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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1339934
審判番号 不服2017-4657  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-04 
確定日 2018-06-04 
事件の表示 特願2014-520556「改善された光学系を備えているオプトエレクトロニクスモジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月24日国際公開,WO2013/010634,平成26年 8月25日国内公表,特表2014-521227,請求項の数(17)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 1 手続の経緯
本願は,2012年7月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年7月18日,ドイツ)を国際出願日とする出願であって,平成27年11月24日付けで拒絶理由が通知され,平成28年2月29日に手続補正がされ,同年7月7日付けで拒絶理由が通知され,同年10月18日に手続補正がされ,同年11月30日付け(同年12月5日送達)で拒絶査定がされ,これに対して平成29年4月4日に審判請求がされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1?17に係る発明は,平成28年10月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?17に記載されている事項により特定されるとおりのものであり,そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は,特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
オプトエレクトロニクスモジュール(110)において,
前記オプトエレクトロニクスモジュール(110)は,支持体(114)と,該支持体(114)上に配置されている複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)と,前記支持体(114)上に被着されている少なくとも一つの光学系(120)とを含み,
前記支持体(114)は面状に形成されており,
前記光学系(120)は,前記オプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に隣接している少なくとも一つの一次光学系(124)及び少なくとも一つの二次光学系(138)を有し,
前記複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)は一次元又は二次元のアレイ(118)状に配置されており,
各オプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に,前記一次光学系(124)に含まれている一つの一次光学素子(126)が対応付けられており,
前記オプトエレクトロニクスコンポーネント(116)及び前記一次光学素子(126)はそれぞれ一つの光学軸(134,136)を有し,
前記光学軸(134,136)は,
-前記光学軸(134,136)の配向が前記アレイ(118)内で変化する,
-前記光学軸(134,136)が相互に傾斜している,
の少なくとも一方の特徴を有するように相互に配向されており,
前記二次光学系(138)は,前記複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)と,前記複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に対応付けられ且つ前記一次光学系(124)に含まれている前記一次光学素子(126)とに対応付けられている二次光学素子(140)を含み,
前記一次光学素子(126)の方向特性が前記アレイ(118)内で変化する,
ことを特徴とする,オプトエレクトロニクスモジュール(110)。」

3 原査定の理由の概要
原査定(平成28年11月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
引用例1及び引用例2には,それぞれ本願発明1に係る「支持体(114)」,「複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)」,「一次光学系(124)」及び「二次光学系(138)」を備えるものが示されているところ,引用例3には,周辺にあるLEDほどLEDとレンズの光軸のずれ量を大きくする技術が示されているから,当該技術を上記引用例1または2に記載されたものに適用して,本願発明1を構成することは当業者が適宜になし得たことであって,ここで,「一次光学素子の方向特性が前記アレイ(118)内で変化する」ことについて,本願明細書においては,発光素子の軸と一次光学素子の軸を互いにずらした構造が示されていることに鑑みると,引用例3に係る上記技術は,「一次光学素子の方向特性が前記アレイ(118)内で変化する」ものに相当するといえる,
というものである。
---< 引用例等一覧>--------
1 特開2005-294786号公報
2 再公表特許第2005/073621号
3 特開2010-272858号公報
4 特開2011-114222号公報
--------------------
ここで,上記引用例1?4は,本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である。

