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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G03G 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G03G |
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管理番号 | 1341486 |
審判番号 | 不服2017-11006 |
総通号数 | 224 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-07-25 |
確定日 | 2018-07-03 |
事件の表示 | 特願2013-125786「画像形成装置、画像形成システム、用紙プロファイル管理方法、及び用紙プロファイル管理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月 5日出願公開、特開2015- 1607、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年6月14日の出願であって、平成29年1月26日付けで拒絶理由が通知され、同年3月31日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年4月14日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ(同査定の謄本の送達(発送)日 同年同月25日)、これに対し、同年7月25日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされ、その後、当審において平成30年2月15日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年4月20日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし20に係る発明は、平成30年4月20日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定されるものと認められる。本願の請求項1ないし20に係る発明(以下、順に「本願発明1」ないし「本願発明20」という。)は以下のとおりである。 「【請求項1】 画像データに基づいて用紙に画像形成する画像形成部と、 前記用紙の画像形成に関連する情報としての用紙プロファイルを記憶する記憶部と、 環境条件を検知する検知部と、 前記用紙プロファイルを管理すると共に、前記用紙プロファイルに基づいて前記画像形成部による前記用紙に対する画像形成を制御する制御部と、 を有する画像形成装置であって、 前記制御部は、 前記画像形成部で各頁の画像形成をするに際して、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出し、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように制御するものであり、 前記用紙プロファイルに含まれるいずれかの項目のうち、1つの項目に対して前記環境条件に応じた複数の設定値を割り当てるように管理し、 前記画像形成部で画像形成する場合において、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出して適用する際に、前記用紙プロファイルにおいて1つの項目に対して前記環境条件に応じて複数の設定値が割り当てられた項目に関しては、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように制御する、 ことを特徴とする画像形成装置。 【請求項2】 前記制御部は、 前記用紙プロファイルにおける特定の項目について、前記検知部で検知された前記環境条件に対応する設定値を新たに割り当てる、 ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 【請求項3】 各種操作を受け付ける操作部を備え、 前記制御部は、前記用紙プロファイルにおいて複数の設定値を割り当て可能な項目に関しては、前記検知部で検知された前記環境条件に合致している設定値について、前記操作部での操作に応じて、入力もしくは変更を行う、 ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の画像形成装置。 【請求項4】 各種操作を受け付ける操作部と、 各種表示を行う表示部とを備え、 前記制御部は、前記検知部で検知された前記環境条件を前記表示部に表示すると共に、前記用紙プロファイルにおいて複数の設定値を割り当て可能な項目に関して、前記操作部での操作に応じて、入力もしくは変更を行う、 ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の画像形成装置。 【請求項5】 画像データに基づいて用紙に画像形成する画像形成部と、 前記用紙に後処理を施す後処理部と、 前記用紙への画像形成及び後処理に関連する情報としての用紙プロファイルを記憶する記憶部と、 環境条件を検知する検知部と、 前記用紙プロファイルを管理すると共に、前記用紙プロファイルに基づいて前記画像形成と前記後処理とを制御する制御部と、 を有する画像形成システムであって、 前記制御部は、 前記画像形成部で各頁の画像形成をするに際して、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出し、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように制御し、前記後処理部で各頁の後処理をするに際して、後処理で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出し、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように制御するものであり、 前記用紙プロファイルに含まれるいずれかの項目のうち、1つの項目に対して前記環境条件に応じた複数の設定値を割り当てるように管理し、 