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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B41J
管理番号 1339518
審判番号 不服2017-4581  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-03 
確定日 2018-05-08 
事件の表示 特願2013-548676「ラベルプリンター」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月 5日国際公開、WO2013/179607、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年5月21日(特許法第41条第1項に規定する優先権主張 平成24年5月30日、以下「優先日」という。)を国際出願日とする出願であって、原審において平成28年9月29日付けで拒絶理由が通知され、同年10月28日付けで手続補正がされ、平成29年3月13日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。原査定の謄本の送達(発送)日 同月21日。)がされ、これに対して、同年4月3日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲を補正する手続補正がされ、その後、当審において平成30年1月18日付けで拒絶理由が通知され、これに対して指定期間内の同年3月8日付けで手続補正がされたものである。

第2 原査定の理由の概要
原査定に係る拒絶理由の概要は、原査定時における本願の請求項1ないし5に係る発明は、本願の優先日前に頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献Aに記載された発明、及び同じく引用文献B、Cに記載された技術事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

記(引用文献等については引用文献等一覧参照)
<引用文献等一覧>
1.特開2002-292964号公報(引用文献A)
2.特開2003-200632号公報(引用文献B)
3.特開平9-211835号公報(引用文献C)

第3 当審で通知した拒絶理由の概要
当審において、平成30年1月18日付けで通知した拒絶理由の概要は、次のとおりである。
本願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記(引用文献については引用文献一覧参照)
(引用文献一覧)
1.特開平11-165496号公報(以下「引用文献1」という。)
2.特開2003-200632号公報(拒絶査定時の引用文献Bであって、以下「引用文献2」という。)
3.特開平9-211835号公報(拒絶査定時の引用文献Cであって、以下「引用文献3」という。)

・請求項1
・引用文献等 引用文献1、2、3
・備考
引用文献1(特に、段落【0015】?【0016】、【0018】?【0020】、及び図1、2、4を参照。)
引用文献2(特に、段落【0049】?【0053】、【0054】?【0060】、及び図5?7を参照。)
引用文献3(特に、段落【0015】?【0019】、【0020】?【0023】、【0030】?【0033】、及び図1、4、7を参照。)

対比
本願請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)と引用文献1に記載されている発明(以下「引用発明」という。)とを対比すると、本願発明と引用発明とは、次の点で相違するが、その余の点では一致している。

[相違点]
制御部(画像データ処理回路部)によって第2ラベル片(切り込み線1eの外側(枠1f))の画像と重ならない領域に印刷される「画像に関連する情報」が、本願発明では「画像の属性情報」であるのに対し、引用発明における「識別マーク1d」が、画像の属性情報といえるか否かが明確ではない点。

