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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1338831
審判番号 不服2017-13186  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-06 
確定日 2018-04-23 
事件の表示 特願2012-155288「リモートセンシングとタッチセンシングとが可能な光タッチスクリーン装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月 7日出願公開、特開2013- 47936、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年7月11日(パリ条約による優先権主張2011年8月29日、大韓民国)の出願であって、平成28年8月31日付けで拒絶理由通知がされ、同年12月5日付けて意見書が提出され、平成29年4月21日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年9月6日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に、手続補正がされ、同年10月16日付けで前置報告がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年4月21日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.(新規性)この出願の請求項1,3,5,11-12,14,16,18に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記1の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の請求項1-5,7-16,18-22に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記1-2の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2011-70146号公報
2.国際公開第2006/134869号

第3 本願発明
本願請求項1-18に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明18」という。)は、平成29年9月6日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-18に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
複数の行及び複数の列に沿って配列された複数のセンシング画素を備え、
それぞれの前記センシング画素が、外部の光源から照射される光を感知する光センシング画素と、画面の接触時に反射されるディスプレイ光を感知するタッチセンシング画素とを備え、
前記光センシング画素が、互いに直列に連結された第1光センサートランジスタと第1スイッチトランジスタとを備え、前記タッチセンシング画素が、互いに直列に連結された第2光センサートランジスタと第2スイッチトランジスタとを備え、
前記第1光センサートランジスタが第1波長帯域の光を感知する酸化物半導体材料を含むチャネル層を含み、前記第2光センサートランジスタが前記第1波長帯域と異なる第2波長帯域の光を感知する酸化物半導体材料を含むチャネル層を含むことを特徴とする光タッチスクリーン装置。
【請求項2】
前記光センシング画素と前記タッチセンシング画素とが、列方向に沿って交互に配列されていることを特徴とする、請求項1に記載の光タッチスクリーン装置。
【請求項3】
前記光センシング画素の前記第1スイッチトランジスタのゲートと連結される第1ゲートラインと、前記光センシング画素の前記第1光センサートランジスタのゲートと連結される第1リセットラインと、前記タッチセンシング画素の前記第2スイッチトランジスタのゲートと連結される第2ゲートラインと、前記タッチセンシング画素の前記第2光センサートランジスタのゲートと連結される第2リセットラインと、をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の光タッチスクリーン装置。
【請求項4】
前記光センシング画素の前記第1スイッチトランジスタのソースと、前記タッチセンシング画素の前記第2スイッチトランジスタのソースとに共通して連結されたデータラインをさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載の光タッチスクリーン装置。
【請求項5】
前記光センシング画素の前記第1スイッチトランジスタのソースに連結された第1データライン、及び前記タッチセンシング画素の前記第2スイッチトランジスタのソースに連結された第2データラインをさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載の光タッチスクリーン装置。
