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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H05K
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H05K
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  H05K
管理番号 1341038
異議申立番号 異議2017-700846  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-09-07 
確定日 2018-04-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6093694号発明「多層プリント配線板の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6093694号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項9について訂正することを認める。 特許第6093694号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 特許第6093694号の請求項9に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6093694号の請求項1?9に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、2012年3月29日(優先権主張2011年3月30日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成29年2月17日にその特許権の設定登録がされ、同年3月8日に特許掲載公報が発行され、その後、その請求項1?9に係る特許に対して、平成29年9月7日に特許異議申立人特許業務法人藤央特許事務所(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年11月15日付けで取消理由が通知され(以下、「取消理由通知」という。)、その指定期間内である平成30年1月19日に意見書及び乙第1号証の提出並びに訂正請求がなされたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
平成30年1月19日の訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。
訂正事項1:特許請求の範囲の請求項9を削除する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、訂正前の請求項9を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、本件訂正は特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項9について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
上述のとおり本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1?8に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明8」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
キャリア箔付銅箔を用いてコアレスビルドアップ法で多層プリント配線板を製造する方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
キャリア箔付銅箔の準備工程: 少なくとも銅箔層/剥離層/耐熱金属層/キャリア箔の4層を当該順序で備え、且つ、[キャリア箔の厚さ]>[銅箔層の厚さ]の関係を満たすキャリア箔付銅箔を準備する。
支持基板製造工程: 当該キャリア箔付銅箔の前記キャリア箔表面に絶縁層構成材を張り合わせ、当該キャリア箔付銅箔と絶縁層構成材とで構成される支持基板を得る。
ビルドアップ配線層形成工程: 当該支持基板のキャリア箔付銅箔の銅箔層表面に、ビルドアップ配線層を形成してビルドアップ配線層付支持基板を得る。
ビルドアップ配線層付支持基板分離工程: 当該ビルドアップ配線層付支持基板を、前記キャリア箔表面に前記絶縁層構成材が張り合わされた状態で、前記支持基板の前記剥離層において分離して、当該ビルドアップ配線層付支持基板から当該絶縁層構成材側を除去し、前記銅箔層表面に前記ビルドアップ配線層が形成された多層積層板を得る。
多層プリント配線板形成工程: 前記多層積層板において前記銅箔層をエッチングする工程を含み、当該エッチング工程を経た上で、多層プリント配線板を得る。
【請求項2】
前記ビルドアップ配線層形成工程において、前記キャリア箔付銅箔の前記銅箔層をビルドアップ配線層形成用材料として用い、前記ビルドアップ配線層を形成する請求項1に記載
の多層プリント板の製造方法。
【請求項3】
前記多層プリント配線板形成工程において、前記銅箔層を回路形成用材料として用い、回路を形成する請求項1又は請求項2に記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項4】
前記多層プリント配線板形成工程において、前記銅箔層を含む回路を形成する請求項1?請求項3のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項5】
前記キャリア箔付銅箔は、当該銅箔層、キャリア箔の少なくとも一面に粗化処理、防錆処理、カップリング剤処理の1種以上を施したものを用いる請求項1?請求項4のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項6】
前記キャリア箔付銅箔の耐熱金属層は、ニッケル又はニッケル合金を用いて形成したものである請求項1?請求項5のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項7】
前記キャリア箔付銅箔の剥離層は、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物、カルボン酸の中から選択される1種又は2種以上の有機剤を用いたものである請求項1?請求項6のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項8】
前記キャリア箔の厚さが7μm?35μmである請求項1?請求項7のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。」

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1?9に係る特許に対して平成29年11月15日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

理由1
本件特許の請求項1?9に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

理由2
本件特許は、明細書及び特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

●理由1(特許法第29条第2項)について
引用文献1:特許第4273895号公報
(異議申立人が提出の甲第1号証)
引用文献2:特開2006-22406号公報
(異議申立人が提出の甲第2号証)
引用文献3:特開2002-292788号公報
(異議申立人が提出の甲第3号証)
引用文献4:特開2007-67276号公報
(異議申立人が提出の甲第4号証)
引用文献5:特開平7-221456号公報
(異議申立人が提出の甲第5号証)
引用文献6:特開平9-64515号公報
(異議申立人が提出の甲第6号証)
引用文献7:特開2009-272589号公報
(異議申立人が提出の甲第7号証(特許第4805304号
公報)に対応する公開特許公報。)

本件発明1は、引用発明(引用文献1に記載された発明)及び引用文献3記載技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明2?9は、引用発明、引用文献1?3に記載された事項、及び周知・慣用技術(引用文献4?7)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

●理由2(特許法第36条第4項第1号及び第6項第2号)について
請求項9は不明確であり、また、発明の詳細な説明が請求項9に係る発明を実施できる程度に明確に記載されたものではない。

3 各引用文献の記載
(1)引用文献1
引用文献1には、「半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【請求項1】
以下のa、b、c、d、e、fの工程の順に製造される半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
a.極薄銅箔の厚さが1?5μmであるキャリア銅箔付き極薄銅箔のキャリア銅箔面に第1の絶縁樹脂を設けてなる回路形成用支持基板を形成する工程、
b.パターン電解銅めっきにより第1の配線導体を形成する工程、
c.第2の絶縁樹脂を、第1の配線導体と接するように配置し、加熱加圧して積層する工程、
d.第2の絶縁樹脂に、第1の配線導体に達する非貫通孔を形成し、該非貫通孔内壁を電解銅めっき又は無電解銅めっきによって接続させ第2の配線導体を形成する工程、
e.キャリア銅箔付き支持基板を剥離する工程、
f.前記極薄銅箔を除去する工程。」

イ 「【0011】
以下、本発明の実施の形態を詳細に記載する。
・・・(中略)・・・
支持基板層を簡単に除去するためにキャリア銅箔にはピーラブル銅箔を使用することが望ましい。また、ピーラブル銅箔の構成は、キャリア銅箔に剥離層を有していることが好ましい。剥離層は有機/無機系材料の制約はないが、ニッケル又はクロム系の単層あるいは合金層が好ましい。キャリア銅箔の厚みは、極薄銅箔の厚みに対して、キャリア/薄銅=18?75μmt/1?5μmtがハンドリング上好ましい。 ・・・(後略)」

ウ 「【0012】
プリプレグは絶縁組成物を基材に含浸又は塗工してなるものであり、基材としては各種の電気絶縁材料用積層板に用いられる周知のものが使用出来る。基材の材質例としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス又はQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル又はテトラフルオロエリレン等の有機繊維、及びそれらの混合物等が挙げられる。 ・・・(後略)」

