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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A61L
管理番号 1340426
審判番号 無効2017-800016  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-02-01 
確定日 2018-04-16 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3925568号発明「殺菌装置における過剰殺菌防止装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3925568号の明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯

本件特許第3925568号は、平成9年2月14日に出願された特願平9-47358号の願書に添付した明細書の特許請求の範囲に記載された請求項1に係る発明について、平成19年3月9日に設定登録がされたものである。
本件審判は、この請求項1に係る特許の無効を請求するものであり、次の手続がされたものである。

平成29年 2月 1日付けの審判請求書提出
5月 8日付けの訂正請求及び答弁書提出
5月16日付けの審尋
6月 1日付けの回答者(請求人)
6月15日付けの弁駁書の提出
8月22日付けの審理事項通知
9月26日付けの口頭審理陳述要領書(被請求人)
10月13日付けの口頭審理陳述要領書(請求人)
10月30日実施の口頭審理
同日付けの無効理由(職権審理結果)通知
11月 2日付けの訂正請求及び意見書提出

なお、請求人から、11月2日付けの訂正請求及び意見書に対する上申書の提出はしない旨の連絡が11月6日にされている。

第2.訂正請求について

1.訂正の内容

平成29年11月2日付けの訂正請求(以下、「本件訂正」という。)は、次の訂正事項1,2からなる(下線部が訂正箇所)。
なお、平成29年5月8日付けの訂正請求(以下、「先の訂正」という。)は、特許法第134条の2第6項の規定により取り下げられたものとみなす。

訂正事項1
本件明細書の【請求項1】に、
「殺菌ゾーンに配置されたノズルを前記高温水回収槽もしくは低温水回収槽と接続可能とし、殺菌装置内の容器の搬送が停止した際、所定時間経過後、前記ノズルを前記低温水回収槽と接続して殺菌ゾーンに低温水を供給するとともに、殺菌ゾーンで散水された低温水を低温水回収槽で回収する」
とあるのを、
「殺菌ゾーンに配置されたノズルを前記高温水回収槽もしくは低温水回収槽と接続可能とし、前記殺菌ゾーンに配置されたノズルは、第1のノズルと、前記第1のノズルよりも容器の搬送方向上流側に配置された第2のノズルとを有し、前記第1のノズルが第1の低温水用開閉弁を介して前記低温水回収槽と接続され、前記第2のノズルが第2の低温水用開閉弁を介して前記第1のノズルと接続された前記低温水回収槽と接続され、殺菌装置内の容器の搬送が停止した際、第1の所定時間経過後、前記第1の低温水用開閉弁を開とし、前記第1のノズルを前記低温水回収槽と接続して殺菌ゾーンに低温水を供給するとともに、殺菌ゾーンで散水された低温水を前記低温水回収槽で回収し、前記第1の所定時間より長い第2の所定時間経過後、前記第2の低温水用開閉弁を開とし、前記第2のノズルを前記低温水回収槽と接続して殺菌ゾーンに低温水を供給するとともに、殺菌ゾーンで散水された低温水を前記低温水回収槽で回収する制御を行う制御装置を備えた」
と訂正する。

訂正事項2
本件明細書の【0019】に、
「高温水用開閉弁17Bを閉、低温水用開閉弁18Bを開として樋7Bと高温水回収槽15を接続する(図10)。」
とあるのを、
「高温水用開閉弁17Bを開、低温水用開閉弁18Bを閉として樋7Bと高温水回収槽15を接続する(図10)。」
と訂正する。

2.訂正要件の判断

訂正事項1について
この訂正は、訂正前の請求項1に記載された過剰殺菌防止装置において、殺菌ゾーンのノズルが、二つに分けられ、低温水回収槽と二つの低温水用開閉弁を介して接続されていることを特定し、また、低温水の供給が、当該二つの低温水用開閉弁をそれぞれ所定の時間後に開にしてなされることを特定し、さらに、当該工程を制御する制御装置が存在することを特定するものであり、発明特定事項を限定ないし直列的に付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件明細書の【0011】及び図1(特許公報参照)には、殺菌ゾーンにおけるノズル8A,8Bが、低温水用開閉弁12A,12Bを介して低温水回収槽16と接続されることが記載され、同【0016】【0017】及び図3,4には、低温水用開閉弁12A,12Bを時間をおいて開にすることやその制御装置について記載されているから、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものと認められ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

訂正事項2について
この訂正は、「樋7Bと高温水回収槽15を接続する」という記載及び説明図である図10の図示内容と矛盾していた訂正前の「高温水用開閉弁17B」及び「低温水用開閉弁18B」の開閉状態に係る記載を改めたものであって、誤記の訂正を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものと認められ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3.まとめ

以上のとおり、訂正事項1,2からなる本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き及び同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するものであるから、これを認める。

第3.本件発明の認定

本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものであると認める。

搬送装置により送られる容器に、殺菌ゾーンで殺菌用の温水をノズルから散水し、所定の殺菌温度で容器内の内容物を殺菌する殺菌装置における過剰殺菌防止装置において、殺菌用の高温水を回収する高温水回収槽と、前記殺菌用の高温水よりも温度の低い低温水を回収する低温水回収槽とを配置し、殺菌ゾーンで散水された温水を前記高温水回収槽もしくは低温水回収槽へ回収可能とするとともに、殺菌ゾーンに配置されたノズルを前記高温水回収槽もしくは低温水回収槽と接続可能とし、前記殺菌ゾーンに配置されたノズルは、第1のノズルと、前記第1のノズルよりも容器の搬送方向上流側に配置された第2のノズルとを有し、前記第1のノズルが第1の低温水用開閉弁を介して前記低温水回収槽と接続され、前記第2のノズルが第2の低温水用開閉弁を介して前記第1のノズルと接続された前記低温水回収槽と接続され、殺菌装置内の容器の搬送が停止した際、第1の所定時間経過後、前記第1の低温水用開閉弁を開とし、前記第1のノズルを前記低温水回収槽と接続して殺菌ゾーンに低温水を供給するとともに、殺菌ゾーンで散水された低温水を前記低温水回収槽で回収し、前記第1の所定時間より長い第2の所定時間経過後、前記第2の低温水用開閉弁を開とし、前記第2のノズルを前記低温水回収槽と接続して殺菌ゾーンに低温水を供給するとともに、殺菌ゾーンで散水された低温水を前記低温水回収槽で回収する制御を行う制御装置を備えたことを特徴とする殺菌装置における過剰殺菌防止装置。

