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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する F21S
管理番号 1339382
審判番号 訂正2017-390157  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2017-12-25 
確定日 2018-03-29 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4366431号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4366431号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第4366431号は、平成20年7月30日を出願日として出願された特願2008-197040号の請求項1?3に係る発明について、平成21年8月28日に特許権の設定登録がされ、その後、平成29年12月25日に本件訂正審判が請求されたものである。

第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第4366431号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付の特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであり、請求人が求めている訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。(審決注:下線部分は訂正箇所であり、請求人が訂正特許請求の範囲において示したとおりである。)

1 訂正事項1
以下のとおり、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1の記載を訂正後の請求項1の記載のとおり訂正し、その結果として請求項1を引用する請求項3も訂正する。

(訂正前)「【請求項1】
複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、
前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えた光照射装置であって、
電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、
前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の公倍数としている光照射装置。」

(訂正後)「【請求項1】
複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、
前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えたライン状の光を照射する光照射装置であって、
電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、
前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数としている光照射装置。」

2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

3 訂正事項3
以下のとおり、願書に添付した特許請求の範囲の請求項3の記載を訂正後の請求項3の記載のとおり訂正する。

(訂正前)「【請求項3】
前記LEDが、表面実装型LEDである請求項1又は2記載の光照射装置。」

(訂正後)「【請求項3】
前記LEDが、表面実装型LEDである請求項1記載の光照射装置。」

第3 当審の判断
1 訂正の目的について
(1)訂正事項1について
訂正事項1に係る訂正は、光照射装置を「ライン状の光を照射する」ものに限定し、LED基板に搭載されるLEDの個数について、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の公倍数としていたものを、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の「最小公倍数」と限定するものである。
したがって、訂正事項1は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるといえるので、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものに該当する。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当する。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項3の記載が「請求項1又は2記載」であったものを「請求項1記載」と訂正するものであって、多数項を引用している請求項の引用請求項を減少するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当する。

2 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更について
(1)訂正事項1について
願書に添付した明細書の段落【0014】には「本実施形態に係る光照射装置1は、例えば検査物(ワーク)の所定照射領域にライン状の光を照射するもの」との記載があり、訂正前の、願書に添付した特許請求の範囲の請求項2には「前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数としている」との記載がある。また、願書に添付した明細書の段落【0009】、【0023】、【0030】?【0031】、【0034】、【0036】においても、「LED基板に搭載されるLEDの個数」を順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の「最小公倍数」とすることが記載されている。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正である。
また、訂正事項1は、発明特定事項における直列的要素の削除若しくは択一的記載の要素の追加又は発明特定事項の上位概念への変更ではなく、発明のカテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項ないし第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項の削除であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正である。
また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第5項ないし第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、多数項を引用している請求項の引用請求項を減少するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正である。
また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第5項ないし第6項の規定に適合する。

3 独立特許要件について
(1)訂正後の発明
訂正後の請求項1及び訂正後の請求項3に係る発明は、以下のとおりのものである(以下「本件訂正発明1」及び「本件訂正発明3」という。)。

「【請求項1】
複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、
前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えたライン状の光を照射する光照射装置であって、
電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、
前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数としている光照射装置。
【請求項3】
前記LEDが、表面実装型LEDである請求項1記載の光照射装置。」

(2)特許無効の抗弁
本件特許第4366431号に関し、大阪地方裁判所において侵害訴訟事件(平成29年(ワ)第7532号)が係属中であるところ、特許法第168条第5項に基づき、裁判所より、特許無効の抗弁がなされた旨の通知があった。

その理由とは、以下のものである。
無効理由1:特許法第29条第1項第2号違反(証拠方法 乙第3号証?乙
第4号証)
(準備書面(被告第3)第2頁?第4頁を参照。)
無効理由2:特許法第29条第1項第2号違反(証拠方法 乙第5号証)
(準備書面(被告第3)第4頁?第8頁を参照。)
無効理由3:特許法第29条の2違反(証拠方法 乙第6号証)
(準備書面(被告第3)第8頁?第13頁を参照。)
無効理由4?5:特許法第29条第1項第2号違反(証拠方法 乙第8号証
?乙第9号証)
(準備書面(被告第4)第2頁?第3頁を参照。)
無効理由6?7:特許法第29条第1項第2号違反(証拠方法 乙第10号
証?乙第11号証)
(準備書面(被告第4)第3頁?第4頁を参照。)

そこで、これら無効理由1ないし無効理由7の観点から、本件訂正発明1及び本件訂正発明3が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。
なお、訂正前の請求項1?3に係る発明を、まとめて、「訂正前発明」という。

(3)無効理由1について
ア 被告の主張
上記本件特許に係る侵害訴訟事件において、被告から、以下の(1A)?(1E)のとおりの光照射装置に係る発明(以下「乙発明1」という。)が本件特許の出願日前に公然実施されており、訂正前発明は乙発明1であるから、特許法第29条第1項第2号に該当し、特許を受けることができないものであって、特許無効審判によって無効とされるべきであるとの主張がなされている。また、被告は、主張を立証するための証拠方法として「2004年?LED照明総合カタログ」(乙第3号証)及び「説明書(1)」(乙第4号証)を挙げている。

(1A)被告製品IDR-F60/32R、被告製品IDR-F60/32Wはいずれも複数の同一のLEDを搭載したLED基板を備えている。
(1B)被告製品IDR-F60/32R、被告製品IDR-F60/32WはいずれもLED基板を収容する基板収容空間を有する筐体を備えている。
(1C)被告製品IDR-F60/32Rは電源電圧が12Vであって、LED単位数は6個であり、被告製品IDR-F60/32Wは電源電圧が12Vであって、LED単位数は3個であるところ、いずれも電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数としている。
(1D)被告製品IDR-F60/32Rは、LED基板にはLEDの単位数(6個)を並列に配置してあってLEDの個数は60個であり、被告製品IDR-F60/32WはLED基板にはLEDの単位数(3個)を並列に配置してあってLEDの個数は60個である。
(1E)被告製品IDR-F60/32R、被告製品IDR-F60/32Wはいずれも光照射装置である。

公然実施についての検討
まず、被告製品IDR-F60/32R、被告製品IDR-F60/32Wを実施品とする発明が公然実施された発明であるかどうかについて検討する。
「2004年?LED照明総合カタログ」(乙第3号証)及び「説明書(1)」(乙第4号証)を参照しても、これらが実際に販売されていたと認定するには足りない。

ウ 証拠方法の内容
以下では、被告製品IDR-F60/32R、被告製品IDR-F60/32Wが実際に販売されていたと仮定して、証拠方法の内容を検討する。なお、当技術分野において、製品の回路等は、当業者が当該製品を分析して知り得ることが通常である。
(1a)乙第4号証の資料2の「名称」、「図番」の欄及び「部品面」と題された図及び左下の回路図から、被告製品キバンP113-105-1は、複数のLEDを搭載した基板であることが看取できる。また、乙第4号証の資料1の下段の図左下には「赤色LED 60個」及び「GL3UR8」という記載があるところ、技術常識を踏まえると、「GL3UR8」は「赤色LED」の型番を示すものと推認できるので、これらの記載から、上記複数のLEDは同一の赤色LEDであると認定できる。
(1b)乙第4号証の資料1の左上のタイトル及び下段の図から、被告製品IDR-F60/32Rは、基板P113-105-1を収容するリングを備えるLED Flat Direct Ring Lightであることが看取できる。
(1c)上記(1a)における「キバンP113-105-1」は基板であり、上記(1b)における「基板P113-105-1」も基板であるから、その図番からみて、両者が同一のものであることは明らかである。そうすると、(1a)、(1b)から、被告製品IDR-F60/32Rは、複数の同一のLEDを搭載した基板と、基板を収容するリングと、を備えたLED Flat Direct Ring Lightであることが明らかである。
(1d)乙第4号証の資料2の回路図から、被告製品IDR-F60/32Rは、直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し、LEDを直列に6個接続し、基板に搭載されるLEDの個数は60個であることが看取できる。
(1e)乙第4号証の資料4の「機名」の欄及び「部品面」と題された図及びその上の「回路構成」と題された図から、被告製品IDR-F60/32Wは、複数のLEDを搭載した基板を備えることが看取できる。また、乙第4号証の資料3の下段の図下には「白色LED 60個」、「NSPW310BS-CR/CS」、「CR:150Ω」及び「CS:180Ω」という記載がある。ここで、技術常識を踏まえると、「NSPW310BS-CR/CS」という記載は「NSPW310BS-CR」及び「NSPW310BS-CS」という白色LEDの型番を示し、「CR:150Ω」及び「CS:180Ω」はそれらに組み合わせる抵抗を意味するものと推認され、「LED Flat Direct Ring Light」のような用途においては発光のばらつきを避けることが通常であるので、これらの記載から、「NSPW310BS-CR」を60個または「NSPW310BS-CS」を60個のいずれかを用いていると理解するのが自然である。したがって、これらの記載から、上記複数のLEDは同一の白色LEDであると認定できる。
(1f)乙第4号証の資料3の左上のタイトル及び下段の図から、被告製品IDR-F60/32Wは、基板を収容するリングを備えるLED Flat Direct Ring Lightであることが看取できる。
(1g)乙第4号証の資料4の「回路構成」と題された図から、被告製品IDR-F60/32Wは、直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し、LEDを直列に3個接続し、基板に搭載されるLEDの個数は60個であることが看取できる。

