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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1341450 |
審判番号 | 不服2017-5869 |
総通号数 | 224 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-04-24 |
確定日 | 2018-06-14 |
事件の表示 | 特願2016- 29131「表示管理システム、表示管理方法および表示管理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月24日出願公開、特開2017-146847〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成28年2月18日の出願であって、手続の概要は以下のとおりである。 平成28年 8月23日 拒絶理由(発送日) 同年10月20日 意見書 手続補正 平成29年 1月24日 拒絶査定(発送日) 同年 4月24日 審判請求 手続補正 第2 原査定の概要 平成29年1月24日になされた原査定の理由は、概略、次のとおりである。 [査定の理由] この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・請求項 1-13 ・引用文献等 1 <引用文献等一覧> 1.特開2003-196197号公報 第3 平成29年4月24日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成29年4月24日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.本件補正の内容 本件補正は、補正前の平成28年10月20日付けの手続補正による特許請求の範囲の請求項1ないし13(以下「補正前の請求項1ないし13」という。)を、本件補正による特許請求の範囲の請求項1ないし13(以下「補正後の請求項1ないし13」という。)に補正するものである(下線は補正箇所)。 (補正前の請求項1ないし13) 【請求項1】 コンテンツが利用可能な状態にされた後に、当該コンテンツを利用するにあたってユーザが支払った料金に関する情報である課金情報と、前記コンテンツに関連する関連情報を表示する表示枠に関する枠情報とを取得する取得部と、 前記取得部によって取得された課金情報と枠情報とに基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する決定部と を備えたことを特徴とする表示管理システム。 【請求項2】 前記決定部は、 前記課金情報と、前記枠情報と、前記表示枠に表示された関連情報が選択される割合を示す選択情報とに基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する ことを特徴とする請求項1に記載の表示管理システム。 【請求項3】 前記決定部は、 前記コンテンツが利用可能な状態にされた後に、前記コンテンツを利用するにあたって料金の支払いを行ったユーザ数を、当該コンテンツに対応する関連情報を選択したユーザ数で除算した割合に基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する ことを特徴とする請求項1または2に記載の表示管理システム。 【請求項4】 前記決定部は、 前記コンテンツが利用可能な状態にされた後に、前記コンテンツを利用するにあたって新規に料金の支払いを行ったユーザ数を、当該コンテンツに対応する関連情報を選択したユーザ数で除算した割合に基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する ことを特徴とする請求項1?3のいずれか一つに記載の表示管理システム。 【請求項5】 前記決定部は、 前記割合が高いコンテンツほど当該コンテンツに関連する関連情報を表示する表示枠として、表示枠に表示された任意の関連情報が選択される割合が高い表示枠を決定する ことを特徴とする請求項3または4に記載の表示管理システム。 【請求項6】 前記決定部は、 ユーザが、利用可能な状態にされた前記コンテンツを利用するにあたって支払った料金に基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する ことを特徴とする請求項1?5のいずれか一つに記載の表示管理システム。 【請求項7】 前記決定部は、 前記関連情報が選択されることで当該関連情報に対応するコンテンツに関する情報がダウンロードされた回数に基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する ことを特徴とする請求項1?6のいずれか一つに記載の表示管理システム。 【請求項8】 前記決定部は、 前記関連情報が表示される表示枠によって当該関連情報が選択される割合が変動する場合に、複数の表示枠に表示される各関連情報に対応するコンテンツの課金情報と枠情報と選択情報とに基づいて算出されるスコアの合計値に基づいて前記各関連情報を表示する表示枠を決定する ことを特徴とする請求項1?7のいずれか一つに記載の表示管理システム。 【請求項9】 前記決定部は、 コンテンツに対するユーザの行動履歴に基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する ことを特徴とする請求項1?8のいずれか一つに記載の表示管理システム。 【請求項10】 前記決定部は、 ユーザが、利用可能な状態にされた前記コンテンツを利用するにあたって料金を支払う支払いの継続期間に基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する ことを特徴とする請求項1?9のいずれか一つに記載の表示管理システム。 