エ 「【0013】
樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁材料として用いられる公知慣例の樹脂組成物を用いることが出来る。 ・・・(後略)」

オ 「【0026】
銅箔の樹脂接着面に行う防錆処理は、ニッケル、錫、亜鉛、クロム、モリブデン、コバルトのいずれか、若しくはそれらの合金を用いて行うことができる。 ・・・(後略)」

カ 「【0027】
さらに防錆処理層上にクロメート処理層が形成されていると樹脂とのピール強度低下を抑制できるため有用である。 ・・・(後略)」

キ 「【0028】
本発明においては、防錆処理層上にさらにカップリング剤が吸着していることが好ましい。 ・・・(後略)」

ク 「【0033】
以下、図2から図4に示す実施例により本発明を説明する。
公称厚み0.06mmのプリプレグGEA-679F(日立化成工業株式会社製、商品名)を2枚重ね、その両側に、極薄銅箔厚3μmにキャリア銅箔厚35μmが貼り合わされたピーラブル銅箔FD-P3/35(古河サーキットフォイル株式会社製、商品名)を35μmの銅箔面が上記プリプレグと接着するように構成し、温度175±2℃、圧力2.5±0.2MPa、保持時間60分の条件にて真空プレスを実施し、表面が3μm銅箔の銅張積層板(MCL)を作製し、第1の回路基板10とした。
【0034】
第1の回路基板に日立ビアメカニクス株式会社製ルータ加工機にてガイド穴を形成した後、過水硫酸系のソフトエッチング液にて表面を1?2μm程度エッチングし、温度110±10℃、圧力0.50±0.02MPaにてドライフィルムレジストNIT225(ニチゴー・モートン株式会社製、商品名)をラミネートした。回路パターンの焼付けを上記ガイド穴を基準として平行露光機にて実施した後、1%炭酸ナトリウム水溶液にてドライフィルムレジストを現像し、硫酸銅濃度60?80g/L、硫酸濃度150?200g/Lの硫酸銅めっきラインにて15?20μmほどパターン電気銅めっきを施し、アミン系のレジスト剥離液にてドライフィルムレジストを剥離除去し、第2の回路基板20とした。
【0035】
第2の回路基板の銅パターン表面を、銅表面粗化液CZ-8100(メック株式会社製、製品名)を用いて粗化し、第1の回路基板の両面に対し、ガラス布にエポキシ樹脂を含浸させた公称厚み0.06mmのプリプレグGEA-679F(日立化成工業株式会社製、商品名)を介して、35μmのキャリア銅箔付3μm銅箔MT35S3(三井金属鉱業株式会社製、商品名)を真空プレスにて圧力2.5±0.2MPa、温度175±2℃、保持時間60分の条件にて積層した後35μmのキャリア銅箔を剥離し、第3の回路基板30とした。
・・・(中略)・・・
【0040】
第6aの回路基板60及び第6bの回路基板65において、第1の回路基板におけるピーラブル銅箔FD-P3/35(古河サーキットフォイル株式会社製、商品名)において、3μm銅箔と35μmキャリア銅箔の境界部に物理的な力を加えて剥離させ、第7aの回路基板70及び第7bの回路基板75とした。
【0041】
第7aの回路基板70において、35μmキャリア銅箔との接触面の3μm銅箔部を、過水硫酸系のソフトエッチング液にて除去し、また第7bの回路基板75においては、35μmキャリア銅箔との接触面の3μm銅箔部と第6bの回路基板のパターン部に残存している極薄銅箔を、過水硫酸系のソフトエッチング液にて除去した後、ソルダーレジスト形成、金めっき仕上げを行い、パッケージサイズに切断加工を施すことにより、第8aの回路基板80及び第8bの回路基板85を得られた。」

上記記載事項及び図面の記載を総合すると、引用文献1には、本件発明1の記載ぶりに則って整理すると、図2?図4に示される実施例として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「キャリア銅箔3付極薄銅箔4を用いて半導体素子搭載用パッケージ基板80を製造する方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする半導体素子搭載用パッケージ基板80の製造方法。
キャリア銅箔3付極薄銅箔4の準備工程: 極薄銅箔4/剥離層/キャリア銅箔3の3層を当該順序で備え、且つ、キャリア銅箔3の厚さが18?75μmで極薄銅箔4の厚さが1?5μmのキャリア銅箔3付極薄銅箔4を準備する。
回路形成用支持基板製造工程: 当該キャリア銅箔3付き極薄銅箔4の前記キャリア銅箔3表面にプリプレグ2を張り合わせ、当該キャリア銅箔3付極薄銅箔4とプリプレグ2とで構成される回路形成用支持基板を得る。
第1の配線導体、第2の絶縁樹脂、及び第2の配線導体を形成する工程: 当該回路形成用支持基板のキャリア銅箔3付極薄銅箔4の極薄銅箔4表面に、第1の配線導体、第2の絶縁樹脂、及び第2の配線導体を形成して第1の配線導体、第2の絶縁樹脂、及び第2の配線導体付回路形成用支持基板を得る。
第1の配線導体、第2の絶縁樹脂、及び第2の配線導体付回路形成用支持基板分離工程: 当該第1の配線導体、第2の絶縁樹脂、及び第2の配線導体付回路形成用支持基板を、前記キャリア銅箔3表面に前記プリプレグ2が張り合わされた状態で、前記回路形成用支持基板の前記剥離層において分離して、当該第1の配線導体、第2の絶縁樹脂、及び第2の配線導体付回路形成用支持基板から当該プリプレグ2側を除去し、前記極薄銅箔4表面に前記第1の配線導体、第2の絶縁樹脂、及び第2の配線導体が形成された回路基板70を得る。
半導体素子搭載用パッケージ基板形成工程: 前記回路基板70において前記極薄銅箔4をエッチングする工程を含み、当該エッチング工程を経た上で、半導体素子搭載用パッケージ基板80を得る。」

(2)引用文献2
引用文献2には、「キャリア付き極薄銅箔」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【請求項1】
キャリア箔の表面に、拡散防止層と、剥離層と、電気銅めっきにより形成された極薄銅箔とをこの順序に積層してなることを特徴とするキャリア付き極薄銅箔。」

