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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 A24F 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 A24F |
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管理番号 | 1341031 |
異議申立番号 | 異議2017-700562 |
総通号数 | 223 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-07-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-06-06 |
確定日 | 2018-04-11 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6038948号発明「毛細管界面を有するエアロゾル発生装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6038948号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、請求項〔1-8〕、〔9-14〕、15について、訂正することを認める。 特許第6038948号の請求項1ないし15に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第6038948号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし15に係る特許についての出願は、2012年(平成24年)12月5日(優先権主張外国庁受理2011年12月8日、欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって、平成28年11月11日にその特許権の設定登録がされ、その後、その請求項1ないし15に係る発明の特許について、平成29年6月6日に特許異議申立人 山崎 浩一郎 により特許異議の申立てがされ、平成29年9月4日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年12月25日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求がされ、特許異議申立人より平成30年2月5日に意見書の提出があったものである。 第2 訂正の適否 1 平成29年12月25日の訂正請求の訂正の内容 平成29年12月25日の訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。 (1) 一群の請求項1ないし8に係る訂正(訂正事項1) 特許請求の範囲の請求項1に「を含む、エアロゾル発生装置」と記載されているのを「を含み、前記毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる、エアロゾル発生装置」と訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2ないし8も同様に訂正する。)。 (2) 一群の請求項9ないし14に係る訂正(訂正事項2) 特許請求の範囲の請求項9に「を含む、カートリッジ」と記載されているのを「を含み、前記毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる、カートリッジ」と訂正する(請求項9の記載を引用する請求項10ないし14も同様に訂正する。)。 (3) 請求項15に係る訂正(訂正事項3) 特許請求の範囲の請求項15に「を含む、エアロゾル発生システム」と記載されているのを「を含み、前記毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる、エアロゾル発生システム」と訂正する。 (4) したがって、特許権者は、特許請求の範囲を、以下のとおり、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを請求する(下線は訂正箇所を示す。)。 「【請求項1】 エアロゾル形成基材を貯えるための貯蔵部と、 前記エアロゾル形成基材を加熱するための気化器と、 毛細管作用によって前記貯蔵部から前記気化器に向けて前記エアロゾル形成基材を運ぶための毛細管材料と、 前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料と、 を含み、 前記毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる、エアロゾル発生装置。 【請求項2】 前記エアロゾル発生装置が電気作動式であり、前記気化器が、前記エアロゾル形成基材を加熱するための電気加熱器を備える、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。 【請求項3】 前記多孔性材料が耐熱性材料を含む、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生装置。 【請求項4】 前記気化器が多孔性部材内に位置し、該多孔性部材が前記多孔性材料を含む、請求項1から3の何れか1項に記載のエアロゾル発生装置。 【請求項5】 前記毛細管材料が、前記貯蔵部から前記気化器に向けてエアロゾル形成基材を運ぶための細長い毛細管本体を含み、該毛細管本体が、前記貯蔵部内に延びる第1の端部と、該第1の端部とは反対側の第2の端部とを備え、前記気化器が、前記毛細管本体の第2の端部 において前記エアロゾル形成基材を蒸発させるように構成される、請求項1から4の何れか1項に記載のエアロゾル発生装置。 【請求項6】 前記多孔性材料が、前記毛細管本体の前記第2の端部を実質的に囲む多孔性材料のスリーブを含む、請求項5に記載のエアロゾル発生装置。 