判断
上記の相違点について検討する。
引用文献2には、「撮影コマ番号P1、撮影年月日P2、撮影条件である絞りP3,シャッタ速度P4」等の「補助情報」を、「(撮影画像がプリントされる画像プリント領域R1に隣接した)データプリント域15c」にプリントする旨が記載されている。
また、引用文献3には、「剥離可能な画像領域に対応させて」、「画像駒の画面サイズを示す枠、駒番号、デート等」の「画像情報5以外の可視情報6」をプリントする旨が記載されている。
上記の「補助情報」及び「画像情報5以外の可視情報6」は、いずれも本願発明における「画像の属性情報」に相当するものであり、「プリント」は「印刷」と実質的に同義とみることができるから、引用文献2及び3には、写真等の画像を印刷するに際して、画像印刷領域に隣接あるいは近接する領域(画像と重ならない領域)に画像の属性情報を印刷するという技術事項が記載されていると認められる。
そして、引用文献2では「プリントシートの被切除領域に撮影画像データに関する補助情報をプリントすることにより、上記被切除領域を有効に活用し、使い勝手のよい・・・プリンタを提供することができる」とされて、また、引用文献3では「・・・剥離可能な画像領域に対応させて画像駒の画面サイズを示す枠、駒番号、デート等・・・画像情報5以外の可視情報6がプリントされているため、駒画像シール2としていろいろな所に貼ることができ、しかも剥離した部分の駒画像シール2のプリント条件等を知ることができる」とされている。
上記のように、プリントシート(画像記録媒体)の被切除領域を有効に活用して使い勝手のよいプリンタとしたり、画像のプリント条件等を知ることができるといった優位性や利便性は、写真等の画像印刷に係るという共通の技術分野に属する引用発明においても同様に望ましく、また、当該引用発明に上記の技術事項を適用することは当業者であれば容易に類推可能なことといえる。してみれば、引用発明において、画像に関連する情報である「識別マーク1d」を印刷することに加えて、引用文献2、3に記載されている、画像の属性情報を印刷するという上記の技術事項を採用することによって、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到しうる程度の事項といえる。
よって、本願発明は、引用発明、及び引用文献2、3に記載されている技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 本願の発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成30年3月8日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(平成29年4月3日に拒絶査定不服審判の請求と同時にされた補正によって、当該補正前の請求項2以下は削除されて、請求項の数は1となっている。)
「【請求項1】
長尺状の台紙、および、前記台紙に所定間隔で剥離可能に張り付けられ、第1ラベル片と前記第1ラベル片を取り囲む一方が広幅の枠部分で三方が細幅の枠部分で構成される矩形枠状の第2ラベル片とに分離可能なカット部を有するラベルで構成される記録媒体を搬送する搬送部と、
前記第1ラベル片および前記第2ラベル片の前記細幅の枠部分からはみ出さない領域に1の画像を印刷し、前記第2ラベル片の前記画像と重ならない領域であって前記広幅の枠部分に前記画像の属性情報を印刷する制御部と、を備えることを特徴とするラベルプリンター。」

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について(下線は審決で付した。引用文献2以下についても同じ。)
引用文献1には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像を印字する記録用受像体及び該受像体を用いるプリンタ装置に関する。」
「【0015】
・・・本発明の記録用受像体1は、受像層1a、支持シート1b、剥離層(接着層)1cを積層して構成されており、受像層1aを支持シート1bから剥離した時、剥離層1cが支持シート1b側に残り、受像層1aに剥離層1cの粘着性が残らないように処理する。」
「【0016】・・・受像層1aには四角形等の切り込み線1eを入れ、切り込み線1eの内側(以下、「プリカット部1g」という。)と外側(以下、「枠1f」という。)を容易に分割可能にしておく。また、プリカット部の数を識別する識別(検出)マーク1dを枠1fに設ける。この識別マーク1dは、切り欠きや黒色印刷等により、プリンタ装置内部に設けた検出手段によって容易に識別できるものであれば良い。」
「【0018】・・・画像データの画素量に対してプリンタ装置の有する画素密度(解像度)に応じて、プリカット部1gを包括する画像サイズ(図1の斜線部)となるように・・・画像データ処理を行う画像データ処理回路部と、記録用受像体1に設けたプリカット部の数1gを識別する識別マークを検出する分割数検出手段5と記録ヘッドを制御するヘッド駆動回路部及び給紙機構(図示せず)と、印字部20・排紙部30で構成される。」
「【0019】・・・印字実行命令を出すと、・・・記録用受像体1の識別マーク1dを検出し記録用受像体1に設けられたプリカット部1gの数が読み取られ、この数値を基に画像データ処理回路は、画像の分割を行い、画素密度変換したとき予め設定された印字サイズに足りない場合は、画像データにデータ補完をおこなう。逆に印字サイズをオーバーするものは、間引きをおこなう。・・・
【0020】このように処理された画像データを基に、ヘッド駆動回路を動作させ印字部20で印字を行う。・・・」
「【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明の記録用受像体及びプリンタ装置によれば、オペレータの手を煩わせることなく、余白のない(縁なし)写真ライクな印字物を容易に得ることができる。」
図1、2から、「受像層1aの平面形状は、写真ライクな印字物とほぼ相似で、それよりやや大きい矩形であり、また、識別マーク1dは、切り込み線1eの外側(枠1f)の画像と重ならない領域に印刷されている」ことが看取できる。

