• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A62B
管理番号 1339937
審判番号 不服2017-12521  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-24 
確定日 2018-05-31 
事件の表示 特願2013-31954「呼吸用保護具」拒絶査定不服審判事件〔平成26年9月8日出願公開、特開2014-161356、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年2月21日の出願であって、平成28年11月16日付けで拒絶理由の通知がされ、その指定期間内である平成29年1月12日に意見書の提出及び手続補正がされ、同年4月13日付けで拒絶理由の通知がされ、その指定期間内である同年6月8日に意見書の提出及び手続補正がされたが、同年6月28日付けで拒絶査定がされ(発送日:同年6月30日、以下「原査定」という。)、これに対し、同年8月24日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 原査定の理由の概要
原査定の概要は次のとおりである。

引用文献1には、顔面の一部又は全部を覆うと共に両側部にそれぞれ一つの開口(筒体3e_(2))が形成された面体(面体3)と、面体に空気を供給する電動ファン(遠心ファン2d)と面体内圧を検知する圧力センサー(ダイヤフラム2gの変位を検知するセンサ、段落【0009】、【0015】、【0016】)と圧力センサーの検知信号に基づいて電動ファンの作動を制御する制御装置(制御装置、段落【0009】、【0015】)とを収容するファンユニット(ファンユニット2)と、面体に供給される空気を浄化するフィルター(フィルタ1)と、吸気弁(吸気弁4b)と排気弁(排気弁3e_(1))とを備え、面体の両側部にそれぞれ一つ形成された開口の両方に排気弁が取り付けられた呼吸用保護具が記載されている(段落【0008】ないし【0016】、図1ないし6等参照)。
また、呼吸用保護具の排気弁において、排気弁を陽圧排気弁とすることは、例えば、引用文献2、3にも開示されているように周知である。
また、呼吸用保護具において、伝声器と、フィルターと、排気弁とをそれぞれ1つづつ有する構成は、例えば、引用文献4(第3頁左上欄第11ないし16行、図1ないし3参照)、引用文献5(段落【0021】、図1参照)及び引用文献6(段落【0017】、【0018】、図1参照)にも開示されているように周知である。
そして、引用文献1に記載の発明において、上記周知技術を適用し、伝声器と、フィルターと、排気弁とをそれぞれ1つづつ有する構成とすることは当業者が容易に想到し得ることである。またその際に、伝声器と、フィルターと、排気弁の配置をどのようにするかは当業者が適宜なし得る設計的事項であり、引用文献6には、フィルターや排気弁等を中央や両側部に適宜配置することが開示されているとともに、本願発明のように、面体の前面にフィルターを設け、面体の両側部にそれぞれ排気弁と伝声器とを配置することについて示唆されているといえる(段落【0017】、【0018】、図1参照)。
よって、この出願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載の発明及び周知技術から当業者が容易に想到し得るものである。

したがって、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載の発明及び周知技術に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献一覧>
1.特開2011-78604号公報
2.実願昭63-7081号(実開平1-112861号)のマイクロフィルム
3.実願昭53-69605号(実開昭54-170422号)のマイクロフィルム
4.特開昭61-131764号公報
5.米国特許出願公開第2006/0180153号明細書
6.米国特許出願公開第2010/0258131号明細書

第3 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年6月8日の手続補正で補正がされた特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
顔面の一部又は全部を覆う面体と、面体に空気を供給する電動ファンと面体内圧を検知する圧力センサーと圧力センサーの検知信号に基づいて電動ファンの作動を制御する制御装置とを収容するファンユニットと、面体に供給される空気を浄化するフィルターと、吸気弁とを備える呼吸用保護具の、面体両側部にそれぞれ一つ形成された排気弁取付用開口の有効利用方法であって、前記排気弁取付用開口の一方に陽圧排気弁を取り付け、他方に伝声器を取り付けることを特徴とする排気弁取付用開口の有効利用方法。」

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、「呼吸装置」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審が付した。以下同様。)