【請求項7】 前記多孔性材料が、前記毛細管本体の前記第2の端部を実質的に覆う多孔性材料のキャップを含む、請求項5又は6に記載のエアロゾル発生装置。 【請求項8】 前記貯蔵部が内部通路を含み、前記気化器が、前記貯蔵部の内部通路の少なくとも一部を通って延び、前記毛細管材料が、前記内部通路を少なくとも部分的に裏打ちする毛細管界面を含む、請求項1から4の何れか1項に記載のエアロゾル発生装置。 【請求項9】 エアロゾル形成基材を貯えるための貯蔵部と、 前記エアロゾル形成基材を加熱するための気化器と、 毛細管作用によって前記貯蔵部から前記気化器に向けて前記エアロゾル形成基材を運ぶための毛細管材料と、 前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料と、 を含み、 前記毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる、カートリッジ。 【請求項10】 前記エアロゾル発生装置が電気作動式であり、前記気化器が、前記エアロゾル形成基材を加熱するための電気加熱器を備え、該電気加熱器は、前記エアロゾル発生装置において電源に接続可能である、請求項9に記載のカートリッジ。 【請求項11】 前記多孔性材料が耐熱性材料を含む、請求項9又は10に記載のカートリッジ。 【請求項12】 前記気化器が多孔性部材内に位置し、該多孔性部材が前記多孔性材料を含む、請求項10又は11に記載のカートリッジ。 【請求項13】 前記毛細管材料が、前記貯蔵部から前記気化器に向けて前記エアロゾル形成基材を運ぶための細長い毛細管本体を含み、該毛細管本体は、前記貯蔵部内に延びる第1の端部と、該第1の端部とは反対側の第2の端部とを備え、前記気化器が、前記毛細管本体の第2の端部において前記エアロゾル形成基材を蒸発させるように構成される、請求項9から12の何れか1項に記載のカートリッジ。 【請求項14】 前記貯蔵部が内部通路を含み、前記気化器が、前記貯蔵部の内部通路の少なくとも一部を通って延び、前記毛細管材料が、前記内部通路を少なくとも部分的に裏打ちする毛細管界面を含む、請求項9から12の何れか1項に記載のカートリッジ。 【請求項15】 カートリッジと協働するエアロゾル発生装置を備え、前記カートリッジ又は前記エアロゾル発生装置が、エアロゾル形成基材を貯えるための貯蔵部を含み、前記カートリッジ又は前記エアロゾル発生装置が、前記エアロゾル形成基材を加熱してエアロゾルを形成するための気化器を含み、前記カートリッジ又は前記エアロゾル発生装置が、毛細管作用によって前記貯蔵部から前記気化器に向けて前記エアロゾル形成基材を運ぶための毛細管材料を含み、前記カートリッジ又は前記エアロゾル発生装置が、前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料を含み、前記毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる、エアロゾル発生システム。」 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否並びに一群の請求項 (1) 訂正事項1は、請求項1の「毛細管材料」について、その構成を「前記毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる」と訂正することで、特許請求の範囲を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものであり、また、本件特許の願書に添付した明細書の【0061】、図1等の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。 (2) 訂正事項2は、請求項9の「毛細管材料」について、その構成を「前記毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる」と訂正することで、特許請求の範囲を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものであり、また、本件特許の願書に添付した明細書の【0061】、図1等の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。 (3) 訂正事項3は、請求項15の「毛細管材料」について、その構成を「前記毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる」と訂正することで、特許請求の範囲を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものであり、また、本件特許の願書に添付した明細書の【0061】、図1等の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。 (4) 訂正事項1に係る訂正前の請求項1ないし8について、請求項2ないし8はそれぞれ請求項1の記載を引用しているものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1と一群の請求項である。また、訂正事項2に係る訂正前の請求項9ないし14について、請求項10ないし14は請求項9の記載を引用しているものであって、訂正事項2によって訂正される請求項9と一群の請求項である。したがって、本件訂正は一群の請求項ごとまたは請求項ごとに請求されたものである。 3 むすび よって、本件訂正に係る訂正事項1ないし訂正事項3は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条4項、並びに、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、請求項〔1-8〕、〔9-14〕、15について、訂正することを認める。 第3 取消理由についての判断 1 本件特許に係る発明 本件特許の請求項1ないし15に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明15」という。)