• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  C08G
審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08G
管理番号 1339196
異議申立番号 異議2017-701167  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-12-11 
確定日 2018-04-02 
異議申立件数
事件の表示 特許第6153717号発明「ポリアミド樹脂およびその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6153717号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6153717号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、平成24年11月29日を出願日とする出願であって、平成29年6月9日に特許の設定登録がされ、同年6月28日にその特許公報が発行され、その後同年12月11日付けで、その請求項1ないし3に係る発明の特許に対し、特許異議申立人 國枝 由紀子により特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件特許発明
本件特許の請求項1ないし3に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」ないし「本件特許発明3」といい、総称して「本件特許発明」という。)は、それぞれ、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
ジカルボン酸成分として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸が5モル%を超えて50モル%未満と、1,4-シクロヘキサンカルボン酸以外のジカルボン酸が50モル%を超えて95モル%未満と、を含有し、
ジアミン成分として、パラキシリレンジアミン成分の含有量が10?100モル%であるキシリレンジアミン50?100モル%と、キシリレンジアミン以外のジアミン0?50モル%と、を含有するポリアミド樹脂であって、
濃硫酸中0.5g/dLの濃度で、温度25℃で測定した対数粘度(IV)および滴定法で求めた数平均分子量(Mn)が、下記数式1および数式2を満たす、ポリアミド樹脂。
【数1】
0.4≦IV≦1.5・・・・・数式1

12000≦Mn/IV・・・・・数式2

【請求項2】
融点が270℃以上であり、ガラス転移温度が100℃以上であり、かつ曲げ弾性率が4GPa以上である、請求項1に記載のポリアミド樹脂。
【請求項3】
前記キシリレンジアミンは、メタキシリレンジアミン成分を10?90モル%含む、請求項1または2に記載のポリアミド樹脂。」

第3 特許異議申立理由の概要
特許異議申立人は、証拠方法として、以下の甲第1ないし2号証を提出し、おおむね次の取消理由(以下、順に、「取消理由1」ないし「取消理由3」という。)を主張している。

1 取消理由1(進歩性)
本件特許発明1ないし3は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものである下記の文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許の請求項1ないし3に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

2 取消理由2(明確性)
本件特許の請求項1ないし3に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

3 取消理由3(サポート要件)
本件特許の請求項1ないし3に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

4 証拠方法
甲第1号証:特開2004-277445号公報
甲第2号証:国際公開第2011/065347号

第4 特許異議申立理由についての判断

1 理由1(進歩性)について

(1) 甲第1ないし2号証に記載された事項及び甲第1ないし2号証に記載された発明(下線は、当審が付したものである。以下同じ。)

ア 甲第1号証に記載された事項
「 【請求項1】
主たるジアミン成分としてメタキシリレンジアミン、主たる酸成分としてアジピン酸と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸から構成される共重合ポリアミドであって、全酸成分に対する1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の組成比が3?70モル%であり、前記1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の組成比の範囲内すべてにおいて融点を有することを特徴とする共重合ポリアミド。」
「 【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の問題点を解決するものであり、耐熱性及び熱安定性をMXD6より高め、しかも結晶性を崩さず共重合によって融点を高めることができる共重合ポリアミドを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明では、ナイロンMXD6のジカルボン酸成分としてアジピン酸以外の酸成分として特定の脂環族ジカルボン酸を導入した新規な共重合ポリアミドが、ホモポリマーのナイロンMXD6と比べ、結晶性を崩すことなくガラス転移温度を高め、しかも融点も高めることができ、耐熱性及び熱安定性を向上させることができるという、従来の技術からはまったく予期できない新規な技術思想をもとに、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、主たるジアミン成分としてメタキシリレンジアミン(以下、MXDAと略記する)、主たる酸成分としてアジピン酸(以下、AAと略記する)と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(以下、CHDAと略記する)から構成される共重合ポリアミドであって、全酸成分に対するCHDAの組成比が3?70モル%であり、前記CHDAの組成比の範囲内すべてにおいて融点を有することを特徴とする共重合ポリアミドに関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の共重合ポリアミドで用いるモノマーは、主たるジアミン成分としてMXDA、主たる酸成分としてAAとCHDAを使用する。
【0016】
MXDAは全ジアミン成分に対し、90モル%以上であることが、耐熱性やガスバリアー性の点から好ましく、さらに好ましくは95モル%以上であり、特に好ましくは100モル%である。
【0017】
なお、本発明において、本願発明の効果を阻害しない範囲、例えば10モル%未満の範囲で、MXDA以外のジアミン成分として、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、パラキシリレンジアミン、パラフェニレンジアミン等の芳香族ジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4-ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン類、などを共重合することができる。」
「【0028】
(1)相対粘度(ηr)
ポリアミド0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した。」
「【0037】
実施例2(MXDA//AA/CHDA=100//70/30;モル比)
容積5リッターの耐圧容器に、精秤したアジピン酸(AA)402.4g、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)203.2g、メタキシリレンジアミン(MXDA)536.1gおよび 水1141.1gを加え、90℃で攪拌し50質量%のポリアミド塩水溶液とした。
【0038】
次いで、完全に塩が溶解したことを確認した後、昇温し、内部圧力を1MPaに保持した状態で徐々に水を抜き出した。内温が235℃に到達したと同時に内部圧力を1時間かけて常圧まで下げ、それと同時に内温を235℃から1時間かけて290℃まで昇温させた。常圧に到達後10分攪拌したところで、共重合ポリアミドを抜き出した。
【0039】
得られた共重合ポリアミドは、相対粘度が2.180、ガラス転移温度が117℃、融点が271℃、アミノ基濃度が75eq/ton、末端カルキシル基濃度が64eq/tonであった。また、得られた共重合ポリアミドをアンプルに3gとり、大気開放下300℃で30分間熱処理した時のΔRVは0.031であった。
【0040】
実施例3(MXDA//AA/CHDA=100//50/50;モル比)
容積5リッターの耐圧容器に、精秤したアジピン酸(AA)281.6g、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)331.8g、メタキシリレンジアミン(MXDA)525.4gおよび水1138.9gを加え、90℃で攪拌し50質量%のポリアミド塩水溶液とした。
【0041】
次いで、完全に塩が溶解したことを確認した後、昇温し、内部圧力を1MPaに保持した状態で徐々に水を抜き出した。内温が235℃に到達したと同時に内部圧力を1時間かけて常圧まで下げ、それと同時に内温を235℃から1時間かけて310℃まで昇温させた。常圧に到達後10分攪拌したところで、共重合ポリアミドを抜き出した。
【0042】
得られた共重合ポリアミドは、相対粘度が2.221、ガラス転移温度が123℃、融点が292℃、末端アミノ基濃度が70eq/ton、末端カルキシル基濃度が78eq/tonであった。また、得られた共重合ポリアミドをアンプルに3gとり、大気開放下300℃で30分間熱処理した時のΔRVは0.072であった。
「【0049】
比較例3(MXDA//AA=100//100;モル比)
ブランクとして、ナイロンMXD6(東洋紡績(株)製、T-600)を評価した。前記ナイロンMXD6は、相対粘度が2.198、ガラス転移温度が89℃、融点が239℃、末端アミノ基濃度が72eq/ton、末端カルキシル基濃度が67eq/tonであった。また、前記ナイロンMXD6をアンプルに3gとり、大気開放下300℃で30分間熱処理した時のΔRVは0.226であった。
【0050】
【表1】

【0051】
【発明の効果】
本発明において、ナイロンMXD6にCHDAを3?70モル%共重合したポリアミド樹脂は、共重合成分であるCHDAの組成比を高くすると、ガラス転移温度が高くなるだけでなく、さらに驚くべきことに、前記組成比の範囲すべてにおいて融点が高くなる。このような挙動は、従来の共重合ポリアミドでは見られなかったものである。そのため、ペレット乾燥時や、分子量を上げるために固相重合を行う際に、ペレット同士で融着を起こすという問題を解決することができ、各用途における耐熱性の要求レベルにあわせた共重合ポリアミドを提供することができる。」

