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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1341816
審判番号 不服2017-5067  
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-10 
確定日 2018-07-05 
事件の表示 特願2016- 629「移動局、基地局、無線通信システムと通信制御方法並びにプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月 2日出願公開、特開2016-103844〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2008年(平成20年)2月1日(優先権主張 平成19年2月5日)を国際出願日とする特許出願である特願2008-557090号の一部を、平成23年5月19日に新たに特許出願した特願2011-112556号の一部を、平成24年8月27日に新たに特許出願した特願2012-187015号の一部を、平成26年2月6日に新たに特許出願した特願2014-021553号の一部を、同年12月3日に新たに特許出願した特願2014-244977号の一部を、平成28年1月5日に更に新たな特許出願としたものであって、平成28年8月26日付けで拒絶理由が通知され、同年11月7日に意見書が提出され、平成29年1月4日付けで拒絶査定されたところ、同年4月10日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正されたものである。


第2 平成29年4月10日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成29年4月10日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正について
(1)本件補正により、特許請求の範囲の請求項3は、次のとおり補正された。

「 DRX動作を行う少なくとも1つの移動局と無線通信を行う基地局であって、
前記移動局にLong DRXサイクルでのDRX動作の開始を指示するDRX制御信号を送信する手段を、少なくとも有する、ことを特徴とする基地局。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、本件出願時の特許請求の範囲の請求項3は次のとおりである。

「 DRX動作を行う少なくとも1つの移動局と無線通信を行う基地局であって、
前記移動局にLong DRXサイクルでのDRX動作を行うことを指示するDRX制御信号を送信する手段を、少なくとも有する、ことを特徴とする基地局。」

2.補正の適否
(1)新規事項の有無、シフト補正の有無、補正の目的要件
上記補正は、補正前の請求項3に記載された発明を特定するために必要な事項であるDRX制御信号について、「DRX動作を行うことを指示する」と規定していたものを、「DRX動作の開始を指示する」とするものである。
そうしてみると、上記補正は、DRX制御信号の指示内容を、「DRX動作を行うこと」から「DRX動作の開始」に限定する補正であるといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
したがって、上記補正は特許法17条の2第5項2号(補正の目的)の規定に適合する。また、特許法17条の2第3項(新規事項)及び同法17条の2第4項(シフト補正)の規定に違反しないことも明らかである。

(2)独立特許要件
上記補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正後の請求項3に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

ア.本件補正発明
本件補正発明は、上記1.(1)に記載したとおりのものと認める。

イ.引用例の記載事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された、「NEC,Fast setup for PS services (CELL PCH & URA PCH),3GPP TSG-RAN2 Meeting #56 Tdoc R2-063413,3GPP,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/wg2_rl2/TSGR2_56/Documents/R2-063413.zip>2006年11月1日アップロード)」(以下、「引用例」という。)には以下の記載がある。

(ア)「1 Introduction
Presently, the RRC protocol allows the mobile to have different DRX periods in CELL PCH and URA PCH state controlled by the network.
It is of interest to note that in order to change the DRX periods, it has to be done by explicit signalling.
・・・・・・・・・・・・・
To this end we propose to take a new look at the RRC protocol's structure and suggest a way forward that can improve both the signalling load of the network and better network performance. In order to do this we suggest that we investigate the following issues:
- The need for explicit signalling for exiting from CELL FACH to CELL PCH」(1頁1?15行)
(当審訳: 1 はじめに
現在、RRCプロトコルは、モバイルが、ネットワークによって制御されるCELL PCH状態及びURA PCH状態において異なるDRX期間を有することを許容する。
DRX周期を変更するには、明示的なシグナリングによって行われる必要があることに注意することが重要である。
・・・・・・・・・
この目的のために、我々は、RRCプロトコルの構造の見直しを提案し、ネットワークのシグナリング負荷とより良いネットワーク性能の両方を改善できる方法を提案する。これを行うには、次の問題を調査することを勧める。
- CELL FACHからCELL PCHへの明示的なシグナリングの必要性)

