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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G02C
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 G02C
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02C
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G02C
管理番号 1342337
審判番号 不服2017-7295  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-22 
確定日 2018-07-31 
事件の表示 特願2013- 84597「多入力投票スキームを有する電子眼科レンズ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月18日出願公開,特開2014-170210,請求項の数(5)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 1 手続の経緯
本件拒絶査定不服審判事件に係る出願(以下,「本件出願」という。)は,平成25年4月15日(パリ条約による優先権主張2013年2月28日,米国)の外国語書面出願であって,平成25年6月12日に外国語書面の翻訳文(特許法36条の2第8項の規定により,願書に添付して提出した明細書,特許請求の範囲及び図面とみなす。以下,単に「翻訳文」という。)が提出され,平成28年10月17日付けで拒絶理由が通知され,平成29年1月19日に意見書及び手続補正書が提出されたが,同月30日付けで拒絶査定(以下,「原査定」という。)がなされたものである。
本件拒絶査定不服審判は,これを不服として,同年5月22日に請求されたものであって,本件審判の請求と同時に手続補正書が提出され,当審において,平成30年3月6日付けで拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)が通知され,同年5月18日に意見書及び手続補正書が提出された。


2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由(以下,「査定理由」という。)は,概略,次のとおりである。
(1)引用例
引用文献1:特表2010-535067号公報
引用文献2:国際公開第2012/051167号

(2)査定理由1(請求項7に対する新規性欠如又は進歩性欠如)
平成29年1月19日提出の手続補正書による補正後の請求項7に係る発明は,引用文献1に記載された発明であるから,特許法29条1項3号に該当し,特許を受けることができない,又は,引用文献1に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,同条2項の規定により特許を受けることができない。

(3)査定理由2(請求項5及び6に対する進歩性欠如)
平成29年1月19日提出の手続補正書による補正後の請求項5及び6に係る発明は,引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。


3 当審拒絶理由の概要
平成30年3月6日付けで通知された当審拒絶理由の概要は,次のとおりである。
(1)当審拒絶理由1(請求項1ないし4に対する明確性要件違反)
平成29年5月22日提出の手続補正書による補正後の請求項1の「瞳孔収斂,瞳孔位置,瞳孔拡張,まぶた位置および目インピーダンスを含む生理学的変化および周辺光を含む環境変化のうちの少なくとも1つを測定する」という記載では,「少なくとも1つ」が何にかかるのか明確でなく,請求項1に係る発明,及び当該請求項1の記載を引用する形式で記載された請求項2ないし4に係る発明が何を測定するものを含むのか不明確であるから,本件出願は,特許請求の範囲の記載が,特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。

(2)当審拒絶理由2(請求項1ないし4に対する進歩性欠如)
ア 引用例
引用文献1:特表2010-535067号公報(査定理由1及び2で引用された引用文献1と同じもの)
引用文献2:国際公開第2012/051167号(査定理由2で引用された引用文献2と同じもの)

イ 理由
平成29年5月22日提出の手続補正書による補正後の請求項1ないし4に係る発明は,引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

(3)当審拒絶理由3(請求項7に対する実施可能要件違反)
平成29年5月22日提出の手続補正書による補正後の請求項7には,眼内レンズ内に目インピーダンスを測定するセンサを含める旨の発明特定事項が記載されているが,目の表面で測定すると考えられる目インピーダンスを眼内レンズのセンサによりどのように測定するのか不明であるから,この出願の発明の詳細な説明は,当業者が請求項7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。
したがって,本件出願は,発明の詳細な説明の記載が,特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。


