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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G02B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G02B
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G02B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G02B
審判 全部申し立て 特174条1項  G02B
管理番号 1340122
異議申立番号 異議2017-700898  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-09-22 
確定日 2018-04-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6101017号発明「成型用積層フィルム」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第6101017号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1ないし9〕について訂正することを認める。 特許第6101017号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6101017号(請求項の数9。以下,「本件特許」という。)は,平成24年8月22日の出願であって,平成29年3月3日に特許権の設定登録がされたものである。
その後,平成29年3月22日に特許掲載公報の発行がなされたところ,平成29年9月22日に特許異議申立人により請求項1ないし9に係る特許について特許異議の申立てがされ,同年11月10日付けで特許権者に取消理由が通知され,特許権者より平成30年1月12日に意見書が提出されるとともに訂正の請求(以下,当該訂正の請求を「本件訂正請求」といい,本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)がされた。
なお,本件訂正について,異議申立人に対して,訂正請求があった旨の特許法120条の5第5項の規定に基づく通知がされたが,指定された期間内に異議申立人による意見書の提出はなされなかった。


第2 本件訂正の適否についての判断
1 本件訂正の内容
(1)訂正前後の記載
本件訂正請求は,特許請求の範囲を,訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1ないし9について訂正することを求めるものであるところ,一群の請求項〔1ないし9〕ごとに請求するものであるから,特許法120条の5第4項の規定に適合して請求されたものである。
しかるに,本件訂正前後の特許請求の範囲の記載は次のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)
ア 本件訂正前の特許請求の範囲の記載
「【請求項1】
ヘイズ値が0.7%以下である基材フィルム上に,ハードコート層および屈折率が1.47以下である低屈折率層をこの順に有する成型用積層フィルムであって,
前記成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)が4.0%以上15.0%以下であり,前記成型用積層フィルムの伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)との差の絶対値と,前記ヘイズ値(Hz0)との関係が下記式1を満足し,
前記低屈折率層の表面の中心線平均粗さRaが70nm以上500nm以下であることを特徴とする成型用積層フィルム。
(|Hz0-Hz15|)/Hz0≦0.3 ・・・ 式1
【請求項2】
前記成型用積層フィルムの伸度が0%時における低屈折率層側表面の視感反射率(R0)が0.5?2.5%である,請求項1に記載の成型用積層フィルム。
【請求項3】
前記成型用積層フィルムの伸度が0%時における低屈折率層側表面の視感反射率(R0)と,前記成型用積層フィルムの伸度が15%時における低屈折率層側表面の視感反射率(R15)との差の絶対値が下記式2を満足する,請求項1または2に記載の成型用積層フィルム。
|R0-R15|≦0.2% ・・・ 式2
【請求項4】
前記低屈折率層の厚みが50?200nmの範囲にある,請求項1?3のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
【請求項5】
前記ハードコート層の厚みが0.5μm以上5μm未満である,請求項1?4のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
【請求項6】
前記基材フィルムがポリエステルフィルムである,請求項1?5のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
【請求項7】
前記基材フィルムと前記ハードコート層との間に,厚みが5?300nmの樹脂層を有し,前記樹脂層は,ポリエステル樹脂,ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂からなる群の中から選ばれる少なくとも一種の樹脂,架橋剤ならびに粒子を含有する,請求項1?6のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
【請求項8】
前記成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)と,前記成型用積層フィルムの伸度が20%時におけるヘイズ値(Hz20)との差の絶対値と,前記ヘイズ値(Hz0)との関係が下記式3を満足する,請求項1?7のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
(|Hz0-Hz20|)/Hz0≦0.2 ・・・ 式3
【請求項9】
加飾成型,インモールド成型,あるいはインサート成型に用いられる,請求項1?8のいずれかに記載の成型用積層フィルム。」

イ 本件訂正後の特許請求の範囲の記載
「【請求項1】
ヘイズ値が0.7%以下である基材フィルム上に,温度23℃±2℃および相対湿度55%±5%の環境で測定したクラック伸度が15%以上であるハードコート層および中空状無機粒子を含み屈折率が1.47以下である低屈折率層をこの順に有する成型用積層フィルムであって,
前記成型用積層フィルムの温度23℃±2℃および相対湿度55%±5%の環境で測定した伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)が4.0%以上15.0%以下であり,前記成型用積層フィルムの前記伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)との差の絶対値と,前記ヘイズ値(Hz0)との関係が下記式1を満足し,
前記低屈折率層の表面の中心線平均粗さRaが70nm以上500nm以下であり,前記中空状無機粒子がシリカからなることを特徴とする成型用積層フィルム。
(|Hz0-Hz15|)/Hz0≦0.3 ・・・ 式1
【請求項2】
前記成型用積層フィルムの前記伸度が0%時における低屈折率層側表面の視感反射率(R0)が0.5?2.5%である,請求項1に記載の成型用積層フィルム。
【請求項3】
前記成型用積層フィルムの前記伸度が0%時における低屈折率層側表面の視感反射率(R0)と,前記成型用積層フィルムの前記伸度が15%時における低屈折率層側表面の視感反射率(R15)との差の絶対値が下記式2を満足する,請求項1または2に記載の成型用積層フィルム。
|R0-R15|≦0.2% ・・・ 式2
【請求項4】
前記低屈折率層の厚みが50?200nmの範囲にある,請求項1?3のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
【請求項5】
前記ハードコート層の厚みが0.5μm以上5μm未満である,請求項1?4のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
【請求項6】
前記基材フィルムがポリエステルフィルムである,請求項1?5のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
【請求項7】
前記基材フィルムと前記ハードコート層との間に,厚みが5?300nmの樹脂層を有し,前記樹脂層は,ポリエステル樹脂,ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂からなる群の中から選ばれる少なくとも一種の樹脂,架橋剤ならびに粒子を含有する,請求項1?6のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
【請求項8】
前記成型用積層フィルムの前記伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)と,前記成型用積層フィルムの前記伸度が20%時におけるヘイズ値(Hz20)との差の絶対値と,前記ヘイズ値(Hz0)との関係が下記式3を満足する,請求項1?7のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
(|Hz0-Hz20|)/Hz0≦0.2 ・・・ 式3
【請求項9】
加飾成型,インモールド成型,あるいはインサート成型に用いられる,請求項1?8のいずれかに記載の成型用積層フィルム。」

(2)訂正事項
本件訂正は,次の訂正事項からなる。
ア 訂正事項1
(ア) 請求項1の「ヘイズ値が0.7%以下である基材フィルム上に,」という記載と「ハードコート層」という記載の間に「温度23℃±2℃および相対湿度55%±5%の環境で測定したクラック伸度が15%以上である」という記載を挿入する。
(イ) 請求項1の「屈折率が1.47以下である低屈折率層」という記載の前に「中空状無機粒子を含み」という記載を挿入する。
(ウ) 請求項1の「伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)」という記載の前に「温度23℃±2℃および相対湿度55%±5%の環境で測定した」という記載を挿入する
(エ) 請求項1の「伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)」という記載の前に「前記」という記載を挿入する。
(オ) 請求項1の「中心線平均粗さRaが70nm以上500nm以下である」という記載を「中心線平均粗さRaが70nm以上500nm以下であり,前記中空状無機粒子がシリカからなる」に訂正する。

イ 訂正事項2
請求項2,3及び8の「伸度」という各記載の前にそれぞれ「前記」という記載を挿入する。

2 訂正の目的の適否について
訂正事項1のうち(ア)に係る訂正は,請求項1に係る発明及び当該請求項1の記載を引用する形式で記載された請求項2ないし9に係る発明において,本件訂正前には特段規定されていなかった「ハードコート層」の「温度23℃±2℃および相対湿度55%±5%の環境で測定したクラック伸度」について,「15%以上」という範囲内のものに限定しようとする訂正であり,訂正事項1のうち(イ)及び(オ)に係る訂正は,請求項1に係る発明及び当該請求項1の記載を引用する形式で記載された請求項2ないし9に係る発明において,本件訂正前には特段規定されていなかった「低屈折率層」を構成する成分について,「シリカからなる」「中空状無機粒子を含」むものに限定しようとする訂正であるから,これらの訂正は特許法120条の5第2項ただし書き1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また,訂正事項1のうち(ウ)に係る訂正は,請求項1に係る発明及び当該請求項1の記載を引用する形式で記載された請求項2ないし9に係る発明において,本件訂正前には特定されていなかった「伸度」の測定時の環境について,「温度23℃±2℃および相対湿度55%±5%の環境」であることを特定しようとする訂正であり,訂正事項1のうち(エ)に係る訂正及び訂正事項2に係る訂正は,請求項1ないし3及び8に記載された「伸度」の測定時の環境が,前述の環境と同一であることを特定しようとする訂正であるから,同ただし書き1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」又は同ただし書き3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。