ア 「【0008】
本発明の実施例に係る呼吸装置を説明する。
図1?6に示すように、呼吸装置Aは、フィルタ1と、ファンユニット2と、利用者の顔面の全面を覆う面体3と、利用者の口と鼻とを覆うノーズカップ4とを備えている。
フィルタ1はファンユニット2に脱着し、ファンユニット2は面体3の外側から面体3に脱着し、ノーズカップ4は面体3の内側から面体3に脱着する。
【0009】
図3?5に示すように、ファンユニット2は、ボデー2aと、ボデー2a内に収容された、電源バッテリ2bと、電源バッテリ2bから電力を供給されるモータ2cと、モータ2cにより駆動される遠心ファン2dと、モータ2cの作動を制御する図示しない制御装置とを有している。
フィルタ1との接続部に形成された入口2e_(1)からファン収容部を経由し出口2e_(2)に至る空気流路2eが、ボデー2aを貫通して形成されている。
空気流路2eとは別個独立の貫通穴2fがボデー2aに形成されている。貫通穴2fのフィルタ1に近接する一端2f_(1)を塞ぐダイヤフラム2gが配設されている。ダイヤフラム2gの変位を検知する図示しないセンサがダイヤフラム2gに対峙して貫通穴2f内に配設されている。センサは前記制御装置に接続されている。通気用の貫通小孔が形成された蓋部材2hが、ボデー2aの外側からダイヤフラム2gを覆っている。貫通穴2fの他端2f_(2)は、空気流路2eの出口2e_(2)に隣接している。ダイヤフラム2gと図示しないセンサと図示しない制御装置とは、呼吸装置利用者の呼吸のタイミングを検知する呼吸モニター装置を形成している。
貫通穴2fの他端2f_(2)に隣接してLED2iが配設されている。LED2iは前記制御装置に接続されている。
ファンユニット2のボデー2aは、内蔵する各種機器の固定にネジを使用するため局部的に高応力が発生することを勘案して、高強度で硬い不透明の樹脂素材を用いて製造されている。
【0010】
面体3は、顔面の前部を覆う透明樹脂製のアイピース3aと、顔面の頂部と両側部とを覆うシリコーンゴム製の接顔体3bと、ファンユニット2との接続部3cとを有している。アイピース3aと、接顔体3bと、接続部3cとは、一体に組付けられている。接続部3cは、硬質素材のファンユニットボデー2aに対応して、ファンユニットボデー2aと同一の硬質素材を用いて製造されている。
面体3を頭部に固定するための複数の締め紐3dが、接顔体3bに取付けられている。
図1、6に示すように、排気弁3e_(1)と排気弁3e_(1)を保持する筒体3e_(2)とを有する一対の排気弁組立体3eが、接顔体3bの顔面両側部に対峙する部位に取付けられている。
接続部3cには、互いに隣接して且つ互いに独立して、開口3f、3gが配設され、開口3gに近接して開口3hが配設されている。開口3gは筒体3g_(1)によって取り囲まれている。
接続部3cには、接続部3cに形成された開口3i_(1)と、開口3i_(1)を塞ぐ膜部材3i_(2)と、膜部材3i_(2)を支持する筒体3i_(3)とを有する伝声器3iが配設されている。
【0011】
ノーズカップ4は、シリコーンゴム製のボデー4aを有している。ボデー4aに、一対の吸気開口4a_(1)と、一対の排気弁接続筒部4a_(2)と、開口4a_(3)と、伝声器接続開口4a_(4)とが配設されている。吸気開口4a_(1)に吸気弁4bが取付けられている。開口4a_(3)は筒体4a_(3)’によって取り囲まれている。」

イ 「【0015】
利用者が呼吸すると、呼吸に応じて第2空間βの内圧が変動し、開口4a_(3)と開口3gとを介して第2空間βに連通する貫通穴2fの内圧が変動し、ダイヤフラム2gが変位する。ダイヤフラム2gの変位を図示しないセンサが検知し、検知信号が制御装置に送信され、制御装置は呼吸装置Aが利用者に装着されたことを認識する。制御装置の制御信号に基づいてモータ2cが始動し、遠心ファン2dが始動する。
遠心ファン2dの作動により、フィルタ1で濾過された清浄空気が空気流路2eと開口3fとを通って第1空間αに流入し、更に吸気弁4bを通って第2空間βに流入し、利用者の吸気に供される。利用者の呼気は、排気弁3e_(1)を通って外部環境に排出される。
利用者の吸気に応じたダイヤフラム2gの変位がセンサによって検知された時に、制御装置の指令を受けて遠心ファン2dが作動し、利用者の呼気に応じたダイヤフラム2gの変位がセンサによって検知された時に制御装置の指令を受けて遠心ファン2dが停止する。この結果、遠心ファン2dが連続的に作動する場合に比べて、電力消費量が低減し、排気抵抗が低減する。」