参考【図1】

5:搬送装置 15:高温水回収槽 16:低温水回収槽
8A:第2のノズル 8B:第1のノズル

第4.無効理由について

1.請求人の主張

請求人は、次の甲第1?4号証(以下、「甲1?4」と略す。)を提出し、次の無効理由を主張している。

甲1:米国特許5012727号明細書
甲2:米国特許4441406号明細書
甲3:特許第3366742号公報
甲4:作動態様対比図(請求人従業者 加藤勉作成)

本件発明は、甲1に記載された発明に、甲2に記載された装置構造及び甲3に記載された技術思想を組み合わせることにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第123条第1項第2号の規定に該当し、無効とすべきものである。
低温水の回収を1基の回収槽で行うか否かについては設計事項と言うべきであり、甲2にあっても単一の貯水槽とすることについては明確に開示されているから、単一の低温水回収槽とすることについても何ら新規性ないしは進歩性を備えた技術と評価することはできず、単なる設計事項に留まる。

2.被請求人の主張

被請求人は、本件発明は、甲1?3のいずれにも記載されていない、2つのノズルと接続される低温水回収槽という構成、及び、即時復帰が可能という効果を有するから、上記無効理由は理由がないと主張している。

なお、口頭審理にて通知した、先の訂正により生じた記載不備に係る無効理由は、本件訂正により解消している。

第5.書証の記載(訳文は、請求人提出のものを一部修正し当審で作成)

甲1(認定関連箇所に下線を追記)

摘示1-1(図1)

摘示1-2(1欄7?13行)
The present invention relates to an apparatus for the control of a pasteurizing process.
In greater detail, such an apparatus checks the temperature to which the product to be pasteurized is subjected during the emergency stop periods of the conveyor inside a pasteurizer so that the product is not impaired.
(訳)本発明は、低温殺菌プロセスの制御のための装置に関する。
より詳細には、そのような装置は、製品が損なわれないように、低温殺菌すべき製品が低温殺菌器内部のコンベヤの緊急停止期間中に受ける温度を検査する。

摘示1-3(2欄28?42行)
With reference to the drawing, 1 denotes bottles of beer resting on a conveyor 2 provided with a feed motion in the direction of the arrow.
Shown in the FIGURE is the middle area of a pasteurizer at which the true pasteurizing process takes place. Said middle area is located downstream of a heating area (only partly shown) from where bottles 1 come and where temperature becomes increasingly higher, and upstream of a cooling area (only partly shown as well) to which bottles 1 are sent.
Bottles 1 are sprayed with water spouting from first, second, third and fourth sprayers, generally identified by 3, 4, 5 and 6. The water comes from first, second, thrid and fourth tanks, generally identified by 7, 8, 9 and 10 and located downwardly to the conveyor 2.
(訳)図面を参照すると、1は、矢印の方向に送り運動を提供されるコンベヤ2上にあるビールの瓶を示す。
図に示されるのは、低温殺菌器の中間領域であり、そこで真の低温殺菌プロセスが行われる。前記中間領域は、瓶1がそこから来て、温度が次第により高くなる加熱領域(部分的にだけ図示される)の下流に、かつ瓶1が送られる冷却領域(同様に部分的にだけ図示される)の上流に位置する。
瓶1は、3、4、5および6によって全体的に識別される、第1、第2、第3および第4の噴霧器から噴き出る水を噴霧される。水は、7、8、9および10によって全体的に識別され、コンベヤ2に対して下方に位置する、第1、第2、第3および第4のタンクから来る。

摘示1-4(2欄43?49行)
The first tank 7 containing water at a temperature of about 50.degree. C., feeds the fourth sprayer 6, whereas the fourth tank 10, also containing water at a temperature of about 50.degree. C. feeds the first sprayer 3 for the purpose of recovering heat from the hotter bottles (disposed to the right in the drawings) and transfer it to the colder bottles (disposed to the left in the drawing).
(訳)より温かい瓶(図面において右に配置される)から熱を回収し、それをより冷たい瓶(図面において左に配置される)に移すために、約50℃の温度の水を含有する第1のタンク7は、第4の噴霧器6に供給し、一方また約50℃の温度の水を含有する第4のタンク10は、第1の噴霧器3に供給する。

摘示1-5(2欄50?64行)
The second tank 8 is divided by an upright partition 11 into one chamber 12 and a second chamber 13. The first chamber 12 contains water at about 65.degree. C. and is covered with a sloping shed 14 adapted to convey the water coming from the second sprayer 4 to the second chamber 13.
Denoted by 15 is a pipeline provided with a pump 16 adapted to send the water contained in the first tank 7 or, as will be best clarified in the following, the water contained in the first chamber 12, to the second sprayer 4. The first pipeline 7 comprises one branch 17 connected to the first tank 7 to which one valve 18 is mounted, and a second branch 19 connected to the first chamber 12 to which a second valve 20 is mounted.
(訳)第2のタンク8は、直立間仕切り11によって1つのチャンバ12および第2のチャンバ13に分けられる。第1のチャンバ12は、約65℃の水を含有し、第2の噴霧器4から来る水を第2のチャンバ13に運ぶように適合される傾斜したシェード14で覆われる。
15によって示されるのは、第1のタンク7に含有される水または、下記で最も良く明確にされることになるように、第1のチャンバ12に含有される水を第2の噴霧器4に送るように適合されるポンプ16を提供されるパイプラインである。第1のパイプライン7は、第1のタンク7に接続され、1つのバルブ18が取り付けられる1つの分岐17、および第1のチャンバ12に接続され、第2のバルブ20が取り付けられる第2の分岐19を備える。

摘示1-6(3欄1?15行)
The third tank 9 is divided by an upright partition 23 into a third chamber 24 and a fourth chamber 25. The third chamber 24 contains water at about 62.degree. C. and is covered with a sloping shed 26 adapted to convey the water coming from the third sprayer 5 to the fourth chamber 25.
27 denotes a third pipeline provided with a third pump 28 adapted to send the water contained in the fourth tank 10 or, as will be best clarified later, the water contained in the third chamber 24, to the third sprayer 5. The third pipeline 27 is comprised of a third branch 29 connected to the fourth tank 10 and to which a third valve 30 is mounted, and a fourth branch 31 connected to the third chamber 24 and to which a fourth valve 32 is mounted.
(訳)第3のタンク9は、直立間仕切り23によって第3のチャンバ24および第4のチャンバ25に分けられる。第3のチャンバ24は、約62℃の水を含有し、第3の噴霧器5から来る水を第4のチャンバ25に運ぶように適合される傾斜したシェード26で覆われる。
27は、第4のタンク10に含有される水または、後で最も良く明確にされることになるように、第3のチャンバ24に含有される水を第3の噴霧器5に送るように適合される第3のポンプ28を提供される第3のパイプラインを示す。第3のパイプライン27は、第4のタンク10に接続されかつ第3のバルブ30が取り付けられる第3の分岐29、および第3のチャンバ24に接続されかつ第4のバルブ32が取り付けられる第4の分岐31から成る。