イ 甲第1号証に記載された発明について

甲第1号証(以下、「甲1」ともいう。)の記載、特に、段落【0028】および実施例2に関する記載を整理すると、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。

〈甲1発明〉
「MXDA//AA/CHDA=100//70/30;モル比となるように、容積5リッターの耐圧容器に、精秤したアジピン酸(AA)402.4g、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)203.2g、メタキシリレンジアミン(MXDA)536.1gおよび 水1141.1gを加え、90℃で攪拌し50質量%のポリアミド塩水溶液とし、次いで、完全に塩が溶解したことを確認した後、昇温し、内部圧力を1MPaに保持した状態で徐々に水を抜き出し、内温が235℃に到達したと同時に内部圧力を1時間かけて常圧まで下げ、それと同時に内温を235℃から1時間かけて290℃まで昇温させ、常圧に到達後10分攪拌したところで、抜き出した共重合ポリアミドであって、
ポリアミド0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した相対粘度が2.180、ガラス転移温度が117℃、融点が271℃、アミノ基濃度が75eq/ton、末端カルボキシル基濃度が64eq/tonである共重合ポリアミド。」

ウ 甲第2号証に記載された事項
「請求の範囲
[請求項1]
パラキシリレンジアミンを20モル%以上含むキシリレンジアミンを70モル%以上含む少なくとも2成分以上からなるジアミン成分と、炭素数6?18の直鎖脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分からなる共重合ポリアミド樹脂であって、示差走査熱量計測定における融点が当該共重合ポリアミド樹脂より20℃以上高いポリアミド成分を含む長径50μm以上の粒状物が1000個/g以下である共重合ポリアミド樹脂。」
「[0004]
上記課題を解決するために、ポリアミドの主原料に、ジアミン成分として、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物、ジカルボン酸成分としてアジピン酸を用いて、高結晶化速度の共重合ポリアミドを得、かかる共重合ポリアミドに無機充填材を配合することが提案されている(特許文献2、特許文献3)。該技術により、従来のナイロンMXD6を用いた成形材料では困難であった薄肉成形を容易にし、成形サイクルの短縮化や金型温度の低温化、吸水による機械的性質の低下抑制などの改善がみられる。しかしながら、従来開示されている製造技術にてパラキシリレンジアミンを含む共重合ポリアミドを製造する場合、パラキシリレンジアミン組成の高い、より高融点の共重合ポリアミドが、極少量ではあるが局所的に生成し、高品質水準での均質な共重合ポリアミドを得ることが困難であった。ポリアミド製造時に局所的にパラキシリレンジアミン組成の高い共重合ポリアミドが生成すると、製造工程温度で溶解せずに重合度の低いまま共重合ポリアミド中に粒状に分散することになる。この不均質なポリアミドは、成形品とした際に分散した高融点ポリアミドの影響により、機械的性能、耐熱性能にバラつきを生じる課題を有している。」
「[0013]
本発明の目的は、パラキシリレンジアミン成分を含む少なくとも2成分以上からなるジアミン成分とジカルボン酸成分からなる共重合ポリアミド樹脂について、樹脂性状が非常に均質、安定であり、機械的特性、耐熱特性、化学的物理的特性及び成形特性のいずれにも優れた性能を有する成形用共重合ポリアミド樹脂、その製造方法、樹脂組成物およびそれらからなる成形品を提供することにある。
[0014]
本発明者らは、鋭意検討した結果、パラキシリレンジアミンを20モル%以上含むキシリレンジアミンを70モル%以上含む少なくとも2成分以上からなるジアミン成分と、炭素数6?18の直鎖脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分からなる共重合ポリアミド樹脂において、パラキシリレンジアミン組成比が偏って高くなった共重合ポリアミドの局所的な発生を抑制した条件で製造して得られる共重合ポリアミド樹脂が、機械的特性、耐熱特性、化学的物理的特性及び成形特性のいずれにも優れた性能を有することを見出し、本発明を完成させた。」
「[0054]
(1)相対粘度
ポリアミド1gを精秤し、96%硫酸100mlに20?30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5ccを取り、25℃の恒温漕中で10分間放置後、落下速度(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下速度(t0)も同様に測定した。tおよびt0から次式(A)により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0(A)」
「[0057]
(4)数平均分子量
末端アミノ基および末端カルボキシル基の滴定定量値から次式により求めた。
数平均分子量=2/(〔NH_(2) 〕+〔COOH〕)
(〔NH_(2) 〕は末端アミノ基濃度(μeq/g)、〔COOH〕は末端カルボキシル基濃度(μeq/g)を表す。)」
「[0064]
<実施例1>
共重合ポリアミド樹脂の合成には、温度調整されたオイルが流通する分縮器、全縮器、撹拌機、窒素ガス導入管およびジアミンの滴下口を備えたオイルジャケット付き50リットルのステンレス製の反応槽を用いた。反応槽気相部温度を制御するため、反応槽のオイルジャケットが付いている以外の槽外壁面には、温調機能を有する電気ヒーター加熱装置、分縮器に至る配管部はオイルジャケットを設置し、共重合ポリアミド樹脂合成中は装置内の気相部壁面を230℃に温調を行った。反応槽に精秤したアジピン酸(純度:99.85wt%)15.000kgを仕込み、十分窒素置換した。300℃の熱媒をジャケットに流して昇温を開始し、撹拌しつつアジピン酸を溶解させ流動状態にした。その間、反応槽内に窒素の供給を開始し、反応槽内の圧力を0.4MPaGまで加圧した。190℃まで加熱したところで、溶融したアジピン酸を撹拌しながら、メタキシリレンジアミン70モル%とパラキシリレンジアミン30モル%含有する混合キシリレンジアミン(純度:99.95wt%)13.909kgを2時間かけて滴下した。この間、連続的に昇温して混合キシリレンジアミンの滴下終了時の内温が265℃になるように加熱を調節し、反応槽の圧力を0.4MPaGで制御し、留出する水は内部温度を150℃で制御した分縮器、および冷却器を通して反応系外に除いた。またこの間、反応槽気相部の温度も随時上昇し、ジアミン添加総量の70%を滴下した時点で、混合キシリレンジアミンとアジピン酸からなるナイロン塩の融点227℃以上となった。混合キシリレンジアミンの滴下終了後、引き続き撹拌しながら0.2℃/分の昇温速度を昇温し、15分間反応槽の圧力を0.4MPaGで保持した。更に80kPaAまで0.6MPa/時の速度で圧力を低下させ、80kPaAで5分間保持した。その後、加熱を中止し、窒素で加圧して反応槽下部のノズルからストランドとして取り出し、水冷した後ペレット形状に切断し、非晶状態にある共重合ポリアミド樹脂を得た。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.12、数平均分子量は15800、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.994、YIは-5、融点は258℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.06?2.14、数平均分子量は14,800?16,000、モルバランスは0.993?0.995、YIは-6?-3と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は104個/g、50?99μmは53個/g、100?199μmは42個/g、200μm以上は9個/gであり粒状物は非常に少なくフィルム外観も良好であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点258℃の他に282℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が4280MPaであり、その標準偏差は18、曲げ強度が174MPaであり、その標準偏差は1、熱変形温度174℃、その標準偏差は1であり機械的特性、耐熱特性に優れ、品質も非常に安定していた。
[0065]
<実施例2>
反応槽の圧力を0.2MPaGとし、留出する水は内部温度を120?124℃で制御した分縮器、および冷却器を通して反応系外に除いた以外は、実施例1と同様の装置にて同条件で共重合ポリアミド樹脂の合成を行った。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.09、数平均分子量は15300、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.994、YIは-4、融点は258℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.05?2.12、数平均分子量は14,700?15,800、モルバランスは0.993?0.995、YIは-6?-3と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は147個/g、50?99μmは75個/g、100?199μmは57個/g、200μm以上は15個/gであり粒状物は非常に少なくフィルム外観も良好であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点258℃の他に280℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が4265MPaであり、その標準偏差は15、曲げ強度が174MPaであり、その標準偏差は1、熱変形温度175℃、その標準偏差は1であり機械的特性、耐熱特性に優れ、品質も非常に安定していた。
[0066]
<実施例3>
メタキシリレンジアミン60モル%とパラキシリレンジアミン40モル%含有する混合キシリレンジアミン(純度:99.95wt%)を用いたこと、ジアミン滴下工程中に反応液を連続的に昇温して混合キシリレンジアミンの滴下終了時の内温が275℃としたこと、またこの間、装置気相部壁面を240℃に温調し、反応槽気相部の温度をジアミン添加総量の70%を滴下した時点で、混合キシリレンジアミンとアジピン酸からなるナイロン塩の融点230℃以上に制御した以外は、実施例1と同様の装置にて同条件で共重合ポリアミド樹脂の合成を行った。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.10、数平均分子量は15500、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.994、YIは-3、融点は269℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.07?2.13、数平均分子量は14,900?15,900、モルバランスは0.993?0.995、YIは-5?-1と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は261個/g、50?99μmは133個/g、100?199μmは102個/g、200μm以上は26個/gであり粒状物は非常に少なくフィルム外観も良好であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点269℃の他に293℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が4270MPaであり、その標準偏差は23、曲げ強度が172MPaであり、その標準偏差は1、熱変形温度179℃、その標準偏差は2であり機械的特性、耐熱特性に優れ、品質も非常に安定していた。
[0067]
<実施例4>
メタキシリレンジアミン50モル%とパラキシリレンジアミン50モル%含有する混合キシリレンジアミン(純度:99.95wt%)を用いたこと、ジアミン滴下工程中に反応液を連続的に昇温して混合キシリレンジアミンの滴下終了時の内温が285℃としたこと、またこの間、装置気相部壁面を250℃に温調し、反応槽気相部の温度をジアミン添加総量の75%を滴下した時点で、混合キシリレンジアミンとアジピン酸からなるナイロン塩の融点238℃以上に制御した以外は、実施例1と同様の装置にて同条件で共重合ポリアミド樹脂の合成を行った。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.11、数平均分子量は15700、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.993、YIは-1、融点は278℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.06?2.16、数平均分子量は14,800?16,300、モルバランスは0.992?0.994、YIは-3?1と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は632個/g、50?99μmは319個/g、100?199μmは278個/g、200μm以上は35個/gであり粒状物は非常に少なくフィルム外観も良好であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点278℃の他に302℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が4263MPaであり、その標準偏差は28、曲げ強度が171MPaであり、その標準偏差は2、熱変形温度189℃、その標準偏差は2であり機械的特性、耐熱特性に優れ、品質も非常に安定していた。
[0068]
<実施例5>
ジカルボン酸成分として、セバシン酸(純度:99.70wt%、硫黄原子濃度30ppm、ナトリウム原子濃度54ppm)15.135kgを仕込み、ジアミン成分として、メタキシリレンジアミン70モル%とパラキシリレンジアミン30モル%含有する混合キシリレンジアミン(純度:99.95wt%)10.100kgを滴下したこと、ジアミン滴下工程中に反応液を連続的に昇温してジアミン滴下終了時の内温が250℃となるようにしたこと、またこの間に装置気相部壁面を230℃に温調し、反応槽気相部の温度をジアミン添加総量の35%を滴下した時点で、混合キシリレンジアミンとセバシン酸からなるナイロン塩の融点191℃以上に制御した以外は、実施例1と同様の装置にて同条件で共重合ポリアミド樹脂の合成を行った。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.05、数平均分子量は14900、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.994、YIは-5、融点は214℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.00?2.13、数平均分子量は14200?15900、モルバランスは0.993?0.995、YIは-7?-3と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は198個/g、50?99μmは102個/g、100?199μmは75個/g、200μm以上は21個/gであり粒状物は非常に少なくフィルム外観も良好であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点214℃の他に250℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が2920MPaであり、その標準偏差は14、曲げ強度が135MPaであり、その標準偏差は1、熱変形温度145℃、その標準偏差は2であり品質も非常に安定していた。
[0069]
<実施例6>
ジアミン成分として、メタキシリレンジアミン60モル%とパラキシリレンジアミン40モル%含有する混合キシリレンジアミン(純度:99.95wt%)を用いたこと、ジアミン滴下工程中に装置気相部壁面を230℃に温調し、反応槽気相部の温度をジアミン添加総量の40%を滴下した時点で、混合キシリレンジアミンとセバシン酸からなるナイロン塩の融点197℃以上に制御した以外は、実施例5と同様の装置にて同条件で共重合ポリアミド樹脂の合成を行った。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.07、数平均分子量は15100、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.994、YIは-5、融点は223℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.04?2.10、数平均分子量は14700?15500、モルバランスは0.993?0.995、YIは-7?-3と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は217個/g、50?99μmは114個/g、100?199μmは79個/g、200μm以上は24個/gであり粒状物は非常に少なくフィルム外観も良好であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点223℃の他に260℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が2900MPaであり、その標準偏差は12、曲げ強度が134MPaであり、その標準偏差は1、熱変形温度152℃、その標準偏差は2であり品質も非常に安定していた。
[0070]
<実施例7>
ジアミン成分として、メタキシリレンジアミン40モル%とパラキシリレンジアミン60モル%含有する混合キシリレンジアミン(純度:99.95wt%)を用いたこと、ジアミン滴下工程中に装置気相部壁面を230℃に温調し、反応槽気相部の温度をジアミン添加総量の50%を滴下した時点で、混合キシリレンジアミンとセバシン酸からなるナイロン塩の融点202℃以上に制御した以外は、実施例5と同様の装置にて同条件で共重合ポリアミド樹脂の合成を行った。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.11、数平均分子量は15600、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.994、YIは-4、融点は242℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.05?2.16、数平均分子量は14600?16100、モルバランスは0.993?0.995、YIは-6?-2と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は225個/g、50?99μmは120個/g、100?199μmは83個/g、200μm以上は22個/gであり粒状物は非常に少なくフィルム外観も良好であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点242℃の他に281℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が2930MPaであり、その標準偏差は15、曲げ強度が136MPaであり、その標準偏差は1、熱変形温度170℃、その標準偏差は1であり品質も非常に安定していた。
[0071]
<実施例8>
ジアミン成分として、メタキシリレンジアミン20モル%とパラキシリレンジアミン80モル%含有する混合キシリレンジアミン(純度:99.95wt%)を用いたこと、ジアミン滴下工程中に装置気相部壁面を230℃に温調し、反応槽気相部の温度をジアミン添加総量の55%を滴下した時点で、混合キシリレンジアミンとセバシン酸からなるナイロン塩の融点207℃以上に制御した以外は、実施例5と同様の装置にて同条件で共重合ポリアミド樹脂の合成を行った。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.10、数平均分子量は15500、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.994、YIは-4、融点は263℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.04?2.14、数平均分子量は14400?16000、モルバランスは0.993?0.995、YIは-6?-2と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は283個/g、50?99μmは145個/g、100?199μmは112個/g、200μm以上は26個/gであり粒状物は非常に少なくフィルム外観も良好であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点263℃の他に292℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が2950MPaであり、その標準偏差は12、曲げ強度が135MPaであり、その標準偏差は1、熱変形温度191℃、その標準偏差は2であり品質も非常に安定していた。」
「[0075]
実施例1?8及び比較例1?3の製造条件及び物性評価結果を第1表に示す。表中、PXDAはパラキシレンジアミン、MXDAはメタキシレンジアミンを示す。
[表2]



エ 甲第2号証に記載された発明

甲第2号証(以下、「甲2」ともいう。)の記載、特に、段落[0054]および実施例2に関する記載を整理すると、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認める。

