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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B60R
管理番号 1338956
審判番号 不服2017-5784  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-21 
確定日 2018-05-01 
事件の表示 特願2012- 21981号「車両制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月19日出願公開、特開2013-159202号、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成24年2月3日を出願日とする特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成27年10月13日付け:拒絶理由通知書
平成27年12月14日 :意見書、手続補正書の提出
平成28年 6月 7日付け:拒絶理由通知書
平成28年 8月12日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年 1月16日付け:拒絶査定
平成29年 4月21日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2.原査定の概要
原査定(平成29年1月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1及び2に係る発明は、以下の引用文献1に記載されている発明及び引用文献2に記載されている事項に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2008-94178号公報
2.特開2005-333739号公報

第3.審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって、補正前の請求項1に「イグニッションスイッチがオン状態でかつ前記車両を走行させるためのスタートスイッチがオン状態の場合、または前記イグニッションスイッチがオン状態でかつ前記スタートスイッチがオフ状態の場合に」とあったものを、「イグニッションスイッチがオン状態でかつ前記車両を走行させるためのスタートスイッチがオフ状態の場合に」とする補正は、択一的な記載の要素の削除に該当するから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、本願当初明細書の段落【0045】?段落【0052】及び段落【0063】に記載された事項であり、新規事項を追加するものではないといえる。
そして、「第4.本願発明」から「第6.対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1及び2に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4.本願発明
本願請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、平成29年4月21日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
車両を走行させるための電動機と、当該電動機に電力を供給する蓄電手段と、前記電動機の駆動状態および前記蓄電手段の充放電状態を制御するコントロールユニットとを備えた車両制御装置であって、
前記電動機と前記蓄電手段との間には、前記電動機と前記蓄電手段との間での前記電力の行き来を遮断状態または連通状態とするコンタクタが設けられ、
前記コントロールユニットは、イグニッションスイッチがオン状態でかつ前記車両を走行させるためのスタートスイッチがオフ状態の場合に、前記コンタクタが連通状態でかつ前記車両の走行が行われない状態が一定時間以上継続した場合に、前記コンタクタを遮断状態とする電力消費抑制制御を行うことを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両制御装置において、前記コントロールユニットは、前記蓄電手段の蓄電容量に応じて前記一定時間の長さを調整することを特徴とする車両制御装置。」

第5.引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【請求項1】
内燃機関と、蓄電機構から供給された電力により作動される回転電機とを走行源とする車両の制御装置であって、前記回転電機は、電動機として機能することにより前記内燃機関を始動するとともに、前記内燃機関により作動されて発電機として機能することにより前記蓄電機構を充電するための電力を発生し、
前記制御装置は、
前記車両の運転者により選択されたシフトポジションを検出するための手段と、
前記回転電機の作動を制御するための手段と、
前記蓄電機構の残存容量を検出するための手段と、
前記検出されたシフトポジションがニュートラルポジションであることにより前記回転電機の作動が少なくとも発電機として機能しないように制御された場合、前記残存容量に基づいて、前記蓄電機構から負荷への放電を遮断するための遮断手段とを含む、車両の制御装置。」

(2)「【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、内燃機関と、蓄電機構から供給された電力により作動される回転電機とを走行源とする車両において、車両に必要な容量を蓄電機構に残存させることができる制御装置、制御方法、その方法を実現するプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体を提供することである。」

(3)「【0022】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る制御装置を搭載したハイブリッド車両について説明する。なお、本発明に係る制御装置が適用されるハイブリッド車両は図1に示すハイブリッド車両に限定されない。
【0023】
ハイブリッド車両は、駆動源としての、たとえばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関(以下、単にエンジンという)120と、モータジェネレータ140(MG(1)140AおよびMG(2)140B)を含む。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、MG(1)140AとMG(2)140Bとを区別して説明する必要がない場合は、単にモータジェネレータ140と記載する。モータジェネレータ140は、ハイブリッド車両の走行状態に応じて、ジェネレータとして機能したり、モータとして機能したりする。このモータジェネレータ140がジェネレータとして機能する場合に回生制動が行なわれる。モータジェネレータがジェネレータとして機能するときには、車両の運動エネルギが電気エネルギに変換されて、車両が減速される。
【0024】
ハイブリッド車両には、この他に、エンジン120やモータジェネレータ140で発生した動力をドライブシャフト150を経由して駆動輪160に伝達したり、駆動輪160の駆動をエンジン120やモータジェネレータ140に伝達したりする減速機180と、エンジン120の発生する動力を駆動輪160とMG(1)140Aとの2経路に分配する動力分割機構200と、直流電力を蓄電するバッテリ220と、バッテリ220の直流とモータジェネレータ140の交流とを変換しながら電流制御を行なうインバータ240と、バッテリ220とインバータ240との間に設けられる昇圧コンバータ242と、昇圧コンバータ242とバッテリ220との間に設けられるシステムメインリレー(SMR)222と、昇圧コンバータ242とSMR222との間に設けられる降圧コンバータ230と、降圧コンバータ230に接続された電動エアコンディショナ(A/C)232と、バッテリ220の充放電状態を管理制御するバッテリ制御ユニット(以下、バッテリECUという)260と、エンジン120の動作状態を制御するエンジンECU280と、ハイブリッド車両の状態に応じて、エンジンECU280、バッテリECU260、SMR222およびインバータ240等を制御して、ハイブリッド車両が最も効率よく運行できるようにハイブリッドシステム全体を制御するECU1000とを含む。
【0025】
・・・
【0026】
バッテリ220は、エンジンECU280やバッテリECU260の作動や、モータジェネレータ140の駆動など、ハイブリッドシステム全体に必要な電力を蓄電する二次電池である。なお、必要な電力を蓄電可能な機構であれば、特にバッテリ220であることには限定されず、たとえばキャパシタであってもよい。
【0027】
SMR222は、コイルに対して励磁電流を通電したときにオンする接点を閉じるリレーである。SMR222がオンされると、バッテリ220の充放電が許容され、ハイブリッドシステムが作動可能な状態になる。一方、SMR222がオフされると、バッテリ220の充放電が遮断され、ハイブリッドシステム全体が停止状態になる。これにより、エンジン120も停止される。
【0028】
・・・
【0029】
・・・
【0030】
昇圧コンバータ242は、バッテリ220の定格電圧をモータジェネレータ140の定格電圧に昇圧した電力をモータジェネレータ140に供給する。」

