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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する C03C 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する C03C 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する C03C |
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管理番号 | 1341314 |
審判番号 | 訂正2018-390024 |
総通号数 | 224 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-08-31 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2018-02-05 |
確定日 | 2018-05-17 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6033487号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第6033487号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-16〕について訂正することを認める。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第6033487号(以下、「本件特許」という。)は、平成25年 7月31日に出願された特願2016-30814号の一部を平成28年 8月19日に新たな出願とした特願2016-161479号の請求項1?16に係る発明について、平成28年11月 4日に特許権の設定登録がされたものであって、平成29年 9月12日に本件特許の訂正を求める審判請求(以下、「先の審判請求」という。)がされ、平成29年11月30日に訂正拒絶理由が通知され、平成30年 1月 4日に、先の審判請求が取り下げられたものである。 そして、本件審判は、本件特許の訂正を求め、平成30年 2月 5日に請求されたものである。 2.請求の要旨 本件審判の請求の要旨は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲(以下、「本件特許明細書」という。)を、審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、一群の請求項ごとに訂正することを求めるものであって、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1?15(注:下線部が訂正箇所)である。 ア.訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「B_(2)O_(3)成分を16.480?35.850%」とあるのを、「B_(2)O_(3)成分を16.480?26.710%」に訂正する。 イ.訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「La_(2)O_(3)成分を42.0?55.0%」とあるのを、「La_(2)O_(3)成分を45.130?55.0%」に訂正する。 ウ.訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に「ZrO_(2)成分の含有量が10.0%以下」とあるのを、「ZrO_(2)成分を3.0%以上10.0%以下(含有し)」に訂正する。 エ.訂正事項4 特許請求の範囲の請求項1について、Nb_(2)O_(5)成分の含有量をさらに特定し、その含有量について「Nb_(2)O_(5)成分の含有量が3.880%以下であり」に訂正する。 オ.訂正事項5 特許請求の範囲の請求項1に「質量比La_(2)O_(3)/(La_(2)O_(3)+Y_(2)O_(3)+Gd_(2)O_(3)+Yb_(2)O_(3))が0.750以上0.850以下であり」とあるのを、「質量比La_(2)O_(3)/(La_(2)O_(3)+Y_(2)O_(3)+Gd_(2)O_(3)+Yb_(2)O_(3))が0.772以上0.850以下であり」に訂正する。 カ.訂正事項6 特許請求の範囲の請求項1について、屈折率(n_(d))をさらに特定し、その数値範囲について「1.75以上1.82370以下の屈折率の屈折率(n_(d))」に訂正する。 キ.訂正事項7 特許請求の範囲の請求項1において、「屈折率(n_(d))が1.75?1.80の範囲内にあるもの」を除外する。 ク.訂正事項8 特許請求の範囲の請求項1に「39以上のアッベ数(ν_(d))」とあるのを、「43.06以上47.40以下のアッベ数(ν_(d))」に訂正する。 ケ.訂正事項9 特許請求の範囲の請求項1について、液相温度をさらに特定し、その定義と数値範囲について「1150℃以下の液相温度を有し、前記液相温度は、ガラス試料を完全に熔融状態にし、1300℃以下の10℃刻みの温度まで降温して12時間保持して冷却した後に、得られるガラス表面及びガラス中に結晶が認められない一番低い温度である」に訂正する。 コ.訂正事項10 特許請求の範囲の請求項1について、厚み10mmのサンプルで、分光透過率5%を示す波長(λ_(5))と、分光透過率80%を示す波長(λ_(80))とをさらに特定し、それらの数値範囲について「厚み10mmのサンプルで、分光透過率5%を示す波長(λ_(5))が328nm以下、分光透過率80%を示す波長(λ_(80))が440nm以下である」に訂正する。 