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審決分類 審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する B23K
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する B23K
管理番号 1342254
審判番号 訂正2018-390074  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2018-04-24 
確定日 2018-07-13 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3935188号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3935188号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判請求に係る特許第3935188号(以下「本件特許」という)は、平成13年9月13日(優先権主張 平成12年9月13日)に出願した特願2001-278707号の一部を平成18年3月14日に新たな特許出願(特願2006-69918号)としたものであって、平成19年3月30日に特許権の設定登録がなされ、平成30年4月24日に本件訂正審判の請求がなされたものである。

第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。

第3 本件訂正の内容
本件訂正の内容は、次のとおりである(下線部は訂正箇所を示す)。
1.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「を備えることを特徴とするレーザ加工装置。」とあるのを、
「を備え、
前記加工対象物はシリコンウェハであることを特徴とするレーザ加工装置。」に訂正する。
2.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、
「前記制御部は、前記載置台及び前記集光用レンズの少なくとも1つの移動を制御することを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。」とあるのを、
「前記制御部は、前記パルスレーザ光の繰り返し周波数とパルスレーザ光の集光点の移動速度と少なくとも一方を調節することで、前記改質スポット間の距離を制御する機能を有し、前記載置台及び前記集光用レンズの少なくとも1つの移動を制御することを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。」に訂正する。

第4 当審の判断
1.訂正事項1
(1)訂正の目的について
訂正事項1は、請求項1のレーザ装置が加工する「加工対象物」について、訂正前には「ウェハ状の」としか特定されていなかったものを、「前記加工対象物はシリコンウェハである」という記載を付加することで、「シリコンウェハ」に限定したものである。
そうすると、訂正事項1は、請求項1に係る発明のレーザ加工装置が加工する加工対象物を、シリコンウェハに限定することで、加工対象物だけでなく、当該レーザ加工装置の仕様もシリコンウェハ加工用に限定することも意味しているから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項の追加の有無について
上記(1)のとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。この場合、当該訂正は願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものでなければならない。
そして、訂正事項1の内容は、願書に最初に添付した明細書の段落【0025】の「加工対象物(例えばシリコンのような半導体材料)」という記載、同段落【0027】の「(A)加工対象物:シリコンウェハ(厚さ350μm、外径4インチ)」という記載及び同段落【0064】の「加工対象物1はシリコンウェハである。」という記載を根拠としており、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
よって、訂正事項1は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項1による訂正後の請求項1に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができた本件特許の請求項1に係る発明を減縮するものである上、訂正事項1による訂正後の請求項1に係る発明について、特許査定された事情を変更すべき新たな事由を形成するものは、現時点では見当たらない。
よって、訂正事項1による訂正後の請求項1に係る発明が、特許出願の際独立して特許受けることができないとする理由を発見しないから、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

2.訂正事項2
(1)訂正の目的について
訂正事項2は、請求項2に係る発明のレーザ加工装置の制御部が有する機能について、「前記パルスレーザ光の繰り返し周波数とパルスレーザ光の集光点の移動速度と少なくとも一方を調節することで、前記改質スポット間の距離を制御する機能」を付加することで、当該制御部を限定したものである。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項の追加の有無について
上記(1)のとおり、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。この場合、当該訂正は願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものでなければならない。
そして、訂正事項2の内容は、願書に最初に添付した明細書の段落【0033】の「本実施形態は、パルスレーザ光の繰り返し周波数の大きさやパルスレーザ光の集光点の相対的移動速度の大きさを調節することにより、1パルスのパルスレーザ光で形成される改質スポットと次の1パルスのパルスレーザ光で形成される改質スポットとの距離を制御している。つまり隣り合う改質スポット間の距離を制御している。以下この距離をピッチpとして説明をする。」という記載及び同段落【0036】の「パルスレーザ光の繰り返し周波数の大きさ及びパルスレーザ光の集光点の相対的移動速度の大きさのうち少なくともいずれかを調節すれば、ピッチpを制御することができる。すなわち、繰り返し周波数をf(Hz)を大きくすることやステージの移動速度をv(mm/sec)を小さくすることにより、ピッチpを小さく制御できる。逆に、繰り返し周波数をf(Hz)を小さくすることやステージの移動速度をv(mm/sec)を大きくすることにより、ピッチpを大きく制御できる。」という記載を根拠としており、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
よって、訂正事項2は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項2は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項2による訂正後の請求項2に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができた本件特許の請求項2に係る発明を減縮するものである上、訂正事項2による訂正後の請求項2に係る発明について、特許査定された事情を変更すべき新たな事由を形成するものは、現時点では見当たらない。
よって、訂正事項2による訂正後の請求項2に係る発明が、特許出願の際独立して特許受けることができないとする理由を発見しないから、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ状の加工対象物の内部に、切断の起点となる改質領域を形成するレーザ加工装置であって、
前記加工対象物が載置される載置台と、
パルス幅が1μs以下のパルスレーザ光を出射するレーザ光源と、
前記載置台に載置された前記加工対象物の内部に、前記レーザ光源から出射されたパルスレーザ光を集光し、1パルスのパルスレーザ光の照射により、そのパルスレーザ光の集光点の位置で改質スポットを形成させる集光用レンズと、
隣り合う前記改質スポット間の距離が略一定となるように前記加工対象物の切断予定ラインに沿って形成された複数の前記改質スポットによって前記改質領域を形成するために、パルスレーザ光の集光点を前記加工対象物の内部に位置させた状態で、パルスレーザ光の繰り返し周波数及びパルスレーザ光の集光点の移動速度を略一定にして、前記切断予定ラインに沿ってパルスレーザ光の集光点を直線的に移動させる機能を有する制御部と、を備え、
前記加工対象物はシリコンウェハであることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記パルスレーザ光の繰り返し周波数と前記パルスレーザ光の集光点の移動速度との少なくとも一方を調節することで、前記改質スポット間の距離を制御する機能を有し、前記載置台及び前記集光用レンズの少なくとも1つの移動を制御することを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2018-06-19 
結審通知日 2018-06-22 
審決日 2018-07-03 
出願番号 特願2006-69918(P2006-69918)
審決分類 P 1 41・ 851- Y (B23K)
P 1 41・ 841- Y (B23K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 塩澤 正和加藤 昌人  
特許庁審判長 西村 泰英
特許庁審判官 中川 隆司
栗田 雅弘
登録日 2007-03-30 
登録番号 特許第3935188号(P3935188)
発明の名称 レーザ加工装置  
代理人 柴田 昌聰  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 柴田 昌聰  

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