• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A61B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A61B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1338964
審判番号 不服2016-9636  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-28 
確定日 2018-05-01 
事件の表示 特願2011-131596「X線撮影システム及びX線撮影装置作動方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 1月 5日出願公開、特開2012- 459、請求項の数(26)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年6月13日(パリ条約による優先権主張 2010年6月11日 米国、2011年5月23日 米国)を出願日とする出願であって、平成27年4月30日付けで拒絶理由が通知され、同年11月9日付けで手続補正がされ、平成28年2月25日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、同年6月28日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成29年5月23日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由1」という。)が通知がされ、同年9月26日付けで手続補正がされ、同年10月10日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由2」という。)が通知がされ、平成30年3月12日付けで手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

(進歩性)本願請求項1?33に係る発明は、以下の引用文献A?Eに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開平7-303630号公報
B.特開2004-208799号公報
C.特開2004-329293号公報
D.特開2008-279117号公報
E.特開2007-54378号公報

第3 当審拒絶理由の概要

1 当審拒絶理由1の概要
当審拒絶理由1の概要は次のとおりである。

(明確性)本願の請求項1?33に係る発明が明確であるとはいえないことから、特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

2 当審拒絶理由2の概要
当審拒絶理由2の概要は次のとおりである。

・当審拒絶理由2-1
(新規性)本願請求項1、2、4?32に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(進歩性)本願請求項1、2、4?32に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・当審拒絶理由2-2
(新規性)本願請求項1、4?16、31、32に係る発明は、以下の引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(進歩性)本願請求項1、4?16、31、32に係る発明は、以下の引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2004-180715号公報(当審において新たに引用した文献)
2.特開2005-204707号公報(当審において新たに引用した文献)

・当審拒絶理由2-3
(明確性)本願の請求項1?32に係る発明が明確であるとはいえないことから、特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
本願の請求項1?26に係る発明(以下、それぞれを「本願発明1」?「本願発明26」といい、総称して「本願発明」という。)は、平成30年3月12日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?26に記載された事項により特定されるとおりのものである。
本願発明1は以下のとおり。

「被写体を透過するX線を放射するエミッタ及びこのX線を受けるレシーバを有する撮影装置と、前記エミッタを制御し、前記レシーバによって受けられた前記X線を処理して前記被写体のX線画像を生成する制御回路と、を備えたX線撮影システムであって、
前記制御回路は前記撮影装置を制御し、X線撮影する関心領域を特定するための前記被写体のX線位置付け画像を生成するように構成され、
前記制御回路はまた、ディスプレイを制御して前記位置付け画像の一部を表示させ、前記位置付け画像の表示部分が前記X線撮影する関心領域となるように構成され、前記ディスプレイによる前記位置付け画像の前記表示部分を前記ディスプレイ上でユーザが移動させて修正し、前記位置付け画像上で前記X線撮影する前記関心領域を特定することが可能であり、
そして、前記制御回路はさらに、前記撮影装置を制御し、ユーザによる前記位置付け画像の前記表示部分の移動による修正に基づいて、前記被写体の前記X線撮影する関心領域のX線画像を生成するように構成されている、ことを特徴とするX線撮影システム。」

第5 引用文献、引用発明等

1 引用文献1について
引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、当審において付加したものである。以下、同様。)

(1)「【0009】
図1は本発明の実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。X線コンピュータ断層撮影装置は、ガントリ100を有する。ガントリ100は、回転中心軸RAを中心として回転自在に保持されたリング状の回転フレーム102を有する。回転フレーム102にはX線管101が回転中心軸RAに正対する向きで取り付けられている。回転中心軸RAを挟んでX線管101に対向する回転フレーム102上の位置には、X線検出器103が取り付けられている。X線検出器103は、マルチスライス仕様であって、つまり回転中心軸RAと平行な方向(スライス方向)に沿って併設された複数の検出素子列を有する。ここでは64列として説明する。また、各検出素子列のスライス方向の有感幅が回転軸RA上の換算値で0.5mmと仮定する。各検出素子列は、チャンネル方向に沿って配列された複数の検出素子を有する。
・・・
【0012】
X線検出器103には、一般的にDAS(data acquisition system) と呼ばれているデータ収集回路104が接続されている。データ収集回路104は、X線検出器103の各チャンネルの出力(電流信号)を電圧信号に変換し、そして増幅するとともに、ディジタル信号に変換する機能を備えている。DAS104には、光や磁気を媒体とした非接触型データ伝送装置105を経由して、DAS出力のチャンネル間非均一性等を補正する前処理装置106が接続される。前処理を受けたデータ(投影データ)は、記憶装置112に記憶される。
【0013】
記憶装置112は、投影データから画像データを再構成するための画像再構成装置114、表示装置116、マウス等のポインティングデバイスやキーボードを装備した入力装置115、画像処理装置113、スキャンを実行するためにガントリ100及び高電圧発生装置109を制御するためのスキャンコントローラ110とともに、データ/制御バスを介してシステムコントローラ111に接続される。」

