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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C23F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C23F
管理番号 1339793
審判番号 不服2014-1168  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-01-03 
確定日 2018-05-22 
事件の表示 特願2009-169642「電流循環装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年11月19日出願公開、特開2009-270201〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯・本願発明
この出願は、平成17年2月26日に出願した特願2005-89737号の一部を平成21年7月20日に新たな特許出願としたもの(以下、「本願」という。)であって、平成25年10月10日付けで拒絶査定がなされ、平成26年1月6日受付で拒絶査定不服審判が請求されると同時に物件が提出され、その後、当審から平成27年2月23日付けで拒絶理由が通知され、同年5月7日受付で意見書(以下、「意見書1」という。)及び手続補正書並びに物件が提出され、当審から同年10月5日付けで拒絶理由が通知され、同年11月6日受付で意見書(以下、「意見書2」という。)及び手続補正書並びに物件が提出され、さらに、平成28年7月19日付けで拒絶理由が通知され、同年8月17日受付で意見書(以下、「意見書3」という。)が提出されたものである。
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成27年11月6日受付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものであると認められる。

【請求項1】
ソーラーパネルを備え、自動車の金属製のボディー又は自動車の導電性を有する部品上の互いに距離を置いた任意の2点の電気伝導部にソーラーパネルの+極と-極を直接接続させることにより、前記ソーラーパネルが発電中、前記自動車の塗装が施された上に、自動車用コーティング剤が塗布され、又は、自動車用洗浄剤で洗浄され、若しくは、自動車用コーティング剤及び自動車用洗浄剤がまだ塗布されていない自動車の外装の最表面を形成する金属製のボディー又は自動車の導電性を有する部品に、電気を流す電流循環装置。

第2.平成27年10月5日付けの拒絶理由及び平成28年7月19日付けの拒絶理由について
当審から通知した平成27年10月5日付けの拒絶理由は、本願の特許請求の範囲の記載は、下記(1)の点で特許法第36条第6項第1号の規定を満たしていないという事項を含むものである。

(1)本願発明が解決しようとする課題を
(a)一驚するほどの安い低公害車を作ること、
(b)間接的に燃費の向上に貢献すること、
(c)車のボディの汚れが取れ易くなり、20日置きのカーシャンプーではカーシャンプーの頻度が多過すぎて今までの通常の輝きが10なら今回の発明を搭載した後は輝きは18ぐらいになること、
のいずれのものと認定しても、本願明細書の発明の詳細な説明には、本願発明がこれらの課題のいずれについても解決できていることを客観的に示す事項は何ら記載されておらず、本願発明は明細書の発明の詳細な説明に裏付けられて(サポートされて)いない。

また、平成28年7月19日付けの拒絶理由は、下記(2)の点で特許法第36条第4項第1号の規定を満たしていないという事項を含むものである。

(2)本願発明が課題しようとする課題が、上記(1)の課題(a)及び(b)並びに(c’)電気防食現象を起こし、自動車と自動車部品を汚れ難くし、自動車ボディ保護剤の効き目をより強力にし、また、効き目を長くし、自動車ボディ保護剤の輝きを増させること、を実現することであることを前提に、本願の発明の詳細な説明の記載は、本願発明と当該課題を解決した具体的効果との関係が不明であるから、当業者が本願発明の技術的意義を合理的に理解し得る記載であるということができない、よって、特許法第36条第4項第1号の規定する要件(実施可能要件、委任省令要件)に適合していない、というものである。
なお、後記第3.(3)のとおり、上記(c’)は、上記(c)と実質的に同じものである。

第3.判断

(1)特許法第36条第6項第1号が規定する要件について
ア 特許法第36条第6項第1号において、「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」と規定されている(以下、「サポート要件」の規定ともいう。)。

イ 特許請求の範囲の記載が,明細書のサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものであり,サポート要件の存在は,特許出願人又は特許権者が証明責任を負うと解するのが相当である。(知的財産高等裁判所 平成17年(行ケ)10042号判決)

