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審決分類 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1339763
審判番号 不服2017-9368  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-27 
確定日 2018-04-26 
事件の表示 特願2014-152194号「遊技台」拒絶査定不服審判事件〔平成28年3月7日出願公開、特開2016- 29978号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成26年7月25日の出願であって、平成28年8月9日付け拒絶理由通知に対して、同年9月12日付けで手続補正がなされたところ、平成29年3月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月27日付けで拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成29年6月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年6月27日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1?16の記載を含む補正であり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成28年9月12日付けの手続補正書における

「【請求項1】
遊技者が操作可能な位置に設けられた操作手段と、
複数の表示を表示可能な表示手段と、
を備えた遊技台であって、
前記操作手段は、複数の状態となることが可能とされ、
前記複数の状態のうちの一つは、第一の状態であり、
前記複数の状態のうちの一つは、第二の状態であり、
前記複数の表示のうちの一つは、第一の表示であり、
前記第一の表示は、前記操作手段に関する表示であり、
前記第一の表示は、複数の態様で表示可能とされ、
前記複数の態様のうちの一つは、第一の態様であり、
前記複数の態様のうちの一つは、第四の態様であり、
前記第一の態様は、前記第一の状態に応じた態様であり、
前記第四の態様は、前記第二の状態に応じた態様であり、
前記第四の態様による前記第一の表示は、前記第一の態様による前記第一の表示よりも大きい表示である、
ことを特徴とする遊技台。」

から、審判請求時に提出された手続補正書(平成29年6月27日付け)における

「【請求項1】
遊技者が操作可能な位置に設けられた操作手段と、
複数の表示を表示可能な表示手段と、
を備えた遊技台であって、
前記操作手段は、複数の状態となることが可能とされ、
前記複数の状態のうちの一つは、第一の状態であり、
前記複数の状態のうちの一つは、第二の状態であり、
前記複数の表示のうちの一つは、第一の表示であり、
前記第一の表示は、前記操作手段に関する表示であり、
前記操作手段に関する表示は、前記操作手段を模した表示(以下、「操作手段表示」という。)を含む表示であり、
前記操作手段に関する表示は、前記操作手段の操作を促す文字列を含む表示であり、
前記第一の表示は、複数の態様で表示可能とされ、
前記複数の態様のうちの一つは、第一の態様であり、
前記複数の態様のうちの一つは、第四の態様であり、
前記第一の態様は、前記第一の状態に応じた態様であり、
前記第四の態様は、前記第二の状態に応じた態様であり、
前記第四の態様による前記第一の表示は、前記第一の態様による前記第一の表示よりも大きい表示であり、
或る演出において前記第一の態様による前記第一の表示が表示される場合があり、
前記或る演出において前記第四の態様による前記第一の表示が表示される場合があり、
前記第一の態様による前記第一の表示における前記操作手段の操作を促す文字列と前記第四の態様による該第一の表示における該操作手段の操作を促す文字列は、異なる文字列である、
ことを特徴とする遊技台。」(以下「補正後請求項1」という。)

に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。

2.補正の適否
(1)上記補正のうち、補正前請求項1に「前記操作手段に関する表示は、前記操作手段を模した表示(以下、「操作手段表示」という。)を含む表示であり」なる事項を加入した補正は、前記補正前請求項1に記載された発明特定事項である「第一の表示」としての「前記操作手段に関する表示」について限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
また、当該限定した事項は、本願の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下「当初明細書等」という。)の【0211】及び図22ほかに記載された事項であるから、当該補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の記載の範囲内においてしたものである。

(2)上記補正のうち、補正前請求項1に「前記操作手段に関する表示は、前記操作手段の操作を促す文字列を含む表示であり」なる事項を加入した補正は、前記補正前請求項1に記載された発明特定事項である「第一の表示」としての「前記操作手段に関する表示」について限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
また、当該限定した事項は、当初明細書等の【0211】及び図22ほかに記載された事項であるから、当該補正は当初明細書等の記載の範囲内においてしたものである。

(3)上記補正のうち、補正前請求項1に「或る演出において前記第一の態様による前記第一の表示が表示される場合があり、/ 前記或る演出において前記第四の態様による前記第一の表示が表示される場合があり」なる事項を加入した補正は、前記補正前請求項1に記載された発明特定事項である「第一の表示」の「第一の態様」及び「第四の態様」について、それらが表示される場合について限定したものであるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
また、当該限定した事項は、当初明細書等の【0211】?【0212】及び図22ほかに記載された事項であるから、当該補正は当初明細書等の記載の範囲内においてしたものである。

(4)上記補正のうち、補正前請求項1に「前記第一の態様による前記第一の表示における前記操作手段の操作を促す文字列と前記第四の態様による該第一の表示における該操作手段の操作を促す文字列は、異なる文字列である」なる事項を加入した補正は、前記補正前請求項1に記載された発明特定事項である「前記第一の態様による前記第一の表示」及び「前記第四の態様による前記第一の表示」について、それらの表示内容を限定したものであるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
また、当該限定した事項は、当初明細書等の【0211】?【0212】、図21、及び図22に記載された事項であるから、当該補正は当初明細書等の記載の範囲内においてしたものである。

(5)また、補正前請求項1に記載された発明と補正後請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって、上記(1)?(5)のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、新規事項を追加するものではない。

3.本件補正発明の独立特許要件についての検討
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1?16に係る発明は、その請求項1?16に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本件補正発明について
本件補正発明は、上記1.に示した次のとおりのものである(A?Sは、分説のため当審にて付与した。)
「A 遊技者が操作可能な位置に設けられた操作手段と、
B 複数の表示を表示可能な表示手段と、を備えた遊技台であって、
C 前記操作手段は、複数の状態となることが可能とされ、
D 前記複数の状態のうちの一つは、第一の状態であり、
E 前記複数の状態のうちの一つは、第二の状態であり、
F 前記複数の表示のうちの一つは、第一の表示であり、
G 前記第一の表示は、前記操作手段に関する表示であり、
H 前記操作手段に関する表示は、前記操作手段を模した表示(以下、「操作手段表示」という。)を含む表示であり、
I 前記操作手段に関する表示は、前記操作手段の操作を促す文字列を含む表示であり、
J 前記第一の表示は、複数の態様で表示可能とされ、
K 前記複数の態様のうちの一つは、第一の態様であり、
L 前記複数の態様のうちの一つは、第四の態様であり、
M 前記第一の態様は、前記第一の状態に応じた態様であり、
N 前記第四の態様は、前記第二の状態に応じた態様であり、
O 前記第四の態様による前記第一の表示は、前記第一の態様による前記第一の表示よりも大きい表示であり、
P 或る演出において前記第一の態様による前記第一の表示が表示される場合があり、
Q 前記或る演出において前記第四の態様による前記第一の表示が表示される場合があり、
R 前記第一の態様による前記第一の表示における前記操作手段の操作を促す文字列と前記第四の態様による該第一の表示における該操作手段の操作を促す文字列は、異なる文字列である、
S ことを特徴とする遊技台。」

(2)刊行物1に記載された発明
ア 本願の出願前に頒布された刊行物である特開2014-133164号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者によって操作される、少なくとも2種類の状態に変化し得る操作部を備える遊技機に関する。」

(イ)「【0025】
液晶表示装置5は、演出画像を表示する画像表示装置であり、液晶表示装置5の表示画面は、遊技者によって視認され易い位置に設けられている。この表示画面には、例えば、特別図柄判定の判定結果を報知する装飾図柄、予告演出などを行うキャラクタやアイテム、特別図柄判定が保留されている数だけ表示される保留表示画像等の各種表示オブジェクトを含む演出画像が表示される。」

(ウ)「【0029】
[パチンコ遊技機1の操作手段の構成例]
図2に例示されるように、枠部材3には、遊技者が操作する操作手段として、演出ボタン26及び十字キー27が設けられている。演出ボタン26は、遊技者が押下することによって操作情報を入力するための押ボタンである。十字キー27は、遊技者が選択操作を行うためのいわゆる十字キーである。パチンコ遊技機1では、演出ボタン26又は十字キー27の操作に応じた演出が行われる場合がある。
【0030】
図3は、演出ボタン26の各状態について説明するための説明図である。演出ボタン26は、遊技者が操作する操作手段としての機能に加えて、演出手段としての機能も有する。具体的には、演出ボタン26は、図2には示されていないボタンモータ97(図8参照)によって、通常状態(図3(A)参照)と突出状態(図3(B)参照)との少なくとも2種類の状態に変化することができる。すなわち、演出ボタン26は、ボタンモータ97の駆動力によって、上下動可能に構成されている。
【0031】
また、演出ボタン26には発光素子(例えばLED)であるボタンランプ98(図8参照)が内蔵されており、例えば、遊技者による演出ボタン26の操作が有効になる有効期間中にボタンランプ98を発光させることによって、遊技者に演出ボタン26の操作を促すことができる。
【0032】
なお、遊技者は、演出ボタン26が通常状態と突出状態とのいずれの状態に制御されている場合であっても、演出ボタン26を押下することが可能である。」