サ.訂正事項11 特許請求の範囲の請求項7に「Nb_(2)O_(5)成分 0?10.0%」とある記載を削除する。 シ.訂正事項12 特許請求の範囲の請求項12を削除する。 ス.訂正事項13 特許請求の範囲の請求項13を削除する。 セ.訂正事項14 特許請求の範囲の請求項14に「請求項1から13のいずれか記載の光学ガラス」とあるのを、「請求項1から11のいずれか記載の光学ガラス」に訂正する。 ソ.訂正事項15 特許請求の範囲の請求項15に「請求項1から14のいずれか記載の光学ガラス」とあるのを、「請求項1から11又は14のいずれか記載の光学ガラス」に訂正する。 3.当審の判断 (1)訂正の目的、新規事項の追加、及び、特許請求の範囲の拡張/変更の有無について ア.訂正事項1 訂正事項1は、請求項1の「B_(2)O_(3)成分を16.480?35.850%」を「B_(2)O_(3)成分を16.480?26.710%」と訂正し、減縮するものである。 したがって、当該訂正事項1は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項を限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、本件特許明細書の段落【0078】の実施例2にはB_(2)O_(3)成分の含有量が26.710%である光学ガラスが記載されていたから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 イ.訂正事項2 訂正事項2は、請求項1の「La_(2)O_(3)成分を42.0?55.0%」を「La_(2)O_(3)成分を45.130?55.0%」と訂正し、減縮するものである。 したがって、当該訂正事項2は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項を限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、本件特許明細書の段落【0078】の実施例8にはLa_(2)O_(3)成分の含有量が45.130%である光学ガラスが記載されていたから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ.訂正事項3 訂正事項3は、請求項1の「ZrO_(2)成分の含有量が10.0%以下」を「ZrO_(2)成分を3.0%以上10.0%以下」と訂正し、減縮するものである。 したがって、当該訂正事項3は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項を限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、本件特許明細書の段落【0053】には、「そのため、ZrO_(2)成分の含有量は・・・さらに好ましくは3.0%・・・を下限としてもよい」と記載されていたから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 エ.訂正事項4 訂正事項4は、請求項1においてNb_(2)O_(5)成分の含有量をさらに特定し、その数値範囲について「Nb_(2)O_(5)成分の含有量が3.880%以下であり」と訂正し、減縮するものである。 したがって、当該訂正事項4は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項を限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、本件特許明細書の段落【0046】には、「従って、Nb_(2)O_(5)成分の含有量は・・・さらに好ましくは8.0%以下を上限とする」と記載され、段落【0078】の実施例2にはNb_(2)O_(5)成分の含有量が3.880%である光学ガラスが記載されていたから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 オ.訂正事項5 訂正事項5は、請求項1の「質量比La_(2)O_(3)/(La_(2)O_(3)+Y_(2)O_(3)+Gd_(2)O_(3)+Yb_(2)O_(3))が0.750以上0.850以下であり」を「質量比La_(2)O_(3)/(La_(2)O_(3)+Y_(2)O_(3)+Gd_(2)O_(3)+Yb_(2)O_(3))が0.772以上0.850以下であり」と訂正し、減縮するものである。 したがって、当該訂正事項5は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項を限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、本件特許明細書の段落【0078】の実施例4には、質量比La_(2)O_(3)/(La_(2)O_(3)+Y_(2)O_(3)+Gd_(2)O_(3)+Yb_(2)O_(3))が0.772である光学ガラスが記載されていたから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 カ.訂正事項6 訂正事項6は、請求項1において屈折率(n_(d))をさらに特定し、その数値範囲について「1.75以上1.82370以下の屈折率の屈折率(n_(d))」と訂正し、減縮するものである。 