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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  F16L
審判 全部申し立て 2項進歩性  F16L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  F16L
審判 全部申し立て 特174条1項  F16L
管理番号 1341048
異議申立番号 異議2016-700843  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-08 
確定日 2018-04-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5885799号発明「断熱材及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 平成29年6月27日付け訂正請求において、特許第5885799号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔4、5〕について訂正することを認める。 特許第5885799号の請求項1ないし5に係る特許を取り消す。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5885799号の請求項1?5に係る特許についての出願は、平成25年8月9日に出願した特願2013-166022号の一部を平成26年9月11日に新たな特許出願としたものであって、平成28年2月19日に特許権の設定登録がされ、その後、平成28年9月8日に特許異議申立人石田真樹子(以下「異議申立人」という。)より特許異議の申立てがなされ、平成28年11月15日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年1月20日に意見書の提出及び訂正請求がなされ、同年2月8日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年3月14日に意見書及び手続補正書の提出がなされ、同年4月24日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内である同年6月27日に意見書の提出及び訂正請求がなされ、同年7月10日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、同年8月8日付けで異議申立人より意見書が提出され、同年10月3日付けで訂正請求書に対する手続補正指令書(方式)が通知され、平成29年11月2日に上申書及び手続補正書(方式)の提出がなされ、同年12月13日付けで訂正拒絶理由が通知されたが、その指定期間内に意見書の提出はなされなかったものである。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
平成29年6月27日付け訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。
なお、平成29年1月20日付け訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「平均繊維径が1.5?5.0μmの無機繊維と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、無機粉末粒子とからなる断熱材であって、無機繊維を25?40重量%、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを5?40重量%、無機粉末粒子を20?70重量%含有し、かさ密度が397?600kg/m^(3)、3点曲げ強度が0.3MPa以上、600℃における熱伝導率が0.060?0.090W/(m・K)であることを特徴とする断熱材。」と記載されているのを、「平均繊維径が1.5?5.0μmの無機繊維と、いずれも平均粒子径が50nm以下の微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、平均粒子径が0.1?20μm以下の無機粉末粒子とからなる断熱材であって、無機繊維を25?30重量%、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを5?35重量%、無機粉末粒子を35?70重量%含有し、かさ密度が397?600kg/m^(3)、3点曲げ強度が0.3MPa以上、600℃における熱伝導率が0.060?0.090W/(m・K)であり、水に10秒間浸漬した後に表面に目視で確認可能なひび割れが生じないことを特徴とする断熱材。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2?3も同様に訂正する。)。

(2)訂正事項2
願書に添付した明細書の段落【0011】に「上記目的を達成するため、本発明が提供する断熱材は、平均繊維径が1.5?5.0μmの無機繊維と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、無機粉末粒子とからなる断熱材であって、無機繊維を25?40重量%、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを5?40重量%、無機粉末粒子を20?70重量%含有し、かさ密度が300?600kg/m^(3)、3点曲げ強度が0.3MPa以上、600℃における熱伝導率が0.060?0.090W/(m・K)であることを特徴とする。」と記載されているのを、「上記目的を達成するため、本発明が提供する断熱材は、平均繊維径が1.5?5.0μmの無機繊維と、いずれも平均粒子径が50nm以下の微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、平均粒子径が0.1?20μmの無機粉末粒子とからなる断熱材であって、無機繊維を25?30重量%、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを5?35重量%、無機粉末粒子を35?70重量%含有し、かさ密度が397?600kg/m^(3)、3点曲げ強度が0.3MPa以上、600℃における熱伝導率が0.060?0.090W/(m・K)であり、水に10秒間浸漬した後に表面に目視で確認可能なひび割れが生じないことを特徴とする。」に訂正する。

(3)訂正事項3
願書に添付した明細書の段落【0013】に「上記本発明による断熱材においては、特に、無機繊維を30?40重量%、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを30?40重量%、無機粉末粒子を30?40重量%含有する場合には、微小な材料の含有量が相対的に増えるので、熱伝導率をより一層低下させることができ更に好ましい。」と記載されているのを、「上記本発明による断熱材においては、特に、無機繊維を30重量%、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを30?35重量%、無機粉末粒子を35?40重量%含有する場合には、微小な材料の含有量が相対的に増えるので、熱伝導率をより一層低下させることができ更に好ましい。」に訂正する。

(4)訂正事項4
願書に添付した明細書の段落【0020】に「また、原料の圧縮成形においては、無機繊維の量が多く、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナや無機粉末粒子の量が少ないほど、得られる断熱材のかさ密度は小さくなり、逆の場合には断熱材のかさ密度は大きくなる。」と記載されているのを、「また、原料の圧縮成形においては、無機繊維の量が多く、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナの量が多く、無機粉末粒子の量が少ないほど、得られる断熱材のかさ密度は小さくなり、逆の場合には断熱材のかさ密度は大きくなる。」に訂正する。

(5)訂正事項5
願書に添付した明細書の段落【0022】に「一方、無機繊維が40重量%を超えるか、無機粉末粒子が40重量%を超え、又は無機粉末粒子が20重量%未満になると、かさ密度が300kg/m^(3)未満となってしまう。」と記載されているのを、「一方、無機繊維が40重量%を超えるか、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナが40重量%を超え、又は無機粉末粒子が20重量%未満になると、かさ密度が300kg/m^(3)未満となってしまう。」に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項4に「平均繊維径1.5?5.0μmの無機繊維と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、無機粉末粒子とからなる断熱材の製造方法であって、無機繊維25?40重量%と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ5?40重量%と、無機粉末粒子20?70重量%とを混合し、かさ密度が397?600kg/m^(3)となるように型を用いて圧縮成形することを特徴とする断熱材の製造方法。」と記載されているのを、「平均繊維径1.5?5.0μmの無機繊維と、いずれも平均粒子径が50nm以下の微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、平均粒子径が0.1?20μmの無機粉末粒子とからなる断熱材の製造方法であって、無機繊維25?30重量%と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ5?35重量%と、無機粉末粒子35?70重量%とを混合し、かさ密度が397?600kg/m^(3)となるように型を用いて圧縮成形することを特徴とする断熱材の製造方法。」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)。

(7)訂正事項7
願書に添付した明細書の段落【0015】に「また、本発明による断熱材の製造方法は、平均繊維径1.5?5μmの無機繊維と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、無機粉末粒子とからなる断熱材の製造方法であって、無機繊維25?40重量%と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ5?40重量%と、無機粉末粒子20?70重量%とを混合し、かさ密度が300?600kg/m^(3)となるように型を用いて圧縮成形することを特徴とする。」と記載されているのを、「また、本発明による断熱材の製造方法は、平均繊維径1.5?5μmの無機繊維と、いずれも平均粒子径が50nm以下の微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、平均粒子径が0.1?20μmの無機粉末粒子とからなる断熱材の製造方法であって、無機繊維25?30重量%と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ5?35重量%と、無機粉末粒子35?70重量%とを混合し、かさ密度が300?600kg/m^(3)となるように型を用いて圧縮成形することを特徴とする。」に訂正する。

(8)訂正事項8
願書に添付した明細書の段落【0020】に「また、原料の圧縮成形においては、無機繊維の量が多く、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナや無機粉末粒子の量が少ないほど、得られる断熱材のかさ密度は小さくなり、逆の場合には断熱材のかさ密度は大きくなる。」と記載されているのを、「また、原料の圧縮成形においては、無機繊維の量が多く、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナの量が多く、無機粉末粒子の量が少ないほど、得られる断熱材のかさ密度は小さくなり、逆の場合には断熱材のかさ密度は大きくなる。」に訂正する。

(9)訂正事項9
願書に添付した明細書の段落【0022】に「一方、無機繊維が40重量%を超えるか、無機粉末粒子が40重量%を超え、又は無機粉末粒子が20重量%未満になると、かさ密度が300kg/m^(3)未満となってしまう。」と記載されているのを、「一方、無機繊維が40重量%を超えるか、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナが40重量%を超え、又は無機粉末粒子が20重量%未満になると、かさ密度が300kg/m^(3)未満となってしまう。」に訂正する。

2 訂正の適否
2-1 訂正事項1?5について
(1) 訂正事項1
ア 訂正の内容
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1を上記1(1)のとおりに訂正するものであって、「水に10秒間浸漬した後に表面に目視で確認可能なひび割れが生じない」との事項(以下「訂正事項A」という。)を追加する訂正を含むものである。
そこで、まずは、かかる訂正事項Aが、願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか、について検討する。

イ 特許権者の主張
特許権者は、平成29年6月27日付け訂正請求書(6頁11?15行)において、「水に10秒間浸漬した後に表面に目視で確認可能なひび割れが生じない」とする訂正は、本件明細書の段落【0030】の実施例1に記載している事項に基づく訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである旨主張する。

ウ 本件明細書の記載
本件明細書には、以下の記載がある(なお、下線は当審で付した。以下同様。)
「【0028】
無機繊維としてイソライト工業(株)製のシリカアルミナ繊維であるイソウール(商品名;Al_(2)O_(3):46重量%、Al_(2)O_(3)+SiO^(2)(当審注:「SiO^(2)」は「SiO_(2)」の誤記と認める。):99重量%、平均繊維径:2.3μm、非繊維状粒子含有量:53重量%)を使用し、微粒子シリカ(平均粒子径:50nm以下)及び無機粉末粒子のシリカ粒子(平均粒子径:20μm以下)を使用して、以下の実施例及び比較例により断熱材を製造した。
【0029】
[実施例1]
原料の無機繊維75g(30重量%)と、微粒子シリカ87.5g(35重量%)と、シリカ粒子87.5g(35重量%)とを混合した。得られた混合物を金型に挿入して圧縮成形を行い、縦150×横150×厚さ25mmの断熱材を作製した。得られた断熱材のかさ密度は、397kg/m^(3)であった。尚、かさ密度は断熱材の重さと体積を測定して算出した。
【0030】
この実施例1の断熱材について、熱伝導率(600℃)、3点曲げ強度、10%圧縮強度及び加熱線収縮率(900℃×8時間)を測定した。また、耐水性試験により、断熱材を水に10秒間浸漬した後表面状態を観察して、ひび割れ等の有無を調査した。得られた結果を表1に示した。
【0031】
尚、熱伝導率(600℃)はJIS A1412(熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法、第2部:熱流計法(HFM法)の付属書A(規定)平板法)、3点曲げ強度はJIS R2619(耐火断熱れんがの曲げ強さの試験方法)、10%圧縮強度はJIS R2615(耐火断熱れんがの圧縮強さ試験方法)、加熱線収縮率はJIS R3311(セラミックファイバーブランケット)に準拠して測定した。
【0032】
[実施例2]
上記実施例1で得られた断熱材を、更に900℃にて2時間加熱処理することにより、実施例2の断熱材を製造した。この実施例2の断熱材のかさ密度は425kg/m^(3)であった。
【0033】
また、この実施例2の断熱材について、上記実施例1と同様に、熱伝導率、3点曲げ強度、10%圧縮強度及び加熱線収縮率を測定した。また、耐水性試験により、断熱材を水に10秒間浸漬した後表面状態を観察して、ひび割れ等の有無を調査した。得られた結果を表1に示した。
・・・
【0038】
【表1】

【0039】
〔表1の考察〕
本発明による実施例1及び2の断熱材は、比較例1のマイクロポーラス断熱材と比較して、熱伝導率については劣るものの、3点曲げ強度及び10%圧縮強度は高く、加熱線収縮率は小さい。実施例1及び2のかさ密度は、比較例1に比べて大きいため、3点曲げ強度及び10%圧縮強度が高くなっていると考えられる。
また、比較例2の従来の無機繊維質断熱材と比べると、熱伝導率は1/2程度まで小さくなっている。これは、内部の気孔を小さくし、気体の対流伝熱や気体分子の衝突による伝熱を抑制したためと考えられる。
【0040】
これらの結果から分かるように、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナは熱伝導率向上に効果的であるが、その量が多くなるとかさ密度が高くならないため、強度が低くなってしまう。また、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナは粒子径が小さく、比表面積が大きいため、反応性に富んでいて焼結しやすい。そのため、比較例1の断熱材では、加熱線収縮率が他に比べて大きくなっている。
【0041】
また、耐水性試験では、実施例1?2及び比較例2の断熱材にひび割れ等の外観の変化は無かったが、比較例1のマイクロポーラス系断熱材では多数の大きなひび割れが認められた。」