(エ)「【0040】
まず、図5を参照して、ボタン演出の一例(信頼度が「中」である場合に行われるボタン演出の一例。以下では、「中信頼度ボタン演出」と呼ぶ。)について説明する。
【0041】
中信頼度ボタン演出の開始タイミングになると、図5(A)に例示されるように、液晶表示装置5の中央部分に、スロットマシンのリールを模したスロット画像が表示される。このスロット画像は、通常状態の演出ボタン26を示す図柄(図5(A)のスロット画像における一番右の図柄)と、突出状態の演出ボタン26を示す図柄(図5(A)のスロット画像における一番左の図柄)と、ハズレを示す図柄(図5(A)のスロット画像における中央の図柄)とが縦方向に連続して配置されたリール画像が横方向に3列表示されたものである。なお、スロット画像を構成するリール画像は、縦方向に配置された複数の図柄の全てが画面表示される訳ではなく、その一部が画面表示されるようになっている。
【0042】
各リール画像が停止状態にあるスロット画像が表示されてから所定時間が経過すると、図5(B)に例示されるように、各リール画像の図柄が上から下へスクロールして見えるように、各リール画像が変動表示される。
・・・
【0045】
次に、図6を参照して、ボタン演出の他の一例(信頼度が「高」である場合に行われるボタン演出の一例。以下では、「高信頼度ボタン演出」と呼ぶ。)について説明する。
【0046】
図6(A)及び図6(B)については、上述した図5(A)及び図5(B)と同様であるため、説明を省略する。
【0047】
図6(B)の状態で遊技者が演出ボタン26を押下すると、演出ボタン26が押下される毎にリール画像が順次停止表示されていき、遊技者が演出ボタン26の3回目の押下を行ったタイミングで、突出状態の演出ボタン26を示す図柄が有効ライン上に3つ揃うことになる(図6(C)参照)。これにより、遊技者に対して、突出状態の演出ボタン26の押下が必要になることが事前に報知される。
【0048】
その後、図6(D)に例示されるように、演出ボタン26の押下を遊技者に促す演出画像が液晶表示装置5に表示されるとともに、ボタンモータ97が作動して演出ボタン26が通常状態から突出状態へと変化し、有効期間となったことを報知するためにボタンランプ98が発光する。この状態で遊技者が演出ボタン26を押下すると、ボタン演出とは異なる特定の遊技演出(例えば、特別図柄判定の結果の報知等)が行われる。」

イ 刊行物1の図面には以下の事項が記載されている。
(ア)図6(A)からは、液晶表示装置5の表示画面上部に「ボタンを押して を揃えろ!」なる文字列が表示されると共に、その「押して」と「を揃えろ」との間には小さなボタンを模した画像が表示されることを読み取ることができる。
また、図6(A)では、演出ボタン26は白色で平板状の形状に描かれていることを読み取ることができる。

(イ)図6(D)からは、液晶表示装置5の表示画面上部に「押せ!」なる文字列が表示さイ、同中央から下部にかけては、上記(ア)で認定した図6(A)における「小さなボタンを模した画像」よりも大きなボタンを模した画像が表示されることを読み取ることができる。
また、図6(D)では、演出ボタン26は濃色で、図6(A)のそれよりも厚い形状に描かれていることを読み取ることができる。

ウ 上記アの各記載事項及び上記イで認定した図面の記載事項から、以下の事項が導かれる。
(あ)上記【0029】には「枠部材3には、遊技者が操作する操作手段として、演出ボタン26・・・が設けられている。演出ボタン26は、遊技者が押下することによって操作情報を入力するための押ボタンである。」と記載され、上記【0032】には「遊技者は・・・演出ボタン26を押下することが可能である。」と記載されている。
よって、刊行物1には、「枠部材の遊技者が押下げすることが可能な位置に設けられた、遊技者が操作する操作手段としての演出ボタン26」が記載されているといえる。

(い)上記【0025】には「液晶表示装置5は、演出画像を表示する画像表示装置であり、液晶表示装置5の表示画面は、遊技者によって視認され易い位置に設けられている。この表示画面には、例えば、特別図柄判定の判定結果を報知する装飾図柄、予告演出などを行うキャラクタやアイテム、特別図柄判定が保留されている数だけ表示される保留表示画像等の各種表示オブジェクトを含む演出画像が表示される。」と記載されている。
また、上記【0001】には「本発明は・・・遊技機に関する」との記載がある。
よって、刊行物1には、「特別図柄判定の判定結果を報知する装飾図柄、予告演出などを行うキャラクタやアイテム、特別図柄判定が保留されている数だけ表示される保留表示画像等の各種表示オブジェクトを含む演出画像が表示される液晶表示装置5、を備えた遊技機」が記載されているといえる。

(う)上記【0030】には「演出ボタン26は・・・通常状態(図3(A)参照)と突出状態(図3(B)参照)との少なくとも2種類の状態に変化することができる。」と記載されている。
よって、刊行物1には、「演出ボタン26は、2種類の状態に変化することができ、該状態のうちの一つは通常状態であり、該状態のうちのもう一つは、突出状態であ」る、ことが記載されているといえる。

(え)上記【0045】?【0046】には「図6を参照して、ボタン演出の他の一例(信頼度が「高」である場合に行われるボタン演出の一例。以下では、「高信頼度ボタン演出」と呼ぶ。)について説明する。・・・図6(A)及び図6(B)については、上述した図5(A)及び図5(B)と同様であるため、説明を省略する。」と記載され、上記【0048】には「その後、図6(D)に例示されるように、演出ボタン26の押下を遊技者に促す演出画像が液晶表示装置5に表示されるとともに、ボタンモータ97が作動して演出ボタン26が通常状態から突出状態へと変化し」と記載されている。
ここでは、演出ボタン26は、図6(D)の段階で「通常状態から突出状態へと変化」すると記載されており、このことと、上記イ(ア)で認定したとおり、図6(A)では平板状に描かれた演出簿短26が図6(D)ではそれよりも厚い形状に描かれていることとから、演出ボタン26は、図6(A)の段階では突出しない「通常状態」であり、図6(D)の段階では突出する「突出状態」であるといえる。
また、上記イ(ア)で認定したとおり、図6(A)の段階では「液晶表示装置5の表示画面上部に「ボタンを押して を揃えろ!」なる文字列が表示されると共に・・・ボタンを模した画像が表示され」、また、上記イ(イ)で認定したとおり、図6(D)の段階では「液晶表示装置5の表示画面上部に「押せ!」なる文字列が表示され、同中央から下部にかけては、上記イ(ア)で認定した図6(A)の段階における「小さなボタンを模した画像」よりも「大きなボタンを模した画像」が表示され」ることが記載されているといえる。
以上から、刊行物1には、
「液晶表示装置5に表示される演出画像として高信頼度ボタン演出の際の演出画像があり、
該高信頼度ボタン演出の際の演出画像は、演出ボタン26を模した画像や、「ボタンを押して・・・」、「押せ!」などの文字列からなる表示であり、
該表示は演出ボタン26を模した画像を含む表示であり、
該表示は「ボタンを押して・・・」、「押せ!」などの文字列を含む表示であり、
高信頼度ボタン演出の際の演出画像には複数の段階があり、
該複数の段階のうちの一つの演出画像は、液晶表示装置5の表示画面上部に「ボタンを押して を揃えろ!」なる文字列が表示されると共に小さなボタンを模した画像が表示されるものであり、
該複数の段階のうちの他の一つの演出画像は、液晶表示装置5の表示画面上部に「押せ!」なる文字列が表示されると共に、前記「小さなボタンを模した画像」よりも「大きなボタンを模した画像」が表示されるものであり、
前記複数の段階のうちの一つの演出画像は、演出ボタン26が通常状態である場合に表示されるものであり、
前記複数の段階のうちの他の一つの演出画像は、演出ボタン26が突出状態である場合に表示されるものであり、
前記他の一つの演出画像による大きなボタンを模した画像は、前記一つの演出画像による小さなボタンを模した画像よりも大きく、
前記高信頼度ボタン演出において、前記一つの演出画像が表示され、
また、該高信頼度ボタン演出において、前記他の一つの演出画像が表示され、
前記一つの演出画像において表示される文字列は「ボタンを押して を揃えろ!」であり、前記他の一つの演出画像において表示される文字列は「押せ!」である」
ことが記載されているといえる。