4 引用例に記載された発明
(1)引用例1に記載された発明
ア 引用例1には,図1ないし図6とともに以下の記載がある(下線は当審で付した。以下同様。)。
「【請求項1】
透明樹脂により発光ダイオード素子が発する光の光軸に対して同心円的に凸レンズ部を構成し,更にその周囲に反射面を配置したことを特徴とするチップ型発光ダイオード。
【請求項2】
・・・(中略)・・・
【請求項4】
前記発光ダイオード素子が2個以上の多数個を直線に搭載され,発光ダイオード素子と同数の前記凸レンズ部と,同数の前記反射面を配置したことを特徴とする請求項1記載のチップ型発光ダイオード。
【請求項5】
・・・(中略)・・・
【0004】
しかしながら,以上の技術によれば,図10に示したように,発光ダイオード素子5から天面へ放出される光線12は屈折により光の発散と全反射という光の損失が生じてしまうといった問題があった。
そこで,本発明は,発光ダイオード素子5から天面へ放出される光線12の発散と全反射を防ぎ,更に光線12の指向特性の調整が可能であり,光の利用効率高い発光ダイオードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために,本発明の請求項1に係るチップ型発光ダイオードは,発光ダイオード素子が発する光の光軸に対して同心円的に凸レンズ部を構成し,更にその周囲に反射面を配置したことを特徴とする。
【0006】
・・・(中略)・・・
【0011】
以上説明したように,本発明に係るチップ型発光ダイオードによれば,透明樹脂により発光ダイオード素子が発する光の光軸に対して同心円的に凸レンズ部を構成し,更にその周囲に反射面を配置したことで,凸字状レンズにより,発光ダイオード素子から天面へ放出される光線の発散と全反射を防ぎ,曲面或は傾斜面の反射面により,光線の指向特性の調整が可能であり,光の集光性を高め,利用効率高い発光ダイオードができる。
【発明を実施の形態】
【0012】
以下,添付図面に基づいて本発明に係るチップ型発光ダイオードの実施形態を詳細に説明する。図1,図2示した第1実施形態に係るチップ型発行ダイオードにおいて,図1はチップ型発行ダイオードの外観形状を示した斜視図,図2は図1におけるA-Aに沿った断面図又は光路図である。
【0013】
図1,図2を参照すると,本発明に係るチップ型発光ダイオードの一実施形態が符号13で示されており,このチップ型発光ダイオード13は,プリント基板7上面に内部接続電極8,9が左右形成されている。その内部接続電極8,9はプリント基板7の左右側面と裏面左右側に外部接続電極10,11それぞれと接続されている。
【0014】
前記内部接続電極8の上面には発光部としての発光ダイオード素子5が載置され,その下面電極が導電性接着剤(図示せず)を介して固着されている。また,発光ダイオード素子5の上面電極は内部接続電極9にボンディングワイヤー6によって接続されている。そのため,外部接続電極10,11から内部接続電極8,9を介して発光ダイオード素子5に電流が供給され,発光ダイオード素子5が発光する。上記発光ダイオード素子5の種類や発光色は何ら限定されるものではない。
【0015】
前記発光ダイオード素子5及びボンディングワイヤー6は,プリント基板7上面に設けられた樹脂封止体2によって被覆されている。この樹脂封止体2は,発光ダイオード素子5の光軸に対して同心円的に凸字状レンズ(樹脂封止体2)に形成されたもので,前述の発光ダイオード素子5及びボンディングワイヤー6の他,内部接続電極8,9を被覆している。樹脂封止体2(凸字状レンズ)によって,発光ダイオード素子5から天面へ放出される光線12の発散と全反射を防ぎ,更に光線12の指向特性の調整が可能である。樹脂封止体2の材料には例えば透明のエポキシ系樹脂が用いられる。
【0016】
前記樹脂封止体2の周囲に反射面3を配置し,反射面3の曲面の曲率或は傾斜面の角度によって,反射光線12の指向性の調整ができる。反射板4の材料は伝熱性が良い,光反射率の高い金属Alが用いられ,或は,反射面3に反射率高い白塗装や銀メッキなどが施されている。
【0017】
・・・(中略)・・・
【0018】
図5,図6は本発明に係るチップ型発光ダイオードの第2実施形態(3個発光素子搭載例)を示したものである。このチップ型発光ダイオード13bは,発光ダイオード素子5a,5b,5cは等距離直線に搭載され,それぞれのレンズ,反射面を有していることで,発光ダイオード素子5a,5b,5cが発する光はそれぞれのレンズと反射面で制御し,チップ型発光ダイオード13b薄型化ができる。2個発光素子より更に高輝度化ができる。(もっと輝度を求めたときは3個以上発光素子の搭載もできる)しかも,発光素子赤,グリーン,ブルーの3色搭載ができる。」

