オクトクリレン)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、1-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,4-ジメチル-1,3-ペンタンジオン、シノキサート、メチル-O-アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、オクチルトリアゾン、4-(3,4-ジメトキシフェニルメチレン)-2,5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、これらの高分子誘導体、及びシラン誘導体等が挙げられ、目的に応じて一種又は二種以上を配合することができる。
【0039】
アルコール類として、具体的にはエタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール等の多価アルコール、ソルビトール、マルトース、キシリトール、マルチトール等の糖アルコール、ベンジルアルコール等が例示される。
【0040】
粉体としては、無機粉体、有機粉体、金属石鹸粉末、有色顔料、パール顔料、金属粉末、タール色素、天然色素等が挙げられ、その粒子形状(球状、針状、板状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、何れのものも使用することができる。
無機粉体として、具体的には、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウsム、酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム等が挙げられる。
有機粉体としては、ポリエステルパウダー、ポリプロピレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、シルクパウダー、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体パウダー、ビニル樹脂パウダー、尿素樹脂パウダー、フェノール樹脂パウダー、フッ素樹脂パウダー、アクリル樹脂パウダー、メラミン樹脂パウダー、エポキシ樹脂パウダー、ポリカーボネイト樹脂パウダー、微結晶繊維粉体パウダー、コメデンプン、ラウロイルリジン等が挙げられる。
金属石鹸粉末(界面活性剤金属塩粉末)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等の各粉末が挙げられる。
有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ-酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの及びこれらの粉体を複合化した複合粉体等が挙げられる。
パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン被覆着色雲母等が挙げられ、また、金属粉末としてはアルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等が挙げられる。
タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等が挙げられ、天然色素としてはカルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等が挙げられる。
これらの粉体は、そのまま使用しても良いが、これらの粉体を複合化しても良く、公知の表面処理剤で被覆処理を行なって使用しても良い。
上記粉体は必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
油ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン、N-ラウロイル-L-グルタミン酸、α,γ-ジ-n-ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2-エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー等の有機変性粘土鉱物が挙げられる。
【0042】
水系増粘剤、ゲル化剤としてはアラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、キャロブガム、グァーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系増粘剤、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等がある。また、この中には、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の皮膜形成剤も含まれる。
【0043】
保湿剤としては、尿素、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩等が挙げられる。
防腐剤、抗菌剤としてはパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられる。
【0044】
酸化防止剤としては、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン等、pH調整剤としては乳酸、乳酸塩、クエン酸、クエン酸塩、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等、キレート剤としてはアラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン等、清涼剤としてはL-メントール、カンファ、薄荷油、ペパーミント油、ユーカリ油等、抗炎症剤としてはアラントイン、グリチルレチン酸塩、グリチルレチン誘導体、トラネキサム酸、アズレン等が夫々挙げられる。
【0045】
美容成分としては、アルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ロイヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出液等の細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸 β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等の血行促進剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等が挙げられる。
【0046】