(2)「【0014】
図2は、本実施形態の一連の処理の流れを示している。まず、S1において、スキャノグラムが撮影される。周知の通り、スキャノグラムの撮影は、回転フレーム102の回転が停止された状態で、X線が連続的に発生され、X線検出器103から信号が一定周期で繰り返し読出され、この間、寝台天板が定速で移動することにより行われる。スキャノグラム撮影により収集されたデータに基づいてスキャノグラムデータが画像処理装置113において生成され、表示装置116に表示される(S2)。
【0015】
表示されたスキャノグラム上で図3に示すスキャン範囲(第1のスキャン範囲)が操作者による入力装置115の操作に従って設定され、また第1のスキャン条件が設定される(S3)。なお、本実施の形態では、少なくとも2回のスキャン(ヘリカルスキャン)が行われる。1回目のスキャンは、広範囲を低分解能でスキャンすることを目的としたもので、2回目のスキャンは、対象臓器に限局した狭い範囲を高分解能でスキャンすることを目的としたものである。1回目のスキャンを「第1のスキャン」と称し、2回目のスキャン(第2のスキャン)と明確に区別する。
・・・
【0017】
このような第1のスキャン範囲に対して第1のスキャン条件で第1のスキャンがスキャンコントローラ110の制御により実行される(S4)。第1のスキャンでは、図5(a)に示すように、コリメータ108の開口がスキャンコントローラ110の制御のもとで第1のスキャン範囲の比較的大きな直径に応じた幅でX方向に開けられ、またスライス厚及び列数に応じた比較的長い長さでZ方向に開けられる。つまり、X線のファン角は第1のスキャン範囲の直径に応じて設定され、またX線のコーン角は第1のスキャン範囲の長さに応じて設定される。
【0018】
第1のスキャンにより収集された第1のスキャン範囲内の投影データに基づいて再構成処理が再構成装置114において行われる(S5)。第1のスキャン範囲に応じた比較的広範囲にわたって、第1のスキャン条件に応じた比較的低い分解能でボリュームデータが生成される。この再構成処理には、例えばコーンビーム再構成法が採用される。コーンビーム再構成法は、コンベンショナルスキャン方式の再構成処理方法を拡張したいわゆるFeldkamp再構成方法として知られ、これは数学的に厳密な再構成法であるファンビーム(2次元平面内)再構成アルゴリズムを、Z軸方向に拡張することによって得られた近似的な3次元再構成アルゴリズムであり、投影データにZ座標に依存した重み係数を乗算し、そのデータとファンビームデータと同じ再構成関数とのコンボリューション演算を行い、最後に、バックプロジェクション(逆投影)処理として、コンボリューションデータを、X線が通過した(焦点から検出器のチャンネルまでの)パス上に逆投影し、これを360°にわたって繰り返すことにより行われる。
【0019】
このボリュームデータは、対象臓器及びその周辺の臓器や組織構造に関するの広範囲にわたる診断のために用いられると共に、第2のスキャンに関するスキャン範囲(第2のスキャン範囲)を設定するためにも使用される。画像処理装置113において、ボリュームデータから対象臓器、例えば心臓の領域が抽出され、その3次元画像(3D像)のデータが生成され、表示装置116に表示される(S6)。3D像としては、図4に示すように表面画像又はワイヤフレームが好適である。
【0020】
操作者は入力装置115を操作し、この3D像を画面上で任意に回転させながら全ての向きで心臓領域を包含するように略円柱形状の第2のスキャン範囲を設定する(S7)。なお、実際には第2のスキャン範囲は、心臓の拡張収縮運動を考慮して、抽出された心臓領域に対して若干のマージンを取って少し大きめに設定される。上記では、ボリュームデータから心臓の領域を抽出し、その3D像のデータを生成し、3D像に対して第2のスキャン範囲を設定するように説明したが、3D像に代えて、又は3D像とともに、ボリュームデータ又は抽出した心臓領域のデータからMPR(断面変換)による例えばアキシャル、コロナル、サジタル等の3方位断面に関する断面画像を生成し、これら断面画像上で第2のスキャン範囲を設定するようにしてもよい。また、第2のスキャン範囲は操作者の操作のもとで手動で設定することを説明したが、抽出した心臓領域を包含するように円柱形状の第2のスキャン範囲の直径及び長さを自動設定するようにしてもよい。この場合、上記マージンを与えるために、抽出した心臓領域を所定比率で膨張処理を施し、その膨張させた心臓領域に対して第2のスキャン範囲を設定する。
・・・
【0023】
このような第2のスキャン範囲に対して第2のスキャン条件で第2のスキャンが実行される(S8)。第2のスキャンでは、図5(b)に示すように、コリメータ108の開口がスキャンコントローラ110の制御のもとで第2のスキャン範囲の比較的小さい直径に応じた幅でX方向に開けられ、またスライス厚及び列数に応じた比較的狭い長さでZ方向に開けられる。つまり、X線のファン角は第2のスキャン範囲の直径に応じて設定され、またX線のコーン角は第2のスキャン範囲の長さに応じて設定される。さらに必要に応じてX線管101及び検出器102のY方向に関するシフト機能を使って、第2のスキャン範囲を最大限又はより多くのチャンネルを使用して分解能をさらに向上させるようにしてもよい。
・・・
【0025】
S8で収集された第2のスキャン範囲内の投影データに基づいて再構成処理が再構成装置114において行われる(S9)。第2のスキャンでは第2のスキャン範囲の外部のデータは収集していないので、そのままでは画像化は不能である。そのため例えば図8にあるビューの投影データの分布を示すように、第2のスキャン範囲の外部のデータを、第1のスキャンで収集したデータで充当する。
・・・
【0030】
複数の再構成位置で再構成処理が繰り返され、最終的にボリュームデータとして生成され、このボリュームデータに対して画像処理装置113において3D像、MPR像、その他任意の画像が生成され、表示される(S10)。」