【請求項6】
前記第1リセットラインがある一行に配列された前記第1光センサートランジスタのゲートと、該行に後続する他の行の前記第2ゲートラインとの間に連結されており、前記第2リセットラインがある一行に配列された前記第2光センサートランジスタのゲートと、該行に後続する他の行の前記第1ゲートラインとの間に連結されていることを特徴とする、請求項3に記載の光タッチスクリーン装置。
【請求項7】
前記第1光センサートランジスタが相対的に短い第1波長帯域の光を感知し、前記第2光センサートランジスタが前記第1波長帯域より長い第2波長帯域の光を感知することを特徴とする、請求項1に記載の光タッチスクリーン装置。
【請求項8】
前記第1波長帯域が緑色、青色及び紫外線帯域のうち少なくとも一つの帯域を含み、前記第2波長帯域が赤色及び赤外線帯域のうち少なくとも一つの帯域を含むことを特徴とする、請求項7に記載の光タッチスクリーン装置。
【請求項9】
複数の行及び複数の列に沿って配列された複数のディスプレイ画素と複数のセンシング画素とを備え、
それぞれの前記センシング画素が、外部の光源から照射される光を感知する光センシング画素と、画面のタッチ時に反射されるディスプレイ光を感知するタッチセンシング画素とを備え、
前記光センシング画素が、互いに直列に連結された第1光センサートランジスタと第1スイッチトランジスタとを備え、前記タッチセンシング画素が、互いに直列に連結された第2光センサートランジスタと第2スイッチトランジスタとを備え、
それぞれの前記ディスプレイ画素が、ディスプレイセル、及び前記ディスプレイセルのオン/オフを制御するための第3スイッチトランジスタを備え、
前記第1光センサートランジスタが第1波長帯域の光を感知する酸化物半導体材料を含むチャネル層を含み、前記第2光センサートランジスタが前記第1波長帯域と異なる第2波長帯域の光を感知する酸化物半導体材料を含むチャネル層を含むことを特徴とする光タッチスクリーン装置。
【請求項10】
複数の前記ディスプレイ画素が列方向に配列されており、前記光センシング画素と前記タッチセンシング画素とが、それぞれの対応する前記ディスプレイ画素に隣接して配置されることを特徴とする、請求項9に記載の光タッチスクリーン装置。
【請求項11】
前記光センシング画素と前記タッチセンシング画素とが列方向に沿って交互に配列されていることを特徴とする、請求項10に記載の光タッチスクリーン装置。
【請求項12】
前記光センシング画素の前記第1スイッチトランジスタのゲート及び前記ディスプレイ画素の前記第3スイッチトランジスタのゲートと連結される第1ゲートラインと、前記光センシング画素の前記第1光センサートランジスタのゲートと連結される第1リセットラインと、前記タッチセンシング画素の前記第2スイッチトランジスタのゲート及び前記ディスプレイ画素の前記第3スイッチトランジスタのゲートと連結される第2ゲートラインと、前記タッチセンシング画素の前記第2光センサートランジスタのゲートと連結される第2リセットラインと、をさらに備えることを特徴とする、請求項9に記載の光タッチスクリーン装置。
【請求項13】
前記光センシング画素の前記第1スイッチトランジスタのソースと、前記タッチセンシング画素の前記第2スイッチトランジスタのソースとに共通して連結されたデータラインをさらに備えることを特徴とする、請求項12に記載の光タッチスクリーン装置。
【請求項14】
前記光センシング画素の前記第1スイッチトランジスタのソースに連結された第1データライン、及び前記タッチセンシング画素の前記第2スイッチトランジスタのソースに連結された第2データラインをさらに備えることを特徴とする、請求項12に記載の光タッチスクリーン装置。
【請求項15】
前記第1リセットラインが、ある一行に配列された前記第1光センサートランジスタのゲートと、該行に後続する他の行の前記第2ゲートラインとの間に連結されており、前記第2リセットラインが、ある一行に配列された前記第2光センサートランジスタのゲートと、該行に後続する他の行の前記第1ゲートラインとの間に連結されていることを特徴とする、請求項12に記載の光タッチスクリーン装置。
【請求項16】
前記ディスプレイ画素の前記第3スイッチトランジスタのドレインに連結された映像データラインをさらに備え、前記第3スイッチトランジスタのソースには、前記ディスプレイセルが連結されていることを特徴とする、請求項12に記載の光タッチスクリーン装置。
【請求項17】
前記第1光センサートランジスタが相対的に短い第1波長帯域の光を感知し、前記第2光センサートランジスタが前記第1波長帯域より長い第2波長帯域の光を感知することを特徴とする、請求項9に記載の光タッチスクリーン装置。
【請求項18】
前記第1波長帯域が緑色、青色及び紫外線帯域のうち少なくとも一つの帯域を含み、前記第2波長帯域が赤色及び赤外線帯域のうち少なくとも一つの帯域を含むことを特徴とする、請求項17に記載の光タッチスクリーン装置。」