は、本件訂正により訂正された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるとおりのものである。(「第2 1 (4)」参照) 2 平成29年9月4日付けの取消理由通知に記載した取消理由の概要は、以下のとおりである。なお、上記取消理由通知は本件特許異議の申立てにおいて申立てられたすべての申立理由を含んでいる。 (取消理由1) 本件発明1ないし4及び15は、本件特許の出願(優先日)前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証または甲第2号証に記載された発明であって、又、本件発明9ないし12は、本件特許の出願(優先日)前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証に記載された発明であって、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (取消理由2) 本件発明1ないし15に係る発明は、本件特許の出願(優先日)前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証に記載された発明並びに甲第2号証及び甲第3号証に記載された事項に基いて、または、本件発明1ないし4及び9ないし12及び15に係る発明は、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された事項に基いて、または、本件発明1ないし15に係る発明は、甲第3号証に記載された発明並びに甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項に基いて、その出願(優先日)前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 <甲号証一覧> 甲第1号証:国際公開第2010/091593号 甲第2号証:特表2009-537119号公報 甲第3号証:特表2011-518567号公報 3 上記取消理由1及び2については、以下のとおり理由がない。 (1) 甲第1号証に記載された発明について ア 本件発明1について 甲第1号証には、「液体貯蔵部品(本件発明1の「貯蔵部」に相当する。以下、同様。)中のタバコ液体(「エアロゾル形成基材」)と、 前記タバコ液体を加熱する電気ヒーター(「気化器」)と、 浸透し伝導して前記液体貯蔵部品から前記電気ヒーターに前記タバコ液体を浸透する液体伝導部品(「毛細管材料」)と、 前記液体伝導部品と前記電気ヒーターとの間にあるセラミック繊維等の液体浸透部品(「多孔性材料」)と、 を含み、 前記液体伝導部品は、前記液体貯蔵部品に接触する、噴霧電子タバコ(「エアロゾル発生装置」)。」(明細書4頁1?16行、明細書5頁2行?6頁18行、明細書7頁1?15行、図1?3等の記載内容参照。なお、日本語訳として特表2012-517229号公報の【0022】、【0025】?【0029】、【0031】、【0032】を参照した。)の発明(以下「甲1-1発明」という。)が記載されていると認められる。 本件発明1と甲1-1発明とを対比すると、少なくとも、本件発明1では、「毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる」のに対し、甲1-1発明では、「液体伝導部品は、前記液体貯蔵部品に接触する」点(以下、「相違点1」という。)で相違する。 上記相違点1に関し、甲第3号証には電気加熱式喫煙システムにおいて「毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる」点に係る記載があり(後記「(3) 甲第3号証に記載された発明について」参照。)、上記相違点1に係る本件発明1の構成が記載されているが、甲第2号証には「毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる」ことに係る記載は見当たらず、上記相違点1に係る本件発明1の構成は記載されていない。 そして、甲第1号証には「液体貯蔵部品」に関し具体的には「微細孔性セラミック、発泡セラミック、天然繊維、人工繊維、又は発泡金属材のような液体貯蔵コア材からなる」(明細書7頁1?6行:特表2012-517229号公報の【0031】参照。)ことが記載され、甲第3号証には「液体ストレージ部分(当審注:本件発明1の「貯蔵部」に相当する。)は、好ましくは容器である。・・・(略)・・・液体ストレージ部分は、電気加熱式喫煙システムに1つだけの毛細管機構(毛細管芯)が存在するように、いずれの多孔性材料も含まない」(【0018】)ことが記載されている。したがって、甲1発明の「液体貯蔵部品」と甲第3号証に記載された「液体ストレージ部分」とは、それぞれ多孔性材料からなるものと多孔性材料を含まないものであるから、両者は相容れないものであって、甲第1号証の記載は甲第3号証の記載から、甲1-1発明の「液体伝導部品」をして「液体貯蔵部品内に延びる」ようにすることを示唆するものではない。 そうすると、甲第2号証、甲第3号証に記載された事項を考慮しても、甲1-1発明をして、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たということはできない。 したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明ではなく、又、甲1-1発明及び甲第2号証及び甲第3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 本件発明2ないし8について 請求項2ないし8は直接・間接的に請求項1を引用する記載であるから、本件発明2ないし8は本件発明1の発明特定事項をすべて含むところ、上述のとおり本件発明1は上記取消理由1及び2について理由がないから、上記「ア 本件発明1について」と同様の理由により、本件発明2ないし4は、上記取消理由1について理由がなく、本件発明2ないし8は、上記取消理由2について理由がない。 