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審決分類 審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  A44B
審判 全部無効 2項進歩性  A44B
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A44B
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  A44B
管理番号 1341343
審判番号 無効2016-800090  
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2016-07-29 
確定日 2018-02-26 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第5213523号発明「耐水性スライドファスナーおよびその作成方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5213523号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔8、10?27〕について訂正することを認める。 特許第5213523号の請求項1ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27に係る発明についての審判請求は成り立たない。 特許第5213523号の請求項8、11、22ないし24に係る発明についての審判請求を却下する。 審判費用は、その27分の22を請求人の負担とし、27分の5を被請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
平成11年 9月24日 原出願(特願2000-571795)
平成20年 5月26日 本件出願(特願2008-136701、優先権
主張 平成10年9月25日 米国)
平成20年 6月25日 手続補正書(1)
平成23年 2月22日 拒絶理由通知書(1)
平成23年 9月 1日 意見書(1)、手続補正書(2)
平成24年 3月29日 拒絶理由通知書(2)
平成24年 8月 2日 意見書(2)、手続補正書(3)
平成25年 2月20日 特許査定
平成25年 3月 8日 設定登録(特許第5213523号)
平成28年 7月29日 本件無効審判請求
平成28年11月14日 移転登録申請書
平成28年12月 1日 答弁書
平成28年12月 7日 手続続行通知
平成28年12月 9日 審理事項(1)通知のファクシミリ
平成28年12月16日 被請求人口頭審理陳述要領書(1)
平成28年12月19日 審理事項(1)通知
平成28年12月26日 請求人口頭審理陳述要領書(1)
平成28年12月27日 審理事項(2)通知
平成29年 1月31日 両者口頭審理陳述要領書(2)
平成29年 2月 1日 請求人上申書
平成29年 2月 2日 審理事項(3)通知
平成29年 2月17日 両者口頭審理陳述要領書(3)
平成29年 2月20日 口頭審理当日進行メモ
平成29年 2月22日 両者口頭審理陳述要領書(4)
平成29年 2月22日 口頭審理
平成29年 2月27日 被請求人上申書
平成29年 4月 7日 審決の予告
平成29年 7月18日 訂正請求書、被請求人上申書

以下、「審判請求書」を「請求書」、「口頭審理陳述要領書(1)」等を「要領書(1)」等と略記し、「甲第1号証」等を「甲1」等と略記し、「本件特許の請求項1に係る発明」等を「本件発明1」等と略記する。

第2.訂正請求について
1.訂正の内容
平成29年7月18日付け訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、当該訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項8、10?27について訂正するもので、その内容は以下のとおりである(下線部が訂正箇所である。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項8を削除する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項10に、
「…請求項8または9記載の方法。」とあるのを、
「…請求項9記載の方法。」に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項11を削除する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項12に、
「…請求項1?11のいずれか1項に記載の方法によって製造される、耐水性のスライドファスナー。」とあるのを、
「…請求項1?7,9および10のいずれか1項に記載の方法によって製造される、耐水性のスライドファスナー。」に訂正する。
また、請求項12を引用する請求項13?21、25も同様に、削除された請求項8、11を引用しないものに訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項22を削除する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項23を削除する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項24を削除する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項26に、
「請求項12から25のいずれかに記載の…」とあるのを、
「請求項12から21および25のいずれかに記載の…」に訂正する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項27に、
「請求項12から25のいずれかに記載の…」とあるのを、
「請求項12から21および25のいずれかに記載の…」に訂正する。

2.訂正の適否
(1)一群の請求項について
訂正前の請求項10?27は、直接あるいは間接に請求項8を引用するものであって、訂正事項1により訂正される請求項8に連動して訂正されるものであるから、請求項8、10?27は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である。
したがって、請求項8、10?27についての訂正事項1?9は、一群の請求項ごとにされたものであり、特許法第134条の2第3項の規定に適合する。

(2)訂正事項1、3、5?7について
訂正事項1、3、5?7は、それぞれ請求項8、11、22?24を削除するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
そして、これらの訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことが明らかであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項2、4、8、9について
訂正事項2、4、8、9は、訂正事項1、3、5?7で請求項が削除されることに伴い、削除される請求項を引用していた他の請求項において、これを引用しないものに訂正するものであって、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
そして、これらの訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことが明らかであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

3.小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項、並びに、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔8、10?27〕について訂正を認める。

第3.本件発明
本件発明1ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27は、本件訂正により訂正された本件特許の請求項1ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27にそれぞれ記載された以下のとおりのものである。
なお、請求項1の「A」等の分説記号は、それぞれの構成要件を示すもので、請求書によるものに準じて付した。

「【請求項1】
A 耐水性のスライドファスナーを作成するための方法であって、
B 前記耐水性のスライドファスナーが、第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に前記第1の面の端部に沿って配置された一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープであってストリンガテープ間に第1の分割線を有する一対のストリンガテープと、前記第2の面上の耐水性の層とを有してなり、前記一対のストリンガテープが平行に配置されると共に前記一連の把持部材構成要素に隣接する内側端部を有している、方法であって、
C 前記スライドファスナーは、
D 前記一対のストリンガテープの把持部材構成要素が係合している間に、前記内側端部および前記把持部材構成要素を覆うように前記第2の面上に固体シートとして前記耐水性の層を接着、積層、転写コーティング、または転写して積層すること、
E 前記耐水性の層を前記ストリンガテープに対して少なくとも約6lb/in(0.107kg/mm)の接着力で接着すること、および
F 前記第1の分割線と平行に配置され且つ一致する第2の分割線を前記固体シートに切断すること
G の順で生成される、方法。
【請求項2】
前記耐水性の層が、ストリンガテープに対して、少なくとも10lb/in(0.178kg/mm)の接着力で接着される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記耐水性の層が、ストリンガテープに対して、少なくとも25lb/in(0.446kg/mm)の接着力で接着される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記耐水性の層が少なくとも約1ミル(25μm)の厚さで前記第2の面上に固体シートとして接着され、積層され、転写コーティングされ、あるいは転写され積層される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記耐水性の層が少なくとも約2ミル(50μm)の厚さで前記第2の面上に固体シートとして接着され、積層され、転写コーティングされ、あるいは転写され積層される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記耐水性の層が、前記ストリンガテープの全体の強度より大きな接着力で前記ストリンガテープに接着しており、これにより、前記ストリンガテープは前記耐水性の層が前記ストリンガテープから分離する前に折れる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記耐水性の層が前記第2の面上にポリウレタンフィルムの形態の固体シートとして接着され、積層され、転写コーティングされ、あるいは転写され積層される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記ストリンガテープに対向する前記ポリウレタンフィルムの1つの面が、ポリウレタン接着剤、結合剤ないしホットメルト接着剤からなる内側層によってコーティングされる、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記内側層が、前記ストリンガテープ内に埋め込まれている部分を有するように構成される、請求項9記載の方法。
【請求項12】
第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に前記第1の面の端部に沿って配置された一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープであってストリンガテープ間に第1の分割線を有する一対のストリンガテープと、
前記第2の面上の耐水性の層とを有してなり、
前記一対のストリンガテープが平行に配置されると共に前記一連の把持部材構成要素に隣接する内側端部を有しており、および
前記耐水性の層が前記第2の面上に位置すると共に前記内側端部および前記把持部材構成要素を覆っている耐水性のスライドファスナーにおいて、
前記耐水性の層が前記ストリンガテープに対して少なくとも約6lb/in(0.107kg/mm)の接着力を有すると共に第2の分割線を有しており、
前記第2の分割線が前記第1の分割線と平行且つ一致するように配置されており、および
前記耐水性の層の前記第2の面に対向する面が前記第2の面と平行であると共に前記一対のストリンガテープの各把持部材構成要素が係合している、ことを特徴とする、請求項1?7,9および10のいずれか1項に記載の方法によって製造される、耐水性のスライドファスナー。
【請求項13】
前記耐水性の層が、ストリンガテープに対して、少なくとも10lb/in(0.178kg/mm)の接着力を有する、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項14】
前記耐水性の層が、ストリンガテープに対して、少なくとも25lb/in(0.446kg/mm)の接着力を有する、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項15】
前記耐水性の層が、孔あきなしに、少なくとも約200ストール摩耗サイクルに耐えることができる、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項16】
前記耐水性の層が、孔あきなしに、少なくとも約500ストール摩耗サイクルに耐えることができる、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項17】
前記耐水性の層が、孔あきなしに、少なくとも約1000ストール摩耗サイクルに耐えることができる、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項18】
前記耐水性の層が少なくとも約1ミル(25μm)の厚さを有する、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項19】
前記耐水性の層が少なくとも約2ミル(50μm)の厚さを有する、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項20】
前記耐水性の層が、前記ストリンガテープの全体の強度より大きな前記ストリンガテープに対する接着力を有しており、これにより、前記ストリンガテープは前記耐水性の層が前記ストリンガテープから分離する前に折れる、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項21】
前記耐水性の層がポリウレタンフィルムを含む、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項25】
前記スライドファスナーが約30cm以下のクラーク硬さを示すことを特徴とする、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項26】
請求項12から21および25のいずれかに記載の耐水性のスライドファスナーを有し、前記スライドファスナーの耐水性の層が外側を向いている、耐水性の物品。
【請求項27】
請求項12から21および25のいずれかに記載の耐水性のスライドファスナーを有し、前記スライドファスナーの耐水性の層が外側を向いている、耐水性の衣服。」

第4.請求人の主張
1.要点
請求人は、以下の理由により、本件特許を無効にするとの審決を求めている。
その理由の要点は、以下のとおりである。

(1)無効理由1(甲1に基づく新規性及び進歩性欠如)
本件発明1は、甲1に記載された発明である、又は、甲1に記載された発明と甲2ないし5に記載された事項及び周知技術(甲10、11、17の1ないし18)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明2、6、7、12、13、15ないし17、20、21、25ないし27は、甲1に記載された発明である、又は、甲1に記載された発明と甲2ないし5に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明3、14は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである、甲1に記載された発明と甲5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである、又は、甲1に記載された発明と甲2ないし5に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明4、5、18、19は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである、又は、甲1に記載された発明と甲2ないし5に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明8、11、22、24は、甲1に記載された発明と甲5、7、8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである、又は、甲1に記載された発明と甲2ないし5、7、8に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明9は、甲1に記載された発明である、甲1に記載された発明と甲2ないし5に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである、又は、甲1に記載された発明と甲2ないし6に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明10、23は、甲1に記載された発明である、又は、甲1に記載された発明と甲2ないし8に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

以上より、本件発明1、2、6、7、9、10、12、13、15ないし17、20、21、23、25ないし27は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるか、又は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
また、本件発明3ないし5、8、11、14、18、19、22、24は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
よって、本件発明1ないし27に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効にすべきものである。
(請求書の「7.[1](1)」、「7.[3](1)」及び「7.[3](6)」、請求人要領書(2)の「6-2(2)」、請求人要領書(3)の「6(2)イ」、請求人要領書(4)の「6(2-1)」)

(2)無効理由2(甲2に基づく新規性及び進歩性欠如)
本件発明1は、甲2に記載された発明である、又は、甲2に記載された発明と甲1に記載された事項及び周知技術(甲3ないし5、10、11、14の1ないし14の3、17の1ないし19の4)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明2、6、12、13、15ないし17、20、25ないし27は、甲2に記載された発明である、又は、甲2に記載された発明と甲1に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明3ないし5、7、14、18、19、21は、甲2に記載された発明と甲1、5に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明8、11、22、24は、甲2に記載された発明と甲1、5、7、8に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明9は、甲2に記載された発明と甲1、5に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである、又は、甲2に記載された発明と甲1、5、6に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明10、23は、甲2に記載された発明と甲1、5ないし8に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

以上より、本件発明1、2、6、12、13、15ないし17、20、25ないし27は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるか、又は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
また、本件発明3ないし5、7ないし11、14、18、19、21ないし24は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
よって、本件発明1ないし27に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効にすべきものである。
(請求書の「7.[1](2)」、「7.[3](2)」及び「7.[3](6)」、請求人要領書(2)の「6-2(3)」、請求人要領書(3)の「6(2)ウ」、請求人要領書(4)の「6(2-2)」)

(3)無効理由3(甲3に基づく進歩性欠如)
本件発明1は、甲3に記載された発明と甲1に記載された事項及び周知技術(甲5、10、11、14の1ないし14の3、17の1ないし19の4)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明2、4ないし6、12、13、15ないし20、25ないし27は、甲3に記載された発明と甲1に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明3、7、14、21は、甲3に記載された発明と甲1、5に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明8、11、22、24は、甲3に記載された発明と甲1、5、7、8に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明9は、甲3に記載された発明と甲1、5に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである、又は、甲3に記載された発明と甲1、5、6に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明10、23は、甲3に記載された発明と甲1、5ないし8に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

以上より、本件発明1ないし27は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
よって、本件発明1ないし27に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効にすべきものである。
(請求書の「7.[1](3)」、「7.[3](3)」及び「7.[3](6)」、請求人要領書(2)の「6-2(4)」、請求人要領書(3)の「6(2)エ」、請求人要領書(4)の「6(2-3)」)

(4)無効理由4(甲4に基づく進歩性欠如)
本件発明1は、甲4に記載された発明と甲1?甲3に記載された事項及び周知技術(甲5、10、11、14の1ないし14の3、17の1ないし19の4)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明2、4ないし6、12、13、15ないし20、25ないし27は、甲4に記載された発明と甲1?甲3に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明3、7、14、21は、甲4に記載された発明と甲1ないし3、5に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明8、11、22、24は、甲4に記載された発明と甲1ないし3、5、7、8に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明9は、甲4に記載された発明と甲1ないし3、5に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである、又は、甲4に記載された発明と甲1ないし3、5、6に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明10、23は、甲4に記載された発明と甲1ないし3、5ないし8に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

以上より、本件発明1ないし27は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
よって、本件発明1ないし27に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効にすべきものである。
(請求書の「7.[1](4)」、「7.[3](4)」及び「7.[3](6)」、請求人要領書(2)の「6-2(5)」、請求人要領書(3)の「6(2)オ」、請求人要領書(4)の「6(2-4)」)

(5)無効理由5(明確性要件違反)
ア.本件発明12ないし27は、物の発明についての特許であるところ、その特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている。
そして、以下の最高裁判決では、いわゆる「物同一説」が採用されているところ、本件発明12において、「請求項1?11のいずれか1項に記載の方法によって製造される」ことで実現される構成は、請求項12の記載のうち「請求項1?11のいずれか1項に記載の方法によって製造される」との記載を除いた部分の記載により特定される構成からさらに異なる構成を有しているものと考えられるが、その構成がどのようなものであるか理解できない。
ここで、最高裁判決(平成24年(受)第1204号、同2658号)の判示によると、このような場合において、当該特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは、出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られると解するのが相当であるところ、本件発明12ないし27には、このような不可能・非実際的事情が存在しない。
よって、本件発明12ないし27は不明確である。

イ.請求項15ないし17には「前記耐水性の層が、孔あきなしに、少なくとも・・・ストール摩耗サイクルに耐えることができる」との記載があるが、これらの記載は、いずれも達成される効果を記載したものであり、具体的な構成を記載したものではない。
よって、本件発明15ないし17は不明確である。

ウ.請求項25には「前記スライドファスナーが約30cm以下のクラーク硬さを示す」との記載があるが、スライドファスナーのどの部分の硬さを意味しているのか理解できず、さらに、当該記載は達成される効果を記載したものであり、具体的な構成を記載したものではない。
よって、本件発明25は不明確である。

エ.請求項6には「ストリンガテープの全体の強度より大きな接着力」との記載があるが、何を意味するのか不明確である。
よって、本件発明6は不明確である。

オ.請求項9を引用する請求項11には「前記内側層および前記外側層が、」との記載があるが、請求項9にも請求項11にも、当該記載以前に「外側層」なる記載がない。
よって、本件発明11は不明確である。

以上より、本件発明6、11ないし27は特許法第36条第6項2号の要件を満たさないものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効にすべきものである。
(請求書の「7.[3](5)、請求人要領書(2)の「6-1(2)」)
(6)無効理由6(サポート要件違反)
請求項15ないし17には「前記耐水性の層が、孔あきなしに、少なくとも・・・ストール摩耗サイクルに耐えることができる」との記載があり、本件発明15ないし17の特定に「ストール摩耗サイクル」という特殊なパラメータを用いている。
ここで、特殊パラメータのサポート要件に関する知財高判平17年11月11日(平成17年(行ケ)第10042号、パラメータ大合議判決)の判示によると、いわゆるパラメータ発明において、特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するためには、発明の詳細な説明は、その数式が示す範囲と得られる効果(性能)との関係の技術的な意味が、特許出願時において、具体例の開示がなくとも当業者に理解できる程度に記載するか、又は、特許出願時の技術常識を参酌して、当該数式が示す範囲内であれば、所望の効果(性能)が得られると当業者において認識できる程度に、具体例を開示して記載することを要するものと解するのが相当であるところ、本件特許明細書の記載をみても、本件発明15ないし17におけるストール摩耗サイクルの数値が示す範囲と得られる効果(性能)との関係の技術的な意味が、特許出願時において、具体例の開示がなくとも当業者に理解できる程度に記載されておらず、また、特許出願時の技術常識を参酌して、当該数式が示す範囲内であれば、所望の効果(性能)が得られると当業者において認識できる程度に、具体例を開示して記載されていない。
してみると、本件発明15ないし17はサポート要件に適合していない。

よって、本件発明15ないし17は特許法第36条第6項1号の要件を満たさないものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効にすべきものである。
(請求書の「7.[3](7)、請求人要領書(2)の「6-1(2)」)
(7)無効理由7(実施可能要件違反)
ア.本件発明8、22は「前記ポリウレタンフィルムが、前記ストリンガテープに対向して配置されると共に約82PTPU以下のショアA硬度を有する内側層を含む多層構造であって、約93PTPU以上のショアA硬度を有する外側層を有している」ものである。
しかし、内側層と外側層を含む多層構造のポリウレタンフィルムにおいて、内側層と外側層とを分離することができないことから、内側層及び外側層の各々のショアA硬度を測定することはできず、また、ポリウレタンフィルムがストリンガテープに付いた状態ではストリンガテープが硬度に影響を与えるため、ポリウレタンフィルムの内側層及び外側層の各々の硬度を測定することができない。
よって、本件明細書の発明の詳細な説明の記載からでは、本件発明8、22をどのようにして実施するのか理解することができない。

イ.上記(5)イ.のとおり、請求項15ないし17の「前記耐水性の層が、孔あきなしに、少なくとも・・・ストール摩耗サイクルに耐えることができる」との記載は、具体的な構成を記載したものではない。
そして、本件明細書の発明の詳細な説明の記載からでは、耐水性の層が、孔あきなしに、少なくとも200ストール、500ストール及び1000ストール摩耗サイクルに耐えることができるようにするためには、どのように実施するのか理解できない。
よって、本件明細書の発明の詳細な説明の記載からでは、本件発明15ないし17をどのようにして実施するのか理解することができない。

よって、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明8、15ないし17、22に関して、特許法第36条第4項1号の要件を満たさないものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効にすべきものである。
(請求書の「7.[3](8)、請求人要領書(2)の「6-1(2)」)

2.証拠方法
請求人が提出した証拠方法は、以下のとおりである。
甲1ないし8は審判請求時に、甲9ないし甲11は要領書(1)の提出時に、甲12ないし32は要領書(2)の提出時に、甲33ないし36は要領書(3)の提出時に、提出されたものである。
なお、甲23、36の「◎」は、○の中に「R」と書く記号を意味する。
また、被請求人は、甲1ないし25の2、27ないし29、31、33、34の成立を認め、甲26、30の1ないし30の4、32、35の1ないし36の成立についても争わなかった(被請求人要領書(2)の「6-1(1)」及び「6-2(1)」、被請求人要領書(3)の「6(1)」、被請求人要領書(4)の「6(1)」)。