イ ここで,図5及び図6は以下のものである。


ウ 上記アの段落【0013】?【0016】に記載された事項は,段落【0018】においても同様であることは明らかである。

イ 前記ア?ウから,引用例1には,図5及び図6に記載されたものに関して,以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「チップ型発光ダイオードであって,
プリント基板上面に内部接続電極形成され,前記内部接続電極の上面には発光部としての発光ダイオード素子が載置され,固着されており,
前記発光ダイオード素子は,プリント基板上面に設けられた樹脂封止体によって被覆され,前記樹脂封止体により,発光ダイオード素子が発する光の光軸に対して同心円的に凸レンズ部を構成し,更にその周囲に反射面が配置され,
前記発光ダイオード素子が2個以上の多数個を直線に搭載され,前記発光ダイオード素子と同数の前記凸レンズ部と,同数の前記反射面が配置され,
前記各発光ダイオード素子は等距離直線に搭載され,それぞれの凸レンズ部,反射面を有していることで,前記各発光ダイオード素子が発する光はそれぞれの凸レンズ部と反射面で制御される,
チップ型発光ダイオード。」

(2)引用例2に記載された事項
ア 引用例2の第17ページ以降には,図3ないし図6とともに以下の記載がある。
「【0038】
以下,図面を参照しながら,本発明によるLED照明光源の実施形態を説明する。以下の図面においては,説明の簡潔化のため,実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。
【0039】
(実施形態1)
まず,図3および図4を参照しながら,第1の実施形態に係るLED照明光源100を説明する。図3は,LED照明光源100の断面構成を模式的に示しており,図4は,LED照明光源100の平面構成を模式的に示している。
【0040】
LED照明光源100は,基板20と,基板20上に二次元的に配列されたLED素子10と,LED素子10から放射された光を反射する反射面32を有する反射板30とを備えている。
【0041】
・・・(中略)・・・
【0049】
本実施形態のLED素子10は,LEDベアチップ12と,LEDベアチップ12を覆う蛍光体樹脂部14とを備えている。蛍光体樹脂部14は,LEDベアチップ12から出放射された光を当該光の波長よりも長い波長の光に変換する蛍光体(蛍光物質)と,蛍光体を分散させる樹脂とから形成されている。LEDベアチップ12は,基板20の上面上に実装されている。基板20の上面には,配線パターン(不図示)が形成されており,本実施形態では,その配線パターンの一部(例えば,ランド)に,LEDベアチップ12がフリップチップ実装されている。
【0050】
・・・(中略)・・・
【0057】
図3に示す反射板30の開口部35の内部を,樹脂などからなる透光性部材で埋めることができる。例えば,図5および図6に示すように,個々の開口部35に樹脂製のレンズ50を充填することができる。図5は,図3と同様な断面図であり,図6は,理解容易のために反射板30内に埋設した骨格40を明示した平面図である。
【0058】
図5および図6に示すLED照明光源100によれば,樹脂製のレンズ50のアレイによってLED素子10からの光の配光を制御することができ,LED照明光源100の光学特性を向上させることができる。本実施形態の構成では,反射板30の内部に骨格40が設けられているので,樹脂製のレンズ50が形成されることによって反りの度合いが大きくなったとしても,反りを防止することができる。一般には,樹脂製のレンズ50を基板20の上面側に形成し,基板20の下面側には樹脂層を形成しない場合,片側で生じる樹脂の収縮により,基板20の反りが特に顕著に発生しやすくなる。このような反りを抑制するために,基板20の下面に意図的に樹脂層を形成することもあり得るが,本実施形態では,基板20の放熱性を高めるため,基板20の下面は樹脂層で覆っていない。この結果,樹脂の収縮は基板20の上面側でのみ生じることになるが,反射板30の中に含まれる骨格40の存在により,基板20の反りは大きく抑制される。
【0059】
レンズ50は,個々のLED素子10を封止するように樹脂を,開口部35内に充填し,成型することによって作製され得る。図5に示す例では,レンズ50から横方向に延びた樹脂の薄い層が反射板30の上面にも存在している。このような構成を採用することにより,複数のレンズ50が配列されたレンズアレイを一括的に形成することが容易になる。レンズ50を構成する樹脂は,例えばエポキシ樹脂であるが,レンズ50の材料は,樹脂製に限られず,ガラスから形成されていても良い。」

