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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1338667
審判番号 不服2017-6958  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-15 
確定日 2018-04-11 
事件の表示 特願2012-541852「プラズマアニール方法及びその装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 5月10日国際公開,WO2012/060325,請求項の数(8)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2011年10月31日(優先権主張2010年11月4日,日本国)を国際出願日とする出願であって,平成26年8月29日に審査請求がなされ,平成27年12月2日付けで拒絶理由が通知され,平成28年2月5日に意見書と手続補正書が提出され,同年8月24日付けで最後の拒絶理由が通知され,同年10月31日に意見書と手続補正書が提出されたが,平成29年2月17日付けで,平成28年10月31日に提出された手続補正書でした補正が却下されるとともに,拒絶査定(以下「原査定」という。)され,平成29年5月15日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正書が提出され,同年11月20日付けで当審から拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)を通知し,平成30年1月22日に意見書と手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年2月17日付け拒絶査定)の理由の概要は次のとおりである。

A.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。
B.(進歩性)この出願の下記の請求項の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
C.(明確性)この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由A,Bについて
・請求項1
・引用文献等 1
・備考
引用文献1には,膜を(塗布し乾燥させて)形成する工程の後,基板加熱することなく大気圧プラズマに晒して結晶化する工程(段落[0095]?[0098],図1,4等)において,これらの工程を同一チャンバー内で行うこと(段落[0100],図5)が記載されている。
請求項1に係る発明と引用文献1に記載の発明を対比すると,構成において相違するところが見当たらない。
よって,請求項1に係る発明は,引用文献1に記載されたものであるか,引用文献1から当業者が容易に想到できたものと認める。
・請求項7
・引用文献等 1
・備考
引用文献1においては,水素をプラズマ化している。([請求項1]他)
・請求項9
・引用文献等 1
・備考
引用文献1においては,室温以上の温度の言及もある(段落[0098])ことから,加熱することも示唆されているといえる。
・請求項10
・引用文献等 1
・備考
引用文献1においては,結晶化している(段落[0096])のだから,膜の構成物質の結晶構造が変化していることは明らかである。
・請求項11
・引用文献等 1
・備考
引用文献1の,図5等から見て,プラズマ発生装置の記載がなされているといえる。
・請求項12
・引用文献等 1
・備考
引用文献1の段落[0002]?[0019]の[背景技術]からみて,電子デバイス,特に,TFTの製造方法に関する技術であることは明らかである。
●理由Bについて
・請求項1
・引用文献等 2,1,3
・備考
引用文献2には,基板上に膜を形成する工程([請求項1],段落[0023]等)の後,GDプラズマによるプラズマ処理工程([請求項2],段落[0030]等)を行って膜の性状及び構造を変更,つまり,結晶構造が変化し結晶化させることが記載されており,GDプラズマによるプラズマ処理工程については,段落[0008],[0013]等からみて,常圧で非熱プロセス,つまり,周囲温度を上げることなく大気圧プラズマを照射する工程を行っているということができる。
ここで,引用文献2では,膜を形成する工程と大気圧プラズマを照射する工程とを同一装置で行う記載はない。
しかしながら,引用文献1において,膜形成とプラズマ処理とを同一装置で行うことが記載されている(段落[0100],図5)し,引用文献3にも,常圧(大気圧)での処理を含めたプラズマを用いる装置において,膜形成とプラズマ処理とを同一装置で行うことが記載されている(特に,請求項6,第6頁右下欄,第3図(c)等)ことから,引用文献2において,チャンバー外の大気に晒さずに良質な膜を得るために,引用文献1又は3に記載の膜形成とプラズマ処理とを同一装置で行う技術思想を採用することは,当業者にとって容易である。
・請求項2,3
・引用文献等 2,1,3,4
・備考
平行平板型の2枚の対向電極による大気圧プラズマの発生に関しては,引用文献4の段落[0046],図1等を参照されたい。また,プラズマ発生の電力における電圧値は設計的事項の範疇である。
・請求項4
・引用文献等 2,1,3,4,5
・備考
放電管の材質については,無機誘電体材料を採用することについては,引用文献5の段落[0010](石英)に記載されているし,有機高分子材料,金属についても良く用いられている材料である。
・請求項5,6
・引用文献等 2,1,3,4,5
・備考
平行平板型のプラズマ発生装置における2枚の対向電極の材料として,引用文献4(段落[0010])ではシリコン(無機誘電体材料)についての言及があるし,対向電極として平板誘電体や平板金属を用いることは,良く行われていることである。
・請求項7
・引用文献等 2,1,3,4,5
・備考
引用文献1には,水素([請求項1]),引用文献2には,ヘリウム,アルゴン,窒素(段落[0015]),引用文献3には,アンモニア(第6頁右下欄),引用文献4には,酸素,ヘリウム(段落[0063]),引用文献5には,水素,窒素,酸素,アルゴン,ヘリウム等(段落[0012])が挙げられているし,その他のガスについても,プラズマ化することは周知である。
・請求項8
・引用文献等 2,1,3,4,5
・備考
酸素を用いない場合には,チャンバー内の酸素濃度をできるだけ低くすることはいわば技術常識である。
・請求項9?12
・引用文献等 2,1,3,4,5
・備考
引用文献4の段落[0049]等には,膜の加熱をしながらプラズマ処理を行うことが記載されている。
●理由Cについて
・請求項1,9
請求項1には,「周囲温度を上げることなく」という記載があるが,この場合の「周囲温度」及び「周囲」の定義がなされていないため,何処の温度,或いは何処を示しているのか分からず,不明確である。
また,請求項1を引用する請求項9においては,「基板の上の膜を加熱しながらプラズマを照射」しており,膜を加熱しておきながら,周囲温度を上げないことは,技術的に相矛盾し意味不明であるから,請求項1,9の記載は,技術的にも不明確である。
・請求項1,8
請求項1には「同一装置」とあるのに対し,請求項1を引用する請求項8においては「チャンバー」とあり,この場合の両者の関係が必ずしも明確であるとはいえない。
仮に請求項1の「同一装置」の「装置」と,請求項8の「チャンバー」が異なるものであるならば,請求項1における「同一装置」とは,どの程度までを「同一」の「装置」と見なすのか,例えば,マルチチャンバーシステムを同一の装置とするのか否か等不明であり,定義が定まらないため,不明確である。
・請求項2?12
請求項2?12は,不明確な記載を含む請求項を引用しているため,同様に不明確である。

<引用文献等一覧>
1.特開2010-56483号公報
2.特表2006-503686号公報
3.特開平3-135018号公報
4.特開平08-250488号公報
5.特開平11-145148号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 1-8
・引用文献1-5