ウ 以下、この観点に立って、本願発明と本願明細書の発明の詳細な説明の記載について検討する。

(2)本願明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は自動車、主にガソリンエンジンの乗用車の電気防食に関する。」
(イ)「【背景技術】
・・・
【0007】
この車に電気を取り込む改造が必要と判断し、ソーラーパネルをバッテリーに対し並列つなぎでつけ、逆流防止のため半導体ダイオードをソーラーパネルとバッテリーの回路の中にいれた。逆流防止の半導体ダイオードは、ソーラーパネルに対し順方向接続とした。この初めて、使用したソーラーパネルは現在の最終型より遥かに小さなもので0.3W出力だった。車内のフロントガラス窓際に設置した。小さいにもかかわらず、十分な効果があった。電気不足による乗り難さも違和感もぱったり無くなった。昼間の小さなソーラーパネルからの充電分は充電のない夜間走行でも乗り心地の悪さを起こさせなかった。また、若干ではあったが燃費向上もこのソーラーパネルは起こしてくれた。この後、燃費向上をさらに狙い、車内リアガラス窓際にも小さなソーラーパネルを設置した。このことで、フロントガラス窓際もしくは車内リアガラス窓際のソーラーパネルに一定量の日光が日中ならば、安定して差し込み、効果的に燃費向上と車の安定走行を実現した。2ヵ所の配置は、1ヵ所配置の2倍以上の効果を示した。
【0008】
この小さなソーラーパネルを搭載した時点で、いろんな発見があった。[0008-1]車の運転疲れが激減した。[0008-2]発明者は、車のボディ保護にワックスではなく、フッ素系のポリマーを使っていたことと、20日置きに車にカーシャンプーをしていたので、次のことに気付いた。車のボディとあらゆる部品等が従来より汚れにくくなっていた。また、汚れていても、こびりつき方が弱く、汚れが取れ易くなっていた。従来は20日置きのカーシャンプーでやや満足というか、もうちょっと頻度を上げたほうがいいかなという感じだったが、ソーラーパネルを搭載した時点から、20日置きのカーシャンプーでは、もはやカーシャンプーの頻度が多過ぎで異常に車のボディがピカピカになった。この異常にピカピカなボディはいままでのメンテナンスとカー・ケアでは起こったことが無く、非常に驚いた。フッ素系のポリマー、カーシャンプーを使用した上で車のボディとあらゆる部品等が汚れにくくなっていたことに気付いたと述べたが、これは金属に対し電気の流れがある状態では概ねの金属表面が汚れ難くなる現象を車両用コーティング剤が全く無い場合には気付き難いことを意味している。例えると、ごく普通の乗用車に今回の発明を搭載していない状態から今回の発明を搭載したとする、そして、この車は本来すべき定期的ワックス等の防水塗装とカーシャンプーをしていなかったとし、水道水による洗車だけ行っていたとすると自動車のボディ表面が汚れ難くはなり、車のボディも輝きは増すがこの変化にはかなり気付き難い、明らかという程度ではなく、なんとなくボディ表面が汚れ難いかなという程度になり、輝きはそんなに変わっているかどうかわからない程度だ。そんなふうでも、汚れのこびりつきは明らかに変わり、こびりつき方は弱くなる。今回の発明を搭載していない普通の乗用車に定期的にワックス等の防水塗装とカーシャンプーをしていて、ある日から突然、今回の発明をこの車に搭載したとする。そうした場合、明らかな違いに多くの人間が気付く。車のボディとあらゆる部品等が汚れにくくなること。また、汚れていても、こびりつき方が弱く、洗浄の際に汚れが取れ易くなっていること。20日置きのカーシャンプーでは、もはやカーシャンプーの頻度が多過ぎで異常に車がピカピカになり、今までの通常の輝きが10とでも例えるなら今回の発明を搭載した後は輝きは18ぐらいになる。ところで、この異常にピカピカなボディはいままでのメンテナンスとカー・ケアでは起こったことが無いし、こんなに輝いている自動車を一般公道上で見た記憶は発明者にもまた発明者を取り巻く人々にも、光に対し反射性の強い塗装を二重塗装した場合の車以外に、見たことがなかった。みんな、この異常ピカピカ現象には非常に驚いた。[0008-3]各部品が汚れ難くなったことで、車へのメンテナンスのための労力を減らすことが出来た。発明者がこれを製作した当時はこういった[0008-1][0008-2]のような現象が起きた理由が分からなかった。太陽光発電に関する文献を見たが、レシプロエンジンを動力の主体とする機械にソーラーパネルを付けるという話は出てこなかった。太陽光発電に関する文献には、こういった「物が汚れにくくなる」という記載は見当らなかった。
【0009】
これらの事象に対し、現在のテクノロジーで、断言できる理由として、[0008-1]に関しては、ソーラーパネルにより十分な電気が供給され、アイドリング時を含め電気が多いことを自動車のエンジン制御手段が判断し、その結果によりエンジンの回転数が少なくなり、また、燃費が良くなったことつまりエンジンの回転数が少なくなったことに伴い回転系の部品の回転数が少なくなり、さらに回転運動ではないレシプロエンジンのピストンの上下運動はドライバーにとっては回転系の部品の回転運動より遥かに不自然な動きであるから、上下運動が減れば明らかにドライバーの肉体への負担は楽になる、これらから、ドライバーへの不愉快さと自動車疲れが減り、ドライバーには車の運転疲れが激減したということを、技術的根拠としていえる。[0008-2]に関しては、金属などは、電気の供給や電気の流れがある状態では金属材質や合金の配合にもよるが多くのケースで金属が錆び難くなったり、金属表面が汚れ難くなる、さらには、金属表面に汚れがのっかっていてもこびりつきにくくなるという特徴を持っている。この特徴の実際の応用例は、海水中に浮かぶ船がイオン化傾向の異なる二種の金属を電極棒に見たて海水中に付け、イオンの交換を利用して船体に発生すべき錆を食い止め、錆の進行を遅らせているという工夫や、構造物建設業界で使われる微弱な電気を建設中の建材や補助の役割をする建材に流すことで腐食を遅らせたり、錆の発生をあまりさせないようにする電気防食と言われる方法が実際に利用されている。自動車ボディと部品自体が、電気防食現象下に入り、汚れ難くなった。その上、車両用コーティング剤自体も、今回の発明により電気の流れを浴び、電気防食現象下に置かれ、コーティング剤自体と電気防食現象が相乗効果を起こし、従来をまさる輝きを放ち、通常を超える長期間に渡って車両を保護しようとしたと思う。[0008-3]において、各部品が汚れ難くなったことも、各部品までも電気防食現象下に入ったこととエンジンの回転数が少なくなったことで各部品が従来の状態より稼動しなくて済んだため汚れ難くなったと思われる。
【0010】
この時点で燃費の向上は、100%弱ほどに達成していた。・・・。」
(ウ)「【0016】
段落[0008]の[0008-1]の小さなソーラーパネル装着時点の「運転疲れが激減した」の技術的根拠でも述べたが、最終的な形となった図2の第一実施例を通して「運転疲れが激減した」の技術的根拠を語る。
【0017】
10時間以上誰も乗っていなかった一般的な乗用車に乗り込み、エンジンをかけ発進し始め、5分間も経たない時点で、赤信号に遭遇し、エンジンをアイドリングしながら信号待ちしていたとする。エンジン音がシューウコウコウコウコウコウコと長くしてからスポーンと鳴って静かになる、またしばらくするとシューウコウコウと鳴り始めスポーンと鳴って静かになる。この繰り返しをどのドライバーも知っているし体験している。これは、自動車が電気を多く作ろうとして高回転をし始め、電気が充分と判断した時点で高回転を止め、また電気が減ったと判断した時点で高回転をし始める現象である。この時点で誰もがちょっとだるい。これは気分的なものでなく、身体的にちょっとだるく、確実に体に疲れを帯びさせている。今回の発明を搭載させ、若干でも日光の光を受けられる環境で2時間以上ほどの時間に常時接続分の小さいソーラーパネルで発電をさせた状態から乗用車を発進させた場合、発進から5分間も経たない時点で赤信号に遭遇し、エンジンをアイドリングしながら信号待ちしていても、エンジン音がシューウコウコウコスポーンと鳴ることはない。これは、出発時点でカー・バッテリーが充分充電されているから起きたことである。まず、この時点、発進から5分と経たないアイドリングまでの間で体に疲れを帯びさせている原因が減少していることが明らかである。
【0018】
一般的な乗用車に今回の発明(第1実施例)を搭載させてはいるがオン・オフスイッチをオフにすることで全く電気入力をさせずに平坦な道路を巡航にてギア4速およそ時速70kmで走行中、日光の差す場所でいきなり常時接続分と自動車使用時接続分のすべてのオン・オフスイッチをオンにすると、実際にタコメーターによるエンジンの回転数が一分あたり2800回転から一分あたり1600回転にまで、巡航ギア4速を維持したまま、一瞬にして落ちた。(このとき使った車は段落[0011]と同じトヨタのマークTWO グランデ 自然吸気ガソリンエンジン 排気量1.98リットル 4速オートマチック 車両総重量1635kgという状況のものです。)このことは、自動車内でエンジンからタイヤまでの区間とそれに連動して動く部品の内のかなり多くの部品の回転速度が、少なくなったことを意味している。タイヤとホイールの回転速度は明らかに変わって無いが、エンジンにおいてクランクシャフトの回転、ピストンの上下運動の回数、DOHCエンジンにしてもSOHCエンジンにしてもヘッドカムの回転、クランクシャフトとオルターネーターとを連動させているベルトの回転、オルターネーターの回転は明らかに減少している。マツダの製造するロータリーエンジンのようなオムスビ型のローターが繭状にえぐれた所を回転している例なら回転数が下がればエンジンに気持ちの悪い振動が起きドライバーは疲れるが、もっとも一般的なレシプロエンジンの場合、回転数が少なければクランクシャフト、ピストンの上下運動、ヘッドカム、各種ベルト、オルターネーターなどから起きる振動を少なく受けることで済む。この回転運動も、極めて潤滑性に優れたオイルにひたった歯車があったとすればこういった回転運動はむしろ多くの人にとって気持ちのいいものだが、オイルは使い出した時点で劣化し始めるものだし、新品の時点で上中下でいうところの中レベルの潤滑性があるものを使っている人が殆どであるし、新品の時点から時間が経っている訳だからある程度痛んだオイルで自動車を運転しているケースが殆どでもある。よってかなりの多くの自動車において回転系の部品の回転数が少なければドライバーの不愉快さと自動車疲れが減る。回転運動ではないピストンの上下運動はドライバーにとっては不自然な動きなのだから、いくら極めて潤滑性に優れたオイルにピストンが当っていても上下運動が減れば明らかにドライバーの肉体への負担は楽になる。
【0019】