(3)図1には、以下の図面が示されている。

(4)図2には、以下の図面が示されている。

(5)図3には、以下の図面が示されている。

したがって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「ガントリ100を有し、ガントリ100は、回転フレーム102を有し、回転フレーム102にはX線管101、X線検出器103が取り付けられ、
X線検出器103には、DAS104が接続され、DAS104には、前処理装置106が接続され、前処理を受けたデータ(投影データ)は、記憶装置112に記憶され、記憶装置112は、画像再構成装置114、表示装置116、入力装置115、画像処理装置113、スキャンを実行するためにガントリ100及び高電圧発生装置109を制御するためのスキャンコントローラ110とともに、システムコントローラ111に接続される、
X線コンピュータ断層撮影装置であって、
一連の処理の流れとして、
まず、スキャノグラムが撮影され(S1)、
スキャノグラム撮影により収集されたデータに基づいてスキャノグラムデータが画像処理装置113において生成され、表示装置116に表示され(S2)、
表示されたスキャノグラム上で第1のスキャン範囲が操作者による入力装置115の操作に従って設定され、また第1のスキャン条件が設定され(S3)、
このような第1のスキャン範囲に対して第1のスキャン条件で第1のスキャンがスキャンコントローラ110の制御により実行され(S4)、
第1のスキャンにより収集された第1のスキャン範囲内の投影データに基づいて再構成処理が再構成装置114において行われ(S5)、
画像処理装置113において、ボリュームデータから3次元画像(3D像)のデータが生成され、表示装置116に表示され(S6)、
操作者は入力装置115を操作し、この3D像を画面上で任意に回転させながら全ての向きで心臓領域を包含するように第2のスキャン範囲を設定し(S7)、
このような第2のスキャン範囲に対して第2のスキャン条件で第2のスキャンが実行され(S8)、
S8で収集された第2のスキャン範囲内の投影データに基づいて再構成処理が再構成装置114において行われ(S9)、
複数の再構成位置で再構成処理が繰り返され、最終的にボリュームデータとして生成され、このボリュームデータに対して画像処理装置113において3D像、MPR像、その他任意の画像が生成され、表示される(S10)、
X線コンピュータ断層撮影装置。」