ウ 本件発明9について 甲第1号証には、「液体貯蔵部品(本件発明9の「貯蔵部」に相当する。以下、同様。)中のタバコ液体(「エアロゾル形成基材」)[を貯えるための液体貯蔵部品(貯蔵部)]と、 前記タバコ液体を加熱する[ための]電気ヒーター(「気化器」)と、 浸透し伝導して/毛細管作用によって前記液体貯蔵部品(貯蔵部)から前記電気ヒーター(気化器)に[向けて]前記タバコ液体(エアロゾル形成基材)を浸透する[運ぶための]液体伝導部品(「毛細管材料」)と、 前記液体伝導部品と前記電気ヒーターとの間にあるセラミック繊維等の液体浸透部品(「多孔性材料」)と、 を含み、 前記液体伝導部品は、前記液体貯蔵部品に接触する、噴霧電子タバコの第2の筐体側部分(「カートリッジ」)」(明細書4頁1?16行、明細書5頁2行?6頁18行、明細書7頁1?15行、図1?3等の記載内容参照。なお、日本語訳として特表2012-517229号公報の【0022】、【0025】?【0029】、【0031】、【0032】を参照した。)の発明(以下「甲1-2発明」という。)が記載されていると認められる。 本件発明9と甲1-2発明とを対比すると、少なくとも、本件発明9では、「毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる」のに対し、甲1-2発明では、「液体伝導部品は、前記液体貯蔵部品に接触する」点で相違するから、上記相違点1と同様の点で相違する。 そうすると、上記相違点1に関しての検討は「ア 本件発明1ついて」にて既に述べたとおりであるから、本件発明9は、甲第1号証に記載された発明ではなく、又、甲1-2発明及び甲第2号証及び甲第3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、上記取消理由1及び2について理由がない。 エ 請求項10ないし14について 請求項10ないし14は直接・間接的に請求項9を引用する記載であるから、本件発明10ないし本件発明14は本件発明9の発明特定事項をすべて含むところ、上述のとおり本件発明9は上記取消理由1及び2について理由がないから、上記「ウ 本件発明9について」と同様の理由により、本件発明10ないし12は、上記取消理由1について理由がなく、本件発明10ないし14は、上記取消理由2について理由がない。 オ 本件発明15について 甲第1号証には、「噴霧電子タバコの第2の筐体側部分(本件発明15の「カートリッジ」に相当する。以下、同様。)と協働する噴霧電子タバコ(「エアロゾル発生装置」)を備え、前記噴霧電子タバコの第2の筐体側部分又は前記噴霧電子タバコが、液体貯蔵部品(「貯蔵部」)中のタバコ液体(「エアロゾル形成基材」)を含み、前記噴霧電子タバコの第2の筐体側部分又は前記噴霧電子タバコが、前記タバコ液体を加熱して蒸気に気化させる(「エアロゾルを形成するための」)電気ヒーター(「気化器」)を含み、前記噴霧電子タバコの第2の筐体側部分又は前記噴霧電子タバコが、浸透し伝導して前記液体貯蔵部品から前記電気ヒーターに前記タバコ液体を浸透する液体伝導部品(「毛細管材料」)を含み、前記噴霧電子タバコの第2の筐体側部分又は前記噴霧電子タバコが、前記液体伝導部品と前記電気ヒーターとの間にあるセラミック繊維等の液体浸透部品(「多孔性材料」)を含み、前記液体伝導部品は、前記液体貯蔵部品に接触する、噴霧電子タバコ(「エアロゾル発生システム」)。」(明細書4頁1?16行、明細書5頁2行?6頁18行、明細書7頁1?15行、図1?3等の記載内容参照。なお、日本語訳として特表2012-517229号公報の【0022】、【0025】?【0029】、【0031】、【0032】を参照した。)の発明(以下「甲1-3発明」という。)が記載されていると認められる。 本件発明15と甲1-3発明とを対比すると、少なくとも、本件発明15では、「毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる」のに対し、甲1-3発明では、「液体伝導部品は、前記液体貯蔵部品に接触する」点で相違するから、上記相違点1と同様の点で相違する。 そうすると、上記相違点1に関しての検討は「ア 本件発明1ついて」にて既に述べたとおりであるから、本件発明15は、甲第1号証に記載された発明ではなく、又、甲1-3発明及び甲第2号証及び甲第3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、上記取消理由1及び2について理由がない。 (2) 甲第2号証に記載された発明について ア 本件発明1について 甲第2号証には、「たばこ液(本件発明1の「エアロゾル形成基材」に相当する。以下、同様。)を格納する(「貯えるための」)たばこボトルアセンブリの液体収容有孔部材(「貯蔵部」)と、 前記たばこ液を加熱するためのアトマイザの電熱棒(「気化器」)と、 液体供給用の毛細含浸が生じ前記たばこボトルアセンブリの液体収容有孔部材から前記前記たばこ液を吸収し、アトマイザの電熱棒が微細な液滴を加熱して霧化させるように負圧キャビティ内へと噴霧する多孔質部材(「毛細管材料」)と、 前記多孔質部材と前記アトマイザの電熱棒との間にある負圧キャビティと、 を含み、 前記多孔質部材の一方の端部(「一方端」)は、前記たばこボトルアセンブリの液体収容有孔部材と接触している、エアロゾル電子たばこ(「エアロゾル発生装置」)。」(【0042】、【0043】、【0045】?【0047】、図1?7等の記載内容参照。)の発明(以下「甲2-1発明」という。)が記載されていると認められる。 本件発明1と甲2-1発明とを対比すると、少なくとも、本件発明1では、「前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料」を含むのに対し、甲2-1発明では、「前記多孔質部材と前記アトマイザの電熱棒との間にある負圧キャビティ」を含む点(以下、「相違点2」という。)で相違し、また、本件発明1では、「前記毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる」のに対し、甲2-1発明では、「前記多孔質部材の一方の端部は、前記たばこボトルアセンブリの液体収容有孔部材と接触している」点(以下、「相違点3」という。)