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審決分類 |
審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C09K 審判 一部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 C09K 審判 一部申し立て 2項進歩性 C09K 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 C09K |
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管理番号 | 1340128 |
異議申立番号 | 異議2017-700917 |
総通号数 | 222 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-06-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-09-28 |
確定日 | 2018-04-06 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6102640号発明「フッ化物蛍光体及びその製造方法並びにそれを用いる発光装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6102640号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔6-10〕について訂正することを認める。 特許第6102640号の請求項6ないし10に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯等 1 本件特許異議の申立てに係る特許 本件特許異議の申立ての対象とされた、特許第6102640号の請求項6ないし10に係る特許は、特許権者である日亜化学工業株式会社より、平成25年8月29日に特許出願され、特願2013-177685号として審査され、平成29年3月10日に特許権の設定登録を受けたものである。 2 手続の経緯 本件特許異議の申立てにおける手続の経緯は、次のとおりである。 平成29年 9月28日 特許業務法人藤央特許事務所より特許異議 の申立て 同年11月22日付 取消理由通知 平成30年 1月26日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 同年 3月 2日 意見書の提出(特許異議申立人) 第2 本件訂正の適否 1 訂正事項 前記平成30年1月26日提出の訂正請求書による、特許請求の範囲についての訂正(以下、「本件訂正」という。)は、特許法第120条の5第3項及び第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項6ないし10について訂正することを求めるものであり、その内容(訂正事項1)は次のとおりである。 ・訂正事項1:特許請求の範囲の請求項6に「CaF_(2)を含むフッ化物蛍光体」とあるのを、「CaF_(2)を含み、3倍重量の純水に投入して25℃で1時間撹拌を行った後の発光輝度の維持率が90%以上であるフッ化物蛍光体」に訂正する。当該請求項6を引用する請求項7?10についても同様。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 前記訂正事項1は、明細書の【0052】、【0071】?【0073】の記載に基づいて、本件訂正前に特許請求の範囲の請求項6に記載されていたフッ化物蛍光体について、その発光輝度の維持率を限定するものである。 したがって、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされた、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるといえる。 また、当該訂正事項1が、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないことも明らかである。 よって、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものと認められる。 3 小括 前記「1」のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第3項及び第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項6ないし10について訂正を求めるものであり、前記「2」のとおり、その訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、本件訂正後の請求項〔6-10〕について訂正することを認める。 