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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  B65B
管理番号 1341124
異議申立番号 異議2018-700294  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-04-09 
確定日 2018-06-21 
異議申立件数
事件の表示 特許第6212297号発明「加熱封止装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6212297号の請求項1、2、4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6212297号の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成25年6月19日に特許出願され、平成29年9月22日にその特許権の設定登録がされ、その後、その請求項1、2、4に係る特許に対し、平成30年4月9日に特許異議申立人杉本惠子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件発明
特許第6212297号の請求項1、2、4の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1、2、4に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。(以下請求項1等の特許に係る発明を、「本件発明1」等という。)
「【請求項1】
基台に設けた下側狭圧ブロックと、
前記下側狭圧ブロックの上側に設けられ、前記下側狭圧ブロックとともに内部に被包装物を収容した熱溶着可能な包装袋の先端開口部周縁を狭圧して保持する上側狭圧ブロックと、
前記下側及び上側狭圧ブロックの少なくとも一方に設けられて、前記下側及び上側狭圧ブロックにより狭圧して保持された前記包装袋の先端開口部周縁を加熱して熱溶着させるヒータと、
前記基台の前記下側狭圧ブロックの近縁に着脱可能に設けられ、前記下側狭圧ブロックから離間する方向に下方に傾斜して、前記包装袋の先端開口部周縁から基端底部側の一部を前記基台の上面まで所定角度となるように案内するガイド台とを備えた加熱封止装置であって、
前記ガイド台は前記包装袋の先端開口部周縁から基端底部側の一部を前記基台の上面に案内する案内面の傾斜角度を変更可能としたことを特徴とする加熱封止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱封止装置において、
前記ガイド台は、前記基台の前記下側狭圧ブロックの近縁にて上方に立ち上がる起立部を有した第1ガイド板と、前記第1ガイド板の起立部に着脱可能に取り付けて前記包装袋の先端開口部周縁から基端底部側の一部を案内する案内面を有した第2ガイド板とを備え、
前記第2ガイド板には前記第1ガイド板の起立部に着脱可能に取り付けるための係合部と、
前記第1ガイド板の起立部には上下方向の異なる位置にて前記係合部に係合可能な複数の被係合部とを設けたことを特徴する加熱封止装置。
【請求項4】
請求項1?3の何れか1項に記載の加熱封止装置において、
前記ガイド台の案内面の傾斜角度を25°?70の範囲にて変更可能とし、さらに好ましくは傾斜角度を30°?60°の範囲にて変更可能としたことを特徴とする加熱封止装置。」

第3 申立理由の概要
申立人は、以下の刊行物を証拠として提出し、請求項1、2、4に係る特許は、次の理由により、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1、2、4に係る特許を取り消すべきものである旨、主張している。(以下「甲第1号証」等を、「甲1」等といい、甲1等に記載された発明あるいは事項を、それぞれ、「甲1発明」、「甲1事項」等という。)

【理由】
1.本件発明1について
甲1発明及び甲2事項から容易である、甲1発明及び甲3事項から容易である、甲2発明及び甲3事項から容易である、並びに、甲1発明、甲2事項及び甲3事項から容易である。

2.本件発明2について
甲3発明から容易である。

3.本件発明4について
甲1発明、甲2事項及び甲3事項から容易である。

<刊 行 物 一 覧>
甲1:実願平1-92226号(実開平3-32008号)のマイクロフィルム
甲2:特開2010-13166号公報
甲3:特開2001-10608号公報

第4 判断
1.本件発明1について
(1)申立人が示した、甲1?3のいずれの証拠にも、以下(2)?(4)に示すように、「ガイド台」を、「前記基台の前記下側狭圧ブロックの近縁に着脱可能に設けられ、前記下側狭圧ブロックから離間する方向に下方に傾斜して、前記包装袋の先端開口部周縁から基端底部側の一部を前記基台の上面まで所定角度となるように案内する」ものであって、かつ、「前記包装袋の先端開口部周縁から基端底部側の一部を前記基台の上面に案内する案内面の傾斜角度を変更可能」とすることが記載されていないし、示唆する記載もない。

(2)甲1には、チャンバー(11)内において、定盤上に袋(A)に収容した物品(B)を載置するためのベット(12)を配置し、当該ベット(12)の下面は、多数のねじ棒(16)(16)・・・の上端が回転自在に係合し、ねじ棒(16)の回転でベッド(12)の高さを自由に調整できるようにしたものが記載されている。(6ページ下から5行?7ページ10行)
しかし、甲1に記載されたものは、「・・・物品の容積に応じて定盤を上下に移動させ、物品に対して押叩板を水平に叩きつけることができる」ものである(6ページ5?7行)。そうすると、甲1には、ベット(12)を傾斜させることの記載はないし、示唆する記載もない。むしろ、ベット(12)を傾斜させると、物品に対して押叩板を水平に叩きつけることができなくなるから、そうすることの阻害事由が存在するといえる。

(3)甲2には、容器本体2aの底面から下ヒーターブロック20aに向けて上昇する斜面を有する枕部材36と、スペーサー38が記載されていて、「・・・なお、枕部材36を設ける代わりに、スペーサー38を設けて、このスペーサー38の上に包装袋3を載せるようにしてもよい。」(段落【0022】)との記載はあるものの、スペーサー38が傾斜面を備えたものであるとの記載は、甲2にはなく、示唆する記載もない。

