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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G02F
管理番号 1341088
異議申立番号 異議2018-700124  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-02-16 
確定日 2018-06-01 
異議申立件数
事件の表示 特許第6179548号発明「液晶表示装置,偏光板および偏光子保護フィルム」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第6179548号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6179548号の請求項1?7に係る特許についての出願は,平成24年11月27日(優先権主張平成23年11月29日)を出願日とする特願2013-547152号の一部を,平成27年4月16日に新たな出願としたものであって,平成29年7月28日にその特許権の設定登録がされ,同年8月16日に特許掲載公報が発行され,その後,その特許に対し,平成30年2月16日に特許異議申立人鈴木美香により特許異議の申立てがされたものである。

2 本件発明
特許第6179548号の請求項1?7の特許に係る発明(以下,それぞれ「本件発明1」?「本件発明7」という。)は,それぞれ,その特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるとおりのものであり,そのうち請求項1は以下のとおりである。
「【請求項1】
連続的な発光スペクトルを有する白色光源であるバックライト光源,及び
偏光子に3000?30000nmのリタデーションを有する配向ポリエステルフィルムが積層されており,前記配向ポリエステルフィルムのリタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)が0.2以上2.0以下であり,前記偏光子の吸収軸と前記配向ポリエステルフィルムの配向主軸は略平行である偏光板
を有する液晶表示装置。」
また,請求項2?7は,いずれも請求項1を引用するものである。

3 申立理由の概要
特許異議申立人鈴木美香は,主たる証拠として
特開2011-59488号公報(以下「甲第1号証」という。),
並びに従たる証拠として,
特開昭58-143305号公報(以下「甲第2号証」という。),
特開2009-300611号公報(以下「甲第3号証」という。),
特開2010-244059号公報(以下「甲第4号証」という。),
特開昭59-77401号公報(以下「甲第5号証」という。),
及び
特開2010-243630号公報(以下「甲第6号証」という。)
を提出し,請求項1?7に係る特許は同法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから,請求項1?7に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。

4 刊行物の記載
(1)甲第1号証について
ア 甲第1号証には以下の記載がある(下線は当審で付加。以下同様。)。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと,
前記偏光フィルムの片面に,第一の接着剤層を介して積層された延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと,を備え,
前記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは,面内の遅相軸方向の屈折率をn_(x),面内で遅相軸と直交する方向の屈折率をn_(y),厚み方向の屈折率をn_(z)としたときに,(n_(x)-n_(z))/(n_(x)-n_(y))で表されるNz係数が2.0未満であることを特徴とする偏光板。
【請求項2】
前記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは,面内の位相差値が200?1200nmもしくは2000?7000nmの値である請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
・・・(中略)・・・
【請求項4】
前記偏光フィルムにおける前記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されている面とは反対側の面に,第二の接着剤層を介して積層された保護フィルムまたは光学補償フィルムを備える請求項1?3のいずれかに記載の偏光板。
【請求項5】
前記保護フィルムまたは前記光学補償フィルムは,環状オレフィン系樹脂フィルム,セルロース系樹脂フィルム,ポリカーボネート系樹脂フィルム,鎖状オレフィン系樹脂フィルム,ポリエステル系樹脂フィルム,およびアクリル系樹脂フィルムから選ばれる透明樹脂フィルムから構成される請求項4に記載の偏光板。
【請求項6】
・・・(中略)・・・
【請求項7】
前記保護フィルムまたは前記光学補償フィルムにおける前記偏光フィルムが積層されている面とは反対側の面に積層された粘着剤層を備える請求項4?6のいずれかに記載の偏光板。
【請求項8】
・・・(中略)・・・
【請求項9】
請求項7または8に記載の偏光板が,その粘着剤層を介して液晶セルに貼合された液晶パネルを備える液晶表示装置。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで,本発明の目的は,ポリエチレンテレフタレートフィルムを保護フィルムとする偏光板であって,液晶表示装置に搭載した際の色ムラが少なく視認性に優れ,かつ薄型化を実現し,コストパフォーマンスや生産性にも優れる偏光板を提供することにある。また,本発明のもう一つの目的は,前記の偏光板を用いた視認性に優れる液晶表示装置を提供することにある。」

「【0056】
また,押し出すフィルムの積層数は,必要に応じ2層以上にしてもよい。たとえば,ブロッキング防止剤としての粒状フィラーを配合したペレットと無配合のペレットを用意し,異なる押出機から同一のダイへ供給して「フィラー配合/無配合/フィラー配合」の2種3層からなるフィルムを押し出すこと等が挙げられる。」