第3 本件特許請求の範囲の記載 前記「第2」のとおり、本件訂正は認容し得るものであるから、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項6ないし10の記載は、次のとおりである(以下、各請求項に記載された事項により特定される発明をそれぞれ「本件発明6」ないし「本件発明10」といい、それらを総称して「本件発明」という。また、対応する特許を「本件特許6」ないし「本件特許10」といい、まとめて「本件特許」という。さらに、本件訂正前のものについては、「本件訂正前の本件発明6」などと区別していう。)。 「【請求項6】 一般式(I)で表わされる組成を有するフッ化物粒子、及び前記フッ化物粒子の表面にアルカリ土類金属フッ化物を有するフッ化物蛍光体であって、前記アルカリ土類金属フッ化物が、CaF_(2)を含み、3倍重量の純水に投入して25℃で1時間撹拌を行った後の発光輝度の維持率が90%以上であるフッ化物蛍光体。 K_(2)[M_(1-a)Mn^(4+)_(a)F_(6)] (I) 〔式中、Mは、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)及びスズ(Sn)からなる群より選択される少なくとも一種であり、aは0<a<0.2を満たす〕 【請求項7】 前記フッ化物粒子の側から外側に向かって前記アルカリ土類金属フッ化物の濃度が増加する請求項6に記載のフッ化物蛍光体。 【請求項8】 前記フッ化物蛍光体における前記アルカリ土類金属フッ化物の濃度が、0.05重量%以上、5重量%以下である請求項6または7に記載のフッ化物蛍光体。 【請求項9】 380nm?485nmの光を発する光源と、請求項6から8のいずれか一項に記載のフッ化物蛍光体と、を含む発光装置。 【請求項10】 380nm?485nmの光を吸収し、495nm?573nmの光を発する緑色蛍光体を更に含む、請求項9に記載の発光装置。」 第4 平成29年11月22日付け取消理由通知に記載した取消理由について 標記取消理由の概要は以下のとおりである。なお、当該取消理由は、特許異議申立書に記載された申立理由と同じものである。 1 (新規性)本件訂正前の本件発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記甲第1号証(以下、特許異議申立人が提出した刊行物を「甲1」などという。)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 よって、本件訂正前の本件特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 2 (進歩性)本件訂正前の本件発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記甲1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、本件訂正前の本件特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 3 (実施可能要件)本件訂正前の本件特許に係る出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 よって、本件訂正前の本件特許は、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 4 (サポート要件)本件訂正前の本件特許に係る出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 よって、本件訂正前の本件特許は、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 5 (明確性要件)本件訂正前の本件特許に係る出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 よって、本件訂正前の本件特許は、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 第5 取消理由1、2(新規性・進歩性)について 1 引用刊行物 甲1:特開2011-12091号公報 2 甲1に記載された発明(甲1発明) 甲1には、その請求項1、2、7の記載から、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 「蛍光体表面に存在する全元素に対する酸素元素が占める比率が、2%以上である、Mn^(4+)で付活されたフッ素錯体蛍光体であって、 少なくとも蛍光体表面に、3価、4価、及び5価の金属元素からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属元素を含有する酸化物、及びアルカリ土類金属元素を含有するフッ化物がそれぞれ2モル%以上存在するものであり、 前記Mn^(4+)で付活されたフッ素錯体蛍光体が、下記式[1-a]で表される化学組成を有する結晶相を含有するもの。 