エ 検討
(ア)特許権者が訂正の根拠と主張する本件明細書の段落【0030】(上記ウ)には、「この実施例1の断熱材について、熱伝導率(600℃)、3点曲げ強度、10%圧縮強度及び加熱線収縮率(900℃×8時間)を測定した。また、耐水性試験により、断熱材を水に10秒間浸漬した後表面状態を観察して、ひび割れ等の有無を調査した。得られた結果を表1に示した。」と記載されており、かかる記載によれば、「耐水性試験」とは、「断熱材を水に10秒間浸漬した後表面状態を観察して、ひび割れ等の有無を調査」するというものであり、表1(上記ウ 段落【0038】)には、実施例1について、「ひび割れ無し」との耐水性試験の結果が示されている。
(イ)しかし、かかる結果は、あくまでも実施例1の結果、すなわち、本件明細書に記載される「無機繊維としてイソライト工業(株)製のシリカアルミナ繊維であるイソウール(・・・平均繊維径:2.3μm・・・)を使用し、微粒子シリカ(平均粒子径:50nm以下)及び無機粉末粒子のシリカ粒子(平均粒子径:20μm以下)を使用」(上記ウ 段落【0028】)するものであって、「原料の無機繊維75g(30重量%)と、微粒子シリカ87.5g(35重量%)と、シリカ粒子87.5g(35重量%)とを混合」し(上記ウ 段落【0029】)、かさ密度が「397kg/m^(3)」、熱伝導率が「0.080W/m・K」、曲げ強度が「0.32MPa」(上記ウ 段落【0038】)として特定される実施例1の結果を示すものであって、訂正後の請求項1で特定する、
(i) 平均繊維径が1.5?5.0μmの無機繊維と、いずれも平均粒子径が50nm以下の微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、平均粒子径が0.1?20μm以下の無機粉末粒子とからなる断熱材であって、
(ii) 無機繊維を25?30重量%、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを5?35重量%、無機粉末粒子を35?70重量%含有し、
(iii)かさ密度が397?600kg/m^(3)、
(iv)3点曲げ強度が0.3MPa以上、及び、
(v)600℃における熱伝導率が0.060?0.090W/(m・K)である、との各要件にて特定される断熱材において「ひび割れ無し」という結果を示すものではない。
さらに、かかる実施例1の試験結果から、少なくとも、
上記(i)で特定する無機繊維の平均繊維径における実施例1の「2.3μm」以外の「1.5?5.0μm」の全ての範囲について、
上記(i)で特定する微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナにおける実施例1の「微粒子シリカ」から「微粒子アルミナ」に代えたものについて、
上記(ii)で特定する無機繊維の含有率における実施例1の「30重量%」以外の「25?30重量%」の全ての範囲について、
上記(ii)で特定する微粒子シリカの含有率における実施例1の「35重量%」以外の「5?35重量%」の全ての範囲について、
上記(ii)で特定する「微粒子アルミナ」の含有率を「5?35重量%」としたものについて、
上記(ii)で特定する無機粉末粒子の含有率における実施例1の「35重量%」以外の「35?70重量%」の全ての範囲について、
上記 (iii)で特定するかさ密度における実施例1の「397kg/m^(3)」以外の「397?600kg/m^(3)」の全ての範囲について、
上記(iv)で特定する3点曲げ強度における実施例1の「0.32MPa」以外の「0.3MPa以上」の全ての範囲について、及び、
上記(v)で特定する600℃における熱伝導率における実施例1の「0.080W/m・K」以外の「0.060?0.090W/m・K)の全ての範囲について、それらのものが「ひび割れ無し」であると解すべき合理性はない。
(ウ)さらに、本件明細書には、上述した実施例1のほか、実施例1で得られた断熱材を更に900℃にて2時間加熱処理して製造した実施例2が記載され(上記ウ 段落【0032】、段落【0033】)、かかる実施例2についても「ひび割れ無し」との試験結果が得られているが(上記ウ 段落【0038】)、そのような実施例2を加味しても、上記(i)?(v)の事項を発明特定事項とする断熱材を「ひび割れ無し」と解すべき合理性はない。
(エ)また、特許権者が訂正の根拠と主張する本件明細書の段落【0030】(上記ウ)の記載によれば、「耐水性試験」とは、「断熱材を水に10秒間浸漬した後表面状態を観察して、ひび割れ等の有無を調査」するというものであるところ、「観察」の具体的な内容が明らかでないことから、それが「目視で確認」されたものとまで断ずることはできないし、そもそも「耐水性試験」の試験条件(試料の状態(サイズ、温度等)、水の状態(温度等)、観察の条件等)の詳細は不明であるから、断熱材における「目視で確認可能なひび割れ」が、どのようなひび割れを意味するのか特定することもできない。
(オ)したがって、訂正事項Aによる訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるということはできないから、上記訂正事項Aを含む訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものではない。
よって、訂正事項1に係る本件訂正を認めることはできない。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正事項1の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために訂正されたものであるところ、訂正事項2は、上記訂正事項Aと同様の訂正を含むものである。
したがって、訂正事項2は、訂正事項1と同様に、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものではない。
よって、訂正事項2に係る本件訂正を認めることはできない。

(3)訂正事項3?5について
訂正事項1は、訂正前の請求項1?3を訂正するものであり、訂正前の請求項2及び3は請求項1を直接的又は間接的に引用するため、請求項1?3は一群の請求項である。
ここで、訂正事項3?5は、訂正事項1により訂正される一群の請求項である請求項1?3に係る発明に関係する訂正として請求されたものであるところ、上記(1)で述べたとおり、訂正事項1に係る本件訂正を認めることはできないから、訂正事項3?5は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合するものということはできない。

(4)小括
以上のとおりであるから、訂正事項1?5に係る本件訂正を認めることはできない。

2-2 訂正事項6?9について
(1)訂正事項6
訂正事項6による訂正は、訂正前の請求項4に記載した発明を特定するために必要な事項である「微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ」及び「無機粉末粒子」について、本件明細書の段落【0019】等の記載を根拠に、それらが「いずれも平均粒子径が50nm以下の微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ」及び「平均粒子径が0.1?20μmの無機粉末粒子」であることを限定するものである。
さらに、訂正事項6による訂正は、訂正前の請求項4に記載した発明を特定するために必要な事項である「無機繊維」、「微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ」及び「無機粉末粒子」の各含有率について、それぞれ「25?40重量%」、「5?40重量%」及び「20?70重量%」として特定していたものを、本件明細書の段落【0029】等の記載を根拠に、それぞれ「25?30重量%」、「5?35重量%」及び「35?70重量%」の範囲に減縮するものである。
したがって、訂正事項6による訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当するものではない。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項7
訂正事項7は、上記訂正事項6に係る特許請求の範囲の訂正に合わせて、明細書の記載を整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。
そして、上記(1)で述べたとおり、訂正事項6による訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、訂正事項7も同様に、本件明細書に記載した範囲内でなされたもので、新規事項の追加に該当せず、特許請求の範囲を実質上拡張・変更するものでもない。
したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項8について
本件明細書の段落【0020】には、「また、原料の圧縮成形においては、無機繊維の量が多く、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナや無機粉末粒子の量が少ないほど、得られる断熱材のかさ密度は小さくなり、逆の場合には断熱材のかさ密度は大きくなる。」と記載されている一方で、段落【0040】には、「これらの結果から分かるように、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナは熱伝導率向上に効果的であるが、その量が多くなるとかさ密度が高くならないため、強度が低くなってしまう。」と記載されているため、「微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ」の含有量と「かさ密度」との関係が両記載において整合しておらず、明瞭な記載ということができなかった。
これに対して、訂正後の段落【0020】では、本件明細書の段落【0040】等の記載を根拠として、「また、原料の圧縮成形においては、無機繊維の量が多く、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナの量が多く、無機粉末粒子の量が少ないほど、得られる断熱材のかさ密度は小さくなり、逆の場合には断熱材のかさ密度は大きくなる。」と訂正することによって不明瞭な記載を正すものであるから、訂正事項8は、誤記又は誤訳の訂正、若しくは明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当するものではない。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第2?3号に規定する誤記又は誤訳の訂正、若しくは明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項9
本件明細書の段落【0022】には、「一方、無機繊維が40重量%を超えるか、無機粉末粒子が40重量%を超え、又は無機粉末粒子が20重量%未満になると、かさ密度が300kg/m^(3)未満となってしまう。」と記載されているが、「かさ密度が300kg/m^(3)未満となってしまう」条件として、「無機粉末粒子が40重量%を超え」ることと、「無機粉末粒子が20重量%未満になる」こととが技術的に整合していないため、明瞭な記載ということができなかった。
これに対して、訂正後の段落【0022】では、本件明細書の段落【0021】及び段落【0040】等の記載を根拠として、「一方、無機繊維が40重量%を超えるか、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナが40重量%を超え、又は無機粉末粒子が20重量%未満になると、かさ密度が300kg/m^(3)未満となってしまう。」と訂正することによって不明瞭な記載を正すものであるから、訂正事項9は、誤記又は誤訳の訂正、若しくは明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当するものではない。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第2?3号に規定する誤記又は誤訳の訂正、若しくは明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(5)一群の請求項について
訂正事項6は、訂正前の請求項4及び5を訂正するものであり、訂正前の請求項5は請求項4を引用するため、請求項4及び5は一群の請求項である。また、訂正事項7?9は、この一群の請求項の全てについて明細書を訂正するものである。
したがって、訂正事項6?9に係る本件訂正は、特許法第120条の5第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項の規定に適合する。

(6)小括
以上のとおり、訂正事項6?9に係る本件訂正は認めることができるから、訂正後の請求項〔4、5〕について訂正を認める。

第3 本件発明
上記「第2 2 2-1」で述べたとおり、訂正事項1?5に係る本件訂正を認めることができないので、本件特許の請求項1?3に係る発明(以下「本件発明1?3」という。)は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるものであり、また、上記「第2 2 2-2」で述べたとおり、訂正事項6?9に係る本件訂正は認められるから、かかる訂正により訂正された請求項4及び5に係る発明(以下「本件発明4及び5」という。)は、平成29年6月27日付け訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項4及び5に記載された事項により特定されるものであり、それぞれ次のとおりのものである。
「【請求項1】
平均繊維径が1.5?5.0μmの無機繊維と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、無機粉末粒子とからなる断熱材であって、無機繊維を25?40重量%、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを5?40重量%、無機粉末粒子を20?70重量%含有し、かさ密度が397?600kg/m^(3)、3点曲げ強度が0.3MPa以上、600℃における熱伝導率が0.060?0.090W/(m・K)であることを特徴とする断熱材。
【請求項2】
前記無機繊維が、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカアルミナジルコニア繊維又は生体溶解性繊維であることを特徴とする、請求項1に記載の断熱材。
【請求項3】
前記無機粉末粒子が、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の断熱材。
【請求項4】
平均繊維径1.5?5.0μmの無機繊維と、いずれも平均粒子径が50nm以下の微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、平均粒子径が0.1?20μmの無機粉末粒子とからなる断熱材の製造方法であって、無機繊維25?30重量%と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ5?35重量%と、無機粉末粒子35?70重量%とを混合し、かさ密度が397?600kg/m^(3)となるように型を用いて圧縮成形することを特徴とする断熱材の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法により得られた断熱材を、更に650℃以上の温度で加熱処理することを特徴とする断熱材の製造方法。」

第4 取消理由通知(決定の予告)の概要
当審が取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由の概要は、以下の取消理由1?4に示すとおりである。
1 取消理由1
本件特許の請求項1?5に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された以下の刊行物1?3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
刊行物1:特開2012-122543号公報
(異議申立人が提出した甲第1号証)
刊行物2:特開2001-330375号公報
(異議申立人が提出した甲第2号証)
刊行物3:特開2005-289655号公報
(異議申立人が提出した甲第3号証)

2 取消理由2
本件特許は、発明の詳細な説明の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消すべきものである。

