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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A01K
管理番号 1342310
審判番号 不服2017-12909  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-31 
確定日 2018-08-03 
事件の表示 特願2013-162755「動物用排泄物処理材の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 2日出願公開、特開2014-183834、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年3月22日の出願である特願2013-60924号を原出願とする分割出願(分割出願日 平成25年8月5日)である。原審では、平成28年10月18日付けで特許法第50条の2の通知を伴う拒絶理由通知がされ、平成28年12月19日付けで手続補正がされ、平成29年5月31日付けで平成28年12月19日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶査定(原査定)がされた。
本件はこれに対し、平成29年8月31日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に、手続補正がされたものである。


第2 原審における補正の却下の決定及び原査定の概要
1 原審における補正の却下の決定の概要
平成29年5月31日付けの補正の却下の決定の概要は以下のとおりである。
平成28年12月19日付けの補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的としたものでなく、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。
また仮に、上記補正が特許請求の範囲の限定的減縮を目的としたものであったとしても、当該補正後の本願請求項1に係る発明は、下記引用文献1-9に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであり、独立特許要件を満たさない。
そのため、平成28年12月19日付けの補正は却下すべきものである。

引用文献:
1.特開2010-247013号公報
2.特開2007-135424号公報
3.特開2001-204288号公報
4.特開2006-782号公報
5.特開2011-218296号公報
6.特開2011-230050号公報
7.特開2007-43988号公報
8.特開2007-43973号公報
9.特開2011-172515号公報

2 原査定の概要
原査定(平成29年5月31日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1、7及び9に係る発明は、下記引用文献10に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また本願請求項1、7及び9に係る発明は、下記引用文献10に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願請求項2ないし7及び10ないし14に係る発明は、下記引用文献10-12に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願請求項8に係る発明は、下記引用文献10-15に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献:
10.特開2012-161296号公報
11.特開2010-1370号公報
12.特開平7-205147号公報
13.特開2011-217663号公報
14.特開2006-296218号公報
15.特開2003-274780号公報


第3 本願発明
本願請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」、「本願発明2」、「本願発明3」という。)は、平成29年8月31日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される発明であって、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
動物用排泄物処理材の製造方法であって、
原材料を粉砕することで粉砕材料を得る工程と、
前記粉砕材料を加水した後、混練することで練状コア層材料を得る工程と、
前記練状コア層材料から粒状物を得る工程と、
前記粒状物に対し液状着色料を塗布することで着色コア層材料を得る工程と、
前記着色コア層材料に被覆材料を被覆することで被覆粒状材料を得る工程と、を有し、
前記粉砕材料を得る工程においては、粉砕機により前記原材料が粉砕されることで前記粉砕材料が得られ、
前記粉砕機は、前記原材料の投入口と、前記原材料の粉砕室と、当該粉砕室内に設けられた粉砕機構と、当該粉砕機構により粉砕された前記原材料が通過されるとともに複数の開口を有するメッシュスクリーンと、当該メッシュスクリーンの前記開口に連続される排出口とを有し、
前記粒状物を得る工程においては、押出し式圧縮造粒機により前記練状コア層材料に所定の圧力を加えて排出口から押し出し、前記押出し式圧縮造粒機の前記排出口から押し出された前記練状コア層材料を回転ブレードにより切断し、
前記押出し式圧縮造粒機の前記排出口から押し出された前記練状コア層材料には、当該練状コア層材料が前記排出口から押し出される際に前記圧力から解放されることにより発生する亀裂による亀裂部が形成され、
前記着色コア層材料を得る工程は、
前記粒状物を、回転ドラム内部に設けられた着色料塗布室内に搬入する工程と、
前記着色料塗布室内において、前記回転ドラムの回転により前記粒状物に加えられる遠心力よりも重力の方が大きくなることによって、前記粒状物が前記着色料塗布室を形成する内壁面から離間し、回転しつつ落下することで、前記粒状物を浮遊させる工程と、
前記着色料塗布室内において、ノズルから、前記浮遊する粒状物に、当該粒状物の表面積より小さい体積を有する液状着色料を噴出する工程と、を有し、
前記着色コア層材料には、前記粒状物に前記液状着色料が含浸することにより形成される第1の領域と、前記粒状物の表面上に前記液状着色料が硬化することにより形成される第2の領域と、前記液状着色料が塗布されていない領域である第3の領域のうちの少なくとも二つの領域が形成され、
前記被覆粒状材料を得る工程においては、前記着色コア層材料における前記亀裂部を含む表面に前記被覆材料が被覆されることを特徴とする動物用排泄物処理材の製造方法。

【請求項2】
請求項1に記載された動物用排泄物処理材の製造方法であって、
前記粉砕機構は、回転体と、当該回転体に設けられた複数の羽体とにより形成されることを特徴とする動物用排泄物処理材の製造方法。