で相違する。 上記相違点2に関し、甲2-1発明が「液体供給用の毛細含浸が生じ前記たばこボトルアセンブリの液体収容有孔部材から前記前記たばこ液を吸収し、アトマイザの電熱棒が微細な液滴を加熱して霧化させるように負圧キャビティ内へと噴霧する多孔質部材」を含むことからすると、甲2-1発明の「負圧キャビティ」は、たばこ液をアトマイザの電熱棒が微細な液滴を加熱して霧化させるように噴霧される空間と解せる。したがって、甲2-1発明の「負圧キャビティ」をして「多孔性材料」とすること、あるいは、甲2-1発明の「負圧キャビティ」内に「多孔性材料」を配置することは、タバコ液の噴霧を阻害するといえる。 そうすると、甲第3号証に記載された事項を考慮しても、甲2-1発明をして、上記相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たということはできない。 上記相違点3に関し、既に「(1)ア」において述べたように、甲第3号証には電気加熱式喫煙システムにおいて「毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる」点に係る記載があるものの、甲2-1発明の「たばこボトルアセンブリの液体収容有孔部材」と甲第3号証に記載された「液体ストレージ部分」とは、それぞれ多孔性材料からなるものと多孔性材料を含まないものであるから、両者は相容れないものであって、甲第3号証は甲2-1発明の「多孔質部材」をして「たばこボトルアセンブリの液体収容有孔部材内に延びる」ようにすることを示唆するものではない。 そうすると、甲第3号証に記載された事項を考慮しても、甲2-1発明をして、上記相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たということはできない。 したがって、本件発明1は、甲第2号証に記載された発明ではなく、又、甲2-1発明及び甲第3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、上記取消理由1及び2について理由がない。 イ 本件発明2ないし4について 請求項2ないし4は直接・間接的に請求項1を引用する記載であるから、本件発明2ないし8は本件発明1の発明特定事項をすべて含むところ、上述のとおり本件発明1は上記取消理由1及び2について理由がないから、上記「ア 本件発明1について」と同様の理由により、本件発明2ないし4は、上記取消理由1及び2について理由がない。 ウ 本件発明9について 甲第2号証には、「たばこ液(本件発明9の「エアロゾル形成基材」に相当する。以下、同様。)を格納する(「貯えるための」)たばこボトルアセンブリの液体収容有孔部材(「貯蔵部」)と、 前記たばこ液を加熱するためのアトマイザの電熱棒(「気化器」)と、 液体供給用の毛細含浸が生じ前記たばこボトルアセンブリの液体収容有孔部材から前記前記たばこ液を吸収し、アトマイザの電熱棒が微細な液滴を加熱して霧化させるように負圧キャビティ内へと噴霧する多孔質部材(「毛細管材料」)と、 前記多孔質部材と前記アトマイザの電熱棒との間にある負圧キャビティと、 を含み、 前記多孔質部材の一方の端部(「一方端」)は、前記たばこボトルアセンブリの液体収容有孔部材と接触している、エアロゾル電子たばこ。」 (【0042】、【0043】、【0045】?【0047】、図1?7等の記載内容参照。)の発明(以下「甲2-2発明」という。)が記載されていると認められる。 本件発9と甲2-2発明とを対比すると、少なくとも、本件発明9では、「前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料」を含むのに対し、甲2-2発明では、「前記多孔質部材と前記アトマイザの電熱棒との間にある負圧キャビティ」を含む点で相違するから、上記相違点2と同様の点で相違し、また、本件発明9では、「前記毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる」のに対し、甲2-2発明では、「前記多孔質部材の一方の端部は、前記たばこボトルアセンブリの液体収容有孔部材と接触している」点で相違するから、上記相違点3と同様の点で相違する。 そうすると、上記相違点2及び3に関しての検討は「ア 本件発明1ついて」にて既に述べたとおりであるから、本件発明9は、甲2-2発明並びに甲第1号証及び甲第3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、上記取消理由2について理由がない。 エ 請求項10ないし12について 請求項10ないし12は直接・間接的に請求項9を引用する記載であるから、本件発明10ないし本件発明14は本件発明9の発明特定事項をすべて含むところ、上述のとおり本件発明9は上記取消理由2について理由がないから、上記「ウ 本件発明9について」と同様の理由により、本件発明10ないし12は、上記取消理由2について理由がない。 オ 本件発明15について 甲第2号証には、「エアロゾル電子たばこが、たばこ液(本件発明15の「エアロゾル形成基材」に相当する。以下、同様。)を格納する(「貯えるための」)たばこボトルアセンブリの液体収容有孔部材(「貯蔵部」)を含み、前記エアロゾル電子たばこが、前記たばこ液を加熱して霧化させる(「エアロゾルを形成するための」)アトマイザの電熱棒(「気化器」)を含み、前記エアロゾル電子たばこが、液体供給用の毛細含浸が生じ前記たばこボトルアセンブリの液体収容有孔部材から前記前記たばこ液を吸収し、アトマイザの電熱棒が微細な液滴を加熱して霧化させるように負圧キャビティ内へと噴霧する多孔質部材(「毛細管材料」)を含み、前記エアロゾル電子たばこが、前記多孔質部材と前記アトマイザの電熱棒との間にある負圧キャビティを含み、前記多孔質部材の一方の端部(「一方端」)は、前記たばこボトルアセンブリの液体収容有孔部材と接触している、エアロゾル電子たばこ(「エアロゾル発生システム」)。」(【0042】、【0043】、【0045】?