2 引用文献2について
引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0014】
図1に示すように、X線CT装置1は、走査ガントリ(gantry)2、操作コンソール(console)3および撮影テーブル(クレードル)4を有している。
【0015】
走査ガントリ2は、X線管21、コリメータ22、検出器アレイ23、データ収集部24、X線コントローラ25およびコリメータコントローラ26を有する。
X線管21はX線を放射する。X線管21により放射されたX線は、コリメータ(collimator)22によりコーンビームとなるように成形され、検出器アレイ23に照射される。本発明のX線源の一実施態様がX線管21に相当する。
・・・
【0017】
データ収集部24は、検出器アレイ23の個々のX線検出素子の検出データを収集する。
X線コントローラ(controller)25は、X線管21からのX線の照射を制御する。
コリメータコントローラ26は、コリメータ22を制御する。
なお、X線管21とX線コントローラ25との接続関係およびコリメータ22とコリメータコントローラ26との接続関係については図示が省略されている。
・・・
【0020】
操作コンソール3は、中央処理装置31、入力装置32、表示装置33および記憶装置34を有する。
【0021】
中央処理装置31は、たとえば、マイクロプロセッサ、メモリ等によって構成される。
この中央処理装置31は、記憶装置34に記憶されたプログラムにしたがって、走査ガントリ2の動作を制御する。また、中央処理装置31は、被検体を透過したX線を検出器アレイ23で検出して得られる投影データを収集する機能と、収集したX線投影データに基づいて、被検体の断層像を再構成する機能とを少なくとも有する。
上記の中央処理装置31による画像再構成処理については後述する。
中央処理装置31は、表示装置33と入力装置32とそれぞれ接続されている。」

(2)「【0027】
次に、本発明に係るX線CT装置1の動作を図を参照して説明する。
【0028】
図4は、本発明のX線CT装置1の動作を示すフローチャートである。本発明の撮像方法は、本発明のX線CT装置1を用いて行われる。
【0029】
まず、使用者は、入力装置32を介してスカウト撮影を行う方向およびスカウト撮影を行う範囲を設定し、設定された範囲に基づいてスカウト撮影を行う(ST1)。なお、スカウト撮影は少なくとも2方向から行われる。本実施形態においては、たとえば、被検体のサジタル面およびコロナル面のスカウト画像が生成される。
【0030】
中央処理装置31は、設定された条件に基づいて所定の範囲および方向において被検体を走査するように走査ガントリ2を制御する。このとき、走査ガントリ2は、回転せずにX線管21および検出器アレイ23を一定の位置のまま移動して走査する。検出器アレイ23は、得られたデータをデータ収集部24を介して中央処理装置31に出力する。中央処理装置31は、得られたデータに基づいてスカウト画像を生成し、表示装置33に出力する。
【0031】
次に、使用者は表示装置33に表示された被検体のスカウト画像を観察し、2枚のスカウト画像を用いて任意の再構成面を選択する(ST2)。
・・・
【0035】
次に、図5(c)に示すように、中央処理装置31は、サジタル面Sおよびコロナル面Cのスカウト画像において設定された直線SLにより選択される再構成面RPを表示装置33に表示する。使用者は、表示された画像を観察および確認を行う。ここで、必要に応じて再構成面RPを微調整することも可能である。使用者は、表示装置33に表示された再構成面RPを選択する2つの直線を再構成面設定部35の操作によってカーソルなどで移動して調整することができる。
【0036】
次に、使用者は、再構成によって生成される画像の範囲および画像を生成する間隔などを設定する(ST3)。
・・・
【0042】
次に、選択された再構成面、再構成条件および走査条件を確認し、必要であれば、再度ステップST2からやり直す(ST4)。
あるいは、上記の再構成面は第1の領域R1および第2の領域R2において平行な面によって設定されているので、使用者は、他の領域に第1および第2の領域R1,R2において設定された再構成面と異なる方向に再構成面を選択してもよい。
・・・【0045】
再構成面、再構成条件および走査条件を設定した後に、設定された条件に基づいて被検体を走査する(ST5)。
・・・【0047】
次に、中央処理装置31は、ステップST5において得られた投影データと、ステップST2およびステップST3において設定された条件に基づいて再構成処理を行う(ST6)。」