〈甲2発明〉

「反応槽に精秤したアジピン酸(純度:99.85wt%)15.000kgを仕込み、十分窒素置換し、300℃の熱媒をジャケットに流して昇温を開始し、撹拌しつつアジピン酸を溶解させ流動状態にし、その間、反応槽内に窒素の供給を開始し、反応槽内の圧力を0.2MPaGまで加圧し、190℃まで加熱したところで、溶融したアジピン酸を攪拌しながら、メタキシリレンジアミン(MXDA)70モル%とパラキシリレンジアミン(PXDA)30モル%含有する混合キシリレンジアミン(純度99.95wt%)13.909kgを2時間かけて滴下し、この間、連続的に昇温して混合キシリレンジアミンの滴下終了時の内温が265℃になるように加熱を調節し、反応槽の圧力を0.2MPaGで制御し、留出する水は内部温度を120?124℃で制御した分縮器、および冷却器を通して反応系外に除き、またこの間、反応槽気相部の温度も随時上昇し、ジアミン添加総量の70%を滴下した時点で、混合キシリレンジアミンとアジピン酸からなるナイロン塩の融点227℃以上となり、混合キシリレンジアミンの滴下終了後、引き続き撹拌しながら0.2℃/分の昇温速度を昇温し、15分間反応槽の圧力を0.4MPaGで保持し、更に80kPaAまで0.6MPa/時の速度で圧力を低下させ、80kPaAで5分間保持し、その後、加熱を中止し、窒素で加圧して反応槽下部のノズルからストランドとして取り出し、水冷した後ペレット形状に切断して得た、非晶状態にある共重合ポリアミド樹脂において、ポリアミド樹脂1gを精秤し、96%を用いること硫酸100mlに20?30℃で攪拌溶解し、完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5ccを取り、25℃の恒温槽中で10分間放置後、落下速度(t)を測定し、また、96%硫酸そのものの落下速度(t_(0))も同様に測定し、tおよびt_(0)からt/t_(0)(A)により算出した相対粘度は2.09、数平均分子量は15300である共重合ポリアミド樹脂。」

(2)甲1発明との対比・判断

ア 本件特許発明1について

甲1発明の「1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)」および
「アジピン酸(AA)」は、本件特許発明1の「ジカルボン酸」に相当する。
甲1発明の「1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)」は、本件特許発明1の「1,4-シクロヘキサンジカルボン酸」に相当する。
甲1発明の「1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)」が「モル比」で「30」であることは、本件特許発明1の「1,4-シクロヘキサンジカルボン酸が5モル%を超えて50モル%未満」に相当する。
甲1発明の「アジピン酸(AA)」は、本件特許発明1の「1,4-シクロヘキサンカルボン酸以外のジカルボン酸」に相当する。
甲1発明の「アジピン酸(AA)」が「モル比」で「70」であることは
本件特許発明1の「1,4-シクロヘキサンカルボン酸以外のジカルボン酸が50モル%を超えて95モル%未満」に相当する。
甲1発明の「メタキシリレンジアミン(MXDA)」は、本件特許発明1の「ジアミン成分」に相当する。
甲1発明の「メタキシリレンジアミン(MXDA)」は、本件特許発明1の「キシリレンジアミン」に相当する。
また、甲1発明の「メタキシリレンジアミン(MXDA)」が「モル比」で「100」であることは、本件特許発明1の「キシリレンジアミン50?100モル%」に相当する。
甲1発明の「共重合ポリアミド」は、本件特許発明1の「ポリアミド樹脂」に相当する。

そうすると、両者は
「ジカルボン酸成分として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸が30モル%と、1,4-シクロヘキサンカルボン酸以外のジカルボン酸以外のジカルボン酸が70モル%と、を含有し、ジアミン成分としてキシリレンジアミン100モル%を含有するポリアミド樹脂」である点で一致し、少なくとも以下の点で一応相違または相違する。

〈相違点1〉
ジアミン成分として含まれるキシリレンジアミンが、本件特許発明1では、「パラキシリレンジアミン成分の含有量が10?100モル%」のものであるのに対し、甲1発明では、メタキシリレンジアミン(MXDA)の含有量が100モル%のものであり、パラキシリレンジアミン成分を含むものではない点で相違する。

〈相違点2〉
本件特許発明1は、「キシリレンジアミン以外のジアミン0?50モル%」を含むのに対し、甲1発明は、そのような特定はない点で一応相違する。

〈相違点3〉
本件特許発明1は、少なくとも「1,4-シクロヘキサンジカルボン酸」、「1,4-シクロヘキサンカルボン酸以外のジカルボン酸」、「パラキシリレンジアミン成分」を含有するポリアミド樹脂において、粘度および数平均分子量について
「濃硫酸中0.5g/dLの濃度で、温度25℃で測定した対数粘度(IV)および滴定法で求めた数平均分子量(Mn)が、下記数式1および数式2を満たす」
「【数1】
0.4≦IV≦1.5・・・・・数式1

12000≦Mn/IV・・・・・数式2
」と特定するのに対し、
甲1発明は、「1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)」、「アジピン酸」、「メタキシレンジアミン(MXDA)」を含有するポリアミド樹脂において、粘度について「ポリアミド0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した相対粘度が、2.180」と特定し、対数粘度、数平均分子量(Mn)を対数粘度で除すること及びそれらの数値範囲は格別特定されていない点で相違する。

(ア)一応の相違点2についての判断
甲1発明は、ジアミン成分として、メタキシリレンジアミンのみを含有するものであるから、「キシリレンジアミン以外のジアミン」を含有するものではない。また、甲1の実施例2の記載を参照すると、「メタキシレンジアミン(MXDA)」以外のジアミンは含まれておらず、0モル%であるから、甲1発明は、「キシリレンジアミン以外のジアミン0?50モル%」との構成を有するものといえる。
よって、一応の相違点2は、実質的な相違点ではない。

(イ)相違点1についての判断
甲2の段落[0004]には、「従来開示されている製造技術にてパラキシリレンジアミンを含む共重合ポリアミドを製造する場合、パラキシリレンジアミン組成の高い、より高融点の共重合ポリアミドが、極少量ではあるが局所的に生成し、高品質水準での均質な共重合ポリアミドを得ることが困難であった。ポリアミド製造時に局所的にパラキシリレンジアミン組成の高い共重合ポリアミドが生成すると、製造工程温度で溶解せずに重合度の低いまま共重合ポリアミド中に粒状に分散することになる。この不均質なポリアミドは、成形品とした際に分散した高融点ポリアミドの影響により、機械的性能、耐熱性能にバラつきを生じる課題を有している。」と記載されている。
また、甲2の実施例1ないし8には、ポリアミドの主原料にジアミン成分として、メタキシリレンジアミン(MXDA)とパラキシリレンジアミン(PXDA)を含有する混合キシリレンジアミンを用いることが記載されている。
そして、甲2の実施例1ないし8には、PXDAとMXDAとアジピン酸を用いて共重合ポリアミドを得て、得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化すると、高融点ポリアミド粒状物が含まれることが記載されている。
一方、甲1の段落【0001】には、「フィルム、シート・・・などの成形品の材料として有用な耐熱性及び熱安定性に優れる共重合ポリアミド」と記載されており、甲1発明のポリアミド樹脂は、フィルムなどの材料として使用されることが想定されているといえる。
そうすると、甲2の記載を参照し、甲1発明において、メタキシリレンジアミンの代わりに、メタキシリレンジアミン(MXDA)とパラキシリレンジアミン(PXDA)を含有する混合キシリレンジアミンを用いて、共重合ポリアミド樹脂を製造し、そのポリアミド樹脂を用いてフィルムを製造すれば、フィルム内に、高融点ポリアミド粒状物が含まれることになる。
しかし、一般に、フィルム内に粒状物が含まれないように製造することは、特別の技術的目的がない限り、技術常識といえるから、そのような技術常識に照らしてみれば、甲1発明において甲2の技術的事項を適用することには、阻害要因があるというべきである。
また、甲1の段落【0017】「10モル%未満の範囲で、MXDA以外のジアミン成分として、・・・パラキシリレンジアミン・・・などを共重合することができる」との記載を参照しても、甲1発明において、MXDA以外に、パラキシリレンジアミンを含めることができるのは、10モル%未満であるから、甲2の記載を参照したとしても、甲1発明において、「パラキシリレンジアミン成分の含有量が10?100モル%」との構成に至るには、やはり阻害要因が存するというべきである。

したがって、相違点1は、甲1発明及び甲2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たということはできない。

(ウ)相違点3についての判断

仮に、相違点1が、甲1発明及び甲2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たとしても、相違点3については、甲1発明及び甲2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たということはできない。