上記の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認定できる。
「画像を印字する記録用受像体を用いるプリンタ装置であって、
記録用受像体1は、受像層1a、支持シート1b、剥離層(接着層)1cを積層して構成されており、受像層1aを支持シート1bから剥離した時、剥離層1cは支持シート1b側に残り、受像層1aには剥離層1cの粘着性が残らないもので、受像層1aの平面形状は写真ライクな印字物とほぼ相似で、それよりやや大きい矩形であり、
受像層1aには四角形等の切り込み線1eを入れて、切り込み線1eの内側(プリカット部1g)と外側(枠1f)とを容易に分割可能にしておき、枠1fの画像と重ならない領域には、プリンタ装置内部に設けた検出手段によって、プリカット部の数を識別できるようにするための印刷された識別(検出)マーク1dを設け、
プリンタ装置は画像データの画素量に対してプリンタ装置の有する画素密度(解像度)に応じて、プリカット部1gを包括する画像サイズとなるように画像データ処理を行う画像データ処理回路部と、記録用受像体1に設けたプリカット部の数1gを識別する識別マークを検出する分割数検出手段5と記録ヘッドを制御するヘッド駆動回路部及び給紙機構と、で構成されており、
印字実行命令を出すと、記録用受像体1の識別マーク1dを検出し記録用受像体1に設けられたプリカット部1gの数が読み取られ、この数値を基に画像データ処理回路は、画像の分割を行い、画素密度変換したとき予め設定された印字サイズに足りない場合は、画像データにデータ補完をおこない、逆に印字サイズをオーバーするものは、間引きをおこなうように処理された画像データを基に、ヘッド駆動回路を動作させ印字部20で印字を行う、プリンタ装置。」

2.引用文献2について
引用文献2には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0020】本実施形態のプリントシステムは、熱昇華型のプリンタ2とデジタルカメラ1とで構成される。このプリントシステムにおいては、・・・デジタルカメラ1側に記録されている撮影画像データと補助情報データがプリンタ2側に出力され、撮影画像と補助データがプリントシート15上にプリントされる。」
「【0033】デジタルカメラ1側の画像メモリ27に記録されている画像データをプリンタ2側にてプリントアウトする場合、まず、図1に示すようにデジタルカメラ1をプリンタ2の結合開口部2aに装着する。・・・
【0039】なお、上記画像メモリ27に記録されている・・・画像データは、補助情報データとともに・・・プリンタ2側に送出され、・・・それらの画像データと補助情報データのプリントが実行される。」
「【0050】プリントシート15・・・は、送り方向であるD方向の前,後方領域に印刷されない空白域15a,15bを有する。上記空白域15a,15bを除く領域が全プリント領域R_(0)となる。上記全プリント領域R_(0)は、撮影画像がプリントされる画像プリント領域R_(1)と、データプリント域15cとからなる。
【0051】上記データプリント域15cは、画像プリント領域R_(1)に隣接した後方側およそ3mm程度の幅部分であって、画像がプリントされず、選択された補助情報データのみがプリントされる領域である。」
「【0055】上記プリントシート15(15A,B,C)は、プリント後、上記ミシン目15f,15gにて上記切り取り部15p,15qを切り離せば、有効プリント領域R_(2)のみの縁なしプリントシート15rが得られる。上記切り取り部15p,15qを切り離す前の状態では、データプリント域15cにプリントされた、画像プリント領域R_(1)の画像に関するコマ番号や撮影場所や撮影条件などの補助情報を認識することができる。勿論、上記切り取り部15p,15qを切り離さずにプリントシート15のまま保管しておくこともできる。」
「【0057】上記図6に示すプリントシート15Bは、画像と共にデータプリント域15cに撮影コマ番号P_(1)の他に撮影年月日P_(2)と撮影条件である絞りP_(3),シャッタ速度P_(4)がプリントされた例を示す。上記撮影コマ番号P_(1)と、上記撮影年月日P_(2)と、上記撮影条件P_(3),P_(4)は、使用者が補助情報データとしてデジタルカメラ1側で任意に指定し、例えば、図4のフローチャート上のステップS24で展開されるデータに代えて展開されるデータである。データプリント域15cを含む後方切り取り部15qは、切り取って参考メモ用として保管することもできる。」
「【0064】
【発明の効果】上述のように本発明の画像プリントシステム・・・を構成するデジタルカメラとプリンタによれば、プリントシートの被切除領域に撮影画像データに関する補助情報をプリントすることにより、上記被切除領域を有効に活用し、使い勝手のよい画像プリントシステムおよびそのシステムを構成するデジタルカメラとプリンタを提供することができる。」
図5ないし7から、切り取り部15p,15qは、プリントシートの左右側部に配置されていることが看取できる。
図6、7から、「データプリント域15cは、切り取り部15qに含まれている」ことが看取できる。