イ ここで,第32ページの図5は以下のものである。


ウ 上記ア,イから,引用例2には以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「LED照明光源100であって,
基板20と,基板20上に二次元的に配列されたLED素子10と,LED素子10から放射された光を反射する反射面32を有する反射板30とを備え,
LED素子10は,LEDベアチップ12と,LEDベアチップ12を覆う蛍光体樹脂部14とを備え,
反射板30の開口部35の内部を,樹脂などからなる透光性部材で埋めることができ,例えば,個々の開口部35に樹脂製のレンズ50を充填することができ,樹脂製のレンズ50のアレイによってLED素子10からの光の配光を制御することができる,
LED照明光源100。」

(3)引用例3に記載された事項
ア 引用例3には,図1?図5とともに以下の記載がある
「【0019】
本実施形態に係る露光機用光源装置1は,図1及び図2に示すように,平面視矩形状のものであり,プリント配線基板21上に並べ設けられた複数の紫外光LED2と,各紫外光LED2に対応して設けられた2個のレンズ,すなわち下側の第2レンズ3及び上側の第1レンズ4と,これらのレンズ3,4を上下2段に積み重ねた状態で保持するレンズ保持部材5と,を備えている。
【0020】
・・・(中略)・・・
【0033】
本実施形態においては,紫外光LED2の光軸Aと,第2レンズ3の光軸Cと,第1レンズ4の光軸Bとは,図4に示すように,互いに平行であって,かつ,光軸Cが光軸Aと光軸Bとの間に位置するよう各光軸はずらして設定されている。本実施形態では,複数の紫外光LED2の中心と,複数の第2レンズ3の中心と,複数の第1レンズ4の中心とが,いずれもプリント配線基板21上の点Pを通ってプリント配線基板21の表面と直交する線L上に位置しており,点Pから遠い紫外光LED2ほど,光軸Aと光軸Cとの間,及び,光軸Cと光軸Bとの間を広げて,偏芯量(光軸のずれ量)が増大するように調整されている。これにより,図5に示すように,各紫外光LED2から射出された光は,対応して設けられたレンズ3,4によりその進行方向が線Lの方向に曲げられて,線L上にその中心が位置する所定領域に集光される。」

イ 上記アから,引用例3には以下の事項が記載されているといえる。
「紫外光LED2の光軸Aと,第2レンズ3の光軸Cと,第1レンズ4の光軸Bとは,互いに平行であって,かつ,光軸Cが光軸Aと光軸Bとの間に位置するよう各光軸はずらして設定されており,1実施形態では,複数の紫外光LED2の中心と,複数の第2レンズ3の中心と,複数の第1レンズ4の中心とが,いずれもプリント配線基板21上の点Pを通ってプリント配線基板21の表面と直交する線L上に位置しており,点Pから遠い紫外光LED2ほど,光軸Aと光軸Cとの間,及び,光軸Cと光軸Bとの間を広げて,偏芯量(光軸のずれ量)が増大するように調整され,これにより,各紫外光LED2から射出された光は,対応して設けられたレンズ3,4によりその進行方向が線Lの方向に曲げられて,線L上にその中心が位置する所定領域に集光されること。」

5 当審の判断
(1)引用発明1との対比
ア 引用発明1の「プリント基板」は,本願発明1の「支持体(114)」であって,「前記支持体(114)は面状に形成されて」いるものに相当する。

イ 引用発明1の「2個以上の多数個を直線に搭載され」た「発光ダイオード素子」であって,「プリント基板上面に内部接続電極形成され,前記内部接続電極の上面には発光部として」「載置され,固着されて」いるものは,本願発明1の「支持体(114)上に配置されている複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)」に相当する。

ウ 引用発明1の「発光ダイオード素子が2個以上の多数個を直線に搭載され」ていることは,本願発明1の「前記複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)は一次元又は二次元のアレイ(118)状に配置されて」いることに相当する。