【0047】、図1?7等の記載内容参照。)の発明(以下「甲2-3発明」という。)が記載されていると認められる。 本件発明15と甲2-3発明とを対比すると、少なくとも、本件発明15では、「前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料」を含むのに対し、甲2-3発明では、「前記多孔質部材と前記アトマイザの電熱棒との間にある負圧キャビティ」を含む点で相違するから、上記相違点2で相違し、また、本件発明15では、「前記毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる」のに対し、甲2-3発明では、「前記多孔質部材の一方の端部は、前記たばこボトルアセンブリの液体収容有孔部材と接触している」点で相違するから、上記相違点3と同様の点で相違する。 そうすると、上記相違点2及び3に関しての検討は「ア 本件発明1ついて」にて既に述べたとおりであるから、本件発明15は、甲第2号証に記載された発明ではなく、又、甲2-3発明及び甲第3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、上記取消理由1及び2について理由がない。 (3) 甲第3号証に記載された発明について ア 本件発明1について 甲第3号証には、「液体(本件発明1の「エアロゾル形成基材」に相当する。以下、同様。)を収容する(「貯える」)ための液体ストレージ部分(「貯蔵部」)と、前記液体を加熱するための加熱要素(「気化器」)と、毛細管作用によって前記液体ストレージ部分から前記加熱要素に向けて前記液体を運ぶための毛細管芯(「毛細管材料」)と、 を含み、 前記毛細管芯の第1の端部(「一方端」)は、前記液体ストレージ部分内に延びる、電気加熱式喫煙システム(「エアロゾル発生装置」)。」(特に、【0007】、【0018】、【0025】?【0027】、及び図1?3等の記載内容参照。)の発明(以下「甲3-1発明」という。)が記載されていると認められる。 本件発明1と甲3-1発明とを対比すると、少なくとも、本件発明1では、「前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料」を含むのに対し、甲3-1発明では、そのようなものを含まない点(以下「相違点4」という。)で相違する。 上記相違点4に関し、甲第1号証には噴霧式電子たばこにおいて「前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料」を含む点に係る記載がある(前記「(1) 甲第1号証に記載された発明について」参照。)から、上記相違点4に係る本件発明1の構成が記載されているが、甲第2号証には「前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料」に係る記載は見当たらないから、上記相違点4に係る本件発明1の構成が記載されていない。 本件発明1の「前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料」について、明細書中には「第1に、多孔性材料は、毛細管材料のための構造的支持を提供し、毛細管材料が、例えば分裂、曲がり又は平坦化などの損傷を受けるのを防ぐことができる。これは、毛細管材料が可撓性材料であり多孔性材料が剛性材料である場合に、特に当てはまる。毛細管材料が損傷から保護される場合、エアロゾル発生装置を複数回使用してもエアロゾル形成は一貫している可能性が高い。第2に、毛細管材料は、単純で比較的安価な材料とすることができるので、製造コストを低減することができる。多孔性材料は、より堅牢で高価な材料を含むことができる。従って、より高価な材料は、少量の多孔性材料でのみ使用することができ、装置の大部分に対しては比較的安価な材料を使用することができる。」(【0013】)、「多孔性材料が毛細管材料に対する熱損傷を阻止できることである。また、多孔性材料は、改善された均一な熱分布をもたらすことができる。これは、一貫したエアロゾル形成を助けることができる。好適な耐熱性材料は高価な場合がある。しかしながら、多孔性材料が毛細管材料と電気加熱器との間に耐熱障壁を提供するので、毛細管材料は、毛細管-多孔性界面における温度に耐えることで十分である。これらの温度は、1つ又は複数の加熱要素における温度よりも低い。従って、潜在的に高価な耐熱材料の使用をより少量にすることができる。これにより製造コストが低減される。耐熱性材料は、加熱器と毛細管材料との間に断熱部を提供する。」(【0029】)、「好ましくは、多孔性材料は、電気絶縁性材料を含む。気化器が電気加熱器を備える場合、これにより加熱要素のあらゆる短絡が阻止される。」(【0030】)と記載されており、様々な効果を奏するものといえる。一方、甲第3号証には「毛細管芯」の端部を保護するための「キャップ」を設ける旨の記載がある(甲第3号証の【0025】)ものの、「毛細管芯」と「加熱要素」との間に所定の部材を設けることを示唆する記載はない。また、甲第3号証には「毛細管芯」に関し具体的には「毛細管芯は、あらゆる適切な材料又は材料の組合せを含むことができる。適切な材料の例は、繊維又は焼結粉末の形態のセラミック又はグラファイトベースの材料である」(【0019】)ことが記載されている。これら甲第3号証の記載からすると、甲3-1発明において、毛細管芯のための構造的支持については「キャップ」を設けることが想定され、毛細管芯の熱損傷を阻止することについては毛細管芯を耐熱性材料とすることが想定されるといえるのであって、甲第3-1発明をして、相違点4に係る本件発明1の構成とする動機付けがあるとはいえない。 そして、本件発明1は、相違点4に係る本件発明1の構成とすることで、上記の様々な効果を奏するものである。 そうすると、甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項を考慮しても、甲3-1発明をして、上記相違点4に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たということはできない。 