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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C10L
審判 全部申し立て 2項進歩性  C10L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C10L
管理番号 1341064
異議申立番号 異議2017-700579  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-06-07 
確定日 2018-04-27 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6055168号発明「バイオマス燃料の製造方法、製造装置、及びバイオマス燃料、並びに情報管理方法及びシステム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6055168号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?5、9?11〕、6、7、8について訂正することを認める。 特許第6055168号の請求項1?4、9?11に係る特許を維持する。 特許第6055168号の請求項5?8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1.手続の経緯
特許第6055168号の請求項1?11に係る特許についての出願は、平成23年4月20日に出願され、平成28年12月9日にその特許権の設定登録がされ、平成29年6月7日に、その特許について、特許異議申立人川崎敦子により、特許異議の申立てがされ(以下、特許異議申立人を単に「申立人」ということもある。)、同年9月1日付けで取消理由が通知され、同年11月2日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して、同年12月11日に申立人から意見書が提出され、平成30年1月10日付けで取消理由が通知され、同年3月14日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して、同年4月3日に申立人から意見書が提出されたものである。
なお、平成29年11月2日の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求の趣旨は、特許第6055168号の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?11について訂正することを求める、というものであって、本件特許に係る願書に添付した特許請求の範囲を、一群の請求項1?5及び9?11に係る訂正事項1?11、一群の請求項6に係る訂正事項12、一群の請求項7に係る訂正事項13、並びに、一群の請求項8に係る訂正事項14によって、次のとおりに訂正することを求めるというものである。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1(以下、単に「請求項1」などという。)の「脱水工程と、」を「脱水工程と、前記脱水された汚泥を乾燥する工程と、」に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項4、9?11も同様に訂正する。)
イ 訂正事項2
請求項1の「前記脱水汚泥と浄化処理で使用済みの粒状活性炭とを混合し」を「乾燥後の脱水汚泥(乾燥汚泥)に、浄化処理で使用済みの粒状活性炭を混合し」に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項4、9?11も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項3
請求項1の「を含む」を「を含み、前記使用済み活性炭を乾燥汚泥重量に対して10?50質量%含有させる」に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項4、9?11も同様に訂正する。)
エ 訂正事項4
請求項2の「さらに、」を「有機性汚泥を脱水して含水率80%以下の脱水汚泥を得る脱水工程と、前記脱水汚泥に、浄化処理で使用済みの粒状活性炭を混合し、混合物を調製する混合工程と、」に訂正し、「請求項1記載の」を削除する。
(請求項2の記載を引用する請求項4、9?11も同様に訂正する。)
オ 訂正事項5
請求項2の「を含む」を「と、を含み、前記使用済み活性炭を乾燥汚泥重量に対して10?50質量%含有させる」に訂正する。
(請求項2の記載を引用する請求項4、9?11も同様に訂正する。)
カ 訂正事項6
請求項3の「有機性汚泥と浄化処理で使用済みの粒状活性炭とを混合して」を「有機性汚泥に、浄化処理で使用済みの粒状活性炭を混合して」に訂正する。
(請求項3の記載を引用する請求項4、9?11も同様に訂正する。)
キ 訂正事項7
請求項3の「を含む」を「を含み、前記使用済み活性炭を乾燥汚泥重量に対して10?50質量%含有させる」に訂正する。
(請求項3の記載を引用する請求項4、9?11も同様に訂正する。)
ク 訂正事項8
請求項5を削除する。
ケ 訂正事項9
請求項9の「請求項1?5」を「請求項1?4」に訂正する。
コ 訂正事項10
請求項10の「請求項1?5」を「請求項1?4」に訂正する。
サ 訂正事項11
請求項11の「請求項1?5」を「請求項1?4」に訂正する。
シ 訂正事項12
請求項6を削除する。
ス 訂正事項13
請求項7を削除する。
セ 訂正事項14
請求項8を削除する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び、一群の請求項について
(訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について)
ア 訂正事項1について
訂正事項1は、本件明細書の【0019】の「乾燥工程Aは、例えば、上記脱水された汚泥(即ち、脱水汚泥)を乾燥する工程であり、」という記載、及び、同【0027】の「図2において、汚泥1は脱水工程2に導入されて脱水され、脱水ろ液9と脱水汚泥3が調製され、脱水汚泥3は乾燥工程4に導入され乾燥処理が施される。乾燥工程4にて調製された乾燥汚泥5は混合工程6で活性炭7と混合され、減臭されたバイオマス燃料8として取り出される。」という記載に基づき、請求項1に係る発明のバイオマス燃料の製造方法において、「有機性汚泥を脱水して含水率80%以下の脱水汚泥を得る脱水工程」の後に、さらに、「脱水された汚泥を乾燥する工程」を含むことを規定するものであり、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項1は、請求項1の記載を引用する請求項4、9?11についても同様に訂正するものである。
イ 訂正事項2について
訂正事項2は、上記【0027】の「図2において、汚泥1は脱水工程2に導入されて脱水され、脱水ろ液9と脱水汚泥3が調製され、脱水汚泥3は乾燥工程4に導入され乾燥処理が施される。乾燥工程4にて調製された乾燥汚泥5は混合工程6で活性炭7と混合され、減臭されたバイオマス燃料8として取り出される。」という記載に基づき、請求項1において、「前記脱水汚泥と浄化処理で使用済みの粒状活性炭とを混合し」と規定していたものを、「乾燥後の脱水汚泥(乾燥汚泥)に、浄化処理で使用済みの粒状活性炭を混合し」と規定したものであり、訂正前の「脱水汚泥」が、乾燥工程を経た後の脱水汚泥(乾燥汚泥)であることを明確化したものといえることから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号の「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項2は、請求項1の記載を引用する請求項4、9?11についても同様に訂正するものである。
ウ 訂正事項3、5及び7について
訂正事項3、5及び7は、それぞれ、訂正前の請求項1?3に関するものであるところ、いずれも、訂正前の請求項1?3を直接的又は間接的に引用する訂正前の請求項5(訂正前の請求項5は訂正前の請求項2?4を引用し、訂正前の請求項4は、訂正前の請求項1?3を引用しているから、訂正前の請求項5は、訂正前の請求項1?3を直接的又は間接的に引用しているといえる。)に規定された「前記使用済み活性炭を乾燥汚泥に対して10?50質量%含有させる」ことを規定したものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、さらに、上記「乾燥汚泥に対して」を「乾燥汚泥重量に対して」と訂正するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項3、5及び7は、それぞれ、請求項1?3の記載を引用する請求項4、9?11についても同様に訂正するものである。
エ 訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1を引用するものであったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとし、独立形式の請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号の「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項4は、請求項2の記載を引用する請求項4、9?11も同様に訂正するものである。
オ 訂正事項6について
訂正事項6は、本件明細書の【0039】の「実験例2」に関する「J下水処理場の濃縮汚泥(汚泥濃度:5質量%)にB浄水場の使用済み活性炭(粒径:0.5?2mm、含水率:35%)を活性炭添加率0?60質量%添加混合したのちに、ポリマーを対SS 1.5質量%注入し、フィルタープレス試験機(加圧型ベルトプレス)で脱水し、含水率72?78%の脱水汚泥を得、この脱水汚泥を含水率5%以下まで乾燥した乾燥汚泥を100mlの密閉容器に約60%(容積%)充填し、7日後に密閉容器の蓋をはずし、3人でそれぞれ感覚的に臭気を判定した。」という記載に基づき、請求項3の「有機性汚泥と浄化処理で使用済みの粒状活性炭とを混合して」と規定していたものを「有機性汚泥に、浄化処理で使用済みの粒状活性炭を混合して」と訂正するものであって、有機性汚泥と浄化処理で使用済みの粒状活性炭との混合の態様を明確化するのものといえることから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号の「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項6は、請求項3の記載を引用する請求項4、9?11についても同様に訂正するものである。
カ 訂正事項8について
訂正事項8は、訂正前の請求項5を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
キ 訂正事項9?11について
訂正事項9?11は、上記訂正事項8のとおり、請求項5を削除したことに伴い、引用する請求項を「請求項1?4のいずれか1項」と訂正するものであるから、いずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第3号の「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ク 訂正事項12、13及び14について
訂正事項12、13及び14は、それぞれ、訂正前の請求項6、7及び8を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(一群の請求項について)
訂正前の請求項1?5及び9?11について、請求項2が請求項1の記載を引用し、請求項4が請求項1?3を引用し、請求項5が請求項2?4を引用し、請求項9?11が請求項1?5を引用する関係にあり、訂正前の請求項6?8は、それぞれ、独立請求項であるから、訂正の請求は、一群の請求項ごとにされたものである。