また、今回の発明第1実施例をつけてもらった車の使用者12名のうち8名がはっきりと爆発一回あたりの発火プラグのスパーク量が増えていることを実感したと訴えた。内3名が今までの運転ではアクセルを踏んでから時間的に遅れてスピードが乗り出していた左折で上りになっている区間で、時間的に遅れを起こさず激しくスパークするのを体験し、今までの自動車の仕様がつまらなく体にだるいことと第1実施例の新しい形の自動車に乗ることの気持ちよさと素晴らしさを訴えた。日本国内は自動車が道路を左側進行なので、小さな交差点などでは左折時に徐行になる。この左折で上りの話しは徐行の状態から左折し坂を上がって行ったという内容である。実感するしないに関わらず次のことも言える。第1実施例は実際に充分といえるほどの補給としての電気供給を自動車に対し行う。そのため、余って来る電気も確実にあり、その分は、行き場の無い電気の消費を行おうとするから、必ず発火プラグでのスパーク量の増加になる。スパークプラグ業界ではプラグこそ車の心臓と言っている。プラグの発火の安定こそが車の好調不調においての決め手とも業界では加えて言っている。このことからも電気量の増加はスパーク量の増加となり、これはスパークプラグ業界でいう「プラグの綺麗な発火」に近くなり自動車の好調感をドライバーに与えている訳だから、確実に肉体的な疲労は減っている。今回の発明を試してもらった人だけでなく、今回の発明とは無関係にスパークプラグを新品に換えてもらったばかりの人にも聞き取り調査したところ9割以上の人が体が楽になったことを証言していた。今回の発明は必ず発火プラグでのスパーク量を増やすことから人体への負担を軽減していると言ってよい。
(エ)「【0020】
段落[0009]のところで今回の発明を載せた車は電気防食現象下に置かれボディや部品等汚れ難くなったと述べたが、当業者なら知っていることであるが、「車全体の汚れが少なければ、出来れば全く無ければ、プラグの綺麗な発火は起きる。自動車ボディが全く汚れていなく、その他部品と車内が概ね汚れてない場合にはプラグでのスパークが人体に不愉快な影響を与えるようなときは殆ど無いし、その他機器類も正常に綺麗に回り、運転手の肉体疲労も少ないし、場合によっては運転手をより元気にしてしまうときもある。」電気防食現象下に自動車を置いてしまう今回の発明は車を汚し難くしているのでこのことも、ドライバーの肉体疲労を減らすことと確実に関係していることが推測される。以上の話は、確実に言葉にして表現出来る範囲のもので、現在の知識と言葉からではまだ表現しきれない体を楽にして自動車疲れを減らしてくれている要素があるかもしれない。スパークプラグ業界の方を当業者とすれば、電気が圧倒的にある状況下は綺麗な発火をプラグがしてくれ人体への負担を激減させていると当業者なら常識的に判断する。
【0021】
自動車にソーラーパネル電気補充装置装着によって車疲れが激減したことのデータを以下に報告する。(1)車酔いと車疲れに悩んでいた一日2、3時間以上乗車運転していた8名の人がいた。この8名に小さいソーラーパネルを自動車につけてもらった翌日から全員が車から降りてみるとあまり疲れてなく,だるさは無い、と言ってきた。この8名以外に、一日40分未満の乗車運転の人々で5名に、小さいソーラーパネルを車につけてもらったところ、車酔いと車疲れに悩むほどでなかったため、あまりこの件に関し5名とも実感としてはそれほどはっきりすることはわからないと言った。(2)今回の発明第1実施例をつけてもらった車の使用者12名に聞いたところ全員が明らかに不愉快さと自動車疲れが減り、楽になったと証言した。
・・・
【0025】
発明者の作った装置を普通の車に載せても、魅力ある変貌を演出するが、本来それに留まるものではない、カー用品店などで見つけることのできる燃費向上に役立つ商品の能力を倍近く引っ張り上げることがこの装置のもう一つの目的である。発明者の作った装置は、云わば、燃費向上に役立つ商品やメカにとっての燃費向上のための中核・プラットフォームとなり、互いの相乗効果で日中で従来の160%燃費向上、夜間で100%燃費向上がこの装置の狙いである。日中とこの装置にとって不利な夜間を合わせて振り返ってみても確かに実感と個人差はあるものの車疲れが激減した自動車運転者が非常に多く出る今回の発明の特徴が商業的な面での意外性のあるセールスポイントとはしたいが、発明者のしようとしたことは二酸化炭素問題に対し、コストと低公害と実用性と現実性を極めた、驚異的な安い低公害車を提供することである。以上のようにソーラーパネル搭載で車の印象が変わり、燃費が伸ばせる可能性が大きくなることを今まで誰も気付かなかった。」
(オ)「【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
二酸化炭素問題が叫ばれる今、コストと低公害と実用性と現実性をより極め、一驚するほどの安い低公害車を作らなければならない。エンジンで走る車、モーターの動力を主体とする自動車、燃料電池自動車などあるが、最も普及しているエンジンで走る車を簡易改造することが最も急務であると思われた。本発明はこれらの問題を解決するためになされたものである。」
(カ)「【課題を解決するための手段】
【0028】
現行の自動車燃費向上の技術は、電気入力への対策が弱すぎると判断した。電気入力方法としてソーラーパネル装置(図2の場合は1・7と1・12)(図3の場合は2・7と2・12)(図4の場合は3・7と3・12)をフロント窓際・リア窓際内側2ヵ所に置き、日中の走行時、安定した電力発生を確保し、自動車のバッテリーに対し並列つなぎとした。各ソーラーパネルに対し順方向接続の半導体ダイオードをつけてやり、電気逆流防止とした。自動車のバッテリーとは直接関係しない図1のγであり図6には、ソーラーパネルに対しの順方向接続の半導体ダイオードを付けても、付けなくてもよかったが、付けてみると付けないほうがいい感じと思えた。そうゆう理由で、図6上には半導体ダイオードは記されてない。0.3ワットを出力するシャッター搭載のソーラーパネル(図2の1・9)(図3の2・9)(図4の3・9)は常時接続、図2の場合は7ワットを出力するソーラーパネル(図2の1・11と1・14)、図3の場合は32.8ワットを出力するソーラーパネル(図3の2・11と2・14と2・24と2・26)、図4の場合は32.8ワット以上を出力するソーラーパネル(図4の3・11と3・14と3・24と3・26)は自動車使用時接続となるように配線し、使い勝手の良さとバッテリーの長寿命への配慮をした。走行時に過充電が発生する状況に陥った際にソーラーパネル回線を全て切断するオン・オフスイッチ(図2の1・5と1・6)(図3の2・5と2・6と2・20)(図4の3・5と3・6と3・20と3・29と3・30)を設ける。ソーラーパネルを自動車使用時接続から常時接続にも切り替えられるトグルスイッチ(図2の1・2)(図3の2・2と2・17と2・18)(図4の3・2と3・17と3・18)を設ける。これらのスイッチつまみは運転席から運転中に操作出来るところに置いた。図1のγは図6で示す装置である。図6の装置は、常時接続のソーラーパネルが発電中、自動車ボディや自動車ボディ保護剤に電気の流れを循環と放流させ、電気防食現象を起こし、自動車と自動車部品を汚れ難くし、自動車ボディ保護剤の効き目をより強力にし、また、効き目を長くし、自動車ボディ保護剤の輝きを増させる。図6の装置は、直接には燃費の向上に貢献できないが、車が汚れ難ければ、より車が汚れていないことになる。車が汚れていないほど、電気抵抗になるものが少なくなり、ガソリンエンジン車などではスパークプラグでの発火は綺麗で強くなり、このことは燃費の向上に関わる。このようにして、図6の装置は間接的に燃費の向上に貢献する。以上は、充分な電気供給により、アイドリング時を含め電気が多いことを自動車のエンジン制御手段が判断し、その結果によりエンジンの回転数が少なくなり、また、燃費が良くなったことつまりエンジンの回転数が少なくなったことに伴い回転系の部品の回転数が少なくなりドライバーの不愉快さと自動車疲れが減り、ドライバーにはゆったり乗れる機構である。電気の供給・電気の流れによって電気防食現象を起こし、自動車と自動車部品を汚れ難くする機構である。電気がたっぷりあることで、普通の車よりトルク感の大きい車となり、このことがマシンコントロールの面で安定して有利となり、マンマシンインターフェースのよりいっそうの確立を起こす、これらのことが交通事故を起こす確立を下げることになる機構である。日中において、ソーラーパネルからの発電で自動車冷房使用に対してと渋滞時のアイドリングに対しての自動車機械への負担を軽減する機構である。
・・・。」
(キ)「【発明の効果】
【0029】
請求項1の発明によれば、ソーラーパネルを利用した今回の発明で自動車のボディ・部品・自動車ボディに塗布した車両用コーティング剤はこの装置が日光などの光を受ける間、電気の循環と放流を受けられる。これによって自動車ボディ金属自体や金属部品、自動車ボディに塗布した車両用コーティング剤、その他を電気防食現象下に置き、自動車と自動車部品を汚れ難くし、自動車ボディ保護剤の効き目をより強力にし、また、効き目を長くし、自動車ボディ保護剤の輝きを増させる。」
(ク)「【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を図示実施形態に基づいて詳細に説明する。図1のαとβは、本発明の第1実施例・図2、第2実施例・図3、第3実施例・図4の装置を取り付けた自動車の外観を表す。自動車をガソリンや軽油などと空気以外に太陽光をも燃料として走る仕様とするため、図1のαとβの形態として、自動車のフロント窓際・リア窓際内側2ヵ所にソーラーパネル装置を置いている。図1のγは図6で示す装置である。図6の装置は、ソーラーパネルが発電中、自動車ボディに電気の流れを循環と放流させている。
・・・
【0033】
(第1実施例)図2
・・・
【0038】
(第2実施例)図3
・・・
【0045】
(第3実施例)図4
・・・」
(ケ)「【0054】
図6について。図6は図1のγで示すところの装置である。図6の装置は、常時接続の(符号5・1)ソーラーパネルが発電中、自動車の(符号5・3)端と(符号5・4)端に接続された接地点の間の車ボディや部品に対し電気が循環し、流れている。(符号5・1)ソーラーパネルの大きさは例えば2V250mAとでもしておく。(符号5・2)オン・オフスイッチは電気が流れているのが嫌なら接続を解除出来るように付けた。この回路内に半導体ダイオードを記してない理由は、理屈から言って、半導体ダイオードはあってもなくてもよい、それで付けてみたところハンドルから伝わる感触が悪かったことである。半導体ダイオードを回路内にいれてもいいと思うが発明者は勧めない。(符号5・1)ソーラーパネルが発電し、自動車ボディや部品や自動車ボディ保護剤に電気の流れを循環と放流させ電気防食現象を起こし、自動車と自動車部品を汚れ難くし、自動車ボディ保護剤の効き目をより強力にし、また、効き目を長くし、自動車ボディ保護剤の輝きを増させる。図6の装置は、直接には燃費の向上に貢献できないが、車が汚れ難ければ、より車が汚れていないことになる。車が汚れていないほど、自動車はボディ・アースの構造を成しているため電気抵抗になるものが少なくなり、ガソリンエンジン車などではスパークプラグでの発火は綺麗で強くなり、このことは燃費の向上に関わる。このようにして、図6の装置は間接的に燃費の向上に貢献する。」
(コ)「【産業上の利用可能性】
【0055】
発明者の作った装置は、燃費を伸ばすための各装置において中核・プラットフォームとなり、互いの相乗効果で日本車において日中で従来の160%以上燃費向上、夜間で100%燃費向上をさせる。今までの燃費の伸びの上限を上げたことで、燃費を伸ばす商品の更なる開発に活気を与えることが出来るだろう。ガソリン車に160%・100%燃費向上車が普及すれば、2008年から2012年までの第一次京都議定書、1990年比6%前後の二酸化炭素排出削減を遵守すべき国にとってはかなり大きな削減分を得られる。また、ディーゼル車、プロパン車、LPG車、ハイブリッド・カー、構造的にも近い飛行機のセスナにもある程度までは応用できるが、救急車への装置と発想の導入は相当好評になると思われる。旅客用ジェット機に取り付けた場合は、補助動力装置APUの補助装置となるだろう。」