甲1 国際公開98/18359号
甲2 特表平7-500515号公報
甲3 米国特許第4308644号明細書
甲4 特公昭56-53361号公報
甲5 米国特許第5709766号明細書
甲6 特開平10-243807号公報
甲7 米国特許第3711903号明細書
甲8 米国特許第3993725号明細書
甲9 「大辞林 第二版 新装版」、株式会社三省堂、1999年10月1日第一刷発行、280、1420、1444、2282頁
甲10 実願昭59-87882号(実開昭61-5119号)のマイクロフィルム
甲11 特開昭60-246704号公報
甲12 「大辞林 第二版 新装版」、株式会社三省堂、1999年10月1日第一刷発行、271、1687頁
甲13 「郁文堂 独和辞典」、株式会社郁文堂、1993年2月1日第2版第1刷発行、1704、1705、1828頁
甲14の1 特開平6-256733号公報
甲14の2 特開平5-272062号公報
甲14の3 特開平10-110153号公報
甲15 特許庁、”明細書及び特許請求の範囲の記載要件の改訂審査基準”1?57頁
甲16 ウェブページ「J-PlatPat」(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage)における「ストール」かつ「磨耗サイクル」たる文言が特許明細書で用いられている特許文献の検索結果
甲17の1 特開平9-111671号公報
甲17の2 特開平8-66903号公報
甲18 実願昭59-68414号(実開昭60-180516号)のマイクロフィルム
甲19の1 特開昭59-108502号公報
甲19の2 特開昭59-111705号公報
甲19の3 特開昭64-46402号公報
甲19の4 実公平4-34727号公報
甲20 大木道則他編集、「化学大辞典」、株式会社東京化学同人、第1版第5刷 1998年6月1日、「ビニル樹脂」の頁
甲21の1 株式会社KDAウェブページ「PVC(ポリ塩化ビニル)樹脂基本情報」(http://www.kda1969.com/materials/pla_mate_pvc.htm)
甲21の2 ダイヤモンドホイール・ダイヤモンド砥石・CBN工具・CBN砥石と研削研磨の情報サイト ウェブページ「ポリ塩化ビニル(PVC)の物性と用途、特性について」(http://www.toishi.info/sozai/plastic/pvc.html)
甲22 「大辞林 第二版 新装版」、株式会社三省堂、1999年10月1日第一刷発行、280、1444、2681頁
甲23 日本ミラクトラン株式会社ウェブページ、”熱可塑性ポリウレタンエラストマー「ミラクトラン◎」 標準品Eタイプ 特性一覧表”、”熱可塑性ポリウレタンエラストマー「ミラクトラン◎」 標準品Pタイプ 特性一覧表”(http://www.miractran.co.jp/images/pdf/20140415_miractranCatalog.pdf#search=%27Miractran+%E7%86%B1%E5%8F%AF%E5%A1%91%E6%80%A7%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%AC%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%A8%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%BC+%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%27)
甲24 weblio辞書ウェブページ、「軟化点」(http://www.weblio.jp/content/%E8%BB%9F%E5%8C%96%E7%82%B9)(検索日2017年1月10日)
甲25の1 特開平9-302219号公報
甲25の2 特開平9-302060号公報
甲26 旭化成株式会社ポリエチレン事業部サンファイン営業部ウェブページ、”サンファイン技術資料:PE004 ポリエチレンの基礎知識(4)”(http://www.ak-sunfine.com/jpn/PEpdf/pe-004.pdf)
甲27 特開平1-288439号公報
甲28の1 特開平7-266373号公報
甲28の2 特公昭60-16344号公報
甲28の3 特開平8-127531号公報
甲28の4 特公平6-41599号公報
甲28の5 実願平3-106234号(実開平5-53074号)のCD-ROM
甲29 特開2001-233161号公報
甲30の1 「スライド・ファスナー専科」、吉田工業株式会社、8、9、16、17頁、1986年
甲30の2 ”販促ツール(印刷物)作成マニュアル”、2013年11月8日更新
甲30の3 「Fastening ファスニング」、YKK吉田工業株式会社、10、11、20、21頁、1991年
甲30の4 「FASTENING専科」、YKK、10、11、14、15、28、29頁、1995年
甲31 日本ミラクトラン株式会社ウェブページ「カタログ」(http://www.miractran.co.jp/product/catalog.html)(検索日2017年1月30日)
甲32 「This is YKK 2016-2017会社概要」、YKK株式会社
甲33 特願2008-136701の平成23年9月1日付け意見書
甲34 特願2008-136701の平成24年8月2日付け意見書
甲35の1 Peter Durst、”PU Transfer Coating of Fabrics for Leather-Like Fashion Products”、JOURNAL OF COATED FABRICS、Volume 14、1985年4月、227?241頁
甲35の2 科学技術振興機構 科学技術総合リンクセンター「J-GLOBAL」ウェブページでの検索結果(http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/200902009311722459)
甲36 「オータイト◎ TZ水密・気密ファスナー 8CWT簡易防水ファスナー」、YKK株式会社、1996年

第5.被請求人の主張
1.要点
これに対し、被請求人は、本件審判請求は成り立たないとの審決を求めている。(答弁書の「6」)

2.証拠方法
被請求人が提出した証拠方法は、以下のとおりである。
乙1ないし4は要領書(2)の提出時に、乙5及び6は要領書(3)の提出時に、提出されたものである。
なお、乙1ないし乙6の成立に争いはない(請求人要領書(4)の「6(1)」)。

乙1 ”ABRASION RESISTANCE OF CLOTH; INFLATED DIAPHRAGM (STOLL) METHOD (METHOD 5302)”、1978年7月20日
乙2 ”STIFFNESS OF CLOTH, DIRECTIONAL; SELF-WEIGHTED CANTILEVER METHOD(METHOD 5204)”、1978年7月20日
乙3 「大辞林 第二版 新装版」、株式会社三省堂、2005年6月10日第四刷発行、873頁
乙4 「マグローヒル科学技術用語大辞典 第3版」、株式会社日刊工業新聞社、1996年9月30日第3版1刷発行、1000頁
乙5 「大辞林 第二版 新装版」、株式会社三省堂、2005年6月10日第四刷発行、1308頁
乙6 「大辞林 第二版 新装版」、株式会社三省堂、2005年6月10日第四刷発行、1527頁

第6.無効理由1ないし4(新規性進歩性欠如)についての当審の判断
1.本件発明について
(1)本件発明1ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27は、上記第3.のとおりであるところ、本件発明1の「第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に前記第1の面の端部に沿って配置された一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープであってストリンガテープ間に第1の分割線を有する一対のストリンガテープ」について、請求人は、(a)本件の図1に記載されているように、第1の面に、その端部に沿って把持部材構成要素を有し、把持部材構成要素が係合している状態でストリンガテープ間に空間を有さないもの、だけでなく、(b)ストリンガテープ間に把持部材構成要素を有し、把持部材構成要素が係合している状態でストリンガテープ間に把持部材構成要素が存在するための空間を有するもの、も含まれると主張し、被請求人は、上記(b)のものは含まれず(a)のもののみが含まれると主張する(請求人要領書(1)の「6(1)ア」、被請求人要領書(1)の「6(1)」)。

また、本件発明1の「前記第2の面上に固体シートとして前記耐水性の層を接着、積層、転写コーティング、または転写して積層する」について、請求人は、第2の面上に耐水性の層が接するタイミングで、当該耐水性の層は、固体シートになっていないものも含まれると主張し、被請求人は、第2の面上に耐水性の層が接するタイミングで、当該耐水性の層は、既に固体シートの形態である(液体状態ではない)と主張する(請求人要領書(1)の「6(1)イ」、被請求人要領書(1)の「6(2)」)。

そこで、まずこれらの点について、検討する。

(2)本件特許明細書には、以下の記載がある。
ア.「【0001】
本発明は、耐水性(防水性)のスライドファスナーおよびその作成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高機能(高性能)の上着、ジャケット(上衣)、コート、パンツ、手袋、バックパック(背負い袋)、デイパック(小型ナップサック)、テントなどは、種々の状況および用途において広く使用されている。これらの物品は、通常は、所要の防水性ないし耐水性の材料で作られているが、漏れの原因となる、ジッパーなどの封止部材(closure )あるいはスライドファスナーを必要とする。
・・・
【0010】
別のフラップな他の構造の必要がなくて快適な外観を維持しつつ、また外側の摩耗による性能低下に耐えながら、水の通過に耐えることができる(防水性のある)、簡単で耐久性のあるスライドファスナーに対する必要性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
よって、本発明の主要な目的は、水の通過に対する優れた防水性を提供する耐水性(防水性)のスライドファスナーを提供することにある。」

イ.「【0019】
図1は、本発明によるスライドファスナー10の断面図を示したものである。スライドファスナー10は、スライドファスナー構造体12、およびそれぞれ対向する面18、20を有するストリンガテープ14、16を含んでいる。スライドファスナー構造体12の把持部材ないしコイル状構造体22は、例えばステッチ(stitch)48を使用して、対向する面18の両端部に取り付けられている。本発明によるスライドファスナー10は、好ましくはプリウレタンフィルムである、耐水性(防水性)の材料からなるシート、フィルムあるいは層26を、ストリンガテープ14、16の面20に積層ないしラミネートしたものである。
【0020】
ポリウレタンフィルムは、好ましくは、固形のシートしてストリンガテープ14、16に積層され、転写コーティング(transfer coat)され、あるいは転写され積層され、またストリンガテープ14、16の分割線44と実質的に一致するフィルム26の分割線を提供するために切断線42が設けられている。水の透過に対する優れた抵抗性を提供するために好ましくは機能する端面52、54の間の接触ないし略接触を提供するために本質的に適度に方形である端面52、54をそれぞれ有するフィルムのセクション50を提供するために、フィルム26および切断線42は好ましくは設けられる。
【0021】
・・・ポリウレタンの積層された層26を含む本発明によるスライドファスナー10は、前記したポリウレタンはストリンガテープに液体コーティング(solution coat)されている米国特許第4、888、859号に開示されたような構造に比べて、本発明による積層された層26がストリンガテープ14、16に対して非常に大きな接着強度を有し、さらにこのような液体コーティングに比べて優れた摩耗抵抗性を有している点において、有利である。
【0022】
ストリンガテープ14、16に耐水性(防水性)の材料の固体(固形)のシートを積層することはまた、しばしば溶体コーティングプロセスを使用して不十分に被覆された、ステッチ48を均一に覆うために好都合に使用される。・・・」

ウ.「【0030】
本発明によれば、スライドファスナー構造体12は、好適には、実質的に平行な構成で配置されたストリンガテープ14、16を有しており、その一方の対向する面18上、あるいはテープ14、16の内端に沿って、把持構造体22が配置されている。スライドファスナー構造体12は、例えば、図2に図式的に示された適当なスライドファスナー構造体のロール24から供給される。
【0031】
図2をさらに参照して、好ましくはポリウレタンフィルムである、耐水性(防水性)フィルムのシートあるいは層が供給され、およびストリンガテープ14、16の対向する面20に結合ないし積層されて、本発明に係る所望の耐水性(防水性)のスライドファスナー構造体10が提供される。
【0032】
図2に示されたように、ポリウレタンフィルム26は、好ましくは、例えばロール28から、積層ステーション30に向かって供給され、そこでスライドファスナー構造体12に積層ないし結合される。積層ステーション30に到達する前に、ポリウレタンフィルム26の一方の面が例えばステーション32において処理されて、スライドファスナー構造体12の対向する面20と接触するポリウレタンフィルムの表面上にポリウレタンの接着ないし結合物質が供給され、次いで積層ステーション30において直ちに一緒に積層される。」

エ.「【0044】
積層ステーション30から、ポリウレタンコーティングされたスライドファスナー構造体38(図2)が次の処理ステーション40に渡され、そこでポリウレタンフィルム26は加硫(硬化、養生)され、および/または、好ましくは把持部材構造体22の分割線44に実質的に平行な線42(図3)に沿って切断される。これは、単純なナイフ構造体46(図3参照)あるいは同様な構造体を使用して行われる。フィルム26をストリンガテープ14,16に積層した後に切断線42を設けることで、本発明の耐水性(防水性)のスライドファスナー10が閉じられ時にその他の方形の端部あるいは面54に接着あるいは近接して隣接するポリウレタンフィルムの平らな面52(図1)に適度に方形な端部を提供できる。このことは、耐水性(防水性)のスライドファスナー10の把持構造体22を通る水の通過に対する優れた抵抗性が提供される。
【0045】
本発明は、耐水性(防水性)のポリウレタン層が積層され、ストリンガテープの布に耐水性(防水性)層が良好に接着された、耐水コーティングされたスライドファスナー構造体10を提供するものであり、これにより、例えば衣服内にポリウレタン層26を衣類内で外方に面して好都合に配置できる、スライドファスナー構造体10を提供される。これは、従来のコーティングされたスライドファスナー構造体では、このようなコーティングは摩耗、洗濯、あるいはその他のすり減りや切れにより外れ易く、よって衣類上で内方を面して配置するか、あるいはフラップや他の構造物によりカバーししなければならなず、通常は不可能であった。このことは、衣服内でポリウレタンコーティングされた面20が外方に向いて配置されるので、(1)コイル状構造体およびステッチの摩耗抵抗が長期間持続する、(2)ポリウレタンフィルによりコイル状物を被覆する可視構造により耐水性(防水性)の高い認識が得られる、(3)耐水性(防水性)が増大する、および(4)従来技術の構造体では許されていたストリンガテープを通っての衣服内への水のウィッキングが回避される点において、特に有用である。本発明によるスライドファスナー10はまた、従来技術において使用されたしばしば嵩張り、また重さや剛性が増えるフラップを完全になくすことができる。同様に、把持構造体22の分割線44に平行な切断線42に沿ってポリウレタンコーティングないしフィルムを実質的に隣接させる構成であるので、把持構造体22を通って流れる水に対する優れた耐水性(防水性)を提供できる。さらに、このような配置により、把持コイル状物22およびこれらを縫い合わせる糸を内側のシールドされた位置内に配置できるようになる。」

オ.段落【0019】の記載を踏まえると図1から、ストリンガテープ14の面18のストリンガテープ16側端部、及び、ストリンガテープ16の面18のストリンガテープ14側端部のそれぞれに沿ってコイル状構造体22が設けられ、それぞれのコイル状構造体22が互いに係合している状態でストリンガテープ14、16間に空間を有さない構成が、見てとれる。

(3)請求項1の記載によると、本件発明1ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27は、「耐水性のスライドファスナー」(構成要件A)に関するものであり、その耐水性は「第2の面上の耐水性の層」(構成要件B)によってもたらされているところ、当該耐水性の層は、「第2の面上に固体シートとして前記耐水性の層を接着、積層、転写コーティング、または転写して積層すること、前記耐水性の層を前記ストリンガテープに対して少なくとも約6lb/in(0.107kg/mm)の接着力で接着すること」(構成要件D、E)により生成される一方で、「第1の分割線と平行に配置され且つ一致する第2の分割線」が「前記固体シートに切断」されている。
ここで、本件における「耐水性」とは、上記(2)ア.の段落【0010】、【0011】の「水の通過に耐えることができる(防水性のある)、簡単で耐久性のあるスライドファスナーに対する必要性がある。」、「本発明の主要な目的は、水の通過に対する優れた防水性を提供する耐水性(防水性)のスライドファスナーを提供することにある。」との記載から、スライドファスナーを水が通過しないことを意味すると解される。
してみると、本件発明1が、固体シートとしての耐水性の層により、スライドファスナーに耐水性、すなわち、水を通過しないとの作用を奏するためには、把持部材構成要素が係合している状態で、第2の分割線によって切断された固体シート間に水が通過するような空間を有さないことが必要であり、このような第2の分割線は、幅を有さないものであることは明らかである。
そして、本件発明1の第2の分割線は、「第1の分割線と平行に配置され且つ一致する」(構成要件F)ものであるから、第1の分割線もまた幅を有さないもの、すなわち、把持部材構成要素が係合している状態で、ストリンガテープ間に空間を有さないものである。
よって、本件発明1の「第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に前記第1の面の端部に沿って配置された一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープであってストリンガテープ間に第1の分割線を有する一対のストリンガテープ」とは、(a)本件の図1に記載されているように、第1の面に、その端部に沿って把持部材構成要素を有し、把持部材構成要素が係合している状態でストリンガテープ間に空間を有さないもののみであり、(b)ストリンガテープ間に把持部材構成要素を有し、把持部材構成要素が係合している状態でストリンガテープ間に把持部材構成要素が存在するための空間を有するものは含まれないと解される。
そして、この解釈は、本件特許明細書に、本件の図1に記載されているように、第1の面に、その端部に沿って把持部材構成要素を有し、把持部材構成要素が係合している状態でストリンガテープ間に空間を有さない実施例が記載されていること(上記(2)オ.)や、上記(2)エ.の段落【0044】、【0045】の、第2の分割線が「単純なナイフ構造体46(図3参照)あるいは同様な構造体を使用して」切断されるものであり、「把持構造体22の分割線44に平行な切断線42に沿ってポリウレタンコーティングないしフィルムを実質的に隣接させる構成であるので、把持構造体22を通って流れる水に対する優れた耐水性(防水性)を提供できる。」との記載とも整合する。
また、本件特許明細書や図面に「把持部材構成要素が係合している状態でストリンガテープ間に把持部材構成要素が存在するための空間を有するもの」は記載されていない。

この点、請求人は、発明の要旨認定は特許請求の範囲の記載に基づいてなされる必要があるところ、「線」には「糸のように長く連続したすじ」というような意味しかなく(甲9)、「線」が幅を有さないというような意味は存在していないから、「第1の分割線」が幅を有するもの、すなわち、ストリンガテープ間に空間を有するものも含まれると主張する。
しかし、仮に、「第1の分割線」が幅を有するもの、すなわち、ストリンガテープ間に空間を有するものであるとすると、「前記第1の分割線と平行に配置され且つ一致する第2の分割線を前記固体シートに切断すること」(構成要件F)により、第2の分割線も幅を有するもの、すなわち、固体シート間に空間を有するものとなるところ、このようなものは上記のとおり、当該空間を水が通過するので耐水性があるとはいえないから、「耐水性のスライドファスナー」(構成要件A)ということはできない。
したがって、上記請求人の主張は失当である。

以上から、本件発明1ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27において、「第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に前記第1の面の端部に沿って配置された一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープであってストリンガテープ間に第1の分割線を有する一対のストリンガテープ」とは、(a)本件の図1に記載されているように、第1の面に、その端部に沿って把持部材構成要素を有し、把持部材構成要素が係合している状態でストリンガテープ間に空間を有さないもののみであり、(b)ストリンガテープ間に把持部材構成要素を有し、把持部材構成要素が係合している状態でストリンガテープ間に把持部材構成要素が存在するための空間を有するものは含まれないと解される。

(4)本件発明1の「前記第2の面上に固体シートとして前記耐水性の層を接着、積層、転写コーティング、または転写して積層する」との特定より、接着、積層、転写コーティング、または転写して積層されるものは、「固体シートとして」の「耐水性の層」である。当該特定は、第2の面上に耐水性の層が接するタイミングで、当該耐水性の層は、既に固体シートの形態である(液体状態ではない)と解するのが文理上、自然である。
そして、この解釈は、本件特許明細書の実施例として、面20(第2の面)上にポリウレタンフィルム26(耐水性の層)を積層ないし結合する積層ステーション30に向かって、ポリウレタンフィルム26(耐水性の層)がフィルム、すなわち、固体シートの形態で供給されることが記載されている(上記(2)ウ.)こととも整合する。
また、当該解釈と矛盾するような記載は、本件特許明細書及び図面にない。