(3)まとめ
上記(2)より、訂正事項1?14は、特許法第120条の5第2項ただし書各号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項並びに第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項[1?5、9?11]、6、7、8について訂正することを認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)本件発明
本件特許の明細書の特許請求の範囲について、上記のとおり訂正が認められるから、本件特許の請求項1?4、9?11に係る発明(以下、項番に応じて、「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?4、9?11に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
有機性汚泥を脱水して含水率80%以下の脱水汚泥を得る脱水工程と、前記脱水された汚泥を乾燥する工程と、乾燥後の脱水汚泥(乾燥汚泥)に、浄化処理で使用済みの粒状活性炭を混合し、混合物を調製する混合工程と、を含み、前記使用済み活性炭を乾燥汚泥重量に対して10?50質量%含有させることを特徴とするバイオマス燃料の製造方法。
【請求項2】
有機性汚泥を脱水して含水率80%以下の脱水汚泥を得る脱水工程と、前記脱水汚泥に、浄化処理で使用済みの粒状活性炭を混合し、混合物を調製する混合工程と、前記混合物を乾燥させて乾燥汚泥を得る乾燥工程と、を含み、前記使用済み活性炭を乾燥汚泥重量に対して10?50質量%含有させることを特徴とするバイオマス燃料の製造方法。
【請求項3】
有機性汚泥に、浄化処理で使用済みの粒状活性炭を混合して混合物を調製する混合工程と、前記混合物を脱水し、活性炭含有脱水汚泥を得る脱水工程と、前記活性炭含有脱水汚泥を乾燥して調製された活性炭含有乾燥汚泥を得る乾燥工程と、を含み、前記使用済み活性炭を乾燥汚泥重量に対して10?50質量%含有させることを特徴とするバイオマス燃料の製造方法。
【請求項4】
前記脱水工程が、遠心、プレス又はスクリーンを用いて行われることを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載のバイオマス燃料の製造方法。
【請求項9】
有機性汚泥の少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、及び計画発生量を含む情報を有し、汚泥を生産する施設aと、
浄化処理で使用済みの粒状活性炭の少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、及び計画発生量を含む情報を有し、使用済み活性炭を生産する施設bと、
バイオマス燃料の少なくとも日生産量、年間変動、及び計画生産量を含む情報を有し、
前記施設aの汚泥と、前記施設bの使用済み活性炭とから、請求項1?4のいずれか1項に記載の方法によりバイオマス燃料を製造する施設cと、
前記バイオマス燃料の少なくとも日消費量、年間変動、及び計画消費量を含む情報を有し、バイオマス燃料を利用する施設dと、
前記施設a、b、c、dの夫々を相互に連絡可能にする輸送システムを管理する施設eと、
前記施設a、b、c、d、eの夫々の前記各情報を相互に共有可能とするように情報管理する施設fと、
を備えたことを特徴とするバイオマス燃料の情報管理方法。
【請求項10】
有機性汚泥を濃縮汚泥、脱水汚泥、乾燥汚泥の少なくとも1の形態でバイオマス燃料の原料として搬出する施設a、
浄化処理で使用済みの粒状活性炭をバイオマス燃料の原料として排出する施設b、
前記施設aの濃縮汚泥、脱水汚泥、乾燥汚泥の少なくとも1つの汚泥と、前記施設bの使用済み活性炭とから、請求項1?4のいずれか1項に記載の方法によりバイオマス燃料を製造する施設c、
バイオマス燃料を利用する施設d、
前記施設a、b、c、dの夫々を相互に前記バイオマス燃料の原料及び前記バイオマス燃料に関する情報を連絡可能とし輸送システムを管理する施設e、
を備えたことを特徴とするバイオマス燃料の情報管理システム。
【請求項11】
有機性汚泥の少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、及び計画発生量を含む情報を記憶する情報記憶手段と、少なくとも情報管理施設との間を相互に該情報を共有することが可能な通信手段と、を備え、前記汚泥を生産する施設aと、
浄化処理で使用済みの粒状活性炭の少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、及び計画発生量を含む情報を記憶する情報記憶手段と、少なくとも情報管理施設との間を相互に該情報を共有することが可能な通信手段と、を備え、前記使用済み活性炭を生産する施設bと、
バイオマス燃料の少なくとも日生産量、年間変動、及び計画生産量を含む情報を記憶する情報記憶手段と、少なくとも情報管理施設との間を相互に該情報を共有することが可能な通信手段と、を備え、前記施設aの汚泥と、前記bの使用済み活性炭とから、請求項1?4のいずれか1項に記載の方法によりバイオマス燃料を製造する施設cと、
前記バイオマス燃料の少なくとも日消費量、年間変動、及び計画消費量を含む情報を記憶する情報記憶手段と、少なくとも情報管理施設との間を相互に該情報を共有することが可能な通信手段と、を備え、バイオマス燃料を利用する施設dと、
前記施設a、b、c、dの夫々相互に連絡することが可能な該情報を共有することが可能な通信手段と、を備え、輸送システムを管理する施設eと、
前記施設a、b、c、d、eの夫々相互に共有することが可能な情報を記憶する情報記憶手段と、前記施設a、b、c、d、eの夫々相互に前記情報を共有することが可能な通信手段と、を少なくとも備えた、前記情報管理施設の施設fと、を備えたことを特徴とするバイオマス燃料の情報管理システム。」

(2)訂正前の請求項に対する取消理由の概要
ア 平成29年9月1日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(ア)(進歩性)本件特許の請求項1?11に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



引用例1:特開平10-305272号公報(請求項1、2、請求項1、2を引用する請求項4?11に係る発明に対する主引用例。甲第1号証)
引用例2:特開2005-13910号公報(甲第2号証)
引用例3:特開昭57-12899号公報(請求項3、請求項3を引用する請求項4?11に係る発明に対する主引用例。甲第3号証)
引用例4:特開2005-106390号公報(甲第4号証)