摘示1-7(3欄26?42行)
During the normal operating conditions of the pasteurizer (that is in the absence of emergency) the conveyor 52 moves forward according to the direction shown by the arrow.
The first valve 18 is closed whereas the second valve 20 is open. In this way the second sprayer will spray water at about 65.degree. C. onto the bottles 1, which water comes from the first chamber 12 which is provided with appropriate heating means (not shown). The water at about 65.degree. C. coming from the second sprayer 4 will be collected in the second chamber 13 and it will overflow therefrom into the first chamber 12 getting over the partition 11.
Likewise, the third valve 30 is closed whereas the fourth valve 32 is open. In this way the third sprayer 5 will spray water at about 62.degree. C. coming from the third chamber 24 which is provided with suitable heating means (not shown), onto the bottles 1. The water at about 62.degree. C. coming from the third sprayer 5 will be collected in the fourth chamber 25 from where it will overflow to the third chamber 24 passing over the partition 23.
(訳)低温殺菌器の通常動作条件中は(すなわち、緊急状態がない場合には),コンベアは、矢印によって示される方向にしたがって前へ進む。
第1のバルブ18は、閉じられ、一方第2のバルブ20は、開いている。このようにして、第2の噴霧器は、約65℃の水を瓶1に噴霧することになり、その水は、適切な加熱手段(図示されず)を提供される第1のチャンバ12から来る。第2の噴霧器4から来る約65℃の水は、第2のチャンバ13内に集められることになり、それは、そこから間仕切り11を乗り越えて第1のチャンバ12内にあふれ出ることになる。
同様に、第3のバルブ30は、閉じられ、一方第4のバルブ32は、開いている。このようにして、第3の噴霧器5は、適切な加熱手段(図示されず)を提供される第3のチャンバ24から来る約62℃の水を瓶1に噴霧することになる。第3の噴霧器5から来る約62℃の水は、第4のチャンバ25内に集められることになり、そこからそれは、間仕切り23を乗り越えて第3のチャンバ24内にあふれ出ることになる。

摘示1-8(3欄53行?4欄11行)
In case of an emergency stop of the conveyor 2, the first valve 18 will be opened and simultaneously the second valve 20 will be closed. Therefore the water reaching the second sprayer 4 will have a temperature of about 50.degree. C. (water coming from the first tank 7) and not of 65.degree. C. as before. Therefore bottles 1 will be immediatedly sprayed with water having a lower temperature.
Likewise, the third valve 30 will be opened and simultaneously the fourth valve 32 will be closed. As a result the third sprayer 5 will no longer receive water at a temperatue of about 62.degree. C. but water at about 50.degree. C (coming from the fourth tank 10).
During this emergency period, the second pump 22 will start operating thereby creating a water recycle from the second chamber 13 to the first tank 7. Obviously the water temperature will not be of 50.degree.C. but it will have a value ranging between 50.degree. C. and 65.degree. C., since at the beginning the temperature in the second chamber 13 was equal to 65.degree. C.
Similarly the fourth pump 34 will start operating and it will create a water recycle from the fourth chamber 25 to the fourth tank 10. In this case too the water temperature will not be equal to 50.degree. C. but its value will be in the range of 50.degree. C. to 62.degree. C., due to the fact that at the beginning the temperature in the fourth chamber 25 was equal to 62.degree. C.
(訳)コンベヤ2の緊急停止の場合には、第1のバルブ18は、開かれることになり、同時に第2のバルブ20は、閉じられることになる。従って、第2の噴霧器4に達する水は、約50℃の温度を有することになり(第1のタンク7から来る水)、前のように65℃ではない。従って、瓶1は、より低い温度を有する水をすぐに噴霧されることになる。
同様に、第3のバルブ30は、開かれることになり、同時に第4のバルブ32は、閉じられることになる。結果として、第3の噴霧器5は、もはや約62℃の温度の水を受け取らず、約50℃の水(第4のタンク10から来る)を受け取ることになる。
この緊急期間中に、第2のポンプ22は、動作を開始することになり、それによって第2のチャンバ13から第1のタンク7への水リサイクルを生じさせる。明らかに、水温は、50℃でないことになるが、しかし最初は第2のチャンバ13内の温度は、65℃に等しかったので、それは、50℃と65℃との間に及ぶ値を有することになる。
同様に、第4のポンプ34は、動作を開始することになり、それは、第4のチャンバ25から第4のタンク10への水リサイクルを生じさせることになる。この場合もまた、水温は、50℃に等しくないことになるが、しかし最初は第4のチャンバ25内の温度は、62℃に等しかったという事実に起因して、その値は、50℃から65℃の範囲内であることになる。

甲2

摘示2-1(図1) 21?30:噴霧ヘッド S:水溜

摘示2-2(図4)

摘示2-3(4欄65行?5欄3行)
In the preferred embodiment of the invention shown in FIG. 1 there is seen a tunnel pasteurizer 10 which has ten heating and cooling zones 11-20. Zones 11, 12, 13 and 14 are preheat zones. Zone 15, which is a heating zone, and zone 16, which is a holding zone, are the pasteurizing zones and zones 17, 18, 19 and 20 are precool zones.
(訳)図1に示される本発明の好ましい実施態様では、10個の加熱ゾーン及び冷却ゾーン11?20を有するトンネル低温殺菌器10が見られる。ゾーン11、12、13及び14は予熱ゾーンである。加熱ゾーンのゾーン15及び保持ゾーンのゾーン16は低温殺菌ゾーンであり、ゾーン17、18,19及び20は予冷ゾーンである。