4 本件出願の請求項1ないし5に係る発明
本件出願の請求項1ないし5に係る発明は,平成30年5月18日提出の手続補正書によって補正された(以下,当該補正を「本件補正」という。)外国語書面の翻訳文の請求項1ないし5に記載された事項によって特定されるものと認められるところ,当該請求項1ないし5の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
個人の目の上に装着さるべき電動眼科レンズの機能を制御するための方法であって,
周辺光ならびに,
瞳孔収斂と瞳孔位置と瞳孔拡張とのうちの少なくとも1つ,まぶた位置,および目インピーダンスを含む生理学的変化
を測定する,前記電動眼科レンズ内に組み込まれた複数のセンサをサンプリングする工程と,
閾値との比較及び所定のパターンとの比較を含む,前記複数のセンサからの結果を判定する工程と,
前記複数のセンサからの結果を集計し,単一の決定信号を生成するために前記結果に重みを加える工程と,
前記単一の決定信号に基づいて,アクチュエータに,前記電動眼科レンズの機能の変化を実行させるか又は前記電動眼科レンズの機能を維持させる工程と,を含み,
前記方法を実行するのに必要な合計時間が1秒以内である,方法。
【請求項2】
前記複数のセンサからの前記サンプリングされた出力データを信号調節する工程を更に含む,請求項1に記載の電動眼科レンズの機能を制御するための方法。
【請求項3】
前記信号調節する工程が,1つ又は2つ以上のフィルタリングを含む,請求項2に記載の電動眼科レンズの機能を制御するための方法。
【請求項4】
個人の目の上に装着さるべき電動眼科レンズであって,
光学ゾーンと,周縁ゾーンとを含むコンタクトレンズと,
前記コンタクトレンズの前記周縁ゾーン内に組み込まれた少なくとも1つの電子システムであって,複数のセンサであって,第1のグループのセンサが,瞳孔収斂と瞳孔位置と瞳孔拡張とのうちの少なくとも1つ,まぶた位置,および目インピーダンスを含む生理学的変化を測定するように構成され,第2のグループのセンサが,周辺光を含む環境変化を測定するように構成されている,複数のセンサと,前記電動眼科レンズの機能を制御するための方法を実行するように構成されたシステムコントローラと,少なくとも1つのアクチュエータとを含み,前記方法が,前記複数のセンサをサンプリングする工程と,閾値との比較及び所定のパターンとの比較を含む,前記複数のセンサからの結果を判定する工程と,前記複数のセンサからの結果を集計し,単一の決定信号を生成するために前記結果に重みを加える工程と,前記単一の決定信号に基づいて,前記アクチュエータに,前記電動眼科レンズの機能の変化を実行させるか,又は前記電動眼科レンズの機能を維持させる工程とを含む,少なくとも1つの電子システムと,を備え,
前記方法を実行するのに必要な合計時間が1秒以内である,電動眼科レンズ。
【請求項5】
個人の目の上に装着さるべき電動眼科レンズであって,
コンタクトレンズと,
前記コンタクトレンズ内に組み込まれた少なくとも1つの電子システムであって,複数のセンサであって,第1のグループのセンサが,瞳孔収斂と瞳孔位置と瞳孔拡張とのうちの少なくとも1つ,まぶた位置,および目インピーダンスを含む生理学的変化を測定するように構成され,第2のグループのセンサが,周辺光を含む環境変化を測定するように構成されている,複数のセンサと,前記電動眼科レンズの機能を制御するための方法を実行するように構成されたシステムコントローラと,少なくとも1つのアクチュエータと,を含み,前記方法が,前記複数のセンサをサンプリングする工程と,閾値との比較及び所定のパターンとの比較を含む,前記複数のセンサからの結果を判定する工程と,前記複数のセンサからの結果を集計し,単一の決定信号を生成するために前記結果に重みを加える工程と,前記単一の決定信号に基づいて,前記アクチュエータに,前記電動眼科レンズの機能の変化を実行させるか,又は前記電動眼科レンズの機能を維持させる工程とを含む,少なくとも1つの電子システムと,を備え,
前記方法を実行するのに必要な合計時間が1秒以内である,電動眼科レンズ。」(以下,請求項1ないし5に係る発明をそれぞれ「本件発明1」ないし「本件発明5」といい,これらを総称して「本件発明」という。)