(イ)(サポート要件)本件特許の請求項1?4、6?11に係る発明は、使用済み活性炭の混合率については、発明特定事項としていないことから、本件特許の請求項1?4、6?11に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであって、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

イ 平成30年1月10日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(ア)(明確性要件・実施可能要件)
本件請求項1?4、9?11の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、しかも、本件明細書の発明の詳細な説明は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

(3)引用例の記載(下線は当審が付与した。)
ア 引用例1
引用例1には、「湿潤有機性廃棄物の処理方法及び装置」(発明の名称)について、次の記載がある。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 脱水された湿潤有機性廃棄物を乾燥機で排ガスと接触させ乾燥させて乾燥有機性廃棄物とし、乾燥機からの臭気排ガスを粉末活性コークス、粉末活性炭及び粉末褐炭からなる群より選ばれた粉末炭素系吸着剤で被覆されたバグフィルタ式脱臭装置に導入して脱臭処理し、このバグフィルタ式脱臭装置からの使用済粉末炭素系吸着剤を前記乾燥機の出口近傍の乾燥有機性廃棄物と混合して成型することを特徴とする湿潤有機性廃棄物の処理方法。」
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下水汚泥、畜産廃棄物、食品粕等の湿潤有機性廃棄物を乾燥するとともに、臭気排ガスを粉末炭素系吸着剤と接触させて脱臭し、乾燥有機性廃棄物を使用済粉末炭素系吸着剤と混合して成型し、さらには、成型工程や乾燥工程で発生するアンモニアを含む排ガスを排ガスの触媒脱硝工程に導入して、発生ガスのアンモニア処理とNOx処理とを同時に実施する湿潤有機性廃棄物の処理方法及び車載型に適する処理装置に関するものである。」
「【0004】本発明は上記の諸点に鑑みなされたもので、本発明の目的は、湿潤有機性廃棄物を乾燥するとともに、発生する臭気排ガスを粉末炭素系吸着剤と接触させて脱臭処理し、乾燥有機性廃棄物を使用済粉末炭素系吸着剤と混合して成型することにより、プラスチックスを混入させずに、安定性が高く、臭気発生のない、しかも、発熱量の大きい成型物(燃料)を製造することができる処理方法及び装置を提供することにある。また、本発明の目的は、成型工程や乾燥工程で発生したアンモニア含有排ガスを、排ガスの触媒脱硝装置に導入して、アンモニアを還元剤として使用する処理方法及び装置を提供することにある。さらに、本発明の目的は、湿潤有機性廃棄物をコンパクトな車載型プラントで乾燥し成型し、さらにはアンモニアとNOxとを同時に処理する方法及び装置を提供することにある。」
「【0014】上記のように構成された湿潤有機性廃棄物の処理装置において、下水汚泥を脱水処理した、水分65?90wt%程度の汚泥脱水ケーキを汚泥脱水ケーキ受槽10に受け入れ、スクリュウフィーダ46により気流乾燥機12のスクリュウフィーダ部18に供給する。汚泥脱水ケーキは、乾燥汚泥の一部とともにブロワ14により解砕され、ディーゼルエンジン40の排ガスで気流搬送されつつ乾燥され、サイクロン16へ送られる。サイクロン16で乾燥汚泥と臭気排ガスとが固気分離され、臭気排ガスは粉末炭素系吸着剤でバグ48が予め被覆されたバグフィルタ式脱臭装置30に導入され、この被覆層に臭気成分が吸着されて脱臭される。通常、吸着剤の添加はバッチ式で行われ、バグの表面にコーティング(被覆)して、ある時間使用した後、使用済吸着剤を取り出し、その後、再度、新規吸着剤でコーティングしなおす。使用済の粉末炭素系吸着剤は定期的にスクリュウフィーダ部20へ供給され、乾燥汚泥(水分10wt%前後)と混合された後、成型機32に導入されて連続成型される。
【0015】本発明の方法及び装置は、下水処理場で他の目的(脱臭及び有機物等の吸着)に使用する使用済の粉末炭素系吸着剤を、特開平8-176568号公報に記載された方法におけるプラスチックスに替えて使用する点で大きく異なっている。使用済の粉末炭素系吸着剤は、従来においては、汚泥等と同時に焼却処理されているので、本発明におけるように、使用済粉末炭素系吸着剤に、成型物の安定性向上、臭気発生防止、発熱量増大等の新たな役割を担わせることも、きわめて効率的な利用法となる。乾燥汚泥と使用済粉末炭素系吸着剤との混合物の成型は、プラスチックスの混入物を成型する場合のように、高い温度によるプラスチックスの溶融を必要とするものでないので、なんら制約条件なしに成型機を広く選定することができる。また、系内から排出される使用済粉末炭素系吸着剤を貯留することなく用いるので、大規模な貯蔵設備が必要とならない。なお、粉末炭素系吸着剤としては、石炭から安価に製造することができる粉末活性コークスを使用することが好ましい。本発明は上記のような特徴を有しているので、車載型等のコンパクトなプラント設計が可能となり、中小規模処理場へ循環移動し、汚泥脱水ケーキを処理しながら、有効な燃料を製造する中小規模下水処理場のニーズに合致させることができる。」
「【0020】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されているので、つぎのような効果を奏する。
(1) 臭気排ガスの脱臭工程をも含む成型物製造を伴う湿潤有機性廃棄物処理の無公害プロセスを構築することができる。
(2) 脱臭に使用した粉末炭素系吸着剤を乾燥有機性廃棄物に混入することにより、成型廃棄物(成型物)の安定性が増し、製品(成型物)からの臭気発生を防ぐことができ、かつ、成型汚泥の熱量を増加させることができる。
(3) 廃棄物処理場に他の廃棄物(プラスチックス等)を持ち込むことなく、廃棄物処理場内で使用する粉末炭素系吸着剤の使用済のものを利用することができ、きわめて経済的である。
(4) 粉末炭素系吸着剤として、安価な粉末活性コークスを使用する場合は、さらに経済性が改善される。
(5) 車載型プラントとする場合は、中小規模の廃棄物処理場のニーズに合致させることができる。
(6) 主として成型工程で発生するアンモニア含有排ガスを排ガスの触媒脱硝装置へ供給することにより、アンモニアを還元剤として使用することができ、アンモニアとNOxとを同時に処理することができる。
(7) 排ガス中のアンモニアを処理することができるので、悪臭発生を大幅に低減することができる。
(8) 排ガス中のアンモニアを処理することができるので、畜産廃棄物等のように乾燥前からアンモニアを含む湿潤有機性廃棄物をも処理することができる。」