3 取消理由3
本件特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消すべきものである。

4 取消理由4
平成27年9月24日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

第5 刊行物の記載事項等
1 刊行物1
(1)刊行物1の記載事項(下線は当審で付した。以下同様。)
刊行物1には以下の事項が記載されている。
(1a)「【請求項1】
シリカを含む第一の無機化合物からなる複数の小粒子と、
石英の結晶構造を有する第二の無機化合物からなり、前記小粒子よりも粒子径が大きい複数の大粒子と、
を備える断熱材。
【請求項2】
前記複数の小粒子の比重をC_(S)、前記複数の小粒子の質量の合計値をM_(S)、前記複数の大粒子の比重をC_(L)、前記複数の大粒子の質量の合計値をM_(L)、としたときに、
前記M_(L)に対する前記M_(S)の比率M_(S)/M_(L)が0.092C_(S)/C_(L)以上3以下である、
請求項1に記載の断熱材。
【請求項3】
前記小粒子の平均粒子径D_(S)が5nm以上50nm未満であり、
前記大粒子の平均粒子径D_(L)が50nm以上50μm以下である、
請求項1又は2に記載の断熱材。
・・・
【請求項5】
無機繊維をさらに含有し、
前記小粒子及び前記大粒子の含有量の合計値が、断熱材の全質量を基準として、40質量%以上99.5質量%以下であり、
前記無機繊維の含有量が、断熱材の全質量を基準として、0.5質量%以上60質量%以下である、
請求項1?4のいずれか一項に記載の断熱材。」
(1b)「【0009】
上記本発明では、複数の小粒子の比重をC_(S)、複数の小粒子の質量の合計値をM_(S)、複数の大粒子の比重をC_(L)、複数の大粒子の質量の合計値をM_(L)、としたときに、M_(L)に対するM_(S)の比率M_(S)/M_(L)が0.092C_(S)/C_(L)以上3以下であることが好ましい。これにより、かさ密度が低く、施工性が良好な断熱材を得易くなる。
【0010】
また、小粒子の平均粒子径D_(S)が5nm以上50nm未満であり、大粒子の平均粒子径D_(L)が50nm以上50μm以下であることが好ましい。これらの小粒子及び大粒子を用いた場合、優れた断熱性能を達成しやすい。
【0011】
上記本発明の断熱材は、大粒子が小粒子により囲まれたコア-シェル構造を有することが好ましい。この場合、断熱材の熱伝導率が低下し、断熱性能が向上し易い。
【0012】
上記本発明の断熱材は、無機繊維をさらに含有することが好ましい。そして、小粒子及び大粒子の含有量の合計値が、断熱材の全質量を基準として、40質量%以上99.5質量%以下であり、無機繊維の含有量が、断熱材の全質量を基準として、0.5質量%以上60質量%以下であることが好ましい。これにより、粒子の付着力と無機繊維のからみあいの効果により、低圧での加圧成形が可能となるため、かさ密度が小さくなりやすい。」
(1c)「【0029】
大粒子を構成する第二の無機化合物は、石英の結晶構造を有する。本明細書中、「石英の結晶構造を有する」か否かは、JCPDFカード番号46-1045に記載されている回折パターンに基づき判断される。具体的には、分級された大粒子に、内部標準物質としてシリコン(Si)を添加したサンプルを調整し、CuKa1線を用いて、回折角2θが20°から70°の範囲で粉末X線回折(以下、XRDという)を測定し、石英に帰属されるピークを検出する。そして、内部標準物質であるシリコンの2θ=28.442°に現れる(111)のピーク面積をS_(b)、石英に帰属されるピークのうち、2θ=20.859°、26.639°に現れるそれぞれ(100)、(101)の合計ピーク面積をS_(Q)とした時、S_(Q)とS_(b)の比S_(Q)/S_(b)が1以上である場合に、第二の無機化合物が石英の結晶構造を有するものとする。内部標準物質であるシリコンは、2θ=28.442°に現れる(111)のピークについて、シェラーの式から求められる結晶子サイズが5nm以上のものを使用する。
【0030】
S_(Q)/S_(b)は、断熱材の強度が向上する観点から2以上がより好ましく、混合時に大粒子の磨耗が少ない観点から、3以上が更に好ましい。
【0031】
第二の無機化合物は、石英である二酸化ケイ素(SiO_(2))の他に、構成成分として不純物を含んでいても構わない。第二の無機化合物がSiO_(2)を85%以上含むと、断熱材の熱収縮が小さくなり、好ましい。SiO_(2)を90%以上含むと、小粒子と大粒子との付着性が向上するため、より好ましい。SiO_(2)を95%以上含むと、断熱材成形体のかさ比重が小さいため、最も好ましい。
・・・
【0043】
本発明者は、小粒子及び大粒子の混合体を用いて断熱材を作製し、その熱伝導率とM_(S)/M_(L)の関係を詳細に調べた。その結果、M_(S)/M_(L)が0.092C_(S)/C_(L)以上3以下の範囲では、断熱材の熱伝導率は十分小さく、かつM_(S)/M_(L)の減少量に対する熱伝導率の増加量(熱伝導率の増加率)も小さいことを本発明者らは発見した。さらに、本発明者らは、M_(S)/M_(L)が0.092C_(S)/C_(L)未満の範囲では、M_(S)/M_(L)の減少に従い熱伝導率が増加する傾向があることを見出した。この理由は明らかではないが、M_(S)/M_(L)が0.092C_(S)/C_(L)以上の領域では、断熱材が、気体伝導と固体伝導の伝熱に対するボトルネックを有する構造をとり易いためであると考えられる。
・・・
【0057】
無機繊維の平均太さは1μm以上20μm以下であることが好ましい。無機繊維の平均太さが1μm以上であると、無機繊維は飛散し難く、作業性がよい。平均太さが20μm以下であると、無機繊維内の固体伝導による伝熱が抑えられ、断熱性能を確保する意味で好ましい。
・・・
【0059】
無機繊維の平均太さに対する無機繊維の平均長さの比(アスペクト比)は10以上であることが、曲げ強度が向上するため、好ましい。アスペクト比が100以上であると、無機繊維が飛散しにくくなり、より好ましい。無機繊維のアスペクト比は、FE-SEMにより測定した無機繊維1000本の太さ及び長さの平均値から求めることができる。
【0060】
無機繊維の含有率は、断熱材の全質量を基準として、0.5質量%以上60質量%以下だと、加圧成形が可能となり、好ましい。無機繊維の含有量が1%以下であると、成形また、無機繊維の含有量が60質量%より大きいと、圧力によらず加圧成形が困難となる。
【0061】
断熱性能の観点から、無機繊維の含有量は0.5質量%以上40質量%以下がより好ましい。小粒子や大粒子、赤外線不透明化粒子との混合を容易にする観点から、無機繊維の含有率は0.5質量%以上20質量%以下であることが、さらに好ましい。
・・・
【0064】
無機繊維として例を示すと、・・・アルミナ繊維(Al_(2)O_(3)-SiO_(2))・・・など、従来から知られる無機繊維を挙げることができる。
【0065】
無機繊維の中でも、特に人体にとって安全である生体溶解性のAESファイバー(Alkaline Earth Silicate Fiber)を用いることが好ましい。AESファイバーとしては、例えば、SiO_(2)-CaO-MgO系の無機質のガラス(無機高分子)が挙げられる。
・・・
【0082】
大粒子としては、天然の硅石を破砕した硅石粉末が好適に用いられる。硅石粉末は、例えば、天然の硅石から、粘土類などの夾雑物を除去したあと、各種方法により粉砕し、焼成し、さらに細かく粉砕した後、分級することにより、製造される。」
(1d)「【0087】
断熱材は、金型プレス成形法(ラム式加圧成形法)、ラバープレス法(静水圧成形法)、押出成形法など、従来から知られるセラミックス加圧成形法によって成形することができる。生産性の観点から、金型プレス成形法が好ましい。
【0088】
金型プレス成形法やラバープレス法において粉末状の断熱材を型に充填するときには、粉末状の断熱材に振動を与えるなどして、均一に充填することが、断熱材成形体の厚みが均一となるため、好ましい。
【0089】
型内を減圧・脱気しながら粉末状の断熱材を型に充填すると、粉体を短時間で充填できるため、生産性の観点から好ましい。
【0090】
加圧成形中又は加圧成形後の断熱材を、断熱材の耐熱性が十分である温度や時間の条件の範囲内で、断熱材が構造変化しないように加熱乾燥し、断熱材中の吸着水を除去した後、実用に供すると、熱伝導率が低くなるため、好ましい。」
(1e)「【実施例】
【0091】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0092】
[実施例1]
実施例1では、大粒子として、シリカパウダー#300(商品名、竹折砿業所株式会社製)を用いた。小粒子として、ヒュームドシリカHDK-N20(商品名、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)を用いた。
・・・
【0097】
345gのシリカパウダー#300と、115gのヒュームドシリカHDK-N20を、ボールミルを使用して均一に混合して、実施例1の混合粉末(粉末状の断熱材)を調製した。ヒュームドシリカHDK-N20の質量の合計値M_(S)は115gであり、シリカパウダー#300の質量の合計値M_(L)は345gであることから、比率M_(S)/M_(L)は0.33であった。
【0098】
上記の混合粉末415gを、内寸が縦20cm、横20cmの金型を使用して加圧成形を行い、縦20cm、横20cm、厚み20mmの成形体を得た。
・・・
【0101】
[実施例2]
782gのシリカパウダー#300と、68gのヒュームドシリカHDK-N20とを、実施例1と同様にして混合して、実施例2の混合粉末を調製した。実施例2における比率M_(S)/M_(L)は0.087であった。
【0102】
実施例2の混合粉末800gを、実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例2の成形体に成形欠陥は見られなかった。
・・・
【0105】
[実施例3]
50gのシリカパウダー#300と、150gのヒュームドシリカHDK-N20を、実施例1と同様にして混合して、実施例3の混合粉末を調製した。実施例3における比率M_(S)/M_(L)は3.0であった。
【0106】
実施例3の混合粉末187gを、実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例3の成形体に成形欠陥は見られなかった。
・・・
【0109】
[実施例4]
シリカパウダー#300の代わりに、シリカパウダー(特)(商品名、竹折砿業所株式会社製)を使用した他は、実施例1と同様にして混合して、実施例4の混合粉末を調製した。実施例4における比率M_(S)/M_(L)は0.33であった。
・・・
【0112】
実施例4の混合粉末450gの混合粉体を、実施例1と同様にして加圧成形し、厚さ20mmの成形体を得た。実施例4の成形体に成形欠陥は見られなかった。
・・・
【0115】
[実施例5]
シリカパウダー#300の代わりに、CMシリカフラワーM(商品名、竹折砿業所株式会社製)を使用した他は、実施例1と同様にして粉体を混合し、実施例5の混合粉末を調製した。実施例5における比率M_(S)/M_(L)は0.33であった。
・・・
【0118】
実施例5の混合粉末425gを、実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例5の成形体に成形欠陥は見られなかった。
・・・
【0121】
[実施例6]
シリカパウダー#300の代わりに、高純度シリカパウダーT-50(商品名、竹折砿業所株式会社製)を使用した他は、実施例1と同様にして粉体を混合し、実施例6の混合粉末を調製した。実施例6における比率M_(S)/M_(L)は0.33であった。
・・・
【0124】
実施例6の混合粉末420gを実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例6の成形体に成形欠陥は見られなかった。
・・・
【0127】
[実施例7]
480gのシリカパウダー#300と、160gのヒュームドシリカHDK-N20と、無機繊維である40gのセラミックファイバーのSCバルク1260(商品名、新日本サーマルセラミックス株式会社製)と、120gの赤外不透明化粒子であるケイ酸ジルコニウムのミクロパックスS(商品名、ハクスイテック株式会社製)を、M20汎用ミル(商品名、IKAジャパン株式会社製)を使用して均一に混合し、実施例7の混合粉末(粉末状の断熱材)を調製した。実施例7における比率M_(S)/M_(L)は0.33であった。
【0128】
SCバルク1260の平均太さを、FE-SEM装置S-4700を使用して求めたところ、3μmであった。また、実施例1と同様にして、ミクロパックスSの平均粒径を求めたところ1μmであった。
【0129】
この混合粉末を386gずつ使用して、内径が直径30cmの円筒型の金型を使用して加圧成形を行い、直径30cm、厚み20mmの円板状の成形体を2枚得た。実施例7の断熱材に成形欠陥は見られなかった。
【0130】
この2枚の成形体を用いて、400℃での熱伝導率を、保護熱板法熱伝導率測定装置(英弘精機株式会社製)を利用して測定した。円板状の成形体の熱伝導率は、0.045W・m-1・K-1であった。
【0131】
実施例1同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、0.8%であった。
【0132】
[実施例8]
345gのシリカパウダーA-3(商品名、竹折砿業所株式会社製)と、115gのヒュームドシリカHDK-N20を、ロータリークラッシャーNR-08(商品名、三庄イインダストリー株式会社製)を使用して短時間で均一に混合して、実施例8の混合粉末(粉末状の断熱材)を調製した。実施例8における比率M_(S)/M_(L)は0.33であった。
・・・
【0135】
実施例8の混合粉末440gを、実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例8の成形体に成形欠陥は見られなかった。
・・・
【0138】
[実施例9]
600gのシリカパウダー#300と、150gのヒュームドシリカHDK-N20とを、実施例1と同様にして混合して、実施例9の混合粉末を調製した。実施例9における比率M_(S)/M_(L)は0.25であった。
【0139】
実施例9の混合粉末727gを、実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例9の成形体に成形欠陥は見られなかった。」

