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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する B21K 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する B21K 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する B21K |
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管理番号 | 1340428 |
審判番号 | 訂正2018-390057 |
総通号数 | 223 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-07-27 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2018-03-15 |
確定日 | 2018-05-08 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5471492号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第5471492号の明細書及び特許請求の範囲を,本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件訂正審判請求に係る特許第5471492号(以下「本件特許」という。)は,平成22年1月20日に特許出願され,平成26年2月14日に特許権の設定登録がなされ,平成30年3月15日に本件訂正審判の請求がなされたものである。 第2 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は,特許第5471492号の明細書及び特許請求の範囲を,本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める,との審決を求めるものである。 第3 本件訂正の内容 本件訂正の内容は,次のとおりである(なお,下線部は訂正箇所を示すため本審が付したものである。)。 1.訂正事項1 本件特許請求の範囲の請求項1に, 「調質処理が施された鋼製の素材を、冷間鍛造で所定の形状に成形して、ビッカース硬さHVを180以上300以下とした後に、該素材に高周波焼入れを施して前記ラックを製造する」 とあるのを, 「調質処理が施された鋼製の素材を、冷間鍛造で所定の形状に成形して、ビッカース硬さHVを260とした後に、該素材に高周波焼入れを施して前記ラックを製造する」 と訂正する。 2.訂正事項2 本件特許請求の範囲の請求項2に, 「前記ラックに形成された歯と歯の間の谷部のビッカース硬さHVを180以上300以下に維持するように前記高周波焼入れを施す」 とあるのを, 「前記ラックに形成された歯と歯の間の谷部のビッカース硬さHVを260に維持するように前記高周波焼入れを施す」 と訂正する。 3.訂正事項3 本件特許明細書の段落0002に, 「S35?S55C」 とあるのを, 「S35C?S55C」 と訂正する。 4.訂正事項4 本件特許明細書の段落0006に, 「調質処理が施された鋼製の素材を、冷間鍛造で所定の形状に成形して、ビッカース硬さHVを180以上300以下とした後に、該素材に高周波焼入れを施して前記ラックを製造する」 とあるのを, 「調質処理が施された鋼製の素材を、冷間鍛造で所定の形状に成形して、ビッカース硬さHVを260とした後に、該素材に高周波焼入れを施して前記ラックを製造する」 と訂正する。 5.訂正事項5 本件特許明細書の段落0010に, 「前記ラックに形成された歯と歯の間の谷部のビッカース硬さHVを180以上300以下に維持するように前記高周波焼入れを施すことが好ましい。 すなわち、ラックの歯には焼入れを施して前記表層部を形成し、歯と歯の間の谷部には実質的に焼入れを施さず非焼入れ部を形成することが好ましい。焼入れが施されなければビッカース硬さHVは高周波焼入れ前の180以上300以下に維持されるから、前記谷部は十分な靱性を有している。」 とあるのを, 「前記ラックに形成された歯と歯の間の谷部のビッカース硬さHVを260に維持するように前記高周波焼入れを施すことが好ましい。 すなわち、ラックの歯には焼入れを施して前記表層部を形成し、歯と歯の間の谷部には実質的に焼入れを施さず非焼入れ部を形成することが好ましい。焼入れが施されなければビッカース硬さHVは高周波焼入れ前の260に維持されるから、前記谷部は十分な靱性を有している。」 と訂正する。 6.訂正事項6 本件特許明細書の段落0035の表2に,「実施例」として番号1ないし12が付されているのを,以下のとおり,「参考例」として番号1ないし6及び8ないし12を付し,「実施例」として番号7のみを付するよう訂正する。 7.訂正事項7 本件特許明細書の段落0032に, 「以下に、実施例を示して、」 とあるのを, 「以下に、実施例及び参考例を示して、」 と訂正する。 8.