イ 引用例2
引用例2には、「下水汚泥脱水ケーキの処理方法」(発明の名称)について、次の記載がある。
「【0002】
【従来の技術】下水汚泥脱水ケーキは、下水から水分の大部分を除去した後の残渣であるが、生活活動に伴い不可避的に発生するものであり、都市ゴミと同様、その処理が大問題となっているものの一つである。腐敗物および多量の水を含む事から、処理に当たっては、悪臭の発生と取扱いを困難にする粘着力が問題となる。
悪臭に対しては、活性炭を投入して悪臭ガスを吸着させる方法が公知であり実施されている。しかし、汚泥脱水ケーキの消臭材として活性炭を使う場合、活性炭が汚泥の水分を吸収し活性炭の吸着効率が低下することから、悪臭発生を許容値以下までに抑制するためには多量に添加する必要が在った。また、汚泥脱水ケーキには粘性があるためベルトコンベアーで輸送する際にはベルトに付着し、連続処理において、操作が困難になると言う問題点も有したものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、下水汚泥ケーキを取扱う上での障害である悪臭、粘性の問題を解決し、その処理を容易にする方法の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、汚泥ケーキに活性炭及び無機質粉末混合材を混ぜることにより、上記課題である悪臭、粘性の解決されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下水汚泥脱水ケーキ100質量部に対して活性炭を5?100質量部及び、高炉スラグ、石炭灰、石油精製触媒として用いられたゼオライトの廃材、製紙スラッジ燃焼灰よりなる群から選ばれる一種以上の無機質粉末混合材を50?400質量部混合することを特徴とする下水汚泥脱水ケーキ処理方法に関する。」
「【0008】活性炭の添加量は、下水汚泥脱水ケーキ100質量部に対して5?100質量部とする。少なすぎると悪臭の発生抑制効果が不十分となり、回りの環境に非常な迷惑を掛ける事になる。一方、多すぎると、処理コストアップに繋がることは勿論、混合材同様、要処理物質量のアップに繋がり好ましくない。」
「【0009】活性炭は、一般的な吸着用の市販品が使用可能であるが、有機溶剤蒸気の回収、浄水等の用途に一旦使用し、再生使用が不可能になった廃活性炭の使用も可能であり、この点でも、産業廃棄物の有効利用が可能となる。なお、活性炭は粒状、粉末いずれの形態でも使用可能であるが、粉塵の飛散等の取扱を考慮した場合、粒状品の方が好適に使用できる。
以下では、実施例を示し、本発明を更に詳しく説明する。
【0010】
【実施例】
(1)試験には次の原材料を使用した。
・高炉スラグ粉:川崎製鉄製、粒径1?5mm
・活性炭:上水処理に使用後の廃活性炭、2mm以下の粒状品
・石炭灰:宇部興産 石炭燃焼自家発電所排出
【0011】
(2)下水汚泥処理方法
実施例1における操作を代表例として説明する。
下水処理場より発生する下水汚泥脱水ケーキ(水分:78%)5tに高炉スラグ粉(川崎製鉄製、粒径1?5mm)を5t加え、ショベル車を用いて良く混合する。その後、上水処理に使用した廃活性炭(2mm以下粒状品)1.5tを加えてショベル車を用いて良く混合し、山状にして静置した。
他の例では、混合材種、混合量を表1に示すものに変えた以外は、実施例1と同様に処理を行った。
【0012】
(3)脱臭効果の評価
静置後の汚泥混合物の臭いは、混合物の山から2mの個所を周回し、評価した。臭いの強さは、表2に示すように、0?5の6段階を0.5刻みで表し、臭いの不快度は、表3に示すように、0?-4の5段階を0.5刻みで評価した。ハンドリング性は汚泥混合物のショベルへの付着状況にて評価した。
結果を表1に示す。
【0013】
【表1】

【0014】
【表2】

【0015】
【表3】


ウ 引用例3
引用例3には、「泥漿処理方法」(発明の名称)について、次の記載がある。
「2.特許請求の範囲
泥漿或は泥漿を濾過(当審注:「濾」は、原文は、「シ」(さんずい)に「戸」。以下、同じ。)脱水した濾滓に濾過兼燃焼助剤を混合して濾過脱水した後ゲル化剤を加えてゲル化し、ゲル化物を濾過脱水し、更に風乾して仕上乾燥した後、自燃させたり或は補助燃料として使用することを特長とする泥漿処理方法。」(1頁左下欄4?10行)
「3.発明の詳細な説明
下水処理、し尿処理、工場排水処理で、微生物を使用しての曝気処理が行われ、シツクナーで沈澱した汚泥泥漿の一部を、余剰汚泥としてフイルタプレス、ベルトプレス、デカンターで脱水した後、脱水汚泥を焼却する方法が広く採用されている。」(1頁左下欄11?17行)
「本発明は燃焼性と濾過助剤性の双方を有する物質を泥漿或は泥漿を濾過脱水した濾滓に加えて濾過脱水して含水量を低下させた濾滓をゲル化した後仕上脱水して含水率を低下させた後さらに風力乾燥、自然乾燥等により含水率を低下させて自燃させたり或は補助燃料として使用する方法にかかり、以下に詳述する。」(1頁右下欄8?14行)
「以上の如く本発明は、泥漿に加えた含炭素物質が濾過助剤となり濾過脱水する時含水率を減少し、含水量の減少は添加するゲル化剤の量を減量し、ゲル化した固形物を脱水すれば含水量が減じ、脱水物は風乾により水分が減少し自燃するに至るので焼却用燃料を無くし得るのみならず、この風乾物を家庭廃棄物焼却炉に投入すれば補助燃料として使用し得る。」(2頁右下欄11?18行)
「上述の如く本発明は添加したオガクズ、モミガラ等の含炭素物質が濾過脱水する時は濾過助剤として働き、ゲル化後さらに脱水して乾燥した場合は自らの有する燃焼カロリーが燃焼に役立つ二重の効果がある。
含炭素物質は上記の他に、微粉炭や砂糖工場薬品工場で使用した脱色済み廃活性炭等如何なる含炭素物質をも使用することが出来る。」(3頁左上欄8?15行)

エ 引用例4
引用例4には、「バイオマス燃料供給システム」(発明の名称)について、次の記載がある。
「【請求項3】
下水汚泥を固化してバイオ固体燃料を生成するバイオ固体燃料生成装置が設置された複数の下水処理設備と、石炭を燃焼させて蒸気を発生しタービンにより発電機を駆動して電力を発生させる石炭火力発電設備と、各々の下水処理設備に設置された前記バイオ固体燃料生成装置で生成されるバイオ固体燃料の性状及び各々の石炭火力発電設備で使用する石炭の性状に基づいてどの下水処理設備のバイオ固体燃料がどの石炭火力発電設備の石炭との混焼に適合するかを診断し各々の下水処理設備に対して前記バイオ固体燃料の受け入れが可能である石炭火力発電設備を通知する燃料統合管理システムとを備えたことを特徴とするバイオマス燃料供給システム。」
「【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係わるバイオマス燃料供給システムの構成図である。複数の下水処理設備11a?11n及び複数の石炭火力発電設備12a?12mは、情報ネットワーク13を介して燃料系統管理システム14に接続されている。各々の下水処理設備11a?11nでは、下水汚泥から各々の石炭火力発電設備12a?12mで燃料として利用される炭化物を生成し、各々の石炭火力発電設備12a?12mでは下水処理設備11a?11nで生成された炭化物のうち適合する炭化物を燃料として石炭とともに混焼して蒸気を発生しタービンにより発電機を駆動して電力を発生する。
【0015】
燃料系統管理システム14は、情報ネットワーク13を介して各々の下水処理設備11a?11nで生成された炭化物の性状を入力し、また、各々の石炭火力発電設備12a?12mで燃料として使用される石炭の性状を入力する。なお、情報ネットワーク13は公衆回線網あるいは専用の回線網のいずれであっても良い。
【0016】
各々の下水処理設備11a?11nは、それぞれ炭化装置15、炭化物性状予測装置16、炭化物管理装置17を有し、炭化装置15で下水汚泥を炭化処理して炭化物を生成し、炭化物性状予測装置16で生成される炭化物の性状を予測する。下水汚泥は、下水を処理する過程で発生する汚泥物質であり、各々の下水処理設備11a?11nでその性状は異なり、また、同じ下水処理設備11であっても季節や天候によって変化する。そこで、炭化物性状予測装置16は、炭化装置15に投入する前の下水汚泥の性状、すなわち、発熱量、灰分、水分、硫黄分、受入量を計測し、さらに、炭化装置15の反応槽温度を加味して生成炭化物の性状を予測する。これは、炭化装置15の反応槽温度により炭化処理する前の下水汚泥の性状と炭化処理された炭化物との性状が異なるからである。炭化物性状予測装置16で予測演算された炭化物性状予測値は炭化物管理装置17に記憶されると共に、情報ネットワーク13を介して燃料統合管理システム14に送信される。
【0017】
各々の石炭火力発電設備12a?12mは燃料管理計算機18を有し、自己の石炭火力発電設備12で燃料として使用する石炭の性状(発熱量、灰分、水分、硫黄分)を管理するとともに、下水処理設備11から供給された自己の石炭火力発電設備12で利用可能な炭化物の貯蔵量を管理する。石炭の性状及び炭化物の貯蔵量はネットワーク13を介して燃料統合管理システム14に送信される。」
「【0023】
ここで、燃料統合管理システム14に、環境影響診断手段19、燃料性状診断手段20及び貯蔵量管理手段21に加えて、各々の下水処理設備11a?11nで生成された炭化物の各々の石炭火力発電設備12a?12mへの輸送経路や輸送コストに基づき輸送管理を行う輸送管理手段を設けても良い。輸送管理手段を設けた場合には、石炭火力発電設備12で利用可能な炭化物を生成する下水処理設備11のうちから、最も輸送効率の良い下水処理設備11からその石炭火力発電設備12に炭化物を輸送できるので、輸送の経済性が向上する。」