(3)本願発明が解決すべき課題について
本願発明が解決すべき課題(以下、単に「課題」ということがある。)について、明細書の発明の詳細な説明の記載や意見書2の記載に基づいて、まず、次項(4)において、前記第2.記(1)(c)のとおり、車のボディの汚れが取れ易くなり、20日置きのカーシャンプーではカーシャンプーの頻度が多過すぎて今までの通常の輝きが10なら今回の発明を搭載した後は輝きは18ぐらいになることとして検討する。
これは、本願明細書の発明の詳細な説明に、課題としては明記されていないものの、前記第2.記(1)(c)の課題は、前記(2)(イ)【0008】の記載「汚れていても、こびりつき方が弱く、洗浄の際に汚れが取れ易くなっていること。20日置きのカーシャンプーでは、もはやカーシャンプーの頻度が多過ぎで異常に車がピカピカになり、今までの通常の輝きが10とでも例えるなら今回の発明を搭載した後は輝きは18ぐらいになる。」から導出したものである。
なお、前記第2.記(2)(c’)の課題は、前記(2)(カ)【0028】の記載「図6の装置は、常時接続のソーラーパネルが発電中、自動車ボディや自動車ボディ保護剤に電気の流れを循環と放流させ、電気防食現象を起こし、自動車と自動車部品を汚れ難くし、自動車ボディ保護剤の効き目をより強力にし、また、効き目を長くし、自動車ボディ保護剤の輝きを増させる。」から導出したものであるところ、その技術的根拠として「電気防食」を明示しているが、上記(c)の課題と、この(c’)の課題は、いずれも、汚れが取れ易くなることもしくは汚れ難くなることと、輝きが増すことを含んでおり、両者は実質的に同じ課題を表している。

次に、念のため、後記(5)及び(6)において、各々、課題を、間接的に燃費の向上に貢献すること、及び、一驚するほどの安い低公害車を作ること、として検討を加える。
ここで、前者は、前記(2)(カ)【0028】の記載「図6の装置は間接的に燃費の向上に貢献する。」から導出し、前記第2.記(1)(b)に示したように拒絶理由において認定したものであり、後者は、意見書2において、一驚するほどの安い低公害車を作ることは課題ではない旨の主張がなされているが、前記(2)(オ)【0027】の記載「二酸化炭素問題が叫ばれる今、コストと低公害と実用性と現実性をより極め、一驚するほどの安い低公害車を作らなければならない。」から導出したものであって、前記第2.記(1)(a)に示したように拒絶理由において認定したものである。

(4)本願発明が解決すべき課題を「車のボディの汚れが取れ易くなり、20日置きのカーシャンプーではカーシャンプーの頻度が多過すぎて今までの通常の輝きが10なら今回の発明を搭載した後は輝きは18ぐらいになること」(すなわち、前記第2.記(1)(c))と認定した場合に、本願発明が当該課題を解決し得るか、についての検討

ア 「車のボディの汚れが取れ易いこと」と「20日置きのカーシャンプーではカーシャンプーの頻度が多過すぎて今までの通常の輝きが10なら今回の発明を搭載した後は輝きは18ぐらいになる」との輝きが増加することとの関連性について、本願明細書の発明の詳細な説明には記載がない。
そこで、請求人の意見書2における、「20日置きのカーシャンプーでは、もはやカーシャンプーの頻度が多過ぎで異常に車のボディがピカピカになった。この異常にピカピカなボディはいままでのメンテナンスとカー・ケアでは起こったことが無く、非常に驚いた。・・・今までの通常の輝きが10なら今回の発明を搭載した後は輝きは18ぐらいになる。」は、実験片がつるっとしていたことで証明出来ている、との主張に照らすならば、車のボディの汚れが取れ易いことと車のボディの輝きが増加することとは、「車のボディの汚れが取れ易くな」ることにより、「20日置きのカーシャンプーではカーシャンプーの頻度が多過すぎて今までの通常の輝きが10なら今回の発明を搭載した後は輝きは18ぐらいになる」関係にあるといえる。
以下の検討では、「車のボディ」とは、「自動車の外装の最表面を形成するボディー」と「バッテリーを除く自動車の導電性を有する部品」とを意味するものとして扱う。

