• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1340042
審判番号 不服2017-11015  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-25 
確定日 2018-05-07 
事件の表示 特願2015- 52673号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月29日出願公開、特開2016-171858号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月16日の出願であって、平成29年4月4日付けで拒絶の理由が通知され、同年5月12日に意見書が提出されたが、同年6月8日付け(発送日:6月13日)で拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年7月25日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1を補正する内容を含んでおり、出願時と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は、補正箇所を示す。)。

(補正前:出願時)

「【請求項1】
可変表示を行う遊技機であって、
複数種類の可変表示パターンの何れかにより可変表示を実行する可変表示実行手段を備え、
前記可変表示実行手段は、
可変表示を開始し、所定の動作を伴う仮停止態様を経て、可変表示を確定停止させる第1手段と、
可変表示を開始し、仮停止態様を経て特定演出を実行した後に可変表示を確定停止させる第2手段とを含み、
仮停止態様とする期間は、可変表示パターンの種類によって異なり、
前記第1手段は、確定停止まで前記仮停止態様を継続させる、
ことを特徴とする遊技機。」

(補正後:本件補正である平成29年7月25日付け手続補正)

「【請求項1】
可変表示を行う遊技機であって、
リーチ演出を実行するものを含む複数種類の可変表示パターンの何れかにより可変表示を実行する可変表示実行手段を備え、
前記可変表示実行手段は、
可変表示を開始し、所定の動作を伴う仮停止態様を経て、可変表示を確定停止させる第1手段と、
可変表示を開始し、仮停止態様を経て特定演出を実行した後に可変表示を確定停止させる第2手段とを含み、
仮停止態様とする期間は、実行される可変表示パターンの種類によって異なり、
前記第1手段は、確定停止まで前記仮停止態様を継続させる、
ことを特徴とする遊技機。」

2.補正の適否

(1)補正後の請求項1は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「複数種類の可変表示パターン」について、「リーチ演出を実行するものを含む」ことを特定することにより、補正前の請求項1に記載された「複数種類の可変表示パターン」を限定するものである。

(2)補正後の請求項1は、「仮停止態様とする期間」について、補正前の「可変表示パターンの種類によって異なる」から、補正後の「実行される可変表示パターンの種類によって異なる」と特定することにより、「仮停止態様とする期間」を限定するものである。

そして、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の特許請求の範囲に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
そして、本件補正は、【0267】、図5、図22、図23等の記載に基づいており、新規事項を追加するものではない。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下において検討する。

(1)本件補正後の請求項1に係る発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1.の本件補正の概要において示した次に特定されるとおりのものである(A?Gについては、発明特定事項を分説するため当審で付した。)。

「A 可変表示を行う遊技機であって、

B リーチ演出を実行するものを含む複数種類の可変表示パターンの何れかにより可変表示を実行する可変表示実行手段を備え、

C 前記可変表示実行手段は、

D 可変表示を開始し、所定の動作を伴う仮停止態様を経て、可変表示を確定停止させる第1手段と、

E 可変表示を開始し、仮停止態様を経て特定演出を実行した後に可変表示を確定停止させる第2手段とを含み、

F 仮停止態様とする期間は、実行される可変表示パターンの種類によって異なり、

G 前記第1手段は、確定停止まで前記仮停止態様を継続させる、
ことを特徴とする遊技機。」

(2)刊行物1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2001?321516号公報(以下、「刊行物」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(ア)「【請求項1】 遊技領域に設けられて変動図柄を表示する特別図柄表示装置と、
前記変動図柄が変動後所定の態様で一旦停止して、再度、変動と一旦停止とを所定回数繰り返した後確定停止する複数の再変動パターンを記憶する再変動パターン記憶手段と、
前記複数の再変動パターンから一の再変動パターンを選択して、この再変動パターンに基づいて変動図柄を特別図柄表示装置を介して表示する再変動表示手段とを備えたパチンコ機において、
前記複数の再変動パターンは、最初の一旦停止開始時から次の回の変動開始時までの時間が異なる再変動パターンを含むことを特徴とするパチンコ機。」

