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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1338665
審判番号 不服2017-5416  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-17 
確定日 2018-04-16 
事件の表示 特願2014-221214「イメージセンサおよびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月 1日出願公開,特開2016- 18986,請求項の数(9)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成26年10月30日の出願(パリ条約による優先権主張 2014年(平成26年)7月9日(以下,左の日を「本願優先日」という。),アメリカ合衆国)であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成26年10月30日 審査請求
平成28年 3月28日 拒絶理由通知
平成28年 7月 1日 意見書・手続補正書
平成28年12日26日 拒絶査定(以下,「原査定」という。)
平成29年 4月17日 審判請求・手続補正書
平成29年12月12日 拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由通知」という。)
平成30年 1月30日 意見書・手続補正書

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 1
・引用文献等 A,B
先に通知した引用文献Aには,「受光センサ部12(感知層)と,前記感知層上に配置された層内カラーフィルター24(フィルターユニット)と,前記フィルターユニット上に配置されたマイクロレンズ27と,を含むイメージセンサ。」が記載され,前記層内カラーフィルター24(フィルターユニット)は,カラーフィルターとしての機能を有するとともに,層内レンズとしての機能を有すること,また,前記マイクロレンズと,前記フィルターユニットを感知層上に配置することで,カメラのレンズの絞りを開いた場合にも,集光率の低下を防止でき,画質を向上できることが記載されている(特に段落[0022]-[0052],[図1]-[図13]を参照されたい。)。

(対比)
本願の請求項1に係る発明と,引用文献Aに記載された発明とを対比する。
本願の請求項1に係る発明においては,前記フィルターユニットは,勾配屈折率を有するのに対し,引用文献Aに記載された発明においては,当該構成が記載されていない点で相違する(以下,「相違点」という。)
(相違点の判断)
上記相違点について検討する。

先に通知した引用文献Bには,イメージセンサにおいて,カラーフィルター104(フィルターユニット)は,屈折率分布領域104a(勾配屈折率)を有すること,当該構成により,前記屈折率分布領域104aは集光部(従来のマイクロレンズ)として機能し,該集光部と受光部との距離を近づけることができ,集光部の開口数を向上することができることが記載されている(特に段落[0019]-[0021],[0028]-[0042],[図2]-[図3]を参照されたい。)。
引用文献Aと引用文献Bは,イメージセンサという共通の技術分野に属しており,集光部の開口数を向上するために,引用文献Aに記載されたイメージセンサの,層内レンズとしても機能する,フイルタ-ユニットに,引用文献Bに記載された発明の,レンズとしても機能するフィルターユニットを適用すること,すなわち,本願の請求項1に係る発明の構成とすることは,当業者が容易になし得ることである。
出願人は,平成28年7月1日付け意見書において,「しかしながら,引用文献Bの図2では,カラーフィルター104は,屈折率分布領域104aにより,マイクロレンズとしての機能を有しています。換言すれば,カラーフィルタ104は,マイクロレンズでもあります。引用文献Bでは,カラーフィルタ104上にマイクロレンズを設置する必要がありません。引用文献Bのカラーフィルター104を引用文献1に適用すると,引用文献Aのマイクロレンズ27を引用文献Bのマイクロレンズ(カラーフィルター104)に設置することになります。従って,引用文献Aと引用文献Bは,イメージセンサという共通の技術分野に属していますが,異なる構成及び機能を有していますので,当業者がこれらの発明を組合わせることはありません。引用文献Aと引用文献Bは,本願の請求項1と請求項7の発明を開示及び示唆するものではありません。よって,引用文献Aに記載された発明に,引用文献Bに記載された発明を適用して,本願の請求項1と請求項7に係る発明の構成とすることは,当業者が容易になし得ることではありません。
」と主張している。
出願人の当該主張について検討する。
引用文献Aに記載された発明は,マイクロレンズと,層内レンズとしても機能する層内カラーフィルター24(フィルターユニット)を有するイメージセンサであり,引用文献Aに記載されたイメージセンサに,引用文献2に記載された発明を適用する際に,引用文献Aに記載された層内カラーフィルター24(フィルターユニット)に,引用文献Bに記載されれたレンズとしても機能するカラーフィルター104(フィルターユニット)を適用することは,当業者が容易になし得ることである。
したがって,出願人の当該主張は採用できない
よって,本願の請求項1に係る発明は,引用文献A,Bに基づいて,当業者が容易に発明することができたものであるから,依然として,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 2-12
・引用文献等 A-F
平成28年3月28日付け拒絶理由通知書において,通知したとおりである。
よって,本願の請求項2-5,7に係る発明は,引用文献A,Bに基づいて,本願の請求項6に係る発明は,引用文献A-Cに基づいて,本願の請求項8-10に係る発明は,引用文献A,B,D,Eに基づいて,本願の請求項11に係る発明は,引用文献A,B,Fに基づいて,及び,本願の請求項12に係る発明は,引用文献A,B,C,Fに基づいて,当業者が容易に発明することができたものであるから,依然として,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
A.特開平11-284158号公報
B.特開2003-209231号公報
C.特開2010-212306号公報
D.特開平02-310501号公報
E.特開昭58-220106号公報
F.特開2009-267637号公報

第3 当審拒絶理由の概要
平成29年12月12日付けで当審より通知した拒絶理由の概要は以下のとおりである。

1.(サポート要件)本件出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
2.(明確性)本件出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
3.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。
4.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・理由 1(サポート要件)
・請求項6
請求項6に係る発明は,イメージセンサによって生成された画像信号の品質を向上させるイメージセンサの製造方法を提供する事を技術的課題(本願明細書【0005】参照)としており,当該技術的課題を解決するための手段として,勾配屈折率が一定の条件,たとえば「勾配屈折率は,フィルターユニットの中心垂直軸に対し対称をなし,前記中心垂直軸から前記フィルターユニットの側壁に徐々に減少する」または「前記フィルターユニットの底面から前記フィルターユニットの上面に徐々に増加する」,が必須と認められるが,請求項6に係る発明は,単に「勾配屈折率を持たせる」とのみ記載されており,課題解決のための手段が反映されておらず,その結果,発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することになっており,サポート要件に違反する。

・理由 1(サポート要件)
・請求項9
請求項9に係る発明は,請求項6を引用しているので,「光ビームを前記フィルターユニットに出射し,前記フィルターユニットに勾配屈折率を持たせるステップ」を必須の要素とするが,請求項9に係る発明に対応した【0037】?【0040】の記載には,当該ステップが記載されておらず,請求項9に係る発明は,明細書に記載されておらずサポート要件に違反する。

・理由 2(明確性)
・請求項9
請求項9に係る発明は,請求項6を引用しているので,「光ビームを前記フィルターユニットに出射し,前記フィルターユニットに勾配屈折率を持たせる」方法と「複数の材料の屈折率より小さい屈折率を有する複数の材料を積層する」方法とが混在しており,イメージセンサの製造方法として不明確である。