【請求項3】
請求項1または2に記載された動物用排泄物処理材の製造方法であって、
前記原材料は、使い捨ておむつの製造工程において発生したパルプと高吸水性ポリマーであることを特徴とする動物用排泄物処理材の製造方法。」


第4 引用文献、引用発明等
1 補正の却下の決定に引用された引用文献、引用発明
平成29年5月31日付けの補正の却下の決定に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、本審決で付した。以下同様。)。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、人や動物の排泄物等の水分を吸収する粒状吸水体が集合してなる吸水処理材と、この吸水処理材の製造方法に関する。」

「【0020】
[排泄物処理材]
排泄物処理材は、多数の粒状の吸水体(粒状吸水体)が集合してなる。本実施形態では、各粒状吸水体が、芯部と、この芯部の表面を被覆する被覆層部とから形成される複層構造を有する。
【0021】
(1)芯部
芯部は、吸水性(保水性)を有する基材を粒状に成型することにより形成される。基材の材質等については、特に制限はなく、ベントナイト、ゼオライト等の無機質材料や、製紙用パルプ、ケナフ、コーヒー抽出残渣、茶殻、パルプスラッジ等の有機質廃材の単体又は混合物を素材とし、これに吸水性樹脂を配合したものを基材とすることができる。」

「【0025】
また、基材には、着色物質を添加して、基材の色を隠したり、環境に適合する色調に変えたり、芯部の色を吸水時に露見させたりすることもできる。このような着色物質の例としては、顔料及び染料(白色のものとして、紙粉、炭酸カルシウム、酸化チタン及び合成パールが知られている。黒色のものとしては、カーボン、エリオクロムブラックT、アミノブラック10B及びクロラゾルブラックBHが知られている。青色の顔料及び染料としては、シアニンブルー、アゾブルー及びパテントブルーが知られている。緑色の顔料及び染料としては、シアニングリーン及びエメラルドグリーンが知られている。黄色の顔料及び染料としては、アゾイエロー、アシッドイエロー及びハンサイエロー等が知られている。)、ベントナイト、ゼオライト、炭酸カルシウム、チタン白又は石膏等の鉱物質の白色の着色物質、並びに小麦粉、紙粉又はCMC等の白色の接着作用を有する物質、製紙用プラスチック材料粉又は製紙スラッジ等の白色の有機質材料の廃棄物粉砕物乾燥物を使用することができる。」

「【0030】
また、被覆層部は、芯部が有機質材料を基材として形成されている場合において、当該基材を構成する有機質材料の固有の色調を隠すこともできる。その際、着色作用を効果的に得るために、予め着色性物質により着色されている比較的不活性である微細な無機酸化物等の無機質材料の粉体を被覆層部の材料に配合することもできる。」

「【0035】
[製造方法]
続いて、上記排泄物処理材の製造方法について、図1を参照して説明する。
【0036】
本発明に係る排泄物処理材の製造方法は、造粒工程(S1?S7)と、予備篩分工程(S8)と、被覆工程(S9,S10)と、篩分工程(S11,S13,S15)と、乾燥工程(S12)と、混合工程(S16)と、袋詰工程(S17)とから構成されている(S1?S10は粒状吸水体製造工程に該当し、S15は分粒工程に該当する。)。以下、各工程について説明する。
【0037】
(1)造粒工程
本工程は、芯部を形成する工程であり、粉砕工程、粉砕物混合工程、加水工程及び押出造粒工程から構成されている(S1?S7)。
【0038】
1)粉砕工程
本工程は、芯部を形成する主材料を粉砕(破砕)するための工程である。
【0039】
本工程では、有機質廃材等の主材料を粗破砕機で所定の大きさ(例えば40mm)以下に粗破砕(第一次粉砕)し、その後、粉砕機でさらに所定の大きさ(例えば2?4mm)以下に粉砕(第二次粉砕)する。
【0040】
図1では、主材料として塩化ビニル壁紙廃材及び紙おむつ廃材を用いた例を示す。塩化ビニル壁紙廃材は、粗破砕機で第一次粉砕した後に粉砕機で第二次粉砕し(S1,S2)、紙おむつ廃材は、粗破砕機で第一次粉砕した後に粉砕機で第二次粉砕するとともに(S3,S4)、分級機で吸水性ポリマー、紙粉(フラッフパルプ)を分離し、吸水性ポリマー及び紙粉を除いた外装体を主材料として使用する。
【0041】
2)粉砕物混合工程
本工程は、粉砕された主材料を所定割合で混ぜ合わせるとともに、必要に応じて他の種類の有機質廃材や無機質材料、吸水性樹脂、着色物質、脱臭材料、消臭材料、防黴材料、検査用指示薬等の各種物質を添加混合するための工程である。
【0042】
例えば、本工程では、粉砕された塩化ビニル壁紙廃材及び紙おむつ廃材を混合型ホッパーに投入するとともに、必要に応じて吸水性樹脂や脱臭材料等を所定量加え、これらを混ぜ合わせることにより芯部の基材とする(S5)。
【0043】
3)加水工程
本工程は、押出造粒を容易にするために基材に加水し、その水分含有率を20重量%程度に高める工程である(S6)。
【0044】
前工程で着色物質を添加する代わりに、本工程で着色水を加水することにより、基材を着色してもよい。
【0045】
4)押出造粒工程
本工程は、基材を押出造粒する(S7)ことにより、芯部を形成する工程である。
【0046】
本工程では、所定孔径(例えば3?4mm)のダイスを備える押出式造粒装置(押出成型機)を用い、基材に圧力をかけながらそれをダイスから押し出し、押し出された基材を適宜の長さずつ切断することにより、細長状(略円柱状)の芯部を造粒する。」