(イ)「【請求項2】 前記複数の再変動パターンは、前記所定回数が0回の再変動パターンを含むことを特徴とする請求項1に記載のパチンコ機。」

(ウ)「【請求項10】 前記変動図柄の一部が所定形態で揃った複数のリーチ図柄を記憶するリーチ図柄記憶手段を備え、
前記再変動表示手段は、前記所定の態様がリーチ図柄の場合には、所定回数になる前の回までの一旦停止させて表示する図柄として前記一部の所定形態が同じ一のリーチ図柄を選択して表示することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のパチンコ機。」

(エ)「【0033】次に、図2において、パチンコ機1における遊技盤2上の遊技領域の構成について説明する。この遊技領域11は、所定厚さの板材をなした遊技盤2上に入賞口などの各構造物が配設され、それを囲むように環状のレール12が立設されて構成されている。このレール12は、発射されたパチンコ球を遊技領域11内に案内する重複して形成した案内路13を構成し、右肩部にはレール12に沿って打ち込まれるパチンコ球の進行を制限するための段差部14を有する。
【0034】遊技領域11のほぼ中央には、開口部が開設され、この開口部の前面側に特別図柄表示装置18が配設されている。特別図柄表示装置18には、液晶表示器19が遊技盤2の裏面側から取り付けられている。この液晶表示器19は、左、中、右に3つの変動図柄を表示する液晶パネルであって、右下角部には、左右に2分割された普通図柄を表示する普通図柄表示部20が構成されている。そして、液晶表示器19の上側には、座っている蛙のキャラクタの図柄が描かれている。一方、特別図柄表示装置18の左右には飾り風車23、24が設けられている。また、各飾り風車23、24と特別図柄表示装置18の間には通常の風車25、26が設けられ、特別図柄表示装置18の両肩側には電飾ランプ付きの風車27、28が設けられている。
【0035】また、特別図柄表示装置18の直下には、第1始動口31が配設され、この第1始動口31の左右には各ゲート32、33が配設されている。この第1始動口31には、パチンコ球の入賞を検出する第1始動口スイッチ31A(図3参照)が設けられ、パチンコ球の入賞を検出することで液晶表示器19に表示されている特別図柄が変動する。そして、特別図柄が変動中に第1始動口31に入賞した場合には、入賞個数が4個まで主基板71に設けられるRAM77の第1保留カウンタ77C(図4参照)に記憶されて変動確定回数として保留される。そして、この第1保留カウンタ77Cに記憶されているカウント値を表示する第1保留LED34が、液晶表示器19の両肩部に各々2個ずつ配置されている。」