(4)甲3には、従来の真空包装機において、垂直部21と、該垂直部21の上端からシールバー15と逆側に傾斜面を形成する傾斜部23と、垂直部21の下端から一対のシリンダ軸13の間に向けて折曲された水平の平面部25とを有する支持台19を設けたものが記載されている(段落【0003】、【0004】)。一方、甲3には、発明の実施の形態として、支持台43についても記載されていて、当該支持台43は、本体31の上壁部31aの上面から上方に立ち上がる立上部51と、立上部51の上端からシールバー41の逆側且つ下方に傾斜する傾斜部53と、立上部51の下側からシールバー41に向けて且つ上壁部31aに沿って延長する一対の孔57a、57bが設けられたベース部55を備えている(段落【0010】)。
ここで、支持台19は、「従来の真空包装機」に備えるものである一方、支持台43は、「発明の実施の形態」である真空包装機に備えるものであるから、それぞれの支持台は、取り付ける対象が異なるものであり、両者を同じ真空包装機に用いることの記載は、甲3にはないし、示唆する記載もない。さらに、支持台43は、真空包装機へ取り付けるために、ベース部55に設けた一対の孔57a、57bを、上壁部31aの上面に突出している取付ねじ46の頭部が貫通するものである(段落【0009】、【0010】)が、支持台19には、そのような孔が形成されていないから、支持台19と支持台43を交換して「発明の実施の形態」の真空包装機に取り付けることはできない。また、逆に、支持台43を「従来の真空包装機」に取り付けることは、「従来の真空包装機」が有する「被包装物7をセットしたり取り出したりする度に動きその位置がズレてしまうことがあり得る」(段落【0005】)との課題が解決されない。よって、上記支持台19と支持台43を、同じ真空包装機に対して交換して用いることで、傾斜部の角度を変更可能とすることには、阻害自由が存在するといえる。
さらに、そもそも、支持台19の傾斜部23と支持台43の傾斜部53の傾斜角度を異なったものとすることの記載が甲3にはないし、示唆する記載もない。
そして、甲3には、「また、傾斜部53が上壁部31aとなす角度Xは、本実施の形態では、20?25°に選定されている。」(段落【0011】)との記載があるが、上記したとおり、甲3には異なる角度を有する支持台を交換することで、傾斜角度を変更可能とすることの記載はないし、示唆する記載もないから、当該記載は、支持台43の傾斜部53の角度を、「20?25°」の数値範囲内から一つ選定することを意味する記載であるに過ぎず、当該数値範囲内の他の角度へ変更可能とすることまでをも意味する記載であるとは解されない。

(5)本件発明1は、上記甲1?3に記載されていない上記(1)に示した事項を備えることで、「ガイド台は包装袋の先端開口部周縁から基端底部側の一部を案内する案内面を角度変更可能としたので、包装袋の被包装物の量が少ないときには、ガイド台の案内面の傾斜角度を小さくすることにより、包装袋の先端開口部周縁を下側狭圧ブロックの上側に案内するようにでき、また、包装袋内の被包装物の量が多いときには、ガイド台の案内面の傾斜角度を大きくすることにより、包装袋の先端開口部から被包装物が漏出することなく先端開口部周縁を下側狭圧ブロックの上側に案内できるようになった」(本件特許明細書の段落【0006】)との格別な作用効果を奏する。

(6)以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明及び甲2事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明1は、甲1発明及び甲3事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明1は、甲2発明及び甲3事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明1は、甲1発明、甲2事項及び甲3事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

よって、本件発明1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

2.本件発明2について
上記1.に示したとおり、甲3には、本件発明1の特定事項のうち、「ガイド台」を、「前記基台の前記下側狭圧ブロックの近縁に着脱可能に設けられ、前記下側狭圧ブロックから離間する方向に下方に傾斜して、前記包装袋の先端開口部周縁から基端底部側の一部を前記基台の上面まで所定角度となるように案内する」ものであって、かつ、「前記包装袋の先端開口部周縁から基端底部側の一部を前記基台の上面に案内する案内面の傾斜角度を変更可能」とすることが記載されていないし、示唆する記載もない。そして、本件発明1の発明特定事項を全て含むものである本件発明2も、上記1.に示した当業者が予測し得ない格別な作用効果を奏するから、本件発明2は、甲3発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
よって、本件発明2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定により違反してされたものではない。

3.本件発明4について
本件発明4は、本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるところ、上記1.に示したように、本件発明1は、甲1発明、甲2事項及び甲3事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明4も、甲1発明、甲2事項及び甲3事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。したがって、本件発明4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

第5 むすび
以上に示したとおり、本件発明1、2及び4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではないから、本件発明1、2及び4に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すことはできない。
よって、申立人の示した特許異議の申立ての理由及び提出された証拠によっては、本件発明1、2及び4に係る特許を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
 
異議決定日 2018-06-11 
出願番号 特願2013-128759(P2013-128759)
審決分類 P 1 652・ 121- Y (B65B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高橋 裕一  
特許庁審判長 井上 茂夫
特許庁審判官 久保 克彦
蓮井 雅之
登録日 2017-09-22 
登録番号 特許第6212297号(P6212297)
権利者 ホシザキ株式会社
発明の名称 加熱封止装置  
代理人 永井 裕輔  

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