したがって、当該訂正事項6は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項を限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、本件特許明細書の段落【0066】には、「特に、本発明の光学ガラスの屈折率(n_(d))は・・・さらに好ましくは1.75を下限とする」及び「この屈折率の上限は・・・さらに好ましくは2.00であってもよい」と記載され、段落【0078】の実施例4には、屈折率(n_(d))が1.82370である光学ガラスが記載されていたから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 キ.訂正事項7 訂正事項7は、請求項1において「屈折率(n_(d))が1.75?1.80の範囲内にあるもの」を除外する訂正を行うものであり、要するに、屈折率(n_(d))について、「1.75?1.80」を除いた範囲に減縮するものである。 したがって、当該訂正事項7は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項を限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、当該訂正事項7は、中国特許出願公開第103030273号に開示された「屈折率(n_(d))が1.75?1.80の範囲内にある」との記載との重なりのみを除くために、いわゆる除くクレームの形態でこれを規定したものであり、これにより新たな技術的事項を導入するものではないから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 ク.訂正事項8 訂正事項8は、請求項1の「39以上のアッベ数(ν_(d))」を「43.06以上47.40以下のアッベ数(ν_(d))」と訂正し、減縮するものである。 したがって、当該訂正事項8は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項を限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、本件特許明細書の段落【0066】には、「また、本発明の光学ガラスのアッベ数(ν_(d))は・・・さらに好ましくは55を上限とする」と記載され、段落【0078】の実施例3には、アッベ数(ν_(d))が43.06である光学ガラスが記載され、実施例8には、アッベ数(ν_(d))が47.40である光学ガラスが記載されていたから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 ケ.訂正事項9 訂正事項9は、請求項1において液相温度をさらに特定し、その定義と数値範囲について「1150℃以下の液相温度を有し、前記液相温度は、ガラス試料を完全に熔融状態にし、1300℃以下の10℃刻みの温度まで降温して12時間保持して冷却した後に、得られるガラス表面及びガラス中に結晶が認められない一番低い温度である」に訂正するものであり、要するに、訂正前の請求項1で特定されていない液相温度について「1150℃以下」に減縮し、またこの液相温度の定義についても「ガラス試料を完全に熔融状態にし、1300℃以下の10℃刻みの温度まで降温して12時間保持して冷却した後に、得られるガラス表面及びガラス中に結晶が認められない一番低い温度」に限定するものである。 したがって、当該訂正事項9は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項を限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、本件特許明細書の段落【0067】には、「すなわち、本発明の光学ガラスの液相温度は・・・さらに好ましくは1250℃を上限とする」及び「なお、本明細書中における「液相温度」とは、50mlの容量の白金製坩堝に30ccのカレット状のガラス試料を白金坩堝に入れて1250℃で完全に熔融状態にし、所定の温度まで降温して12時間保持し、炉外に取り出して冷却した後直ちにガラス表面及びガラス中の結晶の有無を観察し、結晶が認められない一番低い温度を表す。ここで降温する際の所定の温度は、1300℃までの10℃刻みの温度である」と記載され、段落【0078】の実施例4には、液相温度が1150℃である光学ガラスが記載されていたから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 コ.訂正事項10 訂正事項10は、請求項1において、厚み10mmのサンプルで、分光透過率5%を示す波長(λ_(5))と、分光透過率80%を示す波長(λ_(80))とをさらに特定し、それらの数値範囲について「厚み10mmのサンプルで、分光透過率5%を示す波長(λ_(5))が328nm以下、分光透過率80%を示す波長(λ_(80))が440nm以下である」に訂正するものであり、要するに、訂正前の請求項1で特定されていない分光透過率5%を示す波長について「328nm以下」に減縮し、また、訂正前の請求項1で特定されていない分光透過率80%を示す波長についても「440nm以下」に減縮するものである。 