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審決分類 審判 全部申し立て 特29条の2  C03C
審判 全部申し立て 2項進歩性  C03C
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C03C
管理番号 1340078
異議申立番号 異議2016-700752  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-08-17 
確定日 2018-03-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5865451号発明「合わせガラス用中間膜及び合わせガラス」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5865451号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?20〕について訂正することを認める。 特許第5865451号の請求項1、3ないし10、12ないし20に係る特許を維持する。 特許第5865451号の請求項2、11に係る特許についての特許異議の申立を却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5865451号(以下、「本件特許」という。)は、平成22年12月24日(優先権主張 平成21年12月25日)を国際出願日とする特願2010-550770号の一部を、平成23年 7月 1日に新たな特許出願とした特願2011-147481号の一部を、さらに平成26年 8月 6日に新たな特許出願としたものであって、特許請求の範囲に記載された請求項1?20に係る発明について、平成28年 1月 8日に設定登録がされたものである。 その後、その特許について、特許異議申立人 株式会社クラレ(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものであり、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成28年 8月17日 特許異議の申立て
同年12月 1日付け 取消理由通知
平成29年 2月 6日 訂正の請求、意見書の提出
同年 3月22日 特許異議申立人による意見書の提出
同年 6月13日付け 取消理由通知
同年 7月27日 特許権者による意見書の提出
同年 9月11日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年11月 9日 特許権者による意見書の提出


第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
平成29年 2月 6日に提出された訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下の(1)?(22)のとおりである(下線部は訂正箇所)。
(1)訂正事項1
請求項1、3?8、12?14、17及び18に、第1の層に含まれる成分として
「ポリビニルアセタール樹脂」
とあるのを、
「ポリビニルブチラール樹脂」
に訂正する。

(2)訂正事項2
請求項1に
「前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも22.5重量部以上多く、」
とあるのを、訂正事項1と併せて
「前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも25重量部以上多く、」
に訂正する。

(3)訂正事項3
請求項1に
「であり、前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下である場合には、前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であり、」
とあるのを、訂正事項1と併せて
「であり、前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であり、」
に訂正する。

(4)訂正事項4
請求項1に
「前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い、又は、前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度と同じである、合わせガラス用中間膜。」
とあるのを、訂正事項1と併せて
「前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度は前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い、合わせガラス用中間膜。」
に訂正する。

(5)訂正事項5
請求項2を削除する。

(6)訂正事項6
請求項3に
「請求項1又は2に記載」
とあるのを、
「請求項1に記載」
に訂正する。

(7)訂正事項7
請求項4、5に、
「アセタール化度が68モル%以上である」
とあるのを、
「ブチラール化度が68モル%以上である」
に訂正する。

(8)訂正事項8
請求項4に
「請求項1?3のいずれか1項に記載」
とあるのを、
「請求項1に記載」
に訂正する。

(9)訂正事項9
請求項5に
「請求項1?4のいずれか1項に記載」
とあるのを、
「請求項1に記載」
に訂正する。

(10)訂正事項10
請求項6に
「請求項1?5のいずれか1項」
とあるのを、
「請求項1及び3?5のいずれか1項」
に訂正する。

(11)訂正事項11
請求項7に
「請求項1?6のいずれか1項」
とあるのを、
「請求項1及び3?6のいずれか1項」
に訂正する。

(12)訂正事項12
請求項8に
「ポリビニルアルコールのアセタール化物である」
とあるのを、
「ポリビニルアルコールのブチラール化物である」
に訂正する。

(13)訂正事項13
請求項8に
「請求項1?7のいずれか1項」
とあるのを、
「請求項1及び3?7のいずれか1項」
に訂正する。

(14)訂正事項14
請求項9に
「請求項1?8のいずれか1項」
とあるのを、
「請求項1及び3?8のいずれか1項」
に訂正する。

(15)訂正事項15
請求項10に
「請求項1?9のいずれか1項」
とあるのを、
「請求項1及び3?9のいずれか1項」
に訂正する。

(16)訂正事項16
請求項11を削除する。

(17)訂正事項17
請求項12に
「請求項1?11のいずれか1項」
とあるのを、
「請求項1及び3?10のいずれか1項」
に訂正する。

(18)訂正事項18
請求項13に
「であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下である場合には、前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下である」
とあるのを、
「である」
に訂正する。

(19)訂正事項19
請求項13に
「請求項1?12のいずれか1項」
とあるのを、
「請求項1,3?10及び12のいずれか1項」
に訂正する。

(20)訂正事項20
請求項19に
「前記第1?第3の層に含まれている前記ポリビニルアセタール樹脂としてそれぞれ、ポリビニルブチラール樹脂を含み、」
とあるのを、
「前記第2の層及び前記第3の層に含まれている前記ポリビニルアセタール樹脂としてそれぞれ、ポリビニルブチラール樹脂を含み、」
に訂正する。

(21)訂正事項21
請求項20に
「請求項1?19のいずれか1項」
とあるのを、
「請求項1,3?10及び12?19のいずれか1項」
に訂正する。

(22)訂正事項22
明細書中の実施例1?14、16、18、20を、参考例1?14、16、18及び20に訂正する。
具体的には、以下の訂正をする。
○ 明細書【0108】、及び【0114】に、それぞれ「実施例1」とあるのを、「参考例1」に訂正する。
○ 明細書【0114】に「実施例2?20」とあるのを、「参考例2?14、実施例15、参考例16、実施例17、参考例18、実施例19、参考例20」に訂正する。
○ 明細書【0115】に「実施例5?20」とあるのを、「参考例5?14、実施例15、参考例16、実施例17、参考例18、実施例19、参考例20」に訂正する。
○ 明細書【0126】の【表1】に、「実施例1」、「実施例2」、「実施例3」、「実施例4」、「実施例5」、「実施例6」、「実施例7」、「実施例8」、「実施例9」、「実施例10」及び「実施例11」とあるのを、それぞれ「参考例1」、「参考例2」、「参考例3」、「参考例4」、「参考例5」、「参考例6」「参考例7」、「参考例8」、「参考例9」、「参考例10」及び「参考例11」に訂正する。
○ 明細書【0127】の【表2】に「実施例12」、「実施例13」、「実施例14」、「実施例16」、「実施例18」及び「実施例20」とあるのを、それぞれ「参考例12」、「参考例13」、「参考例14」、「参考例16」、「参考例18」及び「参考例20」に訂正する。


2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1、3?8、12?14、17及び18において、第1の層中の「ポリビニルアセタール樹脂」を、「ポリビニルブチラール樹脂」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
第1の層中の「ポリビニルアセタール樹脂」が「ポリビニルブチラール樹脂」であることは、訂正前の請求項19、本件明細書の【0030】、【0052】などに記載されているから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであって、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項1において、「前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも22.5重量部以上多く、」を、訂正事項1と併せて、「前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも25重量部以上多く、」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
上記「・・・第2の層中の・・・可塑剤の含有量よりも25重量部以上」であることは、訂正前の請求項11及び本件明細書の【0095】に記載されているから、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであって、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項1において、「であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下である場合には、前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であり、」を、訂正事項1と併せて、「であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であり、」に訂正するものである。
当該訂正事項3は、「第1の層中のポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下」ではない場合にも、第1の層中の樹脂のアセタール化度が8モル%以下であることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
第1の層中のポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度が8モル%以下であることは、本件明細書の【0067】、【0068】に記載されているから、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであって、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項1において、「前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い、又は、前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度と同じである、合わせガラス用中間膜。」を、訂正事項1と併せて、「前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度は前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い、合わせガラス用中間膜。」に訂正するものである。
当該訂正事項4は、第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度が前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多いことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度は前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多いことは、本件明細書の【0059】に記載されているから、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであって、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5)訂正事項5、16について
訂正事項5、16は、訂正前の請求項2及び11をそれぞれ削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(6)訂正事項6、8?11、13?15、17、19、21について
訂正事項6、8?11、13?15、17、19、21は、引用する請求項の一部を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(7)訂正事項7について
訂正事項7は、訂正事項1により第1の層中の「ポリビニルアルコール樹脂」を、「ポリビニルブチラール樹脂」に訂正することに併せて、請求項4、5の「アセタール化度」を「ブチラール化度」に訂正して、記載を整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(8)訂正事項12について
訂正事項12は、訂正事項1により第1の層中の「ポリビニルアルコール樹脂」を、「ポリビニルブチラール樹脂」に訂正することに併せて、請求項8の「アセタール化物」を「ブチラール化物」に訂正して、記載を整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(9)訂正事項18について
訂正事項18は、訂正事項1、3により、第1の層中の「ポリビニルアルコール樹脂」について、「ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度が8モル%以下である」と限定することに併せて、請求項13の記載を整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(10)訂正事項20について
訂正事項20は、訂正事項1により第1の層中の「ポリビニルアルコール樹脂」を、「ポリビニルブチラール樹脂」に訂正することに併せて、請求項19の重複する記載を削除するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(11)訂正事項22について
訂正事項22は、特許請求の範囲の減縮に伴って、発明の詳細な説明の記載を整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであって、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(12)一群の請求項について
上記訂正事項1?21に係る訂正前の請求項1?20は、請求項2?20が直接的又は間接的に請求項1を引用する関係にあるから、一群の請求項であり、上記訂正事項1?21は、一群の請求項ごとに請求されたものである。 また、訂正事項22は、この一群の請求項の全てについて明細書を訂正するものである。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?20〕 について訂正を認める。