・理由 2(明確性)
・請求項6?10
請求項6において「フィルターユニットにマイクロレンズを形成するステップ」という記載は,フィルターユニット「の一部」にマイクロレンズを形成するのか,フィルターユニット「上」にマイクロレンズを形成するのかが明らかでない。
請求項6を引用する請求項7?10にも同様の拒絶理由が存する。

・理由 3,4(新規性,進歩性)
・請求項2,5
・引用文献 1
引用文献1の,特に,【0062】?【0083】及び図1,2には,光電変換素子(請求項2において「感知層」に対応)と,光電返還素子層の上に配置された染料内添型カラーフィルター109層と顔料分散型カラーフィルター層110からなる積層カラーフィルター(特に【0066】参照,請求項2において「フィルターユニット」に対応),積層カラーフィルター層上に透明平坦膜111を介してマイクロレンズ112を含み,
積層カラーフィルターの下部を構成する染料内添型カラーフィルター109層の屈折率を上部を構成する顔料分散型カラーフィルター層110の屈折率よりも小さくする(請求項2において「勾配屈折率は底面から上面に徐々に増加する」に対応)固体撮像素子(請求項2において「イメージセンサ」に対応)が開示されている。
請求項2を引用する請求項5にも同様の拒絶理由が存する。

・理由 3,4(新規性,進歩性)
・請求項 6?10
・引用文献 2
請求項6において「フィルターユニットにマイクロレンズを形成するステップ」という記載を,フィルターユニット「の一部」にマイクロレンズを形成すると解した場合には,請求項6に係る発明は,引用文献2に記載された発明又は引用文献2に記載された発明に基づいて容易に発明された場合に当たる。
すなわち,引用文献2には,受光部109(請求項6において「感知層」に対応)上にカラーフィルター104(請求項6において「フィルターユニット」に対応)を形成する工程とを形成するステップと,選択的重合法等(特に,【0021】を参照)により光ビームをカラーフィルター104に出射し,前記カラーフィルターの表面の一部の所望の位置に屈折率分布領域(特に,【0037】を参照。請求項6において「勾配屈折率」に対応)を形成する工程と,前記カラ-フィルター104にマイクロレンズとしての機能を有する屈折率分布領域を形成するステップと,を含む固体撮像装置(請求項6において「イメージセンサ」に対応)の製造方法,が開示されている。

<拒絶の理由を発見しない請求項>
請求項1,3,4に係る発明については,現時点では,拒絶の理由を発見しない。拒絶の理由が新たに発見された場合には拒絶の理由が通知される。

引 用 文 献 等 一 覧
1.特開2006-237122号公報
2.特開2003-209231号公報(原査定の引用文献B)

第4 本願発明
本願請求項1ないし9に係る発明(以下,「本願発明1」ないし「本願発明9」という。)は,平成30年1月30日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
感知層と,
前記感知層上に配置されたフィルターユニットと,
前記フィルターユニット上に配置されたマイクロレンズと,を含み,
前記フィルターユニットは,勾配屈折率を有し,
前記勾配屈折率は,前記フィルターユニットの中心垂直軸に対し対称をなし,前記中心垂直軸から前記フィルターユニットの側壁に徐々に減少するイメージセンサ。
【請求項2】
感知層と,
前記感知層上に配置されたフィルターユニットと,
前記フィルターユニット上に配置されたマイクロレンズと,を含み,
前記フィルターユニットは,勾配屈折率を有し,
前記フィルターユニットは,前記感知層上に配置された底面を有し,且つ前記底面に相対し,前記マイクロレンズに接続された上面を有し,
前記フィルターユニットは,複数の積層材料を含み,前記複数の積層材料のうち最下層の前記積層材料を除く前記各積層材料は,前記各積層材料のうち,下方の前記積層材料の屈折率より小さい屈折率を有するイメージセンサ。
【請求項3】
前記積層材料の下方に配置されたバンプ形状の材料を更に含み,前記積層材料の形状は,バンプ形状の材料の輪郭に対応する請求項2に記載のイメージセンサ。
【請求項4】
前記勾配屈折率は,約1.4?約1.9の範囲にあり,前記勾配屈折率は,最大値と最小値を有し,前記最大値と前記最小値との差は,約0.07?約0.5の範囲にある請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のイメージセンサ。
【請求項5】
感知層上にフィルターユニットを形成するステップと,
光ビームを前記フィルターユニットに出射し,前記フィルターユニットに,前記フィルターユニットの中心垂直軸に対し対称をなし,前記中心軸から前記フィルターユニットの側壁に徐々に減少する勾配屈折率を持たせるステップと,
前記フィルターユニット上にマイクロレンズを形成するステップと,を含むイメージセンサの製造方法。
【請求項6】
前記光ビームは,マスクを経由して前記フィルターユニットに出射され,前記マスクは,前記フィルターユニットの中心領域に対応する孔を有する請求項5に記載のイメージセンサの製造方法。
【請求項7】
感知層上にフィルターユニットを形成するステップと,
光ビームを前記フィルターユニットに均一に出射し,前記フィルターユニットに,前記フィルターユニットの底面から前記フィルターユニットの上面に増加する勾配屈折率を持たせるステップと,
前記フィルターユニット上にマイクロレンズを形成するステップと,を含み,前記フィルターユニットの底面は,前記感知層上に配置されるイメージセンサの製造方法。
【請求項8】
感知層上に複数の材料を積層して,フィルターユニットを形成するステップと,
前記フィルターユニット上にマイクロレンズを形成するステップと,を含み,
積層された複数の前記材料のうち最下層の前記材料を除く前記各材料は,複数の前記材料のうち,下方の前記材料の屈折率より小さい屈折率を有するイメージセンサの製造方法。
【請求項9】
前記材料の下方に配置されたバンプ形状の材料を更に含み,前記材料の形状は,バンプ形状の材料の輪郭に対応し,前記材料は,湾曲形状,または多角形輪郭を有する請求項8に記載のイメージセンサの製造方法。」