「【0069】
また,ここで配向主軸とは,延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上の任意の点における分子配向方向をいい,ここでは遅相軸のことを指す。配向主軸(遅相軸)の延伸方向に対する歪みとは,遅相軸と延伸方向との角度差をいう。
【0070】
・・・(中略)・・・
【0071】
延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにおいて,上記縦延伸または横延伸における延伸倍率は,フィルム面内の遅相軸方向の屈折率であるn_(x),面内で遅相軸と直交する方向の屈折率であるn_(y),厚み方向の屈折率であるn_(z)を制御する上で最も重要な因子であり,一般的に延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの作製において,一軸延伸は,(n_(x)-n_(z))/(n_(x)-n_(y))で表されるNz係数が比較的小さい,二軸延伸は比較的大きいフィルムを作製することに適している。
【0072】
本発明の偏光板においては,かかる延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとして,Nz係数が2.0未満であるものを用いる。このため,延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは,一軸延伸にて作製することが好ましい。このような光学性能の延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを採用することで,かかる偏光板を搭載した液晶表示装置における色ムラを効果的に低減することが可能となる。Nz係数は,2.0未満であれば小さいほど色ムラ低減の効果を発揮し,好ましくは1.5以下,より好ましくは1.0以下である。Nz係数が2.0以上の場合は,かかる偏光板を搭載した液晶表示装置において強い色ムラが発生し,視認性に劣るものとなる。Nz係数が2.0以上4未満である場合,色ムラ低減効果を得ることができない。なお,Nz係数が4以上である場合であっても色ムラ低減効果を得ることができ,この場合,Nz係数の値が高いほど,色ムラ低減に有利である。
【0073】
また,本発明の偏光板における延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは,膜厚をdとしたときに,(nx-ny)×dで定義される面内位相差値R_(0)が200?1200nmもしくは2000?7000nmのものが好適に採用できる。R_(0)がかかる範囲外,すなわちR_(0)が1200を超え,2000nm未満の範囲にある場合は,比較的目立つ色ムラが発生する傾向にある。したがって,より効果的に色ムラを低減する観点から,面内位相差値R_(0)は,1200nm以下もしくは2000nm以上であることが好ましい。また,R_(0)が200nm未満と小さい場合は,安定的にNz係数を2.0未満に制御することが困難であり,生産性やコストの面に問題を有する。一方で,R_(0)が7000nmを超える場合は,Nz係数は低減させやすいものの,機械的強度に劣るフィルムとなる傾向にある。」

「【0074】
本発明の偏光板においては,偏光フィルムの透過軸に対する延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸の軸ズレ角度は目的や生産上の制約等に応じて任意に選択することができる。たとえば,本発明の偏光板を,偏光性の強いバックライト光源を備える液晶表示装置のバックライト光源側(入射側)偏光板として適用する場合,延伸ポリエチレンテレフタレートの面内位相差に由来する正面方向からの干渉色の発現を防ぐため,偏光フィルムと延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの軸ズレ角度は小さい方が好ましい。好ましくは,偏光フィルムの透過軸に対する延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸のズレ角度は,0度以上15度以下の範囲とすることが好ましい。かかる場合においても,Nz係数を2.0未満とすることが,色ムラの低減に効果的である。
【0075】
偏光性の強いバックライト光源として,たとえば,バックライトユニット内に反射型偏光分離フィルムを備えるもの等が挙げられる。反射型偏光分離フィルムとは,バックライトの光を選択的に反射させ,再利用することで可視範囲の輝度を向上させる機能を有するフィルムである。反射型偏光分離フィルムに相当する市販品としては,米国の3M Company〔日本では住友スリーエム(株)〕から販売されている「DBEF」(商品名)などがある。
【0076】
一方で,上記以外の場合には,偏光フィルムの透過軸に対する延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸のズレ角度が大きいものも好ましく用いることができる。中でも,20度以上50度以下のズレ角度であるものがより好ましい。偏光フィルムと延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの軸ズレ角度を上記の範囲とすることで,より効果的に液晶表示装置の色ムラを低減することができる。」