(2)刊行物1に記載された発明
ア 刊行物1の特許請求の範囲の請求項1?3、5の記載によれば(摘示(1a))、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明A」という。)が記載されているものといえる。
「シリカを含む第一の無機化合物からなる複数の小粒子と、
石英の結晶構造を有する第二の無機化合物からなり、前記小粒子よりも粒子径が大きい複数の大粒子と、を備える断熱材であって、
前記複数の小粒子の比重をC_(S)、前記複数の小粒子の質量の合計値をM_(S)、前記複数の大粒子の比重をC_(L)、前記複数の大粒子の質量の合計値をM_(L)、としたときに、
前記M_(L)に対する前記M_(S)の比率M_(S)/M_(L)が0.092C_(S)/C_(L)以上3以下であり、
前記小粒子の平均粒子径D_(S)が5nm以上50nm未満であり、
前記大粒子の平均粒子径D_(L)が50nm以上50μm以下であり、
無機繊維をさらに含有し、
前記小粒子及び前記大粒子の含有量の合計値が、断熱材の全質量を基準として、40質量%以上99.5質量%以下であり、
前記無機繊維の含有量が、断熱材の全質量を基準として、0.5質量%以上60質量%以下である、断熱材。」

イ また、刊行物1には、「断熱材は、金型プレス成形法(ラム式加圧成形法)、・・・など、従来から知られるセラミックス加圧成形法によって成形することができる。生産性の観点から、金型プレス成形法が好ましい。」(摘示(1d)段落【0087】)と記載されており、「断熱材」を金型プレス成形法で製造することが記載されている。
したがって、上記アをも併せ考慮すれば、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明B」という。)が記載されているものといえる。
「シリカを含む第一の無機化合物からなる複数の小粒子と、
石英の結晶構造を有する第二の無機化合物からなり、前記小粒子よりも粒子径が大きい複数の大粒子と、を備える断熱材の製造方法であって、
前記複数の小粒子の比重をC_(S)、前記複数の小粒子の質量の合計値をM_(S)、前記複数の大粒子の比重をC_(L)、前記複数の大粒子の質量の合計値をM_(L)、としたときに、
前記M_(L)に対する前記M_(S)の比率M_(S)/M_(L)が0.092C_(S)/C_(L)以上3以下であり、
前記小粒子の平均粒子径D_(S)が5nm以上50nm未満であり、
前記大粒子の平均粒子径D_(L)が50nm以上50μm以下であり、
無機繊維をさらに含有し、
前記小粒子及び前記大粒子の含有量の合計値が、断熱材の全質量を基準として、40質量%以上99.5質量%以下であり、
前記無機繊維の含有量が、断熱材の全質量を基準として、0.5質量%以上60質量%以下である断熱材を、金型プレス成形法により製造する、断熱材の製造方法。」

2 刊行物2
刊行物2には以下の事項が記載されている。
(2a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に工業炉の炉壁材として使用されるのに適した、耐熱性および断熱性に優れた耐火断熱材に関する。」
(2b)「【0010】本発明の耐火断熱材には、平均繊維径が1?3.5μm(好ましくは1?3μm)の無機繊維が30重量%以上含まれるのが好ましい。
【0011】無機繊維は断熱材の中で微細なネットを形成する。この際、繊維径が小さいと、このネットの気孔が小さくなり、断熱材の気体の対流による伝熱、および気体分子の衝突による伝熱を抑制する。また、繊維径が小さいと、繊維同士および繊維と粉体との接触面磧(当審注:「磧」は「積」の誤記と認める。)が小さくなって、固体の伝導伝熱を抑制する。さらに、繊維径が小さいと、断熱材中の繊維数の割合が大きくなり、輻射を遮蔽する隔壁が多くなって、断熱性を向上させる効果をもたらす。
【0012】これらの理由により、繊維径は小さい方が好ましい。繊維径が3.5μm(好ましくは3μm)以下になると断熱材の断熱性が特に向上する。しかし、繊維径が1μmより小さくなると、湿式成形の際に濾過抵抗が増大し、厚い断熱材を得るのが困難になる。この理由から、平均繊維径1?3.5μm(好ましくは1?3μm)の無機繊維を含むものが好ましい。
【0013】平均繊維径が1?3.5μm(好ましくは1?3μm)の無機繊維は、30重量%以上含まれるのが好ましい。30重量%未満では前述の効果が少ない。」

3 刊行物3
刊行物3には以下の事項が記載されている。
(3a)「【0026】
また、断熱材は、かさ密度を200?600kg/m^(3)、好ましくは300?500kg/m^(3)とすることにより、断熱性能及び機械的強度に優れた断熱材が得られる。具体的には、曲げ強度が0.3MPa以上となり割れ難く、600℃における熱伝導率も0.06W/(m・K)以下、更には0.04W/(m・K)以下、1000℃における熱伝導率も0.1W/(m・K)以下、更には0.08W/(m・K)以下、0.06W/(m・K)以下、と優れた断熱性能を示す。更に、切断した場合でも、切断端面の欠けも無く、加工性にも優れる。しかも、無機微粒子10aの脱離もなく、外部を汚染することもない。かさ密度が200kg/m^(3)未満であるとこのような曲げ強度に達せず、600kg/m^(3)を超えると固体伝導が増大するため熱伝導率が著しく低下する。」

第6 当審の判断
1 取消理由1(特許法第29条第2項)について
(1)本件発明1に対して
ア 対比
本件発明1と引用発明Aとを対比する。
(ア)引用発明Aの「無機繊維」は、本件発明1の「無機繊維」に相当する。
(イ)本件発明1の「微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ」とは、少なくとも「微粒子シリカ」として特定されれば足り、また、本件明細書の「微粒子シリカとは平均粒子径50nm以下の酸化ケイ素粉末粒子を意味し」(段落【0023】)との記載によれば、本件発明1の「微粒子シリカ」は、「平均粒子径50nm以下の酸化ケイ素粉末粒子」を意味するものと理解することができる。
そうすると、引用発明Aの「シリカを含む第一の無機化合物からなる複数の小粒子」は、その「平均粒子径D_(S)が5nm以上50nm未満」であり、「シリカ」を含んで構成され、その平均粒子径が微粒子とされる「50nm以下」を充足することが明らかであるから、本件発明1の「微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ」に相当するものといえる。
(ウ)引用発明Aの「石英の結晶構造を有する第二の無機化合物からなり、前記小粒子よりも粒子径が大きい複数の大粒子」は、その「平均粒子径D_(L)が50nm以上50μm以下」に設定されるものであって、「無機化合物」の「粒子」から構成されることも明らかである。
さらに、刊行物1には、「大粒子としては、天然の硅石を破砕した硅石粉末が好適に用いられる。硅石粉末は、例えば、天然の硅石から、粘土類などの夾雑物を除去したあと、各種方法により粉砕し、焼成し、さらに細かく粉砕した後、分級することにより、製造される。」(摘示(1c)段落【0082】)と記載されているように、「粉末」状をなすことも技術的に明らかである。
してみると、引用発明Aの「石英の結晶構造を有する第二の無機化合物からなり、前記小粒子よりも粒子径が大きい複数の大粒子」は、本件発明1の「無機粉末粒子」に相当するものといえる。
(エ)引用発明Aの「断熱材」は、本件発明1の「断熱材」に相当する。

以上によれば、本件発明1と引用発明Aとは、
「無機繊維と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、無機粉末粒子とからなる断熱材。」の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
「無機繊維」について、本件発明1は、「平均繊維径が1.5?5.0μm」であるのに対し、引用発明Aは、そのように特定されていない点。
<相違点2>
本件発明1は、「無機繊維を25?40重量%、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを5?40重量%、無機粉末粒子を20?70重量%含有」するものであるのに対し、引用発明Aは、「前記複数の小粒子の比重をC_(S)、前記複数の小粒子の質量の合計値をM_(S)、前記複数の大粒子の比重をC_(L)、前記複数の大粒子の質量の合計値をM_(L)、としたときに、前記M_(L)に対する前記M_(S)の比率M_(S)/M_(L)が0.092C_(S)/C_(L)以上3以下であり」、「前記小粒子及び前記大粒子の含有量の合計値が、断熱材の全質量を基準として、40質量%以上99.5質量%以下であり、前記無機繊維の含有量が、断熱材の全質量を基準として、0.5質量%以上60質量%以下である」点。
<相違点3>
本件発明1は、「かさ密度が397?600kg/m^(3)」であるのに対し、引用発明Aは、そのように特定されていない点。
<相違点4>
本件発明1は、「3点曲げ強度が0.3MPa以上」であるのに対し、引用発明Aは、そのように特定されていない点。
<相違点5>
本件発明1は、「600℃における熱伝導率が0.060?0.090W/(m・K)である」のに対し、引用発明Aは、そのように特定されていない点。

イ 判断
<相違点1>について
(ア)刊行物1には、「無機繊維の平均太さは1μm以上20μm以下であることが好ましい。無機繊維の平均太さが1μm以上であると、無機繊維は飛散し難く、作業性がよい。平均太さが20μm以下であると、無機繊維内の固体伝導による伝熱が抑えられ、断熱性能を確保する意味で好ましい。」(摘示(1c)段落【0057】)と記載されており、引用発明Aの「無機繊維」は、その平均太さを「1μm以上20μm以下」に設定することが好ましいものとされている。
さらに、刊行物1には、引用発明Aの「無機繊維」に係る実施の態様として、「SCバルク1260(商品名、新日本サーマルセラミックス株式会社製)」(摘示(1e)段落【0127】)を用いることが記載されているところ、かかる「SCバルク1260」の平均太さ(平均繊維径)は「3μm」とされている(摘示(1e)段落【0128】)。
(イ)また、刊行物2には、「耐熱性および断熱性に優れた耐火断熱材」に関する技術について(摘示(2a))、耐火断熱材に用いる無機繊維の繊維径が小さいと、無機繊維が形成する微細なネットの気孔が小さくなり、断熱材の気体の対流による伝熱、および気体分子の衝突による伝熱を抑制すること、繊維同士および繊維と粉体との接触面積が小さくなって、固体の伝導伝熱を抑制すること、さらに、断熱材中の繊維数の割合が大きくなり、輻射を遮蔽する隔壁が多くなって、断熱性を向上させる効果をもたらすことが記載されているから(摘示(2b)段落【0011】)、耐火断熱材に用いる無機繊維の繊維径は、耐熱性の向上等を図って適宜設定され得ることが明らかである。
さらに、刊行物2には、耐火断熱材に用いる無機繊維の好ましい繊維径として、「3.5μm(好ましくは3μm)以下」に設定することも記載されている(摘示(2b)段落【0012】)。
(ウ)してみると、上記相違点1に係る本件発明1の構成は、引用発明Aの無機繊維の平均繊維径を具現化して特定するに際に、刊行物1に記載された「SCバルク1260」の採用を含め、上記刊行物2に記載された技術事項をも参考にして、適宜設定し得たものといえる。