上記(1a)?(1g)の事項からみて、証拠方法によれば、次の発明(引用発明1)が認定できる。

<引用発明1>
「複数の同一のLEDを搭載した基板と、
前記基板を収容するリングと、を備えたLED Flat Direct Ring Lightであって、
直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し、
赤色LEDの場合には、直列接続されているLEDは、6個であり、
白色LEDの場合には、直列接続されているLEDは、3個であり、
前記基板に搭載されるLEDの数は、60個であるLED Flat Direct Ring Light。」

エ 対比・判断
本件訂正発明1と引用発明1とを対比する。

(ア)引用発明1の「LED」、「基板」、「リング」及び「直流電源」は、その意味、機能または構成からみて、本件訂正発明1の「LED」、「LED基板」、「筐体」及び「電源」にそれぞれ相当する。

(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明1の「複数の同一のLEDを搭載した基板」は、本件訂正発明1の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板」に相当する。

(ウ)引用発明1の「リング」は「前記基板を収容する」ものであるから、基板を収容する空間を有することは明らかである。そうすると、引用発明1の「前記基板を収容するリング」は、本件訂正発明1の「前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体」に相当する。

(エ)上記(イ)、(ウ)を踏まえると、引用発明1の「複複数の同一のLEDを搭載した基板と、前記基板を収容するリングと、を備えたLED Flat Direct Ring Light」は、本件訂正発明1の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えたライン状の光を照射する光照射装置」と「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えた光照射装置」である限度で一致する。

以上のことから、本件訂正発明1と引用発明1とは以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

<一致点1>
「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、
前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えた光照射装置。」

<相違点1>
「光照射装置」に関し、
本件訂正発明1は、「ライン状の光を照射する」ものであるのに対して、引用発明1は「ライン状の光を照射する」ものではない点。

<相違点2>
本件訂正発明1は、「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数としている」のに対して、引用発明1は「赤色LEDの場合には、直列接続されているLEDは、6個であり、白色LEDの場合には、直列接続されているLEDは、3個であり、前記基板に搭載されるLEDの数は、60個であ」る点。

以下、相違点が実質的なものかどうかについて検討する。
<相違点1について>
相違点1は明らかに実質的な相違点である。

<相違点2について>
本件訂正発明1における「LED単位数」は、「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数」である。技術常識を踏まえると、「LEDを直列に接続したときの順方向電圧」は、電源電圧、LEDの順方向電圧-順方向電流特性、直列に接続される抵抗の抵抗値等により変化する、すなわち回路構成により異なるものであるところ、「2004年?LED照明総合カタログ」(乙第3号証)及び「説明書(1)」(乙第4号証)の記載は、被告製品IDR-F60/32R及び被告製品IDR-F60/32Wの回路におけるLEDの順方向電圧を認定するに足りない。
そうすると、仮に、引用発明1の「赤色LED」と「白色LED」の順方向電圧が異なるとしても、引用発明1の「赤色LED」と「白色LED」それぞれにおいて、その「LED単位数」を把握することはできない。
また、被告製品IDR-F60/32Rの「LED単位数が6個であり」、被告製品IDR-F60/32Wの「LED単位数が3個である」ものと仮定しても、引用発明1は、本件訂正発明1と、「前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数としている」ものではない点でも異なる。
よって、相違点2は実質的な相違点である。

したがって、本件訂正発明1と引用発明1とは実質的な相違点を有するので、本件訂正発明1は、引用発明1と同一ということはできない。
本件訂正発明3は、本件訂正発明1を直接に引用するものであり、本件訂正発明1の相違点に係る構成を備えるものであるから、本件訂正発明1と同じ理由により、引用発明1と同一ということはできない。

よって、本件訂正発明1及び本件訂正発明3は特許法第29条第1項第2号に該当するとはいえない。

また、特許法第29条第2項についても検討すると、乙第3号証及び乙第4号証を参照しても、本件特許の出願日前に公然実施された発明が「前記LED基板に搭載されるLEDの個数」と「順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数」との関係について、何らかの技術思想を提供するものであるとはいえないから、本件訂正発明1及び本件訂正発明3が、本件特許の出願日前に公然実施された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたということもできない。
よって、本件訂正発明1及び本件訂正発明3は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないともいえない。

オ 無効理由1についてのまとめ
以上から、無効理由1には、理由がない。

(4)無効理由2
ア 被告の主張
上記本件特許に係る侵害訴訟事件において、被告から、以下の(2A)?(2E)のとおりの光照射装置に係る発明(以下「乙発明2」という。)が本件特許の出願日前に公然実施されており、訂正前発明は乙発明2であるから、特許法第29条第1項第2号に該当し、特許を受けることができないものであって、特許無効審判によって無効とされるべきであるとの主張がなされている。また、被告は、主張を立証するための証拠方法として「説明書(2)」(乙第5号証)を挙げている。

(2A)被告製品LR-F60/32R、被告製品LR-F60/32Wはいずれも複数の同一のLEDを搭載したLED基板を備えている。
(2B)被告製品LR-F60/32R、被告製品LR-F60/32WはいずれもLED基板を収容する基板収容空間を有する筐体を備えている。
(2C)被告製品LR-F60/32Rは電源電圧が12Vであって、LED単位数は6個であり、被告製品LR-F60/32Wは電源電圧が12Vであって、LED単位数は3個であるところ、いずれも電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数としている。
(2D)被告製品LR-F60/32Rは、LED基板にはLEDの単位数(6個)を並列に配置してあってLEDの個数は60個であり、被告製品LR-F60/32WはLED基板にはLEDの単位数(3個)を並列に配置してあってLEDの個数は60個である。
(2E)被告製品LR-F60/32R、被告製品LR-F60/32Wはいずれも光照射装置である。

公然実施についての検討
まず、被告製品LR-F60/32R、被告製品LR-F60/32Wを実施品とする発明が公然実施された発明であるかどうかについて検討する。
「説明書(2)」(乙第5号証)を参照しても、これらが実際に販売されていたと認定するには足りない。

ウ 証拠方法の内容
以下では、被告製品LR-F60/32R、被告製品LR-F60/32Wが実際に販売されていたと仮定して、証拠方法の内容を検討する。なお、当技術分野において、製品の回路等は、当業者が当該製品を分析して知り得ることが通常である。
(2a)乙第5号証の第3頁の(3)から、被告製品LR-F60/32Rは、複数のLEDを搭載したLED基板を備えることが看取できる。また、乙第5号証の第2頁(1)から、上記複数のLEDは同一の赤色LEDであることが看取できる。
(2b)乙第5号証の第3頁(3)から、被告製品LR-F60/32Rは、LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体を備えることが看取できる。また、乙第5号証の第2頁(1)から、被告製品LR-F60/32Rは、光照射装置であることが看取できる。
(2c)乙第5号証の第2頁(2)、第5頁(7)、(8)から、被告製品LR-F60/32Rは、直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し、LEDを直列に6個接続し、LED基板に搭載されるLEDの個数は60個であることが看取できる。
(2d)乙第5号証の第7頁の(3)から、被告製品LR-F60/32Wは、複数のLEDを搭載したLED基板を備えることが看取できる。また、乙第5号証の第6頁(1)から、上記複数のLEDは同一の白色LEDであることが看取できる。
(2e)乙第5号証の第7頁(3)から、被告製品LR-F60/32Wは、LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体を備えることが看取できる。また、乙第5号証の第6頁(1)から、被告製品LR-F60/32Wは、光照射装置であることが看取できる。
(2f)乙第5号証の第6頁(2)、第9頁(7)、(8)から、被告製品LR-F60/32Wは、直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し、LEDを直列に3個接続し、LED基板に搭載されるLEDの個数は60個であることが看取できる。