訂正事項8 本件特許明細書の段落0039に, 「表2,3からわかるように、実施例のラックは、冷間鍛造後の素材の硬さHVが180以上300以下であるため、」 とあるのを, 「表2,3からわかるように、実施例7のラックは、冷間鍛造後の素材の硬さHVが260であるため、」 と訂正する。 第4 当審の判断 1.訂正事項1 (1)訂正の目的について 訂正事項1は,訂正前の請求項1に係る発明における,冷間鍛造後の鋼製の素材のビッカース硬さHVを「180以上300以下」から「260」に減縮するものであるから,特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)新規事項の追加の有無について 願書に最初に添付した明細書の段落0035の表2に,実施例7として冷間鍛造後の素材のビッカース硬さHV「260」のものが記載されていたことからみて,訂正事項1は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであると認められる。 したがって,訂正事項1は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって,特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1は,上記(1)のとおり,特許請求の範囲を減縮するものである。また,訂正事項1は,請求項1に係る発明の属する発明のカテゴリを変更するものではない。 したがって,訂正事項1は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではなく,特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4)独立特許要件について 訂正事項1は,上記(1)のとおり,特許請求の範囲を減縮するものであるから,本件訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項1,2及び3に係る発明(以下,まとめて「本件訂正発明1」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるかどうかについて検討する。 本件訂正発明1は,特許出願の際独立して特許を受けることができた特許第5471492号の請求項1、2及び3に係る発明を減縮するものである上、本件訂正発明1について,特許査定された事情を変更すべき新たな事由を形成するものは,現時点では見当たらない。 したがって,本件訂正発明1については,特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しないから,訂正事項1は特許法第126条第7項の規定に適合する。 2.訂正事項2 (1)訂正の目的について 訂正事項2は,訂正前の請求項2に係る発明における,高周波焼入れを施した後の,ラックに形成された歯と歯の間の谷部のビッカース硬さHVを「180以上300以下」から「260」に減縮するものであるから,特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)新規事項の追加の有無について 願書に最初に添付した明細書の段落0035の表2に,実施例7として冷間鍛造後の素材のビッカース硬さHV「260」のものが記載されていたこと,及び同段落0037の記載「冷間鍛造後の素材のビッカース硬さHVを、表2,3に示す。素材のビッカース硬さHVは、ラックの歯と歯の間の谷部から数mm内方の部分について測定し、複数回測定して得た測定値のうち最高値を採用した。この谷部には、この後の高周波焼入れにより焼入れが施されることはないので、高周波焼入れ及び焼戻しが施されても谷部のビッカース硬さはほとんど変化しない。よって、この谷部のビッカース硬さHVは、完成品ラックの非焼入れ部のビッカース硬さでもある。」からみて,訂正事項2は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであると認められる。 したがって,訂正事項2は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって,特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項2は,上記(1)のとおり,特許請求の範囲を減縮するものである。また,訂正事項2は,請求項2に係る発明の属する発明のカテゴリを変更するものではない。 したがって,訂正事項2は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではなく,特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4)独立特許要件について 訂正事項2は,上記(1)のとおり,特許請求の範囲を減縮するものであるから,本件訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項2及び3に係る発明(以下,まとめて「本件訂正発明2」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるかどうかについて検討する。 本件訂正発明2は,特許出願の際独立して特許を受けることができた特許第5471492号の請求項2及び3に係る発明を減縮するものである上、本件訂正発明2について,特許査定された事情を変更すべき新たな事由を形成するものは,現時点では見当たらない。 