【図1】

【図2】


(4)引用発明1、3の認定
ア 引用例1について(引用発明1)
上記「(3)ア」において、摘示された引用例1の【0004】の下線部には、「本発明の目的は、湿潤有機性廃棄物を乾燥するとともに、発生する臭気排ガスを粉末炭素系吸着剤と接触させて脱臭処理し、乾燥有機性廃棄物を使用済粉末炭素系吸着剤と混合して成型することにより、プラスチックスを混入させずに、安定性が高く、臭気発生のない、しかも、発熱量の大きい成型物(燃料)を製造することができる処理方法及び装置を提供すること」と記載されていることから、引用例1に記載された処理方法は、湿潤有機性廃棄物を乾燥する工程を備え、次に、乾燥後の湿潤有機性廃棄物(乾燥有機性廃棄物)に、使用済粉末炭素系吸着剤を混合する工程を含む、成型物(燃料)を製造する処理方法が記載されているといえる。
そして、引用例1に記載された、湿潤有機性廃棄物から、成型物(燃料)を製造する処理方法とは、端的に言えば、燃料を製造する、湿潤有機性廃棄物の処理方法といえる。
さらに、引用例1の【0014】の下線部から、該処理方法は、湿潤有機性廃棄物として下水汚泥を用いたものであり、下水汚泥を脱水処理して、水分65?90wt%程度の汚泥脱水ケーキを得て、該汚泥脱水ケーキを乾燥し、使用済の粉末炭素系吸着剤が乾燥汚泥(水分10wt%前後)と混合し、成型して、成型物(燃料)とするものであるといえる。
また、引用例1の【0015】の下線部から、該使用済みの粉末炭素系吸着剤は、下水処理場で他の目的(脱臭及び有機物等の吸着)に使用する使用済の粉末炭素系吸着剤であるといえる。

そうすると、引用例1には、
「下水汚泥を脱水して水分65?90wt%程度の汚泥脱水ケーキを得る脱水工程と、
前記脱水された汚泥脱水ケーキを乾燥する工程と、
前記乾燥後の汚泥脱水ケーキに、下水処理場で他の目的(脱臭及び有機物等の吸着)に使用した使用済の粉末炭素系吸着剤を混合する工程を含む、
燃料を製造する、湿潤有機性廃棄物の処理方法。」(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

イ 引用例3について
上記「(3)ウ」の下線部の記載から、混合、濾過脱水等の処理を、便宜的に工程A等と、表現すれば、引用例3には、
「泥漿或は泥漿を濾過脱水した濾滓に廃活性炭を混合する工程Aと、
上記工程Aによって得られた混合物を濾過脱水する工程Bと、
上記工程Bによって得られた濾過脱水物にゲル化剤を加えてゲル化する工程Cと、
上記工程Cによって得られたゲル化物を濾過脱水する工程Dと、
上記工程Dによって得られた濾過脱水物を風力乾燥して仕上乾燥する工程Eと、
上記工程Eによって得られた仕上乾燥物を補助燃料として使用する泥漿処理方法。」(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。

(5)対比・判断
ア 本件の請求項1に係る特許発明(以下、項番号に対応して「本件発明1」などという。)について
本件発明1と引用発明1と対比する。
(ア)引用発明1の「下水汚泥」及び「汚泥脱水ケーキ」は、本件発明1の「有機性汚泥」及び「脱水汚泥」にそれぞれ相当する。
(イ)引用発明1の「乾燥後の汚泥脱水ケーキ」は、本件発明1の「乾燥後の脱水汚泥(乾燥汚泥)」に相当する。
(ウ)引用発明1の「燃料」は、「下水汚泥」から得られたものであるから、バイオマス燃料といえ、本件発明1の「バイオマス燃料」に相当するといえる。
(エ)引用発明1において、「乾燥後の汚泥脱水ケーキに、下水処理場で他の目的(脱臭及び有機物等の吸着)に使用した使用済の粉末炭素系吸着剤を混合する工程」によって得られたものは、本件発明1の「混合物」に相当し、該工程は、本件発明1の「乾燥後の脱水汚泥(乾燥汚泥)に、浄化処理で使用済みの粒状活性炭を混合し、混合物を調製する混合工程」に相当する。
(オ)本件発明1の「有機性汚泥を脱水して含水率80%以下の脱水汚泥を得る脱水工程」と、引用発明1の「下水汚泥を脱水して水分65?90wt%程度の汚泥脱水ケーキを得る脱水工程」とは、「水分65?90wt%程度」とは、「含水率65?90%程度」を意味するから、「有機性汚泥を脱水して含水率65?80%の脱水汚泥を得る脱水工程」である点で共通する。
(カ)引用発明の「脱水された汚泥脱水ケーキを乾燥する工程」は、本件発明1の「脱水された汚泥を乾燥する工程」に相当する。
(キ)引用発明1の「下水処理場で他の目的(脱臭及び有機物等の吸着)に使用した使用済の粉末炭素系吸着剤」と、本件発明1の「浄化処理で使用済みの粒状活性炭」とは、「浄化処理で使用済みの炭素系剤」である点で共通するといえる。
(ク)引用発明1の「燃料を製造する、湿潤有機性廃棄物の処理方法」は、上記(ウ)で述べたように、引用発明1の「燃料」が、本件発明1の「バイオマス燃料」に相当するから、該処理方法は、バイオマス燃料の製造方法といえ、本件発明1の「バイオマス燃料の製造方法」に相当するといえる。