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

a)「【0047】
図2は、本発明のタッチパネル内蔵型液晶表示装置を示す断面図であり、図3は、図2におけるタッチセンシング回路の第1実施例を示す図である。
【0048】
図2に示すように、本発明のタッチパネル内蔵型液晶表示装置は、相対向して設けられ、その間に液晶層150が挟持された第1基板110及び第2基板120と、第1基板110の背面に付着された第1偏光板131、及び第2基板120の背面に付着された第2偏光板132と、第1偏光板131の下側に配置されたバックライトユニット300と、第2偏光板132と一体として構成された導波管140と、を備えている。そして、導波管140の一側には選択的に青色光のみを出射して伝達する青色発光ダイオード200が設けられる。
【0049】
ここで、導波管140は、第1フィルム層141及び第2フィルム層142が順次に積層された構造であり、第2偏光板132上に隣接する第2フィルム層142の屈折率を、第1フィルム層141よりも大きくする。
【0050】
場合によって、第1フィルム層141を空気層とし、第2フィルム層142と第2偏光板132との間にスペーサ(図示せず)を設け、間隔を維持させて形成することもできる。この場合は、第2フィルム層142を、第1フィルム141よりも大きい屈折率を有する誘電体とする。
【0051】
あるいは、第1フィルム層141は、第1フィルム層141と等しいまたは小さい屈折率を有する物質の接合剤をさらに備え、第2偏光板132と接合してなることもできる。
【0052】
一方、導波管140は、人の手やペンが直接接触するタッチ接触面である。これは、青色発光ダイオード200から発される光をパネル内に全反射させる機能を果たすと同時に、保護フィルムの機能も果たすことができる。
【0053】
一方、第1基板110及び第2基板120には、青色、緑色、赤色のサブピクセルを1画素とする複数の画素がマトリクス状に配列されている。
【0054】
そして、青色、緑色、赤色のサブピクセルにそれぞれ対応して、青色カラーフィルタ層122、緑色カラーフィルタ層123及び赤色カラーフィルタ層(図示せず)が第2基板120に形成される。青色カラーフィルタ層122、緑色カラーフィルタ層123及び赤色カラーフィルタ層(図示せず)の間の領域には、サブピクセル間の領域を覆うようにブラックマトリクス層121が形成される。場合によって、青色、緑色及びカラーフィルタ層はブラックマトリクス層121とオーバーラップして形成されることもできる。
【0055】
ここで、青色カラーフィルタ層122は、青色の光を透過させる顔料からなり、緑色カラーフィルタ層123及び赤色カラーフィルタ層(図示せず)は、青色の光を吸収する顔料からなる。
上述した顔料の性質により、発光ダイオード200から出射された光が導波管140のタッチ時に、第1光センサー111側に反射される。
【0056】
また、青色カラーフィルタ層122に対応して第1基板110上に形成された第1光センサー111、及び緑色カラーフィルタ層123または赤色カラーフィルタ層に対応して形成された第2光センサー112が備えられる。ここで、第1光センサー111及び第2光センサー112は、タッチ時点で、外部光がパネル内に反射して入る時に青色光とその他の光の光量を異ならせて感知するためのもので、本発明では、外部光をパネル内に全反射させる導波管140と、選択的に青色光のみを発する発光ダイオード200により、タッチ時点で青色光とその他の光が反射されて入る強度が異なってくる。なお、青色光(当審注:「青色光以外」は「青色光」の誤記と認める。)の光を第2カラーフィルタ層123で殆ど吸収し、青色光は第1光センサー111でのみ感知されるようにする。」(下線は当審で付与。以下、同様。)

b.「【0062】
場合によって、青色発光ダイオード200は、下部のバックライトユニット300を赤色、緑色、青色のLEDを配列して構成する時、その中の青色LEDとしても良い。」