「【0049】
(3)被覆工程
本工程は、芯部の周囲に被覆層部を形成する工程であり、調合工程及び被覆層部形成工程から構成されている(S9,S10)。
【0050】
1)調合工程
本工程は、被覆層部の構成材料(被覆材料)を調合するための工程である。
【0051】
被覆材料は、例えば、0.3mm程度の粒径に微粉砕された紙粉と吸水性ポリマー等を混ぜ合わせることにより調合されるが(S9)、その吸水性ポリマーとしては、紙おむつの粉砕時に分級したものを用いることが好適である。
【0052】
2)被覆層部形成工程
本工程は、芯部の表面全体に被覆材料を付着させることにより、芯部の周囲に被覆層部を形成する工程である。
【0053】
すなわち、本工程では、調合工程で所定の配合比に調製された紙粉及び吸水性ポリマー等を成分とする被覆材料を、コーティング装置を用いて芯部の周囲に付着させることにより、被覆層部を形成して粒状吸水体を得る(S10)。」

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「人や動物の排泄物等の水分を吸収する吸収処理材の製造方法であって、
芯部を形成する主材料を粉砕する粉砕工程と、
粉砕された主材料を所定割合で混ぜ合わせるとともに、必要に応じて着色物質を添加混合し、芯部の基材とする粉砕物混合工程と、
押出造粒を容易にするために基材に加水するか、または前工程で着色物質を添加する代わりに本工程で着色水を加水する、加水工程と、
所定孔径のダイスを備える押出式造粒装置を用い、基材に圧力をかけながらそれをダイスから押し出し、押し出された基材を適宜の長さずつ切断することで、略円柱状の芯部を造粒する、押出造粒工程と、
芯部の表面全体に被覆材料を付着させることにより、芯部の周囲に被覆層部を形成する被覆層部形成工程と、
を備える、人や動物の排泄物等の水分を吸収する吸収処理材の製造方法。」


2 原査定の理由に引用された引用文献、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献10には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0033】
本発明は、ペット用トイレ砂及びその製造方法に関するものである。
【0034】
以上のペット用トイレ砂は、ポリオレフィン系フィルム及びポリ酢酸ビニル系フィルムの一方又は双方の解砕物と吸水材粉末とを成形口から押し出し熱融着して、表面の一部に露出する吸水材による吸水面及び内部の吸水材と外部の水分との接触用として表面に開口するひび割れを備えたペレットに構成したものである。」

「【0037】
前記ポリオレフィン系フィルム及びポリ酢酸ビニル系フィルムの一方又は双方の解砕物と吸水材粉末の材料として、使い捨ておむつのような衛生用品の廃棄物(製造の過程で規格に適合しない等の理由で廃棄されたもの)を使用することが可能である。その場合には、それが同様な材質で作成されているので、解砕機でそれを前記のようなサイズに解砕すれば、ポリオレフィン系フィルム及びポリ酢酸ビニル系フィルムの一方又は双方の解砕物とパルプ繊維の粉末又は高吸水性ポリマー粉末の一方又は双方との混合物を一層安価にかつ一度に作成できる利点がある。なお、それらの混合割合が不適当な場合は不足する材質の解砕物を添加して調整する。」

「【0042】
このように、ペレットの外径と、材料の配合比率を関係づけて設定することにより、押し出し成形によって製造されるペレットからなるペット用トイレ砂の撥水性と吸水性のバランス及び弾力性を適正なものとすることができる。
【0043】
すなわち、ペレットの外径が小さくなると、成形口から押し出される材料の混合物の受ける圧力が大きくなり、これによって温度も上昇し、材料は溶融しやすくなる。その結果、撥水性のポリオレフィン系フィルム等の解砕物の多くの部分が溶融し、吸水材粉末を包み込んで、全体として撥水性が高まり、吸水性が失われる傾向となる。またこの場合は弾力性を低下させる傾向が強くなる。それ故、その場合には、ペレット外径が小さくなるほど吸水材の割合を大きくして吸水性を確保できるようにし、またひび割れを生じやすくして、弾力性を確保しやすくする。
【0044】
また、ペレットの外径が大きくなると、以上とは逆で、成形口から押し出される材料の混合物の受ける圧力が小さくなり、これによって温度上昇が小さくなり、材料は溶融し難くなる。その結果、撥水性のポリオレフィン系フィルム等の解砕物の溶融部分が少なくなり、ひび割れも生じやすくなる。それ故、ペレット内部への水分の滲入が容易になり、全体として撥水性が低下し、吸水性が高まる傾向となる。また弾力性を向上させる傾向が強くなる。それ故、この場合には、ペレット外径が大きくなるほど吸水材の割合を小さくし撥水性を確保できるようにし、また過剰なひび割れの発生をなくして、適度の弾力性を保持しながら、ペレット形状を保持できるようにする。
【0045】
以上のペレット外径に関連する材料の混合比率の調整は、ペレット外径に関連する前記ポリオレフィン系フィルム及びポリ酢酸ビニル系フィルムの一方又は双方の解砕物の解砕サイズの調整と相まって、より適切な撥水性、吸水性及び弾力性を備えたペット用トイレ砂を得ることができる。」