5 原査定の拒絶の理由に対する判断
(1)引用例
ア 引用文献1の記載
引用文献1は,本件出願の優先権主張の日(以下,「優先日」という。)より前に頒布された刊行物であるところ,当該引用文献1には次の記載がある。(下線は,後述する引用発明の認定に特に関係する箇所を示す。)
(ア) 「【技術分野】
【0001】
・・・(中略)・・・
【0002】
発明の分野
本発明の例態様は,一般に多重焦点眼内レンズ(「IOL」)システム,特にIOLシステムと共に使用される眼内フォトセンサーおよび距離測定方法,および動的視環境に多重焦点IOL能力を提供するコンポーネントに関する。
【背景技術】
・・・(中略)・・・
【0006】
白内障は,天然水晶体が曇って不透明になり視力を著しく低減する老化に関連した疾病である。白内障は一般に視力調節の損失のあとに生じる。眼内レンズ(「IOL」)は,この疾病を苦しむ患者に視力を復元するために1960年代の終わりから米国において使用され,最近ではいくつかのタイプの屈折の目の手術に使用されている。IOLは一般に,目の天然水晶体に置き換わるか補足するために眼球の内部に外科的に埋め込まれる永久的プラスティックレンズである。
【0007】
IOLはまた,人間の目の屈折の機能の損失を補う役目をし得る。たとえば,筋肉毛様体が脳からの視力調節刺激に反応するときに,身体の天然水晶体が焦点を合わせる方法と同じように,(たとえば目の軌道内において物理的に変形および/または転換する)動きによって焦点を変更する視力調節IOLが導入された。不運にも,これらのタイプの視力調節IOLは,健康な天然水晶体と比較すると,パフォーマンスにおいて本質的に劣り,要求に応じて正確かつ信頼できて焦点を合わせる能力を持たない。
【0008】
視力調節が可能であり,その焦点距離をさまざまな距離の物体に動的に調節し得るIOLシステムは,注目の物体とも共通に呼ばれる焦点の物体までの距離を正確に決定し得るべきである。すなわち,注意の近い物体に最適の焦点をもってくるように視覚系の焦点を調節し得るように,注目の物体までの距離が知られるべきである。
【0009】
正確な多重焦点能力たとえば視力調節を達成するために,IOLシステムはまた,動的フォーカシングレンズシステムは,注目の物体までの距離に基づいて適切な焦点に調節し得るように断続的および好ましくは連続的な基礎に基づいて注目の物体までの距離を急速に正確に決定し得るべきである。
・・・(中略)・・・
【発明の概要】
【0012】
発明の要約
一実施形態では,眼内フォトセンサー設計は,ひとみを通る入射光強度および分布の変化を検出することによってひとみ径およびそれの変化を測定してひとみサイズを決定するために使用される。この実施形態では,フォトセンサーは,比較的平面関係で,ひとみに並んで後方にじかに配置される。感光素子の一つ以上の直線アレイが含まれ,素子の数はひとみサイズ変化を識別するのに十分であるが,フォトセンサーは十分に透明のままである。
【0013】
一実施形態では,ひとみサイズ決定は,ひとみサイズと視覚収束の関係または近方共同運動に基づいて注目の物体までの距離を推定するために使用される。別の実施形態では,注目の物体までの距離の決定は,注目の物体または近くに焦点を合わせるために動的焦点調節可能眼内レンズシステムを駆動するための入力として使用される。・・・(中略)・・・
【0016】
一実施形態では,革新的なフォトセンサーは,ひとみを通過する光強度および分布,および個別センサー素子に受けられる光強度の変化の両方を測定し決定する。分布および分布の変化を測定することによって,フォトセンサーアレイにおいて,ひとみのサイズが決定される。照明センサー素子の光強度の時間変化を測定することによって,周辺明るさのあらゆる変化も決定される。この実施形態では,明るさ反射および近方共同運動反射の両方によるひとみサイズの変化が決定され得,フォトセンサーおよび距離測定装置は,変化する照明状態および注目の物体までの距離の変化の両方を区別し得る。」

(イ) 「【図面の簡単な説明】
・・・(中略)・・・
【0020】
図面中
【図1】図1は,目の解剖学的構造を示す。
【図2A】図2Aは,本発明の一実施形態による例IOLシステムおよび埋め込み物を示す。
【図2B】図2Bは,本発明の一実施形態による例IOLシステムおよび埋め込み物を示す。
・・・(中略)・・・
【図5A】図5Aは,本発明の例実施形態による例フォトセンサーチップ設計を示す。
・・・(中略)・・・
【図6E】図6Eは,本発明の例実施形態によるひとみのサイズに依存するさまざまな状態における図5Aのフォトセンサーおよびひとみの後ろに埋め込まれたその素子の正面図を示す。
・・・(中略)・・・
【図7A】図7Aは,本発明の一実施形態による注目の物体までの距離を決定するプロセスを示す。」