3 新規事項の追加の有無について
訂正事項1のうち(ア)に係る訂正の限定事項は,本件訂正前の明細書(特許された時点での明細書である。以下,「特許明細書」という。)の【0071】及び【0155】に記載された事項であり,訂正事項1のうち(イ)及び(オ)に係る訂正の限定事項は,特許明細書の【0137】,【0169】及び【0175】に記載された事項であり,訂正事項1のうち(ウ)及び(エ)に係る訂正の限定事項並びに訂正事項2に係る訂正の限定事項は,特許明細書の【0155】に記載された事項及び当該記載事項から導き出される事項であるから,本件訂正は,本件訂正前の願書に添付された特許請求の範囲,明細書及び図面に記載した事項の範囲内においてするものである。
したがって,本件訂正は,特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。

4 特許請求の範囲の実質的拡張・変更の存否について
訂正事項1及び2が,いずれも,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないことは明らかであるから,本件訂正は,特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。

5 小括
前記2ないし4のとおりであって,本件訂正は特許法120条の5第2項ただし書き1号に掲げる事項を目的とするもの又は同ただし書き1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので,訂正後の請求項〔1ないし9〕について訂正を認める。


第3 特許異議の申立てについて
1 本件特許の請求項1ないし9に係る発明
前記第2 5で述べたとおり,本件訂正は適法になされたものであるから,本件特許の請求項1ないし9に係る発明(以下,それぞれを「本件訂正発明1」ないし「本件訂正発明9」といい,これらを総称して「本件訂正発明」という。)は,それぞれ,前記第2 1(1)イにおいて,本件訂正後の特許請求の範囲の記載として示した請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのものと認められる。

2 平成29年11月10日付けで通知された取消理由の概要
本件訂正前の請求項1ないし9に係る特許に対して平成29年11月10日付けで通知された取消理由は,概略次のとおりである。なお,当該取消理由の通知において,取り上げなかった異議申立理由はない。
(1)取消理由1(新規事項の追加)
本件特許の審査経緯において平成28年1月6日に提出した手続補正書による補正は,各本件訂正前の請求項に係る発明のハードコート層に,クラック伸度が5%未満のものが包含されることとなった点で,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでなく,かつ,当該瑕疵が治癒されることなく本件特許がなされているから,本件訂正前の請求項1ないし9に係る特許は,特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。

(2)取消理由2(サポート要件違反)
本件訂正前の請求項1ないし9に係る特許は,特許請求の範囲の記載が下記アないしエの点で同法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
ア 本件訂正前の請求項1ないし9に係る発明において,ハードコート層のクラック伸度の値に制限はないところ,発明の詳細な説明の記載や本件特許の出願時の技術常識に照らし,当業者が,クラック伸度が5%未満のハードコート層を有するものについて課題を解決できると認識することはない。

イ 本件訂正前の請求項1ないし9に係る発明においては,伸度が15%時におけるヘイズ値の変化率が式1として規定されており,発明の詳細な説明の記載からは,当該式1を満足させるためには,ハードコート層のクラック伸度を一定値以上とする必要があることを把握できるところ,そのようなハードコート層を実現できると当業者が認識できるのは,実施例で用いている荒川化学工業(株)製のUV硬化性ハードコーティング剤「ビームセット1200」を用いて形成したもののみであって,発明の詳細な説明の記載や本件特許の出願時の技術常識に照らし,全く種類の異なる樹脂を用いて形成したものについてまで,課題を解決できると当業者が認識することはない。

ウ 発明の詳細な説明において,課題を解決できたと記載されている実施例は,いずれも,基材フィルムとして,平均粒子径190nmのコロイダルシリカを含む屈折率1.59の樹脂層を両面に有する屈折率1.65のポリエチレンテレフタレートフィルム(積層PETフィルム)を用いているところ,発明の詳細な説明の記載や本件特許の出願時の技術常識に照らし,当該実施例で用いている積層PETフィルム以外の構造のものを基材として用いた場合でも,課題を解決できると当業者が認識することはない。

エ 本件訂正前の請求項1ないし9に係る発明は,延伸時に生じるクラックの抑制を解決課題の一つとしているものと解されるところ,当該課題を解決する手段が一切規定されていない点で,当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではない。
また,本件訂正前の請求項1,3ないし9に係る発明は,外光の写り込み及びぎらつき感の抑制,及び白っぽさの解消を解決しようとする課題の一つとしており,これら課題は,視感反射率(R0)を0.5%ないし2.5%という範囲内にすることで解決されるものと解されるにもかかわらず,当該視感反射率の規定が必須の構成として規定されていない点で,当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではない。
さらに,本件訂正前の請求項1ないし9に係る発明は,視覚的な落ち着き感及び高級感がある成型用積層フィルムとすることを解決課題の一つとしており,当該課題は,ヘイズ値を3.0%ないし20.0%という範囲内にすることで解決されるものと解されるが,当該ヘイズ値を達成し,視覚的な落ち着き感及び高級感がある成型用積層フィルムとするための技術的手段が規定されていない点で,当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではない。

(3)取消理由3(実施可能要件違反)
本件訂正前の請求項1ないし9に係る特許は,特許明細書の発明の詳細な説明の記載が下記のア及びイの点で特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
ア 本件訂正前の請求項1ないし9に係る発明においては,伸度が15%時におけるヘイズ値の変化率が式1として規定されているところ,発明の詳細な説明には,伸度が15%時におけるヘイズ値の変化率が式1を満足させるようにするための手段として,荒川化学工業(株)製のUV硬化性ハードコーティング剤「ビームセット1200」を用いてハードコート層を形成する方法以外の方法は記載されていないため,「ビームセット1200」以外の方法で式1を満足させるには,当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤,複雑高度な実験等が要求されるから,本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は,当業者が本件訂正前の請求項1ないし9に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。

イ 本件訂正前の請求項3ないし9に係る発明においては,伸度が15%時における視感反射率の変化率が式2として規定されているところ,発明の詳細な説明には,式2を満足させるための方法について記載も示唆もされていないため,式2を満足する成型用積層フィルムを製造するには,当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤,複雑高度な実験等が要求されるから,本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は,当業者が本件訂正前の請求項3ないし9に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。

(4)取消理由4(明確性要件違反)
本件訂正前の請求項1ないし9に係る特許は,特許請求の範囲の記載が下記のア及びイの点で特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
ア 取消理由4-1(明確性要件違反その1)
本件訂正前の請求項2ないし9に係る発明の発明特定事項である「視感反射率」について,特許明細書の【0156】には,「JIS Z8701-1999」において規定されている反射の刺激値Yとして求めたことが記載されている。
しかるに,「JIS Z8701-1999」において引用されている「JIS Z 8722」には,照射及び受光の幾何条件が規定されており,どの幾何条件で測定したのかにより測定値が異なることが技術常識であるところ,特許明細書の記載を参酌しても,本件訂正前の請求項2ないし9に係る発明の「視感反射率」が如何なる幾何条件で測定された値であるのか特定することができないから,本件訂正前の請求項2ないし9に係る発明は明確でない。

イ 取消理由4-2(明確性要件違反その2)
本件訂正前の請求項1ないし9に係る発明は,「成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)」と「成型用積層フィルムの伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)」が,「(|Hz0-Hz15|)/Hz0≦0.3」なる「式1」を満足する旨の規定が存在するところ,「成型用積層フィルムの伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)」の測定値は,成型用積層フィルムを引っ張り延伸したとき環境(温度や相対湿度)によって異なるものと解されるにもかかわらず,特許明細書の記載を参酌しても,当該環境が定義されているわけではないから,本件訂正前の請求項1ないし9に係る発明は明確でない。
また,本件訂正前の請求項3ないし9に係る発明の「成型用積層フィルムの伸度が15%時における低屈折率層側表面の視感反射率(R15)」,及び本件訂正前の請求項8及び9に係る発明の「成型用積層フィルムの伸度が20%時におけるヘイズ値(Hz20)」についても同様の不備がある。