前記画像形成部で画像形成する場合において、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出して適用する際に、前記用紙プロファイルにおいて1つの項目に対して前記環境条件に応じて複数の設定値が割り当てられた項目に関しては、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように制御し、 前記後処理部で後処理する場合において、後処理で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出して適用する際に、前記用紙プロファイルにおいて1つの項目に対して前記環境条件に応じて複数の設定値が割り当てられた項目に関しては、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように制御する、 ことを特徴とする画像形成システム。 【請求項6】 前記制御部は、 前記用紙プロファイルにおける特定の項目について、前記検知部で検知された前記環境条件に対応する設定値を新たに割り当てる、 ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。 【請求項7】 各種操作を受け付ける操作部を備え、 前記制御部は、前記用紙プロファイルにおいて複数の設定値を割り当て可能な項目に関しては、前記検知部で検知された前記環境条件に合致している設定値について、前記操作部での操作に応じて、入力もしくは変更を行う、 ことを特徴とする請求項5又は請求項6のいずれかに記載の画像形成システム。 【請求項8】 各種操作を受け付ける操作部と、 各種表示を行う表示部とを備え、 前記制御部は、前記検知部で検知された前記環境条件を前記表示部に表示すると共に、前記用紙プロファイルにおいて複数の設定値を割り当て可能な項目に関して、前記操作部での操作に応じて、入力もしくは変更を行う、 ことを特徴とする請求項5又は請求項6のいずれかに記載の画像形成システム。 【請求項9】 画像データに基づいて用紙に画像形成する画像形成部と、 前記用紙の画像形成に関連する情報としての用紙プロファイルを記憶する記憶部と、 環境条件を検知する検知部と、 前記用紙プロファイルを管理すると共に、前記用紙プロファイルに基づいて前記画像形成部による前記用紙に対する画像形成を制御する制御部と、 を有する画像形成装置において使用される前記用紙プロファイルを管理する用紙プロファイル管理方法であって、 前記画像形成部で各頁の画像形成をするに際して、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出し、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように前記制御部が制御するものであり、 前記用紙プロファイルに含まれるいずれかの項目のうち、1つの項目に対して前記環境条件に応じた複数の設定値を割り当てるよう前記制御部が管理し、 前記画像形成部で画像形成する場合において、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出して適用する際に、前記用紙プロファイルにおいて1つの項目に対して前記環境条件に応じて複数の設定値が割り当てられた項目に関しては、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように前記制御部が制御する、 ことを特徴とする用紙プロファイル管理方法。 【請求項10】 前記用紙プロファイルにおける特定の項目について、前記検知部で検知された前記環境条件に対応する設定値を新たに割り当てるよう前記制御部が管理する、 ことを特徴とする請求項9に記載の用紙プロファイル管理方法。 【請求項11】 前記画像形成装置は、各種操作を受け付ける操作部を備え、 前記用紙プロファイルにおいて複数の設定値を割り当て可能な項目に関しては、前記検知部で検知された前記環境条件に合致している設定値について、前記操作部での操作に応じて、入力もしくは変更を行うよう前記制御部が管理する、 ことを特徴とする請求項9又は請求項10のいずれかに記載の用紙プロファイル管理方法。 【請求項12】 前記画像形成装置は、各種操作を受け付ける操作部と、各種表示を行う表示部とを備え、 前記検知部で検知された前記環境条件を前記表示部に表示すると共に、前記用紙プロファイルにおいて複数の設定値を割り当て可能な項目に関して、前記操作部での操作に応じて、入力もしくは変更を行うよう前記制御部が管理する、ことを特徴とする請求項9又は請求項10のいずれかに記載の用紙プロファイル管理方法。 【請求項13】 画像データに基づいて用紙に画像形成する画像形成部と、 前記用紙に後処理を施す後処理部と、 前記用紙への画像形成及び後処理に関連する情報としての用紙プロファイルを記憶する記憶部と、 環境条件を検知する検知部と、 前記用紙プロファイルを管理すると共に、前記用紙プロファイルに基づいて前記画像形成と前記後処理とを制御する制御部と、 を有する画像形成システムにおいて使用される前記用紙プロファイルを管理する用紙プロファイル管理方法であって、 前記画像形成部で各頁の画像形成をするに際して、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出し、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように前記制御部が制御し、前記後処理部で各頁の後処理をするに際して、後処理で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出し、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように前記制御部が制御するものであり、 前記用紙プロファイルに含まれるいずれかの項目のうち、1つの項目に対して前記環境条件に応じた複数の設定値を割り当てるように前記制御部が管理し、 前記画像形成部で画像形成する場合において、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出して適用する際に、前記用紙プロファイルにおいて1つの項目に対して前記環境条件に応じて複数の設定値が割り当てられた項目に関しては、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように前記制御部が制御し、 前記後処理部で後処理する場合において、後処理で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出して適用する際に、前記用紙プロファイルにおいて1つの項目に対して前記環境条件に応じて複数の設定値が割り当てられた項目に関しては、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように前記制御部が制御する、 ことを特徴とする用紙プロファイル管理方法。 