第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1、3?10、12?20に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」・・・「本件発明20」という。)は、次の事項により特定されるとおりのものである。

【請求項1】
ポリビニルブチラール樹脂と可塑剤とを含有する第1の層と、
前記第1の層の一方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第2の層とを備え、
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が50重量部以上であり、
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも25重量部以上多く、
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基の含有率が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基の含有率と前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、9.2モル%以下であり、
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であり、
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度は前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い、合わせガラス用中間膜。

【請求項3】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度が8モル%以下、水酸基の含有率が31.5モル%未満である、請求項1に記載の合せガラス用中間膜。
【請求項4】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度が8モル%以下、ブチラール化度が68モル%以上である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項5】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基の含有率が31.5モル%未満、ブチラール化度が68モル%以上である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項6】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基の含有率が22モル%以上である、請求項1及び3?5のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項7】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度が1.2モル%以上である、請求項1及び3?6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項8】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂は、重合度が1700を超え、2900以下であるポリビニルアルコールのブチラール化物であるポリビニルブチラール樹脂である、請求項1及び3?7のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項9】
前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が35モル%以下である、請求項1及び3?8のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項10】
前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が27モル%以上である、請求項1及び3?9のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。

【請求項12】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基の含有率と前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%以下である、請求項1及び3?10のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項13】
前記第1の層の他方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第3の層をさらに備え、
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基の含有率が、前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基の含有率と前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、9.2モル%以下である、請求項1,3?10及び12のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項14】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度は前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い、又は、前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度は前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度と同じである、請求項13に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項15】
前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が35モル%以下である、請求項13又は14に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項16】
前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が27モル%以上である、請求項13?15のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項17】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも多い、請求項13?16のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項18】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも22.5重量部以上多い、請求項17に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項19】
前記第2の層及び前記第3の層に含まれている前記ポリビニルアセタール樹脂としてそれぞれ、ポリビニルブチラール樹脂を含み、
前記第1?第3の層に含まれている前記可塑剤としてそれぞれ、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエートを含む、請求項13?18のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項20】
第1,第2の合わせガラス構成部材と、
前記第1,第2の合わせガラス構成部材の間に挟み込まれた中間膜とを備え、 前記中間膜が、請求項1,3?10及び12?19のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜である、合わせガラス。


2 平成28年12月1日付けの取消理由について
(1)取消理由の概要
平成28年12月1日付けの取消理由の概要は、以下のとおりである。

ア 特許法第29条第1項第3号
訂正前の請求項1?20に係る発明は、甲1に、本件特許の請求項1?7、9?20に係る発明は、甲2に、及び本件特許の請求項1、6?20に係る発明は、甲3に、それぞれ記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。

イ 特許法第29条第2項
訂正前の請求項1?20に係る発明は、甲1、甲2及び甲5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

ウ 特許法第29条の2
訂正前の請求項1?5、7?10及び12?20に係る発明は、先願(甲4)に記載された発明と同一であって、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。

(証拠方法)
甲1:特開2007-331959号公報
甲2:特表2008-532817号公報
甲3:特開2001- 48600号公報
甲4:特願2009-180344号(特開2010- 37193号公報参照)
甲5:特開2007-331964号公報

(2)対比・判断
ア 特許法第29条第1項第3号
下記「3(3)ア(ア)」のとおりであって、本件発明1と甲1に記載された発明とは、相違点があるから、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえない。
また、本件発明3?10,12?20は、本件発明1の特定事項の全てを含むものであるから、本件発明1と同様に、甲1に記載された発明であるとはいえない。

甲2に記載された、第1ポリマーシート及び第2ポリマーシートが積層された合わせガラス用中間膜において、各層におけるポリマーの残留アセテート含有量(アセチル化度)に関しては、
甲2には、
「【0026】 ・・・本発明の2つの隣接ポリマーシートは、前述のように異なる可塑剤含有量を有し、それぞれが5mol%未満、4mol%未満、3mol%未満、2mol%未満、または1mol%未満の、残留アセテート含有量をさらに有する。これらの残留アセテート濃度は、どの組み合わせにおいても、上で与えられた残留ヒドロキシル含有量と結合されて、可塑剤含有量および残留ヒドロキシル含有量において記述された差を有しながら、殆ど、ないし全く残留アセテート含有量を有しない、本発明の2つのポリマーシートを形成することができる。・・・」
などと記載されているのみであって、本件発明1の「第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度は前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多」く設定することについては記載されていない。
したがって、本件発明1は、甲2に記載された発明とはいえない。
また、本件発明3?10、12?20は、本件発明1の特定事項の全てを含むものであるから、本件発明1と同様に、甲2に記載された発明であるとはいえない。

本件発明1は、甲3による取消理由の対象とされていない訂正前の請求項2に記載された第1の層中のポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であることが特定されたものである。
したがって、本件発明1は、甲3に記載された発明とはいえない。
また、本件発明6?20は、本件発明1の特定事項の全てを含むものであるから、本件発明1と同様に、甲3に記載された発明であるとはいえない。

イ 特許法第29条第2項について
甲2には、上記【0026】及びその他の記載をみても、第1の層中のポリビニルブチラール樹脂のアセチル基量を他方の層より大きくすることは何ら示唆されていない。
ここで、甲1には、下記「3(3)ア(ア)」のとおり、本件発明1で特定した「前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い」ことが記載されているといえる。
しかし、甲1は、遮音層(第1の層)のアセチル化度が4?7モル%のポリビニルアセタールに対して、保護層(第2の層)のアセチル化度が3モル%以下のポリビニルアセタール(【請求項1】)の合わせガラス用中間膜であるところ、甲2に記載のポリマー中間層は、各層のアセチル基量をなるべく小さくなるように設定するものであるから、第1の層のアセチル化度を4?7モル%とする甲1の上記記載事項と組み合わせることはできない。
したがって、本件発明1は、甲2又は甲1及び甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本件発明3?10、12?20は、本件発明1の特定事項の全てを含むものであるから、本件発明1と同様に、甲2又は甲1及び甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

さらに、甲5は、本件発明7で特定されたアセチル基量が1.2モル%である点について進歩性を否定するために引用されたものであって、本件発明7?10、12?20は、本件発明1の特定事項を全て含むものであるから、甲1、甲2及び甲5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ 特許法第29条の2について
甲4の表5によれば、A2/B9/A2の順に積層構造とした多層フィルムについて記載され、表3によれば、部分フィルムA2に可塑剤の量は26.5質量%であるから、部分フィルムA2に可塑剤は、樹脂100重量部に対して、36.1重量部(=[26.5/(100-26.5)])含まれ、表4によれば、部分フィルムB9の可塑剤の量は、37.5質量%であるから、部分フィルムB9に可塑剤は、樹脂100重量部に対して、60重量部(=[37.5/(100-37.5)])含まれる。
そうすると、部分フィルムB9の樹脂100重量部に対する可塑剤含有量と、部分フィルムA2の樹脂100重量部に対する可塑剤含有量との差は、22.5重量部(=60-37.5)であるから、本件発明1は、「前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも25重量部以上多」い点で、甲4に記載された発明と相違している。
したがって、本件発明1は、甲4に記載された発明と同一であるとはいえない。
また、本件発明3?5、7?10、12?20は、本件発明1の特定事項の全てを含むものであるから、本件発明1と同様に、甲4に記載された発明と同一であるとはいえない

3 平成29年 6月13日付けで通知した取消理由について
(1)取消理由の概要
平成29年 6月13日付けで通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。

本件発明1、3?10、12?20は、甲1及び甲3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その発明に係る特許は、取り消されるべきものである。

(2)甲1及び甲3の記載事項並びに甲1に記載された発明
ア 甲1の記載事項
甲1には、次の事項が記載されている。
1a「【請求項1】
遮音層と、前記遮音層を狭持する2層の保護層とからなる合わせガラス用中間膜であって、前記遮音層は、ポリビニルアルコールを炭素数が4又は5のアルデヒドによりアセタール化して得られる、アセチル化度が4?7モル%のポリビニルアセタール100重量部に対して、可塑剤を45?75重量部含有し、
前記保護層は、ブチラール化度が60?75モル%、アセチル化度が3モル%以下のポリビニルブチラール100重量部に対して、可塑剤を20?45重量部含有することを特徴とする合わせガラス用中間膜。」

1b「【0001】
本発明は、水に濡れても白化することがなく、優れた遮音性を有する合わせガラス用中間膜及び合わせガラスに関する。」

1c 「【0009】
・・・遮音層に用いる樹脂について、ポリビニルアルコールをアセタール化するためのアルデヒドの炭素数を一定の範囲に限定し、かつ、ポリビニルアセタールのアセチル化度を一定の範囲に限定することにより、遮音性に優れ、かつ、車両のサイドガラス等に用いた場合であっても白化の生じにくい合わせガラス用中間膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
これは、一定の範囲に限定することにより、遮音層に極めて大量の可塑剤を安定して含有させることができるため、遮音層の疎水性(親油性)が高くなることから、水の浸透を防止することができ、白化を抑制することができる。また、大量の可塑剤を安定して含有していることから、合わせガラス用中間膜全体として高い遮音性を発揮することができる。」

