• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 判定 判示事項別分類コード:なし 属さない(申立て不成立) E04F
管理番号 1339218
判定請求番号 判定2017-600051  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2018-05-25 
種別 判定 
判定請求日 2017-12-15 
確定日 2018-04-09 
事件の表示 上記当事者間の特許第3671975号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「タイル」は、特許第3671975号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属しない。 
理由 第1 請求の趣旨と手続の経緯
本件判定請求の趣旨は、イ号図面及びその説明書(被請求人が製造販売する床タイル「プロテクション」を説明した図面及び説明書)に示す「タイル」(以下「イ号物件」という。)は、特許第3671975号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属するとの判定を求めるものである。

本件特許に係る手続の経緯は、平成15年1月28日(優先権主張平成14年1月28日)を国際出願日として出願され、平成17年4月28日に特許権の設定登録がなされ、平成29年12月15日に本件判定請求がなされ、その後、判定請求書副本が送付され(発送日:平成30年1月10日)、同年2月6日に答弁書が提出がなされたものである。

第2 本件特許発明について
1 本件特許発明
本件特許発明は、本件特許明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(当審において、構成要件ごとに分説し、記号A?Eを付した。以下「構成要件A」などという。)。

「A 溝幅が0.5mm以上3mm以下、溝深さが0.5mm以上2mm以下で、前記溝で囲まれた島状滑り防止凸部の大きさが5mm×5mm以上25mm×25mm以下のユニットで構成された建材であって、
B 前記溝および前記島状滑り防止凸部が形成された建材の表面形状は、ドーム状、釣鐘状などの中央部で高く周端部に向かって下り勾配となった形状を単独又は複合化した形状であり、
C 前記溝の方向は多方向性を有し、
D 以て建材と建材との間の目地に前記島状滑り防止凸部の水が前記溝からスムーズに流れ込むようにした
E ことを特徴とする建材。」

2 本件特許明細書の記載
本件特許明細書には、本件特許発明の課題、及び溝の幅に関して、以下のように記載されている(下線は当審で付与。以下同様。)。
(1)「背景技術
たとえば、食品工場では、衛生管理上水洗または湯洗浄して作業を終了するが・・・残り水が溜まってしまい・・・作業員が滑ってしまうことがある。また、その残り水が常に同じ場所に残存する傾向があり・・・衛生的に好ましくない場合もある。
また、・・・プールサイドに常に水が溜まったり、高速道路のパブリックトイレでも洗浄時、滑りを生じ易いのが現状である。これらは、全て、洗浄時の水が、建材表面に溜まり、大きな水滴をつくるかあるいは、濡れている時間が長いことがその原因である。これらを解消させる乾燥促進、水滴防止を考慮した建材がこれまでは開発されていなかった。
従来の問題点を解消するための1つの方法として、床表面を親水性の状態にし、表面に残留する水滴を削減し、乾燥を促進させる方法が一般的に知られている。しかしながら、このような手法で親水化させても、実使用条件では有機物やその他の汚染物質が表面に固着し、汚れに含まれる油分によって親水効果が無くなってしまい、残留水滴が発生する問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、建材表面に残存する残り水が速やかに乾燥して衛生的な状態を長期に亘って持続することの可能な建材を提供することにある。」

(2)「表面の水洗を実施する際に、水が凸部には残留せず溝側に流れ易く、かつ溝内での流れが遅くなるように、溝の幅、深さを設定し、溝の方向を多方向に設置させた。また凸部に残存する水滴を小さくすべく、島状滑り防止凸部を設定した。さらに、素足で床に触れたときに痛みを感じないように島状滑り防止凸部表面は平面状又は曲面状であるようにした。
溝に関する上記工夫により、洗浄した水は溝に沿ってゆっくりと流れ、最終的には排水溝に誘導される。また、島状凸部により、溝部と靴や素足の裏の接触を防止される。それにより、湿潤状態であっても溝が排水流路として確保される。また、溝から確実に水が排出されるので、靴や素足の裏と床建材の間に薄い水膜が形成されることがなくなり、滑り防止に効果的に作用する。
本発明においては、建材表面の溝の幅は0.5mm以上3mm以下、深さは0.5mm以上2mm以下にする。幅が0.5mm以下や深さが2mm以上では、建材の表面に加工することが非常に困難になる。また幅3mm以上や深さ0.5mm以下では広すぎて靴や素足が溝の底に接触する恐れがある。接触すれば、水の流路が絶たれるため、滑りに対して良くない。
また、溝の方向は、一方向を向いていない多方向性を有する。一方向に傾向を持つと、流れが整い、早く排水溝へ送られてしまい、溝に水が滞留し難くなってしまうのである。様々な方向に溝が切られていることによって、水の流れが安定せず、水路内で滞留し、流速が低下する。流路に水が溜まっていると、流路方向に凸部の水が誘導されて、凸部表面上に溜まりにくくなるのである。」(本件特許公報3頁18行?36行)