ウ 上記ア及びイ、並びに図1及び6から、排気弁3e_(1)は、面体3の接顔体3bの両側部にそれぞれ一つ取り付けられるものであることが把握でき、排気弁3e_(1)は、図6からみて、接顔体3bに設けられた開口に取り付けられることが理解できる。

エ 図3からみて、伝声器3iは、面体3の中央下部に形成される開口3i_(1)に取り付けられることが理解できる。

オ 上記ウ及びエで摘記したように、排気弁3e_(1)を開口に取り付け、伝声器3iを開口3i_(1)に取り付けることからみて、引用文献1には、呼吸装置Aの開口の利用方法が記載されていると認められる。

これらの記載事項、認定事項及び図面の図示内容を総合して、本願発明に則って整理すると、引用文献1には、「呼吸装置Aの開口の利用方法」に関して、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「顔面の全面を覆う面体3と、面体3に空気を供給する電動の遠心ファン2dと面体内圧を検知するダイヤフラム2gの変位を検知するセンサとダイヤフラム2gの変位を検知するセンサの検知信号に基づいて電動の遠心ファン2dの作動を制御する制御装置とを収容するファンユニット2と、面体3に供給される空気を浄化するフィルタ1と、ノーズカップ4の吸気弁4bとを備える呼吸装置Aの、開口の利用方法であって、面体3両側部にそれぞれ一つ形成された開口の一方に排気弁3e_(1)を取り付け、他方にも排気弁3e_(1)を取り付け、面体3の中央下部に形成された開口3i_(1)に伝声器3iを取り付ける開口の利用方法。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、「呼吸保護マスクの呼気弁」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「呼吸保護マスクには、呼気弁(排気弁)として、ばねにより閉じ位置へと押圧される弁体を有する弁を用いその使用中マスク内が常に大気圧以上にすなわち陽圧に維持されるようにした陽圧型と、その中心部において弁座体に固着されその周縁部がそれ自体の弾性により弁座に密着するゴム製薄膜弁体を有する弁を用いる非陽圧型とがある。」(明細書第1ページ第18行ないし第2ページ第4行)

この記載事項及び図面の図示内容からみて、引用文献2には、「呼吸保護マスクの呼気弁(排気弁)」に関して、次の技術事項が記載されていると認められる。

「ばねにより閉じ位置へと押圧される弁体を有する陽圧型の呼吸保護マスクの呼気弁(排気弁)。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、「陽圧排気弁」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「本考案は、陽圧排気弁に関する。近来化学物質があらゆる分野で多く利用されるに伴ない、例えば有害ガス或は原子炉関係等で使用する防護服、防護マスク等が多く開発されているが、斯かる防護服、防護マスク中は常に外気の有毒ガス、有毒成分等の流入を防止するために陽圧にしておく必要があり」(明細書第1ページ第20行ないし第2ページ第6行)

この記載事項及び図面の図示内容からみて、引用文献3には、「陽圧排気弁」に関して、次の技術事項が記載されていると認められる。

「 防護マスクの陽圧排気弁。」

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、「呼吸マスク」に関して、図面(特に、図1及び2参照)とともに次の事項が記載されている。

ア 「第1図は主に防毒マスクとして使用される呼吸マスクlの正面図であり、該呼吸マスクの中央面には会話伝達装置2が取り付けられている。又、呼吸マスクの両側の対称位置には穴3.4が設けられ、該穴はそれぞれマイクロフォンのような第2の会話出口と空気浄化用の吸入缶を備えている。」(明細書第3ページ左上欄第11行ないし第16行)

この記載事項及び図面の図示内容からみて、引用文献4には、「呼吸マスク」に関して、次の技術事項(以下「技術事項4」という。)が記載されていると認められる。

「呼吸マスク1の面体両側部にそれぞれ一つ形成された穴3、4の一方にマイクロフォンのような第2の会話出口を取り付け、他方に空気浄化用の吸入缶を取り付けること。」

5 引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5には、「マスク」に関して、図面(特に、Fig.1ないし3参照)とともに次の事項が記載されている。(なお、[ ]内は、当審において作成した当審仮訳である。)