・備考
(1)請求項1について
引例1の【0015】-【0025】に記載された発明と,本願の請求項1に記載された発明(以下「本願発明1」という。)は,以下の相違点1,2を除き一致する。

・相違点1:「大気圧プラズマを照射してアモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に変化させる工程(A)」が,本願発明1では,「周囲温度を上げることなく」と特定されているのに対して,引例1には,「周囲温度を上げることなく」との記載がないこと。

・相違点2:本願発明1が,「前記アモルファスシリコン膜を形成する工程と大気圧プラズマを照射する工程(A)とが同一装置内で行われること」を特定するのに対して,引例1には,当該記載がないこと。

以下,相違点について検討する。
・相違点1について
審判請求人は,「請求項1には,『周囲温度を上げることなく』という記載があるが,この場合の『周囲温度』及び『周囲』の定義がなされていないため,何処の温度,或いは何処を示しているのか分からず,不明確である。」との拒絶査定の理由に対して,審判請求書において,「本願請求項1に係る製造方法における大気圧プラズマの照射は,例えば,本願明細書の[図1]で示されるような放電管を用いることで達成されるものであり,そして,このような放電管を用い,例えば,基板を移動させて大気圧プラズマ照射を行うこと(例えば,本願明細書の段落[0048]参照)等により,大気圧プラズマの照射を基板の局所のみとすることができ,結果として周囲温度を上げずに大気圧プラズマを照射することが可能となるものです。また,ここで,本願明細書の[図1]より,周囲温度とは基板の周囲の温度を意図するであろうことが把握できます。」と説明する。
そこで,「周囲温度を上げることなく」を,審判請求人の主張に沿って解するならば,引例1に記載された前記発明もまた,引例1の図1に記載された,石英パイプ34からなる放電管を用いることで達成されるものであり,そして,このような放電管を用い,例えば,基板を移動させて大気圧プラズマ照射を行うこと(例えば,引例1の【0017】参照)等により,大気圧プラズマの照射を基板の局所のみとすることができ,結果として周囲温度を上げずに大気圧プラズマを照射することが可能となるものと認められる。
したがって,上記相違点1は,実質的なものではない。

・相違点2について
引例2の図1とその説明(【0125】-【0136】)を参照されたい。
引例2の図1は,引例2の実施の形態1-1に係る「薄膜トランジスタの製造装置」の概略構成を示す図であって,当該「装置」は,その構成要素内に,「成膜室3,4」と,アモルファスシリコンを多結晶シリコンに改質する「レーザアニール室5」を含むものである。
すなわち,アモルファスシリコン膜を形成する工程と,アモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に変化させる工程とを,同一装置内で行うことは周知の方法である。
そして,引例1に記載された方法に,前記周知の方法を適用することは当業者が適宜なし得たことである。

(2)請求項2ないし8について
・引例1の【0016】に例示された周波数は144MHzであって,本願の請求項2,3で特定する範囲からは外れる,また,電圧も明示されていない。
しかしながら,引例1の請求項1,請求項6,7の記載からも明らかなように,引例1に記載された発明は,プラズマを生成し,当該プラズマで再結晶を行うことを発明の要旨とする発明であって,当該プラズマを生成する高周波の周波数及び電圧等は適宜定め得る設計事項といえる。
そして,本願の請求項2,3で特定する周波数,電圧,及び電極の使用は周知(例えば,引例3の【0045】,引例4の【0042】,【0046】,【0054】引例5の【0035】,【0040】等の記載を参照されたい。)のものであり,当該事項の特定による格別の効果も認められない。

・放電管の材質については,引例1の【0022】,【0023】を参照。プラズマ発生用ガスについては,引例1の【0016】,引例3の【0047】-【0048】等を参照。

・アモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に変化させる工程において,シリコンが,雰囲気中の酸素と結合して酸化シリコンとなることを防ぐために,必要に応じて,引例1の工程を,酸素濃度を100ppm以下に保たれているチャンバー内で行うことは当業者が適宜なし得たことである。

・引例1の方法は,膜の構成物質の結晶構造を変化させるものであり,また,電子デバイスの製造方法でもあるといえる。


引 用 文 献 等 一 覧
1.特開2006-60130号公報
2.特開2001-85701号公報
3.特開平11-260597号公報
4.国際公開第2008/072390号
5.特表2008-519411号公報

第4 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は,平成30年1月22日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明であり,本願発明1は,以下のとおりである。

「【請求項1】
基板上に成膜用ガスを用いてアモルファスシリコン膜を形成する工程,及び,周囲温度を上げることなく基板上のアモルファスシリコン膜に760Torrから上下100Torrの範囲である大気圧下で発生させた大気圧プラズマを照射してアモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に変化させる工程(A)を含む,膜を構成する物質の結晶構造が変化し結晶化した膜の製造方法であって,
前記工程(A)は,放電管の内部にプラズマ発生用ガスを流すことにより前記大気圧下でプラズマを発生させ,生成したプラズマを直接に基板上のアモルファスシリコン膜に照射する工程であり,
前記アモルファスシリコン膜を形成する工程で使用する成膜用ガスと前記工程(A)で使用するプラズマ発生用ガスは,共にヘリウムを含むガスであり,
前記アモルファスシリコン膜を形成する工程と大気圧プラズマを照射する工程(A)とが同一装置内で行われることを特徴とする製造方法。」

第5 特許法第29条第2項(進歩性)について
1 引用文献,引用発明等
(1)引用文献1について
当審拒絶理由で引用した引用文献1(特開2006-60130号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は,当審で付与した。以下同じ。)
「【請求項1】
非結晶薄膜を溶融した後に再結晶化する薄膜結晶化方法において,
細管に導入したプラズマ生成ガスを前記細管の先端から大気中に噴出させて前記細管の先端にマイクロプラズマジェットを生成し,前記マイクロプラズマジェットを大気中で非結晶薄膜に照射して前記非結晶薄膜を溶融することを特徴とする薄膜結晶化方法。」

