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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1339827
審判番号 不服2017-14306  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-27 
確定日 2018-05-22 
事件の表示 特願2013-255996「入力装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月22日出願公開、特開2015-114816、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年12月11日の出願であって、平成29年2月14日付けで拒絶理由通知がされ、同年4月7日付けで手続補正がされ、同年7月12日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年9月27日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に、手続補正がされ、同年12月5日付けで前置報告がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年7月12日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

(進歩性)この出願の請求項1-2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記1-2の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2006-107140号公報
2.特開2010-231609号公報

第3 本願発明
本願請求項1-2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明2」という。)は、平成29年9月27日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-2に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
表示画面上に操作対象を表示するディスプレイと、
前記ディスプレイの前記表示画面に対応した操作面に対する接触位置に基づき操作信号を出力するタッチセンサと、
前記タッチセンサの操作面に対する押圧力を検出して検出信号を出力する力センサと、
振動制御信号に基づき前記タッチセンサに振動を付与する振動子と、
前記操作信号を受信し、前記接触位置が前記表示画面上の前記操作対象に対応する領域にある場合であって、前記検出信号に基づき前記タッチセンサの操作面を押す押圧力が予め定めた値以上である場合は、超音波域でない帯域の周波数で前記振動子を振動させて前記接触位置が前記操作対象に対する領域にあることを呈示し、前記タッチセンサの操作面を押す押圧力が予め定めた値より小さい場合、超音波域の周波数の波形を超音波域でない帯域の周波数の変調波で振幅変調した波形で前記振動子を振動させて周期的に変化する摩擦抵抗を感じさせる操作感を与える振動制御信号を出力するコントローラとを有する入力装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記検出信号に基づき前記タッチセンサの操作面を押す押圧力が予め定めた値以上である場合は、数十から数百Hzの周波数で前記振動子を振動させ、前記タッチセンサの操作面を押す押圧力が予め定めた値より小さい場合、数十kHzの周波数の波形を周波数が数十から数百Hzの変調波で振幅変調した波形で、前記振幅変調した波形の腹と節が周期的に変化して前記振動子を振動させる振動制御信号を出力する請求項1に記載の入力装置。」

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

a)「【0152】
図19は、携帯端末装置600の主要部の構成例を示すブロック図である。図19に示す携帯端末装置600は、制御装置50’及び入出力装置400を有している。制御装置50’は、例えば、アナログ・デジタル(以下A/Dという)コンバータ51、デジタル/アナログ(以下D/Aという)コンバータ52、メモリ53、プロセッサ54、CPU55、電流アンプ56、オペアンプ87a?87d及びコンパレータ88から構成される。制御装置50’は、タッチパネル61から出力される操作データD3に基づいて振動制御電圧Vaを発生する。
【0153】
入出力装置400は、タッチパネル61、表示手段62及び振動発生手段63から構成される。タッチパネル61は、図12に示したような入力手段84及び入力処理部86等から構成される。入力手段84の機能としては、表示画面上の操作者の指の接触位置を検出して位置検出信号を出力する。この例では、メニュー画面やアイコンボタン等の入力項目が押下されたとき、例えば、入力処理部86が位置検出信号を処理して座標入力位置情報を構成する操作データD3をCPU55に出力する。表示手段62は、CPU55から出力される表示データD2に基づいてメニュー画面やアイコンボタン等の入力項目を表示する。
【0154】
この例で、入出力装置400には振動発生手段63が備えられる。振動発生手段63は、4つのアクチュエータ100a?100d、図17に示した振動伝達機構64等を有している。アクチュエータ100a?100d等は制御装置50’に接続される。アクチュエータ100a?100dは、制御装置50’から出力される振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指30に触覚を提示すると共に、当該操作者の指30の接触位置における力を検出して力検出信号SVdを出力する。
【0155】
制御装置50’は、アクチュエータ100a?100dの、図7に示した積層圧電体群14cの中央電極13から得られる力検出信号SVdに基づいて積層圧電体群14a、14bの主電極IEへの給電制御を実行する。制御装置50’は、アクチュエータ100a?100dが振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指30に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ100a?100dが押下されたとき、アクチュエータ100a?100dから力検出信号SVdを入力し、振動制御電圧Vaと力検出電圧Vd’とを入力して差を演算することにより力検出情報を判別するようになされる。
【0156】
この例でも、アクチュエータ100aには、オペアンプ87aが接続される。オペアンプ87aは、中央電極13に接続され、この中央電極13から出力される力検出信号SVd(検出電圧Vd)を増幅して、コンパレータ88に出力する。他のアクチュエータ100b?100dにも、1つずつオペアンプ87b?87dが接続される。4つのオペアンプ87a?87dの出力は、例えば、コンパレータ88の+端子(q点)にまとめて接続される。もちろん、これに限られることはなく、q点に論理和回路等を挿入してもよい。
【0157】
コンパレータ88は、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ100a等が押下されたとき、アクチュエータ100aから出力され、オペアンプ87a等を介して入力される力検出電圧Vd’とアクチュエータ100a?100dに出力される振動制御電圧Vaとを入力して差を演算することにより力検出電圧VdをA/Dコンバータ51に出力する。
【0158】
A/Dコンバータ51では、コンパレータ88から得られた検出電圧VdをA/D変換してデジタルの力検出データDdを出力する。A/Dコンバータ51にはプロセッサ54が接続され、CPU55の演算制御を補助するように動作する。例えば、プロセッサ54は、力検出データDdに基づいてアクチュエータ100a?100dへの給電制御を実行する。この給電制御によれば、A/Dコンバータ51から力検出データDdを入力し、この力検出データDdに基づいて振動波形パターンを決定し、パターン決定データDd’をCPU55に通知する。プロセッサ54にはデジタル信号処理装置(以下DSPという)が使用される。
【0159】
プロセッサ54にはメモリ53が接続され、各種振動パターンデータDpが格納されている。例えば、操作受付けを示すアクナレッジ波形パターンP10、各種触覚波形を与える振動制御波形パターンP11、P12、P13、P14が格納される。振動制御波形パターンP11は、クリック感、例えば、剛性感を発生するいわゆる矩形波パターンである。振動制御波形パターンP12は、ハートビートのようなリズム感覚を感じるようなデジタル波形パターンである。振動制御波形パターンP13は、連続的な動きを発生する動作感を感じるような波形パターンである。振動制御波形パターンP14は、普通のタッチパネル面の反応、すなわち、ほぼ一定の振動変位を与えるパターンである。
【0160】
プロセッサ54には、メモリ53の他にCPU55が接続され、操作データD3及びパターン決定データDd’に基づいて振動波形パターン読出しを決定する。CPU55はプロセッサ54にパターン読出許可命令Dcを出力する。プロセッサ54は、パターン読出許可命令Dcに基づいてメモリ53から振動パターンデータDpを読み出してD/Aコンバータ52にセットする。
【0161】
プロセッサ54には、D/Aコンバータ52が接続され、プロセッサ54によって読み出され振動パターンデータDpをD/A変換した後に、アナログの振動制御信号SVaを電流アンプ56に出力する。電流アンプ56は、出力アンプの一例であり、振動制御信号SVaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。振動制御電圧Vaは、アクチュエータ100a?100dでアクチュエータとして機能する積層圧電体群14a、14bに供給される。この給電制御により、操作者の指30に触覚刺激を付与するようになされる。なお、プロセッサ54、D/Aコンバータ52及び電流アンプ56は、図12に示したアクチュエータ駆動回路37を構成する。」(下線は当審で付与。以下、同様。)