(5)取消理由5(新規性欠如,進歩性欠如)
本件訂正前の請求項1ないし9に係る発明は,下記引用例に記載された発明であるか,又は下記引用例に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,その特許は同法29条1項又は2項の規定に違反してされたものである。
ア 引用例
甲5:特開2009-184284号公報
甲6:特開2011-11364号公報
甲7:特開2011-126157号公報
甲8:特開2011-131404号公報
甲9:特開2011-131406号公報
甲10:特開2011-148964号公報
甲11:特開2011-194757号公報
甲16:特表2008-509829号公報
甲17:井出文雄 監修,ディスプレイ用光学フィルムの開発動向,ジャブ式会社シーエムシー出版,平成20年11月23日 普及版第1刷発行,199ないし217ページ
甲18:国際公開第95/31737号
甲19:特開2000-338310号公報
周知例1:特開2006-139177号公報
周知例2:特開2006-175783号公報
周知例3:特開2006-264221号公報

イ 取消理由5-1(甲5を主引例とする新規性欠如,進歩性欠如)
本件訂正前の請求項1ないし9に係る発明は,甲5に記載された発明と同一であるか,甲5に記載された発明と,甲6ないし甲11及び甲16ないし甲19に記載された事項とに基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ 取消理由5-2(甲16を主引例とする進歩性欠如)
(ア)請求項1,3,4,8及び9に係る発明について
本件訂正前の請求項1,3ないし8に係る発明は,甲16に記載された発明,甲17,周知例1ないし3等にみられる周知の技術,甲18,甲19等にみられる周知の技術,及び甲5ないし甲11等にみられる周知の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(イ)請求項2に係る発明について
本件訂正前の請求項2に記載された限定事項は,甲16に記載された発明との間の相違点ではないか,少なくとも,周知例1ないし3等にみられる周知の技術に基づいて,当業者が容易に想到し得たことである。

(ウ)請求項5に係る発明について
本件訂正前の請求項5に記載された限定事項は,単なる設計上の事項にすぎないか,甲6の【0119】,甲7の【0124】,甲8の【0109】,甲9の【0111】,甲10の【0119】,甲11の【0051】の記載から把握される事項に基づいて,当業者が容易になし得たことである。

(エ)請求項6に係る発明について
本件訂正前の請求項6に記載された限定事項は,甲5の【0035】及び【0073】,甲6の請求項1及び【0115】ないし【0119】,甲7の請求項1及び【0120】ないし【0124】,甲8の請求項2及び【0108】及び【0109】,甲9の請求項3及び【0111】,甲10の請求項10及び【0117】ないし【0119】,甲11の【0035】及び【0051】の記載からみて,単なる設計変更にすぎない。

(オ)請求項7に係る発明について
本件訂正前の請求項7に記載された限定事項は,甲5に記載された事項(易接着層)に基づいて,当業者が容易になし得たことである。

3 引用例
(1)甲5
ア 甲5の記載
甲5(特開2009-184284号公報)は,本件特許の出願より前に頒布された刊行物であるところ,当該甲5には次の記載がある。(下線部は,後述する「甲5発明」の認定に特に関連する箇所を示す。)
(ア) 「【技術分野】
【0001】
本発明は,積層フィルムと,その積層フィルムからなる成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に,樹脂成型品は表面硬度が低いことから耐擦傷性が悪く,透明性が低下したり汚染性が高くなるなどの問題を有している。そのため,成型品の表面に保護層を設けて耐擦傷性を高める方法が一般的である。・・・(中略)・・・耐擦傷性を有する保護層として,ダイヤモンドライクカーボン(以下,DLCと略す)やフッ化カーボンコート(CFC)などは,非常に高い硬さをもち,摩擦係数も低いことから,摺動部材分野で実用化が進められている。・・・(中略)・・・しかしながらこれらの保護層は,硬度が優れるものは伸張性はほぼ皆無で容易にクラックが発生する問題がある。また,耐傷性を持った表面硬度の高い保護層も報告されているが,これらは凹凸の成型加工に追随できず,クラックが発生したり,甚だしいときは脱落するという問題があった(特許文献2?7参照)。
【0003】
また,特に自動車関係の装飾部品をはじめとして各種家電機器,建築部材などの製品(部品)において,意匠性を高めるために木目調,布目調,金属調などさまざまに加飾したものが用いられているが,近年,建材,自動車部品や携帯電話や電機製品などにおいて樹脂を射出成型したものにメッキを施し,金属調の外観を有する部材が多数用いられている。・・・(中略)・・・
【0005】
また,屈折率の異なる樹脂層を交互に多層に積層することより,選択的に波長を反射するポリエステルフィルム(たとえば特許文献11,12参照)等が存在する。この選択的に特定の波長を反射するフィルムは,層数と反射波長によって金属調の外観を有し,また非常に柔軟なため成形性をも有している特徴がある。
【0006】
一方で,これらの易成型性ポリエステルフィルムは,優れた成型性を持つ半面,表面硬度に乏しく,表面にハードコート層が必要とされるケースが多い。しかしながら,未変性のポリエステルフィルムと比べると柔軟であることから,ハードコート層を設けても下地の影響により容易く傷が入ってしまう問題があった。・・・(中略)・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は,表面硬度に優れ,成型時においてもクラックなどが発生しない積層フィルムに関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため,本発明の積層フィルムは以下の構成からなる。基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層が設けられた積層フィルムであって,超微小硬度計におけるハードコート層の表面硬度の最大値が0.05GPa以上4.0GPa以下であり,100℃雰囲気下のクラック伸度が15%以上250%未満であることを特徴とする積層フィルムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の積層フィルムは,高硬度でありながら柔軟性に優れているため,様々な基材に用いることが可能であり,当該基材の表面硬度を向上せしめ,耐傷性に優れたものである。」

(イ) 「【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下,本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明の積層フィルムは,基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層が設けられた積層フィルムであって,超微小硬度計におけるハードコート層の表面硬度の最大値が0.05GPa以上4.0GPa以下であり,100℃雰囲気下のクラック伸度が15%以上250%未満である。この関係を満たすときに積層フィルムは,成型時のクラックがなく,成型時の型写りなどもなく,表面硬度も高いため耐傷性に優れる。
・・・(中略)・・・
【0013】
また,本発明におけるクラック伸度とは,100℃の雰囲気下にて片側固定して引張速度10mm/minの条件で引っ張ったときに,フィルムにクラックが入ったときの伸び率を表している。
【0014】
ハードコート層の表面硬度の最大値が0.05GPa未満である場合,成型時に表面に容易く口金の傷などが微細な凹凸が転写してしまう問題がある。また,4.0GPaよりも大きい場合,クラック伸度を両立することが非常に困難となる。また,Rが5mm以上の曲面追従性を出すためには5%以上のクラック伸度が必要であり,さらに折り曲げ加工を行なう場合には15%以上のクラック伸度が必要であり,凹凸のある深絞り加工を行なうときには,その絞り比にもよるが,30%?150%程度のクラック伸度が求められる。クラック伸度の上限は伸びるほどよいとされるが,あまり上がると,表面硬度を両立することが困難となるため,最大で250%未満である。
【0015】
通常,プレス成形,圧空成形,真空成形,真空圧空成形,プラグアシスト真空圧空成形,インサート成形,インモールド成型,インモールド転写などの成型方法ではフィルム温度が高くなるため,フィルムに接するハードコート層も高温となるが,従来のハードコート層では架橋・硬化が完了しているため,樹脂フィルムの伸びに追随することが困難であった。このため本発明の積層フィルムは,成形前の段階でハードコート層が半硬化状態であることが望ましく,成形中?成型終了後に加熱によって,硬化を終了させる工程を採ることが望ましい。このときハードコート層は,成形段階において硬化率が30?65%であることが好ましく,成形後は66%以上であることが好ましい。このような構成を採ることにより,成型時のクラック伸度を20?250%,表面硬度の最大値を0.05GPa?4.0GPaとすることが可能となる。成形段階において硬化率が30%未満であると,40℃以上の温度で粘着性が発生してしまい,ブロッキングの発生や作業性の悪化等の弊害を起こし易い。また,硬化率を60%より大きくすると,成形において,クラックが入りやすくなる。
【0016】
また,基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層が設けられた積層フィルムであって,超微小硬度計におけるハードコート層の押し込み1μmから4μmにかけての硬さの変化が70MPa以下であることが好ましい。硬さの変化が70MPaあると,ハードコート層の硬さに関わらず,鉛筆などの引っ掻き試験において,傷が表面に残存してしまい好ましくない。この硬さの変化の原因は,超微小硬度計が基材フィルムの硬さを拾っているためであり,ハードコート層の厚みを厚くするか,基材フィルムを,ハードコート層の硬さに近い剛性の樹脂に変更することによって解決することができる。本発明において適正なハードコート層の厚みは,2?7μmであり,2μm未満だと,押し込み深さを深くすることにより,容易に硬さが低下してしまうことから好ましくない。逆に,7μmよりも大きいと硬化時の収縮力の増大によりカールが激しくなる。
・・・(中略)・・・
【0018】
ハードコート層を形成する樹脂として好ましいものは,カールし難く,且つ基材との密着性が良いものが必要となり,低収縮のウレタンアクリレート,エポキシ化合物が挙げられる。・・・(中略)・・・
【0034】
本発明の基材を形成する樹脂としては,熱可塑性樹脂,熱硬化性樹脂のいずれでもよく,ホモ樹脂であってもよく,共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。より好ましくは,成形性が良好であるため,熱可塑性樹脂である。また,各樹脂中には,各種添加剤,例えば,酸化防止剤,帯電防止剤,結晶核剤,無機粒子,有機粒子,減粘剤,熱安定剤,滑剤,赤外線吸収剤,紫外線吸収剤,屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
・・・(中略)・・・
【0038】
特に,易成型用フィルムとして用いる場合,基材フィルムは高伸度であることが求められる。具体的には150℃の時の弾性率が弾性率が80MPa以上380MPa以下であり,破断伸度が120%以上400%以下であることが好ましい。このような特徴を持つことにより,求める形状への成形加工が容易となる。
・・・(中略)・・・
【0050】
また,表面にハードコート層とは別に,易滑層,帯電防止層,耐摩耗性層,反射防止層,色補正層,紫外線吸収層,印刷層,透明導電層,ガスバリア層,ホログラム層,剥離層,粘着層,エンボス層,接着層などの機能性層を形成してもよい。
【0051】
また,本発明の積層フィルムは,90℃以上で5秒間以上熱処理した後の超微小硬度計によるハードコート層の表面硬度の最大値と熱処理する前のハードコート層の超微小硬度計による表面硬度の最大値の差が0.1GPa以上2.0GPa以下であることが好ましい。このような構成を採ることにより,成形後の熱処理によって硬化が進み,より耐傷性に優れる積層フィルムが得られる。
【0052】
さらに,本発明の積層フィルムは,90℃以上で5秒間以上熱処理した後の150℃雰囲気下のクラック伸度と熱処理する前のクラック伸度の差が2%以上100%以下であることが好ましい。このような構成を採ることにより,成形後の熱処理によって硬化が進み,より耐傷性に優れる積層フィルムが得られる。
【0053】
このようなフィルムを用いた成型体は,ポリマーのみから構成されるため,金属や重金属などを含まないため,環境負荷が小さく,リサイクル性にも優れ,電磁波障害を起こさないものである。また,真空成形,真空圧空成形,プラグアシスト真空圧空成形,インモールド成形,インサート成形,冷間成形,プレス成形などの各種成型法が適用できるため,低コストで立体形状を形成するものとすることが可能である。成型方法は,特に限定されるものではなく,一般に公知の成型方法,例えば,真空成型法,真空・圧空成型法,ブロー(吹き込み)成型法,プレス成型法,インサートインジェクション成型法,インモールド(金型内)成型法,押し出し成型法等で成型することができる。」