この点、請求人は、請求項1には、固体シートとして前記耐水性の層を「転写コーティング」することが記載されており、請求項9の「ポリウレタン接着剤、結合剤ないしホットメルト接着剤からなる内側層によってコーティングされる」との記載より、本件特許明細書において「コーティング」は何らかの膜を表面に塗る際に用いられる用語といえるから、第2の面上に耐水性の層が接するタイミングで、当該耐水性の層は、固体シートになっていないものも含まれると主張する。
しかし、本件特許明細書では、上記(2)イ.の段落【0020】の「転写コーティング(transfer coat)」との記載とは別に、段落【0021】に「液体コーティング(solution coat)」との記載があることから、本件特許明細書において「コーティング」との用語が、何らかの膜を表面に塗ること、すなわち、対象物上に提供されるものが液体であることに限って用いられている用語であるとは認められない。そして、「コーティング」との用語は、液体や気体を対象物上に提供して被膜を作成する際に使用されることが多い用語ではあるが、対象物上に提供されるものが固体であることを除外するものではない(乙4)。
よって、請求項1に、固体シートとして前記耐水性の層を「転写コーティング」することが記載されていることのみを根拠として、第2の面上に耐水性の層が接するタイミングで、当該耐水性の層は、固体シートになっていないものも含まれるとすることはできない。

以上から、本件発明1ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27において「前記第2の面上に固体シートとして前記耐水性の層を接着、積層、転写コーティング、または転写して積層する」とは、第2の面上に耐水性の層が接するタイミングで、当該耐水性の層は、既に固体シートの形態である(液体状態ではない)ことであると解される。

2.証拠記載事項
(1)甲1
甲1には、以下が記載されている。
ただし、aウムラウト等を「ae」等と代用表記し、エスツェットは「ss」と代用表記する。

ア.「METHOD FOR THE PRODUCTION OF A WATERPROOF AND GASPROOF ZIP FASTENER」(表紙最下欄のTitle)
(日本語訳(訳は、請求人提出の甲1の翻訳を参考に当審が作成した。以下同様。))
「防水性および気密性を持つファスナの製造方法」

イ.「The invention relates to a waterproof and gasproof zip fastener, more particularly a spiral zip fastener made of synthetic material, in which the spirals are coated with a thermoplastic elastomer which in each case is placed topside on the meeting edges of the zip fastener strips in the form of a profiled coating. The profiled coatings, which are deposited by an injection moulding procedure, are adjacently positioned and become tight under pressure when the zip fastener is closed.」(表紙最下欄のAbstract)
(日本語訳)
「本発明は、特にプラスチック製スパイラル・ファスナであって、スパイラル部が熱可塑性エラストマにより押出しコーティングされ、これがそれぞれ角材状コーティング部材として両ファスナ・テープの相互に突合うエッジ上に取付けられており、ここで前記角材状コーティング部材がファスナの締結状態では圧着されて相互密着に接面し、また前記コーティングが射出成形法により取付けられている防水性および気密性を持つファスナの製造方法を提供する。」

ウ.「Die Erfindung betrifft einen wasser- und gasdichten Reissverschluss mit den Merkmalen des Oberbegriffs des Anspruchs 1.」(1頁9?11行)
(日本語訳)
「本発明は請求項1記載の上位概念の特徴を持つ防水性および気密性を持つファスナの製造方法に関する。」

エ.「Aufgabe der vorliegenden Erfindung ist es, ein verbessertes Verfahren zur Herstellung eines wasser- und gasdichten Reissverschlusses zu schaffen, bei dem mit einfachen Mitteln ein solcher Reissverschluss preisguenstig mit vollstaendiger Dichtigkeit hergestellt werden kann.

Erfindungsgemaess wird ein geschlossener Reissverschluss, bestehend aus zwei Reissverschlussbaendern mit spiralfoermigen Reissverschlusshaelften aus Kunststoff, im Spritzgussverfahren hergestellt.

Der Reissverschluss wird in einem schrittweisen Vorschub abschnittsweise umspritzt.

Weiter wird mindestens waehrend des Spritzvorgangs eine laterale Zugkraft auf die Reissverschlussbaender ausgeuebt.

Erfindungsgemaess ist das Beschichtungsmaterial ein thermoplastisches Polyurethan, wobei die Beschichtung vor der ersten Trennung der Reissverschlussbaender wenigstens oben in Oeffnungsrichtung vorgeschlitzt wird. Die untere Beschichtung schliesst im wesentlichen mit der Unterseite der Reissverschlussbaender ab.」(1頁20行?2頁2行)
(日本語訳)
「本発明の課題は、簡略な手段によりこのようなファスナが、廉価でまた完全な密閉性を持たせて製造できる、防水性および気密性を持つファスナの改良された製造方法を提供することである。
本発明によれば、プラスチック製でスパイラル状のファスナ半片を持つ2本のファスナ・テープから成る締結状態のファスナが製造される。
前記ファスナは、徐々に送り出されて段階的に押出し成形される。
さらには少なくとも押出し工程中に前記両ファスナ・テープに側面引張力がかけられる。
本発明によれば、前記コーティング部材は熱可塑性ポリウレタンであり、ここで前記成形は両ファスナ・テープの最初の分離前に、少なくとも上部から開口方向に予め切れ目が入れられる。前記コーティング部材下部は本質的(実質的)には前記ファスナ・テープ下側と共に閉じている。」

オ.「Fig. 1 zeigt schematisch einen beschichteten Reissverschluss, bestehend aus zwei Reissverschlussbaendern mit einem geschlossenen Spiralreissverschluss, der mit einer Beschichtungsmasse 2 umspritzt ist, wobei sich oben ein kastenfoermiges Profil aus dem Beschichtungsmaterial befindet und die untere Beschichtung im wesentlichen plan mit der Unterseite der Reissverschlussbaender ist. Der Reissverschluss ist ein abgelaengter Abschnitt eines schrittweise im Takt durch ein Spritzgiessverfahren hergestellten Reissverschlussstranges.」(3頁24?32行)
(日本語訳)
「第1図はコーティング・コンパウンド2が押出しコーティングされた、締結状態の1個のスパイラル・ファスナを持つ2本のファスナ・テープから成る1個のファスナの概略を示す図である。ここで上部には角材状の前記コーティング部材があり、また前記コーティング部材下部は本質的に(実質的に)前記両ファスナ・テープ下側と同一面となっている。前記ファスナは、徐々に段階的に射出成形法により製造された長尺ファスナを切断したものである。」

カ.「In Fig. 3 ist der Schnitt 5 angedeutet, mit dem die beiden Teilstraenge der Beschichtung 2 getrennt sind.」(3頁39行?4頁1行)
(日本語訳)
「第3図では、前記コーティング部材2の両テープ部分を分割する前記切込み5が示唆されている。」

キ.「1. Verfahren zur Herstellung eines wasser- und gasdichten Reissverschlusses, insbesondere eines Spiralreissverschlusses aus Kunststoff,
bei dem die Spiralen von einem thermoplastischen Elastomer umspritzt sind, das jeweils oben als profilartige Beschichtung an den aneinanderstossenden Kanten der Reissverschlussbaender aufliegt,
und wobei die profilartigen Beschichtungen bei geschlossenem Reissverschluss unter Spannung dichtend aneinander anliegen,
d a d u r c h g e k e n n z e i c h n e t,
dass die Beschichtung ( 2 ) durch ein Spritzgussverfahren aufgebracht ist.」(請求項1)
(日本語訳)
「1.特にプラスチック製スパイラル・ファスナであって、スパイラル部分が熱可塑性エラストマで押出しコーティングされ、これが角材状コーティング部材としてファスナ・テープの相互に突合うエッジ上に取付けられており、ここで角材状コーティング部材がファスナの締結状態では圧着されて相互密着に接面する防水性および気密性を持つファスナの製造方法において、前記コーティング部材(2)が射出成形法により取付けられていることを特徴とする防水性および気密性を持つファスナの製造方法。」

ク.「4. Verfahren zur Herstellung eines wasser- und gasdichten Reissverschlusses nach einem der vorhergehenden Ansprueche,
d a d u r c h g e k e n n z e i c h n e t,
dass das Beschichtungsmaterial ein thermoplastisches Polyurethan ist.」(請求項4)
(日本語訳)
「4.前記コーティング部材は、熱可塑性ポリウレタンであることを特徴とする請求項1ないし3記載の防水性および気密性を持つファスナの製造方法。」

ケ.「17. Verfahren zur Herstellung eines wasser- und gasdichten Reissverschlusses nach Anspruch 1,
d a d u r c h g e k e n n z e i c h n e t,
dass die Reissverschlussbaender vor der Beschichtung mit einer Vorbeschichtung oder Laminierung versehen sind.」(請求項17)
(日本語訳)
「17.前記両ファスナ・テープは、前記コーティングの前にプレ・コーティングないしラミネートを施されることを特徴とする請求項1記載の防水性および気密性を持つファスナの製造方法。」

コ.「18. Verfahren zur Herstellung eines wasser- und gasdichten Reissverschlusses nach Anspruch 17,
d a d u r c h g e k e n n z e i c h n e t,
dass die Vorbeschichtung oder Laminierung Haftwerte von bis zu ueber 180 N/5 cm (DIN) aufweist.」(請求項18)
(日本語訳)
「18.前記プレ・コーティングまたはラミネートは、180N/5cm(DIN)以上の付着力を有することを特徴とする請求項17記載の防水性および気密性を持つファスナの製造方法。」

サ.FIG1ないし4より、2本のファスナ・テープが第1および第2の対向する面をそれぞれ有し、平行に配置されることが見てとれる。

(2)甲2
甲2には、以下が記載されている。

ア.「1.それぞれが1本のファスナーテープと接着された歯列から成り、該歯列がスライダを介して係合し再び分離するようにし、ファスナーが歯列領域にシーリング手段を具備し、前記ファスナーが閉じた状態で前記シーリング手段が防水的に相互に密着する防水性ファスナーにおいて、前記シーリング手段はそれぞれの歯の間に存在する弾性のゴムまたはプラスチック材料であり、前記弾性のゴムまたはプラスチック材料と前記ファスナーテープとの間及び場合により歯と歯の間を、接着または加硫によって緊密に接合したことを特徴とする防水ファスナー。」(2頁請求項1)

イ.「3.プラスチック材料がポリウレタンであることを特徴とする請求項1に記載の防水ファスナー。
4.歯列がプラスチック製ラセンから成ることを特徴とする請求項1に記載の防水ファスナー。」(2頁請求項3、4)

ウ.「6.防水ファスナーを製造する方法であって、
-ファスナーをファスナーテープとともに閉じた状態で液体状態の弾性熱可塑性材料に浸漬して該弾性可塑性材料でコートする工程と、
-前記ファスナーを冷却ステーションに送り、該冷却ステーションで、係合した歯先がはずれない程度に相互に圧迫し合うように両方のテープに同時に両側から逆方向の力を加えて牽引することによって、プラスチックから成る熱可塑性材料が歯と歯の間の歯先の部分で押しのけられ、残留応力の下に置かれたファスナーの部分では、両歯列の間及び両歯列の熱可塑性材料が引き続き均質な状態で接合したまま残るようにする工程と、
-前記ファスナーを歯止めステーションから送り出しステーションに案内し、キーを介して前記ファスナーを続けて開き、ここで、前記キーの位置または該位置の手前に熱可塑性の材料を切断するナイフを配設した工程と、
-完成した防水ファスナーを再び閉じる工程とから成ることを特徴とする方法。」(2頁請求項6)

エ.「本発明は請求項1に記載の上位概念を指標とする防水ファスナー及びかかるファスナーの製造方法に関する。
それぞれが1本のファスナーテープと接続された2つの歯列から成り、かかる歯列がスライダによって相互に係合して再び分離することができ、ファスナーが歯列領域においてシーリング手段を具備し、ファスナーが閉じた状態でこのシーリング手段が互いに密着して必然的に漏止めとして機能する防水ファスナーは広く知られている。」(3頁左上欄4?11行)

オ.「このため、本発明の課題は、安価な従来のファスナータイプを踏襲しながら防水性のファスナーを提供することにある。本発明の課題はさらに、かかるファスナーを製造する方法を示すことにある。」(3頁左上欄21?23行)

カ.「本発明によれば、周知のあらゆる種類のファスナーを使用することができる。・・・本発明の方法にとって、歯をシーリング手段と接着しないことが重要であるため、PTFEがこれを拒絶する特性を存することは好ましい条件である。」(3頁右上欄16?26行)

キ.「防水ファスナーを製造する本発明の方法は、ある実施態様によれば、次の工程から成る。
-ファスナーをファスナーテープとともに閉じた状態で液体状態の弾性熱可塑性材料に浸漬してこれでコートする。
-ファスナーを冷却ステーションに送り、ここで係合した歯先がはずれない程度に相互に圧迫し合うように両方のテープに両側から逆方向の力を加えて牽引することによって、プラスチックから成る熱可塑性材料が歯と歯の間の歯先の部分では押しのけられ、残留応力の下に置かれたファスナーの部分では、両歯列の間及び両歯列の熱可塑性材料が引き続き均質な状態で結合したまま残る。
-ファスナーを歯止めステーションから送り出しステーションに案内し、キーを介してファスナーを続けて開き、ここで、キーの位置またはその手前に熱可塑性の材料を切断するナイフを配設しておく。
-完成したファスナーを再び閉じる。」(3頁右上欄27行?左下欄12行)

ク.「次に、フローチャート(図1)を参照しながら本発明の好ましい実施態様を詳細に説明する。
大量生産した(例えば、切り売りの)ファスナー、好ましくはプラスチック製ラセンファスナーをまず展開ステーションに置く。・・・
閉じたファスナーを押し出し機のノズルに導き、ここでファスナーを液体状態の熱可塑性プラスチック材料、好ましくはポリウレタンに浸漬しこれによってコートする。
この工程の前でもよいが、好ましくはこの工程の直後にファスナーテープを厳密に横方向に牽引し、これによって係合している歯先がはずれない程度に相互に圧迫し合うようにする。可塑化する熱可塑性プラスチック材料は同時に例えば水浴のような冷却ステーションに案内し、歯の間の歯先から除去されるか、またはファスナーテープをコートする前に横方向に牽引されてもはや歯先には残っていない。
・・・
ファスナーは冷却ステーションから引き続き、歯止めステーションへ導かれ、次に送り出しステーションに導かれ、これによって縦方向の力を受ける。歯止めステーションと送り出しステーションとの間には、分離並びに切断キーが配設されるか、または分離並びに切断ステーションが配設されている。分離キーは、例えば1個から8個というように一定数の歯を連続して開く。これによって、熱可塑性の弾性プラスチック材料を引き離し、キーの位置またはキーの手前でナイフによってファスナーの歯を損傷することなく切断することが可能である。」(3頁右下欄16行?4頁左上欄下から4行)

ケ.「本発明の方法により製造したファスナーは、その歯列のそれぞれの歯の間に熱可塑性の弾性プラスチック材料が存在し、ファスナーが閉じた状態で相互に強く圧迫し合う。ファスナーテープも熱可塑性材料でコートしているため、製造が容易で特に安価な防水ファスナーが得られる。」(4頁右上欄7?11行)

(3)甲3
甲3には、以下が記載されている。

ア.「The sealing gasket is carried by the elements on the side opposite the slider.」(ABSTRACTの8?10行)
(日本語訳)
「密閉ガスケットは、スライダと反対側で、エレメントによって支持される。」

イ.「BRIEF DESCRIPTION OF THE DRAWINGS
FIG. 1 is a fragmentary perspective view of a sealing zipper incorporating the invention.
FIG. 2 is an end view of two opposing elements in the separated position.
FIG. 3 is a sectional view of a sealing zipper showing the slider, the chain, and the gasket when separated.
FIG. 4 is the view of FIG. 3 but with the elements interlocked.
FIG. 5 is an enlarged perspective view of the underside of the slider.
FIG. 6 is a perspective view of the sealing gasket after slitting.
FIG. 7 is a modified construction showing an end view of an alternate element with mechanical means for attaching the sealing gasket.
FIG. 8 is a modified construction in the open position showing alternate slots to track the slider.
FIG. 9 is the same construction as shown in FIG. 8 but in the closed position.」(1欄55行?2欄7行)
(日本語訳)
「図面の簡単な説明
図1は、本発明に係る密閉ファスナーの要部斜視図である。
図2は、2つの対向するエレメントを分離位置で示す端面図である。
図3は、分離時のスライダ、チェーン、及びガスケットを示す密閉ファスナーの断面図である。
図4は、図3と同様だが、エレメントを相互に組み合わせたときの図である。
図5は、スライダの下側からの拡大斜視図である。
図6は、切り開いた後の密閉ガスケットの斜視図である。
図7は、修正した実施形態の図であって、密閉ガスケットを取付けるための機械的手段を有する別のエレメントの端面図である。
図8は、スライダを追従させるための別の凹部を示す、開口位置での修正した実施形態の図である。
図9は、図8に示した構造と同じだが、閉鎖位置のときの図である。」

ウ.「In the exemplary embodiment of the invention as shown in FIG. 1, a closed top end zipper generally designated 10 is shown to comprise an interdigitating zipper chain 11 with tapes 12 and 12a and a sealing gasket 13 with impermeable tapes 14 and 14a. Referring to FIG. 2, elements 19 and 19a have slots 18 and 18a adjacent the tapes 12 and 12a. ・・・
The zipper chain 11 is composed of two interlocking halves having elements 19 and 19a die cast, molded or otherwise formed and attached to zipper tapes 12 and 12a. 」(2欄11?25行)
(日本語訳)
「図1に本発明の例示的な実施形態を示しているが、符号10で概略的に示した上方端部閉鎖のファスナーは、テープ12及び12aを伴って相互に噛合うファスナーチェーン11と、不透過性テープ14及び14aを伴う密閉ガスケット13とを含む。図2を参照すると、エレメント19及び19aは、テープ12及び12aの近くに凹部18及び18aを有している。 ・・・
ファスナーチェーン11は2つの相互に組み合う半分の対から構成されていて、これら半分の対は金型鋳造、鋳型、または他の仕方で形成されたエレメント19及び19aをファスナーテープ12及び12aに取付けて有している。」

エ.「Each element 19 and 19a also has a gasket retaining ledge 35 and 35a, see FIG. 2, forming a channel 21 between them when the chain 11 is closed, as in FIG. 4.」(2欄53?55行)
(日本語訳)
「また、図2を参照すると、各エレメント19及び19aはガスケット保持用の隆起部35及び35aを有し、図4に示すようにチェーン11の閉鎖時に、それらの間に通路21を形成する。」