ビタミン類としてはビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB6類、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸-2-硫酸ナトリウム、dl-α-トコフェロール-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、D-パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等が挙げられる。
【0047】
アミノ酸類としては、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、アラニン、グリシン、プロリン等が挙げられる。
【0048】
本発明の凹凸補正化粧料の製造方法としては、通常公知の方法で製造可能であり、製造機器としては、一般のディスパーションのような分散・乳化機器であればいずれでもよい。
【0049】
本発明の凹凸補正化粧料の剤型としては、油中水型、油性型、水中油型、マルチプルエマルション、粉体型等が挙げられ、油中水型、油性型が好ましい。形態は、液状、半固形状、固形状等が挙げられ、半固形状から液状が好ましい。用途としては、凹凸補正用化粧料だけでなく、凹凸補正効果を期待するファンデーション、コンシーラー、頬紅、白粉、コントロールカラー、下地料、BBクリーム、アイカラー、口紅等のメーキャップ化粧料や乳液、クリーム、美容液、デイクリーム、日焼け止め等のスキンケア化粧料等に適用可能である。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0050】
実施例1?8及び比較例1?3:油中水乳化型コンシーラー
以下の表1に示す組成の油中水乳化型コンシーラーを下記製造方法により調整し、凹凸補正効果、凹凸補正効果の持続性、化粧料の肌への収まりの良さ、化粧膜の柔らかさの評価項目について、以下に示す方法により評価・判定し、結果を併せて表1に示した。
【0051】
【表1】

【0052】
(注1)KSG-18(信越化学工業社製)
(注2)KSG-16(信越化学工業社製)
(注3)KF-9021(信越化学工業社製)
(注4)KP-545(信越化学工業社製)
(注5)KSP-100(信越化学工業社製)
(注6)KSP-300(信越化学工業社製)
(注7)KF-56(信越化学工業社製)
(注8)コスモール168ARNV(日清オイリオ社製)
(注9)KF-9901(信越化学工業社製)にて3%表面処理
(注10)KF-6028P(信越化学工業社製)
(注11)KF-6038(信越化学工業社製)
【0053】
(製造方法)
(1)成分10?14、16の一部、8の一部を3本ローラーで混合する
(2)成分9、18を70℃にて加熱溶解し、(1)、成分1?7、8の残部、15、16の残部、17?19を添加し、均一に混合する。
(3)成分20?23を均一に混合溶解後、(2)に添加し乳化する。
(4)(3)を脱泡し、容器に充填して油中水乳化型コンシーラーを得た。
【0054】
(評価方法1)「凹凸補正効果」、「凹凸補正効果の持続性」
化粧品評価専門パネル20名に、前記実施例及び比較例の油中水乳化型コンシーラー0.3gを全顔に塗布し、塗布前後と経時(7時間後)において撮影されたデジタル写真を画像解析することで、開きの目立つ毛穴数をカウントした。なお、測定にはSkinAnalyzer
Clinical Suite RSA100(インフォワード社製)を用いて行った。なお毛穴数の減少率とは化粧料未塗布時と化粧料塗布直後との毛穴数の比較であり、開きの目立つ毛穴数の減少率が大きい程凹凸補正効果が得られるとした。また、持続性の評価は化粧料塗布後、日常生活を7時間した後の毛穴数の測定評価である。各パネルより得られた評点の平均をとり、下記判定基準に基づき判定した。
(判定基準)
(凹凸補正効果:毛穴の減少率) :(評点)
開きの目立つ毛穴数の減少率が40%以上 : 5点
開きの目立つ毛穴数の減少率が30%以上40%未満: 4点
開きの目立つ毛穴数の減少率が20%以上30%未満: 3点
開きの目立つ毛穴数の減少率が10%以上20%未満: 2点
開きの目立つ毛穴数の減少率が10%未満 : 1点
(判定基準)
(凹凸補正効果の持続性) :(評点)
塗布直後と比較して毛穴数が100%未満 : 5点
塗布直後と比較して毛穴数が100%以上150%未満: 4点
塗布直後と比較して毛穴数が150%以上200%未満: 3点
塗布直後と比較して毛穴数が200%以上250%未満: 2点
塗布直後と比較して毛穴数が250%以上 : 1点
(判定基準)
(評点の平均点) :(判定)
4.5以上 : ◎
3.5以上?4.5未満 : ○
1.5以上?3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0055】
(評価方法2)「化粧料の肌への収まりの良さ」、「化粧膜の柔らかさ」
化粧品評価専門パネル20名に、前記実施例及び比較例の油中水乳化型コンシーラーを毛穴や小シワじわの目立つ小鼻および唇周辺に、適量取って塗布してもらい、「化粧料の肌への収まりの良さ」、「化粧膜の柔らかさ」の項目について、各自が以下の評価基準に従って7段階評価し、各パネルより得られた評点の平均をとり、下記判定基準に基づき判定した。
[評価基準]
(評価結果) :(評点)
非常に良好 : 6点
良好 : 5点
やや良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
非常に不良 : 0点
[判定基準]
(評点の平均点) :(判定)
5.0以上 : ◎ 非常に良好
3.5以上?5.0未満 : ○ 良好
1.5以上?3.5未満 : △ 普通
1.5未満 : × 不良
【0056】
(結果)
表1の結果から明らかな如く、実施例1?8の油中水乳化型コンシーラーは、凹凸補正効果、凹凸補正効果の持続性、化粧料の肌への収まりの良さ、化粧膜の柔らかさに優れたものであった。
一方、成分(a)のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を抜いた比較例1の油中水乳化型コンシーラーは、化粧膜が硬くなり、凹凸補正効果の持続性の劣り、化粧料のズルズル感はないが、伸び広がりに影響し、凹凸補正効果が劣るものになった。また、成分(b)の皮膜形成性シリコーン樹脂を抜いた比較例2では、化粧料は化粧料の肌への収まりが悪くズルズルして、凹凸補正効果を充分得ることができず、更に凹凸補正効果の持続性に劣るものであった。また、成分(c)の屈折率1.4?1.8の粉体を抜いた比較例3では、凹凸補正効果を充分に得ることができず、化粧膜の柔らかさが充分ではないため、更に凹凸補正効果の持続性にも劣るものであった。