上記(2a)?(2f)の事項からみて、証拠方法によれば、次の発明(引用発明2)が認定できる。

<引用発明2>
「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、
前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えた光照射装置であって、
直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し、
赤色LEDの場合には、直列接続されているLEDは、6個であり、
白色LEDの場合には、直列接続されているLEDは、3個であり、
前記LED基板に搭載されるLEDの数は、60個である光照射装置。」

エ 対比・判断
本件訂正発明1と引用発明2とを対比する。

(ア)引用発明2の「LED」、「LED基板」、「筐体」及び「直流電源」は、その意味、機能または構成からみて、本件訂正発明1の「LED」、「LED基板」、「筐体」及び「電源」にそれぞれ相当する。

(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明2の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板」は、本件訂正発明1の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板」に相当する。

(ウ)上記(ア)を踏まえると、引用発明2の「前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体」は、本件訂正発明1の「前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体」に相当する。

(エ)上記(イ)、(ウ)を踏まえると、引用発明2の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えた光照射装置」は、本件訂正発明1の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えたライン状の光を照射する光照射装置」と「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えた光照射装置」である限度で一致する。

以上のことから、本件訂正発明1と引用発明2とは以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

<一致点2>
「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、
前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えた光照射装置。」

<相違点3>
「光照射装置」に関し、
本件訂正発明1は、「ライン状の光を照射する」ものであるのに対して、引用発明2は「ライン状の光を照射する」ものではない点。

<相違点4>
本件訂正発明1は、「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数としている」のに対して、引用発明2は「赤色LEDの場合には、直列接続されているLEDは、6個であり、白色LEDの場合には、直列接続されているLEDは、3個であり、前記LED基板に搭載されるLEDの数は、60個であ」る点。

以下、相違点が実質的なものかどうかについて検討する。
<相違点3について>
相違点3は明らかに実質的な相違点である。

<相違点4について>
本件訂正発明1における「LED単位数」は、「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数」である。技術常識を踏まえると、「LEDを直列に接続したときの順方向電圧」は、電源電圧、LEDの順方向電圧-順方向電流特性、直列に接続される抵抗の抵抗値等により変化する、すなわち回路構成により異なるものであるところ、「説明書(2)」(乙第5号証)の記載は、被告製品LR-F60/32R及び被告製品LR-F60/32Wの回路におけるLEDの順方向電圧を認定するに足りない。
そうすると、仮に、引用発明2の「赤色LED」と「白色LED」の順方向電圧が異なるとしても、引用発明2の「赤色LED」と「白色LED」それぞれにおいて、その「LED単位数」を把握することはできない。
また、被告製品LR-F60/32Rの「LED単位数が6個であり」、被告製品LR-F60/32Wの「LED単位数が3個である」ものと仮定しても、引用発明2は、本件訂正発明1と、「前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数としている」ものではない点でも異なる。
よって、相違点4は実質的な相違点である。

したがって、本件訂正発明1と引用発明2とは実質的な相違点を有するので、本件訂正発明1は、引用発明2と同一ということはできない。
本件訂正発明3は、本件訂正発明1を直接に引用するものであり、本件訂正発明1の相違点に係る構成を備えるものであるから、本件訂正発明1と同じ理由により、引用発明2と同一ということはできない。

よって、本件訂正発明1及び本件訂正発明3は特許法第29条第1項第2号に該当するとはいえない。

また、特許法第29条第2項についても検討すると、乙第5号証を参照しても、本件特許の出願日前に公然実施された発明が「前記LED基板に搭載されるLEDの個数」と「順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数」との関係について、何らかの技術思想を提供するものであるとはいえないから、本件訂正発明1及び本件訂正発明3が、本件特許の出願日前に公然実施された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたということもできない。
よって、本件訂正発明1及び本件訂正発明3は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないともいえない。

オ 無効理由2についてのまとめ
以上から、無効理由2には、理由がない。

(5)無効理由3
上記本件特許に係る侵害訴訟事件において、被告から、訂正前発明は、本件特許の出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた特願2007-227235号(以下「先願」という。)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)に記載された発明(以下「引用発明3」という。)と同一であり、しかも、本願の発明者がその先願に係る発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記先願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないものであって、特許無効審判によって無効とされるべきであるとの主張がなされている。また、被告は、主張を立証するための証拠方法として先願の公開公報である特開2009-59636号公報(乙第6号証)を挙げている。

ア 先願明細書等の記載
先願明細書等には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。

(3a)「【0001】
本発明は、例えばCCD(電荷結合素子)からの画像データを処理することにより製品の表面検査,位置決めなどを行うシステム・装置や実体顕微鏡の試料照明或いは一般照明などに適用される照明装置及び照明装置に適用される配線基板構体の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、製品の表面検査や製造過程における組立部品などの位置決めなどを行う場合には、製品や組立部品などからの画像情報を取り込むために、照明装置が用いられている。例えば製品の表面検査を行う場合には、被検査製品に照明装置からの光を照射し、被検査製品をCCDによって撮像し、その画像データを基準データと比較することによって被検査製品の表面状態(傷,変形の有無など)が検査される。
このような用途に適用される照明装置としては、例えば図5に示す構造の照明装置FAが提案されている(特許第2975893号参照)。この照明装置FAは、ケース本体Fa,環状のカバーFbよりなる照明ケースFBに照明部FCを配置することによって構成されている。照明部FCは、屈曲可能な配線基板Pに複数の発光素子(例えば発光ダイオード)D1を配置し、発光ダイオードD1のリードとこのリードに対応する配線基板Pの導電ランド(端子部)とを半田付けし、配線基板Pの両端を、切頭円錐凹面に発光ダイオードD1が位置するように接合又は近接保持して構成されている。尚、カバーFbの側面からは配線基板Pに給電するための電源線Lが引き出されている。
【0003】
この照明装置FAにおいて、照明部FCは、展開状態の配線基板Pに複数の発光ダイオードD1を配置すると共に、発光ダイオードD1のリードとこのリードに対応する配線基板Pの導電ランドとをすべて半田付けし、然る後に、配線基板Pの両端を、切頭円錐凹面に発光ダイオードD1が位置するように接合又は近接保持することによって製造されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この照明装置FAの回路構成は、例えば図6又は図7に示すように構成されている。図6の回路は、例えば12Vの直流電源に接続される第1,第2の電源接続部A,Bの間に、順電圧Vfが1.85V程度の赤色系などの発光ダイオードD1a?D1fと抵抗器Raとの直列回路が接続して構成されている。
又、図7の回路は、例えば12Vの直流電源に接続される第1,第2の電源接続部A,Bの間に、順電圧Vfが3.6V程度の白色系,青色系,緑色系,電球色系などの発光ダイオードD1a?D1cと抵抗器Rbとの直列回路が並列的に接続して構成されている。尚、図6,図7のいずれの回路においても、これらの回路を基本ユニットとして複数の回路ユニットが並列的に接続されている。
このように照明装置の回路構成は、照明装置の使用目的によって適用する発光ダイオードの順電圧Vfが異なることから、複数の発光ダイオードが、直流電源の電源電圧との関係において、直列的或いは並列的に接続される。
【0005】
これらの回路は、配線基板Pにそれぞれの回路に対応する配線パターンを形成することによって構成される。従って、配線基板Pのサイズが仮に同じであっても、使用目的によっては順電圧Vfの異なる発光ダイオードが適用されることがある。
このような場合には、基板サイズが同じであっても、2種類の配線パターンを有する配線基板Pを製造しなければならず、基板コストのみならず、照明装置が高価になるという問題がある。又、使用目的によっては順電圧Vfの異なる発光ダイオードが使用されることから、基板サイズに関係なく、常に2種類の配線パターンを有する配線基板Pを製造しなければならないために、コストの問題のみならず、基板設計が煩雑になるという問題もある。
それ故に、本発明の目的は、異なる順電圧特性を有する発光素子にも適用可能な共通の回路を備えた照明装置及びそのような回路を配線基板に具現化した照明装置用の配線基板構体を提供することである。」