したがって,本件訂正発明2については,特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しないから,訂正事項2は特許法第126条第7項の規定に適合する。 3.訂正事項3 (1)訂正の目的について 訂正事項3において,「S35」を「S35C」に訂正した点を検討すると,日本工業規格JIS G4051は,機械構造用炭素鋼鋼材(以下,単に「鋼材」という。)の種類の一つとして,「S35C」を規定するが,「S35」は規定していないことからすれば,本件訂正前の明細書の段落0002には,鋼材の種類に関して誤記があることは明白である。 したがって,訂正事項3は,明細書の段落0002の記載を上記日本工業規格の規定と整合させる誤記の訂正であるから,特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。 (2)新規事項の追加の有無について 訂正事項3は,上記(1)のとおり,鋼材の種類に関する明白な誤記を訂正するものに過ぎないから,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであると認められる。 したがって,訂正事項3は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって,特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項3は,上記(1)のとおり,鋼材の種類に関する明白な誤記を訂正するものに過ぎず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第126条第6項の規定に適合する。 4.訂正事項4 (1)訂正の目的について 本件訂正前の明細書の段落0006には,訂正事項1による訂正前の請求項1に係る発明に対応する記載が存在するところ,同段落0006は,訂正事項1による訂正後の請求項1に係る発明の記載とは一致せず,明瞭でないが,訂正事項4は,明細書の段落0006の記載を訂正事項1による訂正後の請求項1に係る発明の記載と一致させるものである。 したがって,訂正事項4は,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項の追加の有無について 「1.訂正事項1」の「(2)新規事項の追加の有無について」で指摘したのと同様に,訂正事項4は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって,特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 「1.訂正事項1」の「(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について」で指摘したのと同様に,訂正事項4は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではなく,特許法第126条第6項の規定に適合する。 5.訂正事項5 (1)訂正の目的について 本件訂正前の明細書の段落0010には,訂正事項2による訂正前の請求項2に係る発明に対応する記載が存在するところ,同段落0010は,訂正事項2による訂正後の請求項2に係る発明の記載とは一致せず,明瞭でないが,訂正事項5は,明細書の段落0010の記載を訂正事項2による訂正後の請求項2に係る発明の記載と一致させるものである。 したがって,訂正事項5は,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項の追加の有無について 「2.訂正事項2」の「(2)新規事項の追加の有無について」で指摘したのと同様に,訂正事項5は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって,特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 「2.訂正事項2」の「(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について」で指摘したのと同様に,訂正事項5は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではなく,特許法第126条第6項の規定に適合する。 6.訂正事項6及び7 (1)訂正の目的について 本件訂正前の明細書の段落0035の表2には,訂正事項1及び2による訂正前の請求項1及び2に係る発明に対応する実施例1ないし12が記載されているところ,これらの内、実施例1ないし6及び8ないし12は,訂正事項1及び2による訂正後の請求項1及び2に係る発明には対応せず,明瞭でない。 また,同段落0032には,「以下に、実施例を示して、」と記載されているところ,実施例の内,実施例1ないし6及び8ないし12は,訂正事項1及び2による訂正後の請求項1及び2に係る発明には対応せず,明瞭でない。 ここで,訂正事項6及び7は,明細書の段落0035の表2の実施例及び同段落0032の実施例の内,訂正事項1及び2による訂正後の請求項1及び2に係る発明に対応しないものを参考例とすることにより,これらを同請求項1及び2に係る発明に整合させるものである。 