(イ)「This requires a shorter DRX length towards the end of traffic burst in anticipation of more data. A shorter DRX length is not ideal for UE’s battery life. For the networks, a shorter DRX cycle means increase in consumed power and overall increase in downlink interference due to more frequent paging. After a period of inactivity (typically when the user is not using the always-on application) it is preferable to have a longer DRX cycle saving power in the system and reducing the paging load in the system. 」(3頁4?8行)
(当審訳: これは、より多くのデータを予想して、トラフィックバーストの終わりに向かってより短いDRX長を要求する。 より短いDRX長は、UEのバッテリ寿命にとって理想的ではない。 ネットワークにとって、より短いDRXサイクルは、より頻繁なページングによる消費電力の増加、及びダウンリンク干渉の全体的な増加を意味する。 一定期間使用しなかった後(典型的には、ユーザが常時オンのアプリケーションを使用していない場合)、システム内の電力を節約し、システム内のページング負荷を低減するために、より長いDRXサイクルを持つことが望ましい。)

(ウ)上記(イ)の記載に引き続き、以下の図面が記載されている。(3頁)


(エ)「3.1 System signalling load consideration
Figure 3.1.1 below shows a typical set of signalling required for a web browsing session between packet calls (reading time). 」(6頁1?3行)
(当審訳: 3.1システムシグナリング負荷の考慮事項
図3.1.1に、パケットコール間のウエブブラウジングセッション(読み取り時間)に必要なシグナリングの典型的なセットを示す。)

(オ)上記(エ)の記載に引き続き、Fig.3.1.1として以下の図面が記載されている。(6頁)


上記記載から、引用例には、次の技術的事項が記載されている。

a 上記(ア)によれば、DRX周期の変更や、CELL FACHからCELL PCHへの変更には、明示的なシグナリングが必要であったということができる。

b 上記(イ)及び(ウ)によれば、DRXサイクルには「より短いDRXサイクル」と「より長いDRXサイクル」が存在し、「より短いDRXサイクル」では、間隔が短くなっており、より多くのデータに対応できるが、UEのバッテリ寿命にとって理想的ではない。一方、「より長いDRXサイクル」では、間隔が長くなっており、システム内に電力を節約し、システム内のページング負荷を低減するものといえる。

c 上記(エ)及び(オ)によれば、以下の事項が読み取れる。
・UEとUTRANとの間での信号のやり取りを記載したものであること。
・図の中央より少し下方にUTRANからUEに向けた実線の矢印があり、「PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATION(UTRAN DRX cycle length coefficient=Drx2)」と付記されている。
・そして、そのすぐ下にUEからUTRANに向けた実線の矢印があり、「PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATION COMPLETE」と付記されている。
・その下のUE側には「CELL_PCH」及び「Drx2」と記載され、UTRAN側には「Tdrx2」と記載されている。
・「Drx2」と付記された間隔は、「Drx1」と付記された間隔より長くなっている。

d 上記cより、引用例には、UEと信号のやり取りをするUTRANについて記載されているということができ、信号のやり取りは無線通信により行われることは明らかである。また、UEはDRX動作をするものといえる。
したがって、DRX動作を行うUEと無線通信によって信号のやり取りを行うUTRANについて記載されているといえる。

e また、上記cより、UTRANはUEに「PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATION(UTRAN DRX cycle length coefficient=Drx2)」という信号を送信しているから、そのための送信手段を有しているといえる。
そして、「PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATION」信号には「UTRAN DRX cycle length coefficient=Drx2」というDRXサイクル長を指示する情報が含まれており、UEが当該信号を受信した後、図3.1.1のUE側には「Drx2」と記載されているから、UEがUTRAN DRXサイクル長係数がDrx2となるDRX動作を行うことは明らかである。そうしてみると、「PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATION(UTRAN DRX cycle length coefficient=Drx2)」という信号は、UTRAN DRXサイクル長係数がDrx2となるDRX動作を指示する信号と考えるのが自然である。
ここで、図3.1.1において「Drx2」は「Drx1」より間隔が長くなっていることから、上記bの検討に従えば、UEは、「より長いDRXサイクル」のDRX動作を行っているといえる。
そうすると、UTRANはUEに、「より長いDRXサイクル」のDRX動作を指示する「PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATION(UTRAN DRX cycle length coefficient=Drx2)」を送信する送信手段を有しているといえる。

したがって、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「 DRX動作を行うUEと無線通信によって信号のやり取りを行うUTRANであって、
UEに、より長いDRXサイクルのDRX動作を指示するPHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATION(UTRAN DRX cycle length coefficient=Drx2)を送信する送信手段、
を有するUTRAN。」