(ウ) 「【実施例】
【0068】
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
・・・(中略)・・・
(5)クラック伸度
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅10mmの短形に切り出し,サンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT-100)を用いて,初期引張チャック間距離50mmとし,引張速度を10mm/分として,目視にて保護層のクラック発生状態を確認しつつ引張試験を行った。このクラックが発生した伸度をクラック発生伸度とし,n10回の平均値を採用した。
・・・(中略)・・・
【0073】
(実施例1)
ポリエステル樹脂として,固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(以下PET)を真空乾燥機にて160℃・4時間乾燥し,単軸押出機に供給,280℃で溶融し,フィルター,ギヤポンプを通し,異物の除去,押出量の均整化を行った後,Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際,直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで,長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ,最終的にフィルム温度96℃で長手方向に3.2倍延伸し,すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し,基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし,その処理面に,以下の塗剤A,B,C,Dを凝集のないように混合して,#4のバーコーターにて均一に塗布し易接着層を形成した。
「易接着層」
A:水分散アクリル樹脂(酸基2.8mg/g)
B:メチロール化メラミン(希釈剤:イソプロピルアルコール/水)
C:コロイダルシリカ(平均粒径80nm)
D:フッ素系界面活性剤(希釈剤:水)
固形分重量比:A/B/C/D=100重量部/25重量部/3重量部/0.2重量部
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度85℃,延伸温度95℃で幅方向に3.2倍延伸し,そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で2秒間の熱処理を行いフィルム厚み100μmの二軸配向フィルムを得た。
【0074】
また,以下に示す塗剤を調整し,#10のバーコーターで均一にフィルムに塗布し,100℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥して溶剤を除去した後,80W/cm,搬送速度20m/分の条件にてUV照射を行った。この塗布面側にPET保護フィルム(パナック製)を貼り合わせて巻き取った。
UA-5201(新中村化学工業) ウレタンアクリレート 50部
イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ) 光重合開始剤 2.5部
MEK 80部
得られた積層体を,温度170℃で真空成型を行い成型体を得た。このときの真空成型時の結果と,物性を表1に示す。
・・・(中略)・・・
【0092】
【表1】



イ 甲5の記載から把握される発明
前記ア(ア)ないし(ウ)を含む甲5の全記載から,甲5に次の発明が記載されていると認められる。

「基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層が設けられた積層フィルムであって,
超微小硬度計におけるハードコート層の表面硬度の最大値が0.05GPa以上4.0GPa以下であり,
100℃の雰囲気下にて片側固定して引張速度10mm/minの条件で引っ張ったときにフィルムにクラックが入ったときの伸び率を表すクラック伸度が15%以上250%未満であり,
真空成形,真空圧空成形,プラグアシスト真空圧空成形,インモールド成形,インサート成形,冷間成形,プレス成形などの各種成型法に適用される積層フィルム。」(以下,「甲5発明」という。)

(2)甲16
ア 甲16の記載
甲16(特表2008-509829号公報)は,本件特許の出願より前に頒布された刊行物であるところ,当該甲16には次の記載がある。

(ア) 「【請求項1】
グレア防止加工面を有する第1の樹脂フィルムに反射防止コートを設け,
前記第1の樹脂フィルムを金型に挿入し,
金型内に樹脂を注入して,反射防止特性及びグレア防止加工面を有する部品を形成する,樹脂成型部品の製造方法。
【請求項2】
前記反射防止コートを,前記第1の樹脂フィルムに多層真空蒸着法にて設ける請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反射防止コートが,
低屈折率材料と高屈折率材料を交互に重ねた層,
SiO_(2)層とTiO_(2)層とを交互に重ねた層,又は
樹脂を主体とする反射防止コートを含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のフィルムがフィルム基材を含む請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
・・・(中略)・・・
【請求項6】
前記第1の樹脂フィルムがさらに,フィルム基材と反射防止コートとの間にハードコートを含む請求項4又は5に記載の方法。
・・・(中略)・・・
【請求項13】
樹脂基材と,
前記基材の一面に付着された樹脂フィルムとを備え,
前記フィルムがグレア防止加工面を有し反射防止コートが設けられている,
グレア防止加工面を備えた樹脂成型部品。
【請求項14】
グレア防止加工面を有する基材を含み,さらに反射防止コートを含む,
グレア防止加工面を有する樹脂フィルム。」