第3 イ号物件
1 請求人によるイ号物件の特定
請求人は、イ号物件について、以下のように特定している。

「a 細溝10と太溝4を有し、細溝10の溝幅が2mm、細溝10の溝深さが1mmで、太溝4の溝幅が4mm、太溝4の溝深さが1mmで、細溝10で囲まれた島状凸部6の大きさが6.5mm×6.5mmのユニットで構成されたタイル1であって、(具体的には、5×5=25個の島状凸部6が細溝10で仕切られた1つのブロック8を構成し、この1つのブロック8が太溝4により囲まれた構造となっている)、
b 細溝10および島状凸部6が形成されたタイル1の表面形状は、ドーム形状であり、中央部で(周端部に対して2mm)高く周端部に向かって下り勾配となった形状であり、
c 細溝10の方向は多方向性(直交する2方向)を有し、
d 以てタイル1とタイル1との間の目地2に島状凸部6の水が細溝10及び太溝4からスムーズに流れ込むようにした、
e タイル1。」(判定請求書7頁末行?8頁12行)

2 当審によるイ号物件の特定
(1)判定請求書におけるイ号物件の記載について
判定請求書にはイ号図面及びその説明に関する書類は明示的には添付されていないものの、イ号物件は被請求人が製造販売するタイルであり(判定請求書2頁8行、9行)、甲第3号証、甲第4号証により説明されるものである(判定請求書6頁22行?25行)とされ、判定請求書には次のように記載されている。
なお、被請求人は本件判定事件においてイ号の特定が不明確である旨主張しているが、被請求人が参考資料2として提出した意匠1523557号公報の平面図、A-A切断部端面図は、甲第3号証の図1、図2とほぼ同じであり、請求人、被請求人間にイ号物件の特定について実質的な乖離はないと認められる。
ア 「・・・浴室等に使用される床タイルである。
甲第3号証のカタログの中央から上方にかけて色の異なる4種類のイ号タイル1が示されている。また、カタログの下部には、複数のイ号タイル1が敷き詰められ、イ号タイル1とイ号タイル1の間に設けられた目地2が示されている。」(判定請求書6頁26行?7頁5行)

イ 「これらの図1乃至図3に示すように、イ号タイル1は、直交する2方向に延びる太溝4を備え、これらの太溝4は、複数の「25個の島状凸部6からなるブロック8」(図3参照)をそれぞれ取り囲んでいる。なお、イ号タイル1には、島状凸部が10個及び4個のブロックも存在する。
ここで、図2に示すように、イ号タイル1は、断面がドーム形状であり、その中央部1aが高く、周端部1bに向かって下り勾配となっている。即ち、イ号タイル1の中央部1aと周端部1bとは、2mmの落差Hが存在する。
次に、図3に示すように、1つのブロック8には、25個の島状凸部6の間に、直交する2方向に延びる細溝10が形成されている。25個の島状凸部6のうち、9個の島状凸部6aは4辺が細溝10に囲まれ、12個の島状凸部6bは3辺が細溝10に囲まれ(1辺が太溝4に囲まれ)、4個の島状凸部6cは2辺が細溝10に囲まれ(2辺が太溝4に囲まれ)ている。
ここで、イ号タイル1の太溝4は、溝幅が4mm、溝深さが1mmである。細溝10は、溝幅が2mm、溝深さが1mmである。島状凸部6は、大きさ6.5mm×6.5mmのユニットで構成されている。」(判定請求書7頁9行?下から7行)

ウ 甲第3号証の図1?図3から、以下の事項が看て取れる。
(ア)複数の太溝4、細溝10が直角に交わって延びている。

(イ)タイル1には、太溝4により囲まれたブロック8が複数形成されている。

(2)イ号物件の特定
上記1及び(1)を総合して、イ号物件を上記本件特許発明の構成要件A?Eに対応させて整理すると、イ号物件は以下のとおり分説した構成を具備するものと認められる(構成ごとに記号a?eを付した。以下、分説した構成を「構成a」などという。)。

