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審決分類 審判 全部申し立て 特174条1項  D03D
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  D03D
審判 全部申し立て 2項進歩性  D03D
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  D03D
審判 全部申し立て 特39条先願  D03D
管理番号 1340104
異議申立番号 異議2017-700274  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-03-15 
確定日 2018-04-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6033087号発明「編物のように見え、かつ機能する織物、その織物を含む物品、及びその織物の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6033087号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-34〕、〔35-40〕について訂正することを認める。 特許第6033087号の請求項1?40に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
特許第6033087号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?40に係る特許についての出願は、平成23年2月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 平成22年2月26日 米国、平成22年5月12日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年11月4日にその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議の申立て期間内である平成29年3月15日に特許異議申立人柏木里実(以下、「申立人」という。)より請求項1?40に対して特許異議の申立てがされ、同年7月14日付けで取消理由が通知され、同年10月17日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、また訂正自体を「本件訂正」という。)がされ、同年11月13日付けで申立人から意見書が提出されたものである。

第2.訂正の適否
1.請求項1?34に係る訂正
(1)訂正の内容
ア.訂正事項1
(ア)請求項1について、
「共に織られてパターンを形成している」とあるのを、
「織機により共に織られたパターンを形成している」に訂正する。
(イ)請求項1について、
「その収縮率」とあるのを、
「前記織機で製造した前記織物(101)を前記織機から取り外したときの、前記弾性的な糸(105)の収縮率」に訂正する。
(ウ)請求項1について、
「前記硬い糸(106)は、弾性を有しておらず、」とあるのを、
「前記硬い糸(106)は、弾性を有しておらず、Ne10?Ne70(両端値を含む)の英式綿番手を有しており、」に訂正する。
(エ)請求項1について、
「前記硬い糸(106)が、前記経糸(104)上を交差することにより形成され、外側から視認される連結部(108a)を定めており」とあるのを、
「前記硬い糸(106)が、前記経糸(104)上を交差することにより、前記織物(101)の前記表側面(102)に形成された連結部(108a)を定めており」に訂正する。
イ.訂正事項2
請求項20を削除する。また、請求項20の記載を引用していた請求項21?32、34について、請求項20を引用しないものに訂正する。
ウ.訂正事項3
(ア)請求項33について、
「共に織られてパターンを形成している」とあるのを、
「織機により共に織られたパターンを形成している」に訂正する。
(イ)請求項33について、
「その収縮率」とあるのを、
「前記織機で製造した前記織物(101)を前記織機から取り外したときの、前記弾性的な糸(105)の収縮率」に訂正する。
(ウ)請求項33について、
「前記硬い糸(106)は、弾性を有しておらず、」とあるのを、
「前記硬い糸(106)は、弾性を有しておらず、Ne10?Ne70(両端値を含む)の英式綿番手を有しており、」に訂正する。
(エ)請求項33について、
「前記硬い糸(106)が、前記経糸(104)上を交差することにより形成され、外側から視認される連結部(108a)を定めており」とあるのを、
「前記硬い糸(106)が、前記経糸(104)上を交差することにより、前記織物(101)の前記表側面(102)に形成された連結部(108a)を定めており」に訂正する。
エ.訂正事項4
(ア)段落0007について、
「複数の経糸と複数の緯糸でパターンを形成した物品」とあるのを、
「複数の経糸と複数の緯糸で、織機により共に折られたパターンを形成した物品」に訂正する。
(イ)段落0007について、
「前記弾性的な糸の収縮率」とあるのを、
「織機で製造した前記織物を前記織機から取り外したときの、前記弾性的な糸の収縮率」に訂正する。
(ウ)段落0007について、
「連結部」とあるのを、
「前記織物の前記表側面に形成された連結部」に訂正する。
オ.訂正事項5
(ア)段落0009について、
「経糸と緯糸とを有する織物」とあるのを、
「織機により共に織られたパターンを形成している経糸と緯糸とを有する織物」に訂正する。
(イ)段落0009について、
「前記第2の緯糸の収縮率」とあるのを、
「織機で製造した前記織物を前記織機から取り外したときの、前記第2の緯糸の収縮率」に訂正する。
カ.訂正事項6
(ア)段落0018の冒頭に、
「本発明の物品の前記硬い緯糸は、Ne10?Ne70(両端値を含む)の英式綿番手を有している。」を追加する。
(イ)段落0018について、
「さらに本発明の別の実施形態によると」とあるのを、
「好ましくは」に訂正する。
キ.訂正事項7
(ア)段落0020について、
「所定のパターン」とあるのを、
「織機により共に織られた所定のパターン」に訂正する。
(イ)段落0020について、
「連結部」とあるのを、
「前記織物の前記表側面に形成された連結部」に訂正する。
(ウ)段落0020について、
「前記弾性的な糸の収縮率」とあるのを、
「織機で製造した前記織物を前記織機から取り外したときの、前記弾性的な糸の収縮率」に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.訂正事項1について
(ア)上記(1)ア.(ア)の訂正事項について
当該訂正事項は、「織機により」という事項により弾性的な糸及び硬い糸の収縮率の差を顕現させる手段を具体的に特定し、「収縮率」を測定する対象を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
また、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「願書に添付した明細書等」という。)の段落0022、0056、0057等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
(イ)上記(1)ア.(イ)の訂正事項について
当該訂正事項は、「前記織機で製造した前記織物(101)を前記織機から取り外したときの」という事項により弾性的な糸及び硬い糸の収縮率の差を顕現させる時期を具体的に特定し、「収縮率」を測定する対象を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
また、当該訂正事項は、願書に添付した明細書等の段落0022、0056、0057等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ)上記(1)ア.(ウ)の訂正事項について
当該訂正事項は、「硬い糸」の内容を具体的に特定し更に限定するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
また、当該訂正事項は、願書に添付した明細書等の請求項20の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
(エ)上記(1)ア.(エ)の訂正事項について
当該訂正事項は、「連結部(108a)」の配置を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
また、当該訂正事項は、願書に添付した明細書等の段落0028、図1、2、15等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
イ.訂正事項2について
訂正事項2は、請求項20を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
また、請求項20の記載を引用していた請求項21?32、34について、請求項20を引用しないものとする訂正事項は、請求項20の削除に伴い、請求項21?32、34が引用する請求項の中から請求項20を削除して整合を図るための訂正事項であるから特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
ウ.訂正事項3について
(ア)上記(1)ウ.(ア)の訂正事項について
当該訂正事項は、織物における複数の経糸と複数の緯糸の状態を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
また、当該訂正事項は、願書に添付した明細書等の段落0022、0056、0057等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
(イ)上記(1)ウ.(イ)の訂正事項について
当該訂正事項は、「収縮率」を測定する対象を明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
また、当該訂正事項は、願書に添付した明細書等の段落0022、0056、0057等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ)上記(1)ウ.(ウ)の訂正事項について
当該訂正事項は、「硬い糸」の内容を具体的に特定し更に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
また、当該訂正事項は、願書に添付した明細書等の請求項20の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
(エ)上記(1)ウ.(エ)の訂正事項について
当該訂正事項は、「連結部(108a)」の配置を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
また、当該訂正事項は、願書に添付した明細書等の段落0028、図1、2、15等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
エ.訂正事項4?7について
訂正事項4?7は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
オ.一群の請求項について
訂正前の請求項1?34は、請求項2?32が訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用し、請求項34が訂正の請求の対象である請求項2?33の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。したがって、訂正事項1?3に係る訂正の請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとにされたものである。また、本件訂正は、訂正事項4?7による明細書の訂正に係る請求項1?34の全てについて行われたものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第4項の規定に適合する。

2.請求項35?40に係る訂正
(1)訂正の内容
ア.訂正事項8
(ア)請求項35について、
「織物(101)を製造するための方法」とあるのを、
「織物(101)を、織機により製造するための方法」に訂正する。
(イ)請求項35について、
「弾性を有していない硬い緯糸(106)」とあるのを、
「弾性を有しておらず、Ne10?Ne70(両端値を含む)の英式綿番手を有する硬い緯糸(106)」に訂正する。
(ウ)請求項35について
「前記硬い緯糸(106)の収縮率より大きな収縮率を有し、かつ弾性を有する弾性的な緯糸(105)を提供するステップと、」とあるのを、
「弾性を有する弾性的な緯糸(105)を提供するステップであって、前記織機で製造した前記織物(101)を前記織機から取り外したときの収縮率が、前記か体緯糸(106)の収縮率より大きい弾性的な緯糸(105)を提供するステップと、」に訂正する。
(エ)請求項35について、
「前記表側面(102)において外側から視認される一連の連結部(108a)」とあるのを、
「前記織物(101)の前記表側面(102)において形成された一連の連結部(108a)」に訂正する。
イ.訂正事項9
(ア)段落0021について、
「織物の製造方法」とあるのを、
「織機による織物の製造方法」に訂正する。
(イ)段落0021について、
「硬い緯糸を提供する」とあるのを、
「弾性を有しておらず、Ne10?Ne70(両端値を含む)の英式綿番手を有する硬い緯糸を提供する」に訂正する。
(ウ)段落0021について、
「前記硬い緯糸の収縮率より大きな収縮率を有する弾性的な緯糸を提供する」とあるのを、
「前記織機で製造した前記織物を前記織機から取り外したときの収縮率が、前記硬い緯糸の収縮率より大きい弾性的な緯糸を提供する」に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.訂正事項8について
(ア)上記(1)ア.(ア)の訂正事項について
当該訂正事項は、「織機により」という事項により弾性的な糸及び硬い糸の収縮率の差を顕現させる手段を具体的に特定し、「収縮率」を測定する対象を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
また、当該訂正事項は、願書に添付した明細書等の段落0022、0056、0057等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の記載に適合する。
(イ)上記(1)ア.(イ)の訂正事項について
当該訂正事項は、「硬い糸」の内容を具体的に特定し更に限定するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
また、当該訂正事項は、願書に添付した明細書等の請求項20の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ)上記(1)ア.(ウ)の訂正事項について
当該訂正事項は、「前記織機で製造した前記織物(101)を前記織機から取り外したときの」という事項により弾性的な糸及び硬い糸の収縮率の差を顕現させる時期を具体的に特定し、「収縮率」を測定する対象を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
また、当該訂正事項は、願書に添付した明細書等の段落0022、0056、0057等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
(エ)上記(1)ア.(エ)の訂正事項について
当該訂正事項は、「連結部(108a)」の配置を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
また、当該訂正事項は、願書に添付した明細書等の段落0028、図1、2、15等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
イ.訂正事項9について
訂正事項9は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。そして、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
ウ.一群の請求項について
訂正前の請求項35?40は、請求項36?40が、訂正の請求の対象である請求項35の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。したがって、訂正事項8に係る訂正の請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとにされたものである。また、本件訂正は、訂正事項9による明細書の訂正に係る請求項35?40の全てについて行われたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。

3.申立人の意見について
平成29年11月13日付け意見書の第2 1.(1頁)において申立人は、本件発明1、33の「外側から視認される連結部」を「前記織物(101)の前記表側面(102)に形成された連結部(108a)」とする訂正及び本件発明35の「外側から視認される一連の連結部(108a)」を「前記織物(101)の前記表側面(102)に形成された一連の連結部(108a)」とする訂正について、請求前は「外側から視認される」と限定されていたが、訂正後は外側から視認されないものも技術的範囲に含まれるようになったから、実質上特許請求の範囲を拡張するものである旨を主張する。
しかし、請求項1、33、35の当該訂正箇所における「前記表側面(102)」とは、「使用時に外側から視認される表側面(102)」(当該訂正後の請求項1、33、35のそれぞれの冒頭を参照)を指すものであるから、請求項1、33の当該訂正箇所における「前記表側面(102)に形成された連結部(108a)」及び請求項35の当該訂正箇所における「前記表側面(102)に形成された一連の連結部(108a)」も、外側から視認されるものであることは明らかである。
よって、申立人の主張は当を得たものではなく、採用することができない。