b.「【0165】
図20において、使用者の指30がメニュー画面に表示されたアイコン31、32、33又は34上をタッチパネル61を介して触れると、その触れた位置の座標位置情報が操作データD3となってCPU55に出力される。CPU55は、使用者の指30が触れられたアイコン、例えば、アイコン31に対応する振動制御波形パターンP11を特定する。CPU55は、アイコン31に対応する振動制御波形パターンP11をメモリ53から読み出すようにプロセッサ54を制御する。
【0166】
プロセッサ54は、メモリ53から振動制御波形パターンP11を与える振動パターンデータDpを読み出してD/Aコンバータ52にセットする。D/Aコンバータ52は、プロセッサ54によって読み出され振動パターンデータDpをD/A変換した後に、アナログの振動制御信号SVaを電流アンプ56に出力する。電流アンプ56は、振動制御信号SVaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。当該振動制御電圧Vaは、アクチュエータ100a?100dでアクチュエータとして機能する積層圧電体群14a、14bに供給される。これにより、タッチパネル面ではアイコン31に対応したクリック感のある振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示される。
【0167】
アイコン32に触れた場合は、タッチパネル面において、振動制御波形パターンP12に基づくハートビートのようなリズム感覚を感じるような振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示される。また、アイコン33に触れた場合は、タッチパネル面において、振動制御波形パターンP13に基づく連続的な動きを発生する動作感を感じるような振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示される。アイコン34に触れた場合は、振動制御波形パターンP14に基づく普通のタッチパネル面の反応、すなわち、ほぼ一定の振動変位を与えるのみである。
【0168】
また、使用者が指先をタッチパネル面から離したり、又は、タッチパネル面上をスライドさせ、アイコン31等が表示されているエリアから外れた場合は、随時、タッチパネル61からCPU55へ出力されるの座標位置情報により、CPU55がアイコンタッチ有無を判断して、アクチュエータ100a?100dに対する振動制御電圧Vaをリセットするようになされる。このリセット動作によって、タッチパネル面の振動は停止する。このように、使用者は、アイコン31や、32、33、34等を眼で確認しなくても、タッチパネル面に触れることにより、自分がどのアイコン31、32、33又は34を選択しようとしているかを知ることができる。このように、アクチュエータ100a?100d等をアクチュエータ機能として動作させることができる。」