第5 引用文献,引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
当審拒絶理由通知で引用された,特開2006-237122号公報には,図面とともに,次の記載がある。(下線は当審において付加した。以下同じ。)
ア「【0062】
図1は,本発明の実施形態に係る固体撮像装置の断面構成を模式的に示す図である。図1には,光電変換素子3個に相当する範囲が示されている。
【0063】
図1に示すように,本発明の固体撮像装置100は,第1導電型の半導体基板,ここではN型半導体基板101を用いて形成されている。N型半導体基板上には第2導電型ウェル,ここではP型ウェル102が形成され,P型ウェル102上に,複数の光電変換素子103をN型半導体領域として備えている。ここで,光電変換素子103は,N型半導体基板101上にマトリクス配列されている。尚,本実施形態とは逆に,第1導電型をP型,第2導電型をN型として本発明の固体撮像装置を構成することも可能である。
【0064】
また,Pウェル102及び光電変換素子103を覆うゲート絶縁膜104を備え,ゲート絶縁膜104上における光電変換素子103の間の領域に,転送電極105を備えている。転送電極105は,例えば多結晶シリコンからなるが,特に限定しない。
【0065】
また,転送電極105を覆う層間絶縁膜106を備え,更に層間絶縁膜106を覆うように形成された遮光膜107を備えている。また,光電変換素子103上及び遮光膜107上を覆うように,表面保護膜108が形成されている。ここで,遮光膜107は例えばタングステン等によって形成されており,また,表面保護膜108は例えばSiON等によって形成されている。
【0066】
また,転送電極105,層間絶縁膜106及び遮光膜107は,ゲート絶縁膜104上において,光電変換素子103を取り囲む平面形状を有するように形成されているため,光電変換素子103上には凹部が構成されている。該凹部を埋め込むように,ゲート絶縁膜104を介して光電変換素子103上には染料内添型カラーフィルタ層109が形成されている。更に,染料内添型カラーフィルタ層109上には,顔料分散型カラーフィルター層110が形成され,二層の積層構造をとる積層カラーフィルターとなっている。
【0067】
ここで,染料内添型カラーフィルタ層109は,緑色染料内添型カラーフィルタ層109G,青色染料内添型カラーフィルタ層109B及び赤色染料内添型カラーフィルタ層109Rからなっており,個々の光電変換素子103に対して所定の色の染料内添型カラーフィルタ層が備えられている。
【0068】
また,顔料分散型カラーフィルタ層110は,緑色顔料分散型カラーフィルタ層110G,青色顔料分散型カラーフィルタ層110B及び赤色顔料分散型カラーフィルタ層110Rからなっている。これらは,それぞれ下層の染料内添型カラーフィルタ層109の色と同一の色となっている。
【0069】
また,表面保護膜108及び顔料分散型カラーフィルタ層110を覆う透明平坦化膜が備えられ,表面を平坦化している。更に,表面保護膜108上に,それぞれの光電変換素子103に対してマイクロレンズ112が備えられ,集光効率が高められている。
【0070】
以上に説明したように,固体撮像装置100において,積層カラーフィルタは,染料内添型カラーフィルタ層109の上に顔料分散型カラーフィルタ層110が積層された構造を有する。このため,分光特性に優れ且つ染料が粒子状ではないために黒色欠陥が少ないという染料内添型カラーフィルタ層の利点が利用できる。これと共に,耐久性(例えば耐光性,耐熱性及び耐薬品性等)には劣るという染料内添型カラーフィルタ層の欠点について,耐久性に優れる顔料分散型カラーフィルタ層が積層されていることにより,改善されている。
【0071】
更に,顔料分散型カラーフィルタ層110はマイクロレンズ112に近い位置に形成されているため,マイクロレンズ112によって集光される光のスポット径が比較的大きい領域に顔料分散型カラーフィルタ層110が配置されていることになる。逆に,光電変換素子103に近い,集光された光のスポット径が比較的小さい領域には,染料内添型カラーフィルタ層109が配置されている。この結果,顔料分散型カラーフィルタ層の欠点である黒色欠陥についても,軽減されている。
【0072】
また,顔料分散型のカラーフィルタ層に比べて表面保護膜に対する密着性の良い染料内添型カラーフィルタ層109を表面保護膜108上に形成することにより,表面保護膜108上に備えられている必要があった透明平坦化膜は不要である。このため,固体撮像装置100においては,光電変換素子103上に直接カラーフィルタ層を形成することができる。
【0073】
この結果,光電変換素子103からマイクロレンズ112までの距離が短くなる。言い換えると,光電変換素子103とマイクロレンズ112との間の層が薄膜化する。
【0074】
また,先に説明したように,転送電極105等によって光電変換素子103上に形成される凹部に対してカラーフィルタ層を埋め込むことができる。このため,カラーフィルタ層を容易に寸法精度良く形成することができる。
【0075】
これらのことから,光感度を向上し,斜め入射光に対する隣接画素からの混色を防止し,感度バラツキ,ライン濃淡及び色ムラを低減することができる。更に,入射角度依存性についても改善する。
【0076】
また,染料内添型カラーフィルタ層109の屈折率を顔料分散型カラーフィルタ層110の屈折率よりも小さくする(そのような材料を用いて形成する)と,集光率が向上する。また,透明平坦化膜111の屈折率を顔料分散型カラーフィルタ層110の屈折率よりも小さくすることにより,光電変換素子103に集光される光量が大きくなる。更に,マイクロレンズ112の屈折率を透明平坦化膜111の屈折率よりも大きくすることによっても,集光率が高くなる。これらについて,図2を参照して説明する。
【0077】
図2は,本実施形態の固体撮像装置100におけるマイクロレンズ112の外周端付近(光電変換素子103よりも外側)に入射した入射光151が通過する経路を示している。
【0078】
まず,マイクロレンズ112,透明平坦化膜111,顔料分散型カラーフィルタ層110及び染料内添型カラーフィルタ層109の屈折率が,それぞれ前記のような関係を有している場合を考える。この場合,入射光は実線に示す経路を通って光電変換素子103に至る。
【0079】
まず,マイクロレンズ112により,入射光151は光電変換素子103の内側方向に屈折する。次に,屈折率がマイクロレンズ112>透明平坦化膜111であるため,マイクロレンズ112と透明平坦化膜111との界面において,入射光は光電変換素子103の内側方向に屈折する。同様に,屈折率は顔料分散型カラーフィルタ層110>染料内添型カラーフィルタ層109であるため,顔料分散型カラーフィルタ層110と染料内添型カラーフィルタ層109との界面においても,入射光は光電変換素子103の内側方向に屈折する。以上,どちらの場合についても,より光電変換素子103から遠い位置からも光を集光することを可能とし,集光率を向上することに貢献している。ここで,これらの屈折率の大小関係が逆である場合,入射光は光電変換素子103から遠ざかる方向に屈折するため,集光率は低下することになる。
【0080】
また,屈折率が透明平坦化膜111<顔料分散型カラーフィルタ層110であることから,透明平坦化膜111と顔料分散型カラーフィルタ層110との界面においては,入射光は,光電変換素子103に対する入射角が小さくなる方向に屈折する。この結果,積層カラーフィルタ(顔料分散型カラーフィルタ層110及び染料内添型カラーフィルタ層109)内を通過する経路が短くなり,積層カラーフィルタ中で吸収される光の量が小さく
なる。この結果,光電変換素子103に集光される光量が大きくなる。以上のような経路を,図2において,実線によって示した。
【0081】
これに対し,屈折率が透明平坦化膜111>顔料分散型カラーフィルタ層110である(他は本実施形態と同じ関係である)場合を,図2に破線によって示している。この場合,透明平坦化膜111と顔料分散型カラーフィルタ層110との界面においても入射光は光電変換素子の内側方向に屈折する。このような経路は,マイクロレンズ112の外周端付近に対する入射光を光電変換素子103に集光する効果には優れているが,積層カラーフィルタ内を通過する経路が本実施形態の場合よりも長くなる。このため,積層カラーフィルタ内において吸収される光量が大きくなり,結果として本実施形態よりも集光される光量は小さくなる。
【0082】
以上のように,マイクロレンズ112等の屈折率が,本実施形態のような関係を有している場合に,マイクロレンズ112の外周端により近い位置からも集光が可能であると共に積層カラーフィルタ中において光が吸収される量をより小さくすることができ,光電変換素子103に対して集光される光の量を総合的に大きくすることができる。
【0083】
以上の結果,本実施形態の固体撮像装置100を用いると,高画質の画像を撮像することができる。」