エ 引用発明1の,「前記発光ダイオード素子と同数の前記凸レンズ部」であって,「発光ダイオード素子」を「被覆する」「プリント基板上面に設けられた樹脂封止体」「により,発光ダイオード素子が発する光の光軸に対して同心円的に凸レンズ部を構成するものは,本願発明1の「前記支持体(114)上に被着されている少なくとも一つの光学系(120)」が「有」する,「前記オプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に隣接している少なくとも一つの一次光学系(124)」であって,「各オプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に,前記一次光学系(124)に含まれている一つの一次光学素子(126)が対応付けられて」いるものに相当する。

オ 引用発明1の,「発光ダイオード素子が発する光の光軸に対して同心円的に凸レンズ部を構成する」ことは,本願発明1の「前記オプトエレクトロニクスコンポーネント(116)及び前記一次光学素子(126)はそれぞれ一つの光学軸(134,136)を有し」ていることに相当する。

カ 引用発明1の,「発光ダイオード素子と」「同数の前記反射面」であって,「発光ダイオード素子が発する光の光軸に対して同心円的に凸レンズ部を構成し,更にその周囲に」「配置され」たものは,本願発明1の「前記光学系(120)」が,「少なくとも一つの二次光学系(138)を有」することに相当する。

キ 引用発明1の「チップ型発光ダイオード」は,本願発明1の「オプトエレクトロニクスモジュール(110)」に相当する。

ク よって,両者は以下の点で一致する。
「オプトエレクトロニクスモジュール(110)において,
前記オプトエレクトロニクスモジュール(110)は,支持体(114)と,該支持体(114)上に配置されている複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)と,前記支持体(114)上に被着されている少なくとも一つの光学系(120)とを含み,
前記支持体(114)は面状に形成されており,
前記光学系(120)は,前記オプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に隣接している少なくとも一つの一次光学系(124)及び少なくとも一つの二次光学系(138)を有し,
前記複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)は一次元又は二次元のアレイ(118)状に配置されており,
各オプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に,前記一次光学系(124)に含まれている一つの一次光学素子(126)が対応付けられており,
前記オプトエレクトロニクスコンポーネント(116)及び前記一次光学素子(126)はそれぞれ一つの光学軸(134,136)を有する,
オプトエレクトロニクスモジュール(110)。」

ケ 一方,両者は,以下の点で相違する。
《相違点1》
本願発明1は,「前記光学軸(134,136)は,-前記光学軸(134,136)の配向が前記アレイ(118)内で変化する,-前記光学軸(134,136)が相互に傾斜している,の少なくとも一方の特徴を有するように相互に配向されて」いる構成を備えるが,引用発明1は,そのような構成を備えない点。
《相違点2》
本願発明1は,「前記二次光学系(138)は,前記複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)と,前記複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に対応付けられ且つ前記一次光学系(124)に含まれている前記一次光学素子(126)とに対応付けられている二次光学素子(140)を含」む構成を備えるが,引用発明1は,そのような構成を備えない点。
《相違点3》
本願発明1は,「前記一次光学素子(126)の方向特性が前記アレイ(118)内で変化する」構成を備えるが,引用発明1は,そのような構成を備えない点。

(2)判断(引用発明1に関して)
上記各相違点について,まず相違点2について検討する。
《相違点2について》
引用発明1においては,「各発光ダイオード素子が発する光はそれぞれの凸レンズ部と反射面で制御される」ものであるから,「凸レンズ部」及び「反射面」は,ともに,各発光ダイオード素子のそれぞれに対応して設けられているものと解される。
よって,引用発明1に係る「発光ダイオード素子と」「同数の前記反射面」に係る各「反射面」が,本願発明1の「二次光学素子」に相当するとはいえても,当該各「反射面」は,単一の「発光ダイオード素子」及び「凸レンズ部」に対応するものであるから,引用発明1の「反射面」は,本願発明1の「前記複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)と,前記複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に対応付けられ且つ前記一次光学系(124)に含まれている前記一次光学素子(126)とに対応付けられている二次光学素子(140)」とはいえない。
そして,引用例1及び引用例3の記載を参照しても,「前記複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)と,前記複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に対応付けられ且つ前記一次光学系(124)に含まれている前記一次光学素子(126)とに対応付けられている二次光学素子(140)」を構成することは,記載も示唆もない。
したがって,引用発明1において,相違点2に係る構成を備えることは,引用例3に記載された事項を勘案しても当業者が容易になし得たことではない。