摘示2-4(7欄9?17行)
・・・When a delay occurs causing the walking beam C to stop, the set point of the zone 15 and 16 controllers, responding to a control signal will drop to a lower temperature, preferably after a preset time delay. If the delay clears before the set period of time has lapsed, the cool-down step is avoided. Controls are provided to maintain product and sump temperature at a temperature at which no appreciable pasteurization occurs.
(訳)遅れが生じてウォーキングビームCが停止した時、ゾーン15及び16のコントローラの目標値は、制御信号に応答して、好ましくは事前設定の所定時間の後に、より低い温度まで下がることになる。設定時間が経過する前に遅れが解決すれば、クールダウンのステップが防止されることになる。製品及び水溜の温度がさほどの低温殺菌が生じない温度に維持するように制御される。

摘示2-5(7欄62行?8欄14行)
The run-out of the pasteurizer 10 will be described in detail in connection with FIG. 4.
If for some reason the pasteurizer 10 must be emptied, the run-out is initiated manually by the operator. As run-out commences, the temperature transmitter 47 in the zone 11 pump discharge will sense a temperature rise and will begin to open the cooled water control valve 48. Cool water from storage tank 31 which was derived from the previously run-in, further cooled in the cooling heat exchanger 32 and, if needed by the chilling heat exchanger 33, is injected into the pump suction of the zone 11 pump to maintain the proper temperature. Similar injections of cooling water occur in zones 12 and 13. These injections of water will cause sump levels in zone 11, 12 and 13 to rise and to cumulatively overflow into zone 14 and to overflow at the outlet 14a and to flow by gravity or to be pumped through valve 49 to the overflow tank 31 at approximately the zone 14 sump temperature. Thus the cool water in tank 31 has been replaced by warm water to be stored for use in the next run-in.
(訳)低温殺菌器の運転停止を図4に関連して詳細に説明する。
何らかの理由で低温殺菌器10を空にしなければならない場合、運転停止はオペレーターによって手動で起動される。運転停止が始まると、ゾーン11のポンプ吐出内の温度送信機47が温度上昇を感知して、冷却された水の制御弁48を開き始めることになる。以前の稼働に由来する貯水タンク31からの冷水が、冷却用熱交換器32の中でさらに冷却され、必要に応じて、深冷用熱交換器33によってさらに冷却されて、適切な温度を維持するためにゾーン11のポンプの吸引部に注入される。冷却水の類似した注入が、ゾーン12及び13において生じる。これらの水の注入により、ゾーン11、12及び13の水溜レベルが上昇し、累積してゾーン14へ溢流し、出口14aにおいて溢流し、重力によって、またはポンピングされて、弁49を通って溢流タンク31まで、ほぼゾーン14の水溜温度で流れる。したがって、タンク31内の冷水が、次の運転開始において使用される温水によって置換されている。

摘示2-6(8欄50行?9欄2行)
Returning to FIG. 1, the run-in mode will be described. When the next run-in commences hot product is not available in zone 20 to heat the spray water coming from the zone 11 sump. The water from the zone 20 sump being pumped to the zone 11 sprays must be externally heated to replace that heat normally provided by the hot product in zone 20. The water in the storage tank 31, which was recovered and stored during the previous run-out, is used to provide the heat necessary to elevate the temperature of the water being pumped to the zone 11 sprays. This is accomplished by pumping the water from the storage tank 31 through line 51 to the heat exchanger HE20 where it is used to heat up the water from the zone 20 sump being pumped to the zone 11 spray heads 21. When run-in is complete, the temperature of the water in the storage tank 31 will have been lowered to approximately the zone 11 spray temperature setting. Therefore, when cooling water is required for the next run-out, it will be available from the storage tank 31. This represents a significant saving of energy that otherwise would have to be provided.
(訳)図1に戻って、運転開始モードを説明する。次の運転が始まる時、ゾーン20においてゾーン11の水溜から来る噴霧水を加熱するための高温の製品が利用可能でない。通常はゾーン20内の高温の製品によって供給される熱を置換するために、ゾーン20の水溜からゾーン11の噴霧器までポンピングされる水を外部から加熱しなければならない。以前の運転停止の際に回収されて貯蔵された貯水タンク31内の水が、ゾーン11の噴霧器までポンピングされる水の温度を上げるのに必要な熱を供給するために利用される。これは、貯水タンク31からライン51を通して熱交換器HE20まで水をポンピングすることによって達成され、熱交換器HE20において、この水は、ゾーン20の水溜からゾーン11の噴霧ヘッド21へポンピングされている水を加熱するために使用される。運転開始が完了すると、貯水タンク31内の水の温度は、ほぼゾーン11の噴霧温度の設定値まで下げられていることになる。したがって、次の運転停止のために冷却水が必要な時には、貯水タンク31から利用可能になる。これはそうでなければ供給されなければならないかなりのエネルギーが節約されることを表す。

甲3

摘示3-1(【請求項2】)
搬送装置により送られる容器に、順次加温用、殺菌用、冷却用の温水を浴びせて、所定の殺菌温度で、容器内の内容物を殺菌する殺菌装置において、温水を散布する領域を搬送方向に沿って複数設けると共に、各領域に散布する温水の温度をそれぞれコントロールする制御装置を設け、該制御装置は、容器の搬送が停止されたことを検出して、各領域に停止中の容器に対して、容器が正常に搬送された場合と実質的に同一の加温、殺菌、冷却の温水が散布されるように、各領域に散布される温水の温度及び散布時間をコントロールするようにしたことを特徴とする容器内容物の殺菌装置。

摘示3-2(図1) 16:スプレー 9:槽

第6.引用発明の認定

甲1には、4系統の噴霧器が4つの水タンクにバルブを介して接続された低温殺菌器(摘示1-1,1-3,1-5,1-6)において、低温殺菌プロセスの制御のための装置(摘示1-2)が行う、通常動作時(摘示1-7)及びコンベアが緊急停止した場合(摘示1-8)のバルブの開閉操作について、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる、