まず、甲1及び甲2には、本件特許発明1の「12000≦Mn/IV・・・・・数式2」なる事項は記載も示唆もされていない。

甲1発明は、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)30モル%と、アジピン酸70モル%を含有し、ジアミン成分としてメタキシレンジアミン(MXDA)の含有量が100モル%の3成分からなるポリアミド樹脂であって、当該ポリアミド樹脂の粘度は2.180である。
当該粘度は、相対粘度であるから、本件特許明細書の段落【0083】の記載に基づき、対数粘度に換算すれば、0.78である。
また、本件特許明細書の段落【0085】および甲2の段落[0057]の記載に基づき、甲1の段落【0039】のアミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度から、数平均分子量を算出すれば、14388となる。
ここで、本件特許発明1における数式1について検討すると、上記のとおり、甲1発明における対数粘度は0.78であるから、数式1を一応満たすといえる。また、同数式2について検討すると、上記のとおり、甲1発明における数平均分子量は14388であるから、14388/0.78=18446となり、数式2を一応満たすといえる。

一方、本件特許発明1の対数粘度についての数式1および数平均分子量を対数粘度で除する数式2で規定される数値範囲は、少なくとも「1,4-シクロヘキサンジカルボン酸」、「1,4-シクロヘキサンカルボン酸以外のジカルボン酸」、「パラキシリレンジアミン成分」を含有するポリアミド樹脂を前提にするものである。

そうすると、甲1発明は、「パラキシリレンジアミン成分」を含有しないポリアミド樹脂であって、本件特許発明1の「パラキシリレンジアミン成分」を含有するポリアミド樹脂ではないから、甲1発明の対数粘度および数平均分子量と、本件特許発明1の粘度および数平均分子量を同列に扱うことはできず、甲1発明の対数粘度および数平均分子量を、そのまま本件特許発明1の数式1及び数式2に当てはめて算出することで、この点で本件特許発明1と甲1発明とが一致するということはできない。

さらに、甲1発明において、ポリアミドを構成するメタキシリレンジアミンの代わりに、メタキシリレンジアミン(MXDA)とパラキシリレンジアミン(PXDA)を含有する混合キシリレンジアミンを用いて製造されたポリアミド樹脂について検討すると、一般に、ポリアミドを構成する成分が異なれば、反応温度などの諸条件が異なるため、単にメタキシリレンジアミンを上記混合キシリレンジアミンに置き換えたとしても、反応生成物の粘度および数平均分子量は置き換えの前後で同一になるとは限らず、通常変化することから、前記メタキシリレンジアミンを用いて製造されたポリアミド樹脂と前記上記混合キシリレンジアミンを用いて製造されたポリアミド樹脂の粘度および数平均分子量は、通常異なるといえる。

してみれば、甲1発明のメタキシリレンジアミンを用いて製造されたポリアミド樹脂の対数粘度および数平均分子量が本件特許発明1の数式1および数式2の数値範囲を満たすとしても、甲1発明においてメタキシリレンジアミン(MXDA)とパラキシリレンジアミン(PXDA)を含有するポリアミド樹脂に変更した場合にまで、本件特許発明1の数式1および数式2の数値範囲を満たすとは、必ずしもいえない。
したがって、相違点3は、甲1発明及び甲2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たということはできない。

よって、本件特許発明1は、甲1発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

イ 本件特許発明2について

本件特許発明2は、請求項1を引用するものであるので、本件特許発明1と同様に、甲1発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ 本件特許発明3について

本件特許発明3は、請求項1または2を引用するものであるので、本件特許発明1及び2と同様に、甲1発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)甲2発明との対比・判断
ア 本件特許発明1について
甲2発明の「アジピン酸」は、本件特許発明1の「ジカルボン酸成分」及び「1,4-シクロヘキサンカルボン酸以外のジカルボン酸」に相当する。
甲2発明の「メタキシリレンジアミン(MXDA)」と「パラキシリレンジアミン(PXDA)」は、本件特許発明1の「ジアミン成分」に相当する。
甲2発明の「パラキシレンジアミン(PXDA)」は、本件特許発明1の「パラキシリレンジアミン成分」に相当する。
甲2発明の「パラキシリレンジアミン(PXDA)30モル%」は、本件特許発明1の「パラキシリレンジアミン成分の含有量が10?100モル%」に相当する。
甲2発明の「メタキシリレンジアミン(MXDA)70モル%とパラキシリレンジアミン(PXDA)30モル%含有する混合キシリレンジアミン」は、本件特許発明1の「キシリレンジアミン100モル%」に相当する。
甲2発明の「共重合ポリアミド樹脂」は、本件特許発明1の「ポリアミド樹脂」に相当する。

そうすると、両者は、
「ジカルボン酸として、1,4-シクロヘキサンカルボン酸以外のジカルボン酸を含有し、ジアミン成分として、パラキシリレンジアミン成分の含有量が30モル%であるキシリレンジアミン100モル%と、を含有するポリアミド樹脂」との点で一致し、少なくとも次の点で一応相違または相違する。

〈相違点4〉
ジカルボン酸成分として、本件特許発明1は、「1,4-シクロヘキサンジカルボン酸が5モル%が超えて50モル%未満と、1,4-シクロヘキサンカルボン酸以外のジカルボン酸が50モル%を超えて95モル%未満」とを含有するのに対し、甲2発明は、「1,4-シクロヘキサンジカルボン酸」が含有されることについては特定されていない点で相違する。

〈相違点5〉
本件特許発明1は、「キシリレンジアミン以外のジアミン0?50モル%」を含むのに対し、甲2発明は、そのような特定はない点で一応相違する。

〈相違点6〉
本件特許発明1は、少なくとも「1,4-シクロヘキサンジカルボン酸」、「1,4-シクロヘキサンカルボン酸以外のジカルボン酸」、「パラキシリレンジアミン成分」を含有するポリアミド樹脂において、粘度および数平均分子量について「濃硫酸中0.5g/dLの濃度で、温度25℃で測定した対数粘度(IV)および滴定法で求めた数平均分子量(Mn)が、下記数式1および数式2を満たす」
「【数1】
0.4≦IV≦1.5・・・・・数式1

12000≦Mn/IV・・・・・数式2」
と特定するのに対し、
甲2発明は、「アジピン酸」、「メタキシレンジアミン(MXDA)」及び「パラキシリレンジアミン(PXDA)」を含有するポリアミド樹脂において、粘度について「ポリアミド樹脂1gを精秤し、96%を用いること硫酸100mlに20?30℃で攪拌溶解し、完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5ccを取り、25℃の恒温槽中で10分間放置後、落下速度(t)を測定し、また、96%硫酸そのものの落下速度(t_(0))も同様に測定し、tおよびt_(0)からt/t_(0)(A)により算出した相対粘度が、2.09」と特定し、対数粘度、数平均分子量(Mn)を対数粘度で除すること及びそれらの数値範囲は格別特定されていない点で相違する。

(ア)一応の相違点5についての判断
甲2発明は、ジアミン成分として、「メタキシレンジアミン(MXDA)」と「パラキシリレンジアミン(PXDA)」のみを含有するものであるか、「キシリレンジアミン以外のジアミン」を含有するものではない。また、甲2の実施例2の記載を参照すると、「メタキシレンジアミン(MXDA)」および「パラキシリレンジアミン(PXDA)」以外のジアミンは含まれておらず、0モル%であるから、甲2発明は、「キシリレンジアミン以外のジアミン0?50モル%」との構成を有するものといえる。
よって、一応の相違点5は、実質的な相違点ではない。

(イ)相違点4についての判断
甲1の実施例2には、ポリアミドの主原料にジカルボン酸成分として、メタキシリレンジアミン(CHDA)30モル%とアジピン酸70モル%を用いることが記載されている。
そして、甲1の実施例1ないし3の記載及び段落【0051】の記載から、MXDAとCHDAとアジピン酸を用いて共重合ポリアミドを製造し、CHDAの組成比を高くするとポリアミド樹脂のガラス転移温度(Tg)と融点を高めることでき、耐熱性の要求レベルに合わせた共重合ポリアミドを製造することができることが読み取れる。
一方、甲2の段落[0013]ないし[0014]を参照すれば、甲2発明のポリアミド樹脂は、機械的特性、耐熱特性、化学的物理的特性及び成形特性のいずれにも優れた性能を有することを課題としている。
そうすると、甲2発明において、要求される耐熱特性に合わせるために、ポリアミド樹脂を構成するジカルボン酸成分としてアジピン酸に代えて、CHDA30モル%とアジピン酸70モル%を用いることは、甲1に記載された事項に基づき、当業者が容易になし得たことである。