(ケ)そうすると、上記(ア)?(ク)から、本件発明1と引用発明1とは、
「有機性汚泥を脱水して含水率65?80%の脱水汚泥を得る脱水工程と、前記脱水された汚泥を乾燥する工程と、乾燥後の脱水汚泥(乾燥汚泥)に、浄化処理で使用済みの炭素系剤を混合し、混合物を調製する混合工程と、を含むバイオマス燃料の製造方法。」である点で一致し、次の相違点1-1、1-2で相違する。
(相違点1-1)
脱水汚泥の含水率が、本件発明1では、「80%以下」であるのに対し、引用発明1の「汚泥脱水ケーキ」は、「水分65?95wt%程度」であって、含水率が80%以上のものを含む点。
(相違点1-2)
浄化処理で使用済みの炭素系剤について、本件発明1は、「粒状活性炭」であるのに対し、引用発明1は、「粉末」であって、「炭素系吸着剤」が「活性炭」とは規定されておらず、乾燥汚泥重量に対する含有量について、本件発明1は、「10?50質量%」であるのに対し、引用発明1の「下水処理場で他の目的(脱臭及び有機物等の吸着)に使用した使用済の粉末炭素系剤」の「乾燥後の汚泥脱水ケーキ」に対する含有量は不明な点。

ここで、相違点について検討する。
事案に鑑み、まず、相違点1-2について検討する。
(相違点1-2について)
引用発明1の「下水処理場で他の目的(脱臭及び有機物等の吸着)に使用した使用済の粉末炭素系吸着剤」は、下水汚泥等湿潤有機性廃棄物からの臭気発生がないようにするため(引用例1の【0001】、【0004】)に用いられるものであり、引用例1には、該粉末炭素系吸着剤として、「バグフィルタ式脱臭装置からの使用済粉末炭素系吸着剤」(引用例1の【請求項1】)、「廃棄物処理場内で使用する粉末炭素系吸着剤の使用済のもの」(引用例1の【0020】)を用いることが記載されていて、「下水処理場で他の目的(脱臭及び有機物等の吸着)に使用した使用済の粉末」のものに限られることを示す記載は見当たらないことから、引用発明1では、該粉末炭素系吸着剤は、下水汚泥からの臭気発生がないようにするものであれば、どのようなものであってもよいものと解される。
なお、引用例1には、該粉末炭素系吸着剤の汚泥脱水ケーキに対して、どのような量で含有させるかについての記載は見当たらない。

一方、引用例2には、下水汚泥ケーキの悪臭等の問題を解決するために、下水汚泥ケーキに混合する活性炭として、上水処理に使用した廃活性炭(2mm以下粒状品)を用いることが記載されている(引用例2の【0011】)。
また、引用例2には、該廃活性炭の下水汚泥ケーキに対する含有量について、「活性炭の添加量は、下水汚泥脱水ケーキ100質量部に対して5?100質量部とする。少なすぎると悪臭の発生抑制効果が不十分となり、回りの環境に非常な迷惑を掛ける事になる。一方、多すぎると、処理コストアップに繋がることは勿論、混合材同様、要処理物質量のアップに繋がり好ましくない。」(【0008】)と記載されており、引用例2においては、該廃活性炭の下水汚泥ケーキに対する含有量は、質量%に換算すると、5?100質量%の範囲内において、適宜選択されるものと解される。なお、引用例2には、下水汚泥脱水ケーキをさらに乾燥されたものに対する活性炭の含有量についての記載は見当たらない。

しかしながら、引用例2には、下水汚泥ケーキの悪臭等の問題を解決するために、下水汚泥ケーキに「活性炭及び無機質粉末混合材」(【0004】)を混ぜることは記載されているものの、活性炭のみを用いることで、下水汚泥ケーキの悪臭等の問題が解決されることは記載されていない。
すなわち、【0013】の【表1】の実施例1では、「下水汚泥」「100質量%」に対して、「スラグ」を「100質量%」及び「活性炭」を「30質量%」混ぜたものについて、「臭気」の強度が、1、2日目について「2.5」(何のにおいであるかがわかる弱い匂い「2」と楽に感知できる匂い「3」との間)、3日目について「2」(何のにおいであるかがわかる弱い匂い)であることが示されているものの、「下水汚泥」「100質量%」に対して、「活性炭」のみを「30質量%」混ぜた比較例2においては、「臭気」の強度が、1?3日目について「3.5」(楽に感知できる匂い「3」と強烈な匂い「4」との間)であることが示されているように、引用例2には、活性炭のみを混ぜることで、下水汚泥ケーキの悪臭等の問題が解決されることは記載も示唆もされていない。

そうすると、引用例2に、下水汚泥脱水ケーキ100質量部に対して、上水処理に使用した廃活性炭(2mm以下粒状品)を5?100質量部、混ぜることが開示されており、仮に、下水汚泥脱水ケーキを乾燥汚泥とした場合の該廃活性炭の含有量が、本件発明1の範囲の「10?50質量%」となるとしても、そもそも、引用例2には、活性炭のみを用いて下水汚泥ケーキの悪臭等の問題が解決されることが記載も示唆もされていないことから、引用例2に記載された下水汚泥脱水ケーキを乾燥汚泥とした場合の該廃活性炭の含有量を、引用発明1において、直ちに採用することはできない。
しかも、引用例2には、「下水汚泥脱水ケーキの処理方法」について記載されているものの、該処理方法は燃料を得るものではないし、引用例2に記載された、下水汚泥ケーキの悪臭等の問題が解決されることが確認された、下水汚泥脱水ケーキに廃活性炭と「スラグ」等を混ぜる処理方法では、該処理方法によって得られたものには、「スラグ」等が含まれ、燃料としての利用が困難となることは明らかであるから、該処理方法を、引用発明1の「燃料を製造する、湿潤有機性廃棄物の処理方法」に適用することには阻害要因があるといえる。
したがって、引用発明1の該粉末炭素系吸着剤に代えて、引用例2に記載された上水処理に使用した廃活性炭(2mm以下粒状品)を用いることには、阻害要因があるというべきである。

したがって、引用発明1の「粉末炭素系吸着剤」として、引用例2に記載された「上水処理に使用した廃活性炭(2mm以下粒状品)」を用いて、「乾燥後の汚泥脱水ケーキ」に対する含有量を「10?50質量%」とすることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえず、上記相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項を、引用発明1及び引用例2の記載に基いて当業者が容易に想到し得ることであるということはできない。

また、引用例3、4にも、上記相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項に関する記載は見当たらない。

よって、相違点1-1について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明1及び引用例2?4の記載に基いて、当業者が容易に発明することができたものである、とすることはできない。