オ.「The gasket 13, see FIG. 6, is molded, extruded or fabricated of the proper material to meet the requirements of the application, whether it is to be sealing against liquid, gas, toxic or dangerous atmospheres, thermal extremes, etc. The gasket 13 can be made as a solid unit with two integral impermeable tapes 14 and 14a, then slit, as at 29, either before or after assembly with the chain 11 for the length that the sealing zipper is desired to open. The slit opening 29 can be either perpendicular to the plane of the chain 11 or at an angle to it. Slitting the gasket at an angle aids in preventing leakage when the zipper chain is flexed.
As shown in FIG. 6, the ends 30 and 31 of the gasket 13 can be left unslit so there is no need to bond them together at assembly as in known constructions. Gasket 13 is preferably of a width greater than the width of channel 21 between the ledges 35 and 35a so that the gasket 13 is under slight compression when the chain 11 is closed.
Since both chain 11 and gasket 13 can be produced in continuous lengths, they can be assembled in a continuous process by bonding, induction welding, molding or any conventional process. If this is not feasible due to the gasket material or for any other reason, the gasket retaining ledges 35 and 35a can be modified as shown in FIGS. 7, 8 and 9, to form L-shaped openings 33 and 33a which retain the gasket by friction or conventional bonding as shown in FIGS. 8 and 9 or by mechanical swaging or heating as shown in FIG. 7. With the gasket enclosed in the L-shaped openings 33 and 33a, sealing is equally effective from both sides regardless of flexing of the zipper chain. The gasket is also protected from damage and from leakage caused by distortion due to mechanical pressure on the zipper chain.」(3欄8?41行)
(日本語訳)
「図6を参照すると、ガスケット13は、液体、気体、毒性または危険な環境、激しい熱などから密閉されるにせよ、適用対象の要求事項と合致するように、適当な材料から鋳型、押出し、または製造されている。ガスケット13は、2つの統合された不浸透性テープ14及び14aとともに固体部品として製造することができ、そして符号29で示すように、密閉ファスナーを所望に開口させる長さとして、チェーン11との組み付けの前又は後に切り開かれている。この切り開かれた開口部29は、チェーン11の平面に対して直角をなすか、またはそれに対して角度を付けることができる。角度を付けてガスケットを切り開くことで、ファスナーチェーンが曲げられるときに、漏れを防ぐのを助けることができる。
図6に示しているように、ガスケット13の端部30及び31は切り開かれないままに保つことができるので、公知の構成物のように、組み付け時にそれらを一体に接着する必要がない。好ましくは、ガスケット13は隆起部35及び35aの間の通路21の幅よりも広い幅を有し、チェーン11の閉鎖時に、ガスケット13をわずかな圧縮下に置く。
チェーン11とガスケット13の双方とも連続長さで製造することができ、それらは、接着、誘導溶接、型込め、または任意の慣習的な行程によって、連続行程中に組み付けることができる。このことがガスケットの材料や他の理由のために実現できない場合には、ガスケット保持用の隆起部35及び35aを、図7、図8及び図9に示すように、L字形状の開口部33及び33aを形成するように修正することができるが、これは、図8及び図9に示すように、ガスケットを摩擦や慣習的な接着によって保持させる、または図7に示すように、機械的スエージングまたは加熱で保持させる。L字形状の開口部33及び33a内にガスケットを囲むことで、ファスナーチェーンの曲げにかかわらず、双方の側から密閉を等しく有効にする。また、ファスナーチェーン上の機械的な圧力によるひずみに起因する損傷や漏れからもガスケットを保護する。」

カ.「As shown in FIG. 7, if the gasket tape 14a is attached to the zipper tape 12a in manufacture, both can be sewn into the application conventionally, if tapes 12 and 14 are left unattached, zipper tape 12 can be sewn into the application 45 conventionally and gasket tape 14 bonded over the stitching to seal it.
FIGS. 8 and 9 show a modification of this invention in which the elements 41 and 41a have the walls 25 and 25a extended into L-shaped slots 38 and 38a which track a modified slider 39.」(3欄56?65行)
(日本語訳)
「図7に示すように、製造時にガスケットテープ14aをファスナーテープ12aに取付ける場合には、双方とも慣習的に適用対象に縫付けることができ、またテープ12及び14が取付けられないままにする場合には、ファスナーテープ12を慣習的に適用対象45に縫付けて、ガスケットテープ14をその縫い目の上でそれを密閉するように接着してもよい。
図8及び図9を参照すると、本発明の修正した実施形態が示されているが、その際、エレメント41及び41aは、L字形状の凹部38及び38a内に延在するように壁25及び25aを有し、修正したスライダ39を追従させている。」

キ.斜視図であるFig.1を参酌しつつFig.8、9を見ると、ファスナーテープ12及び12aが、第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に、前記第1の面上、ファスナーテープ12及び12aの間、及び、前記第2の面上にわたって配置されたエレメント41及び41aをそれぞれ有すること、第2の面上に不浸透性テープ14及び14aとガスケット13を有すること、前記一対のファスナーテープ12及び12aが平行に配置されると共に前記エレメント41及び41aに隣接する内側端部を有していることが見てとれる。

ク.Fig.9より、エレメント41及び41aが係合している状態で、ファスナーテープ12及び12aの間に、当該係合している状態のエレメント41及び41aが存在するための空間があることが見てとれる。

ケ.Fig.9より、スライダ39は第1の面側に配置され、開口部33及び33aは、エレメント41及び41aの第2の面側の部分に設けられることが見てとれる。

コ.斜視図であるFig.1を参酌しつつFig.8、9を見ると、エレメント41及び41aが係合していない状態で、ガスケット13は間に空間がある態様で開口部33及び33aに支持され、エレメント41及び41aが係合している状態で、ガスケット13は間に空間がない態様で開口部33及び33aに支持されていることが見てとれる。
そして、開口部33及び33a間は、エレメント41及び41aが係合していない状態の方が広く、エレメント41及び41aが係合することで狭まり、その結果、エレメント41及び41aが係合していない状態ではガスケット13間に空間があったものが、エレメント41及び41aが係合することによりガスケット13間の空間がなくなることが、見てとれる。

(4)甲4
甲4には、以下が記載されている。

ア.「本発明はスライド・フアスナーに関する、更に詳しくはスライド・フアスナーを有するシート材料で作られた物品と、スライド・フアスナーを取付ける方法ならびに装置とに関する。
シート材料で作られたスライド・フアスナーを有する物品は従前はスライド・フアスナーを取付ける以前に切断されていた、従つて切断により生ずる開口にスライド・フアスナーを精密に合わせることを必要としていた。シート材料の接着性のために物品の諸部分を熱シールにより接着させ自動的製造を容易にすることができるよう、靴もしくは類似品などの熱接着性シート材で作られる物品を最少の労力を以つてできる限り簡単に製造することが望ましい。切断により生ずる開口にスライド・フアスナーを精密に合わせることを必要とするのみならず、通例は手作業で行われ物品の製造に望ましからぬ経費と時間とを追加する余分の切断作業を必要とする故に、熱接着性材料から成る物品の製造に際しスライド・フアスナーの取付は前にシート材料を切断することは特に望ましいことではない。
米国特許第1,739,612号、第1,834,551号、第1,834,582号、および第2,287,878号に示す如く、靴ならびに類似品の製造に際し、通常はシート材料を切断したのちにスライド・フアスナーを取付ける。靴、特に成形品の靴は熱接着性シート材料で作るのが通例であるから、従前の靴の製造方法はスライド・フアスナーの取付以前にシート材料を切断することに伴う前述の欠点を有する。そのうえ、従前の製法による靴はスライド・フアスナーが泥、水分、ならびに靴が置かれる苛酷な条件から生ずる磨滅にさらされると言う欠点を有し、従つて信頼性の低下に悩まされる。シート材料の切断前にスライド・フアスナーを取付けようとすると、従前のスライド・フアスナーの取付けではスライド・フアスナーを外部に露出させると言う容認できぬ結果を生ずる、従つて、スライド・フアスナーが磨耗を促進させ信頼性を低下させると言う問題を生ずる。」(3欄22行?4欄16行)

イ.「本発明の目的は、予め切断する工程を必要とすることなくスライド・フアスナーをシート材料に取付け、スライド・フアスナーの上に延び出しスライド・フアスナーの相互係合エレメントに中心を合わせ切れ易い中心引裂線で会合するフラツプを備えたスライド・フアスナーを有するシート材料から成る物品を製作することにより従前技術の前述の欠点を克服することである。」(5欄2?9行)

ウ.「本発明にかかるスライド・フアスナーを有する物品10が第1図に示されており、靴及び類似の製作に使用するヴイニールなどの熱接着性材から成るシート材料12、ならびに該シート材12とスライド・フアスナーの保護体もしくは裏地として役立つ熱接着性材料から成る裏打ちストリツプ16との間に挾まれたスライド・フアスナー14から構成されている。スライド・フアスナーは適宜の構造のものでよく、第2,3及び4図に示す如く、各々が内縁に沿い相互係合エレメント22を担持している1対のテープ18及び20と、相互係合エレメントに沿つて動き該エレメントの相互錠止を制御するスライダー24とから構成される。」(5欄40行?6欄9行)

エ.「シート材料12は、スライダー24を収容するだけの大きさを有しスライド・フアスナー14が閉鎖されるときスライダーを受入れるようスライド・フアスナーの上部止め装置(図示せず)に隣接する位置に設置した穴26を有している。・・・
スライド・フアスナー14を蔽うシート材料12は、それぞれ接着軌道28及び30から延び30出しスライド・フアスナーの相互係合エレメント22に中心を合わせ中心線36で会合する1対のフラツプ32及び34を形成している。中心線36は、物品10の上部から穴26を経て相互係合エレメント22に沿いスライド・フアスナー14の閉鎖端に達する切れ易い引裂線を形成するシート材料12の細長い弱化した凹入部分となつている。シート材料は引裂線36に沿いたやすく分離せられ第1図の38に示す如く物品10の開口を形成する。」(6欄10?39行)

オ.「本発明の方法によれは、スライド・フアスナー14とシート材料12と、所望とあれば裏地ストリツプ16とが重ね合わせてアンビル40と成形部材50との間に置かれ、成形部材50がアンビル40に相対的に動かされシート材料12に係合させられ、アンビルと成形部材との間でシート材料とスライド・フアスナーとを圧縮して接着軌道28及び30と中心引裂線36とを形成する。
第2図では、シート材料12、スライド・フアスナー14及び裏地ストリツプ16が相互に離隔した位置に示されているが、実際には裏地ストリツプ16の上にスライド・フアスナー12を載置して裏地ストリツプ16がアンビル40の凹所42に支持せられ、シート材料12がアンビル40の上に平らに置かれ凹所42を蔽つている。シール突起52及び54が凹所42に受入れられるように相互に離隔されている、成形部材50が下方に動かされ第3図に示す如くシート材料、スライド・フアスナー及び裏地ストリップを圧縮するときシール突起52及び54が傾斜面46と協働してそれぞれ接着軌道28及び30を形成できるように切込み突起58がシール突起の下方に延び出している。相互係合エレメント22がチヤンネル48に受入れられ切込み突起58が相互係合エレメントの真上で中心線36に沿いシート材料を弱化し引裂線を形成する。第4図に示す如く外面に沿う切込み突起58による切込みによるのみならず内面に沿い相互係合エレメント22に接触することにより引裂線36が弱化される。
スライド・フアスナーのテープ18及び20と裏地ストリツプ16とをシート材料12に固着するために接着工程に熱が使われる。然しなから、超音波振動など他の適宜の接着エネルギーを使用してもよい。
発熱装置は低抵抗の金属電極を両端に有する高抵抗の誘電体に熱が発生するように成された誘電体型のものであつて、誘電体が物品10の諸構成部分により形成せられ、電極が成形部材50とアンビル40とにより形成せられ、熱が成形部材により発生せられシート材料に加えられるようになつている。
シート材料12を凹所42の中に押込みシール突起52及び54と傾斜面46との間でシート材料を圧縮すると同時に、切込み突起58によりシート材料に圧縮力が加えられる、この際切込み突起58は裏地ストリツプ16、スライド・フアスナー14及びシート材料12の厚さ、寸法、及び形状に従で切欠き56の中の固定位置に予めセツトされている。切込み突起58の刃を形成する部分が鋭い角度を成しているために充分に発生させられる圧縮力が直線状に加えられる。切込み突起58から力を加える際に、スライド・フアスナーの相互係合エレメント22と裏地ストリツプ16とが位置ぎめ凹所42のチヤンネル48の底に向つて押下げられる。従つて、相互係合エレメント22がしつかりと支持せられ、引裂線36を形成する際に切込み突起58のアンビルの役目をする。
接着を良くするに適当な時間だけ熱を加えた後に、成形部材50がアンビルから分離せられ、中に置かれたシート材料12の諸部分を扁平に戻すような形状の位置ぎめ凹所があるからシート材料12が原の扁平形状を取る。
・・・
スライド・フアスナーの取付けを完了した後には、単に指もしくは適宜の器具をシート材料12の穴26に挿入し引裂線に沿い指もしくは器具を動かしなから引裂線36の下側に僅かに持上げ力を加えることにより引裂線36がたやすく切断される。然しなから、取付けられたスライド・フアスナーがスライダー24を有するときは、接着工程の完了後スライダーの最初の使用により引裂線を切開くに必要な僅かに上向きの力が加えられる。シート材料に加工して靴もしくは類似品などの衣料にするためシート材料に加えられるすべての残りの工程が完了するまでは引裂線36には手を加えない。その後、仕上がり製品の検査作業の際に、上述の如く引裂線が最後に切り開かれる。」(7欄28行?9欄23行)

カ.「図面の簡単な説明
第1図は本発明によるスライド・フアスナーを有する物品の斜視図、第2図はスライド・フアスナー取付け前の本発明の装置を示す側断面図、第3図はスライド・フアスナーが取付けられるときの第2図の装置の側断面図、第4図は第1図の線4-4に沿う物品の断面図である。」(10欄17?23行)

キ.斜視図である第1図を参酌しつつ第2ないし4図を見ると、テープ18及び20が、第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に、前記第1の面上、テープ18及び20の間、及び、前記第2の面上にわたって配置された相互係合エレメント22をそれぞれ有すること、第2の面上にシート材料12を有すること、前記1対のテープ18及び20が平行に配置されることが見てとれる。

ク.第2ないし4図より、相互係合エレメント22が係合している状態で、テープ18及び20の間に、当該係合している状態の相互係合エレメント22が存在するための空間を有していることが見てとれる。

ケ.第2、3図より、1対のテープ18及び20の相互係合エレメント22が係合している状態で取付けが行われることが見てとれる。

コ.第1図より、引裂線36は穴26と連通しており、引裂線36を切り開き開口38を形成すると、開口38を介してスライダー24を操作できることが見てとれる。

(5)甲5
甲5には、以下が記載されている。

ア.「PROCESS FOR PREPARING A POLYURETHANE COATED FABRIC」(1欄1、2行)
(日本語訳)
「ポリウレタンをコーティングした生地を製造するための方法」

イ.「Conventionally, polyurethane fabrics have been prepared according to two methods. A first known method is known as solution coating, and is carried out by applying a solution of polyurethane and a solvent to a fabric web using a coating machine. ・・・
Another conventional process for preparing polyurethane coated fabrics is known as solution coating/laminating. This process is similar to the solution coating process described above except that after the adhesive coat and one or two intermediate coats are applied to the fabric, a preformed thermoplastic urethane film is applied with heat and pressure. Thus, with this process, several coating steps are required prior to the application of urethane films.
The conventional processes described above each require a plurality of coating steps to produce the final product. Further, stretch fabrics and fabrics of a highly textured nature which are frequently desirable in the manufacture of inflatable products do not lend themselves to solution coating. Still further, the conventional processes require relatively large amounts of adhesives which are significantly more expensive than urethane film on a per dry ounce basis.
It is apparent that a need remains for an efficient and effective process for preparing a polyurethane coated fabric.」(1欄9?40行)
(日本語訳)
「従来ポリウレタンをコーティングした生地は、二つの方法によって製造されていた。第一の公知の方法は、溶液コーティングとして知られており、そして、コーティング装置を使用して生地ウェブにポリウレタンと溶剤の溶液を塗布することによって行われた。・・・
ポリウレタンをコーティングした生地を製造するもう一つの従来の方法は、溶液コーティング/ラミネート法として知られている。この方法は、以下の点を除いて、上記の溶液コーティング法と類似である。すなわち、この方法においては、生地に接着剤のコーティング、そして、一つ又は二つの中間コーティングが塗布された後に、予め形成された熱可塑性のウレタンフィルムが加熱加圧下で展着されるのである。したがって、この方法では、ウレタンフィルムを展着する前に、いくつかのコーティング工程が必要となる。
上に記載された従来の方法は、最終製品を製造するために多数のコーティング工程が必要となる。さらに、空気膨張製品の製造においてしばしば所望される伸縮性生地や高いテクスチャー性を備えた生地は、溶液コーティングには適合しないのである。さらにまた、従来の方法は、1オンス当たりのベースで計算するとウレタンフィルムよりもかなり高価である比較的大量の接着剤が必要となるのである。
そして、ポリウレタンをコーティングした生地を製造するための効率的でそして効果的な方法が現在でもなお必要であることは明白なのである。」

ウ.「The process of the present invention is useful for coating a wide variety of fabrics for use in preparing a wide variety of end products. Suitable fabrics for use in accordance with the invention include woven or non-woven fabrics such as stretch fabric, textured fabric, dacron, nylon, polyester, cotton, kevlar, and mixtures thereof. The process of the present invention is particularly useful with the stretch fabrics and highly textured fabrics which are frequently desired for use in manufacturing inflatable products such as air mattresses, especially self-inflating air mattresses, medical products and the like. 」(2欄40?50行)
(日本語訳)
「本発明の方法は、広範囲の最終製品を提供する際に使用するための広範囲の生地をコーティングするために有益なのである。本発明に従って使用するために適切な生地は、伸縮生地、テクスチャード生地、DACRON、ナイロン、ポリエステル、綿、KEVLAR及びこれらの組み合わせ等の織成生地又は不織布を含むのである。本発明の方法は、エアマットレスのような空気膨張製品、特に、自動膨張するエアマットレスや、衣料製品などを製造する際にしばしば使用が望まれる伸縮生地や、高テクスチャー生地について有益に使用されているのである。」

エ.「In accordance with the invention, laminating station 22 preferably comprises a set of laminating nip rollers 48, 50, for laminating and bonding first film 46 and second film 18 to fabric 10 in accordance with the invention. First laminating nip roller 48 is preferably a heated roll and provides heat for laminating films 14, 18 together and further for activating the wiped bonding material on side 40 for bonding films 14, 18 to fabric 10.」(4欄15?22行)
(日本語訳)
「本発明によれば、ラミネートステーション22は、本発明に従って生地10に第1フィルム46と第2フィルム18をラミネートし、そして、接着するための1セットのラミネートニップローラ48、50からなるのである。第1ラミネートニップローラ48は、加熱ロールであることが好ましく、そして、フィルム14、18をラミネートし、そして、当該フィルム14、18を生地10に接着するために、塗布された接着材料を活性化するために熱を加えるのである。」

オ.「The process according to the present invention produces coated fabric with high levels of coating adhesion. During the curing step, polyurethane film 14 wiped with bonding material becomes an adhesive agent to provide the desired adhesion. The present process replaces some or all of the adhesive used conventionally with a polyurethane film which is significantly less expensive than most adhesives.
The coated fabric according to the present invention is particularly well suited for the manufacture of inflatable products. Fabric 10 to be coated for use in making inflatable products may preferably be coated with films 14, 18, 60 and 62 wherein films 14, 62 are relatively low melting temperature films and films 18, 60 are relatively high melting temperature films. This configuration of films helps to prevent textured fabrics from pushing through the films during subsequent handling wherein temperatures may approach the melt temperature of low melt films 14, 62 without approaching the temperature of high melt films 18, 60. Of course, numerous other configurations may be used if desired.」(6欄45?64行)
(日本語訳)
「本発明による方法は、高レベルのコーティング用接着剤でコーティングされた生地を製造することができるのである。硬化工程の際に、接着材料を塗布したポリウレタンフィルム14は、所望の接着効果を提供するための接着剤となるのである。本発明の方法は、従来から使用されてきた一部の接着剤又は全ての接着剤を、ほとんどの接着剤よりも格段と低価格であるポリウレタンフィルムによって代替させることができるのである。
本発明によるコーティングされた生地は、空気膨張製品の製造のために特に適している。空気膨張製品を製造する際に使用するためにコーティングされる生地10は、フィルム14、18、60及び62でもってコーティングされることが好ましい。そして、フィルム14、62は、比較的低い融点のフィルムであり、そして、フィルム18、60は、比較的高い融点のフィルムである。このようなフィルムの構成は、高融点のフィルム18、60の融点には接近しないが、低融点のフィルム14、62の融点に接近するようなその後の何らかの取り扱い工程の際に、テクスチャード生地がフィルムを押し通すことが無いように防ぐ効果があるのである。所望であれば、他の異なる構成を使用することもできることは当然である。」