ウ.引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
a 引用発明の「UE」は本件補正発明の「少なくとも1つの移動局」に相当する。また、引用発明の「UTRAN」は「UE」と直接信号のやり取りをする「基地局」を有していることは明らかであり、当該「基地局」が、本件補正発明の「基地局」に相当する。

b 引用発明の「より長いDRXサイクル」は、「より短いDRXサイクル」に比べて、システム内の電力を節約するためのものであるから、本件補正発明の「Long DRXサイクル」に相当する。

c 引用発明の「PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATION(UTRAN DRX cycle length coefficient=Drx2)」は、UEに、より長いDRXサイクルのDRX動作を指示する信号であるから、本件補正発明の「DRX制御信号」と、Long DRXサイクルでのDRX動作を指示しているという点で共通する。

d 引用発明は「PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATION(UTRAN DRX cycle length coefficient=Drx2)を送信する送信手段」を有しているから、引用発明のUTRANは送信手段を少なくとも有しているということができる。

したがって、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりと認める。


[一致点]
「 DRX動作を行う少なくとも1つの移動局と無線通信を行う基地局であって、
前記移動局にLong DRXサイクルでのDRX動作を指示するDRX制御信号を送信する手段を、少なくとも有する、基地局。」

[相違点]
一致点である「DRX制御信号」に関して、本件補正発明では「DRX動作の開始を指示する」ものであるのに対して、引用発明ではDRX動作を指示しているが、開始を指示することまでは特定されていない点。


エ.判断
上記相違点について検討する。
引用発明においては、DRX動作の指示をUTRAN DRXサイクル長係数を含む「PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATION」によって行っている。
ここで、引用例においても、上記イ.(ア)の記載によれば、DRX周期の変更やCELL FACHからCELL PCHへの変更に明示的なシグナリングが必要であったことが記載されていることから、引用発明においてDRX周期を変更する際に合わせてCELL FACHからCELL PCHへの変更をシグナリングして、すぐにDRX動作を開始させることは、当業者が容易に想到しうる事項にすぎない。
また、移動局においてPHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATIONの受信により移動局の機能の起動をトリガすることや、UEがDRXパラメータの受信によりDRX動作を開始することは、例えば、国際公開第2006/095797号([0051]の「前記移動局B6は・・・基地局制御装置B7から前記PCRを受信したことをトリガ信号として、・・・異周波監視機能を起動させて」との記載を参照。)、特開2004-159334号公報(【0063】の「UEは、ステップ601で・・・UTRANからDRXパラメータ・・・を受信する。ステップ602で前記UEは、前記受信されたDRXパラメータに相応するようにDRX動作を開始する。」との記載を参照。)にも記載されているように、従来から慣用されている技術事項にすぎない。そうしてみると、引用発明においても、基地局においてPHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATIONをDRX動作の開始を指示する意図を持って送信することに格別の困難性を伴うものとはいえず、当業者が容易に想到し得る事項にすぎない。

したがって、本件補正発明は、引用発明及び慣用技術に基づき、当業者が容易に想到できたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


3.本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について

1.本願発明
平成29年4月10日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、本件出願時の特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項3に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項3に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1.(2)に記載のとおりのものと認める。


2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。

理由1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項1-16
・引用文献等1
<引用文献等一覧>
1.NEC,Fast setup for PS services (CELL PCH & URA PCH),3GPP TSG-RAN2 Meeting #56 Tdoc R2-063413,3GPP,2006年11月 6日


3.引用発明
引用発明は、前記第2[理由]2.(2)イ.の項で認定したとおりである。


4.対比・判断
本願発明は本件補正発明から本件補正に係る限定を省いたものである。そして、本件補正により限定された事項は引用発明との相違点とした構成である。
そうすると、本件補正発明から相違点とした構成を除いた本願発明は引用発明と実質的に同一の発明であり、また、当業者が容易に発明をすることができたものといえる。


第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明と同一の発明であり、また、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条1項3号、同条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-04-25 
結審通知日 2018-05-08 
審決日 2018-05-21 
出願番号 特願2016-629(P2016-629)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04W)
P 1 8・ 113- Z (H04W)
P 1 8・ 575- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 望月 章俊  
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 山本 章裕
松永 稔
発明の名称 移動局、基地局、無線通信システムと通信制御方法並びにプログラム  
代理人 ▲高▼橋 幹夫  
代理人 青木 充  
代理人 内田 潔人  
代理人 加藤 朝道  
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