「【0147】
(保護フィルム,光学補償フィルム)
本発明の偏光板は,偏光フィルムの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されている面と反対側の面に,第二の接着剤層を介して積層された保護フィルムまたは光学補償フィルムを備えていてもよい。
【0148】
保護フィルムまたは光学補償フィルムは,光学フィルムとしての光学特性を有するものを目的に合わせて適宜使用することができ,特に限定されるものではないが,保護フィルムとしては,たとえば,トリアセチルセルロース(TAC)等からなるセルロース系樹脂フィルム,オレフィン系樹脂フィルム,アクリル系樹脂フィルム,ポリカーボネート系樹脂フィルム,およびポリエステル系樹脂フィルム等の透明樹脂フィルムから構成されるものを用いることができる。」

「【0217】
<液晶表示装置>
以上のようにしてなる偏光板,すなわち,延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/第一の接着剤層/偏光フィルム/第二の接着剤層/[保護フィルムまたは光学補償フィルム]/粘着剤層/剥離フィルムとの層構造を有する偏光板は,粘着剤層から剥離フィルムを剥離して,液晶セルの片面または両面に貼合し,液晶パネルとすることができる。この液晶パネルは,液晶表示装置に適用することができる。
【0218】
本発明の偏光板は,たとえば,液晶表示装置において,光出射側(視認側)に配置される偏光板として用いることができる。光出射側とは,液晶セルを基準に,液晶表示装置のバックライト側とは反対側を指す。光出射側の偏光板として本発明の偏光板が採用される場合,当該偏光板は,延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにおける偏光フィルムが積層されている面とは反対側の面に,防眩層,ハードコート層,反射防止層,および帯電防止層から選ばれる少なくとも1つの機能層を備えることが好ましい。また,液晶表示装置の光入射側(バックライト側)に配置される偏光板は,本発明の偏光板であってもよいし,従来公知の偏光板であってもよい。
【0219】
本発明の偏光板は,また,液晶表示装置において,光入射側に配置される偏光板として用いることもできる。この場合,液晶表示装置の光出射側に配置される偏光板は,本発明の偏光板であってもよいし,従来公知の偏光板であってもよい。
【0220】
・・・(中略)・・・
【0222】
液晶表示装置を構成するバックライトも,一般の液晶表示装置に広く使用されているものでよい。たとえば,拡散板とその背後に配置された光源で構成され,光源からの光を拡散板で均一に拡散させたうえで前面側に出射するように構成されている直下型のバックライトや,導光板とその側方に配置された光源で構成され,光源からの光を一旦導光板の中に取り込んだうえで,その光を前面側に均一に出射するように構成されているサイドライト型のバックライトなどを挙げることができる。バックライトにおける光源としては,蛍光管を使って白色光を発光する冷陰極蛍光ランプや,発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)などを採用することができる。」

「【0235】



イ 以上を総合すると,甲第1号証には以下の発明が記載されているものと認められる(以下「甲1発明」という。)。
「延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/第一の接着剤層/ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルム/第二の接着剤層/[保護フィルムまたは光学補償フィルム]/粘着剤層/との層構造を有する偏光板の粘着剤層を,液晶セルの光出射側及び/または光入射側に貼合した液晶パネルを備える液晶表示装置であって,
前記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは,面内の遅相軸方向の屈折率をn_(x),面内で遅相軸と直交する方向の屈折率をn_(y),厚み方向の屈折率をn_(z)としたときに,(n_(x)-n_(z))/(n_(x)-n_(y))で表されるNz係数が2.0未満であり,面内の位相差値が200?1200nmもしくは2000?7000nmの値であり,
偏光フィルムの透過軸に対する延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸の軸ズレ角度は目的や生産上の制約等に応じて任意に選択することができ,本発明の偏光板を,偏光性の強いバックライト光源を備える液晶表示装置のバックライト光源側(入射側)偏光板として適用する場合以外の場合には,偏光フィルムの透過軸に対する延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸のズレ角度が大きいものも好ましく用いることができ,中でも,20度以上50度以下のズレ角度であるものがより好ましく,
液晶表示装置を構成するバックライトは,一般の液晶表示装置に広く使用されているものでよく,バックライトにおける光源は,発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)である,
液晶表示装置。」

(2)甲第2号証について
ア 甲第2号証には以下の記載がある。
「特許請求の範囲
1.それぞれの対向面に透明導電膜を有し,少なくとも一方が偏光子及び該偏光子に接する一軸延伸プラスチックフィルムからなる一対の基板を具備する表示パネルに於いて,上記一軸延伸プラスチックフィルムの光学的主軸方向のうち屈折率の最も大きい光学的主軸方向と,上記偏光子の偏光軸方向とのなす角度を略±3度以内にすることを特徴とする表示パネル。」