イ 「汚れにくさ」とはどのようなことかについて、本願明細書の発明の詳細な説明には説明がされていない。そこで、意見書1の主張を参酌すると、「汚れにくさ」とは、「汚れがつかない」ことではなく、「汚れていてもこびりつき方が弱く、洗浄の際に汚れが取れ易」いことであるといえる。したがって、「自動車の金属製のボディーと自動車部品が汚れ難い」、「汚れにくさ」とは、磨かなければ、汚れは付着したままで、必ずしも綺麗になっていないことも含まれ、あくまで汚れが取れ易いことであるといえる。

ウ 本願明細書の発明の詳細な説明における課題解決の理由(作用・機序)の説明について

(ウ-1) 前記課題を解決する理由(作用・機序)についてどのような説明がなされているか、本願明細書の発明の詳細な説明の記載をみると、前記(2)(カ)【0028】、同(キ)【0029】、及び同(ケ)【0054】には、「電気防食現象を起こし、自動車と自動車部品を汚れ難くし、自動車ボディ保護剤の効き目をより強力にし、また、効き目を長くし、自動車ボディ保護剤の輝きを増させる。」と記載されている。

(ウ-2) そこで、「電気防食現象」について本願明細書の発明の詳細な説明をみてみると、前記(3)(イ)の【0009】に「金属などは、電気の供給や電気の流れがある状態では金属材質や合金の配合にもよるが多くのケースで金属が錆び難くなったり、金属表面が汚れ難くなる、さらには、金属表面に汚れがのっかっていてもこびりつきにくくなるという特徴を持っている。この特徴の実際の応用例は、海水中に浮かぶ船がイオン化傾向の異なる二種の金属を電極棒に見たて海水中に付け、イオンの交換を利用して船体に発生すべき錆を食い止め、錆の進行を遅らせているという工夫や、構造物建設業界で使われる微弱な電気を建設中の建材や補助の役割をする建材に流すことで腐食を遅らせたり、錆の発生をあまりさせないようにする電気防食と言われる方法が実際に利用されている。」と記載されているのみで、前記課題(すなわち、前記第2.記(1)(c)の課題)を解決するための理由(作用・機序)の説明はなされていない。
この「電気防食」を説明するために、請求人は、「株式会社 東京興業貿易商会のホームページ(http://www.tkbs.co.jp/cnav07/index_article.html♯post_22midashi1)」(「001.pdf」というファイル名)及び「公益社団法人土木学会土木学会誌(http://www.jsce.or.jp/journal/contents/knowledge/vol9910.pdf)」(「002.pdf」というファイル名)を記録したCD-Rを審判請求と同日に物件として提出している。

(ウ-3) この「公益社団法人土木学会土木学会誌」には、「電気防食工法の原理と効果」と題し、「電気防食の方式には,外部電源方式と流電陽極方式の二つの方式があります.外部電源方式は直流電源装置と補助陽極および防食する鋼材と電気回路を作り,直流電源装置より防食電流を流出し,補助陽極(電極)を通して防食電流を鋼材へ流入させる方法です(図-1).
流電陽極方式は,金属のイオン化傾向の高低を利用したもので,鉄よりイオン化傾向の高い金属(・・・)を鉄とつなぎ,鉄がイオン化(腐食)するのに代わって,それらの金属がイオン化することにより鋼材の腐食を防ぐものです.すなわち,防食する鋼材を陰極にして,鋼材よりもイオン化傾向の高い(卑)金属を陽極として電池を完成させ,両極間の電位差によって防食電流を流す方法です(図-2).」(97頁左欄20?38行)と記載されており、上記図-1をみると、直流電源装置の-極のみに鋼材が接続されていることが看取される。


この記載によれば、株式会社 東京興業貿易商会のホームページに記載された「チタンロッド内部挿入陽極工法による電気防食システム」は、チタン陽極材を通じて、コンクリート内部の鉄筋に対して外部の直流電源装置から電流を流すものである点で「外部電源方式」に分類される。
これら外部電源方式、流電陽極方式は、防食させる鋼材と、補助陽極、または、鉄よりもイオン化傾向の高い(卑)金属からなる陽極、との間に電流(防食電流)を流して電気防食するものであって、外部電源方式では、防食対象である鋼材は直流電源装置の一方の極である-極のみに接続され、流電陽極方式では、防食対象である鋼材は外部電源装置に接続されない。

(ウ-4) 本願発明は、「自動車の金属製のボディー又は自動車の導電性を有する部品上の互いに距離を置いた任意の2点の電気伝導部にソーラーパネルの+極と-極を直接接続させ」ているものであって、ソーラーパネルは直流電源装置であるから、本願発明が電気防食を利用するものであれば、流電陽極方式ではなく外部電源方式である。しかし、本願発明では、ソーラーパネルは+極も-極も防食される鋼材、すなわち、防食させる金属である車のボディに接続されているから、-極のみが鋼材に接続される外部電源方式ではない。

(ウ-5) そうすると、本願発明は、電気防食現象を利用したものとはいえず、前記課題を解決するための理由(作用・機序)を、電気防食現象として説明することは、その前提において無理があるというべきである。
ここで、広義には、電気防食には、前記「電気防食工法の原理と効果」に記載された外部電源方式と流電陽極方式の他に、陽極防食法(請求人が意見書2と同日に提出した物件のCD-Rに「5N.pdf」というファイル名で記録されている、「日本防蝕工業株式会社のホームページ http://www.nitibo.co.jp/note/♯02」を参照。)があるので、この陽極防食法についても検討すると、陽極防食法も直流電源装置の一方の極のみを防食させたい不動態化する金属に接続するものであって、本願発明がこの陽極防食法を利用していないことは、前記(ウ-4)から、明らかである。

(ウ-6) また、仮に、車のボディーの表面に水分の膜が存在し、本願発明が電気防食を利用する形態であったとしても、防食作用は-極側だけに限られ、+極側では腐食されると考えられるので、車全体でみると防食されているとはいえないし、防食とは、金属が腐食する(金属が変質破壊する)ことを防止するもの(要すれば、「化学大辞典8」共立出版株式会社(1997年9月20日)の627頁左欄「防食」の項、「化学大辞典7」共立出版株式会社(1997年9月20日)802頁左欄「腐食」の項を参照。)であるから、そもそも汚れの取れ易さの向上に関係するものではなく、したがって、電気防食を「車のボディの汚れが取れ易くなり、20日置きのカーシャンプーではカーシャンプーの頻度が多過すぎて今までの通常の輝きが10なら今回の発明を搭載した後は輝きは18ぐらいになる」ことの裏付けとすることには無理があるというべきである。

(ウ-7) よって、電気防食により、本願発明が「車のボディの汚れが取れ易くなり、20日置きのカーシャンプーではカーシャンプーの頻度が多過すぎて今までの通常の輝きが10なら今回の発明を搭載した後は輝きは18ぐらいになる」という課題を解決することができるとはいえない。