イ 「【請求項15】
前記粗化処理された極薄銅箔の表面が、銅以外の金属めっき、クロメート処理及びシランカップリング剤処理から選択される少なくとも一つの処理を施されたものである、請求項1?14のいずれか1項記載のキャリア付き極薄銅箔。」

ウ 「【0021】
(1)FR-4グレードのような耐熱性ガラスエポキシ樹脂積層板の場合は、熱圧着温度が170℃前後であり、キャリア付き銅箔を樹脂基材に積層したのち、キャリア箔を剥がすことができないということはあり得ない。しかし、高耐熱性樹脂、とりわけポリイミド樹脂を基材とする場合は、加工温度がキャスティング法または熱圧着法のいずれの場合も300℃以上の高温であるため、剥離層として、特許文献1に示されたクロムめっき層を使用すると、クロムがキャリア銅中に拡散して、キャリア箔と極薄銅箔とが密着してしまい、剥離ができなくなってしまうという問題がある。」

エ 「【0027】
本発明は、上記2つの問題点を解決する、ファインパターン用途のプリント配線基板の製造時に用いるキャリア付き極薄銅箔を提供することを目的とする。すなわち、高温でキャスティングまたは熱圧着して製造する銅張積層板から、キャリア箔を容易に剥離でき、また、CO2ガスレーザを用いて極薄銅箔上から直接穴あけ加工ができる、キャリア付き極薄銅箔を提供することである。」

オ 「【0030】
剥離層は、クロム層またはクロム水和酸化物層であることが好ましい。また、拡散防止層は、CO_(2)ガスレーザが発振する波長の光を吸収しやすい層であることが好ましい。このCO_(2)ガスレーザが発振する波長の光を吸収しやすい層は、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、タングステン、銅、アルミニウム及びリンからなる群より選ばれ、単一金属の層でもよく、或いは2種以上の金属の合金層又は1種以上の金属酸化物層であることが好ましい。」

カ 「【0031】
本発明の、キャリア付き極薄銅箔の一例を第2図に示す。このキャリア付き極薄銅箔Aは、キャリア箔1の片面に、剥離層2と、拡散防止層3と、電気銅めっき層4とをこの順序で積層したものであり、該電気銅めっき層4の最外層表面4aが粗化面になっている。
そして、キャリア付き極薄銅箔Aは、その粗化面4aを基材(図示せず)に重ね合わせたのち全体を熱圧着し、ついでキャリア箔1を剥離・除去して、該電気銅めっき層の該キャリア側との接合面を露出せしめ、そこに所定の配線パターンを形成する態様で使用される。
【0032】
キャリア箔1は、前記の薄い電気銅めっき層4が基材に接合されるまで、バックアップする補強材(キャリア)として機能する。キャリア箔自体は、厚さが1mm以下であることが好ましく、さらに、7μmから70μm程度が好ましい。これより薄い場合は、キャリアとしての機能をなさなくなる。一方、これより厚い場合は、キャリアとして機能上、問題はないが、剥離層の形成および電気銅めっき層の形成のために連続してめっきする場合、連続めっきライン内での箔の張力を大きくする必要があり、大がかりな設備が必要となり好ましくない。」

キ 「【0045】
該剥離層2の上に形成する拡散防止層3は、キャリア付き極薄銅箔を樹脂基材に載せ、プレス積層するときに、該剥離層の拡散を防ぐ層である。 ・・・(後略)」

ク 「【0046】
本発明における加熱時の拡散を防止し、CO2ガスレーザが発振する波長の光を吸収しやすい層3は、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、タングステン、銅、アルミニウム及びリンからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素からなり、単一金属の層でもよく、2種以上の金属の合金層または1種以上の金属酸化物の層でもよい。」

ケ 「【0058】
また、キャリア箔1の表面に、拡散防止層3と、剥離層2と、電気銅めっき層4とをこの順序に積層してなり、該電気銅めっき層4の最外層表面が粗面化されていることを特徴とするキャリア付き極薄銅箔の場合は、キャリア箔1を剥離・除去するとき、拡散防止層3は、剥離層2及びキャリア箔1と一体的に除去されるので、拡散防止層3が極薄銅箔を覆わず、極薄銅箔がそのまま残る。」

コ 「【0095】
評価試料の作製
(1)キャリアピール測定用片面銅張積層板の作製
前記のキャリア箔付き極薄銅箔A(実施例1?10、比較例1?2)および樹脂付き銅箔B(実施例11)を縦250mm、横250mmに切断したのち、その粗化面4aの側の面を、熱圧着後に厚さ1mmとなる枚数のガラス繊維エポキシプレプリグシート(FR-4)の上に載置し、全体を2枚の平滑なステンレス鋼板で挟み、温度170℃、圧力50kg/cm2で60分間熱圧着し、その後、剥離層2と共にキャリア箔1を剥離して、厚さ1mmのFR-4キャリアピール用片面銅張積層板を製造した。
また、前記のキャリア銅箔付き極薄銅箔A(実施例1?10、比較例1?2)を、縦250mm、横250mmに切断したのち、その粗化面4aの側の面を厚さ50μmのポリイミドシート(宇部興産製UPILEX-VT)の上に載置し、全体を2枚の平滑なステンレス鋼板で挟み、20torrの真空プレスにより、温度330℃、圧力2kg/cm2で10分間熱圧着し、その後、温度330℃、50kg/cm2で5分間熱圧着して、キャリア箔1付きのポリイミドキャリアピール用片面銅張積層板を製造した。」

(3)引用文献3
引用文献3には、「複合銅箔及び該複合銅箔の製造方法」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【請求項1】 支持体銅箔と極薄銅箔との間に、支持体銅箔と極薄銅箔との間の熱による銅の拡散を抑制するための熱拡散防止層及び支持体銅箔と極薄銅箔を機械的に分離するための剥離層を有する複合銅箔。
【請求項2】 熱拡散防止層を支持体銅箔側に、剥離層を極薄銅箔側に有する請求項1記載の複合銅箔。
【請求項3】 熱拡散防止層を極薄銅箔側に、剥離層を支持体銅箔側に有する請求項1記載の複合銅箔。」

イ 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は銅張積層板、プリント配線板に用いられる極薄銅箔を提供するための複合銅箔及びその製造方法に関し、より詳細には支持体銅箔と極薄銅箔の間に、熱拡散防止層及び剥離層を設けることにより、樹脂基材積層後の支持体銅箔の剥離強度を安定させた複合銅箔及びその製造方法に関する。」

