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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A23L
管理番号 1338475
審判番号 無効2016-800045  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2016-04-07 
確定日 2018-03-09 
事件の表示 上記当事者間の特許第4059875号発明「家庭用豆乳・豆腐製造機の一次側電源制御装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4059875号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第4059875号に係る出願は,2004年10月6日(優先権主張2003年10月8日 韓国)の出願であって,平成19年12月28日にその特許権の設定登録がされた。これに対し,平成28年4月7日に請求人より本件無効審判が請求され,審判請求書の副本を被請求人に送達し,期間を指定して,答弁書を提出する機会を与えたが,被請求人からは,答弁書の提出はなされなかった。また,平成29年6月15日付けで,審決の予告を行い,期間を指定して,訂正を請求するための機会を与えたが,被請求人からの応答はなされなかった。

第2 本件特許発明
本件特許第4059875号の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は,特許明細書,特許請求の範囲及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】
胴体の上部一側に上に向かって突設されている突起部と,
前記胴体の上部に位置する本体の前記突起部に対応する部位に設置されて前記突起部によってオン/オフされ,一側に商用交流電源が連結されている第1大容量スイッチと,
前記第1大容量スイッチの他側に一次側が連結されているトランスフォーマと,
前記第1大容量スイッチとトランスフォーマとの間に互いに並列に連結されており,駆動モータとヒータにそれぞれ連結され,制御部の制御信号に基づいて前記駆動モータとヒータに前記商用交流電源の電源がそれぞれ独立的に供給又は遮断されるようにする一対のリレーとを含み,
前記商用交流電源ACを挟んで前記第1大容量スイッチと直列に設置されてプッシュロッドによってオン/オフされる第2大容量スイッチをさらに含み,
前記突起部と前記第1大容量スイッチとの間に水平に設置されているプッシュロッドをさらに含み,
前記本体に設けられ,前記プッシュロッドの垂直方向高さよりも高い垂直方向高さを有し,前記プッシュロッドに隣接し,前記プッシュロッドが沿って上下動可能な垂直壁をさらに有し,
さらに,前記本体に,前記プッシュロッドおよび前記垂直壁に隣接して貫通孔を設け,前記プッシュロッドによって前記第1大容量スイッチをオン/オフするために該プッシュロッドに前記突起部が接するように,該突起部が前記貫通孔内を貫通して挿入され,
前記胴体に前記本体を閉じたときに,前記突起部が前記貫通孔に挿入されて貫通して前記プッシュロッドを押し上げ,これによって該プッシュロッドが,前記第1大容量スイッチをONするように該第1大容量スイッチに接し,また,前記胴体から前記本体を開いたときに,前記プッシュロッドが前記第1大容量スイッチをOFFするように前記突起部は前記プッシュロッドから離れる
ことを特徴とする家庭用豆乳・豆腐製造機の一次側電源制御装置。」

第3 請求人の主張及び証拠方法
請求人は,「特許第4059875号発明の特許請求の範囲の請求項第1項に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め,無効理由の概要は以下のとおりであると主張している。

(無効理由(進歩性欠如))
本件発明は,その特許出願前に日本国内又は外国において,頒布された刊行物である甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,その特許は同法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきである。

また,請求人は,証拠方法として,以下の甲第1号証?甲第2号証の2を提出している。

[証拠方法]
甲第1号証:中国実用新案第2531718号明細書
甲第1号証の2:甲第1号証の訳文
甲第2号証:中国実用新案第2489599号明細書
甲第2号証の2:甲第2号証の訳文

第4 甲各号証の記載事項
甲第1号証及び甲第2号証には,以下の各事項が記載されている。

[甲第1号証]
(1a)「

」(第1ページ)
(和訳:【要約書】
豆乳製造機であって,柄の付いたカップ体と,カップ口に置かれたヘッドとを備え,ヘッドは上蓋と底蓋とを備え,上蓋と底蓋が係合して形成された内部空間に長軸モータと,加熱制御回路が設けられ,底蓋から下に加熱制御回路により制御される加熱管回路が伸び,カップ口の上方の上蓋内に回路のオンオフを制御するノーマルオープン感度スイッチが設けられている。本実用新案は構成が簡単であり,加熱回路に電源保護装置が設けられ,帯電操作による感電リスク及び意外な状況における空焚きの恐れを徹底的に避けられる。