【請求項14】 前記用紙プロファイルにおける特定の項目について、前記検知部で検知された前記環境条件に対応する設定値を新たに割り当てるよう前記制御部が管理する、 ことを特徴とする請求項13に記載の用紙プロファイル管理方法。 【請求項15】 前記画像形成装置は、各種操作を受け付ける操作部を備え、 前記用紙プロファイルにおいて複数の設定値を割り当て可能な項目に関しては、前記検知部で検知された前記環境条件に合致している設定値について、前記操作部での操作に応じて、入力もしくは変更を行うよう前記制御部が管理する、 ことを特徴とする請求項13又は請求項14のいずれかに記載の用紙プロファイル管理方法。 【請求項16】 前記画像形成装置は、各種操作を受け付ける操作部と、各種表示を行う表示部とを備え、 前記検知部で検知された前記環境条件を前記表示部に表示すると共に、前記用紙プロファイルにおいて複数の設定値を割り当て可能な項目に関して、前記操作部での操作に応じて、入力もしくは変更を行うよう前記制御部が管理する、 ことを特徴とする請求項13又は請求項14のいずれかに記載の用紙プロファイル管理方法。 【請求項17】 画像データに基づいて用紙に画像形成する画像形成部と前記用紙の画像形成に関連する情報としての用紙プロファイルを記憶する記憶部と、環境条件を検知する検知部と、前記用紙プロファイルを管理すると共に、前記用紙プロファイルに基づいて前記画像形成部による前記用紙に対する画像形成を制御する制御部と、を有する画像形成装置、又は、前記画像形成装置に後処理部が接続された画像形成システム、のいずれかにおいて使用される前記用紙プロファイルを管理するために、前記画像形成装置又は前記画像形成システムのコンピュータを機能させる用紙プロファイル管理プログラムであって、 前記画像形成部で各頁の画像形成をするに際して、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出し、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように前記制御部が制御し、前記後処理部で各頁の後処理をするに際して、後処理で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出し、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように前記制御部が制御するものであり、 前記用紙プロファイルに含まれるいずれかの項目のうち、1つの項目に対して前記環境条件に応じた複数の設定値を割り当てるように前記制御部が管理し、 前記画像形成部で画像形成する場合において、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出して適用する際に、前記用紙プロファイルにおいて1つの項目に対して前記環境条件に応じて複数の設定値が割り当てられた項目に関しては、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように前記制御部が制御し、 前記後処理部で後処理する場合において、後処理で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出して適用する際に、前記用紙プロファイルにおいて1つの項目に対して前記環境条件に応じて複数の設定値が割り当てられた項目に関しては、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように前記制御部が制御する、 ことを特徴とする用紙プロファイル管理プログラム。 【請求項18】 前記用紙プロファイルにおける特定の項目について、前記検知部で検知された前記環境条件に対応する設定値を新たに割り当てるよう前記制御部が管理する、 ことを特徴とする請求項17に記載の用紙プロファイル管理プログラム。 【請求項19】 前記画像形成装置は、各種操作を受け付ける操作部を備え、 前記用紙プロファイルにおいて複数の設定値を割り当て可能な項目に関しては、前記検知部で検知された前記環境条件に合致している設定値について、前記操作部での操作に応じて、入力もしくは変更を行うよう前記制御部が管理する、 ことを特徴とする請求項17又は請求項18のいずれかに記載の用紙プロファイル管理プログラム。 【請求項20】 前記画像形成装置は、各種操作を受け付ける操作部と、各種表示を行う表示部とを備え、 前記検知部で検知された前記環境条件を前記表示部に表示すると共に、前記用紙プロファイルにおいて複数の設定値を割り当て可能な項目に関して、前記操作部での操作に応じて、入力もしくは変更を行うよう前記制御部が管理する、 ことを特徴とする請求項17又は請求項18のいずれかに記載の用紙プロファイル管理プログラム。」 第3 原査定の理由について 1.原査定の理由の概要 原査定は、平成29年1月26日付けの拒絶理由の理由2によるものであって、その概要は以下のとおりである。 「(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・請求項 1、9 ・引用文献等 1、3 ・請求項 2-4、10-12 ・引用文献等 1-3 ・引用文献等 1.特開2008-102261号公報 2.特開平10-20581号公報 3.特開2007-199113号公報」 2.原査定の理由の判断 (1)刊行物 ア.刊行物1 原査定に係る拒絶理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2008-102261号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。 (ア)「【請求項4】 転写紙に画像を形成する画像形成装置において、 前記転写紙の種類情報を取得する転写紙情報取得手段と、 転写紙の種類と画像形成条件とが対応づけられて記憶されている記憶手段から、前記転写紙情報取得手段で取得した転写紙の種類情報に対応した画像形成条件を取得する画像形成条件取得手段と、 前記記憶手段から取得した画像形成条件に設定する第1画像形成条件設定手段と、 判定用の画像形成条件に設定して前記転写紙に判定画像を形成し、転写紙上の判定画像を読み取って判定画像の良否を判定し、判定画像の判定結果に基づいて画像形成条件を設定する第2画像形成条件設定手段とを備え、 取得した転写紙の種類情報に対応する画像形成条件を前記記憶手段から取得できなかったときは、前記第2画像形成条件設定手段を実行して、画像形成条件を設定することを特徴とする画像形成装置。 【請求項5】 請求項4の画像形成装置において、 前記記憶手段は、通信回線を介して複数の画像形成装置と接続された画像形成条件提供サーバ内に設けられたものであって、 前記画像形成条件提供サーバと情報の送受信を行う通信手段を備え、 前記通信手段は、前記第2画像形成条件設定手段を実行して、設定した画像形成条件を、判定に使用した転写紙の種類情報とともに、前記画像形成条件提供サーバに送信することを特徴とする画像形成装置。 【請求項6】 請求項5の画像形成装置において、 環境を検知する環境検知手段を備え、 前記記憶手段には、転写紙の種類毎に環境条件と画像形成条件とが対応づけられて記憶されており、 前記第1画像形成条件設定手段は、前記転写紙情報取得手段で取得した転写紙の種類情報に対応した環境条件毎の画像形成条件を取得し、前記環境検知手段の検知結果に基づいて画像形成条件を設定するものであって、前記通信手段は、前記第2画像形成条件設定手段を実行して設定した画像形成条件と、判定に使用した転写紙の種類情報と、前記第2画像形成条件設定手段実行時の前記環境検知手段が検知した環境条件とを、前記画像形成条件提供サーバに送信することを特徴とする画像形成装置。」 上記の記載事項を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「転写紙に画像を形成する画像形成装置において、 前記転写紙の種類情報を取得する転写紙情報取得手段と、 転写紙の種類と画像形成条件とが対応づけられて記憶されている記憶手段から、前記転写紙情報取得手段で取得した転写紙の種類情報に対応した画像形成条件を取得する画像形成条件取得手段と、 前記記憶手段から取得した画像形成条件に設定する第1画像形成条件設定手段と、 環境を検知する環境検知手段を備え、 前記記憶手段には、転写紙の種類毎に環境条件と画像形成条件とが対応づけられて記憶されており、 前記第1画像形成条件設定手段は、前記転写紙情報取得手段で取得した転写紙の種類情報に対応した環境条件毎の画像形成条件を取得し、前記環境検知手段の検知結果に基づいて画像形成条件を設定するものである 画像形成装置。」 イ.刊行物2 原査定に係る拒絶理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開平10-20581号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【0048】本実施例は、情報処理システムに関するものである。図5に示すように、インタフェース80を介して画像データを出力するホストコンピュータ81に、カラー画像形成装置の装置本体1内の温湿度センサ100のデータを表示できる構成とした。図5は、ホストコンピュータ81のディスプレイ82に表示されたプリントドライバの一例を示す。このプリントドライバ上にカラー画像形成装置の装置本体内の環境温湿度が表示され、その下側に環境不一致を防止するための選択手段としてのテーブル可変選択スイッチ83が配置されている。」 上記の記載事項を総合すると、刊行物2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「インタフェースを介して画像データを出力するホストコンピュータに、カラー画像形成装置の装置本体内の温湿度センサのデータを表示できる構成とし、 ホストコンピュータのディスプレイに表示されたプリントドライバ上にカラー画像形成装置の装置本体内の環境温湿度が表示され、その下側に環境不一致を防止するための選択手段としてのテーブル可変選択スイッチが配置されている 情報処理システム。」 ウ.刊行物3 原査定に係る拒絶理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2007-199113号公報(以下「刊行物3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【0071】 図5は、画像形成装置のプリンタ部の動作を制御する制御部の構成を示すブロック図である。 【0072】 この制御部は、プリンタ制御部001、駆動回路部002、高圧電源003、環境センサ701、各モータ020?024で構成されるとともに、図1に示すプリンタ部の各構成部分も含む。さらに、RFIDタグのデータを読み取るRFIDタグ読取り部273と、記録媒体の紙種ごとの制御設定値を格納したメモリ700とが含まれる。」 (イ)「【0099】 ところで、記録媒体に埋め込まれたRFIDタグ601のメモリ602には、対応する記録媒体(審決注:「記憶媒体」は「記録媒体」の誤記と認められるので訂正して摘記した。以下同様。)の紙種を示すデータが格納されている。すなわち例えば、対応する記録媒体の紙種が普通紙であるならば0、厚紙であるならば1が、データとしてメモリ602に格納されている。そこで、RFIDタグ読取り部273が、記録媒体に埋め込まれたRFIDタグ601からこうしたデータを読み出し、プリンタ制御部001が、メモリ700を参照して、そのデータに対応する制御設定値を取得し、該制御設定値に基づき、画像形成装置を制御する。これを、図5を参照して以下に説明する。 【0100】 まず、RFIDタグ読取り部273がRFIDタグ601のメモリ602から、記録媒体の紙種を示すデータを読み取り、このデータをプリンタ制御部001に送る。 