「【0015】
(第1の実施形態)
本発明の薄膜結晶化方法では,大気中で,アモルファスシリコン膜に,微小径のプラズマ噴出炎(マイクロプラズマジェット)を照射して多結晶シリコンを生成する。
図1は,この方法を実施する第1の実施形態の装置を模式的に示している。この装置は,マイクロプラズマジェット40を生成する石英パイプ34と,石英パイプ34内に高周波電磁界を発生するコイル33と,コイル33に電磁波を供給する高周波電源31と,高周波電源31及びコイル33間の整合を図るマッチング回路30と,ガス導入管37を通じて石英パイプ34にアルゴン,ヘリウム,酸素,窒素等のプラズマ生成ガスを供給するガス供給源36と,プラズマ生成ガスの流量を制御する流量調節器35とを備えており,また,アモルファスシリコン膜51が形成された基板50とマイクロプラズマジェット40との相対位置(矢印a方向及び矢印b方向)を変えるための移動手段(不図示)を備えている。
【0016】
石英パイプ34は,100mmの全長を有し,内径2mmの円筒形状の先端が細く成形され,マイクロプラズマジェット40を噴出する噴出口の口径は,100μに設定されている。また,高周波電源31は,144MHzの高周波電力(100W)を出力し,マッチング回路30は,コイル33から高周波電源31に戻る反射波が最小となるように調整している。
高周波電源31から供給された高周波電流がコイル33に流れると,コイル33は,石英パイプ34内に誘導電場を発生する。そのため,プラズマ生成ガスとして例えばアルゴン(Ar)ガスを使用する場合では,ガス供給源36から供給され,流量調節器35で所定圧力に調整されて石英パイプ34内に流入するアルゴンガスのアルゴン原子は,誘導電場で電離して高温(6000?7000℃)のプラズマとなり,アルゴンガスの流入圧力に押されて石英パイプ34先端の噴出口から大気中に噴き出る。噴き出したプラズマは,大気の存在により,拡散することなく,1cm^(3)当り10^(17)個の電子密度を有するマイクロプラズマジェット40を生成する。このマイクロプラズマジェット40のエネルギは,アルゴンガスの流量を調節する流量調節器35や,高周波電源31の供給電力を制御して変えることができる。
【0017】
蒸着やスパッタリング等の方法でガラス等の基板50上に,TFTへの利用に適した膜厚(0.3μ前後)のアモルファスシリコン膜51を形成し,この基板50と石英パイプ34との相対距離を,マイクロプラズマジェット40の先端がアモルファスシリコン膜51に達するように調整して,マイクロプラズマジェット40をアモルファスシリコン膜51に照射すると,照射位置のアモルファスシリコン膜51は,数ミリ秒以下の短時間の照射で溶融し,局所的に結晶化する。
また,アモルファスシリコン膜51の同一箇所に対するマイクロプラズマジェット40の延べ照射時間が数ミリ秒程度となる速さで,基板50を石英パイプ34に対して矢印bの方向に相対的に移動(走査)して行くと,マイクロプラズマジェット40が照射された軌跡上に結晶化したシリコン52が生成する。また,この走査を2次元的に実施すれば,平面状の多結晶シリコン膜を得ることができる。」

「【0020】
また,マイクロプラズマジェット40を同一位置に1秒以上照射すると,照射位置のアモルファスシリコン膜51が蒸発し,ガラス基板50に孔が空く。そのため,この装置では,マイクロプラズマジェットの照射時間や照射位置を制御することにより,薄膜を備えた基板に貫通孔を設けたり,溝を形成したり,所定位置で切断したりする等,精密加工を施すこともできる。
従って,この装置一つで,アモルファスシリコン膜が形成された基板の微細加工や,所定の線形状または面領域のみの選択的な結晶化,あるいは膜全体の結晶化を行うことが可能である。
【0021】
このように,この薄膜結晶化装置は,レーザアニール装置に比較して構造が極めて簡単であり,大気中においてアモルファス膜を短時間で再結晶化することができ,多結晶薄膜を低コストで製造することができる。また,広い膜厚範囲の素材に対して再結晶化が可能であり,また,微細パターンに沿った再結晶化や,基板を含む全体の微細加工なども可能である。」

(2)引用発明
上記の記載から,上記引用文献1には,次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「ガラス等の基板上に,蒸着やスパッタリング等の方法で,TFTへの利用に適した膜厚(0.3μ前後)のアモルファスシリコン膜を形成する工程,及び,
石英パイプ内に,プラズマ生成ガスとしてアルゴン(Ar)ガスを供給し,前記石英パイプ内に流入した前記アルゴンガスのアルゴン原子は,誘導電場で電離して高温(6000?7000℃)のプラズマとなり,前記アルゴンガスの流入圧力に押されて前記石英パイプ先端の噴出口から大気中に噴き出したプラズマが,大気の存在により,拡散することなく,1cm^(3)当り10^(17)個の電子密度を有するマイクロプラズマジェットを生成し,当該マイクロプラズマジェットは,前記アモルファスシリコン膜に照射されて,照射位置のアモルファスシリコン膜を,数ミリ秒以下の短時間の照射で溶融して,局所的に結晶化する工程を含む,
大気中で,アモルファスシリコン膜に,微小径のプラズマ噴出炎(マイクロプラズマジェット)を照射して多結晶シリコンを生成する方法であって,
前記マイクロプラズマジェットは,同一位置に1秒以上照射すると,照射位置の前記アモルファスシリコン膜が蒸発し,前記ガラス基板に孔が空くため,
前記アモルファスシリコン膜の同一箇所に対する前記マイクロプラズマジェットの延べ照射時間が数ミリ秒程度となる速さで,前記基板を前記石英パイプに対して相対的に移動(走査)して,マイクロプラズマジェットが照射された軌跡上に結晶化したシリコンを生成し,また,この走査を2次元的に実施して,平面状の多結晶シリコン膜を得る方法。」