(3b)「【0016】
次に、本発明装置における基本の回路ユニットの実施例について図1を参照して説明する。同図において、A,Bは、例えば電源電圧が12Vの直流電源に接続される第1,第2の電源接続部で、例えば適宜のパターンで印刷配線されている。この第1,第2の電源接続部A,Bの間には、直列接続された複数の発光素子(例えば発光ダイオード)D1a,D1b,D1cよりなる第1の回路部C1と第1の端子部T1とが直列的に接続されていると共に、第2の端子部T2と直列接続された複数の発光素子(例えば発光ダイオード)D2a,D2b,D2cよりなる第2の回路部C2とが直列的に接続されている。又、第1の端子部T1と第1の回路部C1との接続側と、第2の端子部T2と第2の回路部C2との接続側との間には第3の端子部T3が接続されている。これらの端子部T1,T2,T3は、例えば導電ランド部T1a,T1b,T2a,T2b,T3a,T3bによって構成されているが、スルーホール構成にすることもできる。特に、第1?第3の端子部T1?T3には後述する抵抗器が、発光素子の順電圧特性に応じて選択的に接続される。尚、通常は、この基本の回路ユニットの複数が第1,第2の電源接続部A,Bに並列的に接続される。
【0017】
図2は、例えば第1の回路部C1における発光素子D1a?D1c及び第2の回路部C2における発光素子D2a?D2cの順電圧Vfが3.6V程度と高い場合の実施例である。第1の端子部T1及び第2の端子部T2(具体的には、例えば導電ランド部T1a,T1b及びT2a,T2b)には、ほぼ同程度の抵抗値(例えば60Ω程度)に設定された抵抗器R1及び抵抗器R2が接続されている。尚、第3の端子部T3には抵抗器は接続されず、開放状態になっている。
この状態において、第1,第2の電源接続部A,Bには、第1の回路部C1と抵抗器R1との直列回路及び抵抗器R2と第2の回路部C2との直列回路がそれぞれ並列的に接続されている。第1,第2の電源接続部A,Bに例えば12Vの直流電圧が印加されると、それぞれの発光素子は動作し、白色,青色,緑色など所定の発光色を呈する。
【0018】
図3は、例えば第1の回路部C1における発光素子D1a?D1c及び第2の回路部C2における発光素子D2a?D2cの順電圧Vfが1.85V程度と低い場合の実施例である。第3の端子部T3(具体的には、例えば導電ランド部T3a,T3b)には、抵抗器R1,R2とは異なった抵抗値(例えば45Ω程度)に設定された抵抗器R3が接続されている。尚、第1,第2の端子部T1,T2には抵抗器R1,R2は接続されず、開放状態になっている。
この状態において、第1,第2の電源接続部A,Bには、第1の回路部C1と抵抗器R3と第2の回路部C2とが直列的に接続されている。第1,第2の電源接続部A,Bに例えば12Vの直流電圧が印加されると、それぞれの発光素子は動作し、赤色など所定の発光色を呈する。
【0019】
上述のように照明装置を構成することにより、それぞれの回路部に組み込まれる発光素子が、順電圧Vfの低い発光素子から高い発光素子に、或いはその逆に変更されたとしても、第1?第3の端子部T1?T3に抵抗器R1?R3を選択的に接続することにより、照明回路に何らの変更を加えることなく所望の照明回路を構成できる上に、回路構成の単純化により装置のコスト低減を実現できるという効果が期待できる。
特に、第1の回路部C1及び第2の回路部C2において、それぞれの発光素子の接続数はほぼ同数に設定されているために、発光素子の順電圧によって、図2に示すように第1の回路部C1及び第2の回路部C2が並列的に接続されても、それぞれの回路にバランスよく電流が流れ、それぞれの発光素子が適切に動作するという効果が期待できる。
尚、第1,第2の回路部C1,C2は、それぞれ3個の発光素子が互いに直列接続されているが、使用目的,用途などによっては発光素子の接続数を適宜に増減できる。又、第1,第2の電源接続部A,Bに印加される直流電圧によっても、発光素子の接続数は変更されるし、直列的に接続される抵抗器の抵抗値も適宜に変更されるものである。
【0020】
上述の照明装置に適用される配線基板構体について図4を参照して説明する。同図(a)は配線基板Pの一方の面Paに形成された配線パターンを示しており、同図(b)は配線基板Pの他方の面Pbに形成された配線パターンを、配線基板Pの一方の面Paから透視した状態を実線で示している。
図において、配線基板Pは変形困難又は変形可能な部材にて構成されており、一方の面Paには第1の電源接続部Aが形成されており、その隣接部分にはスルーホール1a?6a,1b?6bを有する導電ランド部が形成されている。スルーホール1b,2aを有する導電ランド部及びスルーホール2b,3aを有する導電ランド部はそれぞれ接続配線部7,7によって接続されている。又、スルーホール3bを有する導電ランド部と導電ランド部8とは接続配線部7によって接続されている。尚、スルーホール1aを有する導電ランド部は第1の電源接続部Aに接続されている。
配線基板Pの他方の面Pbには第2の電源接続部Bが形成されており、スルーホール2a?5aに隣接する部分には第1?第3の端子部T1?T3を構成するランド部(導電ランド部)T1a,T1b,T2a,T2b,T3a,T3bが形成されている。導電ランド部8は導電ランド部8aに電気的に接続されており、導電ランド部8aは第3の端子部T3における導電ランド部T3a及び第1の端子部T1における導電ランド部T1aに電気的に接続されている。スルーホール4aを有する導電ランド部は第2の端子部T2における導電ランド部T2a及び第3の端子部T3における導電ランド部T3bに電気的に接続されている。尚、第1の端子部T1における導電ランド部T1bは第2の電源接続部Bに電気的に接続されている。又、第1?第3の端子部T1?T3を構成するそれぞれの導電ランド部T1a?T3a,T1b?T3bは互いに隣接するように配置されている。尚、第2の端子部T2における導電ランド部T2bは導電ランド部9を介して第1の電源接続部Aに電気的に接続されている。
【0021】
このように構成された配線基板Pには、それの他方の面Pb側に第1,第2の回路部C1,C2を構成する複数の発光素子D1a?D1c,D2a?D2c及び抵抗器R1?R3のいずれかの抵抗器が実装される。具体的には、複数の発光素子D1a?D1c,D2a?D2cはそれぞれの対をなすリード(図示せず)を対をなすスルーホール1aと1b,2aと2b,3aと3b,4aと4b,5aと5b,6aと6bに挿入し、一方の面Pa側における導電ランド部と対応するリードとを半田付けすることによって行われる。又、抵抗器R1?R3は発光素子の順電圧によって決定されるいずれかの抵抗器が対応する端子部(T1?T3のいずれか)の導電ランド部(T1aとT1b,T2aとT2b,T3aとT3bのいずれか)に接着剤などを利用して仮止めし、抵抗器の端子と導電ランド部とを半田付けすることによって行われる。
【0022】
この配線基板構体によれば、発光素子の配線基板Pへの実装は発光素子の順電圧Vfに関係なく行い、発光素子の順電圧Vfが例えば3.6V程度に高い場合には、第1,第2の端子部T1,T2に対応する導電ランド部T1aとT1b,T2aとT2bに抵抗器R1,R2を実装し、発光素子の順電圧Vfが例えば1.85V程度に低い場合には、第3の端子部T3に対応する導電ランド部T3aとT3bに第3の抵抗器R3を実装することによって行われる。従って、共通の回路構成を有する基板構体の実現より第1?第3の端子部T1?T3に抵抗器R1?R3を選択的に実装することにより、順電圧特性の異なる発光素子へも適切に対応することができる。
特に、抵抗器R1?R3が実装される第1?第3の端子部T1?T3は、互いに隣接するように配置されているために、手動による実装の際に、誤実装を軽減できるのみならず、機械実装の場合でも実装アームの動作を単純化でき、実装性を高めることができる。
【0023】
尚、本発明は何ら上記実施例に制約されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜に変更することが可能である。例えば発光素子は発光ダイオード以外の素子も適用可能であるし、リード形の他、表面実装できる端子形も利用可能である。又、抵抗器も表面実装できる端子形の他、リード形も利用可能である。又、図示例の配線基板は細長く構成されているが、用途などによっては、縦横の長さが近似したものや円形など任意の形態に構成できるし、基板に変形可能な素材を使用することによって円筒形,切頭円錐形など適宜の形状に構成でき、多様な用途への対応を可能にできる。さらに、図示例の基板構体は、発光素子が一列に配列されるように構成されているが、複数列に配列されるように構成することもできる。」