イ 図2には,以下の事項が記載されていると認められる。
光電変換素子103と,光電変換素子103上に配置された染料内添型カラーフィルタ層109と,染料内添型カラーフィルタ層109上に配置された顔料分散型カラーフィルタ層110と,マイクロレンズ112を備えた,固体撮像素子。

(2)引用発明1
引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「光電変換素子103と,光電変換素子103上に配置された染料内添型カラーフィルタ層109と,染料内添型カラーフィルタ層109上に配置された顔料分散型カラーフィルタ層110と,マイクロレンズ112を備え,屈折率は顔料分散型カラーフィルタ層110>染料内添型カラーフィルタ層109である固体撮像素子。」

2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載事項
当審拒絶理由通知及び原査定で引用された,特開2003-209231号公報には,図面とともに,次の記載がある。
ア「【0005】マイクロレンズは通常,個々の受光部に対応して設けられている。マイクロレンズの形成方法としてはフォトリソグラフィー法を用いる方法が一般的である。この方法は,開口部上面を透明樹脂によって平坦化した後に,マイクロレンズとなる感光性樹脂をフォトリソグラフィー法によって各受光部に対応するように島状に形成し,加熱することによって島状の樹脂を軟化させ,その表面張力によって球面化して曲面状のマイクロレンズを形成するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし,このように形成されるマイクロレンズは,受光部上にカラーフィルターや平坦化層を形成し,それらの上に形成されなければならないためにマイクロレンズと受光部との距離を短縮することが難しく,このことはマイクロレンズの開口数をあげる上で大きな制約になっていた。」

イ「【0013】本発明に係る固体撮像装置は,受光部と,該受光部上に設けられたカラーフィルターと,マイクロレンズとを少なくとも有し,前記マイクロレンズの表面が気相に接するように構成された固体撮像装置において,前記カラーフィルターに屈折率が拡がって変化する屈折率分布を形成することによって前記マイクロレンズが形成されていることを特徴とする。」

ウ「【0015】(実施形態1)図1は実施形態1の模式的断面図を示す。図1において,110は反射防止膜,102は表面平坦化層103の表面,103は表面平坦化層を示す。表面平坦化層103は受光部(光電変換素子)109の光入射側に形成され,低屈折率樹脂で形成されている。表面平坦化層103には受光部109に対応するように屈折率分布領域103aが形成されている。103bは低屈折率樹脂領域である。屈折率分布領域103aは表面平坦化層103の上部側から下部側に向け拡がりながら,屈折率が次第に減少する構成となっている。図1の曲線はその様子を示したものである。」

エ「【0021】本実施形態では屈折率分布型領域の形成方法として拡散重合法を用いているが,それ以外にも特開昭61-251540号公報に開示されるイオン交換法,特開平02-310501号公報に開示される選択的重合法等がある。この形成方法は屈折率分布領域のマイクロレンズとしての機能の設計に応じて選択,適用が可能である。」

オ「【0028】(実施形態3)次に,実施形態3について図2を用いて詳細に説明する。図2は実施形態3の模式的断面図を示す。110は反射防止膜,101はカラーフィルターの表面,104はカラーフィルターである。カラーフィルター104は受光部(光電変換素子)109の光入射側に形成され,低屈折率樹脂で形成されている。カラーフィルター104には受光部109に対応するように屈折率分布領域104aが形成されている。104bは低屈折率樹脂領域である。
【0029】屈折率分布領域104aは表面平坦化層104の上部側から下部側に向け拡がりながら,屈折率が次第に減少する構成となっている。図2の曲線はその様子を示したものである。この屈折率分布領域はマイクロレンズとしての機能を果たしていて,入射光を受光部に集めている。
【0030】図2では,各領域に境界があるような図示になっているが,実際にはこれらの領域に明確な境界はない。また,屈折率分布領域104aはカラーフィルター104の内部に形成されているので,その表面は略平面になっている。
【0031】105は層内平坦化層,106は遮光膜,107は層間絶縁層,108は配線,109は受光部を示す。本実施形態では,カラーフィルター104上に表面平坦化層103がない構成になっている。
【0032】以下,本実施形態の製造方法について説明する。まず,シリコン等のを材料とするウェハに受光部109,配線108,層間絶縁層107,遮光層106,層内平坦化層105を形成する。この方法は従来の半導体製造工程で行うので説明を省略する。ついで,カラーフィルター104を形成する。この方法も従来のカラーフィルター製造工程で行うので説明を省略する。
【0033】カラーフィルター104の形成後,前述の拡散重合法によりカラーフィルター104の表面の所望の位置に屈折率分布領域を形成する。」

カ 図2には,以下の事項が記載されていると認められる。

カラーフィルター104に,カラーフィルター104の中心垂直軸に対し,対称をなし,中心軸からカラーフィルター104の側壁に徐々に減少し,かつカラーフィルター104の上部側から下部側に向け拡がりながら,屈折率が次第に減少する勾配屈折率を形成すること。

(2)引用発明2
引用文献2には,以下の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「ウェハに受光部109,配線108,層間絶縁層107,遮光層106,層内平坦化層105を形成し,ついで,カラーフィルター104を形成し,カラーフィルター104の形成後,拡散重合法によりカラーフィルター104の表面の所望の位置に屈折率分布領域を形成し,カラーフィルター104に,カラーフィルター104の中心垂直軸に対し,対称をなし,中心軸からカラーフィルター104の側壁に徐々に減少し,かつカラーフィルター104の上部側から下部側に向け拡がりながら,屈折率が次第に減少する勾配屈折率を形成する,カラーフィルタ104にマイクロレンズを形成する工程を含む固体撮像装置の製造方法。」