(3)引用文献2ないし10について
ア 当審拒絶理由で引用した引用文献2(特開2001-85701号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【0125】(実施の形態1-1)図1は実施の形態1-1に係る薄膜トランジスタの製造装置の全体構成図であり,図2は実施の形態1-1に係る薄膜トランジスタの製造装置の電気的構成を示すブロック図である。なお,図1において,室7に関してのみガスの供給・遮断用のバルブV及び強制排気用のポンプPを描いているが,実際は,室7以外の他の室1,2,3,4,5,6にも同様なバルブV及びポンプPが個別に設けられている。
【0126】図1に示すように,本製造装置は,中央に基板を搬送する搬送用ローラ,押し出し装置,握み手等を有するロボット10を備えた搬送室1が設置されている。
【0127】搬送室1は,その周囲にゲートバルブ92?97を介して6つの室2?7が取り付けられる構造となっている。また,ロボット10は図示しないモータ付き台の上にあり,このモータの回転により各処理に際して当該室の方向へ向くことが可能,すなわち回転可能である。そしてこれにより,各室で別々の基板を同時に,そして本製造装置では複数の基板を同時に処理することが可能となっている。
【0128】更に,何れの室2?7も,少なくとも内部の空気を排気して減圧する機能と,その室内でなされる処理によってはその処理から定まる特定のガスを室外から導入し,排気する機能を備えており,更にまた搬送室1からゲートバルブ92?97を介してロボット10により搬入された基板(図示せず)を各室2?7の所定の若しくは固有の条件で処理し,ロボット10と協力して再度搬送室1へ搬出する機能を有している。
【0129】搬出入室2は,本装置にて処理する基板を外部から取り入れてその雰囲気を大気から減圧にする,或いは本装置で処理の終了した基板の雰囲気を減圧状態から室内の大気に戻したり,窒素を充填したりする機能を有している。またこのため,ポンプPや弁Vや各種ガス供給機構に接続されている。なお,ポンプPや弁Vや各種ガス供給機構は,搬出入室2以外のその室1,3?7にも個別に設けられている。
【0130】2つの成膜室3,4は,室外の原料(ガス)供給源に弁Vを介して接続されており,これによりその室内にてプラズマCVD法により基板上に非晶質シリコンや微結晶シリコンの膜,或いは絶縁膜としての二酸化珪素膜等を形成する設備,部屋としての機能を有する。
【0131】なお,成膜室3,4で用いる成膜方法は,何もプラズマCVD法に限られるものではなく,必要な設備との接続を図ることによりECRプラズマCVD法,リモートプラズマCVD法,或いはスパッタリング法等々を用いることも可能である。
【0132】レーザアニール室5は,上面に室外からのレーザ光を導入することのできる石英製の窓(図示せず)を有し,また室内に搬入された改質のための照射の対象としての非晶質半導体薄膜の形成された基板を,水平に保持した状態でレーザーエネルギーの密度等の処理条件から定まる所定の速度で移動させる機能を有している。
【0133】そして,レーザ光は,室外の改質(溶融,結晶化)用レーザ発振装置11より所定の強度及び発振条件で出射された後,レンズ,スリット等を有する光学系12により所定のエネルギー密度及びビーム形状に調整される。そして基板が所定のプログラムにのっとて移動することにより,このビームがレーザアニール室内に設置されている基板表面を順に走査しつつその全面を照射することとなる。」

上記記載から,引用文献2は,非晶質シリコンの膜を形成する工程と,前記非晶質シリコンの膜の改質(溶融,結晶化)する工程とを,同一装置内,すなわち,薄膜トランジスタの製造装置内で行うという技術的事項が記載されていると認められる。

イ 当審拒絶理由で引用した引用文献3(特開平11-260597号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【0045】本発明において外側電極1と内側電極3に印加される交流の周波数は,1kHz?50GHz,好ましくは10kHz?200MHzに設定される。交流の周波数が1kHz未満であれば,放電空間22での放電を安定化させることができなくなる恐れがあり,交流の周波数が50GHzを超えると,放電空間22でのプラズマの温度上昇が著しくなる恐れがある。また外側電極1と内側電極3に交流を印加する場合,外側電極1と電源15を接続し,内側電極3を接地するのが好ましく,このことで内側電極3と被処理物7の間のストリーマー放電を抑制することができる。これは,内側電極3と被処理物7の間の電位差がほとんど0になり,ストリーマー放電が生成されにくくなるためであり,特に,被処理物7に金属部分が含まれている場合はストリーマー放電の生成が著しくなるので,内側電極3を接地するのが好ましい。尚,図1のものでは内側電極3は供給管26の供給部28から接地されている。」

上記記載から,引用文献3には,外側電極と内側電極に印加される交流の周波数として,10kHz?200MHzが好ましいという技術的事項が記載されていると認められる。

ウ 当審拒絶理由で引用した引用文献4(国際公開第2008/072390号)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「[0042] ガス供給管 1の噴出口 la側の端部の外周上には,同軸状の単一のプラズマ発生用の高電位電極 3が設置されている。高電位電極 3には電圧印加装置 4が接続され,図 2Aに示すような,所定周波数のパルス列状の正電圧を印加することができる。電圧印加装置 4により印加するパルス列状の正電圧の電圧値を例えば 10kVに設定し,周波数を例えば 10kHz程度に設定することにより,噴出口 laから細く伸びる非平衡プラズマジェット 5が生成される。」

「[0046] 但し,時間的に変化する電圧を印加することが望ましい。時間的に変化することにより,特に誘電体バリア放電の場合,ガラスというコンデンサを経由してプラズマを着火しているので,電圧が変化する成分によってプラズマが生成され易くなる。具体的には, 10kHz程度の電圧を用いればよいが, 60Hz程度の低周波でもグロ一状の大気圧プラズマが得られる場合もある。ただし, 10MHz程度の高周波になると,高速力メラで見ても一様な形状をしている別の放電形状になる。より好ましくは,周期的に変化する電圧を印加する。周期的に放電したほうが安定したプラズマが得られ易いからである。」

「[0054] 媒質ガス:ヘリウムガス
石英パイプの内径: 3mm
媒質ガスの流量:数リットル /分
高電位電極 3への印加電圧:電圧 10kV
印加電圧の周波数: 10kHz 」

上記記載から,引用文献4には,高電位電極への印加電圧として10kV,印加電圧の周波数として10kHzという値を用いるという技術的事項が記載されていると認められる。

エ 当審拒絶理由で引用した引用文献5(特表2008-519411号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【0035】
1つ又は複数の電極に対する電源は,プラズマの発生について知られているように,無線周波数電源であり,1kHz?300GHzの範囲にある。最も好ましい範囲は,超低周波数(VLF)3kHz?30kHz帯域であるが,低周波数(LF)30kHz?300kHzの範囲もまた,首尾よく使用することができる。1つの適当な電源は,双極パルス波,高周波数及び高電圧発生器である,ハイデン研究社(Haiden Laboratories Inc.)のPHF-2Kユニットである。PHF-2Kユニットは,従来の正弦波高周波数電源に比べて,高速な立上り時間及び立下り時間(<3μs)を有する。したがって,PHF-2Kユニットは,よりよいイオン発生及びより高いプロセス効率を提供する。PHF-2Kユニットの周波数はまた,プラズマシステムに適合するように可変(1?100kHz)である。」

「【0040】
一般に,プラズマは,プロセスガスとしてヘリウムを使用すると,アルゴンを用いるのに比べて低電圧で点火することができ,アルゴンを使用すると,窒素又は空気を用いるのに比べて低電圧で点火することができる。図2の鋭利な電極デバイスを使用すると,PHF-2K電源を使用して,純粋のアルゴンプラズマを3kVで直接点火することができる。図2の装置において鋭利な電極の代わりに,尖っていない金属電極を使用すると,アルゴンプラズマを5kVで点火することができる。図1の単一電極デザインを使用すると,少なくとも6.5kVの電圧が要求される。」