(オ)「【0172】次に、S18において、表示用CPU96は、液晶表示器19の変動図柄の変動を開始する。
・・・
【0246】次に、表示用CPU96が主基板71のCPU75から指示された図柄変動開始指令信号が「大当たり図柄」として「333」の図柄信号と再変動パターン信号として「パターン8」である場合に、上記S19の再変動処理時に、液晶表示器19の画面に表示される「一旦停止図柄」の表示の一例を図31に基づいて説明する。図31は本実施形態に係るパチンコ機1の表示用CPU96が主基板71のCPU75から指示された「大当たり図柄」として「333」の図柄信号と再変動パターンとして「パターン8」の場合に、第1回目の一旦停止から第2回目の一旦停止の表示後、確定停止するまでの一例を示す図で、(a)は第1回目の「一旦停止図柄」の一旦停止状態を示す図、(b)は第2回目の「一旦停止図柄」への変動状態を示す図、(c)は第2回目の「一旦停止図柄」の一旦停止状態を示す図、(d)は確定停止信号を受けて確定停止した状態を示す図である。
【0247】先ず、S17において、表示用CPU96は、第1回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「444」を決定し、該「444」に対応する「大当たり図柄」のキャラクタを画面中央部に「約8秒間」上下に揺動させて表示するようにVDP99に指示する。これにより、図31(a)に示すように、VDP99は「4」に対応するキャラクタとして「太字の4が描かれているキャラクタ」を選択し、画面中央部にこの「4」に対するキャラクタを横に3列に揃えた状態で一旦停止して「約8秒間」表示する。即ち、液晶表示器19の画面中央部に「太字の4が描かれているキャラクタ」が横に3列に揃った状態で「約8秒間」上下に揺動しながら表示される。
【0248】次に、表示用CPU96は、第2回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「333」を決定し、この「444」が揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面上側に上昇しつつ、「333」が揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面下側から上昇して画面中央部に「約1秒間」一旦停止表示するようにVDP99に指示する。これにより、図31(b)から図31(c)に示すように、VDP99は「3」に対応するキャラクタとして「太字の3で上部に四角い目が描かれているキャラクタ」を選択し、画面中央部にこの「3」に対するキャラクタを横に3列に揃えた状態で一旦停止表示するように変動表示を行う。即ち、この「太字の4が描かれているキャラクタ」が横に3列に揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面上側に上昇しつつ、「太字の3で上部に四角い目が描かれているキャラクタ」が横に3列に揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面下側から上昇するように表示される。そして、この「太字の4が描かれているキャラクタ」が横に3列に揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面上側に上昇して消え、画面下側から「太字の3で上部に四角い目が描かれているキャラクタ」が横3列に揃った状態で、且つ視認可能な速度で上昇して、画面中央部に一旦停止して「約1秒間」表示される。即ち、液晶表示器19の画面中央部に「太字の3で上部に四角い目が描かれているキャラクタ」が横に3列に揃った状態で上下に揺動しながら「約1秒間」表示される。
【0249】次に、表示用CPU96は、主基板71のCPU75から確定信号を受信すると、VDP99に「一旦停止図柄」を画面中央部に確定停止表示するように指示する。これにより、図31(d)に示すように、液晶表示器19の画面中央部に上下に揺動しながら表示されている横3列の「太字の3で上部に四角い目が描かれているキャラクタ」が、画面中央部に横に3列に揃った状態で停止表示される。したがって、第1回目の「一旦停止図柄」の上下揺動の表示が開始されてから、約9秒後に第2回目の「一旦停止図柄」が確定停止して表示される。
【0250】次に、表示用CPU96が主基板71のCPU75から指示された図柄変動開始指令信号が「大当たり図柄」として「333」の図柄信号と再変動パターン信号として「パターン9」である場合に、上記S19の再変動処理時に、液晶表示器19の画面に表示される「一旦停止図柄」の表示の一例を図32に基づいて説明する。図32は本実施形態に係るパチンコ機1の表示用CPU96が主基板71のCPU75から指示された「大当たり図柄」として「333」の図柄信号と再変動パターンとして「パターン9」の場合に、第1回目の一旦停止から確定停止するまでの一例を示す図で、(a)は第1回目の「一旦停止図柄」の一旦停止状態を示す図、(b)は確定停止信号を受けて確定停止した状態を示す図である。
【0251】先ず、S17において、表示用CPU96は、第1回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「333」を決定し、該「333」に対応する「大当たり図柄」のキャラクタを画面中央部に「約9秒間」上下に揺動させて表示するようにVDP99に指示する。これにより、図32(a)に示すように、VDP99は「3」に対応するキャラクタとして「太字の3で上部に四角い目が描かれているキャラクタ」を選択し、画面中央部にこの「3」に対するキャラクタを横に3列に揃えた状態で一旦停止して「約9秒間」表示する。即ち、液晶表示器19の画面中央部に「太字の3で上部に四角い目が描かれているキャラクタ」が横に3列に揃った状態で「約9秒間」上下に揺動しながら表示される。
【0252】次に、表示用CPU96は、主基板71のCPU75から確定信号を受信すると、VDP99に「一旦停止図柄」を画面中央部に確定停止表示するように指示する。これにより、図32(b)に示すように、液晶表示器19の画面中央部に上下に揺動しながら表示されている横3列の「太字の3で上部に四角い目が描かれているキャラクタ」が、画面中央部に横に3列に揃った状態で停止表示される。したがって、第1回目の「一旦停止図柄」の上下揺動の表示が開始されてから、約9秒後にこの「一旦停止図柄」が確定停止して表示される。」