3 引用文献Aについて
原査定で引用された,特開平11-284158号公報には,図面とともに,次の記載がある。
「【0022】
【発明の実施の形態】本発明の固体撮像素子は,基板上に,光電変換をなす受光センサ部と,受光センサ部から読み出された信号電荷を転送する電荷転送部と,基板上の,電荷転送部のほぼ直上位置に絶縁膜を介して設けられた転送電極とを有するものし,受光センサ部上に,所定の曲率の凹部を有する層間膜を有し,層間膜上に,層間膜の凹部を埋め込んで,凹部の曲面によって,受光センサ部に入射光を集光させるために必要な曲率の凸部が形成された層内カラーフィルターを有し,層内カラーフィルター上に,マイクロレンズを有するものとし,この層内カラーフィルターは,入射光を受光センサに集光する層内レンズと,カラーフィルターの双方の機能を有するものとする。
【0023】以下,本発明の固体撮像素子の一例について説明するが,本発明は,以下の例に限定されるものではない。図1に本発明の固体撮像素子10の一例の概略断面図を示す。図1に示すように,例えばシリコンよりなる基板11上には,光電変換を行う多数の受光センサ部12が配列形成されている。シリコン基板11上において,受光センサ部12の一方の側には,読み出しゲート13を介して電荷転送部14が形成され,他方の側には,チャネルストップ15を介して他の電荷転送部14が形成されている。受光センサ部12で光電変換されて得られた信号電荷は,読み出しゲート13を介して上記一方の電荷転送部14に読み出され,さらに電荷転送部14にて転送されるようになされている。また,シリコン基板11の表面部には,例えば熱酸化法やCVD法等によって形成されたSiO_(2)よりなる絶縁膜16が設けられている。
【0024】絶縁膜16上には,電荷転送部14のほぼ直上位置に,例えばポリシリコンからなる転送電極17が形成されており,さらに転送電極17とは一部が重なり合う状態で他の転送電極(図示せず)が形成されている。これらの転送電極17の表面上,すなわちその上面および側面上には,転送電極17を覆い,さらに転送電極17間に臨む受光センサ部12上の絶縁膜16を覆って,層間絶縁膜18が形成されている。
【0025】この層間絶縁膜18上には,転送電極17を覆った状態で,例えば,タングステン(W)等の高融点金属により遮光膜19が形成されている。この遮光膜19は,スミアを抑えるため受光センサ部12の直上にまで張り出してなる張出部19aが形成されてなり,受光センサ部12の直上に上記張出部19aで囲った状態に開口部20が形成されたものである。
【0026】この遮光膜19上には,遮光膜19および開口部20に臨む層間絶縁膜18を覆って,例えばBPSG(ボロン・リン・シリケートガラス)よりなる層間膜21が形成されている。この層間膜21は,リフロー処理されることにより,転送電極17間の受光センサ部12上に,凹部21aが形成される。この凹部21aは所要の曲率に調整されて加工される。この層間膜21上には,その表面を覆って,例えばSiN膜や,SiON膜をプラズマCVD法により成膜することにより,パッシベーション膜22が形成されている。
【0027】パッシベーション膜22の上には,例えば色素含有光硬化性樹脂を層間膜21の凹部21aを埋め込んだ状態に所定のパターンに成膜して,層内カラーフィルター24が形成されている。この層内カラーフィルター24は,層間膜凹部21aを埋め込んで形成されることから,凹部21aの曲面によって,受光センサ部12に入射光を集光させるために必要な曲率の凸部24aが形成されてなる。この層内カラーフィルター24は,図14に示して説明した従来の固体撮像素子における層内レンズの役割も兼ねていることから,層間膜21を形成するBRSGよりも屈折率の大きいことが必要である。ここで,層間膜21のBRSGの屈折率は,1.45?1.5程度である。この層内カラーフィルター24は,例えば,可視光透過領域における平均屈折率が,1.55以上である材料により形成されている。
(中略)
【0031】この層内カラーフィルター24の上には,透明樹脂等よりなる凸型のマイクロレンズ27が形成されている。このマイクロレンズ27は,入射光を層内カラーフィルター24を介して遮光膜19の開口部19aに導き,受光センサ部12上に集光させるためのものである。よって,このマイクロレンズ27の曲率は,図1に示す固体撮像素子10における受光センサ部12からマイクロレンズ27までの距離に応じて所要の値に選定される。図1に示す固体撮像素子10においては,層内レンズとカラーイフィルターを個別に形成することなく,層内カラーフィルター24のみを形成した構造としたため,受光センサ部からマイクロレンズまでの距離を小さく,例えば約2.5?3μm程度とすることができるため,マイクロレンズの曲率を,図14に示す従来構造の固体撮像素子100におけるマイクロレンズよりも小さく選定される。
(中略)
【0044】
図1に示す固体撮像素子10においては,入射光Lがマイクロレンズ27により集光され,さらに層内カラーフィルター24に入射する。この層内カラーフィルター24は,層内レンズの役割を有するため,ここで再度集光し,入射光Lは,遮光膜19の開口部20内に入射し,層間絶縁膜18,絶縁膜16を透過して受光センサ部12に到達して光電変換がなされる。
(中略)
【0050】
【発明の効果】本発明の固体撮像素子においては,層内レンズと,カラーフィルターの双方の機能を有し,これらの役割を兼ねた層内カラーフィルターのみを形成した構造としたため,受光センサ部からマイクロレンズの配置面までの距離を小さく形成することができた。これにより,カメラの撮像レンズの絞りを開いた場合のように,マイクロレンズに対して斜めに入射する光が増加した場合においても,マイクロレンズにより集光された光は,遮光膜の開口の中心からずれることなく,集光率の低下を効果的に回避することができた。
【0051】また,受光センサ部からマイクロレンズの配置面までの距離を小さくすることができるため,マイクロレンズの曲率を小さく選定することができた。これにより,マイクロレンズで集光した光Lが,カラーフィルターの端部で蹴られることを回避することができ,画質の向上が図られた。
【0052】本発明の固体撮像素子の製造方法によれば,層内レンズとカラーフィルターを別々に作製することを必要とせず,層内カラーフィルターを形成すれば足りるので,固体撮像素子の製造工程の簡略化を図ることことができた。」

4 引用文献Cについて
原査定で引用された,特開2010-212306号公報には,図面とともに,次の記載がある。
「【0123】
[分布屈折率レンズ]
次に,固体撮像装置102に形成される分布屈折率レンズ307について説明する。
【0124】
図5は,実施の形態1に係る固体撮像装置102に形成される分布屈折率レンズの上面図である。図6は,その分布屈折率レンズの断面図である。
【0125】
分布屈折率レンズ307の同心円構造は,図6のように,膜厚が1.2μm(t1)と0.8μm(t2)の2段同心円構造の酸化珪素(n=1.45)によって構成されている。なお,以下,上段(光入射側)の膜厚をt3(t1?t2)と下段(基板側)の膜厚をt2と記載する。また,この上段/下段で構成される2段同心円構造を,上段/下段光透過膜と定義している。
【0126】
図5において,膜厚が1.2μm(t1)の部分はハッチング10で示し,膜厚0.8μm(t2)の部分はドットパターン11で示している。なお,膜厚が0μmの部分はパターンなし12で示している。また,本実施の形態に係る分布屈折率レンズ307は,酸化珪素を同心円形状に掘り込んだ構造であり,周りの媒質は空気(n=1)である。
【0127】
ここで,分布屈折率レンズ307を形成する領域は,各画素の開口(入射窓)が四角形状であることに合わせて四角形状としている。一般に,入射窓の領域が円形の場合,レンズとレンズの間に隙間ができるため,漏れ光が発生し,集光ロスが増大する原因となる。
しかしながら,入射窓の領域を四角形状とすると,画素の全領域で入射光を集光することができるので,漏れ光は無くなり,集光ロスを低減させることが可能となる。
【0128】
また,一般的な分布屈折率レンズでは,その屈折率は光学中心で最も高くなる。図6に示すように,本実施の形態の場合においても,光学中心14の付近では酸化珪素が密に集まり,外側のゾーン領域になるにしたがって疎へと変わっていく。このとき,各ゾーン領域の幅(以下,「線幅d」という。)13が入射光の波長と同程度かそれよりも小さければ,光が感じる有効屈折率は,そのゾーン領域内の高屈折率材料(例えば,酸化珪素)と低屈折率材料(例えば,空気)の体積比(低屈折率材料の体積/高屈折率材料の体積)によって決まる。つまり,ゾーン領域内の高屈折率材料を増やせば有効屈折率は高くなり,ゾーン領域内の高屈折率材料を減らせば,有効屈折率は低くなる。
【0129】
図7は,各ゾーン領域における2段同心円構造を形成する6つの基本構造を示す図である。図7(a)?図7(f)では,各ゾーン領域における2段同心円構造を形成する高屈折率材料と低屈折率材料との体積比の基本パターンを示している。
(中略)
【0132】
なお,本実施の形態では,分りやすく説明するために,図7(a)?図7(f)のような基本構造を例として説明したが,その他の構造を用いて2段同心円構造を形成しても勿論よい。例えば,図7(b)と図7(c)とを組み合わせた凸形状の構造を用いたり,図7(b)と図7(d)を組み合わせた凹形状の構造を用いたりすることもできる。これらを基本構造とすれば,入射光の半波長程度の領域で同様の集光特性を得ることができる。」