【0101】 一方、環境センサ701が、温度、湿度等を測定して、測定値をプリンタ制御部001に送る。すなわち、記録媒体の特性は周囲の環境条件により左右される。特に記録媒体に含まれる絶対水分量に大きく左右される。そのため、プリンタ制御部001は、環境センサ701から送られた測定値に基づき、記録媒体に含まれる絶対水分量を推定し、例えば大中小の3段階に分ける。そして、大=2、中=1、小=0と定める。 【0102】 そしてプリンタ制御部001は、記録媒体の紙種を示すデータと記録媒体に含まれる絶対水分量を示すデータとに基づき、リードアドレスを作成する。例えば、記録媒体の紙種を示すデータが0であり、記録媒体に含まれる絶対水分量を示すデータが2であるならば、リードアドレスを02とする。記憶媒体の紙種を示すデータが1であり、記録媒体に含まれる絶対水分量を示すデータが1であるならば、リードアドレスを11とする。そして、プリンタ制御部001は、メモリ700を参照して、リードアドレスに対応する制御設定値を取得する。 【0103】 図12は、メモリ700におけるリードアドレスと制御設定値(格納情報)との対応関係の一部を示す図である。この図12では、リードアドレス020?02D(16進数)のメモリ領域だけを例に挙げて示し、他のアドレスのメモリ領域については省略している。また図12では、メモリ領域に格納されるものとして制御設定値および対応する記録媒体の厚み情報だけを例に挙げて示しているが、この他に、対応する記録媒体のサイズ情報、紙種情報、色情報、製造年月、製造メーカ情報等も含まれる。 【0104】 プリンタ制御部001は、記録媒体の紙種データと絶対水分量データとに基づき作成されたリードアドレスが、例えば02であった場合、メモリ700における02を先頭部にもつリードアドレスの各領域の格納情報を取得する。図12の例では、メモリ700におけるリードアドレス020?02Dにそれぞれ格納されている制御設定値を取得する。 【0105】 そしてプリンタ制御部001は、リードアドレス020の領域から読み出された搬送スピード設定値を画像形成時の記録媒体の最適な搬送速度として設定する。すなわち、駆動回路部002を介して、現像器モータ020、給紙駆動モータ021、定着駆動モータ022、作像系モータ023、両面搬送モータ024、露光装置218内のポリゴンモータ(図示せず)の速度制御を行い、記録媒体を最適速度で搬送する。 【0106】 また、プリンタ制御部001は、リードアドレス021?02Aの領域から読み出された各高圧設定値に応じて高圧電源003を設定する。これによって、記録媒体の紙種や、環境条件に応じた最適な画質が得られる。 【0107】 また、プリンタ制御部001は、リードアドレス02Bの領域から読み出された定着ヒータ温度設定値に応じて、駆動回路部002に接続された定着装置234における定着ヒータ温度を設定する。これにより、記録媒体の紙種や、環境条件に応じた最適な画質が得られる。 【0108】 また、プリンタ制御部001は、リードアドレス02Cの領域から読み出されたガンマテーブルNoに応じて、図4のγ補正部112において使用すべきガンマテーブルを選択する。これにより、記録媒体の下地色に最も適した色味および濃度を持った画像が記録媒体に形成される。」 【0109】 また、プリンタ制御部001は、リードアドレス02Dの領域から読み出された厚さに応じて、ステイプル処理を伴う画像形成動作の実行/不実行を制御する。すなわち、操作部302を介してユーザからステイプル処理を伴う画像形成を指定された場合に、プリンタ制御部001は、リードアドレス02Dの領域から読み出された厚さに基づいて、ステイプル処理の対象となる積載された記録媒体の総厚み量を算出する。そして、この総厚み量を、ステイプルユニット282のステイプル処理可能な記録媒体の最大積載総厚み量と比較する。その結果、これから行うべきステイプル処理の対象である積載記録媒体の総厚み量が、ステイプル処理可能な最大積載総厚み量を超えている場合は、これから行うべき画像形成処理を開始させずに、操作部302の表示部に警報を表示する。一方、これから行うべきステイプル処理の対象である積載記録媒体の総厚み量が、ステイプル処理可能な最大積載総厚み量を超えていなければ、プリンタ制御部001は、これから行うべき画像形成処理を開始させる。」 上記の記載事項を総合すると、刊行物3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。 「プリンタ部の動作を制御する制御部を有し、 制御部は、プリンタ制御部、駆動回路部、高圧電源、環境センサ、各モータで構成されるとともに、プリンタ部の各構成部分も含み、さらに、RFIDタグのデータを読み取るRFIDタグ読取り部と、記録媒体の紙種ごとの制御設定値を格納したメモリとが含まれ、 RFIDタグ読取り部が記録媒体に埋め込まれたRFIDタグのメモリから、記録媒体の紙種を示すデータを読み取り、このデータをプリンタ制御部に送り、 一方、環境センサが、温度、湿度等を測定して、測定値をプリンタ制御部に送り、プリンタ制御部は、環境センサから送られた測定値に基づき、記録媒体に含まれる絶対水分量を推定し、大中小の3段階に分け、大=2、中=1、小=0と定め、 プリンタ制御部は、記録媒体の紙種を示すデータと記録媒体に含まれる絶対水分量を示すデータとに基づき、リードアドレスを作成し、記録媒体の紙種を示すデータが0であり、記録媒体に含まれる絶対水分量を示すデータが2であるならば、リードアドレスを02とし、 メモリ領域に格納されるものとして制御設定値および対応する記録媒体の厚み情報の他に、対応する記録媒体のサイズ情報、紙種情報、色情報、製造年月、製造メーカ情報等も含まれ、 プリンタ制御部は、記録媒体の紙種データと絶対水分量データとに基づき作成されたリードアドレスが、02であった場合、メモリにおける02を先頭部にもつリードアドレスの各領域の格納情報を取得し、 プリンタ制御部は、リードアドレス020の領域から読み出された搬送スピード設定値を画像形成時の記録媒体の最適な搬送速度として設定し、リードアドレス021?02Aの領域から読み出された各高圧設定値に応じて高圧電源を設定し、リードアドレス02Bの領域から読み出された定着ヒータ温度設定値に応じて、駆動回路部に接続された定着装置における定着ヒータ温度を設定し、リードアドレス02Cの領域から読み出されたガンマテーブルNoに応じて、γ補正部において使用すべきガンマテーブルを選択し、リードアドレス02Dの領域から読み出された厚さに応じて、ステイプル処理を伴う画像形成動作の実行/不実行を制御する 画像形成装置。」 