(3)図1には、以下の図面が示されている。

(4)図4には、以下の図面が示されている。

したがって、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「走査ガントリ2、操作コンソール3および撮影テーブル4を有し、
走査ガントリ2は、X線管21、コリメータ22、検出器アレイ23、データ収集部24、X線コントローラ25およびコリメータコントローラ26を有し、X線管21はX線を放射し、X線管21により放射されたX線は、検出器アレイ23に照射され、X線コントローラ25は、X線管21からのX線の照射を制御しており、
操作コンソール3は、中央処理装置31、入力装置32、表示装置33および記憶装置34を有し、中央処理装置31は、被検体を透過したX線を検出器アレイ23で検出して得られる投影データを収集する機能と、収集したX線投影データに基づいて、被検体の断層像を再構成する機能とを少なくとも有している、
X線CT装置1であって、
X線CT装置1の動作として、
まず、使用者は、入力装置32を介してスカウト撮影を行う方向およびスカウト撮影を行う範囲を設定し、設定された範囲に基づいてスカウト撮影を行い(ST1)、中央処理装置31は、得られたデータに基づいてスカウト画像を生成し、表示装置33に出力し、
次に、使用者は表示装置33に表示された被検体のスカウト画像を観察し、2枚のスカウト画像を用いて任意の再構成面を選択し(ST2)、中央処理装置31は、サジタル面Sおよびコロナル面Cのスカウト画像において設定された直線SLにより選択される再構成面RPを表示装置33に表示し、
次に、使用者は、再構成によって生成される画像の範囲および画像を生成する間隔などを設定し(ST3)、
次に、選択された再構成面、再構成条件および走査条件を確認し、必要であれば、再度ステップST2からやり直し(ST4)、
再構成面、再構成条件および走査条件を設定した後に、設定された条件に基づいて被検体を走査し(ST5)、
次に、中央処理装置31は、ステップST5において得られた投影データと、ステップST2およびステップST3において設定された条件に基づいて再構成処理を行う(ST6)、
X線CT装置1。」

3 引用文献A?Eについて

引用文献A(特に、【0005】、【0006】、図3を参照。)、引用文献B(特に、【0041】、図8を参照。)、引用文献C(特に、【0044】?【0048】、図3、4を参照。)及び引用文献D(【0166】、図25を参照。)には、「X線撮影システムにおいて、位置付け画像上で、撮影位置を決定する」という技術的事項が記載されていると認められる。

また、引用文献E(【0022】、図11)には、「X線撮影システムにおいて、イニシャルビューにポジションマーカーを表示する」という技術的事項が記載されていると認められる。

第6 当審拒絶理由2-1について

1 本願発明1について

(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。

ア 引用発明1の「X線管101」及び「X線検出器103」は、それぞれ本願発明1の「エミッタ」及び「レシーバ」に相当するところ、引用発明1の「X線管101、X線検出器103が取り付けられ」た装置は、撮影装置であるから、本願発明1の「被写体を透過するX線を放射するエミッタ及びこのX線を受けるレシーバを有する撮影装置」に相当する。

イ 引用発明1の「スキャンコントローラ110」は、「スキャンを実行するためにガントリ100及び高電圧発生装置109を制御する」回路、すなわち「X線管101」を制御する回路であるから、本願発明1の「前記エミッタを制御」する「制御回路」に相当する。また、引用発明1の「画像再構成装置114」及び「画像処理装置113」は、「画像再構成装置114」により「投影データに基づいて再構成処理」し、「画像処理装置113」により「3D像、MPR像、その他任意の画像」を「生成」する回路であるから、本願発明1の「前記レシーバによって受けられた前記X線を処理して前記被写体のX線画像を生成する制御回路」に相当する。
よって、引用発明1の「画像再構成装置114」、「画像処理装置113」及び「スキャンコントローラ110」は、本願発明1の「前記エミッタを制御し、前記レシーバによって受けられた前記X線を処理して前記被写体のX線画像を生成する制御回路」に相当する。