4.小括
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に規定する事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-34〕、〔35-40〕について訂正を認める。

第3.特許異議の申立てについて
1.本件発明
本件訂正が認められることにより、本件特許の特許請求の範囲の請求項1?40に係る発明(以下、「本件発明1?40」という。)は、本件訂正請求に係る訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?40にそれぞれ記載されたとおりのものと認められ、そのうち、請求項1、33、35の記載は、以下のとおりである。なお、分説は申立書を参考にして当審で付した。
「【請求項1】
1A 使用時に外側から視認される表側面(102)と、使用時にユーザの身体に面する裏側面(103)とを有し、織機により共に織られたパターンを形成している複数の経糸(104)と複数の緯糸(105、106)とを有する織物(101)を備える衣料品において、
1B 前記緯糸は、第1の緯糸である硬い糸(106)と、第2の緯糸である弾性的な糸(105)とを含み、これらは、少なくとも1本の前記硬い糸(106)と、少なくとも1本の前記弾性的な糸(105)とが交互に配置されることによって、所定の配列を形成しており、前記弾性的な糸(105)は弾性を有しており、かつ前記織機で製造した前記織物(101)を前記織機から取り外したときの、前記弾性的な糸(105)の収縮率は、前記硬い糸(106)の収縮率より大きく、
1C 前記硬い糸(106)は、弾性を有しておらず、Ne10?Ne70(両端値を含む)の英式綿番手を有しており、前記経糸(104)に対して交互に配置された前記裏側面(103)における下部(107)と、前記表側面(102)における上部(108)とを形成しており、前記下部(107)は、前記裏側面(103)から視て、前記硬い糸(106)が、前記経糸(104)上を交差することにより形成され、ループ部(107a)を定めており、前記上部(108)は、前記表側面(102)から視て、前記硬い糸(106)が、前記経糸(104)上を交差することにより、前記織物(101)の前記表側面(102)に形成された連結部(108a)を定めており、
1D 前記硬い糸(106)の各々が、前記ループ部(107a)によって跨ぐ前記経糸(104)の数は、6?24(両端値を含む)の範囲内であり、
1E 前記弾性的な糸(105)は、前記硬い糸(106)による織組織より緊密な織組織で、前記経糸(104)に対して、交互に配置された前記裏側面(103)の下部(109)と、前記表側面(102)の上部(110)とを形成しており、
1F 前記硬い糸(106)の下部(107)により定められる前記ループ部(107a)によって跨がせる前記経糸(104)の数は、前記硬い糸(106)の上部(108)により定められる前記連結部(108a)によって跨がせる前記経糸(104)の数の少なくとも6倍であり、
1G 前記弾性的な糸(105)の数と、前記硬い糸(106)の数との比率は、2:1?1:5(両端値を含む)であり、
1H 隣接する前記硬い糸(106)の、前記裏側面(103)における前記ループ部(107a)及び前記表側面(102)における前記連結部(108a)は、各々前記経糸(104)及び前記緯糸(105,106)に対して斜め方向に延びるパターンを形成しており、もって前記織物(101)は、緯糸方向のみならず、前記経糸(104)及び前記緯糸(105,106)に対して斜め方向における弾性を有しており、かつ前記斜め方向にも延ばすことができ、
1I 3回の家庭洗浄の後における経糸密度は25?80本/cmであることを特徴とする
1J 衣料品。」

「【請求項33】
33A 使用時に外側から視認される表側面(102)と、使用時にユーザの身体に面する裏側面(103)とを有し、織機により共に織られたパターンを形成している複数の経糸(104)と複数の緯糸(105、106)とを有する織物(101)であって、
33B 前記緯糸は、第1の緯糸である硬い糸(106)と、第2の緯糸である弾性的な糸(105)とを含み、これらは、少なくとも1本の前記硬い糸(106)と、少なくとも1本の前記弾性的な糸(105)とが交互に配置されることによって、所定の配列を形成しており、前記弾性的な糸(105)は弾性を有しており、かつ前記織機で作成した前記織物(101)を前記織機から取り外したときの、前記弾性的な糸(105)の収縮率は、前記硬い糸(106)の収縮率より大きく、
33C 前記硬い糸(106)は、弾性を有しておらず、Ne10?Ne70(両端値を含む)の英式綿番手を有しており、前記経糸(104)に対して交互に配置された前記裏側面(103)における下部(107)と、前記表側面(102)における上部(108)とを形成しており、前記下部(107)は、前記裏側面(103)から視て、前記硬い糸(106)が、前記経糸(104)上を交差することにより形成され、ループ部(107a)を定めており、前記上部(108)は、前記表側面(102)から視て、前記硬い糸(106)が、前記経糸(104)上を交差することにより、前記織物(101)の前記表側面(102)に形成された連結部(108a)を定めており、
33D 前記硬い糸(106)の各々が、前記ループ部(107a)によって跨ぐ前記経糸(104)の数は、6?24(両端値を含む)の範囲内であり、
33E 前記弾性的な糸(105)は、前記硬い糸(106)による織組織より緊密な織組織で、前記経糸(104)に対して、交互に配置された前記裏側面(103)の下部(109)と、前記表側面(102)の上部(110)とを形成しており、
33F 前記硬い糸(106)の下部(107)により定められる前記ループ部(107a)によって跨がせる前記経糸(104)の数は、前記硬い糸(106)の上部(108)により定められる前記連結部(108a)によって跨がせる前記経糸(104)の数の少なくとも6倍であり、
33G 前記弾性的な糸(105)の数と、前記硬い糸(106)の数との比率は、2:1?1:5(両端値を含む)であり、
33H 隣接する前記硬い糸(106)の、前記裏側面(103)における前記ループ部(107a)及び前記表側面(102)における前記連結部(108a)は、各々前記経糸(104)及び前記緯糸(105,106)に対して斜め方向に延びるパターンを形成しており、もって前記織物(101)は、緯糸方向のみならず、前記経糸(104)及び前記緯糸(105,106)に対して斜め方向における弾性を有しており、かつ前記斜め方向にも延ばすことができ、
33I 3回の家庭洗浄の後における経糸密度は25?80本/cmであることを特徴とする
33J 織物。」
「【請求項35】
35A 使用時に外側から視認される表側面(102)と、使用時にユーザの身体に面する裏側面(103)とを有する織物(101)を、織機により製造するための方法であって、
35B 経糸(104)を提供するステップと、
35C 弾性を有しておらず、Ne10?Ne70(両端値を含む)の英式綿番手を有する硬い緯糸(106)を提供するステップと、
35D 弾性を有する緯糸(105)を提供するステップであって、前記織機で製造した前記織物(101)を前記織機から取り外したときの収縮率が、前記硬い緯糸(106)の収縮率より大きい弾性的な緯糸(105)を提供するステップと、
35E 少なくとも1本の前記硬い緯糸(106)が、少なくとも1本の前記弾性的な緯糸(105)と交互に配置されている織組織を選択するステップであって、
35F 前記硬い緯糸(106)を、前記経糸(104)と交差させ、前記表側面(102)及び裏側面(103)を交互に通るように延ばし、かつ各交差点間において、所定数の前記経糸(104)を跨がせることにより、前記裏側面(103)における一連の硬い下部(107)と、前記織物(101)の前記表側面(102)において形成された一連の連結部(108a)を定める硬い上部(108)とを形成し、
35G 前記硬い緯糸(106)の各々が、前記各下部(107)によって跨ぐ前記経糸(104)の数を、6?24(両端値を含む)の範囲内とし、
35H かつ前記硬い緯糸(106)の前記下部(107)によって跨がせる前記経糸(104)の数が、前記硬い緯糸(106)の前記上部(108)によって跨がせる前記経糸(104)の数の少なくとも6倍となるようにし、
35I 前記弾性的な糸(105)の数と、前記硬い糸(106)の数との比率が、2:1?1:5(両端値を含む)となるようにし、
35J 前記弾性的な糸(105)を、前記経糸(104)と交差させ、前記表側面(102)及び裏側面(103)を交互に通るように延ばし、かつ各交差点間において、所定数の前記経糸(104)を跨がせることにより、前記裏側面(103)における一連の弾性的な下部(109)と、前記表側面(102)における一連の弾性的な上部(110)とを形成することにより、
35K 隣接する前記硬い緯糸(106)の前記下部(107)及び前記連結部(108a)が、各々前記経糸(104)及び前記緯糸(105,106)に対して斜め方向に延びるパターンを形成するステップと、
35L 前記選択された織組織に従って前記織物(101)を織るステップと、
35M 得られた織物(101)を収縮させるステップであって、前記弾性的な緯糸(105)を、前記硬い緯糸(106)より大きく収縮させ、これにより、前記硬い下部(107)にループ(107a)を形成させるステップとを備え、
35N もって隣接する前記硬い緯糸(106)の、前記裏側面(103)における前記ループ部(107a)及び前記表側面(102)における前記連結部(108a)により、各々前記経糸(104)及び前記緯糸(105,106)に対して斜め方向に延びるパターンを有し、緯糸方向のみならず、前記経糸(104)及び前記緯糸(105,106)に対して斜め方向における弾性を有しており、かつ前記斜め方向にも延ばすことができ、
35O さらに、3回の家庭洗浄の後における経糸密度が25?80本/cmである織物を製造することを特徴とする
35P 方法。」

2.取消理由の概要
訂正前の請求項1?40に係る特許に対して平成29年7月14日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
以下、甲第1号証等を「甲1」等と、甲1に記載された発明等を「甲1発明」等、甲1に記載された事項等を「甲1事項」等という。
(1)取消理由1
「硬い糸」、「弾性的な糸」、「収縮率」、「外部から視認される連結部」、「外部から視認される一連の連結部」との記載は、用語の意味が明確でないため、本件特許は明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が特許法第36条第4項第1号及び同法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(2)取消理由2
本件発明1?40は、甲1?8に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

甲1:米国特許第2597580号明細書
甲2:特開平11-181649号公報
甲3:特開昭61-282453号公報
甲4:特開2001-295152号公報
甲5:国際公開第2009/094311号
甲6:西ドイツ国特許出願公開第3247651号明細書
甲7:本宮達也ら編「繊維の百科事典」、606頁、660頁、725頁、731-734頁、797ページ、平成14年3月25日、丸善株式会社
甲8:繊維学会編「繊維便覧加工編」、379-380頁、平成3年7月10日、丸善株式会社