したがって、当該訂正事項10は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項を限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、本件特許明細書の段落【0068】には「特に、本発明の光学ガラスは、ガラスの透過率で表すと、厚み10mmのサンプルで分光透過率80%を示す波長(λ80)は・・・さらに好ましくは420nmを上限とする」及び「また、本発明の光学ガラスにおける、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す最も短い波長(λ_(5))は・・・さらに好ましくは360nmを上限とする」と記載され、段落【0078】の実施例4には、分光透過率80%を示す波長(λ_(80))が440nmである光学ガラスが記載されていたから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 サ.訂正事項11 訂正事項11は、請求項7に「Nb_(2)O_(5)成分 0?10.0%」とある記載を削除するものであり、これは、訂正後の請求項1では「Nb_(2)O_(5)成分の含有量が3.880%以下」と特定されており、Nb_(2)O_(5)成分の含有量として3.880%以下の数値範囲しか取り得ないこととの整合を図るため、Nb_(2)O_(5)成分の含有量の上限については訂正後の請求項1に記載される数値範囲によって自ずと定まることを明らかにするものである。 したがって、当該訂正事項11は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、上記の通り、訂正後の請求項7におけるNb_(2)O_(5)成分の含有量の数値範囲は実質的に3.880%以下に限定されており、これは上記エ.で検討したとおり、本件特許明細書の段落【0046】及び【0078】に記載されていたから、この訂正は本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 シ.訂正事項12 訂正事項12は、請求項12を削除するというものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 ス.訂正事項13 訂正事項13は、請求項13を削除するというものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 セ.訂正事項14 訂正事項14は、請求項14の「請求項1から13のいずれか記載の光学ガラス」を、「請求項1から11のいずれか記載の光学ガラス」と訂正するものであり、要するに、請求項12または13の記載を引用する請求項14について、当該請求項12または13の引用を削除して減縮するものである。 したがって、当該訂正事項14は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 ソ.訂正事項15 訂正事項15は、請求項15の「請求項1から14のいずれか記載の光学ガラス」を、「請求項1から11又は14のいずれか記載の光学ガラス」と訂正するものであり、要するに、請求項12または13の記載を引用する請求項15について、当該請求項12または13の引用を削除して減縮するものである。 したがって、当該訂正事項15は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 (2)一群の請求項について 訂正前の請求項2?16は、訂正事項1?10に係る訂正前の請求項1の記載をそれぞれ直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1?10によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、当該請求項1?16は、特許法126条第3項に規定する一群の請求項である。 (3)独立特許要件について 特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正後の請求項1に係る発明を含む一群の請求項〔1?16〕(以下、それぞれ「本件訂正発明1」?「本件訂正発明16」という。)は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。 ここで、訂正された「本件訂正発明1」は、 「質量%で B_(2)O_(3)成分を16.480?26.710%、 La_(2)O_(3)成分を45.130?55.0%、 Y_(2)O_(3)成分を8.0?15.0%(但し、10%以下のものを除く)、 ZrO_(2)成分を3.0%以上10.0%以下及び SiO_(2)成分を1.0%以上10.0%未満 含有し、 ZnO成分の含有量が5.0%未満、 Yb_(2)O_(3)成分の含有量が1.0%未満、 Nb_(2)O_(5)成分の含有量が3.880%以下 であり、 Ln_(2)O_(3)成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)の質量和が58.400%以上70.0%以下であり、 質量比Y_(2)O_(3)/(Y_(2)O_(3)+Gd_(2)O_(3))が0.500以上1.000以下、 質量比La_(2)O_(3)/(La_(2)O_(3)+Y_(2)O_(3)+Gd_(2)O_(3)+Yb_(2)O_(3))が0.772以上0.850以下であり、 1.75以上1.82370以下の屈折率(n_(d))を有し(但し、屈折率(n_(d))が1.75?1.80の範囲内にあるものを除く)、43.06以上47.40以下のアッベ数(ν_(d))を有し、 1150℃以下の液相温度を有し、 前記液相温度は、ガラス試料を完全に熔融状態にし、1300℃以下の10℃刻みの温度まで降温して12時間保持して冷却した後に、得られるガラス表面及びガラス中に結晶が認められない一番低い温度であり、 厚み10mmのサンプルで、分光透過率5%を示す波長(λ_(5))が328nm以下、分光透過率80%を示す波長(λ_(80))が440nm以下である光学ガラス(但し、酸化物基準の質量に対する外割りの質量%で、F成分を3.0%以上含有するものを除く)。」