エ 上記アの各記載事項、上記イ・ウの認定事項から、刊行物1には次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる(a?sは、本件補正発明のA?Sに対応させて付与した。また、(あ)などは、関連する上記3.(2)ウの各項を示す。)。

「a 枠部材の遊技者が押下げすることが可能な位置に設けられた、遊技者が操作する操作手段としての演出ボタン26と、(あ)
b 特別図柄判定の判定結果を報知する装飾図柄、予告演出などを行うキャラクタやアイテム、特別図柄判定が保留されている数だけ表示される保留表示画像等の各種表示オブジェクトを含む演出画像が表示される液晶表示装置5、を備えた遊技機であって、(い)
c 演出ボタン26は、2種類の状態に変化することができ、(う)
d 該状態のうちの一つは通常状態であり、(う)
e 該状態のうちのもう一つは、突出状態であり、(う)
f 液晶表示装置5に表示される演出画像として高信頼度ボタン演出の際の演出画像があり、(え)
g 該高信頼度ボタン演出の際の演出画像は、演出ボタン26を模した画像や、「ボタンを押して・・・」、「押せ!」などの文字列からなる表示であり、(え)
h 該表示は演出ボタン26を模した画像を含む表示であり、(え)
i 該表示は「ボタンを押して・・・」、「押せ!」などの文字列を含む表示であり、(え)
j 高信頼度ボタン演出の際の演出画像には複数の段階があり、(え)
k 該複数の段階のうちの一つの演出画像は、液晶表示装置5の表示画面上部に「ボタンを押して を揃えろ!」なる文字列が表示されると共に小さなボタンを模した画像が表示されるものであり、(え)
l 該複数の段階のうちの他の一つの演出画像は、液晶表示装置5の表示画面上部に「押せ!」なる文字列が表示されると共に、前記「小さなボタンを模した画像」よりも「大きなボタンを模した画像」が表示されるものであり、(え)
m 前記複数の段階のうちの一つの演出画像は、演出ボタン26が通常状態である場合に表示されるものであり、(え)
n 前記複数の段階のうちの他の一つの演出画像は、演出ボタン26が突出状態である場合に表示されるものであり、(え)
o 前記他の一つの演出画像による大きなボタンを模した画像は、前記一つの演出画像による小さなボタンを模した画像よりも大きく、(え)
p 前記高信頼度ボタン演出において、前記一つの演出画像が表示され、(え)
q また、該高信頼度ボタン演出において、前記他の一つの演出画像が表示され、(え)
r 前記一つの演出画像において表示される文字列は「ボタンを押して を揃えろ!」であり、前記他の一つの演出画像において表示される文字列は「押せ!」である、(え)
s 遊技機。(い)」

(3)本件補正発明と刊行物1発明との対比
ア 刊行物1発明の構成aの「枠部材の遊技者が押下げすることが可能な位置」、「演出ボタン26」は、それぞれ、本件補正発明の構成Aの「遊技者が操作可能な位置」、「操作手段」に相当する。
よって、前記構成aの「枠部材の遊技者が押下げすることが可能な位置に設けられた、遊技者が操作する操作手段としての演出ボタン26」は、前記構成Aの「遊技者が操作可能な位置に設けられた操作手段」に相当する。

イ 刊行物1発明の構成b、sの「液晶表示装置5」、「遊技機」は、それぞれ、本件補正発明の構成B、Sの「表示手段」、「遊技台」に相当する。
また、前記構成bの「特別図柄判定の判定結果を報知する装飾図柄、予告演出などを行うキャラクタやアイテム、特別図柄判定が保留されている数だけ表示される保留表示画像等の各種表示オブジェクトを含む演出画像」は、それぞれが「液晶表示装置5」上に表示される異なる表示であるから、本件補正発明の構成Bの「複数の表示」に相当し、前記構成bの「液晶表示装置5」はこれら相互に異なる複数の表示を表示可能であるといえる。
よって、前記構成bの「特別図柄判定の判定結果を報知する装飾図柄、予告演出などを行うキャラクタやアイテム、特別図柄判定が保留されている数だけ表示される保留表示画像等の各種表示オブジェクトを含む演出画像が表示される液晶表示装置5、を備えた遊技機であって、」は、前記構成Bの「複数の表示を表示可能な表示手段と、を備えた遊技台であって、」に相当する。

ウ 刊行物1発明の構成c?eにおける「2種類の状態」、「通常状態」、「突出状態」は、それぞれ、本件補正発明の構成C?Eの「複数の状態」、「第一の状態」、「第二の状態」に相当する。
よって、前記構成c?eの
「演出ボタン26は、2種類の状態に変化することができ、
該状態のうちの一つは通常状態であり、
該状態のうちのもう一つは、突出状態であり、」
は、前記構成C?Eの
「前記操作手段は、複数の状態となることが可能とされ、
前記複数の状態のうちの一つは、第一の状態であり、
前記複数の状態のうちの一つは、第二の状態であり、」
に相当する。

エ 刊行物1発明の構成g、hの「演出ボタン26を模した画像」は「演出ボタン26」そのものを想起させる画像であるし、該構成g、iの「「ボタンを押して・・・」、「押せ!」などの文字列からなる表示」は、該「演出ボタン26」に対する操作を促す意味を持つ文字列であるから、いずれも、本件発明の構成Gの「操作手段に関する表示」に相当するといえる。
また、前記構成iの「「ボタンを押して・・・」、「押せ!」などの文字列からなる表示」は前記のとおり「演出ボタン26」に対する操作を促す意味を持つ文字列を表示するものであるから、本件補正発明の構成Iの「操作手段の操作を促す文字列を含む表示」にも相当する。
さらに、前記構成hで、表示が「演出ボタン26を模した画像」からなることは、本件補正発明の構成Hの「操作手段を模した表示(以下、「操作手段表示」という。)を含む表示」であることに相当するといえる。
そうすると、前記画像や表示を伴う前記構成fの「高信頼度ボタン演出の際の演出画像」は、本件発明の構成Fの「第一の表示」に相当し、前記構成f?iの
「液晶表示装置5に表示される演出画像として高信頼度ボタン演出の際の演出画像があり、
該高信頼度ボタン演出の際の演出画像は、演出ボタン26を模した画像や、「ボタンして・・・」、「押せ!」などの文字列からなる表示であり、
該表示は演出ボタン26を模した画像を含む表示であり、
該表示は「ボタンを押して・・・」、「押せ!」などの文字列を含む表示であり、」
は、前記構成F?Iの
「前記複数の表示のうちの一つは、第一の表示であり、
前記第一の表示は、前記操作手段に関する表示であり、
前記操作手段に関する表示は、前記操作手段を模した表示(以下、「操作手段表示」という。)を含む表示であり、
前記操作手段に関する表示は、前記操作手段の操作を促す文字列を含む表示であり、」
に相当するといえる。

オ 刊行物1発明の構成j?nにおける「複数の段階」があること、「液晶表示装置5の表示画面上部に「ボタンを押して を揃えろ!」なる文字列が表示されると共に小さなボタンを模した画像が表示される」演出画像、「液晶表示装置5の表示画面上部に「押せ!」なる文字列が表示されると共に、前記「小さなボタンを模した画像」よりも「大きなボタンを模した画像」が表示される」演出画像、は、それぞれ、本件補正発明の構成J?Nにおける「複数の態様で表示可能」なこと、「第一の態様」、「第四の態様」、に相当するといえる。
よって、前記構成j?nの
「高信頼度ボタン演出の際の演出画像には複数の段階があり、
該複数の段階のうちの一つの演出画像は、液晶表示装置5の表示画面上部に「ボタンを押して を揃えろ!」なる文字列が表示されると共に小さなボタンを模した画像が表示されるものであり、
該複数の段階のうちの他の一つの演出画像は、液晶表示装置5の表示画面上部に「押せ!」なる文字列が表示されると共に、前記「小さなボタンを模した画像」よりも「大きなボタンを模した画像」が表示されるものであり、
前記複数の段階のうちの一つの演出画像は、演出ボタン26が通常状態である場合に表示されるものであり、
前記複数の段階のうちの他の一つの演出画像は、演出ボタン26が突出状態である場合に表示されるものであり、」
は、前記構成J?Nの
「前記第一の表示は、複数の態様で表示可能とされ、
前記複数の態様のうちの一つは、第一の態様であり、
前記複数の態様のうちの一つは、第四の態様であり、
前記第一の態様は、前記第一の状態に応じた態様であり、
前記第四の態様は、前記第二の状態に応じた態様であり、」
に相当する。