c.「【0063】
図3に示すように、本発明の第1実施例によるタッチセンシング回路は、第1及び第2光センサー111,112を備えており、下記のように構成される。
【0064】
この場合、第1基板110上には、各サブピクセルを区切るように、互いに交差して形成されたゲートライン(図3のGn参照)及びデータライン(図3のdata参照)と、ゲートラインとデータラインとの交差部に形成されたピクセルトランジスタTpixelと、ゲートラインGnと平行なスイッチングラインGs、共通ラインcom及び電源電圧ラインddと、ピクセルトランジスタTpixelと連結された液晶セルキャパシタClc及びストレージキャパシタCstと、データラインdataと平行なリードアウト配線RO1,RO2と、を含む。ここで、スイッチングラインGsとしてゲートラインGnを共通使用しても良い。
【0065】
第1光センサー111は、スイッチングラインGs、共通ラインcom、電源電圧ラインdd及び第1リードアウト配線RO1の間に対応して形成され、電源電圧ラインddによりサンプリング信号が印加されて駆動される第1センシングトランジスタSbと、第1センシングトランジスタSbで感知した信号を貯蔵する第1センシングキャパシタCsと、第1センシングキャパシタCsと連結され、スイッチングラインGsの信号印加によってスイッチングされて第1リードアウト配線RO1に信号を伝送する第1スイッチングトランジスタTsw1(当審注:「Tsw」は「Tsw1」の誤記と認める。)と、を含んでいる。
【0066】
また、第2光センサーは、上述した第1光センサー111と同様の内部構成を有するもので、第2センシングトランジスタSo、第2センシングキャパシタCs及び第2スイッチングトランジスタTsw2(当審注:「Tsw」は「Tsw2」の誤記と認める。)を含む。このような第1光センサー111と第2光センサー112はそれぞれ、一画素内で互いに隣接する青色のサブピクセルと緑色または赤色のサブピクセルに対応して形成される。また、第1及び第2光センサー111,112は、同一のスイッチングラインGs、共通ラインcom及び電源電圧ラインddに共通して連結され、ただし、スイッチングトランジスタTsw1,Tsw2が第1及び第2リードアウト配線RO1,RO2にそれぞれ連結され、また、ピクセルトランジスタTpixel1,Tpixel2が、異なるデータラインにそれぞれ連結される。」

d)「【0072】
そして、タッチ感知区間には、発光ダイオードが青色光を出射及び伝達するように駆動される。これにより、タッチ時には、青色発光ダイオード200からパネル内に反射された光を感知する第1光センサー111のみが出力信号を出力するようになり、第1光センサー111からの出力値と第2光センサー112からの出力値との差が増加する。
【0073】
これに対し、タッチによる反射光ではなく、外部光を感知する期間には、発光ダイオードがオフになっているため、青色、赤色、緑色光が均一にパネル内に入射し、よって、第1光センサー111で感知する出力値と前記第2光センサー112で感知する出力値との差が殆どない。このように、本発明によれば、タッチによる光感知と外部光感知において、第1及び第2光センサー111,112の出力値差が異なり、これにより、タッチの発生かあるいは外部光による影響かを識別することができる。」

e)図3には、第1センシングトランジスタSbと第1スイッチングトランジスタTsw1とが互いに直列に連結され、第2センシングトランジスタSoと第2スイッチングトランジスタTsw2とが互いに直列に連結されていることが示されている。

上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、タッチパネル内蔵型液晶表示装置として、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