3.判断
(1)取消理由1について
ア.「硬い糸」、「弾性的な糸」、「収縮率」について
(ア)本件発明1、33、35は、その特許請求の範囲の記載のとおり、弾性的な糸(105)が弾性を有しており、硬い糸(106)は、弾性を有しておらず、「収縮率」とは織機で製造した織物を織機から取り外したときの弾性的な糸の収縮率のことであり、弾性的な糸(105)の収縮率は硬い糸(106)の収縮率より大きいものである。
そうすると、請求項1、33、35における「硬い糸」、「弾性的な糸」、「収縮率」に関する記載は、織機から取り外したときの収縮率が、弾性的な糸のものの方が硬い糸のものより大きいことを意味することが明らかである。
(イ)申立人の主張について
特許異議申立書(以下「申立書」という。)の12頁20?28行及び平成29年11月13日付け意見書の3頁1?13行において申立人は、本件特許の明細書の段落0062の表1について、弾性率及び収縮率がどの程度かは記載されておらず、硬い緯糸にポリエステル糸を使い弾性的な緯糸にナイロン糸を使用しているが、ポリエステル糸とナイロン糸はどちらも近似した物性であり、なぜポリエステル糸が硬い糸でナイロン糸が弾性的な糸なのか、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない旨を主張する。
しかし、本件発明1、33、35は、上記(ア)のとおり、織物において、織機から取り外したときの収縮率が、弾性的な糸のものの方が硬い糸のものより大きいものである。
本件特許の明細書の段落0062の表1は、例えば実施例7については、織物の弾性的な緯糸に「70%デニール100%ナイロン糸」、硬い緯糸に「Ne50/1コーマ糸綿100%糸」を用いるものであり、織機から取り外したときの収縮率が、弾性的な緯糸である「70%デニール100%ナイロン糸」の方が硬い緯糸である「Ne50/1コーマ糸綿100%糸」より大きいものである。
同様に実施例9についても、織物の弾性的な緯糸に「デニールポリエステル+40デニールライクラ(3.5ドラフト比)交絡糸」、硬い緯糸に「150デニール100%マイクロポリエステル糸」を用いるものであり、織機から取り外したときの収縮率が、弾性的な緯糸である「デニールポリエステル+40デニールライクラ(3.5ドラフト比)交絡糸」の方が、硬い緯糸である「150デニール100%マイクロポリエステル糸」より大きいものである。
よって、申立書の主張は当を得たものではなく、採用することができない。
また、平成29年11月13日付け意見書の3頁14?30行において申立人は、請求項1、33の「前記織機で製造した前記織物(101)を前記織機から取り外したときの、前記弾性的な糸(105)の収縮率は、前記硬い糸(106)の収縮率より大きく」は製法的な記載であり、最終製品からは判断できない旨を主張する。そしてその具体的な理由として、織機に掛けた上体の緯糸の長さと織機から取り外したときの緯糸の長さを測らなければ収縮率は判断できないことや、加熱により収縮したのか織機から取り外したときに収縮したのか区別することができない旨を主張する。
しかし、請求項1、33における当該記載は、織機で製造された織物において、織機から取り外された後は弾性的な糸は硬い糸より大きく縮み、これにより下部がループ部となった状態であることを示しており(段落0057参照)、またこのことが織機から取り外された後であれば、加熱の有無によらないことが明らかである。
よって、申立書の主張は当を得たものではなく、採用することができない。
イ.「外部から視認される連結部」及び「外部から視認される一連の連結部」について
本件訂正により、当該記載は削除されたから、この点についての記載不備は理由がないものとなった。
ウ.小括
上記ア.及びイ.のとおりであるから、本件特許の明細書及び特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第4項第1号、同法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとすることができず、その特許は同法第113条第4号に該当せず、取り消されるべきものとすることはできない。

(2)取消理由2について
ア.甲1発明
甲1の記載(特に第2欄第40?51行、第3欄第7?16行を参照)から、甲1には、以下の「甲1発明-1」及び「甲1発明-2」が記載されていると認められる。
《甲1発明-1》
「織機で織られる織物であって、
経糸はノンストレッチ性経糸10からなり、
緯糸はストレッチ性緯糸11及びノンストレッチ性緯糸15からなり、
ストレッチ性緯糸11は延伸させた状態で織られ、
ストレッチ性緯糸11が配置され、
ノンストレッチ性緯糸15が、前のストレッチ性緯糸11から間隔を置いて配置され、
リードによって筬打ちされたノンストレッチ性緯糸15は前のストレッチ性緯糸11の直上の位置に配置され、
織り込まれたノンストレッチ性緯糸15は間隔を置いたノンストレッチ性経糸10によって固定された長いスパン16を有し、
ストレッチ性緯糸11にかけられた張力が緩められ収縮して、ノンストレッチ性緯糸15のスパン16が、ノンストレッチ性経糸10間にループを形成する、織物。」

《甲1発明-2》
「織機で織物を織る方法であって、
経糸はノンストレッチ性経糸10からなり、
緯糸はストレッチ性緯糸11及びノンストレッチ性緯糸15からなり、
ストレッチ性緯糸11を延伸させた状態で織られるものであり、
ストレッチ性緯糸11が配置され、筬打ちされた後、ノンストレッチ性緯糸15が、前のストレッチ性緯糸11から間隔を置いて配置され、
ノンストレッチ性緯糸15がリードによって筬打ちされると、ノンストレッチ性緯糸15は前のストレッチ性緯糸11の直上の位置に配置され、
織り込まれたノンストレッチ性緯糸15は間隔を置いたノンストレッチ性経糸10によって固定された長いスパン16を有し、
織り作業後にストレッチ性緯糸11にかけられた張力が緩められ収縮すると、その収縮によって、ノンストレッチ性緯糸15のスパン16が、ノンストレッチ性経糸10間にループを形成する方法。」

イ.本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲1発明-1とを対比すると、両者は少なくとも下記の《相違点1》で相違する。
《相違点1》
本件発明1の衣料品及び織物は「少なくとも1本の前記硬い糸(106)と、少なくとも1本の前記弾性的な糸(105)とが交互に配置されることによって、所定の配列を形成」(分説1B)しているものであるのに対し、甲1発明-1の織物は、ストレッチ性緯糸15が緯糸11の直上の位置に配置されるものである点。
(イ)判断
甲1には、織物において「少なくとも1本のノンストレッチ性緯糸15と少なくとも1本のストレッチ性緯糸11とが交互に配置される」ことは、記載されていない。また、甲2?8にも、このように配置させることは、記載されていない。
なお、申立人は、本件発明1の上記相違点1に係る構成は甲1に記載されていると主張している(申立書の第22頁第19、20行、第28頁第7、8行(空白行は除いて数える。))。
そこで甲1を参照すると、甲1の第2欄第40?51行には、下記のように記載されている。
「After each stretchable filler yam 11 is laid in and beaten up, one or more non-stretchable filler yarns 15 such as cotton, are woven into the fabric. In the embodiment shown the warp yams are heddled so that the filler 15 passes under every tenth warp and over the intermediate warps. The warp which passes over the filter 15 also passes over the preceding filler 11. When tbe filler 15 is laid it is spaced from the preceding filler 11, as shown in Pig. 2. When it is beaten up by the reed however it takes a position directly over the preceding filler 11, as shown in Fig. 3.」
(和訳)
「各ストレッチ性緯糸11が配置され、筬打ちされた後、1つまたはそれ以上の木綿等のノンストレッチ性緯糸15が、布地に織られる。図示される実施形態では、経糸は、緯糸15が10個毎の経糸の下を通過し、その中間の経糸の上を通過するように、ヘドルにかけられる。緯糸15の上を通過する経糸はまた前の緯糸11の上も通過する。図2に示されるように、緯糸15が配置される際、前の緯糸11から間隔を置いて配置される。しかし、図3に示されるように、緯糸15がリードによって筬打ちされると、前の緯糸11の直上の位置に配置される。」
このように、甲1発明-1における編物は、図3に示されるように、ノンストレッチ性緯糸15が前のストレッチ性緯糸11の直上の位置に配置されるものであって、ノンストレッチ性緯糸15とストレッチ性緯糸11とが交互に配置されるものではない。
平成29年11月13日付け意見書の「第2 3.」において申立人は、甲1の図1、2の編物組織図は、本件発明の編物組織図と同様のものになる旨を主張する。しかし、甲1の図1、2は、ノンストレッチ性緯糸15が「リードによって筬打ち」される前、すなわち「織機により共に織られたパターンを形成」する前の状態を示すものであって、「織機により共に織られたパターンを形成」した状態や、編物の「編組織」を示すものではない。
よって、申立人の主張は、当を得たものではなく、採用することができない。
そして、本件発明1は、上記相違点1に係る構成を有することで、編物と同様の外観、感触及び特性を備える、すなわち、織物のように見えたり、感じたり、機能したりする織物を提供する(明細書の段落0005、0006)という効果を奏するものである。
よって、本件発明1は、甲1発明-1及び甲2?8事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ.本件発明2?32について
本件発明2?32は、本件発明1の発明特定事項をすべて含むものであるから、本件発明1についてと同様の理由で、甲1発明-1及び甲2?8事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ.本件発明33、34について
本件発明33、34についても、上記イ.及びウ.と同様に、甲1発明-1及び甲2?8事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
オ.本件発明35について
(ア)対比
本件発明35と甲1発明-2とを対比する。
本件発明35は、「少なくとも1本の前記硬い糸(106)が、少なくとも1本の前記弾性的な糸(105)と交互に配置されている織組織を選択」(分説35E)し、「前記選択された織組織に従って前記織物(101)を織る」(分説35L)ものである。この「織組織」とは、本件特許の明細書の段落0061を参照すると、「織物の最小限の繰り返し単位(単位部分)」のことである。
これに対し、甲1発明-2における織物の織組織(織物の最小限の繰り返し単位(単位部分))は、ストレッチ性緯糸15が緯糸11の直上の位置に配置されるものである。
よって、本件発明35と甲1発明-2とは、少なくとも下記の《相違点2》で相違する。
《相違点2》
本件発明35は、「少なくとも1本の前記硬い糸(106)が、少なくとも1本の前記弾性的な糸(105)と交互に配置されている」織組織に従って織物を織る方法であるのに対し、甲1発明-2は、1本のストレッチ性緯糸11の真上に1本のノンストレッチ性緯糸15が配置されている織物を織る方法である点。
(イ)判断
甲1には、「少なくとも1本の前記硬い緯糸(106)が、少なくとも1本の前記弾性的な緯糸(105)と交互に配置されている」編組織に従って織物を織ることは、記載されていない。また、甲2?8にも、このような編組織に従って織物を織ることは、記載されていない。
これに対し本件発明35は、上記相違点2に係る構成を有することで、編物と同様の外観、感触及び特性を備える、すなわち、織物のように見えたり、感じたり、機能したりする織物を作る方法を提供する(明細書の段落0005、0006)という効果を奏するものである。
よって、本件発明35は、甲1発明-2及び甲2?8事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
カ.本件発明36?40について
本件発明36?40は、本件発明35の発明特定事項をすべて含むものであり、本件発明35についてと同様の理由で、甲1発明-2及び甲2?8事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
キ.小括
上記ア.?カ.のとおりであるから、本件発明1?40に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないから、同法第113条第2号に該当せず、取り消されるべきものとすることはできない。