(ウ)相違点6についての判断
甲1及び甲2には、本件特許発明1の「12000≦Mn/IV・・・・・数式2」なる事項は記載も示唆もされていない。

甲2発明は、ジカルボン酸成分としてアジピン酸、ジアミン成分としてパラキシレンジアミン(PXDA)30モル%とメタキシレンジアミン(MXDA)70モル%の3成分からなるポリアミド樹脂であって、当該ポリアミド樹脂の粘度は2.09であり、数平均分子量が15300である。
当該粘度は、相対粘度であるから、本件特許明細書の段落【0083】の記載に基づき、対数粘度に換算すれば、0.74である。
ここで、本件特許発明1における数式1について検討すると、上記のとおり、甲2発明における対数粘度は0.74であるから、数式1を一応満たすといえる。また、同数式2について検討すると、上記のとおり、甲2発明における数平均分子量は15300であるから、15300/0.74=20676となり、数式2を一応満たすといえる。
一方、本件特許発明1の対数粘度についての数式1および数平均分子量を対数粘度で除する数式2で規定される数値範囲は少なくとも「1,4-シクロヘキサンジカルボン酸」、「1,4-シクロヘキサンカルボン酸以外のジカルボン酸」、「パラキシリレンジアミン成分」を含有するポリアミド樹脂を前提にするものである。

そうすると、甲2発明は、「1,4-シクロヘキサンジカルボン酸」を含有しないポリアミド樹脂であって、「1,4-シクロヘキサンジカルボン酸」を含有するポリアミド樹脂ではないから、甲2発明の対数粘度および数平均分子量と、本件特許発明1の対数粘度および数平均分子量を同列に扱うことはできず、甲2発明の対数粘度および数平均分子量を、そのまま本件特許発明1の数式1及び数式2に当てはめて算出することで、この点で本件特許発明1と甲2発明とが一致するということはできない。

さらに、仮に、甲2発明において、ポリアミドを構成するアジピン酸の代わりに、CHDA30mol%とアジピン酸70mol%を用いたとして、製造されたポリアミド樹脂について検討すると、一般に、ポリアミドを構成する成分が異なれば、反応温度などの諸条件は異なるため、単に「アジピン酸」を「CHDA30mol%とアジピン酸70mol%」に置き換えたとしても、反応生成物の粘度および数平均分子量は置き換えの前後で同一になるとは限らず、通常変化することから、前記「1,4-シクロヘキサンジカルボン酸」を用いて製造されたポリアミド樹脂と前記「CHDA30mol%とアジピン酸70mol%」を用いて製造されたポリアミド樹脂の粘度および数平均分子量は、通常異なるといえる。

してみれば、甲2発明の「1,4-シクロヘキサンジカルボン酸」を用いて製造されたポリアミド樹脂の対数粘度および数平均分子量が本件特許発明1の数式1および数式2の数値範囲を満たすとしても、甲2発明においてCHDA30mol%とアジピン酸70mol%を含有するポリアミド樹脂に変更した場合にまで、本件特許発明1の数式1および数式2の数値範囲を満たすとは、必ずしもいえない。

したがって、相違点6は、甲2発明及び甲1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たということはできない。

よって、本件特許発明1は、甲2発明及び甲第1号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

イ 本件特許発明2について

本件特許発明2は、請求項1を引用するものであるので、本件特許発明1と同様に、甲2発明及び甲第1号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ 本件特許発明3について

本件特許発明3は、請求項1または2を引用するものであるので、本件特許発明1及び2と同様に、甲2発明及び甲第1号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 取消理由2(明確性)について
(1)特許を受けようとする発明が明確か否かは、特許請求の範囲の記載だけでなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。
(2)本件特許発明1ないし3に係る特許請求の範囲のうち、「12000≦Mn/IV・・・数式2」との記載について検討する。
請求項1ないし3の記載のうち、数式2のMn/IVは、数平均分子量を対数粘度で除した値であることは明らかである。また、Mn/IVの程度は12000以上であると一義的に定まる。
これに対し、特許異議申立人は、「Mnの値の上限が規定されていないことから、非常に大きなMnも取りうる規定」であり、発明の範囲が不明確であると主張する。
しかし、IVについては、数式1でその範囲が特定されており、Mnについても、「ジカルボン酸成分として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸が5モル%を超えて50モル%未満と、1,4-シクロヘキサンカルボン酸以外のジカルボン酸が50モル%を超えて95モル%未満と、を含有し、ジアミン成分として、パラキシリレンジアミン成分の含有量が10?100モル%であるキシリレンジアミン50?100モル%と、キシリレンジアミン以外のジアミン0?50モル%と、を含有するポリアミド樹脂」の数平均分子量であるから、当業者であれば非常に大きなMnになるとは、通常理解しないものといえる。
そうすると、「12000≦Mn/IV・・・数式2」との特許請求の範囲の記載は、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確なものとはいえない。