<相違点2>について
(ア)引用発明Aは、「無機繊維」の含有量について「断熱材の全質量を基準として、0.5質量%以上60質量%以下である」として特定されるものであるところ、含有量としての質量%と重量%とは同義といえるから、引用発明Aは、「無機繊維」を「0.5?60重量%」含有させるものと理解することができる。
ここで、刊行物1の「無機繊維の含有量が、断熱材の全質量を基準として、0.5質量%以上60質量%以下であることが好ましい。これにより、粒子の付着力と無機繊維のからみあいの効果により、低圧での加圧成形が可能となるため、かさ密度が小さくなりやすい。」(摘示(1b)段落【0012】)、「無機繊維の含有率は、断熱材の全質量を基準として、0.5質量%以上60質量%以下だと、加圧成形が可能となり、好ましい。無機繊維の含有量が1%以下であると、成形また、無機繊維の含有量が60質量%より大きいと、圧力によらず加圧成形が困難となる。」(摘示(1c)段落【0060】)及び「断熱性能の観点から、無機繊維の含有量は0.5質量%以上40質量%以下がより好ましい。」(摘示(1c)段落【0061】)との記載によれば、引用発明Aにおいて「無機繊維」を含有させることの意義は、少なくとも「加圧成形性」や「断熱性能」を向上させることにあり、そのような観点を考慮して「無機繊維」の含有量が適宜設定され得ることは技術的に明らかである。
そして、引用発明Aにおける「0.5質量%以上60質量%以下」として特定される無機繊維の割合は、本件発明1の無機繊維の割合(「25?40重量%」)を含むものであるから、そのような割合に設定することも想定の範囲であって適宜設定する設計事項ということができる。
(イ)引用発明Aは、「シリカを含む第一の無機化合物からなる複数の小粒子」と「石英の結晶構造を有する第二の無機化合物からなり、前記小粒子よりも粒子径が大きい複数の大粒子」について、「前記複数の小粒子の比重をC_(S)、前記複数の小粒子の質量の合計値をM_(S)、前記複数の大粒子の比重をC_(L)、前記複数の大粒子の質量の合計値をM_(L)、としたときに、前記M_(L)に対する前記M_(S)の比率M_(S)/M_(L)が0.092C_(S)/C_(L)以上3以下」(以下「構成A」という。)であることを前提として、「複数の小粒子」と「複数の大粒子」の含有量を「前記小粒子及び前記大粒子の含有量の合計値が、断熱材の全質量を基準として、40質量%以上99.5質量%以下」(以下「構成B」という。)として特定するものの、上記「複数の小粒子」と「複数の大粒子」のそれぞれの含有量についてまで特定するものではない。
そこで、上記「複数の小粒子」と「複数の大粒子」のそれぞれの取り得る含有量について検討すると、刊行物1には、上記構成Aに関連し、以下(i)?(ix)の例が記載されている。
(i)345gのシリカパウダー#300と、115gのヒュームドシリカHDK-N20を混合して断熱材を構成する例(摘示(1e)段落【0097】)
(ii) 782gのシリカパウダー#300と、68gのヒュームドシリカHDK-N20を混合して断熱材を構成する例(摘示(1e)段落【0101】)
(iii) 50gのシリカパウダー#300と、150gのヒュームドシリカHDK-N20を混合して断熱材を構成する例(摘示(1e)段落【0105】)
(iv) シリカパウダー#300の代わりに、シリカパウダー(特)(商品名、竹折砿業所株式会社製)を使用した他は、上記(i)と同様にして混合して断熱材を構成する例(摘示(1e)段落【0109】)
(v) シリカパウダー#300の代わりに、CMシリカフラワーM(商品名、竹折砿業所株式会社製)を使用した他は、上記(i)と同様にして混合して断熱材を構成する例(摘示(1e)段落【0115】)
(vi) シリカパウダー#300の代わりに、高純度シリカパウダーT-50(商品名、竹折砿業所株式会社製)を使用した他は、上記(i)と同様にして混合して断熱材を構成する例(摘示(1e)段落【0121】)
(vii) 480gのシリカパウダー#300と、160gのヒュームドシリカHDK-N20と、無機繊維である40gのセラミックファイバーのSCバルク1260(商品名、新日本サーマルセラミックス株式会社製)と、120gの赤外不透明化粒子であるケイ酸ジルコニウムのミクロパックスS(商品名、ハクスイテック株式会社製)を混合して断熱材を構成する例(摘示(1e)段落【0127】)
(viii) 345gのシリカパウダーA-3(商品名、竹折砿業所株式会社製)と、115gのヒュームドシリカHDK-N20を混合して断熱材を構成する例(摘示(1e)段落【0132】)
(ix) 600gのシリカパウダー#300と、150gのヒュームドシリカHDK-N20とを混合して断熱材を構成する例(摘示(1e)段落【0138】)
上記(i)の例において、「複数の大粒子(シリカパウダー#300)」と「複数の小粒子(ヒュームドシリカHDK-N20)」の重量比は、「3(=345g/115g)」と算出でき、以下同様に、上記(ii)の例は「11.5(=782/68)」と算出でき、上記(iii)の例は「0.33(=50/150)」と算出でき、上記(iv)?(vi)の例は「3(=345g/115g)」と算出でき、上記(vii)の例は「3(=480g/160g)」と算出でき、上記(viii)の例は「3(=345g/115g)」と算出でき、上記(ix)の例は「4(=600g/150g)」と算出できるから、かかる例に照らせば、上記構成Aを前提とする引用発明Aにおいて、「複数の大粒子」と「複数の小粒子」との含有量の比(「大粒子の含有量/小粒子の含有量)は、少なくとも「0.33?11.5」の重量比を満たす範囲で設定可能ということができる。
そして、本件発明1は、「微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを5?40重量%、無機粉末粒子を20?70重量%含有」するものであるところ、「無機粉末粒子」と「微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ」との含有量の比は、「0.5(=20/40)?14(=70/5)」の重量比を有するものと理解することができ、それは、上記引用発明Aにおける「0.33?11.5」の重量比とほぼ同程度の範囲と評価し得るから、引用発明Aの上記構成Bを、本件発明1の「微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを5?40重量%、無機粉末粒子を20?70重量%含有」するものとして設定することは想定の範囲であって適宜設定する設計事項ということができる。
(ウ)してみると、上記相違点2に係る本件発明1の構成は、当業者がその所期の目的を達する範囲内で適宜設定し得たものといえる。

<相違点3>について
(ア)刊行物1の「上記本発明では、・・・M_(L)に対するM_(S)の比率M_(S)/M_(L)が0.092C_(S)/C_(L)以上3以下であることが好ましい。これにより、かさ密度が低く、施工性が良好な断熱材を得易くなる。」(摘示(1b)段落【0009】)及び「無機繊維の含有量が、断熱材の全質量を基準として、0.5質量%以上60質量%以下であることが好ましい。これにより、粒子の付着力と無機繊維のからみあいの効果により、低圧での加圧成形が可能となるため、かさ密度が小さくなりやすい。」(摘示(1b)段落【0012】)等の記載によれば、引用発明Aの「断熱材」は、その「かさ密度」をも考慮した設計がなされることが明らかである。
(イ)また、刊行物3には、「断熱材は、かさ密度を200?600kg/m^(3)、好ましくは300?500kg/m^(3)とすることにより、断熱性能及び機械的強度に優れた断熱材が得られる。」(摘示(3a))と記載されているように、断熱性能及び機械的強度に優れた断熱材を構成するために、断熱材のかさ密度の数値範囲を最適化又は好適化することは、かかる技術分野の当業者が通常の創作能力の発揮において行い得ることといえ、その具体的な数値範囲を「300?500kg/m^(3)」程度に設定することも通常の実施の範囲ということができる。
(ウ)してみると、上記相違点3に係る本件発明1の構成は、当業者が刊行物3に記載された技術事項をも参考の上、適宜設定し得たものといえる。

<相違点4>について
(ア)刊行物1の「大粒子を構成する第二の無機化合物は、石英の結晶構造を有する。・・・そして、内部標準物質であるシリコンの2θ=28.442°に現れる(111)のピーク面積をS_(b)、石英に帰属されるピークのうち、2θ=20.859°、26.639°に現れるそれぞれ(100)、(101)の合計ピーク面積をS_(Q)とした時、S_(Q)とS_(b)の比S_(Q)/S_(b)が1以上である場合に、第二の無機化合物が石英の結晶構造を有するものとする。・・・S_(Q)/S_(b)は、断熱材の強度が向上する観点から2以上がより好ましく、混合時に大粒子の磨耗が少ない観点から、3以上が更に好ましい。」(摘示(1c)段落【0029】?段落【0030】)及び「無機繊維の平均太さに対する無機繊維の平均長さの比(アスペクト比)は10以上であることが、曲げ強度が向上するため、好ましい。」(摘示(1c)段落【0059】)等の記載によれば、引用発明Aの「断熱材」は、その「強度」や「曲げ強度」をも考慮した設計がなされ得ることが明らかである。
(イ)また、刊行物3には、「また、断熱材は、かさ密度を200?600kg/m^(3)、好ましくは300?500kg/m^(3)とすることにより、断熱性能及び機械的強度に優れた断熱材が得られる。具体的には、曲げ強度が0.3MPa以上となり割れ難く、」(摘示(3a))と記載されているように、曲げ強度に優れた断熱材を構成するために、断熱材の曲げ強度の数値範囲を最適化又は好適化することは、かかる技術分野の当業者が通常の創作能力の発揮において行い得ることといえ、その具体的な数値範囲を「0.3MPa以上」程度に設定することも通常の実施の範囲ということができる
なお、曲げ強度を3点曲げ試験による3点曲げ強度として取得することは、ごく一般的である。
(ウ)してみると、上記相違点4に係る本件発明1の構成は、当業者が刊行物3に記載された技術事項をも参考の上、適宜設定し得たものといえる。

<相違点5>について
(ア)刊行物1の「本発明者は、小粒子及び大粒子の混合体を用いて断熱材を作製し、その熱伝導率とM_(S)/M_(L)の関係を詳細に調べた。その結果、M_(S)/M_(L)が0.092C_(S)/C_(L)以上3以下の範囲では、断熱材の熱伝導率は十分小さく、かつM_(S)/M_(L)の減少量に対する熱伝導率の増加量(熱伝導率の増加率)も小さいことを本発明者らは発見した。」(摘示(1c)段落【0043】)等の記載によれば、引用発明Aの「断熱材」は、当然のことながら「熱伝導率」を考慮した設計がなされることが明らかである。
(イ)また、そのような「熱伝導率」は、そもそも断熱材の用途や要求される断熱材の断熱性能等に応じて、適宜設定し得るものであるところ、例えば、刊行物3には、「優れた断熱性能」を示す断熱材として、600℃における熱伝導率が「0.06W/(m・K)以下」のものが記載されていることからして(摘示(3a))、そのような「優れた断熱性能」を示す断熱材よりも多少断熱性能が劣る断熱材が存在すること、言い換えれば、600℃における熱伝導率が「0.06W/(m・K)以上」のものが従来より存在することは、技術的に明らかである。
(ウ)してみると、上記相違点5に係る本件発明1の構成は、断熱材の用途や要求される断熱材の断熱性能等に応じて、当業者が適宜設定する設計事項にすぎないものといえる。

そして、本件発明1の作用効果も、引用発明A及び上記刊行物1?3に記載された技術事項から当業者が予測し得る範囲のものといえる。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、引用発明A及び上記刊行物1?3に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(2)本件発明2に対して
ア 対比
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに「前記無機繊維が、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカアルミナジルコニア繊維又は生体溶解性繊維である」との発明特定事項を付加して発明を限定したものであるから、本件発明2と引用発明Aとを対比すると、両者は、上記「(1)ア」で述べた一致点で一致し、相違点1?5で相違するとともに、さらに、以下の相違点6で相違するものといえる。
<相違点6>
本件発明2は、「前記無機繊維が、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカアルミナジルコニア繊維又は生体溶解性繊維である」のに対して、引用発明Aはそのように特定されていない点。