ウ 引用発明1の「X線コンピュータ断層撮影装置」は、本願発明1の「X線撮影システム」に相当する。

エ 引用発明1の「第1のスキャン範囲に対して第1のスキャン条件で第1のスキャンがスキャンコントローラ110の制御により実行され(S4)、
第1のスキャンにより収集された第1のスキャン範囲内の投影データに基づいて再構成処理が再構成装置114において行われ(S5)、
画像処理装置113において、ボリュームデータから3次元画像(3D像)のデータが生成され」る「(S6)」ことは、ここでの「3次元画像(3D像)」が、(S7)の「心臓領域を包含する」「第2のスキャン範囲」を「設定」するために用いられることから、本願発明1の「X線撮影する関心領域を特定するための前記被写体のX線位置付け画像」に相当するところ、本願発明1の「前記制御回路は前記撮影装置を制御し、X線撮影する関心領域を特定するための前記被写体のX線位置付け画像を生成するように構成され」ることに相当する。

オ 引用発明1の「画像処理装置113において、ボリュームデータから3次元画像(3D像)のデータが」、「表示装置116に表示され(S6)、
操作者は入力装置115を操作し、この3D像を画面上で任意に回転させながら全ての向きで心臓領域を包含するように第2のスキャン範囲を設定」する「(S7)」ことと、本願発明1の「前記制御回路はまた、ディスプレイを制御して前記位置付け画像の一部を表示させ、前記位置付け画像の表示部分が前記X線撮影する関心領域となるように構成され、前記ディスプレイによる前記位置付け画像の前記表示部分を前記ディスプレイ上でユーザが移動させて修正し、前記位置付け画像上で前記X線撮影する前記関心領域を特定することが可能であ」ることとは、「前記制御回路はまた、ディスプレイを制御して前記位置付け画像を表示させ、前記ディスプレイ上でユーザが前記位置付け画像上の前記X線撮影する関心領域を特定することが可能であ」る点で共通する。

カ 引用発明1の「第2のスキャン範囲に対して第2のスキャン条件で第2のスキャンが実行され(S8)、
S8で収集された第2のスキャン範囲内の投影データに基づいて再構成処理が再構成装置114において行われ(S9)、
複数の再構成位置で再構成処理が繰り返され、最終的にボリュームデータとして生成され、このボリュームデータに対して画像処理装置113において3D像、MPR像、その他任意の画像が生成され」る「(S10)」ことと、本願発明1の「そして、前記制御回路はさらに、前記撮影装置を制御し、ユーザによる前記位置付け画像の前記表示部分の移動による修正に基づいて、前記被写体の前記X線撮影する関心領域のX線画像を生成するように構成されている」こととは、「そして、前記制御回路はさらに、前記撮影装置を制御し、ユーザによる前記位置付け画像上の前記X線撮影する関心領域の特定に基づいて、前記被写体の前記X線撮影する関心領域のX線画像を生成するように構成されている」点で共通する。

(2)一致点、相違点
してみると、本願発明1と引用発明1とは、次の一致点で一致し、次の各点で相違する。

(一致点)
「被写体を透過するX線を放射するエミッタ及びこのX線を受けるレシーバを有する撮影装置と、前記エミッタを制御し、前記レシーバによって受けられた前記X線を処理して前記被写体のX線画像を生成する制御回路と、を備えたX線撮影システムであって、
前記制御回路は前記撮影装置を制御し、X線撮影する関心領域を特定するための前記被写体のX線位置付け画像を生成するように構成され、
前記制御回路はまた、ディスプレイを制御して前記位置付け画像を表示させ、前記ディスプレイ上でユーザが前記位置付け画像上の前記X線撮影する関心領域を特定することが可能であり、
そして、前記制御回路はさらに、前記撮影装置を制御し、ユーザによる前記位置付け画像上の前記X線撮影する関心領域の特定に基づいて、前記被写体の前記X線撮影する関心領域のX線画像を生成するように構成されている、X線撮影システム。」

(相違点1)
位置付け画像上でX線撮影する関心領域の特定を、本願発明1では、「ディスプレイを制御して前記位置付け画像の一部を表示させ、前記位置付け画像の表示部分が前記X線撮影する関心領域となるように構成され、前記ディスプレイによる前記位置付け画像の前記表示部分を前記ディスプレイ上でユーザが移動させて修正し」て行うのに対し、引用発明1では、「操作者は入力装置115を操作し、この3D像を画面上で任意に回転させながら全ての向きで心臓領域を包含するように第2のスキャン範囲を設定し(S7)」て行う点。