「第1図,第2図は延伸プラスチックフィルムの一つである延伸ポリエステルフィルムを用いたTN型液晶表示パネルの構成の概略を示す図である。
3a,3bは第2図に示す様に偏光子(一般に厚み10?50μm)1を2枚の延伸ポリエステルフィルム2a,2bでサンドイッチ構造とした複合フィルム3である。4は延伸ポリエステルフィルム2bの表面に形成した透明導電膜(ネサ膜)である。5は液晶分子,6は液晶層,7は入射光,8は透過光,9は配向膜,10はスペーサ,11はシール剤である。偏光子1と延伸ポリエステルフィルム2a,2bの接着にはポリエステル系の接着剤が好ましい。また,φは光の入射角,tは延伸ポリエステルフィルム2a,2bの厚さである。
延伸ポリエステルフィルム等の延伸プラスチックフィルムは名前が示す通り,延伸操作によって製造されたプラスチックフィルムであり,延伸によって透明性,機械的特性が無延伸プラスチックフィルムに比べて著しく優れている。しかし,延伸によって分子の配向が生じ,光学的異方体となる。第3図はこれを説明する図である。第3図(a)はA-A′,B-B′の2方向に延伸する二軸延伸プラスチックフィルム,第3図(b)はA-A′方向のみに延伸する一軸延伸プラスチックフィルムを示す。いずれにしても光学的主軸がa,b,cの3種類存在し,それぞれの方向に屈折率ηa,ηb,ηc を持つ。
表2は一般的な延伸ポリエステルフィルムの屈折率を測定した結果を示すものである。

ηaとηbの差Δηabは一軸延伸ポリエステルフィルムの方が大きい。このような光学的異方体である延伸ポリエステルフィルムを用いて第2図に示すような複合フィルム3をつくる場合,第4図に示すように偏光子1の偏光軸方向Dと延伸ポリエステルフィルムの光学的主軸方向のうち屈折率が一番大きい光学的主軸方向aのなす角度θ_(1),θ_(2)が重要となる。なぜならば光学的異方体と偏光子1を組合せる場合,組合わせ方を考慮しないと複屈折現象に伴う干渉色が発生し,コントラスト比が低下し,表示品質を著しく低下させる。
本発明の目的は上記欠点を除去し,コントラスト比が大きく表示品質の優れた表示パネルを提供することにある。
上記目的を達成する本発明表示パネルの特徴とするところは,一軸延伸プラスチックフィルムの光学的主軸方向のうち屈折率の最も大きい光学的主軸方向と,偏光子の偏光軸方向とのなす角度を略±3度以内にすることにある。
本発明は,本発明者等が実験的に見つけ出した以下の事実に基づくものである。
第5図は,第1図及び第2図に示す液晶表示パネルに於いて,光が延伸ポリエステルフィルム2a,2bの主表面に直角に入射した場合(φ=0度)の,光透過率の波長依存性を示す図であり,第5図(a)は厚さ100μmの一軸延伸ポリエステルフィルムを用いる場合を示し,第5図(b)は厚さ100μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを用いる場合を示す。
θ_(1),θ_(2)の値が0度のときは光透過率の波長特性はフラットな特性となるが,θ_(1),θ_(2)の値が大きくなるにつれて複屈折現象によって光透過率は減少する。
第6図は第5図の波長特性の積分値,すなわち白色光に対する光透過率のθ_(1),θ_(2)依存性を示したものである。(a)は一軸延伸ポリエステルフィルム,(b)は二軸延伸ポリエステルフィルムの場合を示す。
この図からわかるように一軸延伸ポリエステルフィルムの場合,θ_(1),θ_(2)の値が±3度以上になると光透過率は大きく減少し,二軸延伸ポリエステルフィルムの場合には±5度以上になると光透過率は減少する。従って,一軸延伸ポリエステルフィルムを用いる場合には一軸延伸ポリエステルフィルム2a,2bと偏光子1の偏光軸とのなす角を±3度以内,二軸延伸ポリエステルフィルムを用いる場合には±5度以内にすれば光透過率は95%以上と大きく,ガラス板と同等の値となる。」(2ページ左下欄4行?3ページ左下欄9行)