エ 念のため、請求人が、意見書2において、前記理由(作用・機序)と同次元のものと主張するサーモス社の洗浄法についても検討する。
請求人が意見書2と同日に物件として提出したCD-Rに記録されたファイル1S.pdf、2K.pdf、3N.pdf及び4A.pdfにサーモス社の洗浄法についての説明があり、これらによれば、この洗浄法は酸素系漂白剤を用いた洗浄法といえ、特許第5667674号を取得しているとされている。
そこで、特許第5667674号公報をみてみると、その特許請求の範囲の請求項1には、
「【請求項1】
正立させたときに上面に容器開口部を有する金属容器の内部を、前記金属容器内に洗浄液を満たして洗浄する、金属容器を洗浄する洗浄装置において、
基台と、
前記基台に設けられる負電極と、
前記基台に設けられた正電極挿通部に挿通される棒状の正電極と、
前記基台上に設けられ、前記負電極と前記正電極との間に電圧を印加する電源とを備え、
前記金属容器を洗浄する際、
前記負電極は前記金属容器の容器金属部に電気的に接続され、
前記正電極は、水に溶けると過酸化水素を発生する過酸化水素発生剤が溶かされた前記洗浄液中に、前記容器開口部から挿入され、
電圧印加時に発生する水酸化ラジカルで容器内表面を洗浄することを特徴とする金属容器を洗浄する洗浄装置。」と記載されており、上記酸素系漂白剤は「水に溶けると過酸化水素を発生する過酸化水素発生剤」ということができ、この漂白剤が溶けた水溶液に電圧を印加することで水酸化ラジカルが発生するものである。
一方、本願発明は、酸素系漂白剤も水に溶けると過酸化水素を発生する過酸化水素発生剤も使用しないから、電圧をかけても水酸化ラジカルは発生することはなく、サーモス社の洗浄法とは異なるものであるので、請求人の主張は採用することができない。

オ したがって、本願明細書の発明の詳細な説明には、本願発明が「車のボディの汚れが取れ易くなり、20日置きのカーシャンプーではカーシャンプーの頻度が多過すぎて今までの通常の輝きが10なら今回の発明を搭載した後は輝きは18ぐらいになる」という課題を解決し得ることを明らかにする理由(作用・機序)は実質的に記載されていない。

カ その他、本願明細書の発明の詳細な説明には、当業者が本願出願時の技術常識に照らしても、本願発明の発明特定事項により上記「車のボディの汚れが取れ易くなり、20日置きのカーシャンプーではカーシャンプーの頻度が多過すぎて今までの通常の輝きが10なら今回の発明を搭載した後は輝きは18ぐらいになる」という課題を解決できると認められる説明は見当たらない。

キ 本願明細書の実施例の記載について
次に、この課題が解決していることを示す実施例等の客観的な事実が発明の詳細な説明に記載されているかどうか、さらに検討する。

(キ-1) 第1実施例(図2)、第2実施例(図3)及び第3実施例(図4)は、そのいずれもがソーラーパネル装置を自動車バッテリーに対して並列につないでいる(前記(2)(カ)の【0028】、同(ク)の【0031】?【0045】)から、本願発明の実施例には当たらない。

(キ-2) 一方、図6に記載された装置は、「常時接続の(・・・)ソーラーパネルが発電中、自動車の(・・・)端と(・・・)端に接続された接地点の間の車ボディや部品に対し電気が循環し、流れている。」(前記(2)(ケ)【0054】)と記載されているから、本願発明の実施例であるということができる。
この図6の装置に関し、「ソーラーパネルが発電し、自動車ボディや部品や自動車ボディ保護剤に電気の流れを循環と放流させ電気防食現象を起こし、自動車と自動車部品を汚れ難くし、自動車ボディ保護剤の効き目をより強力にし、また、効き目を長くし、自動車ボディ保護剤の輝きを増させる。」(前記(1)(ケ)【0054】)と記載されてはいるものの、電気防食に関しては、前記ウ(ウ-1)?(ウ-7)のとおり、本願発明の作用・機序であるということはできないから、この記載は、実際の実験結果の記載とはいえず、結局、この課題が解決し得ることを客観的な事実によって裏付けているものは、本願明細書の発明の詳細な説明及び図面のいずれにも見当たらない。

ク よって、本願明細書には、上記課題が解決する理由(作用・機序)も、客観的事実も、実質的に示されていないというほかない。

ケ 意見書1及び2で説明された実験について
念のため、請求人が意見書1及び意見書2と同日で提出した各物件に記録された実験についても検討する。

(ケ-1) 当審は、これら実験に関し、以下の事項を把握した。
(ア)平成27年3月18日に、一枚の「ボンネット板」を洗浄後切断してソーラーパネルを接続した試験片と接続していない試験片が作成された。
(イ)平成27年3月19日は雨が降り、ソーラーパネルを接続した試験片は、そうでない試験片に比べ手触りがよく、汚れがついていない(汚れが落ちやすい)感触であると請求人は主張している。
(ウ)平成27年3月21日に、ソーラーパネルを接続した試験片のボルト付近の腐食が進んでいないことを請求人は主張しているが、ソーラーパネルを接続した試験片も接続していない試験片も、ボンネット板の切断面が同じように腐食していることが看取される。
(エ)平成27年3月23日、24日、4月15日に照度が測定されている。
(オ)平成27年4月15日の上記(エ)の照度の測定の後、カーシャンプーが実施され、再び照度が測定された。再び測定された照度は、
ソーラーパネル有り 板輝度1560 空輝度8240ルクス
ソーラーパネルなし 板輝度1580 空輝度8240ルクス
であった(意見書2と同日に提出した物件であるDVD-R2内動画ファイル S1、S2、S3参照)。
ここで、このカーシャンプーの実施日について、請求人は明言していないが、意見書2には測定日が4月半ばであると記載されており、意見書1において、平成27年4月20日がカーシャンプーをして5日目であることを記載していることからみて、上記のとおり平成27年4月15日であると認める。
(カ)平成27年4月20日(カーシャンプーをして5日目)に、雨水がついている試験片に指で触れて、ソーラーパネルを接続した試験片は「つるっとし」、そうでない試験片は「もさっとしている」と請求人は主張している。また、ソーラーパネルを接続した試験片と接続していない試験片との違いを客観的に表現できない旨の発言もしている。

(ケ-2) そこで、前記(ケ-1)(ア)?(カ)の事項を検討する。

(ケ-3) ボンネット板の腐食について
前記ウで検討したとおり、本願発明は電気防食を利用したものではない。このことは、前記(ケ-1)(ウ)で述べた、ソーラーパネルを接続した試験片も接続していない試験片も、ボンネット板の切断面が同じように腐食していることが看取されることと整合する。
念のため、「ソーラーパネルのある実験片と無い実験片で比べて、ボルト用の穴のボンネット板の錆び具合でソーラーパネルのあるほうが遅」いという、ソーラーパネルによる電気防食に関する請求人の主張を検討する。
実験に当たり、ボンネット板に穴が開けられ、塗装膜をはがしてユニクロメッキを施した鉄製のボルトが当該穴に挿入されて固定され、当該ボルトには黄銅製(防錆処理)の丸端子が付けられ、当該端子を介してソーラーパネルに接続がなされている(意見書1と同日に提出した物件であるCD-Rに記録されている、16.jpg、17.jpg、18.jpg、19.jpgを参照。)。
ここで、「電池作用腐食(galvanic corrosion)」についてみてみる。
「奥田聡監修、『防食技術ハンドブック』、株式会社化学工業社(昭和47年12月20日)」には、「a.電池作用腐食(galvanic corrosion) 異種の金属が接触して電解質水溶液にある場合に発生するもので,単なる電池作用と似ている.表1-3におけるより卑な金属が腐食され,より貴な金属が保護される.」と記載されているところ(13頁8?10行)、表1-3(12頁)は次のとおりである。