上記記載から,引用文献5には,プラズマの発生に,低周波数(LF)30kHz?300kHzの範囲が,首尾よく使用することができること,及び,一般に,プラズマは,プロセスガスとしてヘリウムを使用すると,アルゴンを用いるのに比べて低電圧で点火することができ,アルゴンを使用すると,窒素又は空気を用いるのに比べて低電圧で点火することができ,PHF-2K電源を使用して,純粋のアルゴンプラズマを3kVで直接点火することができるという技術的事項が記載されていると認められる。

オ 原査定で引用した引用文献6(特開2010-56483号公報:原査定の引用文献1)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【0095】
以上の基本原理を元に,ゲルマニウム(Ge)溶液を,図1(a)に示すように,各種の手法によりガラス基板上へ塗布し,これを乾燥させることによって,ゲルマニウム(Ge)酸化物を析出させる。図1(a)においては,ガラス基板全面へのコートの場合,スピンコートによる手法が考えられ,また,スプレイ法による手法によっても霧密度の制御により,全面塗布?ランダムに塗布した状態を再現できる。さらに,インクジェット方式により位置制御しながらゲルマニウム(Ge)水溶液を塗布することが可能になる。
【0096】
これら塗布したゲルマニウム(Ge)酸化物水溶液を,乾燥により固体状ゲルマニウム(Ge)酸化物として析出させた後,図1(b)に示すように,大気圧近傍の水素プラズマにて還元することによって,ゲルマニウム(Ge)の結晶膜を得ることができる。尚,上記結晶性ゲルマニウム(Ge)の形状は,直方型,楕円球体型又は真球型に作製可能である。これにより,幾何学的に形状の揃った結晶性ゲルマニウム(Ge)微粒子を薄膜成長核として用いることができる。
【0097】
ここで,大気圧近傍の水素プラズマを用いることのメリットは,単に還元反応を示す原子状水素密度を上昇させるのみならず,原料となるゲルマニウム(Ge)水溶液の蒸発速度を低減できることから,原料ゲルマニウム(Ge)水溶液溶媒の過度な蒸発を防止することにつながる。
【0098】
また,GeO_(2) の生成法としては,ゲルマニウム(Ge)の熱酸化(900℃)が考えられるが,本方式ならば低温での作製が可能である。大気圧水素プラズマ処理の際も特に基板加熱は必要なく,全て低温でのプロセスで行うことができる。具体的には,溶液又は懸濁液の塗布,及び曝露処理を400℃以下の温度で行うことができる。さらに言えば室温が好ましい。これにより,高温プロセスを排除することができる。尚,400℃というのは,廉価なガラス基板を用いた場合にプロセスを行える最高温度である。また,紙やプラスチック上に行う場合には,室温でのプロセスが重要である。」

「【0100】
この結果,例えば,図5に示すように,溶液塗布から水素プラズマ還元によるゲルマニウム(Ge)薄膜の形成までを,同一チャンバーにて大気圧一貫処理することが原理的に可能となる。すなわち,図5においては,インクジェット塗布装置2にて,原料ゲルマニウム(Ge)水溶液をガラス基板1に塗布し,水素プラズマ装置3にてゲルマニウム(Ge)の還元を行う工程を連続して行っている。」

上記の記載から,上記引用文献6には,次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「ゲルマニウム溶液を,ガラス基板上へ塗布し,これを乾燥させることによって,ゲルマニウム酸化物を析出する工程,及び,前記ゲルマニウム酸化物を,大気圧近傍の水素プラズマにて還元することによって,ゲルマニウムの結晶膜を得る方法であって,
大気圧水素プラズマ処理の際も特に基板加熱は必要なく,全て低温でのプロセス,具体的には,溶液の塗布,及び曝露処理を400℃以下の温度で行うことができ,さらに言えば室温が好ましく,
前記溶液塗布から水素プラズマ還元によるゲルマニウム薄膜の形成までを,同一チャンバーにて大気圧一貫処理する方法。」

カ 原査定で引用した引用文献7(特表2006-503686号公報:原査定の引用文献2)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【請求項1】
チタニアもしくはチタニア含有物を薄膜として基板の上に堆積させる方法であって,下記の工程:
前記基板を250℃を下回る温度で加熱するとき,主たる反応源として常圧グロー放電プラズマを使用して薄膜の性状及び薄膜成長速度を改良すること,
導入されたガス流中に予備蒸発させた反応性チタニアCVD前駆体を,コーティング領域を流動するガス中に導入すること,
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記コーティングを常圧グロー放電プラズマで後処理して前記薄膜の性状及び構造を変更する,請求項1に記載の方法。」

「【0008】
常圧グロー放電プラズマ(APGDP; Atmospheric Pressure Glow Discharge Plasma)はかねてから知られているけれども,このようなプラズマを適用した場合,表面処理に対して,例えばプリント加工又は第2段階のコーティングに先がけてプラスチックを前処理することに対して,大きな制限が存在している。」

「【0013】
目的とする低温運転や目的とするプロセス特性を達成するため,プラズマの種類や運転の詳細を入念に選択することが必要である。多くの異なるタイプのプラズマが存在しているけれども,非熱プラズマとして運転することができるので,グロー放電プラズマがとりわけ有利である。いろいろな出力源や設定で上述のようなプラズマを発生させることができるけれども,本発明者らは,低周波ACプラズマを使用したときに好適な挙動が得られるということを発見した。」

「【実施例】
【0023】
下記の実施例は,本発明の範囲と可能性を説明することを意図しており,これらの実施例でもって本発明を制限することを意味するものではない。
適用した典型的な実験条件:
周波数:10?25KHz(可変)
出力:100W?1KW
形状:片面もしくは両面に誘電性バリアを被覆した平行な平板(例えば,ガラス,セラミック又はプラスチックの薄膜もしくはシート)
電極ギャップ(金属電極又は誘電体である内部表面から測定):約1?15mmで変動,最適範囲は,2?6mmであった。
出力密度:0.1?10Wcm^(-2)(通常,0.5?2Wcm^(-2))
キャリヤ(すなわち,プラズマ)ガス:ヘリウム
キャリヤガス温度(呈示):周囲温度?約50℃(前駆体の揮発度を保証するため)
プラズマガス温度:約50?100℃(接触プローブで測定)
キャリヤガス流量:1?2L/分
チタニア前駆体:予備蒸発(例えば,バブラー中で),1%未満,殆どの場合に0.1%の範囲の濃度範囲で分配される。
酸素レベル:1%未満,典型的には0.1%未満」