「a 細溝10と太溝4を有し、細溝10の溝幅が2mm、溝深さが1mmで、太溝4の溝幅が4mm、溝深さが1mmで、5×5=25個の島状凸部6が細溝10で仕切られた1つのブロック8を構成し、この1つのブロック8が太溝4により囲まれた構造で複数形成されており、島状凸部6の大きさが6.5mm×6.5mmのユニットで構成されたタイル1であって、
b 細溝10および島状凸部6が形成されたタイル1の表面形状は、中央部で周端部に対して2mm高く周端部に向かって下り勾配となった形状であり、
c 複数の太溝4、細溝10は直角に交わって延びており、
d 以てタイル1とタイル1との間の目地2に島状凸部6の水が細溝10及び太溝4から流れ込むようにした、
e タイル1。」

第4 当事者の主張
1 請求人の主張
判定請求書において、請求人は、イ号タイル1は構成要件A?Eを充足するとしつつ、更に、イ号物件の構成aの太溝4の存在について、以下のように主張している。
(1)「ここでは、イ号タイル1に形成された太溝4は、イ号タイル1が本件発明の技術的範囲に属するか否かに関し、考慮する必要がないことを説明する。
先ず、3mmより大きな幅の太溝によりその一部が囲まれた島状凸部を含む建材(イ号タイル1を含む)を排除するような記載は、本件特許の請求項1にも、また、明細書中にも、なされていない。」(判定請求書10頁2行?6行)

(2)「この本件公報の図2には、十字形状の太溝が形成された建材が記載されている。この図2の建材の太溝は、イ号タイル1の太溝4と同じである。このように、出願当初に本件発明の実施形態として示された建材も、本件発明の溝(イ号タイル1の細溝10)の他に太溝を含んでいる。
以上から、イ号タイル1において太溝4が存在しても、この太溝4は、イ号タイル1が本件発明の技術的範囲に属するか否かには、直接、関係しないものである。
以下、この太溝について、補足説明を行う。本件特許の明細書(甲第1号証)の3頁29行?31行に「幅3mm以上・・・・・・では広すぎて靴や素足が溝の底に接触する恐れがある。接触すれば、水の流路が絶たれるため、滑りに対して良くない。」との記載がなされている。この記載を根拠に、イ号タイルは、太溝が幅4mmであるので、靴や素足が溝の底に接触する恐れがあり、接触すれば、水の流路が絶たれ、滑りに対して良くない(乾燥性能の低下)との作用効果を奏し、この点で本件発明と相違するとの主張も可能である。確かに、イ号タイルにおいて、幅4mmの太溝に4辺が囲まれた島状滑り防止凸部が多数存在する場合には、この主張の通り、水の流路が絶たれ、滑りに対して良くない、と考えられる。しかしながら、イ号タイルおいて、4辺が太溝に囲まれた島状滑り防止凸部は一つも存在しない。イ号タイルは、島状滑り防止凸部の2辺以上が細溝に囲まれており、そのため、凸部表面の水は細溝に流れ込むため乾燥性能が低下することは無い。この点に関し、甲第4号証(陳述書)に示された「イ号タイル 乾燥性評価」及び「結果」から、細溝のみに囲まれた凸部と太溝と細溝に囲まれた凸部の乾燥性能に顕著な差異は認められなかったことから、イ号タイルは本件発明と同様な効果を奏すると判断できる。」(判定請求書10頁14行?11頁8行)

2 被請求人の主張
被請求人は、判定請求答弁書において、イ号タイルの形状について、概ね以下のように主張している。
(1)本件特許発明は島状滑り防止凸部の囲む溝を「溝幅が0.5mm以上3mm以下、溝深さが0.5mm以上2mm以下」の細溝とすることによって流路である細溝内の水が速やかに排出されることを防止し、流路内に水を溜めることによって凸部の水が溝内に誘導されるようにしたものである。
イ号タイルには、幅が2mmの細溝の他に、本件特許発明では好ましくないとされている幅が4mmの太溝が多数形成されている。このため、細溝の水は溝幅が2倍で流路断面積が大きく、従って流動抵抗の小さい太溝に速やかに導かれ、これらの太溝を通って目地に排出される。このようにイ号タイルの太溝は島状滑り防止凸部の囲む細溝内に水が溜まることを妨げるから、前記した本件特許発明の技術的特徴とは相反するものである。よって多数の太溝を備えたイ号タイルは、本件特許発明の技術的範囲に属さないことは明らかである。