(相違点2)
被写体のX線撮影する関心領域のX線画像の生成を、本願発明1では、「ユーザによる前記位置付け画像の前記表示部分の移動による修正に基づいて」行うのに対し、引用発明1では、「操作者」により「設定」された「第2のスキャン範囲に対して」「実行され(S8)」る点。

(3)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。

上記相違点1に係る本願発明1の構成は、引用文献1、2及び引用文献A?E(上記「第5」を参照。)のいずれにも記載も示唆もされておらず、本願優先日前における周知技術でもない。
よって、上記相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明1に基づいて当業者が容易に想到し得たことではない。

(4)小括
以上のとおり、上記相違点1は実質的な相違点であるから、本願発明1は、引用文献1に記載された発明であるとはいえない。
また、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、当審拒絶理由2-1を維持することはできない。

2 本願発明2?26について
本願発明2?26は、上記相違点1に係る本願発明1の構成に相当する構成を備えている。
よって、本願発明2?26は、上記1と同じ理由により、引用文献1に記載された発明であるとはいえない。
また、本願発明2?26は、上記1と同じ理由により、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、当審拒絶理由2-1を維持することはできない。

第7 当審拒絶理由2-2について

1 本願発明1について

(1)対比
本願発明1と引用発明2とを対比する。
ア 引用発明2の「X線管21」及び「検出器アレイ23」は、それぞれ本願発明1の「エミッタ」及び「レシーバ」に相当するところ、引用発明2の「X線管21」及び「検出器アレイ23」を有し、「X線管21はX線を放射し、X線管21により放射されたX線は、検出器アレイ23に照射され」る装置は、撮影装置であるから、本願発明1の「被写体を透過するX線を放射するエミッタ及びこのX線を受けるレシーバを有する撮影装置」に相当する。

イ 引用発明2の「X線コントローラ25」は、「X線管21からのX線の照射を制御」する回路であるから、本願発明1の「前記エミッタを制御」する「制御回路」に相当する。また、引用発明2の「中央処理装置31」は、「被検体を透過したX線を検出器アレイ23で検出して得られる投影データを収集する機能と、収集したX線投影データに基づいて、被検体の断層像を再構成する機能とを少なくとも有している」回路であるから、本願発明1の「前記レシーバによって受けられた前記X線を処理して前記被写体のX線画像を生成する制御回路」に相当する。
よって、引用発明2の「X線コントローラ25」及び「中央処理装置31」は、本願発明1の「前記エミッタを制御し、前記レシーバによって受けられた前記X線を処理して前記被写体のX線画像を生成する制御回路」に相当する。

ウ 引用発明2の「X線CT装置1」は、本願発明2の「X線撮影システム」に相当する。

エ 引用発明2の「設定された範囲に基づいてスカウト撮影を行い(ST1)、中央処理装置31は、得られたデータに基づいてスカウト画像を生成」することは、ここでの「スカウト画像」が、(ST2)の「任意の再構成面を選択」するために用いられることから、本願発明1の「X線撮影する関心領域を特定するための前記被写体のX線位置付け画像」に相当するところ、本願発明1の「前記制御回路は前記撮影装置を制御し、X線撮影する関心領域を特定するための前記被写体のX線位置付け画像を生成するように構成され」ることに相当する。

オ 引用発明2の「中央処理装置31は、得られたデータに基づいてスカウト画像を」「表示装置33に出力し、」「次に、使用者は表示装置33に表示された被検体のスカウト画像を観察し、2枚のスカウト画像を用いて任意の再構成面を選択」する「(ST2)」ことと、本願発明1の「前記制御回路はまた、ディスプレイを制御して前記位置付け画像の一部を表示させ、前記位置付け画像の表示部分が前記X線撮影する関心領域となるように構成され、前記ディスプレイによる前記位置付け画像の前記表示部分を前記ディスプレイ上でユーザが移動させて修正し、前記位置付け画像上で前記X線撮影する前記関心領域を特定することが可能であ」ることととは、「前記制御回路はまた、ディスプレイを制御して前記位置付け画像を表示させ、前記ディスプレイ上でユーザが前記位置付け画像上の前記X線撮影する前記関心領域を特定することが可能であ」る点で共通する。