(1b)「

」(第2ページ)
(和訳:【請求の範囲】
1.豆乳製造機であって,柄の付いたカップ体と,カップ口に置かれたヘッドとを備え,ヘッドは上蓋と底蓋とを備え,上蓋と底蓋が係合して形成された内部空間に長軸モータ,電源及び加熱制御回路が設けられ,底蓋から下方のカップ体に電源,加熱制御回路により制御される加熱管回路が伸びており,
電源及び加熱制御回路にカップ口の上方の上蓋(4)内に位置される回路のオンオフを制御するノーマルオープン感度スイッチ部品が設けられている,ことを特徴とする,豆乳製造機。
2.請求項1に記載の豆乳製造機において,前記ノーマルオープン感度スイッチ部品は,ヘッド上蓋(4)の内側にある取り付けブラケットと,ブラケットに取り付けられるノーマルオープン感度スイッチ(1)とを備える,ことを特徴とする,豆乳製造機。
3.請求項2に記載の豆乳製造機において,前記取り付けブラケットは,筒状であり,筒底にはカップ体(5)の制御凸台に合う孔があり,制御凸台がノーマルオープン感度スイッチのシリコーン体の突き板(3)に接触する,ことを特徴とする,豆乳製造機。
4.請求項3に記載の豆乳製造機において,取り付けブラケットの内壁にシリコーン体の突き板の動作に資するシース(2)が設けられている,ことを特徴とする,豆乳製造機。)(下線は当審で付与。以下同様。)

(1c)「

」(第3ページ)
(和訳:豆乳製造機
本実用新案は,豆乳製造機に関し,特に複数の安全保護機能を有する家庭用の豆乳製造機に関する。
現在,市販の家庭用の豆乳製造機は,一般的に保護機能を有する。主な目的は空焚きを防止するためである。構成上,豆乳製造機はカップ体とヘッドからなる。ヘッドは底蓋と上蓋が係合して成り,上蓋と底蓋が係合して形成された内部空間に長軸モータ,電源及び加熱制御回路が設けられる。底蓋から下方のカップ体に電源,加熱制御回路により制御される加熱管回路,及び,温度センサを備える温度測定用の棒が伸びる。使用の際に,温度測定用の棒が水に浸漬してはじめて,豆乳製造機は始動する。そのため,空焚き防止の機能も有する。上記構成は,簡潔であるが,ヘッドに通電するため,ユーザが帯電操作し,感電する恐れを避けがたい。特に,豆乳製造機が不意に転倒し,温度測定用の棒に故障が生じた場合,空焚きの恐れが避けられず,機械全体が壊れ,更に火災が起こる恐れもある。
本実用新案は上記の問題を克服でき,複数の安全保護機能を有する豆乳製造機を提供することを目的とする。
上記の目的に応じて,家庭用の豆乳製造機を設計した。前記家庭用の豆乳製造機には,柄の付いたカップ体と,カップ口に置かれたヘッドとを備え,ヘッドは上蓋と底蓋を備え,上蓋と底蓋が係合して形成された内部空間に長軸モータ,電源及び加熱制御回路が設けられ,底蓋から下方のカップ体に電源,加熱制御回路により制御された加熱管回路が伸び,電源及び加熱制御回路にカップロの上方の上蓋内に位置される回路のオンオフを制御するノーマルオープン感度スイッチ部品が設けられる。当該ノーマルオープン感度スイッチ部品には,ヘッド上蓋の内側にある取り付けブラケットと,ブラケットに取り付けられるノーマルオープン感度スイッチを備える。そのうち,取り付けブラケットは筒状であり,筒底には,カップ体の制御凸台に合う孔があり,制御凸台がノーマルオープン感度スイッチのシリコーン体の突き板に接触する。使用上の便宜を図るため,取り付けブラケットの内壁にシリコーン体の突き板の動作に資するシースが更に設けられている。
本実用新案は先行技術より少し複雑であるが,コストがほとんど増加せず,複数の保護機能を実現した。空焚きによる火災の可能性を徹底的に避けるだけでなく,帯電操作による感電リスクも徹底的に避けられる。)