「【0030】
実施例3:性質に及ぼす後処理の効果の実証
2種類の薄膜を作製し,その際,一方の薄膜は実施例1に記載のようにして製造し,他方の薄膜は,実施例1に記載のようにして製造したけれども,コーティングの完了後に薄膜をGDプラズマ中で60秒間にわたって保持することによって「後処理」を実施した。得られた薄膜は,顕著に異なる性質を示した。後処理後の薄膜は,接着力及び耐久性がかなり大であった(例えば,クロスハッチ試験及び水すすぎ耐性試験による)。」

上記の記載から,上記引用文献7には,次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「基板を250℃を下回る温度で加熱して,主たる反応源として,キャリヤ(すなわち,プラズマ)ガスに,ヘリウムを用いた,常圧グロー放電プラズマを使用して,予備蒸発させた反応性チタニアCVD前駆体を,コーティング領域を流動するガス中に導入して,チタニアもしくはチタニア含有物を薄膜として基板の上に堆積させる工程,及び,前記コーティングを常圧グロー放電プラズマで後処理して前記薄膜の性状及び構造を変更する工程を含む,方法。」

キ 原査定で引用した引用文献8(特開平3-135018号公報:原査定の引用文献3)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「1.試料上に金属窒化物を主成分とする薄膜を形成する半導体装置の製造方法において,膜形成後に該薄膜を大気に晒すことなく,該薄膜を所望のプラズマに晒すことを特徴とする半導体装置の製造方法。」(第1ページ左下欄第4-8行)

「6.常圧,減圧,プラズマもしくは基板に負のバイアス電圧が印加されるバイアスプラズマ化学気相成長法によつて試料上に金属窒化物を主成分とする薄膜を形成することを特徴とする特許請求の範囲第2項に記載の半導体装置の製造装置。」(第1ページ右下欄第9-14行)

「・・・膜形成を行った。その後,同室34でアンモニアプラズマに晒して窒化チタン膜表面近傍の窒素含有量を膜中の最大とする。」

上記記載から,引用文献8には,常圧(大気圧)での処理を含めたプラズマを用いる装置において,膜形成とプラズマ処理とを同一装置で行うという技術的事項が記載されていると認められる。

ク 原査定で引用した引用文献9(特開平8-250488号公報:原査定の引用文献4)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【0046】上部電極20及び下部電極30には,RF電源40が接続されている。このRF電源40より,例えば13,56MHz,100Wの高周波電力を供給し,かつ,ガス導入管14より所定のプロセスガスを導入することで,プラズマ処理装置10内部にて,大気圧又はその近傍の圧力下にて,プラズマ放電が生成されることになる。」

上記記載から,引用文献9には,13,56MHz,100Wの高周波電力を供給し,かつ,ガス導入管より所定のプロセスガスを導入することで,平行平板型の2枚の対向電極により大気圧プラズマが生成されるという技術的事項が記載されていると認められる。

ケ 原査定で引用した引用文献10(特開平11-145148号公報:原査定の引用文献5)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【0010】誘導熱プラズマを発生させる部分をトーチと呼ぶ。図11はこのような誘導熱プラズマトーチの構造を示した原理図である。誘導熱プラズマトーチは通常,耐熱温度の高い石英等のシース管31で形成され,一端が解放されている。また他端には図示しないノズルが設けられ,ここからプラズマガス34およびシースガス35を注入し,シース管31の外側に設けられている高周波誘導コイル32によって誘導プラズマ33を発生し,解放端より放出する。」

上記記載から,引用文献10には,放電管の材質について,耐熱温度の高い石英等を採用するという技術的事項が記載されていると認められる。

コ 引用文献11(特開2004-296729号公報:補正の却下の決定で引用した引用文献6)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【請求項1】
非晶質構造を有する半導体膜を形成する工程と,
前記非晶質構造を有する半導体膜上に,大気圧又は大気圧近傍圧力下で,該半導体膜の結晶化を助長する金属元素を含む電極間に生成されたグロ-放電プラズマにより,該金属元素を添加する工程と,
前記非晶質構造を有する半導体膜を加熱して結晶構造を有する半導体膜を形成する工程と,
を含むことを特徴とする半導体装置の作製方法。」

「【0016】
図1に大気圧又は大気圧近傍下でクリ-ニング処理,成膜処理,金属触媒添加処理,エッチング処理を行う装置のノズル構成を示す。ノズル体101にはクリ-ニングや成膜やエッチングやなどの表面処理を行うための気体を供給する気体供給手段103とその排気手段106,不活性気体供給手段107とその排気手段110が接続されている。気体供給手段103から供給される気体は,内周気体供給筒内100にてプラズマ化或いは反応性のラジカル又はイオン種を生成して気体噴出口104から被処理体に吹き付ける。その後,当該気体は外周気体排気筒105から排気手段106により排出する。その外郭には不活性気体供給口105が設けられ,さらに最外郭に排気口109を設けることによりガスカ-テンを形成し,処理空間と周辺雰囲気とを遮断する構成となっている。上記した各工程の大気圧又は大気圧近傍の圧力とは,1.3×10^(1)?1.31×10^(5)Paとすれば良い。
【0017】
また,気体供給手段103と気体排出手段106との間に気体精製手段112を設け,気体を循環させる構成を組み入れても良い。このような構成を組み入れることにより,気体の消費量を低減することができる。また,排気手段106から排出される気体を回収して精製し,再度気体供給手段103で利用する形態としても良い。
【0018】
大気圧又は大気圧近傍の圧力で安定な放電を維持するためには,ノズル体と被処理物の間隔は50mm以下が良く,好ましくは10mm以下とすれば良い。
【0019】
このノズル体の形状は,内周気体供給筒100の内側に備えられた電極102を中心とした同軸円筒型とするのが最も望ましいが,同様に局所的にプラズマ化した処理気体を供給できる構成であればこれに限定されない。」