c.「【0173】
[アクチュエータ及び力検出センサの一連の動作例]
図21A?Cは、入出力装置400における一連の動作例及び波形例を示す図である。図21B及びCにおいて、横軸は時刻t及び指30の接触位置Xである。縦軸は振動制御波形パターンP10?P13に基づく振動制御電圧Va及び力検出信号SVdの合成値[V]である。
【0174】
第6の実施例では、使用者がアイコン31上を左側から右側にスライドしてアイコン33を探し、それを選択する場合を例に挙げる。この場合のアクチュエータ100a?100dの一連の働きを、具体的な振動制御波形パターンP10?P13に基づくアクチュエータ機能と、力検出センサ機能で検出される力検出信号SVdとを用いて説明をする。
【0175】
図21Aにおいて、使用者は、図中(イ)の位置、すなわち、開始点(イ)を起点に、アイコン31の左端部から所望のアイコン33を探し出すために、右矢印の方向に、使用者の指30をタッチパネル61上にスライドする。所望のアイコン33上に指30が到達した時点(位置)で選択動作を行なう。
【0176】
これらを操作条件にして、まず、開始点(イ)において、すなわち、時刻t0では、使用者がアイコン31、33のいずれにも触れていない状態なので、図21Bに示す振動制御電圧Vaのレベルは0である。これは、タッチパネル面が振動制御波形パターンP11等に基づく振動制御電圧Vaに比例して変位するが、このときは当該振動制御電圧Vaが0で振動がないためである。この場合、使用者は何も感じないのである。一方で力検出信号SVdとしては、使用者がタッチパネル面に軽く指30を触れているだけなので、それに応じた力検出信号SVdが現れる。このときの力検出信号SVdは、図21Cに示すように閾値を下回る電圧である。
【0177】
次に、使用者が指30をスライドさせ、時刻t1で位置x1のアイコン31上に到達すると、プロセッサ54は、メモリ53から予め定義された振動制御波形パターンP11をD/Aコンバータ52にセットする。D/Aコンバータ52では、プロセッサ54によって読み出され振動パターンデータDpをD/A変換した後に、アナログの振動制御信号SVaを電流アンプ56に出力する。電流アンプ56は、振動制御信号SVaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。当該振動制御電圧Vaは、アクチュエータ100a?100dでアクチュエータとして機能する積層圧電体群14a、14bに供給される。
【0178】
これにより、タッチパネル面ではアイコン31に対応したクリック感のある振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示される。この際の力検出信号SVdについては、使用者がタッチパネル61に触れていることによる検出電圧Vdと、振動制御波形パターンP11によるアクチュエータ100a?100d等の変形による振動制御電圧Vaとを重畳させた力検出電圧Vd’になる。
【0179】
さらに、使用者が指30を右側に移動させると、時刻t2で位置x2のアイコン31から外れるので、再び、開始点(イ)と同じ状態になる。この状態は、時刻t3で位置x3のアイコン33上まで行くと、そのアイコン33に応じた振動制御波形パターンP13がメモリ53からD/Aコンバータ52にセット(出力)される。D/Aコンバータ52では、プロセッサ54によって読み出され振動パターンデータDpをD/A変換した後に、アナログの振動制御信号SVaを電流アンプ56に出力する。
【0180】
電流アンプ56は、振動制御信号SVaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。当該振動制御電圧Vaは、アクチュエータ100a?100dでアクチュエータとして機能する積層圧電体群14a、14bに供給される。これにより、タッチパネル面では振動制御波形パターンP13に基づく連続的な動きを発生する動作感を感じるような振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示される。
【0181】
ここで使用者がこのアイコン33を選択するために、時刻t4で位置x4のタッチパネル面を押し込む。すると、力検出信号SVdの値は押圧力Fに比例して大きくなる。この力検出信号SVdの値が予め設定してある、図21Cに示す閾値Vthを超えたとき、CPU55は、使用者による選択がなされたと判断する。この判断をしたCPU55は、使用者による操作を受け付けたことを示すアクナレッジ波形パターンP10をメモリ53から読み出してD/Aコンバータ52に出力する。これによって、アクナレッジ波形パターンP10に基づいて急峻に立ち上るような振動が発生し、使用者は自分の選択行為がCPU55に受け付けられたことを知る(確認)することができる。」