(3)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
ア.特許法第17条の2第3項について
(ア)「外部から視認される連結部」、「外部から視認される一連の連結部」について
申立書の14頁19?26行において申立人は、平成28年6月22日付け手続補正書によって請求項1、33に追加された「外部から視認される連結部」及び請求項35に追加された「外部から視認される一連の連結部」との記載は、甲9及び甲10には記載されておらず、新規事項である旨を主張する。
しかし、本件訂正により、当該記載は削除されたから、申立人の前記主張は、判断を要しないものとなった。
(イ)願書に添付した明細書等の表1の実施例5?10の欄について
申立書の14頁27行?15頁3行において申立人は、平成28年6月22日付け誤訳訂正書における本件特許の明細書の段落0062の表1への実施例5?10の追加は、誤訳の訂正ではなく、新規事項の追加に該当する旨を主張する。
当該主張は、当該追加事項が、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(甲10)に記載した事項の範囲内にないから、同法第184条の18の規定により読み替える同法第113条第5号に該当すること(原文新規事項)を主張するものと認める。
しかし、甲10では、Table 1(表1)にExample 5?10(実施例5?10)が記載されている。
したがって、当該追加事項は、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(甲10)に記載した事項の範囲内のものであるから、本件発明1?40に係る特許は、同法第184条の18の規定により読み替える同法第113条第5号に該当せず、取り消されるべきものとすることはできない。

イ.特許法第39条第2項について
(ア)申立人の主張
申立書の15頁4?8行において申立人は、本件発明1?40は本件特許の分割出願である甲11(特開2017-20154号公報)の請求項1?49に係る発明と同一であり、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない旨を主張する。
(イ)本件特許の分割出願に係る発明
本件特許の分割出願であり甲11として出願公開がなされた特願2016-124002号の特許請求の範囲の請求項1?49に係る発明は、平成29年12月13日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?49に記載されたとおりのものである。
(ウ)対比・判断
a.本件発明1?32について
特願2016-124002号の請求項1?49に係る各発明と本件発明1?32とは、少なくとも以下の事項で相違する。
「1D 前記硬い糸(106)の各々が、前記ループ部(107a)によって跨ぐ前記経糸(104)の数は、6?24(両端値を含む)の範囲内であり、」
「1J 衣料品」に関する発明であること。
よって、本件発明1?32は、特願2016-124002号の請求項1?49に係る発明と同一ではない。
b.本件発明33及び34について
特願2016-124002号の請求項1?49に係る各発明と本件発明33及び34とは、少なくとも以下の事項で相違する。
「33D 前記硬い糸(106)の各々が、前記ループ部(107a)によって跨ぐ前記経糸(104)の数は、6?24(両端値を含む)の範囲内であり、」
よって、本件発明33及び34は、特願2016-124002号の請求項1?49に係る発明と同一ではない。
c.本件発明35?40について
特願2016-124002号の請求項1?49に係る各発明と本件発明35?40とは、少なくとも以下の事項で相違する。
「35C 弾性を有しておらず、Ne10?Ne70(両端値を含む)の英式綿番手を有する硬い緯糸(106)を提供するステップと、」
「35G 前記硬い緯糸(106)の各々が、前記各下部(107)によって跨ぐ前記経糸(104)の数を、6?24(両端値を含む)の範囲内とし、」
「35I 前記弾性的な糸(105)の数と、前記硬い糸(106)の数との比率が、2:1?1:5(両端値を含む)となるようにし、」
「35K 隣接する前記硬い緯糸(106)の前記下部(107)及び前記連結部(108a)が、各々前記経糸(104)及び前記緯糸(105,106)に対して斜め方向に延びるパターンを形成するステップと、」
「35N もって隣接する前記硬い緯糸(106)の、前記裏側面(103)における前記ループ部(107a)及び前記表側面(102)における前記連結部(108a)により、各々前記経糸(104)及び前記緯糸(105,106)に対して斜め方向に延びるパターンを有し、緯糸方向のみならず、前記経糸(104)及び前記緯糸(105,106)に対して斜め方向における弾性を有しており、かつ前記斜め方向にも延ばすことができ、」
「35O さらに、3回の家庭洗浄の後における経糸密度が25?80本/cmである織物を製造することを特徴とする」
よって、本件発明35?40は、特願2016-124002号の請求項1?49に係る発明と同一ではない。
(エ)まとめ
以上のことから、本件発明1?40は、特願2016-124002号の請求項1?49に係る発明と、同一ではない。
したがって、本件発明1?40に係る特許は、特許法第39条第2項の規定に違反してされたものということはできないから、特許法第113条第2号に該当せず、取り消されるべきものとすることはできない。