(3)まとめ(引用発明1に関して)
よって,相違点1及び3について検討するまでもなく,本願発明1は,引用例3に記載された事項を勘案しても,引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(4)本願の請求項2?17について(引用発明1に関して)
本願の請求項2?17は,請求項1を直接または間接に引用するものであるから,当該各請求項に係る発明は請求項1に係る発明特定事項を含むものである。
そして,前記(1)?(3)で検討したとおり,本願発明1は当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから,本願の請求項2?17に係る発明についても,引用例3に記載された事項を勘案して,引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(5)引用発明2との対比
ア 引用発明2の「基板20と,基板20上に二次元的に配列されたLED素子10」は,本願発明1の「支持体(114)と,該支持体(114)上に配置されている複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)」に相当する。

イ 引用発明2の「LED素子10から放射された光を反射する反射面32を有する反射板30」は,本願発明1の「前記支持体(114)上に被着されている少なくとも一つの光学系(120)」であって,「前記オプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に隣接している少なくとも一つの一次光学系(124)」であって,「各オプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に,前記一次光学系(124)に含まれている一つの一次光学素子(126)が対応付けられて」いるものに相当する。

ウ 引用発明2の「基板20」であることは,本願発明1の「前記支持体(114)は面状に形成されて」いることに相当する。

エ 引用発明2の「樹脂製のレンズ50」であって,「反射板30の開口部35の内部を,樹脂などからなる透光性部材で埋めることができ」ることで「個々の開口部35に」「充填することができ」るものは,本願発明1の「オプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に隣接している少なくとも一つの一次光学系(124)」であって,「各オプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に,前記一次光学系(124)に含まれている一つの一次光学素子(126)が対応付けられて」いるものに相当する。

オ 引用発明2の「二次元的に配列されたLED素子10」は,本願発明1の「前記複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)は一次元又は二次元のアレイ(118)状に配置されて」いることに相当する。

カ 引用発明2の「LED照明光源100」は,本願発明1の「オプトエレクトロニクスモジュール(110)」に相当する。

キ よって,両者は以下の点で一致する。
「オプトエレクトロニクスモジュール(110)において,
前記オプトエレクトロニクスモジュール(110)は,支持体(114)と,該支持体(114)上に配置されている複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)と,前記支持体(114)上に被着されている少なくとも一つの光学系(120)とを含み,
前記支持体(114)は面状に形成されており,
前記光学系(120)は,前記オプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に隣接している少なくとも一つの一次光学系(124)及び少なくとも一つの二次光学系(138)を有し,
前記複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)は一次元又は二次元のアレイ(118)状に配置されており,
各オプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に,前記一次光学系(124)に含まれている一つの一次光学素子(126)が対応付けられている,
オプトエレクトロニクスモジュール(110)。」

ク 一方,両者は,以下の点で相違する。
《相違点4》
本願発明1は,「前記オプトエレクトロニクスコンポーネント(116)及び前記一次光学素子(126)はそれぞれ一つの光学軸(134,136)を有」するのに対し,引用発明2は,当該各光学軸を備えることが特定されていない点。
《相違点5》
本願発明1は,「前記光学軸(134,136)は,-前記光学軸(134,136)の配向が前記アレイ(118)内で変化する,-前記光学軸(134,136)が相互に傾斜している,の少なくとも一方の特徴を有するように相互に配向されて」いる構成を備えるが,引用発明2は,そのような構成を備えない点。
《相違点6》
本願発明1は,「前記二次光学系(138)は,前記複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)と,前記複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に対応付けられ且つ前記一次光学系(124)に含まれている前記一次光学素子(126)とに対応付けられている二次光学素子(140)を含」む構成を備えるが,引用発明2は,そのような構成を備えない点。
《相違点7》
本願発明1は,「前記一次光学素子(126)の方向特性が前記アレイ(118)内で変化する」構成を備えるが,引用発明2は,そのような構成を備えない点。