カ 刊行物1発明の構成oの「前記他の一つの演出画像による大きなボタンを模した画像は、前記一つの演出画像による小さなボタンを模した画像よりも大き」いことは、本件補正発明の構成Oの、「前記第四の態様による前記第一の表示は、前記第一の態様による前記第一の表示よりも大きい表示であ」ることに相当するといえる。
よって、前記構成oの「前記他の一つの演出画像による大きなボタンを模した画像は、前記一つの演出画像による小さなボタンを模した画像よりも大きく」は、前記構成Oの「前記第四の態様による前記第一の表示は、前記第一の態様による前記第一の表示よりも大きい表示であり」に相当する。

キ 刊行物1発明の構成p?qにおける「高信頼度ボタン演出」は本件補正発明の構成P?Qの「或る演出」に相当する。
そして、前記構成p?qの「前記一つの演出画像」と、「前記他の一つの演出画像」とはそれぞれ、前記構成k?lについて上記オにおいてそれぞれ「第一の態様」、「第四の態様」に相当すると認定した「液晶表示装置5の表示画面上部に「ボタンを押して を揃えろ!」なる文字列が表示されると共に小さなボタンを模した画像が表示される」演出画像と、「液晶表示装置5の表示画面上部に「押せ!」なる文字列が表示されると共に、前記「小さなボタンを模した画像」よりも「大きなボタンを模した画像」が表示される」演出画像と、に対応するから、前記構成p?qの
「前記高信頼度ボタン演出において、前記一つの演出画像が表示され、
また、該高信頼度ボタン演出において、前記他の一つの演出画像が表示され、」
は、前記構成P?Qの
「或る演出において前記第一の態様による前記第一の表示が表示される場合があり、
前記或る演出において前記第四の態様による前記第一の表示が表示される場合があり、」
に相当するといえる。

ク 刊行物1発明の構成rにおいて、前記一つの演出画像において表示される文字列は「ボタンを押して を揃えろ!」であり、前記他の一つの演出画像において表示される文字列は「押せ!」であって、相互に異なるから、該構成rの「前記一つの演出画像において表示される文字列は「ボタンを押して を揃えろ!」であり、前記他の一つの演出画像において表示される文字列は「押せ!」である」は、本件補正発明の構成Rの「前記第一の態様による前記第一の表示における前記操作手段の操作を促す文字列と前記第四の態様による該第一の表示における該操作手段の操作を促す文字列は、異なる文字列である」に相当する。

ケ 上記ア?クによれば、本件補正発明と刊行物1発明とは、下記の点で一致し、両者の間に相違点はない。
[一致点]
「A 遊技者が操作可能な位置に設けられた操作手段と、
B 複数の表示を表示可能な表示手段と、を備えた遊技台であって、
C 前記操作手段は、複数の状態となることが可能とされ、
D 前記複数の状態のうちの一つは、第一の状態であり、
E 前記複数の状態のうちの一つは、第二の状態であり、
F 前記複数の表示のうちの一つは、第一の表示であり、
G 前記第一の表示は、前記操作手段に関する表示であり、
H 前記操作手段に関する表示は、前記操作手段を模した表示(以下、「操作手段表示」という。)を含む表示であり、
I 前記操作手段に関する表示は、前記操作手段の操作を促す文字列を含む表示であり、
J 前記第一の表示は、複数の態様で表示可能とされ、
K 前記複数の態様のうちの一つは、第一の態様であり、
L 前記複数の態様のうちの一つは、第四の態様であり、
M 前記第一の態様は、前記第一の状態に応じた態様であり、
N 前記第四の態様は、前記第二の状態に応じた態様であり、
O 前記第四の態様による前記第一の表示は、前記第一の態様による前記第一の表示よりも大きい表示であり、
P 或る演出において前記第一の態様による前記第一の表示が表示される場合があり、
Q 前記或る演出において前記第四の態様による前記第一の表示が表示される場合があり、
R 前記第一の態様による前記第一の表示における前記操作手段の操作を促す文字列と前記第四の態様による該第一の表示における該操作手段の操作を促す文字列は、異なる文字列である、
S ことを特徴とする遊技台。」

よって、本件補正発明は刊行物1発明と同一であるから、本件補正発明は特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

また、仮に相違点があるとしても微差であり、本件補正発明は刊行物1発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるから、本件補正発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.むすび
上記3.において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?16に係る発明は、平成28年9月12日付けの手続補正書により補正された、特許請求の範囲の請求項1?16に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の1.に示した以下のとおりのものである。(A2?S2の付番は、分説のため当審にて付与した。上記本件補正発明との対応づけのため、一部付番に欠落がある。)

「A2 遊技者が操作可能な位置に設けられた操作手段と、
B2 複数の表示を表示可能な表示手段と、を備えた遊技台であって、
C2 前記操作手段は、複数の状態となることが可能とされ、
D2 前記複数の状態のうちの一つは、第一の状態であり、
E2 前記複数の状態のうちの一つは、第二の状態であり、
F2 前記複数の表示のうちの一つは、第一の表示であり、
G2 前記第一の表示は、前記操作手段に関する表示であり、
J2 前記第一の表示は、複数の態様で表示可能とされ、
K2 前記複数の態様のうちの一つは、第一の態様であり、
L2 前記複数の態様のうちの一つは、第四の態様であり、
M2 前記第一の態様は、前記第一の状態に応じた態様であり、
N2 前記第四の態様は、前記第二の状態に応じた態様であり、
O2 前記第四の態様による前記第一の表示は、前記第一の態様による前記第一の表示よりも大きい表示である、
S2 ことを特徴とする遊技台。」

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由である理由1は、本願発明は特開2013-208304号公報に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また、理由2は、本願発明は特開2013-208304号公報に記載された発明及び周知技術にもとづいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3.刊行物2に記載された発明
ア 原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2013-208304号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。
(ア)「【0009】
まず、図1を用いて、本発明の実施形態に係るパチンコ機100の全体構成について説明する。なお、同図はパチンコ機100を正面側(遊技者側)から見た外観斜視図である。パチンコ機100は、外部的構造として、外枠102と、本体104と、前面枠扉106と、球貯留皿付扉108と、発射装置110と、遊技盤200と、をその前面に備える。」

(イ)「【0012】
球貯留皿付扉108は、パチンコ機100の前面において本体104の下側に対して、ロック機能付きで且つ開閉自在となるように装着された扉部材である。・・・球貯留皿付扉108は、・・・遊技者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と、チャンスボタン136を発光させるチャンスボタンランプ138と、設定者(例えば、工場の作業者、遊技店員、遊技者)の操作によって遊技に関する設定(例えば、時刻の設定、演出内容の設定)を行う設定操作部139(後述)と、チャンスボタン136や設定操作部139が設けられた操作部700(後述)と、・・・を備える。」

(ウ)「【0019】
図3は、遊技盤200を正面から見た略示正面図である。遊技盤200には、外レール202と内レール204とを配設し、遊技球が転動可能な遊技領域124を区画形成している。遊技領域124の略中央には、演出装置206を配設している。演出装置206には、略中央に装飾図柄表示装置208を配設し、その周囲に、普通図柄表示装置210と、第1特別図柄表示装置212と、第2特別図柄表示装置214と、普通図柄保留ランプ216と、第1特別図柄保留ランプ218と、第2特別図柄保留ランプ220と、高確中ランプ222を配設している。
・・・
【0020】
装飾図柄表示装置208は、装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示を行うための表示装置であり、本実施の形態では液晶表示装置(Liquid Crystal Display)によって構成する。」

(エ)「【0037】
図4は、本実施形態に係る操作部700の分解斜視図である。図4は、操作部700の上方から下方を図左下から右上に向かって示している。図5(a)は、操作部700を上方から見た外観を示している。図5(a)では、チャンスボタン136を発光+振動+回転状態である第3の態様で示されている。図5(b)は、図5(a)の図中のE-E線で切断した要部断面を手前側から見た状態を模式的に示している。図5(b)では、チャンスボタン136が発光+振動状態である第2の態様で示されている。なお、図4および図5において固定ねじの図示は省略している。」

(オ)「【0328】
その後、図23(f)では、第二の操作がされたことにより、演出テーブル2に基づき「傘演出」として「操作手段演出4」を行う。すなわち、中図柄表示領域208bと重なる演出表示領域208dには、黄色発光するとともに振動したチャンスボタン136の画像(図17(d)の画像)を表示するとともに、チャンスボタン136のチャンスボタンランプ138を黄色発光させ振動モータ718により振動させる(操作手段演出4の実行)。」