したがって、本件発明1は、甲3-1発明と甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、上記取消理由2について理由がない。 イ 本件発明2ないし8について 請求項2ないし8は直接・間接的に請求項1を引用する記載であるから、本件発明2ないし8は本件発明1の発明特定事項をすべて含むところ、上述のとおり本件発明1は上記取消理由2について理由がないから、上記「ア 本件発明1について」と同様の理由により、本件発明2ないし8は、上記取消理由2について理由がない。 ウ 本件発明9について 甲第3号証には、「液体(本件発明9の「エアロゾル形成基材」に相当する。以下、同様。)を収容する(「貯える」)ための液体ストレージ部分(「貯蔵部」)と、前記液体を加熱するための加熱要素(「気化器」)と、毛細管作用によって前記液体ストレージ部分から前記加熱要素に向けて前記液体を運ぶための毛細管芯(「毛細管材料」)と、 を含み、 前記毛細管芯の第1の端部(「一方端」)は、前記液体ストレージ部分内に延びる、マウスピース(「カートリッジ」)。」(特に、【0007】、【0018】、【0025】?【0027】、及び図1?3等の記載内容参照。)の発明(以下「甲3-2発明」という。)が記載されていると認められる。 本件発明9と甲3-2発明とを対比すると、少なくとも、本件発明9では、「前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料」を含むのに対し、甲3-2発明では、そのようなものを含まない点で相違するから、上記相違点4と同様の点で相違する。 そうすると、上記相違点4に関しての検討は「ア 本件発明1ついて」にて既に述べたとおりであるから、本件発明9は、甲3-2発明及び甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、上記取消理由2について理由がない。 エ 請求項10ないし14について 請求項10ないし14は直接・間接的に請求項9を引用する記載であるから、本件発明10ないし本件発明14は本件発明9の発明特定事項をすべて含むところ、上述のとおり本件発明9は上記取消理由2について理由がないから、上記「ウ 本件発明9について」と同様の理由により、本件発明10ないし14は、上記取消理由2について理由がない。 オ 本件発明15について 甲第3号証には、「マウスピース(本件発明15の「カートリッジ」に相当する。以下、同様。)と協働する電気加熱式喫煙システム(「エアロゾル発生装置」)を備え、前記マウスピース又は前記電気加熱式喫煙システムが、液体(「エアロゾル形成基材」)を収容する(「貯える」)ための液体ストレージ部分(「貯蔵部」)を含み、前記マウスピース又は前記電気加熱式喫煙システムが、前記液体を加熱して気化し凝縮してエーロゾルを形成する(「エアロゾルを形成するための」)加熱要素(「気化器」)を含み、前記マウスピース又は前記電気加熱式喫煙システムが、毛細管作用によって前記液体ストレージ部分から前記加熱要素に向けて前記液体を運ぶための毛細管芯(「毛細管材料」)を含み、 前記毛細管芯の第1の端部(「一方端」)は、前記液体ストレージ部分内に延びる、電気加熱式喫煙システム(「エアロゾル発生システム」)。」(特に、【0007】、【0018】、【0025】?【0027】、及び図1?3等の記載内容参照。)の発明(以下「甲3-3発明」という。)が記載されていると認められる。 本件発明15と甲3-3発明とを対比すると、少なくとも、本件発明15では、「前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料」を含むのに対し、甲3-3発明では、そのようなものを含まない点で相違するから、上記相違点4と同様の点で相違する。 そうすると、上記相違点4に関しての検討は「ア 本件発明1ついて」にて既に述べたとおりであるから、本件発明15は、甲3-3発明及び甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、上記取消理由2について理由がない。 (4) 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、平成30年2月5日の意見書において、(ア)甲第2号証に記載された「たばこホルダーシェルb」は本件発明1の「貯蔵部」に相当し、「液体収容有孔部材」は本件発明1の「毛細管材料」に相当する旨(4頁31行?5頁8行)、及び(イ)本件発明1は「貯蔵部」と「毛細管材料」が互いに別部材であることを特定しておらず、両者が同一部材であることを除外していない旨(23頁下から10?8行)主張しているので、以下検討する。 (ア)については、既に「(2) 甲第2号証に記載された発明について」において述べたように、甲第2号証に記載された「液体収容有孔部材」は、たばこ液(本件発明1の「エアロゾル形成基材」に相当する。以下、同様。)を格納する(「貯えるための」)ものであるから本件発明1の「貯蔵部」に相当するのであって、「毛細管材料」に相当するとはいえない。 (イ)については、特許請求の範囲の請求項1において「貯蔵部」と「毛細管材料」とは別の用語として記載されているから両者は別部材を指すと解せるところ、「前記毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる」との記載からすると「貯蔵部」と「毛細管材料」とが同一部材とは解せない。このことは、明細書及び図面の記載内容とも整合している。 したがって、特許異議申立人の当該主張は採用できない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、上記取消理由通知に記載した上記取消理由1及び2によっては、本件発明1ないし15に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1ないし15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 エアロゾル形成基材を貯えるための貯蔵部と、 前記エアロゾル形成基材を加熱するための気化器と、 毛細管作用によって前記貯蔵部から前記気化器に向けて前記エアロゾル形成基材を運ぶための毛細管材料と、 前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料と、 を含み、 前記毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる、エアロゾル発生装置。 