イ ここで,第2図,第3図(a)(b),第5図(a)(b)及び第6図は以下のものである。


(3)甲第3号証について
ア 甲第3号証には以下の記載がある。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子と,該偏光子の一方主面に積層された第1の保護フィルムを有し,該第1の保護フィルムの平均屈折率が1.58以上である偏光板。
【請求項2】
・・・(中略)・・・
【請求項6】
前記第1の保護フィルムがポリエステルフィルムである,請求項1?5のいずれか記載の偏光板。
【請求項7】
・・・(中略)・・・
【請求項8】
液晶セルの少なくとも一方主面に,請求項1?7のいずれか記載の偏光板を備え,該光板の第1の保護フィルムが積層されたのと反対側の主面が液晶セルと対向するように積層された液晶パネル。」

「【0024】
(複屈折特性)
本発明の偏光板を後述する液晶パネルに用いるに際しては,集光偏光板として作用させる観点において,偏光板の第1の保護フィルムが積層されたのと反対側の主面が液晶セルと対向するように配置される。すなわち,第1の保護フィルム31は,偏光子30の液晶セルと対向しない側の面に配置されることとなる。そのため,第1の保護フィルム11が複屈折を有していても,その複屈折は液晶パネルの表示特性に直接的には影響を与えないことから,光学的等方性,あるいは複屈折の均一性は必ずしも必要ではない。このような観点からは,例えば,市販の二軸延伸ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)フィルムフィルム等のように,必ずしも複屈折の均一性が高いとはいえないフィルムであっても,使用することができる。
【0025】
一方で,複屈折と厚みの積で表されるレターデーション値が大きいフィルムを第1の保護フィルムとして用いた場合,液晶表示装置が干渉による虹模様の着色を生じる場合がある。このような着色を抑制する観点からは,第1の保護フィルムの遅相軸方向(フィルム面内の屈折率が最大となる方向)と,偏光子の吸収軸方向が略平行または略直交となるように配置することが好ましい。なお,略平行,略直交とは,両者のなす角度が丁度0°,あるいは90°である場合のみならず,±10°,好ましくは±5°の範囲であることを意味する。」

(4)甲第4号証について
ア 甲第4号証には以下の記載がある。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子の一方主面に第1の保護フィルムを備える偏光板であって,
前記第1の保護フィルムが,下記(i)?(iii)の条件を満たすことを特徴とする偏光板。
(i) 0nm≦Re_(1)≦3000nm
(ii) Nz_(1)≧5
(iii)Rth_(1)>2500nm
ただし,Re_(1),Rth_(1),Nz_(1)は,第1の保護フィルムの厚みをd_(1),フィルム面内の遅相軸方向の屈折率をnx_(1),面内の進相軸方向の屈折率をny_(1),厚み方向の屈折率をnz_(1)とした場合に,それぞれ下記式で定義される値である。
Re_(1)=(nx_(1)-ny_(1))×d_(1)
Rth_(1)=(nx_(1)-nz_(1))×d_(1)
Nz_(1)=Rth_(1)/Re_(1)」

「【0008】
本発明は,ポリエステルフィルムのように機械特性や耐薬品性,水分遮断性に優れたフィルムを偏光子保護フィルムとして用いた場合においても,虹ムラの発生が抑制された液晶表示装置を提供することを目的とする。」

「【0056】
(配置角度)
第1の保護フィルムと偏光子の角度関係は特に制限されないが,虹ムラの発生を抑制する観点からは,第1の保護フィルム12の遅相軸方向と偏光子11の吸収軸方向は略平行または略直交であることが好ましい。両者を平行または直交に配置することによって,第1の保護フィルムが300nm以上の正面レターデーションRe_(1)を有している場合であっても,虹ムラの発生を抑制することができる。なお,略平行,略直交とは,両者のなす角度が丁度0°,あるいは90°である場合のみならず,±15°,好ましくは±10°の範囲であることを意味する。また,第1の保護フィルムが,正面レターデーションRe_(1)が例えば100nm以下,好ましくは50nm以下と小さい「略Cプレート」である場合は,上記配置角度は虹ムラの発生にほとんど影響を与えない。」

(5)甲第5号証について
ア 甲第5号証には以下の記載がある。
「特許請求の範囲
(1)膜面に平行な方向の最小または最大屈折率と膜厚方向の屈折率とがほぼ等しく,かつ,レターディションが10μm以上であるポリエステルフィルムが偏光フィルムの少なくとも片方の面に,接着剤の層を介して貼り合わされていいる偏光板。」