第4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1?40に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?40に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
編物のように見え、かつ機能する織物、その織物を含む物品、及びその織物の製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術
一般的に、織物と編物とは、かなり性質が異なっている。デニムギャバジン、ポプリン、及びその他の織物は、安定しているが、編物よりも可撓性がなく、したがって身体にうまくなじみにくい。編物は可撓性があり、たとえ非弾性の糸が用いられていても、垂直及び水平の双方向に伸びて、身体にうまくなじむ。
【0003】
デニム、インディゴ染め織物は、ファッション業界で人気を享受してきたが、その少なくとも一つの理由は、インディゴ糸をつくる際に用いられるロープ染色法によるものである。一般にインディゴ染めは、糸の表面近くに施され、糸の中心部は染まらないままである。染料が糸の表面にあるので、デニム生地は、ロープ染色されていない糸からつくられた織物と違って、色が薄い。さらに、これらのロープ染めの利点を生かすために、異なる仕上げ技術をデニムに適用することができる。例えば、手でこすったり、砂を吹き付けたり、石で洗ったり、あるいはその他の方法でデニムを処理して、インディゴ糸の未染色の芯が見えるようにすることができる。これらの処理を通して生み出された効果により、デニムは、被服や繊維業界において人気を博し、流行の織物となった。
【0004】
デニムは、その織物特性のため、例えば、シャツ、ブラウス及びスエットシャツのような上衣にはほとんど用いられてこなかった。また、編インディゴ布地は、つくるのに費用がかかるため人気がなかった。例えば、編布をつくるのに用いられる糸は、ボビンに巻いておかなければならない。そのため高価となり、編インディゴ布地をつくるためにさらなる工程が必要となる。編んだ後で、インディゴを用いて布地を染めるという試みもなされているが、問題が多すぎる。編んだ後の染色は、布地の弾性のために制御することが難しい。さらに、インディゴで染めた布地の両面は、汗をかいた人が着用すると、しみとなってしまう。さらにボビン上の編み糸を、インディゴで染めようとする試みもあるが、これもまた満足な結果が得られないことが多い。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、上述の問題を解決して、編物と同様の外観、感触及び特性を備える織物を提供することにある。
【0006】
上述の目的は、本発明により達成される。本発明の一つの例示的な実施形態は、編物のように見えたり、感じたり、機能したりする織物を提供するものである。また本発明の別の実施形態は、このようなものを作る方法を提供するものである。
【0007】
本発明の例示的な実施形態においては、使用時に外側から視認される表側面と、使用時にユーザの身体に面する裏側面とを有する織物を具え、複数の経糸と複数の緯糸で、織機により共に織られたパターンを形成した物品であって、前記緯糸は、硬い緯糸(以下単に「硬い糸」とよぶことがある)と弾性的な緯糸(以下単に「弾性的な糸」とよぶことがある)とを含み、これらは、少なくとも1本の硬い糸と、少なくとも1本の弾性的な糸とが交互に配置されることによって、所定の配列を形成しており、織機で製造した前記織物を前記織機から取り外したときの、前記弾性的な糸の収縮率は、前記硬い糸の収縮率より大きく、前記硬い糸は、前記経糸に対して交互に配置された前記裏側面における下部と、前記表側面における上部とを形成しており、前記下部は、前記裏側面から視て、前記硬い糸が前記経糸上を交差することにより形成され、ループ部を定めており、前記上部は、前記表側面から視て、前記硬い糸が前記経糸上を交差することにより形成され、かつ前記織物の前記表側面に形成された連結部を定めており、前記硬い糸の各々が、前記ループ部によって跨ぐ前記経糸の数の平均値は、少なくとも6本であり、前記弾性的な糸は、前記硬い糸による織組織より緊密な織組織で、前記経糸に対して、交互に配置された前記裏側面の下部と、前記表側面の上部とを形成していることを特徴とする物品を提供する。
【0008】
本明細書中における「弾性的」及び「硬い」という用語は、「弾性的」な糸が、「硬い」糸よりも大きい収縮率を有することを示すのに使用している。なお、「弾性的」な糸は弾性を有しており、「硬い」糸は弾性を有していない。
【0009】
言い換えれば、本発明は、織機により共に織られたパターンを形成している経糸と緯糸とを有する織物であって、前記緯糸は、選択された経糸上を交差することにより表側面における上部を形成しており、かつ2つの隣接する上部間における前記織物の裏側を交差することにより、前記緯糸の下部を規定しており、前記緯糸は、第1の収縮率を有する複数の第1の緯糸と、第2の収縮率を有する複数の第2の緯糸とを備え、織機で製造した前記織物を前記織機から取り外したときの、前記第2の緯糸の収縮率は、前記第1の緯糸の収縮率より大きく、前記第1の緯糸及び前記第2の緯糸は、交互に配置されて織物パターンを形成しており、さらに前記複数の第1の緯糸の下部は、少なくとも6本の経糸を跨ぐように延び、前記第2の緯糸の下部は、6本より少ない経糸分だけ延びていることを特徴とする織物を提供する。
【0010】
好ましくは、前記弾性的な糸の収縮率は、同じ方法で測った場合、すなわち、同じようにテストした場合、前記硬い糸の収縮率より少なくとも10%大きく、かつ前記第1の緯糸の下部を規定する経糸の数(すなわち、第1の緯糸の2つの隣接する上部間の経糸の数)は6?24の範囲内である。前記収縮率を測るための好適な装置は公知であり、例えば、収縮率を決めるために、ウスタ・テンソラピッド(Uster Tensorapid)テスター(Uster,CH)を用いることができる。
【0011】
本開示において、「硬い糸による織組織より緊密な織組織」とは、緯糸の一方が、すなわち、弾性的な糸が、硬い緯糸よりも経糸間でより大きく上下していることを意味している。この上下とは、緯糸が、織物の表側に上がり、経糸の上を通った後(上部を定める)、織物の裏側に下がることである。この織物の表側とは、使用時に外側から視認される側であり、裏側とは、この織物で作られているか、あるいはこの織物を含む物品、特に衣料品のユーザに触れる側のことである。言い換えれば、1つの上部(含まれる)と隣接する上部(除外される)との間の経糸の数により定められる、緯糸の単位長さにおいて、弾性的な糸(第2の糸)の下部により規定される経糸の数は、常に、硬い糸(第1の糸)の下部により規定される数より少ない。好ましくは、織物の同じ単位長さにおいて、織組織図(以下図5?14を参照)により規定されるように、弾性的な緯糸(第2の緯糸)の上下動の数は、硬い糸の上下動の数の2?12倍である。これにより、弾性的な糸の上部/硬い糸の上部の比率は、2?12、好ましくは3?6の範囲内となる。言い換えれば、同じ幅の織物において、弾性的な糸(第2の糸)の上部の量は、硬い糸(第1の糸)の上部の量の2?12倍であり、前記弾性的な糸は、前記硬い糸よりも緊密に織られている。弾性的な糸の数の硬い糸の数に対する好ましい平均比率は、2:1?1:5(両端値を含む)である。弾性的な糸の数の硬い糸の数に対する、より好ましい平均比率は、1:2?1:3(両端値を含む)である。さらに、弾性的な糸の数の硬い糸の数に対する比は、一定である必要はなく、また織物全体で同じである必要もない。
【0012】
好ましい実施形態においては、弾性的な緯糸(第2の緯糸)の下部を定める経糸の数は、5本以下である。前記硬い糸のループ部によって跨がれる経糸の数は、6?24の範囲内であり、前記弾性的な糸の収縮率は、前記硬い糸の収縮率より少なくとも10%より大きく、1本の弾性的な糸の上部の量と、1本の硬い糸の上部の量との比率(または両糸の上下動における比率)は、2:1?12:1の範囲内であり、好ましくは3:1?6:1である。弾性的な糸の数の硬い糸の数に対する比率は、2:1?1:5(両値を含む)である。最も好ましい実施形態における、弾性的な糸の数の硬い糸の数に対する比率は1:2であり、前記1本の弾性的な糸の上部の量と、1本の硬い糸の上部の量との比率は4:1である。図5に示すように、硬い糸の上部が形成された経糸1本につき、硬い糸の裏部またはループ部が11本の経糸を跨いでおり(11-1)、弾性的な糸の上部が交差する経糸1本につき、弾性的な糸の下部が2本の経糸を跨いでいる(2-1)。
【0013】
本発明の例示的な実施形態によると、織った後で、かつ縮む前における、所定の構成では、経糸密度は約20?70本/cmである。
【0014】
本発明の別の例示的な実施形態によると、3回の自宅洗浄後(BS 63302AまたはASTM D 377/96により実施した)においては、経糸密度は約25?80本/cmであり、緯糸密度は約25?80本/cmである。
【0015】
本発明のさらに別の実施形態によると、織った後で、かつ縮む前においては、緯糸の密度は約20?70本/cmである。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態によると、前記経糸は、約Ne10?約Ne40の英式綿番手(両端値を含む)を有する。
【0017】
同様に、本発明の別の実施形態によると、前記弾性的な糸は、約40?140デニールの番手(両端値を含む)を有する。
【0018】
本発明の物品の前記硬い緯糸は、Ne10?Ne70(両端値を含む)の英式綿番手を有している。好ましくは、前記硬い緯糸は、約Ne10?約Ne60の英式綿番手(両端値を含む)を有する。
【0019】
さらに本発明の別の実施形態によると、前記経糸は、ロープ染色されたインディゴ糸である。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態によると、得られるものは、第1の織組織と第2の織組織とを有する織物であって、前記第1の織組織で、前記織物の表側面を形成し、この第1の織組織は、実質的に、織機により共に織られた所定のパターンで緊密に織られた経糸と弾性的な緯糸とを具え、前記第2の織組織は、前記織物の裏側面を形成し、この第2の織組織は、実質的に、前記硬い緯糸が前記経糸に対して交互に配置された下部と上部とを形成するように、織機により共に織られた所定のパターンでゆったりと織られた前記硬い緯糸と前記経糸とを具え、前記下部は、前記硬い緯糸が前記経糸の裏側面に沿って通るときに形成され、ループ部を形成しており、前記上部は、前記硬い緯糸が前記経糸の表側面に沿って通るときに形成され、前記織物の前記表側面に形成された連結部を定めており、硬い緯糸の各々が、前記ループ部によって跨ぐ前記経糸の平均値は、少なくとも6本であり、前記弾性的な緯糸は、前記硬い糸の織組織より緊密な織組織により、前記経糸に対して交互に配置された下部と上部とを形成しており、前記弾性的な糸と前記硬い緯糸とは、少なくとも1本の弾性的な糸と交互に配置されている少なくとも1本の硬い糸を具えるように、所定の配置で配列され、織機で製造した前記織物を前記織機から取り外したときの、前記弾性的な糸の収縮率は、前記硬い緯糸の収縮率より大きいことを特徴とする織物である。
【0021】
本発明の別の例示的な実施形態によると、織機による織物の製造方法が提供され、この方法は、経糸を提供するステップと、弾性を有しておらず、Ne10?Ne70(両端値を含む)の英式綿番手を有する硬い緯糸を提供するステップと、前記織機で製造した前記織物を前記織機から取り外したときの収縮率が、前記硬い緯糸の収縮率より大きい弾性的な緯糸を提供するステップと、少なくとも1本の硬い糸が、少なくとも1本の弾性的な緯糸と交互に配置されている織組織を選択するステップとを有し、前記硬い緯糸を、前記経糸と交差させ、織物の表側面及び裏側面を交互に通るように延ばし、かつ各交差点間において、所定数の前記経糸を跨がせることにより、前記裏側面における一連の硬い下部と、前記表側面における硬い上部とを形成し、前記硬い緯糸の各々が、前記各下部によって跨ぐ前記経糸の数の平均値を、少なくとも6本とし、前記弾性的な糸を、前記経糸と交差させ、前記表側面及び裏側面を交互に通るように延ばし、かつ各交差点間において、所定数の前記経糸を跨がせることにより、前記裏側面における一連の弾性的な下部と、前記表側面における一連の弾性的な上部とを形成するステップと、前記選択されたパターンにより前記織物を織るステップと、得られた織物を縮ませるステップであって、前記弾性的な緯糸を、前記硬い緯糸より大きく収縮させ、これにより、前記硬い下部にループ部を形成させるステップとを有することを特徴とする。
【0022】
本発明は、従来技術に対して、いくつかの利点を提供する。交互に配置された弾性的な緯糸及び硬い緯糸を備えているため、弾性を有する「構造」が織物内に形成され、完成した織物を、織機から取り外したとき、すなわち、それ以上張力下におかれなくなったとき、第1及び第2の糸は、異なる態様で、異なる程度で縮み、すなわち、前記弾性的な糸は前記硬い糸よりも縮み、かつ前記硬い糸の下部により、前記織物の裏(すなわち、ユーザの身体に面する織物の側)に、複数のループ部が提供される。これにより、それが織物用の織機でつくられたものであるにもかかわらず、織物に、編物のような手触り、感触及び外観を付与する。これにより、編み機の費用が削減される。さらに、ユーザの身体がインディゴのしみで汚れることが、複数のループ部によって防止されるので、インディゴ染めの経糸、特にインディゴロープ染色糸を問題なく使用することができる。インディゴ染めされた経糸を用いると、出来上がった織物は、編まれたデニムと同様の外観と感触(手触り)を発揮する。このような効果は、従来技術では達成できなかったことである。
【0023】
上記および/または他の態様は、添付の図面を参照して、例示的な実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことにより明らかとなり、かつ容易に理解しうると思う。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の例示的な実施形態による織物を示す。
【図2】本発明の例示的な実施形態による織物の表側面を示す。
【図3】本発明の例示的な実施形態による織物の裏側面を示す。
【図4】本発明の例示的な実施形態による織物をつくるための方法のフローチャートである。
【図5】実施例1に示す例示的な実施形態の織組織図である。
【図6】実施例2に示す例示的な実施形態の織組織図である。
【図7】実施例3に示す例示的な実施形態の織組織図である。
【図8】実施例4に示す例示的な実施形態の織組織図である。
【図9】実施例5に示す例示的な実施形態の織組織図である。
【図10】実施例6に示す例示的な実施形態の織組織図である。
【図11】実施例7に示す例示的な実施形態の織組織図である。
【図12】実施例8に示す例示的な実施形態の織組織図である。
【図13】実施例9に示す例示的な実施形態の織組織図である。
【図14】実施例10に示す例示的な実施形態の織組織図である。
【図15】例示的な実施形態における織物の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、例示的な実施形態を、当業者が容易に理解できるように、添付の図面を参照して詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の例示的な実施形態に限定されるものではなく、様々な態様で実施することができる。周知の部分について説明は省略する。全体を通して同じ符号は、同じ要素を示す。
【0026】
第1の例示的な実施形態による物品が、図1に示されている。例示されているものは、表側102と裏側103とを有する織物である。この織物101は、経糸104と緯糸105及び106とで共に織られている。好適な実施形態においては、経糸はインディゴ染めされている。