ア 「[0019] The mask 14 has two filter ports 20 , each of which can support a filter that filters air for a person to breathe. Only one filter, supported on one filter port, is required to allow the person wearing the mask to breathe filtered air. The other filter port can be used for other functions or can be sealed. As shown in FIG. 1 , the mask 14 supports a filter 22 on one of the filter ports 20 .
[0020] Each filter port 20 ( FIGS. 2 and 3 ) has a sidewall 24 and an annular bottom surface 26 that define a circular opening 30 in the mask 14 centered on an axis 32 . The sidewall 24 of the filter port is threaded.
[0021] One of the common uses for the second filter port 20 (i.e., the one not being used for a filter 22 ) is communication. When the second filter port 20 is used for communication, a voice emitter 36 is located in the filter port, as shown in FIG. 2 . The voice emitter 36 is a thin, circular, metal diaphragm of a known construction. The voice emitter 36 is located on the bottom surface 26 of the filter port 20 and closes the opening 30 . The voice emitter 36 is held in place in the filter port 20 by a seal ring 38 that is screwed into the sidewall 24 . The engagement of the seal ring 38 in the filter port 20 seals the voice emitter against the mask 14 .
[0022] In accordance with the invention, a device other than a filter or a voice emitter can be releasably supported on the mask 14 . In the illustrated embodiment, the device 12 is a communication device that is supported on a filter port 20 of the mask 14 . The communication device 12 allows the person wearing the mask 14 to transmit sound electronically away from the mask, and to hear other people who are transmitting sounds to the user. Other types of devices, to be supported on a mask, are suitable for use with the invention. 」

[当審仮訳:[0019]マスク14は、人が呼吸する空気を浄化するフィルターを取り付ける2つのフィルターポート20を備えている。一つのフィルターが一つのフィルターポートに取り付けられ、マスクを装着した人が浄化された空気で呼吸できるようにする必要がある。他のフィルターポートは、他の機能のために使用することができるし、塞ぐこともできる。図1に示すように、マスク14には、フィルターポート20の一つにフィルター22が取り付けられる。
[0020]各フィルターポート20(図2及び3)は、軸線32を中心としたマスク14の円形開口30を画定する側壁24および円環状の底面26を有している。フィルターポートの側壁24にはネジが切られている。
[0021]第2のフィルターポート20(すなわち、フィルター22のためには使用されていない)の一般的な用途の一つは会話である。第2のフィルターポート20を会話のために使うとき、ボイスエミッター36は、図2に示すように、フィルターポートに位置する。ボイスエミッター36は、周知の構成の薄くて円形の金属製ダイヤフラムである。ボイスエミッター36は、フィルターポート20の底面に配置され、開口部30を閉塞する。ボイスエミッター36は、側壁にねじ止めされたシールリング38によって、フィルターポート20に固定される。フィルターポート20のシールリング38は、マスク14とボイスエミッターを気密にする。
[0022]本発明によれば、フィルターやボイスエミッター以外の装置をマスク14に着脱することができる。図示の実施形態では、装置12はマスク14のフィルターポート20に取り付けられた会話装置である。会話装置12は、マスク14を装着した人が、離れたところに音声を送信し、他人が送信する音声を聞くことできるようにする。マスクに取り付けられる他の種類の装置も適している。]

イ Fig.1からみて、フィルターポート20は、マスク14の面体両側部にそれぞれ一つ形成されることが理解できる。

ウ 上記アの記載によれば、フィルターポート20をフィルター以外の機能のために使用することが示されているから、フィルターポート20を有効利用するものであることが理解できる。

この記載事項及び図面の図示内容からみて、引用文献5には、「マスク」に関して、次の2つの技術事項(以下、それぞれ「技術事項5a」及び「技術事項5b」という。)が記載されていると認められる。

〔技術事項5a〕
「マスク14の面体両側部にそれぞれ一つ形成された円形開口部30を画定するフィルターポート20の利用方法。」

〔技術事項5b〕
「マスク14の面体両側部にそれぞれ一つ形成された円形開口部30を画定するフィルターポート20の一方にフィルター22を取り付け、他方にボイスエミッタ36を取り付けること。」