イ 本件発明2について
本件発明2と引用発明1と対比する。
(ア)引用発明1の「下水汚泥」及び「汚泥脱水ケーキ」は、本件発明2の「有機性汚泥」及び「脱水汚泥」にそれぞれ相当する。
(イ)引用発明1の「燃料」は、「下水汚泥」から得られたものであるから、バイオマス燃料といえ、本件発明2の「バイオマス燃料」に相当する。
また、引用発明1の「燃料を製造する、湿潤有機性廃棄物の処理方法」は、引用発明1の「燃料」が、本件発明2の「バイオマス燃料」に相当するから、該処理方法は、バイオマス燃料の製造方法といえ、本件発明2の「バイオマス燃料の製造方法」に相当するといえる。
(ウ)本件発明2の「有機性汚泥を脱水して含水率80%以下の脱水汚泥を得る脱水工程」と、引用発明1の「下水汚泥を脱水して水分65?90wt%程度の汚泥脱水ケーキを得る脱水工程」とは、「水分65?90wt%程度」とは、「含水率65?90%程度」を意味するから、「有機性汚泥を脱水して含水率65?80%の脱水汚泥を得る脱水工程」である点で共通する。
(エ)本件発明2の「混合物を乾燥させて乾燥汚泥を得る乾燥工程」と、引用発明1の「脱水された汚泥脱水ケーキを乾燥する工程」とは、「乾燥工程」である点で共通する。
(オ)引用発明1の「下水処理場で他の目的(脱臭及び有機物等の吸着)に使用した使用済の粉末炭素系吸着剤」と、本件発明2の「浄化処理で使用済みの粒状活性炭」とは、「浄化処理で使用済みの炭素系剤」である点で共通する。
(カ)本件発明2の「前記脱水汚泥に、浄化処理で使用済みの粒状活性炭を混合し、混合物を調製する混合工程」と、引用発明1の「乾燥後の汚泥脱水ケーキに、下水処理場で他の目的(脱臭及び有機物等の吸着)に使用した使用済の粉末炭素系吸着剤を混合する工程」とは、「浄化処理で使用済みの炭素系剤を混合する工程」である点で共通する。

(キ)そうすると、上記(ア)?(カ)から、本件発明2と引用発明1とは、
「有機性汚泥を脱水して含水率65?80%の脱水汚泥を得る脱水工程と、浄化処理で使用済みの炭素系剤を混合する工程と、乾燥工程と、を含むバイオマス燃料の製造方法。」である点で一致し、次の相違点2-1?2-4で相違する。
(相違点2-1)
脱水汚泥の含水率が、本件発明2では、「80%以下」であるのに対し、引用発明1の「汚泥脱水ケーキ」は、「水分65?95wt%程度」であって、含水率が80%以上のものを含む点。
(相違点2-2)
浄化処理で使用済みの炭素系剤について、本件発明2は、「粒状活性炭」であるのに対し、引用発明1は、「粉末」であって、「炭素系吸着剤」が「活性炭」とは規定されておらず、また、乾燥汚泥重量に対する含有量について、本件発明2は、「10?50質量%」であるのに対し、引用発明1の「下水処理場で他の目的(脱臭及び有機物等の吸着)に使用した使用済の粉末炭素系吸着剤」の「乾燥後の汚泥脱水ケーキ」に対する含有量は不明な点。
(相違点2-3)
浄化処理で使用済みの炭素系剤を混合する工程について、本件発明2は、脱水汚泥について行われるのに対し、引用発明1は、乾燥後の汚泥脱水ケーキについて行われる点。
(相違点2-4)
乾燥工程について、本件発明2は、脱水汚泥と浄化処理で使用済みの粒状活性炭を混合し、混合物について行われるのに対し、引用発明1は、汚泥脱水ケーキについて行われる点。

ここで、相違点について検討する。
事案に鑑み、まず、相違点2-2について検討する。
該相違点2-2は、上記アで検討した本件発明1と引用発明1との相違点1-2と同じものであり、上記アで述べた理由と同様な理由から、上記相違点2-2に係る本件発明2の発明特定事項を引用発明1及び引用例2?4の記載に基いて、当業者が容易に想到し得ることであるとすることはできない。

したがって、相違点2-1、2-3、2-4について検討するまでもなく、本件発明2は、引用発明1及び引用例2?4の記載に基いて、当業者が容易に発明することができたものである、とすることはできない。

ウ 本件発明3について
本件発明3と引用発明3とを対比する。
(ア)引用発明3の「泥漿或は泥漿を濾過脱水した濾滓」及び「工程Aによって得られた混合物」は、本件発明3の「有機性汚泥」及び「混合物」にそれぞれ相当する。
(イ)引用発明3の「補助燃料(工程Eによって得られた仕上乾燥物)」は、バイオマスである「泥漿或は泥漿を濾過脱水した濾滓」から得られるものであるから、本件発明3の「バイオマス燃料」に相当するといえる。
(ウ)本件発明3の「浄化処理で使用済みの粒状活性炭」と、引用発明3の「廃活性炭」とは、「使用済みの活性炭」である点で共通する。
また、本件発明3の「浄化処理で使用済みの粒状活性炭を混合して混合物を調製する混合工程」と、引用発明3の「泥漿或は泥漿を濾過脱水した濾滓に廃活性炭を混合する工程A」とは、「使用済みの活性炭を混合して混合物を調製する混合工程」である点で共通する。
(エ)引用発明3の「工程Cによって得られたゲル化物を濾過脱水する工程D」とは、該「ゲル化物」が、本件発明3の「活性炭含有脱水汚泥」に相当するといえることから、本件発明3の「混合物を脱水し、活性炭含有脱水汚泥を得る脱水工程」に相当するといえる。
(オ)引用発明3の「工程Dによって得られた濾過脱水物を風力乾燥して仕上乾燥する工程E」は、該「濾過脱水物」が「活性炭含有脱水汚泥」といえることから、本件発明3の「活性炭含有脱水汚泥を乾燥して調製された活性炭含有乾燥汚泥を得る乾燥工程」に相当するといえる。

(カ)そうすると、(ア)?(オ)から、本件発明3と引用発明3とは、
「有機性汚泥に、使用済みの活性炭を混合して混合物を調製する混合工程と、前記混合物を脱水し、活性炭含有脱水汚泥を得る脱水工程と、前記活性炭含有脱水汚泥を乾燥して調製された活性炭含有乾燥汚泥を得る乾燥工程と、を含むバイオマス燃料の製造方法」である点で一致し、次の相違点3-1で相違する。

(相違点3-1)
使用済みの活性炭について、本件発明3は、「浄化処理」で使用済みの「粒状」のものであるのに対し、引用発明3は、そのような規定はされておらず、乾燥汚泥重量に対する含有量について、本件発明3は、「10?50質量%」であるのに対し、引用発明3の「廃活性炭」の「工程Eによって得られた仕上乾燥物」に対する含有量は不明な点。

ここで、相違点3-1について検討する。
引用例3には、「含炭素物質は上記の他に、微粉炭や砂糖工場薬品工場で使用した脱色済み廃活性炭等如何なる含炭素物質をも使用することが出来る。」(引用例3の3頁左上欄13?15行)と記載されており、廃活性炭は、どのようなものであってもよいものと解される。

しかしながら、引用発明3は、引用発明1と同様に、「補助燃料」を得るものであるから、上記アの「(相違点1-2について)」で述べたように、引用発明3において、引用例2に記載された「上水処理に使用した廃活性炭(2mm以下粒状品)」を用いて、「乾燥後の汚泥脱水ケーキ」に対する含有量を「10?50質量%」とすることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえず、上記相違点3-1に係る本件発明3の発明特定事項を引用発明3及び引用例2の記載に基いて、当業者が容易に想到し得ることであるとすることはできない。

したがって、本件発明2は、引用発明3及び引用例1、2、4の記載に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである、とすることはできない。