【請求項11】 前記決定部は、 前記課金情報に基づいて前記表示枠のうち所定の表示枠の中から前記関連情報を表示する表示枠を決定し、当該所定の表示枠以外の表示枠に表示する他の関連情報を無作為に決定する ことを特徴とする請求項1?10のいずれか一つに記載の表示管理システム。 【請求項12】 表示管理装置が実行する表示管理方法であって、 コンテンツが利用可能な状態にされた後に、当該コンテンツを利用するにあたってユーザが支払った料金に関する情報である課金情報と、前記コンテンツに関連する関連情報を表示する表示枠に関する枠情報とを取得する取得工程と、 前記取得工程によって取得された課金情報と枠情報とに基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する決定工程と を含んだことを特徴とする表示管理方法。 【請求項13】 コンテンツが利用可能な状態にされた後に、当該コンテンツを利用するにあたってユーザが支払った料金に関する情報である課金情報と、前記コンテンツに関連する関連情報を表示する表示枠に関する枠情報とを取得する取得手順と、 前記取得手順によって取得された課金情報と枠情報とに基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する決定手順と をコンピュータに実行させることを特徴とする表示管理プログラム。 (補正後の請求項1ないし13) 【請求項1】 コンテンツが利用可能な状態にされた後に、当該コンテンツ内において当該コンテンツにより販売されるアイテムの購入に関するユーザの情報である課金情報として、前記アイテムを購入するために支払いを行ったユーザ数を、当該コンテンツに関連する関連情報を選択したユーザ数で除算した割合と、前記コンテンツに関連する関連情報を表示する表示枠に関する枠情報とを取得する取得部と、 前記取得部によって取得された課金情報と枠情報とに基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する決定部と を備えたことを特徴とする表示管理システム。 【請求項2】 前記決定部は、 前記課金情報と、前記枠情報と、前記表示枠に表示された関連情報が選択される割合を示す選択情報とに基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する ことを特徴とする請求項1に記載の表示管理システム。 【請求項3】 前記決定部は、 前記コンテンツが利用可能な状態にされた後に、前記コンテンツ内において当該コンテンツにより販売されるアイテムを購入するために支払いを行ったユーザ数を、当該コンテンツに対応する関連情報を選択したユーザ数で除算した割合に基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する ことを特徴とする請求項1または2に記載の表示管理システム。 【請求項4】 前記決定部は、 前記コンテンツが利用可能な状態にされた後に、前記コンテンツ内において当該コンテンツにより販売されるアイテムを購入するために新規に支払いを行ったユーザ数を、当該コンテンツに対応する関連情報を選択したユーザ数で除算した割合に基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する ことを特徴とする請求項1?3のいずれか一つに記載の表示管理システム。 【請求項5】 前記決定部は、 前記割合が高いコンテンツほど当該コンテンツに関連する関連情報を表示する表示枠として、表示枠に表示された任意の関連情報が選択される割合が高い表示枠を決定する ことを特徴とする請求項3または4に記載の表示管理システム。 【請求項6】 前記決定部は、 ユーザが、前記コンテンツ内において当該コンテンツにより販売されるアイテムを購入するために支払った金額に基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する ことを特徴とする請求項1?5のいずれか一つに記載の表示管理システム。 【請求項7】 前記決定部は、 前記関連情報が選択されることで当該関連情報に対応するコンテンツに関する情報がダウンロードされた回数に基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する ことを特徴とする請求項1?6のいずれか一つに記載の表示管理システム。 【請求項8】 前記決定部は、 前記関連情報が表示される表示枠によって当該関連情報が選択される割合が変動する場合に、複数の表示枠に表示される各関連情報に対応するコンテンツの課金情報と枠情報と選択情報とに基づいて算出されるスコアの合計値に基づいて前記各関連情報を表示する表示枠を決定する ことを特徴とする請求項1?7のいずれか一つに記載の表示管理システム。 【請求項9】 前記決定部は、 コンテンツに対するユーザの行動履歴に基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する ことを特徴とする請求項1?8のいずれか一つに記載の表示管理システム。 【請求項10】 前記決定部は、 ユーザが、前記コンテンツ内において当該コンテンツにより販売されるアイテムを購入するために料金を支払う支払いの継続期間に基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する ことを特徴とする請求項1?9のいずれか一つに記載の表示管理システム。 【請求項11】 前記決定部は、 前記課金情報に基づいて前記表示枠のうち所定の表示枠の中から前記関連情報を表示する表示枠を決定し、当該所定の表示枠以外の表示枠に表示する他の関連情報を無作為に決定する ことを特徴とする請求項1?10のいずれか一つに記載の表示管理システム。 