「コンベア(2)により送られる瓶(1)に、中間領域で低温殺菌温度にするための温度の水を噴霧器から噴霧し、低温殺菌温度でビールを殺菌する低温殺菌プロセスの制御のための装置において、
上流から下流に第1から第4の噴霧器(3?6)と、第1から第4のタンク(7?10)が位置し、第2,第3のタンクは、殺菌用温度(65℃、62℃)の水を含有し、第1,第4のタンクは、それよりも低い(50℃)の温度の水を含有し、
中間領域に位置する第2,第3の噴霧器は、第2の噴霧器(4)が第1のバルブ(18)を介して第1のタンク(7)と接続され、第2のバルブ(20)を介して第2のタンク内の第1のチャンバ(12)と接続され、第3の噴霧器(5)が第3のバルブ(30)を介して第4のタンク(10)と接続され、第4のバルブ(32)を介して第3のタンク内の第3のチャンバ(24)と接続され、
通常動作時は、第1,第3のバルブを閉じ、第2、第4のバルブを開けて、第2、第3の噴霧器から殺菌用の水を瓶に噴霧し、その水は、第2のタンク内の第2のチャンバ(13)及び第3のタンク内の第4のチャンバ(25)にそれぞれ集められた後に、第1のチャンバ及び第3のチャンバへとあふれ出るが、コンベアの緊急停止の場合には、第1,第3のバルブを開け、第2、第4のバルブを閉じて、より低い温度を有する水をすぐに噴霧し、その水を、第2のチャンバ及び第4のチャンバから、それぞれ第1のタンク及び第4のタンクへの水リサイクルを生じさせる温度制御のための装置を備えた低温殺菌プロセスの制御のための装置。」

第7.発明の対比

本件発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「コンベア(2)」が本件発明の「搬送装置」に相当し、以下、「瓶(1)」が「容器」、「中間領域」が「殺菌ゾーン」、「噴霧器から噴霧」が「ノズルから散水」、「ビール」が「内容物」、「低温殺菌プロセスの制御のための装置」が「殺菌装置の過剰殺菌防止装置」、「第1のチャンバ(12)及び第3のチャンバ(24)」が、「高温水回収槽」、「第1のタンク(7)及び第4のタンク(10)」が「低温水回収槽」、「第3の噴霧器(5)」が「第1のノズル」、「第2の噴霧器(4)」が「第2のノズル」、「第3のバルブ(30)」が「第1の低温水用開閉弁」、「第1のバルブ(18)」が「第2の低温水用開閉弁」、「温度制御のための装置」が「制御装置」にそれぞれ相当しており、引用発明における「コンベアの緊急停止の場合には、第1,第3のバルブを開け、第2、第4のバルブを閉じて、より低い温度を有する水をすぐに噴霧し、その水を、第2のチャンバ及び第4のチャンバから、それぞれ第1のタンク及び第4のタンクへの水リサイクルを生じさせる」ことは、本件発明の「殺菌装置内の容器の搬送が停止した際、前記第1の低温水用開閉弁を開とし、前記第1のノズルを前記低温水回収槽と接続して殺菌ゾーンに低温水を供給するとともに、殺菌ゾーンで散水された低温水を前記低温水回収槽で回収し」かつ「前記第2の低温水用開閉弁を開とし、前記第2のノズルを前記低温水回収槽と接続して殺菌ゾーンに低温水を供給するとともに、殺菌ゾーンで散水された低温水を前記低温水回収槽で回収する」ことに相当している。
してみると、本件発明のうち、
「搬送装置により送られる容器に、殺菌ゾーンで殺菌用の温水をノズルから散水し、所定の殺菌温度で容器内の内容物を殺菌する殺菌装置における過剰殺菌防止装置において、殺菌用の高温水を回収する高温水回収槽と、前記殺菌用の高温水よりも温度の低い低温水を回収する低温水回収槽とを配置し、殺菌ゾーンで散水された温水を前記高温水回収槽もしくは低温水回収槽へ回収可能とするとともに、殺菌ゾーンに配置されたノズルを前記高温水回収槽もしくは低温水回収槽と接続可能とし、前記殺菌ゾーンに配置されたノズルは、第1のノズルと、前記第1のノズルよりも容器の搬送方向上流側に配置された第2のノズルとを有し、前記第1のノズルが第1の低温水用開閉弁を介して前記低温水回収槽と接続され、前記第2のノズルが第2の低温水用開閉弁を介して前記低温水回収槽と接続され、殺菌装置内の容器の搬送が停止した際、前記第1の低温水用開閉弁を開とし、前記第1のノズルを前記低温水回収槽と接続して殺菌ゾーンに低温水を供給するとともに、殺菌ゾーンで散水された低温水を前記低温水回収槽で回収し、前記第2の低温水用開閉弁を開とし、前記第2のノズルを前記低温水回収槽と接続して殺菌ゾーンに低温水を供給するとともに、殺菌ゾーンで散水された低温水を前記低温水回収槽で回収する制御を行う制御装置を備えた殺菌装置における過剰殺菌防止装置。」の点は、引用発明と一致し、両者は以下の点で相違する。

相違点1:本件発明では、第2のノズルが第2の低温水用開閉弁を介して「第1のノズルと接続された低温水回収槽」と接続されるのに対し、引用発明では、第2の噴霧器(4)が第1のバルブ(18)を介して「第3の噴霧器(5)と接続されていない第1のタンク(7)」と接続される点。

相違点2:本件発明が、殺菌装置内の容器の搬送が停止した際、第1の低温水用開閉弁及び第2の低温水用開閉弁をそれぞれ「第1の所定時間及び前記第1の所定時間より長い第2の所定時間」の経過後に開として低温水を供給するのに対し、引用発明は、コンベアの緊急停止の場合に、より低い温度を有する水を「すぐに」噴霧するように第1,第3のバルブを開ける点。

第8.相違点の判断

相違点1について
相違点1に関し、本件明細書【0003】【0016】?【0017】の記載によれば、本件発明は、それぞれの領域に散布する温水の温度制御装置を個別に設ける必要をなくすために、第1及び第2のノズルが接続される低温水回収槽を一体化するものと認められる。
これに対し、甲1には、引用発明の「第3の噴霧器(5)と接続された第4のタンク(10)」が、「第1のタンク(7)」とは異なる領域に配置され、しかも、低温殺菌後の瓶の熱を、低温殺菌前の瓶へと移すために、それぞれ、相手の上部に配置された第4の噴霧器(6)及び第1の噴霧器(3)に接続されていること(摘示1-1,1-4)が記載されており、これは、低温殺菌後の瓶から熱を奪った噴霧水を第4のタンク(10)で回収し、これを第1の噴霧器から噴霧することで低温殺菌前の瓶へ熱を移して第1のタンク(7)で回収することを意味し、第4のタンク(10)と第1のタンク(7)で回収する低温水の温度差を利用するものと認められる。
してみると、第4のタンク(10)と第1のタンク(7)を一体化すると、このような熱の移動ができなくなるから、引用発明において相違点1を解消することには阻害要因がある。
また、甲2には、10個の加熱ゾーン及び冷却ゾーンのそれぞれに水を回収する水溜を有する低温殺菌器(摘示2-1,2-3)、甲3には、搬送方向に複数設けられた領域毎に水を回収する槽を有する殺菌装置(摘示3-1,3-2)が記載されているにすぎず、これらの装置構造を引用発明に適用しても、異なる領域の2つのタンクはそのまま維持され、相違点1を解消することにはならない。
したがって、引用発明において相違点1を解消することは、当業者が容易になし得たことではない。