M^(Ia)_(x)M^(IVa)_(y)R_(z)F_(n) ・・・[1-a] (但し、前記式[1-a]中、M^(Ia)は、少なくともK、及びNaからなる群から選ばれる1種以上の元素を含有する、Li、Na、K、Rb、Cs、及びNH_(4)からなる群より選ばれる1種以上の1価の基を表わし、M^(IVa)は、少なくともSiを含有する周期律表第4族、及び第14族からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を表し、Rは、少なくともMnを含有する付活元素を表す。 また、x、y、z、及びnは、以下の式を満たす数を表す。 1.7≦x≦2.3 0.9≦y+z≦1.1 0.001≦z≦0.4 5≦n≦7)」 3 本件発明6についての新規性・進歩性の判断 (1) 甲1発明との対比(相違点の認定) 甲1発明の「アルカリ土類金属元素を含有するフッ化物」について、甲1の【0054】には、「前記のアルカリ土類金属元素を含有するフッ化物としては、具体的には、Mg、Ca、Sr、及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有するものが好ましく、Mg、及び/またはCaを含有するものがより好ましい。アルカリ土類金属元素のフッ化物が蛍光体表面に存在すると、水分が蛍光体表面に接触しにくく、その結果、蛍光体の加水分解が起こりにくくなり、耐久性向上効果が得られるからである。具体的なフッ化物としては、MgF_(2)、CaF_(2)が挙げられ、中でも、MgF_(2)が好ましい。」と記載され、また、甲1発明の「Mn^(4+)で付活されたフッ素錯体蛍光体」(式[1-a]で表される化学組成を有する結晶相)の具体例として、甲1の【0204】の<実施例1-1>には、「仕込み組成K_(2)Si_(0.9)Mn_(0.1)F_(6)」で表される化学組成を有する結晶相が記載されている。 そうすると、甲1には、甲1発明の「アルカリ土類金属元素を含有するフッ化物」として、CaF_(2)が、また、甲1発明の「Mn^(4+)で付活されたフッ素錯体蛍光体」として、仕込み組成K_(2)Si_(0.9)Mn_(0.1)F_(6)のものが、それぞれ例示されていることが分かる。 しかしながら、本件発明6と甲1発明とは、少なくとも次の点で相違するものと認められる。 ・相違点:本件発明6のフッ化物蛍光体は、「3倍重量の純水に投入して25℃で1時間撹拌を行った後の発光輝度の維持率が90%以上である」(以下、単に「特定の維持率」という。)のに対して、甲1発明のフッ素錯体蛍光体は、当該「特定の維持率」を具備するものか不明である点。 (2) 相違点の検討 ア 甲1を仔細にみても、前記「特定の維持率」に関する記載は見当たらない。また、特許異議申立人が提出した他の証拠及び技術常識を斟酌しても、甲1発明が、当該「特定の維持率」を具備するものであることを裏付ける根拠、あるいは、甲1発明において、当該「特定の維持率」を具備せしめて本件発明6とすることが当業者にとって容易に想到し得ることであると認めるに足りる根拠を見いだすことはできない。 したがって、前記相違点は実質的なものであるというべきであり、かつ、当該相違点に係る本件発明6の技術的事項が容易想到のものであるとはいえない。 イ 当該相違点につき、特許異議申立人は、平成30年3月2日付けの意見書(3.1及び3.2の項目を参酌した。)において、次のように主張する。すなわち、新規性に関しては、甲1発明は、アルカリ土類金属元素を含有するフッ化物として、CaF_(2)を含むものであるから、甲1発明のフッ素錯体蛍光体も当該「特定の維持率」を具備する蓋然性が高い点を、また、進歩性に関しては、本件発明6が甲1発明に比べて格別な作用効果を奏する根拠が不足している点を、それぞれ主張する。 しかしながら、新規性についていうと、本件発明6は、特許請求の範囲の請求項1などに記載されるとおり、過酸化水素及びシュウ酸からなる群より選択される少なくとも一種の還元剤の存在下で、フッ化物粒子とアルカリ土類金属イオンを含む溶液とを接触させて、当該フッ化物粒子の表面に、アルカリ土類金属フッ化物を形成して得たものであるのに対して、甲1発明は、そもそも当該過酸化水素やシュウ酸といった還元剤を用いて製造されるものではないから、両者の製造方法が異なることは明らかである。その上、上記「特定の維持率」は、蛍光体自体の化学組成(その表面に形成された化合物を含む)から一義的に定まるものであって、その製造方法に左右されるものではない、と認めるに足りる証拠も見当たらない。そして、実際に、甲1発明が「特定の維持率」を具備するものであることを示す検証結果は何ら存しない。 そうすると、当該製造方法の違いにより、得られた蛍光体の特性にも有意な差が生じていると解するのが合理的であるから、甲1発明のフッ素錯体蛍光体も当該「特定の維持率」を具備する蓋然性が高い、という特許異議申立人の主張は論拠に乏しいといわざるを得ず、採用することはできない。 