【請求項12】 表示管理装置が実行する表示管理方法であって、 コンテンツが利用可能な状態にされた後に、当該コンテンツ内において当該コンテンツにより販売されるアイテムの購入に関するユーザの情報である課金情報として、前記対象を購入するために支払いを行ったユーザ数を、当該コンテンツに関連する関連情報を選択したユーザ数で除算した割合と、前記コンテンツに関連する関連情報を表示する表示枠に関する枠情報とを取得する取得工程と、 前記取得工程によって取得された課金情報と枠情報とに基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する決定工程と を含んだことを特徴とする表示管理方法。 【請求項13】 コンテンツが利用可能な状態にされた後に、当該コンテンツ内において当該コンテンツにより販売されるアイテムの購入に関するユーザの情報である課金情報として、前記アイテムを購入するために支払いを行ったユーザ数を、当該コンテンツに関連する関連情報を選択したユーザ数で除算した割合と、前記コンテンツに関連する関連情報を表示する表示枠に関する枠情報とを取得する取得手順と、 前記取得手順によって取得された課金情報と枠情報とに基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する決定手順と をコンピュータに実行させることを特徴とする表示管理プログラム。 2.補正の適合性 (1)補正事項 本件補正は、以下に示す補正事項を有している。 (補正事項1) 請求項1、12及び13の「課金情報」に関して、本件補正前の「当該コンテンツを利用するにあたってユーザが支払った料金に関する情報である課金情報」を、「当該コンテンツ内において当該コンテンツにより販売されるアイテムの購入に関するユーザの情報である課金情報として、前記アイテムを購入するために支払いを行ったユーザ数を、当該コンテンツに関連する関連情報を選択したユーザ数で除算した割合」と補正する事項。 (補正事項2) 請求項3及び4の決定部が「表示枠を決定する」際に基づく「当該コンテンツに対応する関連情報を選択したユーザ数で除算した割合」を算出するための被除算ユーザ数に関して、本件補正前の「前記コンテンツを利用するにあたって料金の支払いを行ったユーザ数」を、「前記コンテンツ内において当該コンテンツにより販売されるアイテムを購入するために支払いを行ったユーザ数」と補正する事項。 (補正事項3) 請求項6の決定部が「表示枠を決定する」際に基づくものに関して、本件補正前の「ユーザが、利用可能な状態にされた前記コンテンツを利用するにあたって支払った料金」を、「ユーザが、前記コンテンツ内において当該コンテンツにより販売されるアイテムを購入するために支払った金額」と補正する事項。 (補正事項4) 請求項10の決定部が「表示枠を決定する」際に基づく「支払いの継続期間」に関して、本件補正前の「ユーザが、利用可能な状態にされた前記コンテンツを利用するにあたって料金を支払う支払い」を、ユーザが、前記コンテンツ内において当該コンテンツにより販売されるアイテムを購入するために料金を支払う支払い」と補正する事項。 (2)請求人の主張 請求人は、本件補正について、審判請求書において、次のとおり主張している。 「補正後の請求項1に係る「コンテンツが利用可能な状態にされた後に、当該コンテンツ内において当該コンテンツにより販売されるアイテムの購入に関するユーザの情報である課金情報として、前記アイテムを購入するために支払いを行ったユーザ数を、当該コンテンツに関連する関連情報を選択したユーザ数で除算した割合と、前記コンテンツに関連する関連情報を表示する表示枠に関する枠情報とを取得する取得部と、」とする補正事項は、出願当初明細書の段落0013、0046、0085等に基づくものです。また、このような補正事項は、取得部により取得される課金情報を減縮する補正に該当します。 また、補正後の請求項3、4、6、10に係る補正事項は、上記補正後の請求項1に記載を合わせるものです。 また、請求項12および13に係る補正事項は、上記補正後の請求項1と同様の記載事項に基づくものです。」 (3)本願の出願当初明細書の記載事項 本願の出願当初明細書(以下、「当初明細書」という。)には、【0013】、【0046】及び【0085】に以下のとおりの記載がある。 「【0013】 例えば、表示管理装置100は、課金情報として、ゲーム「Aスポーツ」、「Bパズル」、「Cレース」の新規課金ユーザ獲得率を取得する。新規課金ユーザ獲得率は、ゲームに対して新規に課金を行ったユーザ数を、かかるゲームに対応するバナーがクリックされたクリック数で除算することで算出される。図1の例では、バナーB1に対応するゲーム「Aスポーツ」の新規課金ユーザ獲得率は、「10%」であるものとする。また、バナーB2に対応するゲーム「Bパズル」の新規課金ユーザ獲得率は、「5%」であるものとする。また、バナーB3に対応するゲーム「Cレース」の新規課金ユーザ獲得率は、「8%」であるものとする。すなわち、図1の例では、ゲーム「Aスポーツ」、「Cレース」、「Bパズル」の順に新規課金ユーザ獲得率が高い。」 「【0046】(取得部132について) 取得部132は、ユーザがコンテンツに対して行った課金に関する課金情報と、コンテンツに関連する関連情報を表示する表示枠に関する枠情報とを取得する。具体的には、取得部132は、受信部131によってWebページの取得要求が受信された場合に、課金情報記憶部121や枠情報記憶部122を参照し、課金情報と枠情報とを取得する。例えば、取得部132は、課金情報として、課金ユーザ獲得率を取得する。課金ユーザ獲得率は、コンテンツに対して課金を行ったユーザ数を、かかるコンテンツに対応する関連情報がクリックされたクリック数で除算することで算出される。また、取得部132は、枠情報として、表示枠の強さを示す値を取得する。」 「【0085】〔2-9.課金〕 上記の実施形態では、表示管理装置100が、課金情報に基づいて関連情報を表示する表示枠を決定する例を挙げて説明した。ここで、表示管理装置100は、各種の課金形態に合わせて関連情報を表示する表示枠を決定してもよい。例えば、表示管理装置100は、ユーザがゲーム内でアイテム等を購入する課金に基づいて関連情報を表示する表示枠を決定する。