「【0036】
【実施例】
[実施例1]
本発明の実施例を図4?図8により説明する。ここでは,同一基板上に画素部と,画素部の周辺に設ける駆動回路のTFT(nチャネル型TFT及びpチャネル型TFT)を同時に作製する方法について詳細に説明する。すべての成膜,洗浄,エッチングは大気圧又は大気圧近傍下のプラズマ処理により行う。
【0037】
基板1500のサイズは,600mm×720mm,680mm×880mm,1000mm×1200mm,1100mm×1250mm,1150mm×1300mm,1500mm×1800mm,1800mm×2000mm,2000mm×2100mm,2200mm×2600mm,または2600mm×3100mmのような大面積基板を用い,製造コストを削減することが好ましい。基板1500の上に実施の形態で示したように,大気圧及び大気圧近傍下でプラズマ処理により,膜厚50?100nmの下地絶縁膜1501aおよび膜厚50?100nmの膜厚の下地絶縁膜1501bを積層成膜して形成する。成膜前の基板洗浄について同装置で大気圧及び大気圧近傍下のプラズマ処理で行った。導入するガスはHe,Ne,Ar,Kr,Xe等の不活性ガス又は酸素,窒素,水素のいずれかを用いる。電源は,直流電源,又は高周波電源を適用可能である。直流電源を用いる場合には,放電を安定化するために間欠的に電力を供給するものが好ましく,その周波数が50Hz?100kHz,パルス持続時間が1?1000μsecとすることが好ましい。上記した各工程の大気圧又は大気圧近傍の圧力とは,1.30×10^(1)?1.31×10^(5)Paとすれば良い。下地絶縁膜1501(1501a,1501b)は,基板1500から半導体層への不純物拡散を防ぐために形成される。本実施例では,低アルカリガラスを用い,下地絶縁膜1501aには膜厚100nmの窒化珪素膜を下地絶縁膜1501bには膜厚100nmの酸化珪素膜をそれぞれ大気圧及び大気圧近傍下でプラズマ処理により成膜した。また本実施例では,下地絶縁膜を二層の積層成膜しているが,不純物拡散の防止効果を得られるなら,一層あるいは三層以上の積層としてもよい。なお,TFT作製工程では,ガラスや石英等の透光性を有するものを用いるが,本実施例においては,上面発光型の発光装置を作製するため,各工程における処理温度に耐えうるものであれば,透光性を有するものに限らず他の基板を用いてもよい。
【0038】
次に,下地絶縁膜1501の上に半導体膜1502a?1502dを形成する。
【0039】
本実施例では,非晶質半導体膜として膜厚55nmの非晶質珪素膜を大気圧及び大気圧近傍下でプラズマ処理により形成した。なお,非晶質珪素膜以外に,非晶質シリコンゲルマニウム(Si_(1-X)Ge_(X)(X=0.0001?0.02))等の非晶質半導体膜を用いてもよい。或いは,非晶質半導体膜を結晶化して結晶質半導体膜を得るのではなく,結晶質半導体膜を成膜してもよい。膜厚に関しても上記の膜厚に限らず適宜変更して構わない。
【0040】
次いで,非晶質半導体膜1502a?1502dに大気圧及び大気圧近傍下でNiなどの金属触媒を添加する。この時プラズマを発生させる電極には金属触媒と同じ元素を用い,Arなどの不活性ガスをプラズマ化させて添加する。また,大気圧及び大気圧近傍下のスパッタ装置でAr雰囲気中に直流電源を金属触媒と同じ元素のタ-ゲットに印可して非晶質半導体膜に金属触媒を添加してもよい。本実施例では,ニッケルを非晶質半導体膜上に添加させた後,ハロゲンランプで750℃,180秒で加熱処理を行う。ファ-ネス炉で水素化(500℃,1時間)続けて熱結晶化(550℃,4時間)を行っても良い。そして,結晶性半導体膜上において大気圧及び大気圧近傍下で還元性のガス,例えば水素などを用い自然酸化膜を除去する。更に結晶化を改善するためのレ-ザ-アニ-ル処理を行って,結晶性半導体膜を形成する。また,レ-ザ-結晶化法で結晶質半導体膜を作製する場合には,パルス発振型または連続発振型のエキシマレ-ザ-やYAGレ-ザ-,YVO_(4)レ-ザ-を用いることができる。これらのレ-ザ-を用いる場合には,レ-ザ-発振器から放出されたレ-ザ-光を光学系で線状に集光し半導体膜に照射する方法を用いるとよい。結晶化の条件は,実施者が適宜選択すればよい。」

上記記載から,引用文献11には,非晶質構造を有する半導体膜を形成する工程と,前記非晶質構造を有する半導体膜上に,大気圧又は大気圧近傍圧力下で,該半導体膜の結晶化を助長する金属元素を含む電極間に生成されたグロ-放電プラズマにより,該金属元素を添加する工程と,前記金属元素が添加された非晶質構造を有する半導体膜に,ハロゲンランプで750℃,180秒等の加熱処理を行い結晶構造を有する半導体膜を形成する工程とを含む方法によって半導体装置を作製するという技術的事項が記載されていると認められる。

2 対比・判断
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると,次のことがいえる。
(ア)引用発明1の「石英パイプ」,「プラズマ生成ガスとしてアルゴン(Ar)ガス」は,本願発明1の「放電管」,「プラズマ発生用ガス」に相当する。
また,引用発明1の「大気中」は,本願発明1の「760Torrから上下100Torrの範囲である大気圧下」を満たす。

(イ)そうすると,引用発明1の「石英パイプ内に,プラズマ生成ガスとしてアルゴン(Ar)ガスを供給し,前記石英パイプ内に流入した前記アルゴンガスのアルゴン原子は,誘導電場で電離して高温(6000?7000℃)のプラズマとなり,前記アルゴンガスの流入圧力に押されて前記石英パイプ先端の噴出口から大気中に噴き出したプラズマが,大気の存在により,拡散することなく,1cm^(3)当り10^(17)個の電子密度を有するマイクロプラズマジェットを生成し,当該マイクロプラズマジェットは,前記アモルファスシリコン膜に照射されて,照射位置のアモルファスシリコン膜を,数ミリ秒以下の短時間の照射で溶融して,局所的に結晶化する工程」と,本願発明1の「周囲温度を上げることなく基板上のアモルファスシリコン膜に760Torrから上下100Torrの範囲である大気圧下で発生させた大気圧プラズマを照射してアモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に変化させる工程(A)」とは,「『基板上のアモルファスシリコン膜に760Torrから上下100Torrの範囲である大気圧下で発生させ』『プラズマを照射してアモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に変化させる工程』」である範囲で一致する。

したがって,本願発明1と引用発明1との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
「基板上にアモルファスシリコン膜を形成する工程,及び,基板上のアモルファスシリコン膜に760Torrから上下100Torrの範囲である大気圧下で発生させたプラズマを照射してアモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に変化させる工程(A)を含む,膜を構成する物質の結晶構造が変化し結晶化した膜の製造方法であって,
前記工程(A)は,放電管の内部にプラズマ発生用ガスを流すことにより前記大気圧下でプラズマを発生させ,生成したプラズマを直接に基板上のアモルファスシリコン膜に照射する工程である製造方法。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1が,「成膜用ガスを用いて」アモルファスシリコン膜を形成するものであって,「『前記アモルファスシリコン膜を形成する工程で使用する成膜用ガス』が『ヘリウムを含むガス』」であるのに対して,引用発明1のアモルファスシリコン膜は,「蒸着やスパッタリング等の方法」で形成されるものであり,成膜用ガスを用いて形成されるものとは特定されていない点。