ウ 「【0003】前記した複合銅箔は、極薄銅箔側が樹脂基材に接触するようにして樹脂基材と重ねて加熱、加圧積層した後、支持体銅箔を剥離して極薄銅張積層板とされる。この複合銅箔では、極薄銅箔と支持体銅箔との間に、剥離層として金属酸化物皮膜が設けられており、この層を介して剥離するものである。しかしながら、積層時、支持体銅箔と極薄銅箔間が加熱されることにより密着性が急激に上昇し、著しい場合は剥離不可能となり、支持体銅箔が極薄銅箔側に残留してしまったり、もしくは極薄銅箔が破損し、ピンホールとなってしまう等、高密度プリント配線板の製造に対して実用上の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、複合銅箔の極薄銅箔側に樹脂基材を重ねて加熱、加圧により積層した後、支持体銅箔を剥離するとき、加熱温度による剥離強度の変化が小さく、樹脂基材と積層後に支持体銅箔が容易に剥離し、剥離強度が安定している複合銅箔を提供することにある。」

エ 「【0006】
【発明の実施の形態】本発明において、
・・・(中略)・・・
支持体銅箔の厚さはハンドリング性の点から10?150μmのものが好ましく用いられ、15?100μmのものがより好ましく用いられる。また、支持体銅箔は適切な前処理によってその表面が清浄化されていることが好ましい。
【0007】熱拡散防止層は、支持体銅箔と極薄銅箔との間の熱による銅の拡散を抑制するための層であり、プリント配線板製造等における加熱工程において、支持体銅箔又は極薄銅箔層と熱拡散しない、もしくは熱拡散速度を遅くする作用を有するものがよい。例えば、Ni-P合金層は加熱処理後、Pが含まれていることにより結晶質の安定な状態に変化することが考えられ、金属間で原子の拡散が起こりにくくなり、金属間の剥離強度を安定化させることができる。この熱拡散防止層は、支持体銅箔側に設けられていても、極薄銅箔側に設けられていてもよいが、好ましくは、防錆性の点で、極薄銅箔側に設けられる。また、熱拡散防止層は、ピンホールのない、均一な皮膜であることが好ましい。好適な材質としてはNi、Co等の高融点金属に、P、Bなどの金属間化合物を形成する物質を含有させた合金が挙げられる。特にNi-P合金は300℃以上の温度を加えても、銅との拡散速度が極めて遅く、加えてピンホールのない皮膜を形成することができる。この場合の、Ni-P合金の組成はP0.001?30wt%残部Ni、好ましくはP0.1?15wt%残部Niである。このようなNi-P合金層は、例えば支持体銅箔又は剥離層を形成した支持体銅箔に対して電解めっき又は無電解めっきすることにより作製することができるが、生産速度の観点から、電解めっきがより好適に用いられる。Pの含有量が多い場合、剥離可能な温度域が上昇するが、多すぎるとNi-P合金の生産速度が低下する。熱拡散防止層としてNi-P合金層を用いた場合、好ましい厚さは0.01?5μmである。更に好ましくは0.05?1μmである。この厚さが0.01μm未満であるとピンホール発生し、剥離強度が不安定になる傾向があり、5μmを超えると生産性が悪化する傾向がある。
【0008】剥離層は、支持体銅箔と極薄銅箔を機械的に分離するための層であり、有機物質からなる有機皮膜及び金属酸化物皮膜が好適である。有機皮膜の剥離層としては、チアジアゾール、ベンゾトリアゾール、メルカプトベンズイミダゾール、メルカプトベンゾチアゾール及びポリアリルアミンから選ばれる1種以上の化合物からなる皮膜が好適である。このような有機物質を含む水溶液に、支持体銅箔又は熱拡散防止層を形成した支持体銅箔を浸漬し皮膜を形成したのち、水洗して余分の有機物質を除去する。この皮膜は数?数十オングストロームと極めて薄く、ほとんど1分子程度の厚さである。これら有機物質を剥離層に用いた場合、官能基の種類によって剥離強度が変化する。しかしながら、水溶液の濃度、浸漬時間には関りなく、剥離強度は一定である。種類の異なる有機物質もしくは官能基の異なる有機物質を数種混合して使用することにより、剥離強度の調整が可能である。」

オ 「【0012】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
厚さ35μmの電解銅箔を支持体銅箔として、その光沢面を30g/l硫酸に20秒間浸漬することにより酸洗浄した後、20秒間水洗した。次いでNiSO_(4)・6H_(2)O:300g/l、H_(3)BO_(3):40g/l、H_(3)PO_(3):0.5g/l、MgSO_(4)・6H2O:80g/l、サッカリンナトリウム2水和物:2g/lのNi-P浴で、温度:40℃、pH:2.5、電流密度:5.4A/dm^(2)、処理時間:20秒の条件でめっきを行い、光沢面上にNi-P合金層からなる熱拡散防止層を形成した後、20秒間水洗した。Ni-P合金層厚さ:0.2μm、P含有率:0.4wt%であった。この熱拡散防止層を形成した支持体銅箔を、チアジアゾール(商品名:ニッカノンタック、日本化学産業株式会社製):200ml/lの水溶液に、温度:30℃、pH:11.0、処理時間:20秒の条件で浸漬し剥離層を形成した後、20秒間水洗した。この剥離層を形成した支持体銅箔に、ピロリン酸銅:80g/l、ピロリン酸カリウム:320g/l、アンモニア水:2ml/lのピロリン酸銅浴で、温度:40℃、pH:8.5、電流密度:2.0A/dm^(2)、処理時間:20秒の条件で厚さ0.1μmの銅めっきを行った後、20秒間水洗した。次いでCuSO_(4)・5H_(2)O:135g/l、H_(2)SO_(4):100g/lの硫酸銅浴で、温度:40℃、電流密度:3.5A/dm^(2)、処理時間:300秒の条件で厚さ3.9μmの銅めっきを行い、極薄銅箔層(合計厚さ4.0μm)を形成した後、20秒間水洗した。更にこの極薄銅箔層の表面に対し、公知の硫酸銅めっき浴を用いて厚さ1.0μmの電着微細銅粗化処理を施した。粗化処理が施された極薄銅箔の表面に公知の方法でクロメートの防錆処理を施し、水洗乾燥して複合銅箔を得た。この複合銅箔の極薄銅箔側をガラスエポキシプリプレグ(FR-4基材)に重ね、温度170℃、圧力30kN/m^(2)、60分間積層し、銅張積層板を得た。また、この複合銅箔をガラスエポキシプリプレグ(FR-5基材)に重ね、温度200℃、圧力30kN/m^(2)、60分間積層し、銅張積層板を得た。支持体銅箔と極薄銅箔間の剥離強度をJIS-C-6481に準拠して測定した結果を表7に示す。FR-4基材及びFR-5基材に積層した剥離強度はいずれも0.01kN/mであり容易に剥離できた。
【0013】実施例2?6
剥離層の形成を表2に示す条件で行った他は、実施例1と同様の支持体銅箔に熱拡散防止層、剥離層、極薄銅箔層、粗化処理層、防錆処理層の順に各層を形成し、複合銅箔を得た。」