上記の記載事項を総合すると、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2に記載の技術事項」という。)が記載されていると認定できる。
「プリントシート15の左右の側部に切り取り部15p,15qを配置して、撮影画像がプリントされる画像プリント領域R_(1)に隣接し、切り取り部15qに含まれるデータプリント域15cに、撮影コマ番号P_(1)、撮影年月日P_(2)、撮影条件である絞りP_(3),シャッタ速度P_(4)等の補助情報をプリントするプリンタ。」

3.引用文献3について
引用文献3には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明のインデックスプリントの実施例について説明する。まず、インデックスプリントの第1実施例を、図1乃至図3に基づいて説明する。・・・
【0016】インデックスプリント1は、図1に示すように現像済の写真フィルムの画像駒のプリントを剥離可能なシールプリントで作成され、このシールプリントの駒画像シール2として剥離可能な画像領域が図2及び図3に示すようにして設けられている。
【0017】インデックスプリント1は、図2に示すように、支持体10、剥離層11、接着層12、画像担持層13の順に積層され、図1に示すように画像担持層13に現像済の写真フィルムの画像駒の画像が形成される。インデックスプリント1の画像駒の画像が形成される部分に・・・切り込み4が、画像担持13側から支持体10に達するまで形成され、この切り込み4によって駒画像シール2を剥離層11によって支持体10から容易に剥離可能になっている。
【0018】この駒画像シール2内には、画像駒の画面サイズを示す枠、駒番号、デート等、画像駒のフィルム画面内に光学的に記録されている画像情報5以外の可視情報6をプリントしないように構成されている。この実施例では、画像情報5以外の可視情報6として、画像駒の画面サイズを示す枠6aが設けられ・・・ている。また、それぞれの画像情報5は、同じサイズにプリントして、それぞれの画像駒の画面の下に画像駒の画面サイズ6cを示すクラッシックの「C」、ハイビジョンの「H」、パノラマの「P」がプリントされている。」
「【0020】次に、インデックスプリントの第2実施例を、図4に基づいて説明する。図4はインデックスプリントの平面図である。
【0021】この第2実施例のインデックスプリント1は、現像済の写真フィルムの画像駒のプリントを剥離可能なシールプリントが図2及び図3と同様に作成される。
【0022】このインデックスプリント1は、シールプリントの駒画像シール2として剥離可能な画像領域以外に、この剥離可能な画像領域に対応させて画像駒の画面サイズを示す枠、駒番号、デート等、画像駒のフィルム画面内に光学的に記録されている画像情報5以外の可視情報6をプリントするようになっている。この実施例では、画像情報5以外の可視情報6として、画像駒の画面サイズを示す枠6a、駒番号6b、画像駒の画面サイズ6cを示すクラッシックの「C」、ハイビジョンの「H」、パノラマの「P」・・・がプリントされている。
【0023】このように、シールプリントの駒画像シール2として剥離可能な画像領域以外に、剥離可能な画像領域に対応させて画像駒の画面サイズを示す枠、駒番号、デート等、画像駒のフィルム画面内に光学的に記録されている画像情報5以外の可視情報6がプリントされているため、駒画像シール2としていろいろな所に貼ることができ、しかも剥離した部分の駒画像シール2のプリント条件等を知ることができる。」