(1d)「

」(第4ページ)
(和訳:図1は,本実用新案の電源および回路原理ブロック図である。
図2は,感度スイッチの取付構造の全断面図である。
添付図面を参照する。図1は,電源及び制御原理回路ブロック図である。以上から分かるように,感度スイッチ1は,メイン電源制御スイッチである。図2は,感度スイッチの取付接続の構成関係を示し,感度スイッチ,プラスチックシース2,シリコーン体3,上蓋4とカップ体5を含む。
操作時,カップ体に適量な水が入れられたら,粉砕装置の濾し網が取り付けられたヘッドがカップ体に置かれ,カップ体口にある制御凸台が上蓋にあるそれに合う孔に挿入され,ノーマルオープン感度スイッチは,制御凸台の圧迫で閉じられる。このとき,電源プラグが入れられて,電源スイッチを押したら,豆乳製造機は始動する。電源スイッチがない場合,電源プラグを入れたら,豆乳製造機は直接に始動する。正常な作動過程において,ヘッドを強制的に引き上げたり,豆乳製造機が不意に転倒したりした場合,ヘッドとカップ体とが互いに離間するため,ノーマルオープン感度スイッチが解除され,機械全体の電源が切られる。従って,帯電操作又は不意による空焚きの状況は発生しない。)

(1e)「

」(第5ページ)

以上の記載事項及び図面を総合すると,甲第1号証には,以下の発明(以下「甲1発明」ともいう。)が記載されている。

「豆乳製造機であって,柄の付いたカップ体と,カップ口に置かれたヘッドとを備え,ヘッドは上蓋と底蓋とを備え,上蓋と底蓋が係合して形成された内部空間に長軸モータ,電源及び加熱制御回路が設けられ,底蓋から下方のカップ体に電源,加熱制御回路により制御される加熱管回路が伸びており, 電源及び加熱制御回路にカップ口の上方の上蓋(4)内に位置される回路のオンオフを制御するノーマルオープン感度スイッチ部品が設けられ,
前記ノーマルオープン感度スイッチ部品はヘッド上蓋(4)の内側にある取り付けブラケットと,ブラケットに取り付けられるノーマルオープン感度スイッチ(1)とを備え,
前記取り付けブラケットは筒状であり,筒底にはカップ体(5)の制御凸台に合う孔があり,制御凸台がノーマルオ-プン感度スイッチのシリコーン体の突き板(3)に接触し,
取り付けブラケットの内壁にシリコーン体の突き板の動作に資するシース(2)が設けられ,
電源,ノーマルオープン感度スイッチ,変圧器が回路を形成し,変圧器と電源との間に互いに並列にモータと加熱管が連結されており,加熱制御回路が長軸モータ,加熱管,変圧器と接続され,
カップ体に適量な水が入れられたら,粉砕装置の濾し網が取り付けられたヘッドがカップ体に置かれ,カップ体口にある制御凸台が上蓋にあるそれに合う孔に挿入され,
正常な作動過程において,ヘッドを強制的に引き上げたり,豆乳製造機が不意に転倒したりした場合,ヘッドとカップ体とが互いに離間するため,ノーマルオープン感度スイッチが解除され,機械全体の電源が切られる,豆乳製造機。」