イ 判断
上記相違点1?5についての判断は、上記「(1)イ」で述べたとおりであるので、以下相違点6について検討する。
刊行物1には、無機繊維として、アルミナ繊維等の従来から知られる無機繊維を用いること(摘示(1c)段落【0064】)、及び、無機繊維の中でも、特に人体にとって安全である生体溶解性のAESファイバーを用いることが好ましいこと(摘示(1c)段落【0065】)が記載されている。
してみると、上記相違点6に係る本件発明1の構成は、引用発明A及び刊行物1に記載された技術事項に基づいて、当業者が適宜設定する設計事項にすぎないものといえる。
したがって、本件発明2は、引用発明A及び上記刊行物1?3に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(3)本件発明3に対して
本件発明3は、本件発明1又は本件発明2の発明特定事項を全て含み、さらに「前記無機粉末粒子が、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素から選ばれた少なくとも1種である」との発明特定事項を付加して発明を限定したものであるが、引用発明Aの「複数の大粒子」は「石英の結晶構造を有する第二の無機化合物」であり、「石英」が「二酸化ケイ素」、すなわち「シリカ」を意味することは技術的に明らかであるから(摘示(1c)段落【0031】、摘示(1e)段落【0092】)、本件発明3の「シリカ」に相当するものといえ、上記限定した点と変わりはない。
したがって、本件発明3は、本件発明1又は本件発明2と同様に、引用発明A及び上記刊行物1?3に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(4)本件発明4に対して
ア 対比
本件発明4と引用発明Bとを対比する。
(ア)引用発明Bの「無機繊維」は、本件発明4の「無機繊維」に相当する。
(イ)本件発明4の「いずれも平均粒子径が50nm以下の微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ」とは、少なくとも「平均粒子径が50nm以下の微粒子シリカ」として特定されれば足りる。
そうすると、引用発明Bの「シリカを含む第一の無機化合物からなる複数の小粒子」は、その「平均粒子径D_(S)が5nm以上50nm未満」であり、「シリカ」を含んで構成され、その平均粒子径が微粒子とされる「50nm以下」を充足することが明らかであるから、本件発明4の「いずれも平均粒子径が50nm以下の微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ」に相当するものといえる。
(ウ)引用発明Bの「石英の結晶構造を有する第二の無機化合物からなり、前記小粒子よりも粒子径が大きい複数の大粒子」は、その「平均粒子径D_(L)が50nm以上50μm以下」に設定されるものであって、「無機化合物」の「粒子」から構成されることも明らかである。
さらに、刊行物1には、「大粒子としては、天然の硅石を破砕した硅石粉末が好適に用いられる。硅石粉末は、例えば、天然の硅石から、粘土類などの夾雑物を除去したあと、各種方法により粉砕し、焼成し、さらに細かく粉砕した後、分級することにより、製造される。」(摘示(1c)段落【0082】)と記載されているように、「粉末」状をなすことも技術的に明らかである。
してみると、引用発明Bの「石英の結晶構造を有する第二の無機化合物からなり、前記小粒子よりも粒子径が大きい複数の大粒子」と本件発明4の「平均粒子径が0.1?20μmの無機粉末粒子」とは、「無機粉末粒子」の限度で共通するものといえる。
(エ)引用発明Bの「断熱材」及び「断熱材の製造方法」は、本件発明4の「断熱材」及び「断熱材の製造方法」にそれぞれ相当する。

以上によれば、本件発明4と引用発明Bとは、
「無機繊維と、いずれも平均粒子径が50nm以下の微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、無機粉末粒子とからなる断熱材の製造方法。」の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点I>
「無機繊維」について、本件発明4は、「平均繊維径1.5?5.0μm」であるのに対し、引用発明Bは、そのように特定されていない点。
<相違点II>
「無機粉末粒子」について、本件発明4は、「平均粒子径が0.1?20μm」であるのに対し、引用発明Bは、「平均粒子径D_(L)が50nm以上50μm以下」である点。
<相違点III>
本件発明4は、「無機繊維25?30重量%と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ5?35重量%と、無機粉末粒子35?70重量%とを混合し、かさ密度が397?600kg/m^(3)となるように型を用いて圧縮成形する」ものであるのに対し、引用発明Bは、「前記複数の小粒子の比重をC_(S)、前記複数の小粒子の質量の合計値をM_(S)、前記複数の大粒子の比重をC_(L)、前記複数の大粒子の質量の合計値をM_(L)、としたときに、前記M_(L)に対する前記M_(S)の比率M_(S)/M_(L)が0.092C_(S)/C_(L)以上3以下であり」、「無機繊維をさらに含有し、前記小粒子及び前記大粒子の含有量の合計値が、断熱材の全質量を基準として、40質量%以上99.5質量%以下であり、前記無機繊維の含有量が、断熱材の全質量を基準として、0.5質量%以上60質量%以下である断熱材を、金型プレス成形法により製造する」点。

イ 判断
<相違点I>について
上記相違点Iは、上記「(1)ア」の相違点1と同様であるから、上記「(1)イ <相違点1>について」の判断と同様に、上記相違点I に係る本件発明4の構成は、引用発明Bの無機繊維の平均繊維径を具現化して特定するに際に、刊行物1に記載された「SCバルク1260」の採用を含め、上記刊行物2に記載された技術事項をも参考にして、当業者が容易に想到し得るものといえる。

<相違点II>について
(ア)本件明細書には、無機粉末粒子の平均粒子径に関し、「上記本発明による断熱材においては、無機繊維として平均繊維径が1.5?5.0μmと小さいものを使用し、無機粒子として通常の無機粉末粒子と共に、平均粒子径が50nm以下と小さい微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを使用している。」(段落【0012】)、及び「無機粉末粒子とは通常の平均粒子径0.1?20μmの無機粉末粒子であり、例えばシリカ、アルミナ、二酸化チタン、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素などがあり、これらを単独で又は混合して用いることができる。」(段落【0023】)との記載があり、かかる記載によれば、本件発明4の無機粉末粒子は、「通常の無機粉末粒子」が使用され、「通常の平均粒子径0.1?20μm」の範囲のものが採用されていることが明らかである。
また、本件明細書の表1(段落【0038】)には、本件発明4の製造方法により製造した断熱材(実施例1及び2)が記載されているが、かかる断熱材(実施例1及び2)を構成する「無機粉末粒子」については、「シリカ粒子(平均粒子径:20μm以下)を使用」との記載があるのみで(段落【0028】)、そのような数値範囲に特定することの技術的意義は何ら説明されていない。
そうすると、本件発明4は、無機粉末粒子の平均粒子径を「0.1?20μm」の数値範囲に限定するものの、そのような数値範囲に限定することは、かかる技術分野で使用される「通常の無機粉末粒子」の「通常の平均粒子径」を単に特定したにすぎないものといわざるを得ない。
(イ)そして、引用発明Bにおける無機粉末粒子(大粒子)の平均粒子径は、「50nm以上50μm以下」として特定され、かかる数値範囲は、本件発明4における無機粉末粒子の平均粒子径「0.1?20μm」の数値範囲を包含するものであるから、その数値範囲内で適宜調整し、通常の無機粉末粒子の平均粒子径ともいうべき「0.1?20μm」の数値範囲に設定することは、当業者にとって格別困難なことではない。

<相違点III>について
(ア)引用発明Bは「断熱材を、金型プレス成形法により製造する」ものであるところ、そのような金型プレス成形法で断熱材を製造する場合に、原料を混合すること、及び、混合した原料を型を用いて圧縮成形することは自明である(摘示(1d)段落【0088】?段落【0089】、摘示(1e)段落【0097】?段落【0098】)。
(イ)また、本件発明4は、「無機繊維」、「微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ」及び「無機粉末粒子」の各含有量を、それぞれ「25?30重量%」、「5?35重量%」及び「35?70重量%」として特定するが、上記「(1)イ <相違点2>について」の判断と同様に、引用発明Bにおける「0.5質量%以上60質量%以下」として特定される無機繊維の割合は、本件発明4の無機繊維の割合(「25?30重量%」)を包含するものであり、さらに、本件発明4の「無機粉末粒子」と「微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ」との含有量の比は、「1(=35/35)?14(=70/5)の重量比を有するものと理解することができるが、それは、引用発明Bにおける「0.33?11.5」の重量比とほぼ同程度の範囲と評価し得るものである。
してみると、引用発明Bの「無機繊維」、「小粒子」及び「大粒子」を、それぞれ「25?30重量%」、「5?35重量%」及び「35?70重量%」の数値範囲のものとして構成することは、想定の範囲であって適宜設定する設計事項ということができる。
(ウ)さらに、引用発明Bにおいて、断熱材を「かさ密度が397?600kg/m^(3)となるように」構成することも、上記「(1)イ <相違点3>について」の判断と同様に、当業者が適宜設定し得たものといえる。
(エ)したがって、上記相違点IIIに係る本件発明4の構成は、当業者が容易に想到し得たものといえる。

そして、本件発明4の作用効果も、引用発明B及び上記刊行物1?3に記載された技術事項から当業者が予測し得る範囲のものといえる。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明4は、引用発明B及び上記刊行物1?3に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(5)本件発明5に対して
ア 対比
本件発明5は、本件発明4の発明特定事項を全て含み、「更に650℃以上の温度で加熱処理する」との発明特定事項を付加して発明を限定したものであるから、本件発明5と引用発明Bとを対比すると、両者は、上記「(4)ア」で述べた一致点で一致し、相違点I?IIIで相違するとともに、さらに、以下の相違点IVで相違するものといえる。
<相違点IV>
本件発明5は、「更に650℃以上の温度で加熱処理する」のに対して、引用発明Bはそのように特定されていない点。

イ 判断
上記相違点I?IIIについての判断は、上記「(4)イ」で述べたとおりであるので、以下相違点IVについて検討する。
刊行物1には、「加圧成形中又は加圧成形後の断熱材を、断熱材の耐熱性が十分である温度や時間の条件の範囲内で、断熱材が構造変化しないように加熱乾燥し、断熱材中の吸着水を除去した後、実用に供すると、熱伝導率が低くなるため、好ましい。」(摘示(1d)段落【0090】)と記載されており、引用発明Bについて、金型プレス成形法により製造された断熱材を、さらに、「断熱材の耐熱性が十分である温度条件」で「加熱乾燥(加熱処理)」することが記載ないし示唆されている。
そして、刊行物1には、成形された断熱材を「900℃」で24時間加熱させることも記載されていることから(摘示(1e)段落【0131】)、引用発明Bにおいて、金型プレス成形法により製造された断熱材を、さらに、650℃以上の温度で加熱処理することは、当業者であれば容易になし得るものといえる。
したがって、本件発明5は、引用発明B及び上記刊行物1?3に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