【請求項2】 前記エアロゾル発生装置が電気作動式であり、前記気化器が、前記エアロゾル形成基材を加熱するための電気加熱器を備える、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。 【請求項3】 前記多孔性材料が耐熱性材料を含む、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生装置。 【請求項4】 前記気化器が多孔性部材内に位置し、該多孔性部材が前記多孔性材料を含む、請求項1から3の何れか1項に記載のエアロゾル発生装置。 【請求項5】 前記毛細管材料が、前記貯蔵部から前記気化器に向けてエアロゾル形成基材を運ぶための細長い毛細管本体を含み、該毛細管本体が、前記貯蔵部内に延びる第1の端部と、該第1の端部とは反対側の第2の端部とを備え、前記気化器が、前記毛細管本体の第2の端部において前記エアロゾル形成基材を蒸発させるように構成される、請求項1から4の何れか1項に記載のエアロゾル発生装置。 【請求項6】 前記多孔性材料が、前記毛細管本体の前記第2の端部を実質的に囲む多孔性材料のスリーブを含む、請求項5に記載のエアロゾル発生装置。 【請求項7】 前記多孔性材料が、前記毛細管本体の前記第2の端部を実質的に覆う多孔性材料のキャップを含む、請求項5又は6に記載のエアロゾル発生装置。 【請求項8】 前記貯蔵部が内部通路を含み、前記気化器が、前記貯蔵部の内部通路の少なくとも一部を通って延び、前記毛細管材料が、前記内部通路を少なくとも部分的に裏打ちする毛細管界面を含む、請求項1から4の何れか1項に記載のエアロゾル発生装置。 【請求項9】 エアロゾル形成基材を貯えるための貯蔵部と、 前記エアロゾル形成基材を加熱するための気化器と、 毛細管作用によって前記貯蔵部から前記気化器に向けて前記エアロゾル形成基材を運ぶための毛細管材料と、 前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料と、 を含み、 前記毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる、カートリッジ。 【請求項10】 前記エアロゾル発生装置が電気作動式であり、前記気化器が、前記エアロゾル形成基材を加熱するための電気加熱器を備え、該電気加熱器は、前記エアロゾル発生装置において電源に接続可能である、請求項9に記載のカートリッジ。 【請求項11】 前記多孔性材料が耐熱性材料を含む、請求項9又は10に記載のカートリッジ。 【請求項12】 前記気化器が多孔性部材内に位置し、該多孔性部材が前記多孔性材料を含む、請求項10又は11に記載のカートリッジ。 【請求項13】 前記毛細管材料が、前記貯蔵部から前記気化器に向けて前記エアロゾル形成基材を運ぶための細長い毛細管本体を含み、該毛細管本体は、前記貯蔵部内に延びる第1の端部と、該第1の端部とは反対側の第2の端部とを備え、前記気化器が、前記毛細管本体の第2の端部において前記エアロゾル形成基材を蒸発させるように構成される、請求項9から12の何れか1項に記載のカートリッジ。 【請求項14】 前記貯蔵部が内部通路を含み、前記気化器が、前記貯蔵部の内部通路の少なくとも一部を通って延び、前記毛細管材料が、前記内部通路を少なくとも部分的に裏打ちする毛細管界面を含む、請求項9から12の何れか1項に記載のカートリッジ。 【請求項15】 カートリッジと協働するエアロゾル発生装置を備え、前記カートリッジ又は前記エアロゾル発生装置が、エアロゾル形成基材を貯えるための貯蔵部を含み、前記カートリッジ又は前記エアロゾル発生装置が、前記エアロゾル形成基材を加熱してエアロゾルを形成するための気化器を含み、前記カートリッジ又は前記エアロゾル発生装置が、毛細管作用によって前記貯蔵部から前記気化器に向けて前記エアロゾル形成基材を運ぶための毛細管材料を含み、前記カートリッジ又は前記エアロゾル発生装置が、前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料を含み、前記毛細管材料の一方端は、前記貯蔵部内に延びる、エアロゾル発生システム。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-03-29 |
出願番号 | 特願2014-545242(P2014-545242) |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YAA
(A24F)
P 1 651・ 121- YAA (A24F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 宮崎 賢司 |
特許庁審判長 |
中村 則夫 |
特許庁審判官 |
田村 嘉章 佐々木 正章 |
登録日 | 2016-11-11 |
登録番号 | 特許第6038948号(P6038948) |
権利者 | フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム |
発明の名称 | 毛細管界面を有するエアロゾル発生装置 |
代理人 | 大塚 文昭 |
代理人 | 大塚 文昭 |
代理人 | 上杉 浩 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 近藤 直樹 |
代理人 | 須田 洋之 |
代理人 | 弟子丸 健 |
代理人 | 西島 孝喜 |
代理人 | 近藤 直樹 |
代理人 | 須田 洋之 |
代理人 | 西島 孝喜 |
代理人 | 上杉 浩 |
代理人 | 弟子丸 健 |