5 引用文献Dについて
原査定で引用された,特開平2-310501号公報には,図面とともに,次の記載がある。
「まず,第1図の斜視図に示すように,屈折率N_(1)の重合体を形成する単量体(単量体混合物を含む)を室温?100℃の条件で一部重合させてゲル基板1を作製した後(a),透明ゲル基板1の片面に拡散防止用マスクとなる無機,有機の薄板又は膜2を密着する。次に,複数個の円形,または,楕円形を除く他のすべての部分が遮光されたフォトマスク3をゲル基板の他方の面に付着させて光照射,特に,取り扱い易さや経済性を考慮して好ましくは紫外線照射を行い,ゲル基板中に選択的に重合を進めた部分4を形成する(c)。この場合,フォトマスク3とゲル基板1との粘着や接着を防止するために,両者の間に非粘着,または,非接着性の透明フィルムを介在しても良い。この透明ゲル基板をN_(1)よりも低屈折率N_(2)の重合体を形成する単量体5に室温?100℃の条件で一定時間浸漬させ,低屈折率単量体の拡散処理を行う(d)。その後,加熱,または,光照射によって屈折率分布形状を固定化させ(e),拡散防止用の無機・有機の薄板,又は,膜を取り除き,光学研磨を行う(f)。(e)の工程において低屈折率単量体の揮散を防止するため,基板の拡散を行った面に他のプラスチックフィルム,または,プラスチック板を密着させて加熱,または,光照射しても差し支えない。低屈折率単体量の拡散はゲル基板の片面からのみ行われており,しかも,紫外線照射部では遅く,未照射部では速いため均一化が行われやすい。このように,両者の拡散状態の差を利用することによって,紫外線照射部,すなわち,選択的に重合が進んだ部分に第2図に示すような屈折率分布形状8をもつレンズ体6が基板にアレー状に形成されるため,屈折率分布壁の平板マイクロレンズアレー7を得ることができる。
(中略)
〔発明の効果〕
本発明によれば,合成樹脂平板レンズアレーを一体化して製造することができるため,平板レンズをアレー化する工程が不要となり,安価で,光学特性のばらつきの小さなレンズアレーを得ることができる。さらに,各平板レンズ径を,フォトマスクを通して光照射によって精度良く規定できること,また,含浸・拡散工程において,ゲル基板と含浸・拡散用のマスクとの密着性の問題を考慮する必要のない方法であることなどの利点をもつため,合成樹脂では困難であった小さなレンズ径の形成が容易となる。」(第3頁左下欄第7行?第7頁左上欄第7行)

6 引用文献Eについて
原査定で引用された,特開昭58-220106号公報には,図面とともに,次の記載がある。
「この発明は上述の事情に対処すべくなされたもので,カラー撮像用の固体撮像装置において開口率を向上することを目的とする。
(中略)
次に,第4図(a)?(d)を参照してこの製造方法を説明する。基板10に光電変換素子12,その他の撮像素子としての必要素子が形成された後に,第4図(a)に示すように,酸化膜19上に透光性基板22,フォトレジスト30が貼付される。そして,各フィルタに対応する開口(ここでは水平方向に長い長方形)を有するマスクを介してフォトレジスト30が露光される。ここで,マスクの各開口の中心が各光電変換素子12の中心と一致するように,マスクと撮像装置が位置合せされる。これにより,同図(b)に示すように,フィルタ(凹部)に対応する部分のフォトレジストが除去される。次に,この残されたフォトレジストをマスクとして,フィルタに対応する部分にレーザービームを照射する。ここで,フィルタに対応する部分は長方形の平面形状を有するので,レーザビームはシリンドリカルレンズ等によって楕円ビームとして照射される。樹脂等の透光性基板22はレーザビームにより熱変性を受け脆くなる。ここで,レーザビームの強度分布はガウス分布であるので,光軸上が最も強く熱変性を受け,周辺部に向かうにつれてその程度は弱くなる。そのため,レーザビームを照射した後に透光性基板22の表面を腐食液を用いて腐食すれば,熱変性を受けた部分が腐食され,同図(c)に示すように,基板22の表面領域に球面状の凹部が形成される。そして,同図(d)に示すように,表面に残されたフォトレジスト30を除去し,凹部に色素を含む高屈折率の透光性部材24,26,28を充填する。この際,フィルタの色区分に従って,一色毎に3回に分けて充填する。
この実施例では,透光性基板22の各凹部は多少の間隙があけられて設けられているが,各凹部を密接して設ければ,なお開口率が向上する。
(中略)
以上説明したようにこの発明によれば,複雑な調整を必要とせずに開口率を向上した固体撮像装置を提供することができる。」(第2頁左上欄1行?第3頁右上欄17行)

7 引用文献Fについて
原査定で引用された,特開2009-267637号公報には,図面とともに,次の記載がある。
「【0047】
図1に示す本実施の形態の固体撮像素子は,例えば,次のようにして製造することができる。
まず,シリコン基板1,絶縁層2,配線層3,オンチップレンズ4の各層を,図9Aに示したオンチップフィルタを導入していない従来の構成と同様に形成する。
次に,オンチップレンズ4の上に,透明な埋め込み層5を形成する。このとき,透明な埋め込み層5の上面に,オンチップレンズ4の上面の曲面形状が反映されるように,埋め込み層5の厚さを選定する。
続いて,埋め込み層5の上に,オンチップフィルタ10の多層膜を形成する。即ち,2つの膜10A,10Bを交互に積層する。
その後,フォトリソグラフィ法により,カラー画素(R,G,B画素)を含む全域画素(A画素)以外の部分をマスクで覆って,全域画素(A画素)のオンチップフィルタ10を選択的にエッチングする。このエッチングは,標準的なドライエッチング技術又はウエットエッチング技術により,容易に行うことができる。このとき,エッチングの条件を選定することによって,全域画素(A画素)のオンチップフィルタ10を除去して形成される穴の側壁面を所望の傾斜角の斜面に形成することが可能である。
次に,全域画素(A画素)のオンチップフィルタ10を除去して形成された穴を埋めて,全面的に,周囲のオンチップフィルタ10とは屈折率が異なる適切な材料による埋め込み層12を形成する。
次に,この埋め込み層12の表面を平坦化する。その後,その平坦面上に,カラー画素(R,G,B画素)において,対応する色のカラーフィルタ6を形成する。また,全域画素(A画素)においては,カラーフィルタ6の代わりに,透明な絶縁層7を形成する。
次に,各画素に,オンチップレンズ8を形成する。
このようにして,図1に示した固体撮像素子を製造することができる。」