上記の記載事項を総合すると、引用文献3には、次の技術事項(以下「引用文献3に記載の技術事項」という。)が記載されていると認定できる。
「シールプリントの駒画像シール2として切り込み4によって剥離可能な画像領域以外に、剥離可能な画像領域に対応させて、画像駒の画面サイズを示す枠、駒番号、デート等の画像情報5以外の可視情報6をプリントするインデックスプリント。」

第6 当審で通知した拒絶理由についての当審の判断
1.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
後者の「受像層1a」は、支持シート1b上に積層されて、画像等の印刷後に当該支持シート1bから剥離するという使用態様等からみて、前者の「ラベル」に相当するものといえる。してみると、後者の「プリンタ装置」は前者の「ラベルプリンター」に相当し、以下同様に、「支持シート1b」は「台紙」に、「切り込み線1e」は「カット部」に、「切り込み線1eの内側(プリカット部1g)」は「第1ラベル片」に、「切り込み線1eの外側(枠1f)」は「第1ラベル片を取り囲む第2ラベル片」に、「記録用受像体1」は「記録媒体」に、「給紙機構」は「搬送部」に、それぞれ相当する。
そして、後者は、画像データ処理回路部がプリカット部1gを包括する画像サイズとなるように画像データ処理した画像データを基に印字部20で印字を行うのである(図1の斜線部を参照。)から、「プリカット部1g(第1ラベル片)および枠1f(第2ラベル片)の細幅の枠部分からはみ出さない領域に1の画像を印刷している」といえる。
また、後者の「画像データ処理回路部」は前者の「制御部」に相当する。

したがって、両者は、
「台紙、および、前記台紙に剥離可能に張り付けられ、第1ラベル片と前記第1ラベル片を取り囲む矩形枠状の第2ラベル片とに分離可能なカット部を有するラベルで構成される記録媒体を搬送する搬送部と、
前記第1ラベル片および前記第2ラベル片の細幅の枠部分からはみ出さない領域に1の画像を印刷する制御部と、を備える、ラベルプリンター。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願発明は「長尺状」の台紙であって、「所定間隔で」ラベルが張り付けられるのに対し、引用発明は、台紙が長尺状であるか否か、また、ラベルが所定間隔で張り付けられるか否かが明確ではない点。
[相違点2]
第2ラベル片が、本願発明では「一方が広幅の枠部分で三方が細幅の枠部分で構成される」のに対し、引用発明では、四方ともに同じ幅の枠部分で構成される点。
[相違点3]
本願発明では「画像の属性情報」であるのに対し、引用発明では「画像(プリカット部)の数を識別するための識別(検出)マーク1d」である点。
[相違点4]
本願発明では「第2ラベル片の画像と重ならない領域であって広幅の枠部分に画像の属性情報を印刷する制御部」を備えるのに対し、引用発明では識別マーク1dが枠1fの画像と重ならない領域に設けられているが、枠1fの四方の枠部分が同幅であって、また、ヘッド駆動回路部(制御部)が識別マーク1dを印字(印刷)するか否かが明確ではない点。