(カ)「【0378】
図28は、予告テーブル2を用いた予告抽選2において選択される予告態様の一例および「装飾図柄表示装置での演出態様」のリーチ演出で用いられるキャラクタ画像の一例を示している。図28(a)?図28(c)は、リーチ形成前の演出表示予告において例えば装飾図柄表示装置208の装飾図柄表示領域208a?208cのいずれかと重なる領域の演出表示領域208dに表示されるキャラクタ画像を示している。図28(a)は、表示1に対応する「番長1」を表したキャラクタ画像を示し、図28(b)は、表示2に対応する「番長2」を表したキャラクタ画像を示し、図28(c)は、表示3に対応する「番長3」を表したキャラクタ画像を示している。
・・・
【0381】
図28(i)?図28(k)は、チャンスボタン136の態様を模式的に示している。図28(i)は、チャンスボタン136の第1の態様を示している。本実施の形態によるパチンコ機100では、チャンスボタン136の第1の態様においてチャンスボタン136は発光状態になる。図28(i)および後述の図33等では、チャンスボタン136の発光状態はチャンスボタンランプ138の発光素子138b?138d(図中台形状で示し詳細は後述する)を白色で表している。図28(j)は、第2の態様を示している。本実施の形態によるパチンコ機100では、第2の態様においてチャンスボタン136は発光とともに振動している状態(以下、当該状態を「発光+振動状態」と称する場合がある)になっている。図28(j)および後述の図36等では、チャンスボタン136の振動状態は波線により表されている。図28(k)は、チャンスボタン136の第3の態様を示している。本実施の形態によるパチンコ機100では、チャンスボタン136の第3の態様においてチャンスボタン136は発光とともに振動し、かつ所定部位が回転している状態(以下、「発光+振動+回転状態」と称する場合がある)になっている。図28(k)および後述の図36等では、チャンスボタン136の発光+回転状態は、発光素子138b?138dに代えて示された複数の放射状の曲線により表されている。
・・・
【0383】
図29に示す予告テーブル3は、左列から「操作手段」、「表示」および「予告態様の変化契機」の3つに区分されている。「操作手段」は、図27に示す予告テーブル2を用いた予告抽選2において選択されたチャンスボタン136の態様を示している。「操作手段」は、チャンスボタン136の第1の態様を示す「1」、チャンスボタン136が第1の態様から第2の態様に変化することを示す「1-2」、チャンスボタン136の第2の態様を示す「2」、チャンスボタン136が第2の態様から第3の態様に変化することを示す「2-3」、チャンスボタン136の第3の態様を示す「3」の5つに区分されている。
【0384】
「操作手段」の図中右隣の「表示」は、図27に示す予告テーブル2を用いた予告抽選2において選択された装飾図柄表示装置208による演出表示予告の予告態様を示している。「表示」は、「操作手段」の区分毎に対応付けて1、2または3つに区分されている。チャンスボタン136の態様「1」に対応する演出表示予告の予告態様は、表示1を示す「1」、表示2を示す「2」および表示1から表示2に変化することを示す「1-2」の3つに区分されている。また、チャンスボタン136の態様「1-2」に対応する演出表示予告の予告態様は、表示1から表示2に変化することを示す「1-2」、表示2を示す「2」および表示2から表示3に変化することを示す「2-3」の3つに区分されている。また、チャンスボタン136の態様「2」に対応する演出表示予告の予告態様は、表示2を示す「2」および表示2から表示3に変化することを示す「2-3」の2つに区分されている。また、チャンスボタン136の態様「2-3」に対応する演出表示予告の予告態様は、表示2を示す「2」および表示2から表示3に変化することを示す「2-3」の2つに区分されている。さらに、チャンスボタン136の態様「3」に対応する演出表示予告の予告態様は、表示3を示す「3」が対応付けられており、複数に区分に分されていない。」

(キ)「【0535】
次に、図43を用いて、装飾図柄表示装置208による操作要求演出の一例について説明する。図43(a)および図43(b)は、リーチ形成前における操作要求演出の一例をそれぞれ示している。図43(a)は、上記実施例2-2乃至2-5によるパチンコ機100での操作要求演出を示している。図43(a)に示すように、操作要求演出は、チャンスボタン136の態様が発光+振動状態の場合にも発光状態を表したチャンスボタン136の画像を演出表示領域208dに表示して実行される。このように、操作要求演出において、演出表示領域208dに表示されるチャンスボタン136を表した画像は常に同じ態様を表した画像であるが、これに限られない。例えば、図43(b)に示すように、チャンスボタン136の態様が発光+振動状態である場合には演出表示領域208dに表示されるチャンスボタン136を表した画像は、発光+振動状態を表した画像であってもよい。このように、操作要求演出では、チャンスボタン136の態様と同じ態様でチャンスボタン136を表した画像が表示されてもよい。
【0536】
図43(c)乃至図43(h)は、操作要求演出において演出表示領域208dに表示される画像を示している。図43(c)は、上記実施例2-2乃至2-5によるパチンコ機100での操作要求演出を示している。図43(c)に示すように、操作要求演出実行時に演出表示領域208dにはチャンスボタン136を表した画像と、「連打せよ!」という文字画像とがそれぞれが表示されるが、これに限られない。図43(d)に示すように、例えば、操作要求演出として、発光状態のチャンスボタン136を表す画像のみが演出表示領域208dに表示されてもよい。図43(e)に示すように、発光+振動状態のチャンスボタン136を表す画像のみが演出表示領域208dに表示されてもよい。また、図43(f)に示すようにチャンスボタン136を表した画像と、「押せ!」という文字画像とが演出表示領域208dに表示されてもよい。また、図43(g)に示すように、「ボタンを押せ!」という文字画像のみが演出表示領域208dに表示されてもよい。
【0537】
図43(h)は、演出表示領域208dに表示されるチャンスボタン136を表した画像を図中矢印の向きに時系列で示している。また、図43(h)に示すように、操作要求演出において、チャンスボタン136を表した画像が拡大と縮小とを繰り返して表示されてチャンスボタン136が押下されているような動画像が演出表示領域208dに表示されてもよい。」