第6 対比・判断
1 サポート要件・明確性要件について
請求項5において,「前記フィルターユニットに,前記フィルターユニットの中心垂直軸に対し対称をなし,前記中心軸から前記フィルターユニットの側壁に徐々に減少する勾配屈折率を持たせるステップ」と記載されたことによって,勾配屈折率の条件が記載されていないというサポート要件違反は解消した。
また,請求項8を独立請求項として,「積層された複数の前記材料のうち最下層の前記材料を除く前記各材料は,複数の前記材料のうち,下方の前記材料の屈折率より小さい屈折率を有する」とすることにより,「光ビームを前記フィルターユニットに均一に出射し,前記フィルターユニットに,前記フィルターユニットの底面から前記フィルターユニットの上面に増加する勾配屈折率を持たせるステップ」を有する発明との混在が解消され,サポート要件違反及び明確性要件違反は解消した。
さらに,請求項5ないし9において「フィルターユニット上にマイクロレンズを形成する」ことが明確となり,明確性要件違反は解消した。

2 新規性進歩性について
平成30年1月30日付けの手続補正により,新規性進歩性の拒絶理由の対象となった「イメージセンサ」に関する請求項2及び請求項2を引用する請求項5に係る発明は削除されたので,「イメージセンサの製造方法」に関する本願発明5ないし9について検討する。
(1)本願発明5について
ア 対比
本願発明5と,引用発明2とを対比する。
(ア)引用発明2の「受光部109」,「固体撮像装置」は,本願発明5の「感知層」,「イメージセンサ」に相当する。

(イ)引用発明2の「受光部109?を形成し,ついで,カラーフィルター104を形成」する工程は,本願発明5の「感知層上にフィルターユニットを形成するステップ」に相当する。

(ウ)引用発明2の「拡散重合法」とは,引用文献Dに開示されているように「屈折率N_(1)の重合体を形成する単量体(単量体混合物を含む)を室温?100℃の条件で一部重合させてゲル基板1を作製した後(a),透明ゲル基板1の片面に拡散防止用マスクとなる無機,有機の薄板又は膜2を密着する。次に,複数個の円形,または,楕円形を除く他のすべての部分が遮光されたフォトマスク3をゲル基板の他方の面に付着させて光照射,特に,取り扱い易さや経済性を考慮して好ましくは紫外線照射を行い,ゲル基板中に選択的に重合を進めた部分4を形成する(c)。」「この透明ゲル基板をN1よりも低屈折率N2の重合体を形成する単量体5に室温?100℃の条件で一定時間浸漬させ,低屈折率単量体の拡散処理を行う(d)。その後,加熱,または,光照射によって屈折率分布形状を固定化させ(e)拡散防止用の無機・有機の薄板,又は,膜を取り除き,光学研磨を行う(f)」,換言すると,「両者の拡散状態の差を利用することによって,紫外線照射部,すなわち,選択的に重合が進んだ部分に」「屈折率分布形状8をもつレンズ体6が基板にアレー状に形成される」という,屈折率分布を形成する対象物に光照射を行って屈折率分布を形成する技術である。
また,引用発明2において「カラーフィルター104の中心垂直軸に対し,対称をなし,前記中心軸からカラーフィルター104の側壁に徐々に減少」する「勾配屈折率」は,本願発明5の「前記フィルターユニットの中心垂直軸に対し対称をなし,前記中心軸から前記フィルターユニットの側壁に徐々に減少する勾配屈折率」に相当する。
したがって,引用発明2の「拡散重合法によりカラーフィルター104の表面の所望の位置に屈折率分布領域を形成し,カラーフィルター104に,カラーフィルター104の中心垂直軸に対し,対称をなし,中心軸からカラーフィルター104の側壁に徐々に減少する勾配屈折率を形成する」工程は,後記相違点2を除き,本願発明5の「光を前記フィルターユニットに出射し,前記フィルターユニットに,前記フィルターユニットの中心垂直軸に対し対称をなし,前記中心軸から前記フィルターユニットの側壁に徐々に減少する勾配屈折率を持たせるステップ」の点で共通する。

そうすると,本願発明5と引用発明2とは以下の(エ)の点で一致し,(オ)の点で相違する。

(エ)一致点
感知層上にフィルターユニットを形成するステップと,
光を前記フィルターユニットに出射し,前記フィルターユニットに,前記フィルターユニットの中心垂直軸に対し対称をなし,前記中心軸から前記フィルターユニットの側壁に徐々に減少する勾配屈折率を持たせるステップと,
を含むイメージセンサの製造方法。

(オ)相違点
相違点1
本願発明5では,「前記フィルターユニット上にマイクロレンズを形成するステップ」を有するのに対して,引用発明2では,当該ステップを有しない点。

相違点2
本願発明5では,「光ビームをフィルターユニットに出射」するのに対して,引用発明2では,光を出射をするが「光ビーム」ではない点。

イ 相違点についての判断
相違点1について判断する。
引用発明2は,「マイクロレンズは通常,個々の受光部に対応して設けられている。マイクロレンズの形成方法としてはフォトリソグラフィー法を用いる方法が一般的である。この方法は,開口部上面を透明樹脂によって平坦化した後に,マイクロレンズとなる感光性樹脂をフォトリソグラフィー法によって各受光部に対応するように島状に形成し,加熱することによって島状の樹脂を軟化させ,その表面張力によって球面化して曲面状のマイクロレンズを形成するものである。しかし,このように形成されるマイクロレンズは,受光部上にカラーフィルターや平坦化層を形成し,それらの上に形成されなければならないためにマイクロレンズと受光部との距離を短縮することが難しく,このことはマイクロレンズの開口数をあげる上で大きな制約になっていた。」という技術的課題に対して(前記第5の2(1)ア,段落【0005】,【0006】を参照),「本発明に係る固体撮像装置は,受光部と,該受光部上に設けられたカラーフィルターと,マイクロレンズとを少なくとも有し,前記マイクロレンズの表面が気相に接するように構成された固体撮像装置において,前記カラーフィルターに屈折率が拡がって変化する屈折率分布を形成することによって前記マイクロレンズが形成されていることを特徴とする。」という解決手段を提供するものである(前記第5の2(1)イ,段落【0013】を参照)。
引用発明2では,当該技術的課題と解決手段から,マイクロレンズが提供する屈折率を利用した集光機能を,カラーフィルターに勾配屈折率を設けたマイクロレンズを形成することにより解決する技術的思想が認められる。そうすると,カラーフィルターに勾配屈折率を備えたマイクロレンズを有するイメージセンサに対して,さらにマイクロレンズを形成する工程を加えることは,その動機付けが認められない。
本願発明5は,当該相違点に関する工程を有することにより,イメージセンサの感度は勾配屈折率を有するフィルターユニットによって向上される。このためイメージセンサで生成された画像信号は,特に低照度環境で向上されるという有利な効果を奏する(本願明細書の段落【0009】参照)。
したがって,本願発明5は,引用文献2に記載された発明ではなく,また,引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。