したがって,訂正事項6及び7は,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項の追加の有無について 訂正事項6及び7は,上記(1)のとおり,訂正事項1及び2による訂正後の請求項1及び2に係る発明に対応しない実施例を参考例とするものに過ぎないから,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであると認められる。 したがって,訂正事項6及び7は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって,特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項6及び7は,上記(1)のとおり,訂正事項1及び2による訂正後の請求項1及び2に係る発明に対応しない実施例を参考例とするものに過ぎず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第126条第6項の規定に適合する。 7.訂正事項8 (1)訂正の目的について 本件訂正前の明細書の段落0039には,訂正事項6による訂正前の明細書の段落0035の表2の実施例1ないし12に対応する記載が存在するため,当該記載で示された実施例は,訂正事項6による訂正後の明細書の段落0035の表2の実施例7には一致せず,明瞭でないが,訂正事項8は,明細書の段落0039の当該記載で示された実施例を訂正事項6による訂正後の明細書の段落0035の表2の実施例7に一致させるものである。 したがって,訂正事項8は,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項の追加の有無について 願書に最初に添付した明細書の段落0035の表2に,実施例7として冷間鍛造後の素材のビッカース硬さHV「260」のものが記載されていたことからみて,訂正事項8は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであると認められる。 したがって,訂正事項8は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって,特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項8は,上記(1)のとおり,明細書の段落0039の記載で示された実施例を,訂正事項6による訂正後の明細書の段落0035の表2の実施例7に一致させるものに過ぎないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではなく,特許法第126条第6項の規定に適合する。 第5 むすび 以上のとおりであるから,本件訂正は,特許法第126条第1項ただし書第1号、第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第5項ないし第7項の規定に適合する。 よって,結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ラックアンドピニオン式ステアリング装置の製造方法 【技術分野】 【0001】 本発明は、自動車等に用いられるラックアンドピニオン式ステアリング装置の製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 乗用車においては、ステアリング軸の回転を左右の転舵輪の運動に変換する機構として、高剛性且つ軽量であることから、ラックアンドピニオン機構が主に用いられている。そして、ラックアンドピニオン式ステアリング装置のラックは、中炭素鋼材(例えば日本工業規格JIS G4051に規定されたS35C?S55Cに相当する鋼材)で構成され、通常は以下のようにして製造される。すなわち、中炭素鋼材を圧延して得た棒状素材に焼入れ,焼戻しを施した後に、ピニオンの歯と噛み合う歯を切削加工により形成し、この歯に高周波焼入れ処理を施す。このようにラックは切削加工により成形されるため、製造に多くの手間や時間を要し高コストであるという難点があった。 【0003】 そこで、ラックを冷間鍛造等の塑性加工により成形する方法がある(特許文献1を参照)。塑性加工によれば、切削加工に比べて製造に多くの手間や時間を必要としないため、製造コストが低減される。また、近年においては、棒状素材に代えてパイプのような管状素材を素材として用いて、ラックを塑性加工により成形することが提案されている。ラックを管状素材から製造することにより、自動車の軽量化が達成される。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開2007-144433号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 近年においては自動車の使用条件は厳しくなっており、ラックアンドピニオン式ステアリング装置に求められる性能も年々高くなってきている。例えば、自動車が縁石等に乗り上げることにより衝撃や応力が入力された場合でも、破損が生じないような優れた耐衝撃性及び静的強度をラックが有していることが要求されている。 