(4)「【0051】
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、ECU1000は、シフトポジションがNポジションであるか否かを判断する。Nポジションであると(S100にてYES)、処理はS102に移される。そうでないと(S100にてNO)、この処理は終了する。S102にて、ECU1000は、モータジェネレータ140の停止指令をインバータ240に出力する。
【0052】
S104にて、ECU1000は、残存容量SOCが、予め定められたしきい値Aより大きいか否かを判断する。しきい値Aは、後述のしきい値Bよりも予め定められた値αだけ大きく、かつ残存容量SOCがしきい値Bに低下(すなわちαだけ低下)するまでに運転者がPポジションに変更するための時間を確保することができる値に設定される。しきい値Aより大きいと(S104にてYES)、この処理は終了する。そうでないと(S104にてNO)、処理はS106に移される。
【0053】
S106にて、ECU1000は、残存容量SOCが、予め定められたしきい値Bより大きいか否かを判断する。しきい値Bは、上述のようにしきい値Aよりαだけ小さい値である。さらに、しきい値Bは、バッテリ220の放電可能電力量がエンジン120のクランキングに必要な最少の電力量となる値であって、かつ使用限界値(バッテリ220の放電電圧が過放電電圧に低下する容量)より予め定められた値βだけ大きい値に設定される。しきい値Bより大きいと(S106にてYES)、処理はS108に移される。そうでないと(S106にてNO)、処理はS110に移される。
【0054】
S108にて、ECU1000は、Pポジションへの変更を促す警告を表示する指令をインフォメーションパネル550に出力する。なお、変更先のポジションは、MG(1)140Aをジェネレータとして機能させることができるポジション(Nポジション以外のポジション)であればよく、Pポジションに限定されない。
【0055】
S110にて、ECU1000は、バッテリ220の放電を遮断するように、SMR222をオフする指令をSMR222に出力する。」

(5)「【0059】
運転者が警告に気付かずNポジションが維持された場合において、図4に示すように、時刻T(2)で残存容量SOCがしきい値Bまで低下すると(S106にてNO)、SMR222がオフされる(S110)。これにより、バッテリ220の放電が遮断され、ハイブリッドシステム全体が停止状態になり、エンジン120は停止される。
【0060】
しきい値Bは、バッテリ220の放電可能電力量がエンジン120のクランキングに必要な最少の電力量となる値である。すなわち、バッテリ220の放電可能電力量がエンジン120のクランキングに必要な最少の電力量となるまでは、システムは作動状態に維持される。そのため、ニュートラルポジションにおけるシステム作動時間を可能な限り確保することができる。」

したがって、上記記載事項(1)?(5)により、上記引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「駆動源としての内燃機関120とモータジェネレータ140と、当該モータジェネレータ140に電力を供給するバッテリ220と、エンジンECU280、バッテリECU260、システムメインリレー(SMR)222およびインバータ240等を制御するECU1000とを備えたハイブリッド車両であって、
昇圧コンバータ242と前記バッテリ220との間には、オンされると、バッテリ220の充放電が許容され、オフされると、バッテリ220の充放電が遮断するシステムメインリレー(SMR)222が設けられ、
前記ECU1000は、シフトポジションがNポジションであるか否かを判断し、Nポジションであるとモータジェネレータ140の停止指令を出力し、バッテリ220の残存容量SOCが、内燃機関120のクランキングに必要な最少の電力量となる予め定められた値であるしきい値Bまで低下するとシステムメインリレー(SMR)222がオフしてバッテリ220の放電を遮断するハイブリッド車両。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の【請求項1】、段落【0005】の記載からみて、当該引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2に記載されている事項」という。)が記載されていると認められる。
「コンタクタの耐久性の低下を防止するために、イグニッションスイッチがオフされた後、所定の保持時間経過後にコンタクトをオフすること。」