(略)」 (4)補正の範囲について 当初明細書の上記記載事項によれば、「ユーザがゲーム内でアイテム等を購入する課金に基づいて関連情報を表示する表示枠を決定する」ことが記載されていることから、上記補正事項は当初当初明細書の記載に基づくものである。 したがって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第17条の2第3項の規定に適合するものである。 (5)補正の目的について 上記補正事項は、取得部が取得する課金情報に関して、本件補正前の「ユーザが支払った料金に関する情報」を、「当該コンテンツ内において当該コンテンツにより販売されるアイテムの購入に関するユーザの情報」とすることと、新たに「前記アイテムを購入するために支払いを行ったユーザ数を、当該コンテンツに関連する関連情報を選択したユーザ数で除算した割合」という特定を追加するものであるから、上記補正事項は、課金情報を特定する事項を限定するものである。 したがって、上記補正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正といえ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるといえるから、特許法第17条の2第5項第2号の規定に該当するものである。 (6)単一性について また、上記補正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるから、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明とは発明の単一性の要件を満たすものといえ、本件補正は特許法第17条の2第4項の規定に適合するものである。 (7)独立特許要件 以上のように、本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含むものであるので、本件補正後の請求項1に記載された発明が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。 (7-1)本願補正発明 本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)は、次のとおりのものである。 なお、本願補正発明の各構成の符号は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成Aないし構成Cという。 (本願補正発明) (A)コンテンツが利用可能な状態にされた後に、当該コンテンツ内において当該コンテンツにより販売されるアイテムの購入に関するユーザの情報である課金情報として、前記アイテムを購入するために支払いを行ったユーザ数を、当該コンテンツに関連する関連情報を選択したユーザ数で除算した割合と、前記コンテンツに関連する関連情報を表示する表示枠に関する枠情報とを取得する取得部と、 (B)前記取得部によって取得された課金情報と枠情報とに基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する決定部と (C)を備えたことを特徴とする表示管理システム。 (7-2)引用文献の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1である特開2003-196197号公報には、「広告管理プログラム、広告管理方法および広告管理装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項(以下、「記載事項ア」ないし「記載事項カ」という。)が記載されている。(下線は、当審において付した。) ア 「【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は、ホームページ上に掲載された商品の広告の配置および当該商品に関する情報のコミュニティのリソースを変更する広告管理プログラム、広告管理方法および広告管理装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、特定の商品(例えば洋服、パソコンなど)の広告(例えばバナー広告)はクリックすると当該商品を販売するページにジャンプしてその商品の詳細情報や購入情報などを見ることができる。また、ある商品(例えば洋服)に関する情報を掲載して利用者が相互に交換する電子掲示板などに代表されるネットワークを介したコミュニティがある。(略) 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このため、特定の商品の広告と、当該商品に関する情報を掲載して利用者が相互に交換し合うコミュニティとの関係がなく、両者が関連付けされていなく、ある商品に関するコミュニティの情報の交換が活発になったり、当該商品の販売が多くなってもコミュニティのリソース量(記憶容量、発言履歴数など)が一律でその保存される期間が他に比して短くなってしまったり、良く購入される商品に関する情報(発言内容)でも長く記憶されないなどの問題があった。 【0004】本発明は、これらの問題を解決するため、商品の広告から販売サイトへの来訪者数/購入者数、商品に関するコミュニティの活発度などをもとに評価し、広告の配置およびコミュニティのリソース量を動的に変更し、商品に関する広告の配置および商品に関する情報のコミュニティのリソースを動的かつ合理的に変更することを目的としている。 【0068】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、商品の広告2から販売サイト9への来訪者数/購入者数、商品に関するコミュニティ5の活発度などをもとに評価し、広告2の配置およびコミュニティ5のリソース量を動的に変更する構成を採用しているため、商品に関する広告2の配置および商品に関する情報のコミュニティ5のリソースを動的かつ合理的に変更することが可能となる。」 イ 「【0014】図1は、本発明のシステム構成図を示す。