「相対向して設けられ、その間に液晶層150が挟持された第1基板110及び第2基板120と、第1基板110の背面に付着された第1偏光板131、及び第2基板120の背面に付着された第2偏光板132と、第1偏光板131の下側に配置されたバックライトユニット300と、第2偏光板132と一体として構成された導波管140と、を備え、
導波管140の一側には選択的に青色光のみを出射して伝達する青色発光ダイオード200が設けられ、
導波管140は、人の手やペンが直接接触するタッチ接触面であり、
第1基板110及び第2基板120には、青色、緑色、赤色のサブピクセルを1画素とする複数の画素がマトリクス状に配列され、
青色、緑色、赤色のサブピクセルにそれぞれ対応して、青色カラーフィルタ層122、緑色カラーフィルタ層123及び赤色カラーフィルタ層が第2基板120に形成され、
青色カラーフィルタ層122は、青色の光を透過させる顔料からなり、緑色カラーフィルタ層123及び赤色カラーフィルタ層は、青色の光を吸収する顔料からなり、
上述した顔料の性質により、発光ダイオード200から出射された光が導波管140のタッチ時に、第1光センサー111側に反射され、
青色カラーフィルタ層122に対応して第1基板110上に形成された第1光センサー111、及び緑色カラーフィルタ層123または赤色カラーフィルタ層に対応して形成された第2光センサー112が備えられ、
第1光センサー111及び第2光センサー112は、タッチ時点で、外部光がパネル内に反射して入る時に青色光とその他の光の光量を異ならせて感知するためのもので、外部光をパネル内に全反射させる導波管140と、選択的に青色光のみを発する発光ダイオード200により、タッチ時点で青色光とその他の光が反射されて入る強度が異なり、
青色光の光を第2カラーフィルタ層123で殆ど吸収し、青色光は第1光センサー111でのみ感知され、
青色発光ダイオード200は、下部のバックライトユニット300を赤色、緑色、青色のLEDを配列して構成する時、その中の青色LEDとしても良く、
第1基板110上には、各サブピクセルを区切るように、互いに交差して形成されたゲートライン及びデータラインと、ゲートラインとデータラインとの交差部に形成されたピクセルトランジスタTpixelと、ゲートラインGnと平行なスイッチングラインGs、共通ラインcom及び電源電圧ラインddと、ピクセルトランジスタTpixelと連結された液晶セルキャパシタClc及びストレージキャパシタCstと、データラインdataと平行なリードアウト配線RO1,RO2と、を含み、
第1光センサー111は、スイッチングラインGs、共通ラインcom、電源電圧ラインdd及び第1リードアウト配線RO1の間に対応して形成され、電源電圧ラインddによりサンプリング信号が印加されて駆動される第1センシングトランジスタSbと、第1センシングトランジスタSbで感知した信号を貯蔵する第1センシングキャパシタCsと、第1センシングキャパシタCsと連結され、スイッチングラインGsの信号印加によってスイッチングされて第1リードアウト配線RO1に信号を伝送する第1スイッチングトランジスタTsw1と、を含んでおり、
第2光センサーは、上述した第1光センサー111と同様の内部構成を有するもので、第2センシングトランジスタSo、第2センシングキャパシタCs及び第2スイッチングトランジスタTsw2を含む。このような第1光センサー111と第2光センサー112はそれぞれ、一画素内で互いに隣接する青色のサブピクセルと緑色または赤色のサブピクセルに対応して形成される。また、第1及び第2光センサー111,112は、同一のスイッチングラインGs、共通ラインcom及び電源電圧ラインddに共通して連結され、ただし、スイッチングトランジスタTsw1,Tsw2が第1及び第2リードアウト配線RO1,RO2にそれぞれ連結され、また、ピクセルトランジスタTpixel1,Tpixel2が、異なるデータラインにそれぞれ連結され、
第1センシングトランジスタSbと第1スイッチングトランジスタTsw1とが互いに直列に連結され、第2センシングトランジスタSoと第2スイッチングトランジスタTsw2とが互いに直列に連結された
タッチパネル内蔵型液晶表示装置。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

f)「[0083] 図7に示すように、反射膜 201の表面に波長選択フィルター 202を配置してもよい。波長選択フィルター 202は、所定の波長の光を選択的に透過し、他方所定の波長以外の波長の光を選択的に減衰、散乱ないしは吸収する。その結果、ポインタ 200の先端に設けられている反射膜 201においては、所定の波長の光が選択的に反射され、所定の波長以外の波長の光は反射されない。これにより、受光素子 130R、 130G及び 130Bの少なくとも一つにおいて受光される光の波長(即ち、色)を決めることができる。これは、所定の波長の(即ち、色の)レーザ光を照射するレーザポインタを用いてディスプレイ 100の表示面上の所定の部分をなぞる或いは指し示すことと同様の動作を可能とすることにつながる。」

g)「[0087] また、先端に反射膜 201を備えるポインタ 200に代えて、図 9に示すように、所定の波長(即ち、所定の色の)のレーザ光等を発することができるポインタ 210を用いてもよい。図9に示す例では、青色レーザ光 (即ち、波長が概ね 450nm程度のレーザ光) を発するポインタ 210を用いているが、図5に示す場合と同様に、受光素子 130R及び 130Gの夫々の受光量が増大し、受光素子 130Bの受光量は微増或いは変わらない。このため、少なくとも受光量が増大している受光素子 130R及び 130Gを含む画素を、ユーザがポインタ 210を用いて、ディスプレイ 100の表示面をなぞる或いは指し示していることを認識することができる。更に、ユーザが青色レーザ光を用いて、 ディスプレイ 100の表示面をなぞる或 いは指し示していることを認識することもできる。」

3.その他の文献について
また、前置報告において周知文献を示す文献として引用された引用文献3(特開2011-60953号公報)には、次の事項が記載されている。

h)「【0025】
第4発明及び第7発明では、第1又は第2酸化物半導体層は、ZnO膜であるので、波長が380nm以下の光(紫外線)を検知することができる。
【0026】
第5発明及び第8発明では、第1又は第2酸化物半導体層は、(Ba、Sr)TiO3 膜であるので、波長が290nm以下の光(紫外線)を検知することができる。
【0027】
第6発明及び第9発明では、第1又は第2酸化物半導体層は、Cu2 O膜であるので、波長が620nm以下の光を検知することができる。」