(ウ) 「【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
図1は,ラベルを備えた目100の解剖学的構造を示し,・・・(中略)・・・絞り114と,ひとみ118と,・・・(中略)・・・水晶体122と,・・・(中略)・・・を有する。・・・(中略)・・・一般的レンズ置換手術中に,天然レンズ122が包バッグ140から取り除かれ,新しいIOLが周知な外科技術によって包バッグ140の内部に埋め込まれる。IOLは,折り畳んだ状態で挿入され,それから包バッグ140の内部で広げられ得る。
【0022】
図2Aは,包バッグ140の内部に埋め込まれた多重焦点IOLシステム210の一例を示す。図2Bは,図2Aに示されたIOLシステム210の拡大を示す。図2Bを参照すると,一実施形態では,埋込IOLシステム210は,印加電圧260に応じてその屈折率を変更し得る電気活性素子を有する電気活性レンズ250を有する。コントローラー270は,電気活性レンズ250に送られる必要制御信号を決定し,アクチュエーター280は,電極を介して電気活性レンズ素子250を駆動してその屈折率を変更する。この実施形態では,(感光素子とも呼ばれる)フォトセンサー素子520を有するフォトセンサーチップ290は,レンズシステム210に統合されるプログラマブル距離測定器の形態で構成される。(距離測定器フォトセンサーまたは単に距離測定器とも呼ばれる)フォトセンサーチップ290は,以下に詳しく説明されるように,ひとみ118を通過した入射光の範囲分布を検出することと,入射光分布に基づいてひとみ118のサイズを推定することとによって作動する。
【0023】
ひとみ118は本質的に円形であり,ひとみ118を通過する光の量および分布は,角膜124によって十分な屈折を受け,ひとみ118に等しい半径を有する円形ビームとして有効に表わされ得る。以下により詳しく論じるように,ひとみサイズは,注目の物体までの距離を推定するために使用され,この推定に基づいて,コントローラー270は,物体に焦点を合わせるために必要とされる適切な焦点距離を決定し,アクチュエーター280に電気活性レンズ250を駆動させ,注目の物体を(網膜136上の)焦点に合わせる。周辺明るさの相対変化も,距離測定器フォトセンサー290によって測定し,ひとみ反射応答に起因するひとみサイズ変化を区別し原因を説明するために使用され得る。
・・・(中略)・・・
【0026】
異なる収束の程度に対してひとみ118のサイズ(302a?302e)がどのように異なるかも例証に示される。ひとみ径の変化は,絞り114の開閉によって達成され得る。これは,共同運動反射応答または「近方共同運動」として知られるよく理解されたひとみ反射応答の結果である。特に,この反射では,ひとみ118は,目の交差または視覚収束に応じてその直径を変更する。収束の程度が大きいほど,ひとみの収縮が大きい。・・・(中略)・・・また特に,図3Aにおいて,注目の物体が20ft以上の距離にあるとき,目はほぼ平行であり,交差または収束の程度を示さず,ひとみ共同運動応答はない。注目の物体が近づけられるにつれて,図3B?3Eに示されるように,収束の程度が増大し,ひとみの緊縮はそれらの直径を減少させる。・・・(中略)・・・
【0027】
別の反射は,網膜上の光の最適量(すなわち網膜感度)を維持するために,一般に明るい光の中で収縮し,うす暗い光の中で拡張する,異なるレベルの周辺明るさに合わせてひとみ径を調節させるひとみ(pupilary)明るさ反射である。ひとみは,周辺光状態の変化のためサイズを動的に調節する。・・・(中略)・・・たとえば,うす暗く照明された部屋から外の日当たりのよい環境へ行くとき,ひとみ118は収縮して網膜に影響を与える光強度を減少させる。主体が,日のさす環境からよりうす暗く照明された環境または部屋へ戻ると,ひとみは拡大してより多くの周辺光の捕獲を可能にする。
・・・(中略)・・・
【0030】
上に説明したように,共同運動反射のために,個人のひとみサイズは収束の程度と関係があり,収束の程度は目100から注目の物体までの距離と直接関係がある。物体が近くなるほど,ひとみは小さくなる。したがって,ひとみのサイズを決定することによって注目の物体までの距離を推定することが可能であり,それはひとみのサイズまたはひとみのサイズの変化が特定のレベルまたは範囲の周辺明るさ下における収束の程度をほぼ示すからである。・・・(中略)・・・
【0035】
一実施形態では,眼内フォトセンサー設計および方法は,ひとみを通る入射光強度および分布の変化を検出することによってひとみ径およびそれの変化を測定するために使用される。ひとみ118サイズは,注目の物体までの距離を得るために使用され得,この情報は,多重焦点IOLシステム210の焦点距離を調節するために使用され得る。
【0036】
図5A?Hは,例実施形態によるさまざまな眼内フォトセンサーチップ(またはセンサーアレイ)設計500a?500hを示す。特に,図5A?Hは,フォトセンサー素子設計の正面図を描く。一実施形態では,図5Aに示され,フォトセンサー(または感光)素子520aは,たとえば半導体ウェーハまたはマイクロチップ上の二つの直交直線アレイに配列される。・・・(中略)・・・