上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、携帯端末装置として、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「携帯端末装置600は、制御装置50’及び入出力装置400を有して、
制御装置50’は、例えば、アナログ・デジタル(以下A/Dという)コンバータ51、デジタル/アナログ(以下D/Aという)コンバータ52、メモリ53、プロセッサ54、CPU55、電流アンプ56、オペアンプ87a?87d及びコンパレータ88から構成され、
制御装置50’は、タッチパネル61から出力される操作データD3に基づいて振動制御電圧Vaを発生し、
入出力装置400は、タッチパネル61、表示手段62及び振動発生手段63から構成され、
タッチパネル61は、メニュー画面やアイコンボタン等の入力項目が押下されたとき、座標入力位置情報を構成する操作データD3をCPU55に出力し、
表示手段62は、CPU55から出力される表示データD2に基づいてメニュー画面やアイコンボタン等の入力項目を表示し、
入出力装置400には振動発生手段63が備えられ、
振動発生手段63は、4つのアクチュエータ100a?100d等を有し、
アクチュエータ100a?100dは、制御装置50’から出力される振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指30に触覚を提示すると共に、当該操作者の指30の接触位置における力を検出して力検出信号SVdを出力し、
制御装置50’は、アクチュエータ100a?100dから得られる力検出信号SVdに基づいて力検出情報を判別するようになされ、
オペアンプ87aは、力検出信号SVd(検出電圧Vd)を増幅して、コンパレータ88に出力し、
コンパレータ88は、力検出電圧VdをA/Dコンバータ51に出力し、
A/Dコンバータ51では、検出電圧VdをA/D変換してデジタルの力検出データDdを出力し、
A/Dコンバータ51にはプロセッサ54が接続され、CPU55の演算制御を補助するように動作し、
プロセッサ54は、力検出データDdに基づいてアクチュエータ100a?100dへの給電制御を実行し、
この給電制御によれば、A/Dコンバータ51から力検出データDdを入力し、この力検出データDdに基づいて振動波形パターンを決定し、パターン決定データDd’をCPU55に通知し、
プロセッサ54にはメモリ53が接続され、各種振動パターンデータDpが格納され、例えば、操作受付けを示すアクナレッジ波形パターンP10、各種触覚波形を与える振動制御波形パターンP11、P12、P13、P14が格納されており、
プロセッサ54には、メモリ53の他にCPU55が接続され、操作データD3及びパターン決定データDd’に基づいて振動波形パターン読出しを決定し、
CPU55はプロセッサ54にパターン読出許可命令Dcを出力し、
プロセッサ54は、パターン読出許可命令Dcに基づいてメモリ53から振動パターンデータDpを読み出してD/Aコンバータ52にセットし、
プロセッサ54には、D/Aコンバータ52が接続され、プロセッサ54によって読み出され振動パターンデータDpをD/A変換した後に、アナログの振動制御信号SVaを電流アンプ56に出力し、
電流アンプ56は、振動制御信号SVaに基づいて振動制御電圧Vaを発生し、
振動制御電圧Vaは、アクチュエータ100a?100dに供給され、
使用者の指30がメニュー画面に表示されたアイコン上をタッチパネル61を介して触れると、その触れた位置の座標位置情報が操作データD3となってCPU55に出力され、
CPU55は、使用者の指30が触れられたアイコン、例えば、アイコン31に対応する振動制御波形パターンP11を特定し、
CPU55は、アイコン31に対応する振動制御波形パターンP11をメモリ53から読み出すようにプロセッサ54を制御し、
プロセッサ54は、メモリ53から振動制御波形パターンP11を与える振動パターンデータDpを読み出してD/Aコンバータ52にセットし、
D/Aコンバータ52は、プロセッサ54によって読み出され振動パターンデータDpをD/A変換した後に、アナログの振動制御信号SVaを電流アンプ56に出力し、
電流アンプ56は、振動制御信号SVaに基づいて振動制御電圧Vaを発生し、当該振動制御電圧Vaは、アクチュエータ100a?100dに供給され、これにより、タッチパネル面ではアイコン31に対応したクリック感のある振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示されるものであり、
使用者が指30を右側に移動させ、アイコン33上まで行くと、そのアイコン33に応じた振動制御波形パターンP13がメモリ53からD/Aコンバータ52にセット(出力)され、これにより、タッチパネル面では振動制御波形パターンP13に基づく連続的な動きを発生する動作感を感じるような振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示され、
ここで使用者がこのアイコン33を選択するために、タッチパネル面を押し込むと、力検出信号SVdの値は押圧力Fに比例して大きくなり、この力検出信号SVdの値が予め設定してある、閾値Vthを超えたとき、CPU55は、使用者による選択がなされたと判断し、CPU55は、使用者による操作を受け付けたことを示すアクナレッジ波形パターンP10をメモリ53から読み出してD/Aコンバータ52に出力し、アクナレッジ波形パターンP10に基づいて急峻に立ち上るような振動が発生し、使用者は自分の選択行為がCPU55に受け付けられたことを知ることができる
携帯端末装置600。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