カ.「4. A process according to claim 1, further comprising the step of curing said polyurethane coated fabric at a temperature of between about 300°.F to about 425°F., whereby said bonding material bonds said polyurethane film to said fabric.
5. A process according to claim 4, wherein said curing step is carried out at a temperature of between about 350°F. to about 400°F.
6. A process according to claim 4, wherein said curing step is carried out at a temperature of between about 375°F. to about 380°F.
7. A process according to claim 4, wherein said curing step is carried out for a time of between about 3 minutes to about 6 minutes.」(7欄29?42行)
(日本語訳)
「4.前記ポリウレタンコーティング生地の製造方法は、ポリウレタンコーティング生地を華氏約300度ないし425度の間の温度で硬化させる工程をさらに含み、これによって、当該接着材料が、ポリウレタンフィルムを当該生地に接着することを特徴とする請求項1に記載されたポリウレタンコーティング生地の製造方法。
5.硬化工程は、華氏約350度ないし400度の温度で行われることを特徴とする請求項4に記載されたポリウレタンコーティング生地の製造方法。
6.硬化工程は、華氏約375度ないし380度の温度で行われることを特徴とする請求項4に記載されたポリウレタンコーティング生地の製造方法。
7.硬化工程は、約3分ないし6分の時間だけ行われることを特徴とする請求項4に記載されたポリウレタンコーティング生地の製造方法。」

キ.「24. A process according to claim 1, wherein said wiping step comprises wiping said surface of said polyurethane film so as to provide bonding material on said surface of said polyurethane film in a concentration of between about 2.6 to about 260 grams of bonding material per square yard of polyurethane film.」(8欄57?62行)
(日本語訳)
「24.塗布工程は、ポリウレタンフィルム1平方ヤード当たり約2.6ないし260グラムの接着材料の濃度でポリウレタンフィルムの面に接着材料を提供するようにポリウレタンフィルムの面に塗布する工程からなることを特徴とする請求項1に記載されたポリウレタンコーティング生地の製造方法。」

(6)甲10
甲10には、以下が記載されている。

ア.「2.実用新案登録請求の範囲
一対のフアスナーテープ1,1aの一方の面に弾性変形可能な防水シール材層4を付着し、他方の面にフアスナーエレメント3を相対向して縫着固定した気密、防水性を有するスライドフアスナーにおいて、一対のフアスナーテープ1,1aの相対する両縁部に適宜高さの隆条部13,13aを設けると共に、該隆条部13,13aの相対向する外側面部に、前記弾性変形可能な防水シール材層4の端縁部4aを、フアスナーエレメント3の噛合中心線12よりも突出した状態で付着させて構成したことを特徴とする気密、防水性を有するスライドフアスナー。」(明細書1頁5?18行)

イ.「第6図乃至第8図は本発明の気密、防水性を有するスライドフアスナーの製造過程を示したもので、フアスナーテープ1の連結部2に沿つた縁部にフアスナーエレメント3を噛合わさずに分離した状態で対向させて一方の面に、芯紐6と縫糸5を用いて縫目が隆条部13に隣接するように縫着し、次いで第7図に示すようにフアスナーエレメント3の固着面とは反対側の面に連結部2を含めて全面に防水シール材層4を付着し、第8図に示すように連結部2をフアスナーエレメント3の噛合中心線12より噛合頭部寄りの位置でカツター7により切断して製造するものである。」(明細書7頁下から4行?8頁9行)

(7)甲11
甲11には、以下が記載されている。

ア.「2.特許請求の範囲
一対のフアスナーテープ1,1’の間が連結部2,2’を介して連結するように一体に編織したテープの一方面に、該連結部2,2’に沿つたテープの両縁部に一対のフアスナーエレメント3,3’を互いに噛合わせずに対向して固定し、また他方面には連結部2,2’を含めて全面に弾性変形可能な防水シール材層4を連続して付着し、次いで防水シール材層4の切断縁が、固定したフアスナーエレメント3,3’の噛合中心線12より突出した状態となるように、当該連結部2,2’でテープの長手方向に切断して、フアスナーエレメント3,3’を噛合させた時切断縁が互いに密接して圧し合う構成となるようにしたことを特徴とする気密、防水性を有するスライドフアスナーの製造方法。」(1頁左下欄5?最終行)

イ.「本発明の製造方法を図示した実施例にしたがつてさらに具体的に説明すると、第1図から第6図は本発明の製造過程を示したものであつて、第1図は、経編組織によって編成された長尺のスライドフアスナーテープ1の中央部に連結部2が形成されている状態を示した断面を簡略に示した図面である。・・・第2図はテープ1の連結部2に沿つた縁部に左右のコイル状のフアスナーエレメント3を噛合わせずに間隔をおいて分離した状態で対向させて芯紐6と縫糸5とを用いて、フアスナーテープ1の一方の面に縫着した状態を示すものである。・・・第3図は、フアスナーエレメント3を固定したテープの固定面とは反対側の面に、連結部2を含めて全面に弾性変形可能な防水シール材例えばシリコンゴム、ブチルゴム、ネオプレン、ポリウレタンゴム等の合成ゴムをコーテイングし乾燥して付着したものであるが、加熱溶融押出機を用いて防水シール層を形成することもできる。・・・次いで第4図に示すようにカツター7により連結部2を切断して左右のフアスナーストリンガーに分離構成するのであるが、この切断場所は出来上つたフアスナーストリンガーのフアスナーエレメントを噛合せた時に各切断縁が密に圧接するように、フアスナーエレメントを噛合せた時の噛合中心線12(第5図および第6図参照)より外側、即ちフアスナーエレメントの噛合頭部寄りにおいて切断することが必要である。第4図は丁度フアスナーエレメントの噛合頭部の位置で連結部2が切断された例である。なおフアスナーエレメントの噛合頭部の位置で連結部2を切断する場合には、第10図および第11図に示すように、連結部2を短い間隔に形成し、左右のフアスナーエレメントの噛合頭部を当接した状態でテープに固定し、そのフアスナーエレメント3の噛合頭部の当接した位置を1箇所切断すれば、より簡単に本発明の気密、防水性を有するスライドフアスナーを製造することができる。」(2頁右上欄6行?3頁左上欄下から4行)

(8)甲14の1ないし14の3
甲14の1ないし14の3には、以下が記載されている。

ア.「【0046】上記作製フィルムを、幅30mmにスリット加工し、リードフレーム用金属箔として用いられている42合金と重ね合わせ、表面温度250℃に加熱したロールラミネータで線圧10kg/cm、速度1m/分で張り合わせた。ラミネート品自体、発泡は全く認められず、接着力1.5kg/cm、吸水率0.7%であった。LOC用接着テープとして実用レベルを十分満足するものであった。」(甲14の1)

イ.「【0049】上記作製フィルムの樹脂塗工面と、75μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製“カプトン”300K)と重ね合わせ表面温度250℃に加熱したロールラミネータで線圧7kg/cm、速度1m/分で張り合わせた。張り合わせ品は発泡がなく、接着力は1.5kg/cm、吸水率は0.6%で、接着力の強い張り合わせフイルムが得られた。」(甲14の1)

ウ.「【0052】上記作製フィルムを幅30mmにスリットし、リードフレーム用金属箔として用いられている42合金と重ね合わせ、表面温度250℃に加熱したロールラミネータで線圧5kg/cm、速度1m/分で貼り合わせた。ラミネート品自体、発泡は全く認められず、接着力1.2kg/cm、吸水率0.8%であった。LOC用接着テープとして実用レベルを十分満足するものであった。」(甲14の1)

エ.「【0056】上記作製フィルムを幅30mmにスリットし、リードフレーム用金属箔として用いられている42合金と重ね合わせ、表面温度250℃に加熱したロールラミネータで線圧5kg/cm、速度1m/分で貼り合わせた。ラミネート品自体、発泡は全く認められず、接着力1.5kg/cm、吸水率0.8%であった。LOC用接着テープとして実用レベルを十分満足するものであった。」(甲14の1)

オ.「【0059】上記作製フィルムを、幅30mmにスリット加工し、リードフレーム用金属箔として用いられている42合金と重ね合わせ、表面温度250℃に加熱したロールラミネータで線圧10kg/cm、速度1m/分で張り合わせた。同様に評価したところ、接着力は1.5kg/cmと良好であったが、吸水率は1.5%で該ラミネート品には多数の発泡が認められ、LOC用接着テープとして満足とは言えないものであった。」(甲14の1)

カ.「【0063】上記作製フィルムの樹脂塗工面と、200μmのリードフレーム用42アロイと重ね合わせ表面温度250℃に加熱した加熱プレスで圧力10kg/cm^(2)、加熱時間5秒で張り合わせた。接着力は1.2kg/cmであり接着力の強い張り合せ品が得られた。ワイヤボンディング後の金線のつぶれ性も良好であった。LOC用接着テープとして実用レベルを十分満足するものであった。」(甲14の1)

キ.「【請求項1】 単糸繊度1デニール以下の熱可塑性合成繊維よりなる単糸密度15000本/平方インチ以上の高密度織物の、少なくとも片面に膜厚10μm以上のポリウレタン樹脂皮膜を有し、高密度織物に対するポリウレタン樹脂の浸透が布帛厚みの1/2以下であり、該皮膜の接着強度が0.9kg/cm以上であり、耐水圧が700mmH_(2) O以上である風合の良好なコーティング織物。」(甲14の2)

ク.「【0054】表2から明らかなように、ポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られた比較例1の湿気硬化型ホットメルト接着剤では、常態接着強度が8.2kg/cmと低く、熱時接着強度も5.3kg/cm^(2)と低く、さらに破断点強度も270kg/cm^(2)(20℃)、160kg/cm^(2)(80℃)と低かったのに対し、比較例1に対応する実施例1では、常態接着強度、熱時接着強度並びに20℃及び80℃における破断点強度の何れにおいても、十分な接着強度が得られていることがわかる。これは、比較例1では、ポリエステルポリオールをポリイソシアネート化合物と反応させたのに対し、実施例1では、ポリアミドブロック及びポリエステルブロックの双方を有するポリオールを用いているため、比較例1の場合に比べて優れた接着性を示すものと考えられる」(甲14の3)


(9)甲17の1、17の2
甲17の1、17の2には、以下が記載されている。

ア.「【0045】一方、絞付き離型紙16(例えば、大日本印刷(株)製、DE-41:紙厚平均140μm)上に、100%モジュラスが55kgf/cmのポリカーボネイト系ポリウレタンからなるポリウレタン12A(大日本インキ化学工業(株)製:クリスボンNY324S)を乾燥厚みが30μmとなるようにナイフコーターにて塗布し、100℃で2分間熱風乾燥して、ポリウレタン表皮層12を形成した。次いで、このポリウレタン表皮層12上に、100%モジュラスが25kgf/cm^(2)のポリカーボネイト系ポリウレタンからなるウレタン系2液接着剤14A(大日本インキ化学工業(株)製:クリスボンTA205)を乾燥厚みが100μmとなるようにナイフコーターにて塗布し、10秒風乾ののち、この上面に前述の基布を起毛面を向き合わせて、一対のラミネートロール26間のクリアランスを1.3mm(各々の厚みの合計の約-0.1mm)にとって積層し、100℃で熱圧着し、100℃で2分間熱風乾燥させてポリウレタン接着層14を形成する。このようにして積層された離型紙16、表皮層12、接着層14及び基布18からなる積層体を巻取り、さらに、熟成室中で室温40℃で48時間熟成し、接着剤を反応固化させたのち離型紙16を剥離して、合成皮革10を得た。得られた合成皮革10の断面を観察したところ、接着層中に、基布18の起毛繊維20の長さの約50%が存在していることが確認された。」(甲17の1)

イ.「【0009】
【実施例】以下本発明を実施例によって詳述する。着色シート1は図2(b)に示すように、PET(ポリエステル)等のポリエステル系のシートやPP(ポリプロピレン)等のオレフィン系のシートで形成されるシート基体7の上面に、ウレタン等のクリアーな樹脂で形成される上層8を一体に設けて形成されている。着色シート1の幅寸法は後述する基材3の幅寸法に応じて決定されるが、15?1000mmであり、シート基体7と上層8の厚み寸法はそれぞれ1?100μm、1?20μmである。また着色シート1はシート基体7に顔料等を含有させることによって着色されており、その着色度合いは後述する木質の基材3の木目が見える程度であって、透明乃至は半透明である。
【0010】接着剤2は従来より用いられている透明もしくは硬化後に透明となるものを使用することができる。基材3は木質の平板やパネル、額縁材等であって、その形状や寸法は限定されるものではない。図1には本実施例に用いる装置の一例が示してある。9はベルトコンベアであって、一対の駆動ローター10、10にベルト11を無限ループ状に架設すると共に駆動ローター10、10間に補助ローター12を設けて形成されている。このベルトコンベア9は基材3の送り方向に複数台設置してある。13はシート供給機であって、図2(a)に示すようにロール状に巻かれた着色シート1が設置されている。14は接着剤供給機であって、シート供給機13よりも上側に設けてあり、下面に設けたノズル15より接着剤2を着色シート1に供給するようになっている。16は引出しロールであって、シート供給機13に設置されるロール状の着色シート1を解きつつ引き出すものである。17は接着剤塗布ロールであって、接着剤供給機14から供給された接着剤2を着色シート1に均一に塗布するものである。18は基材3の幅寸法よりも長い幅寸法を有する圧着ロールであって、ベルトコンベア9の上方にその送り方向に沿って複数台設置してある。
【0011】そしてシート供給機13から引出しロール16で着色シート1をその裏面を上側に向けて引き出すと共にシート供給機13と引出しロール16の間において接着剤供給機14より接着剤2を10?100g/m^(2)の塗布量で着色シート1のシート基体7の裏面に上側から供給し、この着色シート1を接着剤2を塗布した裏面を下側にしてベルトコンベア9で送られてくる基材3の上面と先頭の圧着ロール18の間に導入し、基材3の上に着色シート1を全面に亘って積層した状態でベルトコンベア9で送りつつ、後側の圧着ロール18で着色シート1の上側から加圧して基材3と着色シート1を圧着し、その後着色シート1を基材3の大きさに合わせて裁断することによって、図3(a)、(b)に示すような着色木材が形成される。」(甲17の2)

(10)甲18
甲18には、以下が記載されている。

ア.「第1図ないし第4図に示すスライドファスナーは、一対のファスナーストリンガー(1,1)を含んでいる。各ファスナーストリンガー(1,1)は、ファスナーテープ(2,2)の横方向(幅方向)の一方の端部裏面側にファスナーエレメント(3,3)を縫着しており、またファスナーテープ(2,2)の表側となる面全体に合成ゴムや軟質合成樹脂等の弾性変形可能なシール材層(4,4)を接着、コーティング、加熱溶融押出等により付着してファスナーテープ(2,2)に気密性、水密性を与えている。」(明細書4頁10?最終行)

(11)甲19の1ないし19の4
甲19の1ないし19の4には、以下が記載されている。

ア.「第1図ないし第4図に示すスライドファスナーで用いるファスナーストリンガ-A,Aは、芯テープ2の一方の又は両方の面(図示のものは一方の面)に合成ゴムや軟質合成樹脂等の軟質シール材層3をコーティングにより形成して防水性を有するファスナーテープとした防水テープ1を各々用いている。
防水テープ1は、一縁端部をシール材層3と反対側に折り返し、その間に芯材4を挾んだ状態に折り返してなるエレメント取付縁部5を形成しており、このエレメント取付縁部5にエレメント6を縫着している。
・・・
エレメント6は、噛合頭部12と上下の脚部13,13とを有し、下脚部13をエレメント取付縁部5上に載置した状態で縫糸9により芯紐10及び芯材4とともに2ニードル、1ルーバーの2重環縫で防水テープ1に縫着されている。このとき防水テープ1の軟質シール材層3側を外表面とした折曲げ端縁7がエレメント6の噛合い中心線8より突出した状態になっている。」(甲19の1の2頁右上欄最終行?2頁右下欄6行)

イ.「2.特許請求の範囲
(1).水密,気密性ストリップAとその一方の端縁の近くの長手方向に沿い上下両面Cにそれぞれ固着した一対のコイル状あるいはジグザグ状の連続した合成樹脂モノフイラメントで造つたかみ合いリンクを形成するエレメント5とから成り、上記エレメント5のかみ合い中心線Mよりも上記端縁4を突出して配備した水密,気密性スライドフアスナー連続ストリンガー。」(甲19の2の1頁左下欄5?13行)

ウ.「実施例-1(物)
第1図乃至第4図において、X,Yは本発明の左右のそれぞれの連続ストリンガー、Aは連続ストリンガーの水密,気密性ストリップで天然または合成繊維、化学繊維を織成または編成した長尺で細巾の繊維系のテープ1と、その繊維系テープ1の表裏両面およびその一方の端縁4の長手方向の全縁にコーテイング,押出成形による積層処理,噴霧,浸漬,貼着,接着などの手段によつて施した水密・気密性のゴム材,シール材(塩化ビニイル系で弾性を有するものを含む)を用いた被覆材2から成る。」(甲19の2の4頁右下欄8?18行)

エ.「本発明を具体的に説明すると、第1図に示す如く、織成、編成または不織布の如き繊維製のファスナーテープ1の一側縁表面に、合成樹脂製モノフィラメントをコイル状に形成したファスナーエレメント列2を縫糸3で縫い付けて取付けている点は従来のものと同様であるが、前記ファスナーテープ1の裏面及び相対向する側面に水密性と透湿性を有するコーティング層4を、前記縫糸3の裏面に露出する部分をも封じる状態で付着してあり、該コーティング層4は、気体を通過するが液体は通過しない材質、例えばポリウレタン系樹脂によるものである。」(甲19の3の2頁左上欄下から2行?右上欄10行)

オ.「1 防水性を有する左右のフアスナーテープ1,1の対向縁部における上下両面に夫々縫着糸6,6によつて止着している左右の上下各フアスナーエレメント4,5,4,5が互いに噛合した状態で左右のフアスナーテープ1,1の対向縁部が互いに弾力的に密接する防水スライドフアスナーにおいて、前記フアスナーテープ1,1の互いに密接する対向縁を、該フアスナーテープ1,1の折り曲げ反転成形による中空部13,13を備えた折曲げ縁部10,10とし、かつ該折曲げ縁部10,10にはフアスナーエレメント4,5,4,5の各縫着糸6,6の縫目を塞ぐ防水被膜7,7を内張りしてなる防水スライドフアスナー。」(甲19の4の1欄2?15行)

3.無効理由1(甲1に基づく新規性及び進歩性欠如)についての当審の判断
(1)本件発明
本件発明1ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27は、上記1.のとおりである。

(2)甲1発明
ア.甲1には、コーティング部材、ファスナ・テープ及びスパイラル状のファスナのそれぞれの形状と位置関係が図示されていないところ、請求人は、ファスナ・テープは、スパイラル状のファスナが係合している状態でファスナ・テープ間に空間を有さず、第1の面に、その端部に沿ってスパイラル状のファスナを有し、第2の面にコーティング部材を有する形状である旨(請求人要領書(2)の「6-1(1)」、請求人上申書「6」)、主張するのに対し、被請求人は、スパイラル状のファスナが係合している状態で、コーティング部材の内側端部は互いに接する状態となるが、コーティング部材とファスナ・テープとの境界は不明である旨(被請求人要領書(2)の「6-1(2)」)、主張する。