(3c)


また、上記記載等によれば、以下の事項が認められる。
(3d)「【0017】図2は、例えば第1の回路部C1における発光素子D1a?D1c及び第2の回路部C2における発光素子D2a?D2cの順電圧Vfが3.6V程度と高い場合の実施例である。第1の端子部T1及び第2の端子部T2(具体的には、例えば導電ランド部T1a,T1b及びT2a,T2b)には、ほぼ同程度の抵抗値(例えば60Ω程度)に設定された抵抗器R1及び抵抗器R2が接続されている。尚、第3の端子部T3には抵抗器は接続されず、開放状態になっている。・・・第1,第2の電源接続部A,Bに例えば12Vの直流電圧が印加されると、それぞれの発光素子は動作し、白色,青色,緑色など所定の発光色を呈する。【0018】図3は、例えば第1の回路部C1における発光素子D1a?D1c及び第2の回路部C2における発光素子D2a?D2cの順電圧Vfが1.85V程度と低い場合の実施例である。第3の端子部T3(具体的には、例えば導電ランド部T3a,T3b)には、抵抗器R1,R2とは異なった抵抗値(例えば45Ω程度)に設定された抵抗器R3が接続されている。・・・第1,第2の電源接続部A,Bに例えば12Vの直流電圧が印加されると、それぞれの発光素子は動作し、赤色など所定の発光色を呈する。」(事項(3b))という記載及び【図2】?【図4】(事項(3c))の図示内容から、配線基板Pが、複数の同一の発光素子D1a?D1c,D2a?D2cを搭載することが看取できる。

(3e)「【0002】・・・このような用途に適用される照明装置としては、例えば図5に示す構造の照明装置FAが提案されている(特許第2975893号参照)。この照明装置FAは、ケース本体Fa,環状のカバーFbよりなる照明ケースFBに照明部FCを配置することによって構成されている。照明部FCは、屈曲可能な配線基板Pに複数の発光素子(例えば発光ダイオード)D1を配置し、発光ダイオードD1のリードとこのリードに対応する配線基板Pの導電ランド(端子部)とを半田付けし、配線基板Pの両端を、切頭円錐凹面に発光ダイオードD1が位置するように接合又は近接保持して構成されている。尚、カバーFbの側面からは配線基板Pに給電するための電源線Lが引き出されている。」(事項(3a))という記載及び【図5】?【図4】(事項(3c))の図示内容から、照明装置FAが配線基板Pを収容する照明ケースFBを備えることが看取できる。

(3f)「【0017】図2は、例えば第1の回路部C1における発光素子D1a?D1c及び第2の回路部C2における発光素子D2a?D2cの順電圧Vfが3.6V程度と高い場合の実施例である。第1の端子部T1及び第2の端子部T2(具体的には、例えば導電ランド部T1a,T1b及びT2a,T2b)には、ほぼ同程度の抵抗値(例えば60Ω程度)に設定された抵抗器R1及び抵抗器R2が接続されている。尚、第3の端子部T3には抵抗器は接続されず、開放状態になっている。・・・第1,第2の電源接続部A,Bに例えば12Vの直流電圧が印加されると、それぞれの発光素子は動作し、白色,青色,緑色など所定の発光色を呈する。」という記載(事項(3b))及び【図2】(事項(3c))の図示内容から、直流電源の電源電圧(12V)と発光素子D1a?D1c,D2a?D2cを接続していることが看取できる。
また、発光素子の順電圧Vfが3.6Vであるとき、直流電源の電源電圧(12V)と発光素子D1a?D1c,D2a?D2cに接続したときの順電圧Vf(3.6V)の合計10.8Vとの差は1.2Vとなるから、順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cについて、直列接続されている発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数(3個)は、当該直列接続されている順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数を可及的に大きくする数となっていることは明らかである。

(3g)「【0018】図3は、例えば第1の回路部C1における発光素子D1a?D1c及び第2の回路部C2における発光素子D2a?D2cの順電圧Vfが1.85V程度と低い場合の実施例である。第3の端子部T3(具体的には、例えば導電ランド部T3a,T3b)には、抵抗器R1,R2とは異なった抵抗値(例えば45Ω程度)に設定された抵抗器R3が接続されている。・・・第1,第2の電源接続部A,Bに例えば12Vの直流電圧が印加されると、それぞれの発光素子は動作し、赤色など所定の発光色を呈する。」という記載(事項(3b))及び【図3】(事項(3c))の図示内容を参照すると、発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの順電圧Vfが1.8Vであるとき、直流電源の電源電圧(12V)と発光素子D1a?D1c,D2a?D2cに接続したときの順電圧Vf(1.85V)の合計11.1Vとの差は0.9Vとなるから、順電圧Vfが1.85Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cについて、直列接続されている発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数(6個)は、当該直列接続されている順電圧Vfが1.85V発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数を可及的に大きくする数となっていることは明らかである。

(3h)上記事項(3f)、事項(3g)を踏まえると、順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cについて、直列接続されている発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数は3個であり、順電圧Vfが1.85Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cについて、直列接続されている発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数は6個であるが、順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cが直列接続されている数(3個)と、順電圧Vfが1.85Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cが直列接続されている数(6個)は、両者の最小公倍数を可及的に小さくする数となっていることは明らかである。

(3i)「【0016】・・・通常は、この基本の回路ユニットの複数が第1,第2の電源接続部A,Bに並列的に接続される。・・・【0020】上述の照明装置に適用される配線基板構体について図4を参照して説明する。同図(a)は配線基板Pの一方の面Paに形成された配線パターンを示しており、同図(b)は配線基板Pの他方の面Pbに形成された配線パターンを、配線基板Pの一方の面Paから透視した状態を実線で示している。・・・配線基板Pは変形困難又は変形可能な部材にて構成されており、一方の面Paには第1の電源接続部Aが形成されており、その隣接部分にはスルーホール1a?6a,1b?6bを有する導電ランド部が形成されている。スルーホール1b,2aを有する導電ランド部及びスルーホール2b,3aを有する導電ランド部はそれぞれ接続配線部7,7によって接続されている。又、スルーホール3bを有する導電ランド部と導電ランド部8とは接続配線部7によって接続されている。尚、スルーホール1aを有する導電ランド部は第1の電源接続部Aに接続されている。・・・【0021】・・・配線基板Pには、それの他方の面Pb側に第1,第2の回路部C1,C2を構成する複数の発光素子D1a?D1c,D2a?D2c及び抵抗器R1?R3のいずれかの抵抗器が実装される。具体的には、複数の発光素子D1a?D1c,D2a?D2cはそれぞれの対をなすリード(図示せず)を対をなすスルーホール1aと1b,2aと2b,3aと3b,4aと4b,5aと5b,6aと6bに挿入し、一方の面Pa側における導電ランド部と対応するリードとを半田付けすることによって行われる。」という記載(事項(3b))及び【図4】(事項(3c))の図示内容によれば、基本の回路ユニットが並列に接続され、配線基板P上にはその配線パターンが形成されていることが看取できる。
ここで、「【0001】本発明は、例えばCCD(電荷結合素子)からの画像データを処理することにより製品の表面検査,位置決めなどを行うシステム・装置や実体顕微鏡の試料照明或いは一般照明などに適用される照明装置及び照明装置に適用される配線基板構体の改良に関する。」という記載(事項(3a))によれば、先願明細書等において想定されている用途は表面検査を行うシステム等に適用される照明装置であって、そのような照明装置は、光むらを極力生じないようにするために多数の発光素子を均一に配列して構成されることが技術常識である。そうすると、上記「基本の回路ユニット」は複数並列に接続されることが通常であって、特段の明記が無い限り単数ではないと理解することが相当である。
したがって、配線基板Pに搭載される発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの個数が6の複数倍の倍数であることは明らかである。
また、当該配線基板Pに搭載される発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの個数が、順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2c及び順電圧Vfが1.85Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cが直列接続される数(3及び6)の公倍数となっていることも明らかである。