エ.刊行物4 平成29年1月26日付け拒絶理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2006-16157号公報(以下「刊行物4」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【0042】 また、画像形成装置10には、排紙機構50が連結されている。また、図3に示すように、排紙機構50には、ケーシング52に排紙口54が形成され、この排紙口54の近傍から排紙トレイ56が突設されている。」 (イ)「【0050】 ところで、図1に示すように、排紙機構50には、記録紙12に生じた湾曲(カール)を除去するカール補正装置としてデカール装置60が設けられており、画像が形成された記録紙12は、排出機構50へ送り込まれることにより、このデカール装置60を通過する。」 (ウ)「【0071】 また、デカール装置60のコントローラ80には、環境温度を検出する温度センサ88及び、環境湿度を検出する湿度センサ90が接続している。 【0072】 画像形成装置10の制御部40では、記録紙12に形成する画像を、記録紙12の搬送方向に沿って複数の領域に分割し、分割したそれぞれの領域に対して、画像濃度などの画像情報を出力する。デカール装置60のコントローラ80では、制御部40から入力された画像情報に基づいて、記録紙12を搬送方向に沿って複数の領域に分割し、分割したそれぞれの領域に対してカール補正量を設定し、設定したカール補正量に基づいたデカール処理を行うようにしている。 【0073】 図7に示すように、本実施の形態では、一例として、搬送方向に沿った長さがLの記録紙12に対して、画像形成領域をL/3ずつ分割して領域A_(L)、A_(C)、A_(T)を設定している。制御部40(画像処理部44)では、領域A_(L)、A_(C)、A_(T)のそれぞれ対して画像濃度を算出してコントローラ80に出力する。 【0074】 これにより、コントローラ80では、領域A_(L)、A_(C)、A_(T)のそれぞれ及び、記録紙12の全領域における画像密度、紙質、温度センサ88によって検出する 環境温度、湿度センサ90によって検出する環境湿度等を用いて記録紙12に生じるカール量を推定し、この推定結果に基づいたデカール量を設定し、設定したデカール量に基づいてペネトレーションモータ86を制御する。 【0075】 すなわち、コントローラ80では、Y、M、C、Kの各色のトナー像を形成するときのレーザー(ROS46Y、46M、46C、46K)による書込み量とトナー量の比を掛け合わせた値(トナー量換算値)に、環境温度と環境湿度などの環境情報、記録紙12の紙種情報及び、搬送方向情報を加味することでカール量を推定する。」 上記の記載事項を総合すると、刊行物4には、次の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されているものと認められる。 「排紙機構が連結され、 排紙機構には、記録紙に生じた湾曲(カール)を除去するカール補正装置としてデカール装置が設けられ、 デカール装置のコントローラには、環境温度を検出する温度センサ及び、環境湿度を検出する湿度センサが接続しており、 デカール装置のコントローラでは、制御部から入力された画像情報に基づいて、記録紙を搬送方向に沿って複数の領域に分割し、分割したそれぞれの領域に対してカール補正量を設定し、設定したカール補正量に基づいたデカール処理を行うようにし、 環境温度、湿度センサによって検出する環境湿度等を用いて記録紙に生じるカール量を推定し、この推定結果に基づいたデカール量を設定し、設定したデカール量に基づいてペネトレーションモータを制御し、 Y、M、C、Kの各色のトナー像を形成するときのレーザーによる書込み量とトナー量の比を掛け合わせた値(トナー量換算値)に、環境温度と環境湿度などの環境情報、記録紙の紙種情報及び、搬送方向情報を加味することでカール量を推定する 画像形成装置。」 (2)本願発明1について ア.対比 本願発明1と引用発明1とを対比する。 後者の「転写紙」は、その構造、機能、作用等からみて、前者の「用紙」に相当し、同様に「画像形成装置」は「画像形成装置」に、「環境」は「環境条件」に、「環境検知手段」は「検知部」に、それぞれ相当する。 後者の「画像形成装置」は「転写紙に画像を形成する」から、「転写紙に画像を形成する」機構を有することは明らかであって、後者の当該機構と前者の「画像データに基づいて用紙に画像形成する画像形成部」とは、「用紙に画像形成する画像形成部」との概念で共通する。 後者の「転写紙の種類と画像形成条件とが対応づけられて記憶され」たものは、前者の「用紙の画像形成に関連する情報としての用紙プロファイル」に相当し、後者の「転写紙の種類と画像形成条件とが対応づけられて記憶されている記憶手段」は、前者の「前記用紙の画像形成に関連する情報としての用紙プロファイルを記憶する記憶部」に相当する。 後者の「転写紙の種類と画像形成条件とが対応づけられて記憶されている記憶手段から、前記転写紙情報取得手段で取得した転写紙の種類情報に対応した画像形成条件を取得する画像形成条件取得手段」及び「前記記憶手段から取得した画像形成条件に設定する第1画像形成条件設定手段」は、前者の「前記用紙プロファイルを管理すると共に、前記用紙プロファイルに基づいて前記画像形成部による前記用紙に対する画像形成を制御する制御部」に相当する。 後者において画像形成条件の取得が画像形成の際に行われることは明らかであるから、後者の「転写紙の種類と画像形成条件とが対応づけられて記憶されている記憶手段から、前記転写紙情報取得手段で取得した転写紙の種類情報に対応した画像形成条件を取得する」と、前者の「前記画像形成部で各頁の画像形成をするに際して、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出し」とは、「前記画像形成部で画像形成をするに際して、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出し」との概念で共通する。 