しかしながら、冷間鍛造の後に高周波焼入れが施されて製造されたラックは、芯部等の非焼入れ部が冷間鍛造により加工硬化しているため、耐衝撃性が不十分である場合があった。そのため、自動車が縁石等に乗り上げることにより衝撃や応力がラックに入力されると、脆性的破壊が生じて破損するおそれがあった。 そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、使用時に衝撃や応力が入力されてもラックに損傷が生じにくいラックアンドピニオン式ステアリング装置を製造する方法を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係るラックアンドピニオン式ステアリング装置の製造方法は、運転者の操舵により回転するステアリング軸と、前記ステアリング軸に連結され前記ステアリング軸の回転に伴って回転するピニオンと、前記ピニオンに噛み合うとともに車輪に連結されるラックと、を備えるラックアンドピニオン式ステアリング装置を製造するに際して、調質処理が施された鋼製の素材を、冷間鍛造で所定の形状に成形して、ビッカース硬さHVを260とした後に、該素材に高周波焼入れを施して前記ラックを製造することを特徴とする。 【0007】 成形した素材に高周波焼入れを施すと、焼入れが施され硬化された表層部が素材の表面に形成され、焼入れが施されていない非焼入れ部が素材の主に芯部に形成される。そして、非焼入れ部の硬さは、成形後(高周波焼入れ前)の素材の硬さがほぼそのまま維持される。素材に調質処理が施されていないと、冷間鍛造により加工硬化した結果、非焼入れ部は靱性不十分となるが、冷間鍛造の前に調質処理を施せば素材は適度な硬さに調整されるので、冷間鍛造により加工硬化しても非焼入れ部は十分な靱性を有している。 【0008】 よって、本発明に係るラックアンドピニオン式ステアリング装置の製造方法により得られたラックアンドピニオン式ステアリング装置のラックは、優れた耐衝撃性及び静的強度を有している。ラックアンドピニオン式ステアリング装置のラックには大きな衝撃や応力が入力される場合があるが、ラックの耐衝撃性及び静的強度(特に曲げ強度)が優れているため、大きな衝撃や応力が入力されてもラックに損傷が生じにくい。 【0009】 この調質処理は、鋼の組成や冷間鍛造の内容に応じて、冷間鍛造後の素材のビッカース硬さHVが180以上300以下となるように行う必要がある。素材のビッカース硬さHVが180未満であるということは、調質処理により微細炭化物が球状化していることを意味するが、微細炭化物が球状化するとラックの耐衝撃性及び静的強度が不十分となるおそれがある。一方、素材のビッカース硬さHVが300超過であるということは、調質処理により微細炭化物の分散状態が不十分な組織となっていることを意味するが、微細炭化物の分散状態が不十分であるとラックの耐衝撃性及び静的強度が不十分となるおそれがある。 【0010】 上記のような本発明に係るラックアンドピニオン式ステアリング装置の製造方法においては、前記ラックに形成された歯と歯の間の谷部のビッカース硬さHVを260に維持するように前記高周波焼入れを施すことが好ましい。 すなわち、ラックの歯には焼入れを施して前記表層部を形成し、歯と歯の間の谷部には実質的に焼入れを施さず非焼入れ部を形成することが好ましい。焼入れが施されなければビッカース硬さHVは高周波焼入れ前の260に維持されるから、前記谷部は十分な靱性を有している。よって、ラックは、より優れた耐衝撃性及び静的強度を有しているので、大きな衝撃や応力が入力されても損傷がより生じにくい。 【0011】 また、上記のような本発明に係るラックアンドピニオン式ステアリング装置の製造方法においては、前記鋼の炭素の含有量が0.35質量%以上0.55質量%以下、ケイ素の含有量が0.1質量%以下、マンガンの含有量が0.5質量%以下、クロムの含有量が0.2質量%以下で、残部が鉄及び不可避の不純物であることが好ましい。 調質処理が施された鋼は一般に硬く加工しにくい傾向があるため、冷間鍛造に大きな荷重が必要となる場合や、冷間鍛造で成形している際に割れが生じる場合がある。しかしながら、上記のような組成の鋼からなる素材は、調質処理を施しても冷間鍛造しにくい硬さとはなりにくいので、冷間鍛造に大きな荷重は必要としないことに加えて、冷間鍛造時に割れが生じにくい。 ここで、前記鋼に含有される各合金成分の含有量の臨界的意義について説明する。 【0012】 〔炭素の含有量について〕 炭素(C)は、高周波焼入れ後の鋼の強度や表面硬さを確保するために必要な元素である。ラックの硬さはHRC55以上であることが好ましいので、それを満足するためには、炭素の含有量は0.35質量%以上である必要がある。ただし、含有量が0.55質量%超過であると、硬さが高くなりすぎて調質処理後の冷間鍛造において成形性が不十分となるおそれがある。 【0013】 〔ケイ素の含有量について〕 ケイ素(Si)は、製鋼時に脱酸剤として作用する元素であるが、フェライトを固溶する元素であるため、含有量が0.1質量%超過であると、硬さが高くなりすぎて冷間鍛造における成形性が損なわれるおそれがある。 