「本発明は偏光板,詳しく言えば,反射光または透過光により着色干渉縞を発生しない透明保護層で保護された偏光板に関する。
偏光フィルムを外気に隠された環境条件で使用する場合や,液晶を用いた表示器に使用する場合などには,外傷や湿気あるいは化学薬品にょる腐触から偏光フィルムを保護するために,表面に保護層を設ける必要がある。保護層を形成する+A料にはガラスやプラスチックフィルムが用いられるが,ガラスは強度の点からあまり薄くできず,また重量も重くなることが欠点である。プラスチックフィルムとしてはセルロース系あるいはポリアクリル系樹脂が実用化されているが,これらも,形状,寸法の安定性や耐湿,耐熱性に優れず,特に屋外用には適さない。これに対して,ポリエステルの一種であるポリエチレンテレフクート(以下の説明でPETと略す)を伸延加工したフィルムの使用が試められている。このフィルムは,伸延加工されていることにより,化学薬品に対する耐腐触性が大きく,また耐熱,耐湿性なども優れているが,伸延加工によりフィルムに光学的異方性が生じ,光に複屈折をおこさせる。従って,このフィルムで保護された偏光板を透して物体を見る場合,方向により保護膜上に光の干渉による色むらが生じることがあり,例えば液晶を用いた表示器に使用する偏光板の保護膜などには適さない。
本発明の目的は,PETその他のポリエステル系フィルムの上記のような欠点を排除し,色むらの生じないポリエステルフィルムで保護された偏光板を提供することにある。
かかる本発明の目的は,膜面に平行な方向の最小または最大屈折率と膜厚方向の屈折率とがほぼ等しく,かつ,レターディションが10μm以上であるポリエステルフィルムが偏光フィルムの少なくとも片方の面に接着在の層を介して貼り合わせることにより達成さる。」(1ページ左欄下から3行?2ページ左上欄13行)

「なお,本発明にあたって試作したPETフィルムのサンプルについて検証した,式(8)の最左辺の角θの値を下表に示す。

」(3ページ右上欄13行?同ページ同欄末)

「次に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第4図は,本実施例の断面図,第5図は本実施例の部分切欠斜視図である。両図において,偏光フィルム2ば,沃素を吸着させたポリビニルアルコール系フィルムを約4倍の長さに伸延することによって沃素分子に配向を与えて偏光性を持たせた偏光フィルムで,両面にポリイソシアネート化合物による表面処理が施されている。保護膜1および3は,厚さ100μm,表面に平行な面内での主屈折率の差が0.14,厚さ方向の主屈折津が1.51となるよう伸延加工されたポリエチレンテレフタレートのフィルムで,伸延方向を偏光フィルムの偏光軸と直交するようポリエステル系の接着剤を用いて偏光フィルム2の両面にそれぞれ接着されている。図には接着剤の層は示されていない。図において実線の矢印は偏光フィルム2の偏光軸の方向を,点線の矢印は保護膜1および3の伸延の方向を示す。
次に本発明の他の実施例として,上記と全く同じ偏光フィルム,保護膜および接着剤を使用し,偏光フィルムの偏光軸と,保護膜の伸延方向とを一致させて偏光フィルムの両面に保護膜を接着させた偏光板の部分切欠斜視図を第6図に示す。第6図において,第5図に示した実施例に対応する構成要素には第5図の場合と同じ番号を付した。また,第6図においても実線の矢印は偏光フィルム2の偏光軸の方向を,点線の矢印は保護膜1および3の伸延の方向を示す。
以上に示した両実施例とも,理論的考察から期待される通り,これら偏光板を白色光の照射のもとに如何なる方向から観察しても着色干渉縞は観測されず,また,液晶表示器に用いる場合のように,これら両実施例による偏光板を互いに平行,かつ,各々の偏光軸が互いに直交するように保持して観察を行っても,着色干渉縞は全く観測されなかった。」(4ページ左上欄13行?同ページ左下欄8行)

(6)甲第6号証について
ア 甲第6号証には以下の記載がある。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3層からなる積層ポリエステルフィルムであって,内層に紫外線吸収剤を含有し,波長380nmにおける光線透過率が10.0%以下,波長550nmにおける光線透過率が80.0%以上であり,配向角が70?90度の範囲であることを特徴とする偏光板保護用ポリエステルフィルム。」


5 対比・判断
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「バックライトにおける光源は,発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)である」ことと,本件発明1の「連続的な発光スペクトルを有する白色光源であるバックライト光源」とは,「光源」である点で一致する。