次に、この「電池作用腐食」を、実験におけるボルト周辺のボンネット板の腐食に当てはめてみると、丸端子(黄銅製(防錆処理))を付けたボルト(クロムめっきの一種であるユニクロメッキを施した鋼製)をボンネット板(鋼製)に取り付けたことは異種の金属が接触している状態といえ、これらは屋外に置かれて雨水にさらされており、この雨水は電解質水溶液ということができる。
上記表1-3によれば、鋼は黄銅に対して、腐食側、すなわち、卑であるから、黄銅と鋼が直接接触すれば鋼が腐食することになり、これによって、ボルト周辺の鋼製のボンネット板が腐食し、赤茶色の錆が生じることになる。
しかし、上記「防食技術ハンドブック」に「電池作用腐食に対する防食法としては,両種の金属の直接接触でなく,その間に絶縁材料を入れて絶縁すればよい.」(13頁18?19行)と記載されているように、丸端子を付けたボルトとボンネット板との間に絶縁材料を入れて絶縁すれば、腐食を防止できるといえる。
ここで、塗装膜は絶縁材料といえるから、塗装膜が存在すればボンネット板は黄銅との接触が妨げられて腐食の進行が遅くなる。
これらの事項を踏まえてボルト周辺の腐食を検討すると、ボルトの取り付けに当たり、塗装膜が一部除去されており、この塗装膜の除去が両実験片に対して均一になされたことを裏付けるものは示されていない。そうすると、上記請求人の主張する「ソーラーパネルのある実験片と無い実験片で比べて、ボルト用の穴のボンネット板の錆び具合でソーラーパネルのあるほうが遅」いことは、塗装膜の除去の不均一に起因し、たまたま、ソーラーパネルのある方のボンネットに塗装膜が腐食を防止できる程度に残存して、ボルト周辺が絶縁され、塗装膜によって防食された結果であると推認される。
よって、ソーラーパネルをつないだボルト周辺のボンネット板の腐食が遅いということは、ソーラーパネルをつなぐことによって電気防食が起こっている裏付けにならない。

(ケ-4) 汚れの取れやすさについて
ソーラーパネルを取り付けると「汚れのこびりつきは明らかに変わり、こびりつき方は弱くなる」と請求人は、意見書2において主張する。
しかし、実験期間中、例えば、両方の試験片が共に手入れされていないことは何ら保証されていないから客観的な結果が得られる実験がなされていると認定することは困難であり、仮に、客観的な結果をもたらす実験であったとしても、この汚れのこびりつきに関し、ソーラーパネルを取り付けた試験片が「つるっとして」、付けていない試験片が「もさっとし」、ソーラーパネルを取り付けた試験片の方が汚れが取れやすいとの請求人の主張を裏付ける客観的な測定結果は何も示されていない。
しかも、上記(ケ-1)(オ)のカーシャンプー直後の照度(輝度)の測定結果をみると、平成27年3月18日から初めてカーシャンプーをした同年4月15日のカーシャンプーによって、3月18日以降の汚れは、同じように取れているといえる。すなわち、測定に使用した照度計(LX-1010B)の精度が±5%程度であること(意見書1と同時に提出したCD-Rに35.pdfとして記録されているファイルを参照。)を考慮すると、ソーラーパネルが接続されているか否かに関係なく、板照度(輝度)が実質的に同じであるとみてよく、カーシャンプーによって汚れが同じように取れているといえるから、ソーラーパネル装置に接続されることにより「車のボディの汚れが取れ易くな」っているとはいえず、「汚れが取れやすく」なるとの課題を解決できているとはいえない。

コ その他について
(コ-1) 審判請求書と同日に物件として提出されたCD-Rに記録されている、スズキ・セルボモード車とトヨタ・デュエット車との比較は、ソーラーパネル装置を装着する前の両車の比較がなされていないため、ソーラーパネル装置が接続された影響を正しく評価できず、さらに、写真のみからはソーラーパネル装置の接続により、「車のボディの汚れが取れ易くなり」、しかも「20日置きのカーシャンプーではカーシャンプーの頻度が多過すぎて今までの通常の輝きが10なら今回の発明を搭載した後は輝きは18ぐらいになる」という課題が解決していることは確認できない。
さらに、請求人は、意見書1において、「照度計を購入して、実験に取り掛かろうとしてみた。照度計を何台かの車のボディに当てると解ったことは、照度は車の色の差に大きく影響する。例えば、黒と白の照度は当然大違いだが、ホワイトとパールホワイトもかなりの差が出る」というように、ボディの色の違いも影響していると自認しているにもかかわらず、スズキ・セルボモード車とトヨタ・デュエット車との比較に当たり、ボディの色の影響を無視できる工夫がなされた痕跡もなく、この点においても、この比較が上記課題を解決していることの裏付けにはならない。
さらに、上記CD-Rに記録されている、本願の発明者がスズキ自動車のディラーによったときに撮影した写真における左の車(ワゴンRスティングレー)との比較に基づく、ソーラーパネル装置がもたらすボディの輝きに関する主張は、左の車とのボディの色の違いや、塗装の仕様が不明であるし、同車がどのような保守管理がなされているのかも説明されていないから、仮に、発明者の車と比較して輝きの差があったとしても、それがソーラーパネル装置の接続によってもたらされたものと断じることはできない。

(コ-2) 請求人が引用するスズキアリーナ サービス営業部 豊橋南の工場長の発言は、発明者の自動車のボディ塗装面の色艶に関するものであって、それがソーラーパネル装置の接続によりもたらされることや、その前提となる汚れが取れ易くなることを客観的事実の裏付けによって説明する内容とはいえないし、同工場長がセルボのソーラーパネルと同じ配線を付けて試したという主張も、本願発明の発明特定事項のとおりに、ソーラーパネルを自動車ボディに接続する配線をしたということには直ちにならないから、請求人の主張は採用しない。

サ 以上から、結局、前記ウ(ウ-7)及びクのとおり、本願発明は、「車のボディの汚れが取れ易くなり、20日置きのカーシャンプーではカーシャンプーの頻度が多過すぎて今までの通常の輝きが10なら今回の発明を搭載した後は輝きは18ぐらいになること」という課題を解決するものではない。

(5)本願発明が解決すべき課題を「間接的に燃費の向上に貢献すること」(すなわち、前記第2.記(1)(b))と認定した場合に、本願発明が当該課題を解決し得るか、についての検討

ア 本願明細書の発明の詳細な説明の記載には、前記(2)(カ)の【0028】及び(ケ)の【0054】のとおり、「自動車と自動車部品を汚れ難くし、自動車ボディ保護剤の効き目をより強力にし、また、効き目を長くし、自動車ボディ保護剤の輝きを増させる。図6の装置は、直接には燃費の向上に貢献できないが、車が汚れ難ければ、より車が汚れていないことになる。車が汚れていないほど、自動車はボディ・アースの構造を成しているため電気抵抗になるものが少なくなり、ガソリンエンジン車などではスパークプラグでの発火は綺麗で強くなり、このことは燃費の向上に関わる。このようにして、図6の装置は間接的に燃費の向上に貢献する。」と記載されている。

イ そうすると、この「間接的に燃費の向上に貢献すること」が課題として解決されるためには、「自動車と自動車部品を汚れ難くし、自動車ボディ保護剤の効き目をより強力にし、また、効き目を長くし、自動車ボディ保護剤の輝きを増させる」ことが前提となるが、本願発明において、この前提が達成されていないことは、上記(4)のとおりである。

ウ 仮に、本願発明において、この前提が達成されているとしても、「車が汚れていないほど、自動車はボディ・アースの構造を成しているため電気抵抗になるものが少なくなり、ガソリンエンジン車などではスパークプラグでの発火は綺麗で強くなり、燃費の向上すること」を裏付ける説明(作用・機序)や客観的な事実は何ら示されていないし、これらが技術常識であると認めるに足る証拠もない。
この点に関し、請求人は、自ら、意見書2において、「スパークプラグでの発火を強くするかは、本願発明では微妙な効き目に留まる。発火力の差が起きて、現実に役立っていると証明するのは不可能であって、間接的な貢献とした」と述べているように、上記のとおり客観的な事実による裏付けはなされていない。