「【0051】
次に前記本発明のペット用トイレ砂の製造方法は、ポリオレフィン系フィルム及びポリ酢酸ビニル系フィルムの一方又は双方を解砕し、この解砕物と吸水材粉末とを混合し、得られた混合物を圧力を掛けて成形口から押し出し、このとき発生する熱により該成形口から押し出される混合物相互を適切に融着させ、その表面の一部に吸水材の露出した吸水面を備えかつ表面に内部の吸水材と外部の水分との接触用のひび割れを開口させたペレットに成形するものである。
【0052】
前記ポリオレフィン系フィルムの具体例は、先に述べたとおり、ポリエチレンフィルム等であり、ポリオレフィン系フィルム又はポリ酢酸ビニル系フィルムと吸水材粉末とは、特別にこの方法のために用意したそれを使用することも当然不都合ではないが、前記のように、これらを含む各種の廃材を利用することも可能である。そうすれば、資源の有効利用が図れると共に、より安価にペット用トイレ砂が製造できる利点もある。このような廃材としては、前記したように、規格に合致しない等の何らかの理由で廃棄されるポリオレフィンフィルム又はポリ酢酸ビニル系フィルム及びパルプ繊維又は高吸水性ポリマー粉末等の吸水性粉末をその構成要素としている未使用のおむつ等の衛生用品などが採用可能である。
【0053】
前記のように、これらの材料は解砕して使用するが、これらの解砕サイズは詳細は先に述べたように、製造するペレットの外径に対応して、その外径が大きくなるほど、小さい解砕物とするか、少なくとも小さい解砕物を含めるのが適当であり、外径が小さくなるほど、不都合が生じない程度に大きく解砕するのが適当である。なお、これらの解砕は、適当な公知の解砕機を用いて行うことができる。
【0054】
前記ポリオレフィン系フィルム及びポリ酢酸ビニル系フィルムの一方又は双方の解砕物と前記吸水材粉末との配合比率は、ペット用トイレ砂を構成するペレットの外径と関連づけて適切に設定する。これは、ペット用トイレ砂に関して先に述べたとおりであり、理由もそのとおりである。
【0055】
材料として、前記のような廃材を用いた場合は、作成するペレットの外径との関係で、材料における配合比率が、それを解砕しただけの材料では対応しない場合があるが、その場合には、云うまでもなく、必要なだけ、ポリオレフィン系フィルム等の解砕物又は吸水材粉末を適量追加混合してその配合比率を調整すればよい。
【0056】
以上の解砕材料及び吸水材粉末の混合物は、前記のように、これに圧力を掛けて、例えば、スクリーン部材に開口した多数の成形口から押し出し、前記のように、このときに発生する熱により押し出される混合物相互を融着させてペレットに成形する。長さは適切に切断する。この押し出し時に、圧力が不足すると発生する熱が不足し融着が十分に進行せず、ペレットが形成されない。成形口から吐出される混合物は結合せずバラバラに分解してしまうことになる。また圧力が高過ぎると解砕物全体が溶けて成形口から溶融状態で吐出され、ペレットが成形できない。成形口から押し出される混合物のポリオレフィン系フィルムの粉末等の一部のみが溶けて相互に結合する程度に圧力を設定すべきである。
【0057】
もっとも、以上において、先に述べたように、製造すべきペレット外径に対応して解砕材料のサイズを適切に設定し、かつ材料の配合比率も、ペレット外径に対応して、適切に設定しておくことにより、作成するペレット外径との関係で圧力が若干高低いずれかに変動しても、ある程度の範囲では、それに対応し、適切な結果、すなわち、表面に適当なひび割れを備え、適度な弾力性を有し、かつ撥水性と適度な吸水性とを備えたペレットからなるペット用トイレ砂を押し出し成形することができる。
【0058】
以上において、前記成形口の口径は、当然、製造するペレット外径に対応させる。例えば、ペット用トイレ砂を構成するペレットの外径は3mm?8mmの範囲にあり、それ故、該成形口の口径は、対応するそのような径に設定する。多くの場合は、ペット用トイレ砂を構成するペレット外径として5mm?7mmが適切であり、これに対応するように設定することが多い。
【0059】
これらの径の成形口から押し出すべく前記混合物に加える圧力は、前記のように、成形口から押し出される棒状の吐出物の外観を観察して決定すべきものであるが、材料のポリオレフィン系フィルム等の重合度及び材料の配合比率にも関係するが、吐出物(ペレット)表面の適度のひび割れ及び適切な熱溶着状態は、その表面温度が概ね60?75℃の範囲にあるときに得られる。この範囲を大きく逸脱するようでは、全体に溶融したり、溶着結合不可となる。前記のような表面性状が得られる余地はない。
【0060】
それ故、前記圧力は、通常は、成形口から吐出される棒状の吐出物(ペレット)の表面の温度が60?75℃の範囲になるように調整すべきである。その上で、成形口から押し出されるペレットの表面状態を観察し、その表面に適度のひび割れが生成するように、前記圧力を更に調整する。」