2 取消理由2(特許法第36条第4項)について
(1)特許法第36条第4項は、「前項第3号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。」と規定し、その第1号において「経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。」と規定し、特許法施行規則第24条の2(委任省令)は、「特許法第36条第4項第1号の経済産業省令で定めるところによる記載は、発明が解決しようとする課題及びその解決手段その他のその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することによりしなければならい。」と規定している。
そこで、本件明細書の発明の詳細な説明に、発明が解決しようとする課題及びその解決手段が発明の技術上の意義を理解できる程度に記載されているのか、以下検討する。
(2)本件明細書の発明の詳細な説明の記載によれば、本件発明1は、従来の断熱材が有する問題に鑑みて(段落【0002】?段落【0009】)、「熱伝導率が低く断熱性能に優れていると同時に、強度が高く、加工性や施工性に優れ、低い発塵性と、耐振動性及び耐水性を兼ね備え、加熱線収縮率が極めて小さい断熱材を提供する」という課題を解決するために(段落【0010】)、
(i)「無機繊維を25?40重量%、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを5?40重量%、無機粉末粒子を20?70重量%含有」すること、及び、
(ii)「かさ密度が397?600kg/m^(3)、3点曲げ強度が0.3MPa以上、600℃における熱伝導率が0.060?0.090W/(m・K)」である断熱材を構成すること、
を特定したものと理解することができる。
(3)しかし、本件発明1を実施するための形態(段落【0018】?段落【0041】)を検討しても、以下ア?ウで述べるとおり、上記(i)の構成を前提としたものにおいて、上記(ii)の断熱材が構成され、さらに、上記課題が解決し得ると解すべき合理性はない。
ア 本件明細書には、
実施例1として、無機繊維75g(30重量%)、微粒子シリカ87.5g(35重量%)及びシリカ粒子87.5g(35重量%)を用いて製造した、かさ密度397kg/m^(3)、曲げ強度0.32MPa、熱伝導率0.080W/(m・K)の断熱材(段落【0029】?段落【0031】、段落【0038】)、
実施例2として、上記実施例1で得られた断熱材を、更に900℃にて2時間加熱処理することにより製造した、かさ密度は425kg/m^(3)、曲げ強度0.60MPa、熱伝導率0.077W/(m・K)の断熱材(段落【0032】?段落【0033】、段落【0038】)、
比較例1として、無機繊維32g(20重量%)及び微粒子シリカ128g(80重量%)を用いて製造した、かさ密度は250kg/m^(3)、曲げ強度0.15MPa、熱伝導率0.043W/(m・K)の断熱材(段落【0034】?段落【0035】、段落【0038】)、
比較例2として、無機繊維95重量%と無機バインダー5重量%を含むスラリーに有機系高分子凝集剤として澱粉の水溶液を加えて凝集させ、型を用いて成形し、その後110℃で乾燥させて製造した、かさ密度は270kg/m^(3)、曲げ強度0.48MPa、熱伝導率0.136W/(m・K)の断熱材(段落【0036】?段落【0038】)、
が記載されているが、かかる実施例1、2と比較例1、2の製造例を根拠として、実際に、上記(i)の原料の全ての含有範囲において、上記(ii)の断熱性能・特性を有する断熱材が得られると解すべき合理性はない。
イ 本件明細書の「一般に、断熱材の内部に大きな気孔が存在すると、気体の対流伝熱及び気体分子の衝突による伝熱が促進されるため熱伝導率は高くなるが、逆に断熱材内部の気孔が小さいと、比表面積が増大して熱反射効果が大きくなるため、熱伝導率が低下することになる。そこで本発明の断熱材では、無機繊維として平均繊維径が1.5?5.0μmと小さいものを使用し、無機粒子として通常の無機粉末粒子と共に、平均粒子径が50nm以下と小さい微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを使用することによって、内部の気孔を小さくし、気体の対流伝熱や気体分子の衝突による伝熱を抑制して、熱伝導率の低下を図っている。・・・即ち、本発明による断熱材は、平均繊維径が1.5?5.0μmの無機繊維と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ(共に平均粒子径50nm以下)と、無機粉末粒子(平均粒子径0.1?20μm)とによって構成されている。これらの原料の配合割合を調整して、かさ密度が300?600kg/m^(3)の範囲となるように圧縮成形することで、0.06?0.090W/(m・K)の熱伝導率(600℃)と、0.3MPa以上の3点曲げ強度とを兼ね備えた断熱材となる。」(段落【0018】?段落【0019】)との記載によれば、所期の熱伝導率を有する断熱材を構成するためには、「無機繊維」の平均繊維径や、「微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ」及び「無機粉末粒子」の平均粒子径を調整する必要があると解されるが、実際に、上記(i)の原料(平均繊維径や平均粒子径は特定されていない)の全ての含有範囲において、上記(ii)の断熱性能・特性を有する断熱材が得られると解すべき合理性はない。
ウ 本件明細書の段落【0020】の「原料である無機繊維、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ、及び無機粉末粒子の配合割合と、断熱材のかさ密度とが大きく影響している。また、原料の圧縮成形においては、無機繊維の量が多く、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナや無機粉末粒子の量が少ないほど、得られる断熱材のかさ密度は小さくなり、逆の場合には断熱材のかさ密度は大きくなる。」との記載と、段落【0022】の「無機繊維が25重量%未満か、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナが5重量%未満か、若しくは無機粉末粒子が70重量%を超えると、かさ密度が600kg/m^(3)を超えてしまう。」との記載は、「微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ」の含有量と「かさ密度」の関係について矛盾している。
また、本件明細書の段落【0022】の「一方、無機繊維が40重量%を超えるか、無機粉末粒子が40重量%を超え、又は無機粉末粒子が20重量%未満になると、かさ密度が300kg/m^(3)未満となってしまう。」との記載においても、同段落【0020】の「無機粉末粒子の量が少ないほど、得られる断熱材のかさ密度は小さくなり」との記載と矛盾している。
なお、上記「第2 2 2-1」で述べたとおり、訂正事項4及び5に係る本件明細書の段落【0020】及び段落【0022】の訂正は、訂正事項1により訂正される一群の請求項である請求項1?3に係る発明に関係する訂正として請求されたものであるところ、訂正事項1に係る本件訂正を認めることはできないから、上記段落【0020】及び段落【0022】の記載は、本件明細書の記載のとおりである。
したがって、それら原料の含有量とかさ密度との技術的関連性を特定することができないため、実際に、上記(i)の原料の全ての含有範囲において、上記(ii)の断熱性能・特性を有する断熱材が得られると解すべき合理性はない。
(4)以上のとおり、本件明細書の詳細な説明の記載は、発明が解決しようとする課題及びその解決手段が発明の技術上の意義を理解できる程度に記載されたものとはいえないから、経済産業省令で定めるところにより、当業者が本件発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものと認めることができない。
よって、本件発明1に係る特許は、その明細書の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
また、本件発明1の発明特定事項を全て含む本件発明2及び3に係る特許についても、本件発明1と同様にその明細書の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。

3 取消理由3(特許法第36条第6項第1号)について
ア 上記「2」で述べたとおり、本件発明1を実施するための形態(段落【0018】?段落【0041】)を検討しても、上記(i)の構成を前提としたものにおいて、上記(ii)の断熱材が構成され、さらに、上記課題が解決し得ると解すべき合理性はないし、また、出願時の技術常識に照らしてみても、上記(i)及び(ii)で特定する範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化することもできない。
したがって、上記(i)及び(ii)で特定するの事項は、本件発明1の課題を解決するために足りると認識できる範囲のものと認めることはできないから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明とはいえない。
イ よって、本件発明1は、特許請求の範囲に記載された特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されたものとはいえないから、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
また、本件発明1の発明特定事項を全て含む本件発明2、3に係る特許についても、本件発明1と同様に特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。