上記(3a)?(3i)の事項からみて、先願明細書等には次の発明(引用発明3)が記載されていると認められる。

<引用発明3>
「複数の同一の発光素子D1a?D1c,D2a?D2cを搭載した配線基板Pと、
前記配線基板Pを収容する照明ケースFBと、を備えた照明装置FAであって、
直流電源の電源電圧(12V)と発光素子D1a?D1c,D2a?D2cを接続し、
順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cについて、直列接続されている発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数(3個)は、当該直列接続されている順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数を可及的に大きくする数となっており、
順電圧Vfが1.85Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cについて、直列接続されている発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数(6個)は、当該直列接続されている順電圧Vfが1.85V発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数を可及的に大きくする数となっており、
順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cが直列接続されている数(3個)と、順電圧Vfが1.85Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cが直列接続されている数(6個)は、両者の最小公倍数を可及的に小さくする数となっており、
前記配線基板Pに搭載される発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの個数が6の複数倍の倍数であり、順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2c及び順電圧Vfが1.85Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cが直列接続される数(3及び6)の公倍数となっている照明装置FA。」

イ 対比・判断
本件訂正発明1と引用発明3とを対比する。

(ア)引用発明3の「発光素子D1a?D1c,D2a?D2c」、「配線基板P」、「照明ケースFB」及び「直流の電源」は、その意味、機能または構成からみて、本件訂正発明1の「LED」、「LED基板」、「筐体」及び「電源」にそれぞれ相当する。

(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明3の「複数の同一の発光素子D1a?D1c,D2a?D2cを搭載した配線基板P」は、本件訂正発明1の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板」に相当する。

(ウ)引用発明3の「照明ケースFB」は「前記配線基板Pを収容する」ものであるから、配線基板Pを収容する空間を有することは明らかである。
そうすると、引用発明3の「前記配線基板Pを収容する照明ケースFB」は、本件訂正発明1の「前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体」に相当する。

(エ)上記(イ)、(ウ)を踏まえると、引用発明3の「複数の同一の発光素子D1a?D1c,D2a?D2cを搭載した配線基板Pと、前記配線基板Pを収容する照明ケースFBと、を備えた照明装置FA」は、本件訂正発明1の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えたライン状の光を照射する光照射装置」と「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えた光照射装置」である限度で一致する。

(オ)引用発明3の「順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cについて、直列接続されている発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数(3個)」は、「当該直列接続されている順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数を可及的に大きくする数」となっており、「順電圧Vfが1.85Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cについて、直列接続されている発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数(6個)」は、「当該直列接続されている順電圧Vfが1.85V発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数を可及的に大きくする数」となっており、「順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cが直列接続されている数(3個)と、順電圧Vfが1.85Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cが直列接続されている数(6個)」は、「両者の最小公倍数を可及的に小さくする数」となっている。
ここで、本件訂正発明1における「LED単位数」とは、「電源電圧V_(E)とLED21を直列に接続したときの順方向電圧V_(f)の合計(V_(f)×N)との差(V_(E)-V_(f)×N)が、所定の許容範囲となるLED21の個数であり、電源電圧V_(E)に対して直列接続されるLED21の個数」(本件特許の願書に添付した明細書の段落【0024】)であって、「所定の許容範囲」とは、「種類の異なるLED21毎に定まるLED単位数の公倍数によりLED基板2にLED21を搭載した場合に、所望の照射領域を1つ又は複数のLED基板2により実現できる条件(より具体的には、種類の異なるLED21毎に定まるLED単位数の最小公倍数を可及的に小さくする条件)、及び種類の異なるLED21毎にそのLED単位数を可及的に大きくする条件により決まる」(本件特許の願書に添付した明細書の段落【0025】)ものであるから、引用発明3の「順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cについて、直列接続されている発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数(3個)」及び「順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cが直列接続されている数(3個)と、順電圧Vfが1.85Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cが直列接続されている数(6個)」においては、直流電源の電源電圧(12V)と発光素子D1a?D1c,D2a?D2cを直列に接続したときの順電圧Vfの合計との差が「所定の許容範囲」となることは明らかである。
そうすると、引用発明3の「順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cについて、直列接続されている発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数(3個)」及び「順電圧Vfが1.85Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cが直列接続されている数(6個)」は、本件訂正発明1の「LED単位数」に相当するから、引用発明3が「直流電源の電源電圧(12V)と発光素子D1a?D1c,D2a?D2cを接続し、順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cについて、直列接続されている発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数(3個)は、当該直列接続されている順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数を可及的に大きくする数となっており、順電圧Vfが1.85Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cについて、直列接続されている発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数(6個)は、当該直列接続されている順電圧Vfが1.85V発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの数を可及的に大きくする数となっており、順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cが直列接続されている数(3個)と、順電圧Vfが1.85Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cが直列接続されている数(6個)は、両者の最小公倍数を可及的に小さくする数となっており、前記配線基板Pに搭載される発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの個数が6の複数倍の倍数であり、順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2c及び順電圧Vfが1.85Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cが直列接続される数(3及び6)の公倍数となっている」ことは、本件訂正発明1が「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数としている」ことと、「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の公倍数としている」限度で一致する。

以上のことから、本件訂正発明1と引用発明3とは以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

<一致点3>
「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、
前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えた光照射装置であって、
電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、
前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の公倍数としている光照射装置。」

<相違点5>
「光照射装置」に関し、
本件訂正発明1は、「ライン状の光を照射する」ものであるのに対して、引用発明3は、どのような光が照射されているのか不明な点。

<相違点6>
「前記LED基板に搭載されるLEDの個数」に関し、
本件訂正発明1は、「順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数としている」のに対して、引用発明3は「前記配線基板Pに搭載される発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの個数が6の複数倍の倍数であり、順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2c及び順電圧Vfが1.85Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2cが直列接続される数(3及び6)の公倍数となっている」点。

以下、相違点について検討する。
<相違点5について>
本件訂正発明1の「光照射装置」が「ライン状の光を照射する」ことの意義について検討すると、「複数の同一のLEDを搭載したLED基板」と、「筐体」とを備えた「光照射装置」から「ライン状の光を照射する」のであるから、要するに、光照射装置の筐体からライン状の光を照射するものであると理解できる。
ここで、引用発明3の筐体(照明ケースFB)の形状や、そこからどのように光が照射されているかを検討すると、先願明細書等の段落【0023】(事項(3b))に、LED基板(配線基板P)の具体例が複数例示されているものの、光照射装置(照明装置FA)そのものの具体例は記載も示唆もされておらず、筐体(照明ケースFB)の形状及びそこからどのように光が照射されているのかは判然としない。先願明細書等に唯一記載された具体例は、段落【0002】?【0003】(事項(3a))及び図5(事項(3c))に従来例として示されている照明装置FAのみであり、当該照明装置FAの構造からみて、照明ケースFBの形状に沿った光が照射されると理解できるところ、当該照明装置FAも照明ケースFBの形状から見て「ライン状の光を照射する」ものではない。
また、仮に「CCD(電荷結合素子)からの画像データを処理することにより製品の表面検査,位置決めなどを行うシステム・装置・・・に適用される照明装置。」(事項(3a))において、ライン状の光を照射する構成自体が、本件特許の出願日前における周知の事項であるとしても、そのような照明装置は、光むらを極力生じないようにするために多数の発光素子を均一に配列して構成されており、例えば、リング状とする場合には、リング状の外周側に内周側よりも多くのLEDが配列されるが、ライン状とする場合にそうした違いがない等、照明装置の照射する光の態様に応じてLED基板の形状やそこに搭載するLEDの数、配列及び回路等を設計する、すなわち、照明装置の照射する光の態様に応じて、LED基板の形状やそこに搭載するLEDの数、配列及び回路等は異なり得ることが技術常識である。そうすると、引用発明3に「ライン状の光を照射する」事項を付加したと仮定しても、先願明細書等に「前記LED基板に搭載されるLEDの個数」と「順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数」との関係については記載されていないところ、上記の技術常識に従えば、照射する光の態様に応じて、LEDの数、配列及び回路等が設計されることとなるから、照射する光の態様を「ライン状の光」とすることにともない、引用発明3における、直流電源の電源電圧(12V)、「順電圧Vfが3.6Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2c」が直列接続されている数(3個)、「順電圧Vfが1.85Vの発光素子D1a?D1c,D2a?D2c」が直列接続されている数(6個)、「配線基板Pに搭載される発光素子D1a?D1c,D2a?D2c」の個数(6の複数倍の倍数)も変更されると理解するのが自然である。したがって、引用発明3を相違点5に係る本件訂正発明1の構成とすることが設計上の微差であるとはいえない。