2.判断
まず、上記の相違点2について検討する。
引用文献2に記載の技術事項の「プリントシート15」は本願発明の「記録媒体」に相当し、同じく「切り取り部15p,15q」は、本願発明の「第2ラベル片」に相当するものといえるが、引用文献2に記載の技術事項には、上記の切り取り部15p,15qはプリントシート15の左右の側部にのみ配置されているのあって、上記相違点2に係る本願発明の「一方が広幅の枠部分で三方が細幅の枠部分で構成される」との発明特定事項は記載や示唆されていない。
引用文献3に記載の技術事項の「シールプリント」は本願発明の「記録媒体」に相当するものといえるが、同様に「駒画像シール2」は「第1ラベル片」に、「切り込み4」は「カット部」に、それぞれ相当するが、引用文献3に記載の技術事項の「画像駒の画面サイズを示す枠」はプリントされるものであり、そもそも本願発明の「第2ラベル片」に相当するものが記載されていないといえるし、仮に引用文献3に記載の技術事項の駒画像シール2として剥離可能な画像領域以外の領域が本願発明の「第2ラベル片」に相当するとしても、引用文献3に記載の技術事項には、上記相違点2に係る本願発明の「一方が広幅の枠部分で三方が細幅の枠部分で構成される」との発明特定事項は記載や示唆されていない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明は、引用発明及び引用文献2、3に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.以上のとおりであるから、当審において通知した拒絶理由は解消したといえる。

第7 原査定についての判断
1.引用文献Aの記載事項
なお、引用文献B(引用例2)、引用文献C(引用例3)の記載事項等については、上記「第5 引用文献、引用発明等」で指摘したとおりである。
そして、引用文献A(特開2002-292964号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デジタルカメラのような撮像装置で撮影した写真画像の画像データを読み込んでプリカットシール上に印画して出力する画像プリント装置に関する。」
「【0002】
【従来の技術】従来、デジタルカメラ等の撮像装置で撮影した写真画像を、選択された背景及びフレームと合成してプリントアウトする画像プリント装置が存在する。・・・
【0003】この画像プリント装置においては、各種の記録媒体から画像デジタルデータを読み込んでプリンターにより印画して出力するようになっている。また、モニター画面により種々操作して画像選択及び調整等することにより所望の写真画像が得られる。そして、写真画像を印画する印画材料としては、いわゆるプリカットシールがあり、このプリカットシールは基材上に印画可能なシール材を貼り、このシール材にカット線が形成され、プリントアウト後に、このカット線に沿ってシールを剥がして顧客の所望の持ち物に貼って楽しむようになっている。」
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、かかる画像プリント装置においては、図11に示すように、モニター画面50においてフレーム外枠30内に画像の位置、大きさを調整しても、画像とプリカットシールの印画位置との関係についての工夫がなされておらず、プリント出力するときにプリカットシールのプリカットのカット線C、Lの外側に画像がはみ出てしまったり(図12)、図4に示すように画像の大きさは適切でもプリンターにおいてプリカットシールの搬送による位置ずれが生じて図6に示すように出力されたプリカットシールのプリカットのカット線C、Lから画像がはみ出てしまうという問題があった。」
「【0005】本発明は、かかる点に鑑み、プリカットシールのプリカットのカット線内に所望の画像を印画でき、無駄を省くことができるような画像プリント装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明はデジタルカメラで撮影した画像データを読み込んだプリカットシール上に印画して出力する画像プリント装置において、モニター画面に表示される選択画像に加えてプリカットシールのプリカットの輪郭を表示する手段と、前記選択画像をプリカットの輪郭内で最適の位置に印画できるようにするための画像調整手段とを備えることを特徴とする。」
「【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0009】図1において、本発明の画像プリンター装置Mは、ケーシング1を有し、このケーシング1の上段部正面には、タッチパネル付きモニター画面2が配置されている。タッチパネル付きモニター画面2は、操作の案内や、操作の状況や、読み取った画像或いは加工した画像等を表示する手段としての機能を・・・発揮する。」
「【0014】前記モニター画面2には、図2に示すように、写真調整画面20が表示されるようになっており、この写真調整画面20には、画像表示画面20aと操作画面20bとが表示される。前記画像表示画面20aには、図3に示すように、フレーム外枠40とプリカットシールのプリカットの輪郭41が表示される。また、画像Iは、前記記録メディアの挿入口から挿入されたフロッピーディスク等からの画像情報に基づいて表示される。
【0015】この画像Iが輪郭41からはみ出る場合、あるいは画像が小さすぎる場合、輪郭41内の偏った位置にある場合には、前記画面20の操作画面20bの拡大、縮小操作表示45をタッチするか、あるいは、移動操作表示46を操作して図4に示すように、画像Iが輪郭41の中央部に適切な大きさで表示させるように操作される。・・・
【0016】ところが、・・・画像調整手段としての操作表示45、46を操作して画像Iを画面上に適切な位置に適切な大きさで配置しても、プリント出力時に印刷のためにプリカットシールが搬送されるときに、搬送による位置ずれが生じて図6に示すように適切な大きさの画像Iがカット線C、Lからはみ出してしまうことがある。そこで、本発明においてはプリカットシールSの裏側適宜位置に、検知マーク48が設けられている(図7)。このプリカットシールSは、図8に示すように送りローラ60、60…60によって搬送され、・・・印刷ヘッド61によって、画像Iが印刷される。前記プリカットシールSの搬送路上には、前記検知マークを検出するためのセンサー62が設けられ、このセンサー62によって図9に示すように実際の検知マーク48の位置と基準検知マーク位置49のずれを検知する。搬送方向におけるずれ量は、例えば、プリントスタート時から所定時間後のずれ、あるいは、印刷ヘッド61の印画開始時のずれ量を意味している。」
「【0017】次に、プリンターの動作を図10に基づいて説明する。プリンターが起動されると(S1)、搬送ローラ60が回転して印画紙(プリカットシールS)が印刷ヘッド61方向に搬送される(S2)。この搬送時に印画紙がセンサー62上を通過するが、このとき、検知マーク48が検出され(S3)、基準位置とのずれ量が演算される(S4)。このずれ量に応じて図8の制御部63は、印刷ヘッド61の印画開始位置を調整する(S5)。このようにして印画されたプリカットシールSは、プリント物取出口16へプリントアウトされる(S6)。・・・」
「【0018】
【発明の効果】本発明は以上のように構成したので、画像プリカットシールのシールを剥がしたときに画像が剥がしたシールの適切な位置に適切な大きさで印画され、シールの輪郭からはみ出て画像が切れることがないという効果を奏する。」