【0057】
[参考例9]
油中水型ファンデーション
(成分) (%)
1.(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー15%
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン溶液(注1) 3.0
2.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー15%
シクロメチコン溶液(注12) 5.0
3.トリメチルシロキシケイ酸50%シクロメチコン溶液(注13) 3.0
4.ポリアミド粉末(平均粒径14μ) 2.0
5.球状メタクリル酸メチルクロスポリマー粉末(平均粒径30μ) 5.0
6.ジフェニルシロキシフェニルジメチコン(注7) 2.0
7.メチルトリメチコン 20.0
8.ヒドロキシステアリン酸コレステリル 5.0
9.ジメチコン処理酸化チタン(注9) 10.0
10.ジメチコン処理酸化鉄(注9) 2.5
11.マイカ 3.0
12.ジステアリルジモニウムヘクトライト 1.0
13.ポリシリコーン-13(注14) 1.5
14.ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注11) 2.5
15.イソノナン酸イソトリデシル 3.0
16.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
17.メトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル 5.0
18.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
19.1,3-ブチレングリコール 5.0
20.塩化ナトリウム 0.3
21.精製水 残量
22.香料 適量
(注12)KSG-15(信越化学工業社製)
(注13)KF-7312J(信越化学工業社製)
(注14)DOW CORNING TORAY FZ-2233(東レ・ダウコーニング社製)
【0058】
(製造方法)
(1)成分9?11、7の一部、14の一部を3本ローラーにて処理する。
(2)成分12を7の一部、14の一部にて膨潤させる。
(3)成分8、15を60℃にて加熱溶解し、(1)、(2)、成分1?6、7の残部、14の残部、16?17、22を添加し、均一に混合する。
(4)成分18?21を均一に混合溶解後、(3)に添加し乳化する。
(5)(4)を脱泡し、容器に充填して油中水型ファンデーションを得た。
【0059】
(結果)
参考例9の油中水型ファンデーションは、凹凸補正効果、凹凸補正効果の持続性、化粧料の肌への収まりの良さ、化粧膜の柔らかさに優れたものであった。
【0060】
[参考例10]
油中水型下地料
1.(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー15%
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン溶液(注1) 8.0
2.(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー30%
トリエチルヘキサノイン溶液(注15) 3.0
3.トリメチルシロキシケイ酸50%シクロメチコン溶液(注3) 2.0
4.ラウロイルリシン 1.0
5.ポリアクリル酸アルキル粉末(平均粒径10μ) 5.0
6.ジフェニルジメチコン(注16) 2.0
7.球状ポリアミド粉末(平均粒径8μ) 5.0
8.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
9.ワセリン 2.0
10.ジメチコン処理酸化チタン(注9) 5.0
11.ジメチコン処理酸化鉄(注9) 1.0
12.合成金雲母 3.0
13.ジステアリルジモニウムヘクトライト 1.0
14.PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注10) 1.5
15.ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注11) 2.5
16.イソノナン酸イソトリデシル 3.0
17.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
18.メトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル 5.0
19.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1.0
20.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
21.グリセリン 5.0
22.塩化ナトリウム 0.3
23.精製水 残量
24.香料 適量
(注15)KSG-43(信越化学工業社製)
(注16)KF-54(信越化学工業社製)
【0061】
(製造方法)
(1)成分10?12、8の一部、14の一部を3本ローラーにて処理する。
(2)成分9、16を60℃にて加熱溶解し、(1)、成分1?7、8の残部、13、14の残部、15、17?19、24を添加し、均一に混合する。
(3)成分20?23を均一に混合溶解後、(2)に添加し乳化する。
(4)(3)を脱泡し容器に充填して油中水型下地料を得た。
【0062】
(結果)
参考例10の油中水乳化型下地料は、凹凸補正効果、凹凸補正効果の持続性、化粧料の肌への収まりの良さ、化粧膜の柔らかさに優れたものであった。
【0063】
[実施例11]
油中水型BBクリーム
1.(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー15%
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン溶液(注1) 3.0
2.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー15%
シクロメチコン溶液(注12) 5.0
3.トリメチルシロキシケイ酸50%シクロメチコン溶液(注3) 6.0
4.球状シリカ粉末(平均粒径5μ) 1.0
5.球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末(平均粒径6μ) 5.0
6.ジフェニルシロキシフェニルジメチコン(注7) 2.0
7.球状ポリウレタン粉末(平均粒径15μ) 5.0
8.イソドデカン 10.0
9.デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