<相違点6について>
引用発明3においては、先願明細書等の段落【0016】、【0020】?【0021】の記載(事項(3b))及び【図4】(事項(3c))の図示内容によれば、基本の回路ユニットの複数が電源接続部に並列的に接続されており、配線基板P上には同一の配線パターンが複数繰り返し形成されている。したがって先願明細書等の記載等を参照しても、「前記LED基板に搭載されるLEDの個数」を、「順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数」とすることについて記載も示唆もされていない。
また、上記「ア(3i)」でも述べたとおり、先願明細書等において想定されている用途は表面検査を行うシステム等に適用される照明装置であって、そのような照明装置は、光むらを極力生じないように多数の発光素子を均一に配列して構成されることが技術常識である。引用発明3において「基本の回路ユニット」を単数、すなわち、「前記配線基板Pに搭載される発光素子D1a?D1c,D2a?D2cの個数」を6とすることは、上記技術常識に反するので、先願明細書等の段落【0001】及び【0005】(事項(3a))に記載された課題等を併せて検討しても、引用発明3を相違点6に係る本件訂正発明1の構成とすることが設計上の微差であるとはいえない。

以上のとおりであるので、本件訂正発明1は、引用発明3と同一ということはできない。
本件訂正発明3は、本件訂正発明1を直接に引用するものであり、本件訂正発明1の相違点に係る構成を備えるものであるから、本件訂正発明1と同じ理由により、引用発明3と同一ということはできない。

以上から、無効理由3には、理由がない。

(6)無効理由4?5
ア 被告の主張
上記本件特許に係る侵害訴訟事件において、被告から、以下の(4A)?(4B)のとおりの光照射装置に係る発明(以下「乙発明4」という。)が本件特許の出願日前に公然実施されており、本件訂正発明1及び本件訂正発明3は乙発明4であるから、特許法第29条第1項第2号に該当し、特許を受けることができないものであって、特許無効審判によって無効とされるべきであるとの主張がなされている。また、被告は、乙発明4を立証するための証拠方法として「被告製品2004年?LED照明総合カタログ」(乙第8号証)及び「説明書(3)」(乙第9号証)を挙げている。

(4A)被告製品IDB-11/14R、被告製品IDB-11/14Wはいずれもダイレクトバー照明である。
(4B)被告製品IDB-11/14RのLED単位数は6個であり、被告製品IDB-11/14WのLED単位数は3個である。

公然実施についての検討
まず、被告製品IDB-11/14R、被告製品IDB-11/14Wを実施品とする発明が公然実施された発明であるかどうかについて検討する。
「被告製品2004年?LED照明総合カタログ」(乙第8号証)及び「説明書(3)」(乙第9号証)を参照しても、これらが実際に販売されていたと認定するには足りない。

ウ 証拠方法の内容
以下では、被告製品IDB-11/14R、被告製品IDB-11/14Wが実際に販売されていたと仮定して、証拠方法の内容を検討する。なお、当技術分野において、製品の回路等は、当業者が当該製品を分析して知り得ることが通常である。
(4a)上記「(3)ウ(1a)」で述べたと同様に、乙第9号証の資料1の左上のタイトル、上段の図及び下段の図から、被告製品IDB-11/14Rは、複数の同一の赤色LED(型番「GL3UR43」6個)を搭載した基板を備えること、基板を収容するケースを備えるLED Direct Bar Lightであることが認定できる。
(4b)乙第9号証の資料2の左上の回路図から、被告製品IDB-11/14Rは、直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し、LEDを直列に6個接続し、基板に搭載されるLEDの個数は6個であることが看取できる。
(4c)上記「(3)ウ(1e)」で述べたと同様に、乙第9号証の資料4の左上のタイトル、上段の図及び下段の図から、被告製品IDB-11/14Wは、複数の同一の白色LED(型番「NSPW310BS-CR」6個または型番「NSPW310BS-CS」6個)を搭載した基板を備えること、基板を収容するケースを備えるLED Direct Bar Lightであることが認定できる。
(4d)乙第9号証の資料5の左上の回路図から、被告製品IDB-11/14Wは、直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し、LEDを直列に3個接続し、基板に搭載されるLEDの個数は6個であることが看取できる。

上記(4a)?(4d)の事項からみて、証拠方法によれば、次の発明(引用発明4)が認定できる。

<引用発明4>
「複数の同一のLEDを搭載した基板と、
前記基板を収容するケースと、を備えたLED Direct Bar Lightであって、
直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し、
赤色LEDの場合には、直列接続されているLEDは、6個であり、
白色LEDの場合には、直列接続されているLEDは、3個であり、
前記基板に搭載されるLEDの数は、6個であるLED Direct Bar Light。」

エ 対比・判断
本件訂正発明1と引用発明4とを対比する。

(ア)引用発明4の「LED」、「基板」、「ケース」及び「直流電源」は、その意味、機能または構成からみて、本件訂正発明1の「LED」、「LED基板」、「ケース」及び「電源」にそれぞれ相当する。

(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明4の「複数の同一のLEDを搭載した基板」は、本件訂正発明1の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板」に相当する。

(ウ)引用発明4の「ケース」は「前記基板を収容する」ものであるから、基板を収容する空間を有することは明らかである。そうすると、引用発明4の「前記基板を収容するケース」は、本件訂正発明1の「前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体」に相当する。

(エ)引用発明4は「LED Direct Bar Light」であるが、「Bar Light」がライン状の光を照射することは、乙第8号証の頁番号16の左下図に示されるように技術常識である。そうすると、上記(イ)、(ウ)も踏まえ、引用発明4の「複数の同一のLEDを搭載した基板と、前記基板を収容するケースと、を備えたLED Direct Bar Light」は、本件訂正発明1の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えたライン状の光を照射する光照射装置」に相当する。

以上のことから、本件訂正発明1と引用発明4とは以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

<一致点4>
「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、
前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えたライン状の光を照射する光照射装置。」

<相違点7>
本件訂正発明1は、「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数としている」のに対して、引用発明4は「赤色LEDの場合には、直列接続されているLEDは、6個であり、白色LEDの場合には、直列接続されているLEDは、3個であり、前記基板に搭載されるLEDの数は、6個であ」る点。

以下、相違点が実質的なものかどうかについて検討する。
本件訂正発明1における「LED単位数」は、「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数」である。技術常識を踏まえると、「LEDを直列に接続したときの順方向電圧」は、電源電圧、LEDの順方向電圧-順方向電流特性、直列に接続される抵抗の抵抗値等により変化する、すなわち回路構成により異なるものであるところ、「被告製品2004年?LED照明総合カタログ」(乙第8号証)及び「説明書(3)」(乙第9号証)の記載は、被告製品IDB-11/14R及び被告製品IDB-11/14Wの回路におけるLEDの順方向電圧を認定するに足りない。
そうすると、仮に、引用発明4の「赤色LED」と「白色LED」の順方向電圧が異なるとしても、引用発明4の「赤色LED」と「白色LED」それぞれにおいて、その「LED単位数」を把握することはできない。
よって、相違点7は実質的な相違点である。

したがって、本件訂正発明1と引用発明4とは実質的な相違点を有するので、本件訂正発明1は、引用発明4と同一ということはできない。
本件訂正発明3は、本件訂正発明1を直接に引用するものであり、本件訂正発明1の相違点に係る構成を備えるものであるから、本件訂正発明1と同じ理由により、引用発明4と同一ということはできない。

よって、本件訂正発明1及び本件訂正発明3は特許法第29条第1項第2号に該当するとはいえない。

また、特許法第29条第2項についても検討すると、乙第8号証及び乙第9号証を参照しても、本件特許の出願日前に公然実施された発明が「前記LED基板に搭載されるLEDの個数」と「順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数」との関係について、何らかの技術思想を提供するものであるとはいえないから、本件訂正発明1及び本件訂正発明3が、本件特許の出願日前に公然実施された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたということもできない。
よって、本件訂正発明1及び本件訂正発明3は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないともいえない。