(4)引用文献4
引用文献4(特に、【請求項3】、【請求項4】、及び【図1】?【図6】を参照。)には、「プリント配線板とその製造方法」に関して、銅箔20を回路として使用することが記載されている。

(5)引用文献5
引用文献5には、「多層配線板の製造法」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0009】次に、フィルム基材7を機械的に剥離して金属薄膜2を露出させ、露出した金属薄膜面上にレジスト膜を形成し、これをフォトリソグラフ法で所望する配線形状にパターニングし、電気めっき法により第一の配線パターン11を形成する。その後、レジストパターンを剥離し、クイックエッチングにより金属薄膜9の所望する領域を除去後(図2(c))、第一の配線パターンを内側にして第二の絶縁基材12と重ね合わせて第一の配線パターン11を第二の絶縁基材12内に埋め込むとともに、第一と第二の絶縁基材を一体化する(図2(d))。 ・・・(後略)」

(6)引用文献6
引用文献6には、「プリント配線板の製造方法」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0015】次に回路パターン16の表面を化学処理によって粗面化し(図1の(C))、プリプレグ18あるいは内層回路パターンを有する積層板を積層する(図1の(D))。そしてメタルキャリヤ10とプレス機のバックプレート20Cとを剥離した後、薄付け銅めっき12の不要部分12Aをエッチングにより除去する(図1の(E))。この結果プリント配線板22Aが完成する。」

(7)引用文献7
引用文献7(特に、11ページ?12ページの平成22年11月2日に提出の手続補正書の【請求項6】を参照。)には、「キャリヤー付金属箔」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
「【請求項6】
プリプレグからなる板状キャリヤーと、該キャリヤーの少なくとも一方の面に機械的に剥離可能に密着させた金属箔からなるキャリヤー付金属箔に、鍍金または金属箔厚みの半分程度エッチングすることにより回路を形成する工程、次に、その回路上にプリプレグ、さらに金属箔を重ねてホットプレスして新たな金属箔層を形成する工程、次いで、その新たな金属箔層に回路を形成する工程を行い、さらに所定の層数を重ねた後、板状キャリヤー付金属箔のプリプレグと金属箔の界面から剥離し、さらに剥離面を全面エッチングして、回路を露出させることを特徴とする多層コアレス回路基板の製造方法。」

4 判断
(1)特許法第29条第2項について
ア 本件発明1について
本件発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「キャリア銅箔3」は、本件発明1の「キャリア箔」に相当する。
以下同様に、「極薄銅箔4」は、「銅箔層」に、
「キャリア銅箔3の厚さが18?75μmで極薄銅箔4の厚さが1?5μm」であることは、「[キャリア箔の厚さ]>[銅箔層の厚さ]の関係を満たす」ことに、
「回路形成用支持基板」は、「支持基板」に
「プリプレグ2」は、「絶縁層構成材」に、それぞれ相当する。

引用発明の「極薄銅箔4/剥離層/キャリア銅箔3の3層を当該順序で備え」た「キャリア銅箔3付極薄銅箔4」は、本件発明1の「少なくとも銅箔層/剥離層/耐熱金属層/キャリア箔の4層を当該順序で備え」た「キャリア箔付銅箔」と、「少なくとも銅箔層/剥離層/キャリア箔を当該順序で備え」た「キャリア箔付銅箔」である限りにおいて共通する。

引用文献1の【図2-2】を参照すると、回路基板80は、多層の基板となっており、かつ、コアを有していないから、引用発明の「半導体素子搭載用パッケージ基板80」は、本件発明1の「多層プリント配線板」に相当すると共に、「コアレス」といえる。
また、引用文献1の【図2-2】を参照すると、引用発明の「第1の配線導体、第2の絶縁樹脂、及び第2の配線導体」は、本件発明1の「ビルドアップ配線層」といえる。
そして、引用発明は、「コアレスビルドアップ法」で、半導体素子搭載用パッケージ基板80を製造しているといえる。

以上のことから、本件発明1と引用発明とは次の点で一致する。
「キャリア箔付銅箔を用いてコアレスビルドアップ法で多層プリント配線板を製造する方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
キャリア箔付銅箔の準備工程: 少なくとも銅箔層/剥離層/キャリア箔を当該順序で備え、且つ、[キャリア箔の厚さ]>[銅箔層の厚さ]の関係を満たすキャリア箔付銅箔を準備する。
支持基板製造工程: 当該キャリア箔付銅箔の前記キャリア箔表面に絶縁層構成材を張り合わせ、当該キャリア箔付銅箔と絶縁層構成材とで構成される支持基板を得る。
ビルドアップ配線層形成工程: 当該支持基板のキャリア箔付銅箔の銅箔層表面に、ビルドアップ配線層を形成してビルドアップ配線層付支持基板を得る。
ビルドアップ配線層付支持基板分離工程: 当該ビルドアップ配線層付支持基板を、前記キャリア箔表面に前記絶縁層構成材が張り合わされた状態で、前記支持基板の前記剥離層において分離して、当該ビルドアップ配線層付支持基板から当該絶縁層構成材側を除去し、前記銅箔層表面に前記ビルドアップ配線層が形成された多層積層板を得る。
多層プリント配線板形成工程: 前記多層積層板において前記銅箔層をエッチングする工程を含み、当該エッチング工程を経た上で、多層プリント配線板を得る。」

一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点]
「キャリア箔付銅箔」に関して、 本件発明1では、「少なくとも銅箔層/剥離層/耐熱金属層/キャリア箔の4層を当該順序で備え」ているのに対して、
引用発明では、「極薄銅箔4/剥離層/キャリア銅箔3の3層を当該順序で備え」ているものであり、「耐熱金属層」を備えていない点。