また、進歩性についてみても、本件特許明細書の【0071】?【0073】の耐水試験において、本件発明6は、当該「特定の維持率」を達成しており、その有用性が確認されていることから、本件発明6が甲1発明に比べて奏する格別な作用効果(耐水性に優れる点)は、根拠をもって本件特許明細書に示されているというべきである。したがって、特許異議申立人が主張する進歩性に関する主張についても当を得たものとはいえず採用できない。 (3) 小括 以上のとおり、本件発明6は新規性及び進歩性を有するものではないとはいえない。 4 本件発明7?10についての新規性・進歩性の判断 本件発明7?10は、本件発明6の発明特定事項をすべて含むものであるから、前記「3」において説示した理由と同様の理由により、新規性及び進歩性を有するものではないとはいえない。 5 まとめ 以上のとおりであるから、本件特許6?10は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるとはいえない。 第6 取消理由3?5(実施可能要件・サポート要件・明確性要件)について 1 取消理由3(実施可能要件)について 本件特許明細書の発明の詳細な説明をみると、その【0013】?【0029】には、本件発明6?8に係るフッ化物蛍光体の製造方法について記載され、【0062】?【0073】には、実施例として当該フッ化物蛍光体の具体的な製造方法及びその評価結果が記載されている。また、同じく【0053】?【0059】には、本件発明9、10に係る発光装置の構成などについて詳述されている。 そうすると、当該発明の詳細な説明には、当業者が本件発明のフッ化物蛍光体及び発光装置を製造し、使用するのに十分な記載が認められるというべきである。 したがって、本件特許に、取消理由3は妥当しない。 なお、特許異議申立人が申立書において主張するとおり、確かに、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、本件発明におけるアルカリ土類金属フッ化物の存在や濃度を確認・測定する具体的な方法についての明示的な記載はない。しかしながら、当該具体的な方法の明示的な記載がなくとも、上記のとおり、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載に基づいて、当業者は、本件発明のフッ化物蛍光体及び発光装置を製造し、使用することができるのであるから、当該具体的な方法の明示的な記載がないことをもって、直ちに、実施可能要件違反とすることは適切ではない。また、特許異議申立人は、平成30年3月2日付けの意見書(3.3及び3.4の項目を参酌した。)において、撹拌の程度、並びに、フッ化物粒子の粒子径及び表面積に関する不備を理由に実施可能要件違反を主張するが、撹拌の程度についての明示的な記載がないことは、上記の具体的な方法と同様、実施可能要件違反とするための直接的な論拠とはなり得ないし、フッ化物粒子の粒子径及び表面積に関しては、そもそもこれらは本件発明の発明特定事項ではないから、本件特許明細書の発明の詳細な説明において、当該フッ化物粒子の粒子径及び表面積についての説明が十分でないことは、実施可能要件の判断に直接関係しない。 2 取消理由4(サポート要件)について サポート要件についての取消理由は、本件訂正前の本件発明は、その課題である耐水性を解決できない態様をも包含することに依拠するものであったところ、前記本件訂正により、本件発明は、前記「特定の維持率」を達成するものに限定された。これにより、本件発明は、課題である耐水性を解決できない態様を包含しないものとなったということができるから、本件特許に対して、サポート要件についての取消理由4は当てはまらない。 3 取消理由5(明確性要件)について 本件訂正後の特許請求の範囲の請求項6?10の記載は、それ自体、不明確なところは見当たらず、明確性要件に違反するといえる程の不備は認められない。 したがって、本件特許に、取消理由5は妥当しない。 なお、特許異議申立人は、平成30年3月2日付けの意見書(3.5及び3.6の項目を参酌した。)において、明確性要件違反の理由として、本件発明におけるアルカリ土類金属フッ化物の濃度及び撹拌の程度が不明確である点を指摘する。そこで検討するに、確かに、本件特許明細書を参酌しても、これらに関する明示的な定義付けを認めることはできない。しかしながら、アルカリ土類金属フッ化物の濃度については、表面分析(定量分析)の手法として、当業者は既に種々の方法を認知する上、採用する方法により分析結果が異なることを認めるに足りる証拠は認められないことから、当該濃度の明示的な定義付けがなくとも、当業者であれば、本件発明を十分に把握することができるというべきである。また、撹拌の程度についても、当業者が通常「撹拌」という用語から普通に理解する範囲と解すれば事足り、特に当該撹拌の程度により、前記「特定の維持率」に係る試験の結果が異なるものになると認めるに足りる証拠も見当たらないから、当該撹拌の程度の明示的な記載がないことも、明確性要件違反の論拠として十分なものとは言い難い。 