1d「【0010】
本発明の合わせガラス用中間膜は、遮音層と、上記遮音層を狭持する2層の保護層とからなる。」

1e「【0011】
上記遮音層は、本発明の合わせガラス用中間膜に対して遮音性を付与するためのものである。
上記遮音層は、ポリビニルアルコールを炭素数が4又は5のアルデヒドによりアセタール化して得られる、アセチル化度が4?7モル%のポリビニルアセタール100重量部に対して、可塑剤を45?75重量部含有する。」

1f「【0012】
上記ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は200、好ましい上限5000である。200未満であると、合わせガラス用中間膜の耐貫通性が低下することがあり、5000を超えると、層の成形性が悪くなり、しかも層の剛性が大きくなり過ぎ、加工性が悪くなることがある。より好ましい下限は500、より好ましい上限は4000である。
・・・。
【0014】
上記炭素数が4又は5のアルデヒドとしては特に限定されず、直鎖状のものであってもよいし、分枝状のものであってもよく、例えば、n-ブチルアルデヒド、n-バレルアルデヒド等が挙げられる。」

1g 「【0040】
(実施例1)
(1)遮音層の作製
平均重合度3000、アセチル化度7モル%、ペンチラール化度70%のポリビニルペンチラール100重量部に対して、可塑剤としてトリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキサノエート(略称3GO)65重量部を添加し・・・プレス成形し、平均膜厚0.1mmの遮音層を得た。
【0041】
(2)保護層の作製
平均重合度1700、アセチル化度1モル%、ブチラール化度68%のポリビニルブチラール100重量部に対して、可塑剤としてトリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキサノエート40重量部を添加し・・・プレス成形し、平均膜厚0.33mmの遮音層を得た。
【0042】
(3)合わせガラス用中間膜の作製
得られた遮音層を、2枚の保護層の間に挟み込み・・・プレスして、平均膜厚0.76mmの合わせガラス用中間膜を得た。
【0043】
(4)合わせガラスの作製
得られた合わせガラス用中間膜を透明なフロートガラス・・・で挟み込み・・・真空プレスした。このようにして予備圧着された合わせガラスをオートクレーブ中で135℃、圧力1176kPaの条件で20分間圧着を行い、合わせガラスを得た。」

1h「【0044】
(実施例2)
遮音層の作製においてアセチル化度5モル%のポリビニルペンチラールを用い、可塑剤配合量を60重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0045】
(実施例3)
遮音層の作製においてアセチル化度7モル%のポリビニルブチラールを用い、可塑剤配合量を60重量部とし、遮音層の厚みを0.12mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0046】
(実施例4)
遮音層の作製においてアセチル化度5モル%のポリビニルブチラールを用い、可塑剤配合量を60重量部とし、遮音層の厚みを0.12mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。」

1i「【0049】
<評価>
実施例1?4・・・で得られた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスについて以下の評価を行った。結果を表1、表2に示した。
【0050】
(1)遮音性評価
・・・
・・・得られた損失係数と、ガラスとの共振周波数との比から、20℃における音周波数(Hz)と音響透過損失(dB)との関係を示すグラフを作成し、音周波数2000Hz付近における極小の音響透過損失(TL値)を求めた。このTL値が高いほど遮音性が高くなる。
【0051】
(2)耐湿試験(ヘイズ値測定)
得られた合わせガラス用中間膜を蒸留水中に全体が完全に漬かるように浸漬し、23℃、24時間放置した。放置後の合わせガラス用中間膜のヘイズ値をJIS K 6714に準拠した方法により積分式濁度計(東京電色社製)を用いて測定した。
【0052】
(3)耐湿試験(白化距離測定)
JIS R 3212(1998)に準拠して、得られた合わせガラスを100℃95%RHの雰囲気に1ヶ月間放置し、その後、白化している部分の距離(白化距離)を合わせガラスの周辺から測定した。
【0053】
(4)総合判定
(1)?(3)の評価を基に、以下の基準により総合判定を行った。
○:ヘイズ値が50%以下、かつ、白化距離が2mm以下であった。
×:ヘイズ値が50%を超えるか、又は、白化距離が2mmを超えた。」

1j「【表1】



1k「【表2】



イ 甲3の記載事項
甲3には、次の事項が記載されている。
3a「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合わせガラス用中間膜及びその中間膜を用いた合わせガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】可塑剤の添加により可塑化されたポリビニルアセタール樹脂のような透明で柔軟性に富む樹脂を製膜してなる合わせガラス用中間膜で少なくとも一対のガラス板を接着して得られる合わせガラスは、破損時に破片が飛散せず安全性に優れているため、例えば自動車等の交通車輌の窓ガラス用や建築物の窓ガラス用等として広く用いられている。
【0003】このような中間膜のなかでも、可塑剤の添加により可塑化されたポリビニルブチラール樹脂が製膜されてなる中間膜は、ガラスとの適正な接着力、強靱な引張り強度、優れた透明性等の諸性能を兼備しているので、特に交通車輌の窓ガラス用として好適に用いられている・・・」

3b「【0046】こうして得られる各種ポリビニルアセタール樹脂のなかでも、・・・ PVAとn-ブチルアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルブチラール樹脂(PVB)等が好適に用いられ、なかでも特に好適に用いられるのはPVBである。ポリビニルアセタール樹脂としてPVBを用いることにより、樹脂層及び中間膜の透明性、耐候性、ガラスに対する接着力等が優れたものとなる。
・・・
【0048】上記ポリビニルアセタール樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。又、樹脂層(A)に用いられるポリビニルアセタール樹脂(a)と樹脂層(B)に用いられるポリビニルアセタール樹脂(b)とは、同一のものであっても良いし、異なるものであっても良い。」

3c「【0057】前記ポリビニルアセタール樹脂と上記可塑剤との組合せのなかでも、ポリビニルアセタール樹脂としてポリビニルブチラール樹脂を用い、可塑剤として3GH、3GO及び3G7からなる群より選択される少なくとも1種を用いる組合せが特に好ましい。
【0058】上記組合せによる樹脂層(A)及び樹脂層(B)からなる中間膜は、遮音性能のみならず、透明性、耐候性、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、ガラスと中間膜との適正な接着力等の基本性能に一段と優れる合わせガラスを得るに適する。」

3d「【0074】(実施例1)
【0075】(1)樹脂層(A)の作製
ポリビニルアセタール樹脂(a)としてポリビニルブチラール樹脂 ・・・ 100部に対し、可塑剤(a)として・・・(3GH)40部を添加し・・・プレス成形し、膜厚0.2mmの樹脂層(A)を作製した。
【0076】(2)樹脂層(B)の作製
ポリビニルアセタール樹脂(b)としてポリビニルブチラール樹脂 ・・・ 100部に対し、可塑剤(b)として3GH65部を添加し・・・プレス成形し、膜厚0.4mmの樹脂層(B)を作製した。
・・・
【0078】(4)中間膜及び合わせガラスの作製
上記で得られた樹脂層(A)及び樹脂層(B)を用い、積層構成が樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)となるように積層して、三層中間膜を得た。
・・・」

ウ 甲1に記載された発明
記載事項1a?1dによれば、甲1には、遮音層と、前記遮音層を挟持する2層の保護層とからなる、合わせガラス用中間膜について記載されているから、保護層は、遮音層に積層されているといえる。
記載事項1g、1jなどによれば、実施例1の合わせガラス用中間膜において、遮音層は、アセチル化度7モル%、アセタール化度70モル%であるポリビニルペンチラール樹脂100重量部に対して、可塑剤65重量部を含み、保護層は、アセチル化度1モル%、アセタール化度68モル%であるポリビニルブチラール樹脂100重量部に対して、可塑剤40重量部を含むことが記載されている。
そうすると、実施例1の合わせガラス用中間膜の遮音層、及び保護層の可塑剤の含有量を比較すると、遮音層は、保護層よりも樹脂100重量部に対して25重量部多く含まれている。

これらのことから、甲1には、
「ポリビニルペンチラール樹脂と可塑剤とを含有する遮音層と、
前記遮音層に積層され、ポリビニルブチラール樹脂と可塑剤とを含有する保護層とからなり、
前記遮音層の前記ポリビニルペンチラール樹脂100重量部に対して前記可塑剤の含有量が65重量部であり、
前記遮音層の前記ポリビニルペンチラール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記遮音層の前記保護層に対する前記可塑剤の含有量よりも25重量部多く、
前記遮音層のポリビニルペンチラール樹脂のアセチル化度、及びアセタール化度は、それぞれ7モル%、70モル%であり、
前記保護層のポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度、及びアセタール化度は、それぞれ1モル%、68モル%である、合わせガラス用中間膜。」の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