(2)イ号タイルは平板タイルであって、全体サイズは195mm×195mmであり、中央部分はほぼ平坦で、周辺から30mmの位置でもマイナス0.5mmである。すなわち、イ号タイルの実物は周縁部のみを傾斜させた平板状のタイルであり、「ドーム状、釣鐘状などの中央部で高く周端部に向かって下り勾配となった形状」ではない。

第5 属否の判断
イ号物件が、本件特許発明の構成要件を充足するか否かについて検討する。
1 構成要件Aについて
(1)イ号物件の構成aの「タイル」は建材の一種であるから、「タイル」は、本件特許発明の「建材」に相当する。

(2)イ号物件の構成aの「島状凸部」は、凸部状であり、全体として凹凸を形成するから滑り防止の機能を有していることは明らかであり、本件特許発明の「島状滑り防止凸部」に相当する。

(3)本件特許の請求項1の「溝幅が0.5mm以上3mm以下、溝深さが0.5mm以上2mm以下で」の記載は、文法的にみて、「構成された建材」に接続すると解されると共に、上記「溝幅が・・・以下で」との記載の「溝幅」が、何の「溝幅」であるのかが明記されていないが、文脈的にみて、「建材」に設けられた「溝」の「溝幅」であると解することが自然である。これらのことから、構成要件Aは、「建材」に設けられた「溝」が、溝幅について、0.5mm以上3mm以下でなければならないことを特定していると解されるのであり、よって、その数値範囲を満たさない「溝」が「建材」に設けられた態様は、構成要件Aを充足しないというべきである。
なお、本件特許の図1の上図の建材には左辺、下辺に「細長い構造」が形成されており、その幅は、建材内の他の溝の幅よりも大きいことが看て取れるが、本件特許の請求項1の記載において、「建材と建材との間」には「目地」が設けられているとされているから、上記「細長い構造」は本件特許発明の「溝」ではなく、「目地」にあたるものと解される。そのため、図1に上記「細長い構造」が記載されていることは、上記の解釈を左右するものではない。
そして、上記の解釈は、以下のとおり、本件特許発明の技術的意義にも整合する。すなわち、本件特許発明の課題は、第2の2(1)で示したように「建材表面に残存する残り水が速やかに乾燥して衛生的な状態を長期に亘って持続することの可能な建材を提供することにあ」り、このような課題を解決するための手段として、溝のサイズに係る数値限定はなされている。そして、「溝幅」について、第2の2(2)で示したように「溝内での流れが遅くなるように、溝の幅・・・を設定し・・・溝に関する上記工夫により、洗浄した水は溝に沿ってゆっくりと流れ、最終的には排水溝に誘導され・・・島状凸部により、溝部と靴や素足の裏の接触を防止され・・・溝から確実に水が排出されるので、靴や素足の裏と床建材の間に薄い水膜が形成されることがなくなり、滑り防止に効果的に作用する。・・・溝の・・・幅3mm以上・・・では広すぎて靴や素足が溝の底に接触する恐れがある。接触すれば、水の流路が絶たれるため、滑りに対して良くない。」との観点から、その数値範囲が設定されており、要すれば、溝幅は、溝内での水の流れを一定程度遅くすると共に、靴や素足が溝の底に接触することを防ぐために設定されているから、このような「溝幅」のサイズの技術的意義から見て、上記溝幅の数値限定を満たさない「溝」が「建材」に含まれている場合には、上記課題解決に支障があることは明らかである。このように、構成要件Aに係る上記文言解釈は、本件特許発明の技術的意義にも整合している。
よって、イ号物件の構成aの「細溝」は「溝幅が2mm、溝深さが1mm」であるから、本件特許発明の「溝幅が0.5mm以上3mm以下」の(「建材」に設けられた)「溝」に相当する一方、イ号物件の構成aの「太溝」は、本件特許発明の(「建材」に設けられた)「溝」には相当するが、その「溝幅が4mm」であるから、本件特許発明の「溝幅が0.5mm以上3mm以下」の(「建材」に設けられた)「溝」には該当しない。これらのことから、イ号物件の「タイル1」は、構成要件Aの「溝幅が0.5mm以上3mm以下」で「構成された建材」ではない。