上記の記載事項を総合すると、引用文献Aには、次の発明(以下「引用文献A記載の発明」という。)が記載されていると認定できる。
「写真画像の画像データを読み込んでプリカットシール上に印画して出力する画像プリント装置(画像プリンター装置M)であって、
プリカットシール(プリカットシールS)は基材上に印画可能なシール材を貼り、このシール材にはカット線が形成されると共に、裏側適宜位置には検知マーク48が設けられており、送りローラ60、60…60によって搬送されて印刷ヘッド61によって画像Iが印刷され、プリントアウト後に、前記カット線に沿ってシールを剥がして顧客の所望の持ち物に貼って楽しむもので、
画像プリント装置に配置されているモニター画面2には、画像表示画面20aが表示され、画像表示画面20aにはフレーム外枠40とプリカットシールのプリカットの輪郭41が表示されると共に、画像Iが画像情報に基づいて表示され、
画像Iが輪郭41からはみ出る場合、あるいは画像が小さすぎる場合、輪郭41内の偏った位置にある場合に、画像Iが輪郭41の中央部に適切な大きさで表示させるように操作される画像調整手段と、
搬送ローラ60が回転して印画紙(プリカットシールS)が印刷ヘッド61方向に搬送される搬送時に、前記検知マーク48を検出して実際の検知マーク48の位置と基準検知マーク位置49とのずれ量を演算し、このずれ量に応じて印刷ヘッド61の印画開始位置を調整する制御部63を備え、
画像が剥がしたシールの適切な位置に適切な大きさで印画され、シールの輪郭からはみ出て画像が切れることがない、画像プリント装置。」