(3)対比・判断
ア 本件発明1について
(ア)発明の対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
本件発明1及び甲1発明の「ポリビニルブチラール樹脂」、並びに甲1発明の「ポリビニルペンチラール樹脂」は、共にポリビニルアセタール樹脂である。
甲1発明の遮音層のポリビニルペンチラール樹脂のアセチル化度、及びアセタール化度が、それぞれ7モル%、及び70モル%であるから、ポリビニルペンチラール樹脂の水酸基含有率は、100-(7+70)=23モル%である。
また、甲1発明の遮音層のポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度、及びアセタール化度が、それぞれ1モル%、及び68モル%であるから、ポリビニルペンチラールの水酸基含有率は、100-(1+68)=31モル%である。
そうすると、甲1発明の遮音層の水酸基含有率と保護層の水酸基含有率との差は、31-23=8モル% となる。
ここで、甲1発明の「遮音層」、及び「保護層」は、それぞれ、本件発明1の「第1の層」及び「第2の層」に相当し、前記「遮音層」の可塑剤の含有量は、樹脂100重量部に対して65重量部であるから、前記「第1の層」の樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量が50重量部以上であることに相当し、また、前記「遮音層」の樹脂の水酸基の含有率と前記「保護層」の樹脂の水酸基の含有率との差は、前記「第1の層」中の樹脂の水酸基の含有率と前記「第2の層」中の樹脂の水酸基の含有率との差と共通している。
さらに、甲1発明の前記「遮音層」の樹脂のアセチル化度は7モル%であるから、本件発明1の「第1の層」の樹脂のアセチル化度と一致し、また、甲1発明の「遮音層」の樹脂のアセチル化度が、「保護層」のアセチル化度より多い点も、本件発明1の「第1の層」のアセチル化度が、「第2の層」のアセチル化度よりも多い点と一致している。

以上のことから、本件発明1と甲1発明とは、
「ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第1の層と、
前記第1の層の一方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第2の層とを備え、
前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が50重量部以上であり、
前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも25重量部以上多く、
前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、
前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、9.2モル%以下であり、
前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であり、
前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い、合わせガラス用中間膜。」
の点で一致し、次の点でのみ両者は相違する。

( 相違点 )
本件発明1において、第1の層中のポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂であるのに対し、甲1発明において、遮音層のポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルペンチラール樹脂である点。

(イ)相違点の判断
上記相違点について検討する。
記載事項1g?1kによると、甲1発明を含む甲1記載の実施例・比較例は、いずれも同一の保護層を使用していることから、遮音層の違いにより、性能がどのように変化するかを開示したものと認められる。
すなわち、実施例3と実施例4は、ポリビニルブチラール樹脂を含む遮音層では、可塑剤の配合量(60重量部)及びアセタール化度(70モル%)を変えずに、アセチル化度を高める(5→7モル%)ことで遮音性能及び耐湿性能が向上することを示し、一方、甲1発明(実施例1)と実施例2は、ポリビニルペンチラール樹脂を含む遮音層では、アセタール化度(70モル%)を変えずに、可塑剤の配合量(60→65重量部)とアセチル化度(5→7モル%)を高めると遮音性能及び耐湿性能が向上することを示している。
してみると、甲1発明における可塑剤の配合量は、遮音層にポリビニルペンチラール樹脂が含まれることを前提に調整されたものであって、ポリビニルブチラール樹脂に対して調整されたものではないと認められる。

さらに、実施例2と実施例4は、遮音層における可塑剤の配合量(60重量部)や、樹脂のアセチル化度(5モル%)及びアセタール化度(70モル%)が同じ場合には、ポリビニルペンチラール樹脂が、ポリビニルブチラール樹脂よりも、膜厚が薄い(120μmに対し100μm)にもかかわらず遮音性能及び耐湿性能が優れていることを示している。

そうすると、甲3の記載事項3a?3dにあるように、ポリビニルブチラール樹脂を含むガラス用中間膜が透明性等に優れていることが当業者に周知であるとしても、甲1発明において、ポリビニルペンチラール樹脂をポリビニルブチラール樹脂に変更した場合には、樹脂の種類に応じて可塑剤の量も変更する可能性があり、ポリビニルペンチラール樹脂を前提に調整された可塑剤の配合量を変えないとする保障はない。そして、甲1の実施例におけるポリビニルブチラール樹脂を含む遮音層の可塑剤の配合量は60重量部(実施例3と実施例4)であるから,当業者であれば、甲1発明において,ポリビニルペンチラール樹脂をポリビニルブチラール樹脂に変更した場合には、可塑剤の配合量を65重量部から減らす方が自然であるといえるが、この場合には、本件発明1の「前記第1の層中の ・・・ 可塑剤の含有量が、前記第2の層中の ・・・ 可塑剤の含有量よりも25重量以上多く」という発明特定事項を充足しないこととなる。
したがって、甲1発明において、ポリビニルペンチラール樹脂を、それよりも遮音性能及び耐湿性能に劣るポリビニルブチラール樹脂に仮に変更したとしても、その結果、可塑剤の配合量が本件発明1の範囲外となる可能性があるから、一義的に本件発明1の構成に至るということはできない。

また、本件明細書の記載によれば、本件発明1に係る合わせガラス用中間膜は、「合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長を抑制できる。」(【0032】、「実施例」(【0108】?【0127】))という効果を奏するが、甲1及び甲3には、合わせガラスにおける発泡について何ら記載はないから、本件発明1の効果は、甲1及び甲3の記載からは予期し得ないものといえる。

以上によれば、本件発明1は、甲1及び甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ 本件発明3?10、12?20について
本件発明3?10、12?20は、本件発明1の特定事項を全て含むものであるから、本件発明3?10、12?20は、本件発明1と同様な理由により、甲1及び甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。