図1において、ホームページ1は、ネットワークに接続したサーバ上に設けたホームページであって、ネットワーク(例えばインターネット)に接続されたパソコンなどに搭載されたブラウザを利用者が操作して当該ホームページのURLをアクセスすることでダウンロードして利用者のブラウザの画面上に表示するページである。 【0015】広告2は、ホームページ1の任意の場所に配置した広告(バナー広告)であって、一等地、二等地、三等地などにそれぞれ配置するものである。 【0016】表示制御手段3は、バナー広告を優先順位に従い一等地、二等地、三等地などに配置して表示するものである。 ウ 「【0041】図4は、本発明のバナー広告表示位置の価値テーブル例を示す。ここでは、価値テーブルには、図示の下記の情報を対応づけて設定する。 【0042】・配置ID: ・位置情報: ・価値(小さいほど高い): ・その他: ここで、配置IDは図1のホームページ1上に配置する広告2のIDであり、位置情報はホームページ1上の配置位置の情報であり、価値は位置情報で表される場所に広告を掲載する価値である。 【0043】以上のように、ホームページ1上に配置する場所毎に配置ID、位置情報、および価値を登録することにより、図3を用いて既述したコミュニティ5の活発度の高い順に、価値の高い位置に広告を自動的に配置変更することが可能となる。 図4 」 エ 「【0017】広告評価手段4は、ホームページ1上に掲載した広告2の選択数などを計数して表価値を算出するものである。 【0044】図5は、本発明の動作説明フローチャート(バナー広告評価)を示す。 図5において、S21は、バナー広告を表示する。これは、図1のホームページ1の広告2の位置にバナー広告を表示する(利用者が当該ホームページをダウンロードしてブラウザの画面上に広告2を掲載した当該ホームページ1を表示する)。 【0045】S22は、リンク先へジャンプか判別する。これは、S21で利用者がブラウザの画面に表示した広告2を掲載したホームページ1上で、当該広告2をマウスでクリックしてリンク先のURLへジャンプしたか判別する。YESの場合には、S23に進む。NOの場合には、S21を繰り返す。 【0046】S23は、ジャンプ回数をカウントする。これは、ホームページ1上の広告が利用者によって選択されてリンク先のURLへジャンプした回数(リンク先を訪問した訪問回数)をカウントする。 (略) 【0049】S26は、バナー広告の配置変更する。これは、ジャンプ回数の多い順に良い場所に配置変更する。 (略) 【0051】以上によって、ホームページ1上に掲載された広告2を利用者がマウスでクリックして選択すると、リンク先へジャンプして販売サイトのページを表示すると共にジャンプ回数を計測し、所定時間経過あるいは所定時刻となったときにジャンプ回数の多い順に広告2をソートし、良い場所順に広告(バナー広告)の配置を動的に変更することが可能となる。」 オ 「【0022】販売サイト9は、サーバ上に設けた商品を販売する販売サイトであって、広告2を選択してリンクされている先に設けたものである。 【0023】販売評価手段10は、広告2を選択してジャンプして販売サイト9を訪問した訪問数、この訪問者のうち実際に商品を購入した実績数などをもとに販売評価を行うものである。 【0052】図6は、本発明の動作説明フローチャート(販売評価)を示す。 図6において、S31は、来訪者のカウントを行う。これは、図1の販売サイト9のページをダウンロードしてブラウザの画面上に表示させた利用者(来訪者S)の数をカウントする。 【0053】S32は、商品購入か判別する。これは、S31で来訪した来訪者が商品を購入するか判別する。YESの場合には、S33で実販売数のカウントを行い、S34に進む。一方、S32のNOの場合には、S34に進む。 (略) 【0055】S35は、来訪者数と実販売数から購入比率を算出する。S36は、ソートする。 【0056】S37は、総合評価へ通知する。これにより、後述する図7に示す、販売テーブルに示すように、販売サイト毎に、来訪者数、実販売数、更に比率を算出して蓄積する。 【0057】以上によって、ホームページ1上に掲載された広告2を選択してリンク先の販売サイト9のページにジャンプした来訪者の数をカウントすると共に、このうち商品を購入した数をカウントし、来訪者数と実販売数との比率を算出し、後述する図7の販売テーブルに蓄積することが可能となる。 【0058】図7は、本発明の販売テーブル例を示す。販売テーブルは、既述した図6のフローチャートに従い計測して蓄積したものであって、図示の下記の情報を対応付けて蓄積する。 【0059】・販売サイト: ・来訪者数: ・実販売数: ・比率: ・その他: ここで、販売サイトは図1のホームページ1上に掲載した広告2をマウスで選択してリンク先の販売サイト9のページにジャンプして訪問した来訪者数であり、実販売数は来訪者のうちの商品を購入した来訪者数であり、比率は実販売数を来訪者数で除算した比率である。」 カ 「【0024】統合評価手段11は、広告2の選択数などから算出した評価、コミュニティ5の活発度、販売サイト9の評価値を総合評価し、広告2の配置およびコミュニティ5のリソース量の変更を行うものである(略)。 【0060】図8は、本発明の動作説明フローチャート(コミュニティ作成)を示す。 図8において、S41は、バナー評価を取得済みか判別する。これは、既述した図5のS25のバナー広告評価を取得済みか判別する。YEの場合には、S43に進む(略)。 【0061】S43は、販売評価を取得済みか判別する。これは、既述した図6で計測した来訪者数、比率(実販売数/来訪者数)にそれぞれ所定係数を乗算して和を求めて算出した販売評価を取得済みか判別する。YEの場合には、S45に進む。(略)。 【0063】以上によって、バナー評価および販売評価をもとに総合評価を決定してソートし、順位の高いコミュニティのリソースを増やし、順位の低いコミュニティのリソースを減らすことが動的に可能となる。」 (7-3)引用発明 引用文献1に記載された発明を以下に認定する。 