2.対比
本願発明と引用文献A記載の発明とを対比する。
後者の「プリカットシール(プリカットシールS)」は、基材上に印画可能なシール材を貼り、このシール材にはカット線が形成され・・・、送りローラ60、60…60によって搬送されて印刷ヘッド61によって画像Iが印刷され、プリントアウト後に、前記カット線に沿ってシールを剥がして顧客の所望の持ち物に貼って楽しむとされるところから、前者の「ラベルで構成される記録媒体」に相当しており、以下同様に、「基材」は「台紙」に、「シール」は「第1ラベル片」に、「カット線」は「カット部」に、「シール材」は「ラベル」に、「送りローラ60、60…60」は「搬送部」に、「制御部63」は「(画像を印刷する)制御部」に、「画像プリント装置」は「ラベルプリンター」に、それぞれ相当する。
また、後者は、シール材にはカット線が形成され、前記カット線に沿ってシールを剥がているから、シール材には「シール材のシールを囲む領域」が掲載されていることは明らかであって、後者の当該「シール材のシールを囲む領域」は前者の「第2ラベル片」に相当する。
また、後者において「カット線に沿ってシールを剥がして顧客の所望の持ち物に貼って楽しむ」とされるところから、後者のシール材も前者のラベルと同様に、基材に「剥離可能に張り付けられ」ているといえる。

したがって、両者は、
「台紙、および、前記台紙に剥離可能に張り付けられ、第1ラベル片と前記第1ラベル片を取り囲む第2ラベル片とに分離可能なカット部を有するラベルで構成される記録媒体を搬送する搬送部と、
前記第1ラベル片に1の画像を印刷する制御部と、を備えるラベルプリンター。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点A1]
本願発明では「長尺状」の台紙であって、「所定間隔で」ラベルが張り付けられるのに対し、引用文献A記載の発明では台紙が長尺状であるか否か、また、シール材(ラベル)が所定間隔で張り付けられるか否かが明確ではない点。
[相違点A2]
本願発明では、第2ラベル片が「一方が広幅の枠部分で三方が細幅の枠部分で構成される矩形枠状」であるのに対し、引用文献A記載の発明では「シール材のシールを囲む領域」はそのようなものか明らかでない点。
[相違点A3]
本願発明では「第2ラベル片の細枠の枠部分からはみ出さない領域」に画像を印刷する制御部を備えるのに対し、引用文献A記載の発明は「シール材のシールを囲む領域」に画像を印刷する制御部を備えるものではない点。
[相違点A4]
本願発明では「画像の属性情報」であるのに対し、引用発明では画像が剥がしたシールの適切な位置に適切な大きさで印画され、シールの輪郭からはみ出て画像が切れることがないように、位置を検出するための「検知マーク48」である点。
[相違点A5]
本願発明では「第2ラベル片の画像と重ならない領域であって広幅の枠部分に画像の属性情報を印刷する制御部」を備えるのに対し、引用発明では検知マーク48はシール材の裏側適宜位置に設けられるものであり、制御部63が検知マーク48を印刷するか否かが明確ではない点。

3.判断
まず、上記の相違点A2について検討すると、上記「第6 当審で通知した拒絶理由についての当審の判断 2.判断」で指摘したように、上記相違点A2に係る本願発明の「一方が広幅の枠部分で三方が細幅の枠部分で構成される」との発明特定事項は、引用文献B、C(引用文献2、3)に記載の技術的事項には記載や示唆されていない。
してみれば、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明は、引用文献A記載の発明及び引用文献B、Cに記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-04-24 
出願番号 特願2013-548676(P2013-548676)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B41J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大浜 登世子  
特許庁審判長 森次 顕
特許庁審判官 黒瀬 雅一
畑井 順一
発明の名称 ラベルプリンター  
代理人 西田 圭介  
代理人 渡辺 和昭  
代理人 仲井 智至  
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