「【0064】
ポリプロピレンフィルム及びパルプ繊維を5?8mmに混合状態で同時に解砕し、更にこの解砕混合物に消臭剤を添加して原料とした。この混合物の成分は、ポリプロピレンフィルム解砕物:パルプ繊維解砕物:消臭剤=50重量部:50重量部:2重量部である。
【0065】
この混合物を縦押し型造粒機に供給し、圧力を掛けて該原料をスクリーンの成形口から吐出させた。該成形口の口径は6mmである。押し出される棒状の吐出物の状態を観察し、かつその表面温度を測定した。該棒状の吐出物の表面には、これが棒状の形体を保持できないほどにはならない程度の適度のひび割れを有し、更にその表面温度は60?70℃の範囲となっていた。良い状態であるので、この圧力状態を維持できるように加圧力をそのままに保持した。成形口から押し出される棒状の吐出物は、適当な長さに切断し、ペレットとした。
【0066】
その後は、押し出される棒状の吐出物の表面温度が上記60?70℃を維持できるように該縦押し型造粒機を水冷方式で冷却した。
【0067】
こうして前記表面温度を維持しつつ前記成形口より押し出された棒状の吐出物を、前記のように、切断し、得られたペレットをペット用トイレ砂とした。」

したがって、上記引用文献10には次の発明(以下、「引用発明10」という。)が記載されていると認められる。

「ペット用トイレ砂の製造方法であって、
材料として、使い捨ておむつのような衛生用品の廃棄物を、解砕機で解砕し、
不足する材質の解砕物又は吸水材粉末を適量追加混合して配合比率を調整し、
配合比率を調整した混合物を縦押し型造粒機に供給し、圧力を掛けて、スクリーン部材に開口した多数の成形口から押し出し、
成形口から押し出されるペレットの表面状態を観察し、その表面に適度のひび割れが生成するように、配合比率のほか圧力及び吐出物の表面温度を更に調整し、
成形口から押し出される棒状の吐出物は、適当な長さに切断し、ペレットとする、
ペット用トイレ砂の製造方法。」


第5 対比・判断
1 本願発明1について-その1
(1)引用発明1との対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。

引用発明1における「人や動物の排泄物等の水分を吸収する吸収処理材」は、本願発明1における「動物用排泄物処理材」に相当する。
引用発明1における「芯部を形成する主材料」は、本願発明1における「原材料」に相当し、引用発明1における「粉砕工程」は、本願発明1における「粉砕材料を得る工程」に相当する。
引用発明1において、粉砕された主材料を混ぜ合わせた芯部の基材に対する「加水工程」は、本願発明1における「粉砕材料を加水」に相当する。引用発明1において、加水工程の後に混練するか否かは、引用文献1に直接明記がない。けれども、粉砕され混ぜ合わせた主材料に対して、加水の後の混合を行わなければ、水分の分布が不均質となって、後続する押出造粒に不都合なことは明らかである。そのため、引用発明1においても、加水工程の後にも混合の工程を有することは明らかであり、当該混合の工程は本願発明1における「混練することで練状コア層材料を得る工程」に相当する。
引用発明1において、加水後の主材料から造粒を行う「押出造粒工程」は、本願発明1における「練状コア層材料から粒状物を得る工程」に相当する。
引用発明1において、粉砕された主材料に着色物質を添加混合するか、あるいは着色水を加水するからには、押出造粒後の「芯部」は着色されている。引用発明1における当該着色された「芯部」は、本願発明1における「着色コア層材料」に相当し、引用発明1において当該着色された「芯部」を得る工程は、着色の具体的手法は別として、本願発明1における「着色コア層材料を得る工程」に相当する。
引用発明1において、着色された「芯部」の表面全体に被覆材料を付着させ、芯部の周囲に被覆層部を形成する「被覆層部形成工程」は、本願発明1における「着色コア層材料に被覆材料を被覆することで被覆粒状材料を得る工程」に相当する。
引用発明1において、主材料の粉砕に機械を用いることは明らかであり、この点は本願発明1における「粉砕材料を得る工程においては、粉砕機により原材料が粉砕されることで粉砕材料が得られ」なる構成に相当する。
引用発明1において、「押出造粒工程」で、「所定孔径のダイスを備える押出式造粒装置を用い、基材に圧力をかけながらそれをダイスから押し出し、押し出された基材を適宜の長さずつ切断する」ことは、本願発明1における「粒状物を得る工程においては、押出し式圧縮造粒機により練状コア層材料に所定の圧力を加えて排出口から押し出し、押出し式圧縮造粒機の排出口から押し出された練状コア層材料を」切断する構成に相当する。
引用発明1における、「被覆層部形成工程」で、着色された「芯部」の表面に被覆材料が付着される構成と、本願発明1における、「被覆粒状材料を得る工程においては、前記着色コア層材料における前記亀裂部を含む表面に前記被覆材料が被覆される」構成とは、「被覆粒状材料を得る工程においては、着色コア層材料における表面に被覆材料が被覆される」点で共通する。