カ 引用発明2の「再構成面、再構成条件および走査条件を設定した後に、設定された条件に基づいて被検体を走査し(ST5)、
次に、中央処理装置31は、ステップST5において得られた投影データと、ステップST2およびステップST3において設定された条件に基づいて再構成処理を行う(ST6)」ことと、本願発明1の「そして、前記制御回路はさらに、前記撮影装置を制御し、ユーザによる前記位置付け画像の前記表示部分の移動による修正に基づいて、前記被写体の前記X線撮影する関心領域のX線画像を生成するように構成されている」こととは、「そして、前記制御回路はさらに、前記撮影装置を制御し、ユーザによる前記位置付け画像上の前記X線撮影する関心領域の特定に基づいて、前記被写体の前記X線撮影する関心領域のX線画像を生成するように構成されている」点で共通する。

(2)一致点、相違点
してみると、本願発明1と引用発明2とは、次の一致点で一致し、次の各点で相違する。

(一致点)
「被写体を透過するX線を放射するエミッタ及びこのX線を受けるレシーバを有する撮影装置と、前記エミッタを制御し、前記レシーバによって受けられた前記X線を処理して前記被写体のX線画像を生成する制御回路と、を備えたX線撮影システムであって、
前記制御回路は前記撮影装置を制御し、X線撮影する関心領域を特定するための前記被写体のX線位置付け画像を生成するように構成され、
前記制御回路はまた、ディスプレイを制御して前記位置付け画像を表示させ、前記ディスプレイ上でユーザが前記位置付け画像上の前記X線撮影する関心領域を特定することが可能であり、
そして、前記制御回路はさらに、前記撮影装置を制御し、ユーザによる前記位置付け画像上の前記X線撮影する関心領域の特定に基づいて、前記被写体の前記X線撮影する関心領域のX線画像を生成するように構成されている、X線撮影システム。」

(相違点3)
位置付け画像上でX線撮影する関心領域の特定を、本願発明1では、「ディスプレイを制御して前記位置付け画像の一部を表示させ、前記位置付け画像の表示部分が前記X線撮影する関心領域となるように構成され、前記ディスプレイによる前記位置付け画像の前記表示部分を前記ディスプレイ上でユーザが移動させて修正し」て行うのに対し、引用発明2では、「使用者は表示装置33に表示された被検体のスカウト画像を観察し、2枚のスカウト画像を用いて任意の再構成面を選択し(ST2)」て行う点。

(相違点4)
被写体のX線撮影する関心領域のX線画像の生成を、本願発明1では、「ユーザによる前記位置付け画像の前記表示部分の移動による修正に基づいて」行うのに対し、引用発明2では、「使用者」により「設定」された「再構成面」に基づいて行う点。

(3)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。

上記相違点3に係る本願発明1の構成(引用発明1との対比に基づく相違点1と同じ構成である。)は、引用文献1、2及び引用文献A?E(上記「第5」を参照。)のいずれにも記載も示唆もされておらず、本願優先日前における周知技術でもない。
よって、上記相違点3に係る本願発明1の構成は、引用発明2に基づいて当業者が容易に想到し得たことではない。

(4)小括
以上のとおり、上記相違点3は実質的な相違点であるから、本願発明1は、引用文献2に記載された発明であるとはいえない。
また、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、当審拒絶理由2-2を維持することはできない。

2 本願発明2?26について
本願発明2?26は、上記相違点3に係る本願発明1の構成に相当する構成を備えている。
よって、本願発明2?26は、上記1と同じ理由により、引用文献2に記載された発明であるとはいえない。
また、本願発明2?26は、上記1と同じ理由により、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、当審拒絶理由2-1を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由1及び2-3について
平成29年9月26日付けの手続補正、及び平成30年3月12日付けの手続補正で補正された結果、本願発明は明確となった。
したがって、当審拒絶理由1及び2-3を維持することはできない。

第9 原査定について
上記「第6」1(3)及び上記「第7」1(3)のとおり、上記相違点1(上記相違点3)に係る本願発明1の構成は、引用文献1、2及び引用文献A?Eのいずれにも記載も示唆もされておらず、本願優先日前における周知技術でもない。
よって、本願発明1?26は、上記「第6」及び「第7」と同じ理由により、引用文献A?Eに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第10 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審の拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-04-18 
出願番号 特願2011-131596(P2011-131596)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (A61B)
P 1 8・ 537- WY (A61B)
P 1 8・ 121- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小田倉 直人  
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 ▲高▼見 重雄
▲高▼橋 祐介
発明の名称 X線撮影システム及びX線撮影装置作動方法  
代理人 澁谷 啓朗  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