また、請求項1を引用する本件特許発明2ないし3についても同様である。
よって、取消理由2は理由がない。

3 取消理由3(サポート要件)について
(1)特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
(2)そこで、本件特許発明に関して、特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かを検討する。
本件特許明細書の発明の詳細な説明には、次の記載がある。
「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1?5に記載の製造方法は、特に高融点のポリアミド樹脂に適用した場合、溶融状態を保つのに高温を要するため、生成物が熱分解を起こしやすく、また得られたポリアミド樹脂は機械的強度、耐熱劣化性、色調等に劣るものとなり、物性が不十分になるという問題があった。また、これらの方法で得られたポリアミド樹脂はゲルを含むなど粘度が高く、取り扱いが困難であり、さらに、リアクター内壁に内容物が残存し易く、低収率になるなどの製造上の問題もあった。」
「発明の効果】
【0013】
本発明によれば、機械的強度、耐熱性、色調等のバランスに優れたポリアミド樹脂を得ることができる。
【0014】
また、本発明によれば、ゲル化等の製造上の問題をほとんど生ずることなく、機械的強度、耐熱性、色調等のバランスに優れたポリアミド樹脂を得ることができるポリアミド樹脂の製造方法が提供されうる。」
「 【0099】
(実施例1)
原料として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(東京化成工業株式会社製 試薬シス体、トランス体混合物 シス/トランス比=80/20モル%) 66.35g(CHDA、0.385モル=30モル%)、アジピン酸 131.40g(AdA、0.899モル=70モル%)、パラキシリレンジアミン 52.27g(MXDA、0.384モル=30モル%)、メタキシリレンジアミン 121.97g(PXDA、0.896モル=70モル%)、次亜リン酸ナトリウム一水和物 0.372g(仕込み原料に対して0.1重量部)、および水82g(仕込み原料に対して18重量%)を、分縮器、圧力調整弁、内視用窓、および底部排出弁を備えた内容積1リットルのオートクレーブ反応槽に仕込み、窒素置換を行った。攪拌しながら1時間かけて180℃まで昇温して0.5時間保持し、内容物が均一溶液となることを確認した。その後、1時間かけて内部温度を220℃まで昇温し、密閉状態、同温度で2時間保持した。この時、反応槽の内圧は1.9MPaに達した。
【0100】
所定の反応時間経過後、反応槽の温度、および反応系内の水分量(28重量%)を維持したまま、生成した低次縮合物を底部排出弁より、窒素流通下、常温(25℃)で、大気圧条件で容器に排出した。この際の排出弁ノズル径は1mmであり、排出には50秒を要した。排出される容器の酸素濃度は0.1体積%であり、白色、粉末状の低次縮合物を得た。排出直後の低次縮合物は温度81℃、水分量2.2重量%であった。得られた低次縮合物のIVは0.15dL/gであり、融点は267℃であった。
【0101】
得られた低次縮合物300gを1000mL丸底フラスコに仕込み、油浴付きロータリーエバポレータに設置し、窒素置換した後に、1L/minの窒素流通下で、フラスコを回転させながら210℃の油浴に浸漬し、内部温度を203℃まで1時間かけて昇温した後、同温度で4時間固相重合反応を継続した。所定の反応時間経過後に室温(25℃)まで冷却し、高重合度化したポリアミド樹脂を得た。
【0102】
得られたポリアミド樹脂のIVは0.85、Mnは11640であり、上記式1および2を満たす性状を示した。DSC測定による融点は283℃、ガラス転移点は105℃、結晶化温度は229℃、YIは4であり、高重合度化した色相良好な、高耐熱ポリアミド樹脂が得られた。
【0103】
得られたポリアミド樹脂について、NMR分析によりポリマー組成を分析したところ、(CHDA/AdA):(MXDA/PXDA)=(30/70):(30/70)(モル%)であることが分かり、原料組成比と同じ組成比であることを確認した。
【0104】
得られたポリアミド樹脂を射出成形により試験片を作製し機械的物性を評価したところ、曲げ強度は181MPa、曲げ弾性率は4.4GPa、荷重たわみ温度は110℃であり、高強度、高剛性、高耐熱の性状を示した。
【0105】
(実施例2)
原料として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸 66.35g(0.385モル=30モル%)、アジピン酸 131.40g(0.899モル=70モル%)、パラキシリレンジアミン 69.70g(0.512モル=40モル%)、メタキシリレンジアミン 104.55g(0.768モル=60モル%)、次亜リン酸ナトリウム一水和物 0.372g(仕込み原料に対して0.1重量部)、および水248g(仕込み原料に対して40重量%)を、分縮器、圧力調整弁、内視用窓、および底部排出弁を備えた内容積1リットルのオートクレーブ反応槽に仕込み、窒素置換を行った。攪拌しながら1時間かけて180℃まで昇温して0.5時間保持し、内容物が均一溶液となることを確認した。その後、1時間かけて内部温度を220℃まで昇温し、保持した。内圧が1.9MPaに達した後は、同圧力に維持するように水を166g留去した後に密閉する条件で、同温度で2時間反応を継続した。
【0106】
これ以降、実施例1と同様にして低次縮合物の排出、および固相重合を行った。
【0107】
得られた低次縮合物のIVは0.15dL/gであり、融点は278℃であった。また、得られたポリアミド樹脂のIVは0.93、Mnは12063であり、上記式1および2を満たす性状を示した。DSC測定による融点は288℃、ガラス転移点は103℃、結晶化温度は231℃、YIは5であり、高重合度化した色相良好な、高耐熱ポリアミド樹脂が得られた。
【0108】
また、実施例1と同様にして、得られたポリアミド樹脂の組成比を分析したところ、原料組成比と同じであることを確認した。
【0109】
得られたポリアミド樹脂を射出成形により試験片を作製し機械的物性を評価したところ、曲げ強度は176MPa、曲げ弾性率は4.4GPa、荷重たわみ温度は110℃であり、高強度、高剛性、高耐熱の性状を示した。
【0110】
(実施例3)
原料として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸 44.63g(0.259モル=20モル%)、アジピン酸 151.54g(1.037モル=80モル%)、パラキシリレンジアミン 87.91g(0.646モル=50モル%)、およびメタキシリレンジアミン 87.91g(0.646モル=50モル%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、低次縮合物、およびポリアミド樹脂を製造した。
【0111】
得られた低次縮合物のIVは0.16dL/gであり、融点は278℃であった。また、得られたポリアミド樹脂のIVは0.78、Mnは9751であり、上記式1および2を満たす性状を示した。DSC測定による融点は286℃、ガラス転移点は101℃、結晶化温度は238℃、YIは5であり、高重合度化した色相良好な、高耐熱ポリアミド樹脂が得られた。
【0112】
また、実施例1と同様にして、得られたポリアミド樹脂の組成比を分析したところ、原料組成比と同じであることを確認した。
【0113】
得られたポリアミド樹脂を射出成形により試験片を作製し機械的物性を評価したところ、曲げ強度は182MPa、曲げ弾性率は4.3GPa、荷重たわみ温度は105℃であり、高強度、高剛性、高耐熱の性状を示した。
【0114】
(実施例4)
原料として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸 44.63g(0.259モル=20モル%)、アジピン酸 151.54g(1.037モル=80モル%)、パラキシリレンジアミン 123.08g(0.904モル=70モル%)、およびメタキシリレンジアミン 52.75g(0.387モル=30モル%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、低次縮合物、ポリアミド樹脂を製造した。
【0115】
得られた低次縮合物のIVは0.19dL/gであり、融点は310℃であった。また、得られたポリアミド樹脂のIVは0.72、Mnは10251であり、上記式1および2を満たす性状を示した。DSC測定による融点は314℃、ガラス転移点は101℃、結晶化温度は242℃、YIは5であり、高重合度化した色相良好な、高耐熱ポリアミド樹脂が得られた。