(イ) 「【技術分野】
【0001】
本発明は,樹脂成型部品またはその改良に関する。より詳しくは,反射防止及びグレア防止特性を備えた樹脂成型部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂成型部品は,外観を向上させるために,特殊な光学特性を必要とする場合が多い。例えば車両用計器カバー(即ち,計器を覆う透明板)の場合は,カバーに当たる光の反射やグレアに邪魔されることなく,運転者がカバー後方の計器をはっきり見ることができなければならない。
【0003】
従来,こういった光学特性は部品の成型後に加えられてきた。例えば,成型後に部品を反射防止性樹脂に浸して部品表面に反射防止コートを施すことができる。しかしながら,コート剤が表面を流れて筋がついたり,突条・穴・凸部に樹脂が溜まったり,コート剤の膜で穴部が塞がったり,部品の凹部にコート剤の液溜まりができたりといった問題があり,複雑な形状の成型部品に均一なコートを形成するのは難しかった。成型後にグレア防止用の凹凸面の加工を行なうこともできるが,曲線を含む成型部品に均一な凹凸面を形成するのは難しかった。このため,従来の車両用計器カバー等の部品はその光学特性にグレアを充分低下させるほどの効果がなく,車両用ダッシュボードには通常,カバーに陰を作って反射やグレアを防ぐための隆起部分あるいは凹部分が設けられている。
【0004】
従って,曲線を含む複雑な形状で,必要な光学特性を有する樹脂成型部品を効率良く製造する手段が求められている。また,成型完了後にさらに加工を必要とせず,一つの成型工程のみで部品を作製可能であることが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決することを目的とし,光学コートを薄いフィルムに設け,このフィルムを成型工程中に部品に固着させるものである。
【0006】
射出成形による樹脂成型部品は,「インモールドラベリング」(IML),「フィルムインサート成形」(FIM),「インモールド成形」(IMD)などの技術を用いて装飾を施すことが多い。これは,従来の印刷技術により予め薄い樹脂フィルムに適当な絵柄を印刷しておき,これを必要な形状に切断してラベルを作成し,このラベルを射出成形金型の,好ましくは金型キャビティの一面上にセットした後,部品形成樹脂をキャビティ内に注入するものである。樹脂が硬化するとラベルは永久的に成型部品に付着されるので,成型工程によって直接,装飾まで完成させた部品を作製することができる。この方法は例えば,携帯電話のカバー部品の製造に使用されている。
【0007】
本願発明者は,この技術を,光学コート付きフィルムを成型工程途中の部品に設けるために応用できることに初めて着目した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一特徴点によれば,第1の樹脂フィルム上に反射防止コートを設け,少なくとも一片の該フィルムを金型内に挿入し,金型内に樹脂を注入して,反射防止特性を備えた部品を成型する,樹脂成型部品の製造方法を提供するものである。
・・・(中略)・・・
【0012】
また本発明の第2の特徴点によれば,樹脂基材と,基材表面に付着された樹脂フィルムとを備え,該フィルムが反射防止コートを備えて成ることを特徴とする樹脂成型部品を提供する。
【0013】
また本発明の第3の特徴点によれば,グレア防止加工面に加工が施され,反射防止コートを有する基材を備えた樹脂フィルムを提供する。」

(ウ) 「【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下,具体例を用いて,本発明の上記及びその他の特徴について,添付の図面を参照しながら説明する。
【0015】
まず,図1を参照してIML工程について説明する。ステップAにおいて,フィルム片から形成されるラベル1を,金型2の片方の型のキャビティの内面上にセットする。これは手作業で行なってもよいが,自動化された製造ラインであれば,機械によってより迅速かつ正確に行なうことができる。ラベル1は平坦であってもよいし,あるいは,予め,付着先の部品形状にほぼ一致するように形成しておいてもよい。予備形成しておくことで,極端な形状(即ち,鋭角や急なカーブ)を有する部品であっても,フィルムラベルに大きなシワや歪みを生じることなく固着させることができる。
【0016】
ステップBでは金型2の一対の型を合わせて,成型部品の所望形状を形作るキャビティ3を形成する。ラベル1は,部品設計に依存してラベルが有する予備形成形状やツマミ部,真空やクランプなどによって金型キャビティ3の一面の定位置に保持されている。
【0017】
ステップCにおいて,加熱「溶融樹脂」を射出穴4から注入してキャビティ3を樹脂で満たすと,ラベル1が加熱されてキャビティの輪郭に沿うように押しつけられ,キャビティ3の形状に合わせて変形する。部品はそのまま冷却され,溶融樹脂が硬化して,フィルムがその表面に固着する。
【0018】
ステップDでは,金型2の一対の型を分離し,模様を備えて完成した成型部品5が取り出される。必要であれば,ラベル1から延出したツマミ部を,成型部品5の端に合わせて切り取る。
・・・(中略)・・・
【0020】
本発明の第1の特徴点によれば,IML工程及びラベル1の予備形成が必要な場合はこれの前に,フィルムに光学コートを設ける。成型部品の曲線表面より,フィルムの平坦な表面の方が,均一なコートを形成し易い。従って,光学特性をこれまでよりも格段に正確に制御することができる。
【0021】
図2に本発明の第2の特徴点による光学フィルム10を示す。第2の特徴点によれば,このようなフィルム10からラベルを切り出して上述のIML工程で用いればよく,このとき,所望形状の押型を用いるとよい。
【0022】
フィルム10は,反射防止コート12を有する樹脂膜11を備えている。好ましい実施形態においては,膜11はポリカーボネートから成り,100μm?250μm,好ましくは175μmの厚みを有している。膜11の厚みが薄すぎると,IML工程で用いるには強度が足りずに裂けてしまう。また厚みが厚すぎると,IML工程中に充分加熱されずに,成型部品の輪郭線に正しく沿って変形することができず,部品内応力が生じたり,IML工程後に部品からフィルムが剥離する恐れもある。膜11の片面に反射防止コート12が施されている。
【0023】
コート12は従来の樹脂主体の反射防止コート剤でよく,樹脂液に膜を浸すことにより設けられる。但し,反射防止コート12が,二酸化シリコン膜12aなどの低屈折率材料と,二酸化チタン膜12bなどの高屈折率材料とを交互に重ねた層を有していることが好ましい。各層の厚みは,層間面からの反射光が互いに光学干渉を起し,全体の反射光が効果的に相殺されるように計算して決定される。従って各層の適切な厚みは,フィルム10(即ち,膜11及びコート12)を形成する材料の屈折率と,予測される入射光波長とに左右される。好ましい実施形態においては,コート12が三層の二酸化シリコンと二層の二酸化チタンの計5層を備えて成る。好ましい実施形態においては,ポリカーボネートに隣接する二酸化シリコン層の厚みが21.8nm,これに隣接する二酸化チタン層の厚みが16.7nm,これに隣接する二酸化シリコン層の厚みが34.0nm,これに隣接する二酸化チタン層の厚みが124.9nm,最後の二酸化シリコン層の厚みが90.4nmである。但し,層の数や各層の厚みはフィルム10の仕様に左右されることは言うまでもなく,層をより多く設ければ,精度良くより広い範囲の入射光波長を対象にすることができる。
・・・(中略)・・・
【0028】
グレア防止フィルムは,表面を非常に細かく粗面化することで得られる。このような表面は反射光を拡散させるので,ある一点(例えば看視者の目)において知覚される反射量が低減される。但し,入射光も拡散されてしまうため,その分,表面を透過する光の量も低減する。表面が滑らかであると入射光のほとんどがそのまま反射され,輝いて見える。従って,看視者の目と強い光源との位置関係により,輝く面上に光源がまぶしく反射して見える。一方,表面に細かい凹凸があると,入射光が拡散されて,使用者の目に届く反射光強度は低下する。この場合,表面はくすんで見え,強い光源からの反射光はより拡散される。このような表面が,本願クレーム中でいうグレア防止加工面である。
【0029】
表面の粗面量は重要な要素で,用途によって異なる。グレア防止面の凹凸度が高いほど,透かして見ることができ難くなる。また,円滑面では看視者の目に向かって反射されてしまう光も凹凸度が高ければ拡散される一方で,凹凸化によって,通常は看視者の目に向かって反射されることはない外部光線まで反射されてしまうという,望ましくない結果となる可能性もある。通常は,透明表面の反射特性を完全光沢面の略75%に低減させるグレア防止凹凸面(グレア防止加工面)を用いるとよい。
【0030】
従来,コートを設けると粗面化された表面が滑らかになってしまうため,グレア防止面にコートを施すことはなかった。従って,円滑面に反射防止コートを施したものに比して,グレア防止面を反射防止コート剤に浸したものがより勝るということはない。さらに,フィルム表面が粗面であると反射防止コート材の流れに影響し,コート剤の筋がつくなど新たな製造上の問題が生じる。
【0031】
これに対して上述の真空蒸着法は多目的に使用できるので,グレア防止凹凸面を備えたフィルム10上に反射防止コート12を設けることも可能である。図4は,グレア防止凹凸面を上面に有するポリカーボネート膜11Aと反射防止コート12とを備えたフィルムの一例の断面を示している。コート層がグレア防止凹凸面の輪郭にぴったり沿っているので,完成品フィルム10は凹凸面を有し,反射防止特性とグレア防止特性の双方を有している。このようにコート層がグレア防止凹凸面の輪郭に一致することができるのは,真空蒸着法を用いて反射防止コート層12を非常に薄く設けたことによる。
【0032】
用途によっては,反射防止コート12を設ける前に膜11上にハードコート13をさらに設けることが望ましい。これによって柔らかい膜11上に硬度及び耐久性の高い表面が形成され,この上に反射防止コート12を設けることができる。図5に,ポリカーボネートフィルム11と,グレア防止凹凸面を有するハードコート13と,反射防止コート12とを備えたフィルムの一例の断面を示す。
【0033】
ハードコート13は,ポリシロキサン系樹脂を含むとよい。必要に応じてアクリレートなどの単量体材料を加えて耐薬品性や硬度を改変してもよい。ハードコート13は加熱により硬化させてもよいが,紫外線硬化法の方が,迅速に行なえ,かつ,ポリカーボネート製の膜11に熱影響が及びにくいので,より好適である。
ハードコート13は厚みが通常1μm?10μmであり,好適には5μm程度であると,コート剤の耐久性と柔軟度とがバランスよく得られる。
【0034】
膜11上にまずグレア防止凹凸面を設け,その上からハードコート樹脂をコーティングするとよい。ハードコート層によってグレア防止凹凸面は滑面化されるが,ハードコート13を設ける前に,最初に膜11上にグレア防止加工を施す際に,より粗い凹凸を設けておくことで凹凸損失分を補うことができる。
【0035】
但し,グレア防止凹凸面はハードコート13そのものに設けることが望ましい。一実施形態においては,所望の粗面を得るために,細かいガラスビーズなどのフィラーをハードコート13に加えて,所望のグレア防止凹凸面を形成している。あるいは,ハードコート13の乾燥速度やフロー特性を調整しコート上に吹き付け塗装感が保たれるようにして所望のグレア防止凹凸面を形成してもよい。さらに別の実施形態においては,完全に硬化する前の乾燥途中のハードコート13にエンボス加工を施してグレア防止凹凸面を設けてもよい。」