上記(ア)?(オ)の記載事項から、以下の事項が導かれる。

(a)上記(エ)【0033】?【0035】には、「パチンコ機1における遊技盤2上の遊技領域・・・遊技領域11のほぼ中央には、・・・特別図柄表示装置18が配設され・・・特別図柄表示装置18には、液晶表示器19が・・・取り付けられている。この液晶表示機19は、・・・変動図柄を表示する液晶パネルであって、・・・パチンコ球の入賞を検出することで液晶表示器19に表示されている特別図柄が変動する」と記載されている。
よって、刊行物には、表示された変動図柄が変動するパチンコ機1が記載されているといえる。

(b)上記(ア)【請求項1】には、「前記変動図柄が変動後所定の態様で一旦停止して、再度、変動と一旦停止とを所定回数繰り返した後確定停止する複数の再変動パターン・・・から一の再変動パターンを選択して、この再変動パターンに基づいて変動図柄を特別図柄表示装置を介して表示する再変動表示手段とを備え」ることが記載され、上記(ウ)【請求項10】には、「前記変動図柄の一部が所定形態で揃った複数のリーチ図柄を記憶するリーチ図柄記憶手段を備え、前記再変動表示手段は、前記所定の態様がリーチ図柄の場合には、所定回数になる前の回までの一旦停止させて表示する図柄として前記一部の所定形態が同じ一のリーチ図柄を選択して表示する」ことが記載されている。
よって、刊行物には、前記変動図柄が変動後所定の態様で一旦停止して、再度、変動と一旦停止とを所定回数繰り返した後確定停止する複数の再変動パターンから一の再変動パターンを選択して、この再変動パターンに基づいて変動図柄を特別図柄表示装置を介して表示し、所定の態様が、変動図柄の一部が所定形態で揃ったリーチ図柄の場合には、所定回数になる前の回までの一旦停止させて表示する図柄として前記一部の所定形態が同じ一のリーチ図柄を選択して表示する再変動表示手段が記載されているといえる。

(c)上記(ア)【請求項1】には、「再変動表示手段」と記載されている。

(d)上記(ア)【請求項1】には、「変動図柄が変動後所定の態様で一旦停止して、再度、変動と一旦停止とを所定回数繰り返した後確定停止する・・・再変動パターン・・・に基づいて変動図柄を・・・表示する再変動表示手段」と、上記(イ)【請求項2】には、「再変動パターンは、前記所定回数が0回の再変動パターンを含む」と、上記(オ)【0172】、【0250】?【0252】には、「変動図柄の変動を開始する・・・図柄変動開始指令信号が「大当たり図柄」として「333」の図柄信号と再変動パターン信号として「パターン9」である場合に、・・・先ず、・・・第1回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「333」を決定し、該「333」に対応する「大当たり図柄」のキャラクタを画面中央部に「約9秒間」上下に揺動させて表示する・・・次に、・・・「一旦停止図柄」を画面中央部に確定停止表示する」と、それぞれ、記載されている。
ここで、「変動図柄の変動を開始」して、「先ず、」「第1回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「333」を決定し、該「333」に対応する「大当たり図柄」のキャラクタを画面中央部に「約9秒間」上下に揺動させて表示」し、「次に、」「「一旦停止図柄」を画面中央部に確定停止表示する」「パターン9」は、「変動図柄が変動後所定の態様で一旦停止して、再度、変動と一旦停止とを」「0回」「繰り返した後確定停止する」ものであるから、「再変動パターン」といえる。
よって、刊行物には、変動図柄の変動を開始し、図柄変動開始指令信号が「大当たり図柄」として「333」の図柄信号と再変動パターン信号として「パターン9」である場合に、先ず、第1回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「333」を決定し、該「333」に対応する「大当たり図柄」のキャラクタを画面中央部に「約9秒間」上下に揺動させて表示し、次に、「一旦停止図柄」を画面中央部に確定停止表示する再変動表示手段が記載されているといえる。