エ よって、本願発明は、「間接的に燃費の向上に貢献すること」という課題を解決するものではない。

(6)本願発明が解決すべき課題を一驚するほどの安い低公害車を作ること(すなわち、前記第2.記(1)(a))と認定した場合に、本願発明が当該課題を解決し得るか、についての検討

ア 前記(2)(カ)の「【課題を解決するための手段】」に係る【0028】の記載をみてみると、
・図2?4では、ソーラーパネル装置を自動車バッテリーに対し並列的につないだこと
・図6の装置は、自動車のバッテリーとは直接関係がないこと
・図6の装置は、常時接続のソーラーパネルが発電中、自動車ボディや自動車ボディ保護剤に電気の流れを循環と放流させ、電気防食現象を起こし、自動車と自動車部品を汚れ難くし、自動車ボディ保護剤の効き目をより強力にし、また、効き目を長くし、自動車ボディ保護剤の輝きを増させること
・車が汚れていないほど、電気抵抗になるものが少なくなり、ガソリンエンジン車などではスパークプラグでの発火は綺麗で強くなり、このことは燃費の向上に関わり、図6の装置は間接的に燃費の向上に貢献すること
が、それぞれ、記載されているといえる。
また、前記(2)(ウ)の【0018】には、
・第1実施例において、タコメーターによるエンジンの回転数が一分あたり2800回転から一分あたり1600回転にまで落ちたこと、
さらに、前記(2)(イ)の【0009】には、
・ソーラーパネル装置により十分な電気が供給されエンジンの回転数が少なくなり、また、燃費が良くなったこと、
そして、前記(2)(エ)の【0025】には、
・発明者の作った装置は、云わば、燃費向上に役立つ商品やメカにとっての燃費向上のための中核・プラットフォームとなり、発明者のしようとしたことは二酸化炭素問題に対し、コストと低公害と実用性と現実性を極めた、驚異的な安い低公害車を提供することであること、
が、それぞれ、記載されている。
ここで、第1実施例とは、上記(2)(ク)の【0033】の記載からみて、図2に係るもの、すなわち、ソーラーパネル装置を自動車バッテリーに対し並列つなぎとしたものである。

イ そうすると、前記アの記載、特に「発明者の作った装置は、云わば、燃費向上に役立つ商品やメカにとっての燃費向上のための中核・プラットフォームとなり、発明者のしようとしたことは二酸化炭素問題に対し、コストと低公害と実用性と現実性を極めた、驚異的な安い低公害車を提供することであること」に照らすならば、「一驚するほどの安い低公害車を作る」という課題は、燃費の向上が前提であると解されるところであるが、前記(5)のとおり、本願発明は、「間接的に燃費の向上に貢献すること」という課題を解決するものではないから、前提が成り立たない。

ウ また、前記(2)(オ)【発明が解決しようとする課題】【0027】の記載「二酸化炭素問題が叫ばれる今、コストと低公害と実用性と現実性をより極め、一驚するほどの安い低公害車を作らなければならない。エンジンで走る車、モーターの動力を主体とする自動車、燃料電池自動車などあるが、最も普及しているエンジンで走る車を簡易改造することが最も急務であると思われた。本発明はこれらの問題を解決するためになされたものである。」に照らすならば、「一驚するほどの安い低公害車を作る」という課題は、単に、エンジンで走る従来の車を安いコストで簡単に改造することを意味するとも解されるが、前記イのとおり、本願明細書の記載から、本願発明によって燃費が向上するとはいえないし、また、本願明細書には、本願発明によってエンジンから排出される二酸化炭素や窒化物、硫化物について排出量が減っており、低公害車が得られると言い得る記載もない。

エ なお、前記(3)でも言及したとおり、「一驚するほどの安い低公害車を作ること」については、意見書(2)において、課題ではない旨の主張もなされている。

オ 以上から、本願発明は、「一驚するほどの安い低公害車を作る」という課題を解決するものではない。

(7)小括
以上から、本願発明の解決すべき課題を
(a)車のボディの汚れが取れ易くなり、20日置きのカーシャンプーではカーシャンプーの頻度が多過すぎて今までの通常の輝きが10なら今回の発明を搭載した後は輝きは18ぐらいになること、
(b)間接的に燃費の向上に貢献すること、
(c)一驚するほどの安い低公害車を作ること、
のいずれと認定しても、本願明細書の発明の詳細な説明には、本願発明がこの課題を解決できることを示す理由(作用・機序)や客観的な事実が何ら記載されておらず、当業者において本願発明が課題を解決できると認識することができないから、本願発明は明細書の発明の詳細な説明に裏付けられて(サポートされて)いるとはいえない。

(8)特許法第36条第4項第1号の要件適合性について
ア 平成27年10月5日付け拒絶理由通知書においては、「記(1)エ」の「エ-4」として、「マフラーやエンジンのどこか2点にソーラーパネルの+極と-極を接続させたときは+極と-極の最短距離に電気が流れるのであって、自動車ボディーには事実上、電気は流れないから」、本願発明の効果は奏されないと解されると、非常に単純な例を挙げて拒絶の理由を端的に説示したが、意見書2及び3を検討しても、この拒絶理由が解消されるべき合理的な釈明はない。(ちなみに、この例の場合にあっては、導電性部品において+極と-極を接続した2点間で、いわゆる抵抗加熱により局所的な発熱が生じる、と考えるのが常識的であり、これら+極・-極と導通するとも限らない自動車ボディーが全体的に汚れが取れ易くなるとは理解し難い。)

イ 平成28年7月19日付け拒絶理由通知書においては、前記第2.(2)のとおりの拒絶理由を説示した上で、<審尋>として、解決すべき課題が同拒絶理由において設定した課題のとおりでない場合には、何を課題とするものかを、明細書中の根拠となる記載も明示の上、簡潔に特定されたい、とも質したが、意見書3を検討しても、同審尋に対する回答はなく、前記第2.記(1)及び(2)に挙げた課題(a)(b)(c)(c’)以外の別の課題を挙げることもなく、平成27年10月5日付け拒絶理由通知書に記載の「エ-4」等の拒絶理由も含めて、通知した拒絶理由が解消される合理的な釈明もない。

ウ 前記(1)?(8)のとおり、本願明細書の発明の詳細な説明は、当業者が課題を解決できると認識することができないものであるから、目的とする技術効果を奏する発明として実施することができないことは明らかである。
よって、本願明細書は、特許法第36条第4項第1号に規定する実施可能要件に適合するものではないということができる。

エ また、仮に、平成27年10月5日付け拒絶理由通知書の「記(1)エ」の「エ-4」の例のとおりに電流を流すことをもって、その態様自体の実現は可能であるという意味で実施可能であるということができるとしても、当業者は、その態様の実現を、目的とする技術効果を奏するものとして認識することはできない、すなわち、本願発明を課題解決手段として認識することはできない。したがって、本願明細書の記載は、当業者が本願発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することによりなされたものであるということはできない。
よって、本願明細書は、特許法第36条第4項第1号に規定する委任省令要件(経済産業省令(特許法施行規則第24条の2))に適合するものではないということができる。

第4.むすび
以上のとおり、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしておらず、また、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号の規定を満たしていないから、本願発明は特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-11-02 
結審通知日 2016-11-08 
審決日 2016-11-25 
出願番号 特願2009-169642(P2009-169642)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (C23F)
P 1 8・ 536- WZ (C23F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 寿美  
特許庁審判長 池渕 立
特許庁審判官 板谷 一弘
小川 進
発明の名称 電流循環装置  
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