(エ) 「【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】インモールドラベリング(IML)法による製造工程を示す概略図である。
・・・(中略)・・・
【図5】グレア防止面及び反射防止コートを有するハードコートを備えたフィルムの概略断面図である。
・・・(中略)・・・
【符号の説明】
【0050】
・・・(中略)・・・
10 光学フィルム
・・・(中略)・・・
【図1】

・・・(中略)・・・
【図5】



イ 甲16の記載から把握される発明
甲16の図5から,反射防止コート12がハードコート13のグレア防止凹凸面の輪郭に一致するように形成されていることを看取できるから,前記ア(ア)ないし(エ)を含む甲16の全記載から,甲16に,図5に示された光学フィルム10に対応する発明として次の発明が記載されていると認められる。(なお,図5において符号「10」により示される物品について,甲16では,「光学フィルム10」なる表現と「フィルム10」なる表現とが混在して用いられているが,甲16発明の認定においては「光学フィルム10」なる表現を採用した。)

「ポリカーボネートフィルム11と,当該ポリカーボネートフィルム11上に形成されたハードコート13であってグレア防止凹凸面を有するハードコート13と,当該ハードコート13のグレア防止凹凸面上に当該グレア防止凹凸面の輪郭に一致するように形成された反射防止コート12とを備えた光学フィルム10であって,
前記ハードコート13のグレア防止凹凸面は,細かいガラスビーズなどのフィラーをハードコート13に加える方法,ハードコート13の乾燥速度やフロー特性を調整しコート上に吹き付け塗装感が保たれるようにする方法,又は完全に硬化する前の乾燥途中のハードコート13にエンボス加工を施す方法によって形成され,
インモールドラベリング,フィルムインサート成形,インモールド成形などにおいて,成型工程中に成型部品に固着させるフィルムとして用いられる光学フィルム10。」(以下,「甲16発明」という。)

4 取消理由についての判断
(1)取消理由1(新規事項の追加)について
本件訂正(訂正事項1のうち前記第2 1(2)ア(ア)で述べた訂正)によって,各本件訂正発明における「ハードコート層」は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものとはいえない「クラック伸度が5%未満のもの」を包含しないこととなったから,取消理由1は解消した。

(2)取消理由2(サポート要件違反)について
ア 取消理由2のうち前記第3 2(2)アの点については,本件訂正(訂正事項1のうち前記第2 1(2)ア(ア)で述べた訂正)によって,各本件訂正発明は,発明の詳細な説明の記載や本件特許の出願時の技術常識に照らし,当業者が課題を解決できると認識することのない「クラック伸度が5%未満のハードコート層を有するもの」を包含しないこととなったから,当該点に関する取消理由2は解消した。

イ 取消理由2のうち前記第3 2(2)イないしエについて判断する。
本件特許明細書の発明の詳細な説明の【0002】,【0004】及び【0005】の記載から,本件訂正発明が解決しようとする課題が,インモールド成型法やインサート成型法に用いる成型用積層フィルムに要求される,クラックが発生せずにある程度伸びるという特性を有しつつ,視感反射率が低く,外光の映り込みやぎらつき感が小さく,かつ白っぽさが軽減され透過率が高く,視覚的に落ち着き感や高級感がある成型用積層フィルムを提供することにあると把握される。
そして,【0037】には,成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)を4.0%以上15.0%以下にするという本件訂正発明の構成により,視覚的に落ち着き感と高級感がある成型用積層フィルムとすることができることが記載され,【0094】及び【0095】には,前記ヘイズ値が,低屈折率層表面の中心線平均粗さRaを70nm以上500nm以下とするという本件訂正発明の構成により実現できることが記載され,【0038】には,ヘイズ値が比較的大きくなると白っぽさが目立ちやすくなるが,ハードコート層上に屈折率が1.47以下の低屈折率層を積層するという本件訂正発明の構成によって白っぽさが軽減されることが記載され,【0039】及び【0040】には,成型用積層フィルムが予めプレフォームされる場合の品質低下の防止の観点から,各本件訂正発明における式1を満足すること,すなわち,成型用積層フィルムの伸度が15%時では,ハードコート層及び低屈折率層にはクラックが発生していないか,クラックが発生していても軽微でありほとんど目視できないようなものとすることが記載され,【0050】には,基材フィルムのヘイズ値を0.7%以下にするという本件訂正発明の構成によって,成型用積層フィルムの透明性を高めることができることが記載されている。要するに,発明の詳細な説明の記載から,本件訂正発明は,視感反射率が低く,白っぽさが軽減され透過率が高く,視覚的に落ち着き感や高級感があるものとするために,伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)を4.0%以上15.0%以下にするという構成と,表面の中心線平均粗さRaが70nm以上500nm以下の範囲にあり屈折率が1.47以下の低屈折率層をハードコート層上に積層するという構成と,ヘイズ値が0.7%以下の基材フィルムを用いるという構成とを採用し,クラックが発生せずにある程度伸びるという特性を有するものとするために,式1を満足させる(すなわち,伸度が15%時では,ハードコート層及び低屈折率層にはクラックが発生していないか,クラックが発生していても軽微でありほとんど目視できないようなものとする)ように構成したものと理解されるところ,これらの構成を採用することによって,発明の詳細な説明に記載の効果が得られることは,本件特許の出願時の技術常識等に照らし,当業者が容易に理解できることである。
さらに,低屈折率層表面の中心線平均粗さRaをある程度大きな値に設定することで,いわゆる防眩性を持たせることができ,外光の映り込みやぎらつき感を小さくすることができることも,本件特許の出願時の技術常識等に照らし,当業者が容易に理解できることである。
そうすると,発明の詳細な説明の記載により,あるいは,その記載や示唆がなくとも本件特許の出願時の技術常識に照らし,当業者は,各本件訂正発明の構成によって発明の課題を解決できると認識できるというべきであって,荒川化学工業(株)製のUV硬化性ハードコーティング剤「ビームセット1200」以外の樹脂で形成したハードコート層を有する本件訂正発明1ないし9や,実施例で用いている積層PETフィルム以外の構造のものを基材として用いた本件訂正発明1ないし9が,発明の詳細な説明に記載されたものでないということはできないし,本件訂正発明1ないし9が,クラックの抑制という課題や,視覚的な落ち着き感及び高級感がある成型用積層フィルムとするという課題を解決するための手段を有していないとか,本件訂正発明1,3ないし9が,外光の写り込み及びぎらつき感の抑制及び白っぽさの解消という課題を解決するための手段を有していないとかいうこともできない。
したがって,取消理由2のうち前記第3 2(2)イないしエに関するサポート要件違反という取消理由は成り立たない。

(3)取消理由3(実施可能要件違反)について
ア 取消理由3のうち前記第3 2(3)アについて判断すると,発明の詳細な説明の【0039】の記載から,伸度が15%時に,ハードコート層及び低屈折率層にはクラックが発生していないか,クラックが発生していても軽微でありほとんど目視できないようなものとすることによって,式1を満足させることができることを理解できるところ,そのようなハードコート層及び低屈折率層とするには,ある程度の可撓性を有する材質で形成すればよいことは,当業者が容易に理解できることである。
しかるに,発明の詳細な説明の【0078】ないし【0086】や【0133】ないし【0143】等には,ハードコート層や低屈折率層を形成するのに適した材質が説明されている。また,特許権者が提出した乙1(荒川化学工業株式会社 光電子材料事業部,”UV/EB硬化性樹脂「ビームセット」 易加工性UVハードコーティング剤”),乙2(大成ファインケミカル(株) 技術グループ 主任 朝田泰広,”ハードコート用紫外線硬化型アクリル樹脂とその応用”,平成22年6月14日),乙3(特開2013-111804号公報)からみて,形成されるハードコート層のクラック伸度が15%を超えるようなハードコート剤は,本件特許の出願前に周知慣用であったとも認められる。
したがって,「ビームセット1200」以外の方法で式1を満足させるには,当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤,複雑高度な実験等が要求されるとはいえないから,取消理由のうち前記第3 2(3)アに関する実施可能要件違反という取消理由は成り立たない。