(e)上記(ア)【請求項1】には、「変動図柄が変動後所定の態様で一旦停止して、再度、変動と一旦停止とを所定回数繰り返した後確定停止する・・・再変動パターン・・・に基づいて変動図柄を・・・表示する再変動表示手段」と、上記(オ)【0172】、【0246】?【0249】には、「変動図柄の変動を開始する・・・図柄変動開始指令信号が「大当たり図柄」として「333」の図柄信号と再変動パターン信号として「パターン8」である場合に、・・・先ず、・・・第1回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「444」を決定し、該「444」に対応する「大当たり図柄」のキャラクタを画面中央部に「約8秒間」上下に揺動させて表示する・・・次に、・・・第2回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「333」を決定し、この「444」が揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面上側に上昇しつつ、「333」が揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面下側から上昇して画面中央部に・・・上下に揺動しながら「約1秒間」表示される・・・次に、・・・「一旦停止図柄」を画面中央部に確定停止表示する」と、それぞれ、記載されている。
ここで、「変動図柄の変動を開始」して、「先ず、第1回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「444」を決定し、該「444」に対応する「大当たり図柄」のキャラクタを画面中央部に「約8秒間」上下に揺動させて表示」し、「次に、」「第2回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「333」を決定し、この「444」が揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面上側に上昇しつつ、「333」が揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面下側から上昇して画面中央部に」「上下に揺動しながら「約1秒間」表示」し、「次に、」「「一旦停止図柄」を画面中央部に確定停止表示する」「パターン8」は、「変動図柄が変動後所定の態様で一旦停止して、再度、変動と一旦停止とを所定回数繰り返した後確定停止する」ものであるから、「再変動パターン」といえる。
よって、刊行物には、変動図柄の変動を開始し、図柄変動開始指令信号が「大当たり図柄」として「333」の図柄信号と再変動パターン信号として「パターン8」である場合に、先ず、第1回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「444」を決定し、該「444」に対応する「大当たり図柄」のキャラクタを画面中央部に「約8秒間」上下に揺動させて表示し、次に、第2回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「333」を決定し、この「444」が揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面上側に上昇しつつ、「333」が揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面下側から上昇して画面中央部に上下に揺動しながら「約1秒間」表示し、次に、「一旦停止図柄」を画面中央部に確定停止表示する再変動表示手段が記載されているといえる。

(f)上記(ア)【請求項1】には、「前記複数の再変動パターンは、最初の一旦停止開始時から次の回の変動開始時までの時間が異なる」と記載されている。

(g)上記(エ)【0033】には、「パチンコ機1」と記載されている。

以上(ア)?(オ)の記載事項及び上記(a)?(g)の認定事項を総合すれば、刊行物には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(a?gは発明の構成を分説するため当審で付した。)。

「a 表示された変動図柄が変動するパチンコ機1であって、

b 前記変動図柄が変動後所定の態様で一旦停止して、再度、変動と一旦停止とを所定回数繰り返した後確定停止する複数の再変動パターンから一の再変動パターンを選択して、この再変動パターンに基づいて変動図柄を特別図柄表示装置を介して表示し、所定の態様が、変動図柄の一部が所定形態で揃ったリーチ図柄の場合には、所定回数になる前の回までの一旦停止させて表示する図柄として前記一部の所定形態が同じ一のリーチ図柄を選択して表示する再変動表示手段を備え、

c 再変動表示手段は、

d 変動図柄の変動を開始し、図柄変動開始指令信号が「大当たり図柄」として「333」の図柄信号と再変動パターン信号として「パターン9」である場合に、先ず、第1回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「333」を決定し、該「333」に対応する「大当たり図柄」のキャラクタを画面中央部に「約9秒間」上下に揺動させて表示し、次に、「一旦停止図柄」を画面中央部に確定停止表示するときと、