上記相違点について検討する。
引用文献3には、銅張積層板、プリント配線板に用いられる極薄銅箔を提供するための複合銅箔において(「3(3)」の「イ」を参照。)、複合銅箔の極薄銅箔側に樹脂基材を重ねて加熱、加圧により積層した後、支持体銅箔を剥離するとき、加熱温度による剥離強度の変化が小さく、樹脂基材と積層後に支持体銅箔が容易に剥離し、剥離強度が安定している複合銅箔を提供するために(「3(3)」の「ウ」の段落【0004】を参照。)、極薄銅箔/熱拡散防止層/剥離層/支持体銅箔の4層を当該順序で備えること、及び極薄銅箔/剥離層/熱拡散防止層/支持体銅箔の4層を当該順序で備えること(「3(3)」の「ア」を参照。)が記載されている(以下、「引用文献3記載技術」という。)。
ここで、上記「熱拡散防止層」及び「支持体銅箔」は、その技術的意義からみて、それぞれ本件発明1の「耐熱金属層」及び「キャリア箔」に相当するものであるから、引用文献3には、「銅箔層/耐熱金属層/剥離層/キャリア箔の4層を当該順序で備え」ること(以下、当該順序を「第1の順序」という。)、及び「銅箔層/剥離層/耐熱金属層/キャリア箔の4層を当該順序で備え」ること(以下、当該順序を「第2の順序」という。)の、2通りが開示されており、このうちの第2の順序は、本件発明1と同じ順序である。
しかし、引用文献3には「この熱拡散防止層は、支持体銅箔側に設けられていても、極薄銅箔側に設けられていてもよいが、好ましくは、防錆性の点で、極薄銅箔側に設けられる。」(「3(3)エ」の段落【0007】を参照。)と記載され、第1の順序が推奨されており、また、推奨されている第1の順序ではなく、第2の順序を選択する特段の理由は示されていない。
そうすると、引用発明に引用文献3記載技術を適用する際に、前記2通りの順序のうち、第2の順序(本件発明1と同じ順序)を選択する動機付けがあるとはいえない。

次に、取消理由通知において引用した引用文献2の適用について検討すると、引用発明への引用文献2の適用は、後記「3(ア)」で述べるとおりであり、また、引用文献4?7には、上記相違点に係る本件発明1の構成である「少なくとも銅箔層/剥離層/耐熱金属層/キャリア箔の4層を当該順序で備え」ることについて、記載も示唆もされていない。

一方、本件発明1が前提とする「コアレスビルドアップ法で多層プリント配線板を製造する方法」では、「銅箔層側に耐熱金属層が設けられ、且つ、耐熱金属層が厚さが0.01μm以上である場合には、 ・・・(中略)・・・ 支持体とビルドアップ層とを分離した後でも、ビルドアップ層の表面に、厚い耐熱金属層が残存している。このような厚い耐熱金属層が、ビルドアップ層の表面に残存すると、その後、銅箔層に必要な加工を行う際に、耐熱金属層を除去する工程が必要であった。」(本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)の段落【0007】を参照。)。
そこで、本件発明1では、前記第2の順序である、「少なくとも銅箔層/剥離層/耐熱金属層/キャリア箔の4層を当該順序で備え」ていることにより、ビルドアップ配線層付支持基板分離工程において、支持基板の剥離層から、耐熱金属層を含んだ絶縁層構成材側を除去するため、「コアレスビルドアップ法で、キャリア箔付銅箔を用い、ビルドアップ層を含む多層積層板を製造しても、その表面には、エッチングの困難な耐熱金属層が残留しない。よって、本件出願に係る多層プリント配線板の製造方法では、耐熱金属層の除去工程を要しないため、安価に多層プリント配線板の製造が可能である。」(本件特許明細書の段落【0035】)との顕著な効果を奏するものである。

以上のことから、上記相違点に係る本件発明1の構成は、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本件発明1は、引用発明、引用文献2及び3記載技術、並びに周知・慣用技術(引用文献4?7)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

イ 本件発明2?8について
本件発明2?8は、本件発明1を更に減縮したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、引用発明、引用文献2及び3記載技術、並びに周知・慣用技術(引用文献4?7)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

なお、請求項9は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項9に対しての特許法第29条第2項の取消理由については、対象となる請求項が存在しない。

(2)特許法第36条第4項第1号及び第6項第2号について
平成29年11月15日付け取消理由通知において、請求項9に対して、特許法第36条第4項第1号及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨の取消理由を通知した。
しかし、請求項9は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項9に対しての特許法第36条第4項第1号及び第6項第2号の取消理由については、対象となる請求項が存在しない。

(3)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
ア 甲第2号証(引用文献2)について
異議申立人は、甲第2号証に記載の「拡散防止層」は、本件発明1の「耐熱金属層」と同じものであり、キャリア箔付銅箔中での各層の積層順序も、本件発明1と同じであり、甲第2号証で着目された問題は周知の課題であり、甲第1号証(引用発明)に甲第2号証記載技術を適用する動機は十分にある旨を主張している(異議申立書の30ページ18行?33ページ1行)。