第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、請求項1、3?10、12?20に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、3?10、12?20に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項2、11に係る特許は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項2、11に対する特許異議の申立については、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2層の多層構造を有する合わせガラス用中間膜に関し、より詳細には、各層がそれぞれポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する合わせガラス用中間膜、並びに該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片の飛散量が少なく、安全性に優れている。このため、上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に広く使用されている。上記合わせガラスは、一対のガラス板の間に合わせガラス用中間膜を挟み込むことにより、製造されている。
【0003】
上記合わせガラス用中間膜の一例として、下記の特許文献1には、アセタール化度が60?85モル%のポリビニルアセタール樹脂100重量部と、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の内の少なくとも一種の金属塩0.001?1.0重量部と、30重量部以上の可塑剤とを含む遮音層が開示されている。この遮音層は、単層で中間膜として用いられ得る。
【0004】
さらに、下記の特許文献1には、上記遮音層と他の層とが積層された多層中間膜も記載されている。遮音層に積層される他の層は、アセタール化度が60?85モル%のポリビニルアセタール樹脂100重量部と、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の内の少なくとも一種の金属塩0.001?1.0重量部と、30重量部以下の可塑剤とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-070200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の中間膜を用いて合わせガラスを構成した場合には、合わせガラスの2000Hz付近の周波数領域における遮音性が充分ではなく、従ってコインシデンス効果による遮音性の低下が避けられないことがある。特に、この合わせガラスの20℃付近での遮音性が充分ではないことがある。
【0007】
ここで、コインシデンス効果とは、ガラス板に音波が入射したとき、ガラス板の剛性と慣性とによって、ガラス面上を横波が伝播して横波と入射音とが共鳴し、その結果、音の透過が起こる現象をいう。
【0008】
また、上記特許文献1に記載の遮音層と他の層とが積層された多層中間膜を用いて合わせガラスを構成した場合には、合わせガラスの20℃付近での遮音性をある程度高めることができる。しかし、多層中間膜が上記遮音層を有するため、該多層中間膜を用いた合わせガラスに発泡が生じることがある。
【0009】
さらに、近年、合わせガラスの遮音性を高めるために、中間膜中の可塑剤の含有量を多くすることが検討されている。中間膜中の可塑剤の含有量を多くすると、合わせガラスの遮音性を改善できる。しかしながら、可塑剤の含有量を多くすると、合わせガラスに発泡が生じることがある。
【0010】
本発明の目的は、発泡の発生及び発泡の成長を抑制できる合わせガラスを得ることができる合わせガラス用中間膜、並びに該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することである。
【0011】
本発明の限定的な目的は、遮音性に優れた合わせガラスを得ることができる合わせガラス用中間膜、並びに該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の広い局面によれば、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第1の層と、上記第1の層の一方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第2の層とを備え、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量が50重量部以上であり、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、上記第2の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と上記第2の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、9.2モル%以下であり、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と上記第2の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下である場合には、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下である、合わせガラス用中間膜が提供される。
【0013】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と上記第2の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、9.2モル%以下であり、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と上記第2の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%以下である場合には、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%を超える。
【0014】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下、水酸基の含有率が31.5モル%未満である。
【0015】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の別の特定の局面では、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下、アセタール化度が68モル%以上である。
【0016】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が31.5モル%未満、アセタール化度が68モル%以上である。
【0017】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の別の特定の局面では、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と上記第2の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%以下である場合には、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%を超え、20モル%未満である。
【0018】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のさらに別の特定の局面では、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と上記第2の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%以下である場合には、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%を超え、アセタール化度が52.5モル%以上である。
【0019】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と上記第2の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%以下である場合には、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%を超え、水酸基の含有率が28モル%以下である。
【0020】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のさらに他の特定の局面では、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂は、重合度が1700を超え、3000以下であるポリビニルアルコールをアセタール化することにより得られるポリビニルアセタール樹脂である。
【0021】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の別の特定の局面では、上記第2の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が33モル%以下である。
【0022】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量が、上記第2の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量より多い。
【0023】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のさらに他の特定の局面では、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量が、上記第2の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量よりも20重量部以上多い。
【0024】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の別の特定の局面では、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と上記第2の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%以下である。
【0025】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の別の特定の局面では、上記第1の層の他方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第3の層がさらに備えられており、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、上記第3の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と上記第3の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差は、9.2モル%以下であり、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と上記第3の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下である場合には、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下である。
【0026】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と上記第3の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、9.2モル%以下であり、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と上記第3の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%以下である場合には、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%を超える。
【0027】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のさらに別の特定の局面では、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が31.5モル%未満、アセタール化度が68モル%以上である。
【0028】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のさらに他の特定の局面では、上記第3の層中のポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が33モル%以下である。
【0029】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のさらに別の特定の局面では、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量は、上記第2,第3の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の各含有量よりも多い。
【0030】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記第1?第3の層に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂としてそれぞれ、ポリビニルブチラール樹脂を含むことが好ましい。本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記第1?第3の層に含まれている上記可塑剤としてそれぞれ、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエートを含むことが好ましい。
【0031】
本発明に係る合わせガラスは、第1,第2の合わせガラス構成部材と、該第1,第2の合わせガラス構成部材の間に挟み込まれた中間膜とを備えており、該中間膜が、本発明に従って構成された合わせガラス用中間膜である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、上記第2の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の各水酸基の含有率よりも低く、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量が50重量部以上であり、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と上記第2の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、9.2モル%以下であり、更に上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と上記第2の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下である場合には、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であるので、合わせガラスを構成するのに用いられた場合に、合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態及び実施例を挙げることにより、本発明を明らかにする。
【0035】
図1に、本発明の一実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に断面図で示す。
【0036】
図1に示す中間膜1は、第1の層2と、第1の層2の一方の面2a(第1の面)に積層された第2の層3と、第1の層2の他方の面2b(第2の面)に積層された第3の層4とを備える。中間膜1は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜1は、合わせガラス用中間膜である。中間膜1は、多層中間膜である。
【0037】
本実施形態では、第1の層2は中間層であり、かつ第2,第3の層3,4は表面層である。ただし、第2,第3の層3,4が中間層であって、第2,第3の層3,4の外側の表面3a,4aに、他の合わせガラス用中間膜がさらに積層されていてもよい。
【0038】
第1?第3の層2?4はそれぞれ、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する。
【0039】
本実施形態の主な特徴は、第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、第2の層3中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と第2の層3中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差(以下、含有率差(1-2)と記載することがある)が、9.2モル%以下であり、更に第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と第2の層3中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差(含有率差(1-2))が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下である場合には、第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であることである。また、本実施形態は、第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量が50重量部以上である。上記含有率差(1-2)は、8.5モル%を超えかつ9.2モル%以下であってもよく、更に8.5モル%以下であってもよい。
【0040】
また、本実施形態では、第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、第3の層4中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と第3の層4中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差(以下、含有率差(1-3)と記載することがある)が、9.2モル%以下であり、更に第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と第3の層4中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差(含有率差(1-3))が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下である場合には、第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であることが好ましい。但し、含有率差(1-3)が、8.5モル%以下であっても、含有率差(1-2)が8.5モル%を超え、9.2モル%以下である場合には、第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は8モル%以下である。上記含有率差(1-3)は、8.5モル%を超え、9.2モル%以下であってもよく、更に8.5モル%以下であってもよい。
【0041】
なお、含有率差(1-2)及び含有率差(1-3)がそれぞれ8.5モル%を超え、9.2モル%以下である場合に、第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下に限定されるのは、含有率差(1-2)及び含有率差(1-3)とともに、第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度も大きくなると、合わせガラスの発泡の発生及び発泡の成長の抑制効果が小さくなる傾向があるためである。一方で、含有率差(1-2)及び含有率差(1-3)が8.5モル%以下であれば、第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%を超えていても、合わせガラスの発泡の発生及び発泡の成長を抑制できる。
【0042】
本発明者らは、多層構造を有する合わせガラス用中間膜では、各層間で可塑剤が移行し、この結果、可塑剤の含有量が多い層が形成されること、例えば、第2,第3の層から第1の層に可塑剤が移行し、この結果、第1の層の可塑剤の含有量が多くなることを見出した。さらに、可塑剤の含有量が多い層が形成されると、すなわち第1の層の可塑剤の含有量が多くなると、合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスに発泡が生じやすくなり、更に発泡が一旦生じると、生じた発泡が核となって発泡が成長することも見出した。
【0043】
本発明者らは、上記発泡の発生及び発泡の成長を抑制するために鋭意検討した結果、第1?第3の層中のポリビニルアセタール樹脂の各水酸基の含有率を上記のように制御することにより、合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長を充分に抑制できることも見出した。可塑剤の移行を抑制でき、かつ合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長を充分に抑制できるため、各層の可塑剤の含有量、特に第1の層2の可塑剤の含有量を多くすることができる。このため、合わせガラスの遮音性を高めることができる。
【0044】
合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長をより一層抑制する観点からは、第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と第2,第3の層3,4中の上記ポリビニルアセタール樹脂の各水酸基の含有率との差(含有率差(1-2)及び含有率差(1-3))の好ましい下限は0.1モル%、より好ましい下限は1モル%、更に好ましい下限は2モル%、好ましい上限は8.5モル%、より好ましい上限は7.8モル%、更に好ましい上限は7モル%、特に好ましい上限は5.6モル%である。合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長を更に一層抑制することができることから、第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と第2,第3の層3,4中の上記ポリビニルアセタール樹脂の各水酸基の含有率との差(含有率差(1-2)及び含有率差(1-3))は好ましくは5モル%以下、より好ましくは4.5モル%以下、より一層好ましくは4モル%以下、更に好ましくは3.5モル%以下である。
【0045】
また、第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量が55重量部以上である場合には、合わせガラスの遮音性を充分に高めることができる。第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量が60重量部以上である場合には、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。
【0046】
以下、中間膜1の第1?第3の層に含まれている各成分の詳細を説明する。