[甲第2号証]
(2a)「

」(第1ページ)
(和訳:【要約書】
本実用新案は,家庭用の自動豆乳製造機を開示し,小型家電の製造技術分野に属する。本発明は,高い絶縁性能を有する家庭用のスマート自動豆乳製造機を提供することを目的とする。前記スマート自動豆乳製造機はベースと,濾し網ベースと,モータと,伝動軸及び粉砕刃と,濾し網と,電熱管と,電子的な自動スマート制御回路と,給電電源及びカバーと,カバーと一体に係合する容器体と,ベースの下に取り付けられたセンサ等で構成される。少なくとも一組のセンサの出力端がカプラに接続され,電子的な自動スマート制御回路の制御入力端と非直流パスのインタフェース制御回路を形成し,少なくとも一組の独立な直流給電電源がセンサ回路と接続し給電回路を形成する,ことを特徴とする。豆乳製造機の絶縁性が悪いという問題を解決した。メリットは,各センサと制御回路が高絶縁状態にあり,安全性能が優れ,各種のスマート豆乳製造機に応用できる。)

(2b)「

」(第2ページ)
(和訳:【請求の範囲】
1.高絶縁性スマート豆乳製造機であって,ベース(4)と,濾し網ベース(5)と,モータ(15)と,伝動軸(17)及び粉砕刃(7)と,濾し網(9)と,電熱管(16)と,電子的な自動スマート制御回路(3)と,給電電源(14)及びカバー(2)と,カバー(2)と一体に係合する容器体(11)と,ベース(4)の下に取り付けられたセンサ(8)等で構成され,
少なくとも一のセンサ(8)の出力端がカプラ(18)に接続され,電子的な自動スマート制御回路(3)の制御入力端と非直流パスのインタフェース制御回路を形成し,少なくとも一組の単独な直流給電電源(19)がセンサ回路と接続され,給電回路を形成する,ことを特徴とする,高絶縁性スマート豆乳製造機。
2.請求項1に記載の高絶縁性スマート豆乳製造機において,センサ(8)はそれぞれ水位センサと吹き零れセンサの二のセンサであって,電子的な自動スマート制御回路(3)とカプラ(18)を用いて,非直流パスで接続されるインタフェース制御回路を形成する,ことを特徴とする高絶縁性スマート豆乳製造機。
3.請求項1に記載の高絶縁性スマート豆乳製造機において,カプラ(18)はフォトカプラ,継電器,ホール素子等を使用して良い,ことを特徴とする高絶縁性スマート豆乳製造機。
4.請求項1に記載の高絶縁性スマート豆乳製造機において,単独の直流給電電源19は電子的な自動スマート制御回路の作動電源と同一の電源変圧器と独立な二次低圧コイルを用いて,整流器フィルターで構成される,ことを特徴とする高絶縁性スマート豆乳製造機。
5.請求項1,3に記載の高絶縁性スマート豆乳製造機において,カプラ(18)は型番がP521-2であるフォトカプラを使用する,ことを特徴とする高絶縁性スマート豆乳製造機。)

(2c)「

」(第3ページ)
(和訳:高絶縁性スマート豆乳製造機
本実用新案は,家庭用の自動豆乳製造機を開示し,小型家電の製造技術分野に属する。
現在,市場で流行っている家庭用のスマート自動豆乳製造機は,質,口当たりが一致する豆乳を加工でき,電気加熱管にスケールが付着することがない。それは,水位,吹き零れ,温度等の複数のセンサを使用しており,電子的な自動スマート制御回路を通じて豆乳加工の全過程を完成させる。短所は,あるセンサと電子的な自動スマート制御回路に直流パス接続が存在するため,絶縁性が低下してしまう。本実用新案は,スマート自動豆乳製造機センサの設計を改善し,高い絶縁性能を有するスマート自動豆乳製造機を提供することを目的とする。
本実用新案の技術的特徴は単独の給電電源を用いてセンサ回路に給電し,浮遊する「グランド」電位で制御回路及び交流商用電源のグランド線の直流パスを遮断するように設計する。各センサの出力端は,カプラに接続され,電子的な自動スマート制御回路の制御入力端と非直流パスで接続するインタフェース制御回路を形成する。
以下は,本実用新案の構成を詳しく説明する。高絶縁性スマート豆乳製造機であって,ベースと,濾し網ベースと,モータと,伝動軸及び粉砕刃と,濾し網と,電熱管と,電子的な自動スマート制御回路と,給電電源及びカバーと,カバーと一体に係合する容器体と,ベースの下に取り付けられたセンサ等で構成され,少なくとも一のセンサの出力端がカプラに接続され,電子的な自動スマート制御回路の制御入力端と非直流パスのインタフェース制御回路を形成し,少なくとも一組の単独の直流給電電源がセンサ回路と接続され,給電回路を形成する,ことを特徴とする。
本実用新案は,作動時,各センサのプローブと浮遊する共用「グランド」端が各センサの入力端に信号を転送し,センサの出力端がそれぞれカプラを経て,検出信号を電子的な自動スマート制御回路に入力し,スマート制御を実施する。
本実用新案に記載のカプラは,フォトカプラ,継電器,ホール素子等の非直流パスで接続する結合素子を使用して良い。
本実用新案に記載の単独の直流給電電源は電子的な自動スマート制御回路の作動電源と同一の電源変圧器と独立な二次低圧コイル,あるいは単独に配置する電源変圧器の二次低圧コイルを用いて整流器フィルターで実現して良い。
本実用新案に記載のセンサは,金属プローブ,温度センサ,光センサ等であってよい。
本実用新案におけるセンサの絶縁強度は,結合素子と独立的な直流給電電源の絶縁強度による。)