e 変動図柄の変動を開始し、図柄変動開始指令信号が「大当たり図柄」として「333」の図柄信号と再変動パターン信号として「パターン8」である場合に、先ず、第1回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「444」を決定し、該「444」に対応する「大当たり図柄」のキャラクタを画面中央部に「約8秒間」上下に揺動させて表示し、次に、第2回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「333」を決定し、この「444」が揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面上側に上昇しつつ、「333」が揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面下側から上昇して画面中央部に上下に揺動しながら「約1秒間」表示し、次に、「一旦停止図柄」を画面中央部に確定停止表示するときとがあり、

f 前記複数の再変動パターンは、最初の一旦停止開始時から次の回の変動開始時までの時間が異なる、

g パチンコ機1」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、見出しは(a)?(g)とし、本願補正発明、引用発明の分説に対応させている。

(a)引用発明の「表示された変動図柄が変動するパチンコ機1」は、本願補正発明の「可変表示を行う遊技機」に相当する。

(b)引用発明の「前記変動図柄が変動後所定の態様で一旦停止して、再度、変動と一旦停止とを所定回数繰り返した後確定停止する」「再変動パターン」は、再変動パターンに基づいて変動図柄を特別図柄表示装置を介して表示するものであるから、本願補正発明の「可変表示パターン」に相当するものである。
そうすると、引用発明の「複数の再変動パターンから一の再変動パターンを選択して、この再変動パターンに基づいて変動図柄を特別図柄表示装置を介して表示」することは、本願補正発明の「複数種類の可変表示パターンの何れかにより可変表示を実行する」ことに相当する。
そして、引用発明の「所定の態様が、変動図柄の一部が所定形態で揃ったリーチ図柄の場合には、所定回数になる前の回までの一旦停止させて表示する図柄として前記一部の所定形態が同じ一のリーチ図柄を選択して表示する」ことは、リーチ演出であるといえるから、本願補正発明の「リーチ演出を実行する」ことに相当するから、引用発明の「再変動パターン」は、「リーチ演出を実行するものを含む」ものである。
よって、引用発明の「前記変動図柄が変動後所定の態様で一旦停止して、再度、変動と一旦停止とを所定回数繰り返した後確定停止する複数の再変動パターンから一の再変動パターンを選択して、この再変動パターンに基づいて変動図柄を特別図柄表示装置を介して表示し、所定の態様が、変動図柄の一部が所定形態で揃ったリーチ図柄の場合には、所定回数になる前の回までの一旦停止させて表示する図柄として前記一部の所定形態が同じ一のリーチ図柄を選択して表示する再変動表示手段」は、本願補正発明の「リーチ演出を実行するものを含む複数種類の可変表示パターンの何れかにより可変表示を実行する可変表示実行手段」に相当する。

(c)上記(b)より、引用発明の「再変動表示手段」は、本願補正発明の「可変表示実行手段」に相当する。

(d)引用発明の「変動図柄の変動を開始」することは、本願補正発明の「可変表示を開始」することを含むものである。
そして、引用発明の「先ず、第1回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「333」を決定し、該「333」に対応する「大当たり図柄」のキャラクタを画面中央部に「約9秒間」上下に揺動させて表示」することは、本願補正発明の「所定の動作を伴う仮停止態様」に相当する。
さらに、引用発明の「「一旦停止図柄」を画面中央部に確定停止表示する」ことは、本願補正発明の「可変表示を確定停止」することに相当する。
そうすると、引用発明の「図柄変動開始指令信号が「大当たり図柄」として「333」の図柄信号と再変動パターン信号として「パターン9」である場合」の「再変動表示手段」は、本願補正発明の「第1手段」に相当するといえる。
よって、引用発明の「変動図柄の変動を開始し、図柄変動開始指令信号が「大当たり図柄」として「333」の図柄信号と再変動パターン信号として「パターン9」である場合に、先ず、第1回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「333」を決定し、該「333」に対応する「大当たり図柄」のキャラクタを画面中央部に「約9秒間」上下に揺動させて表示し、次に、「一旦停止図柄」を画面中央部に確定停止表示するとき」がある「再変動表示手段」は、本願補正発明の「可変表示を開始し、所定の動作を伴う仮停止態様を経て、可変表示を確定停止させる第1手段」に相当する機能を有しているといえる。