第6.対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

後者の「駆動源としての」「モータジェネレータ140」は前者の「車両を走行させるための電動機」に相当する。
後者の「当該モータジェネレータ140に電力を供給するバッテリ220」は前者の「該電動機に電力を供給する蓄電手段」に相当する。
後者の「エンジンECU280、バッテリECU260、システムメインリレー(SMR)222およびインバータ240等を制御するECU1000」は前者の「前記電動機の駆動状態および前記蓄電手段の充放電状態を制御するコントロールユニット」の限度で共通し、後者の「ハイブリッド車両」は、「モータジェネレータ140」、「バッテリ220」、及び「ECU1000」を備えるものであるから後者の「車両制御装置」に相当する。
後者の「昇圧コンバータ242」は、「バッテリ220とインバータ240との間に設けられる」ものであること(記載事項(3)段落【0024】を参照。)、及び【図1】の配置関係を参酌すると、後者の「システムメインリレー(SMR)222」は、「モータジェネレータ140」と「バッテリ220」の間にあるといえるから、後者の「昇圧コンバータ242と前記バッテリ220との間」に設けられた「オンされると、バッテリ220の充放電が許容され、オフされると、バッテリ220の充放電が遮断するシステムメインリレー(SMR)222」は前者の「前記電動機と前記蓄電手段との間」に設けられた「前記電動機と前記蓄電手段との間での前記電力の行き来を遮断状態または連通状態とするコンタクタ」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「車両を走行させるための電動機と、当該電動機に電力を供給する蓄電手段と、前記電動機の駆動状態および前記蓄電手段の充放電状態を制御するコントロールユニットとを備えた車両制御装置であって、
前記電動機と前記蓄電手段との間には、前記電動機と前記蓄電手段との間での前記電力の行き来を遮断状態または連通状態とするコンタクタが設けられた車両制御装置。」

(相違点)
「コントロールユニット」に関し、
本願発明1は、「イグニッションスイッチがオン状態でかつ前記車両を走行させるためのスタートスイッチがオフ状態の場合に、前記コンタクタが連通状態でかつ前記車両の走行が行われない状態が一定時間以上継続した場合に、前記コンタクタを遮断状態とする電力消費抑制制御を行う」構成であるのに対し、
引用発明は、「シフトポジションがNポジションであるか否かを判断し、Nポジションであるとモータジェネレータ140の停止指令を出力し、バッテリ220の残存容量SOCが、内燃機関120のクランキングに必要な最少の電力量となる予め定められた値であるしきい値Bまで低下するとシステムメインリレー(SMR)222がオフしてバッテリ220の放電を遮断する」構成である点。

(2)相違点についての判断
上記相違点について検討すると、引用発明の「シフトポジションがNポジションであるか否かを判断し、Nポジションであるとモータジェネレータ140の停止指令を出力し、バッテリ220の残存容量SOCが、内燃機関120のクランキングに必要な最少の電力量となる予め定められた値であるしきい値Bまで低下するとシステムメインリレー(SMR)222がオフしてバッテリ220の放電を遮断する」との構成は、本願発明1の相違点に係る「イグニッションスイッチがオン状態」「の場合に、」「前記コンタクタを遮断状態とする電力消費抑制制御を行う」ことで一応共通するものといえるが、「イグニッションスイッチがオン状態の場合」に加えて「前記車両を走行させるためのスタートスイッチがオフ状態の場合」をも条件として、電力消費抑制制御を行うものでなく、このことは、引用文献1及び2には記載も示唆もされていない。
また、引用文献2には、「コンタクタの耐久性の低下を防止するために、イグニッションスイッチがオフされた後、所定の保持時間経過後にコンタクトをオフすること。」が記載されているが、引用発明の課題は、車両に必要な容量を蓄電機構に残存させることができる制御装置を提供すること(上記記載事項(2)を参照。)であるから、引用発明に引用文献2に記載されている事項を適用する動機付けはない。また、仮に適用したとしても、本願発明1は「イグニッションスイッチがオン状態」の場合であるのに対し、引用文献2に記載されている事項は、「イグニッションスイッチがオフされた後」の場合のことであるから、本願発明1の上記相違点に係る構成に至らない。
以上のことから、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載された事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2について
本願発明2も、本願発明1の上記相違点に係る構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載されている事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7.原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1及び2は「コントロールユニットは、イグニッションスイッチがオン状態でかつ前記車両を走行させるためのスタートスイッチがオフ状態の場合に、前記コンタクタが連通状態でかつ前記車両の走行が行われない状態が一定時間以上継続した場合に、前記コンタクタを遮断状態とする電力消費抑制制御を行う」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1に記載されている発明及び引用文献2に記載されている事項に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8.むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-04-16 
出願番号 特願2012-21981(P2012-21981)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B60R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐々木 訓森本 康正  
特許庁審判長 和田 雄二
特許庁審判官 中田 善邦
島田 信一
発明の名称 車両制御装置  
代理人 筒井 大和  
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