【0042】
図6Eは,プログラマブルフォトセンサーチップ500aが光分布だけでなくその分布の強度をもどのように記録するかを示す。一実施形態では,センサー素子520aは,強度の階調を記録し区別するようにプログラムされる。この例では,5つの異なる強度レベルがあるが,この分野の当業者には明白なように,フォトセンサーチップ500aは,光レベルの任意の強度を区別するように設計されプログラムされ得るであろう。好ましくは,IOLシステムは,ここにおいてさらに論じるように,光強度の相対変化を記録し区別して,明るさ反射と共同運動反射を識別し得る。また,散乱光がひとみ118のエリアの外側のセンサー素子520aに到達する潜在性は可能であり,フォトセンサーチップ500aは,強度およびコントラストのしきい値レベルを確立することによってそのような「ノイズ」を捨てるようにプログラムされ得る。
・・・(中略)・・・
【0044】
さらにここに説明されるように,ひとみ径は,フォトセンサーチップ500a自体から直接決定され得る(たとえば,与えられたしきい値を超えて照明されるフォトセンサーのエリアがひとみ118のエリアに直接対応する),または適用にカスタマイズされたポスト処理信号アルゴリズムによって決定され得る。示されるひとみ118径およびフォトセンサーアレイ500aは例だけであり,この分野の当業者は,ひとみ径は,上限および下限間で連続的に変わり得,示される実施形態は,これらの限界の間のあらゆる値におけるひとみ径を決定するために容易に使用され得る,さらに他のセンサー設計も,入射光を検出しこれによりひとみのサイズを決定するように作用することを知るであろう。他のところで論じるように,一実施形態では,ひとみサイズ測定は,物体までの距離を決定するために使用され,この距離は,視界物体を焦点に合わせるその焦点特性を調節する多重焦点レンズシステム210を駆動するためにコントローラー(たとえば図2B,270)によって使用される。
・・・(中略)・・・
【0046】
明るさ反射および共同運動反射の両方がひとみ径に影響することがある。注目の物体までの距離が一定であるならば,ひとみの直径のどんな変化も主として明るさ応答,周辺光レベルの変化による応答による。反対に,明るさレベルが比較的一定であるならば,ひとみの直径の変化が主として共同運動応答,注目の物体の距離の変化による応答による。しかしながら,日常生活では,ほとんどの個人は幅広く変動する明るさレベルに遭遇し,連続的に熟視を変え,いくらか遠方へまたはいくらか近方の異なる距離にある注目の物体を見るために焦点を合わせる。したがって,明るさ反射および共同運動反射の両方は,明るさレベルおよび注目の物体までの距離にしたがってひとみ118にサイズを変更させる重要で一致する影響を及ぼし得る。好ましくは,上に説明したIOLシステム210は明るさレベルとひとみ径の両方を測定し,患者のベンチマークデータと一緒のこれらの二つのデータ入力は,一実施形態における注目の物体までの距離を推定するために使用される。
・・・(中略)・・・
【0048】
図7Aは,一実施形態による注目の物体までの距離を決定するための代表的プロセス700aを示し,図7Cは,一実施形態による注目の物体までの距離を決定するための参照テーブルを示す。ブロック705において,眼内フォトセンサーチップ290(図2A)は空間的広がりおよびひとみを通る入射光の強度の両方を検出する。ひとみ径および周辺の強度の両方の推定は,たとえばフォトセンサーチップ290に統合されたプロセッサーによって,ブロック710,715において得られる。ブロック710において決定された決定推定ひとみ径および決定されたブロック715において決定された明るさレベルは次に,ブロック720に示されるように,注目の物体までの距離を推定するコンパレーターを使用して患者のベンチマークデータと比較される。一実施形態では,(たとえば図4A?Cのような)患者のベンチマークデータはブロック725においてプロセッサーメモリーに記憶される。このデータは,さまざまな明るさおよび物体距離の組み合わせに対するひとみサイズを含んでいる。測定ひとみサイズおよび明るさは,ブロック720においてブロック725に記憶されたベンチマークデータと比較され,物体距離の推定値がブロック730において得られる。患者に対する参照テーブルの例が図7Cに示される。たとえば,図7Cの患者のベンチマークデータを使用して,ひとみサイズが4.1mmであると推定され,相対明るさが1ft-Cであると推定されるならば,物体距離は1.2メートルであると推定される。同様に,ひとみサイズが4.1mmであると推定され,相対明るさが100のft-Cであると推定されるならば,物体距離は少なくとも6メートルの距離にあると推定される。この分野の当業者には明白なように,プロセッサーコンパレーターおよび距離推定器ロジックは,参照テーブルまたはリアルタイム重み付けアルゴリズム計算を含む多くの技術によって実施され得る。」