10.マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル 2.0
11.ジメチコン処理酸化チタン(注9) 8.0
12.ジメチコン処理酸化鉄(注9) 2.0
13.セリサイト 3.0
14.ジステアリルジモニウムヘクトライト 0.5
15.ステアラルコニウムヘクトライト 0.5
16.レシチン 0.2
17.セスキイソスレアリン酸ソルビタン 0.5
18.ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注11) 2.5
19.ジメチルポリシロキサン(6mm^(2)/s:25℃) 3.0
20.ミネラルオイル 2.0
21.パルミチン酸デキストリン 1.0
22.メトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル 5.0
23.パルミチン酸オクチル 2.0
24.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
25.エタノール 5.0
26.塩化ナトリウム 0.3
27.精製水 残量
28.香料 適量
【0064】
(製造方法)
(1)成分9の一部、11?13、16?17、18の一部を3本ローラーにて処理する。
(2)成分10、20?21を60℃で加熱溶解し、(1)、成分1?8、9の残部、14?15、18の残部、19、22?23、28を添加し、均一に混合する。
(3)成分24?27を均一に混合溶解後、(2)に添加し乳化する。
(4)(3)を脱泡し、容器に充填して油中水型BBクリームを得た。
【0065】
(結果)
実施例11の油中水乳化型BBクリームは、凹凸補正効果、凹凸補正効果の持続性、化粧料の肌への収まりの良さ、化粧膜の柔らかさに優れたものであった。
【0066】
[参考例12]
油中水型日焼け止め料
1.(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー15%
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン溶液(注1) 3.0
2.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー15%
シクロメチコン溶液(注12) 2.0
3.トリメチルシロキシケイ酸50%シクロメチコン溶液(注13) 3.0
4.球状(スチレン/DVB)コポリマー粉末(平均粒径6μ) 1.0
5.球状ポリスチレン粉末(平均粒径6μ) 5.0
6.ジフェニルシロキシフェニルジメチコン(注7) 2.0
7.ジメチルポリシロキサン(2mm^(2)/s:25℃) 20.0
8.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/
セチル/ステアリル/ベヘニル) 1.0
9.ジメチコン処理酸化チタン (注9) 5.0
10.ジメチコン処理酸化亜鉛 (注9) 5.5
11.セリサイト 3.0
12.ジステアリルジモニウムヘクトライト 1.0
13.PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注10) 1.5
14.ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注11) 2.5
15.イソノナン酸イソトリデシル 3.0
16.トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル 2.0
17.パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル 5.0
18.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2.0
19.フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸 2.0
20.トリエタノールアミン 1.7
21.フェノキシエタノール 0.2
22.ジプロピレングリコール 5.0
23.塩化ナトリウム 0.3
24.精製水 残量
25.香料 適量
【0067】
(製造方法)
(1)成分9?11、7の一部、13の一部を3本ローラーにて処理する。
(2)成分8と15を70℃にて加熱溶解し、(1)、成分1?6、7の残部、12、13の残部、14、16?18、25を添加し、均一に混合する。
(3)成分19?24を均一に混合溶解後、(2)に添加し乳化する。
(4)(3)を脱泡し、容器に充填して油中水型日焼け止め料を得た。
【0068】
(結果)
参考例12の油中水型日焼け止め料は、凹凸補正効果、凹凸補正効果の持続性、化粧料の肌への収まりの良さ、化粧膜の柔らかさに優れた油中水型日焼け止め料であった。
【0069】
[参考例13]
油性固型頬紅
(成分) (%)
1.(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー15%
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン溶液(注1) 3.0
2.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー15%
シクロメチコン溶液(注12) 5.0
3.トリメチルシロキシケイ酸(注17) 3.0
4.硫酸バリウム 2.0
5.アクリレーツコポリマー溶液(注18) 5.0
6.ジフェニルシロキシフェニルジメチコン(注7) 2.0
7.軽質イソパラフィン 10.0
8.ワセリン 5.0
9.ジメチコン処理酸化鉄(注9) 1.5
10.赤色226 0.5
11.オキシ塩化ビスマス 5.0
12.ポリエチレンワックス 3.0
13.キャンデリラロウ 1.0
14.ジカプリン酸プロピレングリコール 15.0
15.トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2 7.0
16.メトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル 7.0
17.ジメチチルポリシロキサン(10mm^(2)/s:25℃) 10.0
18.煙霧状ジメチルシリル化シリカ粉末(平均粒径7nm) 0.1
19.フェノキシエタノール 0.2
20.香料 適量
(注17)SR1000(油化産業社製)
(注18)KP-545(信越化学工業社製)
【0070】
(製造方法)
(1)成分8、12?13、14の一部、17の一部を100℃にて均一に混合溶解し、成分9?10、19を添加混合し、3本ローラーにて処理する。