エ 本件発明4、9?11について
本件発明4、9?11は、本件発明1?3を直接的又は間接的に引用し、さらに限定するものであるから、引用発明1又は3及び引用例2、4の記載に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである、とすることはできない。

(イ)サポート要件(特許法第36条第6項第1号)について
請求項1?4、9?11においては、使用済み活性炭の混合率について特定されており、請求項1?4、9?11の記載が特許法第36条第6項第1号の規定を満たしていない、ということはできない。

(ウ)明確性要件(特許法第36条第6項第2号)、実施可能要件(特許法第36条第4項第1号)について
請求項1?4、9?11の記載は明確であり、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていない、ということはできない。
また、本件発明1?4、9?11について、当業者が実施できないとする根拠は、見出せない。

(エ)特許異議申立人の意見について
特許法第29条第2項の取消理由に関して、申立人は、平成29年12月11日付けの意見書(3頁末行?4頁7行)、及び平成30年4月3日付けの意見書(2頁17?24行)において、引用例2には、「使用済み活性炭を乾燥汚泥重量に対して10?50質量%含有させること」が記載されている旨主張している。

しかしながら、上述したように、引用例2には、廃活性炭のみによって下水汚泥ケーキの悪臭等の問題を解決するものは記載されておらず、本件発明1は、引用発明1又は3及び引用例2の記載に基いて、当業者が容易に発明することができたものである、とすることはできないことは、上述したとおりである。

イ 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由はない。

4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由によっては、本件発明1?4、9?11に係る特許を取り消すことはできない。
さらに、請求項5?8は、訂正により削除されたため、これらに対する特許異議申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
また、他に本件発明1?4、9?11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性汚泥を脱水して含水率80%以下の脱水汚泥を得る脱水工程と、前記脱水された汚泥を乾燥する工程と、乾燥後の脱水汚泥(乾燥汚泥)に、浄化処理で使用済みの粒状活性炭を混合し、混合物を調製する混合工程と、を含み、前記使用済み活性炭を乾燥汚泥重量に対して10?50質量%含有させることを特徴とするバイオマス燃料の製造方法。
【請求項2】
有機性汚泥を脱水して含水率80%以下の脱水汚泥を得る脱水工程と、前記脱水汚泥に、浄化処理で使用済みの粒状活性炭を混合し、混合物を調製する混合工程と、前記混合物を乾燥させて乾燥汚泥を得る乾燥工程と、を含み、前記使用済み活性炭を乾燥汚泥重量に対して10?50質量%含有させることを特徴とするバイオマス燃料の製造方法。
【請求項3】
有機性汚泥に、浄化処理で使用済みの粒状活性炭を混合して混合物を調製する混合工程と、前記混合物を脱水し、活性炭含有脱水汚泥を得る脱水工程と、前記活性炭含有脱水汚泥を乾燥して調製された活性炭含有乾燥汚泥を得る乾燥工程と、を含み、前記使用済み活性炭を乾燥汚泥重量に対して10?50質量%含有させることを特徴とするバイオマス燃料の製造方法。
【請求項4】
前記脱水工程が、遠心、プレス又はスクリーンを用いて行われることを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載のバイオマス燃料の製造方法。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
有機性汚泥の少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、及び計画発生量を含む情報を有し、汚泥を生産する施設aと、
浄化処理で使用済みの粒状活性炭の少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、及び計画発生量を含む情報を有し、使用済み活性炭を生産する施設bと、
バイオマス燃料の少なくとも日生産量、年間変動、及び計画生産量を含む情報を有し、前記施設aの汚泥と、前記施設bの使用済み活性炭とから、請求項1?4のいずれか1項に記載の方法によりバイオマス燃料を製造する施設cと、
前記バイオマス燃料の少なくとも日消費量、年間変動、及び計画消費量を含む情報を有し、バイオマス燃料を利用する施設dと、
前記施設a、b、c、dの夫々を相互に連絡可能にする輸送システムを管理する施設eと、
前記施設a、b、c、d、eの夫々の前記各情報を相互に共有可能とするように情報管理する施設fと、
を備えたことを特徴とするバイオマス燃料の情報管理方法。
【請求項10】
有機性汚泥を濃縮汚泥、脱水汚泥、乾燥汚泥の少なくとも1の形態でバイオマス燃料の原料として搬出する施設a、
浄化処理で使用済みの粒状活性炭をバイオマス燃料の原料として排出する施設b、
前記施設aの濃縮汚泥、脱水汚泥、乾燥汚泥の少なくとも1つの汚泥と、前記施設bの使用済み活性炭とから、請求項1?4のいずれか1項に記載の方法によりバイオマス燃料を製造する施設c、
バイオマス燃料を利用する施設d、
前記施設a、b、c、dの夫々を相互に前記バイオマス燃料の原料及び前記バイオマス燃料に関する情報を連絡可能とし輸送システムを管理する施設e、
を備えたことを特徴とするバイオマス燃料の情報管理システム。
【請求項11】
有機性汚泥の少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、及び計画発生量を含む情報を記憶する情報記憶手段と、少なくとも情報管理施設との間を相互に該情報を共有することが可能な通信手段と、を備え、前記汚泥を生産する施設aと、
浄化処理で使用済みの粒状活性炭の少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、及び計画発生量を含む情報を記憶する情報記憶手段と、少なくとも情報管理施設との間を相互に該情報を共有することが可能な通信手段と、を備え、前記使用済み活性炭を生産する施設bと、
バイオマス燃料の少なくとも日生産量、年間変動、及び計画生産量を含む情報を記憶する情報記憶手段と、少なくとも情報管理施設との間を相互に該情報を共有することが可能な通信手段と、を備え、前記施設aの汚泥と、前記bの使用済み活性炭とから、請求項1?4のいずれか1項に記載の方法によりバイオマス燃料を製造する施設cと、
前記バイオマス燃料の少なくとも日消費量、年間変動、及び計画消費量を含む情報を記憶する情報記憶手段と、少なくとも情報管理施設との間を相互に該情報を共有することが可能な通信手段と、を備え、バイオマス燃料を利用する施設dと、
前記施設a、b、c、dの夫々相互に連絡することが可能な該情報を共有することが可能な通信手段と、を備え、輸送システムを管理する施設eと、
前記施設a、b、c、d、eの夫々相互に共有することが可能な情報を記憶する情報記憶手段と、前記施設a、b、c、d、eの夫々相互に前記情報を共有することが可能な通信手段と、を少なくとも備えた、前記情報管理施設の施設fと、を備えたことを特徴とするバイオマス燃料の情報管理システム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-04-18 
出願番号 特願2011-93816(P2011-93816)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (C10L)
P 1 651・ 536- YAA (C10L)
P 1 651・ 537- YAA (C10L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 岩田 行剛森 健一中村 浩磯貝 香苗▲来▼田 優来  
特許庁審判長 國島 明弘
特許庁審判官 川端 修
日比野 隆治
登録日 2016-12-09 
登録番号 特許第6055168号(P6055168)
権利者 水ing株式会社
発明の名称 バイオマス燃料の製造方法、製造装置、及びバイオマス燃料、並びに情報管理方法及びシステム  
代理人 本多 弘徳  
代理人 本多 弘徳  
代理人 特許業務法人栄光特許事務所  
代理人 市川 利光  
代理人 市川 利光  
代理人 特許業務法人栄光特許事務所  
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