引用文献2には、高耐熱性樹脂(特に、ポリイミド樹脂)を基材とする場合は、加工温度がキャスティング法または熱圧着法のいずれの場合も300℃以上の高温であるため、剥離層としてクロムめっき層を使用すると、クロムがキャリア銅中に拡散して、キャリア箔と極薄銅箔とが密着してしまい、剥離ができなくなってしまうという問題があったところ(「3(2)ウ」を参照。)、キャリア付き極薄銅箔において、高温でキャスティングまたは熱圧着して製造する銅張積層板から、キャリア箔を容易に剥離できるようにするために、電気銅めっき層4(極薄銅箔)/拡散防止層3/剥離層2/キャリア箔1の4層を当該順序で備えること、及び電気銅めっき層4(極薄銅箔)/剥離層2/拡散防止層3/キャリア箔1の4層を当該順序で備えること(「3(2)」の「ア」、「エ」、「カ」及び「ケ」を参照。)が記載されている(以下、「引用文献2記載技術」という。)。
ここで、上記「電気銅めっき層4(極薄銅箔)」及び「拡散防止層3」は、その技術的意義からみて、本件発明1の「銅箔層」及び「耐熱金属層」に相当するものであるから、引用文献2には、前述の引用文献3記載技術と同様に、「少なくとも銅箔層/耐熱金属層/剥離層/キャリア箔の4層を当該順序で備え」ること(「第1の順序」)、及び「少なくとも銅箔層/剥離層/耐熱金属層/キャリア箔の4層を当該順序で備え」ること(「第2の順序」)の、2通りが開示されており、このうちの第2の順序は、本件発明1と同じ順序である。
ところで、引用発明の「プリプレグ2」について、引用文献1(「3(1)ク」の段落【0033】及び段落【0035】を参照。)には、実施例では、「ガラス布にエポキシ樹脂を含浸させた公称厚み0.06mmのプリプレグGEA-679F(日立化成工業株式会社製、商品名)」を用い、「温度175±2℃、圧力2.5±0.2MPa、保持時間60分の条件にて真空プレスを実施」していることが記載されている(なお、プリプレグGEA-679Fがガラスエポキシであることは、乙第1号証(日立化成株式会社「MCLプリント配線板用銅張積層板」、カタログ作製年月2017年6月、p1?p21)の20ページ1行?3行の「高弾性・低熱膨張材料 MCL-E-679F(R)タイプ GEA-679F(R)タイプ<プリプレグ> ガラス布基材高Tgエポキシ樹脂多層材料(FR-4)」との記載とも整合する。)。
このガラス布にエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグに関して、引用文献2には、「FR-4グレードのような耐熱性ガラスエポキシ樹脂積層板の場合は、熱圧着温度が170℃前後であり、キャリア付き銅箔を樹脂基材に積層したのち、キャリア箔を剥がすことができないということはあり得ない。」(「3(2)ウ」を参照。)と記載されている。
そうすると、引用文献2の当該記載に接した当業者にとって、引用発明の「回路形成用支持基板製造工程」の、キャリア銅箔3付極薄銅箔4(極薄銅箔4/剥離層/キャリア銅箔3の3層)の表面にプリプレグ2(ガラス布にエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグGEA-679F)を張り合わせる際の熱圧着温度は175±2℃であり、この温度は「熱圧着温度が170℃前後」といえるから、引用発明の「第1の配線導体、第2の絶縁樹脂、及び第2の配線導体付回路形成用支持基板分離工程」において、キャリア銅箔3の剥離に課題を見出すことは困難であるといえる。
そして、引用文献2記載事項において対象とする樹脂材料は、加工温度が300℃以上となる高耐熱性樹脂(特に、ポリイミド樹脂)であって、熱圧着温度が170℃前後であるガラスエポキシ樹脂ではないから、耐熱性ガラスエポキシ樹脂を用いる引用発明に対して、引用文献2記載事項を適用する動機付けがあるとはいえない。

また、引用文献1には、プリプレグの基材としてポリイミドの有機繊維を用いること(「3(1)ウ」を参照。)も記載されてはいるものの、ポリイミドは有機繊維の基材として用いられるにすぎず、基材に含浸させる絶縁組成物の材質は明らかでないから、熱圧着温度は明らかではなく、したがって、引用文献2記載事項を適用する動機付けがあるとはいえない。

以上のことから、異議申立人の上記主張は理由がない。

なお、引用文献2には、「また、キャリア箔1の表面に、拡散防止層3と、剥離層2と、電気銅めっき層4とをこの順序に積層してなり、該電気銅めっき層4の最外層表面が粗面化されていることを特徴とするキャリア付き極薄銅箔の場合は、キャリア箔1を剥離・除去するとき、拡散防止層3は、剥離層2及びキャリア箔1と一体的に除去されるので、拡散防止層3が極薄銅箔を覆わず、極薄銅箔がそのまま残る。」(「3(2)ケ」)との記載がある。
しかし、引用文献2の当該記載は、「キャリア箔1の表面に、拡散防止層3と、剥離層2と、電気銅めっき層4とをこの順序に積層」した場合(すなわち、第2の順序の場合)に、極薄銅箔がそのまま残ることを説明しているにすぎず、コアレスビルトアップ法で多層プリント配線板を製造するに際して、キャリア箔1の表面にエッチング困難な拡散防止層3が残留しないこと(本件特許明細書の段落【0035】に記載の「その表面には、エッチングの困難な耐熱金属層が残留しない」ことに相当。)、あるいは、拡散防止層3の除去工程を要しないこと(本件特許明細書の段落【0035】に記載の「耐熱金属層の除去工程を要しない」ことに相当。)を示唆するものではなく、更に、前記2通りの順序のうち、第2の順序(本件発明1と同じ順序)を選択することの利点を示唆するものでもない。

イ 甲第8?17号証について
異議申立人は特許異議申立書において、前記引用文献1?7として示した甲第1?7号証以外にも、下記の甲第8?17号証を挙げ、甲第8?11号証には、甲第2号証で剥離困難になるとされた宇部興産製のUPILEX-VT等の高耐熱性ポリイミドシートが記載されており、かかる樹脂基材は周知であり、甲第15号証には、ガラス布基材ポリイミド樹脂銅張り積層板が記載されており、また、甲第15?17号証を基に、ポリイミドは甲第1号証の「樹脂組成物」として広く一般に使用されていることを述べ(異議申立書32ページ7行?33ページ1行を参照。)、更に、「銅箔層/剥離層/耐熱金属層/キャリア層」との層構成は、甲第9、10、12?14号証に記載されているように周知技術であり、甲第1号証に記載された発明(引用発明)に甲第2号証並びに甲第8号証?甲第10号証に記載の周知の課題の下、かかる周知技術を採用することには何の困難性はない旨主張している(異議申立書33ページ27行?34ページ14行を参照。)。
甲第8号証:特開2004-169181号公報
甲第9号証:特許第4072431号公報
甲第10号証:特許第4728723号公報
甲第11号証:特許第4391449号公報
甲第12号証:特開2006-207032号公報
甲第13号証:特開2000-269637号公報
甲第14号証:特開2005-161840号公報
甲第15号証:「エレクトロニクス実装用高機能性基板材料」、
株式会社シーエムシー出版、2005年1月31日、p.86-93
甲第16号証:「ユビキタスネットワークとエレクトロニクス材料」、 株式会社シーエムシー出版、2009年3月24日、p.166-169、
p.176-183
甲第17号証:「COF実装の高密度化における材料・工法の問題点とそ
の対策」、株式会社技術情報協会、2003年2月24日、
p.3-9、p.92-99
そこで、上記甲第8号証?甲第17号証について検討する。

(ア)甲第8?11号証及び甲第2号証について
甲第8?11号証には、ポリイミドシートが記載されてはいるものの、引用発明において、プリプレグ2として甲第8?11号証に記載のポリイミドシートを採用する動機付けがあるとはいえず、更に引用文献2記載事項を適用し、その際に、前記2通りの順序のうち、第2の順序(本件発明1と同じ順序)を選択することまでもが容易想到とはいえない。