〔マンガンの含有量について〕 マンガン(Mn)は、製鋼時に脱酸剤として作用する元素であるとともに、高周波焼入れ性を向上させる作用を有する元素である。ただし、フェライトを固溶する元素であるため、含有量が0.5質量%超過であると、硬さが高くなりすぎて冷間鍛造における成形性が損なわれるおそれがある。 【0014】 〔クロムの含有量について〕 クロム(Cr)は、炭化物の析出とフェライトの固溶に関与する元素である。含有量が0.2質量%超過であると、硬さが高くなりすぎて冷間鍛造における成形性が損なわれるおそれがある。 〔鋼の残部について〕 前述の合金成分以外の残部は実質的に鉄(Fe)であるが、不可避の不純物として、イオウ(S),リン(P),銅(Cu),ニッケル(Ni),アルミニウム(Al),チタン(Ti),窒素(N),酸素(O)等を含有していても差し支えない。 【発明の効果】 【0015】 本発明のラックアンドピニオン式ステアリング装置の製造方法によれば、使用時に衝撃や応力が入力されてもラックに損傷が生じにくいラックアンドピニオン式ステアリング装置を製造することができる。 【図面の簡単な説明】 【0016】 【図1】ラックアンドピニオン式ステアリング装置の構造を説明する図である。 【図2】棒状素材に冷間鍛造を施してラックの形状に成形する工程を説明する図である。 【図3】管状素材に冷間鍛造を施してラックの形状に成形する工程を説明する図である。 【発明を実施するための形態】 【0017】 本発明に係るラックアンドピニオン式ステアリング装置の製造方法の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係るラックアンドピニオン式ステアリング装置の製造方法により製造されたラックアンドピニオン式ステアリング装置の構造を説明する図である。 ステアリングホイール10が上端部に固定されたステアリング軸11が、ステアリング軸用ハウジング12の内部に、軸心を中心に回転自在に支承されている。また、ステアリング軸用ハウジング12は、下部を車両の前方に向けて傾斜させた姿勢で、車室内部の所定位置に固定されている。 【0018】 ステアリング軸11の回転を左右の転舵輪15,15の運動に変換するラックアンドピニオン機構は、軸方向に移動可能なラック21と、ラック21の軸心に対して斜めに支承されラック21の歯に噛み合う歯を備えたピニオン22と、ラック21及びピニオン22を支承する筒状のラック用ハウジング23と、で構成されている。そして、ラックアンドピニオン機構は、その長手方向が車両の幅方向に沿うようにして、車両の前部のエンジンルーム内にほぼ水平に配置されている。 【0019】 また、ピニオン22の上端部とステアリング軸11の下端部とは、2個の自在継手25,26を介して連結されている。さらに、ラック21の両端部には、転舵輪15,15が連結されている。 運転者によってステアリングホイール10に操舵トルク(回転力)が加えられると、ステアリング軸11が回転し、このステアリング軸11の回転に伴ってピニオン22が回転する。そして、このピニオン22の回転がラックアンドピニオン機構によってラック21の左右方向のスライド運動に変換され、転舵輪15,15が駆動されて自動車が操舵される。 【0020】 なお、本実施形態のラックアンドピニオン式ステアリング装置には、いわゆるパワーステアリング機構を設けてもよい。すなわち、前記操舵トルクは、ステアリング軸11に取り付けられた図示しないトーションバーにより検出され、検出された操舵トルクに基づいて、電動モータ13の出力(操舵を補助する回転力)が制御される。電動モータ13の出力は、ステアリング軸11の中間部分に供給され(ピニオン22に供給されるようにしてもよい)、前記操舵トルクと合わされて、ラックアンドピニオン機構によって転舵輪15,15を駆動する運動に変換される。 【0021】 このラックアンドピニオン式ステアリング装置においては、ラック21は鋼で構成されている。鋼の種類は特に限定されるものではないが、炭素の含有量が0.35質量%以上0.55質量%以下、ケイ素の含有量が0.1質量%以下、マンガンの含有量が0.5質量%以下、クロムの含有量が0.2質量%以下で、残部が鉄及び不可避の不純物である鋼が好ましい。 【0022】 そして、ラック21は、上記のような鋼からなる棒状素材又は管状素材(以降は素材と記すこともある)に調質処理を施した後に、冷間鍛造によりラック形状に成形し、さらに高周波焼入れ及び焼戻しを施すことにより製造されている。高周波焼入れにより、焼入れが施され硬化された表層部が表面に形成され、焼入れが施されていない非焼入れ部が主に芯部に形成される。 【0023】 調質処理及び冷間鍛造により高周波焼入れ前の素材のビッカース硬さHVは180以上300以下とされているので、完成品ラックの非焼入れ部のビッカース硬さHVは180以上300以下となる。ラックの歯には焼入れを施して表層部を形成し、歯と歯の間の谷部には実質的に焼入れを施さず非焼入れ部を形成するとよい。その場合には、谷部のビッカース硬さHVは180以上300以下となる。 【0024】 以下に、ラック21の製造方法について、さらに詳細に説明する。まず、鋼で構成された棒状素材又は管状素材に、調質処理を施す。調質処理の内容は、例えば、800℃以上900℃以下の焼入れを施した後に、600℃以上720℃以下の焼戻しを施すというものである。