(エ) 「【図1】

【図2A】

【図2B】

・・・(中略)・・・
【図5a】

・・・(中略)・・・
【図6E】

・・・(中略)・・・
【図7A】




イ 引用文献1に記載された発明
【0036】,【0044】等に記載された「フォトセンサーチップ500a」が【0022】等に記載された「フォトセンサーチップ290」の一態様であり,【0044】に記載された「フォトセンサー」が【0036】,【0042】等に記載された「センサー素子520a」を指しており,当該「センサー素子520a」が【0022】に記載された「フォトセンサー素子520」の一態様であることは,文脈上明らかである。
また,【0048】の「フォトセンサーチップ290(図2A)は空間的広がりおよびひとみを通る入射光の強度の両方を検出する。」という記載中の「空間的広がり」が「ひとみを通る入射光の空間的広がり」のことを指していることは,技術的に自明である。
したがって,前記ア(ア)ないし(エ)の記載から,【0022】等に記載された「多重焦点IOLシステム210」であって,フォトセンサーチップ290として,【0036】,【0042】,【0044】等に記載された態様のものを用いた発明として,次の発明を把握することができる。

「水晶体122に置き換わるか補足するために目100の内部に外科的に埋め込まれる眼内レンズとして用いられる多重焦点IOLシステム210であって,
印加電圧に応じてその屈折率を変更し得る電気活性素子を有する電気活性レンズ250と,
電極を介して前記電気活性レンズ素子250を駆動してその屈折率を変更するアクチュエーター280と,
前記アクチュエーター280に前記電気活性レンズ250を駆動させるコントローラー270と,
フォトセンサーチップ290と,
前記フォトセンサーチップ290に統合されたプロセッサーと,
を有し,
前記フォトセンサーチップ290は,センサー素子520aが半導体ウェーハまたはマイクロチップ上の二つの直交直線アレイに配列されたものであって,ひとみを通る入射光の空間的広がり及び強度を検出するよう構成され,
前記プロセッサーは,前記フォトセンサーチップ290によって検出されたひとみを通る入射光の空間的広がり及び強度に基づいて,ひとみ径及び周辺の明るさレベルを推定し,次に,コンパレーターを使用して,推定されたひとみ径及び明るさレベルを,さまざまな明るさおよび物体距離の組み合わせに対するひとみサイズを含む患者のベンチマークデータと比較することで,注目の物体までの距離を推定するよう構成されたものであって,前記ひとみ径の推定に際しては,与えられたしきい値を超えて照明される前記センサー素子520aのエリアがひとみのエリアに直接対応するものとして,前記ひとみ径を決定するものであり,
前記コントローラー270は,前記プロセッサーによって推定された注目の物体までの距離に基づいて,前記アクチュエーター280に前記電気活性レンズ250を駆動させ,注目の物体に焦点を合わせるよう構成されたものである,
多重焦点IOLシステム210。」(以下,「引用発明」という。)

(2)査定理由1(請求項7に対する新規性欠如又は進歩性欠如)について
査定理由1の対象であった請求項7は,本件補正によって削除されたから,査定理由1は解消した。

(3)査定理由2(請求項5及び6に対する進歩性欠如)について
査定理由2の対象であった請求項5及び6は,本件補正後の請求項4及び5にそれぞれ対応する。そこで,本件発明4及び5が,引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるのか,判断する。
ア 本件発明4について
(ア) 対比
a 引用発明は,「電極を介して電気活性レンズ素子250を駆動してその屈折率を変更するアクチュエーター280」を有する「眼内レンズとして用いられる多重焦点IOLシステム210」であるところ,「電極を介して電気活性レンズ素子250を駆動」することを「電動」ということができ,「眼内レンズ」は「眼科レンズ」の一態様であるから,引用発明と本件発明4は,「電動眼科レンズ」である点で共通する。

b(a) 技術的にみて,引用発明における「フォトセンサチップ290」及び「プロセッサー」による「ひとみ径」を推定する機能は,本件発明4における「第1グループのセンサ」による「瞳孔収斂と瞳孔位置と瞳孔拡張とのうちの少なくとも1つ」を測定する機能に相当し,引用発明における「フォトセンサチップ290」及び「プロセッサー」による「周辺の明るさレベル」を推定する機能は,本件発明4における「第2グループのセンサ」による「周辺光」を測定する機能に相当する。
したがって,本件発明と引用発明は,「瞳孔収斂と瞳孔位置と瞳孔拡張とのうちの少なくとも1つおよび周辺光を測定するように構成されている,センサ」を有する点で共通する。