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。

ア.引用発明1は、「青色、緑色、赤色のサブピクセルを1画素とする複数の画素がマトリクス状に配列され」、「青色カラーフィルタ層122に対応して第1基板110上に形成された第1光センサー111、及び緑色カラーフィルタ層123または赤色カラーフィルタ層に対応して形成された第2光センサー112が備えられ」るものであるから、引用発明1の「第1光センサー111」及び「第2光センサー112」は画素毎に備えられ、マトリックス状に配置されるものであり、本願発明1の「複数の行及び複数の列に沿って配列された複数のセンシング画素」に相当する。

イ.引用発明1は、「第1光センサー111及び第2光センサー112は、タッチ時点で、外部光がパネル内に反射して入る時に青色光とその他の光の光量を異ならせて感知するためのもので、外部光をパネル内に全反射させる導波管140と、選択的に青色光のみを発する発光ダイオード200により、タッチ時点で青色光とその他の光が反射されて入る強度が異なり、青色光の光を第2カラーフィルタ層123で殆ど吸収し、青色光は第1光センサー111でのみ感知され」るものであるから、「第1光センサー111」及び「第2光センサー112」はいずれも、タッチ時点で外部光がパネル内に反射して入る時に、外部光を感知するセンサーであると共に、「第1光センサー111」は、タッチ時点で反射されて入る「発光ダイオード200」の青色光を感知するセンサーでもある。
また、引用発明1は、「青色発光ダイオード200は、下部のバックライトユニット300を赤色、緑色、青色のLEDを配列して構成する時、その中の青色LEDとしても良」いものであるから、引用発明1の「第1光センサー111」は、タッチ時点で反射されて入る「バックライトユニット300の中の青色LED」の青色光を感知するセンサーである。
引用発明1の「第2光センサー112」は、タッチ時点で外部光がパネル内に反射して入るときに、外部光を感知するセンサーであるから、本願発明1の「外部の光源から照射される光を感知する光センシング画素」に相当する。
また、引用発明1の「第1光センサー111」は、タッチ時点で反射されて入る「バックライトユニット300の中の青色LED」の青色光を感知するセンサーであるから、本願発明1の「画面の接触時に反射されるディスプレイ光を感知するタッチセンシング画素」に相当する。
そして、上記ア.で述べたように、引用発明1の画素毎に備えられた「第1光センサー111及び第2光センサー112」は、本願発明1の「センシング画素」に相当するから、引用発明1は、本願発明1の「それぞれの前記センシング画素が、外部の光源から照射される光を感知する光センシング画素と、画面の接触時に反射されるディスプレイ光を感知するタッチセンシング画素とを備え」ることに相当する構成を有するといえる。

ウ.引用発明1の「第2光センサー112」は、「第2センシングトランジスタSo」、「第2スイッチングトランジスタTsw2」を含み、「第2センシングトランジスタSoと第2スイッチングトランジスタTsw2とが互いに直列に連結され」ることは、本願発明1の「前記光センシング画素が、互いに直列に連結された第1光センサートランジスタと第1スイッチトランジスタとを備え」ることに相当する。

エ.引用発明1の「第1光センサー111」は、「第1センシングトランジスタSb」、「第1スイッチングトランジスタTsw1」を含んでおり、「第1センシングトランジスタSbと第1スイッチングトランジスタTsw1とが互いに直列に連結され」ることは、本願発明1の「前記タッチセンシング画素が、互いに直列に連結された第2光センサートランジスタと第2スイッチトランジスタとを備え」ることに相当する。

オ.引用発明1の「タッチパネル内蔵型液晶表示装置」は「第1光センサー111及び第2光センサー112」を用いたものであるから、「光タッチスクリーン装置」ともいい得るものである。

したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。

〈一致点〉
「複数の行及び複数の列に沿って配列された複数のセンシング画素を備え、
それぞれの前記センシング画素が、外部の光源から照射される光を感知する光センシング画素と、画面の接触時に反射されるディスプレイ光を感知するタッチセンシング画素とを備え、
前記光センシング画素が、互いに直列に連結された第1光センサートランジスタと第1スイッチトランジスタとを備え、前記タッチセンシング画素が、互いに直列に連結された第2光センサートランジスタと第2スイッチトランジスタとを備えることを特徴とする光タッチスクリーン装置。」

〈相違点〉
本願発明1は、「前記第1光センサートランジスタが第1波長帯域の光を感知する酸化物半導体材料を含むチャネル層を含み、前記第2光センサートランジスタが前記第1波長帯域と異なる第2波長帯域の光を感知する酸化物半導体材料を含むチャネル層を含む」ものであるのに対し、引用発明1は、「第1光センサー111」、「第2光センサー112」がそのような構成を備えるものではない点。

(2)相違点についての判断
上記「第4」の「2.」に摘記されるように、引用文献2には「先端に反射膜201を備えるポインタ200」に代えて、「レーザ光等を発することができるポインタ210を用い」「受光量が増大している受光素子130R及び130Gを含む画素を、ユーザがポインタ210を用いて、ディスプレイ100の表示面をなぞる或いは指し示していることを認識することができる」技術が記載されている。
しかしながら、引用文献2に記載された技術は、「第1波長帯域の光を感知」する「第1光センサートランジスタ」と「前記第1波長帯域と異なる第2波長帯域の光を感知」する「第2光センサートランジスタ」を備えたものではないから、相違点に係る本願発明1の構成は、上記引用文献2には記載されていない。
また、上記「第4」の「3.」に摘記された引用文献3に記載されるように、酸化物半導体の種類を変えることにより、異なる波長の光を検知する技術は、本願の優先日前周知技術であったものと認められる。
しかしながら、引用文献1は、上記「第4」の「1.」の「d)」に記載されるように、「外部光を感知する期間には、発光ダイオードがオフになっているため、青色、赤色、緑色光が均一にパネル内に入射し、よって、第1光センサー111で感知する出力値と前記第2光センサー112で感知する出力値との差が殆どない」ことにより「外部光による影響」を識別するものであるから、「第1光センサー11」と「第2光センサー112」とは、外部光に対し同様の感知特性を有する必要があり、引用発明1の「第1光センサー111」と「第2光センサー112」とを、互いに異なる波長帯域の光を感知するセンサーとすることには、阻害要因があるといえる。
したがって本願発明1は、当業者であっても引用発明1、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.請求項2-8について
本願発明2-8は、本願発明1を直接または間接的に引用するものであり、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同様の理由により、引用発明1及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3.請求項9について
本願発明9は、本願発明1の上記相違点に係る構成と同様の構成を有するものであり、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同様の理由により、引用発明1及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

4.請求項10-18について
本願発明10-18は、本願発明9を直接または間接的に引用するものであり、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同様の理由により、引用発明1及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 原査定について
1.理由1(特許法第29条第1項第3号)について
審判請求時の補正により、本願発明1-18は「前記第1光センサートランジスタが第1波長帯域の光を感知する酸化物半導体材料を含むチャネル層を含み、前記第2光センサートランジスタが前記第1波長帯域と異なる第2波長帯域の光を感知する酸化物半導体材料を含むチャネル層を含む」という事項を有するものとなっており、本願発明1-18は、拒絶査定において引用された引用文献1に記載された発明であるとはいえない。
したがって、原査定の理由1を維持することはできない。

2.理由2(特許法第29条第2項)について
審判請求時の補正により、本願発明1-18は「前記第1光センサートランジスタが第1波長帯域の光を感知する酸化物半導体材料を含むチャネル層を含み、前記第2光センサートランジスタが前記第1波長帯域と異なる第2波長帯域の光を感知する酸化物半導体材料を含むチャネル層を含む」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1,2に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由2を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-04-06 
出願番号 特願2012-155288(P2012-155288)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 遠藤 尊志星野 昌幸  
特許庁審判長 安久 司郎
特許庁審判官 山田 正文
松田 岳士
発明の名称 リモートセンシングとタッチセンシングとが可能な光タッチスクリーン装置  
代理人 木内 敬二  
代理人 実広 信哉  
代理人 阿部 達彦  
代理人 崔 允辰  
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