(4)したがって、イ号物件の構成aは本件特許発明の構成要件Aを充足しない。

2 構成要件Bについて
(1)イ号物件の構成bの「中央部で周端部に対して2mm高く周端部に向かって下り勾配となった形状」は、中央部が周端部に対して高くなっている点で、本件特許発明の構成要件Bと一致している。

(2)本件特許発明において、「ドーム状、釣鐘状など」との限定が付されているが、そもそも当該限定は例示的なものであるし、また、本件特許発明は「浴室・・・などの水が溜まり易く、滑りに気を使っている床材に好適な建材に関する」(本件特許公報2頁40行、41行)ものであるから、歩行に支障が出るような中央部が極端に高いドーム状や極端な釣鐘状を意図しているとは解されず、「建材と建材との間の目地に水がスムーズに流れ込む」(本件特許公報4頁2行)程度の形状を意図していると解するのが相当である。そのような観点から見れば、イ号物件の構成bは、構成要件Bに相当する。

(3)したがって、イ号物件の構成bは本件特許発明の構成要件Bを充足する。

3 構成要件Cについて
イ号物件の構成cにおいて、「複数の太溝4、細溝10は直角に交わって延びて」いることは、溝が一方向ではなく多方向性を有していることになるから、構成cの「複数の太溝4、細溝10は直角に交わって延びて」いることは、本件特許発明の「前記溝の方向は多方向性を有し」に相当する。
したがって、イ号物件の構成cは本件特許発明の構成要件Cを充足する。

4 構成要件Dについて
イ号物件の構成dの「以てタイル1とタイル1との間の目地2に島状凸部6の水が細溝10及び太溝4から流れ込むようにした」は、本件特許発明の「以て建材と建材との間の目地に前記島状滑り防止凸部の水が前記溝からスムーズに流れ込むようにした」に相当することは明らかである。
したがって、イ号物件の構成dは本件特許発明の構成要件Dを充足する。

5 構成要件Eについて
上記1(1)で説示したように、イ号物件の構成Eは本件特許発明の構成要件Eに該当することは明らかであるので、イ号物件の構成eは本件特許発明の構成要件Eを充足する。

第6 請求人の主張について
1 第4の1(1)において、請求人は、「3mmより大きな幅の太溝によりその一部が囲まれた島状凸部を含む建材(イ号タイル1を含む)を排除するような記載」はない旨主張するが、第5の1(3)で説示したように、本件特許発明の「建材」に設けられた「溝」は、本件特許の請求項1に記載された溝幅以外の溝を含んではならないと解されるから、請求人の主張は採用できない。

2 第4の1(2)において、請求人は、本件特許公報の図2に十字形状の太溝が形成されている旨主張しているが、当該十字形状のものについて、本件明細書には「溝」にあたるとの説明がされておらず、しかも、十字形状のものとそれ以外の溝との関係やそれぞれの溝等がどのような態様であるのか判然としないので、「溝」であると推認することもできない。よって、本件特許公報の図2から見て、本件特許発明の建材においても太溝を含んでいる態様を有するとの請求人の主張は採用できない。

3 第4の1(2)において、請求人は、「島状滑り防止凸部」の2辺以上が細溝に囲まれていれば、乾燥性能としては問題なく、イ号物件でも本件特許発明と同様な効果を奏する旨、主張するが、第5の1(3)で説示したように、本件特許発明の「建材」に設けられた「溝」は、本件特許の請求項1に記載された溝幅以外の溝を含んではならないと解されるから、請求人の主張は採用できない。

第7 むすび
以上のとおり、イ号物件は、本件特許発明の構成要件Aを充足しないから、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属しない。

よって、結論のとおり判定する。

 
判定日 2018-03-29 
出願番号 特願2003-564364(P2003-564364)
審決分類 P 1 2・ - ZB (E04F)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 前川 慎喜
特許庁審判官 小野 忠悦
井上 博之
登録日 2005-04-28 
登録番号 特許第3671975号(P3671975)
発明の名称 建材及びその製造方法  
代理人 藤木 尚  
代理人 特許業務法人なじま特許事務所  
代理人 弟子丸 健  
代理人 渡邊 誠  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