後者においては「前記記憶手段には、転写紙の種類毎に環境条件と画像形成条件とが対応づけられて記憶されて」いるから、後者の「前記環境検知手段の検知結果に基づいて画像形成条件を設定する」ことは、前者の「前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように制御する」ことに相当する。 後者の「前記記憶手段には、転写紙の種類毎に環境条件と画像形成条件とが対応づけられて記憶されており」と、前者の「前記用紙プロファイルに含まれるいずれかの項目のうち、1つの項目に対して前記環境条件に応じた複数の設定値を割り当てるように管理し」とは、「前記用紙プロファイルに含まれる項目に対して前記環境条件に応じた複数の設定値を割り当てるように管理し」との概念で共通する。 後者の「前記第1画像形成条件設定手段は、前記転写紙情報取得手段で取得した転写紙の種類情報に対応した環境条件毎の画像形成条件を取得し、前記環境検知手段の検知結果に基づいて画像形成条件を設定する」と、前者の「前記画像形成部で画像形成する場合において、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出して適用する際に、前記用紙プロファイルにおいて1つの項目に対して前記環境条件に応じて複数の設定値が割り当てられた項目に関しては、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように制御する」とは、「前記画像形成部で画像形成する場合において、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出して適用する際に、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように制御する」との概念で共通する。 したがって、両者は、 「用紙に画像形成する画像形成部と、 前記用紙の画像形成に関連する情報としての用紙プロファイルを記憶する記憶部と、 環境条件を検知する検知部と、 前記用紙プロファイルを管理すると共に、前記用紙プロファイルに基づいて前記画像形成部による前記用紙に対する画像形成を制御する制御部と、 を有する画像形成装置であって、 前記制御部は、 前記画像形成部で画像形成をするに際して、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出し、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように制御するものであり、 前記用紙プロファイルに含まれる項目に対して前記環境条件に応じた複数の設定値を割り当てるように管理し、 前記画像形成部で画像形成する場合において、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出して適用する際に、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように制御する、 画像形成装置。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 前者の画像形成部が「画像データに基づいて」用紙に画像形成する対して、後者はその点につき明らかでない点。 [相違点2] 前者の制御部が「各頁の画像形成をするに際して」、用紙プロファイルを読み出し、検知部で検知された環境条件に合致する設定値を適用するように制御するのに対して、後者はそのようなものでない点。 [相違点3] 前者の制御部が「用紙プロファイルに含まれるいずれかの項目のうち、1つの項目に対して」環境条件に応じた複数の設定値を割り当てるように管理するのに対して、後者はそのようなものでない点。 [相違点4] 前者の制御部が「用紙プロファイルにおいて1つの項目に対して環境条件に応じて複数の設定値が割り当てられた項目に関しては」検知部で検知された環境条件に合致する設定値を適用するように制御するのに対して、後者はそのようなものでない点。 イ.判断 上記相違点2について検討する。 引用発明1については、上記「ア.」の対比のとおりであって、引用発明1は、各頁の画像形成ごとに用紙プロファイルを読み出し、設定値を適用するものではない。 また、引用発明3は、上記「(1)ウ.」のとおりであって、「記録媒体の紙種を示すデータと記録媒体に含まれる絶対水分量を示すデータとに基づき、リードアドレスを作成し」、「プリンタ制御部は、記録媒体の紙種データと絶対水分量データとに基づき作成されたリードアドレスが、02であった場合、メモリにおける02を先頭部にもつリードアドレスの各領域の格納情報を取得」するものの、リードアドレスの作成やリードアドレスの各領域の格納情報の取得を記録媒体を1枚画像形成するごとに行うものではない。 そうすると、引用発明1及び3は、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものではない。また、引用発明2及び4が、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものではないことは明らかである。 そして、本願発明1は、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を具備することにより、本願明細書に記載の「多数の各用紙プロファイルを環境条件に応じて作り替える必要が無くなり、画像形成中や後処理中に環境条件が変化した場合にも用紙プロファイルを別のものに変更することなく、環境条件に応じた設定値を取得して対処でき、適切な画像形成や後処理をすることが可能になる。」(段落【0019】)という効果を奏するものである。 したがって、本願発明1は、引用発明1及び3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (3)本願発明2ないし20について 本願発明2ないし4は、本願発明1をさらに限定したものである。 本願発明9は、本願発明1に対応する用紙プロファイル管理方法の発明であって、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項と同様の事項を発明特定事項として備えるものである。