そこで、甲1の明細書の記載を参酌すると、甲1には、コーティング部材、ファスナ・テープ及びスパイラル状のファスナのそれぞれの形状と位置関係に関する記載として、角材状コーティング部材が「両ファスナ・テープの相互に突合うエッジ上に取付けられて」いる旨の記載(上記2.(1)イ.及びキ.)と、「コーティング部材下部は本質的に(実質的に)前記両ファスナ・テープ下側と同一面となっている。」旨の記載(上記2.(1)オ.)がある。
前者の記載によると、甲1のファスナ・テープは、スパイラル状のファスナが係合している状態でファスナ・テープ間に空間を有しておらず、第2の面にコーティング部材を有するものと解される。
ここで、甲1の第7図、「少なくとも上部から開口方向に予め切れ目が入れられる。」との記載(上記2.(1)エ.)、「ここで上部には角材状の前記コーティング部材があり」との記載(上記2.(1)オ.)より、ファスナ・テープの第2の面側が「上」側であり、ファスナ・テープの第1の面側が「下」側であるから、両ファスナ・テープの第2の面にコーティング部材を有するものは、両ファスナ・テープの上側の面にコーティング部材の下部が接触している構成となるが、これは、後者の記載と矛盾する。
さらに、甲1の記載全体からみても、両者の記載のどちらが誤記であるか不明である。
よって、甲1には、コーティング部材とファスナ・テープの形状と位置関係に関する相矛盾した上記2つの記載があり、どちらの記載が誤記であるか不明であるから、その結果、コーティング部材とファスナ・テープとの境界は不明であるとせざるを得ない。

この点、請求人は、ファスナー・テープの厚みが薄く、コーティング部材下部が実質的に両ファスナ・テープ下側と同一面となっている旨主張するが、そうであるならば、コーティング部材下部が両ファスナ・テープ上側の面に接触している形態において、「本質的に(実質的に)前記両ファスナ・テープ上側と同一面」と記載せずに、「本質的に(実質的に)前記両ファスナ・テープ下側と同一面」と記載する合理的な理由は見出せない。

イ.したがって、上記2.(1)より、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
「1a 防水性のファスナの製造方法であって、
1b 前記防水性のファスナが、第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共にスパイラル状のファスナ半片をそれぞれ有する2本のファスナ・テープを有し、スパイラル・ファスナのスパイラル部分が熱可塑性ポリウレタンであるコーティング部材で押出しコーティングされ、これが角材状コーティング部材としてファスナ・テープの相互に突合うエッジ上に取付けられており、前記2本のファスナ・テープが平行に配置されると共に前記ファスナ片に隣接する内側端部を有している、方法であって、
1c 前記ファスナは、
1d 180N/5cm(DIN)以上の付着力を有するプレ・コーティングまたはラミネートを施し、その後に前記熱可塑性ポリウレタンであるコーティング部材を射出成形法により取付けること、および
1f 両ファスナ・テープの最初の分離前に少なくとも上部に開口方向に切込みを入れて、前記コーティング部材を切断すること、
1g の順で生成される、方法。」

(3)本件発明1と甲1発明との対比
甲1発明の「防水性のファスナ」は本件発明1の「耐水性のスライドファスナー」に相当し、同様に、「製造方法」は「作成するための方法」に、「スパイラル状のファスナ半片」は「一連の把持部材構成要素」に、「2本のファスナ・テープ」は「一対のストリンガテープ」に、それぞれ相当する。

甲1発明の「角材状コーティング部材」は、「積層物」であるという限りにおいて、本件発明1の「耐水性の層」と一致する。
甲1発明では、両ファスナ・テープの最初の分離前にコーティング部材を切断するから、コーティング部材を射出成形法により取付ける時点では、一対のストリンガテープの把持部材構成要素が係合していることは明らかであるので、一対のストリンガテープの把持部材構成要素が係合している間に、前記積層物を形成すること、および第2の分割線を前記部材に切断することの順で生成されるものである。

よって、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で一致する。
「A 耐水性のスライドファスナーを作成するための方法であって、
B’ 前記耐水性のスライドファスナーが、第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープと、積層物とを有してなり、前記一対のストリンガテープが平行に配置されると共に前記一連の把持部材構成要素に隣接する内側端部を有している、方法であって、
C 前記スライドファスナーは、
D’ 前記一対のストリンガテープの把持部材構成要素が係合している間に、前記積層物を形成すること、および
F’ 第2の分割線を前記部材に切断すること
G の順で生成される、方法。」

そして、以下の点で相違する。
<相違点1-1>
一対のストリンガテープ(構成要件B)について、本件発明1は「前記第1の面の端部に沿って配置された一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープであってストリンガテープ間に第1の分割線を有する一対のストリンガテープ」であるのに対して、甲1発明は、一連の把持部材構成要素が第1の面の端部に沿って配置されていること、及び、ストリンガテープ間に第1の分割線を有していることの特定がない点。
<相違点1-2>
スライドファスナーが有する積層物(構成要件B、D)について、本件発明1は「第2の面上の耐水性の層」であるのに対して、甲1発明は、ストリンガテープの相互に突合うエッジ上の角材状コーティング部材である点。
<相違点1-3>
スライドファスナーが有する積層物の形成(構成要件D、E)について、本件発明1は「前記内側端部および前記把持部材構成要素を覆うように前記第2の面上に固体シートとして前記耐水性の層を接着、積層、転写コーティング、または転写して積層すること、前記耐水性の層を前記ストリンガテープに対して少なくとも約6lb/in(0.107kg/mm)の接着力で接着すること」によって行っているのに対して、甲1発明は、180N/5cm(DIN)以上の付着力を有するプレ・コーティングまたはラミネートを施し、その後に熱可塑性ポリウレタンであるコーティング部材を射出成形法により取付けることによって行っている点。
<相違点1-4>
第2の分割線(構成要件F)について、本件発明1は「第1の分割線と平行に配置され且つ一致する」ものであるのに対して、甲1発明は、この特定がない点。

(4)判断
事案に鑑み、まず、相違点1-3について検討する。

上記1.(4)のとおり、本件発明1において、「前記第2の面上に固体シートとして前記耐水性の層を接着、積層、転写コーティング、または転写して積層する」とは、第2の面上に耐水性の層が接するタイミングで、当該耐水性の層は、既に固体シートの形態である(液体状態ではない)と解されるところ、甲1発明は、構成要素1dより、第2の面上に耐水性の層を射出成形法により取付けるものであるから、第2の面上に耐水性の層が接するタイミングで、当該耐水性の層は、未だ固体シートの形態となっていない。
よって、相違点1-3は、実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は甲1発明ではない。

そして、甲1発明は「簡略な手段によりこのようなファスナが、廉価でまた完全な密閉性を持たせて製造できる、防水性および気密性を持つファスナの改良された製造方法を提供する」との課題を解決するために(上記2.(1)エ)、「特にプラスチック製スパイラル・ファスナであって、スパイラル部分が熱可塑性エラストマで押出しコーティングされ、これが角材状コーティング部材としてファスナ・テープの相互に突合うエッジ上に取付けられており、ここで角材状コーティング部材がファスナの締結状態では圧着されて相互密着に接面する防水性および気密性を持つファスナの製造方法において、前記コーティング部材(2)が射出成形法により取付けられていることを特徴とする防水性および気密性を持つファスナの製造方法」としたものである(上記2.(1)キ)から、角材状コーティング部材を射出成形法により取付けることは、甲1発明の課題解決手段として必須の構成である。
してみると、甲1発明において、コーティング部材の取付け方法を、射出成形法以外の方法とすることは、甲1発明の課題を解決しないこととなるから、このようにすることに阻害事由があるというべきである。

また、仮に、甲1発明において、コーティング部材の取付け方法を、射出成形法以外の方法である甲5記載の取付け方法とすることを当業者が試みることができたとしても、甲1発明は、コーティング部材とファスナ・テープとの境界が不明である(上記(2)ア.)から、コーティング部材とファスナ・テープがどちら方向に接しているのか明らかではないので、生地に固体シートであるポリウレタンフィルムをラミネートして、ラミネートニップローラにより接着するとの甲5記載の取付け方法(上記2.(5)エ.、オ.)により、取付けることができる形状であるかどうかも不明である。
してみると、甲1発明において、コーティング部材の取付け方法として、甲5記載の技術を採用することにも阻害事由があるというべきである。

さらに、甲2ないし4、10、11、17の1ないし18(上記2.(2)ないし(4)、(6)、(7)、(9)、(10))にも、互いの境界が不明な甲1発明のコーティング部材とファスナ・テープの取付け方法として、ファスナ・テープ上に接するタイミングで、コーティング部材が既に固体シートの形態であるような取付け方法を採用することの記載はないし、示唆する記載もない。

してみると、甲1発明において、コーティング部材を射出成形法により取付けることに代えて、第2の面上にコーティング部材が接するタイミングで、当該コーティング部材は、既に固体シートの形態であるような取付け方法を採用することは、当業者にとって容易でない。
よって、甲1発明において相違点1-3に係る構成を備えたものとすることは、甲2ないし5記載事項や、周知技術(上記2.(6)、(7)、(9)、(10)に示した甲10、11、17の1ないし18に記載された周知技術)をもってしても、当業者にとって容易でない。

以上より、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明ではなく、甲1発明と甲2ないし5記載事項及び周知技術(甲10、11、17の1ないし18)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、無効理由1によって、本件発明1に係る特許を無効にすることはできない。

(5)本件発明2ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27
本件発明2ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであるから、本件発明1の構成を全て含むものである。
してみると、本件発明1の全ての構成を含んで更に限定された本件発明2ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27に係る特許についても、無効理由1によって無効にすることはできない。

(6)小括
以上より、無効理由1によって、本件発明1ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27に係る特許を無効にすることはできない。

4.無効理由2(甲2に基づく新規性及び進歩性欠如)についての当審の判断
(1)本件発明
本件発明1ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27は、上記1.のとおりである。

(2)甲2発明
上記2.(2)より、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。
「2a 防水ファスナーを製造するための方法であって、
2b 前記防水ファスナーが、それぞれが1本のファスナーテープと接続された2つのプラスチックラセンから成る歯列から成り、かかる歯列がスライダによって相互に係合して再び分離することができ、ファスナーが歯列領域にポリウレタンからなるシーリング手段を具備し、前記ファスナーが閉じた状態で前記シーリング手段が防水的に相互に密着する、方法であって、
2c 前記防水ファスナーは、
2d ファスナーをファスナーテープとともに閉じた状態で液体状態のポリウレタンに浸漬してこれでコートすること、
ファスナーを冷却ステーションに送り、ここで係合した歯先がはずれない程度に相互に圧迫し合うように両方のテープに両側から逆方向の力を加えて牽引すること、および
2f 分離キーを介して一定数の歯を連続して開き、これによってポリウレタンを引き離し、キーの位置またはキーの手前でナイフによってファスナーの歯を損傷することなくポリウレタンを切断すること
2g の順で生成される、方法。」

(3)本件発明1と甲2発明との対比
甲2発明の「防水ファスナー」は、本件発明1の「耐水性のスライドファスナー」に相当し、同様に、「製造する」は「作成する」に相当する。
甲2発明の「前記防水ファスナーが、それぞれが1本のファスナーテープと接続された2つのプラスチックラセンから成る歯列から成り、かかる歯列がスライダによって相互に係合して再び分離することができ、ファスナーが歯列領域にポリウレタンからなるシーリング手段を具備し、前記ファスナーが閉じた状態で前記シーリング手段が防水的に相互に密着する」は、「前記耐水性のスライドファスナーが、第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープと、耐水性の領域とを有してなり、前記一対のストリンガテープが内側端部を有している」という限りにおいて、本件発明1の「前記耐水性のスライドファスナーが、第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に前記第1の面の端部に沿って配置された一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープであってストリンガテープ間に第1の分割線を有する一対のストリンガテープと、前記第2の面上の耐水性の層とを有してなり、前記一対のストリンガテープが平行に配置されると共に前記一連の把持部材構成要素に隣接する内側端部を有している」と一致する。
甲2発明の「ファスナーをファスナーテープとともに閉じた状態で液体状態のポリウレタンに浸漬してこれでコートすること、ファスナーを冷却ステーションに送り、」「および分離キーを介して一定数の歯を連続して開き、これによってポリウレタンを引き離し、キーの位置またはキーの手前でナイフによってファスナーの歯を損傷することなくポリウレタンを切断することの順で生成される」は、「前記一対のストリンガテープの把持部材構成要素が係合している間に、耐水性の領域を形成すること、第2の分割線を固体シートに切断することの工程を含んで生成される」という限りにおいて、本件発明1の「前記一対のストリンガテープの把持部材構成要素が係合している間に、前記内側端部および前記把持部材構成要素を覆うように前記第2の面上に固体シートとして前記耐水性の層を接着、積層、転写コーティング、または転写して積層すること、前記耐水性の層を前記ストリンガテープに対して少なくとも約6lb/in(0.107kg/mm)の接着力で接着すること、」「および前記第1の分割線と平行に配置され且つ一致する第2の分割線を前記固体シートに切断することの順で生成される」と一致する。

よって、本件発明1と甲2発明とは、以下の点で一致する。
「A 耐水性のスライドファスナーを作成するための方法であって、
B’’ 前記耐水性のスライドファスナーが、第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープと、耐水性の領域とを有してなり、前記一対のストリンガテープが内側端部を有している、方法であって、
C 前記スライドファスナーは、
D’’ 前記一対のストリンガテープの把持部材構成要素が係合している間に、耐水性の領域を形成すること、
F’’ 第2の分割線を固体シートに切断すること
G’’ の工程を含んで生成される、方法。」

そして、以下の点で相違する。
<相違点2-1>
耐水性のスライドファスナーの構成(構成要件B)について、本件発明1は「第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に前記第1の面の端部に沿って配置された一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープであってストリンガテープ間に第1の分割線を有する一対のストリンガテープと、前記第2の面上の耐水性の層とを有してなり、前記一対のストリンガテープが平行に配置されると共に前記一連の把持部材構成要素に隣接する内側端部を有している」のに対して、甲2発明は、一連の把持部材構成要素が第1の面の端部に沿って配置されていること、ストリンガテープ間に第1の分割線を有していること、耐水性の領域が耐水性の層として第2の面上にあること、一対のストリンガテープが平行に配置されること、及び、内部端部が一連の把持部材構成要素に隣接することの特定がない点。
<相違点2-2>
耐水性の領域の形成(構成要件D、E)について、本件発明1は「前記内側端部および前記把持部材構成要素を覆うように前記第2の面上に固体シートとして前記耐水性の層を接着、積層、転写コーティング、または転写して積層すること、前記耐水性の層を前記ストリンガテープに対して少なくとも約6lb/in(0.107kg/mm)の接着力で接着すること」によって行っているのに対して、甲2発明は、液体状態のポリウレタンに浸漬してこれでコートすることによって行っている点。
<相違点2-3>
第2の分割線(構成要件F)について、本件発明1は「第1の分割線と平行に配置され且つ一致する」ものであるのに対して、甲2発明は、この特定がない点。
<相違点2-4>
スライドファスナーの生成(構成要件G)について、本件発明1は「・・・積層すること、・・・接着すること、および・・・切断することの順で生成される」のに対し、甲2発明は、切断する前に「両側から逆方向の力を加えて牽引すること」が含まれる点。

(4)判断
事案に鑑み、まず、相違点2-2について検討する。

上記1.(4)のとおり、本件発明1において、「前記第2の面上に固体シートとして前記耐水性の層を接着、積層、転写コーティング、または転写して積層する」とは、第2の面上に耐水性の層が接するタイミングで、当該耐水性の層は、既に固体シートの形態である(液体状態ではない)と解されるところ、甲2発明は、構成要素2dより、液体状態のポリウレタンに浸漬することで、第2の面上に耐水性の層を形成するためのポリウレタンを供給するものであるから、第2の面上に耐水性の層が接するタイミングで、当該耐水性の層は、未だ固体シートの形態となっていない。
よって、相違点2-2は、実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は甲2発明ではない。

そして、甲2発明は「安価な従来のファスナータイプを踏襲しながら防水性のファスナーを提供する」との課題を解決するために(上記2.(2)オ.)、「ファスナーをファスナータイプとともに閉じた状態で液体状態の弾性熱可塑性材料に浸漬してこれでコート」し、その後、「ファスナーを冷却ステーションに送り、ここで係合した歯先がはずれない程度に相互に圧迫し合うように両方のテープに両側から逆方向の力を加えて牽引することによって、プラスチックから成る熱可塑性材料が歯と歯の間の歯先の部分では押しのけられ、残留応力の下に置かれたファスナーの部分では、両歯列の間及び両歯列の熱可塑性材料が引き続き均質な状態で結合したまま残る」ように製造することにより(上記2.(2)キ.)、「歯をシーリング手段と接着しない」状態とし(上記2.(2)カ.)、「その歯列のそれぞれの歯の間に熱可塑性の弾性プラスチック材料が存在し、ファスナーが閉じた状態で相互に強く圧迫し合」い、「ファスナーテープも熱可塑性材料でコートしている」ファスナーの構成とすることで、「製造が容易で特に安価な防水ファスナーが得られる」との効果を奏するものである(上記2.(2)ケ.)。
そうすると、甲2発明において、液体状態のポリウレタンに浸漬してこれでコートすることに代えて、第2の面上に耐水性の層が接するタイミングで、当該耐水性の層は、既に固体シートの形態であるような取付け方法を採用することは、「係合した歯先がはずれない程度に相互に圧迫し合うように両方のテープに両側から逆方向の力を加えて牽引することによって、プラスチックから成る熱可塑性材料が歯と歯の間の歯先の部分では押しのけられ、残留応力の下に置かれたファスナーの部分では、両歯列の間及び両歯列の熱可塑性材料が引き続き均質な状態で結合したまま残る」ように製造することはできないから、甲2発明の課題を解決することができない。
してみると、甲2発明において、液体状態のポリウレタンに浸漬してこれでコートすることに代えて、第2の面上に耐水性の層が接するタイミングで、当該耐水性の層が、既に固体シートの形態であるような取付け方法を採用して相違点2-2に係る構成を備えたものとすることには、阻害事由があるというべきである。

以上より、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明ではなく、甲2発明と甲1記載事項及び周知技術(甲3ないし5、10、11、14の1ないし14の3、17の1ないし19の4)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、無効理由2によって、本件発明1に係る特許を無効にすることはできない。

(5)本件発明2ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27
本件発明2ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであるから、本件発明1の構成を全て含むものである。
してみると、本件発明1の全ての構成を含んで更に限定された本件発明2ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27に係る特許についても、無効理由2によって無効にすることはできない。

(6)小括
以上より、無効理由2によって、本件発明1ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27に係る特許を無効にすることはできない。

5.無効理由3(甲3に基づく進歩性欠如)についての当審の判断
(1)本件発明
本件発明1ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27は、上記1.のとおりである。

(2)甲3発明
上記2.(3)より、甲3には、Fig.8、9に示されている実施形態として、以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。
「3a 不浸透性テープ14及び14aと、不浸透性テープ14及び14aとともに固体部品として製造されるガスケット13とを有するファスナー10を製造するための方法であって、
3b 前記ファスナー10が、第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に、前記第1の面上、ファスナーテープ12及び12aの間、及び、前記第2の面上にわたって配置されたエレメント41及び41aをそれぞれ有する一対のファスナーテープ12及び12aであって、ファスナーテープ12及び12aの間に係合している状態のエレメント41及び41aが存在するための空間を有している一対のファスナーテープ12及び12aと、第2の面上の不浸透性テープ14及び14aとガスケット13とを有してなり、前記一対のファスナーテープ12及び12aが平行に配置されると共に前記エレメント41及び41aに隣接する内側端部を有している、方法であって、
3c 前記ファスナー10は、
3d ファスナーテープ12及び12aの第2の面上に、ガスケット13を一体に有する不浸透性テープ14及び14aを縫付けること、
3f エレメント41及び41aをファスナーテープ12及び12aに取付けたファスナーチェーン11との組み付けの前又は後に、ガスケット13を切り開いて開口部29となすこと
3g によって生成される、方法。」