【0116】
また、実施例1と同様にして、得られたポリアミド樹脂の組成比を分析したところ、原料組成比と同じであることを確認した。
【0117】
得られたポリアミド樹脂を射出成形により試験片を作製し機械的物性を評価したところ、曲げ強度は185MPa、曲げ弾性率は4.3GPa、荷重たわみ温度は106℃であり、高強度、高剛性、高耐熱の性状を示した。
【0118】
(実施例5)
低次縮合物の重合温度を225℃とし、反応圧力2.5MPaで制御して41gの水を留去した条件で低次縮合物を排出し、固相重合の最高温度を224℃としたこと以外は、実施例1と同様にして低次縮合物、ポリアミド樹脂を製造した。
【0119】
得られた低次縮合物のIVは0.21dL/gであり、融点は269℃であった。また、得られたポリアミド樹脂のIVは1.21、Mnは17316であり、上記式1および2を満たす性状を示した。DSC測定による融点は282℃、ガラス転移点は106℃、結晶化温度は231℃、YIは5であり、高重合度化した色相良好な、高耐熱ポリアミド樹脂が得られた。
【0120】
また、実施例1と同様にして、得られたポリアミド樹脂の組成比を分析したところ、原料組成比と同じであることを確認した。
【0121】
得られたポリアミド樹脂を射出成形により試験片を作製し機械的物性を評価したところ、曲げ強度は195MPa、曲げ弾性率は4.4GPa、荷重たわみ温度は112℃であり、高強度、高剛性、高耐熱の性状を示した。
【0122】
(実施例6)
原料として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸 87.68g(0.509モル=40モル%)、アジピン酸 111.63g(0.764モル=60モル%)、パラキシリレンジアミン 51.81g(0.380モル=30モル%)、およびメタキシリレンジアミン 120.89g(0.888モル=70モル%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、低次縮合物、およびポリアミド樹脂を製造した。
【0123】
得られた低次縮合物のIVは0.17dL/gであり、融点は277℃であった。また、得られたポリアミド樹脂のIVは0.81、Mnは10753であり、上記式1および2を満たす性状を示した。DSC測定による融点は295℃、ガラス転移点は112℃、結晶化温度は246℃、YIは4であり、高重合度化した色相良好な、高耐熱ポリアミド樹脂が得られた。
【0124】
また、実施例1と同様にして、得られたポリアミド樹脂の組成比を分析したところ、原料組成比と同じであることを確認した。
【0125】
得られたポリアミド樹脂を射出成形により試験片を作製し機械的物性を評価したところ、曲げ強度は190MPa、曲げ弾性率は4.4GPa、荷重たわみ温度は120℃であり、高強度、高剛性、高耐熱の性状を示した。
【0126】
(比較例1)
原料として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸 108.63g(0.631モル=50モル%)、アジピン酸 92.20g(0.631モル=50モル%)、およびメタキシリレンジアミン 171.17g(1.257モル=100モル%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして低次縮合物、ポリアミド樹脂を製造した。
【0127】
得られた低次縮合物のIVは0.16dL/gであり、融点は340℃で明瞭な融解ピークを示さなかった。また、得られたポリアミド樹脂のIVは0.69、Mnは9799であり、上記式1および2を満たす性状を示した。DSC測定によるガラス転移点は110℃、融点は351℃で明瞭な融解ピークを示さなかった。YIは5であり、高重合度化した色相良好な、ポリアミド樹脂が得られた。
【0128】
また、実施例1と同様にして、得られたポリアミド樹脂の組成比を分析したところ、原料組成比と同じであることを確認した。
【0129】
得られたポリアミド樹脂を射出成形しようとしたところ、溶融する370℃の条件では分解ガスが多量に発生し、試験片を得ることができなかった。
【0130】
(比較例2)
低次縮合物の重合温度を250℃とし、反応圧力3.2MPaで制御したこと以外は、実施例2と同様にして、低次縮合物、ポリアミド樹脂を製造した。
【0131】
得られた低次縮合物のIVは0.18dL/gであり、融点は264℃であった。また、得られたポリアミド樹脂のIVは0.95、Mnは7435であり、式2を満たさないものであった。DSC測定による融点は267℃、ガラス転移点は104℃、結晶化温度は218℃、YIは9であり、耐熱性、結晶性が劣るポリアミド樹脂であった。
【0132】
得られたポリアミド樹脂を射出成形により試験片を作製し機械的物性を評価したところ、試験片に異物が認められ、曲げ強度は106MPa、曲げ弾性率は4.2GPa、荷重たわみ温度は110℃であり、曲げ強度が劣るものであった。
【0133】
(比較例3)
原料仕込み量を実施例1と同じとし、低次縮合物の重合温度を240℃、反応圧力を2.9MPaで制御し、固相重合温度を212℃としたこと以外は、実施例2と同様にして、低次縮合物、ポリアミド樹脂を製造した。
【0134】
得られた低次縮合物のIVは0.18dL/gであり、融点は262℃であった。また、得られたポリアミド樹脂のIVは1.15、Mnは12821であり、式2を満たさないものであった。DSC測定による融点は269℃、ガラス転移点は103℃、結晶化温度は220℃、YIは8であり、耐熱性、結晶性がやや劣るポリアミド樹脂であった。
【0135】
得られたポリアミド樹脂を射出成形により試験片を作製し機械的物性を評価したところ、試験片に若干の異物が認められ、曲げ強度は142MPa、曲げ弾性率は4.2GPa、荷重たわみ温度は110℃であり、曲げ強度が劣るものであった。
【0136】
(比較例4)
原料仕込み量を実施例1と同じとし、低次縮合物の重合温度を230℃、反応圧力を2.7MPa、反応時間を5時間としたこと以外は、実施例2と同様にして、低次縮合物、ポリアミド樹脂を製造した。
【0137】
得られた低次縮合物のIVは0.18dL/gであり、融点は260℃であった。また、得られたポリアミド樹脂のIVは0.85、Mnは9217であり、式2を満たさないものであった。DSC測定による融点は268℃、ガラス転移点は102℃、結晶化温度は218℃、YIは6であり、耐熱性、結晶性がやや劣るポリアミド樹脂であった。
【0138】
得られたポリアミド樹脂を射出成形により試験片を作製し機械的物性を評価したところ、試験片に若干の異物が認められ、曲げ強度は138MPa、曲げ弾性率は4.2GPa、荷重たわみ温度は110℃であり、曲げ強度が劣るものであった。
【0139】
(比較例5)
低次縮合物の重合温度を230℃とし、固相重合の最高温度を234℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、低次縮合物、ポリアミド樹脂を製造した。
【0140】
得られた低次縮合物のIVは0.18dL/gであり、融点は262℃であった。また、得られたポリアミド樹脂は、濃硫酸等の分析溶媒に不溶のゲル状物が多く存在し、分析不能であった。DSC測定による融点は250℃、ガラス転移点は101℃、結晶化温度は168℃、YIは16であり、耐熱性、色相も不良であった。
【0141】
得られたポリアミド樹脂はゲル状物を多く含むため、試験片を得ることができなかった。
【0142】
(比較例6)
原料として、アジピン酸 192.92g(1.320モル=100モル%)、およびメタキシリレンジアミン 179.08g(1.3148モル=100モル%)を用い、水分量を61g(仕込み原料に対して14重量%)、低次縮合物の重合温度を210℃とし、固相重合の最高温度を195℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、低次縮合物、ポリアミド樹脂を製造した。
【0143】
得られた低次縮合物のIVは0.20dL/gであり、融点は236℃であった。また、得られたポリアミド樹脂のIVは0.84、Mnは12143であり、上記式1および2を満たす性状を示した。DSC測定による融点は238℃、ガラス転移点は86℃、結晶化温度は181℃、YIは5であった。
【0144】
得られたポリアミド樹脂を射出成形により試験片を作製し機械的物性を評価したところ、曲げ強度は151MPa、曲げ弾性率は4.6GPa、荷重たわみ温度は95℃であり、高剛性であるが、耐熱性が劣るものであった。
【0145】
上記の実施例および比較例の評価結果をまとめて、下記表3に示す。
【0146】
【表3】