(6)判断(引用発明2に関して)
上記各相違点について,まず相違点6について検討する。
《相違点6について》
引用発明2は,「LED素子10から放射された光を反射する反射面32」及び「樹脂製のレンズ50」であって,「反射板30の開口部35の内部を,樹脂などからなる透光性部材で埋めることができ」ることで「個々の開口部35に」「充填することができ」るものを備えるものの,前記「反射面32」及び「樹脂製のレンズ50」は,いずれも各「LED素子10」のそれぞれに対応して設けられているものである。
そして,引用例2及び引用例3の記載を参照しても,「前記複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)と,前記複数のオプトエレクトロニクスコンポーネント(116)に対応付けられ且つ前記一次光学系(124)に含まれている前記一次光学素子(126)とに対応付けられている二次光学素子(140)」を構成することは,記載も示唆もない。
したがって,引用発明2において,相違点6に係る構成を備えることは,引用例3に記載された事項を勘案しても当業者が容易になし得たことではない。

(7)まとめ(引用発明2に関して)
よって,相違点4,5及び7について検討するまでもなく,本願発明1は,引用例3に記載された事項を勘案しても,引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(8)本願の請求項2?17について(引用発明2に関して)
本願の請求項2?17は,請求項1を直接または間接に引用するものであるから,当該各請求項に係る発明は請求項1に係る発明特定事項を含むものである。
そして,前記(5)?(7)で検討したとおり,本願発明1は当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから,本願の請求項2?17に係る発明についても,引用例3に記載された事項を勘案して,引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(9)なお,原査定に至る段階では,「一次光学素子の方向特性」の技術的意味が論点となっているから,以下においては,本願発明1における「一次光学素子(126)の方向特性」の技術的意味について検討する。
a 本願明細書の段落【0033】?【0034】には以下の記載がある。
「【0033】
複数の一次光学素子が一つのアレイ内に配置されている場合には,特にそのアレイ内の一次光学素子の方向特性を一定にすることができるか,又は変化させることができる。方向特性とは,本発明の枠内において全般的に,受信又は送信する電磁波,特に可視スペクトル領域及び/又は赤外線スペクトル領域及び/又は紫外線スペクトル領域にある光の角度依存性であると解される。 ・・・(中略)・・・
【0034】
光学素子,例えばレンズ,特にマイクロレンズの方向特性とは,特に,光学素子に対応付けられているオプトエレクトロニクスコンポーネント,例えば発光ダイオードと相互作用する光学素子の方向特性であると解される。特に,各光学素子を上述のように複数のオプトエレクトロニクスコンポーネントの一つ又は複数のオプトエレクトロニクスコンポーネントに対応付けることができるので,例えば,各オプトエレクトロニクスコンポーネントの上方には一次光学系のちょうど一つのレンズが配置されている。従ってその場合には,一次光学素子の方向特性とは,オプトエレクトロニクスコンポーネント並びに対応付けられている一次光学素子から成るグループの方向特性と解される。」
b ここで,本願発明1においては「各オプトエレクトロニクスコンポーネントに,前記一次光学系に含まれている一つの一次光学素子が対応付けられて」いることから,上記段落【0034】の記載によれば,本願発明1に係る「一次光学素子の方向特性」とは,「オプトエレクトロニクスコンポーネント並びに対応付けられている一次光学素子から成るグループの方向特性と解される」ものである。
すなわち,本願発明1に係る「一次光学素子(126)の方向特性」とは,単に,「一次光学素子」それ自体が備える特性を指すものではなく,「オプトエレクトロニクスコンポーネント」と,それに対応づけられている「一次光学素子」とから成るものの方向特性と解すべきものといえる。

6 むすび
以上のとおり,本願の請求項1?17に係る発明は,引用例3に記載された事項を勘案して,引用発明1または引用発明2に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないから,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-05-18 
出願番号 特願2014-520556(P2014-520556)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 森口 忠紀村井 友和  
特許庁審判長 恩田 春香
特許庁審判官 星野 浩一
近藤 幸浩
発明の名称 改善された光学系を備えているオプトエレクトロニクスモジュール  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 二宮 浩康  
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