【0047】
(ポリビニルアセタール樹脂)
中間膜1の第1?第3の層2?4がそれぞれ、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有することにより、第1?第3の層2?4の接着力を高くすることができる。このため、合わせガラス構成部材に対する中間膜1の接着力をより一層高くすることができる。
【0048】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に、70?99.9モル%の範囲内であり、80?99.8モル%の範囲内であることが好ましい。
【0049】
上記ポリビニルアルコールの重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、より好ましくは3000以下、更に好ましくは2800以下である。上記重合度が上記好ましい下限を満たすと、合わせガラスの耐貫通性をより一層高めることができる。上記重合度が上記好ましい上限を満たすと、中間膜の成形が容易になる。上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂は、重合度が1700を超え、3000以下であるポリビニルアルコールをアセタール化することにより得られるポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。上記重合度は、平均重合度を示す。
【0050】
なお、上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
【0051】
上記アルデヒドは特に限定されない。上記アルデヒドとして、一般には、炭素数が1?10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1?10のアルデヒドとしては、例えば、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-バレルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド、n-ノニルアルデヒド、n-デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n-ブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド又はn-バレルアルデヒドが好ましく、n-ブチルアルデヒドがより好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0052】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記第1?第3の層に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂としてそれぞれ、ポリビニルブチラール樹脂を含むことが好ましい。ポリビニルブチラール樹脂の合成は容易である。さらに、ポリビニルブチラール樹脂の使用により、合わせガラス構成部材に対する中間膜1の接着力がより一層適度に発現する。さらに、耐光性及び耐候性等をより一層高めることができる。
【0053】
中間層である第1の層2に含まれているポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率(水酸基量)の好ましい下限は20モル%、より好ましい下限は22モル%、更に好ましい下限は23モル%、特に好ましい下限は25モル%、好ましい上限は30モル%、より好ましい上限は28モル%、更に好ましい上限は27モル%、特に好ましい上限は26モル%である。上記水酸基の含有率が上記好ましい下限を満たすと、第1の層2の接着力をより一層高くすることができる。上記水酸基の含有率が上記好ましい上限を満たすと、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。さらに、中間膜1の柔軟性が高くなり、中間膜1の取扱性をより一層高めることができる。
【0054】
なお、ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が低いと、ポリビニルアセタール樹脂の親水性が低くなる。このため、可塑剤の含有量を多くすることができ、この結果、合わせガラスの遮音性をより一層高くすることができる。第1の層2中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、第2,第3の層3,4中の上記ポリビニルアセタール樹脂の各水酸基の含有率よりも低いので、第1の層2の可塑剤の含有量を多くすることができる。
【0055】
表面層である第2,第3の層3,4に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率の好ましい下限は26モル%、より好ましい下限は27モル%、更に好ましい下限は28モル%、特に好ましい下限は29モル%、好ましい上限は35モル%、より好ましい上限は33モル%、更に好ましい上限は32モル%、特に好ましい上限は31.5モル%である。上記水酸基の含有率が上記好ましい下限を満たすと、中間膜1の接着力をより一層高くすることができる。上記水酸基の含有率が上記好ましい上限を満たすと、中間膜1の柔軟性が高くなり、中間膜1の取扱性をより一層高めることができる。
【0056】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基が結合しているエチレン基量を測定することにより求めることができる。
【0057】
第1の層2に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度(アセチル基量)は、30モル%以下であることが好ましい。アセチル化度が30モル%を超えると、ポリビニルアセタール樹脂を製造する際の反応効率が低下することがある。
【0058】
第1の層2に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度のより好ましい下限は0.1モル%、より好ましい下限は0.5モル%、更に好ましい下限は1モル%、特に好ましい下限は1.2モル%、好ましい上限は24モル%、より好ましい上限は20モル%、更に好ましい上限は16モル%、特に好ましい上限は15モル%である。第2,第3の層3,4に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度の好ましい下限は0.1モル%、より好ましい下限は0.5モル%、更に好ましい下限は0.8モル%、好ましい上限は10モル%、より好ましい上限は5モル%、更に好ましい上限は2モル%、特に好ましい上限は1.5モル%である。上記アセチル化度が上記好ましい下限を満たすと、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性がより一層高くなり、かつ中間膜のガラス転移温度を十分に低下させることができる。上記アセチル化度が上記好ましい上限を満たすと、中間膜の耐湿性をより一層高めることができる。
【0059】
合わせガラスの遮音性をより一層高めることができることから、第1の層2に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は、第2,第3の層3,4に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多いことが好ましい。
【0060】
上記アセチル化度は、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。上記アセタール基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0061】
第1の層2に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度の好ましい下限は45モル%、より好ましい下限は52.5モル%、更に好ましい下限は58モル%、特に好ましい下限は60モル%、好ましい上限は85モル%、より好ましい上限は80モル%、更に好ましい上限は77モル%、特に好ましい上限は75モル%である。第2,第3の層3,4に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度の好ましい下限は61モル%、より好ましい下限は65モル%、更に好ましい下限は67モル%、好ましい上限は72モル%、より好ましい上限は71モル%、更に好ましい上限は70モル%である。上記アセタール化度が上記好ましい下限を満たすと、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性がより一層高くなり、かつ中間膜のガラス転移温度を十分に低下させることができる。上記アセタール化度が上記好ましい上限を満たすと、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間を短縮できる。
【0062】
上記アセタール化度は、アセタール基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。
【0063】
上記アセタール化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、アセチル基量とビニルアルコール量(水酸基の含有率)とを測定し、得られた測定結果からモル分率を算出し、ついで、100モル%からアセチル基量とビニルアルコール量とを差し引くことにより算出され得る。
【0064】
上記発泡の発生及び発泡の成長を抑制するために、第1?第3の層の水酸基の含有率を上記のように制御することにより、合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長を充分に抑制できる。可塑剤の移行を抑制できるため、合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長を充分に抑制でき、かつ合わせガラスの遮音性を高めることができる。
【0065】
可塑剤の移行を容易に制御でき、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができることから、上記含有率差(1-2)が、8.5モル%以下である場合には、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%を超えることが好ましい。可塑剤の移行を容易に制御でき、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができることから、上記含有率差(1-3)が、8.5モル%以下である場合には、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%を超えることが好ましい。
【0066】
可塑剤の移行を容易に制御でき、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができることから、上記含有率差(1-2)が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下である場合又は上記含有率差(1-2)が、9.2モル%以下である場合には、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度が68モル%以上であるか、又は水酸基の含有率が31.5モル%未満であることが好ましい。可塑剤の移行を容易に制御でき、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができることから、上記含有率差(1-3)が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下である場合又は上記含有率差(1-3)が、9.2モル%以下である場合には、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度が68モル%以上であるか、又は水酸基の含有率が31.5モル%未満であることが好ましい。
【0067】
更に、可塑剤の移行を容易に制御でき、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができることから、第1の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下である場合(以下、「ポリビニルアセタール樹脂A」ともいう)には、含有率差(1-2)及び含有率差(1-3)は9.2モル%以下であることが好ましい。また、第1の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%を超える場合(以下、「ポリビニルアセタール樹脂B」ともいう)には、含有率差(1-2)及び含有率差(1-3)は、9.2モル%以下であり、8.5モル%以下であることが好ましい。
【0068】
上記ポリビニルアセタール樹脂Aのアセチル化度aの上限は8モル%、好ましい上限は7モル%、より好ましい上限は6モル%、更に好ましい上限は5モル%、好ましい下限は0.1モル%、より好ましい下限は0.5モル%、更に好ましい下限は0.8モル%、特に好ましい下限は1モル%である。上記アセチル化度aが上記上限以下及び上記下限以上であると、可塑剤の移行を容易に制御でき、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。
【0069】
上記ポリビニルアセタール樹脂Aのアセタール化度aの好ましい下限は68モル%、より好ましい下限は70モル%、更に好ましい下限は71モル%、特に好ましい下限は72モル%、好ましい上限は85モル%、より好ましい上限は83モル%、更に好ましい上限は81モル%、特に好ましい上限は79モル%である。上記アセタール化度aが上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。上記アセタール化度aが上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂Aを製造するために必要な反応時間を短縮できる。
【0070】
上記ポリビニルアセタール樹脂Aの水酸基の含有率aは好ましくは31.5モル%未満、より好ましくは31モル%以下、より一層好ましくは29モル%以下、更に好ましくは28モル%以下、好ましくは20モル%以上、より好ましくは21モル%以上、更に好ましくは22モル%以上、特に好ましくは24モル%以上である。上記水酸基の含有率aが上記上限以下であると、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。上記水酸基の含有率aが上記下限以上であると、中間膜の接着力をより一層高くすることができる。
【0071】
上記ポリビニルアセタール樹脂Aはポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
【0072】
上記ポリビニルアセタール樹脂Bのアセチル化度bは、8モル%を超え、好ましい下限は10モル%、より好ましい下限は11モル%、更に好ましい下限は12モル%、特に好ましい下限は15モル%、好ましい上限は30モル%、より好ましい上限は28モル%、更に好ましい上限は26モル%、特に好ましい上限は19.5モル%である。上記アセチル化度bが上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。上記アセチル化度bが上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂Bを製造するために必要な反応時間を短縮できる。なかでも、ポリビニルアセタール樹脂Bを製造するために必要な反応時間をより一層短縮できることから、上記ポリビニルアセタール樹脂Bのアセチル化度bは20モル%未満であることが好ましい。また、合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長を更に一層抑制ことができることから、ポリビニルアセタール樹脂Bのアセチル化度bは25モル%以下であることが好ましい。
【0073】
上記ポリビニルアセタール樹脂Bのアセタール化度bの好ましい下限は45モル%、より好ましい下限は52.5モル%、更に好ましい下限は55モル%、特に好ましい下限は60モル%、好ましい上限は80モル%、より好ましい上限は77モル%、更に好ましい上限は74モル%、特に好ましい上限は71モル%である。上記アセタール化度bが上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。上記アセタール化度bが上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂Bを製造するために必要な反応時間を短縮できる。
【0074】
上記ポリビニルアセタール樹脂Bの水酸基の含有率bの好ましい上限は31.5モル%、より好ましい上限は30モル%、更に好ましい上限は29モル%、特に好ましい上限は27.5モル%、好ましい下限は22モル%、より好ましい下限は23モル%、更に好ましい下限は24モル%、特に好ましい下限は25モル%である。上記水酸基の含有率bが上記上限以下であると、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。上記水酸基の含有率bが上記下限以上であると、中間膜の接着力をより一層高くすることができる。
【0075】
上述のように、上記含有率差(1-2)又は上記含有率差(1-3)が8.5モル%を超え、9.2モル%以下である場合には、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下である。
【0076】
上記含有率差(1-2)又は上記含有率差(1-3)が、8.5モル%以下である場合には、第1に、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%を超えることが好ましい。また、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂に関しては、第1に、アセチル化度が8モル%以下、水酸基の含有率が31.5モル%未満であることが好ましく、第2に、アセチル化度が8モル%以下、アセタール化度が68モル%以上であることが好ましく、第3に、水酸基の含有率は31.5モル%未満、アセタール化度が68モル%以上であることが好ましい。
【0077】
上記含有率差(1-2)又は上記含有率差(1-3)が、8.5モル%以下である場合には、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂に関しては、第1に、アセチル化度が8モル%を超え、20モル%未満であることが好ましく、第2に、アセチル化度が8モル%を超え、アセタール化度が52.5モル%以上であることが好ましく、第3に、アセチル化度が8モル%を超え、水酸基の含有率が28モル%以下であることが好ましい。
【0078】
また、本発明に係る合わせガラス用中間膜が上記第1,第2,第3の層を備える場合には、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は31.5モル%未満、アセタール化度が68モル%以上であることが好ましい。上記第2の層及び上記第3の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が33モル%以下であることが好ましい。
【0079】
上記ポリビニルアセタール樹脂Bはポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
【0080】
上記ポリビニルアセタール樹脂A及び上記ポリビニルアセタール樹脂Bは、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することで得られる。上記アルデヒドは炭素数1?10のアルデヒドであることが好ましく、炭素数4又は5のアルデヒドであることがより好ましい。なかでも、上記ポリビニルアセタール樹脂A及び上記ポリビニルアセタール樹脂Bは、重合度が1700を超え、かつ、3000以下であるポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより得られるポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は1800、より好ましい下限は2000、更に好ましい下限は2400、特に好ましい下限は2500、好ましい上限は3000、より好ましい上限は2900、更に好ましい上限は2800、特に好ましい上限は2700である。上記重合度が上記好ましい下限を満たすと、合わせガラスの耐貫通性をより一層高めることができ、かつ合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長をより一層抑制できる。上記重合度が上記好ましい上限を満たすと、中間膜の成形が容易になる。
【0081】
(可塑剤)
第1?第3の層2?4にそれぞれ含まれている上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤として、従来公知の可塑剤を用いることができる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0082】
上記可塑剤としては、例えば、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などのリン酸可塑剤等が挙げられる。なかでも、有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
【0083】
上記一塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル、並びにトリエチレングリコール又はトリプロピレングリコールと一塩基性有機酸とのエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2-エチル酪酸、ヘプチル酸、n-オクチル酸、2-エチルヘキシル酸、n-ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
【0084】
上記多塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、多塩基性有機酸と、炭素数4?8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
【0085】
上記有機エステル可塑剤としては、特に限定されず、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ-n-オクタノエート、トリエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ-2-エチルブチレート、1,3-プロピレングリコールジ-2-エチルブチレート、1,4-ブチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-2-エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリエート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
【0086】
上記有機リン酸可塑剤としては、特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0087】
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。このジエステル可塑剤の使用により、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。
【0088】
【化1】