【0027】
例示的な実施形態においては、緯糸は弾性的な糸105と硬い糸106とを有している。この例示的な実施形態において、弾性的な糸(第2の緯糸)105は硬い糸(第1の緯糸)106よりも大きな収縮率を有する。この弾性的な糸105及び硬い糸106は、少なくとも1本の弾性的な糸105と交互に配置された少なくとも1本の硬い糸106を含む所定の態様で配置されている。図1に示す例示的な実施形態においては、2本の硬い糸106と交互に配置された1本の弾性的な糸105があるが、これらの糸は、本発明の概念から逸脱することなく、異なる態様で配置されることもある。例えば、好適な実施形態においては、弾性的な糸105の硬い糸106に対する割合は、2:1?1:5(両端値を含む)である。弾性的な糸105の硬い糸106に対する平均的な割合は、1:2?1:3(両端値を含む)であるとより好ましい。
【0028】
この織物では、硬い糸106が、経糸104に対して交互に配置された下部107及び上部108を形成している。下部107は、硬い糸106が経糸104の裏側に沿って通るときに形成され、ループ部107aを定める。上部108は、硬い糸106が経糸104の表側に沿って通るときに形成され、連結部108aが形成される。
【0029】
例示的な実施形態においては、織物は硬い緯糸106を具え、各ループ部107aによって跨がせる経糸104の数は、少なくとも6本であり、好適には6?24本の範囲内である。各ループ部107aにより跨がせる経糸104の数は、すべてのループ部107aにとって同じである必要はない。1本のループ部107a毎に、少なくとも6本の経糸104が通ることは、厳密には必要ではない。各硬い糸106にとって、各ループ部107aに跨がせる平均的な経糸104の数は、少なくとも6本であり、個々のループ部107aにより跨がせる経糸104の数は、本発明の概念から逸脱することなく変更することができる。当業者には周知であるように、必要なループ部107aは、織物の裏側に形成される。
【0030】
図1は、各連結部108aによって跨がせる1本の経糸104に対し、11本の経糸104を跨いでいるループ部107aを示しているが、別の例示的な実施形態においては、ループ部107aにより跨がせる経糸104の、連結部108aによって跨がせる経糸104に対する割合は、約6:1?24:1(両端値を含む)である。
【0031】
弾性的な糸105は、その織組織において、前記経糸104に対して交互に配置された下部109と上部110とを形成する。これらの下部109と上部110とは、硬い糸106により形成された織組織より緊密な、経糸104に対する織組織を形成する。図1?図3に例示されている織りパターンが、1本の経糸104を跨ぐ上部110と2本の経糸104を跨ぐ下部109を示し、上部110と下部109とによって跨がせる経糸104の数は、本発明の概念から逸脱することなく変更することができる。
【0032】
本発明によると、硬い糸のループ部107aは、弾性的な糸105によりつくられる下部109と上部110とにより、張力が実質的に小さい状態にされる。ループ部107aは、弾性的な糸105の収縮により連結部108a間に生じる圧縮力によって、硬い糸106の下部107が撓むことにより形成されており、その圧縮力と、ループ部107aの撓み弾性力とが平衡している状態にある。
【0033】
ループ部107aは、織物に、編物状の外観と性質を与えることができる。例えば、ゆるいループ部107aは、織物の裏面でゆるく垂れ下がることができる。ループ部107aの垂れ下がりは、織物に、まるで編物のような柔らかい感じを与える。
【0034】
また、編物は、糸とループを共に連結させることによりつくられるので、ループ部107aは、織物の裏に編物のような外観を与える。さらに、その長さと垂れ下がりのため、ループ部107aは、経糸104に対して緊密に織られた場合、織物の裏の大きな部分を覆うことができる。これにより、ときに不快となる下部109を隠すことができる。ループ部107aは、軟かい綿糸からできており、多くの場合、織物の裏面を軟質で快適なものとする。
【0035】
垂れ下がったループ部107aのさらなる利点は、経糸104を皮膚に接触させないことである。この利点は、インディゴ染めの糸からつくられるデニム織物には、特に重要である。もしこれらの経糸104が、インディゴ染めされており、着用者の肌と接触すると、着用者が汗をかいた場合にシミを作ってしまう。
【0036】
図1?図3に示すように、ループ部107aは、経糸104と緯糸105、106とに対して、斜め方向に延びるパターンを形成している。同様に、連結部108aは、経糸104と緯糸105、106とに対して斜め方向に延びるパターンを形成している。図1に示すように、硬い糸106の織組織パターンは、弾性的な糸105の織組織のパターンとは異なることもある。例えば、硬い糸106のために選ばれた織組織のパターンを、弾性的な糸105のために選ばれた別のタイプのパターンと組み合わせて、綾織りのパターンとすることもできる。
【0037】
例示的な実施形態において、織組織のパターンおよび/または糸の選択により、経糸104と緯糸105、106とに対して、織物101を斜め方向に延ばすことができる。
【0038】
斜めパターンを利用すると、多くの利点を得ることができる。まず、経糸104がインディゴ染めされていると、斜めパターンでは、編物の感じと性質の利点を維持しながら、織物に古典的なデニムの織組織の外観を与える。斜めパターンはまた、織物を斜め方向に延ばすことを可能とし、さらに織物に編物のような性質を付加する。
【0039】
例示的な実施形態においては、織った後で、縮む前の好ましい経糸密度は、約20?70本/cm(両端値を含む)である。
【0040】
織物の処理と3回の家庭洗浄の後、好ましい経糸密度は、経糸約25?80本/cmである。家庭洗浄を60℃で実施し、乾燥させ、最後の洗濯と乾燥の後、8時間の調整ステップと続く、これらのテストは、従来の一般的なものであり、ASTM D3776/96及びBS 63302Aで行われる。織った後、縮む前の経糸密度は、約25?60本/cmであり、3時間の家庭洗浄後は、約30?65本/cm(両端値を含む)である。より好ましくは、経糸密度は、約30?50本/cmであり、3時間の家庭洗浄後は、約35?55本/cmである。一般に、経糸と緯糸の密度の計測は、湿度65%±5%、かつ温度20℃±2℃でなされる。
【0041】
経糸密度と同様に、例示的な実施形態はまた緯糸密度を規定する。織った後、縮む前の緯糸密度は、約30?90本/cm(両端値を含む)である。3回の家庭洗浄の後、緯糸密度は、約35?95本/cm(両端値を含む)であることが好ましい。織った後、縮む前の好ましい緯糸密度は、約40?80本/cm(両端値を含む)であるとさらに好ましい。3回の家庭洗浄の後、緯糸密度は、約45?85本/cm(両端値を含む)であるとさらに好ましい。織った後、縮む前の緯糸密度は、約50?70本/cmであって、約55?75/cm(両端値を含む)、かつ3回の家庭洗浄後、約55?75本/cm(両端値を含む)であるとさらに好ましい。
【0042】
経糸と緯糸の密度の選択は、織物に編物のような性質を付加するだけでなく、適切な糸の選択により、異なる重さを有する織物もつくることができる。例えば、重さは、Tシャツの重さと近くなるようにしたり、あるいはスウェットパンツの重さと近くなるようにしたりすることができる。
【0043】
例示的な実施形態において、ループ部107aによって跨がせた経糸104の緯糸105,106に対する平均的な本数の比率は、約0.2?0.7(両端値を含む)である。
【0044】
別の例示的な実施形態において、ループ部107aによって通された経糸104の平均的な数に対する、連結部108aによって通された経糸104の平均的な本数の比率は、約6?24(両端値を含む)である。
【0045】
例示的な実施形態の別の態様は、経糸と緯糸のために用いられる糸の太さである。弾性的な緯糸(第2の緯糸)はしばしば合成繊維であり、それらの太さは、本書ではデニール(den.)を用いて記載してある。また経糸と硬い緯糸(第1の緯糸)の太さは、英式綿番手(Ne)を用いて記載してある。糸によって用いられる番号付けシステムは異なっているが、当業者であれば、1つの番号付けシステムから別の番号付けシステムにどのように変換するかを知っており、また番号付けシステムが、用いられる糸の性質や構成によって制限されないことを理解することができる。
【0046】
一定の比率の縮尺で描かれてはいないが、図1には、経糸、硬い緯糸及び弾性的な緯糸は各々異なる太さを有しうることが示されている。弾性的な緯糸は、硬い緯糸より細いのが好ましい。例示的な実施形態において、経糸の太さは、約Ne10?Ne40(両端値を含む)であるのが好ましい。経糸の太さは、約Ne15?Ne25(両端値を含む)であるのがより好ましい。例示的な実施形態において、硬い糸の太さは、約Ne10?Ne70(両端値を含む)であるのが好ましい。硬い糸の太さは、約Ne15?Ne50(両端値を含む)であるのがより好ましい。
【0047】
例示的な実施形態において、弾性的な糸の太さは、約40デニール?140デニール(両端値を含む)であるのが好ましい。弾性的な糸の太さは、約60デニール?80デニール(両端値を含む)であるのがより好ましい。
【0048】
本発明の概念の範囲内で、糸の相対的な太さを選択することにより多くの利点を実現できる。例えば、硬い緯糸106の太さが、弾性的な緯糸105の太さより大きいとき、より太いループ部107aは、下部109が織物の背面から見えたり感じたりしないようにうまく隠すことができる。正しい太さの選択はまた、織物に編物のような感じや重さを与えることとなる。
【0049】
図2、図3は、本発明の概念の例示的な実施形態について、それぞれ別の方向から見たものを示す。例示的な実施形態の織物は、(図2に示されている)第1の織組織と、(図3に示されている)第2の織組織とを有する織物101である。第1の織組織202は、一般に、織物102の表側面を形成し、実質的に、所定の配置で緊密に織られた経糸104と弾性的な緯糸105とを備えている。第2の織組織203は、織物103の裏側面を形成し、硬い緯糸106が経糸104に対して、交互に配置された下部107と上部108とを形成するように、所定の配置でゆるく織られた経糸104と硬い緯糸106とを備えている。下部107は、硬い緯糸106が経糸104の裏側103に沿って通ることにより形成され、これにより、ループ部107aが定められる。上部108は、硬い緯糸106が経糸104の表側に沿って通ることにより形成され、これにより連結部108aが定められる。図3に示すように、各ループ部107aにより跨がれた経糸104の数は11本であるが、別の実施形態においては、その数は異なる。
【0050】
図2において、第1の織組織202は、第2の織組織203よりも緊密な織り方により、上部110と下部109とを形成するように、経糸104に対して所定の位置に配置された弾性的な緯糸105から形成されている。
【0051】
例示的な実施形態において、第2の織組織203は、第1の織組織202の弾性的な緯糸105より上を通った経糸104が、織物101の裏側103から感じたり、見えたりすることを実質的に防ぐ。
【0052】
図4は、本発明の例示的な実施形態による織物をつくるための方法を示している。機能ブロック401に示すように、工程の第1のステップは、経糸を提供することである。このステップは、糸の密度を決めることだけでなく、糸の太さを選択することも含む。当業者には周知であるように、経糸の別の態様の決定は、このステップでなされる。このステップは、インディゴ染めされた経糸の選択を含む場合が多い。インディゴ染めされた経糸の使用は、結果としてできる織物に、インディゴ染め工程の独特な態様の多くの利点を与えることができる。これらの態様は、ロープ染色インディゴ糸で達成されうる独特の風合いの影響を含むが、これらに限定されない。
【0053】
機能ブロック402は、硬い糸が提供されるステップである。ステップ401と同様に、このステップは、糸の太さ、収縮率、弾性度、色、緯糸密度など、当業者には周知の硬い緯糸の態様のすべてを決定することを含むことができるが、これらに限定されない。機能ブロック403は、弾性的な糸に関する同様のステップを表す。このステップにおいて、弾性的な緯糸のすべての態様が選択されうる。
【0054】
機能ブロック404は、織組織のパターンを決めるステップを表す。このステップにおいて、少なくとも1本の硬い糸が、少なくとも1本の弾性的な糸と交互に配置されている限り、当業者には周知の任意のパターンを選択することができる。硬い糸が、経糸の裏側及び表側に沿って、それぞれ所定の本数の経糸を交互に通過するようにして、各通過部により一連の上部と下部とを形成し、もって硬い上部を形成させ、ここで各下部により跨がせる経糸の平均的な本数は6本であり、さらに、弾性的な糸が、経糸の裏側及び表側に沿って、それぞれ所定の本数の経糸を交互に通過するようにして、各通過部により一連の弾性的な上部及び一連の弾性的な下部を形成させることを確実にする。
【0055】
機能ブロック405は、選択された織組織パターンに従って、経糸と緯糸とを織るステップを表す。
【0056】
機能ブロック406は、織った後の織物を縮ませるステップを表す。
【0057】
この収縮の間、弾性的な糸は硬い糸より大きく縮み、これにより下部がループ部となる。織物が織機から取り去られるとすぐに、自然に収縮が起こり、糸はもはや張力下になく、仕上げ工程中、織物を濡らすことにより、さらなる縮みが行われる。
【0058】
例示的な実施形態において、ループ部は、弾性的な糸により形成された上部と下部よりも、張力が実質的に小さい。別の実施形態において、ループ部は、弾性的な糸の収縮により連結部間に生じる圧縮力によって、硬い糸の下部が撓むことにより形成されており、その圧縮力と、ループ部の撓み弾性力とが平衡している状態にある。
【0059】
別の例示的な実施形態として、織物をつくるための工程に、さらなる工程を付加することができる。これらの工程には、漂白、手でこすること、砂の吹き付け、軽石で洗うこと、及び当業者には周知の仕上げた織物に風合い効果を与える他の方法等が含まれる。これらのステップは、織物の表側または裏側のどちらか一方をブラシでこすることを含むことができる。このプロセスはまた、織物に文字や絵を印刷すること、あるいは織物に模様やロゴを刺繍することを含みうる。織物は、最新のファッショントレンドの需要に合うよう切り取られたり、引き裂かれたりもされうる。この工程はまた、織物を衣服にあつらえること、あるいは当業者には周知の他の工程を含んでいる。
【0060】
以下、本発明の概念による例示的な実施形態の極めて具体的な実施例について述べる。発明の概念は、その範囲と趣旨から逸脱しない限り、他の異なる実施形態を含むことができる。
【0061】
実施例は本質的に説明のためのものであり、本発明を限定するものではない。実施例は、図5?図14の織組織図において例示されており、当業者には周知であるように、織組織図は、織物の最小限の繰り返し単位(単位部分)の表示様式である。これは、ピック(緯入れ)と経糸とが織組織図に示されたパターンを繰り返すことを意味する。例として、図5において、ピック37はピック1と同一であり、ピック38はピック2と同一であるなど、同じことが経糸に適用される。W13はW1と同一である。
【0062】
実施例1
この例示的な実施形態は、編まれたTシャツの重さと感じを有する織物を得るためのものであるが、インディゴ染めの糸を用いてそのようになされる。インディゴ染めの糸は、巨額の費用を投じる研磨作業のみを事前に適用しうる。経糸、緯糸、経糸密度及び織機の設定は、表1に示す数値より選択した。これらの選択は、結果である織物に、約5?7oz/sqyd(170?240g/cm^(2))の重さを与えた。織組織パターンは、図5に示す織組織図に示すものが選択された。緯糸選択システムを用いるドビータイプの織り機が、織りを実施するために用いられた。
【表1】