なお、請求人は口頭審理陳述要領書にて、低温水を一基の回収槽で回収することは、当業者にとって単なる設計的事項にすぎないと主張し、その根拠として、甲2に記載された「貯水タンク31」を挙げているが、この貯水タンク31について、甲2には、低温殺菌器を空にする運転停止の際に、予熱ゾーンの水溜に残った温水を回収し(摘示2-2,2-5)、次回の運転開始の際に、当該温水を、予冷ゾーンの水溜から予熱ゾーンの噴霧ヘッドへ送られる水と熱交換する(摘示2-6)ために用いられることが記載されている。
してみると、この貯水タンク31は、低温殺菌器を運転中にノズルで噴霧するための水を回収するものではなく、引用発明の第1のタンク(7)や第4のタンク(10)と役割が全く異なる別異のものと認められるから、当該主張は採用できない。

相違点2について
相違点2に関し、本件明細書【0018】?【0021】【0024】の記載によれば、本件発明は、容器の搬送が再開した際に即時復帰を可能にするために、第1及び第2の低温水用開閉弁をそれぞれ第1の所定時間及びそれより長い第2の所定時間の経過後に開にするものと認められる。
これに対し、甲2には、低温殺菌装置において搬送装置であるウォーキングビームが停止した場合に、低温殺菌ゾーン15,16の温度を所定時間後に下げることにより、停止による遅れが短時間であった場合には冷却を行わないこと(摘示2-4)が記載されている。
してみると、この甲2の記載は、引用発明において、コンベアの緊急停止の場合に、より低い温度を有する水をすぐにではなく所定時間後に噴霧するように第1,第3のバルブを共に「所定時間後に」開けることを示唆するものといえるが、第1のバルブを第3のバルブより長い所定時間後に開けることを示唆するものではない。
また、甲3には、全ての領域に温水の温度制御装置を設けた低温殺菌装置において、容器の搬送が停止された場合に、各領域における温水散布時間を制御し、容器に対し正常に搬送された場合と同様の温水の散布を行うこと(摘示3-1,3-2)が記載されている。
しかしながら、甲1には、引用発明では、第1の噴霧器(3)及び第4の噴霧器(6)に低温水のみが供給されている(摘示1-1,1-4)と記載されているから、この甲3の記載が、引用発明において、第1のバルブを第3のバルブより長い所定時間後に開け、第2の噴霧器(4)及び第3の噴霧器(5)における温水散布時間のみを制御することを示唆するものとはいえない。
したがって、引用発明において相違点2を解消することも、当業者が容易になし得たことではない。

すなわち、引用発明において相違点1,2を解消することは、いずれも当業者が容易になし得たことではなく、また、本件発明は、相違点1,2により、各領域に温水制御装置を必要とせずに即時復帰が可能であるという作用効果を奏する。
よって、本件発明は、甲1に記載された発明に、甲2,3に記載された技術内容を付加することにより当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第9.むすび