(3)本件発明1と甲3発明との対比
甲3発明の「ファスナー10」は本件発明1の「スライドファスナー」に相当し、同様に、「製造する」は「作成する」に、「エレメント41及び41a」は「一連の把持部材構成要素」に、「ファスナーテープ12及び12a」は「ストリンガテープ」に、それぞれ相当する。
甲3発明の「不浸透性テープ14及び14aとガスケット13」は、第2の面上に向けられている「層」であるという限りにおいて、本件発明1の「耐水性の層」と一致する。
甲3発明の「ガスケット13を一体に有する不浸透性テープ14及び14a」は、本件発明1の「固体シート」に相当する。
甲3発明の「縫付ける」は、「積層」し、その後、縫うことで「取り付ける」ことを意味する。
甲3発明の「切り開いて」は本件発明1の「切断する」に相当し、同様に、「開口部29」は「第2の分割線」に相当する。
甲3発明の「・・・によって生成される」は「・・・の工程を含んで生成される」という限りにおいて、本件発明1の「・・・の順で生成される」にと一致する。

よって、本件発明1と甲3発明とは、以下の点で一致する。
「A’’’ スライドファスナーを作成するための方法であって、
B’’’ 前記スライドファスナーが、第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープと、前記第2の面上の層とを有してなり、前記一対のストリンガテープが平行に配置されると共に前記一連の把持部材構成要素に隣接する内側端部を有している、方法であって、
C 前記スライドファスナーは、
D’’’ 前記第2の面上に固体シートとして前記層を積層すること、
E’’’ 前記層を前記ストリンガテープに対して取り付けること、および

F’’’ 第2の分割線を前記固体シートに切断すること
G’’’ の工程を含んで生成される、方法。 」

そして、以下の点で相違する。
<相違点3-1>
耐水性(構成要件A、B、D)について、本件発明1は「耐水性のスライドファスナー」を作成するための方法であって、第2の面上の層は「耐水性の層」であるのに対して、甲3発明は「不浸透性テープ14及び14aと、不浸透性テープ14及び14aとともに固体部品として製造されるガスケット13とを有するファスナー10」を作成するための方法であって、第2の面上の層は「不浸透性テープ14及び14aとガスケット13」である点。
<相違点3-2>
一対のストリンガテープ(構成要件B)について、本件発明1は「前記第1の面の端部に沿って配置された一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープであってストリンガテープ間に第1の分割線を有する一対のストリンガテープ」であるのに対して、甲3発明は、第1の面に、その端部に沿って一連の把持部材構成要素を有するものではなく、ストリンガテープ間に第1の分割線を有するものではない点。
<相違点3-3>
層の形成(構成要件D、E)について、本件発明1は「前記一対のストリンガテープの把持部材構成要素が係合している間に、前記内側端部および前記把持部材構成要素を覆うように」積層し、「前記ストリンガテープに対して少なくとも約6lb/in(0.107kg/mm)の接着力で接着する」のに対して、甲3発明は、層を積層する時に把持部材構成要素が係合していることの特定がなく、積層後に縫付ける点。
<相違点3-4>
第2の分割線(構成要件F)について、本件発明1は「第1の分割線と平行に配置され且つ一致する」ものであるのに対して、甲3発明は、第1の分割線を有さないから、「第1の分割線と平行に配置され且つ一致する」ものではない点。
<相違点3-5>
第2の分割線の切断のタイミング(構成要件G)について、本件発明1は、第2の面上への層の積層等及び接着の後に第2の分割線の切断が行われるのに対し、甲3発明は、第2の面上への層の形成と、第2の分割線の切断とのタイミングの関係が特定されていない点。

(4)判断
事案に鑑み、まず、相違点3-2について検討する。

上記1.(3)のとおり、本件発明1において、「第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に前記第1の面の端部に沿って配置された一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープであってストリンガテープ間に第1の分割線を有する一対のストリンガテープ」は、本件の図1に記載されているように、第1の面に、その端部に沿って把持部材構成要素を有し、把持部材構成要素が係合している状態でストリンガテープ間に空間を有さないもののみであると解されるところ、甲3発明は、「前記第1の面上、ファスナーテープ12及び12aの間、及び、前記第2の面上にわたって配置されたエレメント41及び41aをそれぞれ有する一対のファスナーテープ12及び12a」との構成要素3bを有するものであるから、ファスナーテープ12及び12a(ストリンガテープ)間にエレメント41及び41a(把持部材構成要素)を有し、エレメント41及び41aが係合している状態でファスナーテープ12及び12a間にエレメント41及び41aが存在するための空間を有するものである。
よって、相違点3-2は、実質的な相違点である。

そして、甲3発明は、エレメント41及び41aを「前記第1の面上、ファスナーテープ12及び12aの間、及び、前記第2の面上にわたって配置」することで、「密閉ガスケットは、スライダと反対側で、エレメントによって支持される」(上記2.(3)ア.)ようにしている。すなわち、第1の面側に配置されたスライダ9と反対側の第2の面側において、エレメント41及び41aにガスケット保持用のL字形状の開口部33及び33aを設け、ガスケットを摩擦や慣習的な接着によって保持させることで、「ファスナーチェーンの曲げにかかわらず、双方の側から密閉を等しく有効にする」ものであり(上記2.(3)オ.及びケ.)、具体的には、エレメント41及び41aの係合・解除に伴う開口部33及び33aの移動により、ガスケット13を移動させ、エレメント41及び41aが係合している状態で、ガスケット13間の空間をなくした上で、(上記2.(3)コ.)、「双方の側から密閉を等しく有効に」している。
そうすると、甲3発明において、エレメント41及び41a(把持部材構成要素)を第1の面のみに設け、エレメント41及び41aが係合している状態でストリンガテープ(ファスナーテープ12及び12a)間に空間を有さないものとすると、第2の面側においてエレメント41及び41aに開口部33及び33aを設けることができなくなり、エレメント41及び41aの係合・解除に伴ってガスケット13を移動させることができなくなり、ガスケット13による密閉ができなくなる。
してみると、甲3発明において、エレメント41及び41aを「前記第1の面上、ファスナーテープ12及び12aの間、及び、前記第2の面上にわたって配置」する構成に代えて、エレメント41及び41a(把持部材構成要素)が係合している状態でストリンガテープ(ファスナーテープ12及び12a)間に空間を有さない構成を採用して相違点3-2に係る構成とすることには、阻害事由があるというべきである。
よって、甲3発明において相違点3-2に係る構成を備えたものとすることは、甲1記載事項や、周知技術(上記2.(5)ないし(11)に示した甲5、10、11、14の1ないし14の3、17の1ないし19の4に記載された周知技術)をもってしても、容易でない。

以上より、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明と甲1記載事項及び周知技術(甲5、10、11、14の1ないし14の3、17の1ないし19の4)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、無効理由3によって、本件発明1に係る特許を無効にすることはできない。

(5)本件発明2ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27
本件発明2ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであるから、本件発明1の構成を全て含むものである。
してみると、本件発明1の全ての構成を含んで更に限定された本件発明2ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27に係る特許についても、無効理由3によって無効にすることはできない。

(6)小括
以上より、無効理由3によって、本件発明1ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27に係る特許を無効にすることはできない。

6.無効理由4(甲4に基づく進歩性欠如)についての当審の判断
(1)本件発明
本件発明1ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27は、上記1.のとおりである。

(2)甲4発明
上記2.(4)より、甲4には、以下の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されている。
「4a スライドファスナーを作成するための方法であって、
4b スライドファスナーが、第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に、前記第1の面上、テープ18及び20の間、及び、前記第2の面上にわたって配置された相互係合エレメント22をそれぞれ有する1対のテープ18及び20であって、テープ18及び20の間に係合している状態の相互係合エレメント22が存在するための空間を有している1対のテープ18及び20と、第2の面上のシート材料12とを有してなり、前記1対のテープ18及び20が平行に配置されると共に前記相互係合エレメント22に隣接する内縁を有している、方法であって、
4c 前記スライドファスナーは、
4d 前記1対のテープ18及び20の前記相互係合エレメント22が係合している間に、前記内縁および前記相互係合エレメント22を覆うように前記第2の面上に固体シートとしてシート材料12を載置すること、
4e 前記シート材料12を前記1対のテープ18及び20に対して接着すること、および
4f 引裂線36の下側に僅かに持上げ力を加えることにより引裂線36を切断すること
4g の順で生成される、方法。」

(3)本件発明1と甲4発明との対比
甲4発明の「相互係合エレメント22」は本件発明1の「一連の把持部材構成要素」に相当し、同様に、「1対のテープ18及び20」は「一対のストリンガテープ」に相当する。
甲4発明の「シート材料12」は、第2の面上に設けられている「層」であるという限りにおいて、本件発明1の「耐水性の層」と一致する。
甲4発明の「内縁」は本件発明1の「内側端部」に相当し、同様に、「載置する」は「積層する」に相当する。
甲4発明の「引裂線36」は、上記2.(4)エ.より、シート材料12に設けられているから、引裂線36を切断することにより、第2の分割線が固体シートに切断することとなる。

よって、本件発明1と甲4発明とは、以下の点で一致する。
「A’’’’ スライドファスナーを作成するための方法であって、
B’’’’ 前記スライドファスナーが、第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープと、前記第2の面上の層とを有してなり、前記一対のストリンガテープが平行に配置されると共に前記一連の把持部材構成要素に隣接する内側端部を有している、方法であって、
C 前記スライドファスナーは、
D’’’’ 前記一対のストリンガテープの把持部材構成要素が係合している間に、前記内側端部および前記把持部材構成要素を覆うように前記第2の面上に固体シートとして前記層を積層すること、
E’’’’ 前記層を前記ストリンガテープに対して接着すること、および
F’’’’ 第2の分割線を前記固体シートに切断すること
G の順で生成される、方法。」

そして、以下の点で相違する。
<相違点4-1>
耐水性(構成要件A、B、D)について、本件発明1は「耐水性のスライドファスナー」を作成するための方法であって、第2の面上の層は「耐水性の層」であるのに対して、甲4発明は、スライドファスナー及び層が耐水性であることの特定がない点。
<相違点4-2>
一対のストリンガテープ(構成要件B)について、本件発明は「前記第1の面の端部に沿って配置された一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープであってストリンガテープ間に第1の分割線を有する一対のストリンガテープ」であるのに対して、甲4発明は、第1の面に、その端部に沿って一連の把持部材構成要素を有するものではなく、ストリンガテープ間に第1の分割線を有するものではない点。
<相違点4-3>
層の接着力(構成要件E)について、本件発明1は「少なくとも約6lb/in(0.107kg/mm)の接着力」であるのに対して、甲4発明は、層の接着力の特定がない点。
<相違点4-4>
第2の分割線(構成要件F)について、本件発明1は「第1の分割線と平行に配置され且つ一致する」ものであるのに対して、甲4発明は、第1の分割線を有さないから、「第1の分割線と平行に配置され且つ一致する」ものではない点。

(4)判断
事案に鑑み、まず、相違点4-2について検討する。

上記1.(3)のとおり、本件発明1において、「第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に前記第1の面の端部に沿って配置された一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープであってストリンガテープ間に第1の分割線を有する一対のストリンガテープ」は、本件の図1に記載されているように、第1の面に、その端部に沿って把持部材構成要素を有し、把持部材構成要素が係合している状態でストリンガテープ間に空間を有さないもののみであると解されるところ、甲4発明は、「前記第1の面上、テープ18及び20の間、及び、前記第2の面上にわたって配置された相互係合エレメント22をそれぞれ有する1対のテープ18及び20」との構成要素4bを有するものであるから、テープ18及び20(ストリンガテープ)間に相互係合エレメント22(把持部材構成要素)を有し、相互係合エレメント22が係合している状態でテープ18及び20間に相互係合エレメント22が存在するための空間を有するものである。
よって、相違点4-2は、実質的な相違点である。

そして、甲4発明は、「従前はスライド・ファスナーを取付ける以前に切断されていた」ため、「切断により生ずる開口にスライド・ファスナーを精密に合わせることを必要とするのみならず、通例は手作業で行われ物品の製造に望ましからぬ経費と時間とを追加する余分の切断作業を必要とする」(上記2.(4)ア.)との課題を解決するために、「予め切断する工程を必要とすることなくスライド・ファスナーをシート材料に取付け、スライド・ファスナーの上に延び出しスライド・ファスナーの相互係合エレメントに中心を合わせ切れ易い中心引裂線で会合するフラップを備えたスライド・ファスナーを有するシート材料から成る物品を製作することにより従前技術の前述の欠点を克服すること」を目的としてなされたものである(上記2.(4)イ.)。したがって、甲4発明の中心引裂線は、当該課題を解決するために必須の構成である。
甲4の記載によると、当該中心引裂線は「相互係合エレメント22がチャンネル48に受入れられ切込み突起58が相互係合エレメントの真上で中心線36に沿いシート材料を弱化」させることにより形成され、この際、相互係合エレメント22は、「引裂線36を形成する際に切込み突起58のアンビルの役目をする」ものである(上記2.(4)オ.)。
ここで、甲4発明において、エレメント相互係合エレメント22(把持部材構成要素)を第1の面、すなわち、切込み突起58とは反対の面のみに設けることは、切込み突起58のアンビルの役目をすることを妨げることとなり、上記必須の構成である中心引裂線36を形成することができなくなるから、このようにすることに阻害事由があるというべきである。

また、甲4に記載されたスライドファスナーは、中心引裂線36を切り開くことで形成された開口38を介してスライダー24を操作するものである(上記2.(4)コ.)。
ここで、甲4発明において、エレメント相互係合エレメント22(把持部材構成要素)を第1の面、すなわち、中心引裂線36が設けられているシート材料12とは反対の面のみに設けることは、スライダー24も第1の面側に設けざるを得なくすることであり、中心引裂線36を切り開くことで形成された開口38を介してスライダー24を操作できなくなるから、このようにすることにも阻害事由があるというべきである。

してみると、甲4発明において、相互係合エレメント22を「前記第1の面上、テープ18及び20の間、及び、前記第2の面上にわたって配置」する構成に代えて、相互係合エレメント22(把持部材構成要素)が係合している状態でテープ18及び20(ストリンガテープ)間に空間を有さない構成を採用して相違点4-2に係る構成とすることには、阻害事由があるというべきである。
よって、甲4発明において相違点4-2に係る構成を備えたものとすることは、甲1ないし3記載事項や、周知技術(上記2.(5)ないし(11)に示した甲5、10、11、14の1ないし14の3、17の1ないし19の4に記載された周知技術)をもってしても、容易でない。

以上より、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4発明と甲1ないし3記載事項及び周知技術(甲5、10、11、14の1ないし14の3、17の1ないし19の4)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、無効理由4によって、本件発明1に係る特許を無効にすることはできない。

(5)本件発明2ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27
本件発明2ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであるから、本件発明1の構成を全て含むものである。
してみると、本件発明1の全ての構成を含んで更に限定された本件発明2ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27に係る特許についても、無効理由4によって無効にすることはできない。

(6)小括
以上より、無効理由4によって、本件発明1ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27に係る特許を無効にすることはできない。

第7.無効理由5(明確性要件違反)についての当審の判断
1.本件発明12ないし21、25ないし27について(第4.1.(5)ア.)
上記第3.より、本件発明12は、「第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に前記第1の面の端部に沿って配置された一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープであってストリンガテープ間に第1の分割線を有する一対のストリンガテープと、
前記第2の面上の耐水性の層とを有してなり、
前記一対のストリンガテープが平行に配置されると共に前記一連の把持部材構成要素に隣接する内側端部を有しており、および
前記耐水性の層が前記第2の面上に位置すると共に前記内側端部および前記把持部材構成要素を覆っている」「耐水性のスライドファスナー」において、
「前記耐水性の層が前記ストリンガテープに対して少なくとも約6lb/in(0.107kg/mm)の接着力を有すると共に第2の分割線を有しており、
前記第2の分割線が前記第1の分割線と平行且つ一致するように配置されており、および
前記耐水性の層の前記第2の面に対向する面が前記第2の面と平行であると共に前記一対のストリンガテープの各把持部材構成要素が係合している」「耐水性のスライドファスナー」であって、「請求項1?7,9および10のいずれか1項に記載の方法によって製造される」ものである。
そして、「第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に・・・各把持部材構成要素が係合している」「耐水性のスライドファスナー」の構成自体は明確である。

また、「請求項1?7,9および10のいずれか1項に記載の方法によって製造される」という構成は、上記第1.に示した意見書(1)の「先ず申し上げたいことは、請求項1に係る発明(方法)は、明らかに、引用文献1に開示された事項とは異なるということです。また、請求項12についても請求項1に従属するものとしたので、同様に特許性が認められるべきです。」との記載(甲33)より、請求項1?7,9および10のいずれか1項に記載の方法によって製造されたものに限られると解され、他の意味には解されない。このことは、平成29年2月27日提出の被請求人上申書の「6」からも明らかである。
ここで、最高裁判決(平成24年(受)第1204号)は、物の発明についての特許に係る特許請求の範囲において、その製造方法が記載されている場合の明確性要件に関し、「物の発明についての特許に係る特許請求の範囲において,その製造方法が記載されていると,一般的には,当該製造方法が当該物のどのような構造若しくは特性を表しているのか,又は物の発明であってもその特許発明の技術的範囲を当該製造方法により製造された物に限定しているのかが不明であり,特許請求の範囲等の記載を読む者において,当該発明の内容を明確に理解することができず,権利者がどの範囲において独占権を有するのかについて予測可能性を奪うことになり,適当ではない。」と判示している。
この判示の観点で本件発明12の明確性を検討すると、本件発明12は上述のとおり、請求項1?7,9および10のいずれか1項に記載の方法によって製造されたものに限られると解され、他の意味には解されないことから、その特許発明の技術的範囲を請求項1?7,9および10のいずれか1項に記載の製造方法により製造された物に限定していることは明らかであり、特許請求の範囲等の記載を読む者において、当該発明の内容を明確に理解することができ、権利者がどの範囲において独占権を有するのかについて予測可能性を奪うものではない。
してみると、「請求項1?7,9および10のいずれか1項に記載の方法によって製造される」との記載により、本件発明12が明確ではないということはできない。
また、本件発明13ないし21、25ないし27にしても同様に、上記記載によって、明確ではないということはできない。

2.本件発明15ないし17について(第4.1.(5)イ.)
請求項15ないし17には「前記耐水性の層が、孔あきなしに、少なくとも・・・ストール摩耗サイクルに耐えることができる」との記載があるところ、当該記載は、本件発明15ないし17において、耐水性の層の性質を特定するものであって、達成される効果を特定したものではない。そして、当該性質は、本件特許明細書の段落【0024】、【0025】等に記載されているように、「連邦標準」として当業者に周知であろうと解される「連邦標準試験191A、No.5302法」(乙1)によるストール摩耗試験によって評価することができるものであるから、上記記載により、本件発明15ないし17が明確ではないということはできない。