である。 ア.特許法第36条第6項第1号(サポート要件)及び第36条第4項第1号(実施可能要件)について 先の審判請求において、ZnOの下限値及びZrO_(2)の下限値について、特許法第36条第6項第1号及び第4項第1号に規定する要件を満たしていないことを訂正拒絶理由として通知していたところ、請求人は本件審判の請求書において、これらの成分の数値範囲についても、上記要件を満たしている旨主張していることから、まず、この点について、本件訂正発明1がサポート要件及び実施可能要件を満たすものであるか検討する。 ここで、本件特許に係る発明が解決しようとする課題は、本件特許明細書の段落【0007】に記載されているとおり「屈折率(n_(d))及びアッベ数(ν_(d))が所望の範囲内にありながら、耐失透性が高いガラスを、より安価に得ること」と認められる。 一方、本件特許明細書には、光学ガラスに含まれる各成分の取り得る含有量と寄与する効果が段落【0030】?【0063】において記載されるとともに、本件訂正発明1で特定する組成要件及び物性要件を満たす光学ガラスの実施例が記載されており、段落【0037】には、ZnO成分について、「ガラス転移点を低くでき、且つ化学的耐久性を高められる任意成分である」ことが記載されており、ZnO成分がガラス転移温度を低くし、且つ化学的耐久性を改善する成分であることが理解される。 しかしながら、本件訂正発明1は、精密プレス成形のようにガラス転移温度が低いことを必ずしも必要とするものではないし、化学的耐久性についても、ガラスを得ることに対して、直接的な影響を及ぼさない物性であるから、仮に、実施例に記載されたガラス組成に基いて、ZnO成分の含有量を含有しない場合であっても、本件特許に係る発明の課題を解決できるガラスを得られることは、当業者にとって明らかである。 また、ZrO_(2)成分についてみると、段落【0053】には「ZrO_(2)成分は、0%超含有する場合に、ガラスの高屈折率及び低分散化に寄与でき、且つガラスの耐失透性を高められる」と記載されていることから、ZrO_(2)成分が、ガラスの屈折率を高め、分散を小さくしてアッベ数を高め、また、耐失透性を高める成分であることが理解される。 また、ZrO_(2)成分と同様に、ガラスの屈折率を高め、且つ、耐失透性を高める成分としては、段落【0046】、【0047】にNb_(2)O_(5)成分やWO_(3)成分等が開示されている。 してみれば、例えば、実施例4に記載されるZrO_(2)成分を6.180%含有し、Nb_(2)O_(5)成分やWO_(3)成分を含有しないガラス組成に基いて、ZrO_(2)成分の含有量を3.0%まで減少させた場合であっても、上記記載に基いて、Nb_(2)O_(5)成分やWO_(3)成分の含有量を3%前後まで増加させれば、同様に屈折率が高く、耐失透性の高いガラスを得られることは、当業者にとって明らかである。 他方、アッベ数については、実施例4に記載されるガラスのアッベ数が46.07と大きな値をとっているため、ZrO_(2)成分の含有量を3.0%まで減少させ、Nb_(2)O_(5)成分やWO_(3)成分の含有量を増加させた場合であっても、訂正後の請求項1における「43.06以上47.40以下のアッベ数」の要件を満たすことは、当業者にとって明らかである。 さらに、ZnO成分及びZrO_(2)成分以外の各成分についても同様に、当業者であれば、実施例以外のガラス組成であっても、本件訂正発明1で特定されたガラス組成の範囲内において、実施例で開示された光学ガラス組成に基いて、発明の詳細な説明に記載された各成分の寄与する効果と本件特許に係る発明の課題を考慮して各成分の含有量を調整することにより、本件訂正発明1で特定される屈折率(n_(d))とアッベ数(ν_(d))の数値範囲を満たす安定な光学ガラスが得られるものと認識できるものである。 よって、本件訂正発明1は、発明の詳細な説明の記載により、当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであり、本件特許明細書は、当業者が本件訂正発明1を実施できる程度に明確かつ十分に記載したものといえる。 また、本件訂正発明1を直接的又は間接的に引用する本件訂正発明2?11及び14?16についても同様である。 イ.特許無効の抗弁について 本件特許について、東京地裁平成29年(ワ)第11314号 特許権侵害差止等請求事件において、中国特許出願公開103030273号(以下、「乙1」という。)及び国際出願PCT/JP2012/082848の国際公開公報である国際公開第2013/094619号(以下、「乙2」という。)に基づく新規性欠如(特許法第29条第1項第3号)を理由とする特許無効の抗弁がされていることから、この点について検討する。 a.乙1?2の記載事項 乙1には、次の記載がある。 