【0089】
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数5?10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn-プロピレン基を表し、pは3?10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数6?10の有機基であることが好ましい。
【0090】
上記可塑剤は、ジエステル化合物を含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート(3GH)、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)及びトリエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート(3G7)からなる群から選択された少なくとも1種を含むことがより好ましく、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエートを含むことが更に好ましい。これらの好ましい可塑剤の使用により、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記第1?第3の層に含まれている上記可塑剤としてそれぞれ、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエートを含むことが特に好ましい。
【0091】
中間膜1の各層における上記可塑剤の含有量は特に限定されない。
【0092】
合わせガラスの遮音性を充分に高める観点からは、第1の層2中のポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量は50重量部以上である。第1の層2の可塑剤の含有量が多くても、第1?第3の層2?4の水酸基の含有率が上記のように制御されているため、合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長を抑制できる。
【0093】
第1の層2中のポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量の下限は50重量部、好ましい下限は55重量部、より好ましい下限は60重量部、好ましい上限は80重量部、より好ましい上限は75重量部、更に好ましい上限は70重量部である。上記可塑剤の含有量が上記好ましい下限を満たすと、合わせガラスの耐貫通性をより一層高めることができる。第1の層2の可塑剤の含有量が多いほど、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。上記可塑剤の含有量が上記好ましい上限を満たすと、中間膜の透明性をより一層高めることができる。合わせガラスの遮音性を十分に高めるために、第1の層2中のポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量は50重量部以上である。なお、第1の層2中のポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量は、可塑剤の移行前(初期)に50重量部以上であることが好ましく、移行後に50重量部以上であってもよい。なお、第1の層2を得るためにポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して可塑剤を50重量部配合した場合には、一般的に第1の層2中の可塑剤の含有量は多くなる傾向がある。特に、第1の層2中のポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が低いと、第1の層2を得るためにポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して可塑剤を50重量部配合した場合には、一般的に第1の層2中の可塑剤の含有量は多くなる傾向がある。
【0094】
第2,第3の層3,4中のポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する可塑剤の各含有量の好ましい下限は25重量部、より好ましい下限は30重量部、更に好ましい下限は35重量部、好ましい上限は50重量部、より好ましい上限は45重量部、更に好ましい上限は40重量部である。上記可塑剤の含有量が上記好ましい下限を満たすと、中間膜の接着力が高くなり、合わせガラスの耐貫通性をより一層高めることができる。上記可塑剤の含有量が上記好ましい上限を満たすと、中間膜の透明性をより一層高めることができる。
【0095】
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、第1の層2のポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量は、第2,第3の層3,4中のポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量よりも多いことが好ましい。合わせガラスの遮音性をさらに一層高める観点からは、第1の層2のポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量は、第2,第3の層3,4のポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量よりも5重量部以上多いことが好ましく、10重量部以上多いことがより好ましく、15重量部以上多いことが更に好ましく、20重量部以上多いことが特に好ましく、25重量部以上多いことが特に好ましく、30重量部以上多いことが最も好ましい。
【0096】
(他の成分)
中間膜1の第1?第3の層2?4はそれぞれ、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含有していてもよい。
【0097】
(合わせガラス)
本発明に係る合わせガラス用中間膜はそれぞれ、合わせガラスを得るために用いられる。
【0098】
図2に、図1に示す中間膜1を用いた合わせガラスの一例を模式的に断面図で示す。
【0099】
図2に示す合わせガラス11は、第1の合わせガラス構成部材12と、第2の合わせガラス構成部材13と、中間膜1とを備える。中間膜1は、第1,第2の合わせガラス構成部材12,13の間に挟み込まれている。
【0100】
第1の合わせガラス構成部材12は、第2の層3の外側の表面3aに積層されている。第2の合わせガラス構成部材13は、第3の層4の外側の表面4aに積層されている。従って、合わせガラス11は、第1の合わせガラス構成部材12と、第2の層3と、第1の層2と、第3の層4と、第2の合わせガラス構成部材13とがこの順で積層されて構成されている。
【0101】
第1,第2の合わせガラス構成部材12,13としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。
【0102】
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、及び線入り板ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
【0103】
合わせガラス11の耐貫通性をより一層高める観点からは、中間膜1の厚みの好ましい下限は0.05mm、より好ましい下限は0.25mm、好ましい上限は3mm、より好ましい上限は1.5mmである。中間膜1の厚みが上記好ましい下限及び上記好ましい上限をそれぞれ満たすと、合わせガラスの耐貫通性及び透明性をより一層高めることができる。
【0104】
第1,第2の合わせガラス構成部材12,13の厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、合わせガラス構成部材12,13がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、1?3mmの範囲内であることが好ましい。合わせガラス構成部材12,13がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、0.03?0.5mmの範囲内であることが好ましい。
【0105】
合わせガラス11の製造方法は特に限定されない。例えば、第1,第2の合わせガラス構成部材12,13の間に、中間膜1を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバックに入れて減圧吸引したりして、第1,第2の合わせガラス構成部材12,13と中間膜1との間に残留する空気を脱気する。その後、約70?110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120?150℃及び1?1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラス11を得ることができる。
【0106】
合わせガラス11は、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。合わせガラスは、これら以外にも使用できる。合わせガラス11は、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。
【0107】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0108】
(参考例1)
(1)多層中間膜の作製
ポリビニルブチラール樹脂A(水酸基の含有率25.2モル%、アセチル化度12.3モル%、ブチラール化度62.5モル%)100重量部に、可塑剤としてのトリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)60重量部を添加し、ミキシングロールで充分に混練し、中間層用樹脂組成物を得た。さらに、ポリビニルブチラール樹脂B(水酸基の含有率31.2モル%、アセチル化度0.8モル%、ブチラール化度68.0モル%)100重量部に、可塑剤としてのトリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)37.5重量部を添加し、ミキシングロールで充分に混練し、表面層用樹脂組成物を得た。
【0109】
得られた中間層用樹脂組成物及び表面層用樹脂組成物を用いて、共押出することにより、表面層(厚み350μm)と中間層(厚み100μm)と表面層(厚み350μm)とが順に積層された多層中間膜を作製した。
【0110】
(2)耐貫通性試験及び光学歪みの評価に用いる合わせガラスの作製
得られた多層中間膜を縦30cm×横30cmの大きさに切断した。次に、透明なフロートガラス(縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)2枚の間に、多層中間膜を挟み込み、積層体を得た。この積層体をゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブン内に移し、更に90℃で30分間保持して真空プレスし、積層体を予備圧着した。オートクレーブ中で135℃及び圧力1.2MPaの条件で、予備圧着された積層体を20分間圧着し、耐貫通性試験及び光学歪みの評価に用いる合わせガラスを得た。
【0111】
(3)遮音性測定に用いる合わせガラスの作製
多層中間膜を縦30cm×横2.5cmの大きさに切断し、透明なフロートガラス(縦30cm×横2.5cm×厚さ2.5mm)を用いたこと以外は耐貫通性試験に用いる合わせガラスと同様の方法で、遮音性測定に用いる合わせガラスを得た。
【0112】
(4)発泡試験A及びBに用いる合わせガラスの作製
得られた多層中間膜を縦30cm×横15cmの大きさに切断し、温度23℃の環境下にて、10時間保管した。なお、得られた多層中間膜の両面にはエンボスが形成されており、そのエンボスの十点平均粗さは30μmであった。切断された多層中間膜において、多層中間膜の端部から縦方向にそれぞれ内側に向かって8cmの位置と、多層中間膜の端部から横方向にそれぞれ内側に向かって5cmの位置との交点4箇所に、直径6mmの貫通孔を作製した。
【0113】
透明なフロートガラス(縦30cm×横15cm×厚さ2.5mm)2枚の間に、貫通孔を有する多層中間膜を挟み込み、積層体を得た。積層体の外周縁は、熱融着により端部から幅2cmをシール剤により封止することにより、エンボスに残留した空気及び貫通孔に残留した空気を封じ込めた。この積層体を135℃、圧力1.2MPaの条件で20分間圧着することで、残留した空気を多層中間膜中に溶かし込み、発泡試験A及びBに用いる合わせガラスを得た。
【0114】
(参考例2?14、実施例15、参考例16、実施例17、参考例18、実施例19、参考例20及び比較例1?2)
第1?第3の層の組成を下記の表1?2に示すように変更したこと以外は参考例1と同様にして、中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0115】
なお、下記の表1?2に示すポリビニルアセタール樹脂C?Vの水酸基の含有率、アセチル化度、ブチラール化度、及び、第1の層のPVB樹脂の合成に用いたポリビニルアルコール(PVA)の重合度は、下記の表1?2に示す値である。なお、第1の層のPVB樹脂の合成に用いたポリビニルアルコール(PVA)の重合度は参考例5?14、実施例15、参考例16、実施例17、参考例18、実施例19、参考例20のみについて示した。
【0116】
(評価)
(1)遮音性
合わせガラスをダンピング試験用の振動発生機(振研社製「加振機G21-005D」)により加振し、そこから得られた振動特性を機械インピーダンス測定装置(リオン社製「XG-81」)にて増幅し、振動スペクトルをFFTスペクトラムアナライザー(横河ヒューレッドパッカード社製「FFTアナライザー HP3582A」)により解析した。
【0117】
このようにして得られた損失係数と合わせガラスとの共振周波数との比から、20℃における音周波数(Hz)と音響透過損失(dB)との関係を示すグラフを作成し、音周波数2,000Hz付近における極小の音響透過損失(TL値)を求めた。このTL値が高いほど、遮音性が高くなる。TL値が35dB以上の場合を「○」、TL値が35dB未満の場合を「×」として、結果を下記の表1?2に示した。
【0118】
(2)発泡試験A(発泡の状態)
発泡試験Aに用いる合わせガラスを、各多層中間膜について5枚作製し、50℃のオーブン内に100時間放置した。放置後の合わせガラスにおいて、発泡の有無及び発泡の大きさを平面視にて目視で観察し、発泡の状態を下記の判定基準で判定した。
【0119】
[発泡試験Aによる発泡の状態の判定基準]
5枚の合わせガラスに発生した発泡を、楕円で近似し、その楕円面積を発泡面積とした。5枚の合わせガラスにて観察された楕円面積の平均値を求め、合わせガラスの面積(30cm×15cm)に対する楕円面積の平均値(発泡面積)の割合(百分率)を求めた。
【0120】
○○:5枚全ての合わせガラスに発泡が観察されなかった
○:楕円面積の平均値(発泡面積)の割合が5%未満であった
△:楕円面積の平均値(発泡面積)の割合が5%以上、10%未満であった
×:楕円面積の平均値(発泡面積)の割合が10%以上であった
【0121】
(3)発泡試験B(発泡の状態)
発泡試験Bに用いる合わせガラスを、各多層中間膜について30枚作製し、50℃のオーブン内に24時間放置した。放置後の合わせガラスにおいて、目視で発泡が観察された合わせガラスの枚数を確認した。
【0122】
(4)耐貫通性
耐貫通性試験に用いる合わせガラス(縦300mm×横300mm)を、表面温度が23℃となるように調整した。次いで、JIS R3212に準拠して、4mの高さから、6枚の合わせガラスに対してそれぞれ、質量2260g及び直径82mmの剛球を、合わせガラスの中心部分に落下させた。6枚の合わせガラス全てについて、剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった場合を合格とした。剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった合わせガラスが3枚以下であった場合は不合格とした。4枚の場合には、新しく6枚の合わせガラスの耐貫通性を評価した。5枚の場合には、新しく1枚の合わせガラスを追加試験し、剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった場合を合格とした。同様の方法で、5m及び6mの高さから、6枚の合わせガラスに対してそれぞれ、質量2260g及び直径82mmの剛球を、合わせガラスの中心部分に落下させ、合わせガラスの耐貫通性を評価した。
【0123】
(5)ブリードアウトの評価
得られた中間膜の表面に、赤色の油性マジックで縦方向及び横方向にそれぞれ長さ10cmの二本の線を書き、マーキングした。マーキングされた中間膜を主面が鉛直方向と平行な平面内に位置するように置いた。これを23℃及び相対湿度28%の恒温恒湿条件で1ヶ月放置した。放置後の中間膜において、油性マジックのにじみ及び垂れが、四本のいずれの線にも観測されない場合を合格「○」とし、四本の線の内の少なくとも一本の線で観測された場合を不合格「×」とした。
【0124】
(6)光学歪みの評価
光学歪みの評価に用いる合わせガラス(縦30cm×横30cm)に、光源(ハロゲンランプ)からスリットを透過させた光を当て、スクリーンに写った投影歪みをセンサー(カメラ)にて受信し、コンピュータにてデータ処理を行い、光学歪み値とした。光学歪み値が1.8以下である場合を合格「○」、1.8を超える場合を不合格「×」とした。光学歪み値が高いほど光学歪み(像のゆがみ)が大きいといえる。
【0125】
結果を下記の表1?2に示す。下記表1?2において、可塑剤の種類としての3GOはトリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエートを表し、3GHはトリエチレングリコールジ-2-エチルブチレートを表す。
【0126】
【表1】