(相違点2)本願発明1が,「周囲温度を上げることなく」基板上のアモルファスシリコン膜に「大気圧プラズマ」を照射してアモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に変化させる工程を含み,当該工程で使用するプラズマ発生用ガスが,「ヘリウムを含むガス」であるのに対して,引用発明1は,そのような構成が特定されていない点。

(相違点3)本願発明1が,「前記アモルファスシリコン膜を形成する工程と大気圧プラズマを照射する工程(A)とが同一装置内で行われる」のに対して,引用発明1では,そのような構成が特定されていない点。

イ 相違点についての判断
事案にかんがみ,最初に相違点2について検討する。
(ア)本願の明細書には以下の記載がある。
「【発明の効果】
【0013】
本発明の膜の製造方法によれば,プラズマ照射装置(プラズマアニール装置)内で,プラズマ粒子が膜に衝突した部分のみを徐々に結晶化させることができる。
特に本発明で用いる大気圧プラズマ(熱非平衡型のプラズマ)の場合,周囲温度を上げることなく,照射領域の構造体の形態や結合状態を変化させることができ,即ち低温での結晶化が可能である。また,プラズマ密度は印加する電源の周波数,電圧もしくはプラズマ発生用ガスのガス濃度でコントロールすることができ,それらを制御することで結晶化の度合い,結晶化時間をコントロールすることができる。このように,大気圧中で制御されるプラズマでは,結晶化を低温にて制御しながら行うことができる。」

「【0033】
プラズマ照射装置は特にペンシル状のノズルから放射するプラズマジェット(図1)である必要は無く,2枚の対向する平板電極に対して交流電界を印加し,この間隙にプラズマガスとなり得るガス(プラズマ発生用ガス:特に限定するものではないが例えばヘリウムガス,後述参照)などを流すことにより安定な大気圧プラズマを発生させ,この間隙に処理基板を静置することで処理することが可能である(図2)。」

「【0041】
基板上の膜へのプラズマ照射時間は通常,数分?数時間であり,例えば5分間?24時間,5分間?10時間,10分間?2時間,又は20分間?1時間程度のプラズマ照射を行うことができる。」

「【0048】
<途中省略>
このとき,特に放電管に誘電体を用いた熱非平衡型のプラズマを照射した場合,基材自身の温度は上昇しないため,アモルファスシリコン膜の形態のみが変化するにとどまり,基材の変形等は伴わないのが大きな特徴といえる。・・・」

(イ)本願明細書の上記記載から,本願発明1の「周囲温度を上げることなく」とは,「特に,本発明で用いる大気圧プラズマ(熱非平衡型のプラズマ)」(【0013】)によって,プラズマ粒子が膜に衝突した部分のみを徐々に結晶化させることができるように,結晶化を低温にて制御しながら行うこと,即ち低温での結晶化という技術的意義を持つものと理解される。

(ウ)そうすると,引用発明1の「石英パイプ内に,プラズマ生成ガスとしてアルゴン(Ar)ガスを供給し,前記石英パイプ内に流入した前記アルゴンガスのアルゴン原子は,誘導電場で電離して高温(6000?7000℃)のプラズマとなり,前記アルゴンガスの流入圧力に押されて前記石英パイプ先端の噴出口から大気中に噴き出したプラズマが,大気の存在により,拡散することなく,1cm^(3)当り10^(17)個の電子密度を有するマイクロプラズマジェットを生成し,当該マイクロプラズマジェットは,前記アモルファスシリコン膜に照射されて,照射位置のアモルファスシリコン膜を,数ミリ秒以下の短時間の照射で溶融して,局所的に結晶化する工程」における,「プラズマ生成ガスとしてアルゴン(Ar)ガス」を供給して電離させた「高温(6000?7000℃)のプラズマ」による「照射位置のアモルファスシリコン膜を,数ミリ秒以下の短時間の照射で溶融して,局所的に結晶化する工程」が,本願発明1の「周囲温度を上げることなく」基板上のアモルファスシリコン膜に「大気圧プラズマ」を照射してアモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に変化させる工程であるということができないことは明らかであるから,相違点2は,実質的なものといえる。

(エ)そして,「周囲温度を上げることなく」基板上のアモルファスシリコン膜に「大気圧プラズマ」を照射してアモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に変化させる工程は,引用文献2ないし11のいずれにも記載されておらず,また,本願の優先権主張の日前において周知技術であったとも認められない。
してみれば,引用文献1ないし11に記載された発明及び技術的事項から,引用発明1において,上記相違点2について本願発明1の構成となすことが当業者にとって容易であったとは認められない。
そうすると,他の相違点については検討するまでもなく,本願発明1は,引用発明1及び引用文献1ないし11に記載された発明及び技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

(2)本願発明2ないし8について
本願発明2ないし8は,いずれも上記相違点2の構成を備えるから,上記「(1)本願発明1について」と同様の理由により,引用文献1ないし11に記載された発明及び技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 原査定についての判断
1 特許法第29条第1項第3号(新規性)及び特許法第29条第2項(進歩性)について
原査定における引用文献1ないし5には,上記「第5 特許法第29条第2項(進歩性)について 1 引用文献,引用発明等」の,「原査定で引用した引用文献6(原査定の引用文献1)」ないし「原査定で引用した引用文献10(原査定の引用文献5)」において摘記した事項が記載されている。
一方,平成30年1月22日付けの手続補正書による補正により,補正後の請求項1ないし8は,いずれも,周囲温度を上げることなく基板上のアモルファスシリコン膜に大気圧プラズマを照射してアモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に変化させる工程を含むものであって,当該工程で使用するプラズマ発生用ガスが,ヘリウムを含むガスであるという技術的事項を有するものとなった。
そして,当該技術的事項は,原査定における引用文献1ないし5には記載されておらず,本願の優先権主張の日前における周知技術でもない。
したがって,本願発明1ないし8は,原査定における引用文献1に記載された発明ではなく,また,原査定における引用文献1ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることはできたものとも認められない。

2 特許法第36条第6項第2号(明確性要件)について
原査定の特許法第36条第6項第2号(明確性要件)についての拒絶の理由は,平成30年1月22日に提出された手続補正書による補正,平成28年10月31日に提出された意見書,審判請求書,及び,平成30年1月22日に提出された意見書の説明により解消した。

したがって,原査定を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-03-27 
出願番号 特願2012-541852(P2012-541852)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 正山 旭杢 哲次  
特許庁審判長 鈴木 匡明
特許庁審判官 加藤 浩一
小田 浩
発明の名称 プラズマアニール方法及びその装置  
代理人 伴 知篤  
代理人 宮崎 嘉夫  
代理人 萼 経夫  
代理人 加藤 勉  

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