(b) 機能等からみて,引用発明の「アクチュエーター280」は,本件発明4の「アクチュエータ」に相当する。

(c) 技術的にみて,引用発明の「電気活性レンズ素子250」の「屈折率」が,本件発明4の「電動眼科レンズの機能」に相当し,引用発明の「電気活性レンズ素子250」の「屈折率を変更」することが,本件発明4の「電動眼科レンズの機能の変化を実行」することに相当し,引用発明の「プロセッサー」及び「コントローラー270」からなる構成が,「フォトセンサーチップ290によって検出されたひとみを通る入射光の空間的広がり及び強度」に基づいて,「アクチュエーター280に電気活性レンズ250を駆動させ,注目の物体に焦点を合わせる」よう動作することは,本件発明4の「システムコントローラ」が,「電動眼科レンズの機能を制御するための方法を実行する」ことに相当する。
また,引用発明において,「フォトセンサチップ290」によるひとみを通る入射光の空間的広がり及び強度の検出がサンプリングされていること,及び当該サンプリングをする主体が,「プロセッサー」又は「コントローラー270」であることは,当業者に自明である。
また,引用発明の「患者のベンチマークデータ」は「所定のパターン」といえるから,引用発明の「プロセッサー」における「推定されたひとみ径及び明るさレベルを・・・『患者のベンチマークデータ』と比較することで,注目の物体までの距離を推定する」工程は,本件発明4の「システムコントローラ」が行う「所定のパターンとの比較」を含む「センサからの結果を判定する工程」に相当する。
また,引用発明の「プロセッサー」が行う「与えられたしきい値を超えて照明されるセンサー素子520aのエリアがひとみのエリアに直接対応するものとして,ひとみ径を決定する」工程は,技術的にみて,本件発明4の「システムコントローラ」が行う「閾値との比較」を含む「センサからの結果を判定する工程」に相当する。
また,技術的にみて,引用発明の「プロセッサーによって推定された注目の物体までの距離」は本件発明4の「単一の決定信号」に相当する。
さらに,引用発明において,「コントローラー270」が,注目の物体に焦点が合っている場合に「アクチュエーター280」に電気活性レンズ250を駆動させることがないことは自明であるから,引用発明の「コントローラー270」が行う「推定された注目の物体までの距離に基づいて,『アクチュエーター280』に電気活性レンズ250を駆動させ,注目の物体に焦点を合わせる」工程は,本件発明4の「システムコントローラ」が行う「単一の決定信号に基づいて,アクチュエータに,電動眼科レンズの機能の変化を実行させるか,又は電動眼科レンズの機能を維持させる工程」に相当する。
したがって,引用発明の「プロセッサー」及び「コントローラー270」からなる構成は,本件発明4の「システムコントローラ」と,「電動眼科レンズの機能を制御するための方法を実行するように構成され」,「前記方法が,前記センサをサンプリングする工程と,閾値との比較及び所定のパターンとの比較を含む,前記センサからの結果を判定する工程と,単一の決定信号に基づいて,前記アクチュエータに,前記電動眼科レンズの機能の変化を実行させるか,又は前記電動眼科レンズの機能を維持させる工程とを含む」点で共通する。

(d) 前記(a)ないし(c)に照らせば,引用発明の「フォトセンサチップ290」,「プロセッサー」及び「コントローラー270」からなる構成は,本件発明4の「電子システム」と,「瞳孔収斂と瞳孔位置と瞳孔拡張とのうちの少なくとも1つおよび周辺光を測定するように構成されている,センサと,前記電動眼科レンズの機能を制御するための方法を実行するように構成されたシステムコントローラと,少なくとも1つのアクチュエータとを含み,前記方法が,前記センサをサンプリングする工程と,閾値との比較及び所定のパターンとの比較を含む,前記センサからの結果を判定する工程と,単一の決定信号に基づいて,前記アクチュエータに,前記電動眼科レンズの機能の変化を実行させるか,又は前記電動眼科レンズの機能を維持させる工程とを含む,少なくとも1つの電子システム」である点で共通する。

c 前記a及びbに照らせば,本件発明4と引用発明は,
「電動眼科レンズであって,
瞳孔収斂と瞳孔位置と瞳孔拡張とのうちの少なくとも1つおよび周辺光を測定するように構成されている,センサと,前記電動眼科レンズの機能を制御するための方法を実行するように構成されたシステムコントローラと,少なくとも1つのアクチュエータとを含み,前記方法が,前記センサをサンプリングする工程と,閾値との比較及び所定のパターンとの比較を含む,前記センサからの結果を判定する工程と,単一の決定信号に基づいて,前記アクチュエータに,前記電動眼科レンズの機能の変化を実行させるか,又は前記電動眼科レンズの機能を維持させる工程とを含む,少なくとも1つの電子システムと,を備える,電動眼科レンズ。」
である点で一致し,次の点で相違する。

相違点1:
本件発明4が,「個人の目の上に装着さるべき電動眼科レンズ」であって,「光学ゾーンと,周縁ゾーンとを含むコンタクトレンズ」を備えており,「電子システム」が「周縁ゾーン内に組み込まれ」ているのに対して,
引用発明は,「眼内レンズ」であって,個人の目の上に装着されることはなく,かつ,「光学ゾーンと,周縁ゾーンとを含むコンタクトレンズ」を備えておらず,したがって,「フォトセンサチップ290」,「プロセッサー」及び「コントローラー270」からなる構成が「周縁ゾーン内に組み込まれ」ているとはいえない点。

相違点2:
本件発明4の「センサ」が,「瞳孔収斂と瞳孔位置と瞳孔拡張とのうちの少なくとも1つ」ばかりでなく,まぶた位置,および目インピーダンスを含む生理学的変化を測定するように構成された第1のグループのセンサと,「周辺光」を含む環境変化を測定するように構成された第2のグループのセンサとからなる「複数のセンサ」であるのに対して,
引用発明の「フォトセンサチップ290」は,「瞳孔収斂と瞳孔位置と瞳孔拡張とのうちの少なくとも1つ」と「周辺光」の両方を測定する単一のセンサである点。