以上より、本願発明1と引用発明1とは、次の点で一致する。
「動物用排泄物処理材の製造方法であって、
原材料を粉砕することで粉砕材料を得る工程と、
粉砕材料を加水した後、混練することで練状コア層材料を得る工程と、
練状コア層材料から粒状物を得る工程と、
着色コア層材料を得る工程と、
着色コア層材料に被覆材料を被覆することで被覆粒状材料を得る工程と、を有し、
粉砕材料を得る工程においては、粉砕機により原材料が粉砕されることで粉砕材料が得られ、
粒状物を得る工程においては、押出し式圧縮造粒機により練状コア層材料に所定の圧力を加えて排出口から押し出し、押出し式圧縮造粒機の排出口から押し出された練状コア層材料を切断し、
被覆粒状材料を得る工程においては、着色コア層材料における表面に被覆材料が被覆される、
動物用排泄物処理材の製造方法。」

一方、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1では、コア層材料への着色が、押出し式圧縮造粒機の排出口から排出され切断された「粒状物」に対して「液状着色料を塗布する」ことで行われ、
「着色コア層材料を得る工程は、
粒状物を、回転ドラム内部に設けられた着色料塗布室内に搬入する工程と、
着色料塗布室内において、回転ドラムの回転により粒状物に加えられる遠心力よりも重力の方が大きくなることによって、粒状物が着色料塗布室を形成する内壁面から離間し、回転しつつ落下することで、粒状物を浮遊させる工程と、
着色料塗布室内において、ノズルから、浮遊する粒状物に、当該粒状物の表面積より小さい体積を有する液状着色料を噴出する工程」
とを有しており、これらの工程により着色コア層材料には、
「粒状物に液状着色料が含浸することにより形成される第1の領域と、粒状物の表面上に液状着色料が硬化することにより形成される第2の領域と、液状着色料が塗布されていない領域である第3の領域のうちの少なくとも二つの領域」が形成されるのに対し、引用発明1では、押出造粒前に着色物質が添加混合されることで芯部が着色されており、本願発明1とは着色の手法、及び着色料の付着の状態が異なる点。

(相違点2)
本願発明1では、原材料の粉砕に用いる「粉砕機」が、「原材料の投入口と、原材料の粉砕室と、粉砕室内に設けられた粉砕機構と、粉砕機構により粉砕された原材料が通過されるとともに複数の開口を有するメッシュスクリーンと、メッシュスクリーンの開口に連続される排出口とを」有するのに対して、引用発明1では、粉砕の後に最終的に押出式造粒装置の所定孔径のダイスから押し出しが行われるものの、粉砕工程で用いる粉砕機が本願発明1に特定される一連の構成を備えていない点。

(相違点3)
本願発明1では、「押出し式圧縮造粒機の排出口から押し出された練状コア層材料」の切断が、「回転ブレード」により行われるのに対して、引用発明1では、切断にどのような部材を用いるかは特定されていない点。

(相違点4)
本願発明1では、粒状物を得る工程において、「押出し式圧縮造粒機の排出口から押し出された練状コア層材料には、練状コア層材料が排出口から押し出される際に圧力から解放されることにより発生する亀裂による亀裂部が形成され」、該亀裂部が形成された粒状物が、後続する着色処理と被覆処理との対象となるとともに、被覆処理では、着色コア層材料における「亀裂部を含む」表面に被覆材料が被覆されるのに対して、引用発明1では、押出造粒時に、押し出し圧力からの開放により亀裂部が形成されるよう条件設定しているか特定されていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
引用発明1では、押出造粒前の基材に着色物質または着色水が加えられており、造粒の後に相違点1に係る特定の着色工程をとり、同相違点1に係る少なくとも二つの領域を形成することは示唆されていない。引用文献1に戻れば、段落【0030】に、「被覆層部」自体に「着色性物質により着色されている比較的不活性である微細な無機酸化物等の無機質材料の粉体」を配合する記載はあるものの、相違点1に係る特定の着色工程により特定の着色領域を形成することを示唆しているということはできない。