(e)引用発明の「変動図柄の変動を開始」することは、本願補正発明の「可変表示を開始」することを含むものである。
そして、引用発明の「先ず、第1回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「444」を決定し、該「444」に対応する「大当たり図柄」のキャラクタを画面中央部に「約8秒間」上下に揺動させて表示」することは、本願補正発明の「仮停止態様」に相当する。
また、引用発明の「次に、第2回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「333」を決定し、この「444」が揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面上側に上昇しつつ、「333」が揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面下側から上昇して画面中央部に上下に揺動しながら「約1秒間」表示」することは、本願補正発明の「特定演出を実行する」ことに相当し、引用発明の「「一旦停止図柄」を画面中央部に確定停止表示する」ことは、本願補正発明の「可変表示を確定停止」することに相当する。
そうすると、引用発明の「図柄変動開始指令信号が「大当たり図柄」として「333」の図柄信号と再変動パターン信号として「パターン8」である場合」の「再変動表示手段」は、本願補正発明の「第2手段」に相当するといえる。
よって、引用発明の「変動図柄の変動を開始し、図柄変動開始指令信号が「大当たり図柄」として「333」の図柄信号と再変動パターン信号として「パターン8」である場合に、先ず、第1回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「444」を決定し、該「444」に対応する「大当たり図柄」のキャラクタを画面中央部に「約8秒間」上下に揺動させて表示し、次に、第2回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「333」を決定し、この「444」が揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面上側に上昇しつつ、「333」が揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面下側から上昇して画面中央部に上下に揺動しながら「約1秒間」表示し、次に、「一旦停止図柄」を画面中央部に確定停止表示するとき」がある「再変動表示手段」は、本願補正発明の「可変表示を開始し、仮停止態様を経て特定演出を実行した後に可変表示を確定停止させる第2手段」に相当する機能を有しているといえる。

(c,d,e)そして、上記(b)より、「再変動表示手段」は、「複数の再変動パターンから一の再変動パターンを選択して」「表示」するものであるから、引用発明の「再変動表示手段は、変動図柄の変動を開始し、図柄変動開始指令信号が「大当たり図柄」として「333」の図柄信号と再変動パターン信号として「パターン9」である場合に、先ず、第1回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「333」を決定し、該「333」に対応する「大当たり図柄」のキャラクタを画面中央部に「約9秒間」上下に揺動させて表示し、次に、「一旦停止図柄」を画面中央部に確定停止表示するときと、変動図柄の変動を開始し、図柄変動開始指令信号が「大当たり図柄」として「333」の図柄信号と再変動パターン信号として「パターン8」である場合に、先ず、第1回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「444」を決定し、該「444」に対応する「大当たり図柄」のキャラクタを画面中央部に「約8秒間」上下に揺動させて表示し、次に、第2回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「333」を決定し、この「444」が揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面上側に上昇しつつ、「333」が揃った状態で、且つ視認可能な速度で画面下側から上昇して画面中央部に上下に揺動しながら「約1秒間」表示し、次に、「一旦停止図柄」を画面中央部に確定停止表示するときとがあ」ることは、本願補正発明の「前記可変表示実行手段は、可変表示を開始し、所定の動作を伴う仮停止態様を経て、可変表示を確定停止させる第1手段と、可変表示を開始し、仮停止態様を経て特定演出を実行した後に可変表示を確定停止させる第2手段とを含」むことを含むものである。

(f)引用発明の「最初の一旦停止開始時から次の回の変動開始時までの時間」は、本願補正発明の「仮停止態様とする期間」に相当する。
よって、引用発明の「前記複数の再変動パターンは、最初の一旦停止開始時から次の回の変動開始時までの時間が異な」ることは、本願補正発明の「仮停止態様とする期間は、実行される可変表示パターンの種類によって異な」ることに相当する。