d)「【0021】
実施の形態1
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係る触感呈示装置1の機能的な構成を示すブロック図である。この触感呈示装置1は、表示手段11、接触検出手段12、振動発生手段13、振動波形データ生成手段14、超音波変調手段15を備える。
【0022】
前記表示手段11は、所定の画像を映し出すものであって、例えば液晶パネル、有機ELディスプレイ等を含んで構成される。
【0023】
前記接触検出手段12は、前記表示手段11上に使用者の指等の操作部位を接触させた時の状態を検出するものであり、各種センサを備えるタッチパネル機構を含んで構成される。このセンサとしては、位置、速度、加速度、押圧、押圧変化率等を検出可能なものが好適である。
【0024】
前記振動発生手段13は、前記表示手段11に接触している前記操作部位に対し、所定の触感を与える触感振動を発生させるものであり、前記表示手段11に重ねるように配置される振動伝達パネル、この振動伝達パネルに所定の振動波を出力するアクチュエータ等を含んで構成される。
【0025】
前記振動波形データ生成手段14は、前記接触検出手段12による検出結果に基づいて、前記振動発生手段13による振動波を発生させるための波形データを生成するものであり、所定の制御プログラムを含むMPU(Micro Processing Unit)等により構成される。
【0026】
前記超音波変調手段15は、前記振動波形データ生成手段14により生成された波形データに対し、超音波、即ち可聴帯域より高い周波数(およそ20kHz以上)を有する振動波を搬送波として変調処理を行い、超音波変調信号を生成するものである。この超音波変調信号は、前記振動発生手段13に出力され、所定の触感を呈示する振動波を発生させるための信号として利用される。この超音波変調手段15は、所定の制御プログラムを含むMPU等により構成される。
【0027】
図2は、前記触感呈示装置1を所定のコンピュータシステムを用いて構成した例を示すブロック図である。このコンピュータシステムは、中央処理装置21、記憶装置22、入力装置23、出力装置24、バス25を備えている。図3は、前記触感呈示装置1のハード構成を概略的に示す図である。この触感呈示装置1は、前記コンピュータシステムの一部を構成するMPU20、ディスプレイ51、タッチパネル機構41、振動発生機構50を備えている。
【0028】
図2において、前記中央処理装置21は、CPU(Central Processing Unit)により構成され、前記記憶装置22に格納されたプログラムに従い、各種制御及び演算を行う。
【0029】
前記記憶装置22は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等により構成され、その記憶領域として、プログラムメモリ31、データメモリ32を備えている。前記プログラムメモリ31には、前記超音波変調手段15に係る処理を実行する超音波変調プログラム35、又後述する波形データ36から最適な波形データを抽出する波形データ抽出プログラム36等が格納されている。前記データメモリ32には、各種の前記波形データを格納する振動波形データベース(DB)37、前記ディスプレイ51に表示される画像のデータを格納する画像データベース(DB)38等が備えられている。
【0030】
前記入力装置23には、前記タッチパネル機構41が含まれている。このタッチパネル機構41は、物理的には前記ディスプレイ51と一体に構成されている。
【0031】
前記出力装置24には、前記ディスプレイ51、アクチュエータ52、振動伝達パネル53等が含まれている。これらアクチュエータ52及び振動伝達パネル53は、前記振動発生機構50の一部を構成する。前記アクチュエータ52は入力される信号により前記振動伝達パネル53に振動波を発生させ、この振動伝達パネル53に発生した振動は、前記操作部位によって感じ取られる。
【0032】
図4は、本実施の形態に係るMPU20による処理を示すブロック図である。同図が示すように、前記タッチパネル機構41により検出された接触状態情報101と、前記ディスプレイ51に所定の画像55を表示させる画像データ102とに基づいて、前記振動波形DB37から最適な波形データを抽出する最適波形抽出処理103が行われる。前記接触状態情報101は、前記ディスプレイ51上における前記接触部位56の座標データ、前記接触部位56の移動方向、移動速度、接触圧力、接触時間等を示す情報であることが好ましい。前記接触状態情報101と前記画像データ102とを参照することにより、前記接触部位56が、前記ディスプレイ51上のどの画像55をどのように触っているかを判定することができる。この判定結果に基づいて、最適な触感を呈示する前記波形データを前記駆動波形データベース37から抽出することができる。また、前記接触状態情報101、前記画像データ102等に基づいて、新規に波形データを生成してもよいことは無論である。
【0033】
そして、上記のようにして生成(抽出)された最適な波形データは、超音波変調処理104を施されて超音波変調信号105となり、前記振動発生機構50のアクチュエータ52にその駆動信号として出力される。
【0034】
前記超音波変調処理104は、前記最適波形抽出処理103により抽出された、又はその他の処理により生成された最適な波形データに対し、超音波を搬送波として変調処理を行うものである。この超音波変調処理104においては、周波数変調、位相変調、振幅変調が行われる。周波数変調や位相変調は、振幅変調の場合よりも高い復調効率を示す。また、周波数変調又は位相変調を行うと共に、振幅変調を行うことにより、最も高い復調効率を得ることができる。そして、ここで使用される振幅変調方式は、抑圧搬送波片側波帯振幅変調(SSB:Single Sideband)であることが好ましい。抑圧搬送波両側波帯振幅変調(DSB: Double Sideband)を用いると、復調時にノイズが発生しやすい傾向がある。
【0035】
図5は、本実施の形態に係るMPU20による処理の流れを示すフローチャートである。前記タッチパネル機構41からの信号により、前記ディスプレイ51上で前記接触部位56が接触している場所の座標情報が取得されると(S201)、その接触点が、指定画像範囲内にあるか否かが判定される(S202)。この指定画像範囲とは、前記接触部位56に触感を呈示するべき範囲であり、前記ディスプレイ51に映し出される画像の位置、前記振動発生機構50の振動効果の有効範囲等に基づいて、適宜設定されるものである。
【0036】
前記ステップS202において、前記接触部位56が前記指定画像範囲内にあると判定された場合(YES)には、前記接触部位56がその接触点に一定時間以上静止しているか否かが判定される(S203)。このステップS203において、一定時間以上静止していると判定された場合(YES)には、前記振動発生機構50により、前記接触部位56にクリック感、又はそれに相当する触感を呈示する処理を行う(S204)。
【0037】
前記ステップS203において、前記接触部位56が一定時間以上静止していないと判定された場合(NO)には、前記接触部位56が移動したか否かが判定される(S205)。このステップS205において、前記接触部位56が移動していないと判定された場合(NO)には、波形出力の一時停止、条件に応じた別波形の出力等の静止処理を行う(S206)。一方、前記ステップS205において、前記接触部位56が移動した判定された場合(YES)には、画像に応じた触感を呈示する触感処理を行う(S207)。この触感処理において、特定の画像範囲に応じた呈示波形の選定、速度・加速度に応じた振幅・周波数の調整等が行われる。その後、再び前記接触部位56が指定画像範囲内にあるか否かが判定され(S208)、範囲内にあると判定された場合(YES)には、前記ステップS205を実行し、範囲内にないと判定された場合(NO)には、前記ステップS202を実行する。
【0038】
上記構成の触感呈示装置1によれば、低騒音化と、操作感の多様化とを同時に実現することができる。また、前記超音波変調処理104において、周波数変調又は位相変調と共に振幅変調を行うことにより、高い復調効率を保ったまま電力消費を抑制することができる。」