このような調質処理により、素材は適度な硬さに調整される。この素材は十分な塑性加工性を有しているので、この後の冷間鍛造において変形抵抗が大きくなったり割れが発生することはほとんどない。 【0025】 次に、調質処理を施した素材に、図2,3のように冷間鍛造を施し、所定の形状に成形する。これら調質処理及び冷間鍛造により、素材のビッカース硬さHVは180以上300以下となる。まず、断面円形の中実棒状素材を冷間鍛造により成形した例について、図2を参照しながら説明する。 まず、断面円弧状の溝32aが形成されたダイス32の上に中実棒状素材31を載置する。この溝32aの曲率半径は中実棒状素材31の半径よりも大として、この溝32a内に中実棒状素材31を配する(図2の(a)を参照)。そして、中実棒状素材31に上方からパンチ33を押し当て、パンチ33を下方に押圧することにより、中実棒状素材31を溝32a内に密着させ変形させる。パンチ33の中実棒状素材31との接触面は平面状であるため、中実棒状素材31に平面部31aが形成される(図2の(b)を参照)。これにより、中実棒状素材31は平面部31aと円筒面部31bとを有するような形状となる。なお、パンチ33の中実棒状素材31との接触面は平面状に限らず、テーパを有していてもよい。 【0026】 次に、前述の溝32aよりも深い溝34aが形成されたダイス34を用意し、円筒面部31bを下方(溝34aの底側)に向けて中実棒状素材31を該溝34a内に配する。この時、この溝34aの幅は、中実棒状素材31の直径よりも僅かに小さく設計されているので、中実棒状素材31は溝34a内に完全には収容されない(図2の(c)を参照)。そして、歯溝35aを有するパンチ35を中実棒状素材31の平面部31aに押し当て、パンチ35を下方に押圧すると、中実棒状素材31がダイス34の溝34a内に押し込められる。その際には、中実棒状素材31の両側(ダイス34の溝34aの側壁に接触する部分)がしごかれて変形し、互いに平行な平面となるとともに、歯溝35aに対応する歯31cが中実棒状素材31の平面部31aに形成される(図2の(d)を参照)。そして、中実棒状素材31の両側のしごかれた分の肉が歯31cに供給され、歯31cの形状がより大きくなる。 【0027】 次に、断面略矩形の溝36aが形成されたダイス36と、断面円弧状の溝37aが形成されたパンチ37と、を用意する。ダイス36に形成された溝36aの底面には、中実棒状素材31の平面部31aに形成された歯31cに対応する歯溝36bが形成されている。一方、パンチ37に形成された溝37aは、中実棒状素材31の円筒面部31bに対応する形状となっている。 【0028】 ダイス36に形成された溝36a内に中実棒状素材31を配すると、溝36aの幅が中実棒状素材31の直径よりも僅かに小さいために中実棒状素材31は溝36a内に完全には収容されないが(図2の(e)を参照)、中実棒状素材31に上方からパンチ37を押し当て下方に押圧すると、中実棒状素材31がダイス36の溝36a内に押し込められ、中実棒状素材31の形状が整えられる。中実棒状素材31の両側(ダイス36の溝36aの側壁に接触する部分)は平面となっているので、中実棒状素材31をダイス36の溝36a内に押し込めた際に余肉が生じない(図2の(f)を参照)。 【0029】 次に、断面円形の管状素材41を冷間鍛造により成形した例について、図3を参照しながら説明する。なお、図3においては、図2と同一又は相当する部分には、図2と同一の符号を付してある。成形方法は中実棒状素材31と全く同様であるので、詳細な説明は省略するが、管状素材41を冷間鍛造により成形する際には、その中空孔42に、該中空孔42の直径とほぼ同径の別部材43を入れておくとよい。最初に変形させた段階(図3の(b)を参照)で、中空孔42内に別部材43が充填され、管状素材41と別部材43とが一体化される。 【0030】 次に、成形した素材に高周波焼入れを施すと、焼入れが施され硬化された表層部が表面に形成され、焼入れが施されていない非焼入れ部が芯部に形成される。このとき、ラックの歯には焼入れを施して表層部を形成し、歯と歯の間の谷部には実質的に焼入れを施さず非焼入れ部を形成する。高周波焼入れの条件は特に限定されるものではないが、例えば、出力電流220?270A、周波数100kHz、加熱時間3?5秒、冷却時間10?15秒のような条件があげられる。そして、最後に焼戻しを施したら、研削仕上げや超仕上げを施して、ラック21を完成した。 【0031】 調質処理及び冷間鍛造により高周波焼入れ前の素材のビッカース硬さHVは180以上300以下とされており、その後の高周波焼入れでは歯と歯の間の谷部や芯部には焼入れは施されないので、完成品ラックにおいては、谷部をはじめとする非焼入れ部のビッカース硬さHVは180以上300以下となる。その結果、谷部をはじめとする非焼入れ部が十分な靱性を有するので、ラック21は優れた耐衝撃性及び静的強度を有している。よって、使用時に大きな衝撃や応力が入力されてもラックに損傷が生じにくい。 【0032】 〔実施例〕 以下に、実施例及び参考例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。種々の組成を有する鋼で構成された直径26.5mmの丸棒素材に、調質処理を施した。