第7 結び 以上のとおりであるから、本件特許異議の申立てに係る本件特許6ないし10は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるとも、同法第36条第4項第1号又は第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるともいえず、同法第113条第2号又は第4号のいずれにも該当しないから、前記取消理由通知に記載した取消理由(特許異議申立書に記載された特許異議申立の理由)によっては、取り消すことはできない。 また、他に本件特許6ないし10を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 過酸化水素及びシュウ酸からなる群より選択される少なくとも一種の還元剤の存在下で、下記一般式(I)で表わされる組成を有するフッ化物粒子と、アルカリ土類金属イオンを含む溶液とを接触させて、前記フッ化物粒子の表面に、アルカリ土類金属フッ化物を形成する工程を含む、フッ化物蛍光体の製造方法。 K_(2)[M_(1-a)Mn^(4+)_(a)F_(6)] (I) 〔式中、Mは、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)及びスズ(Sn)からなる群より選択される少なくとも一種であり、aは0<a<0.2を満たす〕 【請求項2】 前記アルカリ土類金属イオンを含む溶液が、アルカリ土類金属の硝酸塩、酢酸塩、塩化物、ヨウ化物及び臭化物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含む溶液である、請求項1に記載の製造方法。 【請求項3】 前記アルカリ土類金属イオンを含む溶液が、カルシウムイオンを含む、請求項1または2に記載の製造方法。 【請求項4】 前記アルカリ土類金属イオンを含む溶液におけるアルカリ土類金属の濃度が、0.01重量%以上、5重量%以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法。 【請求項5】 前記還元剤の濃度が、前記アルカリ土類金属イオンを含む溶液に対して、0.01重量%以上、5重量%以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法。 【請求項6】 一般式(I)で表わされる組成を有するフッ化物粒子、及び前記フッ化物粒子の表面にアルカリ土類金属フッ化物を有するフッ化物蛍光体であって、前記アルカリ土類金属フッ化物が、CaF_(2)を含み、 3倍重量の純水に投入して25℃で1時間撹拌を行った後の発光輝度の維持率が90%以上であるフッ化物蛍光体。 K_(2)[M_(1-a)Mn^(4+)_(a)F_(6)] (I) 〔式中、Mは、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)及びスズ(Sn)からなる群より選択される少なくとも一種であり、aは0<a<0.2を満たす〕 【請求項7】 前記フッ化物粒子の側から外側に向かって前記アルカリ土類金属フッ化物の濃度が増加する請求項6に記載のフッ化物蛍光体。 【請求項8】 前記フッ化物蛍光体における前記アルカリ土類金属フッ化物の濃度が、0.05重量%以上、5重量%以下である請求項6または7に記載のフッ化物蛍光体。 【請求項9】 380nm?485nmの光を発する光源と、請求項6から8のいずれか一項に記載のフッ化物蛍光体と、を含む発光装置。 【請求項10】 380nm?485nmの光を吸収し、495nm?573nmの光を発する緑色蛍光体を更に含む、請求項9に記載の発光装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-03-28 |
出願番号 | 特願2013-177685(P2013-177685) |
審決分類 |
P
1
652・
121-
YAA
(C09K)
P 1 652・ 536- YAA (C09K) P 1 652・ 537- YAA (C09K) P 1 652・ 113- YAA (C09K) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 仁科 努 |
特許庁審判長 |
川端 修 |
特許庁審判官 |
日比野 隆治 木村 敏康 |
登録日 | 2017-03-10 |
登録番号 | 特許第6102640号(P6102640) |
権利者 | 日亜化学工業株式会社 |
発明の名称 | フッ化物蛍光体及びその製造方法並びにそれを用いる発光装置 |
代理人 | 膝舘 祥治 |
代理人 | 言上 惠一 |
代理人 | 鮫島 睦 |
代理人 | 言上 惠一 |
代理人 | 柳橋 泰雄 |
代理人 | 鮫島 睦 |
代理人 | 膝舘 祥治 |
代理人 | 柳橋 泰雄 |