6 引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献6には、「呼吸装置」に関して、次の事項が記載されている。(なお、[ ]内は、当審において作成した当審仮訳である。)

ア 「[0018] The mask 12 covers the eyes, nose and mouth of a person for protecting the person from airborne contaminants by means of the air purifying cartridges or filters 16 . While the mask 12 is shown to have one air purifying cartridge 16 centrally located in front of the user's mouth, it should be understood that the mask 12 could be provided with any number of cartridges 16 and the cartridges 1 6 may be positioned at any suitable location. Various types of cartridges 16 (some containing gas absorbents and others containing mechanical filters and others containing both) may be interchangeably attached to the mask 12 . The mask 12 is fitted for a particular use with the type of cartridge 16 that is suitable for removing the particular contaminants in the environment at the time of use. In an exemplary embodiment, one or more exhalation valves 20 are provided on the sides or at the front of the mask 12 . It should also be understood that an exhalation valve may be used, and/or that a separate passageway for exhalation gases may not be required as the gas inlet could be designed to handle the egress of exhalation gases on a part-time basis. In some embodiments, voice enhancement features may be provided on the sides or at the front of the mask for allowing communication when wearing the mask.」

[当審仮訳:[0018]マスク12は、空気浄化カートリッジまたはフィルター16によって、空気中の汚染物質から人を保護するために、目、鼻及び口を覆う。マスク12は、ユーザーの口の正面の中心に配置された1つの空気浄化カートリッジ16を有することが示されているが、任意の数のカートリッジ16を備えることや、任意の適切な位置に配置することもできる。様々なタイプのカートリッジ16(ガス吸収剤、機械的フィルター及びその両方から成るもの)を、マスク12に交換可能に取り付けることができる。マスク12の使用環境中の汚染物質を除去するのに好適なカートリッジ16の種類を、用途に応じて装備することができる。実施形態では、1つ又は複数の排気弁20がマスク12の側部又は前部に備えられる。排気弁は使用されてもよい、及び/または、パートタイムで吸気開口を呼気ガスが排出されるように設計することで、呼気ガスのための別の流路は必要とされない。いくつかの実施形態では、マスクを装着した時に意思疎通を可能にするために、ボイスエンハンスメントがマスクの側部又は前部に備えられる。]

イ Fig.1から、マスク12の前部に浄化カートリッジ16が取り付けられ、マスク12の面体両側部の一方に排気弁20が取り付けられ、他方にも何らかの装置が取り付けられることが看取できる。そして、上記アの「ボイスエンハンスメントがマスクの側部又は前部に備えられる。」との記載事項をあわせてみると、マスク12の面体両側部の他方に取り付けられている装置は、ボイスエンハンスメントであることが理解できる。

ウ 排気弁20及びボイスエンハンスメントが備えられるマスク12の側部の構造については詳述されていないが、技術常識を踏まえると、開口を有する構造であることは明らかである。

この記載事項、認定事項及び図面の図示内容からみて、引用文献6には、「マスク」に関して、次の技術事項(以下「技術事項6」という。)が記載されていると認められる。

「マスクの面体両側部にそれぞれ一つ形成された開口の一方に排気弁20を取り付け、他方にボイスエンハンスメントを取り付けること。」

第5 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「電動の遠心ファン2d」は、その機能からみて、前者の「電動ファン」に相当し、以下同様に、「ダイヤフラム2gの変位を検知するセンサ」は「圧力センサー」に、「ファンユニット2」は「ファンユニット」に、「フィルタ1」は「フィルター」に、「ノーズカップ4の吸気弁4b」は「吸気弁」に、排気弁3e_(1)を取り付けるための「開口」は「排気弁取付用開口」に、「呼吸装置A」は「呼吸用保護具」に、「伝声器3i」は「伝声器」にそれぞれ相当する。
後者の「顔面の全面を覆う面体3」と前者の「顔面の一部又は全部を覆う面体」は、「顔面の全部を覆う面体」との点において一致する。
後者の「排気弁3e_(1)」と前者の「陽圧排気弁」は、「排気弁」という限りで共通する。
後者の「開口の利用方法」と前者の「排気弁取付用開口の有効利用方法」は、「開口の利用方法」という限りで共通する。