【0147】
上記表3から明らかなように、実施例1?6で得られた本発明のポリアミド樹脂は、機械的強度、耐熱性、色調等のバランスに優れていることが分かった。また、実施例1?6の本発明の製造方法によれば、ゲル化等の製造上の問題が生じないことが分かった。」

ア 本件特許明細書の発明の詳細な説明には、上記のとおりの記載があり、それによると、本件特許発明1の課題(以下、「発明の課題」という。)は、「ゲル化等の製造上の問題をほとんど生ずることなく、機械的強度、耐熱性、色調等のバランスに優れたポリアミド樹脂を得ること」である(本件特許明細書の【0014】)。

イ 本件特許発明1の「12000≦Mn/IV・・・数式2」について
本件特許明細書の【0082】ないし【0147】、表3には、ジカルボン酸として、1,4-シクロヘキサジカルボン酸、アジピン酸、パラキシリレンジアミン、メタキシ理事連ジアミンの配合比率がいずれの場合であっても、Mn/IVが12000以上であるとき、「機械的強度、耐熱性、色調等のバランスに優れ」、「ゲル化等の製造上の問題が生じない」ポリアミド樹脂が得られることが実施例によって示されている。
そうすると、発明の課題の解決には、「ジカルボン酸成分として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸が5モル%を超えて50モル%未満と、1,4-シクロヘキサンカルボン酸以外のジカルボン酸が50モル%を超えて95モル%未満と、を含有し、ジアミン成分として、パラキシリレンジアミン成分の含有量が10?100モル%であるキシリレンジアミン50?100モル%と、キシリレンジアミン以外のジアミン0?50モル%と、を含有するポリアミド樹脂」において、「12000≦Mn/IV・・・数式2」と特定することに技術的意味があり、しかも、数式2は、IVの範囲が規定される数式1と連関しており、特定のジカルボン酸成分と特定のジアミン成分を適切な比率で配合し反応させたものにおいて、Mn/IVを特定の閾値以上に規定すれば、発明の課題を解決できるものと、当業者は理解できる。
また、特定のジカルボン酸成分と特定のジアミン成分を適切な比率で配合し反応させたポリアミド樹脂において、Mnの上限が規定されず、Mn/IVの値が非常に大きいからといって、全く効果がないという技術常識もない。

したがって、本件特許発明1は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明により当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるというべきであり、特許請求の範囲の記載は、サポート要件に適合する。

また、請求項1を引用する本件特許発明2ないし3についても同様である。

よって、取消理由3は理由がない。

第5 結語

したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1ないし3に係る特許を取り消すことはできない。

また、他に本件特許の請求項1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-03-23 
出願番号 特願2012-261494(P2012-261494)
審決分類 P 1 652・ 537- Y (C08G)
P 1 652・ 121- Y (C08G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 渡辺 陽子  
特許庁審判長 加藤 友也
特許庁審判官 長谷部 智寿
井上 猛
登録日 2017-06-09 
登録番号 特許第6153717号(P6153717)
権利者 ロッテ アドバンスト マテリアルズ カンパニー リミテッド
発明の名称 ポリアミド樹脂およびその製造方法  
代理人 八田国際特許業務法人  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