【0063】
織った後、織物は濡らされ、長さ(縦)方向に延ばされた。これにより、ライクラ糸により経糸が引っぱられ、織物は幅(横)方向に縮む。綿緯糸は、エラスタンを含まず、それらはライクラ糸ほどには縮まない。また、綿糸は、織物の裏側のほとんどを覆う長いループを形成した織物の裏に浮かぶ。
【0064】
縮んだ後、この織物は、さらなる衣服の洗濯の際に、縮みを減らすために加熱された。
【0065】
結果の織物は、編物のような重さと感触を有しており、一般の編物に比して、はるかに柔らかい感触を有していた。同時に、インディゴ経糸は、織物の表側にデニム織物の外観と質感を与え、それは、摩耗効果のような、仕上げ効果を施されたデニムの性質を呈していた。織物の裏側は、染色されていない緯糸のため白色であり、その上につくられた長いループのため極めて柔らかかった。この織物からつくられた衣服を着用する人は、織物の裏側を占める長いループにより、不快なポリエステルの緯糸を感じることはない。この長いループはまた、インディゴ経糸が、この衣服を着用する人の肌と接触しないようにし、もし人が汗をかいたとき、インディゴ染めが薄くならないようにする。
【0066】
織組織と、弾性的な緯糸との選択により、結果の織物は、きわめて高い弾性度を有していた。弾性度には、単に緯糸方向のみならず、すべての方向に延びる能力が含まれていた。
【0067】
実施例2
この例は、編物の重さと感じとを有する織物についてである。経糸、緯糸、経糸密度、緯糸密度及び織機の設定は、表1の値より選択した。この織りパターンは、図6に示す織組織図により選択された。この織組織図の例では、硬い糸に対する弾性的な糸の割合は2:1であり、実施例1の1:2とは逆になっている。弾性的な糸の上部/硬い糸の上部の割合、すなわち、弾性的な糸(左から2番目の列に示す参照番号1,2)の上下動の数は、硬い糸(同列に示す参照番号3)の上下動の数の4倍である。
【0068】
実施例3
この例は、編物の重さと感じとを有する織物についてである。経糸、緯糸、経糸密度、緯糸密度及び織機の設定は、表1の値より選択した。この織りパターンは、図7に示す織組織図により選択した。この織組織図の例では、硬い糸に対する弾性的な糸の割合は1:1であり、実施例1の1:2とは異なっている。弾性的な糸の上部/硬い糸の上部の割合、すなわち、弾性的な糸(左から2番目の列に示す参照番号1)の上下動の数は、硬い糸(同列に示す参照番号2)の上下動の数の4倍である。
【0069】
実施例4
この例は、編物の重さと感じとを有する織物についてである。経糸、緯糸、経糸密度、緯糸密度及び織機の設定は、表1の値より選択した。この織りパターンは、図8に示す織組織図により選択した。この織組織図に見られるように、織物の表側の織組織は、杉綾模様であり、弾性的な緯糸(右から2番目の列に示す参照番号1)により通された経糸の数は、織組織全体を通して同じである必要はない。例えば、ピック27で緯糸によって通された経糸の数は、ピック21で緯糸によって通された数とは異なっている。したがって、ピックに応じて、弾性的な糸の上部/硬い糸の上部の割合は、2:1、3:1及び4:1である。
【0070】
実施例5
この例は、編物の重さと感じとを有する織物についてである。経糸、緯糸、経糸密度、緯糸密度及び織機の設定は、表1の値より選択した。この織りパターンは、図9に示す織組織図により選択され、弾性的な糸(参照番号1)に対する硬い糸(参照番号2)の割合は3:1である。この例は、織組織パターンの別の形態を利用している。
【0071】
実施例6
この例は、編物の重さと感じとを有する織物についてである。経糸、緯糸、経糸密度、緯糸密度及び織機の設定は、表1の値より選択した。この織りパターンは、図10に描写された織組織図により選択されており、弾性的な糸(参照番号1)の上部と硬い糸(参照番号2)の上部との割合は3:1である。この例は、織組織パターンの別の例示的な実施形態を利用している。
【0072】
実施例7
この例は、編物の重さと感じとを有する織物についてである。経糸、緯糸、経糸密度、緯糸密度及び織機の設定は、表1の値より選択した。この織りパターンは、図11に描写された織組織図により選択されており、弾性的な糸(参照番号1)の上部と硬い糸(参照番号2)の上部との割合は4:1である。表1に示すように、この例ではライクラを含まない合成緯糸を利用している。
【0073】
実施例8
この例は、編物の重さと感じとを有する織物についてである。経糸、緯糸、経糸密度、緯糸密度及び織機の設定は、表1の値より選択した。図12の織組織パターンに見られるように、硬い緯糸の下部は20本の経糸を通る。弾性的な糸(参照番号1)の上部と硬い糸(参照番号2)の上部の割合は7:1である。
【0074】
実施例9
この例は、編物の重さと感じとを有する織物についてである。経糸、緯糸、経糸密度、緯糸密度及び織機の設定は、表1の値より選択した。この織りパターンは、図13に示す織組織図により選択され、弾性的な糸(参照番号1)の上部と硬い糸(参照番号2,3)の上部の割合は4:1である。表1に示すように、この例の硬い緯糸は、ポリエステル糸である。ポリエステル糸のため、結果の織物は、先の実施例より重い。実施例9に示す実施形態は、他の実施例と同様に、織物の裏側をブラシかけする工程を含んでもよい。
【0075】
実施例10
この例は、編物の重さと感じとを有する織物についてである。経糸、緯糸、経糸密度、緯糸密度及び織機の設定は、表1の値により選択した。この織りパターンは、図14に示した織組織図により選択されており、弾性的な糸(参照番号1)の上部と硬い糸(参照番号2,3)の上部の割合は4:1である。表1に見られるように、より重い綿の硬い緯糸が用いられ、その結果、織物の重さは大となる。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に外側から視認される表側面(102)と、使用時にユーザの身体に面する裏側面(103)とを有し、織機により共に織られたパターンを形成している複数の経糸(104)と複数の緯糸(105、106)とを有する織物(101)を備える衣料品において、
前記緯糸は、第1の緯糸である硬い糸(106)と、第2の緯糸である弾性的な糸(105)とを含み、これらは、少なくとも1本の前記硬い糸(106)と、少なくとも1本の前記弾性的な糸(105)とが交互に配置されることによって、所定の配列を形成しており、前記弾性的な糸(105)は弾性を有しており、かつ前記織機で製造した前記織物(101)を前記織機から取り外したときの、前記弾性的な糸(105)の収縮率は、前記硬い糸(106)の収縮率より大きく、
前記硬い糸(106)は、弾性を有しておらず、Ne10?Ne70(両端値を含む)の英式綿番手を有しており、前記経糸(104)に対して交互に配置された前記裏側面(103)における下部(107)と、前記表側面(102)における上部(108)とを形成しており、前記下部(107)は、前記裏側面(103)から視て、前記硬い糸(106)が、前記経糸(104)上を交差することにより形成され、ループ部(107a)を定めており、前記上部(108)は、前記表側面(102)から視て、前記硬い糸(106)が、前記経糸(104)上を交差することにより、前記織物(101)の前記表側面(102)に形成された連結部(108a)を定めており、
前記硬い糸(106)の各々が、前記ループ部(107a)によって跨ぐ前記経糸(104)の数は、6?24(両端値を含む)の範囲内であり、
前記弾性的な糸(105)は、前記硬い糸(106)による織組織より緊密な織組織で、前記経糸(104)に対して、交互に配置された前記裏側面(103)の下部(109)と、前記表側面(102)の上部(110)とを形成しており、
前記硬い糸(106)の下部(107)により定められる前記ループ部(107a)によって跨がせる前記経糸(104)の数は、前記硬い糸(106)の上部(108)により定められる前記連結部(108a)によって跨がせる前記経糸(104)の数の少なくとも6倍であり、
前記弾性的な糸(105)の数と、前記硬い糸(106)の数との比率は、2:1?1:5(両端値を含む)であり、
隣接する前記硬い糸(106)の、前記裏側面(103)における前記ループ部(107a)及び前記表側面(102)における前記連結部(108a)は、各々前記経糸(104)及び前記緯糸(105,106)に対して斜め方向に延びるパターンを形成しており、もって前記織物(101)は、緯糸方向のみならず、前記経糸(104)及び前記緯糸(105,106)に対して斜め方向における弾性を有しており、かつ前記斜め方向にも延ばすことができ、
3回の家庭洗浄の後における経糸密度は25?80本/cmであることを特徴とする衣料品。
【請求項2】
請求項1に記載の衣料品において、前記弾性的な糸(105)の織組織パターンは、綾織りパターンであることを特徴とする衣料品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の衣料品において、前記第2の緯糸である弾性的な糸(105)の前記下部(109)により跨がせる前記経糸(104)の数は、2又は3本であることを特徴とする衣料品。
【請求項4】
請求項1?3のいずれか1項に記載の衣料品において、前記ループ部(107a)における張力は、前記弾性的な糸(105)により形成された前記上部(110)及び前記下部(109)における張力より実質的に低いことを特徴とする衣料品。
【請求項5】
請求項1?4の何れか1項に記載の衣料品において、前記ループ部(107a)は、前記弾性的な糸(105)の収縮により前記連結部(108a)間に生じる圧縮力によって、前記硬い糸(106)の下部(107)が撓むことにより形成されており、前記圧縮力と、前記ループ部(107a)の撓み弾性力とが平衡している状態にあることを特徴とする衣料品。
【請求項6】
請求項1?5の何れか1項に記載の衣料品において、前記硬い糸(106)の織組織パターンは、前記弾性的な糸(105)の織組織パターンとは異なっていることを特徴とする衣料品。
【請求項7】
請求項1?6の何れか1項に記載の衣料品において、織った後で、かつ縮む前における経糸密度は、20?70本/cm(両端値を含む)であることを特徴とする衣料品。
【請求項8】
請求項1?7の何れか1項に記載の衣料品において、織った後で、かつ縮む前における経糸密度は、25?60本/cmであることを特徴とする衣料品。
【請求項9】
請求項1?8の何れか1項に記載の衣料品において、3回の家庭洗浄の後における経糸密度は、30?65本/cm(両端値を含む)であることを特徴とする衣料品。
【請求項10】
請求項1?9の何れか1項に記載の衣料品において、織った後で、かつ縮む前における経糸密度は、30?50本/cmであることを特徴とする衣料品。
【請求項11】
請求項1?10の何れか1項に記載の衣料品において、3回の家庭洗浄の後の経糸密度は、35?55本/cm(両端値を含む)であることを特徴とする衣料品。
【請求項12】
請求項1?11の何れか1項に記載の衣料品において、織った後で、かつ縮む前における緯糸密度は、30?90本/cm(両端値を含む)であることを特徴とする衣料品。
【請求項13】
請求項1?12の何れか1項に記載の衣料品において、3回の家庭洗浄の後における緯糸密度は、35?95本/cm(両端値を含む)であることを特徴とする衣料品。
【請求項14】
請求項1?13の何れか1項に記載の衣料品において、織った後で、かつ縮む前における緯糸密度は、40?80本/cmであることを特徴とする衣料品。
【請求項15】
請求項1?14の何れか1項に記載の衣料品において、3回の家庭洗浄の後、緯糸密度は、45?85本/cm(両端値を含む)であることを特徴とする衣料品。
【請求項16】
請求項1?15の何れか1項に記載の衣料品において、織った後で、かつ縮む前における緯糸密度は、50?70本/cmであることを特徴とする衣料品。
【請求項17】
請求項1?16の何れか1項に記載の衣料品において、3回の家庭洗浄の後の緯糸密度は、55?75本/cm(両端値を含む)であることを特徴とする衣料品。
【請求項18】
請求項1?17の何れか1項に記載の衣料品において、前記経糸(104)は、Ne10?Ne30(両端値を含む)の英式綿番手を有することを特徴とする衣料品。