また、本願発明10ないし12は本願発明9をさらに限定したものである。 本願発明5は、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項と同様の事項である「前記画像形成部で各頁の画像形成をするに際して、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出し、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用するように制御し」との発明特定事項を備えるものである。また、本願発明6ないし8は、本願発明5をさらに限定したものである。 本願発明13及び17は、それぞれ本願発明5に対応する用紙プロファイル管理方法及び用紙プロファイル管理プログラムの発明であって、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項と同様の事項を発明特定事項として備えるものである。また、本願発明14ないし16は本願発明13をさらに限定したものであり、本願発明18ないし20は本願発明17をさらに限定したものである そうすると、本願発明1については上記「(2)」のとおりであるから、本願発明2ないし20は、本願発明1と同様に、引用発明1ないし4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (4)まとめ 以上のとおりであるから、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 第4 当審拒絶理由について 1.当審拒絶理由の概要 当審において通知した拒絶理由の概要は以下の通りである。 「1.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 ●理由1(サポート要件)について ・請求項 1ないし20 本願発明の課題は、発明の詳細な説明の記載からみて、「画像形成中に環境条件が変化した場合であっても対処して適切な画像形成をすることが可能な画像形成装置、画像形成システム、用紙プロファイル管理方法、及び用紙プロファイル管理プログラムを実現すること」(段落【0013】)であって、その解決手段は、「主制御部150は、プリント指示されたジョブについて最終頁に至るまで、以上の用紙プロファイル中の各項目の設定値の読み込み、及び、環境条件別に複数設定値に設定されている項目については環境条件に基づく設定値の適用を、各頁のプリントと後処理を実行するに際して実行する」(段落【0094】)ことであると認められる。 一方、請求項1には、「前記画像形成部で画像形成する場合において、画像形成で使用する用紙に関連して前記記憶部に記憶されている前記用紙プロファイルを読み出して適用する際に、前記用紙プロファイルにおいて1つの項目に対して前記環境条件に応じて複数の設定値が割り当てられた項目に関しては、前記検知部で検知された前記環境条件に合致する設定値を適用する」ことは記載されているものの、「各頁のプリントと後処理を実行するに際して」、「用紙プロファイル中の各項目の設定値の読み込み」及び「環境条件に基づく設定値の適用」を実行することが規定されておらず、出願時の技術常識を考慮しても、本願発明の課題が解決できないことが明らかである。 したがって、請求項1には、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えることとなる。 よって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 また、請求項2ないし20に係る発明も同様に、発明の詳細な説明に記載したものでない。 ●理由2(明確性)について ・請求項 3、4、7、8、11、12、15、16、19、20 請求項3及び4の「請求項1-2に記載の画像形成装置」という記載は、どの請求項を引用しているのかが明確でない。 また、請求項7及び8の「請求項5-6に記載の画像形成システム」、請求項11及び12の「請求項9-10に記載の用紙プロファイル管理方法」、請求項15及び16の「請求項13-14に記載の用紙プロファイル管理方法」、請求項19及び20の「請求項17-18に記載の用紙プロファイル管理プログラム」という記載についても、同様の点が明確でない。 よって、請求項3、4、7、8、11、12、15、16、19、20に係る発明は明確でない。」 2.当審拒絶理由の判断 平成30年4月20日付け手続補正書による補正により、請求項1ないし20は、上記「第2」において摘示した請求項1ないし20のとおりにそれぞれ補正された。 当該補正によって、用紙プロファイルを読み出し設定値を適用するのが、請求項1ないし4及び9ないし12においては「前記画像形成部で各頁の画像形成をするに際して」であり、請求項5ないし8及び13ないし20においては「前記画像形成部で各頁の画像形成をするに際して」及び「前記後処理部で各頁の後処理をするに際して」であることが特定された結果、請求項1ないし20に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものとなった。 また、当該補正により、各請求項間の引用関係が明らかとなったため、請求項3、4、7、8、11、12、15、16、19及び20に係る発明は明確となった。 よって、当審拒絶理由は解消した。 第5 むすび 以上のとおりであるから、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-06-19 |
出願番号 | 特願2013-125786(P2013-125786) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(G03G)
P 1 8・ 121- WY (G03G) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 齋藤 卓司、三橋 健二 |
特許庁審判長 |
黒瀬 雅一 |
特許庁審判官 |
畑井 順一 森次 顕 |
発明の名称 | 画像形成装置、画像形成システム、用紙プロファイル管理方法、及び用紙プロファイル管理プログラム |
代理人 | 井島 藤治 |