(2d)「

」(第4ページ)
(訳文)「本実用新案のメリットは,各センサと制御回路が高絶縁状態にあり,機器全体の安全性能が優れ,各種のスマート豆乳製造機に応用できる。 図1は,本実用新案の構成概略図である。
図2は,本実用新案におけるセンサと電子的な自動スマート制御回路の構成ブロック図である。
図3は,本実用新案の実施例の回路図である。
以下,明細書の添付図面を参照して,本実用新案の具体的な実施例を詳しく説明する。高絶縁性スマート豆乳製造機であって,柄1,気孔12と電源銭コンセント13が付いたカバー2と,ベース4と,濾し網ベース5と,センサバー6と,モータ15と,伝動軸17及び粉砕刃7と,濾し網9と,電熱管16と,電子的な自動スマート制御回路3と,給電電源14及びカバー2と一体に係合する容器体11と,ベース4の下に取り付けられたセンサ8等で構成される。センサ8の出力端がカプラ18に接続され,電子的な自動スマート制御回路3の制御入力端と非直流パスで接続されるインタフェース制御回路を形成し,少なくとも一組の単独な直流給電電源19がセンサ8回路と接続され,給電回路を形成する,ことを特徴とする。
当該実施例において,センサ8はそれぞれ水位センサと吹き零れセンサの二のセンサであって,電子的な自動スマート制御回路3とカプラ18を用いて,非直流パスで接続されるインタフェース制御回路を形成する。
カプラは型番がP521-2であるフォトカプラを使用する。
当該実施例において,単独の直流給電電源19は,電子的な自動スマート制御回路の作動電源と同一の電源変圧器と独立な二次低圧コイルを用いて,整流器フィルターで実現する。」