イ 取消理由3のうち前記第3 2(3)イについて判断すると,少なくとも,式1を満足する,すなわち,伸度が15%時に,ハードコート層及び低屈折率層にはクラックが発生していないか,クラックが発生していても軽微でありほとんど目視できないようであれば,式2についても満足することは,本件特許の出願時の技術常識に基づいて,当業者が容易に理解できることである。このことは,発明の詳細な説明の【0178】の表1に示された各実施例及び比較例において,伸度毎の視感反射率の値とクラック伸度の値とを対比することによって確認されることでもある。
しかるに,式1を満足させることに,当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤,複雑高度な実験等が要求されるとはいえないことは,前記アで述べたとおりであるから,式2を満足させることについても,当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤,複雑高度な実験等が要求されるとはいえない。
したがって,取消理由のうち前記第3 2(3)イに関する実施可能要件違反という取消理由も成り立たない。

(4)取消理由4-1(明確性要件違反その1)について
「JIS Z 8722」には,「5.3 反射物体の測定方法」の「5.3.1 照射及び受光の幾何条件」の欄において,反射物体の測定時の照射及び受光の幾何条件について,「照射及び受光の幾何条件は,一般には次の幾何条件a,幾何条件b,幾何条件c又は幾何条件dのいずれかによる。ただし,幾何条件a,幾何条件b,幾何条件c又は幾何条件d以外の幾何条件で測定した場合には,その幾何条件を付記しなければならない。」と規定している。
すなわち,「JIS Z 8722」によれば,反射物体の測定時の幾何条件として幾何条件aないしdのいずれかを採用した場合には,当該採用した幾何条件を付記する必要はないのであって,このことは,幾何条件aないしdのいずれを採用した場合でも,得られる測定値に有意な差が生じないことを示唆している。
本件特許の請求項2,3や発明の詳細な説明に記載された「視感反射率」については,これを測定する際の幾何条件について特に指定されていないところ,前述した「JIS Z 8722」の規定に鑑みれば,本件訂正発明2ないし9において,「視感反射率」は,幾何条件aないしdのいずれかで測定した値を指していると解するのが相当である。また,幾何条件aないしdのいずれで測定した場合であっても,得られる「視感反射率」の測定値に有意な差は生じないと考えられる。
したがって,測定時の幾何条件が特定されていないことをもって,本件訂正発明2ないし9が明確でないとはいえないから,取消理由4-1(明確性要件違反その1)は成り立たない。

(5)取消理由4-2(明確性要件違反その2)について
本件訂正(訂正事項1のうち前記第2 1(2)ア(ウ)及び(エ)で述べた訂正,並びに訂正事項2)によって,各本件訂正発明における「伸度」について,その測定時の環境が特定されることとなったから,取消理由4-2(明確性要件違反その2)は解消した。

(6)取消理由5-1(甲5を主引例とする新規性欠如,進歩性欠如)について
ア 本件訂正発明1について
(ア)対比
機能等からみて,甲5発明の「基材フィルム」,「ハードコート層」及び「真空成形,真空圧空成形,プラグアシスト真空圧空成形,インモールド成形,インサート成形,冷間成形,プレス成形などの各種成型法に適用される積層フィルム」は,本件訂正発明1の「基材フィルム」,「ハードコート層」及び「成型用積層フィルム」にそれぞれ対応する。
そして,甲5発明は,「基材フィルム」上に,「ハードコート層」を有する「成型用積層フィルム」である点で,本件訂正発明1と共通する。
したがって,本件訂正発明1と甲5発明は,
「基材フィルム上に,ハードコート層を有する成型用積層フィルム。」
である点で一致し,次の点で相違する,又は一応相違する。

相違点1-1:
本件訂正発明1では,「基材フィルム」のヘイズ値が0.7%以下であるのに対して,
甲5発明では,「基材フィルム」のヘイズ値について特定されていない点。

相違点1-2:
本件訂正発明1の「ハードコート層」は,その「温度23℃±2℃および相対湿度55%±5%の環境で測定したクラック伸度」が15%以上であるのに対して,
甲5発明の「ハードコート層」は,「100℃の雰囲気下にて片側固定して引張速度10mm/minの条件で引っ張ったときにフィルムにクラックが入ったときの伸び率を表すクラック伸度」が15%以上250%未満であるものの,本件訂正発明1のような環境で測定したクラック伸度の値は定かでない点。

相違点1-3:
本件訂正発明1では,シリカからなる中空状無機粒子を含み,屈折率が1.47以下であり,表面の中心線平均粗さRaが70nm以上500nm以下である低屈折率層を,基材フィルム,ハードコート層及び低屈折率層の順となるような位置に有しているのに対して,
甲5発明は,そのような低屈折率層を有していない点。

相違点1-4:
本件訂正発明1は,その「温度23℃±2℃および相対湿度55%±5%の環境で測定した伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)」が4.0%以上15.0%以下であるのに対して,
甲5発明では,「ヘイズ値(Hz0)」について特定されていない点。

相違点1-5:
本件訂正発明1は,「温度23℃±2℃および相対湿度55%±5%の環境」で測定した「伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)」と「伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)との差の絶対値と,ヘイズ値(Hz0)との関係が,「(|Hz0-Hz15|)/Hz0≦0.3」なる式1を満足するのに対して,
甲5発明では,式1を満足することについては特定されていない点。

(イ)判断
事案に鑑み,まず相違点1-3について判断する。
a 相違点1-3は,実質的な相違点であるから,本件訂正発明1は,甲5発明と同一ではない。

b 甲5の【0050】には,甲5発明の最表面にハードコート層とは別に機能性層を形成してもよいことが記載され,当該機能性層の例示として反射防止層とエンボス層が挙げられているところ,物品の最表面に膜厚が100nm程度で屈折率ができるだけ低い低屈折率層を形成することで,反射防止層とする技術が周知であること(甲17,周知例1ないし3)に鑑みれば,甲5発明における最表面となるハードコート層上(基材フィルムとは反対側の表面)に反射防止層として低屈折率層を形成することまでは,当業者が容易になし得たことといえる。
しかしながら,甲5には,【0050】記載の「エンボス層」が如何なる目的で設けられたものであって,そのエンボスすなわち凹凸がどの程度のサイズのものなのかや,エンボス層が設けられる位置等については,記載も示唆もないから,前述した新たに設ける「低屈折率層」について,その表面の中心線平均粗さRaを70nm以上500nm以下の範囲内に設定することが,甲5の記載に基づいて,当業者が容易になし得たこととすることはできない。
また,取消理由5において引用された各引用例について検討してみても,甲16には,甲5発明と同様の用途に用いられる光学フィルム10において,グレア防止機能を持たせるために,反射防止層の表面に凹凸を形成することが記載され,また,甲18や甲19には,グレア防止(すなわち防眩性)のための表面凹凸として,中心線平均粗さRaが70nm以上500nm以下の範囲にあるような表面凹凸が開示されているけれども,甲5発明において,【0050】記載のエンボス層の機能として,甲16記載のグレア防止を想定し,当該グレア防止に適した表面凹凸のサイズとして,甲18又は甲19に記載された中心線平均粗さRaを選択して,そのような表面凹凸を,前述した新たに設ける「低屈折率層」の表面に形成することには,たとえ当業者といえども,特段の創意工夫を要するというほかない。
以上のとおりであって,甲5発明を,相違点1-3に係る本件訂正発明1の構成要件に相当する構成を具備したものとすることは,当業者といえども,容易に想到し得たことではないから,他の相違点について判断するまでもなく,本件訂正発明1は,甲5発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件訂正発明2ないし9について
本件特許の請求項2ないし9は,請求項1の記載を引用する形式で記載されたものであって,本件訂正発明2ないし9は,本件訂正発明1の全構成要件を具備し,これにさらに限定を加えたものに該当するところ,前記ア(イ)a及びbで述べたとおり,本件訂正発明1が,甲5発明と同一でなく,かつ,甲5発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものでない以上,本件訂正発明2ないし9についても,同様の理由で,甲5発明と同一でなく,かつ,甲5発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものでない。