鋼の組成を表1に示す。なお、表1に記載の4種の合金元素以外の成分(残部)は、鉄及び不可避の不純物である。また、調質処理の条件は、800?900℃で0.1?1.5h保持することにより焼入れを施した後に、600?720℃で2?3h保持することにより焼戻しを施すというものである。なお、比較例1?3の場合は、調質処理の代わりに球状化処理を施した。 【0033】 球状化処理の条件は、以下の通りである。素材をA1変態点以上の740?860℃で0.1h以上保持した後に、20?70℃/hの冷却速度で680?720℃に降温して該温度で1?5h保持する。続いて、10?100℃/hの冷却速度で620?680℃に降温し、さらに10?150℃/hの冷却速度で500?560℃に降温する。このような処理により、球状セメンタイト,針状セメンタイト,及びフェライトを含有する組織となる。 【0034】 【表1】 【0035】 【表2】 【0036】 【表3】 【0037】 調質処理又は球状化処理を施した素材に、図2に示したような冷間鍛造を施して、ラックの形状に成形した。冷間鍛造後の素材のビッカース硬さHVを、表2,3に示す。素材のビッカース硬さHVは、ラックの歯と歯の間の谷部から数mm内方の部分について測定し、複数回測定して得た測定値のうち最高値を採用した。この谷部には、この後の高周波焼入れにより焼入れが施されることはないので、高周波焼入れ及び焼戻しが施されても谷部のビッカース硬さはほとんど変化しない。よって、この谷部のビッカース硬さHVは、完成品ラックの非焼入れ部のビッカース硬さでもある。 【0038】 次に、成形した素材に高周波焼入れを施した。この高周波焼入れにより、焼入れが施され硬化された表層部が素材の表面(主に歯の表面)に形成されるとともに、焼入れが施されていない非焼入れ部が主に芯部に形成される。高周波焼入れの条件は、以下の通りである。 焼入れ方法:通電加熱法 出力電流 :250A 周波数 :100kHz 加熱時間 :4.5秒 冷却時間 :10秒 冷媒 :ソリュブル油と水の混合溶媒 最後に焼戻しを行って、ラックを完成した。 【0039】 このようにして得られたラックに曲げ応力を負荷し、脆性破壊が生じるか否かを試験した。すなわち、ラックをラックアンドピニオン式ステアリング装置に組み込んで、ステアリングホイールを回転させてラックをフルストロークまで移動させ、ラックの支持部材から最も離れたラックの端部に曲げ荷重を負荷した。 曲げ試験の結果を表2,3に示す。なお、表2,3においては、表層部で発生した亀裂が内部にまで進展しラックが破断した場合は×印で示し、亀裂が途中で止まり破断に至らなかった場合は○印で示してある。 表2,3からわかるように、実施例7のラックは、冷間鍛造後の素材の硬さHVが260であるため、すなわち、完成品ラックの非焼入れ部の硬さが適切であり十分な靱性を有しているため、ラックは破断に至らなかった。 【符号の説明】 【0040】 11 ステアリング軸 21 ラック 22 ピニオン 31 棒状素材 41 管状素材 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 運転者の操舵により回転するステアリング軸と、前記ステアリング軸に連結され前記ステアリング軸の回転に伴って回転するピニオンと、前記ピニオンに噛み合うとともに車輪に連結されるラックと、を備えるラックアンドピニオン式ステアリング装置を製造するに際して、調質処理が施された鋼製の素材を、冷間鍛造で所定の形状に成形して、ビッカース硬さHVを260とした後に、該素材に高周波焼入れを施して前記ラックを製造することを特徴とするラックアンドピニオン式ステアリング装置の製造方法。 【請求項2】 前記ラックに形成された歯と歯の間の谷部のビッカース硬さHVを260に維持するように前記高周波焼入れを施すことを特徴とする請求項1に記載のラックアンドピニオン式ステアリング装置の製造方法。 【請求項3】 前記鋼の炭素の含有量が0.35質量%以上0.55質量%以下、ケイ素の含有量が0.1質量%以下、マンガンの含有量が0.5質量%以下、クロムの含有量が0.2質量%以下で、残部が鉄及び不可避の不純物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のラックアンドピニオン式ステアリング装置の製造方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2018-04-11 |
結審通知日 | 2018-04-13 |
審決日 | 2018-04-24 |
出願番号 | 特願2010-10393(P2010-10393) |
審決分類 |
P
1
41・
852-
Y
(B21K)
P 1 41・ 853- Y (B21K) P 1 41・ 851- Y (B21K) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 福島 和幸 |
特許庁審判長 |
栗田 雅弘 |
特許庁審判官 |
平岩 正一 篠原 将之 |
登録日 | 2014-02-14 |
登録番号 | 特許第5471492号(P5471492) |
発明の名称 | ラックアンドピニオン式ステアリング装置の製造方法 |
代理人 | 松山 美奈子 |
代理人 | 松山 美奈子 |