以上のとおり、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、請求項1に係る特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
殺菌装置における過剰殺菌防止装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置により送られる容器に、殺菌ゾーンで殺菌用の温水をノズルから散水し、所定の殺菌温度で容器内の内容物を殺菌する殺菌装置における過剰殺菌防止装置において、殺菌用の高温水を回収する高温水回収槽と、前記殺菌用の高温水よりも温度の低い低温水を回収する低温水回収槽とを配置し、殺菌ゾーンで散水された温水を前記高温水回収槽もしくは低温水回収槽へ回収可能とするとともに、殺菌ゾーンに配置されたノズルを前記高温水回収槽もしくは低温水回収槽と接続可能とし、前記殺菌ゾーンに配置されたノズルは、第1のノズルと、前記第1のノズルよりも容器の搬送方向上流側に配置された第2のノズルとを有し、前記第1のノズルが第1の低温水用開閉弁を介して前記低温水回収槽と接続され、前記第2のノズルが第2の低温水用開閉弁を介して前記第1のノズルと接続された前記低温水回収槽と接続され、殺菌装置内の容器の搬送が停止した際、第1の所定時間経過後、前記第1の低温水用開閉弁を開とし、前記第1のノズルを前記低温水回収槽と接続して殺菌ゾーンに低温水を供給するとともに、殺菌ゾーンで散水された低温水を前記低温水回収槽で回収し、前記第1の所定時間より長い第2の所定時間経過後、前記第2の低温水用開閉弁を開とし、前記第2のノズルを前記低温水回収槽と接続して殺菌ゾーンに低温水を供給するとともに、殺菌ゾーンで散水された低温水を前記低温水回収槽で回収する制御を行う制御装置を備えたことを特徴とする殺菌装置における過剰殺菌防止装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、清涼飲料、果汁飲料、薬品等のボトリングラインにおける、各種の殺菌処理ラインにおいて、何らかのトラブルでボトリングラインを停止しなければならなくなった時に、容器内容物の過剰殺菌防止を目的とした殺菌装置における過剰殺菌防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ボトリングラインにおいて、何らかのトラブルにより搬送が停止した場合、搬送装置により送られる容器に、順次加温用、殺菌用、冷却用の温水を浴びせて、所定の殺菌温度で、容器内の内容物を殺菌する殺菌装置において、温水を散布する槽を搬送方向に沿って複数設けると共に、各槽に散布する温水の温度をそれぞれコントロールする制御装置を設け、該制御装置は、容器の停止を検出して、各槽に停止中の容器に対して、容器が正常に搬送された場合と実質的に同一の加温、殺菌、冷却の温水が散布されるように、各槽に散布される温水の温度をコントロールするようにした容器内容物の殺菌装置は従来から知られているところである(特開平8-19386号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の特開平8-19386号公報の技術は、各槽に散布する温水の温度をそれぞれコントロールする制御装置が必要であるという問題があった。
【0004】
また、温水の温度を低下させるには多量の水が必要となるものであり、復帰時には温度の上昇に時間を要するものであった。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、ボトリングラインが停止した場合でも、即座に散布する温水の温度を変更することを可能とし容器内容物の過剰殺菌の防止を図った殺菌装置における過剰殺菌防止装置を提供することにその目的がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するために、搬送装置により送られる容器に、殺菌ゾーンで殺菌用の温水をノズルから散水し、所定の殺菌温度で容器内の内容物を殺菌する殺菌装置における過剰殺菌防止装置において、殺菌用の高温水を回収する高温水回収槽と、前記殺菌用の高温水よりも温度の低い低温水を回収する低温水回収槽とを配置し、殺菌ゾーンで散水された温水を前記高温水回収槽もしくは低温水回収槽へ回収可能とするとともに、殺菌ゾーンに配置されたノズルを前記高温水回収槽もしくは低温水回収槽と接続可能とし、殺菌装置内の容器の搬送が停止した際、所定時間経過後、前記ノズルを前記低温水回収槽と接続して殺菌ゾーンに低温水を供給するとともに、殺菌ゾーンで散水された低温水を低温水回収槽で回収するという技術手段を採用した。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、以上の技術手段を採用した結果、ボトリングラインのトラブルで容器の搬送が停止されたことを検出して、所定時間経過後、開閉弁を切り換え殺菌ゾーンに低温水を供給し、かつ開閉弁を切り換え殺菌ゾーンと低温水回収配管を接続できる殺菌装置における過剰殺菌防止装置である。
【0008】
【実施例】
次に、本発明の具体的な一実施例について説明する。
図1は本発明の通常状態の殺菌装置を概略的に示す系統図である。
先ず、本発明における殺菌装置の全体像を概略説明する。殺菌装置1は内容物の収納された容器2(以下単に容器という)の流れを入口3から出口4へ殺菌領域を通って移動させるように搬送装置5を有するものである。そして、殺菌装置1には搬送装置5上部に設けられ温水を散水するノズル8A、8B、8Cと、これらノズルに対応して下部に設けられ散水された温水を収容し排水する樋7A、7B、7Cを有している。そして、ノズル8A、8Bと樋7A、7Bにより殺菌ゾーン9を構成し、ノズル8Cと樋7Cから下流を冷却ゾーン10としている。
【0009】
この殺菌ゾーン9では高温水回収槽15と高温水を散水するノズル8A、8Bが接続され、また樋7A、7Bが接続されて高温水回収槽15から高温水が供給され、回収されるようになっている。冷却ゾーンでは低温水回収槽16と低温水を散水するノズル8Cが接続され、また樋7Cに接続されて低温水回収槽16から低温水が供給され、回収されるようになっている。各温水の供給はポンプ6A、6Bにより行うようになっている。
【0010】
図1からも理解できるように、殺菌ゾーン9は、ノズル8Aと、このノズル8Aから散水された高温水を収容するように仕切られた樋7Aより構成される領域と、ノズル8B、樋7Bより構成される領域に分けられている。
【0011】
ノズル8A、8Bが高温水用開閉弁14A、14Bを介して高温水供給配管13により高温水回収槽15と接続され、高温水の供給が可能となっている。さらに、ノズル8A、8Bが低温水用開閉弁12A、12Bを介して低温水供給配管11により低温水回収槽16と接続され、低温水の供給が可能になっている。樋7Aが高温水用開閉弁17Aを介して高温水用回収配管20により高温水回収槽15に、低温水用開閉弁18Aを介して低温水用回収配管19により低温水回収槽16に接続され、開閉弁の切り換えにより排水する槽を振り分けることができる。樋7Bが高温水用開閉弁17Bを介して高温水用回収配管20により高温水回収槽15に、低温水用開閉弁18Bを介して低温水用回収配管19により低温水回収槽16に接続され、各開閉弁の切り換えにより前記と同様に排水する槽を振り分けることができる。
【0012】
そして、通常運転の場合の動作説明としては、高温水用開閉弁14A、14Bを開に、低温水用開閉弁12A、12Bを閉とし、ノズル8A、8Bに高温水を供給し、ノズル8Cに低温水を供給し、高温水用開閉弁17A、17Bを開に、低温水用開閉弁18A、18Bを閉じ樋7A、7Bから高温水を回収している。さらに、樋7Cからも低温水を回収している。
【0013】
この状態において、搬送装置5(例えばコンベヤ)で容器を搬送し、殺菌ゾーン9にてノズル8A、8Bより高温水を散水して浴びせ内容物の殺菌を行い、冷却ゾーン10にてノズル8Cより低温水を散水して浴びせ冷却を行う。
また、散水した温水は各々の回収槽に回収され再び各ノズルに供給されるようになっている。
【0014】
なお、本実施例では、高温水を90℃、低温水を60℃に設定している。