3.本件発明25について(第4.1.(5)ウ.)
請求項25には「前記スライドファスナーが約30cm以下のクラーク硬さを示すことを特徴とする、請求項12記載のスライドファスナー」との記載がある。
当該記載に関して、本件特許明細書には段落【0028】に「本発明のスライドファスナーが可撓性である場合の応用例、例えば「ピット-ジップ」として使用された場合あるいは高性能衣服内のいずれかに配置された場合においては、衣服の着用者の自由な動きを干渉しないように、スライドファスナー構造体は十分な可撓性を有する必要がある。No.5ジッパーに対する、本発明による好適なスライドファスナーは、連邦標準試験方法191A、No.5204法(Federal Test Method Standard 191A )に説明されているように、クラーク剛性試験(Clark Stiffines Testing )で約30cm以下、より好ましくは約25cm以下の可撓性を有している。」との記載があるから、本件発明25で特定されている「クラーク硬さ」は、スライドファスナーが衣服内に配置された場合に、衣服の着用者の自由な動きを干渉しないようなスライドファスナー構造体の可撓性があるか否かを評価する指標であり、「連邦標準試験191A、No.5204法」(乙2)によるクラーク剛性試験によって評価するものであることは明らかである。
そして、スライドファスナーが衣服内に配置された場合に、衣服の着用者の自由な動きを干渉しないようなスライドファスナー構造体の可撓性の有無を評価するには、スライドファスナー全体の可撓性を評価する必要があることは自明である。
さらに、「連邦標準試験191A、No.5204法」によるクラーク剛性試験は、長方形の試験体の長手方向一端をロールとロールとの間に挿入し、試験器具を時計回り及び反時計回りに90°±2°回転させたときに各ロールのニップに対する垂直線の左及び右に傾く、各ロールのニップの上に残る試験体の長さによって示される曲げ剛さを測定するものである(乙2)から、この試験によりスライドファスナーの可撓性を測定すると、把持部材構成要素だけの可撓性や、ストリンガテープだけの可撓性ではなく、スライドファスナー全体の可撓性が測定されることは、自明である。
してみると、上記記載は、「請求項12記載のスライドファスナー」全体のクラーク硬さを特定していることは明らかである。

また、上記記載は、スライドファスナーの性質を特定するものであって、達成される効果を特定したものではなく、当該性質は、本件特許明細書の段落【0028】に記載の「連邦標準」として当業者に周知であろうと解される「連邦標準試験191A、No.5204法」(乙2)によるクラーク剛性試験によって評価することができるものである。

以上より、本件発明25は、明確である。

4.本件発明6について(第4.1.(5)エ.)
請求項6には「ストリンガテープの全体の強度より大きな接着力」との記載がある。
当該記載に関して、本件特許明細書には段落【0026】に「本発明によるスライドファスナー構造体10は、ストリンガテープ12、16に積層された層26を含んでおり、この構造体が連邦標準試験No.191A法のような接着性試験を受けた場合において十分な接着強度を備えたものであり、ストリンガテープの布に接着されたポリウレタンは実際のストリンガテープの完全性ないし材料強度より強度が大きく、このため、この試験の際には、テープの材料の強度に依存して、ポリウレタンとストリンガテープの間の接着部に沿ってではなしに、ストリンガテープ材料による破壊が生じる。」との記載があるから、上記請求項6の記載は、「連邦標準試験No.191A法のような接着性試験」の際には、「ポリウレタンとストリンガテープの間の接着部に沿ってではなしに、ストリンガテープ材料による破壊が生じる」ような接着強度を意味することは明らかである。
よって、本件発明6は、明確である。

5.小括
以上より、無効理由5によって、本件発明6、12ないし21、25ないし27に係る特許を無効にすることはできない。

第8.無効理由6(サポート要件違反)についての当審の判断
1.本件発明、発明の詳細な説明
本件発明15ないし17は、以下第9.1.(1)のとおりの発明特定事項を有し、同発明に関し、本件特許明細書には、以下第9.1.(2)のとおりの記載がある。
そして、本件特許明細書には、本件発明15ないし17の課題について、以下の記載がある。
「【0012】
本発明の別の目的は、摩耗などによる損傷に対する抵抗性のある、耐水性(防水性)のスライドファスナーを提供することにある。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、摩耗および粘着性の損失に対する優れた抵抗性のある耐水層(防水層)を有する、耐水性(防水性)のスライドファスナーを提供することにある。」

2.判断
以下第9.1.(3)のとおり、本件特許明細書には、ストール摩耗試験の手段、及び、耐水性の層を設けたファスナーのサンプルに上記試験を行った結果が記載されている。そして、その結果において、「本発明に従って、ポリウレタンの2.5ミルの層で積層されたスライドファスナー」は、「表2」において、「ストール摩耗サイクル」が200サイクル、500サイクル、1000サイクルの各々において変化がなかったことが示され、その比較試験において「従来の溶融コーティングされたスライドファスナーは200サイクル後に孔あきが発生した」ことが示されている。
したがって、本件発明15ないし17のスライドファスナーは、従来のスライドファスナーと比較して、高いストール摩耗サイクルに耐えうることが記載されているから、上記本件発明15ないし17の課題を解決できるものと認められる。
したがって、本件発明15ないし17は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものである。

3.請求人の主張
請求人は、本件発明15ないし17は、「ストール摩耗サイクル」という特殊なパラメータを用いており、本件特許明細書の記載を見ても、その数値が示す範囲と得られる効果(性能)との関係の技術的な意味が、特許出願時において、具体例の開示がなくとも当業者に理解できる程度に記載されておらず、また、特許出願時の技術常識を参酌して、当該数式が示す範囲内であれば、所望の効果(性能)が得られると当業者において認識できる程度に、具体例を開示して記載されていない旨(請求書の「7[3](7)」、請求人要領書(2)の「6-1(2)イ-1(ウ)」)、主張する。
しかしながら、本件特許明細書の段落【0025】には、「摩耗サイクルは、約18オンス/平方ヤードの重量を有する第8番の未漂白の綿帆布を備え、摩耗試験機として約44x30スレッド(thread)/インチの概略スレッドカウント(approximatethreadcount)を有する、ストール摩耗試験機を使用した摩耗のサイクルであり」なる記載がある。上記「摩耗サイクル」は上記「ストール摩耗サイクル」に相当する。そして、上記「ストール摩耗試験」について、本件特許明細書の段落【0024】には、「ストール摩耗試験(連邦標準試験191A、No.5302法:FederalTestingStandard 191A,Method No. 5302 )」になる記載がある。
かかる連邦標準試験191A、No.5302法について、乙1には、以下の記載がある。
「5.11 When the end point is specified number of cycles, the specimen shall be abraded the required number of cycles and then evaluated visually for the effect of the abrasion on luster, color, fabric structure, or other characteristics as specified.」
(日本語訳(訳は、被請求人の翻訳を参考に当審が作成した。))
「5.11
終了点が所定のサイクル数である場合、所定のサイクル数に渡り試験体を摩耗させ、プロキュアメント・ドキュメントに記載の光沢、色、布構造、又は指定の他の特性に関する摩耗の影響を視覚的に評価する。」
したがって、本件発明15ないし17の「ストール摩耗サイクル」は、当業者にとって周知であろう乙1の標準試験にも規定があるとおり、当業者であれば理解できる技術用語である。
よって、「ストール摩耗サイクル」が特殊なパラメータであるとする上記主張は採用できない。

4.小括
以上より、無効理由6によって、本件発明15ないし17に係る特許を無効にすることはできない。

第9.無効理由7(実施可能要件違反)についての当審の判断
1.本件発明15ないし17
(1)本件発明
本件発明15は、「前記耐水性の層が、孔あきなしに、少なくとも約200ストール摩耗サイクルに耐えることができる」、本件発明16は、「前記耐水性の層が、孔あきなしに、少なくとも約500ストール摩耗サイクルに耐えることができる」なる発明特定事項を、本件発明17は、「前記耐水性の層が、孔あきなしに、少なくとも約1000ストール摩耗サイクルに耐えることができる」なる発明特定事項を、それぞれ有する。

(2)発明の詳細な説明
本件発明15ないし17の上記発明特定事項に関して、本件特許明細書には、以下の記載がある。
「【0024】
さらに、本発明による積層された層26は摩耗に対する優れた抵抗性を有している。以下に例証するように、本発明の積層された層26は、構造的な一体性を著しく失うことなしに、1000サイクルのストール摩耗試験(連邦標準試験191A、No.5302法:FederalTestingStandard 191A,Method No. 5302 )に容易に耐えることができ、一方、従来技術のコーティングは僅か200サイクル後に著しい摩耗および孔あきを生じた。積層された層26は、洗濯を繰り返した場合でも接着強度あるいは摩耗抵抗性に著しい影響を受けることなしにストリンガテープ14、16の布に結合されており、これにより、耐水性(防水性)の層が容易に構造的に損なわれるような問題を生じることなしに、またこの層が損傷ないし影響を受けて望ましくない外観を生じることなしに、ポリウレタンの表面を外方に配置し、通常の摩耗および破れを受けさせることができる、スライドファスナーを提供できる。
【0025】
以下に使用するように、参照される摩耗サイクルは、約18オンス/平方ヤードの重量を有する第8番の未漂白の綿帆布を備え、摩耗試験機として約44x30スレッド(thread)/インチの概略スレッドカウント(approximatethreadcount)を有する、ストール摩耗試験機を使用した摩耗のサイクルであり、サンプルは切れ目のないポリウレタン層を備えた膨張式ブラダー内に組み込まれ、またジッパーのコーティング側の中央の約1/3の部分が研摩材に晒されながら試験された。サンプルは、機械内でたて糸方向に配向され、また摩耗試験機装置の頭部上で約1ポンドの重量がかけられた。このような摩耗試験については以下の実施例でさらに例証する。適切な摩耗試験機はイリノイ州シカゴのBurcott Millsから得ることができる。」

「【0046】
(実施例)
実施例として使用する2つのサンプルを用意した。サンプル1は、ポリウレタンが溶体コーティングされたYKKスライドファスナーである。サンプル2は、本発明に従って、ポリウレタンの2.5ミルの層で積層されたスライドファスナーである。・・・
【0048】
各サンプルのウレタンコーティングされた側はまた、ポリウレタンコーティングの耐摩耗性を決定するために、連邦標準試験方法第191A、方法5302に従ってストール摩耗試験が行われた。各サンプルに対して、膨張式ダイヤフラム摩耗試験機を使用し、研磨剤として18オンス/平方ヤードの重量を有する第8番の未漂白の綿帆布を用いて、摩耗サイクルを行った。各サンプルは、ダイヤフラムの膨張性を維持するために耐水性(防水性)の層に切り込みなしで膨張式ダイヤフラム内に組み込まれた。サンプルは、研磨剤に面したコーティング端部の中央の1/3の部分に配置された。
【0049】
摩耗試験の結果を以下の表2に示した。図6および図7に、1,100サイクル後のサンプル1を左側に、また同じくサンプル2を左側に示した。図8は8,000サイクルの後のサンプル2を示したものである。
【0050】
【表2】

・・・
【0052】
表2および添付の図6,7,および8に例示したように、本発明のポリウレタン積層構造体は摩耗に対する優れた抵抗性(耐摩耗性)を示し、また800摩耗サイクルを受けた後も変化なかったのに対し、従来の溶融コーティングされたスライドファスナーは200サイクル後に孔あきが発生した。このような摩耗はスライドファスナーの視覚的な外観に著しい影響を与え、またこの構造体の耐水性(防水性)の機能に悪影響を与える。
【0053】
明らかなように、本発明の積層されたポリウレタン構造物は従来の溶融コーティングされた材料と比較して著しく優れた接着強度および耐摩耗性を示す。」

(3)判断
本件特許明細書には、「連邦標準試験191A、No.5302法」(乙1)によるストール摩耗試験の手段、及び、耐水性の層を設けたファスナーのサンプルに上記試験を行った結果が記載されている。そして、その結果において、「本発明に従って、ポリウレタンの2.5ミルの層で積層されたスライドファスナー」は、「表2」において、「ストール摩耗サイクル」が200サイクル、500サイクル、1000サイクルの各々において変化がなかったことが示され、その比較試験において「従来の溶融コーティングされたスライドファスナーは200サイクル後に孔あきが発生した」ことが示されている。
そして、上記明細書の【発明を実施するための形態】には、本件発明の実施形態について説明されているから、かかる実施形態に基づいて製造したスライドファスナーが、本件発明15ないし17の上記発明特定事項を備えることが記載されている。
また、当業者が本件発明を実施する際に、上記本件発明の実施形態の設計変更を行う際においても、当業者であれば、上記明細書に開示された「ストール摩耗サイクル」の試験方法に基づいて、本件発明15ないし17の上記発明特定事項を備えるように材料を選択する等して「耐水性の層」を形成し、本件発明15ないし17を実施できるものと認められる。
してみると、当業者は、上記明細書の発明の詳細な説明から、【発明を実施するための形態】に基づいて、上記本件発明15ないし17を実施できるものと認められる。
したがって、上記明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明15ないし17の実施をすることができる程度に明確かつ十分に、記載したものである。

(4)請求人の主張
請求人は、本件発明15ないし17の上記発明特定事項は、達成すべき結果により物を特定する事項であるため、どのような構成を採用すれば本件発明の効果を達成できるのかが把握できない旨(請求書の「7[3](8)」、請求人要領書(2)の「6-1(2)イ-1(イ)」、請求人要領書(4)の「6(3)イ」)、主張する。
しかしながら、本件発明15ないし17の「ストール摩耗サイクル」に係る発明特定事項は、「スライドファスナー」の「耐水性の層」という物を、その耐摩耗性という物性により特定するものであり、上記(3)のとおり、その物性を得るための手段及び物性の試験方法についても、上記明細書に開示されているから、上記明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明15ないし17の実施をすることができる程度に明確かつ十分に、記載したものである。
したがって、上記主張は採用できない。

2.小括
以上より、無効理由7によって、本件発明15ないし17に係る特許を無効にすることはできない。


第10.本件特許の請求項8、11、22ないし24についての審判請求
本件特許の請求項8、11、22ないし24は、上記第2のとおり、本件訂正により削除された。その結果、請求項8、11、22ないし24に係る発明についての審判請求は、その対象を欠くこととなったので、不適法な請求であり、その補正をすることができないものであるから、特許法第135条の規定により却下すべきものである。


第11.むすび
以上のとおり、請求人主張の理由及び証拠によっては、本件発明1ないし7、9、10、12ないし21、25ないし27に係る特許を無効にすることはできない。
また、本件特許の請求項8、11、22ないし24についての審判請求は却下する。
審判費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第62条の規定に従って、その27分の22を請求人の負担とし、27分の5を被請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐水性のスライドファスナーを作成するための方法であって、
前記耐水性のスライドファスナーが、第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に前記第1の面の端部に沿って配置された一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープであってストリンガテープ間に第1の分割線を有する一対のストリンガテープと、前記第2の面上の耐水性の層とを有してなり、前記一対のストリンガテープが平行に配置されると共に前記一連の把持部材構成要素に隣接する内側端部を有している、方法であって、
前記スライドファスナーは、
前記一対のストリンガテープの把持部材構成要素が係合している間に、前記内側端部および前記把持部材構成要素を覆うように前記第2の面上に固体シートとして前記耐水性の層を接着、積層、転写コーティング、または転写して積層すること、
前記耐水性の層を前記ストリンガテープに対して少なくとも約6lb/in(0.107kg/mm)の接着力で接着すること、および
前記第1の分割線と平行に配置され且つ一致する第2の分割線を前記固体シートに切断すること
の順で生成される、方法。
【請求項2】
前記耐水性の層が、ストリンガテープに対して、少なくとも10lb/in(0.178kg/mm)の接着力で接着される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記耐水性の層が、ストリンガテープに対して、少なくとも25lb/in(0.446kg/mm)の接着力で接着される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記耐水性の層が少なくとも約1ミル(25μm)の厚さで前記第2の面上に固体シートとして接着され、積層され、転写コーティングされ、あるいは転写され積層される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記耐水性の層が少なくとも約2ミル(50μm)の厚さで前記第2の面上に固体シートとして接着され、積層され、転写コーティングされ、あるいは転写され積層される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記耐水性の層が、前記ストリンガテープの全体の強度より大きな接着力で前記ストリンガテープに接着しており、これにより、前記ストリンガテープは前記耐水性の層が前記ストリンガテープから分離する前に折れる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記耐水性の層が前記第2の面上にポリウレタンフィルムの形態の固体シートとして接着され、積層され、転写コーティングされ、あるいは転写され積層される、請求項1記載の方法。
【請求項8】(削除)
【請求項9】
前記ストリンガテープに対向する前記ポリウレタンフィルムの1つの面が、ポリウレタン接着剤、結合剤ないしホットメルト接着剤からなる内側層によってコーティングされる、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記内側層が、前記ストリンガテープ内に埋め込まれている部分を有するように構成される、請求項9記載の方法。
【請求項11】(削除)
【請求項12】
第1および第2の対向する面をそれぞれ有すると共に前記第1の面の端部に沿って配置された一連の把持部材構成要素をそれぞれ有する一対のストリンガテープであってストリンガテープ間に第1の分割線を有する一対のストリンガテープと、
前記第2の面上の耐水性の層とを有してなり、
前記一対のストリンガテープが平行に配置されると共に前記一連の把持部材構成要素に隣接する内側端部を有しており、および
前記耐水性の層が前記第2の面上に位置すると共に前記内側端部および前記把持部材構成要素を覆っている耐水性のスライドファスナーにおいて、
前記耐水性の層が前記ストリンガテープに対して少なくとも約6lb/in(0.107kg/mm)の接着力を有すると共に第2の分割線を有しており、
前記第2の分割線が前記第1の分割線と平行且つ一致するように配置されており、および
前記耐水性の層の前記第2の面に対向する面が前記第2の面と平行であると共に前記一対のストリンガテープの各把持部材構成要素が係合している、ことを特徴とする、請求項1?7,9および10のいずれか1項に記載の方法によって製造される、耐水性のスライドファスナー。
【請求項13】
前記耐水性の層が、ストリンガテープに対して、少なくとも10lb/in(0.178kg/mm)の接着力を有する、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項14】
前記耐水性の層が、ストリンガテープに対して、少なくとも25lb/in(0.446kg/mm)の接着力を有する、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項15】
前記耐水性の層が、孔あきなしに、少なくとも約200ストール摩耗サイクルに耐えることができる、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項16】
前記耐水性の層が、孔あきなしに、少なくとも約500ストール摩耗サイクルに耐えることができる、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項17】
前記耐水性の層が、孔あきなしに、少なくとも約1000ストール摩耗サイクルに耐えることができる、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項18】
前記耐水性の層が少なくとも約1ミル(25μm)の厚さを有する、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項19】
前記耐水性の層が少なくとも約2ミル(50μm)の厚さを有する、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項20】
前記耐水性の層が、前記ストリンガテープの全体の強度より大きな前記ストリンガテープに対する接着力を有しており、これにより、前記ストリンガテープは前記耐水性の層が前記ストリンガテープから分離する前に折れる、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項21】
前記耐水性の層がポリウレタンフィルムを含む、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項22】(削除)
【請求項23】(削除)
【請求項24】(削除)
【請求項25】
前記スライドファスナーが約30cm以下のクラーク硬さを示すことを特徴とする、請求項12記載のスライドファスナー。
【請求項26】
請求項12から21および25のいずれかに記載の耐水性のスライドファスナーを有し、前記スライドファスナーの耐水性の層が外側を向いている、耐水性の物品。
【請求項27】
請求項12から21および25のいずれかに記載の耐水性のスライドファスナーを有し、前記スライドファスナーの耐水性の層が外側を向いている、耐水性の衣服。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2017-12-08 
結審通知日 2017-12-13 
審決日 2018-01-15 
出願番号 特願2008-136701(P2008-136701)
審決分類 P 1 113・ 113- YAA (A44B)
P 1 113・ 537- YAA (A44B)
P 1 113・ 536- YAA (A44B)
P 1 113・ 121- YAA (A44B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久島 弘太郎柿崎 拓  
特許庁審判長 久保 克彦
特許庁審判官 千壽 哲郎
小野田 達志
登録日 2013-03-08 
登録番号 特許第5213523号(P5213523)
発明の名称 耐水性スライドファスナーおよびその作成方法  
代理人 小林 理人  
代理人 阿部 豊隆  
代理人 佐藤 睦  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 大野 浩之  
代理人 阿部 豊隆  
代理人 小林 理人  
代理人 澤井 光一  
代理人 澤井 光一  
代理人 佐藤 睦  
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