(2)成分3を7に室温で溶解する。
(3)(1)、(2)、成分1?2、4?6、14の残部、15?16、17の残部、18、20を90℃にて均一に混合溶解する。
(4)(3)を脱泡し、皿状容器に充填して油性固型頬紅を得た。
【0071】
(結果)
参考例13の油性固型頬紅は、凹凸補正効果、凹凸補正効果の持続性、化粧料の肌への収まりの良さ、化粧膜の柔らかさに優れたものであった。
【0072】
[参考例14]
油性固型目元用下地
(成分) (%)
1.(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー15%
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン溶液(注1) 3.0
2.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー15%
シクロメチコン溶液(注12) 5.0
3.トリメチルシロキシケイ酸50%シクロメチコン溶液(注13) 1.0
4.アクリレーツコポリマー(注18) 5.0
5.ジフェニルシロキシフェニルジメチコン(注7) 2.0
6.メチルトリメチコン 20.0
7.ステアリン酸硬化ヒマシ油 2.0
8.ジメチコン処理酸化チタン(注9) 1.5
9.ジメチコン処理酸化鉄(注9) 0.5
10.窒化ホウ素 5.0
11.ポリエチレンワックス 3.0
12.キャンデリラロウ 1.0
13.カルナウバロウ 1.0
14.ジカプリン酸プロピレングリコール 10.0
15.流動パラフィン 7.0
16.メトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル 7.0
17.ジメチチルポリシロキサン(20mm^(2)/s:25℃) 10.0
18.ジメチルシリル化シリカ 0.1
19.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
20.香料 適量
【0073】
(製造方法)
(1)成分7、11?13、14の一部、17の一部を100℃にて均一に混合溶解し、成分8?9、19を添加混合し、3本ローラーにて処理する。
(2)(1)、成分1?6、10、14の残部、15?16、17の残部、20を90℃にて均一に混合溶解する。
(3)(2)を脱泡し、ジャー容器に充填して、油性固型目元用下地を得た。
【0074】
(結果)
参考例14の油性固型目元用下地は、凹凸補正効果、凹凸補正効果の持続性、化粧料の肌への収まりの良さ、化粧膜の柔らかさに優れたものであった。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)?(c);
(a)ゲル状のフェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物
(b)皮膜形成性シリコーン樹脂
(c)屈折率1.4?1.8の粉体
を配合し、
前記成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂が、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル-シリコーン系グラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上であり、
前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体が、シリコーンエラストマー、架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレンから選ばれる1種または2種以上であり、
更に、成分(d)として、フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンを配合し、
更に、成分(e)として、揮発性油剤を配合し、
更に、成分(f)として、モノステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油を配合し、
前記成分(b)皮膜形成性シリコーン樹脂の配合量が、0.5?5質量%であり、
前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体の配合量が、3?20質量%であり、
前記成分(f)モノステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種または2種以上のペースト油の配合量が、0.5?5質量%であることを特徴とする凹凸補正化粧料。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記成分(d)フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンがジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、フェニルトリメチコン、フェニルメチコンから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の凹凸補正化粧料。
【請求項6】
前記成分(c)屈折率1.4?1.8の粉体の平均粒径が1?50μmであることを特徴とする請求項1又は5に記載の凹凸補正化粧料。
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
前記凹凸補正化粧料の剤型が、油性型、油中水型であることを特徴とする請求項1、5及び6のいずれかに記載の凹凸補正化粧料。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-01-22 
出願番号 特願2011-246915(P2011-246915)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A61K)
P 1 651・ 537- YAA (A61K)
P 1 651・ 85- YAA (A61K)
P 1 651・ 113- YAA (A61K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 今村 明子松元 麻紀子  
特許庁審判長 須藤 康洋
特許庁審判官 安川 聡
関 美祝
登録日 2016-03-04 
登録番号 特許第5893896号(P5893896)
権利者 株式会社コーセー
発明の名称 凹凸補正化粧料  
代理人 井上 美和子  
代理人 渡邊 薫  
代理人 井上 美和子  
代理人 渡邊 薫  

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