a.1「 」 (当審訳:【特許請求の範囲】 【請求項1】陽イオンのモル百分率計算で、 B^(3+) 55?70% Si^(4+) 1?9% Σ(B^(3+)+Si^(4+)) 58?75% La^(3+) 15?25% Y^(3+) 3?15% Gd^(3+) 0?5% Σ(La^(3+)+Y^(3+)+Gd^(3+)) 20?38% Ta^(5+) 0?2% Zr^(4+) 2?10% Nb^(5+) 0?10% Σ(Zr^(2+)+Nb^(5+)) 12%を超えない Ba^(2+) 0?5% Sb^(3+) 0?0.2%、を含み、 前記酸化物光学ガラスの陰イオンはすべてO^(2-)であり、トリウム、鉛、ヒ素、カドミウム、水銀などの有害物質成分や、高価なGe^(4+)、Te^(4+)成分及び白金装置に損害を与えるZn^(2+)は含まず、ガラスの熱力学性能に影響を及ぼすLi^(+)、Na^(+)及びK^(+)は含有せず、かつ、ガラスの光学スペクトルにおける内部透過率に影響を及ぼすTi^(4+)及びW^(6+)は含有せず、前記酸化物光学ガラスの屈折率n_(d)は1.75?1.80の範囲内であり、アッベ数ν_(d)は50?55の範囲内であることを特徴とする酸化物光学ガラス。) a.2「 」 (当審訳:【0011】 本発明の目的は、上記現有技術における不足箇所を克服するために、屈折率(nd)が1.75?1.80であり、アッベ数(νd)が50?55の範囲内である酸化物光学ガラスを提供することにある。) 乙2には、次の記載がある。 a.3「【0056】 また、第3の光学ガラスは、質量%でB_(2)O_(3)成分を1.0?30.0%及びLa_(2)O_(3)成分を10.0?60.0%含有し、35以上のアッベ数(ν_(d))を有し、Ta_(2)O_(5)成分の含有量が15.0%未満である。Ta_(2)O_(5)成分の含有量を低減することによって、高価であり且つ高温での熔解を要するTa_(2)O_(5)成分の使用量が減少するため、光学ガラスの原料コスト及び製造コストが低減される。それとともに、B_(2)O_(3)成分及びLa_(2)O_(3)成分をベースとすることにより、35以上のアッベ数(ν_(d))を有しながらも、液相温度が低くなり易くなる。このため、屈折率(n_(d))及びアッベ数(ν_(d))が所望の範囲内にありながら、耐失透性が高い光学ガラスと、これを用いた光学素子をより安価に得ることができる。」 a.4「【0113】実施例(No.1?No.398)及び比較例(No.A?No.C)の組成、並びに、これらのガラスの屈折率(nd)、アッベ数(νd)、部分分散比(θg,F)、液相温度、分光透過率が5%及び70%を示す波長(λ5及びλ70)並びに比重の結果を表1?表56に示す。・・・また、実施例(No.283?No.398)及び比較例(No.C)は、本発明の第3の光学ガラスの実施例及び比較例である。」 b.乙1に記載された発明 記載事項a.1から、乙1には、「陽イオン及び陰イオンのモル百分率で、B^(3+) 55?70% Si^(4+) 1?9% Σ(B^(3+)+Si^(4+)) 58?75% La^(3+) 15?25% Y^(3+) 3?15% Gd^(3+) 0?5% Σ(La^(3+)+Y^(3+)+Gd^(3+)) 20?38% Ta^(5+) 0?2% Zr^(4+) 2?10% Nb^(5+) 0?10% Σ(Zr^(2+)+Nb^(5+)) 12%を超えない Ba^(2+) 0?5% Sb^(3+) 0?0.2%を含み、陰イオンはすべてO^(2-)であり、トリウム、鉛、ヒ素、カドミウム、水銀などの有害物質成分や、Ge^(4+)、Te^(4+)、Zn^(2+)、Li^(+)、Na^(+)、K^(+)、Ti^(4+)、W^(6+)は含有しない組成範囲を有するとともに、屈折率が1.75?1.80の範囲内であり、アッベ数が50?55の範囲内である光学ガラス」(以下、「乙1発明」という。)が開示されているといえる。 c.乙2に記載された発明 特許無効の抗弁において、乙2は特許第6095356号と優先日が共通する原告による国際出願PCT/JP2012/082848(以下、「乙2出願」という。)の国際公開公報であり、特許第6095356号と乙2出願は、同一の基礎出願に対し優先権を主張するものであること、特許第6095356号の明細書の記載内容は、そのほぼ全部が乙2に記載されており、乙2の記載事項a.3及びa.4における第3の光学ガラスと記載された発明が、特許第6095356号の本発明に対応していることから、乙2には、特許第6095356号の請求項1に係る発明が開示されている旨主張し、乙2発明として、特許第6095356号の請求項1に係る発明と同一の構成の光学ガラスを認定しているものの、乙2には、特許第6095356号の請求項1に係る発明と同一の構成とすることは記載も示唆もされていないことから、乙2発明として、特許第6095356号の請求項1に係る発明と同一の構成の光学ガラスを認定することは誤りであるというほかはない。 しかしながら、以下においては、上記認定が正しいものと仮定し、無効の抗弁で主張されている乙2発明、すなわち、 「質量%で B_(2)O_(3)成分を10.5?24.0%、 SiO_(2)成分を3.0?10.0%、 La_(2)O_(3)成分を35.0?55.0%、 Nb_(2)O_(5)成分を2.0%超から10.0%、 ZrO_(2)成分を1.0?8.0% 含有し、 Gd_(2)O_(3)成分の含有量が6.30%以下、 WO_(3)成分の含有量が5.20%以下、 Ta_(2)O_(5)成分の含有量が1.0%未満、 ZnO成分の含有量が0?6.65%、 Y_(2)O_(3)成分の含有量が0?16.10%、 P_(2)O_(5)成分の含有量が0?5.0% であり、 鉛成分を含有せず、 B_(2)O_(3)成分及びSiO_(2)成分の含有量の和が15.0%以上27.0%以下、 Gd_(2)O_(3)成分、Yb_(2)O_(3)成分及びTa_(2)O_(5)成分の含有量の和が10.0%以下、 TiO_(2)成分、Nb_(2)O_(5)成分及びWO_(3)成分の含有量の和が4.0%超?14.0%、 RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の質量和が6.65%以下、 Ln_(2)O_(3)成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)の質量和が48.0%?60.0% であり、 1.83以上の屈折率(nd)を有し、35以上50以下のアッベ数(νd)を有し、 1300℃以下の液相温度を有する光学ガラス。」 