したがって、両者は、
「顔面の全面を覆う面体と、面体に空気を供給する電動ファンと面体内圧を検知する圧力センサーと圧力センサーの検知信号に基づいて電動ファンの作動を制御する制御装置とを収容するファンユニットと、面体に供給される空気を浄化するフィルターと、吸気弁とを備える呼吸用保護具の、開口の利用方法。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点1〕
本願発明は、呼吸用保護具における排気弁に関して、「陽圧排気弁」を用いるのに対して、
引用発明は、「排気弁3e_(1)」を用いるものであり、排気弁の種類が異なる点。

〔相違点2〕
本願発明は、「排気弁取付用開口の有効利用方法」であり、その具体的構成は、「面体両側部にそれぞれ一つ形成された排気弁取付用開口」「の一方に陽圧排気弁を取り付け、他方に伝声器を取り付ける」ものであるのに対し、
引用発明は、「開口の利用方法」であり、その具体的構成は、「面体3両側部にそれぞれ一つ形成された開口の一方に排気弁3e1を取り付け、他方にも排気弁3e_(1)を取り付け、面体3の中央下部に形成された開口3i_(1)に伝声器3iを取り付ける」ものである点。

(2)判断
そこで、相違点について検討する。
事案に鑑みて、上記相違点1に先立って、上記相違点2を検討する。

ア 本願発明は、「開口を単に塞ぐのではなく伝声器の取り付け穴として有効利用することができる」(段落【0006】)ことを課題としており、排気弁取付用開口を従来の用途である排気弁の取り付けとは異なる用途で有効利用するものである。
他方、引用発明は、排気弁3e_(1)を取り付けるための開口には、いずれも排気弁3e_(1)が取り付けられており、伝声器3iはそれとは異なる開口3i_(1)に取り付けられている。そして、引用文献1には、本願発明の「開口を単に塞ぐのではなく伝声器の取り付け穴として有効利用することができる」との課題は記載されておらず、排気弁3e_(1)を取り付けるための開口に伝声器3iを取り付ける技術的合理性も見出せない。すなわち、引用発明の排気弁3e_(1)を取り付けるための開口に伝声器3iを取り付けることに動機があるとはいえない。

イ 次に、開口の有効利用について、技術事項5aを検討する。
技術事項5aは、「マスク14の面体両側部にそれぞれ一つ形成された円形開口部30を画定するフィルターポート20の利用方法」であるが、「フィルターポート20」は「排気弁取付用開口」ではなく、両者の機能は異なるから、当業者といえども、引用発明及び技術事項5aから、「排気弁取付用開口の有効利用方法」との相違点2に係る本願発明の構成を容易に想到することはできない。

ウ そして、呼吸用保護具において、呼吸用保護具の面体両側部にそれぞれ一つ形成された開口の一方に会話装置を取り付けることは、技術事項4、5b及び6にあるように周知(以下「周知技術」という。)であるとしても、当該開口は排気弁取り付け用のものではない。そして、引用発明は、呼吸装置Aの面体3両側部にそれぞれ一つ形成された開口の両方に排気弁3e_(1)を取り付け、面体3の中央下部に形成された開口3i_(1)に伝声器3iを取り付けるものであり、さらに、排気弁3e_(1)と伝声器3iは機能が異なるから、面体3の中央下部に形成された開口3i_(1)に取り付けられている伝声器3iを、排気弁3e_(1)がすでに取り付けられている開口にあえて移動させ、排気弁3e_(1)と置換する動機付けは見当たらない。また、伝声器3iを移設させる場合には、伝声器3iが取り付けられていた開口3i_(1)の処置が必要があるが、その点に関して引用文献1及び4ないし6、並びに引用文献2及び3には何ら記載がされておらず、当業者にとって自明なことでもない。。

したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明は、引用文献1ないし6に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび
以上により、本願発明は、引用文献1ないし6に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-05-21 
出願番号 特願2013-31954(P2013-31954)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A62B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山本 健晴菅家 裕輔  
特許庁審判長 水野 治彦
特許庁審判官 粟倉 裕二
金澤 俊郎
発明の名称 呼吸用保護具  
代理人 坂口 嘉彦  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