イ 甲1発明の「偏光板」は,本件発明1の「偏光板」に相当する。

ウ 甲1発明の「偏光板」が,「延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/第一の接着剤層/ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルム」との構造を備え,「前記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは,面内の位相差値が200?1200nmもしくは2000?7000nmの値であ」ることと,本件発明1の「偏光板」の「偏光子に3000?30000nmのリタデーションを有する配向ポリエステルフィルムが積層されて」いることとは,「偏光板」の「偏光子に3000?7000nmのリタデーションを有する配向ポリエステルフィルムが積層されて」いる点で重複する。

エ 甲1発明の「偏光板」の「延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは,面内の遅相軸方向の屈折率をn_(x),面内で遅相軸と直交する方向の屈折率をn_(y),厚み方向の屈折率をn_(z)としたときに,(n_(x)-n_(z))/(n_(x)-n_(y))で表されるNz係数が2.0未満であ」ることは,延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚さをdとしたとき,「面内の位相差値」,すなわち(面内)リタデーションRe=(n_(x)-n_(y))×d,厚さ方向リタデーションRth=(n_(x)-n_(z))×dであることから,Nz係数が甲1号証の各実施例にあるように,1.0,1.4,及び1.8のいずれであっても,Re/Rthは,0.2以上2.0以下の範囲内の値となるから,前記甲1発明に係る構成は,本件発明1の「前記配向ポリエステルフィルムのリタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)が0.2以上2.0以下であ」ることに相当する。

オ 甲1発明における「延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸」は,本件発明1の「配向ポリエステルフィルムの配向主軸」に相当する。

カ 甲1発明の「液晶表示装置」は,本件発明1の「液晶表示装置」に相当する。

キ 以上から,甲1発明と本件発明1とは,以下の点で一致する。
「バックライト光源,及び
偏光子に3000?30000nmのリタデーションを有する配向ポリエステルフィルムが積層されており,前記配向ポリエステルフィルムのリタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)が0.2以上2.0以下である偏光板
を有する液晶表示装置。」

ク 一方,両者は以下の各点で相違する。
《相違点1》
本件発明1は,「連続的な発光スペクトルを有する白色光源であるバックライト光源」を備えるのに対して,甲1発明においては,「バックライトは,一般の液晶表示装置に広く使用されているものでよく,バックライトにおける光源は,発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)である」ものの,「連続的な発光スペクトルを有する白色光源である」とまでは特定されていない点。

《相違点2》
本件発明1は,「前記偏光子の吸収軸と前記配向ポリエステルフィルムの配向主軸は略平行である」のに対し,甲1発明においては,「偏光フィルムの透過軸に対する延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸の軸ズレ角度」について,「目的や生産上の制約等に応じて任意に選択することができ,本発明の偏光板を,偏光性の強いバックライト光源を備える液晶表示装置のバックライト光源側(入射側)偏光板として適用する場合以外の場合には,偏光フィルムの透過軸に対する延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸のズレ角度が大きいものも好ましく用いることができ,中でも,20度以上50度以下のズレ角度であるものがより好まし」いとされてはいるものの,本件発明1に係る,「前記偏光子の吸収軸と前記配向ポリエステルフィルムの配向主軸は略平行である」状態とすることまでは特定されていない点。

(2)判断
ア 上記相違点について,まず相違点2から検討する。
(ア)甲1発明に係る,「偏光フィルムの透過軸に対する延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸のズレ角度」は,本件発明1に係る「前記偏光子の吸収軸と前記配向ポリエステルフィルムの配向主軸」のなす角度とは90°の差があるから,本件発明1に係る「前記偏光子の吸収軸と前記配向ポリエステルフィルムの配向主軸」が略平行であることは,本件発明1に係る「偏光フィルムの透過軸に対する延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸のズレ角度」が略直角であることに対応する。

(イ)そこで,甲1発明を見ると,「偏光フィルムの透過軸に対する延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸の軸ズレ角度は目的や生産上の制約等に応じて任意に選択することができ」るとはされているものの,甲第1号証の段落【0074】?【0076】に記載されているように,「偏光性の強いバックライト光源を備える液晶表示装置のバックライト光源側(入射側)偏光板として適用する場合」は,「偏光フィルムと延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの軸ズレ角度は小さい方が好ましい。好ましくは,偏光フィルムの透過軸に対する延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸のズレ角度は,0度以上15度以下の範囲とすることが好ましい」とされており,上記以外の場合にあっても,上記「ズレ角度が大きいものも好ましく用いることができる」とはされているが,「20度以上50度以下のズレ角度であるものがより好ましい」とされている。
すなわち,甲1発明に係る,「偏光フィルムの透過軸に対する延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸のズレ角度」は,「偏光性の強いバックライト光源を備える液晶表示装置のバックライト光源側(入射側)偏光板として適用する場合」にあっては,「0度以上15度以下の範囲とすることが好ましい」とされ,それ以外の場合にあっては,「20度以上50度以下のズレ角度であるものがより好ましい」とされていることから,当該「ズレ角度」を略直角にすることは好ましいこととはされていない。