(2e)「



(2f)「



(2g)「



第5 当審の判断
1 本件発明と甲1発明との対比・判断
本件発明と甲1発明とを対比すると,各文言の意味,機能,または作用等からみて,後者の「豆乳製造機」,「カップ体」,「ヘッド」,「長軸モータ」,「電源」,「加熱制御回路」,「加熱管」,「ノーマルオープン感度スイッチ部品」,「シース」,「孔」,「制御凸台」,「突き板」及び「変圧器」は,前者の「家庭用豆乳・豆腐製造機」,「胴体」,「本体」,「駆動モータ」,「商用交流電源」,「制御部」及び「一次側電源制御装置」,「ヒータ」,「第1大容量スイッチ」,「垂直壁」,「貫通孔」,「突起部」,「プッシュロッド」及び「トランスフォーマ」に相当する。
後者の「柄の付いたカップ体と,カップ口に置かれたヘッドとを備え,ヘッドは上蓋と底蓋とを備え」ていることは,前者の「前記胴体の上部に位置する本体」を備えていることに相当する。
また,後者の「制御凸台」は,甲第1号証の図2における配置関係からみて(上記記載事項(1e)),前者の「胴体の上部一側に上に向かって突設されている突起部」に相当する。
さらに,後者の「電源及び加熱制御回路にカップ口の上方の上蓋(4)内に位置される回路のオンオフを制御するノーマルオープン感度スイッチ部品が設けられ」,「制御凸台がノーマルオ-プン感度スイッチのシリコーン体の突き板(3)に接触」する態様は,甲第1号証の図1の電源とスイッチとの配置関係を併せてみると(上記記載事項(1e)),前者の「本体の前記突起部に対応する部位に設置されて前記突起部によってオン/オフされ,一側に商用交流電源が連結されている第1大容量スイッチ」を備えることに相当する。
後者の「電源,ノーマルオープン感度スイッチ,変圧器が回路を形成」することは,前者の「前記第1大容量スイッチの他側に一次側が連結されているトランスフォーマ」を有する態様に相当する。
後者の「シリコーン体の突き板(3)」は,甲第1号証の図2の配置からみて(上記記載事項(1e)),前者の「突起部と前記第1大容量スイッチとの間に水平に設置されているプッシュロッド」に相当する。
後者の「ブラケット」及び「シース」と「突き板」との関係は,甲第1号証の図2の配置関係からみて(上記記載事項(1e)),前者の「本体に設けられ,前記プッシュロッドの垂直方向高さよりも高い垂直方向高さを有し,前記プッシュロッドに隣接し,前記プッシュロッドが沿って上下動可能な垂直壁をさらに有し」た態様に相当する。
後者の「取り付けブラケットは筒状であり,筒底にはカップ体(5)の制御凸台に合う孔があ」ることは,甲第1号証の図2(上記記載事項(1e))と併せてみると,前者の「本体に,前記プッシュロッドおよび前記垂直壁に隣接して貫通孔を設け」た態様に相当する。
後者の「筒底にはカップ体(5)の制御凸台に合う孔があり,制御凸台がノーマルオ-プン感度スイッチのシリコーン体の突き板(3)に接触し」ていることは,前者の「プッシュロッドによって前記第1大容量スイッチをオン/オフするために該プッシュロッドに前記突起部が接するように,該突起部が前記貫通孔内を貫通して挿入され」る態様に相当する。
また,後者の「カップ体に適量な水が入れられたら,粉砕装置の濾し網が取り付けられたヘッドがカップ体に置かれ,カップ体口にある制御凸台が上蓋にあるそれに合う孔に挿入され」,「正常な作動過程において,ヘッドを強制的に引き上げたり,豆乳製造機が不意に転倒したりした場合,ヘッドとカップ体とが互いに離間するため,ノーマルオープン感度スイッチが解除され,機械全体の電源が切られる」ことは,前者の「前記胴体に前記本体を閉じたときに,前記突起部が前記貫通孔に挿入されて貫通して前記プッシュロッドを押し上げ,これによって該プッシュロッドが,前記第1大容量スイッチをONするように該第1大容量スイッチに接し,また,前記胴体から前記本体を開いたときに,前記プッシュロッドが前記第1大容量スイッチをOFFするように前記突起部は前記プッシュロッドから離れる」ことに相当する。

そこで本件発明の用語を用いて表現すると,本件発明は,甲1発明と以下の一致点及び相違点を有する。

(一致点)
「胴体の上部一側に上に向かって突設されている突起部と,
前記胴体の上部に位置する本体の前記突起部に対応する部位に設置されて前記突起部によってオン/オフされ,一側に商用交流電源が連結されている第1大容量スイッチと,
前記第1大容量スイッチの他側に一次側が連結されているトランスフォーマと,
前記突起部と前記第1大容量スイッチとの間に水平に設置されているプッシュロッドをさらに含み,
前記本体に設けられ,前記プッシュロッドの垂直方向高さよりも高い垂直方向高さを有し,前記プッシュロッドに隣接し,前記プッシュロッドが沿って上下動可能な垂直壁をさらに有し,
さらに,前記本体に,前記プッシュロッドおよび前記垂直壁に隣接して貫通孔を設け,前記プッシュロッドによって前記第1大容量スイッチをオン/オフするために該プッシュロッドに前記突起部が接するように,該突起部が前記貫通孔内を貫通して挿入され,
前記胴体に前記本体を閉じたときに,前記突起部が前記貫通孔に挿入されて貫通して前記プッシュロッドを押し上げ,これによって該プッシュロッドが,前記第1大容量スイッチをONするように該第1大容量スイッチに接し,また,前記胴体から前記本体を開いたときに,前記プッシュロッドが前記第1大容量スイッチをOFFするように前記突起部は前記プッシュロッドから離れる,
家庭用豆乳・豆腐製造機の一次側電源制御装置。」