(g)上記(d)より、引用発明には、本願補正発明の「第1手段」に相当する機能を有する「再変動表示手段」が記載されている。
そして、引用発明の構成dにおける「再変動表示手段」は、「第1回目に一旦停止させる「一旦停止図柄」として「333」を決定し、該「333」に対応する「大当たり図柄」のキャラクタを画面中央部に「約9秒間」上下に揺動させて表示し、次に、「一旦停止図柄」を画面中央部に確定停止表示する」ものであるから、本願補正発明の「確定停止まで前記仮停止態様を継続させる」構成を有するものである。
よって、引用発明の「パチンコ機1」は、本願補正発明の「前記第1手段は、確定停止まで前記仮停止態様を継続させる、」「遊技機」の構成を有しているといえる。

上記(a)?(g)の対比により、本願補正発明と引用発明とは、

「A 可変表示を行う遊技機であって、

B リーチ演出を実行するものを含む複数種類の可変表示パターンの何れかにより可変表示を実行する可変表示実行手段を備え、

C 前記可変表示実行手段は、

D 可変表示を開始し、所定の動作を伴う仮停止態様を経て、可変表示を確定停止させる第1手段と、

E 可変表示を開始し、仮停止態様を経て特定演出を実行した後に可変表示を確定停止させる第2手段とを含み、

F 仮停止態様とする期間は、実行される可変表示パターンの種類によって異なり、

G 前記第1手段は、確定停止まで前記仮停止態様を継続させる、遊技機。」

である点で一致しており、相違点はない。

(4)判断
したがって、本願補正発明は引用発明と同一であり、刊行物に記載された発明といえる。
仮に、相違点があったとしても、本願補正発明は引用発明から当業者が容易に想到することができたものであるといえる。

(5)審判請求人の主張について
審判請求書において、請求人は、「引用文献1に記載された「再変動パターン」は、上記4.(2-1)に示すように、一旦停止時間と、一旦停止を行った後の再変動の態様と、を特定するものであって、本願請求項1に記載された、「リーチ演出」を実行するものを含み、可変表示の開始から一旦停止するまでの態様について特定する「可変表示パターン」には該当しません」と主張している(6頁15?20行)。
しかしながら、上記(3)(b)で検討したとおり、引用発明の「再変動パターン」は、「変動図柄が変動後所定の態様で一旦停止して、再度、変動と一旦停止とを所定回数繰り返した後確定停止する」ものであるから、「変動図柄」が「所定の態様で一旦停止」するまでの変動も含むものであり、この主張は採用できない。
また、請求人は、「引用文献1には、本願請求項1に係る発明とは異なり、上記4.(1-1)に示す、「仮停止態様」とする期間が、何れの種類の「可変表示パターン」により可変表示が実行されるかに応じて異なる構成は、開示も示唆もされていません」と主張している(5頁21?24行)。
しかしながら、上記(3)(f)で検討したとおり、引用発明には「前記複数の再変動パターンは、最初の一旦停止開始時から次の回の変動開始時までの時間が異なる」ものであることが記載されており、一方、本願補正発明において、「可変表示パターンの種類」について具体的に言及されていないことから両者の構成に差異は認められず、この主張は採用できない。

(6)小括
よって、本願補正発明は刊行物に記載された発明であるか、又は引用発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、又は特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.むすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本願補正発明は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、出願時の、上記第2の1.で補正前として記載されたとおりのものである。

1.刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物の記載事項、引用発明は、上記第2の3.(2)に記載したとおりである。

2.対比・判断
本願発明は、本願補正発明の発明特定事項から、上記第2の2.(1)、(2)で示した限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を実質的にすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2に記載したとおり、引用発明と同一であるか、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明と同一であるか、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、又は特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-02-28 
結審通知日 2018-03-06 
審決日 2018-03-19 
出願番号 特願2015-52673(P2015-52673)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 進藤 利哉  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 萩田 裕介
蔵野 いづみ
発明の名称 遊技機  
代理人 木村 満  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