オ 無効理由4?5についてのまとめ
以上から、無効理由4?5には、理由がない。

(7)無効理由6?7
ア 被告の主張
上記本件特許に係る侵害訴訟事件において、被告から、以下の(5A)?(5B)のとおりの光照射装置に係る発明(以下「乙発明5」という。)が本件特許の出願日前に公然実施されており、本件訂正発明1及び本件訂正発明3は乙発明5であるから、特許法第29条第1項第2号に該当し、特許を受けることができないものであって、特許無効審判によって無効とされるべきであるとの主張がなされている。また、被告は、乙発明5を立証するための証拠方法として「被告製品2005年?LED照明総合カタログ」(乙第10号証)及び「説明書(4)」(乙第11号証)を挙げている。

(5A)被告製品IDB-C11/14R、被告製品IDB-C11/14Bはいずれもダイレクトバー照明である。
(5B)被告製品IDB-C11/14RのLED単位数は6個であり、被告製品IDB-C11/14BのLED単位数は3個である。6は6と3の最小公倍数である。

公然実施についての検討
まず、被告製品IDB-C11/14R、被告製品IDB-C11/14Bを実施品とする発明が公然実施された発明であるかどうかについて検討する。
「被告製品2005年?LED照明総合カタログ」(乙第10号証)及び「説明書(4)」(乙第11号証)を参照しても、これらが実際に販売されていたと認定するには足りない。

ウ 証拠方法の内容
以下では、被告製品IDB-C11/14R、被告製品IDB-C11/14Bが実際に販売されていたと仮定して、証拠方法の内容を検討する。なお、当技術分野において、製品の回路等は、当業者が当該製品を分析して知り得ることが通常である。

(5a)上記「(3)ウ(1a)」で述べたと同様に、乙第11号証の資料1の「機名」の欄、右上の「部品名」、「型番」、「数量」、「材質・表面処理・寸法」の表から、被告製品IDB-C11/14Rは、6個の同一の赤のLED(型番「GL3UR43」)を搭載すること、プリント基板を備えることが認定できる。また、乙第11号証の資料1の各図から、被告製品IDB-C11/14Rは、プリント基板を収容する部品を備えていることが看取できる。
(5b)乙第11号証の資料2の「機名」の欄、左上の回路図から、被告製品IDB-C11/14Rは、直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し、LEDを直列に6個接続することが看取できる。
(5c)上記「(3)ウ(1e)」で述べたと同様に、乙第11号証の資料4の左上のタイトル、「部品名」、「型番」、「必要数」の表から、被告製品IDB-C11/14Bは、6個の同一のLED(型番「NSPB310A-WS」または型番「NSPB310A-WT」)を搭載すること、基板を備えることが認定できる。また、乙第11号証の資料4の各図から、被告製品IDB-C11/14Bは、基板を収容する部品を備えていることが看取できる。
(5d)乙第10号証の頁番号16の左上のタイトル、頁番号17の下段の「型式」の表から被告製品IDB-C11/14Rはダイレクトバー照明であることが看取できる。

上記(5a)?(5d)の事項からみて、証拠方法によれば、次の発明(引用発明5)が認定できる。

<引用発明5>
「6個の同一の赤のLEDを搭載したプリント基板と、
前記プリント基板を収容する部品と、を備えたIDB-C11/14Rであって、
直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し、
直列接続されているLEDは、6個であり、
ダイレクトバー照明であるIDB-C11/14R。」

エ 対比・判断
本件訂正発明1と引用発明5とを対比する。

(ア)引用発明5の「LED」、「プリント基板」及び「直流電源」は、その意味、機能または構成からみて、本件訂正発明1の「LED」、「LED基板」及び「電源」にそれぞれ相当する。

(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明5の「6個の同一の赤のLEDを搭載したプリント基板」は、本件訂正発明1の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板」に相当する。

(ウ)引用発明5の「前記プリント基板を収容する部品」は、その意味、機能または構成からみて、本件訂正発明1の「前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体」に相当する。

(エ)引用発明5の「IDB-C11/14R」は「ダイレクトバー照明」であるが、「ダイレクトバー照明」がライン状の光を照射することは、乙第10号証の頁番号16の左下図に示されるように技術常識である。そうすると、上記(イ)、(ウ)も踏まえ、引用発明5の「6個の同一の赤のLEDを搭載したプリント基板と、前記プリント基板を収容する部品と、を備えたIDB-C11/14Rであって」「ダイレクトバー照明であるIDB-C11/14R」は、本件訂正発明1の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えたライン状の光を照射する光照射装置」に相当する。

以上のことから、本件訂正発明1と引用発明5とは以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

<一致点5>
「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、
前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えたライン状の光を照射する光照射装置。」

<相違点8>
本件訂正発明1は、「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数としている」のに対して、引用発明5は「直列接続されているLEDは、6個であ」り、「プリント基板」が「6個の同一の赤のLEDを搭載」する点。

以下、相違点が実質的なものかどうかについて検討する。
「説明書(4)」(乙第11号証)には、(上記被告製品IDB-C11/14Bとは異なる)被告製品IDB-C11/14Wの回路図が記載されているのみで、被告製品IDB-C11/14Bの回路図が記載されていないから、引用発明5において「LED単位数」が定まるような「順方向電圧の異なるLED」を把握することはできない。
さらに、本件訂正発明1における「LED単位数」は、「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数」である。技術常識を踏まえると、「LEDを直列に接続したときの順方向電圧」は、電源電圧、LEDの順方向電圧-順方向電流特性、直列に接続される抵抗の抵抗値等により変化する、すなわち回路構成により異なるものであるところ、「被告製品2005年?LED照明総合カタログ」(乙第10号証)及び「説明書(4)」(乙第11号証)の記載は、被告製品IDB-C11/14R及び被告製品IDB-C11/14Bの回路におけるLEDの順方向電圧を認定するに足りない。そうすると、引用発明5において「順方向電圧の異なるLED」毎に定まる「LED単位数」を把握することはできない。
したがって、本件訂正発明1と引用発明5とは実質的な相違点を有するので、本件訂正発明1は、引用発明5と同一ということはできない。
本件訂正発明3は、本件訂正発明1を直接に引用するものであり、本件訂正発明1の相違点に係る構成を備えるものであるから、本件訂正発明1と同じ理由により、引用発明5と同一ということはできない。

よって、本件訂正発明1及び本件訂正発明3は特許法第29条第1項第2号に該当するとはいえない。

また、特許法第29条第2項についても検討すると、乙第10号証及び乙第11号証を参照しても、本件特許の出願日前に公然実施された発明が「前記LED基板に搭載されるLEDの個数」と「順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数」との関係について、何らかの技術思想を提供するものであるとはいえないから、本件訂正発明1及び本件訂正発明3が、本件特許の出願日前に公然実施された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたということもできない。
よって、本件訂正発明1及び本件訂正発明3は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないともいえない。

オ 無効理由6?7についてのまとめ
以上から、無効理由6?7には、理由がない。

(8)独立特許要件についてのまとめ
以上の検討によれば、本件訂正発明1及び本件訂正発明3について、特許出願の際独立して特許を受けられないとすべき理由を発見しない。
また、他に本件訂正発明1及び本件訂正発明3について、特許出願の際独立して特許を受けられないとすべき理由を発見しない。

よって、訂正事項1?3は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第4 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項までの規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、
前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えた、ライン状の光を照射する光照射装置であって、
電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、
前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数としている光照射装置。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
前記LEDが、表面実装型LEDである請求項1記載の光照射装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2018-03-06 
結審通知日 2018-03-08 
審決日 2018-03-20 
出願番号 特願2008-197040(P2008-197040)
審決分類 P 1 41・ 851- Y (F21S)
最終処分 成立  
前審関与審査官 土屋 正志  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 中田 善邦
一ノ瀬 覚
登録日 2009-08-28 
登録番号 特許第4366431号(P4366431)
発明の名称 光照射装置  
代理人 齊藤 真大  
代理人 齊藤 真大  
代理人 西村 竜平  
代理人 西村 竜平  
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