(相違点1)
本件発明は,「第1大容量スイッチとトランスフォーマとの間に互いに並列に連結されており,駆動モータとヒータにそれぞれ連結され,制御部の制御信号に基づいて前記駆動モータとヒータに前記商用交流電源の電源がそれぞれ独立的に供給又は遮断されるようにする一対のリレー」を備えているのに対して,甲1発明は,そのような特定がなされていない点。

(相違点2)
本件発明は,「前記商用交流電源ACを挟んで前記第1大容量スイッチと直列に設置されてプッシュロッドによってオン/オフされる第2大容量スイッチをさらに含」んでいるのに対して,甲1発明は,そのような特定がなされていない点。

そこで,上記相違点について以下に検討する。

(相違点1について)
甲1発明において,長軸モータと加熱管を個別に制御する必要があることは,明らかであり,甲第1号証の図1(上記記載事項(1e))には,モータと加熱管を並列に連結することも示唆されている。
加えて,甲1発明は,ノーマルオープン感度スイッチの解除により機械全体の電源が切られるものである。
以上のことから,長軸モータと加熱管を,ノーマルオープン感度スイッチと変圧器との間に互いに並列に連結することは,当業者が容易になし得た設計事項である。
さらに,甲第2号証の豆乳製造機においても,モータと電熱管を個別に制御する必要があるところ,甲第2号証の図3(上記記載事項(2g))を参照すれば,上記制御を実現するための回路として,モータMと電熱管RGにそれぞれリレーを連結し,制御部の制御信号に基づいて,前記モータMと電熱管RGに電源がそれぞれ独立的に供給又は遮断されるようにした回路が示されていると認められる。
よって,甲1発明の長軸モータと加熱管を制御するために,同様の制御を実現する甲第2号証の上記回路構成を採用することは,当業者が容易になし得たことである。
以上のとおりであるから,甲1発明において,上記相違点1に係る本件発明の特定事項を採用することは,当業者が容易になし得たことである。

(相違点2について)
甲1発明は,電源の一方の側に制御凸台によりON/OFFされるノーマルオープン感度スイッチが設置され,正常な作動過程において,ヘッドを強制的に引き上げたり,豆乳製造機が不意に転倒したりした場合,ヘッドとカップ体とが互いに離間するため,ノーマルオープン感度スイッチが解除され,機械全体の電源が切られるようになされているが,より安全性を高めるために,同様の装置を複数設けることは当業者が容易になし得たことである。 そして,同様の装置を設ける際の回路配置として,当該装置のスイッチを,電源を挟んで前記ノーマルオープン感度スイッチと直列に設置することは,当業者が適宜なし得た事項である。
よって,甲1発明において,上記相違点2に係る本件発明の特定事項を採用することは,当業者が容易になし得たことである。

2 したがって,本件発明は,甲1発明および甲第2号証の記載事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第6 むすび
以上のとおりであるから,本件発明についての特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり,同法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきものである。
審判に関する費用については,特許法第169条2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により,被請求人が負担するものとする。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-10-12 
結審通知日 2017-11-09 
審決日 2017-10-31 
出願番号 特願2004-294008(P2004-294008)
審決分類 P 1 113・ 121- Z (A23L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 長谷川 茜  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 莊司 英史
山崎 勝司
登録日 2007-12-28 
登録番号 特許第4059875号(P4059875)
発明の名称 家庭用豆乳・豆腐製造機の一次側電源制御装置  
代理人 西内 盛二  

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