【請求項19】
請求項1?18の何れか1項に記載の衣料品において、前記経糸(104)は、Ne15?Ne25(両端値を含む)の英式綿番手を有することを特徴とする衣料品。
【請求項20】(削除)
【請求項21】
請求項1?19の何れか1項に記載の衣料品において、前記硬い糸(106)は、Ne15?Ne50(両端値を含む)の英式綿番手を有することを特徴とする衣料品。
【請求項22】
請求項1?19及び21の何れか1項に記載の衣料品において、前記弾性的な糸(105)は、40デニール?140デニールの番手(両端値を含む)を有することを特徴とする衣料品。
【請求項23】
請求項1?19,21及び22の何れか1項に記載の衣料品であって、前記弾性的な糸(105)は、50デニール?90デニールの番手(両端値を含む)を有することを特徴とする衣料品。
【請求項24】
請求項1?19及び21?23の何れか1項に記載の衣料品において、前記弾性的な糸(105)の収縮率は、前記硬い糸(106)の収縮率よりも少なくとも10%大きいことを特徴とする衣料品。
【請求項25】
請求項1?19及び21?24の何れか1項に記載の衣料品において、前記経糸(104)はインディゴ染糸であることを特徴とする衣料品。
【請求項26】
請求項25に記載の衣料品において、前記インディゴ染糸はロープ染色糸であることを特徴とする衣料品。
【請求項27】
請求項1?19及び21?26の何れか1項に記載の衣料品において、前記ループ部(107a)によって跨がせる前記経糸(104)の数と、前記連結部(108a)の数との比率は、6:1?24:1(両端値を含む)であることを特徴とする衣料品。
【請求項28】
請求項1?19及び21?27の何れか1項に記載の衣料品において、前記弾性的な糸(105)の数と、前記硬い糸(106)の数との比率は、1:2?1:3(両端値を含む)であることを特徴とする衣料品。
【請求項29】
請求項1?19及び21?28の何れか1項に記載の衣料品において、織組織図における前記経糸(104)の対応する量に対する、前記弾性的な糸(105)の上下動により得られる前記上部(110)の量の比率は、前記織組織図における前記経糸(104)の対応する量に対する、前記硬い糸(106)の上下動により得られる前記上部(108)の量の比率の2?12倍であることを特徴とする衣料品。
【請求項30】
請求項1?19及び21?29の何れか1項に記載の衣料品において、前記弾性的な下部(109)は、前記ループ部(107a)により覆われており、前記織物(101)が、ゆったりした状態にあるとき、前記弾性的な下部(109)は、見たり、感じたりし難いことを特徴とする衣料品。
【請求項31】
請求項1?19及び21?30の何れか1項に記載の衣料品において、前記ループ部(107a)は、前記連結部(108a)により交差された前記経糸(104)が、前記織物(101)によって覆われた着用者の身体の表面と接触するのを、実質的に防止するようになっていることを特徴とする衣料品。
【請求項32】
請求項1?19及び21?31の何れか1項に記載の衣料品において、経糸密度に対する、前記ループ部(107a)によって跨がせる前記経糸(104)の数の平均値の比は、0.2?0.7(両端値を含む)であることを特徴とする衣料品。
【請求項33】
使用時に外側から視認される表側面(102)と、使用時にユーザの身体に面する裏側面(103)とを有し、織機により共に織られたパターンを形成している複数の経糸(104)と複数の緯糸(105、106)とを有する織物(101)であって、
前記緯糸は、第1の緯糸である硬い糸(106)と、第2の緯糸である弾性的な糸(105)とを含み、これらは、少なくとも1本の前記硬い糸(106)と、少なくとも1本の前記弾性的な糸(105)とが交互に配置されることによって、所定の配列を形成しており、前記弾性的な糸(105)は弾性を有しており、かつ前記織機で作成した前記織物(101)を前記織機から取り外したときの、前記弾性的な糸(105)の収縮率は、前記硬い糸(106)の収縮率より大きく、
前記硬い糸(106)は、弾性を有しておらず、Ne10?Ne70(両端値を含む)の英式綿番手を有しており、前記経糸(104)に対して交互に配置された前記裏側面(103)における下部(107)と、前記表側面(102)における上部(108)とを形成しており、前記下部(107)は、前記裏側面(103)から視て、前記硬い糸(106)が、前記経糸(104)上を交差することにより形成され、ループ部(107a)を定めており、前記上部(108)は、前記表側面(102)から視て、前記硬い糸(106)が、前記経糸(104)上を交差することにより、前記織物(101)の前記表側面(102)に形成された連結部(108a)を定めており、
前記硬い糸(106)の各々が、前記ループ部(107a)によって跨ぐ前記経糸(104)の数は、6?24(両端値を含む)の範囲内であり、
前記弾性的な糸(105)は、前記硬い糸(106)による織組織より緊密な織組織で、前記経糸(104)に対して、交互に配置された前記裏側面(103)の下部(109)と、前記表側面(102)の上部(110)とを形成しており、
前記硬い糸(106)の下部(107)により定められる前記ループ部(107a)によって跨がせる前記経糸(104)の数は、前記硬い糸(106)の上部(108)により定められる前記連結部(108a)によって跨がせる前記経糸(104)の数の少なくとも6倍であり、
前記弾性的な糸(105)の数と、前記硬い糸(106)の数との比率は、2:1?1:5(両端値を含む)であり、
隣接する前記硬い糸(106)の、前記裏側面(103)における前記ループ部(107a)及び前記表側面(102)における前記連結部(108a)は、各々前記経糸(104)及び前記緯糸(105,106)に対して斜め方向に延びるパターンを形成しており、もって前記織物(101)は、緯糸方向のみならず、前記経糸(104)及び前記緯糸(105,106)に対して斜め方向における弾性を有しており、かつ前記斜め方向にも延ばすことができ、
3回の家庭洗浄の後における経糸密度は25?80本/cmであることを特徴とする織物。
【請求項34】
請求項33に記載の織物において、さらに、請求項2?19及び21?32の何れか1項に記載の特徴を有することを特徴とする織物。
【請求項35】
使用時に外側から視認される表側面(102)と、使用時にユーザの身体に面する裏側面(103)とを有する織物(101)を、織機により製造するための方法であって、
経糸(104)を提供するステップと、
弾性を有しておらず、Ne10?Ne70(両端値を含む)の英式綿番手を有する硬い緯糸(106)を提供するステップと、
弾性を有する弾性的な緯糸(105)を提供するステップであって、前記織機で製造した前記織物(101)を前記織機から取り外したときの収縮率が、前記硬い緯糸(106)の収縮率より大きい弾性的な緯糸(105)を提供するステップと、
少なくとも1本の前記硬い緯糸(106)が、少なくとも1本の前記弾性的な緯糸(105)と交互に配置されている織組織を選択するステップであって、
前記硬い緯糸(106)を、前記経糸(104)と交差させ、前記表側面(102)及び裏側面(103)を交互に通るように延ばし、かつ各交差点間において、所定数の前記経糸(104)を跨がせることにより、前記裏側面(103)における一連の硬い下部(107)と、前記織物(101)の前記表側面(102)において形成された一連の連結部(108a)を定める硬い上部(108)とを形成し、
前記硬い緯糸(106)の各々が、前記各下部(107)によって跨ぐ前記経糸(104)の数を、6?24(両端値を含む)の範囲内とし、
かつ前記硬い緯糸(106)の前記下部(107)によって跨がせる前記経糸(104)の数が、前記硬い緯糸(106)の前記上部(108)によって跨がせる前記経糸(104)の数の少なくとも6倍となるようにし、
前記弾性的な糸(105)の数と、前記硬い糸(106)の数との比率が、2:1?1:5(両端値を含む)となるようにし、
前記弾性的な糸(105)を、前記経糸(104)と交差させ、前記表側面(102)及び裏側面(103)を交互に通るように延ばし、かつ各交差点間において、所定数の前記経糸(104)を跨がせることにより、前記裏側面(103)における一連の弾性的な下部(109)と、前記表側面(102)における一連の弾性的な上部(110)とを形成することにより、
隣接する前記硬い緯糸(106)の前記下部(107)及び前記連結部(108a)が、各々前記経糸(104)及び前記緯糸(105,106)に対して斜め方向に延びるパターンを形成するステップと、
前記選択された織組織に従って前記織物(101)を織るステップと、
得られた織物(101)を収縮させるステップであって、前記弾性的な緯糸(105)を、前記硬い緯糸(106)より大きく収縮させ、これにより、前記硬い下部(107)にループ(107a)を形成させるステップとを備え、
もって隣接する前記硬い緯糸(106)の、前記裏側面(103)における前記ループ部(107a)及び前記表側面(102)における前記連結部(108a)により、各々前記経糸(104)及び前記緯糸(105,106)に対して斜め方向に延びるパターンを有し、緯糸方向のみならず、前記経糸(104)及び前記緯糸(105,106)に対して斜め方向における弾性を有しており、かつ前記斜め方向にも延ばすことができ、さらに、3回の家庭洗浄の後における経糸密度が25?80本/cmである織物を製造することを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法において、漂白、手でこすること、砂の吹き付け、軽石で洗うこと、図を印刷すること、文字を印刷すること、刺しゅうすること、ブラシでこすること、及び摩耗させることのうちの少なくとも1つを、前記織物(101)に適用することを含むことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項35又は36に記載の方法において、前記弾性的な緯糸(105)の前記下部(109)により跨がせる前記経糸(104)の数を、2又は3本とすることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項35?37のいずれか1項に記載の方法において、さらに、前記織物(101)を衣服に仕立てるステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項35?38の何れか1項に記載の方法において、前記経糸(104)を提供するステップは、さらに、前記経糸(104)のために経糸密度を選択するステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項35?39の何れか1項に記載の方法において、前記硬い緯糸(106)及び前記弾性的な緯糸(105)を提供するステップは、さらに、緯糸密度を選択するステップを含むことを特徴とする方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-03-27 
出願番号 特願2012-554247(P2012-554247)
審決分類 P 1 651・ 55- YAA (D03D)
P 1 651・ 537- YAA (D03D)
P 1 651・ 536- YAA (D03D)
P 1 651・ 4- YAA (D03D)
P 1 651・ 121- YAA (D03D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松岡 美和  
特許庁審判長 渡邊 豊英
特許庁審判官 谿花 正由輝
井上 茂夫
登録日 2016-11-04 
登録番号 特許第6033087号(P6033087)
権利者 サンコ テキスタイル イスレットメレリ サン ベ ティク エーエス
発明の名称 編物のように見え、かつ機能する織物、その織物を含む物品、及びその織物の製造方法  
復代理人 横堀 芳徳  
復代理人 竹ノ内 勝  
代理人 竹沢 荘一  
復代理人 竹ノ内 勝  
代理人 竹沢 荘一  
復代理人 横堀 芳徳  
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