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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09F 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09F |
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管理番号 | 1339477 |
審判番号 | 不服2015-17295 |
総通号数 | 222 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-09-24 |
確定日 | 2018-04-26 |
事件の表示 | 特願2013-110475「選挙等用チラシ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月 8日出願公開、特開2014-228814〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件出願は、平成25年5月27日を出願日とする出願であって、平成27年5月8日に手続補正書が提出され、同年6月16日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、同年9月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成28年10月5日付けで当審で拒絶理由が通知され、同年12月21日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 2.本願の発明 本願の請求項1に係る発明は、前記の平成28年12月21日付けの手続補正後の明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める(以下「本願発明」という。)。 「【請求項1】 公職選挙法に則り外形がA4サイズをはみ出さないように、A4の紙の隣り合った直線の2辺の対向する辺の顔の一部を輪郭に沿って切り込んで写真などを凹凸状にすることにより立体的に見せ、且つ通行人でも移動中に取り易い厚みや質とした選挙等用チラシ。」 3.刊行物 (1)平成28年10月5日付の拒絶理由通知で引用された本願の出願日前に頒布された刊行物である実用新案登録公報3116929号公報(以下「刊行物」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(なお、下線は、審決で付した。以下同じ)。 ア.「【0001】 この考案は、選挙の際、不特定多数の人に頒布し、候補者への投票を促すことを目的とした選挙用広告板に関する。 【背景技術】 【0002】 従来総選挙などにおいて、主張を記載した候補者の写真、重点政策を大書した政党人の写真、又はチラシなどの宣伝、広告文が展示又は頒布されている。 【0003】 この場合に各種表示形態は規定に基づき制約を受けるのは当然としても、展示用は兎も角、頒布用は一般商品のチラシと大差なく、十分の効力(記憶に残る効力)なく、捨てられている。」 イ.「【0007】 この考案は、弾力のある薄板の一側に指通し孔を設け、前記薄板の表裏面に、写真、モットー、主張その他を印刷することにより、比較的長く持ち歩いて見られ、団扇として使用したり、或いは写真を見ることによって、宣伝効果を向上することに成功し、前記従来の問題点を解決したのである。 【0008】 即ちこの考案によれば、弾力性のある薄板の一側に指通し孔を設け、少なくとも表面又は裏面に、写真、イラストなどの図形又は広告文を大小様々の文字で宣伝及び広告を記載し、少なくとも表面又は裏面は一色以上の彩色としたことを特徴とする選挙用広告板であり、弾力性のある薄板の一側に指通し孔を設け、表面及び裏面に、写真、イラストなどの図形又は広告文を大小様々の文字で宣伝及び広告を記載し、表面及び裏面は一色以上の彩色としたことを特徴とする選挙用広告板である。」 ウ.「【0010】 この考案において、薄板は、例えばボール紙、プラスチック薄板などで、団扇としても、風が送れる程度の弾性を有するが、材質・厚さについて特に制限はない。通常の厚さは0.1?1.0mmである。要するに、指孔に指を入れて持った時に、折り曲がらない程度の厚さ(強度)があればこの考案の薄板として十分目的を達することができる。 【0011】 この考案における写真は、例えば候補者の顔写真、全身写真、支援者(推薦者)の写真、党首の写真などが考えられる。また地方選挙の場合には、マスコット又はその他のイラストがある。」 エ.「【0026】 この考案の実施例を図3、4について説明すると、候補者の顔写真2を特にアピールする為に、その髪型24に合せてボール紙1の外形を決め、指通し孔9を設け、表裏面に候補者の顔写真2を大きく表示し、これに氏名3、モットー4、選挙区10、政党名6、イラスト7などを記載し、この考案の広告板25を構成した。図中13は支援関係を示す文字、26は住所である。」 オ.「【0035】 1 ボール紙 2 写真 3 氏名 4 モットー 5 三角部 6 政党 7 イラスト 8 ホームページ記号 9 指通し孔 10 選挙区 11 縁取り 12、13 文字 14 顔写真 15 関係写真 16 主張 17 アピール文字 18 住所 19 中央部」 図3、4は次のものである。 前記ウには「薄板は、例えばボール紙、プラスチック薄板など」とあり、図3、4をみると、「広告板25」は「ボール紙1」で構成されているから、前記イ、ウの「薄板」は前記エの「ボール紙1」と同じものである。 図3、4をみると、「広告板25」はその周縁部に「三角部5」の2辺を有しているといえる。 (2)上記の記載事項を総合すると、刊行物には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「弾力のあるボール紙1の一側に指通し孔を設け、前記ボール紙1の表裏面に、写真、モットー、主張その他を印刷し、ボール紙1は、指孔に指を入れて持った時に、折り曲がらない程度の厚さ(強度)があり、候補者の顔写真2を特にアピールする為に、その髪型24に合せてボール紙1の外形を決めて広告板25を構成し、広告板25はその周縁部に三角部5の2辺を有し、表示形態は規定に基づき制約を受け、不特定多数の人に頒布する選挙用広告板。」 4.対比 本願発明と引用発明とを対比すると、 (1)後者の「ボール紙1」は、前者の「紙」に相当し、以下同様に、「顔写真2」は「写真」に、「三角部5の2辺」は「隣り合った直線の2辺」に、「選挙用広告板」は「選挙等用チラシ」に相当する。 (2)後者の「広告板25はその周縁部に三角部5の2辺を有し」ていることを踏まえると、後者の「髪型24に合せてボール紙1の外形を決め」ることは、隣り合った直線の2辺の対向する辺側の、頭部の一部である髪型の輪郭に沿って、顔写真2などを凹凸状にしているといえる。 してみると、後者の「髪型24に合せてボール紙1の外形を決め」ることと、前者の「紙の隣り合った直線の2辺の対向する辺の顔の一部を輪郭に沿って切り込んで写真などを凹凸状にする」こととは、紙の隣り合った直線の2辺の対向する辺の頭部の一部の輪郭に沿って写真などを凹凸状にするとの概念を有する。 したがって、両者は、 「紙の隣り合った直線の2辺の対向する辺の頭部の一部の輪郭に沿って、写真などを凹凸状にする選挙等用チラシ。」 の点で一致し、以下の各相違点で相違している。 相違点1:本願発明は、「公職選挙法に則り外形がA4サイズをはみ出さないように」と特定しているのに対して、引用発明は、そのようなものなのか明らかではない点。 相違点2:本願発明の、「A4の紙の隣り合った直線の2辺の対向する辺の顔の一部を輪郭に沿って切り込んで写真などを凹凸状にすることにより立体的に見せ」ることに対して、引用発明は、立体的に見せるものなのか不明であり、前記「三角部5の2辺」が「A4の」ものなのか、同「切り込」むことが、引用発明に備わっているのか不明である点。 相違点3:本願発明は、「通行人でも移動中に取り易い厚みや質」としているに対して、引用発明は、そのようなものなのか不明である点。 5.判断 上記の各相違点について検討する。 (1)相違点1について 引用発明は「不特定多数の人に頒布する選挙用広告板」であり、「表示形態は規定に基づき制約を受け」るものであるから、公職選挙法に則り作成されたビラと推認され、同法第142条第8項(第1項第1号から第3号まで及び第5号から第7号までのビラは長さ29.7センチメートル、幅21センチメートルを、・・・超えてはならない。)の規定に則り、前記「選挙用広告板」は長さ29.7センチメートル、幅21センチメートル(A4サイズ)をはみださないものとしなければならない。 したがって、引用発明において、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 (2)相違点2について 引用発明は、「隣り合った直線の2辺」の頭部の一部の輪郭に沿って「凹凸状」としており、本願発明と実質的に同様の形状なので、本願発明と同様に立体的に見えるものと推認される。 また、前記(1)のとおりであるから、引用発明の「三角部5の2辺(隣り合った直線の2辺)」は、当然「A4の紙の隣り合った直線の2辺」になる。 また、引用発明は、「候補者の顔写真2を特にアピールする為に、その髪型24に合せてボール紙1の外形を決め」るから、「髪型24」は顔の一部と解することができる。よって、引用発明は、本願発明の「顔の一部」を輪郭に沿って・・・写真などを凹凸状にすることを実質的に備えている。 仮に、「髪型24」が顔の一部ではないとしても、引用発明の顔写真は、顔から首にかけての周囲が頭髪におおわれたものであるから、髪型にあわせて外形を決めているものである。また、髪型として、顔から首にかけての周囲に頭髪におおわれないような短髪の髪型は一般的なものである。 してみると、引用発明において、一般的な短髪の髪型の顔写真とすれば、当然、顔写真は、顔の輪郭に沿って形成することとなるから、当業者が、容易に想到し得るものである。 また「切り込」むことは、紙の一般的な加工法であり、当業者が引用発明の「選挙用広告板」の加工法として採用することは容易である。 したがって、引用発明において、相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 本願図1は次のものである。 (3)相違点3について 引用発明は、持った時に、折り曲がらない程度の厚さ(強度)があるものなので、選挙用広告板が垂れ下がらず、「通行人でも移動中に取り易い厚みや質」を備えているといえる。 よって、相違点3は実質的な相違点ではない。 そして、本願発明の全体の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明から当業者が予測し得る範囲内のものである。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-04-17 |
結審通知日 | 2017-05-16 |
審決日 | 2017-05-30 |
出願番号 | 特願2013-110475(P2013-110475) |
審決分類 |
P
1
8・
536-
WZ
(G09F)
P 1 8・ 121- WZ (G09F) P 1 8・ 537- WZ (G09F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮本 昭彦 |
特許庁審判長 |
黒瀬 雅一 |
特許庁審判官 |
吉村 尚 畑井 順一 |
発明の名称 | 選挙等用チラシ |
代理人 | 鮫島 信重 |