3.その他の文献について
また、前置報告において引用された、昆陽 雅司 他,"超音波振動の振幅変調を用いた複合触覚呈示法",ロボティクス・メカトロニクス講演会講演論文集 2005,(日本),日本機械学会,2005年 6月,1P1-N-101(1)- 1P1-N-101(4)(以下、「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。

e)「3. 超音波振動子の設計・製作
3.1 振幅変調による刺激法
超音波振動子は従来から触覚ディスプレイに用いられてきたが,スクィーズ効果を用いて摩擦力の変化を利用したものが多かった^(4,5))。本研究では,Fig.2のように,超音波振動の振幅変調を用いて振動刺激の周波数成分を生成する。振幅を数Hz?200Hzで周期的に変調することで,超音波振動子の振幅の変化が皮膚に伝わり,触覚受容器の応答特性に応じた振動成分を生成することが可能になると考えられる。このとき,超音波の振動は触覚受容器の周波数感度限界を超えているため,超音波振動自体を触覚受容器が検出することはない。」(1P1-N-101(2)頁左欄第8-19行)

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア.引用発明は、「表示手段62は、CPU55から出力される表示データD2に基づいてメニュー画面やアイコンボタン等の入力項目を表示」するものであるから、引用発明の「表示手段62」は、本願発明1の「表示画面上に操作対象を表示するディスプレイ」に相当する。

イ.引用発明は、「タッチパネル61は、メニュー画面やアイコンボタン等の入力項目が押下されたとき、座標入力位置情報を構成する操作データD3をCPU55に出力」するものであるから、引用発明の「タッチパネル61」は、本願発明1の「前記ディスプレイの前記表示画面に対応した操作面に対する接触位置に基づき操作信号を出力するタッチセンサ」に相当する。

ウ.引用発明は、「入出力装置400には振動発生手段63が備えられ、振動発生手段63は、4つのアクチュエータ100a?100d等を有し、アクチュエータ100a?100dは、制御装置50’から出力される振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指30に触覚を提示すると共に、当該操作者の指30の接触位置における力を検出して力検出信号SVdを出力」するものであるから、引用発明の「アクチュエータ100a?100d」は、本願発明1の「前記タッチセンサの操作面に対する押圧力を検出して検出信号を出力する力センサ」に相当し、また、引用発明の「アクチュエータ100a?100d」は、本願発明1の「振動制御信号に基づき前記タッチセンサに振動を付与する振動子」に相当する。