ア 広告管理装置 記載事項アによれば、引用文献1には、「ホームページ上に掲載された商品の広告の配置および当該商品に関する情報のコミュニティのリソースを変更する広告管理装置」が記載されている。 また、引用文献1の「広告管理装置」が配置を変更する「広告」は、特定の商品(例えば洋服、パソコンなど)の広告であって、バナー広告である。 記載事項イによれば、引用文献1の「広告管理装置」のシステムは、「ネットワーク(例えばインターネット)に接続されたパソコンなどに搭載されたブラウザを利用者が操作して当該ホームページのURLをアクセスする」ことで、当該ホームページを「ダウンロードして利用者のブラウザの画面上に表示する」システムである。 よって、引用文献1には、「パソコンなどに搭載されたブラウザを利用者が操作して当該ホームページのURLをアクセスすることで、当該ホームページをダウンロードして利用者のブラウザの画面上に表示するシステムにおける広告管理装置」が記載されている。 イ 価値テーブル 上記ア、記載事項イ及び記載事項ウによれば、引用文献1の「広告」は、ホームページ1の任意の場所に配置した特定の商品のバナー広告である。 また、引用文献1の「バナー広告」は、バナー広告表示位置は価値テーブルに「配置IDは図1のホームページ1上に配置する広告2のIDであり、位置情報はホームページ1上の配置位置の情報であり、価値は位置情報で表される場所に広告を掲載する価値を登録することにより、価値の高い位置に広告を自動的に配置変更することが可能となる」ものである。 よって、引用文献1には、「広告管理装置」が、「ホームページ上に配置するバナー広告のIDである配置IDと、ホームページ上の配置位置の情報である位置情報と、位置情報で表される場所に広告を掲載する価値(小さいほど高い)を登録することにより、価値の高い位置にバナー広告を自動的に配置変更することが可能となる価値テーブル」を備えていることが記載されている。 ウ バナー広告評価 記載事項エによれば、引用文献1の広告評価手段4は、「ホームページ1上に掲載した広告2の選択数などを計数」するものである。 また、同記載事項エによれば、引用文献1のバナー広告評価の動作は、「利用者がブラウザの画面に表示した広告2を掲載したホームページ1上で、当該広告2をマウスでクリックしてリンク先のURLへジャンプしたか判別」し、「ホームページ1上の広告が利用者によって選択されてリンク先のURLへジャンプした回数(リンク先を訪問した訪問回数)をカウントする」ものである。 ここで、引用文献1には明示的な記載がないが、当該バナー広告評価の動作は、広告評価手段4が実行するものと認められ、上記イのとおり引用文献1の「広告」は、ホームページ1の任意の場所に配置したバナー広告である。 よって、引用文献1には、「広告管理装置」が、「利用者がブラウザの画面に表示したバナー広告を掲載したホームページ上で、利用者が当該バナー広告をマウスでクリックしてリンク先のURLへジャンプした回数(リンク先を訪問した訪問回数)をカウントしたバナー広告評価」を備えていることが記載されている。 エ 販売評価 記載事項オによれば、販売評価手段10は、「広告2を選択してジャンプして販売サイト9を訪問した訪問数、この訪問者のうち実際に商品を購入した実績数などをもとに販売評価を行うもの」である。 また、同記載事項オによれば、当該販売評価の動作は、「ホームページ1上に掲載された広告2を選択してリンク先の販売サイト9のページにジャンプした来訪者の数をカウントすると共に、このうち特定の商品を購入した数をカウントし、来訪者数と実販売数との比率を算出し」、「実販売数は来訪者のうちの商品を購入した来訪者数であり、比率は実販売数を来訪者数で除算した比率である」ものである。 よって、引用文献1には、「広告管理装置」が、「ホームページ上に掲載されたバナー広告を選択してリンク先の販売サイトのページにジャンプした来訪者数をカウントすると共に、来訪者のうちの商品を購入した来訪者数である実販売数をカウントし、実販売数を来訪者数で除算した比率を算出するである販売評価」を備えていることが記載されている。 オ 統合評価手段 記載事項カによれば、引用文献1の「広告管理装置」の統合評価手段11は、「広告2の選択数などから算出した評価、販売サイト9の評価値を総合評価し、広告2の配置およびコミュニティ5のリソース量の変更を行うもの」である。 また、同記載事項カによれば、統合評価手段11が行う「総合評価」は、バナー評価および販売評価を取得し、取得したバナー評価および販売評価をもとに行うことが記載されている。ここで、上記「バナー評価」は、上記ウの「バナー広告評価」を示しているものと認められる。 よって、引用文献1には、「バナー広告評価および販売評価を取得する統合評価手段であって、前記統合評価手段は、取得したバナー広告評価および販売評価をもとに総合評価し、バナー広告の配置の変更を行う」ことが記載されている。 カ.まとめ 以上によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 なお、引用発明の各構成の符号は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成aないし構成cと称する。 (引用発明) (c-1)パソコンなどに搭載されたブラウザを利用者が操作して当該ホームページのURLをアクセスすることで、当該ホームページをダウンロードして利用者のブラウザの画面上に表示するシステムにおける広告管理装置であって、 (c-2)前記ホームページの任意の場所に配置した特定の商品の前記バナー広告のIDである配置IDと、前記ホームページ上の配置位置の情報である位置情報と、位置情報で表される場所に広告を掲載する価値(小さいほど高い)を登録することにより、価値の高い位置にバナー広告を自動的に配置変更することが可能となる価値テーブルと、 (c-3)利用者が前記ブラウザの画面に表示した前記バナー広告を掲載した前記ホームページ上で、利用者が当該バナー広告をマウスでクリックしてリンク先のURLへジャンプした回数(リンク先を訪問した訪問回数)をカウントしたバナー広告評価と、 (c-4)前記ホームページ上に掲載された前記バナー広告を選択してリンク先の販売サイトのページにジャンプした来訪者数をカウントすると共に、来訪者のうちの特定の商品を購入した来訪者数である実販売数をカウントし、実販売数を来訪者数で除算した比率を算出するである販売評価と、 (a)前記バナー広告評価および前記販売評価を取得する統合評価手段であって、 (b)前記統合評価手段は、取得した前記バナー広告評価および前記販売評価をもとに総合評価し、前記バナー広告の配置の変更を行う、 を備えた広告管理装置。 (7-4)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 ア 本願補正発明の構成Aについて 構成c-4の「販売サイトのページ」は、ダウンロードして利用者のパソコンなどに搭載されたブラウザの画面上に表示する(構成c-1)ものであり、当該「ページ」はブラウザの画面上に表示される文字や画像を含む販売サイトのサービスを提供するための情報の中身であることは技術常識であるから、構成c-4の「販売サイトのページ」は、構成Aの「コンテンツ」に相当する。 そして、構成c-3の「利用者が前記ブラウザの画面に表示した前記バナー広告を掲載した前記ホームページ上で」は、利用者が当該バナー広告をマウスでクリックしてリンク先の「販売サイトのページ」をダウンロードすることを可能とするから、構成Aの「コンテンツが利用可能な状態にされた後に」に一致する。 また、構成c-1ないし構成c-4の「バナー広告」は、利用者がマウスでクリックしてリンク先のURLへジャンプする(構成c-3)ものであって、リンク先の販売サイトのページにジャンプする(構成c-4)ものであるから、当該「販売サイトのページ」に関連する情報である。よって、構成c-1ないし構成c-4の「バナー広告」は、構成Aの「コンテンツに関連する関連情報」に相当する。 構成c-3の「バナー広告をマウスでクリックしてリンク先のURLへジャンプした回数(リンク先を訪問した訪問回数)をカウントしたバナー広告評価」および構成c-4の「ホームページ上に掲載された前記バナー広告を選択してリンク先の販売サイトのページにジャンプした来訪者数」は、いずれも「バナー広告」を選択した利用者の数であるから、構成Aの「当該コンテンツに関連する関連情報を選択したユーザ数」に相当する。 構成c-4の「来訪者のうちの商品を購入した来訪者数である実販売数」において、当該「商品」は販売サイトが販売する特定の商品である。 構成c-4の「商品を購入した来訪者数」は、商品を購入した来訪者の数であり、また、商品を購入するために支払いを行った来訪者の数であって、商品を購入するための支払いに関する情報は「課金情報」であるから、構成c-4の「商品を購入した来訪者数」と構成Aの「当該コンテンツ内において当該コンテンツにより販売されるアイテムの購入に関するユーザの情報である課金情報として、前記アイテムを購入するために支払いを行ったユーザ数」は、「当該コンテンツにより販売される商品の購入に関するユーザの情報である課金情報として、前記商品を購入するために支払いを行ったユーザ数」である点で共通する。 しかしながら、当該コンテンツにより販売される商品が、構成Aは「アイテム」であるのに対して、構成c-4は「特定の商品」である点で相違する。 また、上述した当該コンテンツにより販売される商品の相違を除き、構成c-4の「実販売数を来訪者数で除算した比率を算出するである販売評価」と、構成Aの「当該コンテンツ内において当該コンテンツにより販売されるアイテムの購入に関するユーザの情報である課金情報として、前記アイテムを購入するために支払いを行ったユーザ数を、当該コンテンツに関連する関連情報を選択したユーザ数で除算した割合」は、「当該コンテンツ内において当該コンテンツにより販売される商品の購入に関するユーザの情報である課金情報として、前記商品を購入するために支払いを行ったユーザ数を、当該コンテンツに関連する関連情報を選択したユーザ数で除算した割合」である点で共通する。 構成c-2の「前記ホームページ上の配置位置の情報である位置情報」は、特定の商品の前記バナー広告のホームページ上の配置位置であって、図4を参酌すると、左上座標(x1,y1)幅w1、高h1等の位置情報の例が記載されていることから、バナー広告を表示する表示枠に関する情報と認められるから、構成Aの「コンテンツに関連する関連情報を表示する表示枠に関する枠情報」に相当する。 構成c-2の「前記バナー広告のIDである配置IDと、前記ホームページ上の配置位置の情報である位置情報と、位置情報で表される場所に広告を掲載する価値(小さいほど高い)を登録することにより、価値の高い位置にバナー広告を自動的に配置変更することが可能となる」は、当該配置IDと位置情報と価値を登録することでバナー広告を配置変更することを意味し、また当然ながら、バナー広告を配置変更することは、当該配置IDと位置情報と価値を既登録されたものと異なる内容とすることを意味する。 よって、構成c-2の「バナー広告を自動的に配置変更する」は、バナー広告の前記位置情報を取得することを含むことから、構成Aの「前記コンテンツに関連する関連情報を表示する表示枠に関する枠情報とを取得する」に相当する。 また、構成bの「統合評価手段」は、「前記バナー広告の配置の変更を行う」ものであり、且つ、構成aの「前記バナー広告評価および前記販売評価を取得する」ことから、構成a及び構成bの「統合評価手段」は、上述した当該コンテンツにより販売される商品の相違を除き、構成Aの「取得部」に相当する。 イ 本願補正発明の構成Bについて 構成bの「バナー広告の配置の変更を行う」は、バナー広告の表示枠を決定するものであるから、構成Bの「枠情報とに基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する」に相当する。 しかしながら、構成bは「取得した前記バナー広告評価および前記販売評価をもとに総合評価」するものであるが、引用文献1の記載事項カによれば、構成bの「バナー広告の配置の変更」において販売評価をもとにする点は記載されていない。