【0127】
【表2】

【符号の説明】
【0128】
1…中間膜
2…第1の層
2a…一方の面
2b…他方の面
3…第2の層
3a…外側の表面
4…第3の層
4a…外側の表面
11…合わせガラス
12…第1の合わせガラス構成部材
13…第2の合わせガラス構成部材
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルブチラール樹脂と可塑剤とを含有する第1の層と、
前記第1の層の一方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第2の層とを備え、
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が50重量部以上であり、
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも25重量部以上多く、
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基の含有率が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基の含有率と前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、9.2モル%以下であり、
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であり、
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度は前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い、合わせガラス用中間膜。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度が8モル%以下、水酸基の含有率が31.5モル%未満である、請求項1に記載の合せガラス用中間膜。
【請求項4】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度が8モル%以下、ブチラール化度が68モル%以上である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項5】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基の含有率が31.5モル%未満、ブチラール化度が68モル%以上である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項6】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基の含有率が22モル%以上である、請求項1及び3?5のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項7】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度が1.2モル%以上である、請求項1及び3?6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項8】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂は、重合度が1700を超え、2900以下であるポリビニルアルコールのブチラール化物であるポリビニルブチラール樹脂である、請求項1及び3?7のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項9】
前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が35モル%以下である、請求項1及び3?8のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項10】
前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が27モル%以上である、請求項1及び3?9のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項11】(削除)
【請求項12】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基の含有率と前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%以下である、請求項1及び3?10のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項13】
前記第1の層の他方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第3の層をさらに備え、
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基の含有率が、前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基の含有率と前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、9.2モル%以下である、請求項1,3?10及び12のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項14】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度は前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い、又は、前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂のアセチル化度は前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度と同じである、請求項13に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項15】
前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が35モル%以下である、請求項13又は14に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項16】
前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が27モル%以上である、請求項13?15のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項17】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも多い、請求項13?16のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項18】
前記第1の層中の前記ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも22.5重量部以上多い、請求項17に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項19】
前記第2の層及び前記第3の層に含まれている前記ポリビニルアセタール樹脂としてそれぞれ、ポリビニルブチラール樹脂を含み、
前記第1?第3の層に含まれている前記可塑剤としてそれぞれ、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエートを含む、請求項13?18のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項20】
第1,第2の合わせガラス構成部材と、
前記第1,第2の合わせガラス構成部材の間に挟み込まれた中間膜とを備え、
前記中間膜が、請求項1,3?10及び12?19のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜である、合わせガラス。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-03-09 
出願番号 特願2014-159965(P2014-159965)
審決分類 P 1 651・ 16- YAA (C03C)
P 1 651・ 121- YAA (C03C)
P 1 651・ 113- YAA (C03C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田中 則充  
特許庁審判長 大橋 賢一
特許庁審判官 後藤 政博
山本 雄一
登録日 2016-01-08 
登録番号 特許第5865451号(P5865451)
権利者 積水化学工業株式会社
発明の名称 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス  
代理人 虎山 滋郎  
代理人 田口 昌浩  
代理人 虎山 滋郎  
代理人 梶田 真理奈  
代理人 特許業務法人宮▲崎▼・目次特許事務所  
代理人 田口 昌浩  
代理人 特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所  
代理人 森住 憲一  

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