エ.引用発明は、「使用者の指30がメニュー画面に表示されたアイコン上をタッチパネル61を介して触れると、その触れた位置の座標位置情報が操作データD3となってCPU55に出力され、CPU55は、使用者の指30が触れられたアイコン、例えば、アイコン31に対応する振動制御波形パターンP11を特定し、CPU55は、アイコン31に対応する振動制御波形パターンP11をメモリ53から読み出すようにプロセッサ54を制御」するものであり、「使用者が指30を右側に移動させ、アイコン33上まで行くと、そのアイコン33に応じた振動制御波形パターンP13がメモリ53からD/Aコンバータ52にセット(出力)され、これにより、タッチパネル面では振動制御波形パターンP13に基づく連続的な動きを発生する動作感を感じるような振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示され」、また、「ここで使用者がこのアイコン33を選択するために、タッチパネル面を押し込むと、力検出信号SVdの値は押圧力Fに比例して大きくなり、この力検出信号SVdの値が予め設定してある、閾値Vthを超えたとき、CPU55は、使用者による選択がなされたと判断し、CPU55は、使用者による操作を受け付けたことを示すアクナレッジ波形パターンP10をメモリ53から読み出してD/Aコンバータ52に出力し、アクナレッジ波形パターンP10に基づいて急峻に立ち上るような振動が発生」するものであるから、引用発明は、本願発明1の「前記操作信号を受信し、前記接触位置が前記表示画面上の前記操作対象に対応する領域にある場合であって、前記検出信号に基づき前記タッチセンサの操作面を押す押圧力が予め定めた値以上である場合は、超音波域でない帯域の周波数で前記振動子を振動させて前記接触位置が前記操作対象に対する領域にあることを呈示」することと、「前記操作信号を受信し、前記接触位置が前記表示画面上の前記操作対象に対応する領域にある場合であって、前記検出信号に基づき前記タッチセンサの操作面を押す押圧力が予め定めた値以上である場合は、所定の周波数で前記振動子を振動させる」点では共通する構成を有するといえる。

オ.引用発明は、「使用者が指30を右側に移動させ、アイコン33上まで行くと、そのアイコン33に応じた振動制御波形パターンP13がメモリ53からD/Aコンバータ52にセット(出力)され、これにより、タッチパネル面では振動制御波形パターンP13に基づく連続的な動きを発生する動作感を感じるような振動が発生し」、「ここで使用者がこのアイコン33を選択するために、タッチパネル面を押し込むと、力検出信号SVdの値は押圧力Fに比例して大きくなり、この力検出信号SVdの値が予め設定してある、閾値Vthを超えたとき、CPU55は、使用者による選択がなされたと判断し、CPU55は、使用者による操作を受け付けたことを示すアクナレッジ波形パターンP10をメモリ53から読み出してD/Aコンバータ52に出力し、アクナレッジ波形パターンP10に基づいて急峻に立ち上るような振動が発生」するものであるから、引用発明は、力検出信号SVdの値が予め設定してある、閾値Vth以下のときに、タッチパネル面では振動制御波形パターンP13に基づく連続的な動きを発生する動作感を感じるような振動が発生するものであることは明らかであり、引用発明は、本願発明1の「前記タッチセンサの操作面を押す押圧力が予め定めた値より小さい場合、超音波域の周波数の波形を超音波域でない帯域の周波数の変調波で振幅変調した波形で前記振動子を振動させて周期的に変化する摩擦抵抗を感じさせる操作感を与える振動制御信号を出力する」ことと、「前記タッチセンサの操作面を押す押圧力が予め定めた値より小さい場合、前記所定の周波数の波形とは異なる波形で前記振動子を振動させる振動制御信号を出力する」点では共通する構成を有するといえる。

カ.引用発明の「制御装置50’は、例えば、アナログ・デジタル(以下A/Dという)コンバータ51、デジタル/アナログ(以下D/Aという)コンバータ52、メモリ53、プロセッサ54、CPU55、電流アンプ56、オペアンプ87a?87d及びコンパレータ88から構成され」、「制御装置50’は、タッチパネル61から出力される操作データD3に基づいて振動制御電圧Vaを発生」するものであるから、引用発明の「制御装置50’」は、以下の相違点を除き、本願発明1の「コントローラ」に相当する。

キ.引用発明の「携帯端末装置600は、制御装置50’及び入出力装置400を有」するものであるから、「入力装置」ともいい得るものである。

したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。

〈一致点〉
「表示画面上に操作対象を表示するディスプレイと、
前記ディスプレイの前記表示画面に対応した操作面に対する接触位置に基づき操作信号を出力するタッチセンサと、
前記タッチセンサの操作面に対する押圧力を検出して検出信号を出力する力センサと、
振動制御信号に基づき前記タッチセンサに振動を付与する振動子と、
前記操作信号を受信し、前記接触位置が前記表示画面上の前記操作対象に対応する領域にある場合であって、前記検出信号に基づき前記タッチセンサの操作面を押す押圧力が予め定めた値以上である場合は、所定の周波数で前記振動子を振動させ、前記タッチセンサの操作面を押す押圧力が予め定めた値より小さい場合、前記所定の周波数の波形とは異なる波形で前記振動子を振動させる振動制御信号を出力するコントローラとを有する入力装置。」