を乙2発明として、対比・判断を行う。 d.本件訂正発明と乙1発明との対比・判断 本件訂正発明1と乙1発明とを対比する。 本件訂正発明1はガラス組成を質量%で表記しているのに対し、乙1発明はガラス組成を陽イオン及び陰イオンのモル百分率で表記していることから、両者の組成範囲を直接比較することができないものの、少なくとも、本件訂正発明1では、「1.80を超えて1.82370以下の屈折率」を有し、「43.06以上47.40以下のアッベ数」を有するのに対し、乙1発明では、「屈折率が1.75?1.80の範囲内であり、アッベ数が50?55の範囲内である」点で相違するものである。 したがって、本件訂正発明1は、乙1に記載された発明ではない。 また、乙1発明は、記載事項a.2に記載されているように、屈折率が1.75?1.80の範囲内であり、アッベ数が50?55の範囲内である光学ガラスを得ることを目的とするものであるから、それらの数値を斯かる範囲とは相容れない範囲である、屈折率を1.80を超えて1.82370以下とし、アッベ数を43.06以上47.40以下とすることには阻害要因があり、本件訂正発明1は、乙1発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものでもない。 さらにまた、本件訂正発明2?11及び14?16は、何れも本件訂正発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、本件訂正発明2?11及び14?16についても、乙1に記載された発明ではなく、乙1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものでもない。 e.本件訂正発明と乙2発明との対比 本件訂正発明1と乙2発明とを対比する。 本件訂正発明1と乙2発明は、光学ガラスの組成範囲において重複する部分を有し、アッベ数及び液相温度の範囲が重複する部分を有する点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点 本件訂正発明1は屈折率が「1.80を超えて1.82370以下」であるのに対し、乙2発明は屈折率が「1.83以上」である点。 ・相違点についての検討 乙2には、本件訂正発明1の組成範囲の光学ガラスとすることが記載も示唆もされていないし、乙2発明に対応する実施例283?398の光学ガラスは、いずれも屈折率が1.83を超えるから、上記相違点は実質的なものである。 よって、本件訂正発明1は乙2に記載された発明とはいえない。 また、乙2には、本件訂正発明1の組成範囲の光学ガラスとすることが記載も示唆もされていないし、乙2発明に対応する実施例283?398の光学ガラスは、いずれも屈折率が1.83を超えるものであるところ、乙2の段落[0106]には、「本発明の光学ガラスは、高屈折率及び高アッベ数(低分散)を有することが好ましい。特に、本発明の光学ガラスの屈折率(n_(d))は、好ましくは、1.75、より好ましくは1.80、更に好ましくは、1.83、・・・を下限とする」ことが記載されており、乙2発明においては、できるだけ高い屈折率の光学ガラスを得ることを志向しているものといえる。 してみれば、乙2発明において、本件訂正発明1の組成範囲とし、実施例において得られている光学ガラスよりも低い屈折率の光学ガラスとすることは、当業者が容易になし得ることとはいえない。 よって、本件訂正発明1は、乙2発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 さらにまた、本件訂正発明2?11及び14?16は、何れも本件訂正発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、本件訂正発明2?11及び14?16についても、乙2に記載された発明ではなく、乙2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものでもない。 f.小括 d.、e.で検討したとおり、本件訂正発明1は、乙1または乙2に記載された発明とはいえず、乙1または乙2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものでもない。 また、本件訂正発明2?11及び14?16は、何れも本件訂正発明1を直接的又は間接に引用するものであるから、本件訂正発明2?11及び14?16についても、乙1または乙2に記載された発明とはいえず、乙1または乙2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものでもない。 ウ.独立特許要件についてのまとめ 訂正事項1?15によって訂正された訂正後の請求項1?11及び14?16に係る発明は、上記で検討した以外の理由もないことから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 4 むすび 以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号を目的とするものであって、同条第3項及び第5?7項に規定する要件を満たすものであるから、本件訂正を認める。