(2)本願発明6について
本願発明6は本願発明5を引用する発明であるところ,本願発明5が,引用文献2に記載された発明ではなく,また引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない以上,本願発明5をさらに限定する本願発明6は,引用文献2に記載された発明ではなく,また引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。

(3)本願発明7について
ア 対比
本願発明7と引用発明2とを対比する。
(ア)本願発明における「感知層」について,本願明細書の段落【0014】には,「感知層10は,漏れ防止層(anti-leakage layer),反射防止層(anti-reflection layer),および/または他の任意の層(図示されていない)を更に含む。」と記載されていることから,引用発明2の「遮光層106,配線108,層間絶縁層107,層内平坦化層105」は,「他の任意の層」に含まれる。
したがって,引用発明2の「ウェハに受光部109,配線108,層間絶縁層107,遮光層106,層内平坦化層105を形成し,ついでカラーフィルター104を形成」する工程は,本願発明の「感知層上にフィルターユニットを形成するステップ」に相当する。
また,引用発明2において「受光部109,遮光層106,配線108,層間絶縁層107,層内平坦化層105を形成し,ついで,カラーフィルター104を形成し」ていることから,カラーフィルター104の底面は,「受光部109,遮光層106,配線108,層間絶縁層107,層内平坦化層105」上に配置されているので,本願発明7の「フィルターユニットの底面は,感知層上に配置される」点を満たす。

(イ)引用発明2の,「カラーフィルター104の上部側から下部側に向け拡がりながら,屈折率が次第に減少する勾配屈折率を形成する」点は,下部側からみれば屈折率が次第に増加することになるので,本願発明7の「前記フィルターユニットの底面から前記フィルターユニットの上面に増加する勾配屈折率を持たせる」ことに相当する。

その他,前記(1)アを参照すると,本願発明7と引用発明2とは以下の(ウ)の点で一致し,(エ)の点で相違する。

(ウ)一致点
感知層上にフィルターユニットを形成するステップと,
光をフィルターユニットに出射し,前記フィルターユニットに,前記フィルターユニットの底面から前記フィルターユニットの上面に増加する勾配屈折率を持たせるステップと,を含み,前記フィルターユニットの底面は,前記感知層上に配置されるイメージセンサの製造方法。

(エ)相違点
相違点1
本願発明7では,「前記フィルターユニット上にマイクロレンズを形成するステップ」を有するのに対して,引用発明2では,当該ステップを有しない点。

相違点2
本願発明7では,「光ビームをフィルターユニットに均一に出射」するのに対して,引用発明2では,光を出射をするが「光ビーム」ではなく,また均一である点について明示されていない点。

イ 相違点についての判断
相違点1について検討する。
相違点1は,引用発明5における相違点1と同様である。
したがって,他の相違点について検討するまでもなく,前記(1)イと同様の理由により,本願発明7は,引用文献2に記載された発明ではなく,また,引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。

(4)本願発明8について
ア 対比
本願発明8と引用発明2とを対比すると,以下の(ア)の点で一致し,(イ)の点で相違する。

(ア)一致点
イメージセンサの製造方法。

(イ)相違点
相違点1
本願発明8では,「感知層上に複数の材料を積層して,フィルターユニットを形成するステップ」を有するのに対して,引用発明2では,そうではない点。

相違点2
本願発明8では,「フィルターユニット上にマイクロレンズを形成するステップ」を有するのに対して,引用発明2では,当該ステップを有しない点。

相違点3
本願発明8では,「積層された複数の前記材料のうち最下層の前記材料を除く前記各材料は,複数の前記材料のうち,下方の前記材料の屈折率より小さい屈折率を有する」のに対して,引用発明2では,カラーフィルター104における勾配屈折率は,上部側から下部側に向け拡がりながら,屈折率が次第に減少する点。

イ 相違点についての判断
相違点2について検討する。
相違点2は,本願発明5における相違点1と同様である。
したがって,他の相違点について検討するまでもなく,前記(1)イと同様の理由により,本願発明8は,引用文献2に記載された発明ではなく,また,引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。

(5)本願発明9について
本願発明9は本願発明8を引用する発明であるところ,本願発明8が,引用文献2に記載された発明ではなく,また引用文献2に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとは認められない以上,本願発明8をさらに限定する本願発明9は,引用文献2に記載された発明ではなく,また引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。

第7 原査定について
平成29年4月17日付け及び平成30年1月30日付けの手続補正により,本願発明1ないし4は「フィルターユニット上に配置されたマイクロレンズと」「フィルターユニットは勾配屈折率を有」する構成に加えて勾配屈折率の状態を追加することにより,前記追加部分を技術的事項に含む「イメージセンサ」の発明となった。
また,本願発明5ないし7は,「フィルターユニットに」「勾配屈折率を持たせるステップ」「前記フィルターユニット上にマイクロレンズを形成するステップ」に,勾配屈折率の状態を追加することにより,前記追加部分を技術的事項に含む「イメージセンサの製造方法」の発明となった。
さらに,本願発明8ないし9は,「複数の材料を積層してフィルターユニットを形成するステップと」,「積層された複数の材料のうち最下層の材料を除く前記各材料は,複数の前記材料のうち,下方の前記材料の屈折率より小さい屈折率を有」し,「前記フィルターユニット上にマイクロレンズを形成するステップを有する点」とすることにより,積層材料により所望の屈折率の状態を形成視,フィルターユニット上にマイクロレンズを形成するステップを技術的事項に含む「イメージセンサの製造方法」の発明となった。
当該各技術的事項は,引用文献AないしFに記載されておらず,本願優先日前における周知技術でもないので,本願発明1ないし9は,当業者であっても,引用文献AないしFに記載された発明に基づいて容易に発明できたものではない。
したがって,原査定の理由を維持することはできない。

第8 結言
以上のとおりであるから,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-03-29 
出願番号 特願2014-221214(P2014-221214)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (H01L)
P 1 8・ 537- WY (H01L)
P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 今井 聖和田邊 顕人  
特許庁審判長 鈴木 匡明
特許庁審判官 須藤 竜也
大嶋 洋一
発明の名称 イメージセンサおよびその製造方法  
代理人 磯野 富彦  
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