(7)取消理由5-2(甲16を主引例とする進歩性欠如)について
ア 本件訂正発明1について
(ア)対比
機能や層順等からみて,甲16発明の「ポリカーボネートフィルム11」,「ハードコート13」,「反射防止コート12」及び「インモールドラベリング,フィルムインサート成形,インモールド成形などにおいて,成型工程中に成型部品に固着させるフィルムとして用いられる光学フィルム10」は,本件訂正発明1の「基材フィルム」,「ハードコート層」,「低屈折率層」及び「成型用積層フィルム」にそれぞれ対応する。
そして,甲16発明は,「基材フィルム」上に,「ハードコート層」及び「反射防止機能を有する層」(以下,便宜上「AR層」という。)をこの順に有する「成型用積層フィルム」である点で,本件訂正発明1と共通する。また,甲16発明は,「AR層」の表面に,所望のサイズの表面凹凸が形成されている点でも,本件訂正発明1と共通する。
したがって,本件訂正発明1と甲5発明は,
「基材フィルム上に,ハードコート層およびAR層をこの順に有する成型用積層フィルムであって,
前記AR層の表面に所望のサイズの表面凹凸が形成されている成型用積層フィルム。」
である点で一致し,次の点で相違する,又は一応相違する。

相違点2-1:
本件訂正発明1では,「基材フィルム」のヘイズ値が0.7%以下であるのに対して,
甲16発明では,「基材フィルム」のヘイズ値について特定されていない点。

相違点2-2:
本件訂正発明1では,「ハードコート層」の「温度23℃±2℃および相対湿度55%±5%の環境で測定したクラック伸度」が15%以上であるのに対して,
甲16発明では,「ハードコート層」のクラック伸度は特定されていない点。

相違点2-3:
本件訂正発明1の「AR層」は,シリカからなる中空状無機粒子を含み,屈折率が1.47以下であり,表面の中心線平均粗さRaが70nm以上500nm以下である低屈折率層であるのに対して,
甲16発明の「AR層」は,本件訂正発明1のような低屈折率層に特定されてはいない点。

相違点2-4:
本件訂正発明1は,その「温度23℃±2℃および相対湿度55%±5%の環境で測定した伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)」が4.0%以上15.0%以下であるのに対して,
甲16発明では,「ヘイズ値(Hz0)」について特定されていない点。

相違点2-5:
本件訂正発明1は,「温度23℃±2℃および相対湿度55%±5%の環境」で測定した「伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)」と「伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)との差の絶対値と,ヘイズ値(Hz0)との関係が,「(|Hz0-Hz15|)/Hz0≦0.3」なる式1を満足するのに対して,
甲16発明では,式1を満足することについては特定されていない点。

(イ)判断
事案に鑑み,まず相違点2-3及び2-5について併せて判断する。
本件特許明細書の発明の詳細な説明の【0039】及び【0040】の記載からみて,相違点2-5に係る本件訂正発明1の構成要件(式1を満足すること)は,「温度23℃±2℃および相対湿度55%±5%の環境」での伸度が15%において,ハードコート層及び低屈折率層にはどちらにもクラックが発生しないか,クラックが発生していても軽微でありほとんど目視できないことを表しているものと認められる。
しかるに,甲11には,前記環境での伸度が15%においてクラックが発生しないと推認されるハードコート層が開示されているものの,前記環境での伸度においてクラックが発生しないか,クラックが発生していても軽微でありほとんど目視できないような低屈折率層であって,相違点2-3に係る本件訂正発明1の構成要件(特に,シリカからなる中空状無機粒子を含むとの要件)を充足する低屈折率層は,取消理由通知で引用した各引用例には開示されていない(周知例2及び3は,反射防止層として,中空シリカを含有する低屈折率層が開示されているものの,そのクラック伸度は不明である。)。また,そのような低屈折率層が本件特許の出願前に当業者に知られていたことを示す証拠も見当たらない。
そうすると,成型用積層フィルムに必要とされる,クラックが発生せずにある程度伸びるという特性を有するものとするために,成型用積層フィルムのクラック伸度を一定値以上とすることが,たとえ成型用積層フィルムの技術分野における周知・慣用技術もしくは常套手段であるとしても,甲16発明において,反射防止コート12を,相違点2-3に係る本件訂正発明1の構成要件を充足するようなもの(特に,シリカからなる中空状無機粒子を含む点)に変更するとともに,さらに,「温度23℃±2℃および相対湿度55%±5%の環境」での伸度が15%においてクラックが発生しないか,クラックが発生していても軽微でありほとんど目視できないものに調整すること(相違点2-5に係る本件訂正発明1の構成要件を充足させること)は,当業者といえども,特段の創意工夫を要するというべきである。
以上のとおりであって,甲16発明を,相違点2-3及び2-5に係る本件訂正発明1の構成要件に相当する構成を具備したものとすることは,当業者といえども,容易に想到し得たことではないから,他の相違点について判断するまでもなく,本件訂正発明1は,甲16発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件訂正発明2ないし9について
本件特許の請求項2ないし9は,請求項1の記載を引用する形式で記載されたものであって,本件訂正発明2ないし9は,本件訂正発明1の全構成要件を具備し,これにさらに限定を加えたものに該当するところ,前記(1)で述べたとおり,本件訂正発明1が,甲16発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものでない以上,本件訂正発明2ないし9についても,同様の理由で,甲16発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものでない。


第4 むすび
以上のとおりであるから,取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立理由によっては,本件特許の請求項1ないし9に係る特許を取り消すことはできない。また,他に本件特許の請求項1ないし9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘイズ値が0.7%以下である基材フィルム上に、温度23℃±2℃および相対湿度55%±5%の環境で測定したクラック伸度が15%以上であるハードコート層および中空状無機粒子を含み屈折率が1.47以下である低屈折率層をこの順に有する成型用積層フィルムであって、
前記成型用積層フィルムの温度23℃±2℃および相対湿度55%±5%の環境で測定した伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)が4.0%以上15.0%以下であり、前記成型用積層フィルムの前記伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)との差の絶対値と、前記ヘイズ値(Hz0)との関係が下記式1を満足し、
前記低屈折率層の表面の中心線平均粗さRaが70nm以上500nm以下であり、前記中空状無機粒子がシリカからなることを特徴とする成型用積層フィルム。
(|Hz0-Hz15|)/Hz0≦0.3 ・・・ 式1
【請求項2】
前記成型用積層フィルムの前記伸度が0%時における低屈折率層側表面の視感反射率(R0)が0.5?2.5%である、請求項1に記載の成型用積層フィルム。
【請求項3】
前記成型用積層フィルムの前記伸度が0%時における低屈折率層側表面の視感反射率(R0)と、前記成型用積層フィルムの前記伸度が15%時における低屈折率層側表面の視感反射率(R15)との差の絶対値が下記式2を満足する、請求項1または2に記載の成型用積層フィルム。
|R0-R15|≦0.2% ・・・ 式2
【請求項4】
前記低屈折率層の厚みが50?200nmの範囲にある、請求項1?3のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
【請求項5】
前記ハードコート層の厚みが0.5μm以上5μm未満である、請求項1?4のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
【請求項6】
前記基材フィルムがポリエステルフィルムである、請求項1?5のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
【請求項7】
前記基材フィルムと前記ハードコート層との間に、厚みが5?300nmの樹脂層を有し、前記樹脂層は、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂からなる群の中から選ばれる少なくとも一種の樹脂、架橋剤ならびに粒子を含有する、請求項1?6のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
【請求項8】
前記成型用積層フィルムの前記伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)と、前記成型用積層フィルムの前記伸度が20%時におけるヘイズ値(Hz20)との差の絶対値と、前記ヘイズ値(Hz0)との関係が下記式3を満足する、請求項1?7のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
(|Hz0-Hz20|)/Hz0≦0.2 ・・・ 式3
【請求項9】
加飾成型、インモールド成型、あるいはインサート成型に用いられる、請求項1?8のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-03-30 
出願番号 特願2012-183120(P2012-183120)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (G02B)
P 1 651・ 537- YAA (G02B)
P 1 651・ 121- YAA (G02B)
P 1 651・ 113- YAA (G02B)
P 1 651・ 55- YAA (G02B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 池田 博一  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 清水 康司
関根 洋之
登録日 2017-03-03 
登録番号 特許第6101017号(P6101017)
権利者 東レフィルム加工株式会社
発明の名称 成型用積層フィルム  
代理人 細田 浩一  
代理人 伴 俊光  
代理人 細田 浩一  
代理人 伴 俊光  
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