(ク)「【0578】
次に、図49を用いて本実施の形態の変形例3によるパチンコ機100における特図変動遊技について説明する。本変形例によるパチンコ機100は、特図1および特図2の始動情報がいずれも記憶されている場合に特図2の始動情報を優先して消化する特図2優先変動機である。図49(a)乃至図49(h)はこの順に、本変形例によるパチンコ機100での特図変動遊技を時系列で示している。図49および後述する図50では、説明のために、装飾図柄表示装置208の右側にチャンスボタン136及び設定操作部139を示し、遊技者がチャンスボタン136を操作(押下)している状態をチャンスボタン136上に遊技者の手800を示すことで表し、遊技者が設定操作部139の確定ボタン139a(押下)している状態を確定ボタン139aに遊技者の手800を示すことで表す。また、遊技者がチャンスボタン136およびを設定操作部139を操作(押下)していない状態をチャンスボタン136およびを設定操作部139のみを示すことで表す。
【0579】
図49(a)では、左中右図柄表示領域208a、208b、208cに「装飾4-装飾4-装飾3」が停止表示されて、特図2変動遊技がはずれであることが報知されている。図示は省略するが特図2表示装置214には「特図I」が停止表示されている。なお、現時点でのパチンコ機100の遊技状態は、時短状態である。
【0580】
図49(a)に示す時点では、特図1変動遊技が2個保留されているので、特図1保留表示領域208d1に、1個目に保留された特図1変動遊技に対応する保留表示画像a1と、2個目に保留された特図1変動遊技に対応する保留表示画像a2とがそれぞれ表示され、合計2個の特図1変動遊技が保留されていることが報知されている。また、特図2変動遊技が3個保留されているので、特図2保留表示領域208d2に、1個目に保留された特図2変動遊技に対応する保留表示画像b1と、2個目に保留された特図2変動遊技に対応する保留表示画像b2と、3個目に保留された特図2変動遊技に対応する保留表示画像b3とがそれぞれ表示され、合計3個の特図2変動遊技が保留されていることが報知されている。
【0581】
左中右図柄表示領域208a、208b、208cに「装飾4-装飾4-装飾3」が停止表示されてから所定時間の経過後に開始される、図49(b)に示す特図2変動遊技の開始に先立って、例えば以下の処理が実行される。まず、主制御部300は、図30に示す特図変動開始時処理を実行する。例えば主制御部300は、特図2変動遊技が保留されていると判定し(ステップS1001のYes)、これから開始する特図2変動遊技の当否判定を行い、当該特図2変動遊技に係る当否判定結果がはずれであると判定し(ステップS1005のNo、ステップS1009のNo)、はずれ図柄を決定し(ステップS1013)、停止図柄に基づき変動時間を抽選し(ステップS1015)、特図変動開始時処理を終了する。また、主制御部300は、特図2表示装置214において特図2変動遊技を開始するとともに当否判定結果、当該特図2変動遊技の変動時間としての特図タイマ番号および特図2保留数の情報を含むコマンドを第1副制御部400に送信する。本例では、はずれ図柄として例えば、「特図I」を選択している。また、本例では、特図2変動遊技の変動時間として「40000ms」を選択している。このため、図13(b)に示すように「装飾図柄表示装置での演出態様」として「リーチAはずれ」が選択される。
【0582】
また、主制御部300から当該コマンドを受信した第1副制御部400は、図31に示す特図変動遊技開始時の予告決定処理を実行する。例えば第1副制御部400は、予告抽選1を実行して「ボタン系」に当選し(ステップS1101)、予告抽選1において「ボタン系」に当選したと判定し(ステップS1103のYes)、予告抽選2を実行し(ステップS1105)、予告抽選3を実行し(ステップS1107)、変動時間と予告抽選1?3での抽選結果とに基づいて、「装飾図柄表示装置での演出態様」としての「リーチAはずれ」と通常予告演出としての「ボタン系」とを実行することを示す情報を含むコマンドを装飾図柄表示装置208に出力して(ステップS1109)、特図変動遊技の開始時の予告決定処理を終了する。
【0583】
以上の処理が終了すると、図49(b)に示すように、装飾図柄表示装置208の左中右図柄表示領域208a、208b、208cのそれぞれに図中下向きの太矢印で示すように装飾図柄が上から下に移動(回転)する図柄変動表示が開始されて特図2変動遊技が実行される。
【0584】
また、第1副制御部400は、特図2保留数が1減少した情報を含むコマンドを受信しているので、図49(b)に示すように、保留表示画像b3は消去される。
【0585】
左中右図柄表示領域208a、208b、208cにおいて図柄変動表示が開始されてから所定時間経過後に操作有効期間が開始される。本例によるパチンコ機100は、操作有効期間の操作対象にチャンスボタン136および設定操作部139が設定されている。図49(c)に示すように、中図柄表示領域208bと重なる演出表示領域208dにチャンスボタン136を表した画像と、演出表示領域208dの中央部上方に「連打せよ!」という文字画像とがそれぞれが表示されてチャンスボタン136を遊技者に押下させるための操作要求演出が実行される。操作有効期間が開始されるとチャンスボタン136の態様が発光+振動状態に変化する。
【0586】
操作要求演出開始から所定時間が経過するまでに遊技者がチャンスボタン136を押下しないと、チャンスボタン136の発光+振動状態が維持されるとともに、操作要求演出が設定操作部139を遊技者に操作させるための演出に変更される。このため、図49(d)に示すように、チャンスボタン136を表した画像に代えて設定操作部139を表した画像が中図柄表示領域208bと重なる演出表示領域208dに表示される。なお、演出表示領域208dには「連打せよ!」という文字画像が継続して表示される。
【0587】
設定操作部139を遊技者に操作させるための操作要求演出が開始されたことに基づいて、例えば、遊技者が設定操作部139の確定(OK)ボタン139aを複数回押下すると、図49(d)に示すように当該押下に基づいて設定操作部139の態様が振動状態に変化する。
【0588】
また当該押下に基づいて図49(e)に示すように、中図柄表示領域208bと重なる演出表示領域208dに設定操作部139を表す画像に代えて表示2に対応する「番長2」を表したキャラクタ画像が表示されてリーチ形成前の演出表示予告が実行される。
【0589】
また、図49(e)および図49(f)に示すように演出表示領域208dの中央部上方には「連打せよ!」という文字画像が引き続き表示されて操作要求演出が継続される。操作要求演出に促されて、例えば遊技者が設定操作部139の確定(OK)ボタン139aを複数回押下すると演出表示予告の予告態様が表示2から表示3へと発展的に変化するとともに操作されていないチャンスボタン136の態様が第2の態様から第3の態様に発展的に変化する。したがって、図49(g)に示すように中図柄表示領域208bと重なる演出表示領域208dに「番長2」を表したキャラクタ画像に代えて「番長3」のキャラクタ画像が表示される。また、図49(h)に示すように、チャンスボタン136は発光+振動+回転状態に変化する。」

イ 刊行物2の図面には以下の事項が記載されている。
(ア)図49について上記【0578】には「図49および後述する図50では、説明のために、装飾図柄表示装置208の右側にチャンスボタン136及び設定操作部139を示し、・・・」と説明されていることと、例えば図49(c)について、【0585】には「操作有効期間が開始されるとチャンスボタン136の態様が発光+振動状態に変化する」と記載されると共に該図49(c)の装飾図柄表示装置208の表示画像を示す矩形部分の右側には、図28(j)で「第2の態様」、「発光+振動」と付記されたチャンスボタン136の絵柄と同様の絵柄が描かれていることとから、図49では、装飾図柄表示装置208の表示画像を示す矩形部分と、その際の操作部700のチャンスボタン136や設定操作部139とが対応付けて描かれているといえる。
そして、図49(d)には、装飾図柄表示装置208の図柄表示領域208bに設定操作部139を表した画像が表示され、その上方には「連打せよ!」なる文字列が表示されており、該装飾図柄表示装置208の右側にはチャンスボタン136が「第2の態様」である「発光+振動」状態に対応する図28(j)と同様の絵柄で描かれていることから、該図49(d)には、チャンスボタン136が該第2の態様であるときに、装飾図柄表示装置208には設定操作部139を表した画像が表示され、その上方には「連打せよ!」なる文字列が表示されることが示されているといえる。

(イ)上記(ア)と同様に、図49(h)には、装飾図柄表示装置208の図柄表示領域208bに、図28(c)に示された「リーチ前予告表示3」に対応し、上記【0378】で「図28(c)は、表示3に対応する「番長3」を表したキャラクタ画像を示している。」と説明されるとおりの「番長3」の画像が表示され、その上方には「連打せよ!」なる文字列が表示されており、該図の前記装飾図柄表示装置208の表示画像を示す矩形部分の右側には、図28(k)で「第3の態様」「発光+振動+回転」と付記されたチャンスボタン136の絵柄と同様の絵柄が描かれていることから、図49(h)には、チャンスボタン136が該第3の態様であるときに、装飾図柄表示装置208には「番長3」を表した画像が表示され、その上方には「連打せよ!」なる文字列が表示されることが示されているといえる。
また、同寸に描かれた図49(d)、(h)の装飾図柄表示装置208において、図49(d)の前記設定操作部139の画像と「連打せよ!」なる文字列を合わせた画像の大きさよりも、図49(h)の「番長3」と「連打せよ!」なる文字列とを合わせた画像の方が明らかに大きいことが見て取れる。よって、前記図49から、「連打せよ!」の文字列及び設定操作部139からなる図49(d)の段階の画像と、共通する「連打せよ!」の文字列及び「番長3」の画像からなる図49(h)の段階の画像とでは、後者の方が大きいこと、を読み取ることができる。

ウ 上記アの各記載事項及び上記イで認定した図面の記載事項から、以下の事項が導かれる。
(あ)上記【0012】には、「球貯留皿付扉108は、パチンコ機100の前面において本体104の下側に対して、ロック機能付きで且つ開閉自在となるように装着された扉部材である。・・・球貯留皿付扉108は、・・・遊技者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と、チャンスボタン136を発光させるチャンスボタンランプ138と、設定操作部139・・・と、チャンスボタン136や設定操作部139が設けられた操作部700・・・と、・・・を備える。」と記載されている。
よって、刊行物2には、扉部材に「操作者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と、設定操作部139と、チャンスボタン136や設定操作部139が設けられた操作部700と、」を備えるパチンコ機、が記載されているといえる。

(い)上記【0009】には「パチンコ機100は、・・・遊技盤200と、をその前面に備える。」と記載され、上記【0019】?【0020】には「遊技盤200には、外レール202と内レール204とを配設し、遊技球が転動可能な遊技領域124を区画形成している。遊技領域124の略中央には、演出装置206を配設している。演出装置206には、略中央に装飾図柄表示装置208を配設し、・・・装飾図柄表示装置208は、装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示を行うための表示装置であり、本実施の形態では液晶表示装置・・・によって構成する。」、と記載されている。
よって、刊行物2には、「装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示を行うための表示装置である装飾図柄表示装置208を備えたパチンコ機」が記載されているといえる。

(う)上記【0381】には「パチンコ機100では、チャンスボタン136の第1の態様においてチャンスボタン136は発光状態になる。・・・パチンコ機100では、第2の態様においてチャンスボタン136は発光とともに振動している状態(以下、当該状態を「発光+振動状態」と称する場合がある)になっている。・・・パチンコ機100では、チャンスボタン136の第3の態様においてチャンスボタン136は発光とともに振動し、かつ所定部位が回転している状態(以下、「発光+振動+回転状態」と称する場合がある)になっている。」、と記載されている。(以下「記載事項う1」という。)
よって、刊行物2には、
「操作部700のチャンスボタン136は、第1?第3の複数の態様となり、
該複数の態様の一つに第2の態様があり、
該複数の態様の一つに第3の態様があ」る、ことが記載されているといえる。