(イ)甲第8、11、15?17号証について
甲第8、11、15?17号証には、上記相違点に係る本件発明1の構成である「少なくとも銅箔層/剥離層/耐熱金属層/キャリア箔の4層を当該順序で備え」ることについて、記載も示唆もされていない。

(ウ)甲第9、10、12?14号証について
甲第9号証(特に、【請求項2】を参照。)には、「高密度超微細配線板用銅箔」に関して、「電気銅めっき層/剥離層/拡散防止層/キャリア箔」の4層を当該順序で備えることが記載されている(以下、「甲第9号証記載技術」という。)。
甲第10号証(特に、【請求項1】を参照。)には、「キャリア付き極薄銅箔」に関して、「電気銅めっきにより形成された極薄銅箔/剥離層/拡散防止層/キャリア箔」の4層を当該順序で備えることが記載されている(以下、「甲第10号証記載技術」という。)。
甲第12号証(特に、【請求項1】、及び段落【0023】の「なお、より高温での加熱プレス後の剥離性の安定化を図る上で、剥離層の下地にニッケル、鉄またはこれらの合金層を用いるとよい。」との記載を参照。)には、「キャリア付き極薄銅箔、及びその製造方法、キャリア付き極薄銅箔を用いたプリント配線基板」に関して、「極薄銅箔/ストライクめっき層/剥離層/剥離層の下地のニッケル、鉄またはこれらの合金/キャリア箔」の各層を当該順序で備えることが記載されている(以下、「甲第12号証記載技術」という。)。
甲第13号証(特に、段落【0032】、及び【0040】の「また、ニッケルめっきにて形成した剥離層の場合には、クロム酸塩のような補助剥離層を該剥離層上に更に形成する必要がある。」との記載を参照。)には、「高密度超微細配線板用銅箔」に関して、「電解銅めっき層3/剥離層上に形成されたクロム塩酸の補助剥離層/ニッケルめっきにて形成した剥離層/キャリヤー銅箔1」の4層を当該順序で備えることが記載されている(以下、「甲第13号証記載技術」という。)。
甲第14号証(特に、段落【0020】の「なお、キャリア付き極薄銅箔を絶縁基材に加熱プレス後の剥離の安定化を図る上で、剥離層の下地にニッケル、鉄またはこれらの合金層を併せて設けると良い。」との記載、及び段落【0024】を参照。)には、「キャリア付き極薄銅箔、およびプリント配線板」に関して、「極薄銅箔4/剥離層2/剥離層の下地であるニッケル、鉄またはこれらの合金層/キャリア箔1」の4層を当該順序で備えることが記載されている(以下、「甲第14号証記載技術」という。)。
しかし、上記甲第9、10、12?14号証記載技術は、前記引用文献2記載技術と同様の技術であるから、前記「(3)ア」に記載したのと同様の理由により、引用発明において、「第1の配線導体、第2の絶縁樹脂、及び第2の配線導体付回路形成用支持基板分離工程」の際にキャリア箔を容易に剥離できるようにするために、甲第9、10、12?14号証記載技術を適用する動機付けがあるとはいえない。

(エ)小括
以上のことから、異議申立人の上記主張は理由がない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、及び異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1?8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項9は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項9に対して、異議申立人がした異議申立については、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア箔付銅箔を用いてコアレスビルドアップ法で多層プリント配線板を製造する方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
キャリア箔付銅箔の準備工程: 少なくとも銅箔層/剥離層/耐熱金属層/キャリア箔の4層を当該順序で備え、且つ、[キャリア箔の厚さ]>[銅箔層の厚さ]の関係を満たすキャリア箔付銅箔を準備する。
支持基板製造工程: 当該キャリア箔付銅箔の前記キャリア箔表面に絶縁層構成材を張り合わせ、当該キャリア箔付銅箔と絶縁層構成材とで構成される支持基板を得る。
ビルドアップ配線層形成工程: 当該支持基板のキャリア箔付銅箔の銅箔層表面に、ビルドアップ配線層を形成してビルドアップ配線層付支持基板を得る。
ビルドアップ配線層付支持基板分離工程: 当該ビルドアップ配線層付支持基板を、前記キャリア箔表面に前記絶縁層構成材が張り合わされた状態で、前記支持基板の前記剥離層において分離して、当該ビルドアップ配線層付支持基板から当該絶縁層構成材側を除去し、前記銅箔層表面に前記ビルドアップ配線層が形成された多層積層板を得る。
多層プリント配線板形成工程: 前記多層積層板において前記銅箔層をエッチングする工程を含み、当該エッチング工程を経た上で、多層プリント配線板を得る。
【請求項2】
前記ビルドアップ配線層形成工程において、前記キャリア箔付銅箔の前記銅箔層をビルドアップ配線層形成用材料として用い、前記ビルドアップ配線層を形成する請求項1に記載の多層プリント板の製造方法。
【請求項3】
前記多層プリント配線板形成工程において、前記銅箔層を回路形成用材料として用い、回路を形成する請求項1又は請求項2に記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項4】
前記多層プリント配線板形成工程において、前記銅箔層を含む回路を形成する請求項1?請求項3のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項5】
前記キャリア箔付銅箔は、当該銅箔層、キャリア箔の少なくとも一面に粗化処理、防錆処理、カップリング剤処理の1種以上を施したものを用いる請求項1?請求項4のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項6】
前記キャリア箔付銅箔の耐熱金属層は、ニッケル又はニッケル合金を用いて形成したものである請求項1?請求項5のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項7】
前記キャリア箔付銅箔の剥離層は、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物、カルボン酸の中から選択される1種又は2種以上の有機剤を用いたものである請求項1?請求項6のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項8】
前記キャリア箔の厚さが7μm?35μmである請求項1?請求項7のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項9】
(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-03-23 
出願番号 特願2013-507719(P2013-507719)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (H05K)
P 1 651・ 537- YAA (H05K)
P 1 651・ 121- YAA (H05K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小川 悟史遠藤 秀明  
特許庁審判長 平田 信勝
特許庁審判官 小関 峰夫
滝谷 亮一
登録日 2017-02-17 
登録番号 特許第6093694号(P6093694)
権利者 三井金属鉱業株式会社
発明の名称 多層プリント配線板の製造方法  
代理人 吉村 勝博  
代理人 根岸 宏子  
代理人 根岸 宏子  
代理人 吉村 勝博  

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