そして、殺菌に必要な時間は7分で、おおむね11分を越えると過剰殺菌となる場合であり、ノズル8Aで3分、ノズル8Bで4分散水するよう、散水領域、搬送速度等を設定している。
【0015】
ノズル8Cの下流側に必要な長さの冷却ゾーン10が延長されている。なお、ノズル8C、樋7Cにより形成される領域は必ずしも必要でないものである。必要に応じて殺菌ゾーン9の上流に容器を加温する加温ゾーンを設けることもできる。
【0016】
次に、搬送停止時の過剰殺菌防止の動作を説明する。
ボトリングラインの殺菌装置1の下流側の装置に何らかのトラブルが発生して、容器2の搬送が停止すると、この停止を検知して搬送停止信号を制御装置(図示していない)に送信する。すると、停止後4分に満たない間、すなわち4分以内であれば、殺菌時間が11分を越えることはないので通常運転状態のままで良い(図2)。そして停止後4分の時点で、通常運転状態から高温水用開閉弁14Bを閉、低温水用開閉弁12Bを開とし、ノズル8Bに低温水を供給すると共に、高温水用開閉弁17Bを閉、低温水用開閉弁18Bを開とし樋7Bと低温水回収槽16を接続する(図3)。この状態で殺菌ゾーン内のノズル8B下方の領域に停止している容器に低温水を散水して過剰殺菌を防止するようになっている。
【0017】
この場合、図3中の(D)の容器の殺菌時間が約11分、(C)の容器の殺菌時間が約7分となる。そして、停止後7分の時点では、停止後4分の状態から高温水用開閉弁14Aを閉、低温水用開閉弁12Aを開とし、ノズル8Aに低温水を供給すると共に、高温水用開閉弁17Aを閉、低温水用開閉弁18Aを開として樋7Aと低温水回収槽16を接続する(図4)。この状態で殺菌ゾーン内のノズル8A下方の領域に停止している容器についても低温水を散水して過剰殺菌を防止するようになっている。この場合、図4中の(B)の容器の殺菌時間が約10分、(A)の容器の殺菌時間が約7分となる。
【0018】
次に、復帰動作について図5?図13に基づいて説明する。
トラブルが解消し運転が再開されると、先ず、停止後4分まで(図2の状態)からの復帰は、そのままの状態で容器搬送を再開し、新たな容器も導入可能である(図5?図7)。停止後4?7分未満(図3の状態)からの復帰では、図8中(A)の容器はすでに最長で約7分の殺菌を行っており、ノズル8A通過時点で10分となり、過殺菌を防ぐには(A)の容器2がノズル8B下方を通過するまでは、ノズル8Bから高温水を散水できず新たに導入した容器2が殺菌不足となる。このため新たな容器2の導入は行わない制御としている。
【0019】
復帰4分後の時点で新たな容器の導入が可能となり(図9)、7分の時点で低温水用開閉弁12Bを閉、高温水用開閉弁14Bを開とし、ノズル8Bに高温水を供給し、高温水用開閉弁17Bを開、低温水用開閉弁18Bを閉として樋7Bと高温水回収槽15を接続する(図10)。
【0020】
停止後7分以上(図4の状態)からの復帰では、ノズル8A下方の容器2はすでに7分以上の殺菌を行っており、この状態のまま新たに容器2の導入を行わず搬送する。
【0021】
復帰4分後の時点で新たな容器の導入は可能となり低温水用開閉弁12Aを閉、高温水用開閉弁14Aを開とし、ノズル8Aに高温水を供給し、低温水用開閉弁18Aを閉、高温水用開閉弁17Aを開とし樋7Aを高温水回収槽15を接続する(図12)。復帰7分後、低温水用開閉弁12Bを閉、高温水用開閉弁14Bを開とし、低温水用開閉弁18Bを閉、高温水用開閉弁17Bを開として、ノズル8Bに高温水を供給し、樋8Bと高温水回収槽15を接続する(図13)。
【0022】
次に、図14に基づいて他の実施例ついて説明する。
基本的な構成は同じであるが、冷却ゾーン10の樋7Cは設けず、直接低温水回収槽16に回収するようにし、ポンプ6Bにより供給される低温水は冷却ゾーン10のみに独立した供給配管21で送られ、常に60℃の低温水が供給されている。
【0023】
また、ノズル8A、8Bは、各々にポンプ6Aを備えた2本の高温水供給配管13により、それぞれ高温水用開閉弁14A、14Bを介して高温水回収槽15と接続されており、殺菌ゾーン9に高温水を供給できるようになっている。さらに、高温水供給配管13には、低温水回収槽16に配管され、低温水用開閉弁12A、12Bをそれぞれ備えた低温水供給配管11が接続され、低温水回収槽16から殺菌ゾーン9へ低温水を供給できるようになっている。そして、前記実施例と同様に容器の搬送停止後は、高温水用開閉弁14A、14B、低温水用開閉弁12A、12Bの開、閉を切り換えて容器内容物の過剰殺菌を防止するものである。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、以上の構成を採用した結果、次の効果を得ることができる。
(1)散水温低下時に大量の冷却水を必要としない。
(2)即時復帰が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の殺菌装置の一実施例の通常状態を示す概略系統説明図である。
【図2】
本発明の殺菌装置がトラブルで装置が停止した直後の状態を示す概略系統説明図である。
【図3】
本発明の殺菌装置がトラブルで装置が停止して4分後の状態を示す概略系統説明図である。
【図4】
本発明の殺菌装置がトラブルで装置が停止して約7分後の状態を示す概略系統説明図である。
【図5】
本発明の殺菌装置が図2の状態から復帰動作する場合、0分後の復帰状態を示す概略系統説明図である。
【図6】
本発明の殺菌装置が図2の状態から復帰動作する場合、約4分後の復帰状態を示す概略系統説明図である。
【図7】
本発明の殺菌装置が図2の状態から復帰動作する場合、約7分後の復帰状態を示す概略系統説明図である。
【図8】
本発明の殺菌装置が図3の状態から復帰動作する場合、0分後の復帰状態を示す概略系統説明図である。
【図9】
本発明の殺菌装置が図3の状態から復帰動作する場合、約4分後の復帰状態を示す概略系統説明図である。
【図10】
本発明の殺菌装置が図3の状態から復帰動作する場合、約7分後の復帰状態を示す概略系統説明図である。
【図11】
本発明の殺菌装置が図4の状態から復帰動作する場合、0分後の復帰状態を示す概略系統説明図である。
【図12】
本発明の殺菌装置が図4の状態から復帰動作する場合、約4分後の復帰状態を示す概略系統説明図である。
【図13】
本発明の殺菌装置が図4の状態から復帰動作する場合、約7分後の復帰状態を示す概略系統説明図である。
【図14】
本発明の殺菌装置の他の実施例の通常状態を示す概略系統説明図である。
【符号の説明】
1‥‥殺菌装置 2‥‥容器
3‥‥入口 4‥‥出口
5‥‥搬送装置 6‥‥ポンプ
7‥‥樋 8‥‥ノズル
9‥‥殺菌ゾーン 10‥‥冷却ゾーン
11‥‥低温水供給配管 12‥‥低温水用開閉弁
13‥‥高温水供給配管 14‥‥高温水用開閉弁
15‥‥高温水回収槽 16‥‥低温水回収槽
17‥‥高温水用開閉弁 18‥‥低温水用開閉弁
19‥‥低温水用回収配管 20‥‥高温水用回収配管
21‥‥供給配管
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2018-02-07 
結審通知日 2018-02-13 
審決日 2018-03-06 
出願番号 特願平9-47358
審決分類 P 1 113・ 121- YAA (A61L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金 公彦  
特許庁審判長 新居田 知生
特許庁審判官 大橋 賢一
山本 雄一
登録日 2007-03-09 
登録番号 特許第3925568号(P3925568)
発明の名称 殺菌装置における過剰殺菌防止装置  
代理人 東山 喬彦  
代理人 野中 信宏  
代理人 矢野 千秋  
代理人 山岸 勇紀  
代理人 朝吹 英太  
代理人 若山 俊輔  
代理人 野中 信宏  
代理人 朝吹 英太  
代理人 磯田 志郎  
代理人 安國 忠彦  
代理人 長谷川 靖  
代理人 磯田 志郎  
代理人 長谷川 靖  
代理人 永島 孝明  
代理人 安國 忠彦  
代理人 永島 孝明  
代理人 若山 俊輔  
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