(ウ)ここで,甲第2号証には,「光学的異方体と偏光子1を組合せる場合,組合わせ方を考慮しないと複屈折現象に伴う干渉色が発生し,コントラスト比が低下し,表示品質を著しく低下させる」という課題に対して,「一軸延伸プラスチックフィルムの光学的主軸方向のうち屈折率の最も大きい光学的主軸方向と,偏光子の偏光軸方向とのなす角度を略±3度以内にする」旨の記載がある。
甲第3号証には,「偏光子の一方主面に積層された第1の保護フィルム」について,「着色を抑制する観点からは,第1の保護フィルムの遅相軸方向(フィルム面内の屈折率が最大となる方向)と,偏光子の吸収軸方向が略平行または略直交となるように配置することが好ましい」旨の記載がある。
甲第4号証には,「偏光子の一方主面に第1の保護フィルムを備える偏光板」について,「虹ムラの発生を抑制する観点からは,第1の保護フィルム12の遅相軸方向と偏光子11の吸収軸方向は略平行または略直交であることが好ましい」旨の記載がある。
甲第5号証には,「膜面に平行な方向の最小または最大屈折率と膜厚方向の屈折率とがほぼ等しく,かつ,レターディションが10μm以上であるポリエステルフィルムが偏光フィルムの少なくとも片方の面に接着在の層を介して貼り合わせることにより」,偏光板を透して物体を見る場合「方向により保護膜上に光の干渉による色むらが生じることが」なくなる旨の記載がある。
甲第6号証には,少なくとも3層からなる積層ポリエステルフィルムの紫外線透過特性が記載されているものの,色ムラの防止についての記載はない。

(エ)しかしながら,甲1発明においては,「ズレ角度は目的や生産上の制約等に応じて任意に選択することができ」るとの記載はあるものの,「20度以上50度以下のズレ角度であるものがより好ましい」ものとされており,また,上記好ましい角度範囲をあえて外す積極的な動機は見いだせない。
一方,前記(ウ)のとおり,甲第2号証?甲第5号証には,偏光子(偏光フィルム)の吸収軸と保護フィルム(ポリエステルフィルム)の配向軸を略平行にすることにより,色ムラが生じなくなる旨が記載されてはいるが,これらはいずれも,前記「略平行」(すなわち,甲1発明における「ズレ角度」であれば略直角。)とする配置を採用することから見て,甲1発明の「20度以上50度以下のズレ角度であるものがより好ましい」とする技術思想とは異なるものといわざるを得ない。
そして,仮に,甲1発明に対して,上記甲第2号証?甲第5号証に記載された構成を適用したとしても,少なくとも,甲1発明において「20度以上50度以下のズレ角度」としたものと同等の作用効果が奏されるとはいえない。
したがって,甲1発明において,「ズレ角度」を略直角として,相違点2に係る「前記偏光子の吸収軸と前記配向ポリエステルフィルムの配向主軸は略平行である」構成とすることは,当業者が容易になし得たこととはいえない。

イ よって,相違点1について検討するまでもなく,本件発明1は,甲1発明及び甲第2号証?甲第5号証に記載された技術的事項から当業者が容易になし得るものではない。

(3)本件発明2?7について
本件発明2?7は,いずれも本件発明1を更に減縮したものであるから,上記本件発明1についての判断と同様の理由により,甲1発明及び甲第2号証?甲第6号証に記載された技術的事項から当業者が容易になし得るものではない。

(4)以上のとおり,本件発明1?7は,甲1発明及び甲第2号証?甲第6号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

6 むすび
したがって,特許異議の申立ての理由及び証拠によっては,請求項1?7に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に請求項1?7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-05-22 
出願番号 特願2015-83837(P2015-83837)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G02F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 廣田 かおり  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 星野 浩一
近藤 幸浩
登録日 2017-07-28 
登録番号 特許第6179548号(P6179548)
権利者 東洋紡株式会社
発明の名称 液晶表示装置、偏光板および偏光子保護フィルム  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  

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