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 質量%で B_(2)O_(3)成分を16.480?26.710%、 La_(2)O_(3)成分を45.130?55.0%、 Y_(2)O_(3)成分を8.0?15.0%(但し、10%以下のものを除く)、 ZrO_(2)成分を3.0%以上10.0%以下及び SiO_(2)成分を1.0%以上10.0%未満 含有し、 ZnO成分の含有量が5.0%未満、 Yb_(2)O_(3)成分の含有量が1.0%未満、 Nb_(2)O_(5)成分の含有量が3.880%以下 であり、 Ln_(2)O_(3)成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)の質量和が58.400%以上70.0%以下であり、 質量比Y_(2)O_(3)/(Y_(2)O_(3)+Gd_(2)O_(3))が0.500以上1.000以下、 質量比La_(2)O_(3)/(La_(2)O_(3)+Y_(2)O_(3)+Gd_(2)O_(3)+Yb_(2)O_(3))が0.772以上0.850以下であり、 1.75以上1.82370以下の屈折率(n_(d))を有し(但し、屈折率(n_(d))が1.75?1.80の範囲内にあるものを除く)、43.06以上47.40以下のアッベ数(ν_(d))を有し、 1150℃以下の液相温度を有し、 前記液相温度は、ガラス試料を完全に熔融状態にし、1300℃以下の10℃刻みの温度まで降温して12時間保持して冷却した後に、得られるガラス表面及びガラス中に結晶が認められない一番低い温度であり、 厚み10mmのサンプルで、分光透過率5%を示す波長(λ_(5))が328nm以下、分光透過率80%を示す波長(λ_(80))が440nm以下である光学ガラス(但し、酸化物基準の質量に対する外割りの質量%で、F成分を3.0%以上含有するものを除く)。 【請求項2】 質量%でGd_(2)O_(3)成分の含有量が8.0%未満である請求項1記載の光学ガラス。 【請求項3】 質量%で Li_(2)O成分 0?10.0% である請求項1又は2記載の光学ガラス。 【請求項4】 質量%で Ta_(2)O_(5)成分 0?9.0% である請求項1から3のいずれか記載の光学ガラス。 【請求項5】 質量%で MgO成分 0?7.0% CaO成分 0?7.0% SrO成分 0?7.0% BaO成分 0?10.0% である請求項1から4のいずれか記載の光学ガラス。 【請求項6】 RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の質量和が15.0%以下である請求項1から5のいずれかに記載の光学ガラス。 【請求項7】 質量%で TiO_(2)成分 0?10.0% WO_(3)成分 0?10.0% である請求項1から6のいずれかに記載の光学ガラス。 【請求項8】 TiO_(2)成分、Nb_(2)O_(5)成分及びWO_(3)成分の含有量の和が20.0%以下である請求項1から7のいずれかに記載の光学ガラス。 【請求項9】 質量%で Na_(2)O成分 0?5.0% K_(2)O成分 0?5.0% Cs_(2)O成分 0?5.0% である請求項1から8のいずれかに記載の光学ガラス。 【請求項10】 Rn_(2)O成分(式中、RnはLi、Na、K、Csからなる群より選択される1種以上)の質量和が15.0%以下である請求項1から9のいずれかに記載の光学ガラス。 【請求項11】 質量%で P_(2)O_(5)成分 0?5.0% GeO_(2)成分 0?5.0% Al_(2)O_(3)成分 0?5.0% Ga_(2)O_(3)成分 0?5.0% Bi_(2)O_(3)成分 0?5.0% TeO_(2)成分 0?5.0% SnO_(2)成分 0?1.0% Sb_(2)O_(3)成分 0?1.0% である請求項1から10のいずれか記載の光学ガラス。 【請求項12】(削除) 【請求項13】(削除) 【請求項14】 5.50以下の比重を有する請求項1から11のいずれか記載の光学ガラス。 【請求項15】 請求項1から11又は14のいずれか記載の光学ガラスを母材とする光学素子。 【請求項16】 請求項15記載の光学素子を備える光学機器。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2018-04-24 |
結審通知日 | 2018-04-26 |
審決日 | 2018-05-08 |
出願番号 | 特願2016-161479(P2016-161479) |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(C03C)
P 1 41・ 851- Y (C03C) P 1 41・ 856- Y (C03C) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 吉川 潤 |
特許庁審判長 |
豊永 茂弘 |
特許庁審判官 |
新居田 知生 山崎 直也 |
登録日 | 2016-11-04 |
登録番号 | 特許第6033487号(P6033487) |
発明の名称 | 光学ガラス及び光学素子 |
代理人 | 正林 真之 |
代理人 | 新山 雄一 |
代理人 | 林 一好 |
代理人 | 新山 雄一 |
代理人 | 林 一好 |
代理人 | 正林 真之 |