(え)上記イで認定したとおり、図49からは、図49(d)の段階でチャンスボタン136は発光+振動の「第2の態様」であり、装飾図柄表示装置208には設定操作部139の画像と「連打せよ!」の文字列とが表示され、図49(h)の段階でチャンスボタン136は発光+振動+回転の「第3の態様」であり、装飾図柄表示装置208には番長3(図28(c))の画像と「連打せよ!」の文字列とが表示されていること、及び、「連打せよ!」の文字列及び設定操作部139からなる図49(d)の段階の画像と、共通する「連打せよ!」の文字列及び「番長3」の画像からなる図49(h)の段階の画像とでは、後者の方が大きいこと、を読み取ることができる。(以下「記載事項え1」という。)
ここで、「番長3」の画像については、上記【0378】に「表示3に対応する「番長3」」なる記載があり、該「表示3」については上記【0384】に「チャンスボタン136の態様「1-2」に対応する演出表示予告の予告態様は、表示1から表示2に変化することを示す「1-2」、表示2を示す「2」および表示2から表示3に変化することを示す「2-3」の3つに区分されている。また、チャンスボタン136の態様「2」に対応する演出表示予告の予告態様は、表示2を示す「2」および表示2から表示3に変化することを示す「2-3」の2つに区分されている。また、チャンスボタン136の態様「2-3」に対応する演出表示予告の予告態様は、表示2を示す「2」および表示2から表示3に変化することを示す「2-3」の2つに区分されている。さらに、チャンスボタン136の態様「3」に対応する演出表示予告の予告態様は、表示3を示す「3」が対応付けられており、複数に区分に分されていない。」なる記載があり、「チャンスボタン136の態様「3」に対応する演出表示予告の予告態様は、表示3を示す「3」が対応付けられており、複数に区分に分されていない」、即ち、少なくとも表示の変化を伴わず表示される「表示3」はチャンスボタン136の態様3、すなわち「第3の態様」の場合にしか表示されないこと、「表示2」からの変化の結果として「表示3」が表示される場合を含めても、チャンスボタン136が「第1の態様」のみの場合には出現しないこと、から、該「表示3」は、チャンスボタン136の態様に関連づけられた画像であるといえる。
また、上記【0578】?【0586】には「図49(a)乃至図49(h)はこの順に、本変形例によるパチンコ機100での特図変動遊技を時系列で示している。・・・主制御部300から当該コマンドを受信した第1副制御部400は、図31に示す特図変動遊技開始時の予告決定処理を実行する。・・・第1副制御部400は、・・・「装飾図柄表示装置での演出態様」としての「リーチAはずれ」と通常予告演出としての「ボタン系」とを実行することを示す情報を含むコマンドを装飾図柄表示装置208に出力して・・・、特図変動遊技の開始時の予告決定処理を終了する。・・・以上の処理が終了すると、図49(b)に示すように、・・・特図2変動遊技が実行される。・・・図柄変動表示が開始されてから所定時間経過後に操作有効期間が開始される。・・・操作有効期間が開始されるとチャンスボタン136の態様が発光+振動状態に変化する。・・・操作要求演出開始から所定時間が経過するまでに遊技者がチャンスボタン136を押下しないと、チャンスボタン136の発光+振動状態が維持されるとともに、操作要求演出が設定操作部139を遊技者に操作させるための演出に変更される。このため、図49(d)に示すように、・・・設定操作部139を表した画像が中図柄表示領域208bと重なる演出表示領域208dに表示される。・・・演出表示領域208dには「連打せよ!」という文字画像が継続して表示される。・・・操作要求演出に促されて、例えば遊技者が設定操作部139の確定(OK)ボタン139aを複数回押下すると演出表示予告の予告態様が表示2から表示3へと発展的に変化するとともに操作されていないチャンスボタン136の態様が第2の態様から第3の態様に発展的に変化する。したがって、図49(g)に示すように中図柄表示領域208bと重なる演出表示領域208dに「番長2」を表したキャラクタ画像に代えて「番長3」のキャラクタ画像が表示される。また、図49(h)に示すように、チャンスボタン136は発光+振動+回転状態に変化する。」と記載されている。
このことから、前記図49(a)?(h)は、「「装飾図柄表示装置での演出態様」としての「リーチAはずれ」と通常予告演出としての「ボタン系」」なるひとつの演出を実行する際に、「図49(a)乃至図49(h)はこの順に、・・・時系列で」実行される、装飾図柄表示装置208と、操作部700のチャンスボタン136及び設定操作部139との演出状態を示すものであるといえる。(以下「記載事項え2」という。)

よって、前記記載事項え1、え2から、刊行物2には、
「装飾図柄表示装置208における操作要求演出として、操作部700の設定操作部139の画像や「連打せよ!」の文字列を含む画像が表示される演出態様があり、
前記演出態様には、操作部700の設定操作部139を表した画像と「連打せよ!」という文字画像とが表示される一つの演出態様と、
「番長3」のキャラクタ画像と「連打せよ!」という文字画像とが表示される他の一つの演出態様との複数の演出態様があり、
前記一つの演出態様は操作部700のチャンスボタン136の態様が第2の態様である発光+振動状態である場合に表示され、
前記他の一つの演出態様は、操作部700のチャンスボタン136が第3の態様である発光+振動+回転状態に変化する場合に表示され、
前記一つの演出態様よりも、前記他の一つの演出態様の方が大きい表示である」
ことが記載されているといえる。

エ 上記アの各記載事項、上記イ・ウの認定事項から、刊行物2には次の発明(以下「刊行物2発明」という。)が記載されていると認められる((あ)などは、関連する上記ウの各項を示す。)。

「a2 操作者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と、設定操作部139と、チャンスボタン136や設定操作部139が設けられた操作部700と、(あ)
b2 装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示を行うための表示装置である装飾図柄表示装置208を備えたパチンコ機であって、(い)
c2 操作部700のチャンスボタン136は、第1?第3の複数の態様となり、(う)
d2 該複数の態様の一つに第2の態様があり、(う)
e2 該複数の態様の一つに第3の態様があり、(う)
f2 装飾図柄表示装置208における操作要求演出として、操作部700の設定操作部139の画像や「連打せよ!」の文字列を含む画像が表示される演出態様があり、(え)
j2 前記演出態様には、操作部700の設定操作部139を表した画像と「連打せよ!」という文字画像とが表示される一つの演出態様と、
「番長3」のキャラクタ画像と「連打せよ!」という文字画像とが表示される他の一つの演出態様との複数の演出態様があり、(え)
m2 前記一つの演出態様は操作部700のチャンスボタン136の態様が第2の態様である発光+振動状態である場合に表示され、(え)
n2 前記他の一つの演出態様は、操作部700のチャンスボタン136が第3の態様である発光+振動+回転状態に変化する場合に表示され、(え)
o2 前記一つの演出態様よりも、前記他の一つの演出態様の方が大きい表示である、(え)
s2 パチンコ機。(い)」

4.本願発明と刊行物2発明との対比・判断
(1)刊行物2発明の構成a2の「操作者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と、設定操作部139と、チャンスボタン136や設定操作部139が設けられた操作部700」は、「操作者の操作」の対象となる要素であるから、その設置部位が本願発明の構成A2の「遊技者が操作可能な位置」に相当する部位であることが明らかであるといえる。
また、前記構成a2の「チャンスボタン136と、設定操作部139と、チャンスボタン136や設定操作部139が設けられた操作部700」は前記構成A2の「操作手段」に相当する。
よって、前記構成a2の「操作者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と、設定操作部139と、チャンスボタン136や設定操作部139が設けられた操作部700」は、前記構成A2の「遊技者が操作可能な位置に設けられた操作手段」に相当する。

(2)刊行物2発明の構成b2、s2の「装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示」、「装飾図柄表示装置208」、「パチンコ機」は、それぞれ、本願発明の構成B2、S2の「複数の表示」、「表示手段」、「遊技台」に相当する。
よって、前記構成b2、s2の「装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示を行うための表示装置である装飾図柄表示装置208を備えたパチンコ機」、「パチンコ機」は、それぞれ、前記構成B2、S2の「複数の表示を表示可能な表示手段と、を備えた遊技台」、「遊技台」に相当する