この点に関し、原審の補正却下の決定で引用された引用文献2ないし9、及び、原査定の理由で引用された引用文献10ないし12にも、関連する開示や示唆はない。
原査定の理由で引用された引用文献13には、排泄物処理材の核部分1と表層2との界面に、不均一な着色層5を形成することが開示されている(特には段落【0012】、【0016】、【0026】及び図2-3参照)。しかしこの不均一な着色層5は、表層2の配合材中に染料を混入しておくことにより、表層2を形成する過程で自動的に形成させるものであり(段落【0015】-【0017】及び段落【0025】-【0026】参照)、表層2の配合材を核部分1にまぶしつける際に回転ドラムを使っているとはいえ(段落【0026】及び図5参照)、相違点1に係る特定の着色工程を示唆するものではない。
原査定の理由で引用された引用文献14には、排泄物処理材を構成する粒状体1の表層部に、回転する着色ドラム内での染料または顔料の吹き付けにより、第一着色領域2、第二着色領域3、第一着色領域と第二着色領域の合成による第三着色領域4を形成することが開示されている(段落【0006】、段落【0014】-【0039】、図2-7参照)。しかし、回転ドラム内部で相違点1に係る特定の着色工程をとることを開示してはおらず、引用発明1を出発点として相違点1に係る構成を採用することを示唆しているということはできない。
原査定の理由で引用された引用文献15には、動物用排尿処理材を構成する吸水性粒状体1の着色に関して、粒状体1の造粒前に水溶性染料の粉末4又は非水溶性顔料の粉末10を添加混合すること、あるいは、吸水性粒状体1の表面に水溶性染料の溶解液又は非水溶性顔料の分散液をスプレーすることが、開示されている(段落【0027】-【0028】、【0039】-【0042】参照)。また、吸水性表層2の形成に関して、回転ドラム9を使用することも開示されている(段落【0048】及び図5参照)。しかし、相違点1に係る特定の着色工程をとることを開示してはおらず、引用発明1を出発点として相違点1に係る構成を採用することを示唆しているということはできない。

すなわち、相違点1に係る本願発明1の構成は、引用文献1を出発点として、引用文献2-15を考慮しても、本願出願前に当業者が容易に想到することができたとはいえない。

したがって、本願発明1は、相違点2ないし4について検討するまでもなく、当業者であっても引用発明1、引用文献2-15に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。


2 本願発明1について-その2
(1)引用発明10との対比
本願発明1と引用発明10とを対比する。

引用発明10における「ペット用トイレ砂」は、本願発明1における「動物用排泄物処理材」に相当する。引用発明10において、「材料として、使い捨ておむつのような衛生用品の廃棄物を、解砕機で解砕」することは、本願発明1における「原材料を粉砕することで粉砕材料を得る工程」に相当する。
引用発明10において、不足する材質の解砕物又は吸水材粉末を適量追加混合して配合比率を調整した「混合物」は、後続するペレットの押出し造粒に好適な程度に、不均質がないよう混合されていることが明らかであるから、当該「調整」及び「混合」の過程は本願発明1における「混練」に相当し、引用発明10の「混合物」は本願発明1における「練状コア層材料」に相当する。
引用発明10において、「混合物」から「ペレット」を得ることは、本願発明1における「練状コア層材料から粒状物を得る工程」に相当する。
引用発明10において、材料の解砕に「解砕機」を用いる点は、本願発明1における「粉砕材料を得る工程においては、粉砕機により原材料が粉砕されることで粉砕材料が得られ、」なる構成に相当する。
引用発明10において、ペレットを得るために用いる「縦押し型造粒機」及び「整形口」は、本願発明1における「押出し式圧縮造粒機」及び「押出し式圧縮造粒機の排出口」に相当する。そして引用発明10において、縦押し型造粒機の整形口から押し出されるペレットの表面に、適度のひび割れが生成するように「圧力」を調整しているから、引用発明10は、本願発明1にいう「所定の圧力を加えて排出口から押し出し」に相当する構成を有していると解される。また引用発明10において、そのような圧力調整を介して、縦押し型造粒機の成形口から押し出されるペレットの表面に「適度のひび割れが生成」するようにしているから、引用発明10は、本願発明1における「押出し式圧縮造粒機の排出口から押し出された練状コア層材料には、練状コア層材料が排出口から押し出される際に圧力から解放されることにより発生する亀裂による亀裂部が形成され、」に相当する構成を有していると解される。
引用発明10における、整形口から押し出される棒状の吐出物を適当な長さに「切断」することと、本願発明1における「押出し式圧縮造粒機の排出口から押し出された練状コア層材料を回転ブレードにより切断し」なる構成とは、「押出し式圧縮造粒機の排出口から押し出された練状コア層材料を切断」する点で共通する。