ここで、上記アのとおり、構成bの「バナー広告評価」は「当該コンテンツに関連する関連情報を選択したユーザ数」である。 よって、構成bと構成Bとは、「前記取得部によって取得された枠情報に基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する決定部」である点で共通し、関連情報を表示する表示枠を決定する際に基づく情報について、構成Bは「取得された課金情報」であるのに対して、構成bは「当該コンテンツに関連する関連情報を選択したユーザ数」である点で相違する。 ウ 本願補正発明の構成Cについて 構成cの「広告管理装置」は、構成c-1?構成bのバナー広告の表示を管理するものであるから、構成cの「広告管理装置」と構成Cの「表示管理システム」は一応相当するが、上記の点で相違する。 エ まとめ 以上をまとめると、本願補正発明と引用発明との一致点と相違点は以下のとおりである。 (一致点) コンテンツが利用可能な状態にされた後に、 当該コンテンツ内において当該コンテンツにより販売される商品の購入に関するユーザの情報である課金情報として、前記商品を購入するために支払いを行ったユーザ数を、当該コンテンツに関連する関連情報を選択したユーザ数で除算した割合と、 前記コンテンツに関連する関連情報を表示する表示枠に関する枠情報とを取得する取得部と、 前記取得部によって取得された枠情報に基づいて前記関連情報を表示する表示枠を決定する決定部と を備えたことを特徴とする表示管理システム。 (相違点1) 当該コンテンツにより販売される商品が、本願補正発明は「アイテム」であるのに対して、引用発明は「特定の商品」である点。 (相違点2) 関連情報を表示する表示枠を決定する際に基づく情報について、構成Bは「取得された課金情報」であるのに対して、構成bは「当該コンテンツに関連する関連情報を選択したユーザ数」である点。 (7-5)相違点の判断 (相違点1について) コンテンツ内において当該コンテンツにより販売される商品として「アイテム」を採用することは、例えば、「徳岡、ゲームの今、SBクリエイティブ株式会社、2015年3月1日、初版、p.39-42」に記載のように周知である。 引用発明において当該コンテンツにより販売される商品を「アイテム」とすることは、上記周知事項を採用することで当業者が適宜なし得ることである。 (相違点2について) 引用発明の課題は、記載事項アにあるとおり、商品の広告から販売サイトへの来訪者数/購入者数、商品に関するコミュニティの活発度などをもとに評価し、広告の配置およびコミュニティのリソース量を動的に変更し、商品に関する広告の配置および商品に関する情報のコミュニティのリソースを動的かつ合理的に変更することであり、また、引用文献1の【0012】に「商品の広告2から販売サイト9への来訪者数/購入者数、商品に関するコミュニティ5の活発度などをもとに評価し、広告2の配置およびコミュニティ5のリソース量を動的に変更することにより、商品に関する広告2の配置および商品に関する情報のコミュニティ5のリソースを動的かつ合理的に変更することが可能となる」と記載があるように、引用文献1には、販売サイトへの来訪者数/購入者数をもとに広告2の配置を動的に変更することが示唆されている。 引用発明の「統合評価手段」は「当該コンテンツに関連する関連情報を選択したユーザ数」に加えて課金情報をも取得しており、上記の示唆に接した当業者は、「統合評価手段」が関連情報を表示する表示枠を決定するために、当該課金情報に基づくようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願補正発明が奏する効果は、引用発明及び周知の事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものに過ぎず、格別顕著なものということはできない。 (7-6)まとめ したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.本願補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成29年4月24日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求に係る発明は、平成28年10月20日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の1.の(補正前の請求項1)に記載のとおりのものである。 2.引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項は、上記第2の2.(7)(7-2)に記載したとおりであり、引用文献1に記載された発明は、上記第2の2.(7)(7-3)の(引用発明)に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、上記第2の1.で検討した本願補正発明から、補正事項に係る限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2で判断したとおり、引用発明および周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について論及するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-03-28 |
結審通知日 | 2018-04-03 |
審決日 | 2018-04-25 |
出願番号 | 特願2016-29131(P2016-29131) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 後藤 嘉宏 |
特許庁審判長 |
清水 正一 |
特許庁審判官 |
小池 正彦 鳥居 稔 |
発明の名称 | 表示管理システム、表示管理方法および表示管理プログラム |
代理人 | 特許業務法人酒井国際特許事務所 |