相違点3:
本件発明4の「システムコントローラ」が,「センサ」からの結果を集計し,単一の決定信号を生成するために前記結果に重みを加える工程を実行するのに対して,
引用発明の「プロセッサー」及び「コントローラー270」からなる構成は,そのような工程を実行しない点。

相違点4:
本件発明4では,「システムコントローラ」が「電動眼科レンズの機能を制御するための方法」を実行するのに必要な合計時間が1秒以内であるのに対して,
引用発明では,「プロセッサー」及び「コントローラー270」からなる構成が,「フォトセンサーチップ290によって検出されたひとみを通る入射光の空間的広がり及び強度」に基づいて,「アクチュエーター280に電気活性レンズ250を駆動させ,注目の物体に焦点を合わせる」よう動作するのに必要な合計時間は,特定されていない点。

(イ)判断
事案に鑑みて,まず,相違点2について判断する。
引用文献1及び2には,少なくとも,「目インピーダンス」を測定することについては,記載も示唆もされていない。
また,技術常識からは,引用発明において制御の対象となっている「注目の物体までの距離」が,「目インピーダンス」によって推定できるとも考えられない。
そうすると,引用発明において,少なくとも「目インピーダンス」を測定することには,動機付けがないというべきである。
したがって,引用発明を,相違点2に係る本件発明4の発明特定事項に相当する構成を具備したものとすることは,当業者が容易に想到し得たことではない。
したがって,他の相違点について判断するまでもなく,本件発明4は,引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明5について
本件発明5は,前記ア(ア)で認定した相違点2に係る本件発明4の発明特定事項と同一の発明特定事項を有しているから,本件発明5と引用発明は,少なくとも,相違点2と同じ点で相違する。
したがって,本件発明4と同様の理由で,本件発明5は,引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)小括
前記(2)及び(3)のとおりであって,請求項7は本件補正によって削除されており,かつ,本件発明4及び5は,いずれも,引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではないから,原査定の理由によっては,本件出願を拒絶することはできない。


6 当審拒絶理由に対する判断
(1)当審拒絶理由1(請求項1ないし4に対する明確性要件違反)について
本件補正によって,請求項1の「瞳孔収斂,瞳孔位置,瞳孔拡張,まぶた位置および目インピーダンスを含む生理学的変化および周辺光を含む環境変化のうちの少なくとも1つを測定する」という不明確な記載は,「周辺光ならびに,瞳孔収斂と瞳孔位置と瞳孔拡張とのうちの少なくとも1つ,まぶた位置,および目インピーダンスを含む生理学的変化を測定する」という明確な記載に補正されたから,当審拒絶理由1は解消した。

(2)当審拒絶理由2(請求項1ないし4に対する進歩性欠如)について
当審拒絶理由2の対象であった請求項1ないし4のうち,請求項2は本件補正により削除され,請求項1,3及び4は,本件補正後の請求項1ないし3にそれぞれ対応する。そこで,本件発明1ないし3が,引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるのか,判断する。

引用文献1の記載からは,引用発明の「電気活性レンズ素子250」の「屈折率」を制御する方法の発明を把握することができるところ,当該方法の発明を本件発明1と対比すると,両者は,少なくとも,前記5(3)ア(ア)で認定した相違点2と同様の点で相違する。
したがって,本件発明4と同様の理由で,本件発明1は,引用文献1の記載から把握される前記方法の発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また,本件補正後の請求項2及び3は,いずれも,請求項1の記載を引用する形式で記載されたものであって,本件発明2及び3は,本件発明1の発明特定事項を全て具備し,これに限定を加えたものに相当するところ,本件発明1が引用文献1の記載から把握される前記方法の発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない以上,本件発明2及び3も同様の理由で,引用文献1の記載から把握される前記方法の発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)当審拒絶理由3(請求項7に対する実施可能要件違反)について
当審拒絶理由3の対象であった請求項7は,本件補正によって削除されたから,当審拒絶理由3は解消した。

(4)小括
以上のとおりであるから,当審拒絶理由によって本件出願を拒絶することはできない。


7 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本件出願を拒絶することはできない。
また,他に本件出願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-07-17 
出願番号 特願2013-84597(P2013-84597)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (G02C)
P 1 8・ 121- WY (G02C)
P 1 8・ 536- WY (G02C)
P 1 8・ 537- WY (G02C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 植野 孝郎  
特許庁審判長 中田 誠
特許庁審判官 河原 正
清水 康司
発明の名称 多入力投票スキームを有する電子眼科レンズ  
代理人 大島 孝文  
代理人 加藤 公延  
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