以上より、本願発明1と引用発明10とは、次の点で一致する。
「動物用排泄物処理材の製造方法であって、
原材料を粉砕することで粉砕材料を得る工程と、
混練することで練状コア層材料を得る工程と、
練状コア層材料から粒状物を得る工程と、
粉砕材料を得る工程においては、粉砕機により原材料が粉砕されることで粉砕材料が得られ、
粒状物を得る工程においては、押出し式圧縮造粒機により練状コア層材料に所定の圧力を加えて排出口から押し出し、押出し式圧縮造粒機の排出口から押し出された練状コア層材料を切断し、
押出し式圧縮造粒機の排出口から押し出された練状コア層材料には、練状コア層材料が排出口から押し出される際に圧力から解放されることにより発生する亀裂による亀裂部が形成される、
動物用排泄物処理材の製造方法。」

一方、本願発明1と引用発明10とは、以下の点で相違する。

(相違点5)
本願発明1では、粉砕材料を混練する前に「加水」を行っているのに対して、引用発明10では、解砕物の配合比率を調整する際に、加水を行っているか特定されていない点。

(相違点6)
本願発明1は、「粒状物に対し液状着色料を塗布することで着色コア層材料を得る工程」を備え、
「着色コア層材料を得る工程は、
粒状物を、回転ドラム内部に設けられた着色料塗布室内に搬入する工程と、
着色料塗布室内において、回転ドラムの回転により粒状物に加えられる遠心力よりも重力の方が大きくなることによって、粒状物が着色料塗布室を形成する内壁面から離間し、回転しつつ落下することで、粒状物を浮遊させる工程と、
着色料塗布室内において、ノズルから、浮遊する粒状物に、当該粒状物の表面積より小さい体積を有する液状着色料を噴出する工程と」
を有するとともに、これらの工程により着色コア層材料には、
「粒状物に液状着色料が含浸することにより形成される第1の領域と、粒状物の表面上に液状着色料が硬化することにより形成される第2の領域と、液状着色料が塗布されていない領域である第3の領域のうちの少なくとも二つの領域」が形成されるのに対して、引用発明10には、そのような着色の工程がない点。

(相違点7)
本願発明1は、「着色コア層材料に被覆材料を被覆することで被覆粒状材料を得る工程」を有し、「被覆粒状材料を得る工程においては、着色コア層材料における亀裂部を含む表面に被覆材料が被覆」されるのに対して、引用発明10では、ペレットの表面に適度のひび割れは形成されているものの、表面に被覆材料を被覆する工程はない点。

(相違点8)
本願発明1では、原材料の粉砕に用いる「粉砕機」が、「原材料の投入口と、原材料の粉砕室と、粉砕室内に設けられた粉砕機構と、粉砕機構により粉砕された原材料が通過されるとともに複数の開口を有するメッシュスクリーンと、メッシュスクリーンの開口に連続される排出口とを」有するのに対して、引用発明10では、後段の縦押し型造立機は多数の整形口を有するスクリーン部材を備えているものの、解砕機自体の構成はメッシュスクリーンの有無も含めて特定されていない点。

(相違点9)
本願発明1では、「押出し式圧縮造粒機の排出口から押し出された練状コア層材料」の切断が、「回転ブレード」により行われるのに対して、引用発明10では、切断にどのような部材を用いるかは特定されていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点6について先に検討する。
相違点6に係る本願発明1の特定の着色工程、及び同着色工程による少なくとも二以上の特定領域の形成は、上記1(2)で検討したとおり、原審の補正却下の決定で引用された引用文献1ないし9、及び、原査定の理由で引用された引用文献11ないし12を考慮しても、開示あるいは示唆されていたということができない。
すなわち、相違点6に係る本願発明1の構成は、引用文献10を出発点として、引用文献1-9及び11-15を考慮しても、本願出願前に当業者が容易に想到することができたとはいえない。

したがって、本願発明1は、相違点5及び7ないし9について検討するまでもなく、当業者であっても引用発明10、引用文献1-9及び11-15に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。


3 本願発明2ないし3について
本願発明2ないし3は、本願発明1に従属し、本願発明1の発明特定事項をすべて含むものである。
そのため、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2-15に記載された技術的事項、あるいは引用発明10及び引用文献1-9ならびに11-15に記載された技術的事項に基づいて、本願発明2ないし3が容易に発明できたものとはいえない。


第6 原査定について
平成29年8月31日付手続補正書による補正により、本願発明1ないし3は、同補正後の本願発明1の特定事項を有するものとなっており、前記「第5 2」で検討したとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献10-15に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-07-24 
出願番号 特願2013-162755(P2013-162755)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A01K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 門 良成  
特許庁審判長 小野 忠悦
特許庁審判官 井上 博之
有家 秀郎
発明の名称 動物用排泄物処理材の製造方法  
代理人 池田 敏行  
代理人 岩田 哲幸  
代理人 岩田 哲幸  
代理人 池田 敏行  

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