〈相違点1〉
「操作面を押す押圧力が予め定めた値以上である場合」、本願発明1は、「前記接触位置が前記操作対象に対する領域にあることを呈示」するために「超音波域でない帯域の周波数」で「振動子を振動させ」るものであるのに対し、引用発明は、「使用者は自分の選択行為がCPU55に受け付けられたことを知ることができる」ようにするために、「アクナレッジ波形パターンP10」に基づいて振動が発生するものである点。

〈相違点2〉
「操作面を押す押圧力が予め定めた値より小さい場合」、本願発明1は、「超音波域の周波数の波形を超音波域でない帯域の周波数の変調波で振幅変調した波形で前記振動子を振動させて周期的に変化する摩擦抵抗を感じさせる操作感を与える振動制御信号を出力する」ものであるのに対し、引用発明は、「連続的な動きを発生する動作感を感じるような振動が発生」する「振動制御波形パターンP13」を与える振動パターンデータDpを「プロセッサ54」は読み出し、「プロセッサ54によって読み出され振動パターンデータDpをD/A変換した後に、アナログの振動制御信号SVaを電流アンプ56に出力」するものであるが、「振動制御波形パターンP13」は「超音波域の周波数の波形を超音波域でない帯域の周波数の変調波で振幅変調した波形で前記振動子を振動させて周期的に変化する摩擦抵抗を感じさせる操作感を与える」ものとは特定されていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討すると、
上記「第4」の「2.」に摘記されるように、引用文献2には、「タッチパネル機構41により検出された接触状態情報101と、前記ディスプレイ51に所定の画像55を表示させる画像データ102とに基づいて、前記振動波形DB37から最適な波形データを抽出し、抽出された最適な波形データは、超音波変調処理104を施されて超音波変調信号105となり、前記振動発生機構50のアクチュエータ52にその駆動信号として出力され、前記超音波変調処理104は、抽出された波形データに対し、超音波を搬送波として振幅変調処理を行う」技術が記載されている。
また、上記「第4」の「3.」に摘記されるように、引用文献3には、「超音波振動の振幅変調を用いて振動刺激の周波数成分を生成し、振幅を数Hz?200Hzで周期的に変調することで,超音波振動子の振幅の変化が皮膚に伝わり,触覚受容器の応答特性に応じた振動成分を生成する」技術が記載されている。
しかしながら、引用文献2,引用文献3に記載された技術はいずれも、「操作面を押す押圧力が予め定めた値より小さい場合」に「超音波域の周波数の波形を超音波域でない帯域の周波数の変調波で振幅変調した波形で前記振動子を振動させて周期的に変化する摩擦抵抗を感じさせる操作感を与える振動制御信号を出力する」ものではない。
また、引用発明に上記引用文献2または上記引用文献3に記載された技術を適用するに当たり、「操作面を押す押圧力が予め定めた値より小さい場合」にのみ、「超音波域の周波数の波形を超音波域でない帯域の周波数の変調波で振幅変調した波形で前記振動子を振動」させる構成とする動機付けも見出しがたい。
さらに、本願発明1は、「利用者が操作面をなぞるように操作する場合、操作面に対する押圧力が小さくなる場合があり、利用者に対して振動を伝えづらくなる場合があるという問題」(本願の明細書【0005】)を解決するために、「利用者の手指5の操作面に対する押圧力が閾値FTHより小さい場合、コントローラ3の振動制御信号Sbによって圧電素子30を、数十kHzの周波数での振動を周波数が数十から数百Hzの変調波で振幅変調された波形で振動させ」、「スクイーズ効果により、利用者の手指5とタッチパネル2の操作面との間の摩擦抵抗を周期的に変化させることができ、利用者の手指5の押圧力が小さい場合であっても利用者にボタン200-203を操作していることを提示することができる」(本願の明細書【0032】)という効果を奏するものであり、引用発明に上記引用文献2または上記引用文献3に記載された技術を適用するに当たり、「操作面を押す押圧力が予め定めた値より小さい場合」に「超音波域の周波数の波形を超音波域でない帯域の周波数の変調波で振幅変調した波形で前記振動子を振動」させる構成とすることが当業者が適宜選択し得る設計事項であるとはいえない。
したがって本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項、引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.請求項2について
本願発明2は、本願発明1を引用するものであり、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項、引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 原査定について
上記「第5」にて述べたように、本願発明1-2は、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-05-09 
出願番号 特願2013-255996(P2013-255996)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 松田 岳士星野 昌幸岩橋 龍太郎木内 康裕  
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 稲葉 和生
山田 正文
発明の名称 入力装置  
代理人 特許業務法人平田国際特許事務所  

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