4 取消理由4(特許法第17条の2第3項)について
平成27年9月24日付けの手続補正により、補正前の請求項1に記載された「かさ密度が300?600kg/m^(3)」は、「かさ密度が397?600kg/m^(3)」と補正された(下線部は補正箇所を示す。)。
しかし、上記「2」で述べたとおり、上記(i)の原料の全ての含有範囲において、上記(ii)の「かさ密度が397?600kg/m^(3)」の特性を有する断熱材が得られることと解すべき合理性はないから、上記補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものではなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしているとはいえない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、本件特許の請求項1?5に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものである。
また、本件特許の請求項1?3に係る特許は、同法第36条第4項第1号及び同第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第1項第4号の規定により取り消されるべきものである。
さらに、本件特許の請求項1?3に係る特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであり、同法第113条第1項第1号の規定により取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
断熱材及びその製造方法
【技術分野】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機繊維を使用した断熱材及びその製造方法に関し、更に詳しくは低熱伝導率であって放熱によるエネルギーロスを抑制することができ、耐水性に優れ、加工性が高く、且つ強度的にも優れた無機繊維質の断熱材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー化の観点から放熱によるエネルギーロスを抑制するため、工業炉等の産業設備に使用する断熱材には益々低熱伝導率の断熱材が望まれている。また、例えば燃料電池やその改質器に使用されるような断熱材料として、数百度から800℃程度までの中温域におけるエネルギーロスの抑制に加えて、低発塵性や、繰り返し加熱での形状安定性や強度を兼ね備える必要があり、これらの要求を満たす断熱材も求められている。
【0003】
従来から、産業設備に使用する断熱材としては、無機繊維を母材として構成する断熱材が使用されてきた。例えば特許文献1には、シリカアルミナ繊維等の無機繊維を水に分散させたスラリーに無機粒子を加え、更にシリカゾルのような無機バインダーと凝集剤を添加して、脱水成形することにより製造された無機繊維質の断熱材が記載されている。この種の断熱材は、高温まで使用でき且つ強度的に優れているため素材そのままで使用できるが、600℃での熱伝導率は0.10W/(m・K)を超え、満足できる断熱性能とはいえなかった。
【0004】
一方、特許文献2には、微粒子シリカ(粒径50nm以下)を用いて粒子間の空隙サイズを小さくし、気体の伝導伝熱を抑制することで低熱伝導率化させ、補強のために無機繊維を混合して圧縮成形した断熱材が記載されている。この粒径50nm以下の微粒子シリカを使用した断熱材は、微細な多孔構造を有することで、断熱性能が最大限になるように設計されている。このような断熱材はマイクロポーラス断熱材と称され、600℃での熱伝導率が0.045W/(m・K)を下回り、優れた断熱性能を有しているが、強度が低く、特に粉塵が発生しやすく、粉発ち(表面に微粉が付着し、また付着している微粉が飛散する現象)が多い、加工性が悪い、施工性に劣るなどの問題があった。
【0005】
このようなマイクロポーラス断熱材の問題点を補うために、上記特許文献2では断熱材を金属容器に充填している。また、粉塵が発生しやすく、粉立ちが多いという問題点を解決する手段として、例えば特許文献3には、一般的な無機繊維を母材として構成する断熱材について、繊維製の被覆材で覆うことにより変形による崩壊や粉塵の発生を防止する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-140311号公報
【特許文献2】特許第4860005号公報
【特許文献3】特開2012-149658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、従来の無機繊維質の断熱材は、3点曲げ強度が0.4?0.5MPaと強度的には優れているが、600℃における熱伝導率は0.120?0.140W/(mK)であるため断熱性能が不十分であった。一方、マイクロポーラス断熱材は、600℃における熱伝導率が0.045W/(mK)以下で優れた断熱性能を持つが、3点曲げ強度が0.15MPa以下と低いためハンドリング時に欠けや割れなどが生じやすく、また脆いために加工性や施工性に劣っている。
【0008】
また、従来の無機繊維質の断熱材及びマイクロポーラス断熱材は、表層が脆く発塵性があるため粉立ち(表面に微粉が付着したり、付着している微粉が飛散する現象)が起こりやすいこと、加熱線収縮が大きいことが問題となっており、特にマイクロポーラス断熱材では顕著である。断熱材を繊維製被覆材で被覆することで発塵を防止することは可能であるが、繊維製被覆材の作製には寸法精度や手間等の問題があり、被覆後の切断、穴あけ、研削などの加工ができないなど、コスト面や使用面での新たな課題も生じている。
【0009】
特に最近では、工業炉、溶解炉、加熱炉のほか、燃料電池用の断熱材として上記無機繊維質の断熱材やマイクロポーラス断熱材が期待され、組み合わせや複合構造での低熱伝導率化が行われているが、それぞれの部材で低い熱伝導率と十分な強度とを同時に満足することはできず、発塵の抑制も不十分であった。また、燃料電池用の断熱材では更に耐水性や耐振動性が要求されるが、特にマイクロポーラス断熱材では満足し得るものではなかった。
【0010】
本発明は、上記した従来の無機繊維質断熱材やマイクロポーラス断熱材の問題点に鑑みてなされたものであり、熱伝導率が低く断熱性能に優れていると同時に、強度が高く、加工性や施工性に優れ、低い発塵性と、耐振動性及び耐水性を兼ね備え、加熱線収縮率が極めて小さい断熱材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明が提供する断熱材は、平均繊維径が1.5?5.0μmの無機繊維と、いずれも平均粒子径が50nm以下の微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、平均粒子径が0.1?20μmの無機粉末粒子とからなる断熱材であって、無機繊維を25?30重量%、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを5?35重量%、無機粉末粒子を35?70重量%含有し、かさ密度が397?600kg/m^(3)、3点曲げ強度が0.3MPa以上、600℃における熱伝導率が0.060?0.090W/(m・K)であり、水に10秒間浸漬した後に表面に目視で確認可能なひび割れが生じないことを特徴とする。
【0012】
上記本発明による断熱材においては、無機繊維として平均繊維径が1.5?5.0μmと小さいものを使用し、無機粒子として通常の無機粉末粒子と共に、平均粒子径が50nm以下と小さい微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを使用している。このように微小な材料を用いることによって、断熱材内部の気孔を小さくして気体の対流伝熱や気体分子の衝突による伝熱を抑制し、熱伝導率の低下を図っている。
【0013】
上記本発明による断熱材においては、特に、無機繊維を30重量%、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを30?35重量%、無機粉末粒子を35?40重量%含有する場合には、微小な材料の含有量が相対的に増えるので、熱伝導率をより一層低下させることができ更に好ましい。
【0014】
更に、上記本発明による断熱材においては、その断熱材が650℃以上の温度で加熱処理されていることが好ましい。断熱材を650℃以上で加熱処理することによって、断熱材が含有している無機繊維、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ、及び無機粉末粒子の間で焼結が生じるため、全体的に硬化が進み、断熱材の強度の向上を図ることができる。
【0015】
また、本発明による断熱材の製造方法は、平均繊維径1.5?5μmの無機繊維と、いずれも平均粒子径が50nm以下の微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、平均粒子径が0.1?20μmの無機粉末粒子とからなる断熱材の製造方法であって、無機繊維25?30重量%と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ5?35重量%と、無機粉末粒子35?70重量%とを混合し、かさ密度が397?600kg/m^(3)となるように型を用いて圧縮成形することを特徴とする。
【0016】
更に、断熱材の強度を向上させるためには、上記本発明による断熱材の製造方法により得られた断熱材を、650℃以上の温度で加熱処理することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、熱伝導率(600℃)が0.090W/(m・K)以下と低く、マイクロポーラス断熱材と同等程度の優れた断熱性能を有すると同時に、3点曲げ強度が0.3MPa以上と高く、従来の無機繊維質断熱材と同程度の強度を備え、加工性や施工性に優れているうえ、低発塵性と、耐振動性及び耐水性を兼ね備えた断熱材を提供することができる。従って、本発明の断熱材は、工業炉等の産業設備用としては勿論のこと、燃料電池用としても極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
一般に、断熱材の内部に大きな気孔が存在すると、気体の対流伝熱及び気体分子の衝突による伝熱が促進されるため熱伝導率は高くなるが、逆に断熱材内部の気孔が小さいと、比表面積が増大して熱反射効果が大きくなるため、熱伝導率が低下することになる。そこで本発明の断熱材では、無機繊維として平均繊維径が1.5?5.0μmと小さいものを使用し、無機粒子として通常の無機粉末粒子と共に、平均粒子径が50nm以下と小さい微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを使用することによって、内部の気孔を小さくし、気体の対流伝熱や気体分子の衝突による伝熱を抑制して、熱伝導率の低下を図っている。
【0019】
即ち、本発明による断熱材は、平均繊維径が1.5?5.0μmの無機繊維と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ(共に平均粒子径50nm以下)と、無機粉末粒子(平均粒子径0.1?20μm)とによって構成されている。これらの原料の配合割合を調整して、かさ密度が300?600kg/m^(3)の範囲となるように圧縮成形することで、0.06?0.090W/(m・K)の熱伝導率(600℃)と、0.3MPa以上の3点曲げ強度とを兼ね備えた断熱材となる。
【0020】
更に具体的に説明すると、本発明の断熱材における熱伝導率と強度、加工性や施工性、発塵性、耐振動性及び耐水性などの向上、及び繰り返し加熱による亀裂や加熱線収縮の抑制には、原料である無機繊維、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ、及び無機粉末粒子の配合割合と、断熱材のかさ密度とが大きく影響している。また、原料の圧縮成形においては、無機繊維の量が多く、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナの量が多く、無機粉末粒子の量が少ないほど、得られる断熱材のかさ密度は小さくなり、逆の場合には断熱材のかさ密度は大きくなる。
【0021】
この知見に基づいて検討した結果によれば、上記した熱伝導率及び強度などの優れた特性を得るためには、本発明の断熱材は、無機繊維(平均繊維径1.5?5.0μm)を25?40重量%、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ(平均粒子径50nm以下)を5?40重量%、無機粉末粒子(平均粒子径0.1?20μm)を20?70重量%含有する必要がある。特に熱伝導率の低下を意図する場合には、無機繊維を30?40重量%、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを30?40重量%、無機粉末粒子を30?40重量%含有することが好ましい。
【0022】
無機繊維が25重量%未満か、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナが5重量%未満か、若しくは無機粉末粒子が70重量%を超えると、かさ密度が600kg/m^(3)を超えてしまう。その結果、断熱材の強度は高くなるが、熱伝導率も0.090W/(m・K)を超えて高くなり、断熱材性能が悪くなるため好ましくない。一方、無機繊維が40重量%を超えるか、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナが40重量%を超え、又は無機粉末粒子が20重量%未満になると、かさ密度が300kg/m^(3)未満となってしまう。その場合には、断熱材の強度が低くなり、ハンドリング性及び加工性や施工性等が悪くなるため好ましくない。
【0023】
本発明において、微粒子シリカとは平均粒子径50nm以下の酸化ケイ素粉末粒子を意味し、火炎加水分解法、アーク法、プラズマ法などにより得られる。また、微粒子アルミナとは平均粒子径50nm以下の酸化アルミニウム粉末粒子を意味し、火炎噴霧熱分解法などの噴霧法により得られる。無機粉末粒子とは通常の平均粒子径0.1?20μmの無機粉末粒子であり、例えばシリカ、アルミナ、二酸化チタン、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素などがあり、これらを単独で又は混合して用いることができる。無機繊維としては、生体溶解性繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカアルミナジルコニア繊維などを用いることができる。
【0024】
上記本発明の断熱材は、650℃以上の温度で加熱処理されていることが好ましい。断熱材を上記温度で加熱処理することによって、更に強度が向上すると共に0.5%以下と極めて低い加熱線収縮率を有する断熱材となる。ただし、加熱処理温度が650℃未満では、強度の向上及び加熱線収縮率の低下が望めない。
【0025】
次に、本発明の断熱材の製造方法について説明する。まず、原料である平均繊維径1.5?5.0μmの無機繊維と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、無機粉末粒子とを混合し、得られた混合物を所定形状の型を用いて圧縮成形することによって、本発明の断熱材を製造することができる。各原料の配合割合は、圧縮成形後の断熱材のかさ密度が300?600kg/m^(3)となるように、無機繊維を25?40重量%、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを5?40重量%、無機粉末粒子を20?70重量%とする。
【0026】
本発明の断熱材は、上記の製造方法により製造することができ、熱伝導率(600℃)が0.060?0.090W/(m・K)と低く、断熱性能に優れている。同時に、3点曲げ強度が0.3MPa以上、10%圧縮強度が1.0MPa以上という高い強度を有し、加工性や施工性にも優れている。更に、低発塵性及び耐振動性に優れるうえ、使用した微粒子及び無機粉末粒子は疎水性であるため、耐水性を兼ね備えた断熱材とすることができる。
【0027】
ただし、断熱材を燃料電池の断熱材として用いる場合、繰り返し加熱後の厚み方向の収縮を小さくしなければならない部位がある。そのため、特に燃料電池の断熱材として用いる場合には、上記した本発明の断熱材を650℃以上の温度で加熱処理して予め焼結させておくことにより、厚さ方向の収縮率を大幅に低下させることができる。具体的には、上記の加熱処理によって、本発明による断熱材の加熱線収縮率を0.5%以下とすることができる。従って、本発明の断熱材は、工業炉等の産業設備用として好適であると同時に、燃料電池用としても極めて優れている。
【実施例】
【0028】
無機繊維としてイソライト工業(株)製のシリカアルミナ繊維であるイソウール(商品名;Al_(2)O_(3):46重量%、Al_(2)O_(3)+SiO^(2):99重量%、平均繊維径:2.3μm、非繊維状粒子含有量:53重量%)を使用し、微粒子シリカ(平均粒子径:50nm以下)及び無機粉末粒子のシリカ粒子(平均粒子径:20μm以下)を使用して、以下の実施例及び比較例により断熱材を製造した。
【0029】
[実施例1]
原料の無機繊維75g(30重量%)と、微粒子シリカ87.5g(35重量%)と、シリカ粒子87.5g(35重量%)とを混合した。得られた混合物を金型に挿入して圧縮成形を行い、縦150×横150×厚さ25mmの断熱材を作製した。得られた断熱材のかさ密度は、397kg/m^(3)であった。尚、かさ密度は断熱材の重さと体積を測定して算出した。
【0030】
この実施例1の断熱材について、熱伝導率(600℃)、3点曲げ強度、10%圧縮強度及び加熱線収縮率(900℃×8時間)を測定した。また、耐水性試験により、断熱材を水に10秒間浸漬した後表面状態を観察して、ひび割れ等の有無を調査した。得られた結果を表1に示した。
【0031】
尚、熱伝導率(600℃)はJIS A1412(熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法、第2部:熱流計法(HFM法)の付属書A(規定)平板法)、3点曲げ強度はJIS R2619(耐火断熱れんがの曲げ強さの試験方法)、10%圧縮強度はJIS R2615(耐火断熱れんがの圧縮強さ試験方法)、加熱線収縮率はJIS R3311(セラミックファイバーブランケット)に準拠して測定した。
【0032】
[実施例2]
上記実施例1で得られた断熱材を、更に900℃にて2時間加熱処理することにより、実施例2の断熱材を製造した。この実施例2の断熱材のかさ密度は425kg/m^(3)であった。
【0033】
また、この実施例2の断熱材について、上記実施例1と同様に、熱伝導率、3点曲げ強度、10%圧縮強度及び加熱線収縮率を測定した。また、耐水性試験により、断熱材を水に10秒間浸漬した後表面状態を観察して、ひび割れ等の有無を調査した。得られた結果を表1に示した。
【0034】
[比較例1]
原料として、無機繊維32g(20重量%)と微粒子シリカ128g(80重量%)とを混合した。得られた混合物を金型に挿入して圧縮成形を行い、縦150×横150×厚さ25mmの断熱材を作製した。得られた断熱材はマイクロポーラス断熱材であり、そのかさ密度は250kg/m^(3)であった。
【0035】
また、この比較例1の断熱材について、上記実施例1と同様に、熱伝導率、3点曲げ強度、10%圧縮強度及び加熱線収縮率を測定した。また、耐水性試験により、断熱材を水に10秒間浸漬した後表面状態を観察して、ひび割れ等の有無を調査した。得られた結果を表1に示した。
【0036】
[比較例2]
原料として、無機繊維と無機バインダーのコロイダルシリカとを水に添加し、数分間撹拌することにより、無機繊維95重量%と無機バインダー5重量%を含むスラリーを形成した。このスラリーに有機系高分子凝集剤として澱粉の水溶液を加えて凝集させ、型を用いて縦150mm×横150mm×厚み25mmの板状に吸引成形した。得られた板状の断熱材を110℃で乾燥させて、従来の無機繊維質の断熱材を製造した。この断熱材の乾燥後のかさ密度は270kg/m^(3)であった。
【0037】
また、この比較例2の断熱材について、上記実施例1と同様に、熱伝導率、3点曲げ強度、10%圧縮強度及び加熱線収縮率を測定した。また、耐水性試験により、断熱材を水に10秒間浸漬した後表面状態を観察して、ひび割れ等の有無を調査した。得られた結果を表1に示した。
【0038】
【表1】

【0039】
〔表1の考察〕
本発明による実施例1及び2の断熱材は、比較例1のマイクロポーラス断熱材と比較して、熱伝導率については劣るものの、3点曲げ強度及び10%圧縮強度は高く、加熱線収縮率は小さい。実施例1及び2のかさ密度は、比較例1に比べて大きいため、3点曲げ強度及び10%圧縮強度が高くなっていると考えられる。
また、比較例2の従来の無機繊維質断熱材と比べると、熱伝導率は1/2程度まで小さくなっている。これは、内部の気孔を小さくし、気体の対流伝熱や気体分子の衝突による伝熱を抑制したためと考えられる。
【0040】
これらの結果から分かるように、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナは熱伝導率向上に効果的であるが、その量が多くなるとかさ密度が高くならないため、強度が低くなってしまう。また、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナは粒子径が小さく、比表面積が大きいため、反応性に富んでいて焼結しやすい。そのため、比較例1の断熱材では、加熱線収縮率が他に比べて大きくなっている。
【0041】
また、耐水性試験では、実施例1?2及び比較例2の断熱材にひび割れ等の外観の変化は無かったが、比較例1のマイクロポーラス系断熱材では多数の大きなひび割れが認められた。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均繊維径が1.5?5.0μmの無機繊維と、いずれも平均粒子径が50nm以下の微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、平均粒子径が0.1?20μmの無機粉末粒子とからなる断熱材であって、無機繊維を25?30重量%、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを5?35重量%、無機粉末粒子を35?70重量%含有し、かさ密度が397?600kg/m^(3)、3点曲げ強度が0.3MPa以上、600℃における熱伝導率が0.060?0.090W/(m・K)であり、水に10秒間浸漬した後に表面に目視で確認可能なひび割れが生じないことを特徴とする断熱材。
【請求項2】
前記無機繊維が、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカアルミナジルコニア繊維又は生体溶解性繊維であることを特徴とする、請求項1に記載の断熱材。
【請求項3】
前記無機粉末粒子が、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の断熱材。
【請求項4】
平均繊維径1.5?5.0μmの無機繊維と、いずれも平均粒子径が50nm以下の微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、平均粒子径が0.1?20μmの無機粉末粒子とからなる断熱材の製造方法であって、無機繊維25?30重量%と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナ5?35重量%と、無機粉末粒子35?70重量%とを混合し、かさ密度が397?600kg/m^(3)となるように型を用いて圧縮成形することを特徴とする断熱材の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法により得られた断熱材を、更に650℃以上の温度で加熱処理することを特徴とする断熱材の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-02-21 
出願番号 特願2014-184936(P2014-184936)
審決分類 P 1 651・ 121- ZAB (F16L)
P 1 651・ 55- ZAB (F16L)
P 1 651・ 536- ZAB (F16L)
P 1 651・ 537- ZAB (F16L)
最終処分 取消  
前審関与審査官 正木 裕也黒田 正法吉村 俊厚  
特許庁審判長 和田 雄二
特許庁審判官 氏原 康宏
出口 昌哉
登録日 2016-02-19 
登録番号 特許第5885799号(P5885799)
権利者 イソライト工業株式会社
発明の名称 断熱材及びその製造方法  
代理人 辻川 典範  
代理人 辻川 典範  
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