(3)刊行物2発明の構成の構成c2の「操作部700のチャンスボタン136」は、刊行物2発明の構成a2の「操作者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と、設定操作部139と、チャンスボタン136や設定操作部139が設けられた操作部700」に含まれるから、上記(1)で認定したとおり、本願発明の構成C2の「操作手段」に相当するといえる。
また、前記構成c2の「第1?第3の複数の態様」は前記構成C2の「複数の状態」に相当する。
よって、前記構成c2の「操作部700のチャンスボタン136は、第1?第3の複数の態様とな」ることは、前記構成C2の「前記操作手段は、複数の状態となることが可能とされ」ることに相当する。

(4)刊行物2発明の構成d2?e2の「第2の態様」、「第3の態様」は、それぞれ、本願発明の構成D2?E2の「第一の状態」、「第二の状態」に相当する。
よって、前記構成d2?e2の
「該複数の態様の一つに第2の態様があり、
該複数の態様の一つに第3の態様があり」
は、前記構成D2?E2の
「前記複数の状態のうちの一つは、第一の状態であり、
前記複数の状態のうちの一つは、第二の状態であり、」
に相当する。

(5)刊行物2発明の構成f2の「装飾図柄表示装置208における操作要求演出として、操作部700の設定操作部139の画像や「連打せよ!」の文字列を含む画像が表示される演出態様」は、装飾図柄表示装置208に対して行われる表示であるから、同構成b2で「装飾図柄表示装置208」が行うとする「装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示」のうちの一つであり、本願発明の構成F2の「前記複数の表示のうちの一つ」に相当するといえる。
また、前記f2の「・・・演出態様」は、「操作部の設定操作部139の画像や「連打せよ!」の文字列」を含むのであるから、「操作部700」すなわち上記構成a2の「チャンスボタン136や設定操作部139が設けられた操作部700」に関する表示であるといえ、よって、本願発明の構成G2の「操作手段に関する表示」に相当する。
したがって、前記構成f2の「装飾図柄表示装置208における操作要求演出として、操作部700の設定操作部139の画像や「連打せよ!」の文字列を含む画像が表示される演出態様があり」は、前記構成F2?G2の
「前記複数の表示のうちの一つは、第一の表示であり、
前記第一の表示は、前記操作手段に関する表示であり」
に相当する。

(6)刊行物2発明の構成j2の「操作部700の設定操作部139を表した画像と「連打せよ!」という文字画像とが表示される一つの演出態様」は、同構成m2で「操作部700のチャンスボタン136の態様が第2の態様である発光+振動状態である場合に表示され」るものであると特定されており、さらに、該「第2の態様」が本願発明の「第一の状態」に相当するとの上記(4)の認定に基づけば、本願発明の構成K2、M2の「第一の態様」に相当するといえる。
また、刊行物2発明の構成j2の「「番長3」のキャラクタ画像と「連打せよ!」という文字画像とが表示される他の一つの演出態様」は、同構成n2で「操作部700のチャンスボタン136が第3の態様である発光+振動+回転状態に変化する場合に表示され」るものであると特定されているから、該「第3の態様」が本願発明の「第二の状態」に相当するとの上記(4)の認定に基づけば、本願発明の構成L2、N2の「第二の態様」に相当するといえる。
そして、前記構成j2の「前記演出態様」には前記のとおり「・・・一つの演出態様」と「・・・他の一つの演出態様」との2つが含まれることは、前記構成J2の「複数の態様で表示可能」であることに相当するといえる。
以上のとおりであるから、前記構成j2?n2の
「前記演出態様には、操作部700の設定操作部139を表した画像と「連打せよ!」という文字画像とが表示される一つの演出態様と、
「番長3」のキャラクタ画像と「連打せよ!」という文字画像とが表示される他の一つの演出態様との複数の演出態様があり、
前記一つの演出態様は操作部700のチャンスボタン136の態様が第2の態様である発光+振動状態である場合に表示され、
前記他の一つの演出態様は、操作部700のチャンスボタン136が第3の態様である発光+振動+回転状態に変化する場合に表示され、」
は、前記構成J2?N2の
「前記第一の表示は、複数の態様で表示可能とされ、
前記複数の態様のうちの一つは、第一の態様であり、
前記複数の態様のうちの一つは、第四の態様であり、
前記第一の態様は、前記第一の状態に応じた態様であり、
前記第四の態様は、前記第二の状態に応じた態様であり、」
に相当する。

(7)上記(6)の相当関係から、刊行物2発明の構成o2の「前記一つの演出態様よりも、前記他の一つの演出態様の方が大きい表示であり」が本願発明の構成O2の「前記第四の態様による前記第一の表示は、前記第一の態様による前記第一の表示よりも大きい表示であり」に相当することは明らかである。

(8)上記(1)?(7)によれば、本願発明と刊行物2発明とは、下記アの点で一致し、両者の間に相違点は存在しない。

「A2 遊技者が操作可能な位置に設けられた操作手段と、
B2 複数の表示を表示可能な表示手段と、を備えた遊技台であって、
C2 前記操作手段は、複数の状態となることが可能とされ、
D2 前記複数の状態のうちの一つは、第一の状態であり、
E2 前記複数の状態のうちの一つは、第二の状態であり、
F2 前記複数の表示のうちの一つは、第一の表示であり、
G2 前記第一の表示は、前記操作手段に関する表示であり、
J2 前記第一の表示は、複数の態様で表示可能とされ、
K2 前記複数の態様のうちの一つは、第一の態様であり、
L2 前記複数の態様のうちの一つは、第四の態様であり、
M2 前記第一の態様は、前記第一の状態に応じた態様であり、
N2 前記第四の態様は、前記第二の状態に応じた態様であり、
O2 前記第四の態様による前記第一の表示は、前記第一の態様による前記第一の表示よりも大きい表示であり、
S2 ことを特徴とする遊技台。」

よって、本願発明は刊行物2発明と同一であるから、本願発明は特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

ところで、上記対比では、構成G2で「第一の表示」が「前記操作手段に関する表示」と特定されていることから、「第一の表示」には、操作手段自体の画像のほか、操作手段の操作を促す表示も含まれると解釈できるので、該解釈に基づき、構成O2について、平成28年8月9日付け拒絶理由通知において引用した上記刊行物2の図49に関する実施例をもとに刊行物2発明との一致点としたものである。
この点について、仮に、前記「第一の表示」が操作手段自体の画像に限られると限定解釈できるとした場合について、念のため以下に検討する。
刊行物2には、操作手段自体の画像の拡大・縮小表示とボタンの状態との関係について明確な開示がないため、刊行物2発明が構成O2を備えるか明確でない点が一応の相違点となる。
しかし、刊行物2には、前記図49に対応する実施例以外にも、図43(h)と、これに対応して【0537】に「図43(h)に示すように、操作要求演出において、チャンスボタン136を表した画像が拡大と縮小とを繰り返して表示されてチャンスボタン136が押下されているような動画像が演出表示領域208dに表示されてもよい。」なる記載があるし、本願出願日前に公開された刊行物である特開2014-4193号公報(【0447】、図40)にも、ボタンを拡大画像で表示してボタンを押すことに期待感を抱かせる演出について記載があるとおり、遊技機の分野において、いわゆる「ボタン演出」を実行する際に、ボタンに注目させたりその操作を促したりするなどの目的で装飾図柄表示装置上のボタン画像を適時に拡大表示するようなことは、周知の演出上の技法に過ぎない。
そして、通常の静的で相対的に小さなボタン画像による操作要求演出よりも、ボタン画像が動的または静的に拡大される操作要求演出の方が、ボタン操作に対する遊技者の注目を引き得る場合があることは明らかであるし、ボタンの状態も、単に発光や振動しているだけの状態より、発光、振動、回転が組み合わさった状態の方がボタン操作に対する遊技者の注目を引き得る場合があることもまた明らかであるから、刊行物2発明において、より強く遊技者にボタン操作を促す局面に、ボタンを発光、振動、回転が組み合わさった状態とすると共に、前記周知のボタン画像を拡大表示する演出を組み合わせて実行することを当業者が想起する動機付けは充分にあるといえる。
また、本願発明により奏される効果は、当業者が、刊行物2発明及び周知の技術事項から予測し得た範囲内のものであって、格別のものではない。
よって、刊行物2発明において、刊行物2に記載された事項や周知技術にもとづいて前記一応の相違点の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物2に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
また、仮に相違点が存在するとしても、微差であるか、周知技術にもとづいて当業者が容易に想到し得た程度のものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-02-23 
結審通知日 2018-02-27 
審決日 2018-03-13 
出願番号 特願2014-152194(P2014-152194)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 573- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡辺 剛史  
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 川崎 優
樋口 宗彦
発明の名称 遊技台  
代理人 森岡 正樹  

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